説明

複合ベルトの製造方法

【課題】膜厚が均一であり、長尺物でも形成でき、原料ロスが少なくて済み、常に新しい原料を使用するので、異物や泡を含むことが防止できる複合ベルトの製造方法を提供する。
【解決手段】管状基材層(34)の外側表面に弾性体層を成形する方法であって、前記管状基材(34)の外径と所定の間隙を有し、前記管状基材(34)の外表面に対して外側から弾性体前駆体溶液(35c)を吐出する吐出スリットリング(25)を有する吐出成型機(40)により、前記管状基材層(34)および前記吐出スリットリング(25)から選ばれる少なくとも一方を移動させながら、前記弾性体前駆体溶液(35c)を前記吐出スリットリング(25)から前記管状基材層(34)の外表面に対して吐出し、所定の膜厚にキャスト成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真方式の複写機、レーザービームプリンター等のカラー画像成形装置等に使用される複合ベルトの製造方法に関するものであり、好適には前記カラー画像成形装置の熱定着機において、転写紙など転写材上に転写されたカラートナー像を加熱により定着するベルト定着方式の定着用ベルト等として用いられる複合ベルトの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真技術を利用した複写機や、レーザービームプリンター、ファクシミリなどの画像成形装置において、印刷や複写の最終段階では、紙をはじめとするシート状転写材上のトナー像を加熱溶融して転写紙上に定着させている。画像を定着させる手段としては、図6に示すように熱ローラー定着方式が広く用いられている。すなわち、加熱ヒーター45を有する定着ローラー41とこれに圧接した加圧ローラー42の両ローラー間に、トナー像が形成された複写紙43を順次送り込みながらトナー46を加熱溶融させ、トナー像47を複写紙43上に定着させるものである。44はサーミスタである。
【0003】
しかし、前記加熱ロール定着方式は定着ロールが所定の温度に達するまでの待ち時間が長いという問題がある。すなわち電源を投入してから定着ロールが所定の定着温度に達するまでに待ち時間が発生する。同時に定着ロール全体を加熱しなければならないため、消費電力も大きい。
【0004】
このような問題に対して近年、待ち時間の短縮と省電力のために図7に示すようなベルト定着方式が開発されている。ベルト定着方式の一例を示すと、ポリイミド樹脂製等の定着ベルト51の内側に所定間隔で2つの支持ロール52,53とヒーター54を備え、ヒーター54と圧接した加圧ロール55の間に、トナー像57を形成した複写紙56を順次送り込みながら、トナーを加熱溶融させ、トナー像58を複写紙56上に定着させる方式である。
【0005】
前記のベルト定着方式では、薄いフイルム状のポリイミド樹脂ベルト等を介して、ヒーターが実質的に直接トナーを加熱するため、加熱部が短時間で所定の定着温度に達し、前記熱ローラー方式のようにあらかじめローラーを予備加熱しておく必要がなく、電源投入から定着可能に達するまでの待ち時間がなく、また消費電力も小さく省電力化をはかることができる。
【0006】
前記ベルト定着方式に使用される定着ベルトには、トナーの溶融温度に耐える耐熱性と、回転、圧着、耐摩耗性、引張り強度など、繰返し使用に耐えうる機械的特性を有する必要がある。定着ベルトの代表的な材料と、その構成として、ポリイミド樹脂製管状物を内層基材にし、その外面にフッ素樹脂外層を有する複合管状物等が使用されている。
【0007】
前記の複合管状物は下記特許文献1等で知られている。すなわちその製造方法は予め芯体の外表面に管状成形物の前駆体液を最終皮膜成形厚みよりも厚く付着させた後、前記芯体の外径に対して所定の間隙の内径を有する外型(ダイス)を前記前駆体液を塗布した芯体に挿入し芯体表面を通過させ、その後加熱等の手段で所定の管状物を得た後、前記管状物の外層にフッ素樹脂を被覆し、焼成することによって複合管状物を製造することができる。
【0008】
しかし、上記のようにして製造されたポリイミド樹脂とフッ素樹脂からなる複合管状物では、より高い画質の定着性が要求される分野、例えばカラー複写機やカラープリンター等の定着装置に用いると満足する画質が得られない。
【0009】
カラートナーの定着においては赤、青、黄、黒の4色のトナーを十分に熱溶融させ混色し中間色や濃淡を鮮明にする必要があり、前記のポリイミド樹脂及びフッ素樹脂からなる定着ベルトではベルトに弾力性がないためカラートナーを十分に混色することができず、高い画質の定着ができない。すなわちカラートナー画像を熱定着するためには、単色トナーの定着と異なり、数色のトナーを完全に溶融させ、弾性力、あるいは柔らかい表層でトナー像を包み込み混色させることが必要である。
【0010】
