説明

複合容器

【課題】 挿入保持される成形容器と紙製箱体とのセットが簡単で、しかも、容器胴部から離れた位置に把手が形成可能であるので、断熱効果に優れた複合容器を提供する。
【解決手段】 フランジ部を有するカップ状容器と、該カップ状容器のフランジ部を封止する蓋体と、前記カップ状容器が挿入される紙製箱体とからなる複合容器において、前記紙製箱体の側壁上辺の少なくとも一箇所に折線を介して延設され折線の両端から伸びる折線によりそれぞれ端部に外向き係止片を有する左右の把持片と中央の挟持帯片とに分設される把手形成板を有するとともに、前記側壁の下部に係止孔形成破断線で区画され切取りによって形成され前記左右把持片の前記係止片が挿入係止される係止部を備えたことを特徴とする複合容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食に供されるカップ、特に電子レンジ等の加熱調理によって、高い温度となる飲食物用に供されるカップ状の複合容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高い温度の飲食物用に供されるカップ或いは紙カップ、例えばカップ入り即席麺等のカップ状容器には、胴部に簡単な把手構造を取り付けた紙コップや、胴部に発泡材を印刷・塗布しこれを発泡させることにより断熱部分としたものや、あるいは胴部に片面段ボールや縦シワ加工したスリーブを取り付け空気層を形成したものや、全く別体の成型ホルダーを用意しこれにコップ等をセットして使用することによるものなど、様々な提案がなされており、特に電子レンジ等の加熱調理によって高温となる飲食物の取扱いに際し、電子レンジからの取り出しに際し高温による取り落としの防止や、容器の移送時の取り落としに寄る衣服や什器の汚損の防止等が図られている。
【0003】
上記のような断熱用加工のほかに、板紙等を用いて、カップ或いは紙カップの胴部、或いは胴部と底部を囲繞或いは被覆するカートン構造は、例えば、コップ或いは紙コップの上端外周が内接する上端開口部を有するものや、同じくコップ或いは紙コップの上端外周寸法を分割してそれぞれ側壁の上端辺寸法とした角筒状とするカートン構造については公知であり、カップあるいは紙カッップとカートンとの接合について、部分的な接着や構造的嵌合が示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−143274号公報
【0005】
しかしながら、前項に記載したカップ或いは紙コップの胴部を囲繞或いは被覆するカートンや二重カップ構造は、二重壁間に形成される空気層による断熱や、表層部分に用いられる材料の厚さによる断熱を企図したものであるが、容器胴部を手で持った際に二重壁間の距離がなくなり、容器内部の熱が伝わってしまい熱くて容器をしっかり把持できないという問題がある。又、表層部分に用いられる材料を厚くしたり、断熱素材を用いる等すると、二重壁の形成工程において成形性が低下したり、成形に時間を要して工程が長時間化するなどとともに、材料コストが上昇するなど、徒に製造コストを上昇させる等の問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記問題を解決するためになしたものであって、挿入保持される成形容器と紙製箱体とのセットが簡単で、しかも、容器胴部から離れた位置に把手が形成可能であるので、断熱効果に優れた複合容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、上方の開放縁にフランジ部を有する胴部周壁と該周壁に連続する底壁とからなるカップ状容器と、該カップ状容器の前記フランジ部を封止する蓋体と、前記カップ状容器の周壁を囲繞する側壁と該側壁の下端を閉鎖する底壁とを有し上端が開放され前記カップ状容器が挿入される紙製箱体とからなる複合容器において、前記紙製箱体が、前記側壁上辺の少なくとも一箇所に折線を介して延設され該折線の両端から伸びる折線によりそれぞれ端部に外向き係止片を有する左右の把持片と中央の挟持帯片とに分設される把手形成板を有するとともに、前記側壁の下部に係止孔破断線で区画され切取りにより形成され前記左右把持片の前記係止片が挿入係止される係止部を備えたことを特徴とする複合容器であり、複合容器を構成する紙製箱体は、偏平な状態で折り畳むことができるので、運搬、保管時に場所をとることがなくコストを抑制できる。