説明

複合材料およびその製造方法

【課題】複合材料およびその製造方法を提供する。
【解決手段】ホルムアルデヒド非含有の硬化したバインダー組成物を含有する複合材料が開示されている。ホルムアルデヒド非含有のバインダー組成物を含有する複合材料の製造方法および使用方法も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料およびその製造方法に関する。特に、本発明は、ホルムアルデヒド非含有のバインダー組成物を用いた複合材料および前記複合材料を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合材料、例えば繊維構造物(例えば、不織繊維断熱材)および成型品(例えば、ファイバーボードおよびチップボード)の製造は、通常、フェノール−ホルムアルデヒド(PF)樹脂または尿素でエクステンドされたフェノール−ホルムアルデヒド樹脂(PFU)を用いて製造される。
【0003】
PFまたはPFU樹脂の使用に関して考えられる問題は、樹脂の製造中、樹脂を含む複合材料の製造中および複合材料のその後の使用中のホルムアルデヒド放出の可能性である。
【0004】
PFまたはPFU樹脂の一つの代替物は、米国特許出願公開番号2004/0115429(Michlら)において開示されている。Michlらは、繊維状および/または顆粒状基体を結合させる方法であって、a)(i)パートAとして、無水マレイン酸および少なくとも1つのα−オレフィンおよび/またはスチレンから重合される粉末状コポリマー;およびさらに(ii)パートBとして、無水マレイン酸のカルボニル基と反応できる2以上の反応性基を有する少なくとも1つの粉末状クロスリンカー;およびさらに(iii)任意にさらなる添加物質を含有する粉末状のホルムアルデヒド非含有のバインダー組成物;および(b)繊維状および/または顆粒状基体を混合し;c)少なくとも1つの触媒の存在下または非存在下で加熱することにより基体を結合させることを含む方法を開示している。
【特許文献1】米国特許出願公開番号2004/0115429明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
にもかかわらず、ホルムアルデヒド非含有のバインダー組成物を用いて、ホルムアルデヒド非含有の複合材料を製造する新規方法を特定する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様において、(a)繊維、スライバー、チップおよびその組み合わせから選択される基体物質;および(b)硬化したバインダー組成物;を含む複合材料が提供され、ここで、該硬化したバインダー組成物は、水性溶媒、成分Xならびにバインダーポリマー(該バインダーポリマーは成分Yおよび任意の成分Zから重合される)を含む水性バインダー組成物から製造され;ここにおいて、成分Xは少なくとも1つの塩基であり;成分Zはスチレン、スチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、α−オレフィン、α−オレフィン誘導体およびその組み合わせから選択され;ここにおいて、複合材料は、≦40重量%の硬化したバインダー組成物を含み、および硬化したバインダー組成物中の成分Y由来の単位の少なくとも40モル%が、硬化したバインダー組成物における環状無水物基、マレイミド基、置換マレイミド基、またはアミド基の部分を形成する少なくとも1つのカルボニル基を提供する。
【0007】
本発明のもう一つ別の態様において、(a)繊維、スライバー、チップおよびその組み合わせから選択される基体物質;および(b)硬化したバインダー組成物を含む複合材料が提供され、ここで該硬化したバインダー組成物は、水性溶媒、成分Aならびにバインダーポリマー(該バインダーポリマーは成分Yおよび任意の成分Zから重合される)を含む水性バインダー組成物から製造され;ここにおいて、成分Xはアンモニア、水酸化アンモニウム、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよびその組み合わせから選択され;成分Yは、環状無水物、マレイミドおよび置換マレイミドの少なくとも1つであり;成分Zは、スチレン、スチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、α−オレフィン、α−オレフィン誘導体およびその組み合わせから選択され;ここにおいて、複合材料は≦40重量%の硬化したバインダー組成物を含む。
【0008】
本発明のもう一つ別の態様において、本発明の複合材料を含む生成物が提供される。
【0009】
本発明のもう一つ別の態様において、(a)水性溶媒、成分Xならびにバインダーポリマー(該バインダーポリマーは成分Yおよび任意の成分Zから重合される)を含む水性バインダー組成物であって;成分Xが少なくとも1つの塩基であり;成分Yが環状無水物、マレイミドおよび置換マレイミドの少なくとも1つであり;成分Zがスチレン、スチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、α−オレフィン、α−オレフィン誘導体およびその組み合わせから選択され;水性バインダー組成物のpHが≧6である、水性バインダー組成物を提供し;(b)繊維、スライバー、チップ、およびその組み合わせから選択される基体物質を提供し;(c)基体物質を水性バインダー組成物で処理し;(d)水性バインダー組成物を硬化させることを含む複合材料の製造方法が提供され、ここにおいて、前記複合材料は≦40重量%の硬化したバインダー組成物を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる場合、「コポリマー」なる用語は、少なくとも2つの異なるモノマーから重合されるポリマーである。
【0011】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる場合、「ターポリマー」なる用語は、少なくとも3つの異なるモノマーから重合されるポリマーである。
【0012】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる場合、「硬化」なる用語は、例えば、共有化学反応(例えば、架橋)、イオン性相互作用またはクラスター化、基体物質への改善された接着性、相変換および転相、水素結合、およびその組み合わせを介して、バインダー組成物の性質を変えるために十分な化学的または形態学的変化を意味する。
