説明

製紙用内部サイジングにおける対称性オレフィンから誘導されたアルケニル無水コハク酸化合物の使用

無水マレイン酸と一又はそれ以上の実質的に対称なC20からC28内部オレフィンの反応から調製された一又はそれ以上のアルケニル無水コハク酸(ASA)化合物を具えるサイジング組成物を紙中に取り込むステップを具える、液体に対して耐性を必要とする用途に使用する紙をサイジングする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、アルケニル無水コハク酸化合物、より具体的には、無水マレイン酸と、実質的に対称的なC20からC28内部オレフィンとから調製されたアルケニル無水コハク酸化合物を用いた紙製品のサイジング方法に関する。
【0002】
本発明の背景
内部ペーパーサイジングにおけるアルケニル無水コハク酸(ASA)材料の使用は確立されており、世界中で使用されているこれらのタイプの製品の量は非常に多い。ASA材料を用いて、製造中に紙線維に対して一定の疎水性を与えると共に、完成品である紙製品に液体吸収に対する全体的な耐性を与える。
【0003】
ASAは、最も一般的には、無水マレイン酸(MA)と長鎖内部オレフィンの高温反応によって生成される。このオレフィン対MAモル比は、通常1.0よりも大きい。ASA生成に用いられるオレフィンのタイプは、生成物の性能に顕著な影響を及ぼすことができる。市販のASAサイジングで用いられるオレフィンは、典型的には、16から18の炭素鎖長を含む。
【0004】
また、オレフィンの線形性の度合、及びオレフィンの二重結合の位置は、性能に影響を与えることが知られている。例えば、一般的に「異性化」オレフィンは、アルファオレフィンよりも多く用いられている。この異性化オレフィンは、好適な触媒の存在下でアルファオレフィンを加熱することによって生成され、オレフィンの末端位置から内部位置に二重結合を移動される。一般的に、異性化プロセスは、様々なオレフィン異性体の複合体混合物を生成する。異性化オレフィンを用いる主な理由は、ASA性能向上が観察されること、及び液状のASA(より結晶性のもの又は固体生成物に対して)が生成されることである。
【0005】
無水マレイン酸と様々な内部オレフィンから調製されたASA化合物は、特許第3,821,069号に開示されている。無水マレイン酸と、内部オレフィンを含むオレフィンの混合物から調製されたASA化合物は、特許第6,348,132号に開示されている。メタセシス反応による内部オレフィンの調製及びASA化合物の調製におけるメタセシス化オレフィンの利用は、米国特許出願第2003/0224945 A1号に開示されている。ASA化合物の調製に用いられるオレフィンの二重結合位置と炭素鎖長の間の意図する関係は、Smith,D.,“ASA Components:Their Synthesis and Relative Sizing Performance”in Proceedings of Scientific & Technical Advances in the Internal & Surface Sizing of Paper & Board,Florence,Italy,Pira International(1999)に開示されている。
【0006】
市販のASA化合物は、一般的に無水マレイン酸とC16内部オレフィン、C18内部オレフィン、及びC16とC18内部オレフィンの混合物から調製されている。しかしながら、本明細書に記載されているように、これらのASA化合物は、耐高反応性液体を必要とするサイジング紙製品には多くの場合好適ではない。従って、本出願用に改善したサイジング製品、具体的には、アルキルケテン二量体(AKD)又はロジンサイズといった追加の製品の併用を必要としないサイジング製品が求められ続けている。
【0007】
本発明の概要
本発明は、液体の浸透に対して紙に耐性を与える方法であり、この方法は、無水マレイン酸と、一又はそれ以上の実質的に対称なC20からC28内部オレフィン、又はこれらの混合物の反応から調製された一又はそれ以上のアルケニル無水コハク酸(ASA)化合物を具えるサイジング組成物を紙中に取り込むステップを具える。
【0008】
本発明の詳細な説明
無水マレイン酸とオレフィンのエン反応によるASAサイズの調整は、よく知られている。本発明のASA化合物は、無水マレイン酸と共に、対称的又は実質的に対称であるC20からC28内部オレフィン、又はこれらの混合物を加熱することによって調製される。オレフィン対無水マレイン酸のモル比は、一般的に約1/1から約2/1である。この試薬を撹拌して、数時間、約180℃から約230℃の温度で不活性雰囲気で加熱する。時に、少量の(<1%)好適な抗酸化剤をこの混合物に加えて、不必要な副反応を減らし、最終生成物の全体の色を薄くする。この反応を終了後、残りの無水マレイン酸及び過剰のオレフィン試薬を真空蒸留によって除去し、所望のASA生成物を得る。
【0009】
本発明のASA化合物を調製するのに好適な実質的に対称である内部オレフィンは、炭素−炭素二重結合が、炭化水素鎖の中央の1つの炭素原子の内部に位置するオレフィンである。「線形内部オレフィン」は、本明細書に記載されているように、二重結合の両側のアルキル基が線形である実質的に対称である内部オレフィンを意味する。
【0010】
代表的な好適な実質的に対称である内部オレフィンとしては、10−エイコセン、11−ドコセン、12−テトラコセン、13−ヘキサコセン、14−オクタコセン、9−エイコセン、10−ヘンエイコセン、10−ドコセン、11−テトラコセン、11−トリコセン、12−ヘキサコセン、12−ペンタコセン、13−オクタコセン、13−ヘプタコセン等が挙げられる。
【0011】
