説明

複合液体を少なくとも2つの成分に分離するための装置及び方法

【課題】最短の時間で、複合流体を少なくとも2つの高品質の成分に分離するために最適化された分離プロセスを遂行することのできる分離装置を提供する。
【解決手段】所定量の複合液体を少なくとも第1成分と第2成分とに分離するための方法及び装置であって、少なくとも第1成分と第2成分とを分離バッグ1に沈降させるために、所定量の複合液体と所定量のガスとを収容する分離バッグ1を遠心分離処理し、分離バッグ1の少なくとも1つの留分を少なくとも1つの成分バッグ2,3,4,5内に移送させるために、分離バッグ1に対して所定量の作動流体を移動し、移動された作動流体の量を測定し、移動された作動流体の測定量から、複合液体又は移送された成分の量を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定量の複合液体を少なくとも2つの成分に分離するための装置及び方法に関する。
【0002】
本発明の装置及び方法は、水状の成分と、1つ又は複数の細胞状成分とを有する生物学的流体の分離用として特に適したものである。例えば、本発明の可能性のある用途(uses)には、所定量の全血から、血漿成分と、血小板を含む第1細胞成分と、単核細胞を含む第2細胞成分と、赤血球および顆粒球を含む第3細胞成分とを抽出することを含む。
【背景技術】
【0003】
本発明は、2006年9月6日付けで出願の米国仮出願第06/824643の利益を有するものである。
【0004】
欧州特許出願(EP1566191)は、所定量の全血を、種々の分離プロトコルにしたがって、少なくとも2つの成分に分離するための方法および装置について記載する。例えば、1つのプロトコルは、所定量の全血を血漿成分と血小板成分と赤血球成分とに分離をする。この装置は、種々のバッグセットと協同する遠心分離機を備え、特にこのバッグセットは、全血用の環状分離バッグを有し、この分離バッグは血小板成分バッグ、血漿成分バッグ、および赤血球成分バッグに接続される。
【0005】
遠心分離機は、分離バッグを回転し、内部に収容された全血を遠心分離するロータを備え、このロータは、分離バッグを支えるターンテーブルと、分離バッグに接続された成分バッグを収容する中央コンパートメントと、分離バッグを圧搾(squeezing)して血漿成分を分離バッグから血漿成分バッグ内に、赤血球成分を赤血球成分バッグに、場合によっては血小板成分を血小板成分バッグに移送するための圧搾システムとを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願EP 1 566 191
【発明の開示】
【0007】
本発明の目的は、最短の時間で、複合流体を少なくとも2つの高品質の成分に分離するために最適化された分離プロセスを遂行することのできる分離装置をデザインすることにある。
【0008】
本発明の第1の実施形態によると、所定量の複合液体を少なくとも第1成分と第2成分とに分離する方法は、所定量の複合液体と残部のガスとを含む内容物を収容する分離バッグを、分離バッグ内に少なくとも第1成分と第2成分とが沈殿するように、遠心分離処理することを含み、この分離バッグ内には所定量のガスが存在し、更に、分離バッグに圧力を掛け、分離バッグの内容物の少なくとも1の留分(fraction)を、分離バッグに接続された少なくとも1つの成分バッグ内に移送させるために、分離バッグに対して所定量の作動流体(hydraulic fluid)を移動することと、分離バッグの内容物の少なくとも1つの留分を、少なくとも1つの成分バッグ内に移送させるために、移動された作動流体の量を測定することと、移動された作動流体の測定量から、分離バッグ内の複合液体の実際の量と、分離バッグ内の第2成分の実際の量と、第1の成分バッグ内に移送された第1成分の少なくとも1つの留分の実際の量との少なくとも1つを測定すること、とを含む。
【0009】
この方法の付加的又は他の特徴は、以下の通りである。分離バッグの内容物の少なくとも1つの留分を少なくとも1つの成分バッグ内に移送させるために、分離バッグに圧力を掛けることは、ガスの残留量および第1成分を第1の成分バッグ内に流入させることと、少なくともその第1の留分が第1の成分バッグ内に移送されたときに、第1成分の第1の成分バッグ内への流入を停止すること、とを含む。
【0010】
この方法は、更に、ガスの残留量がその中に移送された後、第1の成分バッグ内への第1成分の第1の留分の注入が開始したときを測定することを含み、ここに、第1の成分バッグ内に移送された第1成分の第1の留分の実際の量は、第1の成分バッグ内への第1成分の注入開始と、第1の成分バッグへの第1成分の注入停止との間で移送された量に、ほぼ対応する。
【0011】
第1の成分バッグ内への第1成分の注入開始時の測定は、分離バッグ上に掛ける圧力の段階的な変化(evolution)をモニタすることと、分離バッグに掛かる圧力の変化から、第1の成分バッグ内への第1成分の第1の留分の注入開始の時を測定することとを含む。
【0012】
圧力の変化は、第1の成分バッグ内へのガスの移送中にほぼ着実(steadily)に上昇した後、ほぼ一定になる圧力に対応する。
【0013】
分離バッグに圧力を掛けることは、分離バッグが密閉(enclose)される分離コンパートメント内に作動流体を圧送することを含む。
【0014】
分離バッグに作用する圧力の段階的な変化をモニタすることは、作動液体(hydraulic liquid)の圧力を計測することを含む。
【0015】
作動液体を分離コンパートメント内に圧送することは、測定した個々の量(discrete volume)の増分毎に作動液体を圧送することを含み、第1の成分バッグ内に移送された第1成分の第1の留分の実際の量を測定することは、第1の成分バッグ内への第1成分の注入開始と第1の成分バッグ内への第1成分の流入停止との間の増分(increments)の数を計数することを含む。
【0016】
更に、この方法は、遠心分離軸から所定距離にある、分離バッグ内の第1,第2成分間のインターフェースを検出することを含み、ここで、第1の成分バッグ内への第1成分の流れは、インターフェースが検出された後に停止される。
【0017】
分離バッグ内の複合液体の実際の量を測定することは、分離バッグ内に含まれた所定量のガスを少なくとも1つの成分バッグ内に移送させるために、分離バッグに対して所定量の作動流体を移動することと、第1成分の第1の留分を第1の成分バッグ内に注入させることとを含み、ここに、分離バッグは、第1成分の第1の増分が第1の成分バッグ内への注入開始めで、移動された作動流体の量を測定する固定量を有し、少なくとも、分離コンパートメントの固定容積と、第1成分の第1の留分の第1の成分バッグ内への注入開始までの移動された作動流体の測定された量とから、分離バッグ内の複合液体の実際の量を測定すること、を含む。
【0018】
作動流体を分離バッグに対して移動することは、分離バッグが密閉される分離コンパートメント内で、測定した個々の量の増分毎に、作動流体を圧送することを含み、分離バッグ内の複合液体の実際の量を測定することは、分離コンパートメント内への作動流体の流入開始と、第1の成分バッグ内への第1成分の第1の留分の注入開始との間で増分の数を計数することを含む。
【0019】
この方法は、更に、少なくとも、分離バッグ内の複合液体の測定された実際の量と、第1の成分バッグ内に移送された第1成分の測定された実際の量とから、分離バッグ内の第2成分の実際の量を測定することを含む。
【0020】
分離バッグの遠心分離処理により、分離バッグ内で、第1成分と第2成分との間の中間成分が沈降される。
【0021】
この方法は更に、第1成分の第1の増分が第1の成分バッグ内に移送されたときに、分離バッグに接続された第3成分バッグ内に第3成分を流入させることを含み、この第3成分は、第1成分の第1の増分が第1の成分バッグ内に移送されたときに、分離バッグ内に残留する第2成分の増分と中間成分と第1成分の第2の留分を含み、更に、その量が第3成分バッグ内に移送されたときに、第3成分バッグ内への第3成分の流入を停止することと、第3の成分バッグ内に移送された第3成分の実際の量を測定することとを含む。
【0022】
この方法は更に、最初に、分離バッグに接続された複合液体バッグから所定量の複合液体を分離バッグ内に移送することを含み、ここで、複合液体バッグ内には複合流体の残留量が残り、この残留量は既知の値を有し、更に、複合液体バッグを第3の成分バッグとして使用することと、少なくとも、複合液体の残留量と複合液体バッグ内に移送された第3成分の実際の量とから、複合液体バッグ内の第3成分の実際の量を測定することとを含む。
【0023】
第3成分を複合液体バッグ内に流入させることは、測定した個々の量の増分毎に、作動液体を、分離バッグを収容(contain)する分離コンパートメント内に圧送することを含む。
【0024】
複合液体バッグ内に移送された第3成分の実際の量を測定することは、第3ン尾成分バッグ内への第3成分の流入開始と、第3の成分バッグ内への第3成分の流入停止との間の増分を計数することと、計数された増分の数と1つの増分の測定された量とから複合液体バッグ内に移送された第3成分の実際の量を計算することとを含む。
【0025】
この方法は更に、分離バッグ内の複合液体の実際の量を測定することと、少なくとも、複合液体の測定された実際の量と、第1の成分バッグ内に移送された第1成分の測定された実際の量と、第3の成分バッグ内に移送された第3成分の測定された実際の量とから、第2成分の実際の量を測定することとを含む。
【0026】
本発明の1つの実施形態では、複合液体は、全血を含み、第1成分は血漿(plasma)を含み、第2成分は赤血球を含み、第3成分は血小板を含む。
【0027】
本発明の第2の実施形態によると、複合液体を少なくとも第1成分と第2成分とに分離するための方法は、分離バッグ内に少なくとも第1成分と第2成分とを沈降させるために、所定量の複合液体を収容する分離バッグを遠心分離処理することを含み、ここで、分離バッグ内にガスの残留量が存在し、更に、ガスの残留量と第1成分とを分離バッグに接続された第1の成分バッグ内に流入させることと、少なくとも、その第1の留分が第1の成分バッグ内に移送されたときに、第1の成分バッグ内への第1成分の流入を停止することと、ガスの残留量が移送された後に、第1の成分バッグ内への第1成分の注入開始時を測定することと、第1の成分バッグ内に移送された第1成分の第1の留分の実際の量を測定することとを含み、ここで、第1成分の第1の留分の実際の量は、第1の成分バッグ内への第1成分の注入開始と第1の成分バッグ内への第1成分の流入停止との間に移送された量に実質的に対応する。
【0028】
