説明

補聴器の充電装置

【課題】電池の充電が簡単に行える補聴器の充電装置を提供する。
【解決手段】本発明は、補聴器の電池収納部3が挿入される挿入口4を有する本体ケース1と、この本体ケース1内において、前記補聴器の電池収納部3を補聴器外に露出させる電池露出手段7と、この露出後の電池収納部3に収納された状態の電池8に当接させる第一、第二の充電端子9、10と、この第一、第二の充電端子9、10を電池8との当接側へ移動させる第一、第二の充電端子駆動手段11、12と、前記第一、第二の充電端子駆動手段11、12を介して電池8の電圧を確認する電圧判定回路14とを備え、前記電池交換が必要と判断された時には、前記第一、第二の充電端子駆動手段11、12により、電池8を、電池収納部3から補聴器外に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補聴器の充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
補聴器は装着感を高めるために小型化されており、これによりその電池収納部に収納される電池としても小型のボタン型電池が活用されている。小型の電池は電池容量が小さいので、使用に伴い電池交換を頻繁にしなければならないが、電池交換時に電池を取り出したり、交換用電池を装着したりすることは大変な作業となる。特に、この作業時において、古い電池の落下ならまだしも、交換用電池自体を落下させてしまった場合には、それが転動し、失ってしまうと、以降の補聴器使用が出来なくなるので、大きな問題となる。そこで、この電池や交換用電池を電磁石で吸着することで、電池交換時の落下を防止するものが提案されている(例えば下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3148830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来例においては、電池交換時に、この電池や交換用電池を電磁石で吸着して搬送するので、不用意な落下が起きず、その作業性が良いものとなる。しかしながら、電池として充電電池を用いた場合には、電池の交換作業が激減する分、この電池の充電作業を頻繁に行う必要がある。このように頻繁に行われる電池の充電作業時にも、補聴器から電池を取り出し、それを充電し、再びこの電池を補聴器内に装着するのは、上記電磁石を用いたとしても、作業性の良いものではなかった。
【0005】
そこで本発明は、電池の充電が簡単に行える充電装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そしてこの目的を達成するために本発明は、補聴器の電池収納部が挿入される挿入口を有する本体ケースと、この本体ケース内において、前記補聴器の電池収納部を補聴器外に露出させる電池露出手段と、この露出後の電池収納部に収納された状態の電池に当接させる充電端子と、この充電端子を電池との当接側へ移動させる充電端子駆動手段と、前記充電端子を介して電池の電圧を確認する充電状態確認手段とを備え、前記充電状態確認手段により電池交換が必要と判断された時には、前記充電端子駆動手段により、前記電池を、電池収納部から補聴器外に排出する構成と、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、電池の充電時には、補聴器の電池収納部を、充電装置の挿入口に挿入すれば、電池露出手段により、補聴器の電池収納部を補聴器外に露出させることができ、しかもこの露出後の電池収納部に収納された状態の電池に充電端子が当接されるので、この充電作業時に電池を取り出す必要が無く、よって充電作業は極めて簡単に行われるものとなる。また、充電時には、充電端子駆動手段により、この充電端子を電池との当接側へ移動させるが、この時充電端子を介して電池の電圧を充電状態確認手段で確認することができるので、充電状態確認手段により電池交換が必要と判断された時には、充電端子駆動手段により、電池を、電池収納部から補聴器外に排出することができるので、この電池交換も簡単に行えるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態を示す透視斜視図
【図2】本発明の一実施形態を示す透視正面図
【図3】本発明の一実施形態を示すブロック構成図
【図4】(a)から(h)は本発明の一実施形態の動作を示す透視正面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明の実施形態を、添付図面を用いて説明する。
