説明

複合構造物を非破壊検査するためのローディング装置

非破壊検査中に複合構造物に荷重をかけるためのローディング装置を提供する。ローディング装置は、好ましくは常用荷重である与えられる荷重を示す荷重表示器を含み、構造物の表面にローディング装置を接続するよう荷重表示器に取付けられたコネクタを含む。支持部は、荷重表示器およびコネクタを支持するよう構造物に接触する。支持部は、好ましくは、プレートおよび3つの脚部を含み、荷重表示器はプレートに取付けられ、脚部は構造物に接触する。脚部は構造物に接触させるための保護端部を含み得、調節可能な長さを規定し得る。荷重アプリケータはコネクタおよび荷重表示器と機械的に連通し、有利にはコネクタと荷重表示器との間の距離を縮めて荷重を作り出すことによって構造物に荷重をかける。コネクタは、突起を規定する構造物の表面、または構造物の表面に取外し可能に接着される突起に接続し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
この発明は非破壊検査機器に関し、より特定的には、非破壊検査中の複合構造物に常用荷重をかけるローディング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
構造物の非破壊検査では、構造物を傷つけたり、構造物の大幅な分解を必要としたりすることなく構造物を検査することが必要とされる。非破壊検査は、構造物の外部および/または内部を綿密に検査することが必要な多くの応用例にとって有利である。例えば、非破壊検査は、航空機構造物が内部または外部にいかなる種類の損傷も受けていないか検査するために航空機産業において一般に利用される。
【0003】
日常的に非破壊試験される構造物の中には複合構造物がある。この点において、複合構造物は、その技術品質、設計の柔軟性および軽重量のために産業全体にわたって一般に用いられる。そのため、複合構造物の性能に悪影響を及ぼすおそれのある亀裂、空隙または孔などのいかなる欠陥も識別するよう複合構造物を検査することが往々にして望ましい。
【0004】
非破壊検査を実行するのに様々な種類のセンサが利用され得る。1つ以上のセンサが、検査すべき構造物の区域の上を移動し、構造物に関するデータを受信し得る。たとえば、パルスエコー、透過探傷または剪断波センサを用いて、構造物における厚み測定、薄板の欠陥および孔の検出ならびに/または亀裂の検出といった超音波データを得ることができる。共鳴、パルスエコーまたは機械的インピーダンスセンサを用いて、構造物の接合ラインにあるような空隙または孔を示し得る。センサによって得られるデータは典型的には処理要素によって処理され、処理されたデータはディスプレイを介してユーザに提示され得るかまたは後の分析のために記憶され得る。
【0005】
非破壊検査機器にとって内部の欠陥がより明確になるように検査中の構造物に荷重がかけられると、内部のいくらかの欠陥がより容易に検出可能となる。これらの内部の欠陥は、荷重がかけられると分離する弱い接合部を含み得るか、または、荷重を受けない場合には互いに接触するが荷重がかけられると同様に容易に分離する不完全な層間接合部を含み得る。かけられた荷重を用いて構造物への先行荷重を打ち消すことにより、構造物の検査を向上させることもできる。
【0006】
既存のローディング装置は、検査中の構造物に荷重をかけるために様々な技術を用いる。荷重をかける1つの破壊的方法は、ボタンまたは他の特徴を構造物の表面に接着接合し、接着されたボタンの周りの構造物の一部分を切断することである。最大荷重が構造物の構造強度を示すが修復すべき穴を構造物に残すように、ボタンに接着された構造物の当該一部分が構造物から離れるまで、機器はこのボタンを引張る。
【0007】
荷重をかける1つの非破壊方法は、検査中の構造物の強磁性層または部分に磁気的に荷重をかけるために電気機械的手段を用いる。このような方法は強磁性材料を含む構造物に限定される。というのも、構造物を係合するのに磁石が必要とされるからである。残念ながら、多くの複合物には強磁性材料が含まれないので、この方法は概して複合構造物には適さない。さらなる非破壊方法は、内部または外部の欠陥を示す表面の変形を測定するために構造物の表面に真空を与えることを含む。このような真空応力システムは比較的大き