そこで下記特許文献2では最外層、すなわちトナーと接触する面にシリコーンゴム又はフッ素ゴムからなる弾性体層を成形した定着ベルトが提案されている。また下記特許文献3では導電性ポリイミド樹脂からなる管状内層と、その外周面に導電性シリコーンゴム、又は導電性フッ素ゴムからなる2層構造の複合管状物が提案され、さらに2層構造の外層にフッ素樹脂、またはシリコーン系材料の耐熱離型保護層が設けられた管状物が提案されている。
【0011】
このようにカラートナー画像の定着ベルトは定着に必要な機械特性をポリイミド樹脂基層で保持し、その外層にシリコーンゴム弾性体層を有し、さらにその外層にフッ素樹脂あるいはシリコーン樹脂等の耐熱離型層を有する構造で高い画質を得ることができる。
【特許文献1】特許3054010号公報
【特許文献2】特開平5−154963号公報
【特許文献3】特開平10−305500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、弾性体層であるシリコーンゴムとフッ素樹脂はお互いに離型性に優れた物質であり、両物質を密着させることは非常に難しく、特に弾性体層の硬度が低い場合、弾性体層とフッ素樹脂層の密着力の向上は困難である。反面、定着ベルトに要求される特性では耐熱性、機械的耐久性、離型性、柔軟性などの特性が必要であり、特に上記構造の積層された定着ベルトでは各層の接着あるいは密着力が十分でないと層間剥離などが発生し、トナー像と接する最外層にシワが入ったり、亀裂が入る原因になる。
【0013】
また従来のポリイミド管状物外面に液状ゴムを成形する方法は、前記ポリイミド前駆体溶液を円筒状金型表面にキャスト成形する方法と同様に、リング状金型(ダイス)を自重等で走行させて液状ゴムを成形する。しかし、リング状金型で掻き落とされた余分な液状ゴムの処理方法が困難である、特に一度掻き落とされた液状ゴムは、気泡が発生しやすく、液状ゴムの粘度が高いため気泡が抜けにくい問題、あるいは掻き落とされた液状ゴムに異物が入りやすい問題もある。
【0014】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、膜厚が均一であり、長尺物でも形成でき、原料ロスが少なくて済み、常に新しい原料を使用するので、異物や泡を含むことが防止できる複合ベルトの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の複合ベルトの製造方法は、管状基材層の外側表面に弾性体層を成形する方法であって、前記管状基材の外径と所定の間隙を有し、前記管状基材の外表面に対して外側から弾性体前駆体溶液を吐出する吐出スリットリングを有する吐出成型機により、前記管状基材層および前記吐出スリットリングから選ばれる少なくとも一方を移動させながら、前記弾性体前駆体溶液を前記吐出スリットリングから前記管状基材層の外表面に対して吐出し、所定の膜厚にキャスト成形することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、管状基材層の外側表面に弾性体層を成形する方法が、前記管状基材の外径と所定の間隙を有し、前記管状基材の外表面に対して外側から弾性体前駆体溶液を吐出する吐出スリットリングを有する吐出成型機により、前記管状基材層および前記吐出スリットリングから選ばれる少なくとも一方を移動させながら、前記弾性体前駆体溶液を前記吐出スリットリングから前記管状基材層の外表面に対して吐出し、所定の膜厚にキャスト成形することにより、膜厚が均一になり、長尺物でも形成でき、原料ロスが少なくて済み、常に新しい原料を使用するので、異物や泡を含むことが防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明においては、弾性体層とフッ素樹脂層(A)の境界面で、かつ弾性体層側には凹部が形成され、この凹部内にはフッ素樹脂(B)が埋め込まれ、フッ素樹脂(B)とフッ素樹脂層(A)とは融着一体化している。すなわち、弾性体層とフッ素樹脂(A)の境界面には投錨状のフッ素樹脂(B)が形成され、このフッ素樹脂(B)とフッ素樹脂層(A)とは融着一体化している。これにより、弾性体層とフッ素樹脂層の密着力が増大している。
【0018】
融着一体化したフッ素樹脂層(A)及びフッ素樹脂(B)と、弾性体層との引き剥がし強力(以下「密着力」ともいう。)が、1cm幅で100g以上であることが好ましい。
また、融着一体化したフッ素樹脂層(A)及びフッ素樹脂(B)を弾性体層から引き剥がしたとき、前記弾性体層が凝集破壊する。すなわち、融着一体化したフッ素樹脂層(A)及びフッ素樹脂(B)を弾性体層から引き剥がしたとき、弾性体層が破壊され、フッ素樹脂被膜にくっついて剥がされる状態となる。この凝集破壊は肉眼でも明確に観察できる。これは、弾性体層表面に凹部が形成され、この凹部内にはフッ素樹脂(B)が埋め込まれて強力なアンカーとなり、フッ素樹脂層(A)と融着一体化していることに起因する。また、本発明の製造方法の特徴であるが、弾性体層表面をサンドブラスト加工して凹部を形成し、この凹部にフッ素樹脂(B)の粒子を含浸したとき、弾性体層のゴム硬度が比較的軟らかいので、フッ素樹脂(B)の粒子が弾性体層表面の凹部内で挟接され、強力なアンカーを形成するものと推定される。
