複合レンズ
【課題】電気駆動眼鏡およびそれを製造する方法
【解決手段】電気駆動レンズアセンブリと、第1レンズウエハと、第2レンズウエハとを備える複合レンズが提供される。電気駆動レンズアセンブリは上側の平表面を有する上側の基板層と、下側の平表面を有する下側の基板層とを有する。第1レンズウエハは、電気駆動レンズアセンブリの上側の基板層の上側の平表面に平行で近接する、下側のウエハ平表面を有する。第2レンズウエハは、電気駆動レンズアセンブリの下側の基板層の下側の平表面に平行で近接する、上側のウエハ平表面を有する。
【解決手段】電気駆動レンズアセンブリと、第1レンズウエハと、第2レンズウエハとを備える複合レンズが提供される。電気駆動レンズアセンブリは上側の平表面を有する上側の基板層と、下側の平表面を有する下側の基板層とを有する。第1レンズウエハは、電気駆動レンズアセンブリの上側の基板層の上側の平表面に平行で近接する、下側のウエハ平表面を有する。第2レンズウエハは、電気駆動レンズアセンブリの下側の基板層の下側の平表面に平行で近接する、上側のウエハ平表面を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年11月2日付で出願された米国特許仮出願第60/623,947号の利益を主張するものであり、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0002】
以下の出願、仮出願および特許は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。2005年9月22日付出願の米国特許出願第11/232,551号、2005年7月19日付発行の米国特許第6,918,670号、2005年7月18日付出願の米国特許出願第11/183,454号、2005年7月21日付出願の米国特許仮出願第60/692,270号、2005年6月6日付出願の米国特許仮出願第60/687,342号、2005年6月6日付出願の米国特許仮出願第60/687,341号、2005年5月31日付出願の米国特許仮出願第60/685,407号、2005年5月10日付出願の米国特許仮出願第60/679,241号、2005年4月26日付出願の米国特許仮出願第60/674,702号、2005年4月22日付出願の米国特許仮出願第60/673,758号、2005年4月19日付出願の米国特許出願第11/109,360号、2005年4月8日付出願の米国特許仮出願第60/669,403号、2005年4月1日付出願の米国特許仮出願第60/667,094号、2005年3月30日付出願の米国特許仮出願第60/666,167号、2005年3月29日付発行の米国特許第6,871,951号、2005年3月28日付出願の米国特許出願第11/091,104号、2005年3月16日付出願の米国特許仮出願第60/661,925号、2005年3月9日付出願の米国特許仮出願第60/659,431号、2005年2月22日付出願の米国特許出願第11/063,323号、2005年2月22日付発行の米国特許第6,857,741号、2005年2月8日付発行の米国特許第6,851,805号、2005年1月14日付出願の米国特許出願第11/036,501号、2005年1月6日付出願の米国特許出願第11/030,690号、2004年11月24日付出願の米国特許出願第10/996,781号、2004年11月2日付出願の米国特許仮出願第60/623,947号、2004年8月24日付出願の米国特許出願第10/924,619号、2004年8月13日付出願の米国特許出願第10/918,496号、2004年6月9日付出願の米国特許出願第10/863,949号、2004年5月11日付発行の米国特許第6,733,130号、2004年2月5日付出願の米国特許出願第10/772,917号、2003年9月16日付発行の米国特許第6,619,799号、2003年8月20日付出願の米国特許出願第10/664,112号、2003年7月25日付出願の米国特許出願第10/627,828号、2003年3月12日付出願の米国特許出願第10/387,143号、2003年2月11日付発行の米国特許第6,517,203号、2002年12月10日付発行の米国特許第6,491,391号、2002年12月10日付発行の米国特許第6,491,394号、2002年10月4日付出願の米国特許出願第10/263,707号。
【0003】
本発明は、一般に複合レンズに関し、詳細には、電気駆動レンズを備えた複合レンズに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の例示的な態様は、固定焦点距離のレンズと、第1の電気駆動レンズと、接着層と、を積層して具備する複合レンズである。 前記電気駆動レンズの直径は、前記固定焦点距離のレンズの直径並びに前記接着層の直径よりも小さく、又、前記接着層は、前記電気駆動レンズを複合レンズ内に固定するように適合されている。
【0005】
この態様および他の態様は、以下の図面に関連付けてなされる以下の説明から明らかになるであろうが、開示の新規概念の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変
形形態および修正形態を実現可能である
【0006】
本発明は、添付図面と合わせた以下の詳細な説明を読むことによってより十分に理解できる。図では、同様の参照符号は、同様の構成要素を示すのに用いられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態において、あるいは実施形態に関連して使用される電気駆 動レンズアセンブリの断面図である。
【図2】図1の電気駆動レンズアセンブリの底面図である。
【図3A】本発明の一実施形態による複合レンズアセンブリの拡大図である。
【図3B】図3Aの複合レンズアセンブリの組立図を示す。
【図4A】本発明の一実施形態による複合レンズアセンブリの拡大図である。
【図4B】図4Aの複合レンズアセンブリの組立図を示す。
【図5】眼鏡フレーム内部に組み込まれた、本発明に一実施形態による複合レンズア センブリを示す。
【図6】本発明の実施形態において、あるいは実施形態に関連して使用される電気駆 動レンズアセンブリの断面図である。
【図7A】図6の電気駆動レンズアセンブリの底面図である。
【図7B】図6の電気駆動レンズアセンブリの上面図である。
【図8A】本発明の一実施形態による複合レンズアセンブリの拡大図である。
【図8B】図8Aの複合レンズアセンブリの組立図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以後、本発明の種々の実施形態について説明する。本明細書では、単数形のいずれの用語も複数形に解釈され、あるいは、複数形のいずれの用語も単数形と解釈される。用語の「上側」および「下側」は、特定の図面に示される各要素の相対的な位置付けを単に示すものであり、実施形態に関する電気駆動レンズアセンブリの必要とされる最終的位置付けを意味するものではない。同様に、用語の「第1」および「第2」は単に便宜的に使用され、アセンブリの必要とされる最終的な位置付けまたは順番を意味するものではない。
【0009】
本発明の実施形態は、電気駆動レンズ要素および受動レンズ要素の複合アセンブリとして形成される眼鏡を提供する。本明細書で用いられるとおり、用語の「電気駆動レンズ」は、光学的特性が電気を印加することで変化または修正されるレンズを指す。特に関連するのは、種々の視力上の問題点のいずれかを補正するために構成される、液晶レンズから形成された電気駆動レンズである。
【0010】
液晶の電気駆動レンズアセンブリの製造およびこのようなレンズアセンブリの複合レンズアセンブリへの組込みには、多くの課題がある。例えば、電気駆動レンズ要素の構造は、液晶層の厚みを制限し、複合電気駆動レンズアセンブリの縁取り(すなわち、縁部まわりの材料を取り除く)を可能にするように形成されなければならない。眼鏡レンズの縁取りは、この縁取りによって眼に対してレンズを正しく整列させ、位置合わせさせる(眼鏡フレームの内側)ために、極めて重要である。
【0011】
別の課題は、複合レンズアセンブリの電気駆動部分の電気構成要素(例えば、ドライバチップ、接点および電極)間の電気接続を確立しなければならないことである。以下に説明するとおり、これは、層に対して直角のビア(小さい孔)によって生成され、これにより、電気駆動レンズアセンブリの縁部を回避する。この相互の電気接続は、多層集積回路設計と同様であってもよく、この場合、多層は物理的に分離されるが、必要に応じてビアを通して相互に電気接続できる。
【0012】
さらに別の課題は、電気駆動レンズアセンブリを複合レンズアセンブリに物理的に一体化することである。いくつかの実施形態では、複合レンズアセンブリは、ねじまたはボルトを使用して固定(一体に保持)されてもよく、これらのねじまたはボルトは電源の好都合な電気経路として機能してもよい。この場合は、複合レンズアセンブリは眼鏡フレームの内側に適正に位置合わせするために縁取りされてもよい。
【0013】
以下に、本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態において、あるいは実施形態に関連して使用される電気駆動レンズアセンブリ100を示す。電気駆動レンズアセンブリ100は特に、以下に述べる複合レンズアセンブリで使用に適合される。電気駆動レンズアセンブリ100は基本的に、下面に配置された2つの電力接点180、182を有する積層構造である。この積層構造の層は、上面から下面へと順に、
・ガラスまたはプラスチックの第1の基板110、
・第1の電極層120、
・第1のアライメント層130、
・液晶142を囲むスペーサ140を備える液晶層、
