説明

複合粉体及びこれを含有する粉体化粧料

【課題】カバー力、しわ・凹凸ぼかし効果、つや感、密着感及び滑らかさの全てにおいて優れた効果を発揮する化粧料、及び上記化粧料を得ることが可能な複合粉体を提供すること。
【解決手段】2種以上の粉体から構成される複合粉体であって、標準黒色板に貼付された3cm×3cmの半透明粘着テープの表面に0.5mg/cmの密度で配置された当該複合粉体の反射率Yを、入射角−45°の入射光を照射し受光角を−70°〜70°の範囲で変角しながら測定したときに、反射率Yが、受光角−40°〜45°の範囲で40%より大きく、40°〜50°の範囲内で最大値を示し、且つ、受光角0°における反射率Y(0°)の受光角45°における反射率Y(45°)に対する割合が0.7〜0.95である、複合粉体。また、かかる複合粉体を含有する粉体化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合粉体及びこれを含有する粉体化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
ファンデーション等の粉体化粧料には、カバー力、しわ・凹凸ぼかし効果、つや感、密着感、滑らかさ等において優れた効果を発揮することが求められる。従来、カバー力及びしわ・凹凸ぼかし効果の向上のために、酸化チタン等の屈折率の高い粉体を用いた化粧料が開示されている(特許文献1〜3参照)。しかし、これらの屈折率の高い粉体を高配合した化粧料は、滑らかさに欠け、きしみ感が生じるなどの使用感の悪化を招く問題があった。また、カバー力向上のために、密着感を高める処方とすると、仕上がりに厚ぼったさが生じて不自然になり、十分なつや感が得られなくなる傾向があった。
【0003】
一方、つや感のある自然な仕上がりを実現するために、マイカやタルクなどの屈折率の低い粉体を高配合すると、カバー力が十分でなくなる傾向があった。さらに、マイカを高配合すると、くすみが生じる傾向があり、タルクを高配合すると、角立ちが生じて滑らかさが十分でなくなる傾向があった。
【0004】
これまでに、上記の効果を兼ね備えた粉体化粧料を得る試みがなされ、特定の粒子径を有する粉体を用いる技術(特許文献4参照)や、特定の光学特性を有する粉体を用いる技術(特許文献5及び6参照)が開示されている。
【特許文献1】特公昭43−25644号公報
【特許文献2】特開平6−56628号公報
【特許文献3】特開平8−188723号公報
【特許文献4】特開昭63−027418号公報
【特許文献5】特開2002−104931号公報
【特許文献6】特開平8−188723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、より優れた効果を兼ね備えた粉体化粧料の開発が強く望まれていた。そこで、本発明は、カバー力、しわ・凹凸ぼかし効果、つや感、密着感及び滑らかさの全てにおいて優れた効果を発揮する粉体化粧料、及び上記粉体化粧料を得ることが可能な複合粉体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、変角測色によって測定される反射率に着目し、この反射率が特定の挙動を示す複合粉体を用いることにより、カバー力、しわ・凹凸ぼかし効果、つや感、密着感及び滑らかさの全てにおいて優れた効果を発揮する粉体化粧料を得ることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、2種以上の粉体から構成される複合粉体に関する。黒色板に貼付された3cm×3cmの半透明粘着テープの表面に0.5mg/cmの密度で配置された当該複合粉体の反射率Yを、入射角−45°の入射光を照射し受光角を−70°〜70°の範囲で変角しながら測定したときに、反射率Yは、受光角−40°〜45°の範囲で40%より大きく、40°〜50°の範囲内で最大値を示し、且つ、受光角0°における反射率Y(0°)の受光角45°における反射率Y(45°)に対する割合が0.7〜0.95である。このような複合粉体を用いることにより、カバー力、しわ・凹凸ぼかし効果、つや感、密着感及び滑らかさの全てにおいて優れた効果を発揮する化粧料を得ることが可能となる。
【0008】
上記複合粉体は、反射率Yが、受光角−45°〜−30°の範囲内で60%以上の最大値を示し、受光角−30°〜70°の範囲で受光角が大きくなるほど小さい値を示す粉体(A)と、反射率Yが、受光角40°〜50°の範囲内で60%以上の最大値を示し、受光角−40°〜45°の範囲で受光角が大きくなるほど大きい値を示す粉体(B)とを含むことが好ましい。この場合、好ましくは粉体(B)が粉体(A)によって被覆される。このような構成の複合粉体を用いることにより、上記効果がより優れた粉体化粧料を得ることができる。
