製塩用微細霧発生モータ
【課題】海水を微細霧状にして温風ないし熱風を当てることにより水分を蒸発させて製塩する際の微細霧発生用モータの長寿命化技術に関し、このように、海水を霧状にするための高速駆動モータをより確実に長寿命化可能とする。
【解決手段】海水の微細霧発生用のモータの出力軸を包囲する防塩カバー手段を設けると共に、該モータ自体は密閉空間に収納し、該密閉空間の内部に圧縮空気を供給する構造とする。そして、前記防塩カバー手段中のモータ出力軸の外周に、モータ出力軸の外径より大径の遮断手段を設けてある。
【解決手段】海水の微細霧発生用のモータの出力軸を包囲する防塩カバー手段を設けると共に、該モータ自体は密閉空間に収納し、該密閉空間の内部に圧縮空気を供給する構造とする。そして、前記防塩カバー手段中のモータ出力軸の外周に、モータ出力軸の外径より大径の遮断手段を設けてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水を微細霧状にして温風ないし熱風を当てることにより水分を蒸発させて製塩する際の微細霧発生用モータの長寿命化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の発明者は、特許第3250738 号において、放射状空洞を有する水車型の羽根車で海水を飛散させることによって微細霧状にした状態で温風ないし熱風を吹き付けて瞬時に塩の結晶を得る製塩法を提案した。この技術によって製造した食塩は、海水中のミネラル分が豊富に含まれていて健康維持に有効という理由から高い評価を受けており、国内はもちろん外国にも普及しつつある。
【0003】
このような高い需要に対応すべく、さらに高品質の塩をより安価に量産するために、高速回転する駆動モータの長寿命化を実現する必要がある。そこで、本発明の発明者は、特願2004−152347において、海水の微細霧発生用のモータの出力軸を包囲する防塩カバー手段を設けると共に、モータ自体は密閉空間に収納し、前記出力軸の外周にシール手段を設けて、出力軸の外側の隙間から塩分が進入するのを防止する構造を提案した。
【0004】
このように、微細霧発生用のモータの出力軸を包囲する防塩カバー手段を設けているので、塩分がモータ軸に到達するのを阻止でき、塩分がモータ軸に沿って、モータ内部まで浸入するのを抑制できる。しかも、前記出力軸の外周にオイルシーラーなどのシール手段を設けてあるので、出力軸の外側の隙間から塩分が進入するのをより効果的に抑制できる。
【特許文献1】特許第3250738
【特許文献2】特願2004−152347
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のような構造によって細霧発生用モータの長寿命化はある程度は改善されるが、モータ出力軸に水分や塩分が付着するのは阻止できないため、モータ軸の外周面からモータ内部に塩分が浸入することを確実に避けることは困難であり、細霧発生用の回転盤を高速回転させる高価な高速高精度モータの場合は、より確実に塩分の浸入を阻止して、軸受けグリースや軸受けより内側のモータ機構部の劣化を遅らせる必要がある。また、微細霧発生部で飛び散ったりモータ側に迂回する細霧を抑制すると共にモータ軸受け部の負荷による劣化をも抑制する必要がある。
【0006】
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、海水を微細な霧状にするための高速駆動モータをより確実に長寿命化可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、海水の微細霧発生用のモータの出力軸を包囲する防塩カバー手段を設けると共に、該モータ自体は密閉空間に収納し、該密閉空間の内部に圧縮空気を供給する構造としたことを特徴とする微細霧発生モータである。このように、微細霧発生モータの出力軸を包囲する防塩カバー手段を設けてあるので、微細霧室から塩分がモータ出力軸に到来するのを抑制できる。しかも、該モータ自体は密閉空間に収納し、該密閉空間の内部に圧縮空気を供給するため、密閉空間中が前記防塩カバー中より高圧となる結果、防塩カバー手段中の塩分が軸穴と出力軸間の隙間から密閉空間中に進入するのを抑止できる。そのため、モータ内部や軸受け部に塩分が入り込んで腐食・劣化などの塩害を受けるのを防止できる。
【0008】
請求項2は、前記防塩カバー手段中のモータ出力軸の外周に、モータ出力軸の外径より大径の遮断手段を設けてあることを特徴とする請求項1に記載の微細霧発生モータである。請求項1のように、モータの入っている密閉空間の内部に圧縮空気を供給するため、その圧力によって、モータ出力軸と軸受けとの隙間から塩分が入り込むのを抑制できるが、請求項2のように、防塩カバー手段中のモータ出力軸の外周に、モータ出力軸の外径より大径の遮断手段を設けてあるため、塩分が液状になって出力軸の表面に沿ってモータ側に伝わるのを遮断し阻止できる。
【0009】
請求項3は、前記防塩カバー手段中においてモータ出力軸に攪拌ファンを設け、しかも前記攪拌ファンと軸受けの間に1以上の圧縮空気送入口を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微細霧発生モータである。このように、モータ出力軸に攪拌ファンを設け、この攪拌ファンと軸受けの間に1以上の圧縮空気送入口を設けてあるので、防塩カバー手段の内部の塩分は圧縮空気によってモータ出力軸の先端側に圧送され、密閉空間に入り込むのをより確実に阻止できる。しかも、攪拌ファンによって、防塩カバー手段の内部が攪拌されて、防塩カバー手段内の圧力が均一化され、圧縮空気の送入口を複数か所に設けたことと相まって、防塩カバー手段中を満遍なく高圧にして、塩分の浸入をより確実に阻止できる。
【0010】
請求項4は、前記密閉空間中のモータカバーの内部に圧縮空気を供給する構造としたことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載の微細霧発生モータである。このように、前記密閉空間中のモータカバーの内部に圧縮空気を供給するため、モータカバーの内部の圧力が高まり、その結果、モータカバーの内部に塩分が入り込んでモータ機構部や軸受け部に塩害を与えるのをより確実に防止できる。
【0011】
海水の微細霧による製塩室は、微細霧に常時温風を当てているため常に圧力が高い状態になって、微細霧発生モータの内部は相対的に負圧状態となって、製塩室の海水の微細霧や塩水が入り込み易いが、以上のように各送入口から圧縮空気を送入して高圧状態に維持することによって、モータ内部への微細霧や塩水の浸入を効果的に防止できる。
【0012】
請求項5は、海水の微細霧発生用のモータの出力軸を包囲する防塩カバー手段となるシールハウジングに、前記出力軸の外周に向けて圧縮空気を噴射するための放射方向の小孔を設け、各放射状小孔の外端を圧縮空気源に連通可能としたことを特徴とする請求項1に記載の微細霧発生モータである。このように、モータの出力軸を包囲するシールハウジングに、出力軸の外周に向けて圧縮空気を噴射する放射状小孔を設け、各放射状小孔の外端を圧縮空気源に連通可能としてあるため、圧縮空気源から供給された圧縮空気が各放射状小孔の内端からモータ出力軸に向けて噴射されるので、塩分や水分、粉塵などの異物が外部からモータ出力軸の軸受けやモータ内部に進入してモータを劣化させるのを阻止できる。
【0013】
請求項6は、前記のシールハウジングに、リング状の空洞からなるコンデンサ室を前記出力軸を囲むように形成し、前記放射状小孔の各外端と圧縮空気源との間に介在させてあることを特徴とする請求項5に記載の微細霧発生モータである。このように、前記シールハウジングに、リング状の空洞からなるコンデンサ室を前記出力軸を囲むように形成し、前記放射状小孔の各外端と圧縮空気源との間に介在させてあるので、コンデンサ室で一旦蓄積蓄圧された圧縮空気が均一にモータ出力軸の外周に噴射される。コンデンサ室は、モータ出力軸を囲むようにリング状の空洞になっているので、シールハウジング中にコンパクトに形成できる。
【0014】
請求項7は、前記放射状小孔の内端を出力軸の先端側に向けて傾斜させることによって、放射状小孔からの噴出空気流が出力軸の先端側に噴出する構造とし、しかも放射状小孔の内端を前記出力軸の回転方向に向けて傾斜させることによって、放射状小孔からの噴出空気流が出力軸の回転方向と同じ向きの渦流状の循環流となる構造としたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の微細霧発生モータである。このように、前記放射状小孔の内端を出力軸の先端側に向けて傾斜させることによって、放射状小孔からの噴出空気流が出力軸の先端側に噴出する構造にしてあるので、モータ出力軸の先端側から進入してくる異物を効果的に阻止できる。また、放射状小孔の内端を前記出力軸の回転方向に向けて傾斜させてあるので、放射状小孔からの噴出空気流が出力軸の回転方向と同じ向きの渦流状の循環流となり、その結果、モータ出力軸の外周で圧縮空気流が途切れたり、不均一となることはなく、前記のモータ出力軸の先端方向の噴射流と相まって、異物の進入をより確実に阻止できる。
【0015】
請求項8は、モータ駆動される海水の微細霧発生用の高速回転板を凹曲面とし、その中央部に海水を供給する構造としたことを特徴とする微細霧発生モータである。従来の細霧発生用の高速回転円盤は、中央の海水供給口から外気と共に海水を遠心力で吸入して各放射状空洞を通過して放出するため、海水供給部側が負圧になることでモータ軸受け部にスラスト方向の負荷が生じて軸受け部を損傷する。ところが、本発明のように微細霧発生用の高速回転板を凹曲面とし、その中央部に海水を供給する構造にすると、遠心力で外気を吸入して放出する放射状空洞が存在しないので、モータ軸受け部にスラスト方向の負荷が生じない。その結果、モータ軸受け部の損傷による寿命低下を抑制できる。
【0016】
また、従来の放射状空洞を有する高速回転盤の場合は、遠心力による海水の放出力に加えて、大量に吸い込む空気の流れが、遠心力で加速されている微細粒子の速さに加算されてパワーアップするため、背部から温風を当てた際に海水の微細霧が円滑に製塩室中央に圧送されず、つまり前方に流れずに飛び散って、前記のようにモータ出力軸側に迂回する成分が発生する。ところが、本発明のような凹曲面状の高速回転板にした場合は、従来の水車型の高速回転盤の各放射状空洞が遠心力で大量の空気を吸い込んで加速していたのと違って、このような放射方向の加速流は発生しないので、温風吹き付けに起因する飛び散りやモータ出力軸側への迂回成分を低減でき、塩害によるモータ寿命の低下も抑制される。
【0017】
請求項9は、前記高速回転板の凹曲面の少なくとも外周側に放射状の案内溝及び/又は凸条を多数設けてなることを特徴とする請求項8に記載の微細霧発生モータである。このように、前記高速回転板の凹曲面に放射状の案内溝及び/又は凸条を多数設けてあると、凹曲面に沿って遠心力で次第により薄い膜状になりながら拡がっていく海水の膜が多数の放射状の案内溝に入って分散される。あるいは、凸条に沿って分散される。その結果、高速回転で凹曲面の外周から放出されて振り切られる際に無数の微細霧となって飛散することになり、微細霧を効果的に発生できる。なお、放射状の案内溝及び/又は凸条は、高速回転板の外周側だけに設ければ足りる。外径の大きい外周側には、放射状の案内溝及び/又は凸条をより多く形成できるので、従来の放射状羽根で仕切る放射状空洞より多数形成でき、海水の分散効率も大きい。
【0018】
