説明

複合軟磁性材料、それを用いた圧粉磁心、およびそれらの製造方法

【課題】鉄損の低減と磁束密度低下の抑制を共に可能にした軟磁性粉末材料ならびに圧粉磁心を提供する。
【解決手段】金属磁性粒子(1)と、前記金属磁性粒子(1)の表面に形成された絶縁皮膜(2)とを有する複合軟磁性材料(3)において、前記絶縁皮膜(2)の表面の少なくとも一部に形成された、前記金属磁性粒子より粒径が小さい金属酸化物磁性粒子(4)を含む絶縁皮膜保護部(5)をさらに有することを特徴とする、複合軟磁性材料、それを用いた圧粉磁心、およびそれらの製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、金属磁性粒子と、その金属磁性粒子の表面に形成された絶縁皮膜とを有する複合軟磁性材料を備える圧粉磁心において磁束密度の低下が抑制され、且つ鉄損が低減された圧粉磁心、並びに、その圧粉磁心の製造に有利に使用され得る複合軟磁性材料に関するものである。さらに、本願発明は、そのような複合軟磁性材料、および圧粉磁心の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気機器や電子機器の小型化、高密度化に伴って、それらに使用される磁心材料についても、小型で高磁束密度、高透磁率および低鉄損を備えた材料に対する要求が強くなってきている。その磁心材料としては、ケイ素鋼板を積層した積層型磁心や、軟磁性粉末を絶縁性樹脂で被覆した複合軟磁性材料を圧縮成形した圧粉磁心がある。圧粉磁心は、積層型磁心に比べて高周波領域での鉄損が低く成形性に優れているが、更なる高磁束密度化および低鉄損化が望まれている。
【0003】
これまで、圧粉磁心は、例えば鉄粉表面に設けたりん酸塩皮膜と成形時に混合する樹脂により電気的絶縁をして、低鉄損化が図られていた(特許文献1参照)。しかしながら、最近になって、更なる低鉄損化のニーズが高まり、高圧下での成形時に生じる鉄粉のひずみを十分に回復できる高い温度(例えば600℃以上、即ち樹脂の耐熱温度以上)で焼鈍することが課題となっている。かかる課題に対して、樹脂の絶縁性に頼らない絶縁構造として、例えば特許文献2などのように、無機化合物からなる皮膜や、特許文献3のように、耐熱性を向上させたリン酸塩皮膜で絶縁性を確保することが検討されている。
【0004】
しかしながら、一般的に無機化合物やりん酸塩皮膜は、樹脂に比べ脆く、成形時の高い圧力で破損が生じ絶縁性確保が問題となる。そこで、特許文献4では、絶縁皮膜を保護する為に、絶縁皮膜表面を金属石鹸で被覆したり、絶縁皮膜内部および表面に金属石鹸や酸化物粒子を配置することで、金属石鹸の潤滑性や酸化物粒子の転がりにより絶縁皮膜を保護できるとされている。しかしながら、金属石鹸はその潤滑性ならびに軟らかいことから緩衝効果も加わり絶縁皮膜を保護し、鉄損低減が可能であるが、磁性を有しない為、その添加量に応じ磁束密度が低下する問題があった。また酸化物粒子は、磁性を有しない粒子を用いれば前述の問題を有することに加え、硬さが硬いため緩衝効果が期待できず、転がりの効果だけでは絶縁皮膜の保護は不十分であった。
【0005】
このように、モータやソレノイドのコアとして用いることができる圧粉磁心の重要な磁気特性として、磁束密度と鉄損があるが、磁束密度は高いほど、鉄損は低いほど高特性といえる。圧粉磁心において、個々の鉄粉間を電気的に絶縁する絶縁皮膜は、重要特性である鉄損を低減するためのキーポイントである。その中で、鉄粉を成形する工程において1000MPa前後の高い成形圧力から絶縁皮膜を保護することは重要課題の一つである。従来は、金属石鹸等の潤滑材を混合することや絶縁皮膜表面に被覆することで対応してきたが、潤滑材は磁性を有しない為、一般的に添加量に応じ磁束密度は低下する。
【0006】
【特許文献1】特開2002‐246219号公報
【特許文献2】特開2005‐206880号公報
【特許文献3】特開2005‐93350号公報
【特許文献4】特開2005‐129716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、特に、粒子のころがりと有機物の緩衝作用による皮膜保護で鉄損低減を図るという点と粒子が磁性を有することから磁束密度低下を抑制するという点を兼ね備えた、軟磁性粉末材料ならびに圧粉磁心を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の請求項1に記載の発明(以下「本願の第一発明」という)は、金属磁性粒子(1)と、金属磁性粒子(1)の表面に形成された絶縁皮膜(2)とを有する複合軟磁性材料(3)において、絶縁皮膜(2)の表面の少なくとも一部に形成された、金属磁性粒子(1)より平均粒径が小さい金属酸化物磁性粒子(4)を含む絶縁皮膜保護部(5)をさらに有することを特徴とする、複合軟磁性材料を提供するものである。図1において、かかる本願の第一発明での複合軟磁性材料が模式的に示される。尚、かかる本願の第一発明における複合軟磁性材料は、明確化のために図1に示すように一個の粒子で表示されるが、通常は多数の粒子群で取り扱われるものである。
