説明

複合微粒子及び、複合微粒子及び/またはマイクロカプセルを用いた感熱記録材料

【課題】本発明は、発色感度が高く、厳しい条件下でも熱や湿度、光、可塑剤による記録濃度の低下が極めて少ない感熱記録材料に関するものである。
【解決手段】多価イソシアネート化合物を含有する高分子形成原料からなる溶媒中に、特定の染料前駆体化合物を溶解し、得られた溶液を水中に乳化分散し、この乳化分散液を高分子反応に供して、前記高分子形成原料を高分子化することによって得られ、ポリウレア樹脂またはポリウレタン−ポリウレア樹脂からなる母材中に、前記染料前駆体化合物が含有されていることを特徴とする複合微粒子および前記複合微粒子を含有する感熱記録層を有する感熱記録材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合微粒子及び、複合微粒子及び/またはマイクロカプセルを用いた感熱記録材料に関するものである。特に記録感度が高く、熱や湿度、光、可塑剤による印字濃度の低下が極めて少ない感熱記録材料を提供することができる複合微粒子とマイクロカプセル、及び該複合微粒子と該マイクロカプセルを含有してなる感熱記録層を有する感熱記録材料に関するものである。また本発明は、記録感度が高く、熱や湿度、光、可塑剤による印字濃度の低下が極めて少ない感熱記録材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
感熱記録材料は、一般に紙、合成紙、またはプラスチックフィルム等からなる支持体上に、発色性物質と顕色剤と接着剤とを主成分として含む感熱記録層を設けたものであって、これらの発色性物質と顕色剤とを熱エネルギーによって反応させて発色記録画像を得ることができる。このような感熱記録方法は、記録装置がコンパクトでしかも安価であり、且つ保守が容易であること等の利点を有し、ファクシミリや自動券売機、科学計測機器の記録用媒体としてだけでなく、POSラベル、CAD、CRT医療画像用等の各種プリンター、プロッターの出力媒体としても広く使用されている。
【0003】
これらの感熱記録層に用いられる発色性物質と顕色剤との組み合わせとしては、電子供与性染料前駆体と電子受容性物質との組み合わせが、最も広範囲に用いられているが、この発色反応は可逆反応であるため、熱、湿度、光、可塑剤等の影響で逆反応を起こし消色するという欠点がある。この為、保存を必要とするような証拠書類への適用が困難であった。こうした欠点を改良するために感熱記録紙にマイクロカプセル内に内包した染料前駆体を利用する技術が記載されている(特許文献1、2、3,4を参照)が、発色反応自体は電子供与性染料前駆体と電子受容性物質の組み合わせを用いており、その効果は十分とはいえない。また、ロイコインジゴイド化合物を用いて画像の保存性の高い感熱記録材料を得る技術が記載されている(特許文献5を参照)が、発色感度は十分とはいえず、また、非常に厳しい熱、湿度、光、可塑剤等の条件下では消色するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平4−4960号公報
【特許文献2】特公平4−37796号公報
【特許文献3】特公平4−37797号公報
【特許文献4】特公平5−63315号公報
【特許文献5】特開平4−124175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の感熱記録材料の有する上記問題点を解消し、発色感度が高く、厳しい条件下でも熱や湿度、光、可塑剤による記録濃度の低下が極めて少ない感熱記録材料を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、多価イソシアネート化合物を含有する高分子形成原料からなる溶媒中に、下記一般式(1)で表される染料前駆体化合物を溶解し、得られた溶液を水中に乳化分散し、この乳化分散液を高分子反応に供して、前記高分子形成原料を高分子化することによって得られ、ポリウレア樹脂またはポリウレタン−ポリウレア樹脂からなる母材中に、前記染料前駆体化合物が含有されていることを特徴とする複合微粒子または下記一般式(1)で表される染料前駆体化合物と、多価イソシアネート化合物を含有する高分子形成原料、及び100℃以下の沸点を有する水不溶性有機溶剤を含む溶媒との混合溶液を調製し、得られた溶液を水中に乳化分散し、この乳化分散液を加熱して前記有機溶剤を揮発除去し、その後、得られた乳化分散液を高分子化反応に供して前記高分子形成原料を高分子化することによって得られ、ポリウレア樹脂またはポリウレタン−ポリウレア樹脂からなる母材中に、前記染料前駆体化合物が含有されている複合微粒子を特徴とする。
【0007】
【化1】

前駆体化合物が下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
【0008】
【化2】

(一般式(1)、(2)中、XおよびYは互いに独立して硫黄原子またはNR9を表すが、XとYはN−A−Nの形で結合していてもよい。ここで、R9は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、COR10またはCOOR11を表し、Aは炭素数1〜10の飽和または不飽和のアルキレン基を表し、R10およびR11は互いに独立して炭素数1〜12のアルキル基;ベンジル基;ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよいアリール基を表す。R、R’、R’’およびR’’’は互いに独立して炭素数4〜12の第三級アルキル基を表す。また、R1〜R8は互いに独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、ニトロ基、NR1213またはSR14を表す。ここで、R12およびR13は互いに独立して水素原子;炭素数1〜12のアルキル基;炭素数4〜12のシクロアルキル基;ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよいアルアルキル基;ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよいアリール基を表すが、R12とR13は隣接する窒素原子とともにピロリジノ基、ピペリジノ基またはヘキサメチレンイミノ基を形成してもよい。また、R14は炭素数1〜10のアルキル基を表す。なお、R1とR2、R2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7およびR7とR8は互いに独立してベンゼン環を形成していてもよい)
前記高分子形成原料が、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、5−イソシアナト−1−(イソシアナトメチル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、及び1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンから選ばれる少なくとも1種の多価イソシアネート化合物を含むことが好ましい。
本発明は、支持体上に、前記複合微粒子を含有する感熱記録層を有する感熱記録材料を特徴とする。
前記感熱記録層中に酸性物質を含有することが好ましい。
前記感熱記録層中にさらに酸化剤を含有することが好ましい。
本発明は、前記一般式(1)で表される染料前駆体化合物を含有する高沸点水不溶性有機溶液を水中に乳化分散し、油性液滴の周りに高分子樹脂からなる壁膜を形成する方法によって調製され、高分子樹脂からなる母材中に、前記染料前駆体化合物の溶液が内包されていることを特徴とするマイクロカプセルを含有する感熱記録層を有する感熱記録材料を特徴とする。
