説明

補強フィーチャを有する膜支持体

集積支持フィーチャを有する試料支持構造体ならびに補強された膜を作製する方法およびそれを使用する方法。試料支持構造体は、電子顕微鏡法、光学顕微鏡法、X線顕微鏡法、UV−VIS分光法および核磁気共鳴(NMR)技術などの顕微鏡技術を使用する分析のための試料を支持するために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、集積支持フィーチャを有する補強された膜ならびに補強された膜を作製する方法およびそれを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 非常に薄い膜は、電子顕微鏡法のための試料支持体として有用である。極薄膜(<50nm)は、ほとんど電子透明であり、これらの支持体は、SEM、TEM、およびSTEMを含むいくつかの電子顕微鏡技術、ならびに光学顕微鏡法、X線顕微鏡法、UV−VIS分光法および核磁気共鳴(NMR)で有用である。極薄膜に対して生じる1つの懸念は、強度である、即ち、膜の厚さが減少するにつれて、もし差圧が膜に印加されると、それは、取扱い中に壊れ、破裂する可能性が高くなる。環境セルの使用などの、ある種の顕微鏡技術は、膜にかかる維持差圧に依存するので、極薄膜の強度には、強い関心がある。膜領域の面積が強度に影響を与えることは、周知である。所与の膜厚に対して、より小さな領域の膜は、より高い破裂圧力を与える、即ち、より小さな領域の膜は、同じ厚さのより大きな領域の膜よりもより大きな圧力差に耐えることができる。理論上、所与の膜厚に対して高い破裂圧力を達成するために、膜領域を極めて小さな寸法にまで縮小し続けることができるかもしれないが、とても小さい膜領域は、そのままで使用することが困難であろうし、撮像できる試料寸法を制限するであろうし、概して顕微鏡法または分光法技術にとって有用ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003] 本発明は、集積支持フィーチャを有する新規の補強された薄膜構造体、およびこの構造体のための加工方法を開示する。その構造体は、大きな膜をより小さな領域に細分する支持フィーチャを有する、より大きな領域の膜を備える。この構造体は、個々のより小さな膜の強度を有する、大きな薄膜の試料観察領域を備える。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004] 本発明は概して、補強された試料支持構造体に関する。
【0005】
[0005] 一態様では、本発明は、補強領域によって支持される観察領域の配列を含む構造体に関する。
【0006】
[0006] 別の態様では、本発明は、試料支持構造体を作製する方法に関し、その方法は、補強領域によって支持される観察領域の配列を含む試料支持構造体を作製する下記ステップ、即ち、第1の表面と第2の表面とを有する基板を準備するステップと、基板の第1の表面上に第1の支持層を堆積させるステップと、基板の第2の表面上に第2の支持層を堆積させるステップと、基板を露出するために第1の支持層の一部分を除去するステップと、枠形成領域を生成するために基板の一部分を除去するステップと、第2の支持層上に補強層を堆積させるステップと、少なくとも1つの観察区域と少なくとも1つの補強とを含む観察領域を与えるために補強層の一部分を除去するステップとを含む。
【0007】
[0007] さらに別の態様では、本発明は、試料支持構造体を作製する方法に関し、その方法は、補強領域によって支持される観察領域の配列を含む試料支持構造体を作製する下記ステップ、即ち、第1の表面と第2の表面とを有する基板を準備するステップと、基板の第1の表面上に第1の支持層を堆積させるステップと、基板の第2の表面上に第2の支持層を堆積させるステップと、第2の支持層上に補強層を堆積させるステップと、少なくとも1つの観察区域と少なくとも1つの補強とを含む観察領域を与えるために補強層の一部分を除去するステップと、基板を露出するために第1の支持層の一部分を除去するステップと、枠形成領域を生成するために基板の一部分を除去するステップとを含む。
【0008】
[0008] さらに別の態様では、本発明は、試料支持構造体を作製する方法に関し、その方法は、補強領域によって支持される観察領域の配列を含む試料支持構造体を作製する下記ステップ、即ち、第1の表面と第2の表面とを有する基板を準備するステップと、基板の第1の表面上に第1の支持層を堆積させるステップと、基板の第2の表面上に第2の支持層を堆積させるステップと、基板を露出するために第1の支持層の一部分を除去するステップと、枠形成領域を生成するために基板の一部分を除去するステップと、1つまたは複数のより厚い補強領域に隣接する1つまたは複数の薄くなった観察または撮像領域を与えるために第2の支持層の領域を薄くすることによる支持フィーチャの形成ステップとを含む。
【0009】
[0009] 別の態様では、本発明は、試料支持構造体を作製する方法に関し、その方法は、補強領域によって支持される観察領域の配列を含む試料支持構造体を作製する下記ステップ、即ち、第1の表面と第2の表面とを有する基板を準備するステップと、基板の第1の表面上に第1の支持層を堆積させるステップと、基板の第2の表面上に第2の支持層を堆積させるステップと、1つまたは複数のより厚い補強領域に隣接する1つまたは複数の薄くなった観察または撮像領域を与えるために第2の支持層の領域を薄くすることによる支持フィーチャの形成ステップと、基板を露出するために第1の支持層の一部分を除去するステップと、枠形成領域を生成するために基板の一部分を除去するステップとを含む。
【0010】
[0010] 本発明の他の態様、特徴および利点は、以下の開示および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】[0011]枠が最初に形成され、後に補強層の形成およびパターニングが続く実施形態を例示する図である。
【図2】[0012]補強層が最初に形成され、後に枠の形成およびパターニングが続く実施形態を例示する図である。
【図3】[0013]枠が最初に形成され、後に補強された台の形成が続く実施形態を例示する図である。
【図4】[0014]補強された台が最初に形成され、後に枠の形成が続く実施形態を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0015] 本発明は、試料支持構造体、試料支持構造体を作製する方法、および試料支持構造体を使用する方法に関する。試料支持構造体は、電子顕微鏡法、光学顕微鏡法、X線顕微鏡法、UV−VIS分光法および核磁気共鳴(NMR)技術などの顕微鏡技術を使用する分析の試料を支持するために有用である。