な吸引区域を必要とするので、検査が必要な構造物の表面へのアクセスが制限される可能性がある。加えて、このような真空応力システムは、突起を規定する表面上に吸引部を設けることができない。というのも、このような突起が吸引部の封止を損なうからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、非破壊検査のために複合構造物の表面に都合よく荷重をかけるためのローディング装置が必要とされる。突起を規定する構造物の表面に荷重をかけることのできるローディング装置も必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
この発明は、構造物の非破壊検査中に構造物に常用荷重などの荷重をかけるためのローディング装置を提供することによって上述の必要性に対処し、他の利点を達成する。ローディング装置は、構造物にかけられる荷重を示す荷重表示器を含み得、検査中の構造物の表面に荷重表示器を接続するために荷重表示器に取付けられたコネクタをさらに含み得る。ローディング装置はまた、荷重表示器とコネクタとを支持するための支持部を含む。当該支持部は、検査すべき構造物の区域近傍における構造物の表面に接触する。コネクタ、荷重表示器および/または構造物と機械的に連通する荷重アプリケータが構造物に荷重をかける。荷重は、構造物におけるいくつかの内部の欠陥を強調することによって非破壊検査の結果を向上させる。
【0010】
この発明のさらなる実施例のローディング装置は、構造物に接触する少なくとも3つの脚部を規定する支持部と、荷重表示器が取付けられている3つの脚部を接続するプレートとを含む。加えて、脚部は構造物の表面に接触させるための保護端部を含み得、調節可能な長さを規定し得る。荷重アプリケータはターンバックルを含み得、当該ターンバックルは、当該ターンバックルを回転させることによって荷重を生じさせるようにコネクタを荷重表示器に取付ける。コネクタはまた、構造物の表面に接続するかまたは構造物の表面に取外し可能に接着された突起に螺着するためのねじオリフィスを規定し得る。
【0011】
構造物の表面に荷重をかける方法がまた、この発明によって提供される。ローディング装置の支持部は、構造物の表面において、当該支持部が当該表面に接触するように位置決めされる。コネクタは構造物の表面に接続され、荷重表示器に取付けられる。荷重表示器は、支持部によって支持され、コネクタと荷重表示器との間の距離が調節されて構造物の表面に荷重がかけられるとその荷重を示す。荷重がかけられると、構造物が検査されて、荷重によって強調された内部の欠陥が明らかにされ得る。
【0012】
当該方法は、コネクタと荷重表示器との間の距離を調節するようターンバックルを回転させるステップをさらに含み得る。支持部の脚部の長さは、構造物の表面に適切に接触するよう調節され得る。当該方法はまた、構造物の表面にコネクタを接続するための代替的なステップを含み得る。
【0013】
したがって、非破壊検査を受ける構造物に常用荷重などの荷重を都合よくかけるためのローディング装置および方法が提供される。荷重が、弱い接合または分離された接合などの内部のいくらかの欠陥を強調するので、検査を行う技術者にとって欠陥がより明らかになる。この発明のローディング装置はまた、突起を含むかまたは含まない構造物の表面上で用いられてもよい。
【0014】
このように一般的な用語でこの発明を説明してきたが、必ずしも縮尺どおりには描かれていない添付の図面をここで参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
発明の詳細な説明
ここで、この発明が、この発明のすべての実施例ではなくいくつかの実施例が示される添付の図面に関連して、以下により十分に説明される。実際には、この発明は多くのさまざまな形で具体化され得るが、ここに述べられた実施例に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施例は、この開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。同様の番号が全体を通じて同様の要素を指す。
【0016】