さらに、飲食する際には、把手を形成する操作が簡便であるので、顧客自身の操作により把手を組み立てることができ、例えば、電子レンジによる加熱調理後も、容器内の熱が把手部に伝わることがなく、これを手指で把持できるので、安全に加熱調理後の容器を持つことができる。さらに、使用後は、内側のカップ状容器から外側の紙製箱体を容易に取り外し、紙製箱体を簡単に偏平な状態とできるので、廃棄物としての分別及び減容化が容易である。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記紙製箱体が、両側辺が上向きに開いたテーパ状をなす正面側壁と背面側壁及び帯状の貼着板がそれぞれ折線を介して順設され、前記正面側壁と背面側壁及び貼着板の下辺にそれぞれ折線を介して耳片、底壁、耳片、重合底壁、耳片及び貼着耳片が延設され、前記背面側壁及び前記正面側壁の少なくともいずれか一方の上辺に折線を介して延設され該折線の両端から伸びる折線によりそれぞれの端部に外向き係止片を有する左右の把持片と中央の挟持帯片とに分設される把手形成板を有するとともに、前記背面側壁及び前記正面側壁の少なくともいずれか一方の下部に係止孔形成破断線で区画され切取りにより形成され前記係止片が挿入係止される係止部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の複合容器であり、このように形成することにより、底部を接着するまでは紙製箱体を折り畳んで偏平な状態とできるので、運搬、保管時に場所をとることがなく、コストを抑制できる。さらに、底部を組み立てた状態においては、底部が強固に形成されているので、把手が組み立てられた状態において、把手が抜けることが無い。さらに、使用後は内側のカップ状容器から外側の紙製箱体を容易に取り外し紙製箱体を簡単に偏平とできるので、廃棄物の分別及び減容化が容易である。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記カップ状容器が、紙製であることを特徴とする請求項1または2に記載の複合容器であって、分離後のカップ状容器と外側の紙製箱体が共に紙製であるので、廃棄が容易である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の複合容器は、カップ状容器を収納保持する紙製箱体の側壁部分に把手構造を簡単に構成できるので、カップ状容器内に熱い内容物や冷たい内容物が入った状態でカップ状容器を把持する際に、カップ状容器胴部の外周側面より離れた位置に形成した把手を把持できるため、安全で把持し易い容器構成とすることができる。また、側面の断熱性を上げるために二重壁を構成する材料を無用に厚くする必要がないので、材料コストを抑えることも可能である。
【0011】
本発明の複合容器の紙製箱体における把手構成部分は、製造販売時点において、紙製箱体の側壁部分に偏平な状態で重合固着されており、容器製造や製品製造の為の搬送での障害となることがないと共に、販売段階においても無用な販売空間を必要とせず、且つ、使用時点においては、簡単な操作で把手を形成することができる。
【0012】
さらに、本発明の複合容器は、使用後において、カップ状容器と紙製箱体とを簡便な操作で分別することが可能であると共に、紙製箱体は同じく簡便な操作で偏平な状態とすることが可能であるので、廃棄処理における分別操作や減容化が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る複合容器を構成する紙製箱体の実施例のブランク状態を示す展開平面図。
【図2】同じく図1のブランクを折り畳んで貼着した状態を背面側壁側から示す平面図。
【図3】(a)同じく実施例の組み立てられた紙製箱体にカップ状容器を収納保持した複合容器を背面側壁側から示す斜視図。(b)同じく実施例の組み立てられた紙製箱体にカップ状容器を収納保持した複合容器を正面側壁側から示す斜視図。
