説明

複合成形体および複合成形体の製造方法

【課題】ガラス貼り付き性に優れた複合成形体および複合成形体の製造方法を提供すること。
【解決手段】熱可塑性エラストマー(A1)、および該熱可塑性エラストマー(A1)100重量部に対して0.01〜3重量部のアジピン酸アミド(A2)を含有する熱可塑性エラストマー組成物(A’)を成形してなる成形体(A)と、熱可塑性エラストマー(B1)または加硫ゴム(B2)を成形してなる成形体(B)と、が融着されている複合成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性エラストマーおよびアジピン酸アミドを含有する熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形体と、熱可塑性エラストマーまたは加硫ゴムを成形してなる成形体と、が融着されている複合成形体および複合成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
棒状部材とコーナー部材とが融着されてなるウェザーストリップ材には、一般的に熱可塑性エラストマーを異形押出、またはエチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体等のゴム配合物からなる未加硫ゴムを異形押出、加硫することにより棒状部材を作製し、該棒状部材を裁断して、片方または双方から金型にセットし、コーナー部材である熱可塑性エラストマーを射出し前記棒状部材と融着する、いわゆるインサート成形により製造する方法が知られている(特許文献1)。
【0003】
前記棒状部材のドアガラスが接触する部分は、摺動性を有する材料がウェザーストリップに貼着されていたり、あるいは多層押出成形で同時に摺動性を有する層が形成されているため、耐傷付き性や摺動性に優れている。しかしながら、コーナー部材の材料そのものは摺動性を有しないため、ガラスに貼り付き、ガラスが昇降する際にウェザーストリップが脱落する問題があった。
【0004】
そこで、ガラス貼り付き性に優れたコーナー部材を成形することができる熱可塑性エラストマー組成物の出現が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−155386
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる現状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、ガラス貼り付き性に優れた複合成形体および複合成形体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明の第一は、熱可塑性エラストマー(A1)、および該熱可塑性エラストマー(A1)100重量部に対して0.01〜3重量部のアジピン酸アミド(A2)を含有する熱可塑性エラストマー組成物(A’)を成形してなる成形体(A)と、熱可塑性エラストマー(B1)または加硫ゴム(B2)を成形してなる成形体(B)と、が融着されている複合成形体に関する。
【0008】
さらに本発明の第二は、金型内に前記成形体(B)を装填した後、溶融した前記熱可塑性エラストマー組成物(A’)を前記金型内に注入して、前記成形体(A)と前記成形体(B)とを融着させる前記複合成形体の製造方法にかかるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ガラス貼り付き性に優れた複合成形体を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の複合成形体は、熱可塑性エラストマー(A1)、および該熱可塑性エラストマー(A1)100重量部に対して0.01〜3重量部のアジピン酸アミド(A2)とを含有する熱可塑性エラストマー組成物(A’)を成形してなる成形体(A)と、熱可塑性エラストマー(B1)または加硫ゴム(B2)を成形してなる成形体(B)と、が融着されている。
【0011】
熱可塑性エラストマー(A1)は、オレフィン系、スチレン系、水添スチレン系、エステル系、ウレタン系、ポリアミド系、塩化ビニル系等及びそれらの複合物をあげることができる。なかでも、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
【0012】
オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、コンパウンドTPO(「TPO」は、オレフィン系熱可塑性エラストマーを意味する)、リアクターTPO又はそれらの混合物を用いてもよい。リアクターTPOとは、重合型リアクターTPOとも称され、重合時にハード部分であるマトリックス樹脂にソフト部であるゴム成分を分散させたオレフィン系熱可塑性エラストマーである。
【0013】
オレフィン系熱可塑性エラストマーの中では、(C)オレフィン系ゴム10〜75重量部、(D)オレフィン系樹脂10〜50重量部、および(E)鉱物油0〜60重量部を含有してなるものが成形性、柔軟性、機械的強度の観点から好ましい。ただし、(C)〜(E)の合計量を100重量部とする。
【0014】
(D)オレフィン系樹脂は、エチレンおよび/またはα−オレフィンを重合して得られる樹脂であり、例えば、エチレン単位を70重量%以上含むエチレン系樹脂や、プロピレン単位を50重量%以上含むプロピレン系樹脂が挙げられる。好ましくは、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体である。