図1〜図4を参照すると、この発明の一実施例に従ったローディング装置10が示される。ローディング装置10は、構造物の区域の非破壊検査中に複合構造物の表面に荷重をかける。かけられた荷重は、有利には、図示される実施例におけるように常用荷重であるが、但し、さらなる実施例では、構造物の表面に対するいかなる方向に荷重がかけられてもよい。図示される実施例のローディング装置10は、典型的には、航空宇宙応用例などのさまざまな応用例において使用され得る複合構造物上で用いられ、当該複合物は、2つの非限定的な例を挙げると、飛行機のナセルサンドイッチパネル(nacelle sandwich panel)およびエンジンカウルを含み得る。代替的には、複合構造物は、船舶、自動車もしくは他の車両に搭載されて、または機械類、建築物もしくは他の構造物において利用されてもよい。非複合構造物を含む代替的な構造物上でローディング装置のさらなる実施例が用いられ得る。検査手順は、1つの非限定的な例を挙げると、好ましくは、STAVELEY BONDMASTERなどの装置による従来の超音波透過技術を組込む。ローディング装置はまた、代替的な非破壊検査技術または装置とともに用いられてもよい。
【0017】
図1〜図4のローディング装置10は、検査中の構造物の表面にローディング装置を接続するためのコネクタ12を含む。荷重表示器14はコネクタ12に取付けられ、構造物にかけられる荷重を示すダイヤルを含む。荷重表示器14は、図示される実施例において3つの脚部18と当該3つの脚部を接続するプレート20とを含む支持部16によって支持される。しかしながら、当該支持部は、荷重表示器を構造物の表面に対して所望の位置関係で支持しながらも、異なる様に構成されてもよい。図示される実施例のローディング装置10は、プレート20から下方に突出る2つの支持フック22を備え、当該2つの支持フック22は各々、荷重表示器およびコネクタ12が支持部16によって支持されるように荷重表示器14の反対側でスタンドオフ24を係合する。しかしながら、ローディング装置は、必要に応じて単一の支持フックまたは3つ以上の支持フックを含み得る。ローディング装置10はまた、コネクタ12、荷重表示器14および構造物と機械的に連通し当該構造物に荷重をかけるための荷重アプリケータを含む。この発明のこれらの要素の各々は、以下においてより十分に述べられる。
【0018】
図1に図示のとおり、検査されるべき複合構造物50は構造物の表面54からの突起52を規定する。図示される構造物50の突起52は、構造物の部分を接続し一般に構造物の表面54の上に突出るCLICKBONDファスナである。突起52は、好ましくは、図1に示される突起のねじ部分56などの把持可能な部分を規定する。図1のコネクタ12は、コネクタを確実に突起に接続するよう突起52のねじ部分56を受取り、これを通すねじオリフィス26を規定し得る。この発明のさらなる実施例のコネクタは、構造物の表面に接続するいかなる手段をも含み得る。図4は、構造物150の表面154に取外し可能に接着される代替的な突起152を示す。コネクタ12は突起152に螺着されて、構造物150の表面154にコネクタが接続され得る。さらに、コネクタ12は、必要に応じて、ねじ係合以外の多種多様な態様で突起を係合することができる。コネクタ12が接続され得る突起は、以下においてより十分に述べられる。
【0019】
図1および図2を参照すると、コネクタ12は、荷重アプリケータ28とともに荷重表
示器14に取付けられる。荷重アプリケータ28は、ローディング装置10の図示された実施例におけるターンバックルであるが、コネクタ12および荷重表示器14に接合されて当該コネクタと当該荷重表示器との間の距離を調節し、当該コネクタを介して構造物50の表面54に荷重をかける。この発明のさらなる実施例の荷重アプリケータ28は、荷重表示器によって測定可能な構造物の表面54に荷重をかけるようコネクタ12および荷重表示器14と、または荷重表示器および構造物50と機械的に連通するいかなる装置をも含み得る。有利には、図示される実施例の荷重アプリケータ28はコネクタ12と荷重表示器14との間の距離を増大または低減させて、これに応じて構造物上の荷重をそれぞれ低減または増加させる。代替的な荷重アプリケータの非限定的な例は、プーリ装置、ジャッキ状の装置、ラチェット付き装置またはトグル装置を含む。加えて、荷重アプリケータ28は、ローディング装置10がさらなる代替的な実施例において荷重をかける目的で自動化され得るかまたは遠隔制御され得るようにコネクタ12と荷重表示器14との間の距離を調節する電気機械的装置を含み得る。
【0020】
