説明

複合材料のための室温硬化可能な水ベースの離型剤

エポキシ樹脂およびポリエステルベースのポリマー材料等の複合材部品を離型するのに役立つ、室温硬化可能な水ベースの離型剤。離型剤は室温のような低温で硬化可能であるが、例えば200℃または280℃を越えるような従来のエポキシ樹脂ベースの複合材の成型温度まで、熱的に安定である。この離型剤は、型それ自体をオーブンに置く前に、室温で準備されるとき、高温で大きなオーブン中で硬化させられる大きな複合材部品を離型するのに有用である。さらに、この離型剤は、室温のような低温で製造され、硬化させられるポリエステル複合材部品を離型するのにも有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は離型剤に関する。特に、複合材料のための半永久的な水性(水を主成分とする)離型剤に関する。
【背景技術】
【0002】
モールド(鋳型)成型は、黒鉛含有材料または繊維強化ポリエステル材料等の複合材料で作られた完成部品を製造するのによく知られた技術である。成型された黒鉛含有複合材部品は、航空宇宙産業において特に普及している。例えば、多くの飛行機の機体(胴体とつばさ)は、多くの成形された複合材部品から構成され、それらは続いて接着剤を使用して互いに結合される。
【0003】
典型的には、液体のエポキシ樹脂合成物を含浸した繊維マット材料の層(プリプレグの積層物等)が、型の形に一致するように置かれる。その後、型を、高温(例えば100〜200℃)に加熱し、液体の樹脂合成物を硬化して、完成部品が提供される。型が冷えた後、完成した成形された複合部品が取り外され、そして型は再使用されてもよい。完成した成型部品が型表面にくっついたり接着したりするのを防ぐために、プリプレグ積層物を型表面に載せるのに先立ち、離型剤を型表面に塗布する。このプロセスはよく知られた技術である。特に航空宇宙産業においては、各部品が極めて大きく且つ精緻であるので、成型された複合材料部品が、最小の力を使用して、穏やかに離型することが重要である。これは、離型剤が優れた離型特性を提供しなければならないことを意味する。
【0004】
ある特定の用途において、特に飛行機つばさ等の大きな部品を成型する場合、型を室温または環境温度で準備し、次に非常に大きなオーブンに入れ、液体樹脂を硬化させて完成成型部品を形成する。従って、型は、非常に大きなものであり、それ自体は加熱装置を装備していない。これは、室温で型表面に塗布された離型剤が数時間程度の比較的に短時間の間に室温で硬化可能でなければならないことも意味する。そうでなければ、もし離型剤を硬化させるために大きなオーブンに型を置かなければならないとすれば、多くの時間、努力と生産力が失われる。一旦離型剤が室温で硬化したならば、それはさらに、成型部品を連続して硬化・形成するのに必要な高温(例えば300〜400℃)に耐えなければならない。
【0005】
繊維強化ポリエステル(FRP)部品は、環境温度(10〜70℃)程度で一般に成型される。ほとんどのFRP部品は高光沢仕上が要求される。これは、従来からよく知られたFrekote(商標)ブランド(Henkel Loctiteから入手可能)、溶剤ベースの半永久離型剤の使用により達成された。しかしながら、あるFRP離型部品では、マット仕上を有するか、または「研摩ゲルコート」のように成型部品に対して離型剤の移動(転写)がないことが要求される。シリコーン類およびワックス類等の従来の水ベース(水性)の離型剤は、FRP部品を剥離するのに有用であるが、成型された部品へ、離型剤が不利益に移動した。一般に使用される溶剤ベースの半永久型離型剤は、市場においてポピュラーであるが、離型された部品上にマット仕上を提供することができない。溶剤ベースの離型剤は、さらに有害なVOCを含んでいる。
【0006】
離型剤には、犠牲型および半永久型の2つの基本型がある。犠牲型の離型剤は、型の中で一つの成形部品が作られた後、消費されるか、完全に消耗されるものである。既知の犠牲の離型剤としては、シリコーン油、鉱油、ワックス、脂肪酸誘導体、グリコール類など天然および合成化合物が挙げられる。犠牲の離型剤は、各成型部分を作るに先立ち、型表面に絶えず再塗布しなければならない。この理由のために、犠牲の離型剤は使用するのにコスト高で面倒である。さらに、成形複合材部品は、通常、後接合(接着剤を使用して、他の複合材部品に接着される)される。犠牲型の剥離剤の移動は、接着剤の接合能力に影響を与える。従って、犠牲型の離型剤は、多数の複合部品の成形のためには、特に航空宇宙応用のためには、適していない。
【0007】
半永久離型剤も型表面に適用される。それらは、ワイプオン型(拭いて塗布)、またはスプレイオン型(吹き付けて塗布)でありうる。これらの離型剤は、一回の成型操作に続いて、完全には消耗されないので好まれる。一回の半永久型離型剤の塗布が、離型剤の再塗布なしで、多数の連続の複合材成型部品の剥離を容易にするために使用することができる。例えば2、3、4、5、6、7、8、9、または10回、さらに多くの離型が、1回の離型剤の塗布より可能になる。米国特許5,601,641号(参照によりここに組込まれる。)は、0.1〜12%のシラン、0〜16%のメチル末端ポリジメチルシロキサン乳化重合体、0〜10%の非イオン界面活性剤、0〜8%のフッ素化アルキルエステル界面活性剤、0〜2.5%のエトキシ化アミン界面活性剤、0〜12.5%の重量平均分子量400〜310,000を有するシラノール末端ポリジメチルシロキサン、0.1〜8%のアルキル基が1〜3個の炭素原子を有する低級アルキルアルコール、0〜2%の殺真菌剤、0〜20%の有機酸の金属塩、pH4.5−5.5の間を維持するための0.5〜2%の弱酸、0.1〜15%の水酸基末端ポリブタジエン、および40〜97%の水、を含有する1つのタイプの半永久モールド剥離剤を記載している。米国特許5,298,556号および5,219,925号は、上述の’641特許と同じ特許ファミリであり、参照によりここに組込まれる。