【0013】
[0016] ここに定義するように、「半導体」は、導電体と絶縁体との間の中間の導電性である、シリコンなどの材料を意味する。
【0014】
[0017] ここに定義するように、「フォトリソグラフィ」は、感光性材料をパターニングするまたはエッチングするために、レチクルを通じて投影される光線を使用するプロセスを意味する。
【0015】
[0018] 本明細書において、層、領域または基板などの所与の要素が、別の要素「上に」配置されるまたは形成されると呼ばれるときは、その所与の要素は、もう一方の要素上に直接あることができる、または別法として、介在する要素(例えば、1つまたは複数の被覆、層、中間層)がまた存在することもできる。「上に層状にされる」という文言は、所与の要素が別の要素に関してどのように置かれるかまたは位置付けられるかを述べるために使用されることがさらに理解されるであろう。したがって、「上に層状にされる」という文言は、材料輸送、堆積、または加工の特定の方法に関して何らの制限を導入することも意図されていない。試料が、試料台などの構造体「上に」あると述べられるときは、そのような試料は、その構造体と直接接触しているか、または試料と構造体との間に挿入されている1つもしくは複数の層または膜と接触している可能性がある。
【0016】
[0019] ここに定義するように、環境セルは、TEMの中に配置される封印されたデバイスである。環境セルは、セルの内側では湿ったおよび/または大気圧の環境を維持し、一方、周囲のTEM室は、高真空下に保持される。典型的には、薄い膜は、環境セルのための真空窓として使用される。
【0017】
[0020] ここに定義するように、「配列」は、少なくとも1つの補強領域によって支持され、分割される、少なくとも1つの観察/膜領域を有する構造に相当する。本明細書で開示されるように、少なくとも1つの補強領域は、正方形の観察/膜領域に枠を形成するように配置されてもよい。それに代えて、補強領域が、長方形、円形、楕円形、または多角形の観察/膜領域に枠を形成するように配置されてもよいことは、当業者に理解されるべきである。さらに、枠を形成された観察/膜領域が、それぞれ同一または同一でない大きさとなるように、各補強領域は、同一または同一でない大きさであってもよい。
【0018】
[0021] 一態様では、本発明は、補強層を支持層表面上に堆積させ、パターニングすることに関する。この態様の例は、図1および2で示される。補強層は、膜に追加の機械的強度を与える。補強層内の開口は、支持層の観察/撮像領域へのアクセスを与える。支持層内の開口のパターン、支持層の厚さ、および/または支持層の組成は、特定の用途に対する要求を満たし、性能を最適化するために変更することができる。
【0019】
[0022] 図1は、枠が最初に形成され、後に補強層の形成およびパターニングが続く実施形態を示す。本発明のこの態様は、図1で例示される下記ステップ、即ち、
(a)基板110を準備するステップと、
(b)基板110上に試料支持層120a、120bを堆積させるステップと、
(c)基板110を露出するために試料支持層120bの一部分131を除去するステップと、
(d)枠形成領域140を生成するために基板110の一部分141を除去するステップと、
(e)試料支持層120a上に補強層150を堆積させるステップと、
(f)少なくとも1つの観察区域161および少なくとも1つの補強162を有する、観察または撮像領域160を与えるために補強層150の一部分を除去するステップと、
の1つまたは複数を概して含む方法を提供する。
【0020】
[0023] 図1(a)を参照すると、基板110が準備される。基板110は、例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコンなどのシリコン材料、アルミナ、石英、溶融シリカ、窒化ホウ素、炭化シリコン、金属、セラミックス、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、グラフェン、黒鉛、アルミニウム、チタン、銅、タングステン、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、導電性酸化物、または他の導電性、半導電性、もしくは絶縁性材料、および当業者に既知の他の材料、ならびにそれらの組合せから構成されていてもよい。半導体材料は、導電性を改善するためにドープされてもよい。ある実施形態では、基板110は、約2〜約1000μm、好ましくは約100〜約750μm、最も好ましくは約250〜約350μmの厚さを有してもよい。
【0021】
[0024] 図1(b)を参照すると、試料支持層120aおよび120bは、基板110上に堆積される。例えば、一実施形態では、試料支持層120aおよび120bは、基板110の表側および裏側表面上に堆積される。試料支持層120a、120bのための材料は好ましくは、試料支持層120a、120b内に、低い引張性の応力を与えるように選択される。試料支持層120a、120bのための適切な材料としては、例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、アルミナ、石英、溶融シリカ、窒化ホウ素、炭化シリコン、金属、セラミックス、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、グラフェン、黒鉛、アルミニウム、チタン、銅、タングステン、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、導電性酸化物、または他の導電性、半導電性、もしくは絶縁性材料、および当業者に既知の他の材料、ならびにそれらの組合せが挙げられる。ある実施形態では、試料支持層120a、120bは、約1〜約5000000nm、好ましくは約25〜約1000nm、最も好ましくは約50〜約200nmの厚さに堆積される。本詳細な説明は、120aおよび120bが同じ材料および同じ厚さから作製される実施形態に焦点を合わせているが、代替の実施形態では、これらの層は、異なる材料から作製されてもよく、および/または、異なる厚さを有してもよい。加えて、基板110および試料支持層120a、120bが、同じ材料または異なる材料であってもよいことは、理解されるべきである。例えば、基板はシリコン材料であってもよく、試料支持層は窒化シリコンであってもよい。
【0022】