請求項10は、前記高速回転板の凹曲面外周に、幅の小さな網その他の微細間隔の分離手段を設けてなることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の微細霧発生モータである。このように、高速回転板の凹曲面外周に、幅の小さな網その他の微細間隔の分離手段を多数設けてあると、凹曲面に沿って遠心力で広がって来た膜状の海水が凹曲面外周に到達した時点で網目状の多数の微細間隔の分離手段で無数に分離分散されながら、高速回転板の回転力で高頻度で振り切られながら、微細霧となって凹曲面の外周から飛散する。
【0019】
請求項9のように案内用の溝や凸条を設けたり、請求項10のように外周に微細間隔に分離手段を設ける構成は、従来の水車型の放射状空洞と違って容易に無数に形成できるので、比較的低い回転数でも、また遠心力が比較的小さくても、分散効率が高く、円滑に微細霧を発生できる。その結果、微細霧発生モータは比較的低速回転が可能となり、軸受けの磨耗劣化が少なく、より長寿命化できる。
【0020】
請求項11は、前記高速回転板の凹曲面の半径方向の中間位置にドーナツ状の板を設けて、このドーナツ状板と前記凹曲面との間に多数の放射状羽根を挟んで多数の放射状空洞を形成してなることを特徴とする請求項8、請求項9または請求項10に記載の微細霧発生モータである。このように、前記高速回転板の凹曲面の半径方向の中間位置にドーナツ状の板を設けて、このドーナツ状板と前記凹曲面との間に多数の放射状羽根を挟んで多数の放射状空洞を形成してあるため、従来の水車型の放射状空洞を凹曲面の半径方向の中間位置だけに設けた格好となる。その結果、高速回転板を立てて使用する場合に、凹曲面の中央に供給された海水は、凹曲面の半径方向の中間位置に設けた放射状羽根によって効果的かつ均一に全周に分散される。その後は、凹曲面に沿って膜状に伸ばされながら外周端に達し、全周均一な微細霧となって振り切られる。また、凹曲面の半径方向の中間位置だけに、吸入力と放出力の大きな放射状空洞が有るので、凹曲面の前方で淀んでいる微細霧を効果的に各放射状空洞に吸入して外端から放出できるので、温風吹き付けに起因する凹曲面前方における微細霧の淀みも解消される。
【0021】
請求項12は、前記高速回転板の凹曲面の中央部寄りにおいて、海水の流入部を囲むように放射方向の羽根板を設けてあることを特徴とする請求項8、請求項9、請求項10または請求項11に記載の微細霧発生モータである。このように、前記高速回転板の凹曲面の中央部寄りにおいて、海水の流入部を囲むように放射方向の羽根板を設けてあるので、高速回転板を立てて使用する場合に、凹曲面中央に供給された海水は、放射方向の羽根板の回転によって、直ちに効果的かつ均一に全周に分散されてから、凹曲面に沿って膜状に伸ばされるため、凹曲面外周から均一に微細霧が発生可能となる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1のように、微細霧発生モータの出力軸を包囲する防塩カバー手段を設けてあるので、微細霧室から塩分がモータ出力軸に到来するのを抑制できる。しかも、該モータ自体を収納した密閉空間の内部に圧縮空気を供給するため、密閉空間中が前記防塩カバー手段中より高圧となる結果、防塩カバー手段中の塩分が軸穴と出力軸間の隙間から密閉空間中に進入するのを抑止できる。そのため、モータ内部や軸受け部に塩分が入り込んで腐食・劣化などの塩害を受けるのを防止できる。
【0023】
請求項1のようにモータの入っている密閉空間の内部に圧縮空気を供給するため、その圧力によって、モータ出力軸と軸受けとの隙間から塩分が入り込むのを抑制できるが、請求項2のように、防塩カバー手段中のモータ出力軸の外周に、モータ出力軸の外径より大径の遮断手段を設けてあるため、塩分が液状になって出力軸の表面に沿ってモータ側に伝わるのを遮断し阻止できる。
【0024】
請求項3のように、モータ出力軸に攪拌ファンを設け、この攪拌ファンと軸受けの間に1以上の圧縮空気送入口を設けてあるので、防塩カバー手段の内部の塩分は圧縮空気でモータ出力軸の先端側に圧送され、密閉空間に入り込むのをより確実に阻止できる。しかも、攪拌ファンによって、防塩カバー手段の内部が攪拌されて、防塩カバー手段内の圧力が均一化され、圧縮空気の送入口を複数か所に設けたことと相まって、防塩カバー手段中を満遍なく高圧にして、塩分の浸入をより確実に阻止できる。
【0025】
請求項4のように、前記密閉空間中のモータカバーの内部に圧縮空気を供給するため、モータカバーの内部の圧力が高まり、その結果、モータカバーの内部に塩分が入り込んでモータ機構部や軸受け部に塩害を与えるのをより確実に防止できる。
【0026】
海水の微細霧による製塩室は、微細霧に常時温風を当てているため常に圧力が高い状態になって、微細霧発生モータの内部は相対的に負圧状態となって、製塩室の海水の微細霧や塩水が入り込み易いが、以上のように各送入口から圧縮空気を送入して高圧状態に維持することによって、モータ内部への微細霧や塩水の浸入を効果的に防止できる。
【0027】
請求項5のように、モータの出力軸を包囲するシールハウジングに、出力軸の外周に向けて圧縮空気を噴射する放射状小孔を設け、各放射状小孔の外端を圧縮空気源に連通可能としてあるため、圧縮空気源から供給された圧縮空気が各放射状小孔の内端からモータ出力軸に向けて噴射されるので、塩分や水分、粉塵などの異物が外部からモータ出力軸の軸受けやモータ内部に進入してモータを劣化させるのを阻止できる。
【0028】
請求項6のように、前記シールハウジングに、リング状の空洞からなるコンデンサ室を前記出力軸を囲むように形成し、前記放射状小孔の各外端と圧縮空気源との間に介在させてあるので、コンデンサ室で一旦蓄積蓄圧された圧縮空気が均一にモータ出力軸の外周に噴射される。コンデンサ室は、モータ出力軸を囲むようにリング状の空洞になっているので、シールハウジング中にコンパクトに形成できる。
【0029】
請求項7のように、前記放射状小孔の内端を出力軸の先端側に向けて傾斜させて、放射状小孔からの噴出空気流が出力軸の先端側に噴出する構造にしてあるので、モータ出力軸の先端側から進入してくる異物を効果的に阻止できる。また、放射状小孔の内端を前記出力軸の回転方向に向けて傾斜させてあるので、放射状小孔からの噴出空気流が出力軸の回転方向と同じ向きの渦流状の循環流となり、その結果、モータ出力軸の外周で圧縮空気流が途切れたり、不均一となることはなく、前記のモータ出力軸の先端方向の噴射流と相まって、異物の進入をより確実に阻止できる。
【0030】
請求項8のように、微細霧発生用の高速回転板を凹曲面とし、その中央部に海水を供給する構造にすると、従来のように遠心力で外気を吸入して放出する放射状空洞が存在しないので、モータ軸受け部にスラスト方向の負荷が生じない。その結果、モータ軸受け部の損傷による寿命低下を抑制できる。また、従来の放射状空洞を有する高速回転盤の場合は、遠心力による海水の放出力に加えて、大量に吸い込む空気の流れが、遠心力で加速されている微細粒子の速さに加算されてパワーアップするため、背部から温風を当てた際に海水の微細霧が円滑に製塩室中央に圧送されず、つまり前方に流れずに飛び散って、前記のようにモータ出力軸側に迂回する成分が発生する。ところが、請求項8のような凹曲面状の高速回転板にした場合は、従来の水車型の高速回転盤の各放射状空洞が遠心力で大量の空気を吸い込んで加速していたのと違って、このような放射方向の加速流は発生しないので、温風吹き付けに起因する飛び散りやモータ出力軸側への迂回成分を低減でき、塩害によるモータ寿命の低下も抑制される。
【0031】
請求項9のように、前記高速回転板の凹曲面に放射状の案内溝及び/又は凸条を多数設けてあると、凹曲面に沿って遠心力で次第により薄い膜状になりながら拡がっていく海水の膜が多数の放射状の案内溝に入って分散される。あるいは、凸条に沿って分散される。その結果、高速回転で凹曲面の外周から放出されて振り切られる際に無数の微細霧となって飛散することになり、微細霧を効果的に発生できる。外径の大きい外周側には、放射状の案内溝及び/又は凸条をより多く形成できるので、従来の放射状羽根で仕切る放射状空洞より多数形成でき、海水の分散効率も大きい。
【0032】
請求項10のように、高速回転板の凹曲面外周に、幅の小さな網その他の微細間隔の分離手段を多数設けてあるので、凹曲面に沿って遠心力で広がって来た膜状の海水が凹曲面外周に到達した時点で網目状の多数の微細間隔の分離手段で無数に分離分散されながら、高速回転板の回転力で高頻度で振り切られながら、微細霧となって凹曲面の外周から飛散する。
【0033】
請求項9のように案内用の溝や凸条を設けたり、請求項10のように外周に微細間隔に分離手段を設ける構成は、従来の水車型の放射状空洞と違って容易に無数に形成できるので、比較的低い回転数でも、また遠心力が比較的小さくても、分散効率が高く、円滑に微細霧を発生できる。その結果、微細霧発生モータは比較的低速回転が可能となり、軸受けの磨耗劣化が少なく、より長寿命化できる。
【0034】
請求項11のように、前記高速回転板の凹曲面の半径方向の中間位置に設けたドーナツ状板と前記凹曲面との間に多数の放射状羽根を挟んで多数の放射状空洞を形成してあるため、従来の水車型の放射状空洞を凹曲面の半径方向の中間位置だけに設けた格好となる。その結果、高速回転板を立てて使用する場合に、凹曲面の中央に供給された海水は、凹曲面の半径方向の中間位置に設けた放射状羽根によって効果的かつ均一に全周に分散される。その後、凹曲面を外周端まで移動し、全周均一な微細霧となって振り切られる。また、凹曲面の半径方向の中間位置だけに、吸入力と放出力の大きな放射状空洞が有るので、凹曲面の前方で淀んでいる微細霧を効果的に各放射状空洞に吸入して外端から放出するので、温風吹き付けに起因する凹曲面前方における微細霧の淀みも解消される。
【0035】
請求項12のように、前記高速回転板の凹曲面の中央部寄りにおいて、海水の流入部を囲むように放射方向の羽根板を設けてあるので、高速回転板を立てて使用する場合に、凹曲面中央に供給された海水は、放射方向の羽根板の回転によって、直ちに効果的かつ均一に全周に分散されてから、凹曲面に沿って膜状に伸ばされるため、凹曲面外周から均一に微細霧が発生可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
次に本発明による海水の微細霧発生モータが実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。図1(1)は本発明による微細霧発生モータの第1実施形態を示す縦断面図であり、駆動モータMの出力軸1の先端に高速回転盤2が固定されている。この高速回転盤2の断面構造は図1(2)のように、2枚の円板31、32間に放射方向の案内羽根3を多数設けて多数の放射状空洞3c…に仕切ることで、水車状に形成されている。
【0037】
モータ出力軸1の反対側の中央部は、円板32、放射状羽根3を除去して開口33とし、該開口33中に、海水供給管4で海水SWを供給しながら、高速回転盤2を例えば毎分1万回転といった高速回転させると、遠心力による負圧で矢印a1方向に海水を吸い込んで、外周から矢印a2方向に吐き出す際に、各案内羽根3で分散されるため、高速回転盤2から放出され振り切られる時点では微細霧5となって飛散する。矢印a2方向に飛散した微細霧5に背部から矢印a3方向の温風が吹き付けられることによって、製塩室の中央に送られ、微細霧中の水分が蒸発して塩の結晶が生成される。
【0038】