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる場合、「水性」なる用語は、水、ならびに実質的に水と水混和性溶媒からなる混合物を意味する。
【0014】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる場合、「ホルムアルデヒド非含有」なる用語は、実質的にホルムアルデヒドを含まず、かつ乾燥および/または硬化の間に実質的な量のホルムアルデヒドを放出しない組成物を意味する。典型的には、組成物の重量基準で、1ppm未満のホルムアルデヒドがホルムアルデヒド非含有の組成物中に存在する。
【0015】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる「(メタ)アクリル」なる用語は、メタクリルおよびアクリルの両方を包含する。
【0016】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる「(メタ)アクリレート」なる用語は、メタクリレートおよびアクリレートの両方を包含する。
【0017】
本発明のいくつかの具体例において、複合材料は、0.5〜40重量%、あるいは1〜40重量%、あるいは1〜30重量%、あるいは<25重量%、あるいは1〜20重量%、あるいは5〜15重量%の硬化したバインダー組成物を含む。
【0018】
本発明のいくつかの具体例において、硬化したバインダー組成物は、0〜<5重量%;あるいは0〜≦4重量%;あるいは0〜≦3重量%;あるいは0〜≦2.5重量%;あるいは0〜≦2重量%;あるいは0〜≦1重量%;あるいは0〜≦0.5重量%;あるいは0〜≦0.1重量%(固形分基準)の架橋剤由来の単位を含有し、ここにおいて、架橋剤は、成分Yおよび任意の成分Z(該成分Zは成分Yの少なくとも1つの環状無水物のカルボニル基と反応できる少なくとも2個の反応性基を含有する)以外の物質である。
【0019】
本発明のいくつかの具体例において、基体物質は、繊維、スライバー、チップおよびその組み合わせから選択される。これらの具体例のいくつかの態様において、基体物質は「耐熱性」である。本明細書および添付の特許請求の範囲において基体物質についての言及において用いられる「耐熱性」なる用語は、基体物質が、≧100℃、あるいは≧120℃、あるいは100℃〜350℃の温度に、少なくとも3秒間;あるいは少なくとも30分間さらされることにより実質的に影響を受けないことを意味する。
【0020】
本発明のいくつかの具体例において、複合材料は繊維である。これらの具体例のいくつかの態様において、繊維は、天然繊維(例えば、サイザル麻、黄麻、大麻、亜麻、綿、ココナツ繊維、バナナ繊維);動物繊維(例えば、羊毛、毛);プラスチック繊維(例えば、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維);ガラス繊維;ガラスウール;鉱物繊維;鉱物ウール;合成無機繊維(例えば、アラミド繊維、炭素繊維):およびその組み合わせから選択される。これらの具体例のいくつかの態様において、繊維は、セルロース繊維、酢酸セルロース繊維ならびにセルロースのエステルおよびエーテルの繊維を包含しうる。これらの具体例のいくつかの態様において、繊維は、鉱物繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、炭素繊維、ポリイミド繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ガラス繊維、ガラスウール、鉱物ウールおよびその組み合わせから選択される。これらの具体例のいくつかの態様において、繊維は、ガラス繊維、ガラスウール、鉱物ウールおよびその組み合わせから選択される。これらの具体例のいくつかの態様において、繊維はガラス繊維である。これらの具体例のいくつかの態様において、繊維は耐熱性である。
【0021】
本発明のいくつかの具体例において、基体物質は、繊維、スライバー、チップおよびその組み合わせから選択され、ここにおいて、繊維、スライバーおよびチップは、木材、金属、金属酸化物、プラスチック、鉱物、ガラスおよびその組み合わせからなる。これらの具体例のいくつかの態様において、繊維、スライバー、チップおよびその組み合わせは耐熱性である。
【0022】
本発明のいくつかの具体例において、成分Yは環状無水物、マレイミドおよび置換マレイミドの少なくとも1つである。これらの具体例のいくつかの態様において、成分Yは、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、マレイミドおよび置換マレイミドの少なくとも1つである。これらの具体例のいくつかの態様において、Yは無水マレイン酸である。これらの具体例のいくつかの態様において、成分Yは無水イタコン酸である。これらの具体例のいくつかの態様において、成分Yは無水シトラコン酸である。これらの具体例のいくつかの態様において、成分Yはマレイミドである。
【0023】
本発明のいくつかの具体例において、成分Zは、スチレン、スチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、α−オレフィン、α−オレフィン誘導体およびその組み合わせから選択される。これらの具体例のいくつかの態様において、成分Zは、C−C32α−オレフィン、スチレン、スチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレートおよびその組み合わせから選択される。これらの具体例のいくつかの態様において、成分Zは、C−C16α−オレフィン、スチレン、スチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレートおよびその組み合わせから選択される。これらの具体例のいくつかの態様において、成分Zは、C−Cα−オレフィン、スチレン、スチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレートおよびその組み合わせから選択される。これらの具体例のいくつかの態様において、成分Zは、イソブテン、ジイソブテン、スチレンおよびその組み合わせから選択される。