以下、本発明において「エチレン単位」のような用語は、モノマーを重合して得られた樹脂あるいはゴム中に存在するモノマー由来の構成単位を意味する。
【0015】
プロピレン系樹脂の立体構造として、アイソタクチック構造、シンジオタクチック構造、およびこれら両構造が混合した構造を例示することができる。好ましくは、主たる構造がアイソタクチック構造であることが好ましい。
【0016】
プロピレン系樹脂のメルトフローレート(JIS K6758に従って、21.18Nの荷重下、温度230℃で測定される。)は、好ましくは0.1〜300g/10分であり、より好ましくは0.5〜200g/10分、さらに好ましくは0.5〜100g/10分である。
【0017】
プロピレン系樹脂は、重合触媒としてチーグラー−ナッタ触媒やメタロセン触媒等を用いた公知の重合方法で製造することができる。該重合方法としては、溶液重合法、バルク重合法、スラリー重合法、気相重合法などをあげることができ、これらは2種以上組み合わせてもよい。
【0018】
(C)オレフィン系ゴムとは、2種類以上のオレフィン系モノマーがランダムに共重合した非晶性重合体であり、(C)オレフィン系ゴムの中では、エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムが好ましい。
【0019】
エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムは、エチレン単位とα−オレフィン単位とを有し、JIS K−6253のA硬度が85以下の共重合体である。
【0020】
上記α−オレフィンとしては、炭素原子数3〜20のα−オレフィンが好ましく、プロピレン、1−ブテン、2−メチルプロピレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、および1−オクテン等、ならびにこれらの2以上の組合せを例示することができる。中でも、入手容易性の観点から、プロピレンおよび1−ブテンが好ましく、プロピレンがより好ましい。
【0021】
エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムは、エチレン単位およびα−オレフィン単位に加え、他のモノマー単位を有していてもよい。該他のモノマー単位を形成するモノマーとしては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、1,3−ペンタジエンおよび2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンのような炭素原子数4〜8の共役ジエン;ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ジシクロオクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンおよび5−ビニル−2−ノルボルネンのような炭素原子数5〜15の非共役ジエン;酢酸ビニルのようなビニルエステル化合物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸エチルのような不飽和カルボン酸エステル;アクリル酸およびメタクリル酸のような不飽和カルボン酸を例示することができ、これらは1種でもよく、2種以上であってもよい。炭素原子数5〜15の非共役ジエンが好ましく、入手容易性の観点から、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンがより好ましい。
【0022】
エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムのエチレン単位の含有量は、通常30〜85重量%、好ましくは40〜80重量%、炭素原子数3〜10のα−オレフィン単位の含有量は、通常5〜70重量%、好ましくは15〜60重量%、エチレン単位およびα−オレフィン単位以外の他の単量体単位の含有量は、通常0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%である(これらの単位の合計を100重量%とする)。
【0023】
エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムとして、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−1−ブテン共重合ゴム、エチレン−1−ヘキセン共重合ゴム、エチレン−1−オクテン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−1−オクテン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−1,4−ヘキサジエン共重合ゴム、およびエチレン−プロピレン−5−ビニル−2−ノルボルネン共重合ゴムを例示することができる。これらは1種で用いられてもよく、2種以上組み合わせ用いられてもよい。中でも、エチレン−プロピレン共重合ゴムまたはエチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合ゴムが好ましく、エチレン単位の含有量が40〜80重量%、プロピレン単位の含有量が15〜60重量%、5−エチリデン−2−ノルボルネン単位の含有量が0〜20重量%であるエチレン−プロピレン共重合ゴムまたはエチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合ゴムがより好ましい。
【0024】
エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムのムーニー粘度(ML1+4100℃)は、好ましくは10〜350、より好ましくは30〜300である。ムーニー粘度が前記範囲にあるようなエチレン−α−オレフィン系共重合ゴムを用いて得られるオレフィン系熱可塑性エラストマーは、成形した際に、機械的強度に優れ、かつ極めて外観良好な成形品を与えることができる。該ムーニー粘度(ML1+4100℃)は、JIS K6300に従って測定される。
【0025】
エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムの135℃テトラリン中で測定した極限粘度は、成形体の機械的強度を高める観点から、好ましくは0.5dl/g以上であり、より好ましくは1dl/g以上である。また、成形体の外観を高める観点から、好ましくは8dl/g以下であり、より好ましくは6dl/g以下である。
【0026】
エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムは公知の方法で重合して得ることができる。該重合方法として、チーグラー−ナッタ触媒やメタロセン触媒のような重合触媒を用いて、ヘキサンやヘプタン、トルエン、キシレンのような不活性溶媒中で重合する方法を例示することができる。
【0027】
(E)鉱物油とは、アロマ系鉱物油、ナフテン系鉱物油、およびパラフィン系鉱物油のような石油の高沸点留分(平均分子量が300〜1500、流動点が0℃以下)を例示することができる。中でも、パラフィン系鉱物油が好ましい。
【0028】
(E)鉱物油はあらかじめ(C)オレフィン系ゴムへ添加して、油展ゴムとしてもよい。該添加の方法は、公知の方法でよく、例えば、(1)ロールやバンバリーミキサーのような混練装置を用い、両者を機械的に混練する方法、(2)溶液状として製造された成分(C)の溶液に成分(E)を添加し、次いで、スチームストリッピングのような方法によって脱溶媒する方法、が挙げられる。
【0029】
(C)オレフィン系ゴム、(D)オレフィン系樹脂、および(E)鉱物油の割合は、成形性、柔軟性をより高める観点から(C)10〜75重量%、(D)10〜50重量%、および(E)0〜60重量%であることが好ましく、さらに好ましくは(C)20〜50重量%、(D)15〜40重量%、および(E)10〜50重量%である。ただし、(D)、(C)、および(E)の合計重量を100重量%とする。
【0030】
オレフィン系熱可塑性エラストマーとして、(C)オレフィン系ゴム、(D)オレフィン系樹脂、および(E)鉱物油と共に(F)架橋剤を添加し動的熱処理した組成物を用いてもよい。(F)架橋剤としてはゴムの架橋に通常用いられている架橋剤を用いることができ、有機過酸化物、フェノール樹脂、硫黄、含硫黄化合物、p−キノン、p−キノンジオキシムの誘導体、ビスマレイミド化合物、エポキシ化合物、シラン化合物、およびアミノ樹脂を例示することができる。中でも、有機過酸化物、フェノール樹脂が好ましい。
【0031】
有機過酸化物としては、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキシン−3、2,5−ジメチル−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロルベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロルベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、およびt−ブチルペルオキシドを例示することができる。好ましくは、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンであり、より好ましくは、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキサンである。
【0032】
該有機過酸化物は、液状や粉体、ペレット等のいずれの形状でもよい。また、分散性を良好にするため、架橋反応に不活性な無機フィラー、鉱物油、溶剤等の希釈剤で希釈して用いることがより好ましい。また、その添加方法も液体の状態で添加することがより好ましい。中でもパラフィン系オイルはその取り扱い性、製品への影響を考慮した場合、好ましい希釈剤である。
【0033】
架橋剤として有機過酸化物を使用する場合には、架橋反応の速度を調節するために、架橋助剤と組合せてもよい。
【0034】
架橋助剤としてはN,N’−m−フェニレンビスマレイミド、トルイレンビスマレイミド、p−キノンジオキシム、ニトロベンゼン、ジフェニルグアジン、トリメチロールプロパン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート等があげられるが、中でもN,N’−m−フェニレンビスマレイミド、トリメチロールプロパントリメタクリレートが好ましい。
【0035】
架橋剤として用いられるフェノール樹脂としては、ゴム用架橋剤として一般的に使用されている下式で表される化合物を例示することができる(米国特許3287440号公報および同3709840号公報参照):

式中、nは0〜10の整数であり;XおよびYはそれぞれ独立に水酸基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子であり;Rは炭素原子数1〜15の飽和炭化水素基である。該化合物は、置換フェノールとアルデヒドとをアルカリ触媒で縮重合させることによって製造することができる。
【0036】
上記のフェノール樹脂としてまた、アルキルフェノ−ルホルムアルデヒドや、臭素化アルキルフェノ−ルホルムアルデヒドを例示することができる。