・第2のアライメント層150、
・第2の電極層160、
・ガラスまたはプラスチックの第2の基板170、
・互いに電気的に絶縁されているバッテリ電力用の正極接点(第1の接点領域)182および負極接点(第2の接点領域)180を備える電気接点層、
・ドライバチップ190、
で構成されている。
【0015】
前記ドライバチップ190は、ビア接続部186を通して第1の電極層120に接続され、さらに複数のビア接続部184を通して第2の電極層160に接続されている。
【0016】
ドライバチップ190は、他の構成要素に対する適切なビア接続部を備えて、別の層中に配置、例えば、ガラスまたはプラスチックの第2の基板170内に配置してもよい。あるいは、ドライバチップ190は、必要なビア数を最小にするために、第2の電極層と同じ層内に配置してもよい。
【0017】
上側の基板110とも称される、ガラスまたはプラスチックの第1の層110は、上側および下側の両方がほぼ平面である。ガラスまたはプラスチックの第1の基板110は、他の構成要素に対する構造支持機能を提供でき、また他の構成要素に対する電気絶縁機能を提供できる。上側の基板110の下側のほぼ平坦な表面は、第1の電極層120の上側のほぼ平坦な表面に近接している。
【0018】
第1の電極層120は、中実電極であってもよく、第2の電極層160に対する基準電極として機能してもよい。第1の電極層120の下側のほぼ平坦な表面は、アライメント層の分子を付着させるための基板として機能してもよい。第1の電極層120の下面は、第1のアライメント層130の上側のほぼ平坦な表面に近接している。
【0019】
第1のアライメント層130は、液晶層142の位置合わせを容易にする材料を含んでいる。第1のアライメント層130の下側のほぼ平坦な表面は、液晶142およびスペーサ140に近接している。
【0020】
液晶142の光学特性は、電界および磁界によって変化する。代わって、スペーサ140は、図1に示されるより厚くてもよく、第1のアライメント層130、液晶142、および第2のアライメント層150の全てを囲んでもよい。液晶層142の下側のほぼ平坦な表面は第2のアライメント層150の上側のほぼ平坦な表面に近接している。
【0021】
なお、材料は、液晶142に接触またはこれを破壊することなく、電気駆動レンズアセンブリの縁部まわりから除去されてもよい。詳細には、スペーサ140の一部は、液晶142に接触またはこれを破壊することなく、除去または縁取りしてもよい。
【0022】
第2のアライメント層150は、液晶層142の位置合わせを容易にする材料を含んでいる。第2のアライメント層150の下側のほぼ平坦な表面は第2の電極層160の上側のほぼ平坦な表面に近接している。
【0023】
第2の電極層160は、一体的な中実であってもよく、セグメントに分割またはパターン化されてもよい。例えば、第2の電極層160は、任意のアレイにパターン化され、個々に制御される複数のピクセルであってもよく、または、例えば一連の同心円などの他の有用なパターンにパターン化されてもよい。ドライバチップ190からの複数のビア接続部184により、ピクセルまたはパターンを個々に制御してもよい。なお、第1の電極層120は、第2の電極層160への任意の電圧と異なり、基準電極として作用してもよい。第2の電極層160と第1の電極層120との間に発生される電界は、液晶142の光学特性(例えば、屈折率または透過率)に影響を与える。電極120および160は両者のまわりにスペーサを有し、これにより両者を縁部から絶縁し、電気駆動レンズアセンブリ100の縁取りを可能にする。第2の電極160のほぼ下側の平表面は、第2ガラスまたはプラスチック基板170のほぼ上側の平表面に近接している。
【0024】
下側の基板170とも称される、第2ガラスまたはプラスチック基板170は、他の構成要素に対する構造支持機能を提供でき、また他の構成要素に対する電気絶縁機能を提供できる。下側の基板170のほぼ下側の平表面は、バッテリ電力の正極接点182および負極接点180のほぼ上側の平表面に近接している。この実施形態では、正極接点182および負極接点180は同一層上にあるが、直接導電接触はしない。両方の接点はドライバチップに導電接着されている。さらに、接点の一方は第1の電極層120に直接接着されてもよく、第2の電極層160の基準として機能してもよい。
【0025】
ドライバチップ190は第2ガラスまたはプラスチック基板170に物理的に接着し、正極接点182および負極接点180に導電性を有して接着してもよい。さらに、導電制御信号用の追加の接点(図示なし)、および無線信号用のアンテナ(図示なし)を設けてもよい。あるいは、制御信号部は電源電圧上にピギーバック式に搭載してもよい。
【0026】
電極、アライメント層、および液晶層は結合して、上側の基板層と下側の基板層との間に保持される電気駆動セルを形成する。なお、電気駆動セル内に追加の層を含んでもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、電極層120および160は、薄い平行ガラスまたはプラスチックシートまたはスライド上に形成され、アライメント層130および150で覆われ、液晶材料中の分子を配向する。1つまたは複数の電極をパターン化して、設計した光学特性を実現することもできる。例えば、純粋な球形効果を必要とする場合、パターンは一連の個々にアドレス可能な同心リング電極を備えてもよい。位相ラッピングが使用される場合、電極を編成またはグループ化して、レンズを駆動するのに必要な接点の数を少なくしてもよい。一般的または任意の光学効果、例えば高次の収差に対する波面補正が望まれる場合、個々にアドレス可能なパターンはデカルト格子を備えてもよい。スペーサ140を用いて、液晶または他の電気駆動材料で充填される一定間隙厚みを生成できる。ドライバチップは電気駆動レンズアセンブリの片面上に取り付けでもよく、電気接触は、ガラスまたはプラスチック基板に穴あけ、切断、またはエッチングされた一連のビアにより果さすようにしてもよい。
【0028】
偏光依存ネマティック液晶を使用する場合、上述と同様の2つの電気駆動レンズアセンブリを積み重ね、90°の角度に向けることで、複屈折効果を除外できる。
【0029】
あるいは、中実電極120は、共通電極の各面上に液晶を有するセルの中心に置かれるパターン化電極および共通基準電極に変更されてもよい。共通電極は各面上に透明導体で被膜された薄いガラス部分または光学級プラスチックから形成してもよい。2つのパターン化電極上のアライメント層は相互に90°に向けてもよい。いくつかの実施形態では、共通電極の各面上にアライメント層を配置することが望ましく、このアライメント層は、共通電極を形成する透明導体層全体を覆い、相互に90°の方向に向けられる。共通基準電極がセルに加えられる場合、1つまたは複数の追加導体/ビアを設けて、駆動回路から新しいパターン化電極への電圧供給を可能にできることは理解される。また、追加のビアを用いて、新しい共通電極と駆動回路との間の電気接触を果すこともできる。
【0030】
コレステリック液晶が用いられる場合、光学的バワーを生じさせるのに単一セルを必要とするだけである。簡単化のために、本発明の説明は、コレステリック液晶に限定するが、本明細書に記載される技術はネマティック液晶の設計にも同様に適用できることは理解されたい。
【0031】
図2は、電気駆動レンズ要素100の底面図であって、電気接点180、182の例示的な構成を示している。接点180、182は、ほぼまたは完全に透明な導電材料、例えばITOから形成されてもよい。図2に示されるとおり、負極接点180は、大部分の領域を覆うように構成されてもよく、バスを介してドライバチップ190に接続してもよい。正極接点182もまた、大部分の領域を覆い、バスを介してドライバチップ190に接続してもよい。ドライバチップ190は、導電性材料でない領域(正極および負極バスを除く)に取り付け、ドライバチップの各種の出力ピン(図示なし)が短絡しないようにする。このようにして、バッテリまたは他の電源からの電力をチップ190に供給し、正極接点182および負極接点180を電気駆動レンズアセンブリ100に単に電気接触させることによって、電気駆動レンズアセンブリ100に電力を供給することができる。電気接点の別の幾何的配置も好都合であることは立証されるであろうが、チップ190が別の位置に移動することになる可能性がある。
【0032】
1つの接点が正極接点に指定され、1つの接点が負極接点に指定されているが、正および負極性を逆にしてもよいことは、当業者には理解される。
【0033】
図3Aおよび3Bを参照すると、本発明の例示的な実施形態では、図1および2において先に述べた種類の電気駆動レンズ要素をペアのレンズウエハと組み合わせて、一定の、即ち基本の屈折力を有する複合レンズアセンブリ300を形成している。
【0034】
図3Aは、複合レンズアセンブリ300の拡大図を表す。複合レンズアセンブリの構成要素は、
・前方のレンズウエハ310、
・第1の接着層320、
・電気駆動レンズ330(例えば、図1および2で述べた電気駆動レンズ)、
・正極バッテリ用端子ワイヤ340および負極バッテリ用端子ワイヤ350、
・第2の接着層322、
・後方のレンズウエハ360、
である。
【0035】
前方のレンズウエハ310は、下側のほぼ平坦な表面を有してもよい。代わって、前方のレンズウエハ310の内側下面は、湾曲した電気駆動レンズアセンブリに一致するように曲面であってもよい。前方のレンズウエハ310は、ガラスまたは、例えばCR39、ポリカーボネート、または高屈折率ポリマーなどの光学級プラスチックから形成されてもよい。前記前方のレンズウエハ310は、後方のレンズウエハと異なる材料から形成されてもよく、例えば、一方はガラス、一方はプラスチックであってもよい。前方のレンズウエハ310は、ほぼ平坦な上側の表面および下側の表面を有し、したがって、平面(ゼロ)屈折力を有する。前方のレンズウエハ310の上側表面は曲面であってもよく、これにより、屈折力を生じさせる。前方のレンズウエハ310の下側のほぼ平坦な表面は、ほぼ平坦な第1の接着層320に近接している。