【0024】
本発明のいくつかの具体例において、バインダーポリマーはスチレン/無水マレイン酸コポリマーである。
【0025】
本発明のいくつかの具体例において、バインダーポリマーはイソブチレン/無水マレイン酸コポリマーである。
【0026】
本発明のいくつかの具体例において、バインダーポリマーはイソブチレン/無水マレイン酸/マレイミドターポリマーである。
【0027】
本発明のいくつかの具体例において、バインダーポリマーはポリマレイン酸無水物ポリマーである。
【0028】
本発明のいくつかの具体例において、成分Xは、水性バインダー組成物のpHを上昇させるのに役立つ。これらの具体例のいくつかの態様において、6以上;あるいは6〜12;あるいは7〜12;あるいは8〜10のpHを有する水性バインダー組成物を提供するために十分な量の成分Xが添加される。
【0029】
本発明のいくつかの具体例において、成分Xは、バインダーポリマーの水性溶液中の溶解度または分散性を促進するのに役立つ。
【0030】
本発明のいくつかの具体例において、成分Xは、成分Yおよび任意の成分Zの重合後に水性バインダー組成物に添加されて、バインダーポリマーが形成される。
【0031】
本発明のいくつかの具体例において、成分Xは少なくとも1つの塩基である。これらの具体例のいくつかの態様において、成分Xは、アンモニア;水酸化アンモニウム;メチルアミン;エチルアミン;プロピルアミン;ジプロパノールアミン;ブチルアミン;2−アミノ−2−メチルアミン;2−アミノ−1−ブタノール;2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール;2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール;エタノールアミン;ジエタノールアミン;トリエタノールアミン;トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン;アミノシラン;水酸化ナトリウム;水酸化カリウムおよびテトラメチルアンモニウムヒドロキシドから選択される少なくとも1つの塩基である。これらの具体例のいくつかの態様において、成分Xは、アンモニア、水酸化アンモニウム、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびテトラメチルアンモニウムヒドロキシドから選択される少なくとも1つの塩基である。
【0032】
本発明のいくつかの具体例において、水性バインダー組成物は、0〜95重量%、あるいは10〜80重量%、あるいは20〜60重量%、あるいは40〜60重量%(固形分基準)の成分Xを含む。
【0033】
本発明のいくつかの具体例において,水性バインダー組成物は、さらに架橋剤を含むことができる。これらの具体例のいくつかの態様において、水性バインダー組成物は、0〜95重量%;あるいは10〜80重量%;あるいは20〜60重量%;あるいは40〜60重量%;あるいは0〜<5重量%;あるいは0〜≦4重量%;あるいは0〜≦3重量%;あるいは0〜≦2.5重量%;あるいは0〜≦2重量%;あるいは0〜≦1重量%;あるいは0〜≦0.5重量%;あるいは0〜≦0.1重量%(固形分基準)の架橋剤を含む。これらの具体例のいくつかの態様において、水性バインダー組成物は、ヒドロキシアミド、エチレンジアミン、リシン、エポキシド、アミノアルコール、オキサゾリン、ポリアミン、オキサゾリジン、グリセロールカーボネート、プロピレンカーボネート、ポリブタンジオールビス(アミノベンゾエート)、ジエチレントリアミンおよびその組み合わせから選択される架橋剤をさらに含むことができる。
【0034】
本発明のいくつかの具体例において、バインダー組成物はさらにシランカップリング剤を含むことができる。本発明に関する使用に好適なシランカップリング剤は、段階反応コポリマーおよび基体物質と適合性である任意の慣用のシランカップリング剤を包含する。これらの具体例のいくつかの態様において、バインダー組成物は、0.05〜2重量%;あるいは0.1〜2重量%;あるいは0.1〜0.5重量%(バインダー固形分基準)のシランカップリング剤を含むことができる。これらの具体例のいくつかの態様において、シランカップリング剤は、アミノプロピルシラン、トリメトキシシラン、エポキシ含有シランおよびその組み合わせから選択される。いくつかの代表的シランカップリング剤としては、例えば、Dow−Corning Corporationから入手可能なオルガノシリコン油;Petrarch Systemsから入手可能なA0700、A0750およびA0800;Dow Chemical Corporationから入手可能なA1160;GE Silicones−−OSi Specialtiesから入手可能なSilquest(商標)A−187;およびその組み合わせが挙げられる。
【0035】
本発明のいくつかの具体例において、バインダー組成物は、添加剤をさらに含むことができる。本発明に関する使用に好適な添加剤は、段階反応コポリマーおよび基体物質と適合性の任意の慣用の添加剤を包含する。これらの具体例のいくつかの態様において、バインダー組成物は、任意の添加剤をさらに含むことができ、ここにおいて、添加剤は、促進剤(例えば、リン含有促進剤);乳化剤;顔料;充填剤;増量剤(例えば、尿素および炭水化物、例えば、セルロースおよび糖);移動防止助剤;硬化剤;造膜助剤;界面活性剤(例えば、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤および両性イオン性界面活性剤);展着剤;ダスト抑制剤(例えば、鉱油ダスト抑制剤);殺生剤;可塑剤;オルガノシラン;消泡剤(例えば、ジメチコン、シリコーン油およびエトキシル化非イオン体);腐食抑制剤(例えば、pH<4で有効な腐食抑制剤、例えば、チオ尿素、シュウ酸塩およびクロム酸塩);着色剤;静電防止剤;潤滑剤;ワックス;酸化防止剤;カップリング剤(例えば、Dow−Corning Corporationから入手可能なオルガノシリコン油;Petrarch Systemsから入手可能なA0700、A0750およびA0800;Dow Chemical Corporationから入手可能なA1160;GE Silicones−−OSi Specialtiesから入手可能なSilquest A−187);ポリマー;防水剤(例えば、シリコーンおよびエマルジョンポリマー、例えば、共重合単位として、エマルジョンポリマー固形分の重量基準で30重量%を超える、C以上のアルキル基を含有するエチレン性不飽和アクリルモノマーを含有するエマルジョンポリマー);湿潤剤;リグニン;およびその組み合わせから選択される。
