説明

製函装置およびこれを備えた箱詰装置

【課題】電力消費量を抑えて、省電力を実現することが可能な製函装置およびこれを備えた箱詰装置を提供する。
【解決手段】箱詰装置1では、コントローラ5が、搬入センサ14からの検知信号を受信してから第1所定時間が経過した時に、第1ブロア77を待機運転させるように制御し、第2所定時間が経過した時に、第2ブロア78を待機運転させるように制御している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を箱詰めするための箱等を搬送する製函装置およびこれを備えた箱詰装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を格納して搬送するために使用される通函として、段ボール箱が一般的に使用されている。そして、通函用として繰り返し使用されている段ボール箱を使用する場合においては、物品を格納する装置である箱詰装置に入る前に段ボール箱を組み立てたり、段ボール箱の開口部を覆うフラップを開口する必要がある。従来、この作業は人手によってなされており、これに要する作業コストがかかっていた。
【0003】
これらの問題を解消するために、例えば、特許文献1に示すような、箱詰装置の上流工程として配置するフラップ開閉装置が開示されている。これによれば、4本のツメを有するフラップ開閉機構がフラップの開口部の位置まで移動して4つのフラップをそれぞれ押し広げるようにして開口する。そして、フラップの外面側からフラップを吸着して開口した状態を保持している。また、特許文献2に示すような、折りたたまれた状態の製函シートの側面を吸着して保持し、所定の形状に組み立てる製函装置が開示されている。
【特許文献1】米国特許5558614号明細書
【特許文献2】特開2005−145558(平成17年6月9日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のフラップ開閉装置や製函装置においては、以下に示すような問題点を有している。
【0005】
すなわち、段ボール箱のフラップを吸着するため、あるいは、段ボール箱の側面を吸着するための吸着部は一般的に電力消費量が大きく、また、常時、通常状態で運転されているため、多大な電力を消費する。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、電力消費量を抑えて、省電力を実現することが可能な製函装置およびこれを備えた箱詰装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る製函装置は、搬送部と、吸着部と、制御部とを備えている。搬送部は、箱を搬送する。吸着部は、所定位置に搬送されてきた箱の一部を吸着して保持する。制御部は、第1所定時間の間、最上流側に配置された搬送部に箱の搬入がない場合に、搬送部および吸着部のうち少なくとも一方を停止あるいは低速運転させる。
【0008】
ここでは、第1所定時間の間、最上流側に配置された搬送部に箱が搬入されない場合、制御部が、搬送部の搬送動作および吸着部の吸引動作のうち少なくとも一方を停止、あるいは、低速運転をするように制御する。
【0009】
なお、ここでいう「製函装置」は、シート上に折り畳まれている製函用シートを箱状に組み立てる装置だけでなく、箱状で搬送されてくる箱の開口部(フラップ)を開閉する装置も含む。また、ここで言う「低速運転」とは、搬送部においては、生産ラインの一部として稼働する際の通常運転時に比べて低速で箱を搬送している状態をいう。また、吸着部においては、箱を確実に吸着できる吸引力に比べて弱い吸引力を発生している状態を言い、例えば、ブロア等の回転速度を低速にすること等を含む。
【0010】
従来、このような製函装置においては、搬送部および吸着部は、常時、通常運転を行っているため、多大な電力を消費している。特に、吸着部は、電力消費量が一般的に大きいため問題となっていた。
【0011】
そこで、本発明の製函装置においては、第1所定時間の間、最上流側に配置された搬送部に箱が搬入されない場合に、制御部が、搬送部の搬送動作および吸着部の吸引動作のうち少なくとも一方を停止あるいは低速運転させている。
【0012】
これにより、搬送部および吸着部において処理する物品がない場合、あるいは、搬送部あるいは吸着部の上流側に処理する物品がない場合に、制御部が、搬送部あるいは吸着部の動作を停止あるいは低速運転させることができる。
【0013】
この結果、搬送部および吸着部における消費電力を抑えることができるので、省電力を実現することが可能となる。
【0014】
第2の発明に係る製函装置は、第1の発明に係る製函装置であって、所定位置に搬送された箱の開口部を覆うフラップの内面を押し広げて開口するフラップ開口部をさらに備えている。そして、吸着部は、フラップ開口部によって押し広げられたフラップ部の外面を吸着してフラップ部を開口した状態に保持する、
ここでは、吸着部がフラップ開口部に配置されている製函装置に適用している。
【0015】
ここで、リサイクル品の製函用シート等のフラップは、フラップの開口状態を維持することが一般的にできない。このため、開口状態を保持するためのフラップの吸着を解除すると、自重によって閉じてしまい、また、再びフラップを吸着して開口状態に戻すことは難しい。このため、従来の製函装置においては、容易にフラップの吸着を解除することはできなかった。
【0016】
本発明の製函装置においては、フラップ開口部によって製函用シートの内面側からフラップを保持することができる。この結果、吸着部による吸着を解除した場合であっても、フラップが閉じてしまうことを回避することができる。
【0017】
第3の発明に係る製函装置は、第1または第2の発明に係る製函装置であって、第1所定時間は、箱が最上流側の搬送部に搬入されてから搬送部あるいは吸着部を通過するまでの時間以上である。
【0018】
ここでは、箱が最上流側の搬送部に搬入されてから搬送部あるいは吸着部を通過するまでの時間以上の間、最上流側に配置された搬送部に箱の搬入がない場合に、制御部は、搬送部および吸着部のうち少なくとも一方を停止あるいは低速運転させている。
【0019】
これにより、搬送部あるいは吸着部が、搬送部に搬入された箱を全て処理した後に、搬送部あるいは吸着部を停止あるいは低速運動させることが可能となる。
【0020】
第4の発明に係る製函装置は、第1から第3の発明のいずれか1つに係る製函装置であって、最上流側に配置された搬送部よりも上流側に配置され、箱を検知する第1検知部をさらに備えている。そして、制御部は、第1検知部における検知結果に基づいて時間を測定する。
【0021】
ここでは、例えば、箱の有無を非接触で検出する光電センサ等の第1検知部をさらに備えている。そして、制御部は、光電センサ等の検知結果に基づいて第1所定時間を計測している。
【0022】