実施例では、この実質的に対称である内部オレフィンが、式RCH=CHRのオレフィンであり、式中、R及びRは、直鎖又は分鎖CからC13アルキルからなる群より選択され、R及びRは同じであるオレフィンであり、これを以下「対称である内部オレフィン」という。
【0012】
好適な実質的に対称である内部オレフィンは、メタセシスプロセスを用いて、適切に生成される。この場合、アルファオレフィンを撹拌して、メタセシス触媒の存在下で反応する。メタセシス触媒は、チタン、タングステン、レニウム、又は特にルテニウム(グラブス触媒)といった様々な遷移金属に基づく酸化物又は有機金属材料であってよい。オレフィンは加熱する、又は比較的低い温度で反応させることができる(触媒及び量に依存する)。このメタセシス反応は可逆であり、平衡状態によって影響される。アルファオレフィンの場合では、エチレンガスが発生し、反応の平衡が進むように取り除く。例えば、適切なメタセシス触媒とC12アルファオレフィンとの反応は、エチレンガスと共に11−ドコセンを生じるであろう。この触媒系は均一又は不均一であり、連続(固定層)式又はバッチ式であってよい。「Olefin Metathesis and Metathesis Polymerization」J.K.Mol著(1997年出版)参照。
【0013】
実施例では、無水アルケニルコハク酸化合物は、無水マレイン酸と、一又はそれ以上の線形の実質的に対称であるC20からC28内部オレフィンとの反応によって調製される。
【0014】
別の実施例では、無水アルケニルコハク酸化合物は、無水マレイン酸と一又はそれ以上の対称であるC20からC28内部オレフィンとの反応によって調製される。
【0015】
別の実施例では、無水アルケニルコハク酸化合物は、無水マレイン酸と一又はそれ以上の実質的に対称であるC22からC28内部オレフィンとの反応によって調製される。
【0016】
別の実施例では、無水アルケニルコハク酸化合物は、無水マレイン酸と一又はそれ以上の線形の実質的に対称であるC22からC28内部オレフィンとの反応によって調製される。
【0017】
別の実施例では、無水アルケニルコハク酸化合物は、無水マレイン酸と一又はそれ以上の線形の対称であるC22からC28内部オレフィンとの反応によって調製される。
【0018】
別の実施例では、無水アルケニルコハク酸化合物は、無水マレイン酸と11−ドコセンの反応生成物である。
【0019】
本発明のASAサイズは、液体(即ち、乳製品、柑橘類果汁、油類、水、及びインク)の耐浸透性を必要とする全グレードの紙に有益である。実施例では、この紙は、石膏ボードの裏地、ボール紙、液体包装用ボード、折り畳み式カートン、カップストック、袋用紙、成型紙製品、新聞紙、及び印刷用紙からなる群より選択される。
【0020】
別の実施例では、この紙は液体包装用ボードである。
【0021】
別の実施例では、この紙は石膏ボードの裏地である。
【0022】
別の実施例では、折り畳み式カートン、又はカップストックである。
【0023】
液体包装用ボード(LPB)は、典型的には、ポリエチレンで両側を積層した紙ベースのボードである。このボードは、牛乳や果汁等の液体飲料を収納する箱を構築するのに用いられる。ポリエチレン被覆は、箱を弱化させ、及び破壊するカートンへの液体の浸透を防止する。それでも、LPBは、ポリエチレン被覆の欠点によって、特に折り畳み式箱の切り口部分で、液体の浸透の影響を受けやすい。この切り口への液体の浸透を防止するためには、サイジング用化学物質を紙ボードに加えなければならない。
【0024】
LPB中に包装される最も一般的な液体は、牛乳やクリームのような乳製品である。これらの製品は、乳酸を含む。乳製品による切り口部分への浸透を防止することは困難である。pH7から8.5のアルカリ条件下でボードを製造する場合、アルキルケテン二量体(AKD)サイズ剤が、乳酸溶液による切り口部分への浸透を非常によく防止することは、よく知られている。ロジンサイジング剤及び市販で入手可能なASAサイズ剤は、適切な乳酸耐性を提供することができない。
【0025】
冷凍を必要としない腐敗しやすい液体もLPBで包装されている。液体を充填する前に、これらの無菌包装を熱過酸化水素溶液中に浸すことによって滅菌しなければならない。AKDサイジングは、滅菌中に切り口部分への過酸化水素溶液の適切な耐浸透性を提供しない。固定剤としてミョウバンを用いた酸性条件(pH4から6)で製造される紙ボードにロジンサイジング剤を使用することで、十分な過酸化水素耐性を提供することができる。
【0026】
従って、無菌包装用ボードの切り口部分への浸透を防止することは、単一の公知のサイズ剤では達成できない。しかしながら、AKD及びロジンを組み合わせたプログラムが、米国特許第4,927,496号で提案されており、今日市販されている。このプログラムは、ロジンを添加する前に、パルプスラリのpHをほぼ5.0に調節する必要がある。次いで、このパルプのpHをAKDを添加する前に約7.0に増やさなければならない。この戦略は複雑で、制御が難しい。最終的なpHが7以下で推移する場合、AKDの性能が貧弱なため乳酸耐性が悪くなる。従って最終的なpHが7以上で推移すれば、過酸化水素耐性は、ロジン性能の低さによって低下する。従って、多くの場合、過剰の化学物質を加えることで、排水がうまくいかず、この物質が抄紙機に堆積してしまう。また、このプログラムは、貧弱なポリエチレン接着、発泡、及びサイジング応答の展解が遅いAKDの使用に関連した典型的な問題を起こす。
【0027】
本発明のASA化合物は、内部サイズ剤又は表面サイズ剤として用いることができる。表面サイズ剤は、通常、サイズプレスにおいて、又はカレンダースタックで、乾燥シートに液体溶液又は分散溶液として塗布する。単純なパドル型サイズプレスでは、紙シートは、サイジング溶液の池又は水たまりを通って2つのプレスロール間に形成したニップ内に流れ込む。このサイジング溶液をシートの各面上のニップに噴霧し、このニップがシート内にサイジング溶液を流すようにする。