本発明の第3の実施形態によると、少なくとも第1成分と第2成分とに複合液体を分離するための方法は、分離バッグ内に少なくとも第1成分と第2成分とを沈降させるために、所定量の複合液体を収容する分離バッグを遠心分離処理することを含み、ここで、分離バッグ内にガスの残留量が存在し、更に、分離バッグ内に収容される所定量のガスを、分離バッグに接続された少なくとも1つの成分バッグ内に移送させ、分離バッグに接続された第1の成分バッグ内への第1成分の第1の留分の移送を生じさせるために、分離バッグが密閉される分離コンパートメント内に作動流体を圧送することを含み、ここで、分離コンパートメントは固定容積を有し、更に、第1の成分バッグ内への第1成分の第1の留分の注入が開始するまで、分離コンパートメント内に圧送された作動流体の量を測定することと、少なくとも、分離コンパートメントの固定容積と、第1成分の第1の留分の第1の成分バッグ内への注入が開始するまで、分離コンパートメント内に圧送された作動流体の量とから、分離バッグ内の複合流体の実際の量を測定することと、とを含む。
【0029】
本発明の第4の実施形態によると、所定量の複合液体を少なくとも第1成分と第2成分とに分離する方法は、少なくとも第1成分と第2成分とを分離バッグ内で沈降させるために、所定量の複合液体を収容する分離バッグを遠心分離処理することを含み、ここに、分離バッグ内には所定量のガスが存在し、更に、分離バッグ内の複合流体の実際の量を測定することと、少なくとも、第1成分の第1の留分を、分離バッグに接続された第1の成分バッグ内に流入させることと、少なくとも、第1の成分バッグ内に移送された第1成分の第1の留分の実際の量を測定することと、少なくとも、複合液体の実際の量と、第1成分の第1の留分の実際の量とから分離バッグ内の第2成分の実際の量を測定することとを含む。
【0030】
本発明の第5の実施形態によると、所定量の複合液体を、少なくとも第1成分と第2成分と中間成分とに分離する方法は、分離バッグ内に少なくとも第1成分と第2成分と第3成分とを沈降させるために、所定量の複合液体を収容する分離バッグを遠心処理することと、分離バッグに接続された第1の成分バッグ内に第1成分を流入させることと、遠心分離軸から所定距離における分離バッグ内の第1および中間成分間のインターフェースを検出することと、このインターフェースが検出された後に、第1の成分バッグ内への第1成分の流入を停止することと、第1成分の第1の留分が第1の成分バッグ内に移送されたときに、分離バッグに接続された第3の成分バッグ内に第3成分を流入させることを含み、ここで、第3成分は、第2成分の留分と、中間成分と、第1成分の第1の留分が第1の成分バッグ内に移送されたときに、分離バッグ内に残留する第1成分の第2の留分とを含み、更に、第3の成分バッグ内に第3成分が移送されたときに、第3の成分バッグ内への第3成分の流入を停止することと、第3の成分バッグ内の第3成分の実際の量を測定すること、とを含む。
【0031】
本発明によると、所定量の複合液体を、少なくとも第1成分と第2成分とに分離バッグ内で分離するための装置は、ロータの回転軸の回りに分離バッグを旋回させるロータと、ガスと第1成分の少なくとも第1の留分とを分離バッグから、これに接続された第1の成分バッグ内に移送させる流体移送システムと、分離バッグ内に収容された所定量の複合液体の少なくとも第1成分と第2成分との沈降を可能とする少なくとも1つのロータ遠心分離速度を記憶するメモリと、コントロールユニットとを含み、このコントロールユニットは、分離バッグ内に収容された所定量の複合液体の少なくとも第1,第2成分を沈降させるために、少なくとも1のロータ遠心分離速度でロータを回転させ、流体移送システムで、分離バッグに接続された第1の成分バッグ内に、ガスと少なくとも第1成分の第1の留分とを移送させ、第1の成分バッグ内への第1成分の注入開始と第1の成分バッグ内への第1成分の注入停止との間で、少なくとも、第1の成分バッグ内に移送された第1成分の第1の留分の実際の量を測定するように、プログラムされている。
【0032】
この装置の追加又は他の特徴は以下の通りである。流体移送システムは、分離バッグに圧力を作用させるための手段と、分離バッグに作用する圧力を測定するための圧力センサとを備え、前記コントロールユニットは、更に、圧力センサから情報を受取り、所定量のガスが移送された後、第1の成分バッグ内への第1成分の第1の増分の実際の注入が開始するときを測定するために、圧力センサからの圧力情報をモニタするように、プログラムされている。
【0033】
コントロールユニットは更に、所定量のガスの移送中に着実に上昇した後、実質的に一定となった圧力に対応する圧力の変化を検出することにより、第1の成分バッグ内への第1成分の実際の注入が開始したときを測定するように、プログラムされている。
【0034】
この装置は更に、回転軸から所定距離における分離バッグ内の第1,第2成分間のインターフェースを検出するためのインターフェースセンサを備え、前記コントロールユニットは、更に、インターフェースセンサからの情報を受取り、インターフェースセンサにより第1,第2成分間のインターフェースが検出された後、流体移送システムが第1成分バッグ内への第1成分の第1の留分の移送を停止するようにプログラムされている。
【0035】
流体移送システムは、測定した個々の量の増分毎に、分離バッグを収容するためのロータの分離コンパートメント内に作動液体を圧送するための圧送手段を備え、前記コントロールユニットは、更に、第1の成分バッグ内への第1成分の注入開始と、第1の成分バッグ内への第1成分の注入停止との間で増分の数を計数し、計数された増分の数と、1の増分に対応する測定量とから、第1の成分バッグ内に移送された第1成分の第1の留分の実際の量を測定するように、プログラムされている。
【0036】
この装置は、更に、回転軸から所定距離における分離バッグ内のガスおよび複合液体間のインターフェースを検出するためのインターフェースセンサを備え、前記コントロールユニットは、更に、インターフェースセンサからの情報を受取り、インターフェースセンサによりガスおよび複合液体間のインターフェースが検出された後、所定時間経過するまで、流体移送システムにより、分離バッグからこれに接続されたサテライトバッグ内に分離バッグからガスを移送させる、ようにプログラムされている。
【0037】
流体移送システムは、分離バッグを収容するロータの分離コンパートメント内に作動液体を圧送するための圧送手段を備え、ここで、分離コンパートメントは固定容積を有し、前記コントロールユニットは、更に、分離バッグ内に収容された所定量のガスを、少なくとも1つの成分バッグ内に移送させ、第1成分第1の留分を第1の成分バッグ内に移送させるように、作動流体を分離コンパートメント内に圧送し、第1の成分バッグ内への第1成分の注入開始まで、分離コンパートメント内に圧送された液圧作動流体の量を測定し、少なくとも、分離コンパートメントの固定容積と、第1の成分バッグ内への第1成分の第1の増分の注入開始まで、分離コンパートメント内に圧送された液圧作動流体の量とから、分離バッグ内の実際の複合液体の量を測定するように、プログラムされている。
【0038】
圧送手段は、測定された個々の容量の増分毎に作動流体を圧送するように設計されており、前記コントロールユニットは、更に、分離コンパートメント内への作動流体の流入開始と第1の成分バッグ内への第1成分の第1の留分の注入開始との間で増分の数を計数し、計数した増分の数と1つの増分の測定した個々の量とから分離コンパートメント内に圧送された作動流体の量を計算するように、プログラムされている。
【0039】
コントロールユニットは、更に、少なくとも、分離バッグ内の複合液体の測定された実際の量と、第1の成分バッグ内に移送された第1成分の実際の量とから、第2コンパートメントの実際の量を測定するようにプログラムされている。
【0040】
メモリ内に記憶された少なくとも1つのロータ遠心分離速度の1つが、少なくとも、分離バッグ内に収容された複合液体の第1,第2および中間成分の沈降を可能とし、前記コントロールユニットは、更に、分離バッグ内に収容された所定量の複合液体の第1,第2および中間成分の沈降を可能とする少なくとも1つの遠心分離速度でロータを回転させ、第1成分の第1の留分が第1の成分バッグ内に移送されたときに、分離バッグに接続された第3の成分バッグ内に所定量の第3成分を、流体移送システムで移送させ、この第3成分は、第2成分の留分と、中間成分と、第1成分が第1の成分バッグ内に移送されたときに、分離バッグ内に残留する第1成分の第2の留分とを備え、更に、第3の成分バッグ内に移送された第3成分の実際の量を測定するように、プログラムされている。
【0041】
流体移送システムは、作動流体を圧送するための圧送手段を備え、コントロールユニットは、更に、第3成分を第3の成分バッグ内に移送するために作動された圧送手段と、停止された圧送手段との間の増分の数を計数し、計数した増分の数と、1つの増分の測定した量とから、第3の成分バッグ内に移送された第3成分の実際の量を測定するように、プログラムされている。
【0042】
コントロールユニットは、更に、少なくとも、複合液体の実際の量と、第1の成分バッグ内に移送された第1成分の測定された実際の量と、第3の成分バッグ内に移送された第3成分の測定された実施の量とから、第2成分の実際の量を測定するように、プログラムされている。
【0043】
更に、この装置は、コントロールユニットに接続されたスクリーンを備え、前記コントロールユニットは、更に、分離バッグ内の複合液体の実際の量と、分離バッグ内の第2成分の実際の量と、第1の成分バッグ内に移送された第1成分の少なくとも1つの留分の実際の量と、第3の成分バッグ内に移送された第3成分の実際の量との少なくとも1つをスクリーンに表示するように、プログラムされている。
【0044】
本発明の他の特徴および利点は、例示のみである以下の説明および添付図面から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明による分離装置と協働するようにデザインされたバッグセットの概略図。
【図2】図1のバッグセットの内の分離バッグの拡大図。
【図3】本発明による分離装置の一部を断面で示す概略図。
【図4】本発明による分離装置のロータの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0046】
明りょうにするため、本発明を特定の用途、すなわち血漿成分、血小板、単核細胞成分、および、赤血球である4つの成分への全血の分離に関して説明する。しかし、この特別の用途は例示のみである。
【0047】
図1および2は、全血を血漿成分(本質的に血漿を含む)、血小板成分(本質的に血小板を含む)、単核細胞成分(単核白血球、リンパ球、および、赤血球を含む)、および、赤血球成分(本質的に赤血球および顆粒球細胞を含む)に分離するのに適したバッグセットを例示する。このバッグセットは、可撓性の分離バッグ1と、これに接続される4つの可撓性サテライトバッグ2,3,4,5とを備える。分離バッグ1は、全体的に円形の外側および内側縁部7,8を有する環状分離チャンバ6を備える。この分離チャンバ6の外側の円形縁部7および内側の円形縁部8は、実質的に同心である。