【図4】(a)実施例の複合容器における把手組み立て途中状態を底面側から見た斜視図。(b)同じく実施例の複合容器の把手組み立て完了状態を底面側から見た斜視図。(c)同じく実施例の複合容器の把手組み立て完了状態を背面側から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明につき、図面等を用いて以下に詳述する。図1は本発明に係る複合容器を構成する紙製箱体の実施例のブランク状態を示す展開平面図。図2は同じく図1のブランクを折り畳んで貼着した状態を背面側壁側から示す平面図。図3(a)は同じく実施例の組み立てられた紙製箱体にカップ状容器を収納保持した複合容器を背面側壁側から示す斜視図。図3(b)は同じく実施例の組み立てられた紙製箱体にカップ状容器を収納保持した複合容器を正面側壁側から示す斜視図。図4(a)は実施例の複合容器における把手組み立て途中を底面側から見た状態を示す斜視図。図4(b)は同じく実施例の複合容器における把手組み立て完了状態を示す斜視図。図4(c)は同じく実施例の複合容器における把手組み立て完了状態を背面側から見た斜視図である。
【0015】
図1は本発明に係る複合容器を構成する紙製箱体の実施例のブランク状態を示す展開平面図で、板紙等のシート材を打ち抜き加工して形成されるブランクA’は、上辺が円弧状で下辺が後述する略正方形状底面の一辺とそれぞれ両側に連続する同じく略正方形状底面の半分の辺とから形成され両側辺がそれぞれ上向きに開いたテーパ状をなす正面側壁1と背面側壁2及び帯状の貼着板3がそれぞれ略縦方向の折線L1、L2を介して順設され、前記正面側壁1と背面側壁2の前記略正方形状底面の一辺に対応する下辺にそれぞれ略横方向の折線L3、L4を介して底壁4、重合底壁5、該底壁4及び重合底壁5の両側で、前記略正方形状底面の半分の辺に対応する下辺に、略横方向の折線L6’を介して耳片7’、前記縦方向の折線L1に直交し前記略正方形状底面の一辺に対応する下辺に略横方向の折線L5を介して耳片6、さらに前記縦方向の折線L2に直交し前記略正方形状底面の半分の辺に対応する下辺と連続する前記帯状貼着板の下辺に略横方向の折線L6を介してそれぞれ耳片7及び貼着耳片8が延設され、前記背面側壁2の上辺で前記下辺に延設された重合底壁5と対向する位置に略横方向の折線L7を介して該折線L7の両端からそれぞれ内向きの弧状折線L8、L9により分設され、それぞれ端部に外向きの係止片12、12’を突設した左右の把持片11、11’と中央の挟持帯片10とを有する把手形成板9が延設されると共に、前記背面側壁2の下辺近傍中央部に前記左右の把持片11、11’を折り曲げ前記外向き係止片12、12’が挿入係止される後述する係止孔Xを形成する略矩形状の係止孔形成破断線13で開孔片14が刻設されている。
尚、実施例では、把手形成板9を背面側壁2の上辺に延設し、同じく背面側壁2の下辺近傍中央部に係止孔形成破断線13で開孔片14を刻設することとしたが、図示は省略するが、背面側壁2に対向する正面側壁1の上辺に把手形成板を延設し、同じく正面側壁1の下辺近傍中央部に係止孔形成破断線で開孔片を刻設することとしても良く、又、両方それぞれに設けることもできる。
【0016】
上記実施例において、紙製箱体Aの底部構成は、底壁4、重合底壁5、耳片6、7及び8の重合により形成されるものとしたので、底部構成の重合貼着後は折り畳むことが出来ないが、例えば入れ子式にスタッキングすることにより、保管・輸送することが可能である。底部構成は、これに限定されるものではなく、例えば一般に用いられるオートボトム構造やロッキングボトム構造若しくは、差込型の底部構成とすることもできる。
また、重合底壁5の折線L4側中央部には使用後の廃棄に際し用いることのできる、略半円形状のそれぞれ三重のミシン目15a、15b、15cからなる開孔破断線15で形成される指掛部16が設けられると共に、該指掛部16が露出可能なように、底壁4の下端中央部に略半円形の切欠17及び、耳片6、7の重合部分をそれぞれ切欠18、19としている。
【0017】