なお、第1検知部は、最上流側に配置された搬送部の最上流部、すなわち、製函装置における最上流部に配置されてもよいし、製函装置よりも上流側であって箱を搬入してくる一連の搬入経路がある場合には、その部分に配置されてもよい。
【0023】
これにより、制御部が時間を計測する際の起点を容易に設けることが可能となる。
【0024】
第5の発明に係る製函装置は、第4の発明に係る製函装置であって、制御部は、第1検知部における箱の検知結果に基づいて、搬送部および吸着部のうち少なくとも一方を通常の運転状態に復帰させる。
【0025】
ここでは、最上流側に配置された搬送部よりも上流側に配置された第1検知部の検知結果に基づいて、制御部が、搬送部の搬送動作および吸着部の吸引動作のうち少なくとも一方を、すぐに、あるいは、所定の時間経過後、通常の運転状態に復帰させる。
【0026】
なお、ここで言う「通常の運転状態」とは、生産ラインの一部として稼働する際の、搬送部および吸着部の運転状態を言う。
【0027】
これにより、停止あるいは低速運転状態にある搬送部あるいは吸着部を通常の運転状態に自動的に復帰することができる。この結果、ユーザに対して、省電力を実現するために停止あるいは低速運転させておいた搬送部あるいは吸着部を通常の運転状態に復帰させるための負担を負わせることを回避できる。
【0028】
第6の発明に係る製函装置は、第5の発明に係る製函装置であって、制御部は、箱が吸着部に搬送されるまでに、吸着部を低速運転から通常の運転状態に復帰するように制御する。
【0029】
ここでは、制御部が、箱が吸着部に搬送されてきた時には、通常の運転状態に完全に復帰しているように吸着部を制御する。
【0030】
ここで、例えば、ブロア等によって吸着部を構成した場合においては、ブロアの回転数が規定値以上、すなわち、確実に箱を吸着できるようになるまで時間を要する。
【0031】
これにより、例えば、ブロア等によって吸着部を構成した場合においても、箱が吸着部に搬送されてきた際には、確実に箱を吸着することが可能となる。
【0032】
第7の発明に係る製函装置は、第1から第6の発明のいずれか1つに係る製函装置であって、制御部は、搬送部および吸着部を上流側から配置された順番に制御にする。
【0033】
ここでは、制御部は、搬送部および吸着部を上流側から配置された順番に時間差を設けて制御している。
【0034】
これにより、箱の搬送状態に合わせて、すなわち、搬送部あるいは吸着部が箱を下流側へ受け渡したタイミングで、搬送部あるいは吸着部の動作を停止あるいは低速運転の状態に制御することが可能となる。この結果、搬送部あるいは吸着部の上流側に処理する箱がなくなった時に搬送部あるいは吸着部における動作を即座に停止あるいは低速運転の状態にさせることができるので、より効果的に電力消費量を抑えることが可能となる。
【0035】
また同様に、搬送部あるいは吸着部が箱を上流側から受け取るタイミングで、搬送部あるいは吸着部の動作を通常運転に復帰制御することが可能となる。この結果、搬送部あるいは吸着部が箱を受け取るぎりぎりまで搬送部あるいは吸着部における動作を停止あるいは低速運転の状態にさせておくことができるので、より効果的に電力消費量を抑えることが可能となる。
【0036】
第8の発明に係る箱詰装置は、上流側から搬送されてくる物品を箱に詰める箱詰装置であって、製函装置と、搬入部とを備えている。製函装置は、第1から第7の発明のいずれか1つに係る製函装置である。搬入部は、物品を所定位置にまで搬送する。
【0037】
ここでは、上記製函装置と、上記製函装置における所定位置、すなわち、吸着部が箱の一部を吸着して保持している位置にまで物品を搬送する搬入部とを備えている箱詰装置として本発明を特定している。
【0038】
これにより、消費電力を抑えることができ、省電力を実現することが可能な箱詰装置を提供することが可能となる。
【0039】
第9の発明に係る箱詰装置は、第8の発明に係る製函装置であって、制御部は、第2所定時間の間、最上流側に配置された搬入部に物品の搬入がない場合に、搬送部および吸着部を停止あるいは低速運転させる。
【0040】
ここでは、制御部は、第2所定時間の間、最上流側に配置された搬入部に物品の搬入がない場合には、搬送部および吸着部における動作を停止あるいは低速運転させる。
【0041】
ここで、詰め込み位置に物品がない場合には、例えば、箱を搬送したり、箱のフラップを開口しても箱内に物品を詰めることはできない。
【0042】
これにより、箱に箱詰する物品がない場合、すなわち、詰め込み位置よりも上流側に物品がない場合には、搬送部と吸着部における動作を停止あるいは低速運動させることができる。この結果、搬送部および吸着部における電力消費量を効果的に抑えることが可能となる。
【0043】
第10の発明に係る箱詰装置は、第9の発明に係る製函装置であって、搬入部よりも物品の搬送方向における上流側に配置され、物品を検知する第2検知部をさらに備えている。そして、制御部は、第2検知部における検知結果に基づいて時間を測定する。
【0044】
ここでは、例えば、物品の有無を非接触で検出する光電センサ等の第2検知部をさらに備えている。そして、制御部は、第2検知部の検知結果に基づいて第2所定時間を計測している。
【0045】
なお、第2検知部は、搬入部の最上流部、すなわち、箱詰装置における最上流部に配置されてもよいし、箱詰装置よりも上流側であって物品を搬入してくる一連の搬入経路がある場合には、その部分に配置されてもよい。
【0046】
これにより、制御部が時間を計測する際の起点を容易に設けることが可能となる。
【発明の効果】
【0047】
本発明に係る製函装置およびこれを備えた箱詰装置によれば、搬送部および吸着部における消費電力を抑えることができるので、省電力を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る製函部(製函装置)2を含む箱詰装置1について、図1〜図4を用いて説明すれば以下の通りである。
【0049】
[箱詰装置1全体の構成]
本発明の一実施形態に係る箱詰装置1は、図1および図2に示すように、折り畳まれた状態で集積された複数の製函用シートZを1枚ずつ取り出して、箱yの状態となるよう製函し、製函された箱yに商品Xを挿入して所定位置に排出する。そして、箱詰装置1は、製函部2と、箱詰部3と、制御システム4とを備えている。
【0050】
[製函部2の詳細説明]
製函部2は、図1および図2に示すように、シートマガジン10と、シート取出部20と、水平搬送部(搬送部)30と、組立部40と、下方搬送部50と、テープ貼付部60とを備えている。
【0051】
シートマガジン10は、製函用シートZの搬送経路における最上流部に配置されており、折り畳まれた製函用シートZを水平状態で複数積み重ねてストックする。シート取出部20は、シートマガジン10の下流側に設けられ、シートマガジン10において一番上に積み重ねられている製函用シートZを1枚ずつ順に取り出す。水平搬送部30は、シート取出部20から受け渡された製函用シートZをα方向(図2参照)に水平状態で搬送する。組立部40は、水平搬送部30によって搬送されてきた製函用シートZを組み立て、開口部を横にした箱形状に形成する。下方搬送部50は、組立部40で箱形状にされた箱yを下方に搬送する。テープ貼付部60は、下方搬送部50にて搬送される箱yの底フラップ部を折り込みテープを用いて貼り付ける。