【0009】
かかる本願の第一発明では、金属磁性粒子より平均粒径が小さい金属酸化物磁性粒子、例えば、磁性を有する酸化鉄ナノ粒子を、潤滑材の主成分とすることによって、得られる複合軟磁性材料が、鉄損低減と磁束密度低下抑制の両立を可能にした圧粉磁心の製造に有利に使用され得る。
【0010】
本願の請求項19に記載の発明(以下「本願の第二発明」という)は、金属磁性粒子(1)と、前記金属磁性粒子(1)の表面に形成された絶縁皮膜(2)と、前記絶縁皮膜(2)の表面の少なくとも一部に形成された、前記金属磁性粒子(1)より平均粒径が小さい金属酸化物磁性粒子(4)を含む絶縁皮膜保護部(5)とを有する複合軟磁性材料(3)の群を用いて製造された、圧粉磁心を提供するものである。図2には、かかる本願の第二発明での圧粉磁心(7)の断面の一部が模式的に示される。
【0011】
図2において、1は、金属磁性粒子でその代表例として純鉄粉がある。2は、その金属磁性粒子の表面に形成した絶縁皮膜であり、りん酸塩や金属酸化物、金属窒化物が好ましい。4は、その絶縁皮膜を保護する為の磁性を有する金属酸化物磁性粒子であり、FeOやMnFeO、CoFeO、NiFeO等が好ましい。上記の金属磁性粒子(1)、絶縁皮膜(2)および金属酸化物磁性粒子(4)で構成された複合軟磁性材料(3)の多数からなる群を圧力500〜1500MPa程度で成形し圧粉体を得る。この際、金属酸化物磁性粒子(4)は、転がり効果や緩衝効果により絶縁皮膜の破損を防ぐ機能を発揮する。その後、400℃以上、好ましくは550℃以上、800℃以下、さらに好ましくは600℃以上、800℃以下の高温で焼鈍し、磁気特性に優れた圧粉磁心(7)を得ることができる。
【0012】
かかる本願の第二発明では、金属磁性粒子(1)より平均粒径が小さい金属酸化物磁性粒子(4)、例えば、磁性を有する酸化鉄ナノ粒子を、潤滑材の主成分とする複合軟磁性材料(3)の群を用いることによって、鉄損低減と磁束密度低下抑制の両立を図った圧粉磁心(7)を提供することができる。
【0013】
本願の請求項22に記載の発明(以下「本願の第三発明」という)は、金属磁性粒子と、金属磁性粒子の表面に形成された絶縁皮膜とを有する複合軟磁性材料の製造方法において、
金属磁性粒子(1)の表面に絶縁皮膜(2)を形成する工程と、
金属磁性粒子(1)より平均粒径が小さい金属酸化物磁性粒子(4)を形成する工程と、
形成された絶縁皮膜(2)の表面の少なくとも一部に、形成された金属酸化物磁性粒子(4)を付着させて絶縁皮膜保護部(5)を形成する工程
を有することを特徴とする、複合軟磁性材料(3)の製造方法を提供するものである。
【0014】
かかる本願の第三発明では、上記第一発明と同様に、金属磁性粒子より平均粒径が小さい金属酸化物磁性粒子、例えば、磁性を有する酸化鉄ナノ粒子を、潤滑材の主成分として使用する製造方法によって、鉄損低減と磁束密度低下抑制の両立を可能にした圧粉磁心の製造に使用され得る複合軟磁性材料が有利に得られる。
【0015】
本願の請求項23に記載の発明(以下「本願の第四発明」という)は、金属磁性粒子と、金属磁性粒子の表面に形成された絶縁皮膜とを有する複合軟磁性材料の群からなる圧粉磁心の製造方法において、
金属磁性粒子(1)と、金属磁性粒子(1)の表面に形成された絶縁皮膜(2)の表面の少なくとも一部に形成された、金属磁性粒子(1)より平均粒径が小さい金属酸化物磁性粒子(4)を含む絶縁皮膜保護部(5)をさらに有する複合軟磁性材料(3)の群を成形用金型に充填する工程と、
成形用金型内の複合軟磁性材料(3)の群を加圧成形する工程と、
得られた成形体を400℃以上1000℃以下で熱処理する工程
を有することを特徴とする、圧粉磁心(7)の製造方法を提供するものである。
【0016】