(実施形態)
図1に示すように本発明の一実施形態にかかる補聴器の充電装置の本体ケース1は、上下面が平面となった円筒状をしており、上面には、図2に示す補聴器2の電池収納部3が挿入される挿入口4と、交換用電池5を押し込む開口部6が設けられている。また、この本体ケース1内には、図2のごとく、前記補聴器2の電池収納部3を補聴器2外に露出させる電池露出手段7と、この露出後の電池収納部2に収納された状態の電池8を間に、この電池8の左右に設けた第一の充電端子9、第二の充電端子10と、これらの第一の充電端子9、第二の充電端子10を独立して駆動する第一の充電端子駆動手段11、第二の充電端子駆動手段12が設けられている。つまり、図1のごとく挿入口4から、図2のごとく補聴器2の電池収納部3部分を挿入すると、この挿入口4の下方に連続する挿入路13の下方に設けた電池露出手段7により、電池収納部3が補聴器2外に引き出され、これにより電池収納部3が補聴器2外に露出するようになっているのである。
【0010】
具体的には、電池露出手段7は突起により形成されており、挿入路13に補聴器2を挿入すれば、その電池収納部3の下方に設けた突部(図示せず)が上記突起と係合し、これにより電池収納部3が軸(図示せず)を中心に回動し、これにより電池収納部3が補聴器2外に露出するようになっている。
【0011】
この状態は、図4(a)に示す状態で、このように電池収納部3が補聴器2外に露出した状態は、例えば電池収納部3の回動により動作するスイッチ(図示せず)で検出される。すると、図3の制御回路13により、第一、第二の充電端子駆動手段11、12が駆動され、これにより図4(b)のごとく、第一、第二の充電端子9、10が、電池8の両面に当接させられる。
【0012】
この図4(b)では、図3における電圧判定回路14で電池8の電圧を測定し、その測定により電池8の電圧が低下し、充電必要と判定されると、図4(d)の状態で、充電回路15により、第一、第二の充電端子9、10を介しての電池8充電が行われる。そして、この充電動作により、電池8に所定の充電が行われたか否かは、電池状態確認ボタン16を押すことで、電池状態確認用LED17で確認することができる。なお、電圧判定回路14で電池8の電圧を測定し、その測定により電池8の電圧が低下しておらず、充電不要と判定されると、図4(c)のごとく、第一、第二の充電端子駆動手段11、12により、第一、第二の充電端子9、10が、電池8から離れた状態に移動させられる。
【0013】
また、図4(d)の状態で、充電回路15により電池8の充電を行ったにもかかわらず、電池8の電圧が十分に高くならないときには、電池8の寿命が来たとして、図4(e)のごとく、第一、第二の充電端子駆動手段11、12により、第一、第二の充電端子9、10を右側に移動させる。すると、電池8は図4(f)のごとく、排出路18の上方へと移動させられ、その状態で第二の充電端子10が、交換用電池5の供給路19よりもさらに右側に移動されると、図4(g)のごとく、電池8は排出路18内に落下回収される。なお、排出路18内においては回収された電池8の絶縁処理(例えば絶縁材の塗布)を行っている。
【0014】
次に、図4(g)では、第二の充電端子10が、交換用電池5の供給路19よりもさらに右側に移動したことにより、供給路19内に充填していた交換用電池5が一つ落下する。すると、次のタイミングでは、図4(h)のごとく、第二の充電端子10が左方向、つまり電池収納部3側に移動され、これによって交換用電池5が電池収納部3内に押し込まれる。押し込まれた交換用電池5は事前に十分充電されていたものであるので、直ちに補聴器を使用することができるが、この図4(h)において、図4(b)のごとく電圧を測定し、図4(d)のごとく充電することもできる。なお、排出路18への電池落下、供給路19からの交換用電池5落下をさせるためにも、本体ケース1内における第二の充電端子10の下方に排出路18を設けるとともに、この第二の充電端子10上方に交換用電池5の供給路19を設けている。
【0015】
また、交換用電池5の供給路19の下方には、交換用電池5の落下防止体20を設けており、これは第二の充電端子10の下方において、この第二の充電端子10とは独立して移動するようになっている。つまり、落下防止体20は、交換用電池5が供給路19の下方に落下しないように設けたものであるが、図4(g)から(h)に示す交換用電池5の移動時には、落下防止体20は駆動手段21により排出路18上にまで移動され、これにより交換用電池5が排出路18に落下するのも防止している。なお、本実施形態においては、本体ケース1を携帯型とすべく、この本体ケース1内には大容量の電池22を設けており、この電池22により各部の駆動と、電池8の充電が行われる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