【0052】
シートマガジン10は、シートストック部11と、搬送ベルト12と、シート供給部(搬送部)13と、搬入センサ(第1検知部)14とを有している。
【0053】
シートストック部11は、複数の製函用シートZをストックする。搬送ベルト12は、シートストック部11の底部に設けられ、積み重ねられた製函用シートZの底部を支持してシートストック部11からシート供給部13へ搬送する。シート供給部13は、シートストック部11の下流側に隣接して配置され、製函用シートZを下流側に配置されたシート取出部20に受け渡す。搬入センサ14は、物体の有無を非接触で検出する光電センサであって、シート供給部13の底面に配置されている。そして、搬入センサ14は、搬送ベルト12によってシート供給部13に搬入された製函用シートZを検知して、検知信号をコントローラ(制御部)5に送信する。シート供給部13は、搬入センサ14によって製函用シートZが供給されたことを検知すると、シート取出部20が製函用シートZを1枚ずつ取り出せるように、製函用シートZを上方に持ち上げる。そして、シート供給部13は、製函用シートZの1枚の厚さピッチで上昇し、シート供給部13の製函用シートZが全てなくなると、シートストック部11と同じ高さまで下降する。
【0054】
シート取出部20は、製函用シートZを上方より吸着し保持する吸着部21を4つ備えている。吸着部21は、配管(図示せず)を介して第1ブロア77(図4参照)に接続されており、第1ブロア77を制御することによって製函用シートZを吸脱着する。そして、吸着部21は、シート供給部13より供給される製函用シートZを吸着保持して、後述するサイド開閉フレーム31にまで搬送する。
【0055】
水平搬送部30は、サイド開閉フレーム31と、サイド支持フレーム32と、上方ベルト33とを有している。サイド開閉フレーム31は、吸着部21にて搬送されてきた製函用シートZの側方下方を支持する。サイド支持フレーム32は、サイド開閉フレーム31と同一高さで隣接して固定され、製函用シートZの側方下方を支持する。上方ベルト33は、サイド開閉フレーム31とサイド支持フレーム32との上方に設けられている。そして、サイド開閉フレーム31は、製函用シートZの搬送方向α方向と直交する水平面に沿って開閉スライド動作を行う。上方ベルト33は、サイド開閉フレーム31とサイド支持フレーム32とで製函用シートZのサイドを上下方向から挟み、ベルトをα方向に駆動させることで、製函用シートZを水平状態で組立部40に搬送する。
【0056】
組立部40は、製函開閉フレーム41と、上方吸着部(吸着部)42と、側方吸着部(吸着部)43と、水平シート開口部材44と、垂直シート開口部材45とを有している。
【0057】
製函開閉フレーム41は、製函用シートZを搬送方向に沿って配置され、製函用シートZの搬送をガイドする。上方吸着部42は、箱yの側壁となる部位を吸着する4つの吸着部と、箱yのフラップとなる部位を吸着する2つの吸着部と、箱yの底フラップとなる部位を吸着する2つの吸着部とを有し、製函用シートZの上方を吸着して支持する。側方吸着部43は、箱yの側壁となる部位を吸着する4つの吸着部を有し、製函用シートZの下方より吸着する。そして、側方吸着部43は、図3に示すように、駆動部(図示せず)にて90度垂直に回動することで、製函用シートZを開口し箱形状の箱yを形成する。そして、上方吸着部42および側方吸着部43は、配管(図示せず)を介して第2ブロア78に接続されており、第2ブロア78を制御することによって製函用シートZを吸脱着する。水平シート開口部材44は、箱yの搬送方向下流側(β方向:図1参照)の開口部から箱yに対して内部に挿入され、箱yの内側上方を水平支持する。垂直シート開口部材45は、図3に示すように、箱挿入時においては、水平シート開口部材44付近に配置されている。そして、鉛直シート開口部材45は、γ方向(図3参照)に回動して、箱状に形成された箱yの内側下方を保持する。
【0058】
下方搬送部50は、垂直シート開口部材45と、水平シート開口部材44とを下方に移動させる開口部材移動部(図示せず)を備えている。そして、内部に挿入された両シート開口部材44,45を下方に移動させることで、箱yは、組立部40から下流側のテープ貼付部60にまで搬送される。
【0059】
テープ貼付部60は、箱yの底フラップを図示しない底折部材で折り込み、底折部材で折り込まれ底が形成された底フラップにテープを貼り付けて、底形状を固定する。
【0060】
[箱詰部3の詳細説明]
箱詰部3は、図1および図2に示すように、挿入部70と、箱倒立部80と、箱排出部90とを備えている。
【0061】
挿入部70は、テープ貼付部60の下流側に配置されている。また、挿入部70は、箱yが挿入部70の所定位置に配置されたときに、箱yの開口部側から商品Xを押し込む押し込み部(図示せず)が配置されている。これにより、箱yの中に商品Xが挿入される。
【0062】
箱倒立部80は、挿入部70において商品Xが挿入された箱yを、開口部を上方に向けるように90度回転させる。
【0063】
箱排出部90は、箱倒立部80において開口部を上方に向けられた箱yを下流方向(β方向:図2参照)に搬送する。
【0064】
[制御システム4の詳細説明]
箱詰装置1には、図4に示すような制御システム4が設けられている。
【0065】
制御システム4は、第1ブロア77および第2ブロア78の動作を制御するコントローラ5を有している。そして、コントローラ5の入力側には、製函用シートZを検知する搬入センサ14が接続されている。一方、出力側には、第1ブロア77、第2ブロア78が接続されている。
【0066】
コントローラ5は、搬入センサ14が製函用シートZを検知した時に発信される検知信号を受信すると、受信時を起点に時間計測を開始する。そして、コントローラ5は、検知信号の受信時を起点に第1所定時間(第1所定時間)が経過した時に、第1ブロア77を待機運転(低速運転)させるように制御し、第2所定時間(第1所定時間)が経過した時に、第2ブロア78を待機運転させるように制御する。各ブロア77,78を待機運転させるためには、例えば、各ブロア77,78の回転速度をインバータにより低速にする。
【0067】
本実施形態における第1所定時間は、通常の搬送状態において、搬入センサ14を通過した製函用シートZが、シート取出部20における吸着部21によってサイド開閉フレーム31に受け渡されるまでの時間に設定されている。また、第2所定時間は、通常の搬送状態において、搬入センサ14を通過した製函用シートZが、組立部40における上方吸着部42および側方吸着部43によって箱形状に形成されるまでの時間に設定されている。