【0048】
分離チャンバ6は、その外側縁部7から突出し、分離チャンバ6の内容物がサテライトバッグ5内に流出するのを支援するための第1の鋭角漏斗状延長部9を備える。この分離チャンバ6は更に、内側縁部8からバッグ1の中心に向けて突出し、分離した成分を第1,第2および第3サテライトバッグ2,3,4内に注ぎ込む(funnel)のを支援する第2の鈍角漏斗状延長部10を備える。
【0049】
分離バッグ1は、更に、環状チャンバ5の内側縁部8に接続される半可撓性ディスク状接続部材11を有する。このディスク状接続部材11は、第2の漏斗状延長部10に向くその内側縁部に、3つの湾曲した凹部12を備え、後述する遠心分離機(図2に点線で概略的に示す)のロータの3つのピンチ弁を部分的に囲む。このディスク状接続部材11は、分離バッグ1を遠心分離機のロータに接続するための一連の孔13を有する。
【0050】
第1のサテライトバッグ2は、2つの目的を有し、全血収集バッグとして、および、単核細胞成分バッグとして順に使用される。第1のサテライトバッグ2は、分離処理前に、最初に所定量の全血(通常、約450ml)を提供者から受取り、分離処理中に単核細胞成分を受取ることを意図したものである。第1のサテライトバッグ2は、平坦で、ほぼ矩形形状を有し、バッグを吊るすための孔14を有する2つの補強された耳部をその上側角部に備える。これは、第1のサテライトバッグ2の上側縁部に接続される第1端部と、内側円形状縁部8の近部で第2の漏斗状延長部10に接続される第2端部とを有する第1の移送チューブ20により、分離バッグ1に接続される。第1のサテライトバッグ2は、所定量の抗凝固剤溶液(典型的には、約450mlの献血に対してシトレイトフォスフェイトデキストロースの溶液を約63ml)を収容している。移送チューブ20に装着された脆弱コネクタ(frangible connector)21が、第1の移送チューブ20を通して流れる液体を遮断し、抗凝固剤溶液が第1のサテライトバッグ2から分離バッグ1内に流れるのを防止する。
【0051】
このバッグセットは、更に、サテライトバッグ2の上側縁部に一端が接続され、他端に、シース23で保護された針を有する収集チューブ22を備える。この収集チューブ22には、クランプ24が取付けられている。
【0052】
第2のサテライトバッグ3は、血漿成分を受取ることを意図したものである。第2のサテライトバッグ3は、平坦で、ほぼ矩形で、バッグを吊るすための孔14を有する2つの補強された耳部をその上側角部に備える。これは、第2の移送チューブ25により分離バッグ1に接続される。第2の移送チューブ25は、第2のサテライトバッグ3の上側縁部に接続された第1の端部と、第2の漏斗状延長部10の先端に対して第1の移送チューブ20の第2の端部の反対側で、内側円形状縁部8に近接して、第2の漏斗状延長部10に接続される第2の端部とを備える。
【0053】
第3のサテライトバッグ4は、血小板成分を受取ることを意図したものである。これは、平坦で、ほぼ矩形で、バッグを吊るすための孔14を有する2つの補強された耳部をその上側角部に備える。これは、第3の移送チューブ26により、分離バッグ1に接続される。この第3の移送チューブ26は、第3のサテライトバッグ4の上側縁部に接続された第1の端部と、第2の漏斗状延長部10の先端に接続された第2の端部とを有する。
【0054】
第4のサテライトバッグ5は、赤血球成分を受取ることを意図したものである。これは、平坦で、ほぼ矩形で、バッグを吊るすための孔14を有する2つの補強された耳部をその上側角部に有する。これは、第4の移送チューブ27により分離バッグ1に接続される。この第4の移送チューブ27は、第4のサテライトバッグ5の上側縁部に接続された第1の端部と、第1の漏斗状延長部9の先端に接続された第2の端部とを有する。これは、それぞれ白血球除去(leuko-reduction)フィルタ28の入口および出口に接続される2つのチューブセグメントからなる。分離バッグ1に接続されたチューブセグメントには、クランプ24が取付けられている。第4のサテライトバッグ5に接続されるチューブセグメントには、脆弱コネクタ29が取付けられ、この脆弱コネクタは、破壊されたときに分離バッグ1と第4のサテライトバッグ5との間で液体が流れるのを可能とする。このフィルタは、例えば、Pall社製の型式RC2Dのフィルタでもよい。このようなフィルタは、ディスク状のケーシングを備え、このケーシングに、半径方向の入口および出口ポートが径方向に対向して接続されている。このケーシングは、ポリカーボネート(GE Lexan HF 1140)で形成され、約33mlの内部容積を有する。これは、ポリエステル繊維(約2ミクロンの径)の不織布(non-woven web)の多層の層からなる濾材を充填されている。この第3のサテライトバッグ4は、赤血球用の所定量の保存溶液(storage solution)を収容する。
【0055】
分離バッグ1の変形例には、偏心した外側円形状縁部7及び/又は内側円形状縁部8を有する分離チャンバ6、環状形状に代えてC字状形状になるように、内側縁部8から外側縁部7に延びる半径方向壁を有する分離チャンバ6を含ませてもよい。内側縁部および外側縁部(分離バッグが遠心分離機のロータに装着されたときに、内側縁部は、外側縁部よりも遠心分離機のロータの軸心により近接する)を有する分離チャンバ6は、どのような形状でもよく、例えば、2つの側部半径方向縁部で区切られた環状形状の一部の形状、又は、矩形形状でもよい。この変形例では、全てのサテライトバッグは、分離バッグの内側縁部に接続される。
【0056】
更に、分離バッグ1は、遠心分離機のロータの平坦なサポート面又は截頭円錐状(frusto-conical)サポート面に適合するような形状とすることができる。
【0057】
図1及び2に示すバッグセットのバッグおよびチューブは、全て、血液および血液成分と接触するのに好適な可撓性樹脂材料で形成される。
【0058】
図3及び4は、遠心分離により、所定量の複合液体を分離するための装置の実施形態を示す。この装置は、図1及び2に示す分離バッグのセットを収容するために適した遠心分離機と、分離された成分をサテライトバッグに移送させる成分移送手段とを備える。
【0059】
遠心分離機は、ロータを備え、このロータは軸受組立体30により垂直方向の中心軸31の回りに回転可能に支えられている。このロータは、第1の上部分32と第2の下部分33とを有する円筒状のロータシャフトを備え、このシャフトの上部分32は一部具が軸受組立体30を貫通して延び、更に、シャフトの上部分32の下端に接続されたプーリ34と、サテライトバッグを収容するための中央コンパートメント35とを備え、この中央コンパートメントはロータシャフト32,33にその上端部で接続され、更に、中央コンパートメント35内に少なくとも1つのサテライトバッグを所定位置に支持するため、中央コンパートメント34内に取付けられたサポート部材36と、コンパートメント35にその上端部に接続され、分離バッグを支持するための円形状のターンテーブル37とを備え、ロータシャフト32,33とコンパートメント35とターンテーブル37との中心軸が回転軸31と同心状であり、更に、ターンテーブル37に固定された釣合い装置(balancing assembly)38を備える。
【0060】
遠心分離機は、更に、ロータを中心垂直軸31の回りに回転するために、プーリ34の溝内に係合するベルト41により、ロータに連結されたモータ40を備える。
【0061】
分離装置は、更に、可撓性プラスチックチューブを通る液体の流れを選択的に遮断又は可能とし、更に、プラスチックチューブを選択的にシーリングおよびカッティングするために、ロータに装着された第1,第2および第3ピンチ弁部材42,43,44を備える。それぞれのピンチ弁部材42,43,44は、細長い円筒状のボディと、固定上側ジョーと開閉位置間を移動可能な下側ジョーで規定された溝を有するヘッドとを備え、この溝は、下側ジョーが開位置にあるときに、図1及び2に示すバッグセットの移送チューブ20,25,26の1つがその中に好適に係合可能なように、寸法を設定されている。細長いボディは、下側ジョーを移動するための機構を収容し、プラスチックチューブをシーリングおよびカッティングするのに必要なエネルギを供給する高周波発生装置に接続されている。ピンチ弁部材42,43,44は、その長手方向軸線が同一平面上に配置され、ロータの中心軸31に平行に配置され、そのヘッドが中央コンパートメント35のリムの上方に突出するように、中央コンパートメント34の周部に装着されている。分離バッグ1に対するピンチ弁部材42,43,44の位置、及び、分離バッグ1がターンテーブル37に装着されたときにこれに接続される移送チューブ20,25,26が、図2に点線で示してある。電力は、ロータシャフトの下側部分33の周りに装着されたスリップリング列45を通して、ピンチ弁部材42,43,44に供給される。
【0062】
サポート部材36は、全体的に、ロータの回転軸31に対して傾斜した壁部46の一部を有する。この傾斜した壁部46の上部分に、その上部で固定されたサテライトバッグが、ロータの回転中に、遠心力でこの傾斜した壁部46に対して押圧され、サテライトバッグの下部分は、その上部分よりも回転軸により近接する。この結果、支持されたサテライトバッグ内に収容された液体が、支持されたサテライトバッグから分離バッグ内に、遠心力で排出(drain)される。
【0063】
ターンテーブル37は、中央に截頭円錐状部47を備え、その上側の小さい方の縁部が、コンパートメント34のリム部に接続され、更に、截頭円錐状部の下側の大きい方の縁部に接続された環状平坦部48と、環状部48の外周部から上方に延びる外側円筒状フランジ49とを備える。このターンテーブル35は、更に、開閉位置間で回動するように、フランジ49にヒンジにより取付けられたドーム状(vaulted)の円形蓋50を備える。この蓋50には、ロック51が取付けられており、このロックにより、閉位置で閉塞することができる。この蓋50は、環状内面を有し、この内面は、蓋50が閉位置にあるときに、ターンテーブル37の截頭円錐状部47および環状平坦部48と共に、截頭円錐状のコンパートメント52を規定するような形状に形成されており、この截頭円錐状の環状コンパートメントは、実質的に平行四辺形状の半径方向断面形状を有する。この截頭円錐状の環状コンパートメント52(以下では、分離コンパートメントと称する)は、固定容積(fixed volume)を有し、図1および2に示す分離バッグ1を収容することを意図したものである。
【0064】