モータMは密閉ケーシング6の中に内蔵されており、この密閉ケーシング6の前面壁61から円筒状の防塩カバー7を突出させ、モータMの出力軸1を包囲している。この防塩カバー7の先端と、高速回転盤2との間隔Gはできるだけ狭くして、海水の微細霧や塩分が出力軸1側に入り込み難いようにする。密閉ケーシング6の前面壁61に設けた軸穴8は、その軸方向の長さLを可能な限り長く、少なくとも前面壁61の厚さより大きくして、出力軸1との間に生じる隙間8を長くしている。その結果、出力軸1の先端側から密閉ケーシング6の内部に塩分や水分が入り込もうとする際の抵抗を高めている。また、軸穴8の外側において、出力軸1に円板状の遮断板9を設けてある。そして、防塩カバー7の内径>遮断円板9の外径>軸穴8の内径>出力軸1の外径、という寸法関係になっている。その結果、出力軸1の外周を伝って塩分を含んだ液体が軸穴8側に浸入するのを阻止できる。一方、密閉ケーシング6には、その内部の密閉空間中に圧縮空気を供給するめたの送入口10を設けてある。
【0039】
モータMの始動に際しては、始動と同時に又は始動の前に送入口10から圧縮空気を密閉ケーシング6の内部に送入して、密閉ケーシング6の内部を外気よりも高圧にしておく。その結果、軸穴8と出力軸1との間の微小隙間から圧縮空気が遮断板9側に吹き出すことになり、隙間8から塩分なとが入り込むのを阻止できる。また、軸穴8の長さLが密閉ケーシング6の前面壁61の厚さより大いため、隙間8から塩分が入り込む際の抵抗が増え、塩分の浸入阻止がより効果的となる。
【0040】
軸穴8との隙間から吹きだした圧縮空気は、防塩カバー7と高速回転盤2との隙間Gから外部に吹き出すため、霧状その他の塩分がこの隙間Gから防塩カバー7の内部に入り込むのを抑制できる。万一、液体の状態で出力軸1の表面を伝わって軸穴8中に入り込もうとしても、軸穴8の手前に遮断板9が有るため、大径の遮断板9を乗り越えて軸穴8側まで到達することは極めて困難であり、出力軸1の表面を伝って塩分が軸穴8の内部に入り込むのを効果的に阻止できる。また、軸穴8内の隙間から吹き出した圧縮空気は、遮断板9に当たってその外周側に移動するため、この際の風圧によって、塩分を含んだ液体が遮断板9を越えて軸穴8側に移動するのを効果的に抑制できる。
【0041】
図2に示すように、前記遮断板9と高速回転盤2の間において、出力軸1に攪拌ファンfを設けてある。また、防塩カバー7には、例えば90度間隔に4個の圧縮空気送入口11を設けてある。この送入口11は、攪拌ファンfと前記遮断板9との間に設けてあるが、遮断板9の外径が大きくなければ、密閉ケーシング前面壁61寄りに設けてもよい。その結果、送入口10から送入された圧縮空気が軸穴8と出力軸1間の隙間から吹き出すのに加えて、防塩カバー7の送入口11からも圧縮空気が送入される。これらの圧縮空気は、防塩カバー7の内部を高圧にした後、攪拌ファンfと防塩カバー7との間を通過して、防塩カバー7先端の隙間Gから外部に吹き出す。このとき、攪拌ファンfの回転によって、防塩カバー7の内部が攪拌され、圧縮空気送入口11の存在しない領域も含めて、防塩カバー7内の全体が均一に高圧に維持されるので、塩分が隙間Gから防塩カバー7中に入り込んだり、万一入り込んだとしても、軸穴8側に移動するのをより確実に防止できる。
【0042】
モータMは、モータを構成する機構部をモータカバーMcで覆っているのが普通である。本発明では、このモータカバーMcの中にも圧縮空気を供給すべく、送入口12を設けて、密閉ケーシング6の外に導出してある。そして、このモータカバーMcの内部にも圧縮空気を供給して充満させることによって、モータカバーMcの軸受け部からモータ機構部に塩分が浸入したり、軸受け部のグリースなどが塩害を受けて劣化するのを防止している。
【0043】
このように、圧縮空気送入口10、11、12の少なくとも3か所に圧縮空気を供給しているが、圧縮空気を供給開始するタイミングは、まず送入口12からモータカバーMcの中に圧縮空気を供給して満たしてから、送入口10から密閉ケーシング6中に圧縮空気を供給し充満させる。そして、最後に各送入口11から防塩カバー7中に圧縮空気を供給するが、防塩カバー7の内部全体の圧力を一定にすべく攪拌ファンfを作動させるために、モータMを始動させる。以上のように、圧縮空気は、モータカバーMcの内部と、密閉ケーシング6の内部と、防塩カバー7中の軸穴8寄りの3か所に供給できるが、このように3か所に供給する場合は、それぞれの空気圧の高さは、モータカバーMc内>密閉ケーシング6内>防塩カバー7の軸穴8側、となるように設定することが望ましい。以上の圧縮空気送入口10、11、12は必ずしもこれらの全部を装備する必要はなく、いずれか1又は2か所を設けるだけでもよい。なお、図示例では、案内羽根3による放射状空洞3cつきの水車状の高速回転盤2を示したが、図3〜図9のような凹曲面状の高速回転板を用いても同じ効果が得られる。
【0044】
海水の微細霧による製塩室では、高速回転盤2の背部から矢印a3方向の温風を常時微細霧5に当てているため、常に圧力が高い状態になって、微細霧発生モータMの内部は相対的に負圧状態となっている。その結果、製塩室の海水の微細霧や塩水が入り込み易いが、以上のように各送入口10、11、12から圧縮空気を送入して高圧状態に維持することによって、モータカバーMc内部への微細霧や塩水の浸入を未然に防止できる。
【0045】
以上は軸受け部やモータ機構部などの塩害による劣化を抑制する構造であるが、図3は、軸受けに作用する負荷を軽減することによる軸受けの劣化抑制構造であり、微細霧発生用の高速回転板13の中心位置における縦断面図である。この高速回転板13は、アルミニウムその他の金属や合成樹脂製の円板を球面状に形成したものであり、球体の一部を円形に取り出した形状である。そして、その凹曲面13iの中央Cに、海水供給管4で海水SWを供給しながら、高速回転板13をモータMによって例えば毎分1万回転といった高速回転をさせる。その結果、中央Cに供給された海水SWは、遠心力によって、高速回転板の凹曲面13iに沿って外周側に送られ、最後に外周端から振り飛ばされる。
【0046】
このとき、高速回転板の高速回転力によって外周から振り切られるため、海水の微細霧5となる。また、高速回転板13は、海水供給側が凹曲面になっていて窪んでいるため、凹曲面13iに付着している海水が遠心力で拡散する際に、遠心力で凹曲面に密着する力が海水に作用するので、海水は凹曲面13iに確実に密着し保持されながら外周に送られる。その結果、高速回転板から確実に遠心力を受けて、外周から放出される。高速回転によって高頻度で振り切られて放出されるので、微細霧5となって飛散する。また、面積のより大きい外周側に遠心力で移動するにつれて徐々により薄い膜状に押し伸ばされるので、最終的にはより細かい微細霧5となって飛散する。
【0047】
図4は、図3の高速回転板13の平面図であり、凹曲面13iの外周寄りに無数の案内溝14を放射状に形成してある。そのため、凹曲面13iに沿って外周側に押し出される海水の膜は各案内溝14中に流れ込み、案内溝14中を遠心力で外周側に押し流されて、外周から飛散する。そのため、凹曲面13iに付着している海水膜は、多数の案内溝14で分散されることになり、その結果、微細霧となって外周から飛散する。したがって、この案内溝14は、可能な限り多い方がよい。案内溝14の放射方向の長さは特に限定しないが、外周寄りに設ければ、より多くの溝を形成できる。なお、案内溝は直線状でなく、14cのように、高速回転中の海水膜が遠心力を効果的に受けて流れやすい方向に湾曲しているのがよい。
【0048】
前記の案内溝14、14cに代えて、凸状も有効である。図5(1)は、図4の溝14、14cの断面形状であり、(2)は逆に凸状16を設けた場合の断面形状である。溝に代えて、放射状の凸条16にした場合は、凸条16が壁となって、凸条16に沿って海水膜が流れるので、案内溝と同様なガイド作用が得られる。しかし、溝のみ又は凸条のみを形成するのは困難であり、円板に刃物で溝を加工する際に、(3)のように、その溝14(14c)の両側に凸条16が盛り上がるのが通常である。刃物の当て方などを工夫することによって、(4)のように溝14(14c)の片側だけに凸条16が盛り上がるようにもできる。このように、案内溝を形成する際に付随的に凸条が形成されてもよいし、特別に凸条のみを形成してもよい。
【0049】
図6は、案内溝14や凸条16に代えて、外周端に無数の分離手段を設けた例である。例えば、細く短いピアノ線を高速回転板13の外周に立てた状態で一体化させてある。図6(1)はメッシュの細かい網を用いて分離手段を設ける例を示す側面図であり、高速回転板13の外周に網15を巻き付けた状態でロウ付け又は接着して固定する。次いで、前記凹曲面13iの外周側から例えば1mm程度の長さだけ突出した状態で残るように、鎖線A−A位置で鋏でカットすると、図6(2)のように、凹曲面13iの外周端において、無数の線材15wが一定の微小間隔で立った状態に固定された構成となる。なお、A−A位置でカットするのが困難な場合は、網目を例えば2〜3個分残した状態でカットしてもよい。あるいは、初めから網目数個分の幅の小さい網を高速回転板13の外周に巻き付けてロウ付け又は接着し固定してもよい。
【0050】
この状態において、高速回転板13が高速回転すると、凹曲面13iの中央に供給された海水が遠心力で外周に向かって拡散され、薄い膜となった状態で、外周の無数の線材15w…に当たって無数に分散され、各線材15w…の間から放出される。このとき、高速回転板13の高速回転によって高頻度で放出され、かつ繰り返し振り切られるため、微細霧となって飛散する。このように、高速回転板13の外周に微細間隔で無数の線材15w…を設けると、高速回転によって振り切られて発生する微細霧も容易に実現できるので、従来の水車型の放射状空洞3cの高速回転で海水を分散させて微細霧にする構造と違って、さほど高速回転でなくても、かつ遠心力が比較的小さくても、外周から微細霧5を円滑に発生可能となる。さほど高速回転にする必要がなくなると、モータの軸受けの寿命はさらに長くなる。なお、図5のような案内溝14、14cや凸条16の場合にも同様な効果を奏する。
【0051】
以上のように、高速回転板13は、図1のように多数の案内羽根3による放射状空洞3cを有する水車構造と違って、高速回転板13の中央に遠心力による矢印a1方向の吸引圧を生じないため、モータ軸のスラスト方向の外力を受けず、モータ軸受けに負担がかかって、軸受けの寿命が短くなるといった問題が解消される。放射状空洞からなる水車構造と違って、円板状の高速回転板13は、外周からの微細霧の飛散力が強過ぎないので、背部からの温風吹き付けに起因する海水細霧のモータ出力軸側への飛散迂回も減少する。なお、図3はモータ軸が鉛直方向を向いているが、図1、図2のように水平にして、高速回転板13を立てて使用できることは言うまでもない。
【0052】
このように、図3のモータMの出力軸1を水平にすることによって高速回転板13を立てて使用する場合は、海水供給管4から出た海水SWは、高速回転板13の前面中央から流れ落ちて無駄になり、供給された海水SW全体を円滑に微細霧5として活用できなくなる恐れがある。そこで、図7のように、高速回転板13の凹曲面13iの半径方向の中間位置に放射状空洞31cを設けたり、図8、図9のように中央側に放射方向の羽根板を設けるのが効果的である。
【0053】
図7の場合は、案内羽根31が破線で示されていることからも分かるように、凹曲面13iの半径方向の中間位置にドーナツ状の板17が有り、このドーナツ状板17と凹曲面13iとの間に多数の案内羽根31…を挟んで固定することによって、多数の放射状空洞31cを形成してある。その結果、高速回転板13が図1のように立った状態で回転した場合、凹曲面13iの中央部Cに供給された海水SWは、放射状案内羽根31…の高速回転によって高速回転板13の全周に均一に分散されながら放射状空洞31cの外端から放出される。
【0054】