【0036】
第1の接着層320は、軟質または剛性であってもよく、屈折率一致であればよく、屈折率は、近接したウエハの屈折率に一致すればよい。第1の接着層320の下側のほぼ平坦な表面は、ほぼ平坦な電気駆動レンズアセンブリ330に近接している。
【0037】
前記電気駆動レンズアセンブリ330は、例えば、図1に示される電気駆動レンズアセンブリ100であるか、またはそれを備えていてもよい。電気駆動レンズアセンブリ330の下側のほぼ平坦な表面は、図1および2に示されるのと同様は、正極接点領域および負極接点領域を有してもよい。これらの領域は、正極バッテリ用端子ワイヤ340の上面および負極バッテリ用端子ワイヤ350の上面に近接して配置される。上記ワイヤは、平板ストリップであってもよい、上記ワイヤは、蓄積キャパシタまたは太陽電池などの別の電源に取り付けてもよい。
【0038】
代わって、一実施形態では(図示なし)、電気駆動レンズアセンブリ330は、レンズウエハ310および360より小さい直径を有してもよく、また接着層320および322より小さい直径であってもよい。この実施形態では、接着層は、電気駆動レンズアセンブリ330よりも直径が大きいので、これの周縁部が接着層は電気駆動レンズアセンブリの周囲にももたらされ、接着層がアセンブリを効果的に封入する。この実施形態においては、材料は、電気駆動レンズアセンブリ330の接点または液晶142に接触またはこれを破壊することなく、電気駆動レンズアセンブリの縁部まわりから除去されてもよい。このように、この実施形態では、複合レンズアセンブリ300は縁取りが可能になる。
【0039】
代わって、別の実施形態では(図示なし)、電気駆動レンズアセンブリ330は、レンズウエハより小さい直径を有してもよく、スペーサで囲まれてもよい。このように、この実施形態では、複合レンズアセンブリ300は縁取りが可能になる。
【0040】
正極バッテリ用端子ワイヤ340は、電気駆動レンズアセンブリ330の正極接点領域(例えば、図2に示されるような、接点領域282)に対応するか、または位置合わせされた領域を有する平板ストリップで終端してもよい。負極バッテリ用端子ワイヤ350も同様の方式で終端してもよい。正極バッテリ用端子ワイヤ340の下部面および負極バッテリ用端子ワイヤ350の下面は、第2の接着層322の上側のほぼ平坦な表面に近接している。
【0041】
前記第2の接着層322は、形状および機能において、上側の接着層320と類似する。第2の接着層322の上側のほぼ平坦な表面は、後方のレンズウエハ360の上側のほぼ平坦な表面に近接している。
【0042】
なお、第2の接着層をバッテリ用端子ワイヤまわりに形成して、バッテリ用端子ワイヤ340と350との間の空間を充填し、これにより、ほぼ平坦な表面を有する単一層を効果的に形成してもよい。
【0043】
さらに、バッテリ用端子ワイヤ340および350は、第2の接着層322のビア(図示なし)および後方のレンズウエハ360のビア(図示なし)を介してほぼ垂直に下方に引き出してもよいことに留意されたい。ワイヤ340および350が引き出され、電気駆動レンズアセンブリの直径が小さくなると(上述のとおり)、複合レンズアセンブリ300は縁取りが可能になる。
【0044】
このような縁取りは、光学分野では公知の技術であり、この場合、レンズ(または複合レンズアセンブリ300)は、周囲に対してフレームの内側に縁取りされたレンズを正しく位置合わせするために、縁部から除去される材料を有する。例えば、一般には、検眼士または眼鏡士は、空の眼鏡フレームを患者の顔面に位置合わせし、次に、いくつかの測定を実行し、レンズを縁取りして、患者の眼に対してフレームの内側にレンズを正しく配置して位置合わせする。
【0045】
後方のレンズウエハ360は、形状と機能において、前方のレンズウエハ310と類似している。前方のレンズウエハ310と後方のレンズウエハ360とは一体で、複合レンズアセンブリ300の全体の屈折率力を一定に、即ち、基本の屈折力を提供できる。さらに、ウエハは、平面(屈折率力を有さない)であってもよく、単に構造目的であってもよい。
【0046】
図3Bは、一定、即ち基本の屈折力を有する複合レンズアセンブリ300の組立図を表す。詳細には、図3Bは、図3Aの個々の構成要素の組み立てまたは圧着された状態を示す。接着層320および322は、複合レンズアセンブリ300を一体に保持している。
【0047】
図3Aおよび3Bを参照すると、本発明の例示的な実施形態では、図1および2において上に述べた種類の電気駆動レンズ要素をペアのレンズウエハと組み合わせて、一定、即ち基本の屈折力を有する複合レンズアセンブリ400を形成している。さらに、図4Aおよび4Bは、ねじおよびファスナ470を使用して、複合レンズアセンブリに追加の機械強度を与えている。なお、ねじまたはファスナを使用する場合、接着層は無くてもよい。
【0048】
図4Aは、一定の、即ち基本の屈折力およびねじまたはファスナを備える複合レンズアセンブリ400の実施形態の拡大図を表す。各層は、
・前方のレンズウエハ410、
・第1の接着層420、
・電気駆動レンズアセンブリ430(例えば、図1で示される電気駆動レンズ)、
・正極バッテリ用端子ワイヤ440および負極バッテリ用端子ワイヤ450、
・第2の接着層422、
・後方のレンズウエハ460、
である。
【0049】
さらに、ねじまたはファスナ470およびナットまたはファスナ480を使用して、複合レンズアセンブリに追加の支持力を加えてもよいことに留意されたい。ねじおよびファスナは縁なし眼鏡フレームにおいて特に有用である。この理由は、ねじまたはファスナは縁なし眼鏡フレームに直接取り付けできるためである。いくつかの実施形態では、ねじまたはファスナはバッテリ用の端子ワイヤの代わりの導電経路として機能してもよい。また、これらの取り付けねじまたはファスナを用いて、電気駆動レンズアセンブリ400を眼鏡フレーム(図示なし)に固定してもよい。ねじまたはファスナ470およびナットまたはファスナ480が、複合レンズアセンブリに対して適正な支持力を加えているため、第1の接着層420および第2の接着層422は無くてもよい。さらに、正極バッテリ用端子ワイヤ440および負極バッテリ用端子ワイヤ450は、ファスナ470および480を介して電力を導入できるため、無くすることもできる。
【0050】
ねじまたはファスナを介して電力を導入することは、追加の利点を提供する。特に、電気駆動レンズアセンブリがウエハより小さい直径を有する(上述のとおり、恐らくはスペーサで囲まれている)場合、複合レンズアセンブリ400は縁取り可能である。
【0051】
縁取りは、光学分野では公知の技術であり、この場合、レンズ(または複合レンズアセンブリ400)は、周囲に対してフレームの内側に縁取りされたレンズを正しく位置合わせするために、縁部から除去される材料を有する。例えば、一般には、検眼士または眼鏡士は空の眼鏡フレームを患者の顔面に位置合わせし、次に、いくつかの測定を実行し、レンズを縁取りして、患者の眼に対してフレームの内側にレンズを正しく配置して位置合わせする。複合レンズアセンブリ400(ねじまたはファスナを介して電力を導入している)を縁取りすることは、電気接続体に損傷を与えず、液晶も損傷しない。ねじまたはファスナ470およびナットまたはファスナ480を除いて、他の構成要素は、図3Aの複合レンズアセンブリ300に関して先に述べた構成要素と同じである。
【0052】
図4Bは、一定の、即ち基本の屈折力を有する複合レンズアセンブリ400組立図であり、ねじまたはファスナを含む。
【0053】
図5は、眼鏡フレーム500の内側に装着された複合レンズアセンブリ510の一実施形態を表す。複合レンズアセンブリ510は、例えば、図3Aおよび3Bの複合レンズアセンブリ300と同様であってもよく、眼鏡フレーム500の内側に装着される。
【0054】
詳細には、図5では、正極端子ワイヤ540および負極端子ワイヤ550は、電気駆動レンズアセンブリをフレームのステム560に取り付けられたバッテリ570などの電源に電気接続する。ワイヤ540および550は細いワイヤであってもよく、あるいは導電ストリップであってもよい。
【0055】
図5のフレームは、ヒンジ無しの設計であるが、本発明の範囲から逸脱するとなく、ヒンジ付きフレームを使用することもできる。この図では、フレームのステムにバッテリまたは電源を配置しているが、電源はレンズ内にまたは上にあってもよく、レンズに近接して、ブリッジ、ノーズパッド、ヒンジの上または内部、あるいは、電源とレンズとの間の短い接続を可能にする、ヒンジがフレームの前面に接する位置にあってもよい。しかし、バッテリが比較的大きい場合は、好適なバッテリ位置の1つは、眼鏡フレームのステムが耳に載る位置でもよく、これにより耳が重さを支える。電源はバッテリ、キャパシタ、太陽電池、またはこれら電源の特定の組合せを備えてもよい。例えば、太陽電池はキャパシタを充電してもよい。さらに、眼鏡フレームのステムを開閉して折りたたむ機械力を利用して、バッテリまたはキャパシタを充電してもよい。
【0056】
図6は、図1に実施形態と類似の電気駆動レンズアセンブリの一実施形態を示す。しかし、図6の電気駆動レンズアセンブリ600は、下側に正極接点を、また上側に負極接点を配置しており、両方の接点を下側に配置している図1の電気駆動レンズアセンブリとは異なる。接点の位置を変更することは、図6に示されるとおり、ビアの位置の変更を必要とする。