【0036】
本発明のいくつかの具体例において、水性バインダー組成物は、さらにエマルジョンポリマーを含むことができる。本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる「エマルジョンポリマー」なる用語は、水性媒体中に分散されたポリマーであって、乳化重合技術により製造されたものである。これらの具体例のいくつかの態様において、エマルジョンポリマーは、例えば、重合したエチレン性不飽和(メタ)アクリルモノマーを含むコポリマーから選択することができる。
【0037】
本発明のいくつかの具体例において、バインダーポリマーは、1:0〜1:3モル比の成分Yと任意の成分Zを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、バインダーポリマーは、1:0.01〜1:3モル比の成分Yと成分Zを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、バインダーポリマーは、1:0.1〜1:3モル比の成分Yと成分Zを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、バインダーポリマーは、1:0.5〜1:3モル比の成分Yと成分Zを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、バインダーポリマーは1:1〜1:3モル比の成分Yと成分Zを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、バインダーポリマーは1:1〜1:2モル比の成分Yと成分Zを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、バインダーポリマーは1:1〜1:<2モル比の成分Yと成分Zを含む。
【0038】
本発明のいくつかの具体例において、水性バインダー組成物は、1:≧0.6モル比の成分Yと成分Xを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、水性バインダー組成物は1:0.6〜1:3モル比の成分Yと成分Xを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、水性バインダー組成物は1:>0.6〜1:3モル比の成分Yと成分Xを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、水性バインダー組成物は1:0.7〜1:2モル比の成分Yと成分Xを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、水性バインダー組成物は1:0.8〜1:2モル比の成分Yと成分Xを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、水性バインダー組成物は1:0.9〜1:2モル比の成分Yと成分Xを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、水性バインダー組成物は1:1〜1:<2モル比の成分Yと成分Xを含む。
【0039】
本発明のいくつかの具体例において、バインダーポリマーは≦100000;あるいは100〜100000;あるいは1000〜75000;あるいは2500〜50000;あるいは2500〜20000の重量平均分子量Mを有する。
【0040】
本発明のいくつかの具体例において、水性バインダー組成物は、1〜80重量%の固形分を含む。これらの具体例のいくつかの態様において、水性バインダー組成物は、2〜50重量%;あるいは3〜30重量%;あるいは4〜10重量%の固形分を含む。
【0041】
本発明のいくつかの具体例において、水性バインダー組成物はリン含有促進剤を含まない。
【0042】
本発明のいくつかの具体例において、水性バインダー組成物はリン含有促進剤を含む。
【0043】
本発明のいくつかの具体例において、硬化したバインダー組成物中の成分Y由来の単位の少なくとも40モル%は、硬化したバインダー組成物中の環状無水物基、マレイミド基、置換マレイミド基またはアミド基の部分を形成する少なくとも1つのカルボニル基を提供する。これらの具体例のいくつかの態様において、硬化したバインダー組成物中の少なくとも50モル%;あるいは少なくとも60モル%;あるいは少なくとも70モル%;あるいは少なくとも75モル%;あるいは少なくとも80%;あるいは少なくとも90モル%;あるいは少なくとも95モル%;あるいは少なくとも97モル%;あるいは少なくとも98モル%;あるいは少なくとも99モル%の成分Y由来の単位が、硬化したバインダー組成物中の環状無水物基、マレイミド基、置換マレイミド基またはアミド基の部分を形成する少なくとも1つのカルボニル基を提供する。
【0044】
本発明のいくつかの具体例において、硬化したバインダー組成物は、複合材料の適度な輸送および使用中の変形を許容するために十分な弾性および厚さ回復性を有する強力な結合を提供する。
【0045】
本発明のいくつかの具体例において、複合材料は、湿潤条件下で膨潤しないように耐湿性である。
【0046】
本発明のいくつかの具体例において、バインダー組成物は、無臭で、本発明の複合材料の製造処理の間に接触する金属に対して非腐食性である。
【0047】
本発明のいくつかの具体例において、バインダー組成物はホルムアルデヒド非含有である。
【0048】
本発明のいくつかの具体例において、複合材料はホルムアルデヒド非含有である。
【0049】
本発明のいくつかの具体例において、複合材料を製造する方法は、(a)水性バインダー組成物を提供することを含み、ここにおいて、水性バインダー組成物は、水性溶媒、成分Xならびにバインダーポリマー(該バインダーポリマーは成分Yおよび任意の成分Zから重合される)を含み;成分Yは、環状無水物、マレイミドおよび置換マレイミドの少なくとも1つである。これらの具体例のいくつかの態様において、成分Yは無水マレイン酸である。これらの具体例のいくつかの態様において、成分Yは無水イタコン酸である。これらの具体例のいくつかの態様において、成分Yは無水シトラコン酸である。これらの具体例のいくつかの態様において、成分Yはマレイミドである。これらの具体例のいくつかの態様において、成分Yは置換マレイミドである。
【0050】
本発明のいくつかの具体例において、複合材料を製造する方法は:(a)水性バインダー組成物を提供することを含み、ここにおいて、水性バインダー組成物は、水性溶媒、成分Xならびにバインダーポリマー(該バインダーポリマーは成分Yおよび任意の成分Zから重合される)を含み;ここにおいて、成分Zは、スチレン、スチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、α−オレフィンおよびα−オレフィン誘導体の少なくとも1つである。これらの具体例のいくつかの態様において、成分Zは、C−C32α−オレフィン、スチレン、スチレン誘導体およびアルキル(メタ)アクリレートの少なくとも1つである。これらの具体例のいくつかの態様において、成分Zは、C−C16α−オレフィン、スチレン、スチレン誘導体およびアルキル(メタ)アクリレートの少なくとも1つである。これらの具体例のいくつかの態様において、成分Zは、C−Cα−オレフィン、スチレン、スチレン誘導体およびアルキル(メタ)アクリレートの少なくとも1つである。これらの具体例のいくつかの態様において、成分Zは、イソブテン、ジイソブチレン、メトキシエテン、スチレン、スチレン誘導体およびアルキル(メタ)アクリレートの少なくとも1つである。これらの具体例のいくつかの態様において、成分Zは、イソブテン、ジイソブチレン、メトキシエテンおよびスチレンの少なくとも1つである。
【0051】
本発明のいくつかの具体例において、複合材料を製造する方法は:(a)水性バインダー組成物を提供することを含み、ここにおいて、水性バインダー組成物は、水性溶媒、成分Xおよびバインダーポリマーを含み、ここにおいて、バインダーポリマーはスチレン/無水マレイン酸コポリマーである。
【0052】
本発明のいくつかの具体例において、複合材料を製造する方法は:(a)水性バインダー組成物を提供することを含み、ここにおいて、水性バインダー組成物は、水性溶媒、成分Xおよびバインダーポリマーを含み、ここにおいて、バインダーポリマーはイソブチレン/無水マレイン酸コポリマーである。
【0053】
本発明のいくつかの具体例において、複合材料を製造する方法は:(a)水性バインダー組成物を提供することを含み、ここにおいて、水性バインダー組成物は、水性溶媒、成分Xおよびバインダーポリマーを含み、ここにおいて、バインダーポリマーはイソブチレン/無水マレイン酸/マレイミドターポリマーである。
【0054】
本発明のいくつかの具体例において、複合材料を製造する方法は:(a)水性バインダー組成物を提供することを含み、ここにおいて、水性バインダー組成物は、水性溶媒、成分Xおよびバインダーポリマーを含み、ここにおいて、バインダーポリマーはポリマレイン酸無水物ポリマーである。
【0055】
本発明のいくつかの具体例において、複合材料の製造方法は:(a)水性バインダー組成物を提供することを含み、ここにおいて、水性バインダー組成物は、水性溶媒、成分Xならびにバインダーポリマー(該バインダーポリマーは成分Yおよび任意の成分Zから重合される)を含み;ここにおいて、成分Xは少なくとも1つの塩基である。これらの具体例のいくつかの態様において、成分Xは、アンモニア;水酸化アンモニウム;メチルアミン;エチルアミン;プロピルアミン;ジプロパノールアミン;ブチルアミン;2−アミノ−2−メチルアミン;2−アミノ−1−ブタノール;2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール;エタノールアミン;ジエタノールアミン;トリエタノールアミン;2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール;トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン;アミノシラン;水酸化ナトリウム;水酸化カリウムおよびテトラメチルアンモニウムヒドロキシドから選択される少なくとも1つの塩基である。これらの具体例のいくつかの態様において、成分Xは、アンモニア、水酸化アンモニウム、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびテトラメチルアンモニウムヒドロキシドから選択される少なくとも1つの塩基である。
【0056】
本発明のいくつかの具体例において、水性バインダー組成物中に存在する水は、複合材料を製造するための処理の間に実質的に除去することができる。水の除去(乾燥)は、硬化に続いて、または硬化と同時に行うことができる。すなわち、水性バインダー組成物の乾燥および硬化は、一工程段階において行うこともできるし、あるいは2以上の異なった工程段階において行うこともできる。
【0057】
本発明のいくつかの具体例において、方法は、架橋剤を水性バインダー組成物に添加することを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、水性バインダー組成物は、0〜95重量%;あるいは10〜80重量%;あるいは20〜60重量%;あるいは40〜60重量%;あるいは0〜<5重量%(固形分基準)の架橋剤を含む。これらの具体例のいくつかの態様において、架橋剤は、ヒドロキシアミド、エチレンジアミン、リシン、エポキシド、オキサゾリン、ポリアミン、アミノアルコール、オキサゾリジン、グリセロールカーボネート、プロピレンカーボネート、ポリブタンジオールビス(アミノベンゾエート)、ジエチレントリアミンおよびその組み合わせから選択される。
【0058】