したがって、半径途中の放射状空洞31c…が高速回転すると、水車型の高速回転盤2と同じ原理で、空気と共に海水SWを遠心力で吸い込んで放射方向に放出するので、以後は、凹曲面13iに沿って遠心力で押し伸ばされて徐々に薄い膜となり、最終的に外周端から振り切られて微細霧5となる。図3からも明らかなように、微細霧5が凹曲面13iの前面に回り込んで停滞する恐れがあるが、こうして凹曲面13i前面で淀んでいる微細霧は、前記のような放射状空洞31cの遠心力による、前記矢印a1方向の吸引力で吸い込んで、各放射状空洞31cの外端から放出する効果も奏する。
【0055】
前記のように、海水SWを空気と共に吸い込む関係上、海水SWが供給される高速回転板13の中央部C寄りに放射状案内羽根31…の内端を配置する必要があるが、放射状案内羽根31…やドーナツ状板17の外周位置は、高速回転板13の半径の1/2位置より中央C寄りに配置することが望ましい。つまり、ドーナツ状板17の半径を、高速回転板13の半径の1/2より小さくするのが望ましい。遠心力による吸引力が従来のように大き過ぎないように、しかも放射状空洞31cから放出された海水を凹曲面13iに沿って膜状に押し伸ばすのに充分な半径方向の経路を確保するためである。ドーナツ状板17の半径方向の幅Wは、高速回転板13の半径の1/2を越えない寸法で足りる。放射状空洞31cによる遠心力による吸引力が大き過ぎないようにするためである。なお、高速回転板13の外径は、25〜40cm程度が適している。
【0056】
このように、凹曲面13iの半径途中に放射状空洞31c…を設けた場合は、その外径が小さくなるので、従来の水車型の高速回転盤2のように遠心力による吸引力が強過ぎるという問題が解消される。これに対し、図8、図9は、凹曲面13iの中央部C寄りに例えば6枚の羽根板18を放射方向(又は放射状)に固定してある。この場合は水車型の放射状空洞31c…にしないので、羽根板18の前方は露出させたままでよい。いま、凹曲面13iの中央部Cに図1のように供給管4から供給された海水SWは、高速回転している放射方向の羽根板18…で全周に分散されるので、凹曲面13iの全面に均一に分散された状態で、外周側に次第により薄い膜状になりながら拡散流出し、微細霧5となる。
【0057】
このように凹曲面13iの中央部C寄りにおいて、海水SWの流入部を囲むように設けた放射状羽根板18…は、多数設ける必要はなく、約10枚以内でも足りる。形状も、単純な長方形状で足りる。なお、このような凹曲面13iの中央部C寄りの放射状羽根板18…を設けた状態において、図7のように外周側のみに水車型の案内羽根31…を設ける構造を併用することも可能であり、より効果的となる。また、図7〜図9の構造は、図4〜図6の構成と併用することもできる。
【0058】
図12〜図14は、図2の実施形態の改良型のエアーシール構造であり、図10、図11のモータ軸に適用した例である。図10は通常のモータの側面図、図11は該モータの正面図で、モータの出力軸1と軸受け側との間の隙間から塩分や水分などの異物が進入するのを阻止するために、改良型のエアーシール構造を実装すると、図12〜図14のようになる。図12はモータ出力軸1の軸芯方向の縦断面図であり、モータケーシング6の前面壁M61と出力軸1との間にエアーシール用のシールハウジング20を設けて、前面壁M61側に固定してある。
【0059】
このシールハウジング20には、リング状の空洞からなるコンデンサ室21が開いており、圧縮空気供給用の空気流入口22が外周部に開けてある。コンデンサ室21と出力軸外周の環状のエアーシール空間23との間は、多数の放射方向の小孔24…で連通している。この放射状小孔24…は、出力軸1(の軸芯)に対し角度αだけ傾けることによって、矢印a4で示す噴射流を出力軸1の先端方向に向けてある。その結果、出力軸1先端側からエアーシール空間23側に進入しようとするガス類や塩分、水分、粉塵などの異物の進入を噴射流で効果的に阻止できる。したがって、異物がモータの内部や軸受け部などに進入することはない。なお、シールハウジング20の放射状小孔24…の出口周辺の面は、放射状小孔24…に対しほぼ直角になっているが、矢印a4で示す噴射流が出力軸1の先端方向にガイドされるように、多少立てた出口面にしてもよい。
【0060】
各部の寸法関係を示すと、エアーシール空間23の内径>シールハウジング20の軸受け孔の内径>出力軸1の外径、ということになる。出力軸1の外径とシールハウジング20の軸受け孔の内径との寸法差すなわち隙間は例えば約1mm以下が適しているが、特に限定はされない。また、エアーシール空間23の内径と前記軸受け孔の内径との寸法差すなわちエアーシール空間23の半径方向の寸法は約1〜2mm程度が適しているが、特に限定はされない。なお、出力軸1の根元のフランジ1fは必ずしも必要ない。
【0061】
空気流入口22−コンデンサ室21−放射状小孔24…−エアーシール空間23−出力軸1の経路で断面にしたのが、図13、図14であり、放射方向の小孔24…の外端はコンデンサ室21と連通し、内端はエアーシール空間23と連通している。図13は右回転用であり、各放射状小孔24…の内端が、出力軸1の回転方向である右方向に向くように角度βだけ傾けてある。その結果、各放射状小孔24…から噴出した噴射流は、出力軸1の回転方向と同じく右向きの流れとなって、出力軸1の外側のエアーシール空間23中で途切れることなく渦流状に循環している。そのため、外部から水分や粉塵などの異物がエアーシール空間23中を通過して、モータ内部に進入することは不可能となる。
【0062】
図14の左回転用は、各放射状小孔24…の内端が、出力軸1の回転方向である左方向に向くように角度−βだけ傾けてある。その結果、各放射状小孔24…から噴出した噴射流は、出力軸1の回転方向と同じく左向きの流れとなって、出力軸1の外側のエアーシール空間23中で渦流状に循環している。そのため、モータ出力軸1と固定部分との隙間からガス類や水分、油類などの異物が浸入して、ベアリングの劣化、破損及び、コイルの絶縁劣化を来すのをより確実に防止できる。また、コンデンサ室21に一旦充満して蓄圧された後に、各放射状小孔24…から出力軸1に圧縮空気を噴射して、圧縮空気でシールが行われるため、出力軸1の回転部分とハウジングとの摩擦熱が発生しない。また、モータの停止状態でも、圧縮空気の供給によって、異物の浸入を阻止できる。なお、各放射状小孔24…からの圧縮空気の排出圧を増やすことにより、水中や高気圧の条件下でも使用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上のように、本発明の微細霧発生モータは、微細霧発生用モータの軸受けやモータ内部が塩害やスラスト方向の機械的負荷によって劣化するのを抑制して、高速駆動するモータを長寿命化できるので、高価な製塩装置のランニングコストを低減して、より安価なミネラル塩を供給可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】(1)は、本発明による微細霧発生モータの第1実施形態を示す縦断面図、(2)は(1)図中の水車型の高速回転盤の縦断面図である。
【図2】本発明による微細霧発生モータの第2実施形態を示す縦断面図である。
【図3】円板状の高速回転板からなる微細霧発生装置の縦断面図である。
【図4】図3の高速回転板の平面図で、直線状の又は湾曲した案内溝を設けた実施形態である。
【図5】図4に示す案内溝と凸条の各種断面形状を示す断面図である。
【図6】外周端に無数の分離手段を有する高速回転板の製法を示す側面図で、(1)は製作途中、(2)は完成状態である。
【図7】高速回転板の凹曲面の半径方向途中に放射状空洞を設けた実施形態の平面図である。
【図8】中央寄りに放射方向の羽根板を設けた実施形態の斜視図である。
【図9】図8の実施形態の正面図である。
【図10】通常のモータの側面図である。
【図11】図10のモータの正面図である。
【図12】シールハウジングのモータ出力軸の軸芯方向の縦断面図である。
【図13】空気流入口−コンデンサ室−放射状小孔−エアーシール空間−出力軸の経路におけるシールハウジングの断面図(右回転用)である。
【図14】空気流入口−コンデンサ室−放射状小孔−エアーシール空間−出力軸の経路におけるシールハウジングの断面図(左回転用)である。
【符号の説明】
【0065】
1 モータの出力軸
2 高速回転盤
3 案内羽根
3c 放射状空洞
4 海水供給管
C 中央部
5 微細霧
6 密閉ケーシング
61 前面壁
7 防塩カバー
8 軸穴
9 遮断円板
Mc モータカバー
10・11・12 圧縮空気送入口
13 高速回転板
13i 凹曲面
14・14c 案内溝
15 網
15w 線材
16 凸条
17 ドーナツ状板
31 案内羽根
31c 放射状空洞
18 放射方向の羽根板
20 シールハウジング
21 コンデンサ室
22 圧縮空気の流入口
23 エアーシール空間
24 放射状小孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水を微細霧状にして温風ないし熱風を当てることにより水分を蒸発させて製塩する際の微細霧発生用モータの長寿命化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の発明者は、特許第3250738 号において、放射状空洞を有する水車型の羽根車で海水を飛散させることによって微細霧状にした状態で温風ないし熱風を吹き付けて瞬時に塩の結晶を得る製塩法を提案した。この技術によって製造した食塩は、海水中のミネラル分が豊富に含まれていて健康維持に有効という理由から高い評価を受けており、国内はもちろん外国にも普及しつつある。
【0003】
このような高い需要に対応すべく、さらに高品質の塩をより安価に量産するために、高速回転する駆動モータの長寿命化を実現する必要がある。そこで、本発明の発明者は、特願2004−152347において、海水の微細霧発生用のモータの出力軸を包囲する防塩カバー手段を設けると共に、モータ自体は密閉空間に収納し、前記出力軸の外周にシール手段を設けて、出力軸の外側の隙間から塩分が進入するのを防止する構造を提案した。
【0004】
このように、微細霧発生用のモータの出力軸を包囲する防塩カバー手段を設けているので、塩分がモータ軸に到達するのを阻止でき、塩分がモータ軸に沿って、モータ内部まで浸入するのを抑制できる。しかも、前記出力軸の外周にオイルシーラーなどのシール手段を設けてあるので、出力軸の外側の隙間から塩分が進入するのをより効果的に抑制できる。
【特許文献1】特許第3250738
【特許文献2】特願2004−152347
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のような構造によって細霧発生用モータの長寿命化はある程度は改善されるが、モータ出力軸に水分や塩分が付着するのは阻止できないため、モータ軸の外周面からモータ内部に塩分が浸入することを確実に避けることは困難であり、細霧発生用の回転盤を高速回転させる高価な高速高精度モータの場合は、より確実に塩分の浸入を阻止して、軸受けグリースや軸受けより内側のモータ機構部の劣化を遅らせる必要がある。また、微細霧発生部で飛び散ったりモータ側に迂回する細霧を抑制すると共にモータ軸受け部の負荷による劣化をも抑制する必要がある。
【0006】
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、海水を微細な霧状にするための高速駆動モータをより確実に長寿命化可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、海水の微細霧発生用のモータの出力軸を包囲する防塩カバー手段を設けると共に、該モータ自体は密閉空間に収納し、該密閉空間の内部に圧縮空気を供給する構造としたことを特徴とする微細霧発生モータである。このように、微細霧発生モータの出力軸を包囲する防塩カバー手段を設けてあるので、微細霧室から塩分がモータ出力軸に到来するのを抑制できる。しかも、該モータ自体は密閉空間に収納し、該密閉空間の内部に圧縮空気を供給するため、密閉空間中が前記防塩カバー中より高圧となる結果、防塩カバー手段中の塩分が軸穴と出力軸間の隙間から密閉空間中に進入するのを抑止できる。そのため、モータ内部や軸受け部に塩分が入り込んで腐食・劣化などの塩害を受けるのを防止できる。