【0057】
詳細には、図6は、下面に正極接点および上面に負極接点を有する、電気駆動レンズアセンブリ600の一実施形態の側面図を表す。各層は、
・バッテリ電力用の負極接点680、
・第1ガラスまたはプラスチック基板610、
・第1の電極層620、
・第1のアライメント層630、
・液晶層642、およびスペーサ640、
・第2のアライメント層650、
・第2の電極層660、
・第2ガラスまたはプラスチック基板670、
・バッテリ電力用の正極接点682、
・ドライバチップ690、
である。
【0058】
さらに、第1の電極層620へのビア接続部686、およびバッテリ電力用の負極接点680への超薄ワイヤビア接続部688、およびドライバチップ690とパターン化電極層660との間の複数のスルーホールのビア接続部684があることに留意されたい。種々のビアを介する電気接触はITOなどの透明導電体を用いて実現してもよく、このような導電体は、反復リソグラフィ工程の間、または有害な表面効果を最少にするように設計された、超薄金属ワイヤによって堆積できる。
【0059】
なお、バッテリ接点680および682は物理的に分離され、電気駆動レンズの上面および底面にそれぞれ配置される。この物理的分離によって、短絡の可能性を減少させ、端子ワイヤの配置を容易にする。
【0060】
このように、電気駆動レンズアセンブリ600は、図1に示される電気駆動レンズアセンブリ100とほとんど同じであるが、バッテリ電力用の負極接点が電気駆動レンズアセンブリの反対側に配置されている点と、新しい関連するビア688とは除く。
【0061】
図7Aおよび7Bは、電気接点680および682の例示的な構成を示す、図6からの電気駆動レンズ要素600の底面図および上面図を示す。
【0062】
詳細には、図7Aは電気駆動レンズアセンブリ600の下面を表し、ドライバチップ690に接続される正極接点682を示している。図7Bは電気駆動レンズアセンブリ600の上面を表し、負極接点680を示している。負極接点680はワイヤビア688を通してドライバチップ690に接続される。図6に示されるとおり、ビア688は、上側の基板610、第1の電極層、液晶のスペーサ640、第2の電極層660、および下側の基板670を貫通してドライバチップ690に達する。電気駆動レンズアセンブリ600は正極接点682および負極接点680を通して電力を供給され、または充電される。電力に加えて、正極接点682および負極接点680は、組込み制御信号を伝送してドライバチップ690と通信することもできる。
【0063】
図8Aおよび8Bを参照すると、本発明の例示的な実施形態では、図6および7において上に述べた種類の電気駆動レンズアセンブリをペアのレンズウエハと組み合わせて、固定またはベース屈折力を有する複合レンズアセンブリ800を形成する。
【0064】
図8Aは、反対側にバッテリ接点を有する電気駆動レンズアセンブリを備えて複合レンズアセンブリ800の一実施形態の拡大図を表す。図8Aは、
・前方のレンズウエハ810、
・第1の接着層820、
・負極バッテリ用端子ワイヤまたはストリップ850、
・反対側にバッテリ接点を有する電気駆動レンズアセンブリ830(図6の電気駆動レンズアセンブリ600と同様)、
・正極バッテリ用端子ワイヤまたはストリップ840、
・第2の接着層822、
・後方のレンズウエハ860、
を上から下まで示す。
【0065】
複合レンズアセンブリ800は図3Aの複合レンズアセンブリ300と類似であるが、負極接点を電気駆動レンズアセンブリ830の上面に移動したことにより、負極バッテリ用端子ワイヤの位置が電気駆動レンズアセンブリ830の反対側に移動されている点を除く。このように、複合レンズアセンブリ800は電気駆動レンズアセンブリ830の本体部により分離されたバッテリ用端子ワイヤを有する。この分離により、バッテリ用端子ワイヤは、複合レンズアセンブリ800から同一半径方向に出ることができる(必要としない場合を除く)。例えば、図8Aでは、両方のバッテリ用端子ワイヤは左方向に出て、容易に一体構成とし、バスに接合できる。
【0066】
図示されていないが、複合レンズアセンブリ800は、ファスナまたはねじによって結合してもよく、ファスナまたはねじを利用して電力を導入してもよい。
【0067】
図8Bは、正極バッテリ用端子ワイヤ近くに負極バッテリ用端子ワイヤを有する複合レンズアセンブリ800の組立図を表す。
【0068】
本明細書で説明し、図に示した幾何形状は平面であるが、湾曲した平行面を採用して、本明細書に記載した組立方法によって、より薄い複合レンズ形状を生成できることも考えられる。電気駆動レンズアセンブリが湾曲している実施形態では、2つのウエハの一方は、電気駆動レンズアセンブリが遠方視野屈折力を満たすのに必要な2つの湾曲面の一方を提供するときは、削除してもよい。
【0069】
当業者であれば、本発明は広範囲な有用性および用途を可能にすることは、容易に理解される。本明細書に記載した本発明の多くの実施形態および適用例、ならびに変形形態、修正形態および同等の構成は、本発明の主題と範囲から逸脱することなく、本発明および前述の説明から明らかであるか、または適切に示唆されるであろう。
【0070】
本発明の例示的な実施形態を先に図示し、説明しているが、本発明は、本明細書に記載した構成に限定されないことは理解されるべきである。本発明は、本発明の精神または基本特性から逸脱することなく、他の特定の形態で実現可能である。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年11月2日付で出願された米国特許仮出願第60/623,947号の利益を主張するものであり、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0002】
以下の出願、仮出願および特許は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。2005年9月22日付出願の米国特許出願第11/232,551号、2005年7月19日付発行の米国特許第6,918,670号、2005年7月18日付出願の米国特許出願第11/183,454号、2005年7月21日付出願の米国特許仮出願第60/692,270号、2005年6月6日付出願の米国特許仮出願第60/687,342号、2005年6月6日付出願の米国特許仮出願第60/687,341号、2005年5月31日付出願の米国特許仮出願第60/685,407号、2005年5月10日付出願の米国特許仮出願第60/679,241号、2005年4月26日付出願の米国特許仮出願第60/674,702号、2005年4月22日付出願の米国特許仮出願第60/673,758号、2005年4月19日付出願の米国特許出願第11/109,360号、2005年4月8日付出願の米国特許仮出願第60/669,403号、2005年4月1日付出願の米国特許仮出願第60/667,094号、2005年3月30日付出願の米国特許仮出願第60/666,167号、2005年3月29日付発行の米国特許第6,871,951号、2005年3月28日付出願の米国特許出願第11/091,104号、2005年3月16日付出願の米国特許仮出願第60/661,925号、2005年3月9日付出願の米国特許仮出願第60/659,431号、2005年2月22日付出願の米国特許出願第11/063,323号、2005年2月22日付発行の米国特許第6,857,741号、2005年2月8日付発行の米国特許第6,851,805号、2005年1月14日付出願の米国特許出願第11/036,501号、2005年1月6日付出願の米国特許出願第11/030,690号、2004年11月24日付出願の米国特許出願第10/996,781号、2004年11月2日付出願の米国特許仮出願第60/623,947号、2004年8月24日付出願の米国特許出願第10/924,619号、2004年8月13日付出願の米国特許出願第10/918,496号、2004年6月9日付出願の米国特許出願第10/863,949号、2004年5月11日付発行の米国特許第6,733,130号、2004年2月5日付出願の米国特許出願第10/772,917号、2003年9月16日付発行の米国特許第6,619,799号、2003年8月20日付出願の米国特許出願第10/664,112号、2003年7月25日付出願の米国特許出願第10/627,828号、2003年3月12日付出願の米国特許出願第10/387,143号、2003年2月11日付発行の米国特許第6,517,203号、2002年12月10日付発行の米国特許第6,491,391号、2002年12月10日付発行の米国特許第6,491,394号、2002年10月4日付出願の米国特許出願第10/263,707号。
【0003】
本発明は、一般に複合レンズに関し、詳細には、電気駆動レンズを備えた複合レンズに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の例示的な態様は、固定焦点距離のレンズと、第1の電気駆動レンズと、接着層と、を積層して具備する複合レンズである。 前記電気駆動レンズの直径は、前記固定焦点距離のレンズの直径並びに前記接着層の直径よりも小さく、又、前記接着層は、前記電気駆動レンズを複合レンズ内に固定するように適合されている。
【0005】
この態様および他の態様は、以下の図面に関連付けてなされる以下の説明から明らかになるであろうが、開示の新規概念の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変
形形態および修正形態を実現可能である
【0006】