本発明のいくつかの具体例において、複合材料の製造方法は:(a)水性バインダー組成物を提供することを含み、ここにおいて、水性バインダー組成物は、水性溶媒、成分Xおよびバインダーポリマーを含み、ここにおいて、バインダーポリマーは、1:0〜1:3モル比の成分Yと任意の成分Zを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、バインダーポリマーは、1:0.01〜1:3モル比の成分Yと成分Zを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、バインダーポリマーは、1:0.1〜1:3モル比の成分Yと成分Zを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、バインダーポリマーは、1:0.5〜1:3モル比の成分Yと成分Zを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、バインダーポリマーは、1:1〜1:3モル比の成分Yと成分Zを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、バインダーポリマーは、1:1〜1:2モル比の成分Yと成分Zを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、バインダーポリマーは、1:1〜1:<2モル比の成分Yと成分Zを含む。
【0059】
本発明のいくつかの具体例において、方法は、1〜80重量%の固形分を含む水性バインダー組成物を提供することを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、水性バインダー組成物は、2〜50重量%の固形分;あるいは3〜30重量%の固形分;あるいは4〜10重量%の固形分を含む。
【0060】
本発明のいくつかの具体例において、複合材料の製造方法は:(a)水性バインダー組成物を提供することを含み、ここにおいて、水性バインダー組成物は、水性溶媒、成分Xならびにバインダーポリマー(該バインダーポリマーは成分Yおよび任意の成分Zから重合される)を含み;水性バインダー組成物は1:>0.6モル比の成分Yと成分Xを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、水性バインダー組成物は、1:0.6〜1:3モル比の成分Yと成分Xを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、水性バインダー組成物は、1:>0.6〜1:3モル比の成分Yと成分Xを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、水性バインダー組成物は、1:0.7〜1:2モル比の成分Yと成分Xを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、水性バインダー組成物は、1:0.8〜1:2モル比の成分Yと成分Xを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、水性バインダー組成物は、1:0.9〜1:2モル比の成分Yと成分Xを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、水性バインダー組成物は、1:1〜1:<2モル比の成分Yと成分Xを含む。
【0061】
本発明のいくつかの具体例において、方法は:シランカップリング剤を水性バインダー組成物に添加することをさらに含む。これらの具体例のいくつかの態様において、0.05〜2重量%;あるいは0.1〜2重量%、0.1〜0.5重量%(固形分基準)のシランカップリング剤を含むバインダー組成物を提供するために十分な量のシランカップリング剤が水性バインダー組成物に添加される。
【0062】
本発明のいくつかの具体例において、方法はさらに:添加剤を水性バインダー組成物に添加することを含み、ここにおいて、添加剤は、水性バインダー組成物および基体物質と適合性である任意の慣用の添加剤から選択される。これらの具体例のいくつかの態様において、方法はさらに:添加剤を水性バインダー組成物に添加することを含み、ここにおいて、添加剤は、促進剤(例えば、リン含有促進剤);乳化剤;顔料;充填剤;増量剤(例えば、尿素および炭水化物、例えば、セルロースおよび糖);移動防止助剤;硬化剤;造膜助剤;界面活性剤(例えば、非イオン性界面活性剤);展着剤;ダスト抑制剤(例えば、鉱油ダスト抑制剤);殺生剤;可塑剤;オルガノシラン;消泡剤(例えば、ジメチコン、シリコーン油およびエトキシル化非イオン体);腐食防止剤(例えば、pH<4で有効な腐食防止剤、例えば、チオ尿素、シュウ酸塩およびクロム酸塩);着色剤;静電防止剤;潤滑剤;ワックス;酸化防止剤;カップリング剤(例えば、Dow−Corning Corporationから入手可能なオルガノシリコン油;Petrarch Systemsから入手可能なA0700、A0750およびA0800;Dow Chemical Corporationから入手可能なA1160;GE Silicones−−OSi Specialtiesから入手可能なSilquest A−187);ポリマー;防水剤(例えば、シリコーンおよびエマルジョンポリマー、例えば、共重合単位として、エマルジョンポリマー固形分の重量基準で30重量%を超える、C以上のアルキル基を含有するエチレン性不飽和アクリルモノマーを含有するエマルジョンポリマー);湿潤剤;リグニン;およびその組み合わせから選択される。
【0063】
本発明のいくつかの具体例において、複合材料の製造方法は:(a)水性バインダー組成物を提供することを含み、ここにおいて、水性バインダー組成物は、水性溶媒、成分Xならびにバインダーポリマー(該バインダーポリマーは成分Yおよび任意の成分Zから重合される)を含み、水性バインダー組成物はリン含有促進剤を含まない。
【0064】
本発明のいくつかの具体例において、複合材料の製造方法は:(a)水性バインダー組成物を提供することを含み、ここにおいて、水性バインダー組成物は、水性溶媒、成分Xならびにバインダーポリマー(該バインダーポリマーは成分Yおよび任意の成分Zから重合される)を含み;水性バインダー組成物は、≧0.5重量%(固形分基準)のリン含有促進剤を含む。これらの具体例のいくつかの態様において、水性バインダー組成物は、≧1重量%;あるいは1〜10重量%(固形分基準)のリン含有促進剤を含む。
【0065】
本発明のいくつかの具体例において、水性バインダー組成物は、基体物質のコーティング、基体物質のサイジング、基体物質の飽和、基体物質の接着またはその組み合わせの目的で、基体物質に施用される。
【0066】
本発明のいくつかの具体例において、水性バインダー組成物は、例えば、エアまたはエアレススプレー、パッディング、飽和、ロールコーティング、カーテンコーティング、ビーター堆積、凝集およびその組み合わせをはじめとする慣用の技術により基体物質に施用される。