【0019】
基材層は、ポリイミド樹脂及び金属から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。ともに耐熱性と耐久性があるからである。
【0020】
弾性体はシリコーンゴム及びフッ素ゴムから選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
【0021】
フッ素樹脂(A)は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)及びテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)から選ばれる少なくとも一つ又はこれらの混合物であり、前記フッ素樹脂(B)がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であることが好ましい。
【0022】
弾性体層のゴム硬度は、JIS A硬度で3度以上70度以下が好ましい。また弾性体層の厚みは30μm以上1500μm以下が好ましい。
【0023】
次に本発明の製造方法においては、前記基材層の外側表面に弾性体層を成形する方法が、前記管状基材の外径と所定の間隙を有し、前記管状基材の外表面に対して外側から弾性体前駆体を吐出するスリットを有する吐出成型機により、前記弾性体前駆体を所定の速度で制御しつつ吐出し、かつ前記管状基材及び前記吐出成型機から選ばれる少なくとも一方を移動させながら、前記基材層の外側表面に弾性体層を所定の膜厚で成形することが好ましい。このようにすると、膜厚が均一になり、長尺物でも形成でき、原料ロスが少なくて済み、常に新しい原料を使用するので、異物や泡を含むことが防止できる。
【0024】
フッ素樹脂(A)(B)の焼成の際、雰囲気温度を400℃以上にすることが好ましい。フッ素樹脂(A)(B)の融着一体化のためである。焼成時間は10分以下が好ましい。このような条件で焼成することにより、ゴム弾性体層を熱劣化させることなくフッ素樹脂の焼成ができる。
【0025】
本発明の複合ベルトによれば、カラートナー像の熱定着装置において赤、青、黄、あるいは黒等の複数のトナーを混合溶融し複写紙に熱定着させるための十分な柔らかさをもつ弾性体層と、オフセットを防止するための離型層を持ちカラートナーを十分溶融させ包み込みながら定着し、鮮明で高い画質を得ることができる。
【0026】
本発明のように低硬度の弾性体層とフッ素樹脂層の複合ベルトの場合、定着装置で加わる加圧力によりゴム弾性体層の変形量は大きくなり、当然のことながらフッ素樹脂層とゴム弾性体層の境界面では、それぞれの層が異なった動きになりシワの発生につながる。すなわち、ゴム弾性体層とフッ素樹脂層の複合体では、ゴム弾性体層はその硬度に反比例し、また定着時の加圧力に比例して変形する。しかしフッ素樹脂層の変形量は小さく、加圧されている部分ではゴム弾性体層の変形量に追従してフッ素樹脂層も変形させられた状態になり、次いで複合ベルトの加圧力が取り除かれると、ゴム弾性体層の復元とともにフッ素樹脂層も、ゴム弾性体層表面で復元しようとするが、ゴム弾性体層のように完全に復元しないため、局部的に微細に変形させられた状態が蓄積していくことになり、このまま定着機の運転を継続するとフッ素樹脂表面にシワが発生しこのシワを核として微細なクラックが生じこの部分にトナーが付着し不良画像になる。
【0027】
本発明のように弾性体層とフッ素樹脂層の境界面にフッ素樹脂アンカー層(投錨状)を設けることにより両層が強固に密着し、上記ゴム層の変形にフッ素樹脂層が追従でき低硬度のゴム弾性体層でトナーを包み込む効果と、フッ素樹脂の離型性により高品質の画像を得ることができる。
【0028】
本発明の複合ベルトの大きさの一例としては、直径が20〜100mm、長さが350mm程度である。もちろんこれより小さい、例えばA4サイズ用であっても良いし、これより大きい任意の大きさのものを得ることができる。
【0029】
次に本発明の具体的実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態における複合ベルトの断面図であり、ポリイミド樹脂層1と弾性体層2と最外層の離型層3で構成されている。これを拡大した概略断面図が図2Aである。弾性体層2と最外層の離型層3の間には、投錨的に埋め込まれているフッ素樹脂(B)4が存在している。図2Bは、基材層がポリイミド樹脂層1に代えて、ステンレス等の金属層5の例を示している。10,11は複合ベルトである。