【0028】
ヘッドボックス及び脱水プロセスの開始前に、抄紙機の湿潤端の製紙完全紙料に内部サイズ剤を加える。内部サイズ剤は、乳化ポリマ及び/又は凝固剤及び凝集剤等の典型的な保持及び排水添加剤の使用によって、紙のシート内に保持される。
【0029】
また、内部サイズ剤を、例えば、抄紙機の幅に渡って適切に配置されたノズルが付いたスプレィブームを用いて、湿潤ウェブの形成後にシートの表面に噴霧する。このスプレィノズルは、線維性マットを粉砕することなく、シートの上の化合物を確実に粉砕するように設計され、設置されている。この機械の上のスプレィブームの配置は、重力及び真空脱水が起こる形成ゾーンの長さに沿って、又はプレス部分又はドライヤ部分のすぐ前のどこにあってもよい。紙シート上に化学添加剤を噴霧するのに一般的に用いられる位置は、長網抄紙機型抄紙機の湿潤ラインとクーチロールの間である。この湿潤ラインは、湿潤ウェブの外観が、光沢のある反射面から乾燥したつや消し面に変わる位置である。
【0030】
本発明のASA化合物は、天然に存在するか、又は、一又はそれ以上の陽イオン又はその他の正に帯電した部分を生成するような方法でイオン化又は解離できる陽イオンである一又はそれ以上の材料を組み合わせて用いられる。このような陽イオン剤は、サイジング化合物の残留に役立つ手段として有益であることが分かった。サイジングプロセスにおける陽イオン剤として用いることができる材料としては、例えば、ミョウバン、塩化アルミニウム、長鎖脂肪族アミン、アルミン酸ナトリウム、置換ポリアクリルアミド、硫酸第二クロム、獣脂、陽イオン性熱硬化樹脂、及びポリアミドポリマである。特に好適な陽イオン剤は、例えば、一次、二次、三次、又は四次アミンデンプン誘導体、及びその他の陽イオン窒素置換デンプン誘導体と、カチオン性スルホニウム及びデンプンホスホニウム誘導体を含むカチオンデンプン誘導体を含む。このような誘導体は、トウモロコシ、タピオカ、ジャガイモ、もちトウモロコシ、小麦、及び米を含むあらゆる種類のデンプンから調製できる。更に、これらは元来顆粒状であるか、又は予ゼラチン化され、冷水に可溶性の生成物に転化することができる、及び/又は液体形状で用いられることができる。
【0031】
サイジング組成物の添加前に、添加と共に、又は添加後に、このストック、即ち、パルプスラリに陽イオン剤を加えてもよい。分散を最大にするためには、サイジング組成物の添加後、又はサイジング化合物と共に陽イオン剤を加えることが好ましい。サイジング化合物及び/又は陽イオン剤のストックへの添加は、乾燥ウェブ又はシートへの湿潤パルプの最終的な転換前に製紙プロセスの時点で実施される。従って、例えば、後者がヘッドボックス、ビータ(beater)、ハイドロパルパ(hydropulper)及び/又はストックチェスト(stock chest)中にあるときに、本サイジング組成物をパルプに加えてもよい。
【0032】
有利なサイジングを得るためには、一般的にできるだけ小さい粒子サイズ、好ましくは2ミクロンより小さいサイズで、線維スラリ全体にサイズ剤を均一に分散することが望ましい。これは、例えば、高速攪拌器、機械的ホモジナイザ等の機械的手段を用いて、及び/又は好適な乳化剤の添加によって、ストックを追加する前に、サイズ組成物を乳化することによって達成できる。好適な乳化剤としては、例えば、上記の陽イオン剤、及び、例えば、通常のデンプン、非陽イオン性デンプン誘導体、グアーガム、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、ゼラチン、及びポリビニルアルコール等の親水コロイドを含む非陽イオン性乳化剤、同様に、様々な界面活性剤を含む非陽イオン性乳化剤が挙げられる。好適な界面活性剤の例としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタントリオレアート、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレアート、ポリオキシエチレンソルビトールラウラート、ポリオキシエチレンソルビトールオレアート−ラウラート、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、及びポリオキシエチレンアルキルホスファートが挙げられる。このような非陽イオン性乳化剤を用いる場合、乳化サイジング剤の添加後にパルプスラリに陽イオン剤を別に加えることが望ましい。乳化剤を用いたこれらのエマルジョンを調製するときに、後者は、先ず水中で分散し、次いで、サイジング組成物を、強烈な撹拌によって導入することができる。代替的に、例えば米国特許第4,040,900号に記載されてている乳化技術を用いてもよい。これは、本明細書で参照されている。
【0033】
ある状況では、本発明のサイジング組成物で調製される紙の耐水性が更に改善される。例えば、結果として得られるウェブ、シート、又は成型生成物を硬化させることによって更に改善される。この硬化プロセスは、所望の改良した耐水性を得るのに適した時間、ある温度に紙を加熱するステップ、典型的には、約1分乃至約60分間、約80℃乃至150℃の温度に紙を加熱するステップを具えていてもよい。
【0034】
本発明のサイジング組成物は、あらゆる種類のセルロース系線維と、非セルロース系とセルロース系線維の組み合わせの双方から調製した紙のサイジングに有益である。使用できるセルロース系線維としては、例えば、硫酸塩(Kraft社)、亜硫酸塩、ソーダ、中性亜硫酸塩サブケミカル(NSSC)、熱機械(TMP)、化学熱機械(CTMP)、砕木パルプ(GWD)、及びこれらの線維のいずれかの組み合わせが挙げられる。前述のセルロース線維のいずれも、漂白されても漂白されていなくてもよい。これらの名称は、パルプ業界と製紙業界で典型的に用いられている様々なプロセスのいずれかによって調製された木材パルプ線維を意味する。加えて、ビスコースレーヨン又は再生セルロースタイプの合成繊維も用いることもできる。
