製品の検査システム
【課題】異品種の製品の検査に対しても検査情報の状況を容易に認識することができる製品の検査システムを提供する。
【解決手段】バーコードリーダー5により機台Wに取り付けられているバーコードBから識別キーの読み取りを行うと、カメラ1a〜1eにより自動的に機台Wが撮影され、モニタ4に検査情報入力画面が表示される。作業者が機台Wの目視検査により得られる不具合箇所の位置及び検査情報をモニタ4上の検査情報入力画面を見ながら入力装置3から入力し登録すると、入力された不具合箇所の位置及び検査情報が識別キーに対応付けてサーバー7に記憶される。サーバー7は、識別キーに基づいて機台Wを構成する部品毎に集計対象領域を設定し、機台Wに対して記憶された検査情報から、集計対象領域毎に検査情報を抽出して集計する。この集計結果は、ハブ6を介してサーバー7に接続された各製造工程における端末機8によって確認される。
【解決手段】バーコードリーダー5により機台Wに取り付けられているバーコードBから識別キーの読み取りを行うと、カメラ1a〜1eにより自動的に機台Wが撮影され、モニタ4に検査情報入力画面が表示される。作業者が機台Wの目視検査により得られる不具合箇所の位置及び検査情報をモニタ4上の検査情報入力画面を見ながら入力装置3から入力し登録すると、入力された不具合箇所の位置及び検査情報が識別キーに対応付けてサーバー7に記憶される。サーバー7は、識別キーに基づいて機台Wを構成する部品毎に集計対象領域を設定し、機台Wに対して記憶された検査情報から、集計対象領域毎に検査情報を抽出して集計する。この集計結果は、ハブ6を介してサーバー7に接続された各製造工程における端末機8によって確認される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、製品の検査システムに係り、特に製品個体の各箇所における検査情報をその箇所の位置と共に入力して記憶させる検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、製品の製造においては塗装検査等の不具合検査が行われるが、従来、検査工程における検査結果は製品毎に用紙に記載され、その用紙を製品と共に修正工程に送り出すことで検査結果の伝達がなされていた。
ところが、不具合の箇所を伝達するためには、図面等において該当箇所を指定しなければならず、図面が記載された用紙を製品毎に用意するのに費用が嵩むと共に手間がかかるものであった。
そこで、特許文献1には、製品のイメージ画像を取得し、このイメージ画像上で不具合箇所の位置を特定して、不具合の内容と共に修正作業への指示を行う作業指示装置が提案されている。この作業指示装置によれば、図面が記載された用紙を用意する必要はなくなり、修正作業への指示が容易となる。
【0003】
【特許文献1】特開平10−269292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不具合の発生については、製品の中のどの位置でどのような不具合が発生しやすいか等の傾向を把握して品質管理、製造管理等に反映させることが有意義であるが、特許文献1の作業指示装置では、不具合発生の集計を行っていないため、傾向を把握することはできない。仮に、一定の品種の多数の製品に対する不具合検査を行い、イメージ画像上で特定された不具合箇所の位置及び不具合の内容を集計すれば、不具合発生の状況を認識することが可能となる。
しかしながら、それぞれ同一の部品あるいは形状や大きさが異なる同種の部品を用いている異品種の製品の検査を行う場合には、製品の品種毎に同一あるいは同種の部品の位置が異なると、上記のような不具合箇所の位置及び不具合の内容を集計しても、同一あるいは同種の部品毎の不具合発生の状況等を把握することは困難であった。
【0005】
この発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、異品種の製品の検査に対しても検査情報の状況を容易に認識することができる製品の検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る製品の検査システムは、製品個体毎に取り付けられ且つその製品個体を識別するための識別キーが記憶された識別体と、識別体に記憶されている識別キーを読み取る読取装置と、製品個体を撮影するための撮像装置と、撮像装置により撮影された製品個体の画像を表示するモニタと、モニタに表示された製品個体の画像上で製品個体の各箇所における検査情報をその箇所の位置と共に入力するための検査情報入力装置と、読取装置により読み取られた識別キーと検査情報入力装置から入力された検査情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、検査情報の集計条件が設定されると共に設定された集計条件と記憶された識別キーに基づいてその製品個体に対する集計対象領域を設定し、記憶された検査情報のうち設定された集計対象領域に含まれる検査情報を抽出して集計する集計手段とを備えたものである。
【0007】
なお、検査情報としては、製品個体の各箇所における不具合を示す情報を用いることができる。
また、集計対象領域は、製品の部品毎に設定することができる。
検査情報の集計条件は、予め集計手段に設定することができる。あるいは、集計条件設定装置をさらに備え、この集計条件設定装置を介して検査情報の集計条件が集計手段に設定されてもよい。
さらに、読取装置が識別体から識別キーを読み取ったときに自動的に撮像装置により製品個体を撮影してモニタに表示させる制御装置を備えてもよい。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、記憶手段が識別キーと検査情報とを対応付けて記憶すると共に、集計手段が検査情報の集計条件と識別キーに基づいてその製品個体に対する集計対象領域を設定し、記憶された検査情報のうち設定された集計対象領域に含まれる検査情報を抽出して集計するので、異品種の製品の検査に対しても検査情報の状況を容易に認識することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に実施の形態に係る製品の検査システムの全体構成を示す。この検査システムは、フォークリフトの機台を検査対象とした、塗装等の外観状態の目視検査に適用されたものである。製品としての機台Wを検査のために載置する検査用スペースSが予め所定の場所に設定されており、この検査用スペースSの近傍に複数のカメラ1a〜1eが設置されている。検査用スペースSに載置された機台Wに対し、カメラ1aは左側方から、カメラ1bは右側方から、カメラ1cは前方から、カメラ1dは後方から、カメラ1eは上方から、それぞれ撮影するためのものである。これらカメラ1a〜1eに制御装置2が接続され、制御装置2に入力装置3とモニタ4が接続されている。入力装置3としては、マウス、キーボード、タッチパネル等、汎用のコンピュータ装置に用いられる入力装置を使用することができる。