全体的にリング状形状を有する釣合い装置38が、中央コンパートメント35の上端とターンテーブル37の截頭円錐状壁部47との間に延びるスペース内で、ロータに装着されている。この釣合い装置38は、リング状ハウジング53を有し、このハウジングは、半径方向面に沿う断面形状が実質的に矩形の断面形状を有するキャビティを規定する。この釣合い装置は、更に、複数の大きくかつ重い複数のボール54を備え、これらのボールの径は、ハウジング53のキャビティの半径方向深さよりも僅かに小さい。これらのボール54が、互いに接触すると、ハウジング52の約180度にわたる弧状部分を占める。
【0065】
成分移送手段は、分離コンパートメント52内で分離バッグを圧搾し、分離された成分をサテライトバッグ内に移送させるための圧搾システムを備える。この圧搾システムは、ターンテーブル37の截頭円錐状部47と環状平坦部48とに内張りする(line)ような形状に形成された可撓性の環状ダイアフラム55を備え、このターンテーブルに、その大小の円形状縁部に沿って、ダイアフラムが固定される。この圧搾システムは、更に、作動液体圧送ステーション60を備え、この圧送ステーションにより、ロータシャフトの下側部分33の下端部からロータを通ってターンテーブル37に延びるダクト57を介して、可撓性ダイアフラム55とターンテーブル37との間に規定された膨張可能な流体圧チャンバ56に出入りする作動液体を圧送(pumping)する。この圧送ステーション60は、流体圧シリンダ62内を移動可能なピストン61を有するピストンポンプを備え、この流体圧シリンダは、回転型流体カップリング58を介してロータダクト57に流体接続されている。ピストン61はステッピングモータ63で作動され、このステッピングモータは、ピストンロッド62に連結されたリードねじ64を移動する。ステッピングモータ63は、個々の増分又はステップによって制御することができ、それぞれのステップはモータ63の軸の回転の一部(fraction)に対応し、すなわち、更に、ピストン61の僅かな直線状移動に対応し、更に、流体圧チャンバ56にポンプで送られ又は送出される液体の僅かな測定量(small determined vokume)に、対応する。流体圧シリンダ62は、更に、作動液体リザーバ65に接続されており、このリザーバは、バルブ66により、流体圧シリンダ62、ロータダクト57および膨張可能な流体圧チャンバ56を有する流体圧回路に対して、作動液体の導入又は排出を選択的に可能とするため、アクセス制御されている。その内部の流体圧を測定するために、作動流体圧回路に圧力計67が接続されている。
【0066】
分離装置は、更に、装置が作動したときに分離バッグ1内に発生する分離工程の指標(characteristic)を検出するための3つのセンサ70,71,72を備える。これらの3つのセンサ70,71,72は、ロータの回転軸31から異なる距離で蓋50内に埋設されており、第1センサ70は回転軸線31に最も近く、第2センサ71は回転軸線31から最も遠く、第3センサ72は中間位置を占める。蓋50が閉じると、3つのセンサ70,71,72は図2に示すように分離バッグ1に向く。第1センサ70(以下、内側センサと称する)は、第2の漏斗状延長部10(血漿出口)に接続された第2の移送チューブ25の端部から短い距離で、分離チャンバ6上に配置されるように、蓋50内に埋設されている。内側センサ70は、ガス/液体のインターフェース、血漿と血小板/単核細胞との間のインターフェース、多血小板血漿(platelet rich plasma)と単核細胞、更に赤血球との間のインターフェースを検出することができる。第2のセンサ71(以下では、外側センサと称する)は、その内側縁部8から、分離チャンバの幅の約3分の2の位置で分離チャンバ6上に配置されるように、蓋50内に埋設されており、第2の漏斗状延長部10に対してオフセットし、一方、第1,第2の移送チューブ20,26のそれぞれの端部よりも、第2の移送チューブ25により近接している。この外側センサ71は、例えば血液である液体を検出することができる。第3のセンサ72(以下では、中間センサと称する)は、その内側縁部8から、分離チャンバの幅の約3分の1の位置で分離チャンバ6上に配置されるように、蓋50に埋設されており、第2の漏斗状延長部10に接続された移送チューブ26の端部(血小板出口)とほぼ同じ半径上に位置する。この中間センサ72は、血漿と血液細胞との間のインターフェースを検出することができる。それぞれのセンサ70,71,72は、赤外線LEDと受光器とを有する光電セルを備えることができる。電力は、スリップリングアレイ45を介してセンサ70,71,72に供給される。
【0067】
分離装置は更に、コントロールユニット(マイクロプロセッサ)と、このマイクロプロセッサに情報と、種々の分離プロトコルおよびこのような分離プロトコルに従う装置の作動に対するプログラムされた指示とを与えるメモリとを有する制御装置80を備える。特に、マイクロプロセッサは、分離工程の種々のステージでロータが回転される遠心分離速度に関する情報、および、分離バッグ1からサテライトバッグ2,3,4内に移送される分離された成分の種々の移送流量に対する情報を受取るようにプログラムされている。種々の移送流量に対する情報は、例えば流体圧回路内の作動液体の流量として、又は、作動流体圧送ステーション60のステッピングモータ63の回転速度として表わすことができる。マイクロプロセッサは、更に、圧力計67および光電セル70,71,72から直接、又はメモリを介して受取り、選択された分離プロトコルに沿って分離装置を作動させるために、遠心分離モータ40、ステッピングモータ63およびピンチ弁部材42,43,44を制御するように、プログラムされている。
【0068】
コントロールユニット80は、更に、分離処置中に分離された成分の実際の量、および、分離バッグ1内に最初に収容されていた複合液体(全血)の実際の量を測定し、分離装置のスクリーン81上に表示するようにプログラムされている。
【0069】
全血の供血から4つの血液成分、すなわち血漿成分と血小板成分と単核細胞成分と赤血球成分とを分離することを目的とする第1分離プロトコルの例を、以下に説明する。
【0070】
第1分離プロトコルに沿う分離装置の作動は以下の通りである。
【0071】
第1ステージ(第1プロトコル)
図1に示すように、所定量の全血をサテライトバッグ2内に収容するバッグセットが、遠心分離機(図3,4に示す)のロータ内の所定位置にセットされる。
【0072】
第1ステージの開始の際、図1のバッグセットの第1のサテライトバッグ2が所定量の抗凝固処理全血(通常は約500ml)を収容する。収集チューブ22は、シールされており、第1のサテライトバッグ2の近部でカットされる。第4のサテライトバッグ5を分離バッグ1に接続する移送チューブ27のクランプ24が閉じられる。4つのサテライトバッグ2,3,4,5が互いに重ねられ、第1のサテライトバッグ2がバッグローダ36の傾斜壁46に近接するようにバッグローダ36内に挿入されるスタックを形成する。サテライトバッグ2,3,4,5は、その上側の耳部により、傾斜壁46の上側で、バッグローダ36の上側部分に固定される。この位置では、これらはロータの回転軸31を含む平面の一側に実質的に配置され、所定量の全血を収容する第1のサテライトバッグ2の下側部分は、その上側部分よりも回転軸31に、より近接する。
【0073】
この後、収集バッグ1がターンテーブル37上に載置され、中央コンパートメント35の開口の回りでターンテーブル37上に突出するピン(図示しない)が、分離バッグ1のディスク状接続部材11の孔13に係合する。第1のサテライトバッグ2を分離バッグ1に接続する第1の移送チューブ20は、第1のピンチ弁部材42に係合し、第2サテライトバッグ3を分離バッグ1に接続する第2の移送チューブ25は、第2のピンチ弁部材43に係合し、第3のサテライトバッグ4を分離バッグ1に接続する第3の移送チューブ26は第3のピンチ弁部材44に係合する。第1のサテライトバッグ2と分離バッグ1との間の連通を遮断する脆弱コネクタ21が破壊される。ロータの蓋49が閉じられている。
【0074】
第2ステージ(第1プロトコル)
第1のサテライトバッグ2に収容された抗凝固処理全血が、分離バッグ1内に移送される。
【0075】
第2ステージの開始の際、第1のピンチ弁部材42が開かれ、第2,第3のピンチ弁部材43,44が閉じられる。ロータは遠心分離モータ40で駆動され、第1の遠心分離速度(例えば、約1500RPM)に達するまで、着実に回転速度が上昇し、この第1の遠心分離速度は、遠心力の作動で、第1のサテライトバッグ2の内容物を分離バッグ1内に移送させるのに十分な大きさで、全量を短時間で移送するのに十分な大きさであると同時に、それよりも大きい場合には溶血(hemolysis)が生じる所定の閾値圧力を実質的に超える圧力をサテライトバッグ2内に生じさせることのない十分な低さで、溶血を生じさせるせん断力を分離バッグ1内に入る血液の流れに発生させることのない十分な低さであるように選定される。
【0076】
それよりも上であるとサテライトバッグ2内に溶血が発生する閾値圧力は、約10PSI(約68.9kPa)であり、このような閾値圧力に達せさせず、分離バッグ内に入る血液流のせん断力で溶血を生じさせない最大回転速度は約1800RPMであることが見出されている。約1500RPMの回転速度では、サテライトバッグ2から分離バッグ1内への約500mlの抗凝固処理血の移送に、約1分かかる。
【0077】
外側のセル71が血液を検出すると、第2のサテライトバッグ3(この中に、後で血漿成分が移送される)に接続された第2の移送チューブ25を通る流体の流れを制御する弁部材43が所定時間(例えば、約30秒)開き、血液が内部に注入されたときに、分離バッグ1から空気を排出するのを可能とする。
【0078】
外側のセル71が、遠心分離処理の開始後、所定時間内に血液を検出しなかった場合は、コントロールユニット80は、ロータを停止させ、警報を発生させる。これは、特に、脆弱コネクタ21が破壊されてないことに気づいていない場合に生じ得る。
【0079】
第3ステージ(第1プロトコル)
分離バッグ1内に存在する空気が、第1のサテライトバッグ2内に放出され、この第1のサテライトバッグ内には後から単核細胞成分が移送される。
【0080】
第3ステージの開始の際、第1サテライトバッグ2の全量が分離バッグ1内に移送されており、第1のピンチ弁部材42が開き、第2および第3のピンチ弁部材43,44が閉じている。ロータは第1の回転速度(約1500RPM)で回転する。圧送ステーション60が作動され、一定の流量(例えば、約240ml/min)で作動液体を流体圧チャンバ56内に圧送し、その結果、分離バッグ1が圧搾(squeeze)される。分離バッグ1内の空気は、単核細胞成分用のサテライトバッグ2内に追い出される。内側センサ70による空気/液体のインターフェースの検出に続いて、所定時間経過の後、圧送ステーション60は停止され、第1のピンチ弁部材42が閉じられる。僅かな残留空気が分離バッグ1内に残る。