図示される実施例の特定の荷重アプリケータ28を再び参照すると、ターンバックルは、好ましくは、荷重表示器14の荷重検知部分32が直接的または間接的に通される上部ねじオリフィス30を規定する。図示される実施例においては、フック34が、ターンバックルの上部ねじオリフィス30に通され、荷重検知部分32の同様のフック状部分に引掛けられる。この発明のさらなる実施例は、荷重検知部分32にターンバックルを接合する代替的な手段を含む。
【0021】
ターンバックルはまた、コネクタ12が直接的または間接的に通される下部ねじオリフィス40を規定する。図1および図2のコネクタ12は、オリフィス26の反対側にねじ部分42を含み、当該ねじ部分は、ターンバックルの下部ねじオリフィス40に通される。コネクタ12のねじ部分42およびフック34のねじは、コネクタと荷重表示器14との間の距離を、ローディング装置10がかける必要のある荷重に対応する距離に広げるかまたは縮めることを可能にするのに十分な長さである。図示されるローディング装置10は、好ましくは、荷重表示器が75ポンドの張力を表示するまで、コネクタと荷重表示器14との間の距離を減少させるようターンバックルをコネクタ12およびフック34に対して回転させることによって75ポンドの常用荷重をかける。ローディング装置の代替的な実施例は、75ポンドを上回るかもしくは75ポンド未満の荷重をかけ得るか、またはいかなる大きさの圧縮荷重をもかけ得る。圧縮荷重をかけるためには、ターンバックルまたは代替的な荷重アプリケータによってかけられる圧縮荷重に耐え、これを測定するよう、ターンバックルおよび/または荷重アプリケータ28が荷重表示器14により堅く接合され、当該荷重表示器が支持部16によってより堅く支持される。この発明の各々の実施例については、荷重表示器14は、ローディング装置10がかけ得る荷重の範囲全体を十分に測定しなければならない。
【0022】
図1および図2に示される張力で常用荷重をかけるために、手作業で、または、2つの非限定的な例を挙げるとレンチもしくはねじ回しなどの手工具でターンバックルを回転させる。ねじオリフィス30および40のねじ、フック34のねじ、ならびにねじ部分42はそれぞれ、ターンバックルを第1の方向に角度回転させてコネクタ12と荷重表示器14との間の距離を低減させ、ターンバックルを逆方向に角度回転させてコネクタと荷重表示器との間の距離を増大させるように方向付けされる。この距離の低減および増大は、好ましくは、上部ねじオリフィス30およびフック34などのオリフィスとねじロッドとの1つの組合せ上に標準的な右巻きのねじを設け、下部ねじオリフィス40およびねじ部分42などのオリフィスとねじロッドとのもう一方の組合せ上に逆巻きのねじを設けることによって達成される。これらのねじパターンは代替的な実施例において逆にされてもよい。この発明の代替的な実施例の荷重アプリケータ28は、代替的な手段によってコネクタ12と荷重表示器14との間の距離を増大または低減させることによって荷重をかけ得る

【0023】
図1および図2の荷重表示器14は、圧縮方向および引張方向の荷重を測定および表示し得る。この発明のさらなる実施例の荷重表示器は、荷重表示器をそれぞれ応用することによって必要とされる圧縮方向または引張方向の荷重を測定および表示し得る。荷重表示器14は荷重検知部分32を通じて荷重を検出し、機械的装置で荷重を測定して、荷重表示器のディスプレイ上に荷重を示す。図示される実施例の荷重表示器14はダイヤルを含み、当該ダイヤルの回転可能な針の角度位置によって荷重が示される。この発明の代替的な荷重表示器は、ディスプレイ、たとえば1つの非限定的な例を挙げるとLEDディスプレイ、上で処理されかつ示され得るデジタル信号を生成する電気的装置、たとえば歪みゲージを備えたロードセル、を含む。ローディング装置のさらなる実施例は、ディスプレイの有無に係らず他の手段によって荷重を測定する荷重表示器を含み得るか、または、荷重表示器を含まずに、単に、ローディング装置が較正されてかけられる所定の荷重をもたらし得る。荷重表示器をもたないローディング装置の例には、上述されたターンバックルを備えたローディング装置が含まれ、ターンバックルのねじオリフィスに通されるロッドは所望の荷重に対応する位置で終端する。さらなる例はまた、所定の荷重に対応する所定の距離を越えてコネクタおよび荷重表示器が移動するのを防ぐためにローディング装置において内部の係合をもたらす荷重ストッパを含み得る。
【0024】