かかる本願の第四発明では、上記第二発明と同様に、金属磁性粒子(1)より平均粒径が小さい金属酸化物磁性粒子(4)、例えば、磁性を有する酸化鉄ナノ粒子を、潤滑材の主成分とする複合軟磁性材料(3)の群を用いることによって、鉄損低減と磁束密度低下抑制の両立を図った圧粉磁心(7)を有利に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本願の第一発明における複合軟磁性材料の好ましい一つの態様としての請求項2に記載の発明では、金属酸化物磁性粒子(4)が強磁性体である、複合軟磁性材料が提供される。強磁性体であれば種々のものが使用可能であるが、例えばそれが常磁性を示すようになる転移温度であるキュリー温度が250℃以上700℃以下のものがここでは好適に使用され得る。
【0018】
本願発明は、このように、金属酸化物磁性粒子(4)として強磁性体を用いることによって、その複合軟磁性材料を用いた圧粉磁心において、絶縁皮膜を保護する層を設けた場合の磁束密度低下抑制を可能にしたものである。
【0019】
本願の第一発明における複合軟磁性材料の好ましいもう一つの態様としての請求項3に記載の発明では、金属酸化物磁性粒子(4)が略球形である。
【0020】
略球形の金属酸化物磁性粒子(4)の例としては、酸化鉄ナノ粒子等の金属酸化物磁性粒子が挙げられる。ここで、略球形とは、実質上球形のものを言い、更に具体的には、例えば、その形状を長軸r、短軸r、厚さrで規定した場合(但し、r≧r≧rとする)、長軸rと短軸rとの比(r/r)が0.5〜1.0の範囲にあり、厚さrと短軸rとの比(r/r)が0.7〜1.0の範囲にあるものを意味する。
【0021】
本願発明のかかる態様では、形状が略球形である為、圧粉磁心の製造時における圧縮成形工程にて絶縁皮膜表面で金属酸化物磁性粒子の転がり効果により絶縁皮膜の摩擦低減が期待できる。
【0022】
本願の第一発明における複合軟磁性材料の好ましいもう一つの態様としての請求項4に記載の発明では、金属酸化物磁性粒子(4)が0.5μm以下の平均粒径を有するものである。かかる金属酸化物磁性粒子(4)の平均粒径としては、より好ましくは0.001μm以上0.1μm以下であり、特に好ましくは0.005μm以上0.05μm以下である。また、金属酸化物磁性粒子(4)の平均粒径rの金属磁性粒子(1)の平均粒径rに対する比r/rとしては、0.00001以上0.01位かが好ましく、0.00005以上0.0005以下が特に好ましい。
【0023】
本願発明のかかる態様では、酸化鉄ナノ粒子等の、金属磁性粒子より平均粒径が大幅に小さい金属酸化物磁性粒子を、潤滑材の主成分とすることによって、得られる複合軟磁性材料が、鉄損低減と磁束密度低下抑制の両立を可能にした圧粉磁心の製造により有利に使用され得る。
【0024】
本願の第一発明における複合軟磁性材料の好ましいもう一つの態様としての請求項5に記載の発明では、金属酸化物磁性粒子(4)がFeを含むものであって、金属酸化物磁性粒子に含まれる金属元素のうちFeの含有量は、好ましくは30質量%以上であり、特に好ましくは50質量%以上100質量%以下である。
【0025】
本願発明のかかる態様は、金属酸化物磁性粒子の飽和磁束密度向上を可能にしたものである。
【0026】
かかる複合軟磁性材料の好ましいもう一つの態様としての請求項6に記載の発明では、金属酸化物磁性粒子(4)がマグネタイト(Fe)である。
【0027】
本願発明のかかる態様は、金属酸化物磁性粒子の飽和磁束密度の更なる向上を可能にしたものである。
【0028】
上記の複合軟磁性材料の好ましいもう一つの態様としての請求項7に記載の発明では、金属酸化物磁性粒子(4)が、Feに加えて、Co、MnおよびNiからなる群より選択される少なくとも1種の元素をさらに含むものである。かかる態様において、その金属酸化物磁性粒子に含まれる金属元素のうちCoの含有量は、好ましくは5質量%以上であり、特に好ましくは20質量%以上50質量%以下であり、その金属酸化物磁性粒子に含まれる金属元素のうちMnの含有量は、好ましくは5質量%以上であり、特に好ましくは20質量%以上50質量%以下であり、そして、そのNiの含有量は、好ましくは5質量%以上であり、特に好ましくは20質量%以上50質量%以下である。
【0029】
本願発明のかかる態様は、金属酸化物磁性粒子の体積固有抵抗向上を図り、圧粉磁心としての比抵抗向上を可能にしたものである。
【0030】
上記の複合軟磁性材料の好ましいもう一つの態様としての請求項8に記載の発明では、金属酸化物磁性粒子(4)が、コバルトフェライト(CoFe)、マンガンフェライト(MnFe)およびニッケルフェライト(NiFeO)からなる群より選択される少なくとも1種で構成されたものである。かかる金属酸化物磁性粒子(4)としては、コバルトフェライト、マンガンフェライトがより好ましく、マンガンフェライトを単独で用いたものが特に好ましい。
【0031】
本願発明のかかる態様は、金属酸化物磁性粒子の体積固有抵抗向上を図り、圧粉磁心としての比抵抗向上を可能にしたものである。