前記染料前駆体化合物が上記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
前記高分子樹脂を形成する原料が、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、5−イソシアナト−1−(イソシアナトメチル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、及び1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンから選ばれる少なくとも1種の多価イソシアネート化合物を含むことが好ましい。
前記感熱記録層中に酸性物質を含有することが好ましい。
前記感熱記録層中にさらに酸化剤を含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の感熱記録材料は、記録感度が高く、厳しい条件下でも熱や湿度、光、可塑剤による印字濃度の低下が極めて少ないものであり、実用上極めて有用なものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、(a)ポリウレアまたはポリウレタン−ポリウレアからなる母材中に前記一般式(1)で表される染料前駆体化合物を含有させた複合微粒子、または(b)該染料前駆体化合物を溶解した高沸点水不溶性溶媒を高分子樹脂で包んだマイクロカプセル、更に必要によっては酸性物質及び/または酸化剤を含有する感熱記録層を有する。この感熱記録材料を加熱すると、染料前駆体に含まれる3級アルコキシカルボキシ基が脱炭酸分解し、それに続く酸化反応により、堅牢性の高いインジゴ系染料を形成する。この反応は不加逆であり、それゆえ発色した記録画像は熱、湿度、光、可塑剤等に高い堅牢性を示す。
【0011】
また、本発明で用いる前記染料前駆体化合物より生成するインジゴ系染料の堅牢性は、従来感熱記録材に用いられているフルオラン系化合物等に代表される染料前駆体に比べかなり高いが、本発明では、ポリウレアまたはポリウレタン−ポリウレアからなる高分子物質の母材に含有された複合微粒子またはマイクロカプセルの形で存在するため外部との隔離性が高いため、熱や湿度、光、可塑剤による記録画像の保存性は更に向上し、極めて高い保存性を有する。
【0012】
また、本発明で用いられる前記染料前駆体は複合微粒子中またはマイクロカプセル中に含有させることにより、固体分散で用いる場合より高い発色感度が得られる。これは、フルオラン系など従来の染料前駆体には見られない現象であり、非晶状態であることに起因していると思われるが詳しいことはわからない。
【0013】
本発明で用いる染料前駆体化合物は、通常は無色または淡色の化合物であり、加熱により3級アルコキシカルボキシ基が分解、発色体を形成する染料前駆体化合物である。これらの化合物は、例えば特開平4−124175号公報、特開2008−201112公報等に記載されている方法で容易に合成することができる。
【0014】
その具体例としては、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)インジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−5−ブロモインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−5,5’−ジブロモインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−5,5’,7−トリブロモインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−5,5’,7,7’−テトラブロモインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−4,4’,5,5’,7,7’−ヘキサブロモインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−4,4’−ジクロロインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−4,4’,5,5’−テトラクロロインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−5,5’−ジメチルインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−5,5’−ジフルオロインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−4,4’−ジクロロ−5,5’−ジブロモインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−7,7’−ジメチルインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−5,5’−ジメチル−7,7’−ジクロロインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−7,7’−ジエチルインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−6,6’−ジエトキシインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−6,6’−ジメトキシインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−6,6’−ジエチルメルカプトインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)チオインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−6,6’−ジクロロチオインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−7,7’−ジクロロチオインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−7,7’−ジアミノチオインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−5,5’−ジクロロ−7,7’−ジアミノチオインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−5,5’−ジブロモ−6,6’−ジアミノチオインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−5,5’−ジブロモチオインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−6,6’−ジエトキシチオインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−5,5’−ジブロモ−6,6’−ジエトキシチオインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−6,6’−ジエチルメルカプトチオインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−4−メチル−6,6’−ジクロロチオインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−4−メチル−6−クロロ−6’−メトキシチオインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−4,4’−ジメチル−6,6’−ジクロロチオインジゴホワイト、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)−4,4’,7,7’−テトラメチル−5,5’−ジクロロチオインジゴホワイト、O,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)インジゴホワイト、O,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)−5−ブロモインジゴホワイト、O,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)−5,5’−ジブロモインジゴホワイト、O,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)−5,5’,7−トリブロモインジゴホワイト、O,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)−5,5’,7,7’−テトラブロモインジゴホワイト、O,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)−4,4’,5,5’,7,7’−ヘキサブロモインジゴホワイト、O,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)−4,4’−ジクロロインジゴホワイト、O,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)−4,4’,5,5’−テトラクロロインジゴホワイト、O,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)−5,5’−ジメチルインジゴホワイト、O,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)−5,5’−ジフルオロインジゴホワイト、O,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)−4,4’−ジクロロ−5,5’−ジブロモインジゴホワイト、O,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)−7,7’−ジメチルインジゴホワイト、O,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)−5,5’−ジメチル−7,7’−ジクロロインジゴホワイト、O,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)−7,7’−ジエチルインジゴホワイト、O,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)−6,6’−ジエトキシインジゴホワイト、O,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)−6,6’−ジメトキシインジゴホワイト、O,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)−6,6’−ジエチルメルカプトインジゴホワイト等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、必要に応じて2種以上の化合物を併用することもできる。これらの中でも、下記一般式(2)で表される化合物は高い発色性を示すため、好ましく用いられる。
【0015】
【化3】

【0016】
本発明における複合微粒子及びマイクロカプセルの形成に用いられる高分子形成性原料としては、多価イソシアネート化合物のみであってもよいし、または多価イソシアネート化合物及びこれと反応するポリオールとの混合物、或いは多価イソシアネート化合物とポリオールの付加物、ビウレット体、イソシアヌレート体等の多量体であってもよい。
【0017】
高分子形成性原料として用いられる多価イソシアネート化合物としては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、5−イソシアナト−1−(イソシアナトメチル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート類、4,4’,4″−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシアネート類、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等のテトライソシアネート類等がある。
【0018】
多価イソシアネートとポリオールとの付加物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、2,4−トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、トリレンジイソシアネートのヘキサントリオール付加物等のイソシアネートプレポリマーを用いることができる。また多価イソシアネート化合物の多量体、例えばヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体等も、本発明の高分子形成性原料として用いることができる。
【0019】
また、高分子形成性原料に用いられるポリオール化合物としては、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、プロピレングリコール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジヒドロキシシクロヘキサン、ジエチレングリコール、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、フェニルエチレングリコール、1,1,1−トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、グリセリン等の脂肪族ポリオール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の芳香族多価アルコールとアルキレンオキサイドとの縮合生成物、p−キシリレングリコール、m−キシリレングリコール、α,α’−ジヒドロキシ−p−ジイソプロピルベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2−(p,p’−ジヒドロキシジフェニルメチル)ベンジルアルコール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−イソプロピリデンジフェノールのエチレンオキサイド付加物、4,4’−イソプロピリデンジフェノールのプロピレンオキサイド付加物、2−ヒドロキシアクリレートのような分子内にヒドロキシル基のあるアクリレート等が挙げられる。
【0020】
勿論、多価イソシアネート化合物、多価イソシアネートとポリオールの付加物及びポリオール化合物等は、上記化合物に限定されるものではなく、また、必要に応じて2種以上を併用してもよい。
【0021】
複合微粒子における染料前駆体化合物と高分子物質との重量比率は、発色感度の点から複合微粒子の合計重量に対して、上記一般式(1)で表される染料前駆体化合物の含有量が5〜80重量%であることが好ましく、20〜70重量%であることがより好ましい。
【0022】