【0010】
また、機台Wには、仕様書等(図示せず)が添付されており、この仕様書等に、製品個体である機台Wを識別するための識別キーを記憶したバーコードBが表示されている。このバーコードBから識別キーを読み取るためのバーコードリーダー5が制御装置2に接続されている。
さらに、制御装置2にハブ6を介してサーバー7が接続され、必要に応じてハブ6に各製造工程における端末機8を接続することができるように構成されている。
なお、サーバー7には、製品個体である各機台Wに対応した識別キーとその機台Wの仕様とが予め格納されているものとする。
カメラ1a〜1eによりこの発明の撮像装置が、バーコードBにより識別体が、バーコードリーダー5により読取装置が、サーバー7により記憶手段及び集計手段が、それぞれ構成されている。
【0011】
次に、図2のフローチャートを参照してこの検査システムにおける検査情報の登録処理について説明する。まず、検査対象となる機台Wを検査用スペースSに載置し、ステップS1で、作業者は、バーコードリーダー5により機台Wに取り付けられているバーコードBから識別キーの読み取りを行う。
ステップS1における識別キーの読み取りが完了すると、制御装置2は、ステップS2で、カメラ1a〜1eを用いて自動的に機台Wの撮影を行う。このとき、カメラ1a〜1eにより、左側方、右側方、前方、後方及び上方の5方向からそれぞれ機台Wが撮影され、それぞれの画像がカメラ1a〜1eから制御装置2に送られる。このようにしてカメラ1a〜1eからの画像を入力した制御装置2は、モニタ4に、図3に示されるような検査情報入力画面を表示する。
【0012】
検査情報入力画面は、例えば、ステップS1で読み取った識別キーに基づいてサーバー7から読み出した機台Wの仕様11、カメラ1a〜1eによる5方向からの機台Wの画像のうちのいずれかを選択するための画像選択ボタン12〜16,画像選択ボタン12〜16により選択された機台Wの画像17、入力した検査情報を登録するための登録ボタン18、一旦入力した検査情報を取り消すための取消ボタン19を有している。図3は、画像選択ボタン12により左側方からの機台Wの画像が選択された状態を示している。
【0013】
続くステップS3で、作業者は、検査用スペースSに載置されている機台Wの目視検査を行い、検査により得られる検査情報をモニタ4上の検査情報入力画面を見ながら入力装置3から入力する。例えば、機台Wのボディに施された塗装に不具合を見つけたときに、図4に示されるように、検査情報入力画面の機台Wの画像17上で不具合箇所P1の位置を指定すると、画面上のその位置にマーク「×」が表示されると共に不具合箇所P1の近傍に不具合の状況を選択するためのウインドウ20が機台Wの画像17上に重畳表示される。このとき、不具合箇所P1の位置の指定は、例えば、モニタ4の画面上でカーソルの位置を不具合箇所P1に合わせた後、図示しないマウスのクリックボタンをクリックする等の操作により行うことができる。
【0014】
このウインドウ20には、どのような不具合であるかを具体的に表す複数の検査情報が言葉で表示される。例えば、塗装工程に不具合の原因があるものとして「かぶり」、「タレ」、「ブツ」等、組立工程に不具合の原因があるものとして「キズ」、「汚れ」等、その他の工程に不具合の原因があるものとして「ザラ」、「ツヤナシ」、「テープ跡」、「色ムラ」等が表示される。
そこで、作業者は、ウインドウ20に列挙された複数の検査情報の中から、不具合箇所P1における塗装の不具合に相当する検査情報を選択して指定する。この検査情報の指定も、不具合箇所P1の位置の指定と同様に、モニタ4の画面上でカーソルの位置を該当する検査情報の上に合わせた後、クリックボタンをクリックする等の操作により行うことができる。
なお、誤って不具合箇所の位置の指定またはウインドウ20内の検査情報の指定をしたときには、取消ボタン19を選択操作することにより、一旦入力した不具合箇所の位置及び検査情報が消去され、画面上からその箇所のマーク「×」も消去される。
【0015】
ウインドウ20内からの検査情報の指定が終了すると、機台Wの画像17上からウインドウ20が消去される。作業者は、同様にして、次の不具合箇所に対し、位置の指定及び検査情報の指定を行う。
このようにして、例えば図5に示されるように、左側方からの機台Wの画像において全ての不具合箇所P1〜P4の位置及び検査情報の指定が終了すると、同様にして、右側方、前方、後方及び上方から機台Wを見たときの不具合箇所について、それぞれの方向からの機台Wの画像上で不具合箇所の位置及び検査情報の指定を行う。
【0016】
そして、各方向から見た不具合箇所に関する位置及び検査情報の指定を全て完了すると、ステップS4で、作業者により画面上の登録ボタン18が選択操作される。これにより、ステップS3で入力された全ての不具合箇所の位置及び検査情報がステップS1で読み取られた識別キーと共に制御装置2からサーバー7へ送られる。
サーバー7は、制御装置2から送られてきた全ての不具合箇所の位置及び検査情報を識別キーに対応付けて記憶する。
【0017】
さらに、サーバー7は、記憶された識別キー、不具合箇所の位置及び検査情報に基づき、ステップS5で、検査情報の登録を行う。これにより、検査用スペースSに載置された機台Wの検査を完了する。
続くステップS6で、検査すべき次の機台がある場合には、同様にして、検査用スペースSに次の機台を載置し、検査を行う。
