説明

複合酸化物焼結体の製造方法及びその焼結体からなるスパッタリングターゲット

【課題】従来技術で得られた酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの焼結体と同等の密度を維持しながら、より抵抗率の低い焼結体を製造する方法及びこの焼結体からなるスパッタリングターゲットの提供。
【解決手段】酸化亜鉛と酸化アルミニウムとからなる混合粉体を、1400℃以上で、酸素濃度20%以上の雰囲気下に、10時間以上保持して焼結せしめる。得られた複合酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲット。この焼結体では、酸化アルミニウムの量が酸化亜鉛に対してアルミニウム換算で2〜7重量%であり、抵抗率3mΩ・cm以下、密度5.4〜5.6g/cmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合酸化物焼結体の製造方法及びその焼結体からなるスパッタリングターゲットに関し、特にパーティクル発生を制御した酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物焼結体の製造方法及びその複合酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲットに関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイの分野において透明導電膜として知られる酸化亜鉛膜のキャリア密度を制御する方法の一つとしてアルミニウムをドープすること、また、酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物材料はプラズマ耐性に優れかつ大気中での安定性に優れるところから、太陽電池を始めとして各種透明電極材として用いられ得ることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来から知られている酸化亜鉛系スパッタリングターゲット(例えば、ZnO−Al系焼結体)は、透明導電膜等の薄膜形成の手段として用いられる場合、スパッタリング成膜時における異常放電の発生により、パーティクルの発生を伴うため、製品歩留まりが低下するという問題がある。例えば、特許文献1では、このような異常放電に伴うパーティクル発生を抑制する手段として、製造方法の工夫による焼結体の高密度化等の方策について提案しているが、焼結体の低抵抗化(低抵抗率化)によるスパッタリング成膜時の負荷電圧の低減によって異常放電の抑制を追求する方策については検討されていない。その結果として、現状では、焼結体の高抵抗による異常放電の発生が避けられず、異常放電に際して飛散するパーティクルによる基板不良が生じ、そのために、生産性の低下は免れないという問題がある。
【0004】
一般に、酸化物材料からなるスパッタリングターゲットによるスパッタリング成膜時の異常放電を抑制する手段として、成膜条件の面ではスパッタリング成膜時における低電圧化、また、ターゲット材料の面では低抵抗化及び高密度化という、成膜条件及び材料の両方から検討されている。
【0005】
しかるに、ZnO−Al系材料の異常放電防止策に関する従来の試みは、もっぱら材料の高密度化に注力されており、低抵抗化への注力はない。この高密度化に関しては、焼結体原料粉体の微細化を図り、高い密度の焼結体を得る方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この場合においても、焼結体の抵抗率は十分に低いとはいえない。その結果、スパッタリング成膜時の異常放電とそれに伴うパーティクル発生は、スパッタリングの生産性を大きく低下させている。このことは、ZnO−Al系材料においても、材料の高密度化のみならず、同時に低抵抗化も達成しなければ、従来の問題点の解決が困難であることを示唆している。
【0006】
ところで、スパッタリング成膜時の放電特性、特に同じスパッタリングレートを確保するのに電圧(放電インピーダンス)が低ければ低い程、異常放電の発生回数は少なくなることが知られている。放電インピーダンスを抑える手法としては、できるだけ抵抗率が低い焼結体をスパッタリングターゲットとして使用することが必要である。焼結体の低抵抗化に関しては、「酸素欠陥の導入」が提案されているが、酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物焼結体の場合には、せいぜい5mΩ・cm程度の抵抗率が得られているに過ぎない。酸化亜鉛ZnOは1300℃を越える領域において昇華還元反応が始まることが知られており(非特許文献1参照)、1300℃を越える焼結温度で得られた焼結体の抵抗率は充分に低いとは言えず、その結果、現状では、スパッタリング成膜時のパーティクル発生量が充分に減少しているとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2805813号(特許請求の範囲、2頁左欄7−11行等)
【特許文献2】特許第3301755号(特許請求の範囲等)