【0067】
本発明のいくつかの具体例において、水性バインダー組成物は、硬化したバインダー組成物が、0.5〜40重量%、あるいは1〜40重量%、あるいは1〜30重量%、あるいは1〜20重量%、あるいは5〜15重量%の複合材料を構成するために十分な量で基体物質に施用される。
【0068】
本発明のいくつかの具体例において、(d)80℃より高い温度;あるいは80〜200℃、あるいは80〜150℃、あるいは80〜100℃の温度に;≧3秒、あるいは3秒〜30分、あるいは3秒〜15分間、(c)の生成物を付すことにより、水性バインダー組成物を乾燥および/または硬化させる。
【0069】
本発明のいくつかの具体例において、バインダー組成物は、基体物質に施用される4時間以上前にバインダー組成物の製造を容易にするために十分安定である。
【0070】
本発明のいくつかの具体例において、本発明の複合材料は、様々な生成物として、または様々な生成物において使用することができる。これらの具体例のいくつかの態様において、これらの生成物は、例えば、断熱材、屋根材または床材用強化マット、ロービング、プリント回路板のためのマイクロガラス系基体物質、バッテリーセパレーターのためのマイクロガラス系基体物質、フィルターストック、テープストック、セメントまたは非セメント質石造コーティングのための強化スクリム、天井タイル、セルロース系屋根瓦、ウィンドートリートメントおよび壁装材を包含する。これらの具体例のいくつかの態様において、生成物は、チップボード、ファイバーボード、自動車内装用内張、断熱材およびファイバーウェブ物質から選択される。これらの具体例のいくつかの態様において、生成物は、「耐熱性生成物」である。本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる場合、「耐熱性生成物」なる用語は、耐熱性物質を含有する生成物である。これらの具体例のいくつかの態様において、耐熱性生成物は耐熱性繊維断熱生成物である。本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる場合、「耐熱性繊維断熱生成物」なる用語は、耐熱性繊維基体物質を含有する断熱生成物である。これらの具体例のいくつかの態様において、耐熱性繊維断熱生成物は、マットまたはブランケットの形態において提供される。「マット」および「ブランケット」なる用語は、本明細書および添付の特許請求の範囲において、異なる厚さおよび密度の範囲を示す、耐熱性繊維含有複合材料を包含するために使用される。いくつかの具体例において、これらのマットまたはブランケットは、絡み合った短繊維、連続長繊維またはその組み合わせを含むことができる。
【0071】
理論により限定されることを望まないが、バインダーポリマー中の水性バインダー組成物成分Y由来の単位は、成分Xと反応し、その結果、バインダーポリマー(該バインダーポリマーは成分Yおよび任意の成分Zから重合される)のTが低下する。水性バインダー組成物がその後、乾燥/硬化される場合、これは反応し、その結果、Tが上昇する。例えば、反応スキーム1〜3参照。
【0072】
【化1】

【0073】
【化2】

【0074】
【化3】

【0075】
本発明のいくつかの具体例は以下の実施例において詳細に説明される。以下の実施例において記載されるすべての比および百分率は、他に特に記載しない限り重量基準である。
【実施例】
【0076】
実施例1 水性バインダー組成物の合成
500mlのスターラーを含有する四つ口フラスコに、100グラムのDI水、100グラムの1:1スチレン/無水マレイン酸コポリマー(1600の数平均分子量Mを有する)および100グラムの水酸化アンモニウムの27%水性溶液を添加した。この混合物を一夜撹拌して、完全に溶解させた。この溶液のpHは10であった。
【0077】
実施例2 水性バインダー組成物の合成
500mlのスターラーを含有する四つ口フラスコに、100グラムのDI水、100グラムの1:1イソブチレン/無水マレイン酸コポリマー(1700の数平均分子量M、6000の重量平均分子量Mを有する)および100グラムの水酸化アンモニウムの27%水性溶液を添加した。この混合物を一夜撹拌して、完全に溶解させた。この溶液のpHは10であった。
【0078】
実施例3 水性バインダー組成物の合成
500mlのスターラーを含有する四つ口フラスコに、100グラムのDI水、100グラムの1:0.5:0.5のイソブチレン/無水マレイン酸/マレイミドターポリマー(60000の重量平均分子量Mを有する)および100グラムの水酸化アンモニウムの27%水性溶液を添加した。この混合物を一夜撹拌して、完全に溶解させた。この溶液のpHは10であった。
【0079】
実施例4 水性バインダー組成物の合成
10グラムの実施例1のサンプルに、1.10グラムのリシンを添加した。
【0080】
実施例5 水性バインダー組成物の合成
10グラムの実施例1のサンプルに、ブチロラクトンおよびジエタノールアミンの反応から製造される、1.5グラムのヒドロキシアルキルアミドを添加した。
【0081】
実施例6 水性バインダー組成物の合成
500mlのスターラーを含有する四つ口フラスコに、100グラムのDI水、30グラムの1:1イソブチレン/無水マレイン酸コポリマー(1700の数平均分子量M、6000の重量平均分子量を有する)および22グラムのジエタノールアミンを添加した。この混合物を撹拌しながら95℃で4時間加熱して、完全に溶解させた。この溶液のpHは6.5であった。
【0082】
実施例7 水性バインダー組成物の合成
500mlのスターラーを含有する四つ口フラスコに、100グラムのDI水、60グラムのポリマレイン酸無水物ポリマーの50重量%キシレン中溶液(300〜800の重量平均分子量Mを有する)および10グラムのジエタノールアミンを添加する。この混合物を95℃で4時間加熱し、バインダーを含有する水性相を回収する。
【0083】
実施例8 ファイバーガラス濾紙基体上の動的機械試験
使用した装置
二重カンチレバークランプを用いた、TA Instruments,Incから、#DMA2980型として入手可能な動的機械分析器(DMA)。この形状において、試験サンプルを3点で固定し、中点は所定の振動数で振動していた。架橋が試験サンプルにおいて起こると、この試験サンプルは増大した寸法安定性を示し、中点の振動は弱まった。この減衰挙動は、DMAにより出力された応答シグナルに変換された。