【0008】
参照によってここに組み込まれる米国特許6,322,850号は、同様の半永久離型剤を記載しており、そこでシラン成分は、0.5〜12重量%の濃度で存在し、ジメチルジエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシランおよびアミノプロピルトリエトキシシランの特定の7つのシラン類およびそれらの混合物からなる群より選ばれる。組成物はさらに、多官能のポリジメチルシロキサン乳化重合体および適合する界面活性剤を、約0.1〜30の重量%のエタノールと残りの水と一緒に含有している。
【0009】
上記の特許に記載された離型剤は、高温(例えば350°Fの金型温度)で塗布され硬化させられる。これらの剥離剤が室温で塗布される場合、室温における不十分な硬化による貧弱な剥離をもたらすだけでなく、完成した複合部品へ離型剤が不利益な移動をすることがある。さらに、外界温度(例えば25℃)で型表面に塗布された時、上述の離型剤は均一な型表面被覆を提供しない。
【0010】
参照によりここに組み込まれる米国特許5,399,310号には、オリゴマー性塩剤および希釈剤を含む別の離型剤が記載されており、オリゴマー性塩剤は、モノマー単位のオリゴマーまたはこれらオリゴマー混合物のリチウム、ナトリウムまたはカリウム塩、またはそれらの混合物であり、そこで、モノマー単位は、C14〜C24の脂肪族カルボン酸からなる群より選ばれる。この離型剤は、脂肪酸モノマー単位と複合材料との間の相互作用のために、成型された複合材料を剥離するのに有用に使用されない。さらに、この剥離剤は、完成した成型部品への不利益に移動し、それにより有効なポスト・ボンディングが妨害され、または禁じられる。さらに、脂肪酸モノマー単位は、180℃以上で液化するか分解するので、この離型剤は高温成形(複合材成形のような)には適していない。
【0011】
上述のように、型が室温で形成されるので、複合材部品成型のために使用される離型剤は、特に航空宇宙応用では、室温硬化可能であることが極めて好まれる。型が形成された後(離型剤およびプリプレグ樹脂複合物の準備を含めて)、型が、しばしば別個のオーブン中で、典型的には180℃より高い高温に熱せられ、樹脂が硬化されて、完成した複合材部品が成形される。
【0012】
今まで、高い安定性を備えた室温硬化半永久離型剤は溶剤ベースのものであった。これは、それらが著しい量の揮発性有機化合物(VOC)を含み比較的低い引火点および高い蒸気圧を有していることを意味する。例としては、上述のFrekote(商標)、その他の既存の従来の溶剤ベースの離型剤が挙げられる。これらの既存の溶剤ベースのモールド離型剤は、使用時および輸送時の両方において、著しく健康および安全の点で危険性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、この技術分野において非溶剤ベースで、熱的に安定で、型表面へ1回の最初の塗布に続いて、複合材部品の複数回の連続した成型において、効果的な型剥離を提供する半永久離型剤が要求されている。好ましくは、そのような離型剤は、完成した複合材部品の表面への離型剤の不利益な移動が全くないか、あるいは実質上ない。これは、離型剤が、その表面への接着接合に悪影響を与える残分を、複合部品の表面上へ(著しく)残さないことを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
離型剤が提供される。離型剤は官能性シロキサン、架橋剤、増粘剤、塩基および水を含む。官能性シロキサンは水に分散されている。
【0015】
また、官能性シロキサン、架橋剤、増粘剤、塩基、界面活性剤および水を含む別の離型剤が提供される。官能性シロキサンは水に分散し、離型剤は、25℃で5か月を越える貯蔵寿命を有している。
【0016】
さらに、官能性シロキサン、架橋剤、増粘剤、塩基、界面活性剤および水を含む別の離型剤が提供される。官能性シロキサンは水に分散し、離型剤は、25℃で10〜10,000cPの初期粘度を有している。
【0017】
成型された複合材部品のために水ベース離型剤を調製する方法も提供される。方法は、a)0.01〜10重量パーセントの官能性シロキサン、0.1〜10重量パーセントの架橋剤、0.01〜10重量パーセントの界面活性剤、および水を有するパート1組成物を提供する工程;b)1〜25重量パーセントの触媒および20〜80重量パーセントの増粘剤を有するパート2組成物を提供する工程;c)塩基を有するパート3組成物を提供する工程;およびd)パート1、パート2およびパート3組成物をともに混合して、離型剤を提供する工程を含む。塩基は離型剤のpHを7〜11に調節するのに有効であり、それにより増粘剤を活性化して離型剤に25℃にて10〜10,000cPの初期粘度を提供する。