【0068】
このように第1,第2所定時間を設定することにより、製函用シートZがそれぞれの吸着部21,42,43において吸着されている時に、各ブロア77,78を待機運転することがなくなる。この結果、搬送中あるいは組み立て作業中の製函用シートZを落下させてしまうようなことを回避することができる。
【0069】
また、上述した通り、第2所定時間は、第1所定時間よりも長いので、コントローラ5は、製函部2の上流側から配置された順番、すなわち、吸着部21、上方吸着部42、側方吸着部43の順に第1,第2ブロア77,78を制御する。これにより、製函用シートZを下流部側へ受け渡したタイミングで、第1,第2ブロア77,78の動作を待機運転させることが可能となる。この結果、より効果的に電力消費量を抑えることが可能となる。
【0070】
ここで、第1ブロア77の待機運転とは、シート取出部20における吸着部21が製函用シートZを確実に吸着できる吸引力に比べて弱い吸引力を発生している状態を言う。第2ブロア78についても同様とする。
【0071】
なお、コントローラ5における時間計測は、搬入センサ14からの検知信号の入力がある毎にリセットされ、再び最初から時間計測を開始する。
【0072】
本実施形態においては、コントローラ5が各ブロア77,78を制御することによって、シート供給部13に製函用シートZの搬入が無い時には、第1,第2ブロア77,78を待機運転させることができる。この結果、第1,第2ブロア77,78が、常時、通常運転されることによる電力消費量を抑えることが可能となる。
【0073】
また、コントローラ5は、上記の制御によって待機運転状態にある第1,第2ブロア77,78を待機運転状態になる前までの通常の運転状態に復帰させる。具体的には、コントローラ5が、搬入センサ14からの検知信号を受信すると、受信時を起点に時間計測を開始する。そして、コントローラ5は、検知信号の受信時を起点に第3所定時間を経過した時に、第1ブロア77が通常状態での負圧を発生可能なように、すなわち、シート取出部20における吸着部21に吸着した製函用シートZを確実に吸着できるように復帰制御する。同様に、コントローラ5は、第4所定時間が経過した時に第2ブロア78を復帰させる。
【0074】
本実施形態における第3所定時間は、搬入センサ14を通過した製函用シートZがシート供給部13によって吸着部21に受け渡されるまでの時間に設定されている。また、本実施形態における第4所定時間は、搬入センサ14を通過した製函用シートZが吸着部21によってサイド開閉フレーム31に受け渡されるまでの時間に設定されている。
【0075】
なお、第3所定時間は、搬入センサ14を通過した製函用シートZがシート供給部13によって吸着部21に受け渡されるまでの時間よりも短く設定されていればよく、第1ブロア77の回転が所定値以上の吸引力に復帰するまでに時間がかかる場合には、上記第3所定時間よりも短く設定することが望ましい。また、第4所定時間についても、第3所定時間と同様に、それぞれ上記に示した時間よりも短く設定してもよい。
【0076】
これにより、待機運転している第1,第2ブロア77,78を自動で通常の運転状態に復帰することが可能となる。この結果、第1,第2ブロア77,78を通常の運転状態に復帰させる負担をユーザにかけることを回避している。
【0077】
[箱詰装置1の特徴]
(1)
本実施形態の箱詰装置1においては、コントローラ5が、搬入センサ14からの検知信号を受信してから第1所定時間が経過した時に、第1ブロア77を待機運転させるように制御し、第2所定時間が経過した時に、第2ブロア78を待機運転させるように制御している。
【0078】
これにより、シート供給部13に製函用シートZの搬入が無い時には、第1,第2ブロア77,78を待機運転させることができる。この結果、第1,第2ブロア77,78が、常時、通常運転されることによる電力消費量を抑えることが可能となる。
【0079】
(2)
本実施形態の箱詰装置1においては、第1所定時間を、通常の搬送状態において、搬入センサ14を通過した製函用シートZがサイド開閉フレーム31に受け渡されるまでの時間に設定し、第2所定時間を、搬入センサ14を通過した製函用シートZが、組立部40における上方吸着部42および側方吸着部43によって箱形状に形成されるまでの時間に設定している。
【0080】
これにより、各吸着部21,42,44が段ボール箱yを吸着している時に、第1,第2ブロア77,78を待機運転させることを回避している。この結果、搬送中あるいは組み立て作業中の製函用シートZを落下させてしまうようなことが無くなる。
【0081】
(3)
本実施形態の箱詰装置1では、搬入センサ14が、シート供給部13の底面、言い換えれば、製函用シートZの供給方向においてシート供給部13の最上流部に配置されている。そして、搬入センサ14は、搬送ベルト12によってシート供給部13に搬入された製函用シートZを検知して、検知信号をコントローラ5に送信する。
【0082】
これにより、コントローラ5が時間を計測する際の起点を容易に設けることができる。
【0083】
(4)
本実施形態の箱詰装置1では、コントローラ5は、待機状態にある第1,第2ブロア77,78を待機状態になる前までの通常の運転状態に所定のタイミングで復帰させている。
【0084】
これにより、第1,第2ブロア77,78を通常運転に復帰させる負担をユーザにかけることを回避している。
【0085】
(5)
本実施形態の箱詰装置1では、コントローラ5は、製函部2において上流側から配置された順番に、すなわち、吸着部21、上方吸着部42、側方吸着部43の順番で第1,第2ブロア77,78を制御している。具体的には、第1所定時間よりも第2所定時間を長く設定し、コントローラ5は、第1所定時間を経過後に第1ブロア77を、第2所定時間を経過後に第2ブロア78を待機運転制御している。
【0086】
これにより、製函用シートZを下流部側へ受け渡したタイミングで、第1,第2ブロア77,78の動作を待機運転させることが可能となるので、より効果的に電力消費量を抑えることが可能となる。
【0087】
また、第4所定時間を第3所定時間よりも長く設定し、コントローラ5は、第3所定時間を経過後に第1ブロア77を、第4所定時間を経過後に第2ブロア78を復帰制御している。
【0088】
これにより、製函用シートZを受け取るタイミングで、第1,第2ブロア77,78の動作を順次、通常の運転状態に復帰させることが可能となる。この結果、製函用シートZを上流側より受け取るぎりぎりまで各ブロアを待機運転の状態に保つことができるので、より効果的に電力消費量を抑えることが可能となる。
【0089】
[第1の実施形態の変形例]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0090】
(A)