【0037】
架橋剤としてフェノール樹脂を使用する場合には、架橋反応の速度を調節するために、架橋促進剤と組合せてもよい。架橋促進剤として、塩化第一スズおよび塩化第二鉄のような金属ハロゲン化物;ならびに、塩素化ポリプロピレン、臭化ブチルゴムおよびクロロプレンゴムのような有機ハロゲン化物を例示することができる。
【0038】
フェノール樹脂は、金属酸化物(たとえば、酸化亜鉛)およびステアリン酸のような分散剤と組合せて用いることが好ましい。
【0039】
(F)架橋剤の存在下での、(C)オレフィン系ゴム、(D)オレフィン系樹脂および(E)鉱物油との動的熱処理は、バンバリーミキサーのような公知の密閉式混練機;または、押出し機およびオープンロールのような公知の溶融混練機で、溶融状態で混練することにより行われる。溶融混練における温度は、通常150〜250℃であり、時間は通常1〜30分間である。
【0040】
オレフィン系熱可塑性エラストマーの製造における(F)架橋剤の存在下での(C)オレフィン系ゴム、(D)オレフィン系樹脂および(E)鉱物油の動的熱処理においては、必要に応じて、低分子量重合体、顔料や充填剤等の添加剤などを併用してもよい。
【0041】
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、(D)オレフィン系樹脂10〜50重量部、(E)鉱物油5〜60重量部、および(G)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体、水添芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体、および水添共役ジエン化合物重合体からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体20〜70重量部を含有することが好ましく、(D)オレフィン系樹脂20〜40重量部、(E)鉱物油10〜50重量部、および(G)重合体30〜60重量部含有することがより好ましい(但し、成分(D)、(E)および(G)の合計量を100重量部とする)。
(D)オレフィン系樹脂の含有量が多い方がより成形性に優れ、一方、(D)オレフィン系樹脂の含有量が少ない方がより柔軟性に優れる。なお、(D)オレフィン系樹脂、および(E)鉱物油の詳細については、前記の通りである。
【0042】
(G)重合体としては、水添芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体が好ましい。また(G)重合体における芳香族ビニル化合物としては、スチレンが好ましく、共役ジエン化合物としてはブタジエン及びイソプレンが好ましく、(G)のスチレン単位/共役ジエン化合物単位の比率(重量比)は機械的強度、柔軟性をより高める観点から10/90〜50/50が好ましい。スチレン単位が多い(共役ジエン化合物が少ない)方がより機械的強度に優れ、一方、スチレン単位が少ない(共役ジエン化合物が多い)方がより柔軟性に優れる。
【0043】
スチレン系熱可塑性エラストマーの製造方法における動的熱処理は、バンバリーミキサーのような公知の密閉式混練機;または、押出し機およびオープンロールのような公知の溶融混練機で、溶融状態で混練することにより行われる。溶融混練における温度は、通常150〜250℃であり、時間は通常1〜30分間である。
【0044】
アジピン酸アミド(A2)は、好ましくは、N,N’−ジアルキルアジピン酸アミド、またはN,N’−ジアルケニルアジピン酸アミドであり、該アルキル基は好ましくは炭素原子数10〜25のアルキル基であり、該アルケニル基は好ましくは炭素原子数10〜25のアルケニル基である。
炭素原子数10〜25のアルキル基としては、ウンデカニル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ヘプタデカニル基、ステアリル基、アラキジル基、ベヘニル基などがあげられ、炭素原子数10〜25のアルケニル基としては、パルミトレイル基、ヘプタデセニル基、オレイル基、エイコセニル基、エルシル基、リノール基、リノレン基などがあげられる。
アジピン酸アミド(A2)は、好ましくは炭素原子数10〜25、より好ましくは炭素原子数14〜20、さらに好ましくは炭素原子数16〜20のアルケニル基で置換されているN,N’−ジアルケニルアジピン酸アミドであり、もっとも好ましくはジオレイルアジピン酸アミドである。
【0045】
熱可塑性エラストマー(A1)に100重量部に対して、アジピン酸アミド(A2)の添加量は0.01〜3重量部であり、好ましくは0.05〜2重量部であり、更に好ましくは0.2〜1重量部である。
【0046】
アジピン酸アミド(A2)の添加量が少ない場合、ガラスとの貼り付き性の改良効果がなく、添加量が多い場合、ガラス貼り付き性良好となるが、表面にベトツキ感が生じ、ブリードアウトの問題が生じやすい。
【0047】
アジピン酸アミド(A2)を熱可塑性エラストマー(A1)に添加する方法としては、熱可塑性エラストマー(A1)を製造する際の動的熱処理時に添加、または熱可塑性エラストマー(A1)を製造後にバンバリーミキサーのような公知の密閉式混練機;または、押出し機およびオープンロールのような公知の溶融混練機で、溶融状態で混練することにより添加してもよい。
【0048】
本発明における熱可塑性エラストマー(B1)は、前記の熱可塑性エラストマー(A1)と同様のものを用いることができる。
【0049】
本発明における加硫ゴム(B2)は、原料のゴム成分に加硫剤、必要に応じて他の成分を配合して加硫して調製される。
【0050】