本発明のポリウレア、及びポリウレタン−ポリウレアより選ばれる高分子物質と、前記染料前駆体化合物とからなる複合微粒子を調製する方法としては、例えば染料前駆体を沸点が100℃以下の低沸点水不溶性有機溶媒に溶解し、これに高分子形成性原料、例えば多価イソシアネート化合物のみ、または多価イソシアネート及びこれと反応するポリオールとの混合物、或いは多価イソシアネートとポリオールとの付加物、多価イソシアネートのビウレット体、イソシアヌレート体等の多量体を添加し、この混合液を、ポリビニルアルコール等の保護コロイド物質を溶解含有している水性媒体中に乳化分散し、更に必要によりポリアミン等の反応性物質を混合後、この乳化分散液を加温することにより有機溶剤を揮発除去し、その後に前記高分子形成性原料を重合させることによって高分子化し、それによって染料前駆体と高分子物質とからなる複合微粒子を形成する方法がある。
【0023】
この方法においては、十分に有機溶剤を揮発除去するためには、溶剤の種類、乳化分散条件、染料前駆体と溶剤等の配合比率等を勘案し、実験的に条件を設定しておけばよい。一般的には、沸点が50℃以下の溶剤を使用した場合、解放容器を使用し、撹拌条件下において乳化分散後の分散物を溶剤の沸点より5〜10℃低い温度で2時間以上、より好ましくは5時間以上保持することにより、有機溶剤を揮発除去することができる。有機溶剤の除去後、高分子化原料を高分子化するために分散液を80℃〜95℃に加温し、この温度に1時間以上、より好ましくは2時間以上保持することで複合微粒子を製造することができる。
【0024】
複合微粒子の調製に用いられる有機溶剤としては、沸点100℃以下、より好ましくは沸点80℃以下で且つ疎水性であることが好ましい。例えば、このような低沸点疎水性(水不溶解性)有機溶剤は、塩化ブチル(沸点78℃)、塩化エチリデン(同57℃)、塩化プロピル(同46℃)、塩化メチレン(同42℃)、酢酸エチル(同77℃)、酢酸メチル(同57℃)等から選ぶことができる。アセトン(同56℃)、メタノール(同65℃)等は、水と相溶するため、得られる乳化液の乳化状態が不安定となることがあるので好ましくない。
【0025】
本発明で使用するポリウレア、及びポリウレタン−ポリウレアより選ばれる高分子物質と染料前駆体化合物とからなる複合微粒子を調製する他の方法としては、酸化発色型ロイコ染料を高分子形成性原料である多価イソシアネート化合物のみ、または多価イソシアネート及びこれと反応するポリオールとの混合物、或いは多価イソシアネートとポリオールとの付加物、多価イソシアネートのビウレット体、イソシアヌレート体等の多量体に溶解し、この溶液を、ポリビニルアルコール等の保護コロイド物質を溶解含有している水性媒体中に乳化分散し、更に必要によりポリアミン等の反応性物質を混合後、この乳化分散液を加温することにより高分子形成性原料を重合させることによって高分子化し、それによって酸化発色型ロイコ染料と高分子物質とからなる複合微粒子を形成する方法により製造することができる。この方法は、低沸点溶媒を使用しないため、その蒸発工程が不要であるという長所があるばかりでなく、隔離性に優れた複合微粒子が得られるという特徴を有する。
【0026】
本発明において、複合微粒子の調製に用いられる乳化剤(保護コロイド剤)としては、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、スルホン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体塩及びそれらの誘導体等の水溶性合成高分子化合物を用いることができる。同時に界面活性剤、消泡剤等を使用してもよい。複合微粒子調製の際の乳化剤の使用量については特に限定はないが、一般に、複合微粒子分散物の固形分100重量部に対して1〜50重量部であることが好ましく、3〜30重量部であることがより好ましい。
【0027】
また、本発明においてマイクロカプセルは、各種公知の方法で調製することができる。一般には、上記のごとき染料前駆体化合物を主成分とする溶質を高沸点溶媒に溶解して得られた溶液(油溶性)を水性媒体中に乳化分散し、油性液滴の周りに高分子物質からなる壁膜を形成する方法によって調製される。このようなマイクロカプセルの壁材としては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等、従来より公知のマイクロカプセル壁材が挙げられる。また、これらの高分子のうち2種以上を併用することもできる。これらの壁材のなかでもポリウレアまたはポリウレタン−ポリウレアが望ましい。
【0028】
ポリウレアまたはポリウレタン−ポリウレアからなる壁膜を有するマイクロカプセルは、イソシアネート化合物のみ、または多価イソシアネート及びこれと反応するポリオール、或いは多価イソシアネートとポリオールとの付加物等のカプセル壁膜材をカプセル化すべき芯物質中に混合し、ポリビニルアルコール等の保護コロイド物質を溶解した水性媒体中に乳化分散し、液温を上昇させて油滴界面で高分子形成反応を起こすことによって製造される。
【0029】
マイクロカプセル化のための多価イソシアネート化合物、多価イソシアネートとポリオールの付加物、ポリオール化合物としては、前記の複合微粒子製造に用いるものと同一のものを用いることができる。
【0030】
マイクロカプセル化に際して用いられる乳化剤(保護コロイド剤)としては、各種のアニオン、ノニオン、カチオンまたは両性水溶性高分子等が使用される。なかでも部分鹸化ポリビニルアルコールは高い乳化安定性を持ち好ましく用いられる。また、変性ポリビニルアルコール(アセトアセチル変性、カルボキシ変性、珪素変性等)は耐水性を付与することができ、本発明の感熱記録材料の用途には好ましく用いられる。
【0031】
マイクロカプセル化に際して用いられる高沸点溶媒は特に限定されるものではなく、感圧複写紙の分野において用いられる種々の高沸点疎水性媒体から適宜選択して使用することができ、具体的には例えば、リン酸トリクレジル、リン酸オクチルジフェニル等のリン酸エステル類、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類、オレイン酸ブチル等のカルボン酸エステル類、各種脂肪酸アミド類、ジエチレングリコールジベンゾエート、モノイソプロピルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン等のアルキル化ナフタレン類、1−メチル−1−フェニル−1−トリルメタン、1−メチル−1−フェニル−1−キシリルメタン、1−フェニル−1−トリルメタン等のアルキル化ベンゼン類、イソプロピルビフェニル等のアルキル化ビフェニル類、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル等のキセノキシアルカン類、トリメチロールプロパントリアクリレート等のアクリル酸エステル類、多価アルコールと不飽和カルボン酸とのエステル、塩素化パラフィン、及び灯油等が挙げられる。勿論、これらは2種以上を併用することもできる。また、カプセル壁膜材の使用量についても特に限定するものではないがマイクロカプセル全体に対して、壁膜材の割合が5〜70重量%、好ましくは10〜50重量%の範囲となるように選択するのが望ましい。
【0032】
なお、乳化剤の使用量についても特に限定するものではないが、一般に、マイクロカプセル100質量部に対して1〜50質量部、好ましくは3〜30質量部程度の範囲で調節すればよい。
【0033】
本発明に使用される複合微粒子中、またはマイクロカプセル中には、染料前駆体化合物の他に、必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、油溶性蛍光染料、離型剤等が添加されていてもよい。このような添加物質は、常温で固体であることが好ましいが、液体であってもよい。染料前駆体化合物は2種以上の染料前駆体化合物の混合物であってもよい。
【0034】