【0018】
また、複合材部品を成形する方法も提供され、それは、次のa)型表面を提供する工程;b)官能性シロキサン、架橋剤、増粘剤、界面活性剤、塩基および水を含有し、その際、官能性シロキサンが水中に分散されている離型剤を提供する工程;c)型表面に対するワイピング(拭く)またはスプレイ(霧吹き)により離型剤の塗膜を塗布する工程;およびd)塗膜をある期間おいて乾燥させる工程を有する。
【0019】
さらに水ベースの離型剤も提供され、それは次のa)0.01〜10重量パーセントの官能性シロキサン、0.1〜10重量パーセントの架橋剤、0.01〜10重量パーセントの界面活性剤、および水を有するパート1組成物を提供する工程と;b)1〜25重量パーセントの触媒、および20〜80重量パーセントの増粘剤を有するパート2組成物を提供する工程と;c)塩基を有するパート3組成物を提供する工程と;およびd)パート1、パート2およびパート3組成物をともに混合して離型剤を提供工程を含む方法によって作られる。塩基は離型剤のpHを7〜11に調節するのに有効であり、それにより増粘剤を活性化して離型剤に25℃にて10〜10,000cPの初期粘度を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
ここに使用されるように、範囲が例えば5〜25のように与えられるとき、それは、好ましくは少なくとも5であり、別個に独立して好ましくは25以下であることを意味する。ここに使用されるように、用語「溶剤」は有機溶媒を意味する。さらに、ここに使用されるように、用語「官能性シロキサン」および「官能化シロキサン」は同意語として使用され、シロキサン鎖の少なくとも1つのSi原子への適切な官能基の置換または付加によって官能性になっていることを意味し、そこで官能基は、公知の架橋反応において、シロキサン鎖が架橋することができ、または架橋を促進するのに有効なものである。明示的に示されない限り、パーセントはすべて重量パーセントである。
【0021】
成型複合材料のための室温硬化可能な水ベース離型剤が提供される。本発明の離型剤の組成物は、それを合成する好ましい方法の記載から最も理解される。発明の離型剤は、好ましくは別々に合成される3つの構成パートを混合して調製される。下記の表1は、発明の離型剤を提供するために続いて混合される3つのパートの好ましい組成物を示す。表1では、すべての値は重量パーセントである。また、重量パーセントは各パートにおける重量合計についてである(つまり、表1中の0.05〜3重量パーセントの官能性シロキサンは、パート1組成物の0.05〜3重量パーセントであることを意味する)。各パートについて、1つの成分についてのいずれの、少なく好適な若しくはより好適な濃度または範囲が、どの他の成分の少なく好適な若しくはより好適な濃度または範囲と組み合わされてもよい。全ての成分について、すべての濃度または範囲が同一の列から来る必要はない。
【0022】
【表1】

表1からのパート1〜3について、以下に記載する。パート1は、混合されたシロキサンエマルジョンである。官能性シロキサンは、好ましくはシラノール官能性であり、より少なく好ましくはビニール−、アルコキシ、水素化物(水素原子)−、またはカルボキシ−官能性であり、またはそれらの任意の組合わせである。官能性シロキサンは、下記の構造式の1つまたは2以上であってよい。
【0023】
【化1】

ここで、R、R、R、R、RおよびRは、独立して同じであっても異なっていてもよく、C1−3アルキル、ビニール、水素化物(水素原子)、またはアルコキシ基であってもよく、そして、nは約0から約100,000である。PおよびPは同一であっても異なっていてもよく、シラノール、水素化物、アルキル、ビニール、カルビノールあるいはカルボキシ基であることができる。ヘテロ原子による重合体鎖中の割込みも、本発明の範囲内である。
【0024】
好ましくは、ここで使用される官能性シロキサン類は2官能性シロキサンであり、シロキサン鎖の中の異なる(または同一の)ケイ素原子に2つの官能基が付いているかまたは結合していることを意味する。末端2官能性シロキサン(シロキサン鎖の2つの末端ケイ素原子に、それぞれ官能基を有するもの)が、それらが広く入手可能なので、本発明において好まれる。しかしながら、2官能性シロキサン類が、末端2官能性であることは必要とされない。多官能シロキサン類(鎖中のSi原子に結合した3つ以上の官能性グループを有する)も使用することができる。ここで使用されるシロキサンは、好ましくはジメチルシロキサン、より少なく好ましくはビニールシロキサン、より少なく好ましくはメチルシロキサン、またはそれらの混合物である。
【0025】
以下の記載において、最も好まれる2シラノール官能性シロキサン類に関して記述される。しかし、上述のものを含めて、他の官能性シロキサン類が本発明において使用されることは理解されるであろう。そして、シラノール官能性シロキサンの代わりに他の官能性シロキサン類が使用されるとき、当業者は、次の記載を他の官能性シロキサンに適応させることができるであろう。
【0026】
