説明

製函装置

【課題】 ブランクをマンドレルに密嵌状態に折り曲げ得るようにしてカートンの成形精度を高める。
【解決手段】 進出位置(P1)と後退位置(P2)との間で軸方向に進退駆動される角柱状のマンドレル(1)と、前記進出位置(P1)にある前記マンドレル(1)の外周を包囲する位置に配列され、且つ、前記進出位置(P1)にある前記マンドレル(1)に対して接近した仕上成形位置(A)と離反した半成形位置(B)との間で往復移動する複数の可動フォーマ(61)(61)とを具備し、前記半成形位置(B)にある各可動フォーマ(61)(61)で包囲される成形空間(T)より外側に張り出すブランク(96)を前記マンドレル(1)の先端(1a)で前記成形空間(T)に押し込んだ後、前記各可動フォーマ(61)(61)を前記仕上成形位置(A)に移動させることにより前記ブランク(96)を前記マンドレル(1)に押圧させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製函装置、更に詳しくは、展開状態にある段ボール紙や厚紙等のブランクをマンドレルに沿わせて折り曲げることによりカートンを造る製函装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9は、角柱状のマンドレル(1)に沿わせてダンボール紙製のブランク(96)を折り曲げる形式の従来の製函装置の要部の概略図であり、この製函装置は、図10に示す形状のブランク(96)を折り曲げてカートンを成形する機能を備えている。
図10に示すように、ブランク(96)は、長方形の底板(90)と、その長辺部に連設された前後板(91)(92)と、これら底板(90)及び前後板(91)(92)の各短辺部に連設された側板(93)(94)(95)を備えている。
上記ブランク(96)を折り曲げる製函装置は、図9に示すように、矩形ブロック状のマンドレル(1)と、ブランク(96)の前後板(91)(92)を折り曲げる円弧状の固定の前後フォーマ(81)(82)と、ブランク(96)の側板(93)(93)(94)(94)を折り曲げる固定の側方フォーマ(83)(84)を備えている。上記前後フォーマ(81)(82)と側方フォーマ(83)(84)は、装置本体にボルト等(図示せず)で固定されていると共に、側方フォーマ(83)(84)は、図9の紙面に対して前後方向に間隔を置いて2組(合計4個)配設されている。又、前記各フォーマの下方には、折り曲げられた側板(93)(93)(94)(94)の外面に対して残余の側板(95)(95)を重ね合わせて接着する為の接着装置(85)と、その下方の製品搬送コンベヤ(86)が設けられている。
【0003】
このものでは、図9に示す初期位置(T0)にあるブランク(96)がマンドレル(1)で押し下げられて成形空間(T1)へ降下すると、ブランク(96)の前後板(91)(92)は前後フォーマ(81)(82)で折り曲げられると共に、側板(93)(93)(94)(94)は側方フォーマ(83)(83)(84)(84)で折り曲げられ、これにより、前後板(91)(92)や側板(93)(94)がマンドレル(1)の側壁に沿った状態になる。又、マンドレル(1)が更に降下して接着装置(85)部分に到達すると、折り曲げられた側板(93)(93)(94)(94)の外面に残余の側板(95)(95)が重なるように接着装置(85)で折り曲げられると共に接着される。これにより、成形された上方開放のカートン(50)が製品搬送コンベヤ(86)で次工程へ搬送される。
【特許文献1】特開平5−177744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のものでは、図11に示すように、成形空間(T1)を通過するブランク(96)と各フォーマ(81)(82)・・・・・との間に、ブランク(96)の移動を許容するクリアランス(K)を設ける必要がある。従って、成形後のカートン(50)には前記クリアランス(K)の大きさに相当する寸法誤差が生じ、成形精度が悪くなるという問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みて成されたもので、ブランク(96)をマンドレル(1)に密嵌状態に折り曲げ得るようにし、これにより、カートンの成形精度の向上を図ることをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[請求項1に係る発明]
