説明

製袋包装機

【課題】製袋部等のトラブルにより製袋包装機を運転停止した後の再起動時に、シール工程に停止していた袋体から良品袋を製作可能とする製袋包装機を提供すること。
【解決手段】ボトムシール装置50は、第1駆動ユニット25bのサーボモータ40の駆動制御により各レバーの内側に対向するように取り付けられた一対のシールバー57を開閉自在に設け、サイドシール装置65は、第2駆動ユニット25cのサーボモータの駆動制御により各レバーの内側に対向するように取り付けられた一対のシールバー72を開閉自在に設け、通常運転中には、何れのシール装置においてもシールバーの開度を小開放とし、包装機本体部及び/又は製袋部の運転停止時には、何れのシール装置においてもシールバーの開度を大開放とし、包装機本体部及び/又は製袋部の再起動時には、何れのシール装置においても少なくとも1回のヒートシールを施してから通常運転に復帰させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用フィルムにより連続状に形成される袋体から一枚ずつの袋を製作する製袋部と、その製袋部から間欠的に送り込まれる袋をグリップ対により支持して当該袋に被包装物を充填してから袋口のシールを施し、その施封された袋を機外へ排出する包装機本体部とからなる製袋包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の製袋包装機の一例として、本件出願人にかかるものが特許文献1に記載されている。その製袋包装機は、繰り出されるフィルムを二つに折り重ねて所定の袋幅ごとにボトムシール及び/又はサイドシールを施した連続状の袋体を切断して一枚ずつの袋を製作する製袋部と、その製袋部から間欠的に送り込まれる袋をグリップ対により支持して当該袋に被包装物を充填してから袋口のシールを施し、その施封された袋を機外へ排出する包装機本体部とからなり、チャック付自立袋、チャック付平袋、チャックのない自立袋等の袋に対応可能な構造とされている。
【0003】
従来の製袋包装機においては、モータと割り出し装置からなる駆動装置により主軸を回転制御するように設け、その主軸を製袋部から包装機本体部に至るまで配置して製袋部のサイドシール装置やカッター装置等、包装機本体部の給袋装置や袋の開口装置等の各種装置を当該主軸に固定されるカムとレバー機構を利用して作動させる構成とされている。例えば、特許文献2には、主軸に固定したカムとレバー機構による駆動力を利用して一対の溶封バー(シールバー)を内方に備えた揺動レバーを開閉する縦シール手段(サイドシール装置)の構造が開示されている。しかし、その揺動レバーは常に小角度で開放される構成とされているため、開放時にシールバーはフィルムに近接した位置となり、シールバーの熱がフィルムに影響を与え易い状況となっていた。
【0004】
上記製袋部のボトムシール装置やサイドシール装置では、2箇所に設けたシール部にて連続的にヒートシールを施すことにより見栄えの良い、良質の袋が製作される。ところが、製袋部か包装機本体部に何らかのトラブルが生じて製袋包装機の運転を停止した場合に、シール工程に位置するフィルムはシールバーの熱によってシワや焼き焦げ等を生じることから、良品として使用することができない多数の不要な袋が製作されてしまう。そして、再起動時には不良袋として系外排出しなければならないため、フィルムの無駄や不良袋の回収作業の手間を要するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−167952号公報
【特許文献2】特開平9−150805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、製袋部か包装機本体部でトラブルが発生して製袋包装機を運転停止した後に再起動した場合に、シール工程に停止していた半製品の袋体から良品袋を製作可能とする製袋包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために請求項1に記載した発明は、ロール状に巻かれた包装用フィルムを繰り出すフィルム供給機構と、そのフィルムを長手方向で側縁を上方にして二つに折り重ねる成形機構と、その折り重ねられたフィルムの底部分にヒートシールを施すボトムシール装置と、そのフィルムに所定の袋幅で縦方向にヒートシールを施すサイドシール装置と、連続状の袋体を間欠的に送り出すフィルム送り機構と、そのフィルム送り機構によるフィルム送りの停止時に該袋体から一枚ずつの袋に切断するカッター機構とを備えた製袋部と、多数のグリップ対を複数の工程毎に間欠停止して移動させつつ、前記製袋部から間欠的に送り込まれる袋を各グリップ対により袋口を上にして吊り下げ状に支持するように設け、各グリップ対で支持された袋に被包装物を充填してから袋口のシールを施し、その施封された袋を排出工程から機外へ排出するように設けられた包装機本体部とからなる製袋包装機において、