【0081】
第4ステージ(第1プロトコル)
分離チャンバ内の血液が所要レベルまで沈降(sedimented)される。
【0082】
このステージの開始の際、3つのピンチ弁部材42,43,44が閉じられる。ロータの速度は、第2の高遠心分離速度(例えば、約3200RPM、いわゆる「高速回転」(hard spin)に達するまで着実に増加し、この速度で、血液成分は所要のレベルで沈降する。このロータは、所定時間(例えば、約220秒)にわたって第2の遠心分離速度で回転され、これは、分離チャンバ1内に最初に移送された全血のヘマトクリットがどのようなものであっても、所定時間の最後で、外側環状赤血球層のヘマトクリットが約90で、内側環状血漿層が実質的に細胞(cells)を含まないポイントまで血液が沈降するように選定されている。より詳細には、この沈降ステージの結果、分離バッグ1は4つの層、すなわち、主に血漿を含む第1の内側層と、主に血小板を含む第2の中間層と、主に白血球(リンパ球、単球、および、顆粒球)を含む第3の中間層と、主に赤血球を含む第4の外側層とを提示し、ここでは、第3及び第4の層は部分的に重なる(顆粒球は、一部が第4層内に埋め込まれる)。
【0083】
第5ステージ(第1プロトコル)
血漿成分が第2のサテライトバッグ3内に移送される。
【0084】
このステージの開始の際、3つのピンチ弁部材42,43,44は閉じられる。ロータは沈降ステージにおけると同じ高遠心分離速度で回転する。所定の沈降期間の終了前に起こり得る、中間センサ72が血漿/血液細胞インターフェース(plasma/blood cell interface)の外方への移動を検出してから、所定時間経過した後、第2のサテライトバッグ3に対するアクセスを制御する第2のピンチ弁部材43が開き、作動液体を一定の流量(例えば、約220ml/min)で流体圧チャンバ56内に圧送するために、圧送ステーション60が作動される。膨張する流体圧チャンバ56は分離バッグ1を圧搾し、空気および血漿の残留量を第2のサテライトバッグ3に移送させる。中間センサ72による血漿/血液細胞インターフェースの内方移動の検出に続いて所定時間経過した後、圧送ステーション60が停止し、第2のピンチ弁部材43が閉じられる。このステージの終わりで、血漿の全量の第1の、より大きな留分が第2のサテライトバッグ3内に収容され、一方、血漿の全量の第2の、より小さな留分が分離バッグ1内に残留する。
【0085】
血漿成分の移送流量(作動流体の流量に直接関係する)は、血漿成分に血小板が混入するのを防止するために、血小板層を乱すことなく可能な限り高速となるように選定される。
【0086】
コントロールユニット80は、第2のサテライトバッグ3内に移送された血漿の量を以下のように測定する。最初に、分離バッグ内の残留空気が第2のサテライトバッグ3内に排出された後、第2のサテライトバッグ3内に血漿が実際に注入開始した時を測定する。第2に、第2のサテライトバッグ3内に血漿が実際に注入開始した時と、中間センサ72が血漿/血液細胞インターフェース(interface plasma/blood cells)を検出した後に圧送ステーション60が流体圧チャンバ56内への作動液体の圧送を停止した時との間で、ステッピングモータ63が実行したステップの数を計数する。最後に、コントロールユニット80は、計数したステップ数と、1つのステップに関連した測定小量とから、このステージで流体圧チャンバ56内に圧送された作動液体の合計量を計算し、これは第2のサテライトバッグ3内の血漿量に対応する。
【0087】
コントロールユニット80は、圧力センサ67による測定に応じて、作動液体の個々の連続する値を連続的に記録し、同時に、例えば、新たに圧力値が記録される毎に、最後の4つの測定値の平均から、時間に対する圧力の展開(evolution)を表わす曲線の傾きを計算し、このように計算された一連の傾きを比較することで、圧力がどのように展開するかを分析することにより、第2のサテライトバッグ3内への血漿の実際の注入開始時を測定する。コントロールユニット80は、圧力が着実に上昇する第1の局面と実質的に一定圧力の第2の曲面との間の劇的な転換点として、第2のサテライトバッグ内への血漿の注入開始の時に合わせてそのポイントを測定(determine)する。
【0088】
コントロールユニット80は、測定した時点で、第2のサテライトバッグ3内の血漿の実際量を、スクリーン81に表示させるようにプログラムすることができる。
【0089】
コントロールユニット80は、更に、第3のステージで分離バッグ1内に移送された抗凝固処理全血の量を測定し、これは、第1に、第3ステージ(第1のサテライトバッグ2内への空気の移送)で、上述のように、圧送ステーション60が作動流体を流体圧チャンバ56内に圧送開始する時と、血漿が実際に第2のサテライトバッグ3内に注入開始した時との間のステッピングモータ63が実行するステップの数を計数し、第2に、コントロールユニット80により、計数したステップ数と1つのステップに関連する測定小量とから、分離コンパートメント52が空気を含まなくなるまで、流体圧チャンバ56内に圧送された作動液体の合計量を計算し、最後に、コントロールユニット80により、コントロールユニット80のメモリに記憶された、固定量からこのように計算された作動流体の量を差引き、分離チャンバ1内にある抗凝固処理血の量を計算する。この固定量は、ダイアフラム55の体積を差引き、分離チャンバ6を画定する2つの重ねられた樹脂シート製リングの体積を差引き、流体圧チャンバ56内の作動液体の固定残留量を差引いた分離コンパートメント52の固定容積に対応する。
【0090】
コントロールユニット80は、測定した時点で、分離バッグ1内の抗凝固処理血の実際の量をスクリーン81上に表示するようにプログラムすることができる。
【0091】
第6ステージ(第1プロトコル)
分離バッグ1内に血小板成分が準備される。
【0092】
第1の変形例では、第3のサテライトバッグ4に対するアクセスを制御する第3のピンチ弁部材44が開き、第1および第2のピンチ弁部材42,43が閉じられる。赤血球層と懸濁血小板層(suspended platelet layer)とを実質的に分離した状態で、血漿の第2の留分内に血小板が浮遊した懸濁液から生じる中間成分を形成するため、ロータの回転速度は、第2の遠心分離速度から第3の遠心分離速度に急速に低下(例えば約3200RPMから約2000RPMに、約10秒以内で)される。
【0093】
第2の変形例では、3つのピンチ弁部材42,43,44が閉じられる。ロータの回転速度は、赤血球と血小板と血漿の第2の部分とを混合するために、第2の遠心分離速度から第3の遠心分離速度に急速に低下(例えば、約3200RPMから約1000RPMに、約20秒で)する。この後、ロータの回転速度は、分離バッグ1内で赤血球成分と、血漿内に血小板が懸濁した懸濁液を含む血小板成分とを分離するために、第3の遠心分離速度から、第1の遠心分離速度よりも低い第4の血小板成分速度に上昇(例えば、約1000RPMから約2500RPM)される。
【0094】
第7ステージ(第1プロトコル)
血小板成分が第4のサテライトバッグ3内に移送される。
【0095】
第3のサテライトバッグ4に対するアクセスを制御する第3のピンチ弁部材44が開き、第1,第2のピンチ弁部材42,43が閉じられる。ロータは第3の遠心分離速度(例えば、先のステージが第6ステージの第1の変形例である場合には、約2000RPM)、または、第4の回転速度(例えば、先のステージが第6ステージの第2の変形例である場合には、約2500RPM)で回転する。作動液体を第1の流量で流体圧チャンバ56に圧送し、これにより、分離バッグ1を圧搾し、血小板成分を第3のサテライトバッグ4内に移送させるため、圧送ステーション60が作動される。第1の流量(例えば、約140ml/min)は、第5ステージで血漿成分が第2のサテライトバッグ3内に移送される流量(例えば、約220ml/min)よりも実質的に遅い。血漿成分のこの第1の移送流量、(これは作動流体の第1の流量に直接関係する)は、同時に、血小板の活性化を生じさせることなく、懸濁血小板が沈降するのを防止するのに十分高くなるように選定される。
【0096】
内側センサ70が、懸濁血小板と単核細胞/赤血球との間のインターフェースを検出したときに、圧送ステーション60は、作動液体を第2の流量(例えば、40ml/min)で流体圧チャンバ56内に圧送するために作動され、この第2の流量は、血小板成分に単核細胞/赤血球が混入するのを防止するために、第1の流量よりも実質的に低い。
【0097】
作動液体の所定量が第2の流量で流体圧チャンバ56内に圧送されると、圧送ステーション60は、第3の流量(例えば、約20ml/min)で作動液体を圧送するために作動され、この第3の流量は、第2の流量よりも低い。所定量の作動液体が第3の流量で流体圧チャンバ56内に圧送されると、圧送ステーション60が停止される。
【0098】
コントロールユニット80は、第3のサテライトバッグ内に移送された血小板成分の量を次の方法で測定する。これは、最初に、第3のピンチ弁部材44の開放に続いて流体圧チャンバ56内への作動液体の圧送を圧送ステーション60が開始した時と、内側センサ70が懸濁血小板と単核細胞/赤血球との間のインターフェースを検出した後に圧送ステーション60が圧送を停止した時との間で、ステッピングモータ63が実行したステップの数を計数し、第2に、コントロールユニット80が、計数したステップの数と1つのステップに関連する測定小量とから、このステージで、流体圧チャンバ56内に圧送された作動流体の合計量を計算し、これは、第3のサテライトバッグ4内の血小板成分の量に対応する。
【0099】
コントロールユニット80は、測定した時点で、第3のサテライトバッグ4内の血小板成分の実際の量をスクリーン81に表示するように、プログラムすることができる。
【0100】
第8ステージ(第1プロトコル)
単核細胞成分が第1のサテライトバッグ2内に移送される。
【0101】
第8ステージは、第7ステージの終わりで第3ピンチ弁部材44が閉じたときに直ちに開始することができる。第8ステージの開始の際、3つのピンチ弁部材42,43,44が閉じられる。ロータは、先と同じ遠心分離速度で回転する。第1のサテライトバッグ2に対するアクセスを制御する第1のピンチ弁部材42が開かれ、圧送システム60は、作動液体を一定の流量(例えば、約140ml/min)で流体圧チャンバ56内に圧送するために作動される。膨張する流体圧チャンバ56は、分離バッグ1を圧搾し、第1のサテライトバッグ2内に、リンパ球、単球、小量の赤血球および多血小板血漿を含む単核細胞成分を移送させる。所定量(例えば、10mlと15mlとの間の量)が第1のサテライトバッグ2内に移送された後、圧送システム60が停止され、第1のピンチ弁部材42が閉じられる。