シラノール官能性シロキサンは、好ましくは実質的に直鎖または線形のジメチルシロキサンであり、好ましくは官能性シラノール(Si−OH)グループを、そのそれぞれの末端に有する(つまり、末端2官能性である)。好ましいシラノール官能性シロキサンの構造は、HO(CH−Si−(O−Si(CH−O−Si(CH−O−Si(CHOHである。好ましくは、シロキサンが500〜1,000,000、好ましくは1,000〜800,000、好ましくは10,000〜500,000、好ましくは15,000〜300,000、好ましくは18,000〜200,000、好ましくは20,000〜100,000の範囲の分子量を有するように、xが選ばれる。発明の有用な実施例では、xは4,000〜100,000の範囲の分子量を有するシロキサン類を提供するために選択されている。より少なく好ましくは、シラノール官能性シロキサンは分岐を有していてもよい。
【0027】
さらに、より少なく好ましくは、シロキサンは2官能性ではなく単官能性であることもできる。すなわち、それは1つのSi−OH官能基しか有していない。例えば、一つの末端にそれを有し、別の末端は無官能性、例えばSi−(CHである。単官能シロキサン類は、単一の官能基だけを有することにより効果的に架橋されないので、強く少なく好ましい。単官能シロキサンの架橋により、主として線形の、個別の分子が与えられるであろう。それは、上述の強く好ましい2官能性種から得られる、多次元の架橋した分子かごまたはマトリックス構造とは異なる。
【0028】
モールド表面上に半永久の離型膜を形成するために、架橋剤は、硬化の間にモールド表面上で離型剤の架橋を促進する。橋架剤は、好ましくは一般式X−SiABCを有する官能性シランであり、ここで、Xは、メチル、アルコキシ、ビニール、アセトキシ、水素化物またはエチル基、好ましくはメチルまたはビニル基であり、また、A、BおよびCは独立して互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれメトキシ、エトキシ、プロポキシ、アセトキシ、メチル、ビニール、またはエチル基、好ましくはエトキシ基である。好ましくは、架橋剤は、例えばテトラアルコキシ、トリアルコキシ官能性シラン等のテトラまたはトリ官能性架橋剤であり、より少なく好ましくは、ジ−アルコキシ官能性シランのような2官能性の剤である。例えば、4つのエトキシ官能基を有するテトラアルコキシ官能性シランは、Xとしてエトキシ、A、BおよびCの3つすべてについてエトキシを選ぶことにより上記一般式から提供される。一方、3つのエトキシ官能基と1つのメチル非官能性基を含有するトリアルコキシ官能性シランは、Xとしてメチル、A、BおよびCとしてすべてエトキシを選択することにより、提供されることができる。また、テトラ、トリおよびジ官能性シランの組み合わせも好ましい。一般に、官能基のサイズおよび電気陰性度が、離型剤の硬化速度を決定する。メトキシ官能基は、A、Bおよび/またはCとして、より速い加水分解速度のために好まれる。しかし、エトキシが2つの理由により一般に好まれる。第1には、官能基がエトキシである場合、橋かけ反応の副産物はエタノールであるが、しかし官能性グループがメトキシである場合、メタノールが生成する。エタノールが安く容易に廃棄できるのに対して、メタノールは高度に有毒で、極度に規制されているので、その処分が著しく高コストになる。第2に、一旦、離型剤が型表面に塗布された時、エトキシの加水分解および縮合反応は、対応するメトキシの加水分解および縮合反応より、より好ましい速度で進む。
【0029】
より少なく好ましくは、より長鎖アルキル基も、X、A、BおよびCのために使用することができる。それは架橋反応を遅くするであろう。より少なく好ましくは、架橋剤は、MQ樹脂、シリケート類および/またはアルコキシ−、ヒドロ−、およびビニール−シラン類、またはそれらの混合物であるか、またはこれらを含有することできる。パート1組成物において、架橋剤および官能性シロキサンの相対的な濃度は、一つの成分または他の成分が実質的な過剰にならないように、注意深くコントロールされるべきである。過剰に官能性シロキサンがあると、架橋されない過剰分が、不都合に成型複合材部品表面へ移動し、接着結合(後述)の邪魔をすることがある。過剰に架橋剤があると、成型複合材部品の型表面からの離型が困難になることがある。一般に、成型された複合部品へのシロキサン類の不利益な移動を防ぐために、離型剤中のシロキサン類の十分な架橋を保証するために、架橋剤のバランスのとれた過剰(例えば、>0.1%過剰)を提供することが好ましい(後述する)。
【0030】
パート1中の界面活性剤は、好ましくは、限定されないが、1つのジフェニルスルホン酸またはその誘導体、1つのシリコーンベースの界面活性剤および1エトキシ化アルキルフェノールを包含する界面活性剤の混合物である。
【0031】
パート2中、触媒は有機−スズまたはあるいは有機−チタンまたはその他の触媒であり、それは、環境温度、5〜70、好ましくは10〜55、好ましくは15〜45、好ましくは20〜35、好ましくは22〜30、好ましくは25℃で、離型剤の硬化(つまり、パート1からのシロキサンの架橋)を加速するか促進するのに効果的なものである。好ましくは、触媒は、乳化型(または水溶液)触媒であり、それは、触媒が、触媒固形物が乳化され、水キャリア相で安定であることを意味する。発明の離型剤を提供するために、乳化型触媒は、他の成分(パート1および3からのものを含んで)に、より有効に混合される。好ましくは、触媒としては有機−スズ化合物、有機−チタン化合物あるいはそれの混合物が挙げられる。乳化有機−スズおよび有機−チタンベースの触媒は、当技術分野で公知であり、例えば、Dow Chemical Company、E.I.DuPont de Nemours,Inc.、およびHanse Chemieから入手可能である。