背面側壁2の下辺中央部に形成される略矩形状の係止孔形成破断線13は、矩形の四周を鈎状破断線でそれぞれ構成しており、背面側壁2の下辺部から順に破断するように設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば通常の破線、ミシン目線等を用いて構成することもできる。
【0018】
本発明に係る複合容器Dの紙製箱体Aの製造に関しては、通常の折り畳みカートンと同様に、板紙等シート材への印刷、打ち抜き、製函(貼着加工等)の工程で公知の設備により能率よく製造されるものである。印刷は、一般的なオフセット(平版)印刷、グラビア(凹版)印刷、フレキソ印刷等いずれの版式も用いることが出来、打ち抜き、製函の工程に関しても、通常の折り畳みカートン製造に用いられる打ち抜き機、製函機を用いて製造することができるものである。
【0019】
図2は図1のブランクを折り畳んで貼着した状態を背面側壁側から示す平面図で、前述のように形成されたブランクA’は、工程順として、折線L7を用いて把手形成板9が外折りされることにより重合する挟持帯片10の端部と略矩形の開孔片14が糊着され、次いで折線L1とL2とを用いて正面側壁1、貼着板3及び貼着耳片8をそれぞれ内折りして重合する正面側壁1及び耳片7’と前記貼着板3及び貼着耳片8を糊着して、図2にしめす偏平状態に形成される。
尚、図示は省略したが、先述のように、把手形成板を正面側壁及び背面側壁のそれぞれ上辺に延設し、係止孔形成破断線による開孔片を正面側壁及び背面側壁のそれぞれの下辺近傍中央部に刻設しても、それぞれの把手形成板が外折りされそれぞれの挟持帯片端部とそれぞれの開孔片とは重合糊着されて、偏平状態に折り畳むことが可能である。
【0020】
図3(a)(b)は実施例のブランクから組み立てられた紙製箱体Aにカップ状容器Bを収納保持した複合容器を示す斜視図で、組み立てにあたっての図示は省略するが、ブランクA’から偏平に折り畳まれ貼着された紙製箱体を、折線L1及びL2の方向からそれぞれ圧力を掛けることにより筒状に起函し、折線L5及びL6を用いて耳片6及び貼着形成された耳片7、7’を内折りし、次いで折線L4を用いて重合底壁5を内折りし、次いで折線L3を用いて底壁4を内折りし、それぞれを糊着して略正方形状の底面を形成し、筒状の上面が開放した紙製箱体Aを形成する。一方、上方の開放縁にフランジ部を有し胴部周壁と該周壁に連続する底壁とからなるカップ状容器Bに、内容物を収納充填し、上端フランジ部に積層フィルム等からなるシート状蓋材Cをヒートシールする等して封入するか、或いは上端フランジ部にシート成形等により形成された成形蓋体を嵌合閉鎖して形成したカップ状容器Bを、前記紙製箱体Aの開放した上面から挿入すると共に、所定の固着方法、例えばカップ状容器Bの周壁と紙製箱体A内面の所定位置、係止孔形成破断線13上端から紙製箱体Aの上縁に至る背面側壁2の略中央部をホットメルト樹脂等により糊着する等して固着一体化して複合容器とした状態を示している。
尚、図示及び組み立ての説明は省略するが、先述のように、把手形成板を正面側壁及び背面側壁のそれぞれ上辺に延設し、係止孔形成破断線による開孔片を正面側壁及び背面側壁のそれぞれの下辺近傍中央部に刻設しても、それぞれの把手形成板が外折りされそれぞれの挟持帯片端部とそれぞれの開孔片とは重合糊着されて、偏平状態に折り畳まれた状態の紙製箱体が、筒状に起函され、重合貼着して底面を形成され、カップ状容器を収納し固着一体化して複合容器とすることも可能である。
【0021】
上記のように、内容物が収納充填され上端フランジ部をシート状の容器用蓋材Cを用いてヒートシール等で封止されるか、或いは同じく上端フランジ部を成形蓋体で嵌合閉鎖して形成されたカップ状容器Bを、紙製箱体Aに収納し、固着一体化した複合容器Dは、一般的に、容器全体を熱収縮性フィルムにより外装した状態で流通し販売に供される。
【0022】
図4(a)は実施例の複合容器における把手組み立て途中の状態を示す斜視図で、複合容器の使用にあたって、図4(a)のように、複合容器を転倒させた状態とし、紙製箱体Aの背面側壁2に重合貼着された把手形成板9を引き剥がすと、把手形成板9の挟持帯片10に糊着された開孔片14が係止孔形成破断線13で自動的に引き破られ係止孔Xが形成されると同時に、図面上には示さないが、開孔片14は挟持帯片10の実質上の内面に重合糊着され、挟持帯片10を把持片11、11’で挟持する際、挟持帯片10の幅方向の強度を上げることができ、取り扱いの不具合、例えば把持部が折れ曲がって容器を取り落としたり、内容物をこぼす等の不具合の発生を少なくすることができる。