以上のようにして、検査対象となる機台の検査が順次実行され、それぞれの機台に関する識別キーと不具合箇所の位置及び検査情報とが対応付けてサーバー7に記憶される。ここで、サーバー7に記憶される検査情報の一例を図6に示す。2台の機台W1及びW2に対して実施された検査結果が機台別に記されている。
【0018】
続いて、図7のフローチャートを参照してこの検査システムにおける検査情報の集計処理について説明する。この実施の形態では各部品に対応した集計対象領域毎に検査情報の集計を行う、すなわち、集計対象領域が機台Wを構成する部品毎に設定される。例えば、ボディに対応した集計対象領域、カウンタウエイトに対応した集計対象領域、マストに対応した集計対象領域、フォークに対応した集計対象領域等が設定される。図8に示されるように、識別キー毎、すなわち機台毎の集計対象領域データが、その領域を識別する領域IDと、その領域が現れている機台の画像上の位置とによって予め設定され、サーバー7に記憶されているものとする。なお、各集計対象領域の位置は、例えば、モニタ4の画面上において、多角形の複数の頂点を示す複数の2次元座標により表すことができる。
【0019】
ステップS11で、サーバー7は、図8に示したような機台毎の集計対象領域データから、登録された識別キーに対応する領域IDの集計対象領域を得る。すなわち、集計対象領域の各面における位置データを得る。
そして、サーバー7は、ステップS12で、登録された識別キーに対応付けられた検査情報を読み込み、ステップS13で、その検査情報がステップS11で得た集計対象領域内の検査情報か否かを判定する。このとき、図6に示されるように、各検査情報は、指摘箇所のXY座標を含んでいるので、このXY座標と集計対象領域の位置データとを比較することにより、集計対象領域内の検査情報か否かの判定が可能となる。
【0020】
判定の結果、集計対象領域内のものであれば、サーバー7は、ステップS14で、その検査情報を集計データに追加し、ステップS15で、登録された識別キーに対応付けられた次の検査情報が存在するか否かを確認する。ステップS15で次の検査情報が存在することが確認されると、ステップS12に戻って次の検査情報が読み込まれ、ステップS13でこの検査情報が集計対象領域内の検査情報か否かが判定される。このようにして、ステップS15で次の検査情報が存在しないと確認されるまで、ステップS12〜S15が繰り返される。なお、ステップS13における判定の結果、検査情報が集計対象領域内のものでなければ、ステップS14の操作を行わずに、ステップS13からステップS15へと処理が進む。
【0021】
ステップS15で次の検査情報が存在しないと確認された場合には、ステップS16に進み、登録された識別キーに対応する次の領域IDが存在するか否かが判定される。次の領域IDが存在する場合には、サーバー7は、ステップS11に戻って次の領域IDの集計対象領域を得た後、ステップS12〜S16を繰り返す。ステップS16で次の領域IDが存在しないと判定されたところで、集計処理を終了する。
このように、設定された集計対象領域毎にその集計対象領域に含まれる検査情報を抽出して集計する。上記の集計処理により得られた集計データD1の一例を図9に示す。集計対象領域毎、すなわち、部品毎の不具合の内容及び発生件数が集計されている。
【0022】
集計処理は、上述した検査情報の登録の都度自動的に行われる。すなわち、検査情報が登録された機台一台毎に集計する、という集計条件が予めサーバー7に設定されている。この集計処理によれば不具合発生件数の最新状況が得られ、得られた不具合発生件数は、部品及び不具合内容に対応する前工程へ通知されることが好ましい。自動的な集計処理は、機台一台毎に限らず、所定機台数毎、所定時刻、所定時間間隔で、複数の機台を対象として行ってもよい。
また、検査情報の登録の都度自動的に行う代わりに、例えばハブ6を介してサーバー7に接続された端末機8の操作により実行させることもできる。この場合も、複数の機台を対象として集計処理を行うことができる。
【0023】
複数の機台を対象として集計する場合には、図10のフローチャートに従って、集計処理が行われる。このフローチャートは、図7に示したフローチャートにおいて、ステップS11の前段にステップS21及びS22を追加すると共にステップS16の後段にステップS23を追加したものである。
【0024】
まず、ステップS21で、検査情報の集計条件が設定される。集計条件は、例えば、機台の機種、検査期間等を指定するもので、さらに、機種については、標準/特型品の区別をつけてもよい。また、機種、検査期間等の条件を省略することもできる。このような集計条件の設定は、例えばサーバー7に接続された端末機8等を集計条件設定装置としてこの端末機8等から設定することができる。この他、予めサーバー7に所定の集計条件が設定されていてもよい。
【0025】
次に、ステップS22で、サーバー7は、設定された集計条件に合致する識別キーを読み込み、ステップS11で、機台毎の集計対象領域データから、読み込まれた識別キーに対応する領域IDの集計対象領域を得る。その後は、図7に示したフローチャートのステップS11〜S16と同様にして、集計対象領域毎に検査情報が抽出され、集計される。
ステップS16で次の領域IDが存在しないと判定されると、ステップS23に進み、集計条件に合致する次の識別キーが存在するか否かが判定される。次の識別キーが存在する場合には、サーバー7は、ステップS22に戻って次の識別キーを読み込み、ステップS11〜S23を繰り返す。一方、ステップS23で次の識別キーが存在しないと判定されると、集計処理を終了する。
【0026】
このようにして、設定された集計条件に合致する機台の識別キー全てに対して集計処理が行なわれる。この集計処理により得られた集計データD2の一例を図11に示す。集計対象領域毎、すなわち、部品毎の不具合の内容及び発生件数が集計されている。
図7あるいは図10のフローチャートに従って実行された集計処理の結果は、ハブ6を介してサーバー7に接続された各製造工程における端末機8によって確認することができ、部品毎の不具合発生の状況、傾向等を把握することが可能となる。
【0027】