前記ボトムシール装置は、左右一対の縦向きのレバーの下部を単独又は複数のシール本体に軸支すると共に各レバーの上部と第1駆動ユニットの進退動作を行なうロッドの先端とをリンク機構を介して連結し、第1駆動ユニットのサーボモータの駆動制御により各レバーの内側に対向するように取り付けられた一対のシールバーを開閉自在に設け、さらに、当該シールバーの開度が小開放と大開放の二段階に制御可能に設けられ、
前記サイドシール装置は、左右一対の縦向きのレバーの下部を単独又は複数のシール本体に軸支すると共に各レバーの上部と第2駆動ユニットの進退動作を行なうロッドの先端とをリンク機構を介して連結し、第2駆動ユニットのサーボモータの駆動制御により各レバーの内側に対向するように取り付けられた一対のシールバーを開閉自在に設け、さらに、当該シールバーが小開放と大開放の二段階の開度に制御可能に設けられ、通常運転中には、何れのシール装置においても前記シールバーの開度を小開放とし、包装機本体部及び/又は製袋部の運転停止時には、何れのシール装置においても前記シールバーの開度を大開放とし、包装機本体部及び/又は製袋部の再起動時には、何れのシール装置においても少なくとも1回のヒートシールを施してから前記通常運転に復帰させるように構成したことを特徴とする。
【0008】
同様の目的を達成するために請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の製袋包装機において、前記折り重ねられて移送されるフィルムの内方に挟み込まれたチャックを固定するチャックシール装置を前記ボトムシール装置の上流側に設け、そのチャックシール装置が左右一対の縦向きのレバーの下部を単独又は複数のシール本体に軸支すると共に各レバーの上部と第3駆動ユニットの進退動作を行なうロッドの先端とをリンク機構を介して連結し、第3駆動ユニットのサーボモータの駆動制御により各レバーの内側に対向するように取り付けられた一対のシールバーを開閉自在に設け、さらに、当該シールバーが小開放と大開放の二段階の開度に制御可能に設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
製袋部で製作される袋がチャック付自立袋、チャック付平袋の場合、折り重ねられて移送されるフィルムの内方に図示しないチャック供給手段によって挟み込まれたチャックが、チャックシール装置により固定される。そして、包装機本体部及び/又は製袋部の運転停止時には、シールバーの開度をフィルムから大きく離れた状態の大開放とし、再起動時には少なくとも1回のヒートシールを施してから通常運転に復帰させるように構成することにより、運転停止直前にシール工程に位置していた連続状の袋体から良品袋が製作可能となる。
【発明の効果】
【0010】
(請求項1の発明)
この製袋包装機は、包装機本体部及び/又は製袋部の運転停止時には、ボトムシール装置及びサイドシール装置の何れの装置においてもシールバーの開度をフィルムから大きく離れた状態の大開放とし、再起動時には何れの装置においても少なくとも1回のヒートシールを施してから通常運転に復帰させるように構成することにより、シール工程に停止していた半製品の袋体から良品袋を製作することができる。加えて、従来の製袋包装機におけるフィルムの無駄や不良袋の回収作業の手間も解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明にかかる製袋包装機の平面図
【図2】同製袋包装機の主な工程を説明する模式図
【図3】チャックシール装置の正面図
【図4】チャックシール装置の側面図
【図5】図4のA矢視図
【図6】ボトムシール装置の正面図
【図7】ボトムシール装置の側面図
【図8】サイドシール装置の正面図
【図9】サイドシール装置の側面図
【図10】サイドシール装置におけるシールバーの動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の最良の形態例を図面に基づいて説明する。
【0013】
本発明にかかる製袋包装機Pは、図1に示すように、製袋部Aとロータリ方式の包装機本体部Bとからなり、製袋から包装までの一連の作業を自動的に行うように構成されている。