【0023】
図4(b)は同じく実施例の複合容器における把手組み立て完了状態を示す斜視図、図4(c)は同じく実施例の複合容器における把手組み立て完了状態を背面側から見た斜視図で、上記に引き続き、背面側壁2から引き剥がした把手形成板9の把持片11及び11’を折線L8及びL9を用いて実質上内折りし、挟持帯片10とで断面略コ字状を形成すると共に、挟持帯片10は外向き湾曲状態、把持片11及び11’は内向き湾曲状態となり、把持片11及び11’の両側辺を背面側壁2に沿わせつつ、同じく把持片11及び11’の端部に突設した係止片12及び12’を前述した係止孔Xに挿入し、係止孔形成破断線13の縦方向切線部分に係止して把手の組み立てを完了する。上記のように、例えば電子レンジによる加熱調理を行う前に、予め紙製箱体Aに把手を形成しておくことにより、加熱調理後の取り出しや持ち運びを安全に行うことができ、且つ、飲食の際にも保持用把手として利用することができる。
尚、図示及び組み立ての説明は省略するが、把手形成板を正面側壁及び背面側壁のそれぞれ上辺に延設し、係止孔形成破断線による開孔片を正面側壁及び背面側壁のそれぞれの下辺近傍中央部に刻設しても、それぞれの把手形成板が外折りされそれぞれの挟持帯片端部とそれぞれの開孔片とは重合糊着されて、偏平状態に折り畳まれた状態の紙製箱体が、筒状に起函され、重合貼着して底面を形成され、カップ状容器を収納し固着一体化した複合容器においても、それぞれ対向する正面側壁及び背面側壁の側面に把手を組み立て係止することが出来る、より安定した保持が可能となる。
【0024】
本発明に係る複合容器は使用後において、図示は省略するが、先ず紙製箱体Aの把手形成部分の係止孔Xに係止されていた把持片11及び11’の端部に突設した係止片12及び12’をそれぞれ係止を解いた後、三重のミシン目15を用いて指掛部16を押し破り、次いで前述した紙製箱体Aとカップ状容器Bとの固着部分すなわち背面側壁2の略中央部を切り破り、剥すことにより成形容器Bと紙製箱体Aとをそれぞれ分別することができる。さらに紙製箱体Aは、三重のミシン目15周縁の切欠17部分を用いて、底部を構成する底壁4、重合底壁5、耳片6、7を引き剥がすことにより、テーパ状筒状体を経て偏平な折り畳み貼着状態に戻すことができるので、廃棄物の減容化を図ることができる。
【0025】
本発明に係る複合容器の紙製箱体Aを構成する材料には、主に板紙が使用されるが、その範囲は広く、コートボール紙、マニラボール紙、ミルクカートン原紙、カップ原紙等を用途に合わせ選択して使用することができる。用紙坪量は紙製箱体のサイズや使用用途によって変化するが、150〜450g/m2の範囲が好ましい。本発明に係る複合容器は、紙製箱体内にカップ状容器を挿入固着してなるものであるので、紙製箱体の側壁表面での断熱効果を維持する範囲で、紙製箱体の用紙坪量を低減することにより、複合容器の全体コストを低減させることも可能である。
【0026】
本発明に係る複合容器の紙製箱体Aに挿入固着されるカップ状容器Bは、一般に、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂或いはこれらの積層体などを使用し、真空成形や圧空成形などのシートフォーミング法、射出成形法などの汎用成形法を用いて製造されるプラスチックカップであるが、一般に用いられる紙製カップを用いて紙製の二重容器とすることも可能である。いずれの場合も、使用する樹脂材料は特に限定されるものではなく、珪酸マグネシウム等のフィラー入り樹脂材料を用いて、使用後廃棄時の焼却温度を下げるような機能を持たせることや、生分解性プラスチックを用いて使用後廃棄時の分解性能を有するものとしても良い。