図1および図2の荷重表示器14は、荷重表示器のディスプレイに対して概して垂直に突き出、測定される常用荷重に対して概して垂直に突き出るスタンドオフ24を含む。第1のスタンドオフ24は荷重表示器14の一方側から突き出、第2のスタンドオフ24は荷重表示器の反対側から突き出る。スタンドオフ24は、支持フック22が突き出ているプレート20に対して概して平行な方向に突き出る。スタンドオフ24は、荷重表示器14が支持部16によって支持されるように支持フック22と係合するよう支持フック22において位置決めされる。しかしながら、この発明のさらなる実施例は、1つの非限定的な例を挙げると、荷重表示器の一部をプレートに螺着する等のさまざまな手段によって荷重表示器を支持し得る。このようなさらなる実施例は、ローディング装置が圧縮荷重をかける場合に有利に用いられる。
【0025】
図1および図2のプレート20は概して平面の鋼板であり、そこから支持フック22が突き出、脚部18が通るねじ穴を規定する。ローディング装置のさらなる実施例は、いかなる幾何学的形状、厚さもしくは材料のプレートをも含み得るか、または、ローディング装置はプレートを含まないかもしれず、このため荷重表示器14は代替的な手段によって脚部18で支持される。支持部16は、有利には、非水平面上でのローディング装置10の移動またはローディング装置の位置決めを容易にするためにプレート20または脚部18に取付けられ得るカウンタバランス穴(図示せず)を含む。特に荷重が非水平面にかけられる場合にローディング装置10が都合よく持上げられかつ位置決めされ得るように、クレーンまたは他のリフト装置からのストラップまたは他の支持部が有利にはカウンタバランス穴に通される。
【0026】
図1および図2に示される支持部16の脚部18は、プレート20の穴に通されるねじロッドである。したがって、脚部18は、脚部が接触する構造物50の表面54に対して調節可能な長さを規定する。こうして、ローディング装置10は、角度が付けられた面、段が付けられた面または非平面などの平坦ではない表面に取付けられ得、検査中の表面54に対して概して垂直な常用荷重をなおも与え得る。代替的には、脚部18の長さは、非常用荷重が必要とされ得る場合、概して垂直ではない表面54への荷重に対応するよう調節されてもよい。脚部18は好ましくは、コネクタ12、荷重アプリケータ28、荷重表示器14およびそれらの間における取付具のために表面54とプレート20との間に十分な隙間を設けるのに十分に長い。脚部18は、荷重がかけられる位置近傍の構造物の表面
に都合よくアクセスできるようコネクタ12が構造物50の表面54に接続するところから離れて有利に配置される。脚部18は、検査されるべき構造物の区域近傍の構造物50の表面54に接触するが、当該脚部18は、脚部における打消す荷重が構造物の検査された区域においてかけられる荷重に概して最小限の影響しか及ぼさないように荷重がかけられるところから十分に離れて有利に配置される。図示される実施例のローディング装置10は、かけられる荷重と脚部18との間のほぼ6インチの距離を規定する。しかしながら、さらなる実施例は6インチを上回るかまたは6インチ未満の距離を規定し得る。
【0027】
図示される支持部16の脚部18はまた、構造物50に接触する脚部の端部に保護足部44を含む。保護足部44は、ローディング装置10が構造物上に位置決めされ、荷重がかけられると当該荷重を打ち消す荷重が脚部を通じて構造物の表面にかけられる場合、構造物50の表面54を破損から保護する。保護足部44は、プレートの反対側の脚部18の端部に通されるかまたは接着され、好ましくはエラストマ材料である。しかしながら、さらなる実施例は、他の比較的軟質の材料または詰物をした材料、たとえば非限定的な例を挙げるとポリマー、を含む足部を含み得る。構造物の表面上に圧縮荷重をかけるローディング装置のさらなる実施例は、張力のかかった打消す荷重に耐えるよう構造物に接触する足部を含み得る。
【0028】