前記課題を解決する為の請求項1に係る発明の技術的手段は、
『進出位置(P1)と後退位置(P2)との間で軸方向に進退駆動される角柱状のマンドレル(1)と、
前記進出位置(P1)にある前記マンドレル(1)の外周を包囲する位置に配列され、且つ、前記進出位置(P1)にある前記マンドレル(1)に対して接近した仕上成形位置(A)と離反した半成形位置(B)との間で往復移動する複数の可動フォーマとを具備し、
前記半成形位置(B)にある各可動フォーマで包囲される成形空間(T)より外側に張り出すブランク(96)を前記マンドレル(1)の先端(1a)で前記成形空間(T)に押し込んだ後、前記各可動フォーマを前記仕上成形位置(A)に移動させることにより前記ブランク(96)を前記マンドレル(1)に押圧させる』ことである。
上記技術的手段は次のように作用する。
半成形位置(B)にある各可動フォーマは、仕上成形位置(A)(マンドレル(1)にブランク(96)を押圧する位置)より外方(マンドレル(1)から離れる方向)に離反した状態にある。
従って、半成形位置(B)にある各可動フォーマで包囲される成形空間(T)より外側に張り出すブランク(96)を前記マンドレル(1)の先端(1a)で前記成形空間(T)に押し込むと、ブランク(96)が前記成形空間(T)に円滑に押し込まれると共に、各可動フォーマによってマンドレル(1)の外周に概略沿った形状に折り曲げられる。
次に、各可動フォーマを仕上成形位置(A)に移動させると、各可動フォーマによって、ブランク(96)がマンドレル(1)の外周面に押圧されて密着する。従って、ブランク(96)の移動を許容するクリアランス(K)に相当する寸法誤差がカートン(9)に生じる既述従来のものに比べ、前記カートン(9)の成形精度が向上する。
【0006】
[請求項2に係る発明]
請求項1に係る発明に於いて、
『前記各可動フォーマは、前記進出位置(P1)にあるマンドレル(1)の外周の各平面に対向する位置に設けられており、
前記各可動フォーマは、前記仕上成形位置(A)に移動する際、前記マンドレル(1)の外周に沿った配列方向に順次動作する』ものとすることができる。
このものでは、仕上成形位置(A)に移動する際の各可動フォーマは、マンドレル(1)の外周に沿った配列方向に順次動作する。従って、ブランク(96)は、マンドレル(1)の外周方向へ順次折り曲げられる。よって、各可動フォーマが仕上成形位置(A)に同時に移動する場合と相違し、ブランク(96)の中央域等に皺が形成される心配がなく、綺麗なカートンが仕上がる。
【0007】
[請求項3に係る発明]
請求項2に係る発明に於いて、
『前記ブランク(96)の中央域に対応する可動フォーマを前記仕上成形位置(A)に移動させた後に、その両側方に配列された各可動フォーマを配列方向に順次仕上成形位置(A)に移動させる』ものとすることができる。
このものでは、各可動フォーマを仕上成形位置(A)に移動させる際には、ブランク(96)の中央域からその両側方に配列された配列順序に従って作動させる。従って、請求項2に係る発明に比べ、ブランク(96)の中央部に一層皺が生じ難くなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は次の特有の効果を有する。
請求項1に係る発明では、既述したように、各可動フォーマによってブランク(96)がマンドレル(1)の外周面に押圧されて密着する。従って、ブランク(96)の移動を許容するクリアランス(K)に相当する寸法誤差がカートン(9)に生じる既述従来のものに比べ、前記カートン(9)の成形精度が向上する。