【0035】
あらゆる種類の顔料及び充填剤を、本発明の方法及び組成物を用いてサイジングする紙に加えることができる。このような材料には、例えば、粘土、滑石、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、及び珪藻土が挙げられる。例えば、他のサイジング剤と同様にミョウバンを含むその他の添加剤を、本法及び組成物に含めることができる。
【0036】
紙をサイジングするのに用いられるサイジング組成物の量は、例えば、使用する特定のサイジング組成物、含まれている特定のパルプ、特有の操作状態、予定されている紙の最終用途等によって異なる。最終シート又はウェブ中のパルプの乾燥重量に基づいたサイジング組成物の典型的な濃度は、1トン当たり約0.25から約20ポンド(lb/トン)の範囲である。実施例では、サイジング組成物は、約0.5から約10ポンド/トンの濃度で用いられ、約1から約5ポンド/トンの濃度がより好ましく、約1から約2ポンド/トンの濃度が更により好ましい。
【0037】
サイジング組成物を陽イオン性乳化剤と組み合わせて用いる場合、陽イオン性乳化剤の濃度は、例えば、使用する特定のサイジング組成物、含まれている特定のパルプ、特有の操作状態、予定された紙の最終用途等によって異なる。使用される陽イオン剤の典型的な濃度は、サイジング組成物1.0部当たり約0.1から約5.0部の範囲である。
【0038】
次の例を参照することによって、上述をよりよく理解することができる。これらの例は、例示の目的のものであり、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0039】
例1
無水コハク酸と対称性C22内部オレフィンからのアルケニル無水コハク酸化合物の調製
【0040】
二角平刃インペラを有する撹拌シャフトに連結した磁気連結撹拌モータ、熱電対、外付ニードルバルブに連結した反応器の底部付近に達する薄壁管(反応器内容物サンプリング)、フロースルー型バルブ(窒素パージ用)、安全破裂板、圧力ゲージ(最大60psi)、及び圧力放出用ニードルバルブを具える反応器ヘッドを搭載した600mL−Parrボムリアクタ(bomb reactor)のカップに、250g(0.8102モル)の11−ドコセンと、0.49gの安定化添加剤(ほとんどの場合でBHT)を加える。この混合物を撹拌して、炭化水素中に添加物を溶解させる。マレイン酸(MA)ブリケット(66.20g、0.6751モル)を、Parrカップ内に注意深く入れる。このカップを緩やかに温めて、MAを溶解させる。次いで、反応器ヘッドをカップの上にボルトで連結し、Parrアッセンブリを、加熱マントル内に入れる。次いで、この混合物の温度を60℃に上げて約30分間維持し、その間窒素でパージする。このパージ完了後、反応容器を密閉し、ほぼ20から30分間に渡って温度を約225℃に上昇させる。反応器を約6から8時間、この温度で保持する。この間に、時間に対する反応温度と反応圧力を記録する。必要であれば、上記の試料管を用いて、少量を反応器から分取する。次いで、加熱を停止し、反応容器を冷却して、反応器ヘッドを外して、内容物を注ぐ。
【0041】
上記のように調製した反応生成物を、100メッシュのフィルタスクリーンを通して、不溶性の不純物を取り除き、真空蒸留装置に移す。液体及び蒸留装置を、窒素で約30分間パージし、液体を約2乃至0.5Torrの圧力、最大約225乃至230℃の温度で蒸留する、又は計算した量の残留オレフィンを除去するときに、最終生成物が3%未満の残留オレフィンを含むようにする。蒸留ポットを窒素ブランケット下で室温に冷却し、次いで、100メッシュフィルタスクリーンを通して、収集ビンに密閉する。蒸留後の生成物の全収量は、通常70から80%である(理論値<生成物の3%残留オレフィン)。
【0042】
例2
石膏壁板裏地(gypsum wallboard liner)のサイジング性能
【0043】
サイジングは、仕上げボードの製造を容易にし、最終用途の条件を満たすのに、石膏壁板裏地(gypsum wallboard liner)においては重要である。この壁板裏地を製造するために、硫酸カルシウムスラリを2枚の紙ベースのボード間に挟み込む。硫酸カルシウムスラリの乾燥によって、この紙を熱い液体と蒸気に接触させる。この紙の裏地は、温水の浸透に耐性がなければならない。また、裏地表面(top liner)の外側は、ボード内への塗料の浸透を制御するために少量のサイジングを施さなければならない。
【0044】
18対称性オレフィンベースASAとC22対称性オレフィンベースASAの双方のサイジング性能を、擬似石膏壁板裏地完成紙料の市販のASA生成物と比較する。試験したASA生成物は:
【0045】
ASA−1:イリノイ州ナパービル所在のNalco Company社製の市販で入手可能な、マレイン酸と、異性化した主としてC18、内部オレフィンとのエン反応を用いて製造したASA。この生成物は、乳化を助ける1(重量)%の界面活性剤を含む。
【0046】
ASA−2:無水マレイン酸と、異性化し、C20からC24を混合した、内部オレフィン間とのエン反応を用いて製造したASA。この生成物は、乳化を助ける1(重量)%の界面活性剤を含む。
【0047】
ASA−3:無水マレイン酸と、9−オクタデセン間のエン反応を用いて製造した対称性ASA。9−オクタデセンは、カリフォルニア州パサディナ所在のMateria社で、メタセシス反応によって製造されたものである。この生成物は、乳化を助ける1(重量)%の界面活性剤を含む。
【0048】