[0025] 図1(c)を参照すると、試料支持層120bは、1つまたは複数の部分を除去し、1つまたは複数の他の部分を残すように改良される。図示されるように、ある実施形態では、中央部分131は、枠形成領域130を残して、実質的にまたは完全に除去されてもよい。ある場合には、除去は、例えばフォトリソグラフィを使用してその次に湿式化学エッチングおよび/または反応性イオンエッチングを続けて試料支持層120bの一部分を除去する、パターニングおよびエッチングによって達成されてもよい。選択されるエッチャントは、使用される材料に依存するが、その下にある基板110を実質的にエッチングすることなく、試料支持層120bをエッチングできることが好ましい。エッチングされた試料支持層120bは、試料支持層120bを有する1つまたは複数の領域130と、試料支持層120bが実質的にまたは完全に除去された1つまたは複数のエッチングされた領域131とを含む。試料支持層120bを欠く領域131では、その下にある基板110が露出される。一実施形態では、試料支持層120bを実質的に欠く単一の領域131は、試料支持層120bを有する領域130によって完全に囲まれ、それによって実質的に試料支持構造体の外縁に沿って続く枠形成領域を備える。実質的に試料支持構造体の外縁に沿って続く枠形成領域が、正方形、長方形、円形、楕円形または多角形、ならびに対称的または非対称的であってもよいことは、当業者に理解されるべきである。言い換えれば、「枠」は、試料支持構造体の周囲すべてにわたって実質的に同様の幅を有してもよく、または、その幅は、試料支持構造体の最終的な必要性に応じて変化してもよい。
【0023】
[0026] 図1(d)を参照すると、基板110の一部分は、例えばエッチングによって除去される。エッチングは、例えば、試料支持層120bを有しない領域131での湿式化学エッチングおよび/または反応性イオンエッチングの使用を含む。エッチングプロセスは、試料支持層120aも120bも実質的にエッチングすることなく、それが基板110を選択的にエッチングするように選択されてもよい。エッチングは、試料支持層120bを有しない領域141で基板110が実質的にまたは完全に除去されるまで続いて、基板110を保持する枠領域140、および基板110が実質的にまたは完全に除去される膜領域141を生成する。
【0024】
[0027] 図1(e)を参照すると、補強層150は、試料支持層120a上に堆積される。ある実施形態では、補強層150は、約1〜約1000000nm、より好ましくは約50〜約50000nm、最も好ましくは約200〜約5000nmの厚さに堆積される。補強層150のための適切な材料の例は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、アルミナ、石英、溶融シリカ、窒化ホウ素、炭化シリコン、金属、セラミックス、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、グラフェン、黒鉛、アルミニウム、チタン、銅、タングステン、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、導電性酸化物、または他の導電性、半導電性、もしくは絶縁性材料、および当業者に既知の他の材料、ならびにそれらの組合せなどの、金属、半導体および/または絶縁体を含む。一実施形態では、補強層は、帯電されてもよい。例えば、もし補強層が金属であって、試料支持層が窒化シリコンであるならば、電子顕微鏡法を採用する際に有用である電圧が、補強層に印加されてもよい。補強層の材料が、試料支持層120aの材料と同じかまたはそれと異なってもよいことは、理解されるべきである。例えば、試料支持層は窒化シリコンでもよく、補強層は金属でもよい。
【0025】
[0028] 図1(f)を参照すると、補強層150の1つまたは複数の部分は、補強層を有するおよび有しない補強された領域を生成するために完全にまたは実質的に除去される。補強層は、例えばフォトリソグラフィを使用してその次に湿式化学エッチングおよび/または反応性イオンエッチングを続けて、例えばパターニングされ、エッチングされてもよい。補強層150の1つまたは複数の領域は、除去されて、補強された領域160を形成する。補強された領域160は、補強層150を有しない膜領域161と補強層150を有する補強領域162とを含む。補強層150を有しない膜領域161は、膜厚tTHIN(例えば、試料支持層120aの厚さにほとんど等しい)を有する。これらの領域は、標準的な薄膜支持体の望ましい特性を保持する。補強層150を有する補強領域162は、厚さtTHICK(例えば、試料支持層120aと補強層150との合計にほとんど等しい)を有する。これらの領域は、補強された領域160を1つまたは複数のより小さな膜領域に分割し、画定する。
【0026】
[0029] 図2は、補強層が最初に形成され、後に枠の形成およびパターニングが続く、本発明のこの態様の別の実施形態を示す。本発明のこの態様は、下記ステップ、即ち
(a)基板210を準備するステップと、
(b)基板上に試料支持層220a、220bを堆積させるステップと、
(c)試料支持層220a上に補強層230を堆積させるステップと、
(d)観察区域241および補強242を有する、観察または撮像領域240を与えるために補強層230の一部分を除去するステップと、
(e)基板210を露出するために試料支持層220bの一部分251を除去するステップと、
(f)枠260を生成するために基板210の一部分261を除去するステップと、
の1つまたは複数を概して含む方法を提供する。
【0027】
[0030] 図2(a)を参照すると、基板210が準備される。基板210は、例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコンなどのシリコン材料、アルミナ、石英、溶融シリカ、窒化ホウ素、炭化シリコン、金属、セラミックス、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、グラフェン、黒鉛、アルミニウム、チタン、銅、タングステン、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、導電性酸化物、または他の導電性、半導電性、もしくは絶縁性材料、および当業者に既知の他の材料、ならびにそれらの組合せから構成されていてもよい。半導体材料は、導電性を改善するためにドープされてもよい。ある実施形態では、基板210は、約2〜約1000μm、好ましくは約100〜約750μm、最も好ましくは約250〜約350μmの厚さを有してもよい。