本発明は、添付図面と合わせた以下の詳細な説明を読むことによってより十分に理解できる。図では、同様の参照符号は、同様の構成要素を示すのに用いられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態において、あるいは実施形態に関連して使用される電気駆 動レンズアセンブリの断面図である。
【図2】図1の電気駆動レンズアセンブリの底面図である。
【図3A】本発明の一実施形態による複合レンズアセンブリの拡大図である。
【図3B】図3Aの複合レンズアセンブリの組立図を示す。
【図4A】本発明の一実施形態による複合レンズアセンブリの拡大図である。
【図4B】図4Aの複合レンズアセンブリの組立図を示す。
【図5】眼鏡フレーム内部に組み込まれた、本発明に一実施形態による複合レンズア センブリを示す。
【図6】本発明の実施形態において、あるいは実施形態に関連して使用される電気駆 動レンズアセンブリの断面図である。
【図7A】図6の電気駆動レンズアセンブリの底面図である。
【図7B】図6の電気駆動レンズアセンブリの上面図である。
【図8A】本発明の一実施形態による複合レンズアセンブリの拡大図である。
【図8B】図8Aの複合レンズアセンブリの組立図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以後、本発明の種々の実施形態について説明する。本明細書では、単数形のいずれの用語も複数形に解釈され、あるいは、複数形のいずれの用語も単数形と解釈される。用語の「上側」および「下側」は、特定の図面に示される各要素の相対的な位置付けを単に示すものであり、実施形態に関する電気駆動レンズアセンブリの必要とされる最終的位置付けを意味するものではない。同様に、用語の「第1」および「第2」は単に便宜的に使用され、アセンブリの必要とされる最終的な位置付けまたは順番を意味するものではない。
【0009】
本発明の実施形態は、電気駆動レンズ要素および受動レンズ要素の複合アセンブリとして形成される眼鏡を提供する。本明細書で用いられるとおり、用語の「電気駆動レンズ」は、光学的特性が電気を印加することで変化または修正されるレンズを指す。特に関連するのは、種々の視力上の問題点のいずれかを補正するために構成される、液晶レンズから形成された電気駆動レンズである。
【0010】
液晶の電気駆動レンズアセンブリの製造およびこのようなレンズアセンブリの複合レンズアセンブリへの組込みには、多くの課題がある。例えば、電気駆動レンズ要素の構造は、液晶層の厚みを制限し、複合電気駆動レンズアセンブリの縁取り(すなわち、縁部まわりの材料を取り除く)を可能にするように形成されなければならない。眼鏡レンズの縁取りは、この縁取りによって眼に対してレンズを正しく整列させ、位置合わせさせる(眼鏡フレームの内側)ために、極めて重要である。
【0011】
別の課題は、複合レンズアセンブリの電気駆動部分の電気構成要素(例えば、ドライバチップ、接点および電極)間の電気接続を確立しなければならないことである。以下に説明するとおり、これは、層に対して直角のビア(小さい孔)によって生成され、これにより、電気駆動レンズアセンブリの縁部を回避する。この相互の電気接続は、多層集積回路設計と同様であってもよく、この場合、多層は物理的に分離されるが、必要に応じてビアを通して相互に電気接続できる。
【0012】
さらに別の課題は、電気駆動レンズアセンブリを複合レンズアセンブリに物理的に一体化することである。いくつかの実施形態では、複合レンズアセンブリは、ねじまたはボルトを使用して固定(一体に保持)されてもよく、これらのねじまたはボルトは電源の好都合な電気経路として機能してもよい。この場合は、複合レンズアセンブリは眼鏡フレームの内側に適正に位置合わせするために縁取りされてもよい。
【0013】
以下に、本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態において、あるいは実施形態に関連して使用される電気駆動レンズアセンブリ100を示す。電気駆動レンズアセンブリ100は特に、以下に述べる複合レンズアセンブリで使用に適合される。電気駆動レンズアセンブリ100は基本的に、下面に配置された2つの電力接点180、182を有する積層構造である。この積層構造の層は、上面から下面へと順に、
・ガラスまたはプラスチックの第1の基板110、
・第1の電極層120、
・第1のアライメント層130、
・液晶142を囲むスペーサ140を備える液晶層、
・第2のアライメント層150、
・第2の電極層160、
・ガラスまたはプラスチックの第2の基板170、
・互いに電気的に絶縁されているバッテリ電力用の正極接点(第1の接点領域)182および負極接点(第2の接点領域)180を備える電気接点層、
・ドライバチップ190、
で構成されている。
【0015】
前記ドライバチップ190は、ビア接続部186を通して第1の電極層120に接続され、さらに複数のビア接続部184を通して第2の電極層160に接続されている。
【0016】
ドライバチップ190は、他の構成要素に対する適切なビア接続部を備えて、別の層中に配置、例えば、ガラスまたはプラスチックの第2の基板170内に配置してもよい。あるいは、ドライバチップ190は、必要なビア数を最小にするために、第2の電極層と同じ層内に配置してもよい。
【0017】
上側の基板110とも称される、ガラスまたはプラスチックの第1の層110は、上側および下側の両方がほぼ平面である。ガラスまたはプラスチックの第1の基板110は、他の構成要素に対する構造支持機能を提供でき、また他の構成要素に対する電気絶縁機能を提供できる。上側の基板110の下側のほぼ平坦な表面は、第1の電極層120の上側のほぼ平坦な表面に近接している。
【0018】
第1の電極層120は、中実電極であってもよく、第2の電極層160に対する基準電極として機能してもよい。第1の電極層120の下側のほぼ平坦な表面は、アライメント層の分子を付着させるための基板として機能してもよい。第1の電極層120の下面は、第1のアライメント層130の上側のほぼ平坦な表面に近接している。
【0019】
第1のアライメント層130は、液晶層142の位置合わせを容易にする材料を含んでいる。第1のアライメント層130の下側のほぼ平坦な表面は、液晶142およびスペーサ140に近接している。
【0020】
液晶142の光学特性は、電界および磁界によって変化する。代わって、スペーサ140は、図1に示されるより厚くてもよく、第1のアライメント層130、液晶142、および第2のアライメント層150の全てを囲んでもよい。液晶層142の下側のほぼ平坦な表面は第2のアライメント層150の上側のほぼ平坦な表面に近接している。
【0021】
なお、材料は、液晶142に接触またはこれを破壊することなく、電気駆動レンズアセンブリの縁部まわりから除去されてもよい。詳細には、スペーサ140の一部は、液晶142に接触またはこれを破壊することなく、除去または縁取りしてもよい。
【0022】
第2のアライメント層150は、液晶層142の位置合わせを容易にする材料を含んでいる。第2のアライメント層150の下側のほぼ平坦な表面は第2の電極層160の上側のほぼ平坦な表面に近接している。
【0023】
第2の電極層160は、一体的な中実であってもよく、セグメントに分割またはパターン化されてもよい。例えば、第2の電極層160は、任意のアレイにパターン化され、個々に制御される複数のピクセルであってもよく、または、例えば一連の同心円などの他の有用なパターンにパターン化されてもよい。ドライバチップ190からの複数のビア接続部184により、ピクセルまたはパターンを個々に制御してもよい。なお、第1の電極層120は、第2の電極層160への任意の電圧と異なり、基準電極として作用してもよい。第2の電極層160と第1の電極層120との間に発生される電界は、液晶142の光学特性(例えば、屈折率または透過率)に影響を与える。電極120および160は両者のまわりにスペーサを有し、これにより両者を縁部から絶縁し、電気駆動レンズアセンブリ100の縁取りを可能にする。第2の電極160のほぼ下側の平表面は、第2ガラスまたはプラスチック基板170のほぼ上側の平表面に近接している。
【0024】
下側の基板170とも称される、第2ガラスまたはプラスチック基板170は、他の構成要素に対する構造支持機能を提供でき、また他の構成要素に対する電気絶縁機能を提供できる。下側の基板170のほぼ下側の平表面は、バッテリ電力の正極接点182および負極接点180のほぼ上側の平表面に近接している。この実施形態では、正極接点182および負極接点180は同一層上にあるが、直接導電接触はしない。両方の接点はドライバチップに導電接着されている。さらに、接点の一方は第1の電極層120に直接接着されてもよく、第2の電極層160の基準として機能してもよい。
【0025】
ドライバチップ190は第2ガラスまたはプラスチック基板170に物理的に接着し、正極接点182および負極接点180に導電性を有して接着してもよい。さらに、導電制御信号用の追加の接点(図示なし)、および無線信号用のアンテナ(図示なし)を設けてもよい。あるいは、制御信号部は電源電圧上にピギーバック式に搭載してもよい。
【0026】