【0102】
コントロールユニット80は、第1のピンチ弁部材42が開閉する間にステッピングモータが実行するステップの数に対応する、第1のサテライトバッグ2内に実際に移送された単核細胞成分の量を、コントロールユニットのメモリ内に記憶されている、第1のサテライトバッグ2内に残留する全血の実験的(empirically)に測定された量に加えることにより、第1のサテライトバッグ2内の単核細胞成分の実際の量を測定する。
【0103】
コントロールユニット80は、測定した時点で、第1のサテライトバッグ2内の単核細胞成分の実際の量をスクリーン81に表示するように、プログラムすることができる。
【0104】
コントロールユニット80は、抗凝固処理全血の先の測定量から、血漿成分、血小板成分および単核細胞成分の先の測定量を差引くことにより、分離バッグ1内に残留する赤血球の量を測定する。
【0105】
コントロールユニット80は、更に、第4のサテライトバッグ5内の赤血球の量を測定することができ、これは、第1分離プロトコルの第10ステージの結果、分離バッグ1から第4のサテライトバッグ5内に赤血球を実際に引続き移送することで生じるものである。コントロールユニット80は、抗凝固処理全血の先の測定量から、血漿成分、血小板成分、単核細胞成分の先の測定量および白血球除去フィルタ28の内部容量を差引き、この結果に、第4のサテライトバッグ5内に収容された赤血球ストッレージソリューションの既知の量をくわえることにより、赤血球の量を計算する。
【0106】
コントロールユニット80は、測定した時点で、分離バッグ1内の赤血球成分の実際の量と第4のサテライトバッグ5内の赤血球成分との一方、又は双方を、スクリーン81上に表示するようにプログラムすることができる。
【0107】
第9ステージ(第1プロトコル)
遠心分離処理が終了する。
【0108】
ロータの回転速度は、ロータが停止するまで減少し、圧送システム60は、流体圧チャンバ56が実質的に空になるまで、この流体圧チャンバ56から作動液体を高流量(例えば、約800ml/min)で圧送するために、作動され、ピンチ弁部材42,43は、移送チューブ20,25,26をシールし、カットするために作動される。赤血球は、分離バッグ1内に残留する。
【0109】
第10ステージ(第1プロトコル)
赤血球成分が第4のサテライトバッグ5内に移送される。
【0110】
ロータの蓋50が開かれ、第4のサテライトバッグ5に接続された分離バッグ1が取外される。移送チューブ37のクランプ24が開かれる。第4のサテライトバッグ5と白血球除去フィルタ28との間の連通を遮断する脆弱コネクタ29が破壊される。第4のサテライトバッグ5内に収容されたストレージソリューションが、フィルタ28を介して重力で分離バッグ1内に流れることが可能となり、この分離バッグ内で、粘度を下げるために赤血球と混合される。この後、分離バッグ1の内容物が、フィルタ28を介して重力で第4のサテライトバッグ5内に流入可能となる。白血球(顆粒球および残留単球およびリンパ球)はフィルタ28で捕捉され、したがって、最終的に充填された第4のサテライトバッグ5内の赤血球成分は、実質的に白血球が無く、AABBの基準(米国血液銀行協会)に合致するものであり、これは、赤血球成分パック当たり、白血球細胞が5X10よりも少ない。
【0111】
上述の装置は、他の分離プロトコル、例えば3つの成分、すなわち血漿成分と、血漿、血小板、白血球および赤血球を含む「軟膜(buffy coat)」成分と、赤血球成分とに分離する第2プロトコル、または、2つの成分、すなわち多血小板血漿と赤血球成分とに分離する第3プロトコルを実行するためにプログラムすることができる。
【0112】
図1に示すようなバッグセットが、第3のサテライトバッグ(血小板用)を省略して、第2プロトコルを実行するために用いられる。第2プロトコルの主な工程は以下の通りである。全血が第1のサテライトバッグ2から分離バッグ1内に移送され、高速回転沈降工程(3200RPM)の後、ほとんどの血漿が第2のサテライトバッグ3内に移送され、所定量の「軟膜」成分が第1のサテライトバッグ2内に移送され、赤血球は、赤血球サテライトバッグ5内に重力で移送される。コントロールユニット80は、抗凝固処理全血、血漿成分、「軟膜」成分および赤血球成分の量を、第1プロトコルに関する上述の説明のように測定する。(「軟膜」成分は、単核細胞成分に対応する。)
図1に示すようなバッグセットが、第3のサテライトバッグ(血小板用)を省略して、第3プロトコルを実行するために用いられる。第3プロトコルの主な工程は以下の通りである。全血が第1のサテライトバッグ2(これは後で再利用されない)から分離バッグ1内に移送され、軟回転沈降(soft spin sedimentation)工程(2000RPM)の後、多血小板血漿が第2サテライトバッグ3内に移送され、赤血球は、最後に重力で赤血球サテライトバッグ5内に移送される。コントロールユニット80は、抗凝固全血、多血小板血漿成分、および、赤血球成分の量を、第1プロトコルに関する上述の説明のように測定する。(多血小板血漿成分は、血漿成分に対応する。)
上述のように、コントロールユニット80で測定された種々の実際の量は、分離装置のスクリーン81上に選択的に表示することができる。更に、後でサテライトバッグに印刷するために、コントロールユニットのメモリに記憶される。このデータは、統計的解析に役立たせるために、複数の分離装置およびプロトコルから分離データを収集するデータベースに送ることができる。
【0113】
当該分野における熟練技術者であれば、ここに記載の装置および方法を様々に変更可能なことは明らかである。したがって、本発明は、明細書に記載の事項に限られるものではなく、種々の修正又は変更を含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の複合液体を少なくとも第1成分と第2成分とに分離する方法であって、
所定量の複合液体と残部のガスとを含む内容物を収容する分離バッグを、分離バッグ内に少なくとも第1成分と第2成分とが沈降するように、遠心分離処理することと、
分離バッグに圧力を掛け、分離バッグの内容物の少なくとも1の留分を、分離バッグに接続された少なくとも1つの成分バッグ内に移送させて、分離バッグに対して所定量の作動流体を移動することと、
分離バッグの内容物の少なくとも1つの留分を、少なくとも1つの成分バッグ内に移送させるために、移動された作動流体の量を測定することと、
移動された作動流体の測定量から、分離バッグ内の複合液体の実際の量と、分離バッグ内の第2成分の実際の量と、第1の成分バッグ内に移送された第1成分の実際の量との少なくとも1つを測定すること、とを含む方法。
【請求項2】
分離バッグに圧力を掛け、分離バッグの内容物の少なくとも1の留分を、分離バッグに接続された少なくとも1つの成分バッグ内に移送させることは、
ガスの残留量と第1成分とを第1成分バッグ内に流入させ、
少なくとも第1の留分が第1成分バッグ内に移送されたときに、第1成分バッグ内への第1成分の流入を停止することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
更に、ガスの残留量が搬送された後、第1成分バッグ内への第1成分の注入が開始したときを測定し、
第1成分バッグへの第1成分の注入開始と、第1成分バッグ内への第1成分の流入停止との間に移送された量から、第1成分バッグ内に移送された第1成分の第1の留分の実際の量を測定すること、を含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第1成分バッグ内への第1成分の注入開始のときの測定は、
分離バッグに掛ける圧力の段階的な変化をモニタすることと、
第1成分の第1の留分の第1の成分バッグ内への注入が開始したときに、分離バッグに掛かる圧力の変化から測定すること、を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
圧力の変化は、ガスの残留量が第1の成分バッグ内に移送される際に、実質的に着実に上昇した後、実質的に一定となる圧力に対応する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
分離バッグに圧力を掛けることは、分離バッグが密閉される分離コンパートメント内に作動液体を圧送すること、を含む請求項4に記載の方法。
【請求項7】
分離バッグに掛ける圧力の段階的な変化をモニタすることは、作動液体の圧力を測定すること、を含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
作動液体を分離コンパートメントに圧送することは、
測定した個々の量の増分ごとに作動液体を圧送することを含み、
第1の成分バッグ内に移送された第1成分の第1の留分の実際の量の測定は、第1の成分バッグ内への第1成分の注入開始と、第1の成分バッグ内への第1成分の流入停止との間の増分の数を計数することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
更に、遠心分離軸から所定距離における分離バッグ内の第1,第2コンパートメント間のインターフェースを検出することを含み、このインターフェースが検出された後、第1の成分バッグ内への第1成分の流れが停止される、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
移動された作動流体の測定量から測定する工程は、分離バッグ内の実際の量を測定することを含み、移動する工程は、更に、
分離バッグ内に含まれるガス量を少なくとも1つの成分バッグ内に移送させ、第1成分の第1の留分を第1の成分バッグ内に注入させるために、分離バッグ向けて作動流体量を移動することを含み、この分離バッグは、固定容積を有する分離コンパートメント内に囲まれており、更に、
移動された作動流体量の測定は、
第1の成分バッグ内への第1成分の注入の開始まで、移動された作動流体量を測定することを含み、更に、
測定した移動作動流体から測定することは、
少なくとも、分離コンパートメントの固定容積と、第1の成分バッグ内への第1成分の注入開始までの移動された作動流体の測定量とから、分離バッグ内への複合液体の実際の量を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
分離バッグに向けた作動流体の移動は、
測定した個々の量の増分ごとに、作動流体を、分離バッグが密閉された分離コンパートメント内に圧送することを含み、更に、
分離バッグ内の複合液体の実際の量の測定は、分離コンパートメント内への作動流体の流入開始と、第1の成分バッグ内への第1成分の注入開始との間の増分の数を計数することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