【0030】
前記図2Aに示す複合ベルトの基層となるポリイミド樹脂管状物には、一例としてポリイミド前駆体溶液が用いられる。ポリイミド前駆体溶液は例えば芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン成分を有機極性溶媒中で、反応させることによって得ることができる。このような芳香族テトラカルボン酸の代表例としては次のようなものが上げられる。ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、あるいはこれらテトラカルボン酸エステル、上記各テトラカルボン酸類の混合物でも良く、複合ベルトの基層の特性が得られるものであれば限定されるものではない。
【0031】
一方、芳香族ジアミン成分としては特に制限はなく、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメトキシベンチジン、4,4’ジアミノジフェニルプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパンなどが挙げられる。
【0032】
本発明の製造方法においてはポリイミド前駆体が有機極性溶媒に溶解している組成物(原料)を用い管状物を製作する。前記の有機極性溶媒としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、フェノール、o−,m−,p−クレゾール、などが挙げられる。これらの有機極性溶媒にはキシレン、ヘキサン、トルエンなどの炭化水素類(ハイドロカーボン)などを混合することもできる。
【0033】
また、芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とを有機極性溶媒中で重合させて得られたポリイミド前駆体液の中に窒化ホウ素、金属粉末などの熱伝導改良剤などを混合しても良い。
【0034】
また弾性体層はシリコーンゴム、フッ素ゴムあるいはこれらの混合物が用いられる。シリコーンゴムとしては液状で例えば市販されている室温硬化性シリコーンゴム(シリコーンRTV)などが挙げられる。また、上記フッ素ゴムは液状で用いられ、例えば市販されているFKM(VDF−HFP系フッ素の二元系及び三元系共重合体)ラテックスなどが挙げられる。またこれらの弾性体層の中には熱伝導性を改良するための窒化硼素や金属フィラーを混合することができる。弾性体層のゴム硬度はJIS A硬度で3度以上70度以下が好ましく、10度〜50度の範囲がカラートナーを包み込む効果から最も好ましい。
【0035】
ゴム弾性体層の厚みは、30μm〜1500μmが好ましく、ゴム弾性体層の変形にフッ素樹脂層が追従できる厚み、あるいはゴム弾性体層の熱伝導性の面から500μm以下がさらに好ましい。また30μm未満になると弾性力が乏しくなり、トナーを包み込む効果が少なくなる。
【0036】
同時にゴム弾性体層の硬度と厚みの関係は、上記範囲の中で弾性体層が厚くなるほど硬度は高い方が定着性、及びゴム弾性体層とフッ素樹脂層との境界部分の応力バランスのズレによるシワや亀裂の発生に効果的である。
【0037】
複合ベルト最外層のフッ素樹脂(A)はPTFE、PFA、FEPなどを単体、または混合して使用できる。同時に電子写真技術の中で静電気の影響などによるオフセット現象を回避するために導電性フィラーや、またフッ素樹脂層の耐摩耗性向上のためにシリカ等の充填材をフッ素樹脂層に混合することができる。
【0038】
また弾性体層と最外層の境界面に投錨的に存在するフッ素樹脂(B)は未焼成状態で繊維化しやすいPTFE樹脂が好ましい。
【0039】
本発明の複合ベルトは、例えば次のようにして製造することができる。まず基層となるポリイミド管状物は、ポリイミド前駆体溶液中に円筒状金型を浸積し、金型表面にポリイミド前駆体溶液を付着させ、その後リング状金型(ダイス)を金型の上部から挿入し自重により落下させて、金型の外周面に均一にキャスト(塗布)成形する。その後、前記金型を、120℃で40分、200℃で15分加熱して、溶媒を除去すると共にイミド転化反応を進行させ、その後250℃から400℃まで段階的に加熱処理しイミド転化反応を完成させ、冷却後金型から脱型し管状物を得ることができる。
【0040】
また、ポリイミド管状物外層に弾性体層を成形する場合には、前記ポリイミド管状物の外面にプライマー液を塗布し乾燥後、管状物の外径と所定の間隙を有し、ポリイミド管状物の外表面に対して垂直方向に液状ゴムが吐出できるスリットを有する吐出成型機を用い、前記管状物、又は吐出成型機のいずれかを移動させながらゴム弾性体層を成形することができ、その後所定の条件で加硫処理を行い目的とする弾性体層を得ることができる。
【0041】