本発明の感熱記録層で使用する複合微粒子中、またはマイクロカプセル中に紫外線吸収剤を含有させることは、耐光性の点から好ましく、特に2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤は、発色画像の耐光性向上効果だけでなく発色感度向上効果もあり、好ましく使用できる。また、複合微粒子、またはマイクロカプセル調製における高分子化の際に、高分子形成原料としてイソシアネート化合物を用いる場合は反応促進剤として錫化合物、ポリアミド化合物、エポキシ化合物、ポリアミン化合物等を併用してもよい。なお、ポリアミン化合物を使用する場合は、耐光性を低下させないという点から、脂肪族ポリアミン化合物を用いることが好ましい。
【0035】
本発明で使用する複合微粒子及びマイクロカプセルの平均粒子径は、発色の感度を考慮すると、0.1〜5.0μm、好ましくは0.3〜3.0μm程度の範囲となるように調節するのが望ましい。
【0036】
本発明の複合微粒子、またはマイクロカプセルを使用することにより、発色感度を高めるだけでなく、熱、湿度、光、可塑剤による消色も著しく抑制することができる。
【0037】
本発明では、複合微粒子、またはマイクロカプセルの発色感度を向上させる目的で、感熱記録層に酸性物質を使用することができる。酸性物質は3級アルコキシカルボキシ基の分解を促進すると考えられる。
【0038】
本発明において、酸性物質として使用できる化合物としては、4−tert−ブチルフェノール、4−アセチルフェノール、4−tert−オクチルフェノール、4,4’−sec−ブチリデンジフェノール、4−フェニルフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、およびビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン等のフェノール性化合物、4,4’−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、またはN−(p−トルエンスルホニル)−N’−フェニル尿素、更に4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、4−ヒドロキシ安息香酸−sec−ブチル、4−ヒドロキシ安息香酸フェニル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸トリル、4−ヒドロキシ安息香酸クロロフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等のフェノール性化合物、または、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、トリクロル安息香酸、テレフタル酸、サリチル酸、3−tert−ブチルサリチル酸、3−イソプロピルサリチル酸、3−ベンジルサリチル酸、3−(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸等の芳香族カルボン酸、及びこれらフェノール性化合物、芳香族カルボン酸と例えば亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム等の多価金属との塩等の有機酸性物質が挙げられる。中でも3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸およびその亜鉛塩、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸およびその亜鉛塩、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンが好ましく用いられる。
【0039】
本発明の感熱記録材料において、酸性物質は、通常、染料前駆体の合計質量に対し、30〜500質量%の割合で用いることが好ましく、より好ましくは50〜300質量%の割合で使用される。勿論、必要に応じて、2種以上の酸性物質を併用することもできる。
【0040】
本発明では、複合微粒子の発色感度を向上させる目的で、感熱記録層に酸化剤を使用することができる。これらの酸化剤は3級アルキルオキシカルボキシ基の分解に続く酸化発色反応を促進する効果があると考えている。
【0041】
本発明で用いることのできる酸化剤としては、トリアリールメチル化合物、電子吸引基で置換されたキノン化合物等が挙げられる。トリアリールメチル化合物としては、例えば、トリフェニルメチルクロライド、トリフェニルメチルブロマイド等が挙げられる。また電子吸引基で置換されたキノン化合物としては、2,5−ジブロモ−1,4−ベンゾキノン−3,6−ジカルボン酸−ジ−n−ヘキシルエステル、2,5−ジクロロ−1,4−ベンゾキノン−3,6−ジカルボン酸−ジイソブチルエステル等の2,5−ジハロゲン−1,4−ベンゾキノン−3,6−ジカルボン酸エステル類、2−p−トルエンスルホニル−1,4−ベンゾキノン等のモノスルホニルキノン類、2,5−ジベンゾイル−1,4−ベンゾキノン、1,4−ベンゾキノン−2,5−ジカルボン酸ジシクロヘキシルエステル等の2置換キノン類、o−クロラニル、クロラニル、ブロムアニル、1,4−ベンゾキノンテトラカルボン酸エチル等の4置換キノン類、2,5−ジ−p−トルエンスルホニル−1,4−ベンゾキノン−3,6−ジカルボン酸ジイソブチルエステル、2,5−ジブチルスルホニル−1,4−ベンゾキノン−3,6−ジカルボン酸ジエチルエステル等のジスルホニルキノンジカルボン酸エステル、2−p−トルエンスルホニル−1,4−ベンゾキノン−3,6−ジカルボン酸ジシクロヘキシルエステル等のモノスルホニルキノンジカルボン酸ジエステル等が挙げられる。勿論、これらに限定されるものではなく、必要に応じて1種、または2種以上の化合物を併用することができる。中でもクロラニルが好ましく用いられる。
【0042】
使用される酸化剤の量は、特に限定されないが、前記染料前駆体化合物100質量部に対して、酸化剤は1〜500質量部の割合で使用することが好ましい。より好ましくは5〜200質量部の割合で使用する。
【0043】
本発明に用いられる酸性物質及び酸化剤は、アクリル樹脂等の適当な非水溶性樹脂と共に非水性媒体中に溶解して用いることも出来る。この場合、用いられる好ましい非水性媒体としては、キシレン、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等が挙げられる。
【0044】
本発明の感熱記録材料は、互いに異なる色調に発色する多色感熱記録材料に応用することができる。上記染料前駆体化合物を含有する本発明の感熱記録層とは異なる発色系の感熱記録層を積層することもできるし、また、上記染料前駆体化合物を含有する感熱記録層中に、他の発色系感熱記録材料を有してもよい。このような他の発色系としては、従来の感熱記録材料に用いられている電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組み合わせ、またはジアゾ化合物とカップリング成分の組み合わせ等から選ぶことができる。
【0045】
本発明において、感熱記録層に含まれる接着剤は水溶性樹脂、水分散性樹脂、及び非水溶性樹脂のいずれも使用可能である。例えば、ポリビニルアルコ−ル、澱粉、変性澱粉、アラビアゴム、ゼラチン、カゼイン、キトサン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアマイド、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合樹脂、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合樹脂、イソプロピレン−無水マレイン酸共重合樹脂等の水溶性樹脂及びポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンブタジエン、ポリメチルメタクリレートブタジエン等の非水溶性樹脂の水性媒体での乳化分散物、及びこれら非水溶性樹脂の非水性媒体溶解物を挙げることができる。また、これら接着剤は2種以上併用することもできる。