また、カップ状容器Bの形状は、通常の紙カップに用いられる逆円錐台型が生産面や利用面から一般的であるが、これに限定されるものではなく、角型カップやその他の変形も可能である。尚、前述した紙製箱体Aの把手部分の形成に際し、予め係止片の挿入部を想定したサイズ或いは形状、例えばカップ底部の角部全体を大きな曲面としたり、部分的に面取り部分とした形状とすることが好ましい。
【0027】
また、カップ状容器Bの上端フランジ部分にヒートシールされる容器用蓋材Cは、上記成形容器の製造に使用される樹脂にヒートシール可能な汎用樹脂材料もしくは紙層を含む積層体からなる樹脂シートを所定の打ち抜き加工等により形成され、或いは同じく成形容器に使用される汎用樹脂もしくはその積層体からなるシート材料を真空成形や圧空成形などのシートフォーミング法により成形して嵌合性を有する被せ蓋を形成する。
【0028】
本発明に係る複合容器は、前述したように、一体化された複合容器全体を熱収縮性フィルムによりシュリンク包装した状態で流通されるが、これは、紙製箱体Aとカップ状容器Bとの結合を保持し、カップ状容器Bのフランジ部にヒートシールされる或いはフランジ部に嵌合された容器用蓋材Cの剥がれや脱落を防ぐと共に、紙製箱体Aの背面側壁2の開封片14に重合接着された把手形成板9が搬送時、不用意に引っ掛かる等して剥ぎ取られ、若しくは剥ぎ取られることにより、破り取られて把手を形成できないというような不都合を抑止するものである。もちろん、上記の外装シュリンク包装が複合容器全体の汚損を防ぐものであることは言うまでも無い。
【符号の説明】
【0029】
A 紙製箱体
A’ (紙製箱体の)ブランク
B カップ状容器
C 容器用蓋材
D 複合容器
1 正面側壁
2 背面側壁
3 貼着板
4 底壁
5 重合底壁
6、7、7’ 耳片
8 貼着耳片
9 把手形成板
10 挟持帯片
11、11’ 把持片
12、12’ 係止片
13 係止孔形成破断線
14 開孔片
15(a、b、c) 三重ミシン目
16 指掛部
17、18、19 切欠
L1〜L09 折線
X 係止孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方の開放縁にフランジ部を有する胴部周壁と該周壁に連続する底壁とからなるカップ状容器と、該カップ状容器の前記フランジ部を封止する蓋体と、前記カップ状容器の周壁を囲繞する側壁と該側壁の下端を閉鎖する底壁とを有し上端が開放され前記カップ状容器が挿入される紙製箱体とからなる複合容器において、前記紙製箱体が、前記側壁上辺の少なくとも一箇所に折線を介して延設され該折線の両端から伸びる折線によりそれぞれ端部に外向き係止片を有する左右の把持片と中央の挟持帯片とに分設される把手形成板を有するとともに、前記側壁の下部に係止孔破断線で区画され切取りにより形成され前記左右把持片の前記係止片が挿入係止される係止部を備えたことを特徴とする複合容器。
【請求項2】
前記紙製箱体が、両側辺が上向きに開いたテーパ状をなす正面側壁と背面側壁及び帯状の貼着板がそれぞれ折線を介して順設され、前記正面側壁と背面側壁及び貼着板の下辺にそれぞれ折線を介して耳片、底壁、耳片、重合底壁、耳片及び貼着耳片が延設され、前記背面側壁及び前記正面側壁の少なくともいずれか一方の上辺に折線を介して延設され前記重合底壁に対向する位置に折線を介して該折線の両端から伸びる折線によりそれぞれの端部に外向き係止片を有する左右の把持片と中央の挟持帯片とに分設される把手形成板を有するとともに、前記背面側壁及び前記正面側壁の少なくともいずれか一方の下部に係止孔形成破断線で区画され切取りにより形成され前記係止片が挿入係止される係止部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の複合容器。
【請求項3】
前記カップ状容器が、紙製であることを特徴とする請求項1または2に記載の複合容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−189017(P2010−189017A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32978(P2009−32978)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】