図1および図2のローディング装置10で常用荷重をかけるために、支持部は、構造物50の表面54上において、当該支持部の脚部が当該表面に接触するように位置決めされる。支持部16は、好ましくは、コネクタ12が接続されるかまたは接続されることとなる突起52の上に中心が合わされる。支持部16が表面54に接触し、プレート20が突起52に対して概して垂直となるかまたは構造物の表面に対して概して平行となるよう水平にされると、コネクタ12が突起に接続される。代替的には、コネクタ12は、支持部16が突起近傍の表面に接触する前に突起52に接続される。ターンバックルおよびフック34がコネクタ12に取付けられた後、荷重表示器14がフック34および支持フック22に取付けられて、ローディング装置10が完全に組立てられる。ローディング装置10が実質的に組立てられると、所定の常用荷重が突起52にかけられるまで、コネクタ12と荷重表示器14との間の距離を縮めるようターンバックルを回転させる。上述の75ポンドの荷重などの所定の荷重が突起52にかけられると、ターンバックルの回転が停止する。ローディング装置10が、構造物50にかけられた荷重を無期限に維持し得るので、非破壊検査を行う技術者にはローディング装置近傍の構造物を検査するのに十分な時間がある。代替的な実施例のローディング装置では、異なる組立およびローディング技術が必要とされるかもしれない。加えて、荷重をかけるためのステップは、ローディング装置の構造またはローディング装置を用いる技術者の都合に基いて、いかなる妥当な順序で行われてもよい。
【0029】
図3は、構造物50の表面54に通されたコネクタ12を示す。表面54は、ねじ部分56を含む突起52を規定する。突起52は、1つの非限定的な例を挙げると、ナセルサンドイッチパネルにおいて用いられるCLICKBONDファスナなどの構造物50の永久的な特徴であり得るか、または、図4に示される構造物の一時的な特徴であり得る。図3を再び参照すると、コネクタ12はねじオリフィス26を規定する。ねじオリフィス26は、コネクタが荷重表示器14に取付けられる前または後に当該コネクタが突起52に都合よく螺着され得るようにコネクタ12の中心に有利に配置される。ねじオリフィス26は、有利には、突起52のねじ部分56のねじパターンと一致するねじパターンを規定する。コネクタ12には、有利には、ねじを破損したりコネクタを突起から外したりすることなく、荷重に耐えるよう突起52の十分な数のねじがねじ込まれる。代替的な構造物は、コネクタ12、またはローディング装置のさらなる実施例のコネクタが接続し得る表面の特徴を規定し得る。加えて、ねじ切りされた突起は、コネクタとの接続のために構造物の表面に取外し可能に接着されてもよい。
【0030】
図4は、構造物150の表面154に取外し可能に接着される突起152を示す。突起152は、構造物150の表面154に取外し可能に接着された表面の反対側にねじ部分156を有する。突起が表面に接触すると当該突起が当該表面に接着されるように、取外し可能な接着剤158が突起152と表面154との間に塗布される。接着剤は、表面154または突起152に直接塗布されてもよく、好ましくは室温で比較的急速に固まる接着剤である。一般販売名EA9394をもつ接着剤は、突起152と共に有利に用いられる取外し可能な接着剤158の非限定的な例である。突起152と表面150との間の接着性を高めるために、表面154は、接着剤158が当該表面に接触する前に軽く研磨され、磨かれてもよい。接着剤158は、張力がかかっている所定の荷重に耐えるのに十分な接着強度を与えなければならない。有利には感温性接着剤である接着剤158を除去するために、突起が除去され、接着剤が構造物150から拭い取られ得るように、接着剤が作り出した接合部が十分に弱められるまで、接着剤158が加熱される。代替的には、接着された突起を除去する方法の3つの非制限的な例を説明すると、接着剤158がこすり取られ得るか、もしくは接着剤の接着強度を弱める溶媒にさらされ得るか、または、突起152が、接着剤が最低限の接着強度を有する方向、たとえば回転方向、に動かされ得る。突起152が除去されると、表面154がきれいにされて構造物150がその検査前の状態に戻され得る。
【0031】
この発明のローディング装置は、構造物における内部の欠陥を強調するために非破壊検査を受ける複合構造物の表面に荷重をかける。荷重により、通常検出されない弱い接合が作用しなくなる可能性があり、このため、検査によって剥離が検出されるか、または、荷重を受けない場合には互いに接触するが荷重がかけられると容易に分離する複合層間における剥離が明らかにされ得る。非破壊検査は、有利には、検査中の構造物の区域における剥離または欠陥を検出する従来のパルスエコーまたは超音波透過技術を組込む。さらなる非破壊検査技術がまた、この発明のローディング装置と共に用いられてもよい。超音波検査装置または他の非破壊検査装置は、好ましくは、検査を行う技術者が剥離または欠陥の表示を監視することができる、図または数で示すような画像表示をもたらすよう処理要素によって処理され得る信号を生成する。処理された信号はまた、後で検査結果を分析するために記録されてもよい。改善が必要な、検出されたいかなる剥離または欠陥も修復され得るか、または、必要ならば構造物が取替えられてもよい。