【0032】
本願の第一発明における複合軟磁性材料の好ましいもう一つの態様としての請求項9に記載の発明では、金属酸化物磁性粒子(4)が0.1T以上の飽和磁束密度を有するものである。
【0033】
その複合軟磁性材料の好ましいもう一つの態様としての請求項10に記載の発明では、飽和磁束密度が0.5T以上である。
【0034】
本願発明において、その飽和磁束密度は、通常、作成後乾燥させた測定試料を用いて、標準的な試料振動型磁力計(VSM)の装置によって測定され得るものである。
【0035】
本願発明のかかる態様は、金属酸化物磁性粒子の磁束密度が高いことで-皮膜保護層を設けることによる圧粉磁心の磁束密度低下を抑制することを可能にしたものである。
【0036】
本願の第一発明における複合軟磁性材料の好ましいもう一つの態様としての請求項11に記載の発明では、金属酸化物磁性粒子(4)が10μΩ・m以上の体積固有抵抗を有するものである。かかる体積固有抵抗としては、100μΩ・m以上がより好ましい。
【0037】
その複合軟磁性材料の好ましいもう一つの態様としての請求項12に記載の発明では、体積固有抵抗が1000μΩ・m以上である。その体積固有抵抗としては、1×10μΩ・m以上がより好ましく、1×10μΩ・m以上がより好ましい。
【0038】
本願発明において、その体積固有抵抗は、通常、金属酸化物磁性粒子の焼結体の測定試料を用いて、標準的なエレクトロメータの装置によって測定され得るものである。
【0039】
本願発明のかかる態様は、金属酸化物磁性粒子の体積固有抵抗を高めることにより圧粉磁心の比抵抗向上を可能にしたものである。
【0040】
本願の第一発明における複合軟磁性材料の好ましいもう一つの態様としての請求項13に記載の発明では、金属酸化物磁性粒子(4)の表面に界面活性剤(6)が存在しているものである。図1において、かかる界面活性剤(6)が金属酸化物磁性粒子(4)の表面に存在する複合軟磁性材料が模式的に示される。
【0041】
かかる態様において、その界面活性剤としては、脂肪族アミンである界面活性剤が適宜選択して使用される。その具体例としては、モノアルキル1級アミンが挙げられ、中でもオレイルアミン、ラウリルアミンが好ましい。
【0042】
そのような界面活性剤(6)が金属酸化物磁性粒子(4)の表面に存在する状態としては、少なくとも金属酸化物磁性粒子(4)の表面の一部に界面活性剤(6)が存在しておれば良く、好ましくは金属酸化物磁性粒子(4)の表面の大部分に、特に好ましくは金属酸化物磁性粒子(4)の全表面に界面活性剤(6)が層状に存在し、その界面活性剤(6)が金属酸化物磁性粒子(4)の表面に存在する量としては、通常、金属酸化物磁性粒子(4)の単位表面積あたり0.5〜5分子/nmが好ましく、特に1〜3分子/nmが好ましい。また、界面活性剤(6)と金属酸化物磁性粒子(4)の結合状態としては、通常、アミン中のアミノ基が金属酸化物磁性粒子の表面に吸着している状態が好ましい。
【0043】
本願発明のかかる態様では、金属酸化物磁性粒子(4)の表面に界面活性剤部、好ましくは界面活性剤層が形成されているため、圧力に対する緩衝効果も期待できる。
【0044】
本願の第一発明における複合軟磁性材料の好ましいもう一つの態様としての請求項14に記載の発明では、絶縁皮膜保護部(5)が絶縁皮膜(2)の表面の全面に層状に形成されているものである。上記の本願の第一発明における複合軟磁性材料は、絶縁皮膜保護部(5)が絶縁皮膜(2)の表面の少なくとも一部に形成されているものであるが、より好ましくは絶縁皮膜(2)の表面の大部分に、特に好ましくは絶縁皮膜(2)の表面の全面に層状に形成されている。図1において、かかる絶縁皮膜保護部(5)が絶縁皮膜(2)の表面に層状に形成されている複合軟磁性材料が模式的に示される。
【0045】
その複合軟磁性材料の好ましいもう一つの態様としての請求項15に記載の発明では、層状の絶縁皮膜保護部(5)が0.005μm以上1μm以下の厚さを有するものであり、その厚さとしては0.01μm以上0.1μm以下がより好ましい。
【0046】
本願発明のかかる態様は、絶縁皮膜の保護効果を高め、圧粉磁心の比抵抗向上を可能にしたものである。
【0047】
本願の第一発明における複合軟磁性材料の好ましいもう一つの態様としての請求項16に記載の発明では、金属酸化物磁性粒子(4)が複合軟磁性材料(3)の質量に対して0.01質量%以上1質量%以下の割合で含有されているものであって、その割合としては、0.05質量%以上0.5質量%以下がより好ましく、0.2wt%近傍が最良である。