【0028】
[0031] 図2(b)を参照すると、試料支持層220a、220bは、基板210上に堆積される。例えば、一実施形態では、試料支持層220a、220bは、基板210の表側および裏側表面上に堆積される。試料支持層220a、220bのための材料は好ましくは、試料支持層220a、220b内に、低い引張性の応力を与えるように選択される。試料支持層220a、220bのための適切な材料としては、例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、アルミナ、石英、溶融シリカ、窒化ホウ素、炭化シリコン、金属、セラミックス、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、グラフェン、黒鉛、アルミニウム、チタン、銅、タングステン、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、導電性酸化物、または他の導電性、半導電性、もしくは絶縁性材料、および当業者に既知の他の材料、ならびにそれらの組合せが挙げられる。ある実施形態では、試料支持層220a、220bは、約100〜約5000000nm、好ましくは約25〜約1000nm、最も好ましくは約50〜約200nmの厚さに堆積される。本詳細な説明はは、220aおよび220bが同じ材料および同じ厚さから作製される実施形態に焦点を合わせているが、代替の実施形態では、これらの層は、異なる材料および/または異なる厚さから作製されてもよい。加えて、基板210および試料支持層220a、220bが、同じ材料または異なる材料であってもよいことは、理解されるべきである。例えば、基板はシリコン材料であってもよく、試料支持層は窒化シリコンであってもよい。
【0029】
[0032] 図2(c)を参照すると、補強層230は、試料支持層220a上に堆積される。ある実施形態では、補強層230は、約1〜約1000000nm、より好ましくは約50〜約50000nm、最も好ましくは約200〜約5000nmの厚さに堆積される。補強層230のための適切な材料としては、例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、アルミナ、石英、溶融シリカ、窒化ホウ素、炭化シリコン、金属、セラミックス、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、グラフェン、黒鉛、アルミニウム、チタン、銅、タングステン、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、導電性酸化物、または他の導電性、半導電性、もしくは絶縁性材料、および当業者に既知の他の材料、ならびにそれらの組合せが挙げられる。一実施形態では、補強層は、帯電されてもよい。例えば、もし補強層が金属であって、試料支持層が窒化シリコンであるならば、電子顕微鏡を採用する際に有用である電圧が、補強層に印加されてもよい。補強層の材料が、試料支持層220aの材料と同じかまたはそれと異なってもよいことは、理解されるべきである。
【0030】
[0033] 図2(d)を参照すると、補強層230の1つまたは複数の部分241は、補強層230を有する242および有しない241補強された領域を生成するために完全にまたは実質的に除去される。補強層230は、例えばフォトリソグラフィをを使用してその次に湿式化学エッチングおよび/または反応性イオンエッチングを続けて、例えばパターニングされ、エッチングされてもよい。補強層230の1つまたは複数の領域は、除去されて、補強された領域240を形成する。補強された領域240は、補強層230を有しない膜領域241および補強層230を有する補強領域242を含む。
【0031】
[0034] 図2(e)を参照すると、試料支持層220bは、1つまたは複数の部分を除去し、1つまたは複数の他の部分を残すように改良される。図示されるように、ある実施形態では、中央部分251は、枠形成領域250を残して、実質的にまたは完全に除去されてもよい。ある場合には、除去は、例えばフォトリソグラフィを使用してその次に湿式化学エッチングおよび/または反応性イオンエッチングがを続ける、パターニングおよびエッチングによって達成されてもよい。選択されるエッチャントは、使用される材料に依存するが、その下にある基板210を実質的にエッチングすることなく、試料支持層220bをエッチングできることが好ましい。エッチングされた試料支持層220bは、試料支持層220bを有する1つまたは複数の領域250と試料支持層220bとが実質的にまたは完全に除去された1つまたは複数のエッチングされた領域251を含む。試料支持層220bを欠く領域251では、その下にある基板210が露出される。一実施形態では、試料支持層220bを実質的に欠く単一の領域251は、試料支持層220bを有する領域250によって完全に囲まれ、それによって実質的に試料支持構造体の外縁に沿って続く枠形成領域を備える。実質的に試料支持構造体の外縁に沿って続く枠形成領域が、正方形、長方形、円形、楕円形または多角形、ならびに対称的または非対称的であってもよいことは、当業者には理解されるべきである。言い換えれば、「枠」は、試料支持構造体の周囲すべてにわたって実質的に同様の幅を有してもよく、または、その幅は、試料支持構造体の最終的な必要性に応じて変化してもよい。
【0032】
[0035] 図2(f)を参照すると、基板210の一部分は、例えばエッチングによって除去される。エッチングは、例えば、試料支持層220bを有しない領域251での湿式化学エッチングおよび/または反応性イオンエッチングの使用を含む。エッチングプロセスは、試料支持層220a、220bをも実質的にエッチングすることなく、それが基板210を選択的にエッチングするように選択されてもよい。エッチングは、試料支持層220bを有しない領域261で基板210が実質的にまたは完全に除去されるまで続いて、基板210を保持する枠領域260、および基板210が実質的にまたは完全に除去される膜領域261を生成する。補強層230を有しない膜領域241は、ある実施形態では、膜厚tTHIN(例えば、試料支持層220aの厚さにほとんど等しい)を有してもよい。これらの領域は、標準的な薄膜支持体の望ましい特性を保持する。補強層230を有する補強領域242は、厚さtTHICK(例えば、試料支持層220aと補強層230との合計にほとんど等しい)を有する。これらの領域は、補強された領域240を1つまたは複数のより小さな膜領域に分割し、画定する。