請求項2に係る発明では、仕上成形位置(A)に移動する際の各可動フォーマは、マンドレル(1)の外周に沿った配列方向に順次動作する。従って、前記請求項1に係る発明の効果に加え、既述したように、ブランク(96)の中央域等に皺が形成される心配がなく、綺麗なカートンが仕上がる効果がある。
請求項3に係る発明では、既述したように、ブランク(96)の中央部に一層皺が生じ難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
[カートン(50)の構成]
先ず、本発明の実施の形態に係る製函装置の説明に先立って、成形対象たるカートン(50)の構成を説明する。
図8(C)に示すように、成形対象たるカートン(50)の外観形状は、直方体の周側部の4つの稜線部を面取りした略八柱状であり、同図(a)に示すように、一枚のメインブランク(52)と、その両脇に連結される二枚のサブブランク(51)(51)から構成されている。又、各サブブランク(51)(51)は同一構造を有している。
【0010】
《メインブランク(52)》
メインブランク(52)は、段ボール紙を打抜いて形成したもので、略八角形状の底面板(522)を備えていると共に、その一対の対向辺には貼着代(522a)(522a)が連設されている。底面板(522)の他の一対の対向辺には長方形の正面板(521)(521)が連設されている共に、各正面板(521)の対向する一対の側辺部には細長い長方形のコーナ面板(523)(523)が連設されている。又、各コーナ面板(523)の先端には貼着代(523a)が連設されている。
【0011】
《サブブランク(51)》
各サブブランク(51)は、段ボール紙を打抜いて形成したもので、長方形の各コーナ部を切り落とした略八角形状の蓋板(517)と、その一辺に連設された略長方形の側面板(511)とを具備し、該側面板(511)の対向する一対の側辺部にはコーナ面板(512)(512)と貼着代(513)(513)がこの順序で連設されている。各貼着代(513)の一方の短辺(蓋板(517)側の短辺)には、該貼着代(513)に重ね合わせ状態に折り返えす補強板(514)が連設されている。又、貼着代(513)の他方の短辺と前記側面板(511)にはメインブランク(52)の底面板(522)に接着される貼着代(515)(515)が連設されている。
【0012】
[製函装置の全体構成]
図1〜図3に示すように、本実施の形態に係る製函装置は、二枚のサブブランク(51)を折曲げる第1成形ステーション(S1)→メインブランク(52)を折り曲げる第2成形ステーション(S2)→成形後のカートン(50)を排出する排出ステーション(S3)の順序でマンドレル(1)を巡回させるターンテーブル(2)と、前記第1成形ステーション(S1)にサブブランク(51)(51)を供給するサブブランク供給装置(3)(3)と、供給されたサブブランク(51)(51)をマンドレル(1)に沿わせるように折り曲げる第1成形装置(6)と、前記第2成形ステーション(S2)にメインブランク(52)を供給するメインブランク供給装置(4)と、供給されたメインブランク(52)をマンドレル(1)に沿わせるように折り曲げる第2成形装置(7)と、前記排出ステーション(S3)で取り出された成形後のカートン(50)を下流側に搬出する搬出装置(80)を備えている。以下、各部の詳細を説明する。
【0013】
[マンドレル(1),ターンテーブル(2)]
マンドレル(1)は、図8の(C)の状態にあるカートン(50)の内部に密に挿入し得る形状を有しており、図1に示すように、直方体の周側部の4つの稜線部を面取りした略八角柱状に形成されている。これにより、マンドレル(1)の外周には、面取り部(10)(10)とこれらの間に位置するブランク吸着面(11)(12)が形成されていると共に、ブランク吸着面(11)(12)には、各サブブランク(51)やメインブランク(52)をバキュームで吸着保持する吸着具(110)(120)が配設されている。尚、マンドレル(1)の底壁には、サブブランク(51)の側面板(511)に連設された貼着代(515)を吸着保持する為の図示しない吸着具(吸着具(110)(120)と同様にバキュームで吸着保持するもの)が設けられている。