【0048】
本願発明のかかる態様は、皮膜保護部を必要量のみ形成し、圧粉磁心の磁束密度低下抑制を可能にしたものである。
【0049】
本願の第一発明における複合軟磁性材料の好ましいもう一つの態様としての請求項17に記載の発明では、絶縁皮膜(2)が、りん酸塩、金属酸化物および金属窒化物からなる群より選択される少なくとも1種を含むものである。
【0050】
かかる態様において、りん酸塩としては、りん酸鉄、りん酸亜鉛、りん酸マンガンおよびりん酸カルシウムが好ましい。金属酸化物としては、SiO、MgO、ZrO、Al、CaO、TiO、Y、Nb等が好ましく、特にSiO、Alおよびその複合が好ましい。金属窒化物としては、AlN、Si等が好ましい。これらの中でも、SiO、Alおよびそれらの組合せが好ましい。
【0051】
金属磁性粒子(1)の表面に形成されたかかる絶縁皮膜(2)の厚さとしては、通常、0.001μm以上1μm以下が好ましく、0.01μm以上0.5μm以下が特に好ましい。
【0052】
本願発明のかかる態様は、圧粉磁心の比抵抗向上を可能にしたものである。
【0053】
本願の第一発明における複合軟磁性材料の好ましいもう一つの態様としての請求項18に記載の発明では、金属磁性粒子(1)がFeを主成分とするものであって、具体的には、通常使用されるものとして、純鉄粉、Si、Alなどを0.1〜5%添加する合金粉等が挙げられる。また、その金属磁性粒子(1)の平均粒径としては、通常使用されるものであって、具体的には30μm以上300μm以下が好ましい。尚、金属磁性粒子(1)の形状は、通常使用されるものであれば良く、特に限定されるものではない。
【0054】
上記の本願の第二発明における圧粉磁心の好ましいもう一つの態様としての請求項20に記載の発明は、圧粉磁心(7)において10000(A/m)の磁場を印加した場合、磁束密度が1.5T以上である圧粉磁心である。
【0055】
かかる態様において、その磁束密度が、より好ましくは1.6T以上であり、特に好ましくは1.7T以上である。尚、磁束密度の測定方法は、通常、上記の飽和磁束密度の測定方法に準じて行われる。
【0056】
本願発明のかかる態様は、モータや電磁弁等への適用を可能にしたものである。
【0057】
上記の本願の第二発明における圧粉磁心の好ましいもう一つの態様としての請求項21に記載の発明は、金属酸化物磁性粒子が焼鈍により焼結されたものである、圧粉磁心である。これは、金属酸化物粒子として、ナノサイズの微細粒径の粒子を適用することにより、圧粉磁心の焼鈍工程など加熱工程で金属酸化物粒子を焼結させ、層状の金属酸化物層を形成することができる。かかる態様において、焼鈍により焼結した金属酸化物磁性粒子を用いることによって、金属酸化物の皮膜をさらに形成し、これが絶縁機能を有するとともに磁気特性を有するため更なる磁気特性の向上を可能にしたものである。
【0058】
尚、本願の第二発明における圧粉磁心の製造方法においても、上記の本願の第一発明における複合軟磁性材料(3)についての態様が適用され得る。
【0059】
上記の本願の第三発明における複合軟磁性材料(3)の製造方法では、例えば、信越化学製シリコーンレジン「KR220L」をアルコールに溶かし金属磁性粒子(1)と混合・乾燥させることで金属磁性粒子(1)の表面に絶縁皮膜(2)が形成され、金属酸化物磁性粒子(4)が形成される。必要に応じて、その金属酸化物磁性粒子(4)は、更に、界面活性剤で処理されて、その表面に界面活性剤部が形成される。そして、金属酸化物磁性粒子を適当な溶媒中に分散させ、絶縁皮膜を形成した金属磁性粒子と混合・乾燥させることでその形成された絶縁皮膜(2)の表面に、その形成された金属酸化物磁性粒子(4)を付着させて絶縁皮膜保護部(5)が形成されることによって、複合軟磁性材料(3)が製造される。
【0060】
尚、本願の第三発明における複合軟磁性材料(3)の製造方法においても、上記の本願の第一発明における複合軟磁性材料(3)についての態様が適用され得る。
【0061】
また、上記の本願の第四発明における圧粉磁心(7)の製造方法では、例えば、上記のようにして製造された複合軟磁性材料(3)からなる粒子群が所定の成形用金型に充填され、油圧プレス等によって圧力が500〜1500MPa程度で温度が室温〜200℃程度の条件下でその成形用金型内の複合軟磁性材料(3)の群が所定の形の圧粉体に加圧成形され、そして、真空もしくは不活性ガス、もしくは水素等の還元性ガス中でその得られた成形体が400℃以上1000℃以下で、好ましくは550℃以上800℃以下で焼鈍等の熱処理に付されて、さらに必要に応じて600℃以上の高温で焼鈍処理が施されて、圧粉磁心(7)が製造される。