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】大谷正康著、「鉄冶金力学」(103頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、酸化亜鉛と酸化アルミニウムとからなる焼結体の低抵抗化に関して、酸素欠陥の導入ではなく、酸化亜鉛へのドーパントの面から検討し、電気伝導を担う大きなキャリア密度を有するアルミニウムの酸化亜鉛中への置換固溶を促進することの方が抵抗率を下げるのに有効と考え、酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの焼結条件の検討を行った。その結果、従来技術で得られた酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの焼結体と同等の密度を維持しながら、より抵抗率を下げる製造条件を見出し、本発明を完成せしめるに至った。
【0010】
本発明の課題は、上述の従来技術の問題点を解決することにあり、従来技術で得られた酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの焼結体と同等の密度を維持しながら、より抵抗率の低い焼結体を製造する方法及びこの焼結体からなるスパッタリングターゲットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の複合酸化物焼結体の製造方法は、酸化亜鉛と酸化アルミニウムとからなる混合粉体を、1400℃以上、望ましくは1450℃以上の焼結温度で、酸素濃度20%以上、望ましくは90%以上の焼結雰囲気下に、10時間以上、望ましくは14時間以上保持して焼結せしめ、酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物焼結体を得ることを特徴とする。焼結温度が1400℃未満であると、所望の燒結体密度を実現するように焼き固められずまた低抵抗化も実現し難く、酸素濃度が20%未満であると、酸素欠陥が生じ、所望の低抵抗化を実現し難く、焼結時間が10時間未満であると、所望の焼結体密度を実現するように焼き固められずまた低抵抗化も実現し難い。
【0012】
本発明のスパッタリングターゲットは、上記製造方法で得られた複合酸化物焼結体からなることを特徴とする。この複合酸化物焼結体は、抵抗率(比抵抗)が3mΩ・cm以下であり、焼結密度が5.4〜5.6g/cmであることを特徴とする。このような密度を有しかつ抵抗率が低いと、スパッタリング成膜時にパーティクルの発生が抑制されうる。
【0013】
本発明のスパッタリングターゲットにおいて、酸化アルミニウムの量が酸化亜鉛に対してアルミニウム換算で2〜7重量%であることを特徴とする。酸化アルミニウムの量が2重量%未満であると酸化亜鉛と酸化アルミニウムとを均一分散させ難く、また、7重量%を超えると得られた焼結体の抵抗率が高くなる。
【0014】
本発明のスパッタリングターゲットは、上記したように、酸化アルミニウムの量が酸化亜鉛に対してアルミニウム換算で2〜7重量%である酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物焼結体であって、焼結密度が5.4〜5.6g/cmであり、抵抗率が3mΩ・cm以下である複合酸化物焼結体からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、焼結温度1400℃以上、焼結時の酸素分圧20%以上、焼結時間10時間以上の焼結条件で、抵抗率3mΩ・cm以下、例えば〜1mΩcm程度、焼結密度5.4g/cm以上、好ましくは5.4〜5.6g/cmという所望の物性を有する焼結体を製造できると共に、この焼結体からなるスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングすると、スパッタリング成膜時に発生する異常放電回数を著しく低減でき、パーティクルの発生を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1で製作した焼結体に関し、焼結時酸素量(%)と焼結体密度(g/cm)及び抵抗率(mΩ・cm)との関係を示すグラフ。
【図2】実施例2で製作した焼結体に関し、焼結時間(hr)と焼結体密度及び抵抗率との関係を示すグラフ。
【図3】実施例3で製作した焼結体に関し、焼結温度(℃)と焼結体密度及び抵抗率との関係を示すグラフ。
【図4】本発明のスパッタリングターゲットと従来のスパッタリングターゲットとのスパッタ成膜時の異常放電回数を比較して示すグラフ。
【実施例1】
【0017】
比表面積が5m/g以下の粒径を有する酸化亜鉛粉体と酸化アルミニウム粉体とを、酸化アルミニウム粉体の量が酸化亜鉛粉体に対してアルミニウム換算で5wt%になるように配合し、ボールミル中において混合粉砕して、酸化物混合体を製作した。得られた混合体をCIP(冷間静水圧プレス)法により2ton/cmの圧力でプレスして、予備成形体を製作し、この成形体を一定量の酸素濃度雰囲気下において、焼成炉を用いて、所定温度まで2℃/min以下の昇温速度で昇温せしめ、1400℃に10時間保持して、酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物焼結体を得た。