【0009】
また、本発明は、上記複合粉体を含有する粉体化粧料である。本発明の粉体化粧料は、球状粉体を更に含有することにより、伸びが向上する。また本発明の粉体化粧料は、固形油脂を更に含有することにより、パフなどの化粧用具へのほぐれが向上する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カバー力、しわ・凹凸ぼかし効果、つや感、密着感及び滑らかさの全てにおいて優れた効果を発揮する粉体化粧料を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0012】
本実施形態に係る複合粉体は、互いに異なる材料によって形成された2種以上の粉体から構成される。
【0013】
本実施形態に係る複合粉体の反射率Yは、受光角−40°〜45°の範囲で40%より大きい。また、好ましくは、反射率Yは40°〜50°の範囲内で最大値を示す。さらに、受光角0°における反射率Y(0°)の受光角45°における反射率Y(45°)に対する割合(=Y(0°)/Y(45°))が0.7〜0.95であることが好ましい。
【0014】
上記反射率Yは、黒色板に貼付された3cm×3cmの半透明粘着テープの表面に0.5mg/cmの密度で当該複合粉体を均一に塗布し、その状態で入射角−45°の入射光を照射し受光角を−70°〜70°の範囲で変角しながら測定する方法によって測定される値である。
【0015】
上記のような反射率Yを有する複合粉体は、例えば、光学特性の異なる2種以上の粉体を組み合わせ、その配合比を適宜調整する方法により得ることができる。具体的には、下記のような粉体(A)及び粉体(B)を組み合わせる方法が好適である。粉体(B)の表面の少なくとも一部は粉体(A)により被覆されていることが好ましい。
粉体(A):反射率Yが、受光角−45°〜−30°の範囲内で60%以上の最大値を示し、受光角−30°〜70°の範囲で受光角が大きくなるほど小さい値を示す。
粉体(B):反射率Yが、受光角40°〜50°の範囲内で60%以上の最大値を示し、受光角−40°〜45°の範囲で受光角が大きくなるほど大きい値を示す。
【0016】
粉体(A)を形成する材料としては、酸化チタン(TiO)が挙げられる。粉体(A)の粒径(粒子径)は好ましくは0.1〜0.4μmである。粉体(B)を形成する材料としては、マイカ、セリサイト、タルク等が例示される。これらの粉体の中でも、粉体の光学特性の点からマイカを用いることが好ましい。粉体(B)の粒径は好ましくは10μm〜30μmである。粉体(B)としては、粒径が20μmでアスペクト比が70であるものがより好ましい。
【0017】
粉体(A)及び粉体(B)の合計量に対する粉体(A)の割合は、25〜45質量%であることが好ましい。この範囲で粉体(A)及び粉体(B)を組み合わせることにより、特に容易に上述の反射率Yを達成することができる。
【0018】
粉体(B)への粉体(A)の被覆方法としては、これまで知られた各種方法、例えば物理化学的な混合摩砕法(乾式、湿式)や化学的な沈着法などが選択され実施されるが、複合粉体の光学特性の点から、乾式の混合摩砕法が有利に用いられる。
【0019】
得られた複合粉体を、シリコーン化合物、有機フッ素化合物、高級脂肪酸、金属セッケン、ワックス、ペースト、アシル化アミノ酸処理等の化合物でさらに被覆することにより、粉体化粧料に配合した場合、分散性及び化粧持ちが向上する。複合粉体を疎水性化合物で処理する場合、その処理は、粉体製造時に行っても良く、また他の粉体と混合した後でも良い。
【0020】
複合粉体の粉体化粧料への配合量としては、0.5〜90質量%が好ましい。この配合量が0.5質量%未満では、複合粉体の反射特性が粉体化粧料中で有効に発揮されにくくなる傾向がある。一方、90質量%を超える複合粉体を配合すると、製剤化が困難になる傾向がある。
【0021】
上記複合粉体を用いて、粉体化粧料を作製することができる。この粉体化粧料は、上記複合粉体を含有することによって、カバー力、しわ・凹凸ぼかし効果、つや感、密着感及び滑らかさの全てにおいて優れた効果を発揮するものとなる。
【0022】