電極、アライメント層、および液晶層は結合して、上側の基板層と下側の基板層との間に保持される電気駆動セルを形成する。なお、電気駆動セル内に追加の層を含んでもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、電極層120および160は、薄い平行ガラスまたはプラスチックシートまたはスライド上に形成され、アライメント層130および150で覆われ、液晶材料中の分子を配向する。1つまたは複数の電極をパターン化して、設計した光学特性を実現することもできる。例えば、純粋な球形効果を必要とする場合、パターンは一連の個々にアドレス可能な同心リング電極を備えてもよい。位相ラッピングが使用される場合、電極を編成またはグループ化して、レンズを駆動するのに必要な接点の数を少なくしてもよい。一般的または任意の光学効果、例えば高次の収差に対する波面補正が望まれる場合、個々にアドレス可能なパターンはデカルト格子を備えてもよい。スペーサ140を用いて、液晶または他の電気駆動材料で充填される一定間隙厚みを生成できる。ドライバチップは電気駆動レンズアセンブリの片面上に取り付けでもよく、電気接触は、ガラスまたはプラスチック基板に穴あけ、切断、またはエッチングされた一連のビアにより果さすようにしてもよい。
【0028】
偏光依存ネマティック液晶を使用する場合、上述と同様の2つの電気駆動レンズアセンブリを積み重ね、90°の角度に向けることで、複屈折効果を除外できる。
【0029】
あるいは、中実電極120は、共通電極の各面上に液晶を有するセルの中心に置かれるパターン化電極および共通基準電極に変更されてもよい。共通電極は各面上に透明導体で被膜された薄いガラス部分または光学級プラスチックから形成してもよい。2つのパターン化電極上のアライメント層は相互に90°に向けてもよい。いくつかの実施形態では、共通電極の各面上にアライメント層を配置することが望ましく、このアライメント層は、共通電極を形成する透明導体層全体を覆い、相互に90°の方向に向けられる。共通基準電極がセルに加えられる場合、1つまたは複数の追加導体/ビアを設けて、駆動回路から新しいパターン化電極への電圧供給を可能にできることは理解される。また、追加のビアを用いて、新しい共通電極と駆動回路との間の電気接触を果すこともできる。
【0030】
コレステリック液晶が用いられる場合、光学的バワーを生じさせるのに単一セルを必要とするだけである。簡単化のために、本発明の説明は、コレステリック液晶に限定するが、本明細書に記載される技術はネマティック液晶の設計にも同様に適用できることは理解されたい。
【0031】
図2は、電気駆動レンズ要素100の底面図であって、電気接点180、182の例示的な構成を示している。接点180、182は、ほぼまたは完全に透明な導電材料、例えばITOから形成されてもよい。図2に示されるとおり、負極接点180は、大部分の領域を覆うように構成されてもよく、バスを介してドライバチップ190に接続してもよい。正極接点182もまた、大部分の領域を覆い、バスを介してドライバチップ190に接続してもよい。ドライバチップ190は、導電性材料でない領域(正極および負極バスを除く)に取り付け、ドライバチップの各種の出力ピン(図示なし)が短絡しないようにする。このようにして、バッテリまたは他の電源からの電力をチップ190に供給し、正極接点182および負極接点180を電気駆動レンズアセンブリ100に単に電気接触させることによって、電気駆動レンズアセンブリ100に電力を供給することができる。電気接点の別の幾何的配置も好都合であることは立証されるであろうが、チップ190が別の位置に移動することになる可能性がある。
【0032】
1つの接点が正極接点に指定され、1つの接点が負極接点に指定されているが、正および負極性を逆にしてもよいことは、当業者には理解される。
【0033】
図3Aおよび3Bを参照すると、本発明の例示的な実施形態では、図1および2において先に述べた種類の電気駆動レンズ要素をペアのレンズウエハと組み合わせて、一定の、即ち基本の屈折力を有する複合レンズアセンブリ300を形成している。
【0034】
図3Aは、複合レンズアセンブリ300の拡大図を表す。複合レンズアセンブリの構成要素は、
・前方のレンズウエハ310、
・第1の接着層320、
・電気駆動レンズ330(例えば、図1および2で述べた電気駆動レンズ)、
・正極バッテリ用端子ワイヤ340および負極バッテリ用端子ワイヤ350、
・第2の接着層322、
・後方のレンズウエハ360、
である。
【0035】
前方のレンズウエハ310は、下側のほぼ平坦な表面を有してもよい。代わって、前方のレンズウエハ310の内側下面は、湾曲した電気駆動レンズアセンブリに一致するように曲面であってもよい。前方のレンズウエハ310は、ガラスまたは、例えばCR39、ポリカーボネート、または高屈折率ポリマーなどの光学級プラスチックから形成されてもよい。前記前方のレンズウエハ310は、後方のレンズウエハと異なる材料から形成されてもよく、例えば、一方はガラス、一方はプラスチックであってもよい。前方のレンズウエハ310は、ほぼ平坦な上側の表面および下側の表面を有し、したがって、平面(ゼロ)屈折力を有する。前方のレンズウエハ310の上側表面は曲面であってもよく、これにより、屈折力を生じさせる。前方のレンズウエハ310の下側のほぼ平坦な表面は、ほぼ平坦な第1の接着層320に近接している。
【0036】
第1の接着層320は、軟質または剛性であってもよく、屈折率一致であればよく、屈折率は、近接したウエハの屈折率に一致すればよい。第1の接着層320の下側のほぼ平坦な表面は、ほぼ平坦な電気駆動レンズアセンブリ330に近接している。
【0037】
前記電気駆動レンズアセンブリ330は、例えば、図1に示される電気駆動レンズアセンブリ100であるか、またはそれを備えていてもよい。電気駆動レンズアセンブリ330の下側のほぼ平坦な表面は、図1および2に示されるのと同様は、正極接点領域および負極接点領域を有してもよい。これらの領域は、正極バッテリ用端子ワイヤ340の上面および負極バッテリ用端子ワイヤ350の上面に近接して配置される。上記ワイヤは、平板ストリップであってもよい、上記ワイヤは、蓄積キャパシタまたは太陽電池などの別の電源に取り付けてもよい。
【0038】
代わって、一実施形態では(図示なし)、電気駆動レンズアセンブリ330は、レンズウエハ310および360より小さい直径を有してもよく、また接着層320および322より小さい直径であってもよい。この実施形態では、接着層は、電気駆動レンズアセンブリ330よりも直径が大きいので、これの周縁部が接着層は電気駆動レンズアセンブリの周囲にももたらされ、接着層がアセンブリを効果的に封入する。この実施形態においては、材料は、電気駆動レンズアセンブリ330の接点または液晶142に接触またはこれを破壊することなく、電気駆動レンズアセンブリの縁部まわりから除去されてもよい。このように、この実施形態では、複合レンズアセンブリ300は縁取りが可能になる。
【0039】
代わって、別の実施形態では(図示なし)、電気駆動レンズアセンブリ330は、レンズウエハより小さい直径を有してもよく、スペーサで囲まれてもよい。このように、この実施形態では、複合レンズアセンブリ300は縁取りが可能になる。
【0040】
正極バッテリ用端子ワイヤ340は、電気駆動レンズアセンブリ330の正極接点領域(例えば、図2に示されるような、接点領域282)に対応するか、または位置合わせされた領域を有する平板ストリップで終端してもよい。負極バッテリ用端子ワイヤ350も同様の方式で終端してもよい。正極バッテリ用端子ワイヤ340の下部面および負極バッテリ用端子ワイヤ350の下面は、第2の接着層322の上側のほぼ平坦な表面に近接している。
【0041】
前記第2の接着層322は、形状および機能において、上側の接着層320と類似する。第2の接着層322の上側のほぼ平坦な表面は、後方のレンズウエハ360の上側のほぼ平坦な表面に近接している。
【0042】
なお、第2の接着層をバッテリ用端子ワイヤまわりに形成して、バッテリ用端子ワイヤ340と350との間の空間を充填し、これにより、ほぼ平坦な表面を有する単一層を効果的に形成してもよい。
【0043】
さらに、バッテリ用端子ワイヤ340および350は、第2の接着層322のビア(図示なし)および後方のレンズウエハ360のビア(図示なし)を介してほぼ垂直に下方に引き出してもよいことに留意されたい。ワイヤ340および350が引き出され、電気駆動レンズアセンブリの直径が小さくなると(上述のとおり)、複合レンズアセンブリ300は縁取りが可能になる。
【0044】
このような縁取りは、光学分野では公知の技術であり、この場合、レンズ(または複合レンズアセンブリ300)は、周囲に対してフレームの内側に縁取りされたレンズを正しく位置合わせするために、縁部から除去される材料を有する。例えば、一般には、検眼士または眼鏡士は、空の眼鏡フレームを患者の顔面に位置合わせし、次に、いくつかの測定を実行し、レンズを縁取りして、患者の眼に対してフレームの内側にレンズを正しく配置して位置合わせする。
【0045】
後方のレンズウエハ360は、形状と機能において、前方のレンズウエハ310と類似している。前方のレンズウエハ310と後方のレンズウエハ360とは一体で、複合レンズアセンブリ300の全体の屈折率力を一定に、即ち、基本の屈折力を提供できる。さらに、ウエハは、平面(屈折率力を有さない)であってもよく、単に構造目的であってもよい。
【0046】
図3Bは、一定、即ち基本の屈折力を有する複合レンズアセンブリ300の組立図を表す。詳細には、図3Bは、図3Aの個々の構成要素の組み立てまたは圧着された状態を示す。接着層320および322は、複合レンズアセンブリ300を一体に保持している。
【0047】
図3Aおよび3Bを参照すると、本発明の例示的な実施形態では、図1および2において上に述べた種類の電気駆動レンズ要素をペアのレンズウエハと組み合わせて、一定、即ち基本の屈折力を有する複合レンズアセンブリ400を形成している。さらに、図4Aおよび4Bは、ねじおよびファスナ470を使用して、複合レンズアセンブリに追加の機械強度を与えている。なお、ねじまたはファスナを使用する場合、接着層は無くてもよい。
【0048】
図4Aは、一定の、即ち基本の屈折力およびねじまたはファスナを備える複合レンズアセンブリ400の実施形態の拡大図を表す。各層は、