【0032】
移動制御剤は、任意成分であり、モールド型表面から完成した複合材部品に、剥離剤が不利益に移動するのを防止するために添加される。適切な移動制御剤は、50%の活性成分(固形物)を有するアルキル官能性のシロキサン乳化物である。アルキル基は、好ましくは1〜18の炭素原子長を有する脂肪族の炭素鎖であり、一般に、炭素原子が大きい方がよい。好ましくは、2−フェニルプロピルのような芳香族部分構造も付けられる。
【0033】
湿潤剤は、好ましくは、トリシロキサンベースの界面活性剤のような当技術分野で知られているスーパーウェッティング剤であり、より少なく好ましくはフルオロベースの界面活性剤である。湿潤剤は、ワイピングにより、より少なく好ましくはスプレイにより、モールド型に塗布されたとき、発明の離型剤による型表面の有効な湿潤を促進するのに有効である。発明の1実施形態では、表1におけるパート1組成物の界面活性剤成分(架橋剤を乳化するために使用される)は、湿潤剤としても機能することができる。この実施形態では、表1にリストされた界面活性剤成分以外に、付加的または別個の湿潤剤成分を必要としなくてもよい。
【0034】
増粘剤は、好ましくはDow Chemical Companyから入手可能なUcar(商標)である。より少なく好ましくは、他の公知または従来の増粘剤を使用することができ、例えばCabot CorporationのCab−o−Sil(登録商標)、Dow Chemical CompanyのMethocel(商標)増粘剤ファミリー、およびProcter & Gamble CompanyのClass(商標)が挙げられる。増粘剤は、下にさらに記載される発明の水ベース離型剤の粘度を増加させるために提供される。
【0035】
一般に入手可能なスリップ剤を、よりよい剥離性能を達成するために使用することができる。どのような公知または従来のスリップ剤も使用することができる。例えば、限定はされないが、官能性および非官能性シロキサン類、部分的にフッ化されたシロキサン類、またフッ素化炭化水素が挙げられる。スリップ剤の存在および/または量は、特定用途のための所望のまたは観察された剥離性能に基づいて、当業者によって指定された範囲から選択または決定することができる。
【0036】
さらに色指示剤または染料を、発明の離型剤に加えることができる。色指示剤の機能は、型表面の被覆を視覚化することが要求されるとき、または有益であるときに、型表面上の離型剤の適切な被覆を示すことである。一般に、選択された色指示薬は、水ベースの媒体中で安定で、剥離剤中の他の成分と化学的に共存できるものである。成型された部品への染料の汚染転送が生じないように、好ましい色指示薬が選択される。
【0037】
パート3は、さらに後述する増粘剤を活性化するために、発明の離型剤のpHを7〜11、好ましくは8〜10の範囲に調節するのに有効な塩基からなる。塩基は好ましくは有機アミン塩基であり、好ましくはエタノールアミンである。
【0038】
上述のパート1、2および3は、最初に別々に調製され、次に、室温、好ましくは0〜40、好ましくは10〜35、好ましくは15〜30、好ましくは20〜27℃にて、表2に与えられる比率で混合されて、水ベースの離型剤が提供される。表2では、値はすべて重量パーセントである。あるパートについてのいずれの、少なく好ましい若しくはより好ましい濃度または範囲が、どの他のパートの少なく好ましい若しくはより好ましい濃度または範囲と組み合わされてもよい。パート1、2および3について、すべての濃度または範囲が同一の列から来る必要はない。
【0039】
【表2】

パート1、2および3が混合されると、乳化液のpHが、エタノールアミン等の入手可能な水溶性塩基(それは増粘剤を活性化し、離型剤の粘度が上げる。)の使用により上げられる。発明の離型剤は、25℃において、即ちそこから水が蒸発する前に、10〜10,000、好ましくは25〜5,000、好ましくは50〜2,000cPの初期粘度を有している。特別の理論によって拘束されることはないが、発明の離型剤の高い溶液粘度が、組成物中で、触媒分子、官能性シロキサン分子、および架橋剤分子の間の接触を禁止するか実質上禁止し、それが今度は、離型剤の架橋を妨げるか、遅らせるか、あるいは実質的に妨げるか、遅らせると信じられる。これは高い溶液粘度によって達成される。それは、組成物中の個々の主流に逆らう流れは、互いに対して非常にゆっくり移動し、従って、触媒とシロキサンの分子間の衝突の周期または発生が最小限になるからである。これは、発明の水ベース離型剤のより長い貯蔵寿命を促進する。発明の離型剤が、室温、例えば25℃で貯蔵された時、5か月を越える貯蔵寿命が観察された。
【0040】
しかし、型表面に(例えばワイプまたはスプレイにより)一旦塗布されると、水が蒸発し始める。水が蒸発していくと、組成物中の触媒とシロキサンの分子は、キャリヤー(水)体積が失われることにより、互いに近接させられる(合体する)。シロキサンと触媒の分子の相対的な接近が増大することにより、当業者に理解されるように、分子衝突の周期および相互作用が増加し、シロキサン分子の架橋により、より迅速なシロキサン結合の連鎖が起こる。この蒸発による結合効果は、実質的にシロキサン分子の架橋の連鎖を活性化し、型表面に近接して付着した所望のシロキサン分子マトリックスを提供する。