原料に用いられるゴム成分としては、エチレン−α−オレフィン系共重合ゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムおよびブチルゴムを例示することができる。中でも、エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムが好ましい。
【0051】
エチレン−α−オレフィン系共重合ゴムは、前記(C)オレフィン系ゴムのエチレン−α−オレフィン系共重合ゴムと同様のものを用いることができる。
【0052】
加硫剤としては、有機過酸化物、フェノール樹脂、硫黄、含硫黄化合物、p−キノン、p−キノンジオキシムの誘導体、ビスマレイミド化合物、エポキシ化合物、シラン化合物、およびアミノ樹脂を例示することができる。中でも、硫黄および含硫黄化合物が好ましい。
【0053】
加硫においては、加硫促進剤を用いていてもよい。加硫促進剤として、n−ブチルアルデヒドとアニリンとの縮合物、ブチルアルデヒドとモノブチルアミンとの縮合物などのアルデヒド−アミン類;ジフェニルグアニジン、ジオルソトリルグアニジンなどのグアニジン類;2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾールなどのチアゾール系;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドなどのスルフェンアミド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィドなどのチウラム類;エチレンチオ尿素、N,N’−ジフェニルチオ尿素などのチオ尿素類;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛などのジチオカルバメート類;ジブチルキサトゲン酸亜鉛などのザンテート類をあげることができる。
【0054】
加硫ゴム(B2)は、カーボンブラック、鉱物油、加工助剤、無機充填剤、老化防止剤、発泡剤などを含有していてもよい。
【0055】
鉱物油とは、アロマ系鉱物油、ナフテン系鉱物油、およびパラフィン系鉱物油のような石油の高沸点留分(平均分子量が300〜1500、流動点が0℃以下)を例示することができる。中でも、パラフィン系鉱物油が好ましい
【0056】
加工助剤としては、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、およびステアリン酸カルシウムを例示することができる。
【0057】
無機充填剤としては、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、およびタルクを例示することができる。
【0058】
老化防止剤としては、フェニルブチルアミン、N,N−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンなどの芳香族第2アミン系老化防止剤;ジブチルヒドロキシトルエン、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジーt−ブチルー4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのフェノール系老化防止剤;ビス[2−メチルー4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィドなどのチオエーテル系老化防止剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケルなどのジチオカルバミン酸塩系老化防止剤;2−メルカプトベンゾイルイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートなどの硫黄系老化防止剤を例示することができる。
【0059】
発泡剤としては、重炭酸ナトリウム(重曹)、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムなどの無機発泡剤;N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)などのニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル(AZBN)、アゾビスシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレートなどのアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド(BSH)、トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホルニルアジドなどのアジド化合物があげられる。
【0060】
また、加硫ゴム(B2)には、樹脂成分を添加することもできる。該樹脂成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、1,2−ポリブタジエン、ポリブテンなどをあげることができる。
【0061】
熱可塑性エラストマー(B1)を成形してなる成形体(B)は押出成形、射出成形、圧縮成形などの公知の方法で成形することにより得られる。
【0062】
加硫ゴム(B2)を成形してなる成形体(B)は、原料のゴム成分を公知の方法で成形、加硫することにより製造される。また、原料のゴム成分に必要に応じて配合される他の成分を配合する場合は、原料のゴム成分と必要に応じて配合される他の成分を、インターナルミキサー(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、インターミックス)またはオープンロールで混練して組成物を調製した後、該組成物を押出成形、射出成形、圧縮成形などの公知の方法で成形、加硫することにより製造される。