【0008】
請求項2は、前記防塩カバー手段中のモータ出力軸の外周に、モータ出力軸の外径より大径の遮断手段を設けてあることを特徴とする請求項1に記載の微細霧発生モータである。請求項1のように、モータの入っている密閉空間の内部に圧縮空気を供給するため、その圧力によって、モータ出力軸と軸受けとの隙間から塩分が入り込むのを抑制できるが、請求項2のように、防塩カバー手段中のモータ出力軸の外周に、モータ出力軸の外径より大径の遮断手段を設けてあるため、塩分が液状になって出力軸の表面に沿ってモータ側に伝わるのを遮断し阻止できる。
【0009】
請求項3は、前記防塩カバー手段中においてモータ出力軸に攪拌ファンを設け、しかも前記攪拌ファンと軸受けの間に1以上の圧縮空気送入口を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微細霧発生モータである。このように、モータ出力軸に攪拌ファンを設け、この攪拌ファンと軸受けの間に1以上の圧縮空気送入口を設けてあるので、防塩カバー手段の内部の塩分は圧縮空気によってモータ出力軸の先端側に圧送され、密閉空間に入り込むのをより確実に阻止できる。しかも、攪拌ファンによって、防塩カバー手段の内部が攪拌されて、防塩カバー手段内の圧力が均一化され、圧縮空気の送入口を複数か所に設けたことと相まって、防塩カバー手段中を満遍なく高圧にして、塩分の浸入をより確実に阻止できる。
【0010】
請求項4は、前記密閉空間中のモータカバーの内部に圧縮空気を供給する構造としたことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載の微細霧発生モータである。このように、前記密閉空間中のモータカバーの内部に圧縮空気を供給するため、モータカバーの内部の圧力が高まり、その結果、モータカバーの内部に塩分が入り込んでモータ機構部や軸受け部に塩害を与えるのをより確実に防止できる。
【0011】
海水の微細霧による製塩室は、微細霧に常時温風を当てているため常に圧力が高い状態になって、微細霧発生モータの内部は相対的に負圧状態となって、製塩室の海水の微細霧や塩水が入り込み易いが、以上のように各送入口から圧縮空気を送入して高圧状態に維持することによって、モータ内部への微細霧や塩水の浸入を効果的に防止できる。
【0012】
請求項5は、海水の微細霧発生用のモータの出力軸を包囲する防塩カバー手段となるシールハウジングに、前記出力軸の外周に向けて圧縮空気を噴射するための放射方向の小孔を設け、各放射状小孔の外端を圧縮空気源に連通可能としたことを特徴とする請求項1に記載の微細霧発生モータである。このように、モータの出力軸を包囲するシールハウジングに、出力軸の外周に向けて圧縮空気を噴射する放射状小孔を設け、各放射状小孔の外端を圧縮空気源に連通可能としてあるため、圧縮空気源から供給された圧縮空気が各放射状小孔の内端からモータ出力軸に向けて噴射されるので、塩分や水分、粉塵などの異物が外部からモータ出力軸の軸受けやモータ内部に進入してモータを劣化させるのを阻止できる。
【0013】
請求項6は、前記のシールハウジングに、リング状の空洞からなるコンデンサ室を前記出力軸を囲むように形成し、前記放射状小孔の各外端と圧縮空気源との間に介在させてあることを特徴とする請求項5に記載の微細霧発生モータである。このように、前記シールハウジングに、リング状の空洞からなるコンデンサ室を前記出力軸を囲むように形成し、前記放射状小孔の各外端と圧縮空気源との間に介在させてあるので、コンデンサ室で一旦蓄積蓄圧された圧縮空気が均一にモータ出力軸の外周に噴射される。コンデンサ室は、モータ出力軸を囲むようにリング状の空洞になっているので、シールハウジング中にコンパクトに形成できる。
【0014】
請求項7は、前記放射状小孔の内端を出力軸の先端側に向けて傾斜させることによって、放射状小孔からの噴出空気流が出力軸の先端側に噴出する構造とし、しかも放射状小孔の内端を前記出力軸の回転方向に向けて傾斜させることによって、放射状小孔からの噴出空気流が出力軸の回転方向と同じ向きの渦流状の循環流となる構造としたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の微細霧発生モータである。このように、前記放射状小孔の内端を出力軸の先端側に向けて傾斜させることによって、放射状小孔からの噴出空気流が出力軸の先端側に噴出する構造にしてあるので、モータ出力軸の先端側から進入してくる異物を効果的に阻止できる。また、放射状小孔の内端を前記出力軸の回転方向に向けて傾斜させてあるので、放射状小孔からの噴出空気流が出力軸の回転方向と同じ向きの渦流状の循環流となり、その結果、モータ出力軸の外周で圧縮空気流が途切れたり、不均一となることはなく、前記のモータ出力軸の先端方向の噴射流と相まって、異物の進入をより確実に阻止できる。
【0015】
請求項8は、モータ駆動される海水の微細霧発生用の高速回転板を凹曲面とし、その中央部に海水を供給する構造としたことを特徴とする微細霧発生モータである。従来の細霧発生用の高速回転円盤は、中央の海水供給口から外気と共に海水を遠心力で吸入して各放射状空洞を通過して放出するため、海水供給部側が負圧になることでモータ軸受け部にスラスト方向の負荷が生じて軸受け部を損傷する。ところが、本発明のように微細霧発生用の高速回転板を凹曲面とし、その中央部に海水を供給する構造にすると、遠心力で外気を吸入して放出する放射状空洞が存在しないので、モータ軸受け部にスラスト方向の負荷が生じない。その結果、モータ軸受け部の損傷による寿命低下を抑制できる。
【0016】
また、従来の放射状空洞を有する高速回転盤の場合は、遠心力による海水の放出力に加えて、大量に吸い込む空気の流れが、遠心力で加速されている微細粒子の速さに加算されてパワーアップするため、背部から温風を当てた際に海水の微細霧が円滑に製塩室中央に圧送されず、つまり前方に流れずに飛び散って、前記のようにモータ出力軸側に迂回する成分が発生する。ところが、本発明のような凹曲面状の高速回転板にした場合は、従来の水車型の高速回転盤の各放射状空洞が遠心力で大量の空気を吸い込んで加速していたのと違って、このような放射方向の加速流は発生しないので、温風吹き付けに起因する飛び散りやモータ出力軸側への迂回成分を低減でき、塩害によるモータ寿命の低下も抑制される。
【0017】
請求項9は、前記高速回転板の凹曲面の少なくとも外周側に放射状の案内溝及び/又は凸条を多数設けてなることを特徴とする請求項8に記載の微細霧発生モータである。このように、前記高速回転板の凹曲面に放射状の案内溝及び/又は凸条を多数設けてあると、凹曲面に沿って遠心力で次第により薄い膜状になりながら拡がっていく海水の膜が多数の放射状の案内溝に入って分散される。あるいは、凸条に沿って分散される。その結果、高速回転で凹曲面の外周から放出されて振り切られる際に無数の微細霧となって飛散することになり、微細霧を効果的に発生できる。なお、放射状の案内溝及び/又は凸条は、高速回転板の外周側だけに設ければ足りる。外径の大きい外周側には、放射状の案内溝及び/又は凸条をより多く形成できるので、従来の放射状羽根で仕切る放射状空洞より多数形成でき、海水の分散効率も大きい。
【0018】
請求項10は、前記高速回転板の凹曲面外周に、幅の小さな網その他の微細間隔の分離手段を設けてなることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の微細霧発生モータである。このように、高速回転板の凹曲面外周に、幅の小さな網その他の微細間隔の分離手段を多数設けてあると、凹曲面に沿って遠心力で広がって来た膜状の海水が凹曲面外周に到達した時点で網目状の多数の微細間隔の分離手段で無数に分離分散されながら、高速回転板の回転力で高頻度で振り切られながら、微細霧となって凹曲面の外周から飛散する。
【0019】
請求項9のように案内用の溝や凸条を設けたり、請求項10のように外周に微細間隔に分離手段を設ける構成は、従来の水車型の放射状空洞と違って容易に無数に形成できるので、比較的低い回転数でも、また遠心力が比較的小さくても、分散効率が高く、円滑に微細霧を発生できる。その結果、微細霧発生モータは比較的低速回転が可能となり、軸受けの磨耗劣化が少なく、より長寿命化できる。
【0020】
請求項11は、前記高速回転板の凹曲面の半径方向の中間位置にドーナツ状の板を設けて、このドーナツ状板と前記凹曲面との間に多数の放射状羽根を挟んで多数の放射状空洞を形成してなることを特徴とする請求項8、請求項9または請求項10に記載の微細霧発生モータである。このように、前記高速回転板の凹曲面の半径方向の中間位置にドーナツ状の板を設けて、このドーナツ状板と前記凹曲面との間に多数の放射状羽根を挟んで多数の放射状空洞を形成してあるため、従来の水車型の放射状空洞を凹曲面の半径方向の中間位置だけに設けた格好となる。その結果、高速回転板を立てて使用する場合に、凹曲面の中央に供給された海水は、凹曲面の半径方向の中間位置に設けた放射状羽根によって効果的かつ均一に全周に分散される。その後は、凹曲面に沿って膜状に伸ばされながら外周端に達し、全周均一な微細霧となって振り切られる。また、凹曲面の半径方向の中間位置だけに、吸入力と放出力の大きな放射状空洞が有るので、凹曲面の前方で淀んでいる微細霧を効果的に各放射状空洞に吸入して外端から放出できるので、温風吹き付けに起因する凹曲面前方における微細霧の淀みも解消される。
【0021】
請求項12は、前記高速回転板の凹曲面の中央部寄りにおいて、海水の流入部を囲むように放射方向の羽根板を設けてあることを特徴とする請求項8、請求項9、請求項10または請求項11に記載の微細霧発生モータである。このように、前記高速回転板の凹曲面の中央部寄りにおいて、海水の流入部を囲むように放射方向の羽根板を設けてあるので、高速回転板を立てて使用する場合に、凹曲面中央に供給された海水は、放射方向の羽根板の回転によって、直ちに効果的かつ均一に全周に分散されてから、凹曲面に沿って膜状に伸ばされるため、凹曲面外周から均一に微細霧が発生可能となる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1のように、微細霧発生モータの出力軸を包囲する防塩カバー手段を設けてあるので、微細霧室から塩分がモータ出力軸に到来するのを抑制できる。しかも、該モータ自体を収納した密閉空間の内部に圧縮空気を供給するため、密閉空間中が前記防塩カバー手段中より高圧となる結果、防塩カバー手段中の塩分が軸穴と出力軸間の隙間から密閉空間中に進入するのを抑止できる。そのため、モータ内部や軸受け部に塩分が入り込んで腐食・劣化などの塩害を受けるのを防止できる。
【0023】
請求項1のようにモータの入っている密閉空間の内部に圧縮空気を供給するため、その圧力によって、モータ出力軸と軸受けとの隙間から塩分が入り込むのを抑制できるが、請求項2のように、防塩カバー手段中のモータ出力軸の外周に、モータ出力軸の外径より大径の遮断手段を設けてあるため、塩分が液状になって出力軸の表面に沿ってモータ側に伝わるのを遮断し阻止できる。
【0024】
請求項3のように、モータ出力軸に攪拌ファンを設け、この攪拌ファンと軸受けの間に1以上の圧縮空気送入口を設けてあるので、防塩カバー手段の内部の塩分は圧縮空気でモータ出力軸の先端側に圧送され、密閉空間に入り込むのをより確実に阻止できる。しかも、攪拌ファンによって、防塩カバー手段の内部が攪拌されて、防塩カバー手段内の圧力が均一化され、圧縮空気の送入口を複数か所に設けたことと相まって、防塩カバー手段中を満遍なく高圧にして、塩分の浸入をより確実に阻止できる。