更に、少なくとも、分離バッグ内の複合液体の測定された実際の量と、第1の成分バッグ内に移送された第1成分の測定された実際の量とから、分離バッグ内の第2成分の実際の量を測定することを含む請求項10に記載の方法。
【請求項13】
分離バッグの遠心分離処理で、分離バッグ内の第1成分と第2成分との中間成分の沈降を生じさせる請求項1に記載の方法。
【請求項14】
更に、第1の成分バッグ内に第1成分の第1の留分が移送されたときに、分離バッグに接続された第3の成分バッグに第3成分を流入させることを含み、この第3成分は、第2成分の留分と、中間成分と、第1成分の第1の留分が第1の成分バッグ内に移送された後に分離バッグ内に残留する第1成分の第2の留分とを有し、更に、
第3成分の量が第3の成分バッグ内に移送されたときに、この第3成分の第3の成分バッグ内への流入を停止すること、および、
第3の成分バッグ内に移送された第3成分の実際の量を測定すること、を含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
更に、最初に、分離バッグに接続された複合液体バッグから分離バッグ内に所定量の複合液体を移送することを含み、複合液体バッグ内に複合液体の残留量が残り、この残留量は既知の値を有し、更に、
複合液体バッグを第3の成分バッグとして使用すること、および
少なくとも、複合液体の残留量と複合液体バッグ内に移送された第3成分の実際の量とから、複合液体バッグ内の第3成分の実際の量を測定すること、を含む請求項13に記載の方法。
【請求項16】
第3成分を複合液体バッグ内に流入させることは、測定した個々の量の増分ごとに、作動液体を、分離バッグを収容する分離コンパートメント内に圧送することを含む請求項14に記載の方法。
【請求項17】
複合液体バッグ内に移送された第3成分の実際の量を測定することは、
第3成分の第3の成分バッグ内への流入開始と、第3の成分バッグ内への第3成分の流入停止との間の増分を計数することと、
増分の計数した数と1つの増分の測定した量とから、第3の成分液体バッグ内に移送された第3成分の実際の量を計算することと、を含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
移動された作動流体の測定量から測定することは、更に、
分離バッグ内の複合液体の実際の量を測定することと、
少なくとも、複合液体の測定した実際の量と、第1の成分バッグ内に移送された第1成分の測定した実際の量と、第3の成分バッグ内に移送された第3成分の測定した実際の量とから第2成分の実際の量を測定することと、を含む請求項14に記載の方法。
【請求項19】
所定量の複合液体を少なくとも第1成分と第2成分とに分離する方法であって、
少なくとも第1成分と第2成分とを分離バッグ内で沈降させるために、所定量の複合液体を収容する分離バッグを遠心分離処理することを含み、分離バッグ内にはガスの残量が存在し、更に、
ガスの残量と、第1成分とを、分離バッグに接続された第1の成分バッグ内に流入させることと、
第1の成分バッグ内に、少なくともその第1の留分が移送されたときに、第1の成分バッグ内への第1成分の流入を停止することと、
ガスの残量が移送された後に、第1の成分バッグ内への第1成分の注入開始の時を測定することと、
第1の成分バッグ内に移送された第1成分の第1の留分の実際の量を測定することを含み、第1成分の第1の留分の実際の量は、実質的に、第1の成分バッグ内への第1成分の注入開始と、第1の成分バッグ内への第1成分の流入停止との間に移送された量に対応する、方法。
【請求項20】
残量のガスおよび第1成分を第1の成分バッグ内に流入させることは、分離バッグに圧力を掛けることを含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
第1の成分バッグ内への第1成分の注入が開始したときの測定は、
分離バッグに掛ける圧力の展開をモニタすることと、
第1成分の第1の成分バッグ内への注入が開始したときに、分離バッグに掛かる圧力の変化から測定すること、を含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
圧力の変化は、ガスの残量が第1の成分バッグ内に移送される際に、実質的に着実に上昇した後、実質的に一定となる圧力に対応する請求項21に記載の方法。
【請求項23】
分離バッグに圧力を掛けることは、分離バッグが密閉される分離コンパートメント内に作動液体を圧送すること、を含む請求項21に記載の方法。
【請求項24】
分離バッグに掛ける圧力の展開をモニタすることは、液圧作動液体の圧力を測定すること、を含む請求項23に記載の方法。
【請求項25】
作動液体を分離コンパートメントに圧送することは、
測定した個々の量の増分ごとに作動液体を圧送することを含み、
第1の成分バッグ内に移送された第1成分の第1の留分の実際の量の測定は、第1の成分バッグ内への第1成分の注入開始と、第1の成分バッグ内への第1成分の流入停止との間の増分の数を計数することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
更に、遠心分離軸から所定距離における分離バッグ内の第1,第2コンパートメント間のインターフェースを測定することを含み、このインターフェースが測定された後、第1の成分バッグ内への第1成分の流れが停止される、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
更に、分離バッグ内の複合液体の実際の量を測定することを含み、前記ガスの残量と、第1成分とを、分離バッグに接続された第1の成分バッグ内に流入させる工程は、
分離バッグ内に含まれる所定量のガスを、少なくとも1つの成分バッグ内に移送させ、第1成分の第1の留分を第1の成分バッグ内に注入させるために、固定容積を有し、かつ、分離バッグが密閉された分離コンパートメント内に作動液体を圧送することと、
第1の成分バッグ内への第1成分の注入の開始まで、分離コンパートメント内に圧送された作動流体の量を測定することと、
少なくとも、分離コンパートメントの固定容積と、第1の成分バッグ内への第1成分の注入開始まで分離コンパートメント内に圧送された作動流体の量とから、分離バッグ無いの複合液体の量を測定することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
分離バッグが密閉された分離コンパートメント内に作動流体を圧送することは、測定した個々の量の増分毎に作動流体を圧送することを含み、更に、
分離バッグ内の複合液体の実際の量を測定することは、分離コンパートメント内への作動流体の流入開始と、第1の成分バッグ内への第1成分の注入開始との間の増分の数を計数することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
更に、少なくとも、複合液体の測定された量と、第1の成分バッグ内に移送された第1成分の第1の留分の測定された量とから、第2コンパートメントの実際の量を測定することを含む請求項27に記載の方法。
【請求項30】
分離バッグの遠心分離処理で、分離バッグ内の第1成分と第2成分との中間成分の沈降を生じさせる請求項19に記載の方法。
【請求項31】
更に、第1の成分バッグ内に第1成分の第1の留分が移送されたときに、分離バッグに接続された第3の成分バッグに第3成分を流入させることを含み、この第3成分は、第2成分の留分と、中間成分と、第1成分の第1の留分が第1の成分バッグ内に移送されたときに分離バッグ内に残留する第1成分の第2の留分とを有し、更に、
第3成分の量が第3の成分バッグ内に移送されたときに、この第3成分の第3の成分バッグ内への流入を停止すること、および、
第3の成分バッグ内に移送された第3成分の実際の量を測定すること、を含む請求項30に記載の方法。
【請求項32】
更に、最初に、分離バッグに接続された複合液体バッグから分離バッグ内に所定量の複合液体を移送することを含み、複合液体バッグ内に複合液体の残留量が残り、この残留量は既知の値を有し、更に、
複合液体バッグを第3の成分バッグとして使用すること、および
少なくとも、複合液体の残留量と複合液体バッグ内に移送された第3成分の実際の量とから、複合液体バッグ内の第3成分の実際の量を測定すること、を含む請求項31に記載の方法。
【請求項33】
第3成分を第3の複合液体バッグ内に流入させることは、測定した個々の量の増分で、作動液体を、分離バッグを内包収容する分離コンパートメント内に圧送することを含む請求項31に記載の方法。
【請求項34】
第3の成分バッグ内に移送された第3成分の実際の量を測定することは、
第3成分の第3の成分バッグ内への流入開始と、第3の成分バッグ内への第3成分の流入停止との間の増分を計数することと、
増分の計数した数と1つの増分の測定した量とから、第3の成分液体バッグ内に移送された第3成分の実際の量を計算することと、を含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
更に、分離バッグ内の複合液体の実際の量を測定することと、
少なくとも、複合液体の測定した実際の量と、第1の成分バッグ内に移送された第1成分の測定した実際の量と、第3の成分バッグ内に移送された第3成分の測定された実際の量とから第2成分の実際の量を測定することと、を含む請求項31に記載の方法。
【請求項36】
所定量の複合液体を少なくとも第1成分と第2成分とに分離する方法であって、
少なくとも第1成分と第2成分とを分離バッグ内で沈降させるために、所定量の複合液を収容する分離バッグを遠心分離処理することを含み、分離バッグ内には所定量のガスが存在し、更に、
分離バッグ内に収容される所定量のガスを、分離バッグに接続された少なくとも1つの成分バッグ内に移送させ、分離バッグに接続された第1の成分バッグ内に第1成分の第1の留分を移送させるために、分離バッグが密閉される分離コンパートメント内に作動流体を圧送することを含み、この分離コンパートメントは固定量を有し、更に、
第1の成分バッグ内への第1成分の第1の留分の注入が開始するまで、分離コンパートメント内に圧送された作動流体の量を測定することと、
少なくとも、分離コンパートメントの固定量と、第1成分の第1の留分の第1の成分バッグ内への注入が開始するまで、分離コンパートメント内に圧送された作動流体の量とから分離バッグ内の複合流体の実際の量を測定すること、とを含む方法。
【請求項37】
所定量の複合液体を少なくとも第1成分と第2成分とに分離する方法であって、
少なくとも第1成分と第2成分とを分離バッグ内で沈降させるために、所定量の複合液体を収容する分離バッグを遠心分離処理することを含み、分離バッグ内には所定量のガスが存在し、更に、