【0062】
尚、本願の第四発明における圧粉磁心(7)の製造方法においても、上記の本願の第一発明における複合軟磁性材料(3)についての態様、並びに上記の本願の第三発明における複合軟磁性材料(3)の製造方法についての態様が適用され得る。
【実施例】
【0063】
以下に本願発明についての実施例を挙げて更に具体的に本願発明を説明するが、それらの実施例によって本願発明が何ら限定されるものではない。
【0064】
実施例1
主成分がFeからなり平均粒径が約80μmの金属磁性粒子(1)(ヘガネス社製の製品名ABC100.30)1000gの表面に、信越化学製シリコーンレジン「KR220L」をアルコールに溶解させた溶液と混合・乾燥し、固形分重量で2gコーティングすることによって、後工程の焼鈍工程でSiOに変化する成分を有する絶縁皮膜(2)を形成した。その絶縁皮膜(2)を、透過型電子顕微鏡で厚みを測定したところ0.1μmであった。別途に、Feイオンのモル濃度が0.5mol/Lとなるように鉄アセチルアセトナート錯体とオレイルアミン(C14〜C20のアルキルアミン混合物中の純度70〜80mol%)とを混合し270℃、120minで加熱を行ったのち、未反応物ならびに余分なオレイルアミンを取り除き、Feからなり平均粒径が0.015μmの金属酸化物磁性粒子(4)ならびにその表面の界面活性剤部を形成した。尚、その界面活性剤の金属酸化物磁性粒子に対する割合は10質量%であった。次いで、その金属酸化物磁性粒子(4)1gをヘキサン中に分散させ絶縁皮膜(2)が被覆された金属磁性粒子(1)と混合・乾燥して、その絶縁皮膜(2)の表面上にコーティングすることによって、金属酸化物磁性粒子(4)を付着させて絶縁皮膜保護部(5)を形成して、複合軟磁性材料(3)の粒子群を得た。尚、その絶縁皮膜保護部(5)の層の厚さを、透過型電子顕微鏡にて測定したところ0.02μmであった。
【0065】
次いで、その複合軟磁性材料(3)からなる粒子群約9gを所定の成形用金型に充填し、油圧プレスによって圧力が1000MPaで温度が130℃の条件下でその成形用金型内の複合軟磁性材料(3)の群をリング状の形の圧粉体(外径約24mm、内径約16mm)に加圧成形した。そして真空雰囲気によってその得られた圧粉体を圧力が1×10‐2Paで温度が600℃の条件下で焼鈍して、圧粉磁心(7)(外径約24mm、内径約16mm)を得た。
【0066】
得られた圧粉磁心(7)について、B‐Hアナライザによって10000(A/m)の磁場を印加し、その磁束密度を測定したところ1.61Tであった。また、得られた圧粉磁心(7)について、交流磁化特性測定装置によって磁束密度1.5T、周波数400Hzにて渦電流損を測定したところ11W/kgであった。
【0067】
実施例2
金属酸化物磁性粒子の出発原料としてFeイオン及びMnイオンの合計モル濃度が0.5mol/L、FeイオンとMnイオンの比が2:1となるように、鉄アセチルアセトナート錯体とマンガンアセチルアセトナート錯体とオレイルアミンを混合すること以外は、実施例1と同様にして圧粉磁心を得た。得られた圧粉磁心(7)について、B-Hアナライザによって10000(A/m)の磁場を印加し、その磁束密度を測定したところ1.61Tであった。また、得られた圧粉磁心(7)について、交流磁化特性測定装置によって磁束密度1.5T、周波数400Hzにて渦電流損を測定したところ9W/kgであった。
【0068】
上記実施例1,2においては、金属酸化物磁性粒子とその表面の界面活性剤の絶縁皮膜保護効果と、更には焼鈍工程において金属酸化物磁性粒子が焼結し、絶縁皮膜の役割を行っている効果が合わさり、上記のような渦電流損低減が図れているものと思われる。
【0069】
なお、上記実施例のほか、絶縁皮膜を設けずに金属酸化物磁性粒子を直接金属磁性粒子表面に被覆し、圧縮成形後、焼鈍することで、金属酸化物磁性粒子が焼結し絶縁皮膜の代わりとする応用例も考えられる。
【0070】
比較例1
主成分がFeからなり平均粒径が約80μmの金属磁性粒子(1)(ヘガネス社製の製品名ABC100.30)1000gの表面に、信越化学製シリコーンレジン「KR220L」をアルコールに溶解させた溶液と混合・乾燥し、固形分重量で2gコーティングすることによって、後工程の焼鈍工程でSiOに変化する成分を有する絶縁皮膜(2)を形成した。その絶縁皮膜(2)を、透過型電子顕微鏡で厚みを測定したところ0.1μmであった。そのようにして得られた、表面に絶縁皮膜の形成された金属磁性粒子からなる群を用いて、実施例1と同様にして、圧粉磁心を得た。得られた圧粉磁心(7)について、B-Hアナライザによって10000(A/m)の磁場を印加し、その磁束密度を測定したところ1.62Tであった。また、得られた圧粉磁心(7)について、交流磁化特性測定装置によって磁束密度1.5T、周波数400Hzにて渦電流損を測定したところ35W/kgであった。