【0014】
(製袋部)
製袋部Aの概要は、ロール状に巻かれた包装用フィルム(f)を繰り出すフィルム供給機構5と、その繰り出されたフィルム(f)を三角形状の成形板11によって長手方向で側縁を上方にして二つに折り重ねる成形機構10と、その折り重ねられて移送されるフィルム(f)の内方に挟み込まれたチャック(i)を固定するチャックシール装置15と、その折り重ねられたフィルム(f)の底部分(d)にヒートシールを施すボトムシール装置50と、そのフィルムに所定の袋幅で縦方向(c)にヒートシールを施すサイドシール装置65と、連続状の袋体を間欠的に送り出すフィルム送り機構80と、そのフィルム送り機構80によるフィルム送りの停止時に該袋体から一枚ずつの袋(a)に切断するカッター機構85とからなる。
【0015】
製袋部Aにおいて、本発明に関係する主な工程を図2の模式図に示す。図中、(イ)はチャックシール、(ロ)はシール部冷却、(ハ)はボトムシール、(ニ)はシール部冷却、(ホ)はサイドシール、(ヘ)はシール部冷却、(ト)は袋体の切断、(チ)は袋の受け渡しの各工程である。
【0016】
なお、この製袋部Aでは、チャック付自立袋、自立袋(チャックなし)、三方又は四方シール袋を製作可能である。この実施例では、チャック付自立袋(以下、「袋」と称する)を製作する場合について説明する。
【0017】
包装機本体部Bの概要は、多数のグリップ対(図示せず)を複数の、この実施例では9工程、袋の受け渡し工程(9)、袋口開き工程(3)、被包装物の充填工程(5)、トップシール工程(7)、シール部冷却・製品排出工程(8)等に間欠停止して移動させつつ、製袋部Aから間欠的に送り込まれる袋(a)を各グリップ対により袋口(b)を上にして吊り下げ状に支持するように設け、各々の袋(a)に被包装物を充填してから袋口(b)のシールを施し、その施封された袋を製品としてシール部冷却・製品排出工程(8)から機外へ排出するように設けられている。
【0018】
(チャックシール装置)
図3に示すように、この実施例におけるチャックシール装置15では、3組のシール本体16を機台1上にフィルムの送り方向に沿って並設している。それらシール本体16の中、最下流側のものはシール部冷却用である。
【0019】
シール本体16は、図4に示すように、側面から見てほぼL字形に形成されている。シール本体16には、左右一対の縦向きのレバー17の下部17bが所定間隔を置いて夫々軸支され、その上行部16aには、リンク機構の要素としての三叉形レバー19が上下方向に揺動可能に軸支されている。一方のレバー17の上部とレバー19の中央上端部とは、ロッド20により連結されている。レバー19の一端部には、他方のレバー17の上部に一端を連結されたリンク機構の要素としてのリンク21の他端が連結されている。また、レバー19の他端部には、機台1の内部に設置された第3駆動ユニット25aの進退動作を行なうロッド39の先端が連結されている。18,18は各レバー17の内側に対向するように取り付けられた一対のシールバーである。
【0020】
第3駆動ユニット25aは、図4、図5に示すように、機台1に固定されたベース26に門形フレーム27を立設し、そのフレーム27の中央に被動ギア31が固定された縦向きのネジ軸30を軸受け28,29により回転自由に設けている。32はネジ軸30に螺合されたナット部材である。35はネジ軸30と平行でその両側に上下方向に移動可能にフレーム27に設けられた一対のガイドバーである。39はガイドバー35の上部に固定された連結片36に下端を取り付けられたロッドである。ガイドバー35の下部と、ナット部材32のフランジ32aとは、被検出用部材37により一体状に連結されている。
【0021】
40はベース26に取り付けられたサーボモータである。サーボモータの出力軸に固定された駆動ギア41は、前記被動ギア31に噛合するように設けられている。
しかして、サーボモータ40の駆動制御によりネジ軸30を回転させてロッド39を上下方向に進退動作させることにより、一対のレバー17,17が揺動してシールバー18,18を開閉自在とする第3駆動ユニット25aが構成される。
【0022】
さらに、シールバー18については、製袋部の通常運転中における「小開放」と、包装機本体部及び/又は製袋部の運転停止時における「大開放」の二段階の開度に制御可能に設けられている。なお、詳しくはサイドシール装置の項で説明するが、小開放の場合にはシールバー18がフィルム(f)に比較的近い位置で開放された状態とされる。また、大開放の場合には、シールバー18がフィルム(f)から大きく離れた位置で開放された状態とされる。