分離バッグ内の複合流体の実際の量を測定することと、
少なくとも、第1成分の第1の留分を、分離バッグに接続された第1の成分バッグ内に流入させることと、
少なくとも、第1の成分バッグ内に移送された第1成分の第1の留分の実際の量を測定することと、
少なくとも、複合液体の実際の量と、第1成分の第1の留分の実際の量とから分離バッグ内の第2成分の実際の量を測定すること、とを含む方法。
【請求項38】
所定量の複合液体を、少なくとも第1成分と第2成分と中間成分とに分離する方法であって、
分離バッグ内に少なくとも第1成分と第2成分と第3成分とを沈降させるために、所定量の複合液体を収容する分離バッグを遠心分離処理することと、
分離バッグに接続された第1の成分バッグ内に第1成分を流入させることと、
遠心分離軸から所定距離における分離バッグ内の第1および中間成分間のインターフェースを検出することと、
このインターフェースが検出された後に、第1の成分バッグ内への第1成分の流れを停止することと、
第1成分の第1の留分が第1の成分バッグ内に移送されたときに、分離バッグに接続された第3の成分バッグ内に第3成分を流入させることを含み、この第3成分は、第2成分の留分と、中間成分と、第1成分の第1の留分が第1の成分バッグ内に移送されたときに、分離バッグ内に残留する第1成分の第2の留分とを含み、更に、
第3の成分バッグ内に第3成分が移送されたときに、第3の成分バッグ内への第3成分の流入を停止することと、
第3成分バッグ内の第3成分の実際の量を測定すること、とを含む方法。
【請求項39】
更に、最初に、所定量の複合液体を、分離バッグに接続された複合液体バッグから分離バッグ内に移送することを含み、複合液体バッグ内に複合液体が残留し、この残留量は既知の値であり、更に、
複合液体バッグを第3の成分バッグとして使用すること、とを含む請求項38に記載の方法。
【請求項40】
第3成分バッグ内の第3成分の実際の量を測定することは、第3の成分バッグ内に流入される第3成分の量を測定することを含み、複合液体バッグ内の第3成分の実際の量は、少なくとも、複合液体の残留量と、複合液体バッグ内に流入させられた第3成分の測定された量とから、測定される請求項39に記載の方法。
【請求項41】
複合液体は、全血を含み、第1成分は血漿を含み、第2成分は赤血球を含み、第3成分は血小板を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
所定量の複合液体を、少なくとも第1成分と第2成分とに分離バッグ内で分離するための装置であって、
ロータの回転軸の回りに分離バッグを回転させるロータと、
ガスと第1成分の少なくとも第1の留分とを分離バッグから、これに接続された第1の成分バッグ内に移送させる流体移送システムと、
分離バッグ内に収容された所定量の複合液体の少なくとも第1成分と第2成分との沈降を可能とする少なくとも1つのロータ遠心分離速度を記憶するメモリと、
コントロールユニットとを含み、このコントロールユニットは、
分離バッグ内に収容された所定量の複合液体の少なくとも第1,第2成分を沈降させるために、少なくとも1のロータ遠心分離速度でロータを回転させ、
流体移送システムで、分離バッグに接続された第1の成分バッグ内に、ガスと少なくとも第1成分の第1の留分とを移送させ、
第1の成分バッグ内への第1成分の注入開始と第1成分バッグ内への第1成分の注入停止との間で、少なくとも、第1の成分バッグ内に移送された第1成分の第1の留分の実際の量を測定するように、プログラムされている、装置。
【請求項43】
流体移送システムは、
分離バッグに圧力を作用させるための圧搾システムと、
分離バッグに作用する圧力を測定するための圧力センサとを備え、
前記コントロールユニットは、更に、
圧力センサから情報を受取り、
所定量のガスが移送された後、第1の成分バッグ内への第1成分の実際の注入が開始するときを測定するために、圧力センサからの圧力情報をモニタするように、プログラムされている、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記コントロールユニットは、更に、所定量のガスの移送中に着実に上昇した後、実質的に一定となった圧力に対応する圧力の変化を検出することにより、第1の成分バッグ内への第1成分の実際の注入開始したときを測定するように、プログラムされている請求項43に記載の装置。
【請求項45】
更に、回転軸から所定距離における分離バッグ内の第1,第2成分間のインターフェースを検出するためのインターフェースセンサを備え、前記コントロールユニットは、更に、
インターフェースセンサからの情報を受取り、
インターフェースセンサにより第1,第2成分間のインターフェースが検出された後、流体移送システムにより、第1成分バッグ内への第1成分の第1の留分の移送を停止させるようにプログラムされている請求項42に記載の装置。
【請求項46】
更に、分離バッグを収容するための分離コンパートメントを備え、前記移送システムは、作動液体を、測定された個々の量の増分で、分離バッグを収容するロータの分離コンパートメント内に圧送するための圧送手段を備え、前記コントロールユニットは、更に、
第1の成分バッグ内への第1成分の注入開始と、第1の成分バッグ内への第1成分の注入停止との間で増分の数を計数し、
計数された増分の数と、1の増分に対応する測定量とから、第1の成分バッグ内に移送された第1成分の第1の留分の実際の量を測定するように、プログラムされている請求項42に記載の装置。
【請求項47】
更に、回転軸から所定距離における分離バッグ内のガスおよび複合液体間のインターフェースを検出するためのインターフェースセンサを備え、前記コントロールユニットは、更に、
インターフェースセンサからの情報を受取り、
インターフェースセンサによりガスおよび複合液体間のインターフェースが検出された後、所定時間経過するまで、流体移送システムにより、分離バッグからこれに接続されたサテライトバッグ内に分離バッグからガスを移送させる、ようにプログラムされている請求項42に記載の装置。
【請求項48】
前記ロータは更に、分離バッグを収容する固定容積の分離コンパートメントを備え、前記流体移送システムは、液圧作動液体を分離コンパートメント内に圧送する圧送システムを備え、前記コントロールユニットは、更に、
分離バッグ内に収容された所定量のガスを、少なくとも1つの成分バッグ内に移送させ、第1成分第1の留分を第1の成分バッグ内に移送させるように、作動流体を分離コンパートメント内に圧送し、
第1の成分バッグ内への第1成分の注入開始まで、分離コンパートメント内に圧送された液圧作動流体の量を測定し、
少なくとも、分離コンパートメントの固定量と、第1の成分バッグ内への第1成分の注入開始まで、分離コンパートメント内に圧送された作動流体の量とから、分離バッグ内の実際の複合液体の量を測定するように、プログラムされている請求項42に記載の装置。
【請求項49】
前記圧送システムは、測定された個々の容量の増分で作動流体を圧送するように形成され、前記コントロールユニットは、更に、
分離コンパートメント内への作動流体の流入開始と第1の成分バッグ内への第1成分の注入開始との間で増分の数を計数し、
計数した増分の数と1つの増分の測定した個々の量とから分離コンパートメント内に圧送された作動流体の量を計算するように、プログラムされている請求項48に記載の装置。
【請求項50】
前記コントロールユニットは、更に、少なくとも、分離バッグ内の複合液体の測定された実際の量と、第1の成分バッグ内に移送された第1成分の実際の量とから、第2コンパートメントの実際の量を測定するようにプログラムされている請求項49に記載の装置。
【請求項51】
メモリ内に記憶された少なくとも1つのロータ遠心分離速度が、少なくとも、分離バッグ内に収容された複合液体の第1,第2および中間成分の沈降を可能とし、
前記コントロールユニットは、更に、
分離バッグ内に収容された所定量の複合液体の第1,第2および中間成分の沈降を可能とする少なくとも1つの遠心分離速度でロータを回転させ、
第1成分の第1の留分が第1の成分バッグ内に移送されたときに、分離バッグに接続された第3の成分バッグ内に所定量の第3成分を、流体移送システムで移送させ、この第3成分は、第2成分の留分と、中間成分と、第1成分が第1の成分バッグ内に移送されたときに、分離バッグ内に残留する第1成分の第2の留分とを備え、更に、
第3の成分バッグ内に移送された第3成分の実際の量を測定するようにプログラムされている請求項42に記載の装置。
【請求項52】
前記ロータは、更に、分離バッグを収容する分離コンパートメントを備え、前記流体移送システムは、測定した個々の量の増分で流体作動液体を分離コンパートメント内に圧送するための圧送システムを備え、前記コントロールユニットは、更に、
第3成分を第3の成分バッグ内に移送するために作動された圧送システムと、停止された圧送システムとの間の増分の数を計数し、
計数した増分の数と、1つの増分の測定した量とから、第3の成分バッグ内に移送された第3成分の実際の量を測定するように、プログラムされている請求項51に記載の装置。
【請求項53】
前記コントロールユニットは、更に、少なくとも、複合液体の実際の量と、第1の成分バッグ内に移送された第1成分の測定された実際の量と、第3の成分バッグ内に移送された第3成分の測定された実施の量とから、第2成分の実際の量を測定するように、プログラムされている請求項52に記載の装置。
【請求項54】
更に、コントロールユニットに接続されたスクリーンを備え、前記コントロールユニットは、更に、分離バッグ内の複合液体の実際の量と、分離バッグ内の第2成分の実際の量と、第1の成分バッグ内に移送された第1成分の少なくとも1つの留分の実際の量と、第3の成分バッグ内に移送された第3成分の実際の量との少なくとも1つをスクリーンに表示するように、プログラムされている請求項51に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−5268(P2011−5268A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−180806(P2010−180806)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【分割の表示】特願2009−527493(P2009−527493)の分割
【原出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(507114521)カリディアンビーシーティー、インコーポレーテッド (39)
【氏名又は名称原語表記】CaridianBCT, Inc.
【住所又は居所原語表記】10811 West Collins Avenue, Lakewood, Colorado 80215, U.S.A.
【Fターム(参考)】