マンドレル(1)の上面には、十字状に形成されたターンテーブル(2)のアーム部(20)を摺動自在に貫通する昇降軸(13)が連設されていると共に、該昇降軸(13)は駆動源(14)で上下に揺動されるレバー(15)によって昇降されるように構成されている。そして、駆動源(14)でレバー(15)が駆動されると、図4に示すように、マンドレル(1)が上方の後退位置(P2)と下方の進出位置(P1)との間で往復移動する。
又、ターンテーブル(2)の中心に回り止め状態に貫通する中心軸(21)は駆動モータ(22)で回転駆動されるようになっている。
【0014】
[サブブランク供給装置(3)]
第1成形ステーション(S1)にサブブランク(51)(51)を供給するサブブランク供給装置(3)(3)は、互いに同一構造を有している。
各サブブランク供給装置(3)は、ブランクストック部(30)に積層された最上層のサブブランク(51)を吸着保持する為のブランク取出ヘッド(32)と、該ブランク取出ヘッド(32)に吸着保持されたサブブランク(51)を受け取る第1供給コンベヤ(31)を具備しており、該第1供給コンベヤ(31)上のサブブランク(51)が第1成形ステーション(S1)に搬送されるようになっている。
【0015】
[第1成形装置(6)]
第1成形ステーション(S1)には、サブブランク(51)(51)をマンドレル(1)の外面に沿わせて折り曲げる為の第1成形装置(6)が設けられていると共に、該第1成形装置(6)は、サブブランク供給装置(3)(3)より下位に位置している。
この第1成形装置(6)は、図5に示すように、進出位置(P1)にあるマンドレル(1)の外周を包囲する位置に配設された可動フォーマ(61)(62)(63)を備えており、これら可動フォーマ(61)(62)(63)は、略八角柱状のマンドレル(1)の外周の各平面に対向している。又、可動フォーマ(61)(62)(63)はシリンダ(R)(R)で進退駆動されるようになっている。具体的には、シリンダ(R)(R)で駆動される可動フォーマ(61)(62)(63)は、マンドレル(1)に対して接近した仕上成形位置(Q1)(サブブランク(51)(51)を押圧した位置)と、これから離反した半成形位置(Q2)(サブブランク(51)(51)との間に若干の間隙が形成される位置)との間で往復移動される。
尚、第1成形装置(6)の下方には、マンドレル(1)と協働してサブブランク(51)(51)を挟持するレシーバプレート(64)が配設されていると共に、該レシーバプレート(64)は図示しないシリンダで昇降駆動されるようになっている。
【0016】
[メインブランク供給装置(4)]
図1,図2に示すように、第2成形ステーション(S2)にメインブランク(52)を供給するメインブランク供給装置(4)は、ブランクストック部(40)に積層された最上層のメインブランク(52)を吸着保持する為のブランク取出ヘッド(42)と、該ブランク取出ヘッド(42)に吸着保持されたメインブランク(52)を受け取る第2供給コンベヤ(41)を具備しており、該第2供給コンベヤ(41)上のメインブランク(52)がコールドグルー塗布器(43)の配設部とホットメルト塗布器(44)の配設部を経由して第2成形ステーション(S2)に搬送されるようになっている。コールドグルー塗布器(43)は、メインブランク(52)の貼着代(523a)(523b)や貼着代(522a)の表面(図1の斜線を施した領域)に、自然乾燥性の水溶性ボンドを直線状に塗布するもので、ホットメルト塗布器(44)は、前記貼着代(523a)(523b)や貼着代(522a)の表面のうち前記水溶性ボンドの塗布域からずれた位置に熱溶融性樹脂を直線状に塗布するものである。
【0017】
[第2成形装置(7)]
第2成形ステーション(S2)には、メインブランク(52)をマンドレル(1)の外面に沿わせて折り曲げると共にサブブランク(51)(51)に貼着する為の第2成形装置(7)が設けられていると共に、該第2成形装置(7)は、メインブランク供給装置(4)より下位に位置している。