端末機8からの指示により、サーバー7は、各機台の集計対象領域毎の集計だけでなく、複数の機台に対して、時間的な不具合発生頻度及び不具合発生箇所の傾向、不具合の種別毎の集計、不具合の原因となる工程毎の集計、機台の機種毎の集計等を行うことができる。
【0028】
機台の機種が異なると、機台の部品と画像上の位置との対応関係が異なる場合がある。例えば、図12に示したカウンタ式のフォークリフトでは、画面上の特定の位置A1はシートに、位置A2は前輪にそれぞれ対応しているが、図13に示されるリーチ式のフォークリフトにおいては、画面上の同一の位置A1がボディに、位置A2がリーチレグにそれぞれ対応している。しかしながら、上述したように、サーバー7は、各機台Wに対応した識別キーに基づいて機台Wを構成する部品毎に集計対象領域を設定し、集計対象領域が現れている機台の画像上の位置によって集計対象領域データが予め設定されているため、機台の機種が異なっても、同一または同種の部品に対応する検査情報を集計することが可能となる。すなわち、互いに機種が異なる機台に対しても、ボディにおける不具合、マストにおける不具合、というように同一または同種の部品毎に不具合の状況を把握することが容易となる。さらに、特別仕様の一品物の機台に対しても、部品毎に不具合の状況を把握することができる。
【0029】
上記の実施の形態においては、部品毎に集計対象領域を設定したが、これに限るものではなく、例えば、図12及び13に示したように、機台Wの画像を映し出す画面の全体をメッシュ状の多数の単位領域Aに分割し、この単位領域A毎に検査情報を集計することもできる。
上記の実施の形態においては、識別キーが記憶された識別体としてバーコードBを用いたが、この他、2次元コード、RFID等に識別キーを記憶させて識別体とすることもできる。この場合、読取装置としては、2次元コードリーダー、RFIDリーダー等を用いればよい。
また、フォークリフトの機台に対する塗装の不具合検査を例にとって説明したが、塗装だけでなく、付随部品の有無を目視で確認する検査にもこの発明を適用することができる。
さらに、検査対象としては、フォークリフトの機台に限るものではなく、各種の製品を検査対象とすることができる。
【0030】
なお、必ずしも集計対象領域と部品の形状とを一対一に対応させる必要はない。複数の部品を一つの集計対象領域として扱ってもよく、また、一つの部品を複数の集計対象領域に分割してもよい。部品の形状と一致しない領域を集計対象領域として設定してもよい。
また、図8に示したような機台毎の集計対象領域データを用いずに、製品に応じて、例えば、図12及び13に示したように、製品の画像を映し出す画面の全体をメッシュ状の多数の単位領域Aに分割し、この単位領域A毎に検査情報を集計する構成にしてもよい。
カメラによる画像は、製品に対して左側方、右側方、前方、後方及び上方の5方向には限らない。斜め方向、下方からの画像を用いたり、部分的に製品を近接撮影してもよい。
また、図6に示した検査情報データ、図8に示した集計対象領域データ、図9及び10に示した集計データは、いずれも単なる一例を示したものに過ぎず、同様の処理を実行可能であれば、データ構造は図示したものに何ら限られない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の実施の形態に係る製品の検査システムの全体構成を示す図である。
【図2】実施の形態における検査情報の登録処理を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態における検査情報入力画面を示す図である。
【図4】検査情報入力時におけるモニタ画面の一部を示す図である。
【図5】全ての不具合箇所の入力が完了した状態のモニタ画面の一部を示す図である。
【図6】実施の形態で用いられた検査情報データを示す図である。
【図7】実施の形態における集計処理を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態で用いられた集計対象領域データを示す図である。
【図9】実施の形態で作成された集計データを示す図である。
【図10】実施の形態の変形例における集計処理を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態の変形例で作成された集計データを示す図である。
【図12】機台が表示された画面をメッシュ状の多数の単位領域に分割した状態を示す図である。
【図13】他の機種の機台が表示された画面をメッシュ状の多数の単位領域に分割した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1a〜1e カメラ、2 制御装置、3 入力装置、4 モニタ、5 バーコードリーダー、6 ハブ、7 サーバー、8 端末機、11 仕様、12〜16 画像選択ボタン、17 機台の画像、18 登録ボタン、19 取消ボタン、20 ウインドウ、W 機台、S 検査用スペース、B バーコード、P1〜P4 不具合箇所、A 単位領域。
【技術分野】
【0001】
この発明は、製品の検査システムに係り、特に製品個体の各箇所における検査情報をその箇所の位置と共に入力して記憶させる検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、製品の製造においては塗装検査等の不具合検査が行われるが、従来、検査工程における検査結果は製品毎に用紙に記載され、その用紙を製品と共に修正工程に送り出すことで検査結果の伝達がなされていた。
ところが、不具合の箇所を伝達するためには、図面等において該当箇所を指定しなければならず、図面が記載された用紙を製品毎に用意するのに費用が嵩むと共に手間がかかるものであった。
そこで、特許文献1には、製品のイメージ画像を取得し、このイメージ画像上で不具合箇所の位置を特定して、不具合の内容と共に修正作業への指示を行う作業指示装置が提案されている。この作業指示装置によれば、図面が記載された用紙を用意する必要はなくなり、修正作業への指示が容易となる。
【0003】