【0025】
請求項4のように、前記密閉空間中のモータカバーの内部に圧縮空気を供給するため、モータカバーの内部の圧力が高まり、その結果、モータカバーの内部に塩分が入り込んでモータ機構部や軸受け部に塩害を与えるのをより確実に防止できる。
【0026】
海水の微細霧による製塩室は、微細霧に常時温風を当てているため常に圧力が高い状態になって、微細霧発生モータの内部は相対的に負圧状態となって、製塩室の海水の微細霧や塩水が入り込み易いが、以上のように各送入口から圧縮空気を送入して高圧状態に維持することによって、モータ内部への微細霧や塩水の浸入を効果的に防止できる。
【0027】
請求項5のように、モータの出力軸を包囲するシールハウジングに、出力軸の外周に向けて圧縮空気を噴射する放射状小孔を設け、各放射状小孔の外端を圧縮空気源に連通可能としてあるため、圧縮空気源から供給された圧縮空気が各放射状小孔の内端からモータ出力軸に向けて噴射されるので、塩分や水分、粉塵などの異物が外部からモータ出力軸の軸受けやモータ内部に進入してモータを劣化させるのを阻止できる。
【0028】
請求項6のように、前記シールハウジングに、リング状の空洞からなるコンデンサ室を前記出力軸を囲むように形成し、前記放射状小孔の各外端と圧縮空気源との間に介在させてあるので、コンデンサ室で一旦蓄積蓄圧された圧縮空気が均一にモータ出力軸の外周に噴射される。コンデンサ室は、モータ出力軸を囲むようにリング状の空洞になっているので、シールハウジング中にコンパクトに形成できる。
【0029】
請求項7のように、前記放射状小孔の内端を出力軸の先端側に向けて傾斜させて、放射状小孔からの噴出空気流が出力軸の先端側に噴出する構造にしてあるので、モータ出力軸の先端側から進入してくる異物を効果的に阻止できる。また、放射状小孔の内端を前記出力軸の回転方向に向けて傾斜させてあるので、放射状小孔からの噴出空気流が出力軸の回転方向と同じ向きの渦流状の循環流となり、その結果、モータ出力軸の外周で圧縮空気流が途切れたり、不均一となることはなく、前記のモータ出力軸の先端方向の噴射流と相まって、異物の進入をより確実に阻止できる。
【0030】
請求項8のように、微細霧発生用の高速回転板を凹曲面とし、その中央部に海水を供給する構造にすると、従来のように遠心力で外気を吸入して放出する放射状空洞が存在しないので、モータ軸受け部にスラスト方向の負荷が生じない。その結果、モータ軸受け部の損傷による寿命低下を抑制できる。また、従来の放射状空洞を有する高速回転盤の場合は、遠心力による海水の放出力に加えて、大量に吸い込む空気の流れが、遠心力で加速されている微細粒子の速さに加算されてパワーアップするため、背部から温風を当てた際に海水の微細霧が円滑に製塩室中央に圧送されず、つまり前方に流れずに飛び散って、前記のようにモータ出力軸側に迂回する成分が発生する。ところが、請求項8のような凹曲面状の高速回転板にした場合は、従来の水車型の高速回転盤の各放射状空洞が遠心力で大量の空気を吸い込んで加速していたのと違って、このような放射方向の加速流は発生しないので、温風吹き付けに起因する飛び散りやモータ出力軸側への迂回成分を低減でき、塩害によるモータ寿命の低下も抑制される。
【0031】
請求項9のように、前記高速回転板の凹曲面に放射状の案内溝及び/又は凸条を多数設けてあると、凹曲面に沿って遠心力で次第により薄い膜状になりながら拡がっていく海水の膜が多数の放射状の案内溝に入って分散される。あるいは、凸条に沿って分散される。その結果、高速回転で凹曲面の外周から放出されて振り切られる際に無数の微細霧となって飛散することになり、微細霧を効果的に発生できる。外径の大きい外周側には、放射状の案内溝及び/又は凸条をより多く形成できるので、従来の放射状羽根で仕切る放射状空洞より多数形成でき、海水の分散効率も大きい。
【0032】
請求項10のように、高速回転板の凹曲面外周に、幅の小さな網その他の微細間隔の分離手段を多数設けてあるので、凹曲面に沿って遠心力で広がって来た膜状の海水が凹曲面外周に到達した時点で網目状の多数の微細間隔の分離手段で無数に分離分散されながら、高速回転板の回転力で高頻度で振り切られながら、微細霧となって凹曲面の外周から飛散する。
【0033】
請求項9のように案内用の溝や凸条を設けたり、請求項10のように外周に微細間隔に分離手段を設ける構成は、従来の水車型の放射状空洞と違って容易に無数に形成できるので、比較的低い回転数でも、また遠心力が比較的小さくても、分散効率が高く、円滑に微細霧を発生できる。その結果、微細霧発生モータは比較的低速回転が可能となり、軸受けの磨耗劣化が少なく、より長寿命化できる。
【0034】
請求項11のように、前記高速回転板の凹曲面の半径方向の中間位置に設けたドーナツ状板と前記凹曲面との間に多数の放射状羽根を挟んで多数の放射状空洞を形成してあるため、従来の水車型の放射状空洞を凹曲面の半径方向の中間位置だけに設けた格好となる。その結果、高速回転板を立てて使用する場合に、凹曲面の中央に供給された海水は、凹曲面の半径方向の中間位置に設けた放射状羽根によって効果的かつ均一に全周に分散される。その後、凹曲面を外周端まで移動し、全周均一な微細霧となって振り切られる。また、凹曲面の半径方向の中間位置だけに、吸入力と放出力の大きな放射状空洞が有るので、凹曲面の前方で淀んでいる微細霧を効果的に各放射状空洞に吸入して外端から放出するので、温風吹き付けに起因する凹曲面前方における微細霧の淀みも解消される。
【0035】
請求項12のように、前記高速回転板の凹曲面の中央部寄りにおいて、海水の流入部を囲むように放射方向の羽根板を設けてあるので、高速回転板を立てて使用する場合に、凹曲面中央に供給された海水は、放射方向の羽根板の回転によって、直ちに効果的かつ均一に全周に分散されてから、凹曲面に沿って膜状に伸ばされるため、凹曲面外周から均一に微細霧が発生可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
次に本発明による海水の微細霧発生モータが実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。図1(1)は本発明による微細霧発生モータの第1実施形態を示す縦断面図であり、駆動モータMの出力軸1の先端に高速回転盤2が固定されている。この高速回転盤2の断面構造は図1(2)のように、2枚の円板31、32間に放射方向の案内羽根3を多数設けて多数の放射状空洞3c…に仕切ることで、水車状に形成されている。
【0037】
モータ出力軸1の反対側の中央部は、円板32、放射状羽根3を除去して開口33とし、該開口33中に、海水供給管4で海水SWを供給しながら、高速回転盤2を例えば毎分1万回転といった高速回転させると、遠心力による負圧で矢印a1方向に海水を吸い込んで、外周から矢印a2方向に吐き出す際に、各案内羽根3で分散されるため、高速回転盤2から放出され振り切られる時点では微細霧5となって飛散する。矢印a2方向に飛散した微細霧5に背部から矢印a3方向の温風が吹き付けられることによって、製塩室の中央に送られ、微細霧中の水分が蒸発して塩の結晶が生成される。
【0038】
モータMは密閉ケーシング6の中に内蔵されており、この密閉ケーシング6の前面壁61から円筒状の防塩カバー7を突出させ、モータMの出力軸1を包囲している。この防塩カバー7の先端と、高速回転盤2との間隔Gはできるだけ狭くして、海水の微細霧や塩分が出力軸1側に入り込み難いようにする。密閉ケーシング6の前面壁61に設けた軸穴8は、その軸方向の長さLを可能な限り長く、少なくとも前面壁61の厚さより大きくして、出力軸1との間に生じる隙間8を長くしている。その結果、出力軸1の先端側から密閉ケーシング6の内部に塩分や水分が入り込もうとする際の抵抗を高めている。また、軸穴8の外側において、出力軸1に円板状の遮断板9を設けてある。そして、防塩カバー7の内径>遮断円板9の外径>軸穴8の内径>出力軸1の外径、という寸法関係になっている。その結果、出力軸1の外周を伝って塩分を含んだ液体が軸穴8側に浸入するのを阻止できる。一方、密閉ケーシング6には、その内部の密閉空間中に圧縮空気を供給するめたの送入口10を設けてある。
【0039】
モータMの始動に際しては、始動と同時に又は始動の前に送入口10から圧縮空気を密閉ケーシング6の内部に送入して、密閉ケーシング6の内部を外気よりも高圧にしておく。その結果、軸穴8と出力軸1との間の微小隙間から圧縮空気が遮断板9側に吹き出すことになり、隙間8から塩分なとが入り込むのを阻止できる。また、軸穴8の長さLが密閉ケーシング6の前面壁61の厚さより大いため、隙間8から塩分が入り込む際の抵抗が増え、塩分の浸入阻止がより効果的となる。
【0040】
軸穴8との隙間から吹きだした圧縮空気は、防塩カバー7と高速回転盤2との隙間Gから外部に吹き出すため、霧状その他の塩分がこの隙間Gから防塩カバー7の内部に入り込むのを抑制できる。万一、液体の状態で出力軸1の表面を伝わって軸穴8中に入り込もうとしても、軸穴8の手前に遮断板9が有るため、大径の遮断板9を乗り越えて軸穴8側まで到達することは極めて困難であり、出力軸1の表面を伝って塩分が軸穴8の内部に入り込むのを効果的に阻止できる。また、軸穴8内の隙間から吹き出した圧縮空気は、遮断板9に当たってその外周側に移動するため、この際の風圧によって、塩分を含んだ液体が遮断板9を越えて軸穴8側に移動するのを効果的に抑制できる。
【0041】
図2に示すように、前記遮断板9と高速回転盤2の間において、出力軸1に攪拌ファンfを設けてある。また、防塩カバー7には、例えば90度間隔に4個の圧縮空気送入口11を設けてある。この送入口11は、攪拌ファンfと前記遮断板9との間に設けてあるが、遮断板9の外径が大きくなければ、密閉ケーシング前面壁61寄りに設けてもよい。その結果、送入口10から送入された圧縮空気が軸穴8と出力軸1間の隙間から吹き出すのに加えて、防塩カバー7の送入口11からも圧縮空気が送入される。これらの圧縮空気は、防塩カバー7の内部を高圧にした後、攪拌ファンfと防塩カバー7との間を通過して、防塩カバー7先端の隙間Gから外部に吹き出す。このとき、攪拌ファンfの回転によって、防塩カバー7の内部が攪拌され、圧縮空気送入口11の存在しない領域も含めて、防塩カバー7内の全体が均一に高圧に維持されるので、塩分が隙間Gから防塩カバー7中に入り込んだり、万一入り込んだとしても、軸穴8側に移動するのをより確実に防止できる。
【0042】
モータMは、モータを構成する機構部をモータカバーMcで覆っているのが普通である。本発明では、このモータカバーMcの中にも圧縮空気を供給すべく、送入口12を設けて、密閉ケーシング6の外に導出してある。そして、このモータカバーMcの内部にも圧縮空気を供給して充満させることによって、モータカバーMcの軸受け部からモータ機構部に塩分が浸入したり、軸受け部のグリースなどが塩害を受けて劣化するのを防止している。
【0043】
このように、圧縮空気送入口10、11、12の少なくとも3か所に圧縮空気を供給しているが、圧縮空気を供給開始するタイミングは、まず送入口12からモータカバーMcの中に圧縮空気を供給して満たしてから、送入口10から密閉ケーシング6中に圧縮空気を供給し充満させる。そして、最後に各送入口11から防塩カバー7中に圧縮空気を供給するが、防塩カバー7の内部全体の圧力を一定にすべく攪拌ファンfを作動させるために、モータMを始動させる。以上のように、圧縮空気は、モータカバーMcの内部と、密閉ケーシング6の内部と、防塩カバー7中の軸穴8寄りの3か所に供給できるが、このように3か所に供給する場合は、それぞれの空気圧の高さは、モータカバーMc内>密閉ケーシング6内>防塩カバー7の軸穴8側、となるように設定することが望ましい。以上の圧縮空気送入口10、11、12は必ずしもこれらの全部を装備する必要はなく、いずれか1又は2か所を設けるだけでもよい。なお、図示例では、案内羽根3による放射状空洞3cつきの水車状の高速回転盤2を示したが、図3〜図9のような凹曲面状の高速回転板を用いても同じ効果が得られる。