【0063】
成形、加硫する方法としては、(1)プレス成形法、インジェクション成形法、トランスファー成形法などの成形法で、組成物を成形すると同時に加硫する方法、(2)押出成形法、カレンダーロール成形法などの成形法によって、組成物を所望の形状を有する成形品に成形し、次いで、該成形品をガラスビーズ流動床およびLCM(熱溶融塩槽)のような装置中、熱空気中、あるいは水蒸気中で加硫する方法、(3)押出成形法、カレンダーロール成形法などの成形法によって、原料のゴム成分あるいは組成物を所望の形状を有する成形品に成形し、次いで、該成形品にUHF(極超短波電磁波)または電子線を照射して加硫する方法を例示することができる。
【0064】
本発明の複合成形体は、熱可塑性エラストマー(A1)と、アジピン酸アミド(A2)とを含有する熱可塑性エラストマー組成物(A’)を成形してなる成形体(A)と、熱可塑性エラストマー(B1)または加硫ゴム(B2)を成形してなる成形体(B)と、が融着されて形成される。
このような複合成形体の製造方法としては、あらかじめ製造した成形体(B)を金型内に装填した後、熱可塑性エラストマー組成物(A’)を前記金型内に注入して、前記成形体(B)と融着する方法が好ましい。
【0065】
本発明の複合成形体を構成する成形体(A)および成形体(B)の形状、ならびに複合成形体の形状については特に制限はないが、自動車内外装材として特に好適に用いられる。
【0066】
本発明の複合成形体は、ウェザーストリップ材として好適であり、特にコーナー部材である成形体(A)と棒状部材である成形体(B)とが融着されてなる本発明の複合成形体は、ガラス貼り付き性に優れているため、ウェザーストリップ材として好適である。
【0067】
本発明のウェザーストリップ材の製造方法としては、予め棒状に押出成形して所定の長さに切断した成形体(B)を金型内に装填した後、射出成型機により、熱可塑性エラストマー組成物(A’)を前記金型内に射出してコーナー部材を形成して、前記成形体(B)と融着する方法、いわゆるインサート成形が好ましい。
【0068】
上記射出成型機としては、通常、スクリュー式、プランジャー式等の射出装置が用いられる。射出速度は、通常、射出率で1〜2000cm/秒、好ましくは10〜1000cm/秒である。熱可塑性エラストマー組成物(A’)を金型内へ導入する際の温度は、好ましくは150〜300℃である。このとき、金型は加熱して用いてもよいし、加熱せずに室温のままで用いてもよい。金型の好ましい温度は、20〜80℃の範囲である。尚、金型は、複合成形体の使用目的、用途等に応じて、その内壁面を平滑性の高いものとしたり、文字、模様等が得られるようにしたりすることができる。また、上記熱可塑性エラストマー組成物(A’)を金型内へ導入する際には、成形体(B)が、予め加熱されていてもよいし、室温のままでもよい。好ましくは、上記金型及び上記成形体(B)が、いずれも、低温状態にあることであり、20〜60℃の範囲にあることが特に好ましい。
【実施例】
【0069】
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0070】
〔ガラス貼り付き性の評価〕
得られた平板から50mm×5mmの試験片を2個打ち抜き、該試験片を70mm×70mm×厚さ3mmのガラス板の上に2cmの間隔で置き、更にガラス板をのせ、該ガラス板をクリップで固定し、サンシャインウェザーメーターで83℃、200時間照射後のガラスとの剥離力を測定した。
【0071】
油展エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合ゴム(EPDM−1)
(ムーニー粘度(ML1+4100℃)=53、エチレン単位の含有量=62.0重量%、プロピレン単位の含有量=28.1重量%、5−エチリデン−2−ノルボルネン単位の含有量=9.9重量%のエチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合ゴム100重量部と、伸展油(出光興産株式会社製 商品名「PW−380」100重量部とから構成される。)
【0072】
プロピレン単独重合体(PP−1)
(MFR(ASTM D1238、230℃、 2.16kg)=0.7g/10min)
【0073】
プロピレン単独重合体(PP−2)
(MFR(JIS K6758、230℃、21.18N)=15g/10min)
【0074】
エチレン−ヘキセン共重合体(PE−1)
(MFR(JIS K6758、230℃、21.18N)=2.3g/10min、密度(JIS K6922−1N)=916kg/m
【0075】
〔実施例1〕
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A’)の製造