【特許文献1】特開平10−269292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不具合の発生については、製品の中のどの位置でどのような不具合が発生しやすいか等の傾向を把握して品質管理、製造管理等に反映させることが有意義であるが、特許文献1の作業指示装置では、不具合発生の集計を行っていないため、傾向を把握することはできない。仮に、一定の品種の多数の製品に対する不具合検査を行い、イメージ画像上で特定された不具合箇所の位置及び不具合の内容を集計すれば、不具合発生の状況を認識することが可能となる。
しかしながら、それぞれ同一の部品あるいは形状や大きさが異なる同種の部品を用いている異品種の製品の検査を行う場合には、製品の品種毎に同一あるいは同種の部品の位置が異なると、上記のような不具合箇所の位置及び不具合の内容を集計しても、同一あるいは同種の部品毎の不具合発生の状況等を把握することは困難であった。
【0005】
この発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、異品種の製品の検査に対しても検査情報の状況を容易に認識することができる製品の検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る製品の検査システムは、製品個体毎に取り付けられ且つその製品個体を識別するための識別キーが記憶された識別体と、識別体に記憶されている識別キーを読み取る読取装置と、製品個体を撮影するための撮像装置と、撮像装置により撮影された製品個体の画像を表示するモニタと、モニタに表示された製品個体の画像上で製品個体の各箇所における検査情報をその箇所の位置と共に入力するための検査情報入力装置と、読取装置により読み取られた識別キーと検査情報入力装置から入力された検査情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、検査情報の集計条件が設定されると共に設定された集計条件と記憶された識別キーに基づいてその製品個体に対する集計対象領域を設定し、記憶された検査情報のうち設定された集計対象領域に含まれる検査情報を抽出して集計する集計手段とを備えたものである。
【0007】
なお、検査情報としては、製品個体の各箇所における不具合を示す情報を用いることができる。
また、集計対象領域は、製品の部品毎に設定することができる。
検査情報の集計条件は、予め集計手段に設定することができる。あるいは、集計条件設定装置をさらに備え、この集計条件設定装置を介して検査情報の集計条件が集計手段に設定されてもよい。
さらに、読取装置が識別体から識別キーを読み取ったときに自動的に撮像装置により製品個体を撮影してモニタに表示させる制御装置を備えてもよい。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、記憶手段が識別キーと検査情報とを対応付けて記憶すると共に、集計手段が検査情報の集計条件と識別キーに基づいてその製品個体に対する集計対象領域を設定し、記憶された検査情報のうち設定された集計対象領域に含まれる検査情報を抽出して集計するので、異品種の製品の検査に対しても検査情報の状況を容易に認識することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に実施の形態に係る製品の検査システムの全体構成を示す。この検査システムは、フォークリフトの機台を検査対象とした、塗装等の外観状態の目視検査に適用されたものである。製品としての機台Wを検査のために載置する検査用スペースSが予め所定の場所に設定されており、この検査用スペースSの近傍に複数のカメラ1a〜1eが設置されている。検査用スペースSに載置された機台Wに対し、カメラ1aは左側方から、カメラ1bは右側方から、カメラ1cは前方から、カメラ1dは後方から、カメラ1eは上方から、それぞれ撮影するためのものである。これらカメラ1a〜1eに制御装置2が接続され、制御装置2に入力装置3とモニタ4が接続されている。入力装置3としては、マウス、キーボード、タッチパネル等、汎用のコンピュータ装置に用いられる入力装置を使用することができる。
【0010】
また、機台Wには、仕様書等(図示せず)が添付されており、この仕様書等に、製品個体である機台Wを識別するための識別キーを記憶したバーコードBが表示されている。このバーコードBから識別キーを読み取るためのバーコードリーダー5が制御装置2に接続されている。
さらに、制御装置2にハブ6を介してサーバー7が接続され、必要に応じてハブ6に各製造工程における端末機8を接続することができるように構成されている。
なお、サーバー7には、製品個体である各機台Wに対応した識別キーとその機台Wの仕様とが予め格納されているものとする。
カメラ1a〜1eによりこの発明の撮像装置が、バーコードBにより識別体が、バーコードリーダー5により読取装置が、サーバー7により記憶手段及び集計手段が、それぞれ構成されている。
【0011】
次に、図2のフローチャートを参照してこの検査システムにおける検査情報の登録処理について説明する。まず、検査対象となる機台Wを検査用スペースSに載置し、ステップS1で、作業者は、バーコードリーダー5により機台Wに取り付けられているバーコードBから識別キーの読み取りを行う。
ステップS1における識別キーの読み取りが完了すると、制御装置2は、ステップS2で、カメラ1a〜1eを用いて自動的に機台Wの撮影を行う。このとき、カメラ1a〜1eにより、左側方、右側方、前方、後方及び上方の5方向からそれぞれ機台Wが撮影され、それぞれの画像がカメラ1a〜1eから制御装置2に送られる。このようにしてカメラ1a〜1eからの画像を入力した制御装置2は、モニタ4に、図3に示されるような検査情報入力画面を表示する。
【0012】
検査情報入力画面は、例えば、ステップS1で読み取った識別キーに基づいてサーバー7から読み出した機台Wの仕様11、カメラ1a〜1eによる5方向からの機台Wの画像のうちのいずれかを選択するための画像選択ボタン12〜16,画像選択ボタン12〜16により選択された機台Wの画像17、入力した検査情報を登録するための登録ボタン18、一旦入力した検査情報を取り消すための取消ボタン19を有している。図3は、画像選択ボタン12により左側方からの機台Wの画像が選択された状態を示している。
【0013】