【0018】
上記焼結工程において導入した酸素の量を20〜100%の間で変化させて得られた焼結体において、酸素量(%)と燒結体密度(g/cm)及び抵抗率(mΩ・cm)との関係を図1に示す。図1から明らかなように、酸素量が20%以上の酸素濃度雰囲気下において焼結することにより、密度5.4〜5.6g/cmの焼結体が得られた。また、酸素量が20%の時の抵抗率は2.8mΩ・cmであり、さらに酸素導入量を増加させると燒結体の抵抗率はさらに減少し、〜1mΩ・cmの抵抗率が得られた。
【0019】
従来技術で得られる酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物焼結体においては、特許文献1(特許第2805813号)記載のように、空気中で焼結した時の燒結体密度は5.3g/cm以下であり、さらに燒結体の高密度化を図る目的でAr雰囲気中で燒結した場合、密度は5.6g/cmと増加したが、抵抗率は5.0mΩ・cmであり、充分に低い抵抗率を有する燒結体は得られていない。
【0020】
なお、上記予備成形体の製作方法は、混合体にクラック等の不具合が発生しない限り、特に上記CIP法に限定するものではなく、HIP法、HP法、スリップキャスト法等の製作方法を用いても特に問題はない。
【実施例2】
【0021】
実施例1と同様にして同じ予備成形体を製作し、次いで実施例1に準じて焼結した。但し、焼結は、酸素量40%の焼結雰囲気中で、焼結温度1400℃の条件下において焼結時間を5〜20時間の間で変化させて行った。得られた酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物焼結体の焼結時間と、密度及び抵抗率との関係を図2に示す。図2から明らかなように、10時間以上の焼結時間で密度5.4〜5.6g/cmの焼結体が得られた。
【0022】
また、上記したようにして製作した焼結体の抵抗率を測定したところ、焼結時間10時間以上で、〜1.04mΩ・cmという従来技術では得られない低い抵抗率を有する酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物焼結体を得ることができた(図2参照)。
【0023】
従来技術(特許文献1(特許第2805813号))で得られる酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物焼結体(空気中焼結)の抵抗率は、100mΩ・cmである。
【実施例3】
【0024】
実施例1と同様にして同じ予備成形体を製作し、次いで実施例1に準じて焼結した。但し、酸素量40%の焼結雰囲気中で、焼結時間を10時間とし、焼結温度を1100〜1500℃の間で変化させて行った。得られた酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物焼結体の焼結温度と密度及び抵抗率との関係を図3に示す。図3から明らかなように、1400℃以上の焼結温度において、密度5.4〜5.6g/cmの焼結体が得られた。この場合、1480℃が好ましい焼結温度であった。焼結温度が1300℃以下では、密度は低く、3.5〜4.0g/cmの間であった(図3の比較例参照)。
【0025】
従来技術(特許文献1(特許第2805813号))で知られる酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物焼結体(空気中、10時間焼結)の密度は、相対的に本発明の場合よりも低かった(3.5〜5.3g/cm)。
【0026】
また、上記したようにして製作した焼結体の抵抗率を測定したところ、焼結温度1400℃以上で、低い抵抗率(1.04mΩ・cm)を有する酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物焼結体を得ることができたが、1300℃以下では、抵抗率は高く、1×10〜1×10mΩ・cmの間であった。この場合、特許文献1(特許第2805813号)記載の酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物焼結体(低抵抗化を目的としたAr雰囲気中焼結)の抵抗率は、5mΩ・cmで本発明よりも高い。
(比較例1)
【0027】
実施例1と同一条件(但し、酸素量は0、10%とした)で、実施例1と同様にして焼結体を製作した。図1に示すように、酸素量10%で得られた酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物焼結体では、抵抗率が5.2mΩ・cmと高く、密度は5.45g/cmであり(図1の比較例参照)、また、酸素量が0%で得られた複合酸化物焼結体では、抵抗率は4.4mΩ・cmと高かった(図1の比較例参照)。従って、酸素量が20%未満であると所望の抵抗率を有する焼結体を得ることができない。
(比較例2)
【0028】