前記液状ゴムの成形方法の詳細を説明する。図3に示すゴム成型機40の吐出スリットリング25の内側に、ポリイミド管状物を装着した金型26を配置する。図3において、27は貯蔵タンク、28はスラリーポンプ、29は混合ミキサー、30,31は電磁弁、32は電動シリンダー、33はモーター、34はポリイミド管状物、及び35a〜35cは液状ゴムである。予め充填剤、加硫剤等を配合した液状ゴム35aを貯蔵タンク27に投入し、その後スラリーポンプ28の駆動モーター33を動かし、液状ゴム35aをスタティックミキサー29に圧送する。スタティックミキサー29内ではスラリーポンプの圧送力により液状ゴムの流れを乱流させることによって、再度液状ゴムを混合することができる。同時に電磁弁31を閉じ、電動シリンダー32内に液状ゴム35bを圧送する。次いで、電磁弁30を閉じ電磁弁31を開け、電動シリンダー32から液状ゴムを分岐ユニット37で数回路の配管に分岐させ、吐出スリットリング25に導き、電動シリンダー32の押出しスピードと金型26の上昇速度(矢印Y)を制御し、吐出スリットリング25から所定量の液状ゴムを押出し、ポリイミド管状物の外面に所定の厚みで液状ゴムを塗布する。
【0042】
その後、金型に挿入したままの管状物をゴム成型機から外し、150℃の温度で30分一次加硫し、さらに200℃で4時間ポスト加硫を行い、ゴム弾性体層が成形された管状物を得る。この液状ゴム成形においては、吐出スリットリングを固定し、金型を移動させながら液状ゴムを成形することもできるし、金型を固定し吐出スリットリングを金型の外周面に沿って移動させることもできる。また貯蔵タンクを増設することによって多種類の液状ゴム等を圧送し、スタティックミキサーで配合あるいは混合させて管状物に成形することができる。
【0043】
またポリイミド管状物外面に液状ゴムを成形する方法は、前記ポリイミド前駆体溶液を円筒状金型表面にキャスト成形する方法と同様に、リング状金型(ダイス)を自重等で走行させて液状ゴムを成形することもできる。但しこの方法の場合、リング状金型で掻き落とされた余分な液状ゴムの処理方法が困難である、特に一度掻き落とされた液状ゴムは、気泡が発生しやすく、液状ゴムの粘度が高いため気泡が抜けにくい問題、あるいは掻き落とされた液状ゴムに異物が入りやすい問題もある。
【0044】
本発明における弾性体層とフッ素樹脂層の密着は、前記弾性体層のゴム加硫処理が完了したゴム表面をブラスト処理し、次にPTFE樹脂を含浸し、乾燥し、拭き取り、洗浄し、その後、最外層として用いるフッ素樹脂層を所定の厚みでコーティングし、さらに400℃以上の温度でフッ素樹脂層を焼成することで達成することができる。
【実施例】
【0045】
以下実施例を用いてさらに具体的に説明する。
[引き剥がし強力(密着力)の測定方法]
複合ベルトのゴム弾性体層とフッ素樹脂層の密着力の測定は次の方法で測定した。この密着力の測定方法は、自由に回転できる円筒状試料取付け治具に測定サンプルを固定し、周方向に10mm幅で切れ目を入れた最外層のフッ素樹脂層の片端部を引張り試験機で定速度で引き剥がし、そのときの剥離力を試験機のチャートから読み取るようにしたものである。
【0046】
後述するように測定サンプルのフッ素樹脂層表面に補助的に粘着テープを貼り付け、粘着テープごと引張り試験機で剥離する理由は、10mm幅でフッ素樹脂皮膜単体の剥離テスト行うと、フッ素樹脂層の厚みが20〜30μmであるため、皮膜の伸びが生じ正確な密着力が測定できないため補助テープと一緒に引張り試験機で引き剥がす方法を用いている。
【0047】
図4に密着力測定器50の概要を示す。測定器50で試料取付け治具17の内側にはボールベアリングが両端部に挿入されており、支持台18に取付けられている心棒19を軸にして自由に回転できる機構になっている。前記試料取付け治具17の持っている摩擦力は、本測定では問題にならない微小なものである。
【0048】
密着力の測定試料は、複合ベルトから40〜50mmの長さで円筒状に測定サンプル20を切取り、試料取付け治具17に挿入し両端部を接着テープ21で固定する。
【0049】
取付け治具に固定した前記試料の最外層表面で、長さ方向の中央部に15mm幅の粘着テープ22を1周貼り付け、粘着テープの終端部を引張り試験機のチャックにつかめるよう長めにカットする。その後、粘着テープを貼り付けた前記試料の中央部を粘着テープの上から10mm幅で最外層のフッ素樹脂層のみ1周ナイフで切り目23を入れる。
【0050】
同時に10mm幅にカットした円周上で、引張り試験機のチャックに取り付けるため、長めにカットした粘着テープのローラへの貼り付け起点に近い部分でフッ素樹脂層のみ前記切り目23と垂直に切れ目を入れ、この部分の切れ目を剥離開始点とし、粘着テープの終端部側のフッ素樹脂層を予め少し剥がし、粘着テープに貼り付ける。次いで長めにカットした粘着テープを引張り試験機のチャック24で掴み、50mm/分の速度で引張り、その剥離力を連続的にチャートに記録し、その平均値を複合ベルトの弾性体層とフッ素樹脂層の密着力とする。