【0032】
この発明のローディング装置は、構造物の表面上で都合よく組立てられてもよく、さまざまな向きの表面またはさまざまな表面特徴を有する表面に適合する。加えて、ローディング装置は、非破壊検査が都合よく実行され得るように荷重がかけられる位置近傍の構造物の表面に都合よくアクセスできる。さらに、ローディング装置は、突起の有無に係らず表面上で用いられ得る。したがって、ローディング装置は、非破壊検査のために複合構造物の表面に都合よくかけることができる荷重をもたらす。
【0033】
ここに述べられたこの発明の多くの変形例および他の実施例は、上述の説明および関連する添付の図面に呈示される教示の利益を有するこの発明に関係する当業者には容易に思い付くものであるだろう。したがって、この発明が開示された特定の実施例に限定されず、変形例および他の実施例が添付の特許請求の範囲内に含まれるよう意図されることが理解されるはずである。この明細書では特定の用語が使用されるが、それらは一般的かつ記述的な意味でのみ用いられ、限定を目的とするものではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】検査されるべき構造物の表面からの突起に接続されたローディング装置を示す、この発明の一実施例にしたがったローディング装置の斜視図である。
【図2】図1の荷重表示器を示す正面平面図である。
【図3】コネクタと突起と間の接続を示す、図1の荷重表示器のコネクタの正面平面図である。
【図4】コネクタと構造物の表面に取外し可能に接着された突起との間の接続を示す、図1の荷重表示器のコネクタの正面平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合構造物の区域の非破壊検査中に前記構造物の表面に荷重をかけるためのローディング装置であって、
前記構造物にかけられる前記荷重を示す荷重表示器と、
検査中の前記構造物の前記表面に前記荷重表示器を接続するためのコネクタと、
前記コネクタおよび前記荷重表示器と機械的に連通し、前記構造物に前記荷重をかけるための荷重アプリケータと、
前記荷重表示器およびコネクタを支持するための支持部とを含み、前記支持部は、検査されるべき前記構造物の前記区域近傍の前記構造物の表面に接触する、ローディング装置。
【請求項2】
前記支持部が、3つの脚部と前記3つの脚部を接続するプレートとを含み、前記プレートの反対側の各脚部の端部は前記構造物の前記表面に接触し、前記荷重表示器が前記プレートに取付けられる、請求項1に記載のローディング装置。
【請求項3】
前記プレートの反対側の前記脚部の各端部が、前記構造物の前記表面に接触させるための保護端部を含む、請求項2に記載のローディング装置。
【請求項4】
前記荷重表示器が前記荷重表示器の一方側に第1のスタンドオフと、前記荷重表示器の反対側に第2のスタンドオフとを含み、2つの支持フックは、各々のスタンドオフが前記荷重表示器および前記コネクタを支持するよう支持フックと係合するように、前記支持部の前記プレートから突き出る、請求項2に記載のローディング装置。
【請求項5】
前記脚部は、前記ローディング装置が前記構造物の非平面に接触しつつ前記荷重をかけることができるように調節可能な長さを規定する、請求項2に記載のローディング装置。
【請求項6】
前記荷重アプリケータが、前記荷重表示器に前記コネクタを取付けるターンバックルを含み、前記荷重は、前記コネクタと前記荷重表示器との間に張力を作り出すよう前記ターンバックルを回転させることによってかけられる、請求項1に記載のローディング装置。
【請求項7】
前記荷重表示器が、前記荷重を示すためのダイヤルを含む、請求項1に記載のローディング装置。
【請求項8】
前記コネクタが、前記構造物の前記表面に螺着するためのねじオリフィスを規定する、請求項1に記載のローディング装置。
【請求項9】
突起が前記構造物の前記表面に取外し可能に接着され、前記コネクタが前記突起に接続される、請求項1に記載のローディング装置。