この第2成形装置(7)は、既述第1成形装置(6)と同様な構成を有している。即ち、図6に示したように、進出位置(P1)にあるマンドレル(1)の外周を包囲する位置に配設された可動フォーマ(71)(72)(73)を備えており、これら可動フォーマ(71)(72)(73)は、略八角柱状のマンドレル(1)の外周の各平面に対向している。又、可動フォーマ(71)(72)(73)はシリンダ(R’)(R’)で進退駆動されるようになっている。具体的には、シリンダ(R’)(R’)で駆動される可動フォーマ(71)(72)(73)は、マンドレル(1)に対して接近した仕上成形位置(Q3)(メインブランク(52)を押圧した位置)と、これから離反した半成形位置(Q4)(メインブランク(52)との間に若干の間隙が形成された位置)との間で往復移動される。
尚、第2成形装置(7)の下方には、マンドレル(1)と協働してメインブランク(52)を挟持するレシーバプレート(74)が配設されていると共に、該レシーバプレート(74)は図示しないシリンダで昇降駆動されるようになっている。
【0018】
[搬出装置(80)]
図2に示すように、排出ステーション(S3)には、マンドレル(1)からカートン(50)をバキュームで吸着して取り出す為の吸着具(870)(870)を備えた取出プレート(87)が配設されていると共に、その上方には、前記カートン(50)を側方から挟持する挟持プレート(88)(88)が配設されている。この挟持プレート(88)(88)は相互に接離する方向にシリンダ(図示せず)で往復駆動されるようになっている。又、挟持プレート(88)(88)の近傍には、完成したカートン(50)を下流側に搬送する搬出装置(80)が設けられている。
尚、本実施の形態では、サブブランク(51)及びメインブランク(52)が既述発明特定事項たるブランク(96)に対応している。
【0019】
[動作の説明]
次に、上記製函装置の動作を説明する。
図1に示すように、ブランクストック部(30)(30)の最上層に積層されたサブブランク(51)(51)がブランク取出ヘッド(32)(32)で吸着保持されて第1供給コンベヤ(31)(31)上に取り出されると、該第1供給コンベヤ(31)(31)でサブブランク(51)(51)が第1成形ステーション(S1)に搬送される。尚、この搬送途中に於いて、サブブランク(51)(51)の補強板(514)(514)(図8参照)が貼着代(513)(513)に対して重ね合わせ状態に適宜折り畳まれる。
図4の(a)に示すように、第1成形ステーション(S1)に搬送されたサブブランク(51)(51)の先端の貼着代(515)(515)は、マンドレル(1)の先端(1a)とレシーバプレート(64)で上下から挟持される。そして、この挟持状態で、マンドレル(1)とレシーバプレート(64)が一体的に下方の進出位置(P1)に降下されると、その降下途中で、サブブランク(51)(51)の側面板(511)(511)やコーナ面板(512)(512)等が、図4,図5に示す半成形位置(Q2)にある可動フォーマ(61)(61)(62)(62)・・・でマンドレル(1)に沿って折り畳まれ(図4の(b)参照)て成形空間(T1)内に移動する。この移動時には、可動フォーマ(61)(61)等はマンドレル(1)から離反した半成形位置(Q2)にある。即ち、図4の(a)(b)に例示した可動フォーマ(61)(61)のように、これら可動フォーマ(61)(61)の相互間隔は、マンドレル(1)の幅寸法(L)とサブブランク(51)(51)の板厚二枚分を加えた寸法よりも若干大きくなっている。従って、マンドレル(1)はサブブランク(51)(51)を折り曲げつつ円滑に成形空間(T1)に進入する。その後、可動フォーマ(61)(61)(62)(62)等を半成形位置(Q2)から仕上成形位置(Q1)に移動させる。