以上のように本発明は、補聴器の電池収納部が挿入される挿入口を有する本体ケースと、この本体ケース内において、前記補聴器の電池収納部を補聴器外に露出させる電池露出手段と、この露出後の電池収納部に収納された状態の電池に当接させる充電端子と、この充電端子を電池との当接側へ移動させる充電端子駆動手段と、前記充電端子を介して電池の電圧を確認する充電状態確認手段とを備え、前記充電状態確認手段により電池交換が必要と判断された時には、前記充電端子駆動手段により、前記電池を、電池収納部から補聴器外に排出する構成としたものであるので、充電作業を簡素化することができる。すなわち、本発明においては、電池の充電時には、補聴器の電池収納部を、充電装置の挿入口に挿入すれば、電池露出手段により、前記補聴器の電池収納部を補聴器外に露出させることができ、しかもこの露出後の電池収納部に収納された状態の電池に充電端子が当接されるので、この充電作業時に電池を取り出す必要が無く、よって充電作業は極めて簡単に行われるものとなる。また、充電時には、充電端子駆動手段により、この充電端子を電池との当接側へ移動させるが、この時前記充電端子を介して電池の電圧を充電状態確認手段で確認することができるので、前記充電状態確認手段により電池交換が必要と判断された時には、前記充電端子駆動手段により、前記電池を、電池収納部から補聴器外に排出することができるので、この電池交換も簡単に行えるものとなる。したがって、補聴器の充電装置として広く活用が期待される。
【符号の説明】
【0017】
1 本体ケース
2 補聴器
3 電池収納部
4 挿入口
5 交換用電池
6 開口部
7 電池露出手段
8 電池
9 第一の充電端子
10 第二の充電端子
11 第一の充電端子駆動手段
12 第二の充電端子駆動手段
13 挿入路
14 電圧判定回路
15 充電回路
16 電池状態確認ボタン
17 電池状態確認用LED
18 排出路
19 供給路
20 落下防止体
21 駆動手段
22 電池




【特許請求の範囲】
【請求項1】
補聴器の電池収納部が挿入される挿入口を有する本体ケースと、前記本体ケース内において、前記補聴器の前記電池収納部を補聴器外に露出させる電池露出手段と、この露出後の前記電池収納部に収納された状態の電池に当接させる充電端子と、前記充電端子を前記電池との当接側へ移動させる充電端子駆動手段と、前記充電端子を介して前記電池の電圧を確認する充電状態確認手段とを備え、
前記充電状態確認手段により電池交換が必要と判断された時には、前記充電端子駆動手段により、前記電池を、前記電池収納部から補聴器外に排出する構成とした補聴器の充電装置。
【請求項2】
前記充電端子は、前記電池を間に、前記電池の左右に設けた第一の充電端子および第二の充電端子により構成し、
前記充電端子駆動手段は、前記第一の充電端子および前記第二の充電端子を独立して駆動する第一の充電端子駆動手段および第二の充電端子駆動手段により構成し、充電時は、電池に前記第一の充電端子および前記第二の充電端子を当接させて充電し、この電池を前記電池収納部から補聴器外に排出時には前記第一の充電端子により、この電池を、前記電池収納部から補聴器外に押し出し、電池交換時には、交換用電池を、前記第二の充電端子により前記電池収納部内に押し込む構成とした請求項1に記載の補聴器の充電装置。
【請求項3】
前記本体ケース内における前記第二の充電端子側には、電池の排出路と、交換用電池の供給路とを設けた請求項1、または2に記載の補聴器の充電装置。
【請求項4】
前記本体ケース内における前記第二の充電端子の下方に電池の排出路を設けるとともに、前記第二の充電端子上方に前記交換用電池の供給路を設けた請求項3に記載の補聴器の充電装置。
【請求項5】
前記交換用電池の供給路の下方には、前記交換用電池の落下防止体を設けた請求項4に記載の補聴器の充電装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−283640(P2010−283640A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135843(P2009−135843)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】