【0023】
45aはサーボモータ40の作動によりナット部材32と一緒に移動する被検出用部材37を検知して前記小開放を間接的に確認するための第1センサーである。45bは被検出用部材37を検知してシールバー18,18の閉鎖を確認するための第2センサーである。なお、第2センサー45bによってシールバー18,18の閉鎖状態が確認されると、制御部(図示せず)によりサーボモータ40をさらに数パルス作動させることによりシールバー72,72に圧力を付与するように設けられている。45cは被検出用部材37を検知して前記大開放を確認するための第3センサーである。
【0024】
しかして、チャックシール装置15では、第3駆動ユニット25aのサーボモータ40の駆動制御により一対のシールバー18,18を開閉自在に設け、さらに、当該シールバー18,18の開度が小開放と大開放の二段階に制御可能に設けられる。
【0025】
なお、最下流側のシール部冷却用シール本体16のレバー17には、シールバー18に代えてクールバー18′を設けている。
【0026】
(ボトムシール装置)
図6に示すように、この実施例におけるボトムシール装置50では、3組のシール本体55を機台1上にフィルムの送り方向に沿って並設している。それらシール本体55の中、最下流側のものはシール部冷却用である。
【0027】
シール本体55は、図7に示すように、側面から見てほぼL字形に形成されていて、機台1に取り付けた支持片51により水平方向に固定されたガイドシャフト52に摺動自由に設けられ、製作する袋の幅寸法に合わせてその位置をハンドル53の操作により調節自在に設けられている。
【0028】
シール本体55には、左右一対の縦向きのレバー56の下部56bが所定間隔を置いて夫々軸支され、その上行部55aには、リンク機構の要素としての三叉形レバー58が上下方向に揺動可能に軸支されている。一方のレバー56の上部とレバー58の中央上端部とは、ロッド59により連結されている。レバー58の一端部には、他方のレバー56の上部に一端を連結されたリンク機構の要素としてのリンク60の他端が連結されている。また、レバー58の他端部には、機台1の内部に設置された第1駆動ユニット25bの進退動作を行なうロッド39の先端が連結されている。57,57は各レバー56の内側に対向するように取り付けられた一対のシールバーである。それらシールバー57は、正面から見て上部を湾曲状に窪むように形成されており、製作する袋の幅寸法に合わせてシール位置の高さをハンドル62によって調節可能に設けられている(図6)。
【0029】
なお、第1駆動ユニット25bについては、前述したチャックシール装置15の第3駆動ユニット25aの構造と同一構造としているため、第3駆動ユニット25aの各構成要素に付した符号をそのまま流用して図面に記載して説明を省略する。
【0030】
シールバー57については、製袋部の通常運転中における「小開放」と、包装機本体部及び/又は製袋部の運転停止時における「大開放」の二段階の開度に制御可能に設けられている。このことについても、前述したチャックシール装置15において説明した内容と同一であるので、説明を省略する。また、小開放等を確認するための検出センサーに関しても、前述したチャックシール装置15において説明した内容と同一であるため、説明を省略する。
【0031】
しかして、ボトムシール装置50では、第1駆動ユニット25bのサーボモータ40の駆動制御により一対のシールバー57,57を開閉自在に設け、さらに、当該シールバー57,57の開度が小開放と大開放の二段階に制御可能に設けられる。
【0032】
なお、最下流側のシール部冷却用シール本体55のレバー56には、シールバー57に代えてクールバー57′を設けている。
【0033】
(サイドシール装置)
図8に示すように、この実施例におけるサイドシール装置65では、3組のシール本体70を機台1上にフィルムの送り方向に沿って並設している。それらシール本体70の中、最下流側のものはシール部冷却用である。
【0034】
シール本体70は、図9に示すように、側面から見てほぼL字形に形成されていて、機台1に取り付けた支持片66により水平方向に固定されたガイドシャフト67に摺動自由に設けられ、製作する袋の幅寸法に合わせてその位置をハンドル68の操作により調節自在に設けられている。
【0035】