【0033】
[0036] 本発明の別の態様は、集積またはモノリシック膜支持フィーチャを有する試料支持構造体を含む。この態様の例は、図3および4で示される。補強領域は、観察区域に追加の機械的強度を与える。支持領域のパターン、厚さ、および/または組成は、特定の用途に対する要求を満たし、性能を最適化するために変更することができる。
【0034】
[0037] 概して、この態様は、tTHICKの膜層から始める。膜の領域は、試料撮像のための観察領域を与えるために、厚さtTHINまで薄くなり、一方厚い部分は、機械的強度を与える。この手法の1つの利点は、支持フィーチャが、観察領域と同じ材料組成からなるので、温度変化が、熱膨張係数(CTE)の不一致に起因する膜への追加の応力を生じさせないであろうということである。厚い/薄い領域での同一材料の使用はまた、材料分析中の余分なピークの導入も回避する。次の節は、そのような試料支持構造体を製造するためのプロセスの例を提供する。次の例の各々では、堆積プロセスは、例えば、PVD、LPCVD、MOCVD、ALD、もしくは電気メッキ/電着、またはこれらの組合せを用いてもよい。エッチングプロセスは、例えば、湿式エッチング、反応性イオンエッチング、スパッタリング、イオンミリング、またはこれらの組合せを用いてもよい。
【0035】
[0038] 特に好ましい実施形態では、基板はシリコンを含み、試料支持層は窒化シリコンを含み、補強層は金属を含む。
【0036】
[0039] 図3は、枠が最初に形成され、後に補強された台の形成が続く例を示す。本発明のこの実施形態は、下記ステップ、即ち、
(a)基板310を準備するステップと、
(b)基板310上に試料支持層320a、320bを堆積させるステップと、
(c)基板310を露出するために試料支持層320bの一部分331を除去するステップと、
(d)枠340を生成するために基板310の一部分341を除去するステップと、
(e)例えば、より厚い補強領域352に隣接する1つまたは複数の薄くなった観察または撮像領域351を与えるために試料支持層320aの一部分を除去することによる支持フィーチャの形成ステップと、
の1つまたは複数を概して含む方法を提供する。
【0037】
[0040] 図3(a)を参照すると、基板310が準備される。基板310は、例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコンなどのシリコン材料、アルミナ、石英、溶融シリカ、窒化ホウ素、炭化シリコン、金属、セラミックス、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、グラフェン、黒鉛、アルミニウム、チタン、銅、タングステン、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、導電性酸化物、または他の導電性、半導電性、もしくは絶縁性材料、および当業者に既知の他の材料、ならびにそれらの組合せから構成されていてもよい。半導体材料は、導電性を改善するためにドープされてもよい。ある実施形態では、基板310は、約2〜約1000μm、好ましくは約100〜約750μm、最も好ましくは約250〜約350μmの厚さを有してもよい。
【0038】
[0041] 図3(b)を参照すると、試料支持層320a、320bは、基板310上に堆積される。例えば、一実施形態では、試料支持層320a、320bは、基板310の表側および裏側表面上に堆積される。試料支持層320a、320bのための材料は好ましくは、試料支持層320a、320b内に、低い引張性の応力を与えるように選択される。試料支持層320a、320bのための適切な材料としては、例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、アルミナ、石英、溶融シリカ、窒化ホウ素、炭化シリコン、金属、セラミックス、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、グラフェン、黒鉛、アルミニウム、チタン、銅、タングステン、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、導電性酸化物、または他の導電性、半導電性、もしくは絶縁性材料、および当業者に既知の他の材料、ならびにそれらの組合せが挙げられる。ある実施形態では、試料支持層320a、320bは、約100〜約5000000nm、好ましくは約25〜約1000nm、最も好ましくは約50〜約200nmの厚さに堆積される。本詳細な説明は、320aおよび320bが同じ材料および同じ厚さから作製される実施形態に焦点を合わせているが、代替の実施形態では、これらの層は、異なる材料および/または異なる厚さから作製されてもよい。加えて、基板310および試料支持層320a、320bが、同じ材料または異なる材料であってもよいことは、理解されるべきである。例えば、基板はシリコン材料であってもよく、試料支持層は窒化シリコンであってもよい。
【0039】
[0042] 図3(c)を参照すると、試料支持層320bは、1つまたは複数の部分331を除去し、1つまたは複数の他の部分330を残すように改良される。図示されるように、ある実施形態では、中央部分331は、実質的にまたは完全に除去されて、枠形成領域330を残してもよい。ある場合には、除去は、例えばフォトリソグラフィを使用してその次に湿式化学エッチングおよび/または反応性イオンエッチングを続けて試料支持層320bの一部分を除去する、パターニングおよびエッチングによって達成されてもよい。選択されるエッチャントは、使用される材料に依存するが、その下にある基板310を実質的にエッチングすることなく、試料支持層320bをエッチングできることが好ましい。エッチングされた試料支持層320bは、試料支持層320bを有する1つまたは複数の領域330と、試料支持層320bが実質的に除去された1つまたは複数のエッチングされた領域331とを含む。試料支持層320bを欠く領域331では、その下にある基板310が露出される。一実施形態では、試料支持層320bを実質的に欠く単一の領域331は、試料支持層320bを有する領域330によって完全に囲まれ、それによって実質的に試料支持構造体の外縁に沿って続く枠形成領域を備える。実質的に試料支持構造体の外縁に沿って続く枠形成領域が、正方形、長方形、円形、楕円形または多角形、ならびに対称的または非対称的であってもよいことは、当業者に理解されるべきである。言い換えれば、「枠」は、試料支持構造体の周囲すべてにわたって実質的に同様の幅を有してもよく、または、その幅は、試料支持構造体の最終的な必要性に応じて変化してもよい。