【0041】
最も好ましくは、上記表1からのパート1、2および3は、上記表2にリストされた好ましい配合比率に従って混合され、発明に従う、好ましくは下の表3にリストされるような最終組成を有する室温硬化可能で、熱的に安定な、水ベースの離型剤を提供する。
【0042】
【表3】

実際上、発明された離型剤は、好ましくは公知または従来からのワイピングまたはスプレイによってモールド表面に塗布される。最初の塗布のために、モールド表面は、好ましくは洗浄されるかまたは徹底的に磨かれ、従来の技術により乾燥される。その後、発明された離型剤のコーティングが、ワイピングまたはスプレイによって好ましくは塗布される。その被覆(コーティング)は、特定の期間、好ましくは約15分乾燥するようにおかれ、そして追加のコーティングが塗布される。この手続きは、好ましくは少なくとも2層、好ましくは3層、好ましくは4層まで塗布されるように繰り返される。アルコールのような揮発剤の追加なしでも、10〜30分以内に環境温度条件下(22〜27、好ましくは25℃)で、モールド表面から水が実質上完全に蒸発することがわかった。成形されたエポキシ系樹脂部品を離型するために使用される時、エポキシ樹脂部品の満足できる離型を保証するのに必要な、離型剤の十分な硬化(即ち、シロキサン架橋)は、最後のコーティングの塗布後、外界温度(22〜27、好ましくは25℃)にて5時間未満、好ましくは4時間未満、好ましくは3時間未満の時間で達成される。ポリエステル系樹脂部品のために使用される時、離型剤の必要な硬化時間は外界温度(22〜27、好ましくは25℃)にて1時間未満に、好ましくは40分未満に、好ましくは30分未満に著しく減少される。
【0043】
発明された離型剤は引火点を有しておらず、可燃性または燃焼性ではない。離型剤は、VOCを全く有さないか、あるいは実質上全然含有していない。好ましくは、離型剤の1リットル当たり、VOCが、5g未満、4g未満、3g未満、または2未満である。したがって、発明された水ベースの離型剤は、使用中または輸送中に拘わらず、重大な健康上または安全上の危険性がない。例えば、発明された水ベースの離型剤は、危険なVOCの存在により、または毒性、高い可燃性および低い引火点のような、溶媒ベースの離型剤に特有の他の危険な特性の存在のために特別な輸送を必要とせずに、好ましくは、標準的な輸送手段により、さらに郵送によってさえ送ることができる。
【0044】
発明された離型剤は、最初の1回の離型剤の塗布に続いて、多数の連続の複合成型部品の有効な剥離・離型を提供する。使用条件によって、成型がある回数になった後、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9あるいはより多くの連続する剥離・離型の後に、離型剤の追加の塗布をするのも好ましいかもしれない。
【0045】
発明された水ベースの離型剤は、複合成型部品の表面への離型剤の不利益な移動がまったくないか実質上ないことが示された。ここで、不利益な転送とは、複合部品を別の複合部品あるいは他の表面に接着結合(ポスト・ボンディング)する際に不利益な影響をもたらす、離型剤または離型剤成分のどのような移動をも意味すると定義される。
【実施例】
【0046】
発明された離型剤を使用して、成型され剥離された複合材の表面への離型剤の不利益な移動の程度を測定するためにテストが行なわれた。5枚のプリプレグ繊維マットまたは層を、予め上述の発明された離型剤が室温でコーティングされた型表面に置いて、そして成型した。成型された複合材は、その後、公知のHysol EA 9695を使用して、別の複合材部品の表面に接着された。接合厚さは5ミルであった。接合強度を、Instron machineを使用して測定した。接合引張強度および破壊モードを、それぞれ観察し記録し、表4に示す。
【0047】
【表4】

表4から、発明された離型剤は、コントロールに匹敵する接着性接合引張強度を示し、9〜150日貯蔵した離型剤に対して、複合材は凝集破壊を示した。凝集破壊(接着剤破壊に対するものである)は、複合材部品それ自身が壊れたか折れたことを意味する。つまり、接着剤はすべてのテストにおいて完全なままであった。このテストは、離型剤(150日間の貯蔵の後でさえ)が、成型された複合表面への発明された離型剤の測定可能などのような不利益な移動もないことを実証した。これは極めて驚くべき結果であった。さらに、表4の中でテストされたすべて複合材部品は、モールド型表面または複合材部品に対して、離型剤の貯蔵期間のすべてにおいて、損傷や汚れのない高品質の離型を示した。
【0048】
発明の水ベースの離型剤は、外的な硬化促進要素(共溶剤、UVまたは熱等)なしでの離型剤の室温硬化に続く環境温度にて、プリプレグおよびシンスキン(Synskin)成型複合材部品の両方に対して、優れた離型を提供することが示された。発明の水ベースの離型剤は、硬化促進要素(熱、共溶剤、UV)の使用なしでの離型剤の環境温度での硬化に続く環境温度で、すべてのタイプのポリエステル樹脂複合材部品(ゲルコート、非ゲルコート)に優れた離型を提供することがさらに示された。発明された離型剤は、さらにポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ホットメルトおよびゴムのような他の一般成型されるポリマー材料に対する優れた剥離性能を実証した。
【0049】
発明された離型剤は室温硬化可能(例えば22〜27℃、好ましくは25℃)であり、少なくとも3日、好ましくは5日、好ましくは7日、好ましくは10、20、30、45または60日の間、少なくとも200℃まで、好ましくは少なくとも250℃まで、好ましくは少なくとも300℃まで、熱的に安定である。離型剤は、型表面への最初の1回の塗布に続いての連続した複合材の成型部品の効果的な剥離を有用である。発明された離型剤は、完成した成型複合材部品の表面への離型剤の不利益な移動が実質上ないかまたは全くない。
【0050】
上記から、発明の離型剤が室温硬化可能であり、それにもかかわらず、VOCまたは有機キャリヤーも含まず、そして200または300または400℃までさえの相当に高い温度のような、一般に用いられているどのような成形温度において硬化させられた複合材部品(エポキシとポリエステル樹脂部品等)を離型するために使用することができることが明らかである。しかしながら、発明された離型剤は、高温でさらに硬化させることができるし、また、ポリエステル、ポリスチレン、エポキシ樹脂またはこれらの混合物から作られるゲルコート部品のような室温または低温硬化成型部品を離型するために使用することもできることは明記されるべきである。発明された離型剤は使用することができる他の成型部品としては、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリカーボネート部品が挙げられる。発明の離型剤は、特に、100℃または80℃未満、特に室温(25℃)のような低温で型が準備され、それにもかかわらず180〜280℃以上のような高温で成型部品(例えばエポキシ樹脂)が硬化させられる用途においてとりわけ有用である。これらの応用では、離型剤は室温で硬化可能である、それにもかかわらず(エポキシ)成型部品の硬化温度まで熱的に安定性を保つので、次の部品硬化で効果的な離型が達成される。
【0051】
離型剤が高温度で硬化させられる場合、ここに記載されたようにそれでもうまくいくが、その場合、主要な違いは、そうでない場合に記載されたのに比べて速く硬化する点である。従来の水ベース離型剤は、剥離された成型部品への剥離剤の不利益な移動が全くないか実質上ないことを保証しながら、多数の連続の成型部品の安定した効果的な離型を提供するために、合理的な時間内で環境温度にて十分に硬化することができなかった。
【0052】
発明の上記の実施例は好ましい実施例を構成するが、添付の特許請求の範囲に述べられているように、発明の範囲から離れることなく、変更を加えることができることは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
官能性シロキサン、架橋剤、増粘剤、塩基および水を含み、前記官能性シロキサンが水に分散されている離型剤。
【請求項2】
前記官能性シロキサンがシラノール官能性シロキサンである請求項1記載の離型剤。
【請求項3】
前記官能性シロキサンが2官能性である請求項1記載の離型剤。
【請求項4】
前記架橋剤がテトラアルコキシ官能性シランである請求項1記載の離型剤。
【請求項5】
前記架橋剤がトリアルコキシ官能性シランである請求項1記載の離型剤。
【請求項6】
前記トリアルコキシ官能性シランが、
一般式X−SiABC
(式中、Xは、メチル、ビニール、アセトキシ、水素化物およびエチル基からなる群より選ばれ、A、BおよびCは独立してそれぞれアルコキシ基である。)
で表されるシランである請求項5記載の離型剤。
【請求項7】
前記A、BおよびCが、独立してそれぞれメトキシ、エトキシおよびプロポキシ基からなる群より選ばれる請求項6記載の離型剤。
【請求項8】
前記官能性シロキサンが、シラノール−、ビニール−、アルコキシ−、水素化物−、アミノ−、およびカルボキシ−官能基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を有する請求項1記載の離型剤。
【請求項9】
前記離型剤が、離型剤1リットル当たり、5g未満のVOCを有する請求項1記載の離型剤。
【請求項10】
前記離型剤が、引火点を有さない請求項1記載の離型剤。
【請求項11】
型表面から複合材部品の少なくとも3回の有効な離型に効果があり、前記複合材部品の表面への離型剤の不利益な移動が実質上ない請求項1記載の離型剤。
【請求項12】
さらに、湿潤剤および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つの成分を含有する請求項1記載の離型剤。
【請求項13】
さらに、スリップ剤を含有する請求項1記載の離型剤。
【請求項14】
さらに、染料を含有する請求項1記載の離型剤。
【請求項15】
さらに、移動制御剤を含有する請求項1記載の離型剤。
【請求項16】
スプレイまたはワイピングにより塗布されたとき、型表面に実質的に均一な濡れを有効に提供できる請求項1記載の離型剤。
【請求項17】
前記離型剤が、型表面への塗布後、室温にて5時間未満の硬化の後に、成型されたエポキシ部品の有効な離型を可能にするのに有効である請求項1記載の離型剤。