シール本体70には、左右一対の縦向きのレバー71の下部71bが所定間隔を置いて夫々軸支され、その上行部70aには、リンク機構の要素としての三叉形レバー73が上下方向に揺動可能に軸支されている。一方のレバー71の上部とレバー73の中央上端部とは、ロッド74により連結されている。レバー73の一端部には、他方のレバー71の上部に一端を連結されたリンク機構の要素としてのリンク75の他端が連結されている。また、レバー73の他端部には、機台1の内部に設置された第2駆動ユニット25cの進退動作を行なうロッド39の先端が連結されている。72,72は各レバー71の内側に対向するように取り付けられた一対のシールバーである。
【0036】
なお、第2駆動ユニット25cについては、前述したチャックシール装置15の第3駆動ユニット25aの構造と同一構造としているため、第3駆動ユニット25aの各構成要素に付した符号をそのまま流用して図面に記載して説明を省略する。
【0037】
シールバー72については、製袋部の通常運転中における「小開放」と、包装機本体部及び/又は製袋部の運転停止時における「大開放」の二段階の開度に制御可能に設けられている。このことについても、前述したチャックシール装置15において説明した内容と同一であるので、説明を省略する。また、小開放等を確認するための検出センサーに関しても、前述したチャックシール装置15において説明した内容と同一であるため、同様に説明を省略する。
【0038】
しかして、サイドシール装置65では、第2駆動ユニット25cのサーボモータ40の駆動制御により一対のシールバー72,72を開閉自在に設け、さらに、当該シールバー72,72の開度が小開放と大開放の二段階に制御可能に設けられる。
【0039】
なお、最下流側のシール部冷却用シール本体70のレバー71には、シールバー72に代えてクールバー72′を設けている。
【0040】
以上により、通常運転中には、チャックシール装置15、ボトムシール装置50、サイドシール装置65の何れのシール装置においてもシールバーの開度を小開放とし、包装機本体部B及び/又は製袋部Aの運転停止時には、何れのシール装置においてもシールバーの開度を大開放とし、包装機本体部B及び/又は製袋部Aの再起動時には、何れのシール装置においても少なくとも1回のヒートシールを施してから通常運転に復帰させるようにした本発明にかかる製袋包装機Pが構成される。
【0041】
つぎに、本発明にかかる製袋包装機Pの運転について、図10に示すサイドシール装置におけるシールバーの動作を例にして説明する。
(1)通常運転中の場合には、第1センサー45aによって被検出用部材37が検知されて第2駆動ユニット25cのサーボモータ40が停止するので、シールバー72,72は小開放の状態とされる。このときには、シールバー72,72はフィルム(f)に比較的近い位置で開放された状態とされる。
(2)ついで、サーボモータ40の作動によりシールバー72,72が閉鎖すると同時に、第2センサー45bにより被検出用部材37が検知される。そして、サーボモータ40をさらに数パルス作動させることによりシールバー72,72に適宜圧力が付与される。
(3)包装機本体部B及び/又は製袋部Aに何らかのトラブルが生じて製袋部Aの運転を停止する場合には、第3センサー45cによって被検出用部材37を検知するまでサーボモータ40が作動してシールバー72,72を大開放の状態とする。これにより、シールバー72,72がフィルム(f)から大きく離れた位置とされるため、シールバーの熱に起因するシワや焼き焦げ等がフィルム(f)に生じることを防止することができる。
(4)トラブル処理後に包装機本体部B及び/又は製袋部Aを再起動する場合には、当該サイドシール装置65のみならずチャックシール装置15、ボトムシール装置50の何れの装置においても少なくとも1回のヒートシールを施す。これにより、従来不良袋として系外排出されていた袋が良品として使用可能となる。
(5)製袋包装機Pは、再起動後に(1)の通常運転に復帰する。そして、シールバー72,72は小開放の状態とされる。
【0042】
本発明にかかる製袋包装機Pは、従来の製袋包装機による不良袋を大幅に削減することができるが、その実例について説明する。
チャック付自立袋のサイズ:幅90mm、長さ180mm
製袋包装機Pにトラブルが生じて包装機本体部及び/又は製袋部が停止すると、チャックシール装置15では6袋相当、ボトムシール装置50では8袋相当、サイドシール装置65では5袋相当の合計19袋相当がシール工程に位置することになる。これについては、各シール装置の正面図においてフィルム(f)に数字を付して明示した。
【0043】