上記実施形態の箱詰装置1では、コントローラ5が、それぞれの所定時間が経過した時に、第1,第2ブロア77,78を待機運転させるように制御する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0091】
例えば、コントローラは、箱詰装置に配置された複数のブロアのうち、少なくとも1つを制御するようにしてもよい。この場合も、上記の実施形態に係る箱詰装置1と同様の効果を得ることができる。
【0092】
(B)
上記実施形態の箱詰装置1では、コントローラ5が、第1,第2ブロア77,78を待機運転させるように制御する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0093】
例えば、コントローラは、それぞれの所定時間が経過した時に各ブロアを停止するように制御してもよい。
【0094】
(C)
上記実施形態の箱詰装置1では、第1所定時間が、通常の搬送状態において、搬入センサ14を通過した製函用シートZがサイド開閉フレーム31に受け渡されるまでの時間以上に、第2所定時間が、組立部40における上方吸着部42および側方吸着部43によって箱形状に形成されるまでの時間以上に設定されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0095】
例えば、ユーザが任意に設定した時間を経過したときに、箱詰装置に配置されている各ブロアを待機運転させるように制御してもよい。この場合であっても、各ブロアにおける消費電力を抑えることができるので、省電力を実現するという効果を得ることができる。
【0096】
(D)
上記実施形態の箱詰装置1では、コントローラ5が、第1,第2ブロア77,78を待機運転するように制御する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0097】
例えば、コントローラは、箱詰装置に設けられたシート供給部や、水平搬送部等の搬送部を停止あるいは待機運転するように制御してもよい。この場合も、上記箱詰装置と同様に、各搬送部が、常時、通常運転されることによる電力消費量を抑えることが可能となる。
【0098】
(E)
上記実施形態の箱詰装置1では、コントローラ5が、上流側から配置された順番に第1,第2ブロア77,78を待機運転制御する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0099】
例えば、コントローラは、最下流側に配置されたブロアを待機運転制御するのと同時に、箱詰装置に配置された全ブロアを待機運転するように制御してもよい。ただし、上流側から順番に復帰制御する方が、省電効果は大きい。
【0100】
(F)
上記実施形態の箱詰装置1では、コントローラ5が、上流側から配置された順番に第1,第2ブロア77,78を復帰制御する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0101】
例えば、コントローラは、最上流側に配置されたブロアを復帰運転制御するのと同時に、箱詰装置に配置された全ブロアを復帰制御するようにしてもよい。ただし、上流側から順番に復帰制御する方が、省電効果は大きい。
【0102】
[第2の実施形態]
本発明の一実施形態に係る箱詰装置100について、図5〜図8を用いて説明すれば以下の通りである。
【0103】
[箱詰装置100全体の構成]
本発明の実施の形態に係る製函装置150を搭載した箱詰装置100は、図5・図6に示すように、スナック菓子を納めた軟包材によって形成された四角形状の袋である商品(物品)Xを搬送して段ボール箱(箱)Yに箱詰めにするための装置である。そして、箱詰装置100は、第1搬入部110と、第2搬入部(搬入部)120と、製函装置150と、制御システム140(図8参照)とを備えている。
【0104】
[第1搬入部110の詳細説明]
第1搬入部110は、図5に示すように、上流側から搬送されてくる商品Xを整列させ、商品Xの整列状態を保持したまま、整列位置111から排出位置114にまで搬送する。そして、第1搬入部110は、搬送機構112と、第1プッシャ113とを備えている。なお、第1搬入部110の上流側には、スナック菓子等の内容物を軟包材に詰める製袋包装機(図示せず)重量検査機、封止検査機等の各種検査機(図示せず)、整列搬送機(図示せず)等が備えられていてもよい。また、商品Xを直接搬入する搬入箇所(図示せず)が備えられていてもよい。
【0105】
搬送機構112は、整列位置111に搬入された整列状態の商品X(以下、商品Xと示す)を排出位置114にまで、整列状態を維持したまま搬送する。
【0106】
第1プッシャ113は、後述する第2搬入部120へ商品Xを受け渡すための部位であって、排出位置114に搬送されてきた商品Xをa方向(図5参照)に押し出すことによって商品Xを第2搬入部120へ受け渡す。
【0107】
[第2搬入部120の詳細説明]
第2搬入部120は、第1搬入部110から商品Xを受け取って、後述するフラップ開閉部180においてフラップが開口状態に保持された段ボール箱Yに対して商品Xを箱詰めする。そして、第2搬入部120は、図6(a)、図6(b)に示すように、底板121と、サイドガイド122と、第2プッシャ123と、第3プッシャ124と、第2搬入センサ(第2検知部)125とを有している。
【0108】
底板121は、第2搬入部120の上流側に配置された第1搬入部110から製函装置150まで延び、商品Xを鉛直方向下側から支持する。
【0109】
サイドガイド122は、底板121の上面に、商品Xの搬送経路に沿って左右に配置されている。そして、サイドガイド122は、搬送経路と直交する方向の距離(幅)が、第1搬入部110側で広く、製函装置150側で狭くなっている。これにより、第1搬入部110から底板121上に排出された立ち姿勢の商品X…Xの束を、製函装置150によって搬送されてきた段ボール箱Yに箱詰めする前に、段ボール箱Yの開口幅に合わせて幅寄せする。
【0110】
第2プッシャ123は、底板121の鉛直方向下方に配置され、支軸(図示せず)を中心に回転し、底板121の下面から上面に出現する。そして、第2プッシャ123は、商品Xのa方向(図6参照)における商品Xの後端を押圧して、商品Xを図6(b)に示す位置にまで移動させる。なお、サイドガイド122には、第2プッシャ123の出現を干渉しないように、弧状の溝(図示せず)が形成されている。
【0111】
第3プッシャ124は、底板121の鉛直方向上方に配置されている。そして、第3プッシャ124は、第1搬入部110側から製函装置150側に水平移動させることにより、商品Xの後端を押圧し、商品Xを製函装置150側に押し込む。第3プッシャ124は、商品Xを押圧するときだけ下方に突出し、それ以外は上方に待避している。
【0112】
第2搬入センサ125は、物体の有無を非接触で検出するセンサであって、第2搬入部120の最上流部に設置されている。そして、第2搬入センサ125は、第1プッシャ113によって第2搬入部120に搬入された商品Xを検知して、検知信号をコントローラ(制御部)141に送信する。