ゴム成分として油展エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合ゴム(EPDM−1)75重量部、オレフィン系樹脂としてプロピレン単独重合体(PP−1)25重量部、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(チバスペシャリティケミカルズ製、商品名:Irganox1010)0.1重量部、耐候剤としてジアゾ系耐候安定剤(住友化学株式会社製、商品名:スミソーブ300)0.2重量部、HALS系耐候安定剤(チバスペシャリティケミカルズ製、商品名:Tinuvin622)0.2重量部、架橋助剤(住友化学株式会社製、スミファインBM)0.1重量部、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド(日本化成株式会社製、商品名:スリパックスZOA)0.5重量部、有機過酸化物(化薬アクゾ株式会社製、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンをパラフィン系オイルであるPW−100(出光興産(株)製)で10%に希釈品、商品名:APO−10DL)3.2重量部を、2軸押出機を用いて200±10℃で押出(動的熱処理)して、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A’)を得た。
【0076】
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用い、100ton射出成型機でシリンダー温度220℃、金型温度50℃設定で150mm×90mm×厚さ2mmの平板を作製し、ガラス貼り付き性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0077】
〔比較例1〕
実施例1において、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミドに代えてエルカ酸アミドを用いた以外は実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示した。
【0078】
〔比較例2〕
実施例1において、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミドに代えてオレイン酸アミドを用いた以外は実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示した。
【0079】
〔比較例3〕
実施例1において、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミドに代えてエチレンビスオレイン酸アミドを用いた以外は実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示した。
〔比較例4〕
実施例1において、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド0.5重量部に代えてエチレンビスオレイン酸アミドを0.1重量部にした以外は実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示した。
【0080】
【表1】

【0081】
〔実施例2〕
熱可塑性エラストマーとして、オレフィン系熱可塑性エラストマー(住友化学株式会社製 エスポレックスTPE3782)100重量部に対し、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド(日本化成株式会社製、商品名:スリパックスZOA)0.05重量部をラボプラストミルにて200℃、5分間混練を行い、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A’)を得た。
【0082】
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用い、温度200℃でプレス成形を行い、150mm×150mm×厚さ2mmの平板を作製し、ガラス貼り付き性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0083】
〔実施例3〕
実施例2において、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミドを0.1重量部したこと以外は実施例2と同様に評価を行った。結果を表2に示した。
【0084】
〔実施例4〕
実施例2において、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミドを0.2重量部したこと以外は実施例2と同様に評価を行った。結果を表2に示した。
【0085】
〔実施例5〕
実施例2において、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミドを0.3重量部したこと以外は実施例2と同様に評価を行った。結果を表2に示した。
【0086】
〔比較例5〕
実施例2において、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミドを用いなかったと以外は実施例2と同様に評価を行った。結果を表2に示した。
【0087】
【表2】

【0088】
〔実施例6〕
(1)オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A’)の製造