具体的には、図5に示すように、最初に可動フォーマ(61)(61)を半成形位置(Q2)(想像線の位置)から仕上成形位置(Q1)(実線の位置)に移動させた後、その側方に順次配列された可動フォーマ(62)(62)と可動フォーマ(63)(63)をこの順序で仕上成形位置(Q1)に移動させる。すると、図4の(C)及び図5の実線で示すように、サブブランク(51)(51)が可動フォーマ(61)(61)等でマンドレル(1)の外面に押圧され、これにより、各サブブランク(51)の側面板(511)やコーナ面板(512)等がマンドレル(1)に密着する。従って、ブランク(96)の移動を許容するクリアランス(K)に相当する寸法誤差がカートン(9)に生じる既述従来の固定フォーマ式ものに比べ、前記カートン(9)の成形精度が向上する。
【0020】
次に、マンドレル(1)の外側壁に設けられた吸着具(110)(120)及び底壁に設けられた吸着具(図示せず)よって、サブブランク(51)(51)(マンドレル(1)に沿って折り曲げられている)を吸着する。即ち、図示しないバキューム装置の負圧を吸着具(110)(120)等に作用させ、これにより、吸着具(110)(120)等でサブブランク(51)(51)を吸引して吸着保持する。尚、各吸着具(110)はサブブランク(51)の中央部(側面板(511)部分)を吸着する一方、各吸着具(120)はサブブランク(51)の折り曲げ両端部を吸着し、マンドレル(1)の底壁に設けられた吸着具(図示せず)はサブブランク(51)の側面板(511)に連設された貼着代(515)を吸着する。その後、可動フォーマ(61)(62)・・・を半成形位置(Q2)に後退させた後、マンドレル(1)を後退位置(P2)に上昇させ、その後、ターンテーブル(2)を90°回転させることにより、サブブランク(51)(51)を吸着保持したマンドレル(1)を第2成形ステーション(S2)に移動させる。
【0021】
この状態では、第2成形ステーション(S2)に到達したマンドレル(1)の下方には、メインブランク(52)がメインブランク供給装置(4)で既に搬送されている。そこで、第2成形ステーション(S2)に到達したマンドレル(1)を後退位置(P2)から進出位置(P1)に降下させると、既述した第1成形ステーション(S1)の第1成形装置(6)と同様に第2成形装置(7)が動作し、これにより、マンドレル(1)に吸着保持されたサブブランク(51)(51)の外側にメインブランク(52)が重なる態様で折り畳まれる。
【0022】
即ち、図6,7に示すように、第2成形ステーション(S2)では、サブブランク(51)(51)を吸着保持したマンドレル(1)の下方にメインブランク供給装置(4)でメインブランク(52)が送り込まれた状態にあり、これにより、メインブランク(52)の底面板(522)がマンドレル(1)の先端(1a)に対応した状態(図7の(a)の状態)になっている。この状態でレシーバプレート(74)が上昇し、これにより、該レシーバプレート(74)とマンドレル(1)の先端(1a)でメインブランク(52)の底面板(522)が挟持される。そして、この挟持状態で、マンドレル(1)とレシーバプレート(74)が一体的に下方の進出位置(P1)に降下されると、その降下途中で、メインブランク(52)の正面板(521)(521)やコーナ面板(523)(523)等が、図6,図7に示す半成形位置(Q4)にある可動フォーマ(71)(71)(72)(72)・・・でマンドレル(1)(サブブランク(51)(51)を吸着保持している)に沿って折り畳まれ(図7の(b)参照)て成形空間(T2)内に移動する。この移動時には、可動フォーマ(71)(71)等はマンドレル(1)から離反した半成形位置(Q4)にある。即ち、サブブランク(51)(51)を吸着保持したマンドレル(1)と可動フォーマ(71)(71)等との間にメインブランク(52)の板厚部がルーズに進入できる位置まで、可動フォーマ(71)(71)等が後退している。従って、マンドレル(1)はメインブランク(52)を折り曲げつつ円滑に成形空間(T2)に進入する。その後、可動フォーマ(71)(71)(72)(72)等を半成形位置(Q4)から仕上成形位置(Q3)に移動させる。