【0051】
(実施例1)
(1)ポリイミド管状物の製作
外径が60mm、長さ500mmのアルミ製金型を用意した。金型の外面を研磨加工し、表面に酸化けい素コーティング剤をディッピング法によりコーティングし、その後加熱して焼き付け、酸化けい素膜を膜厚2μmで被覆した。この円筒状金型の表面はガラス状の鏡面を有しており、JIS−B0601による表面粗度は(Rz)で0.5μmであった。
【0052】
次いで1500ポイズのポリイミド前駆体液(IST社製商品名“RC5063PyreMLワニス”)を用意した。
【0053】
前記ポリイミド前駆体溶液の中に前記金型を400mm部分まで浸漬し、ポリイミド前駆体液を塗布したのち、内径61.6mmのリング状外金型(ダイス)を前記金型の上部から挿入し、自重で走行させて前記金型の表面に800μの厚みのポリイミド前駆体液をキャスト成形した。
【0054】
その後、第1次イミド転化処理として温度:120℃のオーブンに入れ、60分間乾燥後、200℃の温度まで40分間で昇温させ、同温度で20分間保持した。その後、200℃から400℃まで30分間で昇温し、同温度で20分間保持し、オーブンから取出し、常温まで冷却し、金型から脱型した。この状態でポリイミド管状物の厚みは80μmであり、内径60mmの完全にイミド化された管状物を得た。
【0055】
(2)ゴム弾性体の成形及び加硫
金型に装着した前記ポリイミド樹脂管状物にプライマー(信越化学社製商品名“X331565”)をはけ塗りし、常温で30分乾燥させた。
【0056】
その後、図3に示すゴム成型機40の吐出スリットリング25の内側に前記金型26を配置した。シリコーンゴム“KE1379”(信越化学製商品名)の液状ゴム及びシリコーンゴム“DY356013”(東レダウコーニングシリコン社製商品名)2液を予め2:1の割合で混合し、貯蔵タンク27に投入した。
【0057】
その後、ポンプ28により混合ミキサー29を経由して電動シリンダー32の槽内に送り込み、電動シリンダー32の押出しスピードと金型26の上昇速度を制御し、吐出スリットリング25から所定量の混合液状シリコーンゴムを押出し、ポリイミド管状物の外面に200μmの厚みでシリコーンゴムを塗布した。
【0058】
その後、150℃の温度で30分一次加硫し、さらに200℃で4時間ポスト加硫を行い、ポリイミド管状物の外層に200μmの厚みでシリコーンゴムが成形された管状物を得た。ゴム層の硬度は26度であった。
【0059】
(3)投錨状フッ素樹脂処理及び最外層フッ素樹脂コーティング
次に、シリコーンゴム表面のブラスト処理(#100酸化アルミナ砥粒、塗布圧力6kg/cm2、10分間)を行った。シリコーンゴム表面を洗浄した後、フッ素樹脂(B)として、PTFE樹脂ディスパージョン(デュポン社製商品名“30J”)を用いて、この中に回転させながら3分間浸漬し、取り出し、常温で20分間乾燥し、次いでシリコーンゴム表面のフッ素樹脂を布で拭き取った。この処理により、フッ素樹脂(B)の微粒子がシリコーンゴム表面の凹部内に含浸された。
【0060】
その後、フッ素樹脂(A)として、PTFE樹脂とPFA樹脂を7:3の割合で混合し、固形分濃度45%、粘度:110センチポイズに調整したフッ素樹脂ディスパーション(デュポン社製商品名“855−510”)中にポリイミド・シリコーンゴム成形管状物を浸漬し、所定の速度で引上げ、最終の厚さで15μmとなるようにコーティングし、室温で30分乾燥後、230℃で30分間加熱した。その後、炉内温度が470℃に設定した内径100mmの管状炉内を、約10分で通過させ、シリコーンゴム表面にコーティングされたフッ素樹脂を焼成した。ついで、冷却後、金型から管状物を分離し、目的とする複合ベルトを得た。
【0061】
この複合ベルトの内径は60mm、ポリイミド樹脂層80μm、シリコーンゴム層200μm、フッ素樹脂層15μm、総厚み295μmであった。このベルトの片端部40mm長さを切取り測定サンプルとし、前記密着力測定方法に基づき密着力を測定した。この複合ベルトの密着力は180g/10mmであり、弾性体層とフッ素樹脂層は強固に密着していた。また弾性体層から剥離したフッ素樹脂層の裏面(弾性体層との境界面)を顕微鏡で観察すると繊維状になり、弾性体層内に投錨されていたフッ素樹脂(B)が最外層のフッ素樹脂と融着し弾性体層から引き抜かれたような形状で付着していた。また、融着一体化したフッ素樹脂層(A)及びフッ素樹脂(B)をシリコーンゴム層から引き剥がしたとき、シリコーンゴム層が凝集破壊して分離された。シリコーンゴム層が凝集破壊され、フッ素樹脂被膜にくっついて剥がされた状態は、肉眼でも明確に観察できた。
【0062】