続くステップS3で、作業者は、検査用スペースSに載置されている機台Wの目視検査を行い、検査により得られる検査情報をモニタ4上の検査情報入力画面を見ながら入力装置3から入力する。例えば、機台Wのボディに施された塗装に不具合を見つけたときに、図4に示されるように、検査情報入力画面の機台Wの画像17上で不具合箇所P1の位置を指定すると、画面上のその位置にマーク「×」が表示されると共に不具合箇所P1の近傍に不具合の状況を選択するためのウインドウ20が機台Wの画像17上に重畳表示される。このとき、不具合箇所P1の位置の指定は、例えば、モニタ4の画面上でカーソルの位置を不具合箇所P1に合わせた後、図示しないマウスのクリックボタンをクリックする等の操作により行うことができる。
【0014】
このウインドウ20には、どのような不具合であるかを具体的に表す複数の検査情報が言葉で表示される。例えば、塗装工程に不具合の原因があるものとして「かぶり」、「タレ」、「ブツ」等、組立工程に不具合の原因があるものとして「キズ」、「汚れ」等、その他の工程に不具合の原因があるものとして「ザラ」、「ツヤナシ」、「テープ跡」、「色ムラ」等が表示される。
そこで、作業者は、ウインドウ20に列挙された複数の検査情報の中から、不具合箇所P1における塗装の不具合に相当する検査情報を選択して指定する。この検査情報の指定も、不具合箇所P1の位置の指定と同様に、モニタ4の画面上でカーソルの位置を該当する検査情報の上に合わせた後、クリックボタンをクリックする等の操作により行うことができる。
なお、誤って不具合箇所の位置の指定またはウインドウ20内の検査情報の指定をしたときには、取消ボタン19を選択操作することにより、一旦入力した不具合箇所の位置及び検査情報が消去され、画面上からその箇所のマーク「×」も消去される。
【0015】
ウインドウ20内からの検査情報の指定が終了すると、機台Wの画像17上からウインドウ20が消去される。作業者は、同様にして、次の不具合箇所に対し、位置の指定及び検査情報の指定を行う。
このようにして、例えば図5に示されるように、左側方からの機台Wの画像において全ての不具合箇所P1〜P4の位置及び検査情報の指定が終了すると、同様にして、右側方、前方、後方及び上方から機台Wを見たときの不具合箇所について、それぞれの方向からの機台Wの画像上で不具合箇所の位置及び検査情報の指定を行う。
【0016】
そして、各方向から見た不具合箇所に関する位置及び検査情報の指定を全て完了すると、ステップS4で、作業者により画面上の登録ボタン18が選択操作される。これにより、ステップS3で入力された全ての不具合箇所の位置及び検査情報がステップS1で読み取られた識別キーと共に制御装置2からサーバー7へ送られる。
サーバー7は、制御装置2から送られてきた全ての不具合箇所の位置及び検査情報を識別キーに対応付けて記憶する。
【0017】
さらに、サーバー7は、記憶された識別キー、不具合箇所の位置及び検査情報に基づき、ステップS5で、検査情報の登録を行う。これにより、検査用スペースSに載置された機台Wの検査を完了する。
続くステップS6で、検査すべき次の機台がある場合には、同様にして、検査用スペースSに次の機台を載置し、検査を行う。
以上のようにして、検査対象となる機台の検査が順次実行され、それぞれの機台に関する識別キーと不具合箇所の位置及び検査情報とが対応付けてサーバー7に記憶される。ここで、サーバー7に記憶される検査情報の一例を図6に示す。2台の機台W1及びW2に対して実施された検査結果が機台別に記されている。
【0018】
続いて、図7のフローチャートを参照してこの検査システムにおける検査情報の集計処理について説明する。この実施の形態では各部品に対応した集計対象領域毎に検査情報の集計を行う、すなわち、集計対象領域が機台Wを構成する部品毎に設定される。例えば、ボディに対応した集計対象領域、カウンタウエイトに対応した集計対象領域、マストに対応した集計対象領域、フォークに対応した集計対象領域等が設定される。図8に示されるように、識別キー毎、すなわち機台毎の集計対象領域データが、その領域を識別する領域IDと、その領域が現れている機台の画像上の位置とによって予め設定され、サーバー7に記憶されているものとする。なお、各集計対象領域の位置は、例えば、モニタ4の画面上において、多角形の複数の頂点を示す複数の2次元座標により表すことができる。
【0019】
ステップS11で、サーバー7は、図8に示したような機台毎の集計対象領域データから、登録された識別キーに対応する領域IDの集計対象領域を得る。すなわち、集計対象領域の各面における位置データを得る。
そして、サーバー7は、ステップS12で、登録された識別キーに対応付けられた検査情報を読み込み、ステップS13で、その検査情報がステップS11で得た集計対象領域内の検査情報か否かを判定する。このとき、図6に示されるように、各検査情報は、指摘箇所のXY座標を含んでいるので、このXY座標と集計対象領域の位置データとを比較することにより、集計対象領域内の検査情報か否かの判定が可能となる。
【0020】
判定の結果、集計対象領域内のものであれば、サーバー7は、ステップS14で、その検査情報を集計データに追加し、ステップS15で、登録された識別キーに対応付けられた次の検査情報が存在するか否かを確認する。ステップS15で次の検査情報が存在することが確認されると、ステップS12に戻って次の検査情報が読み込まれ、ステップS13でこの検査情報が集計対象領域内の検査情報か否かが判定される。このようにして、ステップS15で次の検査情報が存在しないと確認されるまで、ステップS12〜S15が繰り返される。なお、ステップS13における判定の結果、検査情報が集計対象領域内のものでなければ、ステップS14の操作を行わずに、ステップS13からステップS15へと処理が進む。
【0021】
ステップS15で次の検査情報が存在しないと確認された場合には、ステップS16に進み、登録された識別キーに対応する次の領域IDが存在するか否かが判定される。次の領域IDが存在する場合には、サーバー7は、ステップS11に戻って次の領域IDの集計対象領域を得た後、ステップS12〜S16を繰り返す。ステップS16で次の領域IDが存在しないと判定されたところで、集計処理を終了する。