【0113】
[製函装置150の詳細説明]
製函装置150は、図7に示すように、第2搬入部120の下流側に配置され、段ボール箱Yのフラップを開口状態に保持して、第2搬入部120から搬送されてくる商品Xを受け入れる。そして、商品Xが箱詰めされた段ボール箱Yを開口部が上になるように回転させて排出位置にまで搬送する。製函装置150は、第1搬送部(搬送部)160と、第2搬送部(搬送部)170と、フラップ開閉部180と、第3搬送部190とを備えている。
【0114】
(第1搬送部160)
第1搬送部160は、上流側から搬送されてくる段ボール箱Yを水平方向に搬送する機構であって、図7に示すように、搬送ベルト161と、搬送ガイド162と、第1搬入センサ(第1検知部)164とを有している。
【0115】
搬送ベルト161は、第1搬送部160における上流側と下流側とにおいて、それぞれ1つずつ設けられている一対の回転軸163a・163bに巻きかけられた無端状のベルトである。そして、搬送ベルト161は、図示しないモータによって回転軸163bが回転させられることで搬送方向に回転する。
【0116】
搬送ガイド162は、搬送ベルト161による搬送の際に、搬送方向と直交する方向のぶれを抑止する部材であって、搬送方向と直交する方向において2つ配置されている。
【0117】
第1搬入センサ164は、物体の有無を非接触で検出する光電センサであって、第1搬送部160の最上流部に配置されている。そして、第1搬入センサ164は、段ボール箱Yを検知すると、検知信号を後述する制御システム140に送信する。
【0118】
(第2搬送部170)
第2搬送部170は、第1搬送部160の下流側に配置されており、図7に示すように、段ボール箱Yを鉛直下向きに詰込位置にまで搬送する。そして、第2搬送部170は、段ボール箱Yの上面と下面を保持する保持部171a・171bと、段ボール箱Yの側面を保持するサイド保持部171cと、ベルト171dとを有している。保持部171a・171bおよびサイド保持部171cは、ベルト171dに取り付けられている。そして、ベルト171dは、第2搬送部170における上流側と下流側とにおいて、それぞれ1つずつ設けられている一対の回転軸171e・171fに巻きかけられた無端状のベルトである。そして、保持部171a・171bおよびサイド保持部171cは、図示しないモータによって回転軸171eが回転させられることで、段ボール箱Yを搬送するリフトとして上下方向に移動することができる。
【0119】
(フラップ開閉部180)
フラップ開閉部180は、図7に示すように、第2搬送部170の下流側に隣接して配置され、また、段ボール箱Yに箱詰めにするために商品Xが搬送されてくる第2搬入部120の下流側に隣接して配置されている。そして、後段にて説明するように、フラップ開閉機構によってフラップが開口状態に保持された段ボール箱Yに対して、商品Xを箱詰めする。
【0120】
フラップ開閉部180は、フラップ開口部185と、第1吸着部(吸着部)181と、第2吸着部(吸着部)182と、第3吸着部(吸着部)183と、第4吸着部(吸着部)184と、ブロア187(吸着部)(図8参照)とを有している。
【0121】
フラップ開口部185は、段ボール箱Yの内側から4つのフラップYa〜Ydを押し広げて開口する。
【0122】
第1〜第4吸着部181〜184は、吸引力を発生するブロア187と図示しない配管を介して接続されている。そして、第1吸着部181は、開口側から見て上面のフラップYaを吸着保持する。第2吸着部182は、開口側から見て下面のフラップYbを吸着保持する。第3吸着部183は、開口側から見て右面のフラップYcを吸着保持する。第4吸着部184は、開口側から見て左面のフラップYdを吸着保持する。また、第1〜第4吸着部181〜184は、詰込位置に搬入された段ボール箱YのフラップYa〜Ydに対して離反可能な移動機構181a〜184aに取り付けられている。
【0123】
フラップ開閉部180は、段ボール箱Yが詰込位置にまで搬送されてくると、最初にフラップ開口部185によって各フラップYa〜Ydが開口される。次に、移動機構181a〜184aは、各吸着部181〜184が各フラップYa〜Ydを吸着可能な位置にまで接近する。そして、各吸着部181〜184が各フラップYa〜Ydを吸着することによって、第2搬入部120から搬入されてくる商品Xを詰め込みやすいように各フラップYa〜Ydを開口した状態に保持している。
【0124】
(第3搬送部190)
第3搬送部190は、商品Xが箱詰めされた段ボール箱Yを排出方向に搬送する。そして、図示しない回転機構によって開口部が水平方向を向いた状態の段ボール箱Yを鉛直上方向に向いた状態に変えて外部排出部に排出する。
【0125】
[制御システム140の詳細説明]
箱詰装置100は、図8に示すような制御システム140を備えている。
【0126】
制御システム140は、第1搬送部160と、第2搬送部170と、ブロア187の動作を制御するコントローラ141を有している。そして、コントローラ141の入力側には、第1搬送部160に段ボール箱Yが搬入されたことを検知する第1搬入センサ164と、第2搬入部120に商品Xが搬入されたことを検知する第2搬入センサ125が接続されている。一方、出力側には、第1搬送部160、第2搬送部170、ブロア187が接続されている。
【0127】
コントローラ141は、第1搬入センサ164が段ボール箱Yを検知した時に発信される検知信号を受信すると、受信時を起点に時間計測を開始する。そして、コントローラ141は、検知信号の受信時を起点に第5所定時間(第1所定時間)が経過した時に、第1搬送部160と第2搬送部170とブロア187と第2搬入部120とを停止させるように制御する。これにより、制御システム140が、第1搬送部160、第2搬送部170およびブロア187を制御することによって、第1搬送部160に段ボール箱Yの搬入が無い時には、制御システム140が第1搬送部160、第2搬送部170およびブロア187を停止させることができる。この結果、制御システム140が、第1搬送部160、第2搬送部170およびブロア187が、常時、通常運転されることによる電力消費量を抑えることが可能となる。
【0128】
本実施形態における第5所定時間は、通常の搬送状態において、第1搬入センサ164を通過した段ボール箱Yが、フラップ開閉部180において商品Xが箱詰めされるまでの時間に設定されている。このように第5所定時間を設定することにより、コントローラ141は、第1〜第4吸着部181〜184によって段ボール箱Yが吸着されている時に、ブロア187を停止させることがなくなる。この結果、商品Xの箱詰め中に、フラップの開口状態を保持できなくなるということを回避することができる。
【0129】