上記粉体化粧料に球状粉体を配合することにより、さらに伸びの軽い良好な使用感の粉体化粧料を得ることができる。球状粉体は、無機粉体、有機粉体のいずれでも良く、具体的には、無機球状粉体として、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等が挙げられ、有機球状粉体として、例えば、ナイロン、ポリメタクリル酸メチル、オルガノポリシロキサンエラストマー、メチルシロキサン網状重合体、ウレタン樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体、ポリエチレン、シルク、セルロース等が挙げられる。これらのうち、シリカ、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン、メチルシロキサン網状重合体、ウレタン樹脂が好ましく、特に、シリカ、ナイロンが好ましい。また、上記球状粉体は、粉体の2種以上を複合化して球状にしたものでも良く、そのような球状粉体の好ましい例として酸化チタン内包シリカが例示される。これらの球状粉体を1種以上用いることができる。また、粉体化粧料全組成中に0.1〜20質量%、特に0.5〜10質量%の球状粉体を含有することが好ましい。
【0023】
上記粉体化粧料に固形油脂を配合することにより、粉体化粧料の伸びが軽く良好な使用感が得られるとともに、パフなどの化粧用具へのほぐれの良好な粉体化粧料を得ることができる。固形油脂としては、通常化粧料等の外用剤に用いられるものであれば特に限定されるものではなく、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。かかる固形油脂としては、モクロウ,牛脂,硬化牛脂,硬化大豆油,硬化ヒマシ油等の固形状油脂類、カルナウバロウ,キャンデリラロウ,水添ホホバ油等の植物ロウ類、ミツロウ,鯨ロウ,ラノリン,還元ラノリン,硬質ラノリン等の動物ロウ類、オゾケライト,セレシン,マイクロクリスタリンワックス等の固形状炭化水素類、トリステアリン酸グリセリル,トリパルミチン酸グリセリル,トリベヘン酸グリセリル,トリミリスチン酸グリセリル,トリヤシ油脂肪酸グリセリル,トリラウリン酸グリセリル,トリラノリン脂肪酸グリセリル等の固形状脂肪酸トリグリセリドなどが挙げられる。これらの固形油脂の中でも、本願発明の効果の点から、セレシンが最も好ましく用いられる。固形油脂は、粉体化粧料中の油分の配合比により最適な配合量が変化するが、粉体化粧料全組成中に0.01〜5質量%、0.01〜1質量%、さらに好ましくは0.01〜0.5質量%配合することができる。0.01質量%未満の配合ではほぐれの改良効果が認められにくい傾向がある。一方、固形油脂を5質量%以上配合すると、逆にほぐれに悪影響を及ぼす傾向がある。
【0024】
本実施形態の粉体化粧料は、粉体と油分を必須成分として含有する化粧料である。かかる粉体化粧料の剤型としては、油中水乳化型、水中油乳化型、油型等任意である。この中でも、油型の剤型を採用することが好ましく、さらには、油分の配合量が30質量%以下で、プレス成型して調製する、粉体固形化粧料の剤型が、本発明の効果を最も発揮する。
【0025】
粉体化粧料の種類としては、ファンデーション、紫外線防御用化粧料、チークカラー、アイカラー、マユズミ等が例示されが、ファンデーションにおいて最も複合粉体の効果を発揮することができる。
【0026】
本発明の粉体化粧料には、他に粉体、油分、紫外線防御剤、水性成分、美白剤、抗酸化剤、防腐・殺菌剤等、通常化粧料に配合しうる成分を配合することができる。
【実施例】
【0027】
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0028】
(複合粉体)
平均粒子径20μm及びアスペクト比70であるマイカ(以下、「マイカ1」と記す。)65質量部と、平均粒子径0.25μmの酸化チタン35質量部とを、ブレンダーを用いて2時間混合することにより、酸化チタンとマイカからなる複合粉体を得た。この複合粉体を顕微鏡で観察したところ、酸化チタン(TiO)によりマイカ1が被覆されていた。以下、この複合粉体を「マイカ1/TiO35%」と記す。
【0029】
(変角測色)
標準黒色板に、3cm×3cmの半透明粘着テープ(商品名:ブレンダーム住友スリーM社製)を貼付し、その粘着テープの表面に、上記で得られた複合粉体(マイカ1/TiO35%)を、0.5mg/cmの密度となるように均一に塗布した。その塗布面に、入射角−45°にて入射光を照射し、受光角を−70°〜70°の範囲で変角しながら反射光の反射率の測定(変角測色)を行った。その結果、反射率は、受光角−40°〜45°の範囲で40%より大きく、受光角40°において最大値を示し、受光角45°における反射率(60.26%)に対する受光角0°における反射率(51.62%)の割合は、0.86であった。
【0030】
下記の粉体a〜iについて、上記と同様に変角測色を行った。なお、下記の「粉体c」は、上記の複合粉体(マイカ1/TiO35%)である。また、「粉体a」は「粉体b」、「粉体c」、「粉体d」、「粉体h」を構成する「酸化チタン」に相当する。