【0046】
しかし、こうした接着剤は前記染料前駆体化合物及び、酸性物質または酸化剤成分の各分散液、溶液と混合した時に混合液が発色したり、凝集したり、或いは高粘度になったりしないことが必要であり、また形成された感熱記録層塗膜が強靱であることが必要である。感熱記録層中の接着剤の配合量は感熱記録層の固形分100質量部に対し5〜80質量部が望ましく、5質量部未満では塗膜強度が弱い欠点があるし、80質量部を超えると記録感度が低下する問題がある。
【0047】
また、感熱記録層の耐水性を向上させるために、感熱記録層に含まれる樹脂成分を硬化させる架橋剤を使用することができる。例えば、グリオキザール等のアルデヒド系化合物、ポリエチレンイミン等のポリアミン系化合物、エポキシ系化合物、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、ジメチロールウレア化合物、アジリジン化合物、ブロックイソシアネ−ト化合物、並びに過硫酸アンモニウムや塩化第二鉄、及び塩化マグネシウム、四硼酸ソーダ、四硼酸カリウム等の無機化合物、または硼酸、硼酸トリエステル、硼素系ポリマーを感熱記録層の固形分100質量部に対し1〜10質量部の範囲で用いることが望ましい。
【0048】
本発明においては、感熱記録層の白色度向上、画像の均一性向上のため、白色度が高く、平均粒子径が10μm以下の微粒子顔料を使用することができる。例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレ−、タルク、焼成クレ−、シリカ、珪藻土、合成珪酸アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、表面処理された炭酸カルシウムやシリカ等の無機顔料、並びに、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂、ポリスチレン樹脂等の有機顔料が使用できる。顔料の配合量は、発色濃度を低下させないため、感熱記録層の全固形分に対して40質量%以下が望ましい。
【0049】
本発明においては、種々の熱可融性物質を用いることができる。熱可融性物質としては、例えば、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ビスアミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド、ベヘン酸アミド等の脂肪酸アミド類、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類(または滑剤)、テレフタル酸ジメチルエステル、テレフタル酸ジブチルエステル、テレフタル酸ジベンジルエステル、イソフタル酸ジブチルエステル、1−ヒドロキシナフトエ酸フェニルエステル、蓚酸ジベンジルエステル、蓚酸ジ−p−メチルベンジルエステル、蓚酸ジ−p−クロロベンジルエステル、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−フェノキシ−2−(4−メチルフェノキシ)エタン、炭酸ジフェニル、p−ベンジルビフェニル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノ−ル)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2,4−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノ−ル、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)等のヒンダ−ドフェノ−ル類、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾ−ル、及び2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン等の増感剤、酸化防止剤及び紫外線吸収剤等がある。
【0050】
これら熱可融性物質は、一般に染料前駆体化合物100質量部に対して400質量部以下の割合で感熱記録層に含まれていることが好ましい。更に、感熱記録層用塗液の濡れ性を良くし、ハジキをなくすため、アセチレングリコール、ジアルキルスルホコハク酸塩等の濡れ性向上剤や顔料の分散剤、消泡剤、蛍光染料等を必要に応じて添加することができる。
【0051】
本発明で使用する支持体は、ポリオレフィン系樹脂と白色無機顔料を加熱混練し、ダイから押し出し、縦方向に延伸したものの両面にポリオレフィン系樹脂と白色無機顔料からなるフィルムを片面当たり1〜2層積層し、横方向に延伸して半透明化、或いは不透明化して製造される合成紙、及びポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂単独または混合物を加熱混練し、ダイから押し出し2軸延伸して得られたフィルムや、これらの樹脂に白色無機顔料を混合し、2軸延伸した不透明フィルムのほか、上質紙(酸性紙、中性紙)、中質紙、再生紙、塗工紙等のパルプ繊維から製造されたもの等が使用できる。パルプ繊維からなる支持体は画像の均一性を良くするため、予め下塗層として塗工層を設けた後、感熱記録層を塗工することが望ましい。この場合、吸油量の大きい、或いは見掛け比重の小さい無機または有機の顔料を下塗層に含有させることで高感度化することもできる。また、感熱記録層上に従来より公知の保護層を設け、サーマルヘッドに対するスティッキングや粕付着等を改善することもできる。
【0052】
感熱記録層の塗工量は、発色感度、発色濃度の点で一般に3〜15g/m2が好ましい。塗工方法はエアナイフ方式、メイヤーバー方式、ブレード方式、リバースロール方式、スリットダイ方式、マルチスライド方式、カーテン塗工方式等の従来から当業者で使用されている方式を利用することができる。また、感熱記録層の表面をスーパーカレンダー、グロスカレンダー、マシンカレンダー等により平滑化処理を行うことにより表面性を高め、記録濃度、感度を向上させることができる。
【0053】
発明では、支持体の感熱記録層とは反対側の面には、粘着剤層を介して剥離紙を設ける剥離ラベル加工、加熱により粘着性を発現する接着剤層を設けるディレードタック加工等の所謂タック加工を施すこともできる。更にこの裏面を利用して磁気記録紙、熱転写用紙、インクジェット用紙、ゼログラフィ用紙、ノーカーボン用紙、静電記録紙としての機能を持たせ、表裏両面に記録することが可能な両面記録紙とすることもできる。勿論、両面感熱記録材料とすることもできる。本発明の感熱記録材料を光定着させる場合の光還元剤の活性化用の光源としては、希望する波長の光を発する種々の光源を用いることができ、例えば蛍光灯、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、水銀灯、写真用フラッシュ、ストロボ等が挙げられる。
【実施例】
【0054】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。なお、特に断わらない限り、部及び%は、それぞれ質量部及び質量%を示す。
【0055】
実施例1
[染料前駆体化合物を含有する複合微粒子の分散液の調製]