ASA−4:例1に記載されているように、無水マレイン酸と、11−ドコセン間のエン反応を用いて製造した対称性ASA。11−ドコセンは、カリフォルニア州パサディナ所在のMateria社で、メタセシス反応によって製造されたものである。この生成物は、乳化を助ける1(重量)%の界面活性剤を含む。
【0049】
ASA生成物は、300ml容量のOster(登録商標)ブレンダーカップ中で、陽イオン性ポリマ(イリノイ州ナパービル所在のNalco Company社から入手可能な20%固体、陽イオン性、アクリルアミドベース溶液ポリマ)と224gの水道水に、28gのASAを加えることによって試験用に調製される。次いで、この混合物をOsterizer(登録商標)ブレンダを用いて90分間、高速で撹拌する。各エマルジョンの粒子サイズは、Malvern Instruments Ltd.社製Malvern Mastersizer Microを用いてレーザ光散乱によって測定される。各ASAエマルジョンの体積ベースの中央粒径は、ほぼ1μmである。
【0050】
試験に用いられる完成紙料は、OCC(Nalco社製シッピングボックス)及びONP(Chicago Tribune紙)の重量で50/50のブレンドとして調製される。各完成紙料は、実験室粉砕器を用いて20分間水道水中で、1.5%軟度で分離して再パルプ化される。2つの完成紙料を組み合わせて、水道水で0.5%の軟度に希釈する。
【0051】
600mlの軟度0.5%完成紙料を、排水を防止するためにプラスチックの固体シートによって被覆した底部スクリーンを有するDynamic Drainage Jar中で、800rpmで混合することによって、手すき紙(Handsheets)を調製する。Dynamic Drainage Jarと混合器は、ニューヨーク州カーメル所在のPaper Chemistry Consulting Laboratory,Inc.社から入手可能である。混合開始時に、10ポンド/トンのミョウバン(ドライベース)を完成紙料に加え、次いで、所望の量と種類のASAを15秒で加え、更に、0.13ポンド/トン(1トンの乾燥紙当たりの活性ポリマのポンド)の陽イオン性ポリマ凝集剤(イリノイ州ナパービル所在のNalco Company社から入手可能な、1.20meq/gの理論電荷密度を有する超高分子量陽イオン性アクリルアミド二量体)を30秒で加える。60秒で混合を停止し、この完成紙料をNoble&Wood社製手すき紙型の型枠箱に移す。8”×8”手すき紙を、抄紙網を形成している100メッシュを通して排水して形成する。手すき紙は、2枚の吸い取り紙と、金属プレートを湿った手すき紙に配置して、25ポンドの金属ローラを6回通過させてロールプレスしてシート型抄紙網からすき合わせる。形成抄紙網及び一方の吸い取り紙を取り外し、手すき紙を2枚の新しい吸い取り紙とプレスフェルトの間に置き、ロールプレスを用いて50psigでプレスする。吸い取り紙を全て取り除き、220°Fに設定したロータリドラムドライヤ上で、手すき紙(ドライヤ表面に対向する表面)を106秒間乾燥させる(10%設定)。手すき紙の平均的な乾燥重量は3.06gであり、これは73gsmの平均基本重量に相当する。手すき紙型、ロールプレス、及びロータリドラムドライヤは、ニューヨーク州グレンズフォールズ所在のAdirondack Machine Company社から入手可能である。
【0052】
耐水性サイズ試験を、TAPPI法T530om−02に記載されているように、#2インクと80%反射率終点を用いてHercules Size Testを用いて実施する。各シートの抄紙網側で2回の測定を実施し、その平均を表1に示す。
【0053】
ASA−1及びASA−3についてのサイジングの結果の比較は、無水マレイン酸と反応させる前にC18オレフィンのちょうど中心に位置した二重結合を有する結果、異性化C18オレフィンから調製した典型的な市販のASAと比較して、非常に効果的に改善されたサイジング効率及び効果を有するASAができることを示している。ASA−3及びASA−4についてのサイジング結果の比較は、C18乃至C22の対称性オレフィンの長さを増やすことによって、サイジング効率及び効果が劇的に改善されることを示している。典型的な市販の製品であるASA−1に代えてASA−4を使用することで、サイジング効率が約600%改善され、又は200秒のHSTに達する必要があるサイジングの量が50%減少する。
【0054】
表1
異性化オレフィンから生成したASA生成物に対する対称性ASA試料のサイジング能力の比較


【0055】
例3
擬似液体包装ボード完全紙料のサイジング性能
【0056】
22対称性オレフィンベースASAのサイジング性能を、擬似液体包装ボード完全紙料の市販のASA及び市販のADKのサイジング性能と比較する。この例では、ASA−1及びASA−4が上記のように規定されている。Hercon(登録商標)79は、デラウェア州ウィルミントン所在のHercules社から入手可能な陽イオン性AKD分散サイジング生成物である。比較目的用の10%AKD固体を含むと仮定する。
【0057】
ASA生成物を、水と、仏国Lestrem所在のRoquette社から入手可能なHI−CAT(登録商標)145陽イオン性ポテトデンプンの乳化による試験用に調製する。HI−CAT(登録商標)145は、乳化前に6%の固体濃度に266°Fで60秒間、(イリノイ州テーラービル所在のEquipment Specialists,Inc.社から入手可能な)ジェットクッカ内で調理される。各ASAは、300ml容量のOster(登録商標)ブレンダーカップ中で187gの6%HI−CAT(登録商標)145と65gの脱イオン水に28gのASAを加えて乳化する。この混合物を、Osterizer(登録商標)ブレンダを用いて、90秒間高速で撹拌する。
【0058】