【0071】
比較例2
主成分がFeからなり平均粒径が約80μmの金属磁性粒子(1)(ヘガネス社製の製品名ABC100.30)1000gの表面に、信越化学製シリコーンレジン「KR220L」をアルコールに溶解させた溶液と混合・乾燥し、固形分重量で2gコーティングすることによって、後工程の焼鈍工程でSiOに変化する成分を有する絶縁皮膜(2)を形成した。その絶縁皮膜(2)を、透過型電子顕微鏡で厚みを測定したところ0.1μmであった。そのようにして得られた、表面に絶縁皮膜の形成された金属磁性粒子1000gに、金属石鹸(中京油脂社製の製品名ハイミクロンF930)2.5gを混合・乾燥し、その絶縁皮膜の表面上にコーティングすることによって、金属石鹸を付着させて絶縁皮膜保護部を形成して、複合軟磁性材料の粒子群を得た。そのようにして得られた、複合軟磁性材料の粒子からなる群を用いて、実施例1と同様にして、圧粉磁心を得た。得られた圧粉磁心(7)について、B‐Hアナライザによって10000(A/m)の磁場を印加し、その磁束密度を測定したところ1.56Tであった。また、得られた圧粉磁心(7)について、交流磁化特性測定装置によって磁束密度1.5T、周波数400Hzにて渦電流損を測定したところ12W/kgであった。
【0072】
比較例3
主成分がFeからなり平均粒径が約80μmの金属磁性粒子(1)(ヘガネス社製の製品名ABC100.30)1000gの表面に、信越化学製シリコーンレジン「KR220L」をアルコールに溶解させた溶液と混合・乾燥し、固形分重量で2gコーティングすることによって、後工程の焼鈍工程でSiOに変化する成分を有する絶縁皮膜(2)を形成した。その絶縁皮膜(2)を、透過型電子顕微鏡で厚みを測定したところ0.1μmであった。そのようにして得られた表面に絶縁皮膜の形成された金属磁性粒子1000gに、マンガンフェライト(MnFe)の粉末(平均粒径約5μm)を1g混合した後、実施例1と同様にして圧粉磁心を得た。得られた圧粉磁心(7)について、B‐Hアナライザによって10000(A/m)の磁場を印加し、その磁束密度を測定したところ1.60Tであった。また、得られた圧粉磁心(7)について、交流磁化特性測定装置によって磁束密度1.5T、周波数400Hzにて渦電流損を測定したところ32W/kgであった。
【0073】
上記の実施例1,2および比較例1〜3について、得られた各々の圧粉磁心の磁束密度および渦電流損を図3に合わせて示す。図3に示されるように、本願発明品による実施例1,2における圧粉磁心が、比較例1,3における皮膜保護を行わないもの、および比較例2における金属石鹸を皮膜保護に用いたものに比べて、低い渦電流損、即ち低鉄損と、高い磁束密度の両立を図ることができるものであることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本願発明の複合軟磁性材料を模式的に示した説明図である。
【図2】本願発明の圧粉磁心の断面の一部を模式的に示した説明図である。
【図3】本願発明の実施例および比較例における圧粉磁心の磁束密度および渦電流損を示した説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属磁性粒子(1)と、前記金属磁性粒子(1)の表面に形成された絶縁皮膜(2)とを有する複合軟磁性材料(3)において、前記絶縁皮膜(2)の表面の少なくとも一部に形成された、前記金属磁性粒子(1)より平均粒径が小さい金属酸化物磁性粒子(4)を含む絶縁皮膜保護部(5)をさらに有することを特徴とする、複合軟磁性材料。
【請求項2】
前記金属酸化物磁性粒子(4)が強磁性体である、請求項1に記載の複合軟磁性材料。
【請求項3】
前記金属酸化物磁性粒子(4)が略球形である、請求項1または2に記載の複合軟磁性材料。
【請求項4】
前記金属酸化物磁性粒子(4)が0.5μm以下の平均粒径を有するものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合軟磁性材料。
【請求項5】
前記金属酸化物磁性粒子(4)がFeを含むものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合軟磁性材料。
【請求項6】
前記金属酸化物磁性粒子(4)がFeである、請求項5に記載の複合軟磁性材料。