染料前駆体化合物として、O,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)インジゴホワイト26部を100℃に加熱したα、α、α’、α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート26部に溶解し、この溶液を35℃に冷却後、同温度の8%ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセノールGM−14L、日本合成化学工業製)水溶液100部中に徐々に添加し、ホモジナイザーを用いて、回転数10000rpm の撹拌によって乳化分散した後、この乳化分散液に水20部を加えて均一化した。この乳化分散液を80℃に昇温し、6時間の硬化反応を行い、平均粒子径1.3μmの染料前駆体含有複合微粒子の分散液を調製した。更に、この分散液に適量の水を加えて、分散液の固形分濃度を25質量%とした。
【0056】
〔酸性物質分散液の調製〕
3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸40部、スルホン変性ポリビニルアルコールの10%水溶液20部、及び水40部からなる組成物をウルトラビスコミルにて平均粒子径が0.3μmとなるまで粉砕して酸性物質分散液を得た。
【0057】
〔顔料分散液の調製〕
無定形シリカ(商品名:ミズカシルP527、吸油量190ml/100g、水沢化学工業社製)30部を、ポリアクリル酸ソーダ0.7%水溶液120部中に混合し、この混合物をカウレス分散機で分散した。
【0058】
[感熱記録材料の作成]
上記の染料前駆体含有複合微粒子分散液、酸性物質分散液、顔料分散液、及び5%のポリビニルアルコール(商品名:ゴーセノールNH−17、日本合成化学工業製)水溶液を固形分比率が、40:20:20:20となるように混合攪拌し、感熱記録層用塗液とした。この塗液をメイヤーバーを用いて、市販の厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:ルミラーE、東レ製)上に乾燥重量で3g/m2となるように塗工し、感熱記録材料を作製した。
【0059】
実施例2
[染料前駆体化合物を含有する複合微粒子の調製]
染料前駆体化合物として、O,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)インジゴホワイト26部を、100℃に加熱した酢酸エチル10部、α、α、α’、α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート18部に溶解し、この溶液を35℃に冷却後、同温度の8%ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセノールGM−14L、日本合成化学工業製)水溶液100部中に徐々に添加し、ホモジナイザーを用いて、回転数10000rpm の撹拌によって乳化分散した後、この乳化分散液に水20部を加えて均一化した。この乳化分散液を80℃に昇温し、6時間の硬化反応を行い、平均粒子径1.3μmの、染料前駆体含有複合微粒子の分散液を調製した。更に、この分散液に適量の水を加えて、分散液の固形分濃度を25質量%とした。
【0060】
[感熱記録材料の作成]
実施例1で使用した複合微粒子分散液の代わりに、上記の複合微粒子分散液を用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0061】
実施例3
[染料前駆体化合物を含有するマイクロカプセル分散液の調製]
染料前駆体化合物として、O,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)インジゴホワイト26部を、100℃に加熱した燐酸トリクレシル9部、α、α、α’、α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート9部に溶解し、この溶液を35℃に冷却後、同温度の8%ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセノールGM−14L、日本合成化学工業製)水溶液100部中に徐々に添加し、ホモジナイザーを用いて、回転数10000rpm の撹拌によって乳化分散した後、この乳化分散液に水20部を加えて均一化した。この乳化分散液を80℃に昇温し、6時間の硬化反応を行い、平均粒子径1.3μmの、染料前駆体含有マイクロカプセルの分散液を調製した。更に、この分散液に適量の水を加えて、分散液の固形分濃度を25質量%とした。
【0062】
[感熱記録材料の作成]
実施例1で使用した複合微粒子分散液の代わりに上記マイクロカプセル分散液を用いた以外は実施例1と同様に感熱記録材料を作成した。
【0063】
実施例4
実施例1の感熱記録層用塗液において、酸性物質分散液を配合せず、染料前駆体含有複合微粒子分散液、顔料分散液、及び5%のポリビニルアルコール(商品名:ゴーセノールNH−17、日本合成化学工業製)水溶液を固形分比率が、40:40:20となるように混合攪拌した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0064】
実施例5
実施例1の酸性物質分散液において、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸40部を3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸40部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0065】
実施例6
〔酸化剤分散液の調製〕
クロラニル40部、スルホン変性ポリビニルアルコールの10%水溶液20部、及び水40部からなる組成物をウルトラビスコミルにて平均粒子径が0.3μmとなるまで粉砕して酸化剤分散液を得た。
【0066】
[感熱記録材料の作成]
実施例1の染料前駆体含有複合微粒子分散液、酸性物質分散液、顔料分散液、5%のポリビニルアルコール(商品名:ゴーセノールNH−17、日本合成化学工業製)水溶液、及び上記の酸化剤分散液を固形分比率が、40:20:10:20:10となるように混合攪拌し、感熱記録層用塗液とした。この塗液をメイヤーバーを用いて、市販の厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:ルミラーE、東レ製)上に乾燥重量で3g/m2となるように塗工し、感熱記録材料を作製した。
【0067】
実施例7
実施例1の染料前駆体含有複合微粒子分散液の調製において、染料前駆体化合物としてO,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)インジゴホワイトの代わりに、O,O’,N,N’−テトラ(1,1−ジメチルプロポキシカルボニル)インジゴホワイトを用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0068】
実施例8
実施例1の染料前駆体含有複合微粒子分散液の調製において、染料前駆体化合物としてO,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)インジゴホワイトの代わりに、O,O’,−ジ(tert−ブトキシカルボニル)インジゴホワイトを用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0069】
実施例9
実施例1の染料前駆体含有複合微粒子分散液の調製において、染料前駆体化合物としてO,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)インジゴホワイトの代わりに、O,O’−ジ(tert−ブトキシカルボニル)チオインジゴホワイトを用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0070】
比較例1
〔染料前駆体固体分散液の調製〕