このように、設定された集計対象領域毎にその集計対象領域に含まれる検査情報を抽出して集計する。上記の集計処理により得られた集計データD1の一例を図9に示す。集計対象領域毎、すなわち、部品毎の不具合の内容及び発生件数が集計されている。
【0022】
集計処理は、上述した検査情報の登録の都度自動的に行われる。すなわち、検査情報が登録された機台一台毎に集計する、という集計条件が予めサーバー7に設定されている。この集計処理によれば不具合発生件数の最新状況が得られ、得られた不具合発生件数は、部品及び不具合内容に対応する前工程へ通知されることが好ましい。自動的な集計処理は、機台一台毎に限らず、所定機台数毎、所定時刻、所定時間間隔で、複数の機台を対象として行ってもよい。
また、検査情報の登録の都度自動的に行う代わりに、例えばハブ6を介してサーバー7に接続された端末機8の操作により実行させることもできる。この場合も、複数の機台を対象として集計処理を行うことができる。
【0023】
複数の機台を対象として集計する場合には、図10のフローチャートに従って、集計処理が行われる。このフローチャートは、図7に示したフローチャートにおいて、ステップS11の前段にステップS21及びS22を追加すると共にステップS16の後段にステップS23を追加したものである。
【0024】
まず、ステップS21で、検査情報の集計条件が設定される。集計条件は、例えば、機台の機種、検査期間等を指定するもので、さらに、機種については、標準/特型品の区別をつけてもよい。また、機種、検査期間等の条件を省略することもできる。このような集計条件の設定は、例えばサーバー7に接続された端末機8等を集計条件設定装置としてこの端末機8等から設定することができる。この他、予めサーバー7に所定の集計条件が設定されていてもよい。
【0025】
次に、ステップS22で、サーバー7は、設定された集計条件に合致する識別キーを読み込み、ステップS11で、機台毎の集計対象領域データから、読み込まれた識別キーに対応する領域IDの集計対象領域を得る。その後は、図7に示したフローチャートのステップS11〜S16と同様にして、集計対象領域毎に検査情報が抽出され、集計される。
ステップS16で次の領域IDが存在しないと判定されると、ステップS23に進み、集計条件に合致する次の識別キーが存在するか否かが判定される。次の識別キーが存在する場合には、サーバー7は、ステップS22に戻って次の識別キーを読み込み、ステップS11〜S23を繰り返す。一方、ステップS23で次の識別キーが存在しないと判定されると、集計処理を終了する。
【0026】
このようにして、設定された集計条件に合致する機台の識別キー全てに対して集計処理が行なわれる。この集計処理により得られた集計データD2の一例を図11に示す。集計対象領域毎、すなわち、部品毎の不具合の内容及び発生件数が集計されている。
図7あるいは図10のフローチャートに従って実行された集計処理の結果は、ハブ6を介してサーバー7に接続された各製造工程における端末機8によって確認することができ、部品毎の不具合発生の状況、傾向等を把握することが可能となる。
【0027】
端末機8からの指示により、サーバー7は、各機台の集計対象領域毎の集計だけでなく、複数の機台に対して、時間的な不具合発生頻度及び不具合発生箇所の傾向、不具合の種別毎の集計、不具合の原因となる工程毎の集計、機台の機種毎の集計等を行うことができる。
【0028】
機台の機種が異なると、機台の部品と画像上の位置との対応関係が異なる場合がある。例えば、図12に示したカウンタ式のフォークリフトでは、画面上の特定の位置A1はシートに、位置A2は前輪にそれぞれ対応しているが、図13に示されるリーチ式のフォークリフトにおいては、画面上の同一の位置A1がボディに、位置A2がリーチレグにそれぞれ対応している。しかしながら、上述したように、サーバー7は、各機台Wに対応した識別キーに基づいて機台Wを構成する部品毎に集計対象領域を設定し、集計対象領域が現れている機台の画像上の位置によって集計対象領域データが予め設定されているため、機台の機種が異なっても、同一または同種の部品に対応する検査情報を集計することが可能となる。すなわち、互いに機種が異なる機台に対しても、ボディにおける不具合、マストにおける不具合、というように同一または同種の部品毎に不具合の状況を把握することが容易となる。さらに、特別仕様の一品物の機台に対しても、部品毎に不具合の状況を把握することができる。
【0029】
上記の実施の形態においては、部品毎に集計対象領域を設定したが、これに限るものではなく、例えば、図12及び13に示したように、機台Wの画像を映し出す画面の全体をメッシュ状の多数の単位領域Aに分割し、この単位領域A毎に検査情報を集計することもできる。
上記の実施の形態においては、識別キーが記憶された識別体としてバーコードBを用いたが、この他、2次元コード、RFID等に識別キーを記憶させて識別体とすることもできる。この場合、読取装置としては、2次元コードリーダー、RFIDリーダー等を用いればよい。
また、フォークリフトの機台に対する塗装の不具合検査を例にとって説明したが、塗装だけでなく、付随部品の有無を目視で確認する検査にもこの発明を適用することができる。
さらに、検査対象としては、フォークリフトの機台に限るものではなく、各種の製品を検査対象とすることができる。
【0030】
なお、必ずしも集計対象領域と部品の形状とを一対一に対応させる必要はない。複数の部品を一つの集計対象領域として扱ってもよく、また、一つの部品を複数の集計対象領域に分割してもよい。部品の形状と一致しない領域を集計対象領域として設定してもよい。
また、図8に示したような機台毎の集計対象領域データを用いずに、製品に応じて、例えば、図12及び13に示したように、製品の画像を映し出す画面の全体をメッシュ状の多数の単位領域Aに分割し、この単位領域A毎に検査情報を集計する構成にしてもよい。
カメラによる画像は、製品に対して左側方、右側方、前方、後方及び上方の5方向には限らない。斜め方向、下方からの画像を用いたり、部分的に製品を近接撮影してもよい。
また、図6に示した検査情報データ、図8に示した集計対象領域データ、図9及び10に示した集計データは、いずれも単なる一例を示したものに過ぎず、同様の処理を実行可能であれば、データ構造は図示したものに何ら限られない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の実施の形態に係る製品の検査システムの全体構成を示す図である。