各エマルジョンの粒径を、英国所在のMalvera Instruments Ltd.社製Malvern Mastersizer Microを用いて、レーザー光散乱によって測定する。ASA 1エマルジョンの体積ベースの中央粒径は1.07μmであり、ASA 4エマルジョンの体積ベースの中央粒径は1.10μmである。このエマルジョンを脱イオン水で後希釈して、0.46%のASA濃度を得る。
【0059】
試験に用いられる紙完全紙料を、ドライラップし、漂白した硬材及び軟材クラフトパルプを流し込むことによって調製する。特定のろ水度になるまで、Valley Beater(ウィスコンシン州アップルトン所在のVoith Sulzer社製)で各パルプを精製する。硬材を300mlCSFのろ水度に精製し、軟材を470mlCSFのろ水度に精製する。2つの完全紙料を70%の硬材対30%の軟材の割合に合わせる。このパルプを1.02%の軟度に水道水で希釈し、0.12g/lの重炭酸ナトリウムを加えて7.5のpHを得る。
【0060】
軟度1.02%完成紙料680mlを、排水を防止するためにプラスチックの固体シートによって被覆した底部スクリーンを有するDynamic Drainage Jar中で、1100rpmで混合することによって、手すき紙を調製する。Dynamic Drainage Jarと混合器は、ニューヨーク州カーメル所在のPaper Chemistry Consulting Laboratory,Inc.社から入手可能である。混合開始時に、25%固体湿潤強化樹脂(Georgia−Pacific Resin,Inc.社から入手可能なAmres25−HP)ベースの固体上の1ポンド/トンを完全紙料に加えて、次いで、15秒で10ポンド/トンのミョウバン(乾燥ベース)を加え、30秒で所望の量(2、4、又は6ポンド/トン)で所望の種類のASA又はAKD(固体ベース)と、16ポンド/トンのHI−CAT(登録商標)145デンプン(固体ベース)を加え、45秒で1.2ポンド/トンのイリノイ州ナパービル所在のNalco company社から入手可能な11%の固体ホウケイ酸塩微粒子の固体ベースを加える。
【0061】
混合を60秒で停止し、完全紙料をNoble&Wood社製手すき紙型の型枠箱に移す。抄紙網を形成する100メッシュを通して排水することによって、8”×8”手すき紙を形成する。湿った手すき紙上に3枚の吸い取り紙と金属プレートを置き、25ポンド金属ローラを6回通過させてロールプレスして、紙型枠抄紙網(sheet mold wire)から手すき紙をすき合わせる。形成抄紙網及び1枚の吸い取り紙を取り外し、手すき紙を2つの新しい吸い取り紙とプレスフェルト間に置き、ロールプレスを用いて60psigで圧力をかける。全ての吸い取り紙を取り外し、220°Fに設定したロータリドラムドライヤを2回通過させて、手すき紙(ドライヤ表面に向かう表面)を200秒間乾燥させる。手すき紙の平均的な基本重量は、183g/mであり、平均キャリパは、262μmである。手すき紙型、ロールプレス、及びロータリドラムドライヤは、ニューヨーク州グレンズフォールズ所在のAdirondack Machine Company社から入手可能である。試験を行った各実験条件について3枚の複製手すき紙を製造する。
【0062】
切り口への乳酸の耐浸透性(REP)についてのサイズ試験を実施する。各手すき紙から1.5インチ×3.5インチ長方形断面を切り取る。この断面は、冷却ラミネート器(ミネソタ州セントポール所在の3M Corporationから入手可能なmodel LS950)を用いて、一方の面(ミネソタ州セントポール所在の3M Corporationから入手可能なmodel DL951)上で圧力感受性接着剤を用いて2枚のプラスチックフィルム間にこの断面をラミネートされている。これを1インチ×3インチのサイズに切り取り、2枚の吸い取り紙間の圧力を60psigとして手すき紙に用いたロールプレスでプレスする。これは、シートとプラスチックフィルム間の接着を増加するように行われる。この断面を秤量し、24時間、室温で、1%乳酸の入ったジャーに浸す。これをジャーから取り出して、外部水蒸気を除去するようにブロットし、再度秤量して放出される液体の量を決定する。この結果をサンプルの切り口領域(周辺の生成物及びキャリパ)の1平方メータ当たりの放出した溶液をキログラム単位で報告する。熱過酸化水素REPを、乳酸REPの熱過酸化水素と同様の方法で測定する。但し、70℃で10分間、過酸化水素の35%溶液に浸漬する。試験結果を表2に報告する。
【0063】
表2
22対称性オレフィン、異性化オレフィンから生成した市販のASA、及びAKDの液体パッケージ化ボードサイジング能力の比較



商標Hercon(登録商標)79を付してデラウェア州ウィルミントン所在のHercules社から入手可能なアルカリケテン二量体(AKD)サイズ剤。
【0064】
ASA−1及びASA−4についてのサイジング結果の比較は、対称であるC22オレフィンから調製された本発明のASAが、典型的な市販のASAと比較して、ボードに対して顕著に改善された乳酸耐性及び過酸化物耐性を提供することを示している。本発明のASAは、AKDの耐性とほぼ等しいボードに対する乳酸及び過酸化物耐性を提供する。
【0065】
例4
擬似折り畳みカートン又はカップストックの完全紙料のサイジング性能
【0066】