【請求項18】
前記離型剤が、型表面への塗布後、室温にて40分未満の硬化の後に、成型されたゲルコート部品の有効な離型を可能にするのに有効である請求項1記載の離型剤。
【請求項19】
前記塩基が、エタノールアミンである請求項1記載の離型剤。
【請求項20】
7〜11のpHを有する請求項1記載の離型剤。
【請求項21】
25℃にて10〜10,000cPの粘度を有する請求項1記載の離型剤。
【請求項22】
前記離型剤で被覆された型表面で成型された複合材部品に、不利益な移動が実質的にない請求項1記載の離型剤。
【請求項23】
前記官能性シロキサンが、次の構造:
HO(CH−Si−(O−Si(CH−O−Si(CH−O−Si(CHOH
(ここでxは、この官能性シロキサンが4,000〜100,000の範囲の分子量を有するように選ばれる。)
を有する請求項1記載の離型剤。
【請求項24】
前記官能性シロキサンが、次の構造:
【化1】

(式中、R、R、R、R、RおよびRは、独立して同じであっても異なっていてもよく、C1−3アルキル基、ビニール、水素化物、およびアルコキシ基からなる群より選ばれ、nは約0から約100,000であり、PおよびPは同一であっても異なっていてもよく、シラノール、水素化物、アルキル、ビニール、カルビノールおよびカルボキシ基からなる群より選ばれる。)
を有する請求項1記載の離型剤。
【請求項25】
官能性シロキサン、架橋剤、増粘剤、塩基、界面活性剤および水を含み、前記官能性シロキサンが水に分散されており、貯蔵寿命が25℃にて5ヶ月より長い離型剤。
【請求項26】
官能性シロキサン、架橋剤、増粘剤、塩基、界面活性剤および水を含み、前記官能性シロキサンが水に分散されており、25℃にて10〜10,000cPの初期粘度を有する離型剤。
【請求項27】
a)0.01〜10重量パーセントの官能性シロキサン、0.1〜10重量パーセントの架橋剤、0.01〜10重量パーセントの界面活性剤、および水を有するパート1組成物を提供する工程;
b)1〜25重量パーセントの触媒および20〜80重量パーセントの増粘剤を有するパート2組成物を提供する工程;
c)塩基を有するパート3組成物を提供する工程;および
d)パート1、パート2およびパート3組成物をともに混合して、離型剤を提供する工程を含み、
塩基は離型剤のpHを7〜11に調節して、それにより増粘剤を活性化して離型剤に25℃にて10〜10,000cPの初期粘度を提供するのに有効である、成型された複合材部品のための水ベースの離型剤の製造方法。
【請求項28】
パート1、パート2およびパート3組成物を0〜40℃で混合する請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記官能性シロキサンがシラノール官能性シロキサンである請求項27記載の方法。
【請求項30】
前記官能性シロキサンが2官能性である請求項27記載の方法。
【請求項31】
前記架橋剤がアルコキシ官能性シランである請求項27記載の方法。
【請求項32】
前記アルコキシ官能性シランが、
一般式X−SiABC
(式中、Xは、メチル、ビニール、アセトキシ、水素化物およびエチル基からなる群より選ばれ、A、BおよびCは独立してそれぞれアルコキシ基である。)
で表されるトリアルコキシ官能性シランである請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記官能性シロキサンが、アミノ−、ビニール−、アルコキシ−、水素化物−、およびカルボキシ−官能基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を有する請求項27記載の方法。
【請求項34】
a)型表面を提供する工程;
b)官能性シロキサン、架橋剤、増粘剤、界面活性剤、塩基および水を含有し、その際、官能性シロキサンが水中に分散されている離型剤を提供する工程;
c)前記型表面に対してワイピングまたはスプレイにより前記離型剤の塗膜を塗布する工程;および
d)塗膜をある期間おいて乾燥させる工程
を有する複合材部品の成型方法。
【請求項35】
工程d)における前記期間が約15分である請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記型表面に、前記塗布が4回になるまで工程c)〜d)が繰り返される請求項34記載の方法。
【請求項37】
請求項27の方法により製造される水ベースの離型剤。

【公表番号】特表2006−502025(P2006−502025A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543097(P2004−543097)
【出願日】平成15年10月3日(2003.10.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/031289
【国際公開番号】WO2004/033172
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(500538520)ヘンケル コーポレイション (99)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL CORPORATION
【Fターム(参考)】