この複合ベルトをタンデム型カラープリンタの定着機に装着し28枚/分の速度で定着を行った結果15万枚の良質な画像が得られた。
【0063】
(比較例1)
実施例1と同様の条件でポリイミド管状物とシリコーンゴム成形及び加硫を行い、ブラスト処理及びPTFE樹脂含浸処理を省き、その後実施例1と同様に最外層のフッ素樹脂コーティング及び焼成を行った。すなわち、シリコーンゴム層に凹部を形成せず、またフッ素樹脂(B)の埋め込みもしなかった。
【0064】
この複合ベルトから所定の密着力測定用サンプルを切取り、密着力測定を行ったところ、30g/10mmであった。この複合ベルトを実施例1のプリンターに装着し定着テストを実施した結果、数10枚のテストで最外層のフッ素樹脂とシリコーンゴム境界面が浮いた状態になりシワが発生し亀裂が入った。
【0065】
(実施例2)
(1)薄膜金属シームレスベルトの作製
厚みが48μm、内径30mm、長さ400mmのステンレス製薄膜シームレスベルト(遠藤製作所社製)を用意した。前記シームレスベルトの内面に空隙がない状態に鉄製芯体を挿入した。前記シームレスベルトの表面にメッシュナンバー#230の酸化アルミナ砥粒を用いて、圧力4kg/cm2で3分間ブラスト処理した。その後、洗浄し、プライマーをはけ塗りし、常温で30分間乾燥した。前記シームレスベルト最上部をテープで前記芯体に固定し、図3に示すゴム成型機40の吐出スリットリング25の内側に、前記シームレスベルトを配置した。吐出スリットリング25の内径は31.2mmのものを使用し、シリコーンゴム“DY387”(東レダウコーニングシリコン社製商品名)A,B2液を予め1:1の割合で混合し、図3の貯蔵タンク27に投入した。
【0066】
その後、電動シリンダー32のスピードと金型の上昇速度を制御し、吐出スリットリング25から所定量の混合液状シリコーンゴムを押出し、ステンレス製薄膜シームレスベルトの外面に300μmの厚みでシリコーンゴムを塗布した。その後、150℃の温度で30分間一次加硫し、さらに230℃で2時間ポスト加硫を行い、ステンレス製薄膜シームレスベルトの外層に300μmの厚みでシリコーンゴムが成形された金属薄膜シームレスベルトを得た。ゴム層の硬度は30度であった。
【0067】
(2)投錨状フッ素樹脂処理及び最外層フッ素樹脂コーティング
シリコーンゴム表面にブラスト処理(#100酸化アルミナ砥粒、塗布圧力6kg/cm2、10分間)を行った。シリコーンゴム表面を洗浄した後、フッ素樹脂(B)として、PTFE樹脂ディスパージョン(デュポン社製商品名“30J”)を用い、この中に回転させながら2分間浸漬し、取り出し、常温で10分間乾燥し、次いでシリコーンゴム表面のフッ素樹脂を布で拭き取った。この処理により、フッ素樹脂(B)の微粒子がシリコーンゴム表面の凹部内に含浸された。
【0068】
その後、フッ素樹脂(A)として、PTFE樹脂とPFA樹脂を7:3の割合で混合し、固形分濃度45%、粘度は110センチポイズに調整したフッ素樹脂ディスパーション(デュポン社製商品名“855−510”)中に前記シリコーンゴムが成形された金属薄膜シームレスベルトを浸漬し、一定の速度で引上げ、最終の厚みが15μmとなるようにコーティングし、室温で30分乾燥後、230℃で30分間加熱した。その後、炉内温度が560℃に設定した内径50mmの管状炉内を約3分で通過させ、シリコーンゴム表面にコーティングされたフッ素樹脂を焼成し、冷却後、鉄製芯体と管状物を分離し、目的とする複合ベルトを得た。
【0069】
得られた金属複合ベルトは、内径30mm、金属層48μm、シリコーンゴム層300μm、フッ素樹脂層15μm、総厚み363μmの金属複合ベルトであった。このベルトの密着力を測定した結果、230g/10mmであり、弾性層とフッ素樹脂層は強固に密着していた。すなわち、融着一体化したフッ素樹脂層(A)及びフッ素樹脂(B)をシリコーンゴム層から引き剥がしたとき、シリコーンゴム層が凝集破壊して分離された。シリコーンゴム層が凝集破壊され、フッ素樹脂被膜にくっついて剥がされた状態は、肉眼でも明確に観察できた。
【0070】
この複合ベルトを図5に示す定着機構をもつカラープリンターに装着し、14枚/分の速度で定着を行った結果、13万枚の良質な画像が得られた。
【0071】
図5において、定着ベルト11の内側に定着ベルトの支持体12と、セラミックヒーター13を備え、ヒーター面に圧接した加圧ロール14を駆動源とし、この加圧ローラー14と定着ベルト11の間にトナー像を形成した複写紙7を順次送り込みながら、トナー8を加熱溶融させ、ニップ点Nでトナー像を複写紙上に熱定着させた。15はサーミスタ、16は加圧ローラの芯金、9は定着像である。
【0072】