具体的には、図6に示すように、最初に可動フォーマ(73)(73)を半生成形位置(Q4)(想像線の位置)から仕上成形位置(Q3)(実線の位置)に移動させた後、その側方に順次配列された可動フォーマ(72)(72)と可動フォーマ(71)(71)をこの順序で動作させる。すると、図7の(C)及び図6の実線で示すように、メインブランク(52)が可動フォーマ(71)(72)(73)でマンドレル(1)側に押圧され、これにより、メインブランク(52)の正面板(521)やコーナ面板(523)等が、マンドレル(1)やこれに吸着保持されたサブブランク(51)(51)の外面に密着する。従って、ブランク(96)の移動を許容するクリアランス(K)に相当する寸法誤差がカートン(9)に生じる既述従来の固定フォーマ式ものに比べ、前記カートン(9)の成形精度が向上する。
【0023】
尚、レシーバプレート(74)や可動フォーマ(71)(72)(73)でメインブランク(52)をマンドレル(1)側に押圧するときは、既述ホットメルト塗布器(44)で塗布された熱溶融性樹脂は未だ冷却硬化しておらず溶融状態にある。従って、レシーバプレート(74)及び可動フォーマ(71)(72)(73)でメインブランク(52)がマンドレル(1)側に押圧されたときには前記貼着代(522a)(523a)等がサブブランク(51)(51)の対応部(重合部(98))に溶着される。これにより、貼着代(522a)(523a)等に塗布された水溶性ボンドが自然乾燥するまで、前記熱溶融性樹脂によりサブブランク(51)(51)とメインブランク(52)とが貼着状態に維持される。これにより、完成カートン(50)がマンドレル(1)に外嵌した状態になる。
【0024】
次に、可動フォーマ(71)(72)・・・を半成形位置(Q4)に後退させた後吸着具(110)(120)でカートン(50)を吸着保持しているマンドレル(1)を後退位置(P2)に上昇させ、その後、ターンテーブル(2)を90°単位で間欠回転させると、前記カートン(50)を吸着保持したマンドレル(1)が排出ステーション(S3)に到達する。
その後、マンドレル(1)を降下させた後、該マンドレル(1)に外嵌したカートン(50)を挟持プレート(88)(88)で挟持すると共に、該カートン(50)の底部を取出プレート(87)の吸着具(870)で吸着する一方、マンドレル(1)の吸着具(110)(120)によるカートン(50)の吸着保持を解除し、この状態でマンドレル(1)を後退位置(P2)に上昇させる。これにより、カートン(50)をマンドレル(1)から取り外すことができ、該取り外したカートン(50)を搬出装置(80)で下流側に搬送する。
【0025】
尚、上記実施の形態では、ホットメルト塗布器(44)で塗布された熱溶融性樹脂が冷却硬化しない間にメインブランク(52)をサブブランク(51)(51)に貼着するようにした。これに対し、前記熱溶融性樹脂を塗布してから、メインブランク(52)をサブブランク(51)(51)に貼着するまでの作業時間が長い場合は、熱溶融性樹脂が冷却硬化する心配がある。そこで、係る場合は、レシーバプレート(74)や可動フォーマ(71)(72)(73)にヒータを埋設し、これにより、熱溶融性樹脂を溶融させて前記貼着を行なう。
【0026】
尚、排出ステーション(S3)でカートン(50)の胴部を挟持プレート(88)(88)で挟持した後にマンドレル(1)を上昇させるときには吸着具(110)(120)をマンドレル(1)の内に後退収納させる機構を設けても良い。このようにすると、排出ステーション(S3)でマンドレル(1)を上昇させる際に吸着具(110)(120)の先端とカートン(50)が摩擦摺動しないから、吸着具(110)(120)の磨耗防止が図れる。
【0027】
尚、上記実施の形態では、二枚のサブブランク(51)(51)をメインブランク(52)に貼着するようにしたが、前記サブブランク(51)(51)を一体化した形状の一枚のサブブランクと前記メインブランク(52)を用いて前記カートン(50)を成形しても良い。又、全体が一枚構成のブランクを用いて前記カートン(50)を成形してもよい。