【0031】
粉体a:ルチル型酸化チタン
粉体b:マイカ1(50質量%)を、特開昭63−027418号公報に記載の方法を用いて酸化チタン(50質量%)で被覆したもの
粉体c:マイカ1(65質量%)を、特開昭63−027418号公報に記載の方法を用いて酸化チタン(35質量%)で被覆したもの
粉体d:マイカ1(65質量%)と酸化チタン(35質量%)との混合物(被覆処理なし)
粉体e:マイカ(65質量%)を、特開昭63−027418号公報に記載の方法を用いて、酸化鉄(1質量%)、酸化チタン(34質量%)で被覆したもの
粉体f:マイカ(70質量%)を、特開昭63−027418号公報に記載の方法を用いて微粒子酸化チタン(30質量%)で被覆したもの
粉体g:マイカ(56.5質量%)を、特開昭63−027418号公報に記載の方法を用いて微粒子酸化チタン(43.5質量%)で被覆したもの
粉体h:セリサイト(65質量%)を、特開昭63−027418号公報に記載の方法を用いて酸化チタン(35質量%)で被覆したもの
粉体i:マイカ1
【0032】
図1は、粉体a〜iの変角測色の結果を示すグラフである。各粉体の受光角0°における反射率Y(0°)、受光角45°における反射率Y(45°)及びY(0°)/Y(45°)の値を下記表1に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
表1に示されるように、粉体c、f、gのY(0°)/Y(45°)の値は0.7〜0.95の範囲内にあった。ただし、図1に示されるように、粉体f、gは受光角−40°〜45°の範囲において反射率が40%以下の部分を有していた。また、粉体c、gは受光角40°〜50°の範囲で最大値を示すこともなかった。
【0035】
粉体aの反射率は、受光角−40°で最大値(70.5%)を示した。すなわち、上記反射率は、受光角−45°〜−30°の範囲内で60%以上の最大値を示した。また、上記反射率は、受光角−30°〜70°の範囲で受光角が大きくなるほど小さい値を示した。つまり、粉体aは、本発明における粉体(A)に相当する。
【0036】
粉体iの反射率は、受光角45°で最大値(79.2%)を示した。すなわち、上記反射率は、受光角40°〜50°の範囲内で60%以上の最大値を示した。また、上記反射率は、受光角−40°〜45°の範囲で受光角が大きくなるほど大きい値を示した。つまり、粉体iは、本発明における粉体(B)に相当する。
【0037】
(実施例1)
以下の表2に示す粉体成分1〜14をブレンダーで混合して粉体混合物を得た。表2に示すバインダー成分1〜3を加熱混合して均一なバインダー溶液を得た。このバインダー溶液を、上記粉体混合物に加え、さらに混合して化粧料組成物を得た。この化粧料組成物を粉砕し、篩過した後、金皿に入れてプレス成型することにより、本発明の化粧料の一実施形態であるパウダーファンデーションを得た。なお、表2の粉体成分10である粉体(X)としては、上記粉体cを用いた。
【0038】
【表2】

【0039】
(比較例1〜9)
上記粉体(X)として、上記粉体cに代えて、以下の表3に示す粉体を用いて、実施例1と同様にしてパウダーファンデーションを得た。
【0040】
【表3】

【0041】
表3の粉体のうち、上記粉体a〜i以外の粉体は、以下のとおりである。
「マイカ1/TiO20%」:マイカ1(粒径20μm、アスペクト比70)(80質量%)を、特開昭63−027418号公報に記載の方法を用いて、酸化チタン(20質量%)で被覆したもの
「マイカ2/TiO35%」:マイカ2(粒径20μm未満)(65質量%)を、特開昭63−027418号公報に記載の方法を用いて、酸化チタン(35質量%)で被覆したもの
「マイカ3/TiO35%」:マイカ3(アスペクト比70未満)(65質量%)を、特開昭63−027418号公報に記載の方法を用いて、酸化チタン(35質量%)で被覆したもの
「合成マイカ/TiO35%」:合成マイカ(65質量%)を、特開昭63−027418号公報に記載の方法を用いて、酸化チタン(35質量%)で被覆したもの
【0042】
「マイカ1/TiO20%」、「マイカ2/TiO35%」、「マイカ3/TiO35%」及び「合成マイカ/TiO35%」について変角測色を行ったところ、これらはいずれも、Y(0°)/Y(45°)の値が0.7〜0.95の範囲外であるか、受光角−40°〜45°の範囲において反射率が40%以下の部分を有しているか、又は、40°〜50°の範囲外で反射率が最大値を示した。
【0043】
(評価試験)