さらに、コントローラ141は、上記制御とは平行して、検知信号の受信時を起点に第6所定時間(第2所定時間)を経過しないかを監視している。そして、コントローラ141は、第6所定時間を経過したことを確認すると、第1搬送部160と第2搬送部170とブロア187とを停止させるように制御する。本実施形態における第6所定時間は、通常の搬送状態において、第2搬入センサ125を通過した商品Xが、第2搬入部120を通過して、フラップ開閉部180において商品Xが段ボール箱Yに箱詰めされるまでの時間に設定されている。これにより、段ボール箱Yに詰め込む商品Xが第2搬入部120に無い場合には、第1搬送部160、第2搬送部170およびブロア187の動作を停止させて、消費電力を抑えることが可能となる。
【0130】
なお、コントローラ141における第5所定時間の時間計測は、第1搬入センサ164からの検知信号の入力がある毎にリセットされ、再び最初から時間計測を開始する。また、第6所定時間においても同様であり、第2搬入センサ125からの検知信号の入力がある毎にリセットされ、再び最初から時間計測を開始する。
【0131】
また、コントローラ141は、上記制御によって停止状態にある第1搬送部160、第2搬送部170、ブロア187および第2搬入部120を停止状態になる前までの通常の運転状態に復帰させる。具体的には、コントローラ141は、第1搬入センサ164あるいは第2搬入センサ125からの検知信号を受信するとすぐに、第1搬送部160、第2搬送部170、ブロア187および第2搬入部120を、通常の運転状態となるように復帰制御する。
【0132】
これにより、上記の制御によって停止状態にある第1搬送部160、第2搬送部170、ブロア187および第2搬入部120を自動で通常の運転状態に復帰することが可能となる。この結果、第1搬送部160、第2搬送部170、ブロア187および第2搬入部120を通常の運転状態に復帰させる負担をユーザにかけることを回避している。
【0133】
[箱詰装置100の特徴]
(1)
本実施形態の箱詰装置100においては、コントローラ141が、第1搬入センサ164からの受信信号を受信してから第5所定時間を経過した時に、第1搬送部160、第2搬送部170およびブロア187を停止させるように制御している。
【0134】
これにより、第1搬送部160に段ボール箱Yの搬入が無い時には、第1搬送部160、第2搬送部170およびブロア187を停止させることができる。この結果、第1搬送部160、第2搬送部170およびブロア187が、常時、通常運転されることによる電力消費量を抑えることが可能となる。
【0135】
(2)
本実施形態の箱詰装置100においては、フラップ開口部185が、段ボール箱Yの内側から4つのフラップYa〜Ydを押し広げて開口している。
【0136】
これにより、フラップ開口部185によって段ボール箱Yの各フラップYa〜Ydを内面側から保持することができる。この結果、ブロア187による各フラップYa〜Ydの吸着を解除したとしても、フラップYa〜Ydが閉じてしまうことを回避することが可能となる。
【0137】
(3)
本実施形態の箱詰装置100においては、第5所定時間が、通常の搬送状態において、第1搬入センサ164を通過した段ボール箱Yが、フラップ開閉部180において商品Xが箱詰めされるまでの時間に設定されている。
【0138】
これにより、コントローラ141は、第1〜第4吸着部181〜184によって段ボール箱Yが吸着されている時に、ブロア187を停止させることがなくなる。この結果、商品Xの箱詰め中に、フラップの開口状態を保持できなくなるということを回避することができる。
【0139】
(4)
本実施形態の箱詰装置100において、第1搬入センサ164が、第1搬送部160において段ボール箱Yの供給方向における最上流部に配置されている。そして、第1搬入センサ164は、第1搬送部160に搬入された段ボール箱Yを検知して、検知信号をコントローラ141に送信する。
【0140】
これにより、コントローラ141が時間を計測する際の起点を容易に設けることができる。
【0141】
(5)
本実施形態の箱詰装置100では、コントローラ141が、第2搬入センサ125からの検知信号を受信して第6所定時間を経過した時、第1搬送部160、第2搬送部170,ブロア187を停止させている。
【0142】
これにより、段ボール箱Yに箱詰めする商品Xがない場合には、第1搬送部160、第2搬送部170,ブロア187における動作を停止させることができる。この結果、第1搬送部160、第2搬送部170,ブロア187における電力消費量を効果的に抑えることが可能となる。
【0143】
(6)
本実施形態の箱詰装置100では、第2搬入センサ125が、第2搬入部120の最上流部に配置されている。そして、第2搬入センサ125は、第2搬入部120に搬入された商品Xを検知して、検知信号をコントローラ141に送信する。
【0144】
これにより、コントローラ141が、第6所定時間を計測する際の起点を容易に設けることができる。
【0145】
[第2の実施形態の変形例]
(A)
上記実施形態の箱詰装置100では、コントローラ141が、第1搬入センサ164からの受信信号を受信してから第5所定時間あるいは第6所定時間を経過した時に、第1搬送部160、第2搬送部170およびブロア187を停止させるように制御する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0146】
例えば、コントローラは、第1搬送部、第2搬送部、ブロアの少なくとも一方を制御してもよい。この場合でも、上記実施形態に係る商品処理システム1と同様の効果を得ることができる。
【0147】
(B)
上記実施形態の箱詰装置100では、コントローラ141が、第1搬送部160、第2搬送部170およびブロア187を停止させるように制御する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0148】
例えば、コントローラは、第5所定時間あるいは第6所定時間を経過した時に、待機運転(低速運転)するように制御してもよい。なお、ここでいう待機運転とは、第1搬送部、第2搬送部においては、生産ラインの一部として稼働する際の通常運転時に比べて低速で箱を搬送している状態を言い、ブロアにおいては、段ボール箱を確実に吸着できる吸引力に比べて弱い吸引力を発生している状態を言う。
【0149】
(C)
上記実施形態の箱詰装置100では、第5所定時間が、通常の搬送状態において、第1搬入センサ164を通過した段ボール箱Yが、フラップ開閉部180において商品Xが箱詰めされるまでの時間以上に設定されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0150】
例えば、ユーザが任意に設定した時間を経過したときに、箱詰装置に配置されている各搬送部、ブロア等を停止させるように制御してもよい。この場合であっても、各搬送部、ブロアにおける消費電力を抑えることができるので、省電力を実現するという効果を得ることができる。
【0151】
(D)