【0040】
[0043] 図3(d)を参照すると、基板310の一部分は、例えばエッチングによって除去される。エッチングは、例えば、試料支持層320bを有しない領域331での湿式化学エッチングおよび/または反応性イオンエッチングの使用を含む。エッチングプロセスは、試料支持層320a、320bをも実質的にエッチングすることなく、それが基板310を選択的にエッチングするように選択されてもよい。エッチングは、試料支持層320bを有しない領域341で基板310が実質的にまたは完全に除去されるまで続いて、基板310を保持する枠領域340、および基板310が実質的にまたは完全に除去される膜領域341を生成する。
【0041】
[0044] 支持フィーチャは、試料支持層320a内に形成される。例えば、試料支持層320aは、例えばフォトリソグラフィを使用してその次に湿式化学エッチングおよび/または反応性イオンエッチングを続けて、厚さtTHINに減るまでエッチングされてもよい。図3(e)で示されるように、試料支持層320aの一部分は、補強された台350を与えるために除去される。試料支持層320は好ましくは、枠領域340内では薄くならない。補強された領域350内には、2つのはっきりと区別できる領域、即ち、堆積されたままの膜厚tTHICK352を有する領域およびtTHIN351まで薄くなった領域がある。tTHIN351まで薄くなった領域は、標準的な薄膜の特性を有してもよく、一方、堆積されたままの膜厚tTHICK352、幅WTHICKを有する領域は、より大きな膜領域341をより小さな膜領域に細分する。幅WTHINを有する、これらのより小さな膜領域は、同じ膜厚を有するより大きな膜よりも高い破裂強度を備えてもよく、一方、多数のより小さな膜領域は、全体として、大きな観察可能領域を提供する。この技術はまた、薄い膜の縁を、より大きな膜領域341の周辺付近の枠領域340の縁から離すように引っ張る。大きな膜領域341と枠領域340との間の界面はしばしば、膜破裂加圧試験中の破損箇所であるので、この界面において、より薄い膜351よりもむしろより厚い膜352を使用することは、強化された膜領域341を与えるであろう。
【0042】
[0045] 図4は、補強された台が最初に形成され、後に枠の形成が続く別の実施形態を示す。本発明のこの態様は、下記ステップ、即ち、
(a)基板410を準備するステップと、
(b)基板410上に試料支持層420a、420bを堆積させるステップと、
(c)例えば、より厚い補強領域432に隣接する1つまたは複数の薄くなった観察または撮像領域431を与えるために、試料支持層420aの一部分を除去することによる支持フィーチャの形成ステップと、
(d)基板410を露出するために試料支持層420bの一部分441を除去するステップと、
(e)枠450を生成するために基板410の一部分451を除去するステップと、
の1つまたは複数を概して含む方法を提供する。
【0043】
[0046] 図4(a)を参照すると、基板410が準備される。基板410は、例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコンなどのシリコン材料、アルミナ、石英、溶融シリカ、窒化ホウ素、炭化シリコン、金属、セラミックス、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、グラフェン、黒鉛、アルミニウム、チタン、銅、タングステン、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、導電性酸化物、または他の導電性、半導電性、もしくは絶縁性材料、および当業者に既知の他の材料、ならびにそれらの組合せから構成されていてもよい。半導体材料は、導電性を改善するためにドープされてもよい。ある実施形態では、基板410は、約2〜約1000μm、好ましくは約100〜約750μm、最も好ましくは約250〜約350μmの厚さを有してもよい。
【0044】
[0047] 図4(b)を参照すると、試料支持層420a、420bは、基板410上に堆積される。例えば、一実施形態では、試料支持層420a、420bは、基板410の表側および裏側表面上に堆積される。試料支持層420a、420bのための材料は好ましくは、試料支持層420a、420b内に、低い引張性の応力を与えるように選択される。試料支持層420a、420bのための適切な材料としては、例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、アルミナ、石英、溶融シリカ、窒化ホウ素、炭化シリコン、金属、セラミックス、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、グラフェン、黒鉛、アルミニウム、チタン、銅、タングステン、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、導電性酸化物、または他の導電性、半導電性、もしくは絶縁性材料、および当業者に既知の他の材料、ならびにそれらの組合せが挙げられる。ある実施形態では、試料支持層420a、420bは、約100〜約5000000nm、好ましくは約25〜約1000nm、最も好ましくは約50〜約200nmの厚さに堆積される。本詳細な説明は、420aおよび420bが同じ材料および同じ厚さから作製される実施形態に焦点を合わせているが、代替の実施形態では、これらの層は、異なる材料および/または異なる厚さから作製されてもよい。加えて、基板410および試料支持層420a、420bが、同じ材料または異なる材料であってもよいことは、理解されるべきである。例えば、基板はシリコン材料であってもよく、試料支持層は窒化シリコンであってもよい。
【0045】