ゴム成分として油展エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合ゴム(EPDM−1)71重量部、オレフィン系樹脂としてプロピレン単独重合体(PP−2)24重量部、エチレン−ヘキセン共重合体(PE−1)5重量部、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(チバスペシャリティケミカルズ製、商品名:Irganox1010)0.1重量部、耐候剤としてジアゾ系耐候安定剤(住友化学株式会社製、商品名:スミソーブ300)0.2重量部、HALS系耐候安定剤(チバスペシャリティケミカルズ製、商品名:Tinuvin622)0.2重量部、架橋助剤(住友化学株式会社製、スミファインBM)0.1重量部、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド(日本化成株式会社製、商品名:スリパックスZOA)0.5重量部、有機過酸化物(化薬アクゾ株式会社製、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンをパラフィン系オイルであるPW−100(出光興産(株)製)で10%に希釈品、商品名:APO−10DL)3.2重量部を、2軸押出機を用いて200±10℃で押出(動的熱処理)して、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A’)を得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用い、100ton射出成型機でシリンダー温度220℃、金型温度50℃設定で150mm×90mm×厚さ2mmの平板を作製し、ガラス貼り付き性の評価を行った。
(2)複合成形体の製造
オレフィン系熱可塑性エラストマー成形体(B1)として、AES社製商品名121−73W175からなる9cm×3cm×厚さ2mmの板状成形体を用いた。
100ton射出成型機にて、前記オレフィン系熱可塑性エラストマー成形体(B1)を金型に装填し、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A’)をシリンダー温度250℃、金型温度50℃設定で前記金型内に射出し、インサート成形法により、オレフィン系熱可塑性エラストマー成形体(B1)とオレフィン系熱可塑性エラストマー成形体(A‘)が融着された複合成形体を得た。該複合成形体をJIS3号ダンベルで打ち抜き、200mm/minの引張速度で引張り、接着強度を評価した。結果を表3に示す。
【0089】
〔比較例6〕
実施例6において、油展エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合ゴム(EPDM−1))71重量部と、プロピレン単独重合体(PP−2)24重量部と、エチレン−ヘキセン共重合体(PE−1)5重量部に代えて、油展エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合ゴム(EPDM−1)75重量部と、プロピレン単独重合体(PP−1)25重量部とし、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミドを用いなかったと以外は実施例6と同様に評価を行った。結果を表3に示した。
【0090】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性エラストマー(A1)、および該熱可塑性エラストマー(A1)100重量部に対して0.01〜3重量部のアジピン酸アミド(A2)を含有する熱可塑性エラストマー組成物(A’)を成形してなる成形体(A)と、熱可塑性エラストマー(B1)または加硫ゴム(B2)を成形してなる成形体(B)と、が融着されている複合成形体。
【請求項2】
アジピン酸アミド(A2)が、炭素原子数10〜25のアルケニル基で置換されているN,N’−ジアルケニルアジピン酸アミドである請求項1に記載の複合成形体。
【請求項3】
ウェザーストリップ材である請求項1または2に記載の複合成形体。
【請求項4】
成形体(A)がウェザーストリップ材のコーナー部材であり、成形体(B)がウェザーストリップ材の棒状部材である請求項3に記載の複合成形体。
【請求項5】
熱可塑性エラストマー(A1)が、オレフィン系熱可塑性エラストマーまたはスチレン系熱可塑性エラストマーを含有する請求項1〜4のいずれかに記載の複合成形体。
【請求項6】
オレフィン系熱可塑性エラストマーが、
(C)オレフィン系ゴム10〜75重量部、
(D)オレフィン系樹脂10〜50重量部、および
(E)鉱物油0〜60重量部
を含有する組成物(但し、成分(C)、(D)および(E)の合計量を100重量部とする)と、該組成物100重量部に対し
(F)架橋剤0.01〜20重量部
とを含有し、動的熱処理して得られることを特徴とする請求項5記載の複合成形体。
【請求項7】
スチレン系熱可塑性エラストマーが、
(D)オレフィン系樹脂 10〜50重量部、
(E)鉱物油 5〜60重量部、および
(G)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体、水添芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体、および水添共役ジエン化合物重合体からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体20〜70重量部
を含有し、動的熱処理して得られることを特徴とする請求項5記載の複合成形体(但し、成分(D)、(E)および(G)の合計量を100重量部とする)。
【請求項8】
金型内に成形体(B)を装填した後、溶融した熱可塑性エラストマー組成物(A’)を前記金型内に注入して、成形体(B)と成形体(A)とを融着させる、請求項1〜7のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。

【公開番号】特開2011−152743(P2011−152743A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16534(P2010−16534)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】