22対称性オレフィンベースのASAのサイジング性能を、擬似折り畳み式カートン又はカップストックの完全紙料中の市販のASA及び市販の陽イオン性ロジンサイジング剤のサイジング性能と比較する。折り畳み式カートンについての典型的な市販のサイジングプログラムは、4から7ポンド/トンのミョウバンを用いたロジンサイジング剤であり、固体ベースでミョウバン対ロジンの割合が2:1から4:1までである。カップストック用の典型的な市販のサイジングプログラムは、10から20ポンド/トンのミョウバンを用いたロジンサイジング剤であり、固体ベースでミョウバン対ロジンの割合が2:1から4:1までである。本例では、ASA−1とASA−4は上記に定義したものである。NeuRoz(登録商標)426は、フロリダ州ペンサコラ所在のPlasmine Technology,Inc.社から入手可能な陽イオン性ロジンサイジング剤分散生成物である。比較目的で、33%の固体ロジンを含有すると仮定される。
【0067】
ASA生成物を水と、蘭国フォックスホル(Foxhol)所在のAvebe社から入手可能なAmylofax(登録商標)HS−A陽イオン性ポテトデンプン中で乳化し、試験用に調製する。乳化前に6.48%の固体濃度に、266°Fで60秒間、Amylofax(登録商標)HS−Aをジェットクッカ(イリノイ州テーラービル所在のEquipment Specialists社から入手可能)で調製する。300ml容量のOster(登録商標)ブレンダーカップ中で173gの6.48%のAmylofax(登録商標)HS−Aと79gの脱イオン水に28gのASAを加えて、各ASAを乳化する。この混合物を、Osterizer(登録商標)ブレンダを用いて、120秒間高速で撹拌する。
【0068】
各エマルジョンの粒径を、英国所在のMalvera Instruments Ltd.社製Malvern Mastersizer Microを用いて、レーザー光散乱によって測定する。ASA 1エマルジョンの体積ベースの中央粒径は0.70μmであり、ASA 4エマルジョンの体積ベースの中央粒径は0.86μmである。このエマルジョンを脱イオン水及び6.48%のデンプン溶液で後希釈して、0.29%のASA濃度、及び1.5:1のデンプン対ASA率を得る。また、使用前に0.29%のロジン固体レベルに対して、NeuRoz(登録商標)426を脱イオン水で希釈した。
【0069】
試験に用いられる紙完全紙料を、ドライラップし、漂白した硬材及び軟材クラフトパルプを流し込むことによって調製する。450mlCSFの自由度になるまで、Valley Beater(ウィスコンシン州アップルトン所在のVoith Sulzer社製)で各パルプを精製する。2つの完全紙料を70%の硬材対30%の軟材の割合に合わせる。このパルプを0.93%の軟度に水道水で希釈し、少量の硫酸を加えて6.0のpHを得る。
【0070】
軟度0.93%完成紙料615mlを、排水を防止するためにプラスチックの固体シートによって被覆した底部スクリーンを有するDynamic Drainage Jar中で、1100rpmで混合することによって、手すき紙を調製する。Dynamic Drainage Jarと混合器は、ニューヨーク州カーメル所在のPaper Chemistry Consulting Laboratory,Inc.社から入手可能である。混合開始時に、ミョウバン、サイズ剤、及びデンプンを完全紙料に加える。2、4、又は6ポンド/トンのASAを用いる場合、12ポンド/トンのミョウバンを加える。4、又は8ポンド/トンのロジンを用いる場合、16ポンド/トンのミョウバンを加え、12、又は16ポンド/トンのロジンを用いる場合、32ポンド/トンのミョウバンを加える。各実験についての全デンプン添加量は12ポンド/トンである。ASAを用いる場合、デンプンは既にエマルジョン中に存在する。従って、追加のデンプンを加えて、全デンプン量を12ポンド/トンにした。15秒の混合後、陽イオン性凝集剤(イリノイ州ナパービル所在のNalco Company社から入手可能な、1.20meq/gの理論的電荷密度を有する超高分子量陽イオン性アクリルアミド共重合体)ベースの固体上の0.39ポンド/トンを加え、30秒で1.2ポンド/トンのホウケイ酸塩微粒子(イリノイ州ナパービル所在のNalco Company社から入手可能)を加える。これらの実験のミョウバンの添加は、完全紙料のpHを5未満に減少させる(用いられる全量は、製造される1トンの紙に対するポンド活性固体である)。
【0071】
混合を45秒で停止し、完全紙料をNoble & Wood社製手すき紙型の型枠箱に移す。抄紙網を形成する100メッシュを通して排水することによって、8”×8”手すき紙を形成する。湿った手すき紙上に3枚の吸い取り紙と金属プレートを置き、25ポンド金属ローラを6回通過させてロールプレスして、紙型枠抄紙網(sheet mold wire)から手すき紙をすき合わせる。形成抄紙網及び1枚の吸い取り紙を取り外し、手すき紙を2枚の新しい吸い取り紙とプレスフェルト間に置き、ロールプレスを用いて50psigで圧力をかける。吸い取り紙を全て取り外し、220°Fに設定したロータリドラムドライヤ上で、手すき紙(ドライヤ表面に向かう表面)を95秒間乾燥させる。手すき紙の平均的な基本重量は、135g/m(30ポンド/1000ft)であり、平均キャリパは、225μmである。手すき紙型、ロールプレス、及びロータリドラムドライヤは、ニューヨーク州グレンズフォールズ所在のAdirondack Machine Company社から入手可能である。試験される各実験条件について3枚の複製手すき紙を製造する。
【0072】
耐水性サイズ試験を、TAPPI法T530om−02に記載されているように、40%のギ酸インクと70%の反射率終端を用いてHercules Size Testを用いて実施する。各シートの抄紙網側で2回の測定を実施し、3枚のシートから平均及び標準エラァ(S.E.)を表3で報告する。
【0073】
表3
22対称性オレフィン、異性化オレフィンから生成した市販のASA、及びカチオン性樹脂についての、折り畳み式カートン及びカップストックのサイジング能力の比較



商標NeuRoz(登録商標)426を付してフロリダ州ペンサコラ所在のPlasmine,Technology,Inc.社から入手可能なカチオン性樹脂サイズ剤分散。