[0048] 支持フィーチャは、試料支持層420a内に形成される。例えば、試料支持層420aは、例えばフォトリソグラフィを使用してその次に湿式化学エッチングおよび/または反応性イオンエッチングを続けて、厚さtTHINに減るまでエッチングされてもよい。図4(c)で示されるように、試料支持層420aの一部分は、補強された膜領域430を与えるために除去される。試料支持層420aは好ましくは、枠領域450内では薄くならない。補強された領域430内には、2つのはっきりと区別できる領域、即ち、堆積されたままの膜厚tTHICK432を有する領域およびtTHIN431まで薄くなった領域がある。tTHIN431まで薄くなった領域は、標準的な薄膜の特性を有してもよく、一方、堆積されたままの膜厚tTHICK432、幅WTHICKを有する領域は、より大きな膜領域451をより小さな膜領域に細分する。幅WTHINを有する、これらのより小さな膜領域は、同じ膜厚を有するより大きな膜よりも高い破裂強度を備えてもよく、一方、多数のより小さな膜領域は、全体として、大きな観察可能領域を与える。この技術はまた、薄い膜の縁を、より大きな膜領域451の周辺付近の枠領域450の縁から離すように引っ張る。大きな膜領域451と枠領域450との間の界面はしばしば、膜破裂加圧試験中の破損箇所であるので、この界面において、より薄い膜431よりもむしろより厚い膜432を使用することは、強化された膜領域451を与えるであろう。
【0046】
[0049] 図4(c)を参照すると、試料支持層420bは、1つまたは複数の部分431を除去し、1つまたは複数の他の部分432を残すように改良される。図示されるように、ある実施形態では、中央部分431は、実質的にまたは完全に除去されて、枠形成領域432を残してもよい。ある場合には、除去は、例えばフォトリソグラフィを使用してその次に湿式化学エッチングおよび/または反応性イオンエッチングを続けて試料支持層420bの一部分を除去する、パターニングおよびエッチングによって達成されてもよい。選択されるエッチャントは、使用される材料に依存するが、その下にある基板410を実質的にエッチングすることなく、試料支持層420bをエッチングできることが好ましい。エッチングされた試料支持層420bは、試料支持層420bを有する1つまたは複数の領域430と、試料支持層420bが実質的にまたは完全に除去された1つまたは複数のエッチングされた領域431とを含む。試料支持層420bを欠く領域431では、その下にある基板410が露出される。一実施形態では、試料支持層420bを実質的に欠く単一の領域451は、試料支持層420bを有する領域450によって完全に囲まれ、それによって実質的に試料支持構造体の外縁に沿って続く枠形成領域を備える。実質的に試料支持構造体の外縁に沿って続く枠形成領域が、正方形、長方形、円形、楕円形または多角形、ならびに対称的または非対称的であってもよいことは、当業者に理解されるべきである。言い換えれば、「枠」は、試料支持構造体の周囲すべてにわたって実質的に同様の幅を有してもよく、またはその幅は、試料支持構造体の最終的な必要性に応じて変化してもよい。
【0047】
[0050] 図4(d)を参照すると、基板410の一部分は、例えばエッチングによって除去される。エッチングは、例えば、試料支持層420bを有しない領域441での湿式化学エッチングおよび/または反応性イオンエッチングの使用を含む。エッチングプロセスは、試料支持層420a、420bをも実質的にエッチングすることなく、それが基板410を選択的にエッチングするように選択されてもよい。エッチングは、試料支持層420bを有しない領域441で基板410が実質的にまたは完全に除去されるまで続いて、基板410を保持する枠領域440、および基板410が実質的にまたは完全に除去される膜領域441を生成する。
【0048】
[0051] 特に好ましい実施形態では、基板はシリコンを含み、次いでパターニングされ/エッチングされて観察用に薄くなった領域を形成する試料支持層は窒化シリコンを含む。
【0049】
[0052] 本発明の試料支持構造体は、各種の設定で有用であり得る。例えば、電子および/またはイオンビーム分析、透過型電子顕微鏡法などの電子顕微鏡技術が挙げられる。本発明の試料支持構造体は、当技術分野の支持構造体と比べて、多数の改善された特性を有する。例えば、本発明の試料支持構造体を使用して分析される試料は、当技術分野の試料支持構造体を使用して分析される試料と比べて、低減されたドリフトを示す。加えて、ここに記載された構造体は、増大した剛性を有する、即ち、ある実施形態では、当技術分野の構造体に対して必要とされ、かつより低品質の撮像を生成するグリッドやその他の存在を欠いてもよく、本発明の試料支持構造体は、非常に低いところから非常に高いところまでの様々な温度で使用され得る。さらに、本発明の試料支持構造体は、均一な厚さおよび低い応力を有してもよい。
【0050】
[0053] 本発明の試料支持体は、ある実施形態では、温度変化に対して高い耐性がある。その結果として、試料支持構造体のある種の使用では、試料支持構造体は、処理中に加熱されまたは冷却されてもよい。
【0051】
[0054] 試料支持構造体は、各種の要素を含む試料を支持するために有用であり得る。特定の限定されない実施形態において、試料支持構造体によって支持されてもよい各種の要素は、生物材料、全細胞、細胞の切片、真核細胞、原核細胞、薬品、タンパク質、ペプチド、ポリマー、核酸、小分子、およびこれらの種類の材料の様々な組合せを含む。ある実施形態では、タンパク質試料が、試料支持構造体によって支持されてもよい。一実施形態では、タンパク質および化合物、またはタンパク質と相互作用する配位子が、試料支持構造体によって支持されてもよい。
【0052】
[0055] さらに、試料支持構造体は、異なる角度からの一連の像を得るために、試料支持構造体が傾けられるトモグラフィ研究で有用であり得る。
【0053】
[0056] 試料支持構造体の限定されない使用は、透過電子顕微鏡法(TEM)、走査電子顕微鏡法(SEM)、走査型透過電子顕微鏡法(STEM)、および走査トンネル顕微鏡法(STM)での使用を含む。当業者に既知の他の用途での試料支持構造体の使用が、本明細書で考えられる。
【0054】
[0057] 冷凍固定、固定、脱水、埋め込み、切片化、染色、凍結破断または凍結エッチング、イオンビームミリング、導電性被覆、および/または、走査電子顕微鏡法においては、走査電子顕微鏡内の非導電性標本の帯電を回避するため、炭素、金、金/パラジウム、白金もしくは他の導電性材料の蒸着、薄膜堆積、もしくはスパッタリングなどの多数の方法で、上述の技術によって分析されるべき試料は調製され得る。
【0055】
[0058] 本発明は、例示的な実施形態および特徴を参照して本明細書で様々に開示されたが、本明細書で上述した実施形態および特徴は、本発明を限定することを意図されないこと、ならびに、他の変形形態、修飾形態および他の実施形態は、本明細書の開示に基づいて、当業者にそれら自身を示唆するであろうことは、理解されるであろう。したがって、本発明は、この後に記載した特許請求の範囲の趣旨および範囲内のそのような変形形態、修飾形態および代替の実施形態をすべて包含するものとして、広く解釈されるべきである。
【図1(a)】