【図2】実施の形態における検査情報の登録処理を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態における検査情報入力画面を示す図である。
【図4】検査情報入力時におけるモニタ画面の一部を示す図である。
【図5】全ての不具合箇所の入力が完了した状態のモニタ画面の一部を示す図である。
【図6】実施の形態で用いられた検査情報データを示す図である。
【図7】実施の形態における集計処理を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態で用いられた集計対象領域データを示す図である。
【図9】実施の形態で作成された集計データを示す図である。
【図10】実施の形態の変形例における集計処理を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態の変形例で作成された集計データを示す図である。
【図12】機台が表示された画面をメッシュ状の多数の単位領域に分割した状態を示す図である。
【図13】他の機種の機台が表示された画面をメッシュ状の多数の単位領域に分割した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1a〜1e カメラ、2 制御装置、3 入力装置、4 モニタ、5 バーコードリーダー、6 ハブ、7 サーバー、8 端末機、11 仕様、12〜16 画像選択ボタン、17 機台の画像、18 登録ボタン、19 取消ボタン、20 ウインドウ、W 機台、S 検査用スペース、B バーコード、P1〜P4 不具合箇所、A 単位領域。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品個体毎に取り付けられ且つその製品個体を識別するための識別キーが記録された識別体と、
前記識別体に記録されている識別キーを読み取る読取装置と、
製品個体を撮影するための撮像装置と、
前記撮像装置により撮影された製品個体の画像を表示するモニタと、
前記モニタに表示された製品個体の画像上で製品個体の各箇所における検査情報をその箇所の位置と共に入力するための検査情報入力装置と、
前記読取装置により読み取られた識別キーと前記検査情報入力装置から入力された検査情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
検査情報の集計条件が設定されると共に設定された集計条件と記憶された識別キーに基づいてその製品個体に対する集計対象領域を設定し、記憶された検査情報のうち設定された集計対象領域に含まれる検査情報を抽出して集計する集計手段と
を備えたことを特徴とする製品の検査システム。
【請求項2】
前記検査情報は、製品個体の各箇所における不具合を示す情報である請求項1に記載の製品の検査システム。
【請求項3】
前記集計対象領域は、製品の部品毎に設定される請求項1または2に記載の製品の検査システム。
【請求項4】
検査情報の集計条件は、予め前記集計手段に設定されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の製品の検査システム。
【請求項5】
集計条件設定装置をさらに備え、検査情報の集計条件は、前記集計条件設定装置を介して前記集計手段に設定される請求項1〜3のいずれか一項に記載の製品の検査システム。
【請求項6】
前記読取装置が前記識別体から識別キーを読み取ると、自動的に前記撮像装置により製品個体を撮影して前記モニタに表示させる制御装置をさらに備えた請求項1〜5のいずれか一項に記載の製品の検査システム。
【請求項1】
製品個体毎に取り付けられ且つその製品個体を識別するための識別キーが記録された識別体と、
前記識別体に記録されている識別キーを読み取る読取装置と、
製品個体を撮影するための撮像装置と、
前記撮像装置により撮影された製品個体の画像を表示するモニタと、
前記モニタに表示された製品個体の画像上で製品個体の各箇所における検査情報をその箇所の位置と共に入力するための検査情報入力装置と、
前記読取装置により読み取られた識別キーと前記検査情報入力装置から入力された検査情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
検査情報の集計条件が設定されると共に設定された集計条件と記憶された識別キーに基づいてその製品個体に対する集計対象領域を設定し、記憶された検査情報のうち設定された集計対象領域に含まれる検査情報を抽出して集計する集計手段と
を備えたことを特徴とする製品の検査システム。
【請求項2】
前記検査情報は、製品個体の各箇所における不具合を示す情報である請求項1に記載の製品の検査システム。
【請求項3】
前記集計対象領域は、製品の部品毎に設定される請求項1または2に記載の製品の検査システム。
【請求項4】
検査情報の集計条件は、予め前記集計手段に設定されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の製品の検査システム。
【請求項5】
集計条件設定装置をさらに備え、検査情報の集計条件は、前記集計条件設定装置を介して前記集計手段に設定される請求項1〜3のいずれか一項に記載の製品の検査システム。
【請求項6】
前記読取装置が前記識別体から識別キーを読み取ると、自動的に前記撮像装置により製品個体を撮影して前記モニタに表示させる制御装置をさらに備えた請求項1〜5のいずれか一項に記載の製品の検査システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−98859(P2009−98859A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268988(P2007−268988)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
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