【0074】
ASA−1とASA−4のサイジング結果の比較は、対称性C22オレフィンから調製された本発明のASAが、典型的な市販のASAと比較して、顕著に改善された耐酸性インク浸透性を提供することを示す。ボードの酸性インク耐性は、本発明のASAと陽イオン性ロジンサイジング剤の市販のプログラムの双方を比較することができる。しかし、本発明のASAは、この耐性の提供について約400%以上効率がよい。市販のASA(ASA−1)は、ボードに対して必要なレベルの耐酸性を提供することが不可能である。
【0075】
特許請求の範囲に記載されているような本発明の概念及び範囲から逸脱することなく、ここに記載されている本発明の方法の組成物、操作、及び処理を変更することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体による浸透に対する紙の耐性を与える方法において、無水マレイン酸と、一又はそれ以上の実質的に対称であるC20からC28内部オレフィン、又はこれらの混合物を反応させて調製した一又はそれ以上のアルケニル無水コハク酸化合物を具えるサイジング組成物を前記紙中に取り込むステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記アルケニル無水コハク酸化合物が、無水マレイン酸と、一又はそれ以上の線形の実質的に対称であるC20からC28内部オレフィンを反応させることによって調製されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記アルケニル無水コハク酸化合物が、無水マレイン酸と、一又はそれ以上の対称であるC20からC28内部オレフィンを反応させることによって調製されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記アルケニル無水コハク酸化合物が、無水マレイン酸と、一又はそれ以上の実質的に対称であるC22からC28内部オレフィンを反応させることによって調製されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記アルケニル無水コハク酸化合物が、無水マレイン酸と、一又はそれ以上の線形の実質的に対称であるC22からC28内部オレフィンを反応させることによって調製されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記アルケニル無水コハク酸化合物が、無水マレイン酸と、一又はそれ以上の線形の対称であるC22からC28内部オレフィンを反応させることによって調製されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、前記アルケニル無水コハク酸化合物が、無水マレイン酸と11−ドコセンの反応生成物であることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、前記アルケニル無水コハク酸化合物が、前記アルケニル無水コハク酸化合物を水性セルロース製紙スラリに加えることによって、前記紙中に取り込まれることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法によって作成された標準サイズの紙製品。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、前記アルケニル無水コハク酸化合物が、乾燥した紙の表面に塗布することによって紙中に取り込まれることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法によって作成された標準サイズの紙製品。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、前記アルケニル無水コハク酸化合物が、湿潤ウェブの形成後にシートの表面上にスプレィすることによって前記紙中に取り込まれることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法によって作成された標準サイズの紙製品。
【請求項14】
請求項1に記載の方法において、前記紙が、石膏ボードの裏地、ボール紙、液体包装用ボード、折り畳み式カートン、カップストック、袋用紙、成型紙製品、新聞紙、及び印刷用紙からなる群より選択されることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法において、前記紙が、液体包装用ボードであることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法において、前記紙が、石膏ボードの裏地であることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法において、前記紙が、折り畳み式カートンであることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法において、前記紙が、カップストックであることを特徴とする方法。

【公表番号】特表2008−538800(P2008−538800A)
【公表日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506785(P2008−506785)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/014225
【国際公開番号】WO2006/113519
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(507248837)ナルコ カンパニー (91)
【Fターム(参考)】