【請求項10】
複合構造物の区域の非破壊検査中に前記構造物の表面に荷重をかけるためのローディング装置であって、
前記構造物にかけられる前記荷重を示す荷重表示器と、
前記荷重表示器および前記構造物と機械的に連通し、前記構造物に前記荷重をかけるための荷重アプリケータと、
前記荷重表示器および前記荷重アプリケータを支持するための支持部とを含み、前記支持部は、検査されるべき前記構造物の前記区域近傍の前記構造物の前記表面に接触し、前記支持部は、
プレートを含み、前記荷重表示器が前記プレートに取付けられ、前記支持部はさらに、
前記構造物の前記表面に接触させるために前記プレートによって接続される調節可能な
長さを規定する少なくとも3つの脚部を含む、ローディング装置。
【請求項11】
検査中の前記構造物の前記表面に前記荷重表示器を接続するためのコネクタをさらに含み、前記コネクタは前記荷重アプリケータ、前記荷重表示器および前記構造物の前記表面と機械的に連通する、請求項10に記載のローディング装置。
【請求項12】
前記コネクタが、前記構造物の前記表面に螺着するためのねじオリフィスを規定する、請求項11に記載のローディング装置。
【請求項13】
前記荷重アプリケータが、前記荷重表示器に前記コネクタを取付けるターンバックルを含み、前記荷重は、前記コネクタと前記荷重表示器との間に張力を作り出すようターンバックルを回転させることによってかけられる、請求項11に記載のローディング装置。
【請求項14】
突起が前記構造物の前記表面に取外し可能に接着され、前記コネクタが前記突起に接続される、請求項11に記載のローディング装置。
【請求項15】
前記プレートの反対側の前記脚部の各端部が、前記構造物の前記表面に接触させるための保護端部を含む、請求項10に記載のローディング装置。
【請求項16】
前記荷重表示器が前記荷重表示器の一方側に第1のスタンドオフと、前記荷重表示器の反対側に第2のスタンドオフとを含み、2つの支持フックは、各々のスタンドオフが前記荷重表示器および前記荷重アプリケータを支持するよう支持フックと係合するように、前記支持部の前記プレートから突き出る、請求項10に記載のローディング装置。
【請求項17】
複合構造物の区域の非破壊検査中に前記構造物の表面に荷重をかける方法であって、
支持部を、前記支持部が検査されるべき前記構造物の前記区域近傍の前記表面に接触するように前記構造物の前記表面に位置決めするステップと、
前記構造物の前記表面にコネクタを接続するステップと、
前記荷重を示し、前記支持部によって支持される荷重表示器に前記コネクタを取付けるステップと、
前記構造物の前記表面に前記荷重をかけるために前記コネクタと前記荷重表示器との間の距離を調節するステップとを含む、方法。
【請求項18】
前記コネクタと前記荷重表示器との間の前記距離を調節するステップは、ターンバックルを回転させるステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記支持部を位置決めするステップは、前記支持部の1つ以上の脚部の長さを調節するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記コネクタを接続するステップは、前記構造物の前記表面に前記コネクタを螺着するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記構造物の前記表面に突起を接着するステップをさらに含み、これにより、前記構造物の前記表面にコネクタを接続する前記ステップが、前記接着された突起に前記コネクタを接続するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記構造物の前記区域の非破壊検査を実行するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−512529(P2007−512529A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541156(P2006−541156)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/033734
【国際公開番号】WO2005/057204
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】