【図1(b)】

【図1(c)】

【図1(d)】

【図1(e)】

【図1(f)】

【図2(a)】

【図2(b)】

【図2(c)】

【図2(d)】

【図2(e)】

【図2(f)】

【図3(a)】

【図3(b)】

【図3(c)】

【図3(d)】

【図3(e)】

【図4(a)】

【図4(b)】

【図4(c)】

【図4(d)】

【図4(e)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強領域によって支持される観察領域の配列を含む、補強された試料支持構造体。
【請求項2】
前記観察領域は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、アルミナ、石英、溶融シリカ、窒化ホウ素、炭化シリコン、金属、セラミックス、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、グラフェン、黒鉛、アルミニウム、チタン、銅、タングステン、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、導電性酸化物、およびそれらの組合せから成る群から選択される材料を含む、請求項1に記載の補強された試料支持構造体。
【請求項3】
前記補強領域は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、アルミナ、石英、溶融シリカ、窒化ホウ素、炭化シリコン、金属、セラミックス、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、グラフェン、黒鉛、アルミニウム、チタン、銅、タングステン、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、導電性酸化物、およびそれらの組合せから成る群から選択される材料を含む、請求項1に記載の補強された試料支持構造体。
【請求項4】
補強領域によって支持される観察領域の前記配列を囲む枠形成領域をさらに含む、請求項1に記載の補強された試料支持構造体。
【請求項5】
前記枠形成領域は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、アルミナ、石英、溶融シリカ、窒化ホウ素、炭化シリコン、金属、セラミックス、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、グラフェン、黒鉛、アルミニウム、チタン、銅、タングステン、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、導電性酸化物、およびそれらの組合せから成る群から選択される材料を含む、請求項4に記載の補強された試料支持構造体。
【請求項6】
試料支持構造体を作製する方法であって、補強領域によって支持される観察領域の配列を含む試料支持構造体を作製する下記ステップ、即ち、
第1の表面と第2の表面とを有する基板を準備するステップと、
前記基板の前記第1の表面上に第1の支持層を堆積させるステップと、
前記基板の前記第2の表面上に第2の支持層を堆積させるステップと、
前記基板を露出するために前記第1の支持層の一部分を除去するステップと、
枠形成領域を生成するために前記基板の一部分を除去するステップと、
前記第2の支持層上に補強層を堆積させるステップと、
観察領域と補強領域とを含む配列を与えるために前記補強層の一部分を除去するステップと、
をいかなる順序でも含む方法。
【請求項7】
前記基板は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、アルミナ、石英、溶融シリカ、窒化ホウ素、炭化シリコン、金属、セラミックス、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、グラフェン、黒鉛、アルミニウム、チタン、銅、タングステン、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、導電性酸化物、およびそれらの組合せから成る群から選択される材料を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記基板は、約2〜約1000μmの厚さを有する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1および/または第2の支持層は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、アルミナ、石英、溶融シリカ、窒化ホウ素、炭化シリコン、金属、セラミックス、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、グラフェン、黒鉛、アルミニウム、チタン、銅、タングステン、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、導電性酸化物、およびそれらの組合せから成る群から選択される材料を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第1および/または第2の支持層は、約100〜約5000000nmの厚さを有する、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記補強層は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、アルミナ、石英、溶融シリカ、窒化ホウ素、炭化シリコン、金属、セラミックス、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、グラフェン、黒鉛、アルミニウム、チタン、銅、タングステン、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、導電性酸化物、およびそれらの組合せから成る群から選択される材料を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記補強層は、約1〜約1000000nmの厚さに堆積される、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
試料支持構造体を作製する方法であって、補強領域によって支持される観察領域の配列を含む試料支持構造体を作製する下記ステップ、即ち、
第1の表面と第2の表面とを有する基板を準備するステップと、
前記基板の前記第1の表面上に第1の支持層を堆積させるステップと、
前記基板の前記第2の表面上に第2の支持層を堆積させるステップと、
前記基板を露出するために前記第1の支持層の一部分を除去するステップと、
枠形成領域を生成するために前記基板の一部分を除去するステップと、
1つまたは複数のより厚い補強領域に隣接する1つまたは複数の薄くなった観察または撮像領域を与えるために前記第2の支持層の領域を薄くすることによる支持フィーチャの形成ステップと、
をいかなる順序でも含む方法。
【請求項14】
前記基板は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、アルミナ、石英、溶融シリカ、窒化ホウ素、炭化シリコン、金属、セラミックス、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、グラフェン、黒鉛、アルミニウム、チタン、銅、タングステン、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、導電性酸化物、およびそれらの組合せから成る群から選択される材料を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記基板は、約2〜約1000μmの厚さを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第1および/または第2の支持層は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、アルミナ、石英、溶融シリカ、窒化ホウ素、炭化シリコン、金属、セラミックス、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、グラフェン、黒鉛、アルミニウム、チタン、銅、タングステン、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、導電性酸化物、およびそれらの組合せから成る群から選択される材料を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記第1および/または第2の支持層は、約100〜約5000000nmの厚さを有する、請求項13に記載の方法。

【公表番号】特表2010−521656(P2010−521656A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551865(P2009−551865)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/055435
【国際公開番号】WO2008/109406
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(509245670)プロトチップス,インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】