上記実施形態の箱詰装置100では、コントローラ141が、第1搬入センサ164からの受信信号を受信してから第5所定時間あるいは第6所定時間を経過した時に、第1搬送部160、第2搬送部170を同時に停止制御する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0152】
例えば、コントローラは、上流側から配置された順番に第1搬送部,第2搬送部,ブロアを停止あるいは待機運転させるように制御してもよい。
【0153】
(E)
上記実施形態の箱詰装置100では、第1〜第4吸着部181〜184の吸引力がブロワ187によって生成される例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0154】
例えば、吸着部は、真空ポンプによって生成される吸引力を利用して、段ボール箱等を吸着してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明によれば、消費電力を抑えて省電力を実現することができるので、例えば、上流側から下流側へ商品等を搬送しながら各種処理を行う各種処理システムへの適用が特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る製函装置を含む箱詰装置の斜視図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る製函装置を含む箱詰装置の説明図。
【図3】図1に含まれる組立部の拡大断面図。
【図4】図1の箱詰装置に含まれる制御システムのブロック図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る製函装置を含む箱詰装置の平面図。
【図6】(a)、(b)は、図5に含まれる第2搬入部の拡大平面図。
【図7】図5に含まれる製函装置の拡大断面図。
【図8】図5の箱詰装置に含まれる制御システムのブロック図。
【符号の説明】
【0157】
1 箱詰装置
2 製函部(製函装置)
3 箱詰部
4 制御システム
5 コントローラ(制御部)
10 シートマガジン
11 シートストック部
12 搬送ベルト
13 シート供給部(搬送部)
14 搬入センサ(第1検知部)
20 シート取出部
21 吸着部
30 水平搬送部(搬送部)
31 サイド開閉フレーム
32 サイド支持フレーム
33 上方ベルト
40 組立部
41 製函開閉フレーム
42 上方吸着部(吸着部)
43 側方吸着部(吸着部)
44 水平シート開口部材
45 垂直シート開口部材
50 下方搬送部
60 テープ貼付部
70 挿入部
77 第1ブロア
78 第2ブロア
80 箱倒立部
90 箱排出部
100 箱詰装置
110 第1搬入部
111 整列位置
112 搬送機構
113 第1プッシャ
114 排出位置
120 第2搬入部(搬入部)
121 底板
122 サイドガイド
123 第2プッシャ
124 第3プッシャ
125 第2搬入センサ(第2検知部)
140 制御システム
141 コントローラ
150 製函装置
160 第1搬送部(搬送部)
161 搬送ベルト
162 搬送ガイド
163a,163b 回転軸
164 第1搬入センサ(第1検知部)
170 第2搬送部(搬送部)
171a,171b 保持部
171c サイド保持部
171d ベルト
171e,171f 回転軸
180 フラップ開閉部
181 第1吸着部(吸着部)
182 第2吸着部(吸着部)
183 第3吸着部(吸着部)
184 第4吸着部(吸着部)
185 フラップ開口部
181a〜184a 移動機構
187 ブロア(吸着部)
190 第3搬送部
X 商品(物品)
y 箱
Y 段ボール箱(箱)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記箱を搬送する搬送部と、
所定位置に搬送されてきた前記箱の一部を吸着して保持する吸着部と、
第1所定時間の間、最上流側に配置された前記搬送部に前記箱の搬入がない場合に、前記搬送部および前記吸着部のうち少なくとも一方を停止あるいは低速運転させる制御部と、
を備えている、製函装置。
【請求項2】
前記所定位置に搬送された前記箱の開口部を覆うフラップの内面を押し広げて開口するフラップ開口部をさらに備えており、
前記吸着部は、前記フラップ開口部によって押し広げられた前記フラップ部の外面を吸着して前記フラップ部を開口した状態に保持する、
請求項1に記載の製函装置。
【請求項3】
前記第1所定時間は、前記箱が最上流側の前記搬送部に搬入されてから前記搬送部あるいは前記吸着部を通過するまでの時間以上である、
請求項1または2に記載の製函装置。
【請求項4】
最上流側に配置された前記搬送部よりも上流側に配置され、前記箱を検知する第1検知部をさらに備えており、
前記制御部は、前記第1検知部における検知結果に基づいて時間を測定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の製函装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1検知部における前記箱の検知結果に基づいて、前記搬送部および前記吸着部のうち少なくとも一方を通常の運転状態に復帰させる、
請求項4に記載の製函装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記箱が前記吸着部に搬送されるまでに、前記吸着部を前記低速運転から前記通常の運転状態に復帰するように制御する、
請求項5に記載の製函装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記搬送部および前記吸着部を上流側から配置された順番に制御にする、
請求項1から6のいずれか1項に記載の製函装置。
【請求項8】
上流側から搬送されてくる物品を前記箱に詰める箱詰装置であって、
請求項1から7のいずれか1項に記載の製函装置と、
前記物品を前記所定位置にまで搬送する搬入部と、
を備えている、箱詰装置。
【請求項9】
前記制御部は、第2所定時間の間、最上流側に配置された前記搬入部に前記物品の搬入がない場合に、前記搬送部および前記吸着部を停止あるいは低速運転させる、
請求項8に記載の箱詰装置。
【請求項10】
前記搬入部よりも前記物品の搬送方向における上流側に配置され、前記物品を検知する第2検知部をさらに備えており、
前記制御部は、前記第2検知部における検知結果に基づいて時間を測定する、
請求項9に記載の箱詰装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−249017(P2009−249017A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101793(P2008−101793)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】