以上説明したとおり、本発明によれば、弾性体層とフッ素樹脂層(A)の境界面で、かつ弾性体層側には凹部が形成され、この凹部内にはフッ素樹脂(B)が埋め込まれ、フッ素樹脂(B)とフッ素樹脂層(A)とは融着一体化していることにより、弾性体層とフッ素樹脂層の密着力を向上した複合ベルトを提供できる。
【0073】
また、本発明の複合ベルトの製造方法によれば、加硫後の弾性体層表面をサンドブラスト加工して凹部を形成し、フッ素樹脂(B)を含む溶液を塗布して表面の凹部にフッ素樹脂(B)の粒子を含浸し、フッ素樹脂(A)をコーティングし、その後、フッ素樹脂(A)(B)の融点以上の温度で焼成することにより、フッ素樹脂(B)とフッ素樹脂層(A)とを融着一体化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施形態における複合ベルトの断面図である。
【図2】本発明の一実施形態における複合ベルトの概略拡大断面図であり、Aはポリイミド管状基材を用いた複合ベルト、Bは金属管状基材を用いた複合ベルトの例である。
【図3】本発明の一実施形態におけるゴム成型機のプロセス概念図である。
【図4】本発明の一実施形態における密着力測定試験を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施例2における定着機構を示す断面図である。
【図6】従来の熱定着ロールによる定着機構を示す断面図である。
【図7】従来のシームレスフィルムを用いた定着機構を示す断面図である。
【符号の説明】
【0075】
1 ポリイミド基材層
2 弾性体層
3 フッ素樹脂(A)からなる離型層
4 フッ素樹脂(B)からなる埋め込み部
5 金属基材層
10,11 複合ベルト
17 試料取付け治具
18 支持台
19 心棒
20 測定サンプル
21 接着テープ
22 粘着テープ
23 切れ目
24 チャック
25 吐出スリットリング
26 金型
27 貯蔵タンク
28 ポンプ
29 混合ミキサー
30,31 電磁弁
32 電動シリンダー
33 モーター
34 環状物(管状基材層)
35 液状ゴム
36 配管
37 分液ユニット
40 ゴム成型機(吐出成型機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状基材層の外側表面に弾性体層を成形する方法であって、
前記管状基材の外径と所定の間隙を有し、前記管状基材の外表面に対して外側から弾性体前駆体溶液を吐出する吐出スリットリングを有する吐出成型機により、
前記管状基材層および前記吐出スリットリングから選ばれる少なくとも一方を移動させながら、前記弾性体前駆体溶液を前記吐出スリットリングから前記管状基材層の外表面に対して吐出し、所定の膜厚にキャスト成形することを特徴とする複合ベルトの製造方法。
【請求項2】
前記管状基材層が、ポリイミド樹脂及び金属から選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載の複合ベルトの製造方法。
【請求項3】
前記弾性体がシリコーンゴム及びフッ素ゴムから選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載の複合ベルトの製造方法。
【請求項4】
前記弾性体層のゴム硬度が、JIS A硬度で3度以上70度以下であり、厚みが30μm以上1500μm以下である請求項1又は3に記載の複合ベルトの製造方法。
【請求項5】
前記弾性体層の表面にさらにフッ素樹脂層を焼成により形成し、前記フッ素樹脂層がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)及びテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)から選ばれる少なくとも一つである請求項1〜4のいずれかに記載の複合ベルトの製造方法。
【請求項6】
前記フッ素樹脂の焼成の際、雰囲気温度を400℃以上にする請求項1又は5に記載の複合ベルトの製造方法。
【請求項7】
前記弾性体前駆体溶液を吐出スリットリングから押出す量と、前記管状基材層および前記吐出スリットリングから選ばれる少なくとも一方の移動速度を制御しながら所定の膜厚にキャスト成形する請求項1に記載の複合ベルトの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−100523(P2008−100523A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−293557(P2007−293557)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【分割の表示】特願2003−51766(P2003−51766)の分割
【原出願日】平成15年2月27日(2003.2.27)
【出願人】(391059399)株式会社アイ.エス.テイ (102)
【Fターム(参考)】