O,O’,N,N’−テトラ(tert−ブトキシカルボニル)インジゴホワイト40部、スルホン変性ポリビニルアルコールの10%水溶液20部、及び水40部からなる組成物を、ウルトラビスコミルにて平均粒子径が0.3μmとなるまで粉砕して染料前駆体固体分散液を得た。
【0071】
[感熱記録材料の作成]
実施例1の染料前駆体含有複合微粒子分散液の代わりに、上記の染料前駆体分散液を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0072】
上記の方法で作製された感熱記録材料について、以下の評価をおこない、結果を表1に示した。
【0073】
(発色性)
前記感熱記録材料を、サーマルヘッド(京セラ社製)を用いて印加電圧、パルス幅を調節し、30mJ/mm2のエネルギーで画像記録をおこない、発色部の濃度をマクベス濃度計(マクベス社製、型番:RD−914)にて測定した。
なお、発色性テストにおいては発色濃度1.00以上であれば問題のないレベルであり、1.20以上であれば極めて優れたレベルである。
【0074】
(耐熱湿性)
上記発色性を評価した画像記録後の感熱記録材料を60℃−90%RHの条件に100時間放置した後、発色部の濃度を測定し、その残存率(耐熱湿性試験後の発色部の濃度/耐熱湿性試験前の発色部の濃度)を求めた。
【0075】
(耐光性)
上記発色性を評価した画像記録後の感熱記録材料を直射日光下に200時間放置した後、発色部の濃度を測定し、その残存率(耐光性試験後の発色部の濃度/耐光性試験前の発色部の濃度)を求めた。
【0076】
(耐可塑剤性)
上記発色性を評価した画像記録後の感熱記録材料を塩化ビニルフィルムに重ね70℃の条件で200時間放置した後、発色部の濃度を測定し、その残存率(耐可塑剤性試験後の発色部の濃度/耐可塑剤性試験前の発色部の濃度)を求めた。
【0077】
耐熱湿保存性、耐光性、耐可塑剤試験後の残存率が80%以上であれば問題のないレベルであり、90%以上であれば極めて優れたレベルである。
【0078】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多価イソシアネート化合物を含有する高分子形成原料からなる溶媒中に、下記一般式(1)で表される染料前駆体化合物を溶解し、得られた溶液を水中に乳化分散し、この乳化分散液を高分子反応に供して、前記高分子形成原料を高分子化することによって得られ、ポリウレア樹脂またはポリウレタン−ポリウレア樹脂からなる母材中に、前記染料前駆体化合物が含有されていることを特徴とする複合微粒子または下記一般式(1)で表される染料前駆体化合物と、多価イソシアネート化合物を含有する高分子形成原料、及び100℃以下の沸点を有する水不溶性有機溶剤を含む溶媒との混合溶液を調製し、得られた溶液を水中に乳化分散し、この乳化分散液を加熱して前記有機溶剤を揮発除去し、その後、得られた乳化分散液を高分子化反応に供して前記高分子形成原料を高分子化することによって得られ、ポリウレア樹脂またはポリウレタン−ポリウレア樹脂からなる母材中に、前記染料前駆体化合物が含有されていることを特徴とする複合微粒子。
【化1】

【請求項2】
前記染料前駆体化合物が下記一般式(2)で表される化合物である、請求項1に記載の複合微粒子。
【化2】

(一般式(1)、(2)中、XおよびYは互いに独立して硫黄原子またはNR9を表すが、XとYはN−A−Nの形で結合していてもよい。ここで、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、COR10またはCOOR11を表し、Aは炭素数1〜10の飽和または不飽和のアルキレン基を表し、R10およびR11は互いに独立して炭素数1〜12のアルキル基;ベンジル基;ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよいアリール基を表す。R、R’、R’’およびR’’’は互いに独立して炭素数4〜12の第三級アルキル基を表す。また、R〜Rは互いに独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、ニトロ基、NR1213またはSR14を表す。ここで、R12およびR13は互いに独立して水素原子;炭素数1〜12のアルキル基;炭素数4〜12のシクロアルキル基;ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよいアルアルキル基;ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよいアリール基を表すが、R12とR13は隣接する窒素原子とともにピロリジノ基、ピペリジノ基またはヘキサメチレンイミノ基を形成してもよい。また、R14は炭素数1〜10のアルキル基を表す。なお、R1とR2、R2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7およびR7とR8は互いに独立してベンゼン環を形成していてもよい)
【請求項3】
前記高分子形成原料が、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、5−イソシアナト−1−(イソシアナトメチル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、及び1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンから選ばれる少なくとも1種の多価イソシアネート化合物を含む、請求項1または2に記載の複合微粒子。
【請求項4】
支持体上に、前記複合微粒子を含有する感熱記録層を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項5】
前記感熱記録層中に酸性物質を含有する、請求項4に記載の感熱記録材料。
【請求項6】
前記感熱記録層中にさらに酸化剤を含有する、請求項4または5に記載の感熱記録材料。
【請求項7】
前記一般式(1)で表される染料前駆体化合物を含有する高沸点水不溶性有機溶液を水中に乳化分散し、油性液滴の周りに高分子樹脂からなる壁膜を形成する方法によって調製され、高分子樹脂からなる母材中に、前記染料前駆体化合物の溶液が内包されていることを特徴とするマイクロカプセルを含有する感熱記録層を有する感熱記録材料。
【請求項8】
前記染料前駆体が、前記一般式(2)で表される化合物である、請求項7に記載の感熱記録材料。
【請求項9】
前記高分子樹脂を形成する原料が、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、5−イソシアナト−1−(イソシアナトメチル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、及び1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンから選ばれる少なくとも1種の多価イソシアネート化合物を含む、請求項7または8に記載の感熱記録材料。
【請求項10】
前記感熱記録層中に酸性物質を含有する、請求項7〜9のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
【請求項11】
前記感熱記録層中にさらに酸化剤を含有する、請求項7〜10のいずれか一項に記載の感熱記録材料。

【公開番号】特開2010−158880(P2010−158880A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11187(P2009−11187)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】