専門評価者3名に実施例及び比較例1〜9で得たパウダーファンデーションを塗布させ、以下の評価基準により各項目について評価させた。
評価基準
◎:非常に優れている
○:優れている
△:普通である
×:不十分である
【0044】
各項目について専門評価者3名の合議による評価を行い、結果を上記記号により上記表3に示した。表3に示すとおり、粉体(X)として「マイカ1/TiO35%」(粉体c)を用いた実施例のパウダーファンデーションは、「カバー力」、「しわ・凹凸ぼかし効果」、「つや感」、「密着感」及び「滑らかさ」の5項目全てにおいて、◎(非常に優れている)の評価を得た。それに対し、比較例1〜9のパウダーファンデーションが◎の評価を得たのは、いずれも上記5項目のうち3項目以下であった。
【0045】
(参考例1〜3)
実施例1における粉体成分2(シリコーン処理タルク)、粉体成分5(シリコーン処理酸化チタン内包シリカ)及び粉体成分8(ナイロンパウダー)並びにバインダー成分2(ミリスチン酸イソセチル)及びバインダー成分3(セレシン)の配合量を、以下の表4に示すように変えたほかは、実施例1と同様にしてパウダーファンデーションを得た。
【0046】
【表4】

【0047】
上記評価試験と同様にして、以下の表5に示す項目について、評価試験を行った。
【表5】

【0048】
試験の結果、表5に示すとおり、球状粉体である粉体成分5及び8並びに固形油脂であるバインダー成分3を含有する実施例のパウダーファンデーションは、「カバー力」、「毛穴ぼかし効果」、「素肌感・透明感」及び「均一な伸び」の4項目全てにおいて、◎(非常に優れている)の評価を得た。それに対し、固形油脂であるバインダー成分3を含有しない参考例1のパウダーファンデーション、球状粉体である粉体成分5の含有量が少ない参考例2のパウダーファンデーション、球状粉体である粉体成分8の含有量が少ない参考例3のパウダーファンデーションは、いずれも「均一な伸び」について×(不十分である)の評価がなされ、他の項目についても、実施例の評価ほどの良い評価は得られなかった。なお、参考例1のパウダーファンデーションは、パフでほぐす際にすぐにほぐれにくくなり、角立ち現象がみとめられた。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の複合粉体は、粉体化粧料に利用することができる。また複合粉体を配合した粉体化粧料は、ファンデーション、紫外線防御用化粧料、チークカラー、アイカラー、マユズミ等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】粉体a〜iについて、受光角を−70°〜70°の範囲内で変角しながら反射光の反射率の測定(変角側色)を行った結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種以上の粉体から構成される複合粉体であって、
標準黒色板に貼付された3cm×3cmの半透明粘着テープの表面に0.5mg/cmの密度で配置された当該複合粉体の反射率Yを、入射角−45°の入射光を照射し受光角を−70°〜70°の範囲で変角しながら測定したときに、反射率Yが、受光角−40°〜45°の範囲で40%より大きく、40°〜50°の範囲内で最大値を示し、且つ、受光角0°における反射率Y(0°)の受光角45°における反射率Y(45°)に対する割合が0.7〜0.95である、複合粉体。
【請求項2】
反射率Yが、受光角−45°〜−30°の範囲内で60%以上の最大値を示し、受光角−30°〜70°の範囲で受光角が大きくなるほど小さい値を示す粉体(A)と、
反射率Yが、受光角40°〜50°の範囲内で60%以上の最大値を示し、受光角−40°〜45°の範囲で受光角が大きくなるほど大きい値を示す粉体(B)と、
を含み、粉体(B)が粉体(A)によって被覆されている、請求項1に記載の複合粉体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の複合粉体を含有する粉体化粧料。
【請求項4】
球状粉体を更に含有する、請求項3に記載の粉体化粧料。
【請求項5】
固形油脂を更に含有する、請求項3又は4に記載の粉体化粧料。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−105989(P2010−105989A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281907(P2008−281907)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000135324)株式会社ノエビア (258)
【Fターム(参考)】