・前方のレンズウエハ410、
・第1の接着層420、
・電気駆動レンズアセンブリ430(例えば、図1で示される電気駆動レンズ)、
・正極バッテリ用端子ワイヤ440および負極バッテリ用端子ワイヤ450、
・第2の接着層422、
・後方のレンズウエハ460、
である。
【0049】
さらに、ねじまたはファスナ470およびナットまたはファスナ480を使用して、複合レンズアセンブリに追加の支持力を加えてもよいことに留意されたい。ねじおよびファスナは縁なし眼鏡フレームにおいて特に有用である。この理由は、ねじまたはファスナは縁なし眼鏡フレームに直接取り付けできるためである。いくつかの実施形態では、ねじまたはファスナはバッテリ用の端子ワイヤの代わりの導電経路として機能してもよい。また、これらの取り付けねじまたはファスナを用いて、電気駆動レンズアセンブリ400を眼鏡フレーム(図示なし)に固定してもよい。ねじまたはファスナ470およびナットまたはファスナ480が、複合レンズアセンブリに対して適正な支持力を加えているため、第1の接着層420および第2の接着層422は無くてもよい。さらに、正極バッテリ用端子ワイヤ440および負極バッテリ用端子ワイヤ450は、ファスナ470および480を介して電力を導入できるため、無くすることもできる。
【0050】
ねじまたはファスナを介して電力を導入することは、追加の利点を提供する。特に、電気駆動レンズアセンブリがウエハより小さい直径を有する(上述のとおり、恐らくはスペーサで囲まれている)場合、複合レンズアセンブリ400は縁取り可能である。
【0051】
縁取りは、光学分野では公知の技術であり、この場合、レンズ(または複合レンズアセンブリ400)は、周囲に対してフレームの内側に縁取りされたレンズを正しく位置合わせするために、縁部から除去される材料を有する。例えば、一般には、検眼士または眼鏡士は空の眼鏡フレームを患者の顔面に位置合わせし、次に、いくつかの測定を実行し、レンズを縁取りして、患者の眼に対してフレームの内側にレンズを正しく配置して位置合わせする。複合レンズアセンブリ400(ねじまたはファスナを介して電力を導入している)を縁取りすることは、電気接続体に損傷を与えず、液晶も損傷しない。ねじまたはファスナ470およびナットまたはファスナ480を除いて、他の構成要素は、図3Aの複合レンズアセンブリ300に関して先に述べた構成要素と同じである。
【0052】
図4Bは、一定の、即ち基本の屈折力を有する複合レンズアセンブリ400組立図であり、ねじまたはファスナを含む。
【0053】
図5は、眼鏡フレーム500の内側に装着された複合レンズアセンブリ510の一実施形態を表す。複合レンズアセンブリ510は、例えば、図3Aおよび3Bの複合レンズアセンブリ300と同様であってもよく、眼鏡フレーム500の内側に装着される。
【0054】
詳細には、図5では、正極端子ワイヤ540および負極端子ワイヤ550は、電気駆動レンズアセンブリをフレームのステム560に取り付けられたバッテリ570などの電源に電気接続する。ワイヤ540および550は細いワイヤであってもよく、あるいは導電ストリップであってもよい。
【0055】
図5のフレームは、ヒンジ無しの設計であるが、本発明の範囲から逸脱するとなく、ヒンジ付きフレームを使用することもできる。この図では、フレームのステムにバッテリまたは電源を配置しているが、電源はレンズ内にまたは上にあってもよく、レンズに近接して、ブリッジ、ノーズパッド、ヒンジの上または内部、あるいは、電源とレンズとの間の短い接続を可能にする、ヒンジがフレームの前面に接する位置にあってもよい。しかし、バッテリが比較的大きい場合は、好適なバッテリ位置の1つは、眼鏡フレームのステムが耳に載る位置でもよく、これにより耳が重さを支える。電源はバッテリ、キャパシタ、太陽電池、またはこれら電源の特定の組合せを備えてもよい。例えば、太陽電池はキャパシタを充電してもよい。さらに、眼鏡フレームのステムを開閉して折りたたむ機械力を利用して、バッテリまたはキャパシタを充電してもよい。
【0056】
図6は、図1に実施形態と類似の電気駆動レンズアセンブリの一実施形態を示す。しかし、図6の電気駆動レンズアセンブリ600は、下側に正極接点を、また上側に負極接点を配置しており、両方の接点を下側に配置している図1の電気駆動レンズアセンブリとは異なる。接点の位置を変更することは、図6に示されるとおり、ビアの位置の変更を必要とする。
【0057】
詳細には、図6は、下面に正極接点および上面に負極接点を有する、電気駆動レンズアセンブリ600の一実施形態の側面図を表す。各層は、
・バッテリ電力用の負極接点680、
・第1ガラスまたはプラスチック基板610、
・第1の電極層620、
・第1のアライメント層630、
・液晶層642、およびスペーサ640、
・第2のアライメント層650、
・第2の電極層660、
・第2ガラスまたはプラスチック基板670、
・バッテリ電力用の正極接点682、
・ドライバチップ690、
である。
【0058】
さらに、第1の電極層620へのビア接続部686、およびバッテリ電力用の負極接点680への超薄ワイヤビア接続部688、およびドライバチップ690とパターン化電極層660との間の複数のスルーホールのビア接続部684があることに留意されたい。種々のビアを介する電気接触はITOなどの透明導電体を用いて実現してもよく、このような導電体は、反復リソグラフィ工程の間、または有害な表面効果を最少にするように設計された、超薄金属ワイヤによって堆積できる。
【0059】
なお、バッテリ接点680および682は物理的に分離され、電気駆動レンズの上面および底面にそれぞれ配置される。この物理的分離によって、短絡の可能性を減少させ、端子ワイヤの配置を容易にする。
【0060】
このように、電気駆動レンズアセンブリ600は、図1に示される電気駆動レンズアセンブリ100とほとんど同じであるが、バッテリ電力用の負極接点が電気駆動レンズアセンブリの反対側に配置されている点と、新しい関連するビア688とは除く。
【0061】
図7Aおよび7Bは、電気接点680および682の例示的な構成を示す、図6からの電気駆動レンズ要素600の底面図および上面図を示す。
【0062】
詳細には、図7Aは電気駆動レンズアセンブリ600の下面を表し、ドライバチップ690に接続される正極接点682を示している。図7Bは電気駆動レンズアセンブリ600の上面を表し、負極接点680を示している。負極接点680はワイヤビア688を通してドライバチップ690に接続される。図6に示されるとおり、ビア688は、上側の基板610、第1の電極層、液晶のスペーサ640、第2の電極層660、および下側の基板670を貫通してドライバチップ690に達する。電気駆動レンズアセンブリ600は正極接点682および負極接点680を通して電力を供給され、または充電される。電力に加えて、正極接点682および負極接点680は、組込み制御信号を伝送してドライバチップ690と通信することもできる。
【0063】
図8Aおよび8Bを参照すると、本発明の例示的な実施形態では、図6および7において上に述べた種類の電気駆動レンズアセンブリをペアのレンズウエハと組み合わせて、固定またはベース屈折力を有する複合レンズアセンブリ800を形成する。
【0064】
図8Aは、反対側にバッテリ接点を有する電気駆動レンズアセンブリを備えて複合レンズアセンブリ800の一実施形態の拡大図を表す。図8Aは、
・前方のレンズウエハ810、
・第1の接着層820、
・負極バッテリ用端子ワイヤまたはストリップ850、
・反対側にバッテリ接点を有する電気駆動レンズアセンブリ830(図6の電気駆動レンズアセンブリ600と同様)、
・正極バッテリ用端子ワイヤまたはストリップ840、
・第2の接着層822、
・後方のレンズウエハ860、
を上から下まで示す。
【0065】
複合レンズアセンブリ800は図3Aの複合レンズアセンブリ300と類似であるが、負極接点を電気駆動レンズアセンブリ830の上面に移動したことにより、負極バッテリ用端子ワイヤの位置が電気駆動レンズアセンブリ830の反対側に移動されている点を除く。このように、複合レンズアセンブリ800は電気駆動レンズアセンブリ830の本体部により分離されたバッテリ用端子ワイヤを有する。この分離により、バッテリ用端子ワイヤは、複合レンズアセンブリ800から同一半径方向に出ることができる(必要としない場合を除く)。例えば、図8Aでは、両方のバッテリ用端子ワイヤは左方向に出て、容易に一体構成とし、バスに接合できる。
【0066】
図示されていないが、複合レンズアセンブリ800は、ファスナまたはねじによって結合してもよく、ファスナまたはねじを利用して電力を導入してもよい。
【0067】
図8Bは、正極バッテリ用端子ワイヤ近くに負極バッテリ用端子ワイヤを有する複合レンズアセンブリ800の組立図を表す。
【0068】
本明細書で説明し、図に示した幾何形状は平面であるが、湾曲した平行面を採用して、本明細書に記載した組立方法によって、より薄い複合レンズ形状を生成できることも考えられる。電気駆動レンズアセンブリが湾曲している実施形態では、2つのウエハの一方は、電気駆動レンズアセンブリが遠方視野屈折力を満たすのに必要な2つの湾曲面の一方を提供するときは、削除してもよい。
【0069】
当業者であれば、本発明は広範囲な有用性および用途を可能にすることは、容易に理解される。本明細書に記載した本発明の多くの実施形態および適用例、ならびに変形形態、修正形態および同等の構成は、本発明の主題と範囲から逸脱することなく、本発明および前述の説明から明らかであるか、または適切に示唆されるであろう。
【0070】