【請求項7】
前記金属酸化物磁性粒子(4)が、Co、MnおよびNiからなる群より選択される少なくとも1種の元素をさらに含むものである、請求項5に記載の複合軟磁性材料。
【請求項8】
前記金属酸化物磁性粒子(4)が、CoFe、MnFeおよびNiFeOからなる群より選択される少なくとも1種で構成されたものである、請求項7に記載の複合軟磁性材料。
【請求項9】
前記金属酸化物磁性粒子(4)が0.1T以上の飽和磁束密度を有するものである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の複合軟磁性材料。
【請求項10】
前記飽和磁束密度が0.5T以上である、請求項9に記載の複合軟磁性材料。
【請求項11】
前記金属酸化物磁性粒子(4)が10μΩ・m以上の体積固有抵抗を有するものである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の複合軟磁性材料。
【請求項12】
前記体積固有抵抗が1000μΩ・m以上である、請求項11に記載の複合軟磁性材料。
【請求項13】
前記金属酸化物磁性粒子(4)の表面に界面活性剤(6)が存在している、請求項1〜12のいずれか一項に記載の複合軟磁性材料。
【請求項14】
前記絶縁皮膜保護部(5)が前記絶縁皮膜(2)の表面の全面に層状に形成されている、請求項1〜13のいずれか一項に記載の複合軟磁性材料。
【請求項15】
前記層状の絶縁皮膜保護部(5)が0.001μm以上1μm以下の厚さを有するものである、請求項14に記載の複合軟磁性材料。
【請求項16】
前記金属酸化物磁性粒子(4)が複合軟磁性材料(3)の質量に対して0.01質量%以上1質量%以下の割合で含有されている、請求項1〜15のいずれか一項に記載の複合軟磁性材料。
【請求項17】
前記絶縁皮膜(2)が、りん酸塩、金属酸化物および金属窒化物およびシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むものである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の複合軟磁性材料。
【請求項18】
前記金属磁性粒子(1)がFeを主成分とするものである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の複合軟磁性材料。
【請求項19】
金属磁性粒子(1)と、前記金属磁性粒子(1)の表面に形成された絶縁皮膜(2)と、前記絶縁皮膜(2)の表面の少なくとも一部に形成された、前記金属磁性粒子(1)より平均粒径が小さい金属酸化物磁性粒子(4)を含む絶縁皮膜保護部(5)とを有する複合軟磁性材料(3)の群を用いて製造された、圧粉磁心。
【請求項20】
前記圧粉磁心(7)において10000(A/m)の磁場を印加した場合、磁束密度が1.5T以上である、請求項19に記載の圧粉磁心。
【請求項21】
前記金属酸化物磁性粒子が焼鈍により焼結されたものである、請求項19または20に記載の圧粉磁心。
【請求項22】
金属磁性粒子と、前記金属磁性粒子の表面に形成された絶縁皮膜とを有する複合軟磁性材料の製造方法において、少なくとも
金属磁性粒子(1)の表面に絶縁皮膜(2)を形成する工程と、
形成された前記絶縁皮膜(2)の表面の少なくとも一部に、形成された前記金属酸化物磁性粒子(4)を付着させて絶縁皮膜保護部(5)を形成する工程
を有することを特徴とする、複合軟磁性材料(3)の製造方法。
【請求項23】
金属磁性粒子と、前記金属磁性粒子の表面に形成された絶縁皮膜とを有する複合軟磁性材料の群からなる圧粉磁心の製造方法において、
金属磁性粒子(1)と、前記金属磁性粒子(1)の表面に形成された絶縁皮膜(2)の表面の少なくとも一部に形成された、前記金属磁性粒子(1)より平均粒径が小さい金属酸化物磁性粒子(4)を含む絶縁皮膜保護部(5)をさらに有する複合軟磁性材料(3)の群を成形用金型に充填する工程と、
前記成形用金型内の前記複合軟磁性材料(3)の群を加圧成形する工程と、
得られた成形体を400℃以上1000℃以下で熱処理する工程
を有することを特徴とする、圧粉磁心(7)の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−185312(P2009−185312A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24323(P2008−24323)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】