従来の製袋包装機では、上記19袋相当のものが不良袋として処理されていた。ところが、本発明にかかる製袋包装機Pでは、再起動時に、チャックシール装置15、ボトムシール装置50、サイドシール装置65の何れの装置においても少なくとも1回のヒートシールを施すことにより、上記19袋相当のものがすべて良品袋として使用することができる。仮に、1日当たり10回の運転停止があったとすれば、190袋×20日×12ヶ月で年間45,600の袋が良品袋として利用できることになる。
したがって、本発明にかかる製袋包装機によれば、不良袋の削減とコストの低減を確実に図ることができる。
【符号の説明】
【0044】
P・・・本発明にかかる製袋包装機
A・・・製袋部
B・・・包装機本体部
f・・・包装用フィルム
a・・・袋
b・・・袋口
15・・・チャックシール装置
16・・・シール本体
17・・・レバー
18・・・シールバー
25a・・・第3駆動ユニット
40・・・サーボモータ
50・・・ボトムシール装置
25b・・・第1駆動ユニット
57・・・シールバー
65・・・サイドシール装置
25c・・・第2駆動ユニット
72・・・シールバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻かれた包装用フィルムを繰り出すフィルム供給機構と、そのフィルムを長手方向で側縁を上方にして二つに折り重ねる成形機構と、その折り重ねられたフィルムの底部分にヒートシールを施すボトムシール装置と、そのフィルムに所定の袋幅で縦方向にヒートシールを施すサイドシール装置と、連続状の袋体を間欠的に送り出すフィルム送り機構と、そのフィルム送り機構によるフィルム送りの停止時に該袋体から一枚ずつの袋に切断するカッター機構とを備えた製袋部と、多数のグリップ対を複数の工程毎に間欠停止して移動させつつ、前記製袋部から間欠的に送り込まれる袋を各グリップ対により袋口を上にして吊り下げ状に支持するように設け、各グリップ対で支持された袋に被包装物を充填してから袋口のシールを施し、その施封された袋を排出工程から機外へ排出するように設けられた包装機本体部とからなる製袋包装機において、
前記ボトムシール装置は、左右一対の縦向きのレバーの下部を単独又は複数のシール本体に軸支すると共に各レバーの上部と第1駆動ユニットの進退動作を行なうロッドの先端とをリンク機構を介して連結し、第1駆動ユニットのサーボモータの駆動制御により各レバーの内側に対向するように取り付けられた一対のシールバーを開閉自在に設け、さらに、当該シールバーの開度が小開放と大開放の二段階に制御可能に設けられ、
前記サイドシール装置は、左右一対の縦向きのレバーの下部を単独又は複数のシール本体に軸支すると共に各レバーの上部と第2駆動ユニットの進退動作を行なうロッドの先端とをリンク機構を介して連結し、第2駆動ユニットのサーボモータの駆動制御により各レバーの内側に対向するように取り付けられた一対のシールバーを開閉自在に設け、さらに、当該シールバーが小開放と大開放の二段階の開度に制御可能に設けられ、
通常運転中には、何れのシール装置においても前記シールバーの開度を小開放とし、
包装機本体部及び/又は製袋部の運転停止時には、何れのシール装置においても前記シールバーの開度を大開放とし、
包装機本体部及び/又は製袋部の再起動時には、何れのシール装置においても少なくとも1回のヒートシールを施してから前記通常運転に復帰させるように構成したことを特徴とする製袋包装機。
【請求項2】
前記折り重ねられて移送されるフィルムの内方に挟み込まれたチャックを固定するチャックシール装置を前記ボトムシール装置の上流側に設け、そのチャックシール装置が左右一対の縦向きのレバーの下部を単独又は複数のシール本体に軸支すると共に各レバーの上部と第3駆動ユニットの進退動作を行なうロッドの先端とをリンク機構を介して連結し、第3駆動ユニットのサーボモータの駆動制御により各レバーの内側に対向するように取り付けられた一対のシールバーを開閉自在に設け、さらに、当該シールバーが小開放と大開放の二段階の開度に制御可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の製袋包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−25413(P2012−25413A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164424(P2010−164424)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000108281)ゼネラルパッカー株式会社 (65)
【Fターム(参考)】