【0044】
海水の微細霧による製塩室では、高速回転盤2の背部から矢印a3方向の温風を常時微細霧5に当てているため、常に圧力が高い状態になって、微細霧発生モータMの内部は相対的に負圧状態となっている。その結果、製塩室の海水の微細霧や塩水が入り込み易いが、以上のように各送入口10、11、12から圧縮空気を送入して高圧状態に維持することによって、モータカバーMc内部への微細霧や塩水の浸入を未然に防止できる。
【0045】
以上は軸受け部やモータ機構部などの塩害による劣化を抑制する構造であるが、図3は、軸受けに作用する負荷を軽減することによる軸受けの劣化抑制構造であり、微細霧発生用の高速回転板13の中心位置における縦断面図である。この高速回転板13は、アルミニウムその他の金属や合成樹脂製の円板を球面状に形成したものであり、球体の一部を円形に取り出した形状である。そして、その凹曲面13iの中央Cに、海水供給管4で海水SWを供給しながら、高速回転板13をモータMによって例えば毎分1万回転といった高速回転をさせる。その結果、中央Cに供給された海水SWは、遠心力によって、高速回転板の凹曲面13iに沿って外周側に送られ、最後に外周端から振り飛ばされる。
【0046】
このとき、高速回転板の高速回転力によって外周から振り切られるため、海水の微細霧5となる。また、高速回転板13は、海水供給側が凹曲面になっていて窪んでいるため、凹曲面13iに付着している海水が遠心力で拡散する際に、遠心力で凹曲面に密着する力が海水に作用するので、海水は凹曲面13iに確実に密着し保持されながら外周に送られる。その結果、高速回転板から確実に遠心力を受けて、外周から放出される。高速回転によって高頻度で振り切られて放出されるので、微細霧5となって飛散する。また、面積のより大きい外周側に遠心力で移動するにつれて徐々により薄い膜状に押し伸ばされるので、最終的にはより細かい微細霧5となって飛散する。
【0047】
図4は、図3の高速回転板13の平面図であり、凹曲面13iの外周寄りに無数の案内溝14を放射状に形成してある。そのため、凹曲面13iに沿って外周側に押し出される海水の膜は各案内溝14中に流れ込み、案内溝14中を遠心力で外周側に押し流されて、外周から飛散する。そのため、凹曲面13iに付着している海水膜は、多数の案内溝14で分散されることになり、その結果、微細霧となって外周から飛散する。したがって、この案内溝14は、可能な限り多い方がよい。案内溝14の放射方向の長さは特に限定しないが、外周寄りに設ければ、より多くの溝を形成できる。なお、案内溝は直線状でなく、14cのように、高速回転中の海水膜が遠心力を効果的に受けて流れやすい方向に湾曲しているのがよい。
【0048】
前記の案内溝14、14cに代えて、凸状も有効である。図5(1)は、図4の溝14、14cの断面形状であり、(2)は逆に凸状16を設けた場合の断面形状である。溝に代えて、放射状の凸条16にした場合は、凸条16が壁となって、凸条16に沿って海水膜が流れるので、案内溝と同様なガイド作用が得られる。しかし、溝のみ又は凸条のみを形成するのは困難であり、円板に刃物で溝を加工する際に、(3)のように、その溝14(14c)の両側に凸条16が盛り上がるのが通常である。刃物の当て方などを工夫することによって、(4)のように溝14(14c)の片側だけに凸条16が盛り上がるようにもできる。このように、案内溝を形成する際に付随的に凸条が形成されてもよいし、特別に凸条のみを形成してもよい。
【0049】
図6は、案内溝14や凸条16に代えて、外周端に無数の分離手段を設けた例である。例えば、細く短いピアノ線を高速回転板13の外周に立てた状態で一体化させてある。図6(1)はメッシュの細かい網を用いて分離手段を設ける例を示す側面図であり、高速回転板13の外周に網15を巻き付けた状態でロウ付け又は接着して固定する。次いで、前記凹曲面13iの外周側から例えば1mm程度の長さだけ突出した状態で残るように、鎖線A−A位置で鋏でカットすると、図6(2)のように、凹曲面13iの外周端において、無数の線材15wが一定の微小間隔で立った状態に固定された構成となる。なお、A−A位置でカットするのが困難な場合は、網目を例えば2〜3個分残した状態でカットしてもよい。あるいは、初めから網目数個分の幅の小さい網を高速回転板13の外周に巻き付けてロウ付け又は接着し固定してもよい。
【0050】
この状態において、高速回転板13が高速回転すると、凹曲面13iの中央に供給された海水が遠心力で外周に向かって拡散され、薄い膜となった状態で、外周の無数の線材15w…に当たって無数に分散され、各線材15w…の間から放出される。このとき、高速回転板13の高速回転によって高頻度で放出され、かつ繰り返し振り切られるため、微細霧となって飛散する。このように、高速回転板13の外周に微細間隔で無数の線材15w…を設けると、高速回転によって振り切られて発生する微細霧も容易に実現できるので、従来の水車型の放射状空洞3cの高速回転で海水を分散させて微細霧にする構造と違って、さほど高速回転でなくても、かつ遠心力が比較的小さくても、外周から微細霧5を円滑に発生可能となる。さほど高速回転にする必要がなくなると、モータの軸受けの寿命はさらに長くなる。なお、図5のような案内溝14、14cや凸条16の場合にも同様な効果を奏する。
【0051】
以上のように、高速回転板13は、図1のように多数の案内羽根3による放射状空洞3cを有する水車構造と違って、高速回転板13の中央に遠心力による矢印a1方向の吸引圧を生じないため、モータ軸のスラスト方向の外力を受けず、モータ軸受けに負担がかかって、軸受けの寿命が短くなるといった問題が解消される。放射状空洞からなる水車構造と違って、円板状の高速回転板13は、外周からの微細霧の飛散力が強過ぎないので、背部からの温風吹き付けに起因する海水細霧のモータ出力軸側への飛散迂回も減少する。なお、図3はモータ軸が鉛直方向を向いているが、図1、図2のように水平にして、高速回転板13を立てて使用できることは言うまでもない。
【0052】
このように、図3のモータMの出力軸1を水平にすることによって高速回転板13を立てて使用する場合は、海水供給管4から出た海水SWは、高速回転板13の前面中央から流れ落ちて無駄になり、供給された海水SW全体を円滑に微細霧5として活用できなくなる恐れがある。そこで、図7のように、高速回転板13の凹曲面13iの半径方向の中間位置に放射状空洞31cを設けたり、図8、図9のように中央側に放射方向の羽根板を設けるのが効果的である。
【0053】
図7の場合は、案内羽根31が破線で示されていることからも分かるように、凹曲面13iの半径方向の中間位置にドーナツ状の板17が有り、このドーナツ状板17と凹曲面13iとの間に多数の案内羽根31…を挟んで固定することによって、多数の放射状空洞31cを形成してある。その結果、高速回転板13が図1のように立った状態で回転した場合、凹曲面13iの中央部Cに供給された海水SWは、放射状案内羽根31…の高速回転によって高速回転板13の全周に均一に分散されながら放射状空洞31cの外端から放出される。
【0054】
したがって、半径途中の放射状空洞31c…が高速回転すると、水車型の高速回転盤2と同じ原理で、空気と共に海水SWを遠心力で吸い込んで放射方向に放出するので、以後は、凹曲面13iに沿って遠心力で押し伸ばされて徐々に薄い膜となり、最終的に外周端から振り切られて微細霧5となる。図3からも明らかなように、微細霧5が凹曲面13iの前面に回り込んで停滞する恐れがあるが、こうして凹曲面13i前面で淀んでいる微細霧は、前記のような放射状空洞31cの遠心力による、前記矢印a1方向の吸引力で吸い込んで、各放射状空洞31cの外端から放出する効果も奏する。
【0055】
前記のように、海水SWを空気と共に吸い込む関係上、海水SWが供給される高速回転板13の中央部C寄りに放射状案内羽根31…の内端を配置する必要があるが、放射状案内羽根31…やドーナツ状板17の外周位置は、高速回転板13の半径の1/2位置より中央C寄りに配置することが望ましい。つまり、ドーナツ状板17の半径を、高速回転板13の半径の1/2より小さくするのが望ましい。遠心力による吸引力が従来のように大き過ぎないように、しかも放射状空洞31cから放出された海水を凹曲面13iに沿って膜状に押し伸ばすのに充分な半径方向の経路を確保するためである。ドーナツ状板17の半径方向の幅Wは、高速回転板13の半径の1/2を越えない寸法で足りる。放射状空洞31cによる遠心力による吸引力が大き過ぎないようにするためである。なお、高速回転板13の外径は、25〜40cm程度が適している。
【0056】
このように、凹曲面13iの半径途中に放射状空洞31c…を設けた場合は、その外径が小さくなるので、従来の水車型の高速回転盤2のように遠心力による吸引力が強過ぎるという問題が解消される。これに対し、図8、図9は、凹曲面13iの中央部C寄りに例えば6枚の羽根板18を放射方向(又は放射状)に固定してある。この場合は水車型の放射状空洞31c…にしないので、羽根板18の前方は露出させたままでよい。いま、凹曲面13iの中央部Cに図1のように供給管4から供給された海水SWは、高速回転している放射方向の羽根板18…で全周に分散されるので、凹曲面13iの全面に均一に分散された状態で、外周側に次第により薄い膜状になりながら拡散流出し、微細霧5となる。
【0057】
このように凹曲面13iの中央部C寄りにおいて、海水SWの流入部を囲むように設けた放射状羽根板18…は、多数設ける必要はなく、約10枚以内でも足りる。形状も、単純な長方形状で足りる。なお、このような凹曲面13iの中央部C寄りの放射状羽根板18…を設けた状態において、図7のように外周側のみに水車型の案内羽根31…を設ける構造を併用することも可能であり、より効果的となる。また、図7〜図9の構造は、図4〜図6の構成と併用することもできる。
【0058】
図12〜図14は、図2の実施形態の改良型のエアーシール構造であり、図10、図11のモータ軸に適用した例である。図10は通常のモータの側面図、図11は該モータの正面図で、モータの出力軸1と軸受け側との間の隙間から塩分や水分などの異物が進入するのを阻止するために、改良型のエアーシール構造を実装すると、図12〜図14のようになる。図12はモータ出力軸1の軸芯方向の縦断面図であり、モータケーシング6の前面壁M61と出力軸1との間にエアーシール用のシールハウジング20を設けて、前面壁M61側に固定してある。
【0059】
このシールハウジング20には、リング状の空洞からなるコンデンサ室21が開いており、圧縮空気供給用の空気流入口22が外周部に開けてある。コンデンサ室21と出力軸外周の環状のエアーシール空間23との間は、多数の放射方向の小孔24…で連通している。この放射状小孔24…は、出力軸1(の軸芯)に対し角度αだけ傾けることによって、矢印a4で示す噴射流を出力軸1の先端方向に向けてある。その結果、出力軸1先端側からエアーシール空間23側に進入しようとするガス類や塩分、水分、粉塵などの異物の進入を噴射流で効果的に阻止できる。したがって、異物がモータの内部や軸受け部などに進入することはない。なお、シールハウジング20の放射状小孔24…の出口周辺の面は、放射状小孔24…に対しほぼ直角になっているが、矢印a4で示す噴射流が出力軸1の先端方向にガイドされるように、多少立てた出口面にしてもよい。
【0060】