【0028】
更に、上記実施の形態では、サブブランク(51)を第1供給コンベヤ(31)で第1成形ステーション(S1)まで搬送する構成にしたが、ブランクストック部(30)と第1成形ステーション(S1)の近傍を巡回する搬送用吸着ヘッドでサブブランク(51)を第1成形ステーション(S1)に搬送する構成にしてもよい。即ち、前記搬送用吸着ヘッドでサブブランク(51)の下面を吸着保持するようにし、ブランクストック部(30)から取り出されたサブブランク(51)をブランク取出ヘッド(32)から前記搬送用吸着ヘッド(サブブランク(51)の下面を吸着保持する)で受け取ってこれを第1成形ステーション(S1)へ搬送する。
これと同様に、ブランクストック部(40)から取り出されたメインブランク(52)の下面を吸着保持する搬送用吸着ヘッドを設け、メインブランク(52)をブランク取出ヘッド(42)から前記搬送用吸着ヘッドで受け取ってこれを第2成形ステーション(S2)に搬送する構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係る製函装置の一部省略の外観斜視図
【図2】本発明の実施の形態に係る製函装置の一部省略の外観斜視図
【図3】本発明の実施の形態に係る製函装置の概略平面図
【図4】可動フォーマ(61)等の動作説明図
【図5】可動フォーマ(61)等の動作説明図
【図6】可動フォーマ(71)等の動作説明図
【図7】可動フォーマ(71)等の動作説明図
【図8】カートン(50)の構成図
【図9】従来例の説明図
【図10】従来例の説明図
【図11】従来例の説明図
【符号の説明】
【0030】
(1)・・・マンドレル
(1a)・・・先端
(61)(62)(63)(71)(72)(73)・・・可動フォーマ
(51)・・・サブブランク
(52)・・・メインブランク
(96)・・・ブランク
(P1)・・・進出位置
(P2)・・・後退位置
(A)(Q1)(Q3)・・・仕上成形位置
(B)(Q2)(Q4)・・・半成形位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
進出位置(P1)と後退位置(P2)との間で軸方向に進退駆動される角柱状のマンドレル(1)と、
前記進出位置(P1)にある前記マンドレル(1)の外周を包囲する位置に配列され、且つ、前記進出位置(P1)にある前記マンドレル(1)に対して接近した仕上成形位置(A)と離反した半成形位置(B)との間で往復移動する複数の可動フォーマとを具備し、
前記半成形位置(B)にある各可動フォーマで包囲される成形空間(T)より外側に張り出すブランク(96)を前記マンドレル(1)の先端(1a)で前記成形空間(T)に押し込んだ後、前記各可動フォーマを前記仕上成形位置(A)に移動させることにより前記ブランク(96)を前記マンドレル(1)に押圧させる、製函装置。
【請求項2】
請求項1に記載の製函装置に於いて、
前記各可動フォーマは、前記進出位置(P1)にあるマンドレル(1)の外周の各平面に対向する位置に設けられており、
前記各可動フォーマは、前記仕上成形位置(A)に移動する際、前記マンドレル(1)の外周に沿った配列方向に順次動作する、製函装置。
【請求項3】
請求項2に記載の製函装置に於いて、
前記ブランク(96)の中央域に対応する可動フォーマを前記仕上成形位置(A)に移動させた後に、その両側方に配列された各可動フォーマを配列方向に順次仕上成形位置(A)に移動させる、製函装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−297637(P2006−297637A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119007(P2005−119007)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(391029819)株式会社オーエム製作所 (34)
【Fターム(参考)】