【0084】
試験条件:
次の分析を行うために使用した温度勾配は、30℃から250℃まで4℃/分であった。
【0085】
次の分析を行うための試験サンプルを製造するために使用した基体物質は、2片の区画されたWhatman(登録商標)GF/B濾紙(0.5”×1.34”)であった。この基体物質に、約0.300g(濾紙1片あたり約4滴)の、ポリマーを含有する水性溶液(約30重量%)を添加して、分析用試験サンプルを得た。これらの試験サンプルの分析結果を表1に示す。
【0086】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)繊維、スライバー、チップおよびその組み合わせから選択される基体物質;および
(b)硬化したバインダー組成物:
を含む複合材料であって、
ここで、該硬化したバインダー組成物は、水性溶媒、成分Xならびにバインダーポリマー(該バインダーポリマーは成分Yおよび任意の成分Zから重合される)を含む水性バインダー組成物から製造され;成分Xは、少なくとも1つの塩基であり;成分Yは、環状無水物、マレイミドおよび置換マレイミドの少なくとも1つであり;および、成分Zは、スチレン、スチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、α−オレフィン、α−オレフィン誘導体およびその組み合わせから選択され;および
ここで、該複合材料は、≦40重量%の硬化したバインダー組成物を含み;および、硬化したバインダー組成物中の成分Y由来の単位の少なくとも40モル%が、硬化したバインダー組成物における環状無水物基、マレイミド基、置換マレイミド基、またはアミド基の部分を形成する少なくとも1つのカルボニル基を提供する:
複合材料。
【請求項2】
(a)繊維、スライバー、チップおよびその組み合わせから選択される基体物質;および
(b)硬化したバインダー組成物:
を含む複合材料であって;
ここで、該硬化したバインダー組成物は、水性溶媒、成分Aならびにバインダーポリマー(該バインダーポリマーは成分Yおよび任意の成分Zから重合される)を含む水性バインダー組成物から製造され;成分Xは、アンモニア、水酸化アンモニウム、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよびその組み合わせから選択され;成分Yは、環状無水物、マレイミドおよび置換マレイミドの少なくとも1つであり;および、成分Zは、スチレン、スチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、α−オレフィン、α−オレフィン誘導体およびその組み合わせから選択され;および
ここで、複合材料が、≦40重量%の硬化したバインダー組成物を含む:
複合材料。
【請求項3】
成分Xが、アンモニア、水酸化アンモニウム、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、およびその組み合わせから選択される塩基である請求項2記載の複合材料。
【請求項4】
水性バインダー組成物が、ヒドロキシアミド、エチレンジアミン、リシン、アミノアルコール、エポキシド、オキサゾリン、ポリアミン、オキサゾリジン、グリセロールカーボネート、プロピレンカーボネート、ポリブタンジオールビスアミノベンゾエート、ジエチレントリアミンおよびその組み合わせから選択される架橋剤をさらに含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項5】
水性バインダー組成物がさらにシランカップリング剤を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項6】
水性バインダー組成物がさらに添加剤を含み、ここにおいて、前記添加剤が、促進剤、乳化剤、顔料、充填剤、増量剤、移動防止助剤、硬化剤、造膜助剤、界面活性剤、展着剤、ダスト抑制剤、殺生剤、可塑剤、オルガノシラン、消泡剤、腐食抑制剤、着色剤、静電防止剤、潤滑剤、ワックス、酸化防止剤、カップリング剤、ポリマー、防水剤、湿潤剤、リグニン、およびその組み合わせから選択される請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合材料を含む生成物。
【請求項8】
生成物が、チップボード、ファイバーボード、自動車内装用内張、断熱材およびファイバーウェブから選択される請求項7記載の生成物。
【請求項9】
生成物が、断熱材、屋根材または床材用強化マット、ロービング、プリント回路板のためのマイクロガラス系基体物質、バッテリーセパレーターのためのマイクロガラス系基体物質、フィルターストック、テープストック、セメントまたは非セメント質石造コーティングのための強化スクリム、天井タイル、セルロース系屋根瓦、ウィンドートリートメントおよび壁装材から選択される請求項7記載の生成物。
【請求項10】
(a)水性溶媒、成分Xならびにバインダーポリマー(該バインダーポリマーは成分Yおよび任意の成分Zから重合される)を含む水性バインダー組成物であって;成分Xが、少なくとも1つの塩基であり;成分Yが、環状無水物、マレイミドおよび置換マレイミドの少なくとも1つであり;成分Zが、スチレン、スチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、α−オレフィン、α−オレフィン誘導体およびその組み合わせから選択され;水性バインダー組成物のpHが≧6である、水性バインダー組成物を提供し;
(b)繊維、スライバー、チップ、およびその組み合わせから選択される基体物質を提供し;
(c)基体物質を水性バインダー組成物で処理し;および
(d)水性バインダー組成物を硬化させること:
を含む複合材料の製造方法であって、
前記複合材料が≦40重量%の硬化したバインダー組成物を含む;
複合材料の製造方法。

【公開番号】特開2007−100090(P2007−100090A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−270497(P2006−270497)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】