本発明の例示的な実施形態を先に図示し、説明しているが、本発明は、本明細書に記載した構成に限定されないことは理解されるべきである。本発明は、本発明の精神または基本特性から逸脱することなく、他の特定の形態で実現可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定焦点距離レンズと、
少なくとも1つの電気駆動レンズと、
前記電気駆動レンズの一側面上に位置し、前記固定焦点距離レンズと前記電気駆動レンズとを固定する第1の接着層と、
を積層して具備する複合レンズであって、
前記電気駆動レンズの直径は、前記固定焦点距離レンズの直径及び前記第1の接着層の直径より小さく、前記電気駆動レンズの外縁と前記固定焦点距離レンズの外縁との間の周囲空間は、前記第1の接着層と同一の材料によって埋められることを特徴とする複合レンズ。
【請求項2】
固定焦点距離レンズと、
少なくとも1つの電気駆動レンズと、
前記電気駆動レンズの一側面上に位置し、前記固定焦点距離レンズと前記電気駆動レンズとを固定する第1の接着層と、
を積層して具備する複合レンズであって、
前記電気駆動レンズの直径は、前記固定焦点距離レンズの直径及び前記第1の接着層の直径より小さく、前記電気駆動レンズの外縁と前記固定焦点距離レンズの外縁との間の周囲空間は、スペーサによって埋められることを特徴とする複合レンズ。
【請求項3】
第2の接着層をさらに備え、前記電気駆動レンズが、前記第1の接着層と前記第2の接着層との間に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の複合レンズ。
【請求項4】
前記接着層は、軟質材料から形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合レンズ。
【請求項5】
前記接着層は、剛性材料から形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合レンズ。
【請求項6】
前記接着層は、平板状でありことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合レンズ。
【請求項7】
前記接着層は、前記固定焦点距離レンズの屈折率と同一の屈折率を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の複合レンズ。
【請求項8】
前記電気駆動レンズは、液晶材料を含む電気駆動材料により形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の複合レンズ。
【請求項9】
前記液晶材料は、ネマティック液晶を含むことを特徴とする請求項8に記載の複合レンズ。
【請求項10】
前記液晶材料は、コレステリック液晶を含むことを特徴とする請求項9に記載の複合レンズ。
【請求項11】
前記電気駆動レンズは、液晶層と、第1の電極層及び第2の電極層と、を備え、
前記液晶層は、前記第1の電極層及び前記第2の電極層の間に配置されることを特徴とする請求項1〜10に記載の複合レンズ。
【請求項12】
前記電気駆動レンズは、前記第1の電極層及び前記第2の電極層への電力供給を制御するために、前記第1の電極層及び前記第2の電極層に接続されているドライバチップと、前記第2の電極層に、絶縁体を介して装着され、前記ドライバチップと電気接続されている少なくとも1つの電気接点層と、をさらに備え、
前記少なくとも1つの電気接点層は、第1の接点及び第2の接点を有し、
前記第2の接点の領域は、前記第1の接点の領域から絶縁されていることを特徴とする請求項11に記載の複合レンズ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの電気接点層は、前記液晶層と前記第1の電極層との間に配置された第1の配向層をさらに備えることを特徴とする請求項11または12に記載の複合レンズ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの電気接点層は、前記液晶層と前記第2の電極層との間に配置された第2の配向層をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の複合レンズ。
【請求項15】
前記固定焦点レンズの直径と前記接着層の直径とは同一であることを特徴とする請求項1または2に記載の複合レンズ。
【請求項1】
固定焦点距離レンズと、
少なくとも1つの電気駆動レンズと、
前記電気駆動レンズの一側面上に位置し、前記固定焦点距離レンズと前記電気駆動レンズとを固定する第1の接着層と、
を積層して具備する複合レンズであって、
前記電気駆動レンズの直径は、前記固定焦点距離レンズの直径及び前記第1の接着層の直径より小さく、前記電気駆動レンズの外縁と前記固定焦点距離レンズの外縁との間の周囲空間は、前記第1の接着層と同一の材料によって埋められることを特徴とする複合レンズ。
【請求項2】
固定焦点距離レンズと、
少なくとも1つの電気駆動レンズと、
前記電気駆動レンズの一側面上に位置し、前記固定焦点距離レンズと前記電気駆動レンズとを固定する第1の接着層と、
を積層して具備する複合レンズであって、
前記電気駆動レンズの直径は、前記固定焦点距離レンズの直径及び前記第1の接着層の直径より小さく、前記電気駆動レンズの外縁と前記固定焦点距離レンズの外縁との間の周囲空間は、スペーサによって埋められることを特徴とする複合レンズ。
【請求項3】
第2の接着層をさらに備え、前記電気駆動レンズが、前記第1の接着層と前記第2の接着層との間に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の複合レンズ。
【請求項4】
前記接着層は、軟質材料から形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合レンズ。
【請求項5】
前記接着層は、剛性材料から形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合レンズ。
【請求項6】
前記接着層は、平板状でありことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合レンズ。
【請求項7】
前記接着層は、前記固定焦点距離レンズの屈折率と同一の屈折率を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の複合レンズ。
【請求項8】
前記電気駆動レンズは、液晶材料を含む電気駆動材料により形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の複合レンズ。
【請求項9】
前記液晶材料は、ネマティック液晶を含むことを特徴とする請求項8に記載の複合レンズ。
【請求項10】
前記液晶材料は、コレステリック液晶を含むことを特徴とする請求項9に記載の複合レンズ。
【請求項11】
前記電気駆動レンズは、液晶層と、第1の電極層及び第2の電極層と、を備え、
前記液晶層は、前記第1の電極層及び前記第2の電極層の間に配置されることを特徴とする請求項1〜10に記載の複合レンズ。
【請求項12】
前記電気駆動レンズは、前記第1の電極層及び前記第2の電極層への電力供給を制御するために、前記第1の電極層及び前記第2の電極層に接続されているドライバチップと、前記第2の電極層に、絶縁体を介して装着され、前記ドライバチップと電気接続されている少なくとも1つの電気接点層と、をさらに備え、
前記少なくとも1つの電気接点層は、第1の接点及び第2の接点を有し、
前記第2の接点の領域は、前記第1の接点の領域から絶縁されていることを特徴とする請求項11に記載の複合レンズ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの電気接点層は、前記液晶層と前記第1の電極層との間に配置された第1の配向層をさらに備えることを特徴とする請求項11または12に記載の複合レンズ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの電気接点層は、前記液晶層と前記第2の電極層との間に配置された第2の配向層をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の複合レンズ。
【請求項15】
前記固定焦点レンズの直径と前記接着層の直径とは同一であることを特徴とする請求項1または2に記載の複合レンズ。
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図1】
【図6】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図1】
【図6】
【公開番号】特開2012−177943(P2012−177943A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−129862(P2012−129862)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【分割の表示】特願2007−540376(P2007−540376)の分割
【原出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(501079602)イー・ビジョン・エルエルシー (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【分割の表示】特願2007−540376(P2007−540376)の分割
【原出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(501079602)イー・ビジョン・エルエルシー (13)
【Fターム(参考)】
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