各部の寸法関係を示すと、エアーシール空間23の内径>シールハウジング20の軸受け孔の内径>出力軸1の外径、ということになる。出力軸1の外径とシールハウジング20の軸受け孔の内径との寸法差すなわち隙間は例えば約1mm以下が適しているが、特に限定はされない。また、エアーシール空間23の内径と前記軸受け孔の内径との寸法差すなわちエアーシール空間23の半径方向の寸法は約1〜2mm程度が適しているが、特に限定はされない。なお、出力軸1の根元のフランジ1fは必ずしも必要ない。
【0061】
空気流入口22−コンデンサ室21−放射状小孔24…−エアーシール空間23−出力軸1の経路で断面にしたのが、図13、図14であり、放射方向の小孔24…の外端はコンデンサ室21と連通し、内端はエアーシール空間23と連通している。図13は右回転用であり、各放射状小孔24…の内端が、出力軸1の回転方向である右方向に向くように角度βだけ傾けてある。その結果、各放射状小孔24…から噴出した噴射流は、出力軸1の回転方向と同じく右向きの流れとなって、出力軸1の外側のエアーシール空間23中で途切れることなく渦流状に循環している。そのため、外部から水分や粉塵などの異物がエアーシール空間23中を通過して、モータ内部に進入することは不可能となる。
【0062】
図14の左回転用は、各放射状小孔24…の内端が、出力軸1の回転方向である左方向に向くように角度−βだけ傾けてある。その結果、各放射状小孔24…から噴出した噴射流は、出力軸1の回転方向と同じく左向きの流れとなって、出力軸1の外側のエアーシール空間23中で渦流状に循環している。そのため、モータ出力軸1と固定部分との隙間からガス類や水分、油類などの異物が浸入して、ベアリングの劣化、破損及び、コイルの絶縁劣化を来すのをより確実に防止できる。また、コンデンサ室21に一旦充満して蓄圧された後に、各放射状小孔24…から出力軸1に圧縮空気を噴射して、圧縮空気でシールが行われるため、出力軸1の回転部分とハウジングとの摩擦熱が発生しない。また、モータの停止状態でも、圧縮空気の供給によって、異物の浸入を阻止できる。なお、各放射状小孔24…からの圧縮空気の排出圧を増やすことにより、水中や高気圧の条件下でも使用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上のように、本発明の微細霧発生モータは、微細霧発生用モータの軸受けやモータ内部が塩害やスラスト方向の機械的負荷によって劣化するのを抑制して、高速駆動するモータを長寿命化できるので、高価な製塩装置のランニングコストを低減して、より安価なミネラル塩を供給可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】(1)は、本発明による微細霧発生モータの第1実施形態を示す縦断面図、(2)は(1)図中の水車型の高速回転盤の縦断面図である。
【図2】本発明による微細霧発生モータの第2実施形態を示す縦断面図である。
【図3】円板状の高速回転板からなる微細霧発生装置の縦断面図である。
【図4】図3の高速回転板の平面図で、直線状の又は湾曲した案内溝を設けた実施形態である。
【図5】図4に示す案内溝と凸条の各種断面形状を示す断面図である。
【図6】外周端に無数の分離手段を有する高速回転板の製法を示す側面図で、(1)は製作途中、(2)は完成状態である。
【図7】高速回転板の凹曲面の半径方向途中に放射状空洞を設けた実施形態の平面図である。
【図8】中央寄りに放射方向の羽根板を設けた実施形態の斜視図である。
【図9】図8の実施形態の正面図である。
【図10】通常のモータの側面図である。
【図11】図10のモータの正面図である。
【図12】シールハウジングのモータ出力軸の軸芯方向の縦断面図である。
【図13】空気流入口−コンデンサ室−放射状小孔−エアーシール空間−出力軸の経路におけるシールハウジングの断面図(右回転用)である。
【図14】空気流入口−コンデンサ室−放射状小孔−エアーシール空間−出力軸の経路におけるシールハウジングの断面図(左回転用)である。
【符号の説明】
【0065】
1 モータの出力軸
2 高速回転盤
3 案内羽根
3c 放射状空洞
4 海水供給管
C 中央部
5 微細霧
6 密閉ケーシング
61 前面壁
7 防塩カバー
8 軸穴
9 遮断円板
Mc モータカバー
10・11・12 圧縮空気送入口
13 高速回転板
13i 凹曲面
14・14c 案内溝
15 網
15w 線材
16 凸条
17 ドーナツ状板
31 案内羽根
31c 放射状空洞
18 放射方向の羽根板
20 シールハウジング
21 コンデンサ室
22 圧縮空気の流入口
23 エアーシール空間
24 放射状小孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水の微細霧発生用のモータの出力軸を包囲する防塩カバー手段を設けると共に、該モータ自体は密閉空間に収納し、該密閉空間の内部に圧縮空気を供給する構造としたことを特徴とする微細霧発生モータ。
【請求項2】
前記防塩カバー手段中のモータ出力軸の外周に、モータ出力軸の外径より大径の遮断手段を設けてなることを特徴とする請求項1に記載の微細霧発生モータ。
【請求項3】
前記防塩カバー手段中においてモータ出力軸に攪拌ファンを設け、しかも前記攪拌ファンと軸穴の間に1以上の圧縮空気送入口を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微細霧発生モータ。
【請求項4】
前記密閉空間中のモータカバー手段の内部に圧縮空気を供給する構造としたことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載の微細霧発生モータ。
【請求項5】
海水の微細霧発生用のモータの出力軸を包囲する防塩カバー手段となるシールハウジングに、前記出力軸の外周に向けて圧縮空気を噴射するための放射方向の小孔を設け、各放射状小孔の外端を圧縮空気源に連通可能としたことを特徴とする請求項1に記載の微細霧発生モータ。
【請求項6】
前記のシールハウジングに、リング状の空洞からなるコンデンサ室を前記出力軸を囲むように形成し、前記放射状小孔の各外端と圧縮空気源との間に介在させてあることを特徴とする請求項5に記載の微細霧発生モータ。
【請求項7】
前記の放射状小孔の内端を出力軸の先端側に向けて傾斜させることによって、放射状小孔からの噴出空気流が出力軸の先端側に噴出する構造とし、しかも放射状小孔の内端を前記出力軸の回転方向に向けて傾斜させることによって、放射状小孔からの噴出空気流が出力軸の回転方向と同じ向きの渦流状の循環流となる構造としたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の微細霧発生モータ。
【請求項8】
モータ駆動される海水の微細霧発生用の高速回転板を凹曲面とし、その中央部に海水を供給する構造としたことを特徴とする微細霧発生モータ。
【請求項9】
前記高速回転板の凹曲面の少なくとも外周側に放射状の案内溝及び/又は凸条を多数設けてなることを特徴とする請求項8に記載の微細霧発生モータ。
【請求項10】
前記高速回転板の凹曲面外周に、幅の小さい網その他の微細間隔の分離手段を設けてなることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の微細霧発生モータ。
【請求項11】
前記高速回転板の凹曲面の半径方向の中間位置にドーナツ状の板を設けて、このドーナツ状板と前記凹曲面との間に多数の放射状羽根を挟んで多数の放射状空洞を形成してなることを特徴とする請求項8、請求項9または請求項10に記載の微細霧発生モータ。
【請求項12】
前記高速回転板の凹曲面の中央部寄りにおいて、海水の流入部を囲むように放射方向の羽根を設けてあることを特徴とする請求項8、請求項9、請求項10または請求項11に記載の微細霧発生モータ。
【請求項1】
海水の微細霧発生用のモータの出力軸を包囲する防塩カバー手段を設けると共に、該モータ自体は密閉空間に収納し、該密閉空間の内部に圧縮空気を供給する構造としたことを特徴とする微細霧発生モータ。
【請求項2】
前記防塩カバー手段中のモータ出力軸の外周に、モータ出力軸の外径より大径の遮断手段を設けてなることを特徴とする請求項1に記載の微細霧発生モータ。
【請求項3】
前記防塩カバー手段中においてモータ出力軸に攪拌ファンを設け、しかも前記攪拌ファンと軸穴の間に1以上の圧縮空気送入口を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微細霧発生モータ。
【請求項4】
前記密閉空間中のモータカバー手段の内部に圧縮空気を供給する構造としたことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載の微細霧発生モータ。
【請求項5】
海水の微細霧発生用のモータの出力軸を包囲する防塩カバー手段となるシールハウジングに、前記出力軸の外周に向けて圧縮空気を噴射するための放射方向の小孔を設け、各放射状小孔の外端を圧縮空気源に連通可能としたことを特徴とする請求項1に記載の微細霧発生モータ。
【請求項6】
前記のシールハウジングに、リング状の空洞からなるコンデンサ室を前記出力軸を囲むように形成し、前記放射状小孔の各外端と圧縮空気源との間に介在させてあることを特徴とする請求項5に記載の微細霧発生モータ。
【請求項7】
前記の放射状小孔の内端を出力軸の先端側に向けて傾斜させることによって、放射状小孔からの噴出空気流が出力軸の先端側に噴出する構造とし、しかも放射状小孔の内端を前記出力軸の回転方向に向けて傾斜させることによって、放射状小孔からの噴出空気流が出力軸の回転方向と同じ向きの渦流状の循環流となる構造としたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の微細霧発生モータ。
【請求項8】
モータ駆動される海水の微細霧発生用の高速回転板を凹曲面とし、その中央部に海水を供給する構造としたことを特徴とする微細霧発生モータ。
【請求項9】
前記高速回転板の凹曲面の少なくとも外周側に放射状の案内溝及び/又は凸条を多数設けてなることを特徴とする請求項8に記載の微細霧発生モータ。
【請求項10】
前記高速回転板の凹曲面外周に、幅の小さい網その他の微細間隔の分離手段を設けてなることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の微細霧発生モータ。
【請求項11】
前記高速回転板の凹曲面の半径方向の中間位置にドーナツ状の板を設けて、このドーナツ状板と前記凹曲面との間に多数の放射状羽根を挟んで多数の放射状空洞を形成してなることを特徴とする請求項8、請求項9または請求項10に記載の微細霧発生モータ。
【請求項12】
前記高速回転板の凹曲面の中央部寄りにおいて、海水の流入部を囲むように放射方向の羽根を設けてあることを特徴とする請求項8、請求項9、請求項10または請求項11に記載の微細霧発生モータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−159382(P2007−159382A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−77655(P2006−77655)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(500425563)株式会社ぬちまーす (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(500425563)株式会社ぬちまーす (5)
【Fターム(参考)】
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