実施例2と同一条件で、但し焼結時間を5時間、8時間として、実施例2と同様にして焼結体を製作した。この場合、抵抗率は各々,4.8mΩ・cm、3.3mΩ・cmと高く(図2の比較例参照)、実施例1〜3で得られたような充分に低い抵抗率を有する酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物焼結体は得られなかった。なお、この時の焼結体の密度は各々5.2g/cm、5.3g/cmであった(図2の比較例参照)。
(比較例3)
【0029】
実施例3と同一条件で、焼結温度を1300℃として、実施例3と同様にして焼結体を製作した。この場合、100mΩ・cmと高い抵抗率を有し、かつ5.11g/cmと低い密度を有する酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物焼結体が得られた(図3の比較例参照)。
(比較例4)
【0030】
実施例1と同様にして、但し酸化アルミニウムの量を酸化亜鉛に対してアルミニウム換算で1重量%及び8重量%配合して実施例1に準じて予備成形体を製作した。1重量%配合したものは酸化亜鉛と酸化アルミニウムとを均一分散させ難くかった。また、8重量%配合したものは、均一に分散した予備成形体が得られたが、これを実施例1記載の方法に準じて燒結して得られた複合酸化物燒結体の抵抗率は高かった。
【実施例4】
【0031】
酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物燒結体において酸化アルミニウムの組成割合と抵抗率との相関を調べるために、酸化アルミニウムの量が2wt%、5wt%、7wt%からなる酸化亜鉛との混合体を上記した好ましい燒結条件である1480℃、酸素濃度100%の条件で15時間燒結し、得られた複合酸化物燒結体の抵抗率を調べた。その結果、各々の組成からなる燒結体の抵抗率はそれぞれ、2mΩ・cm、0.9mΩ・cm、2.5mΩ・cmであった。すなわち、酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物燒結体において酸化アルミニウムの量が2〜7wt%の範囲で本発明で得られた低い抵抗率を有する燒結体を得ることができた。
【0032】
上記実施例で得られた酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物焼結体を通常の条件で加工し、スパッタリングターゲット(127mm×457mm×6mmT)を製作した。このターゲットを用い、スパッタ室の圧力を0.4Paに設定し、Ar雰囲気中で、投入電力密度3.22W/cmでスパッタリングし、スパッタリング時間(hr)と異常放電回数(カウント/hr)との相関を調べた結果を図4に示す。図4は、Ar雰囲気中(燒結温度1480℃、燒結時間15時間)で製作された抵抗率が7.05mΩ・cm(燒結体密度5.6g/cm)の酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物焼結体ターゲットと、本発明による酸素雰囲気下(酸素量100%、燒結温度1480℃、燒結時間15時間)で得られた抵抗率が0.83mΩ・cm(燒結体密度5.5g/cm)の酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物焼結体ターゲットとに関して、実際にスパッタリングにより発生する異常放電現象の回数を、スパッタリング時間との関係で比較したグラフである。なお、比較した2種類のターゲットの酸化アルミニウム組成割合はいずれも5wt%であった。
【0033】
図4から明らかなように、酸素雰囲気下で焼結することで得られる抵抗率の低いスパッタリングターゲットの場合、放電インピーダンスが低いため、異常放電の回数が抑制されることが分かる。このような異常放電は、通常、ターゲットからターゲット物質の飛散を引き起こし、異常放電に伴う飛散物が基板に付着すると、いわゆるパーティクルとなり、基板に形成される膜の欠陥となり、歩留まりを著しく低下させる。すなわち、異常放電の抑制はパーティクルの有無と密接に関係してくるため、本発明により得られた抵抗率の低い酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物焼結体をスパッタリングターゲットとして使用することにより、パーティクルの発生を抑制することが可能となる。
【0034】
以上のことから、本発明による酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物スパッタリングターゲットを用いるとスパッタリング成膜時の放電安定性が高まり、パーティクル発生による歩留まりの悪化を防ぎ、高い生産性を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によれば、従来技術で得られた酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物焼結体と同等の密度を維持しながら、より抵抗率の低い焼結体を製造することができるので、この焼結体からなるスパッタリングターゲットを用いると、スパッタリング成膜時の放電安定性が高く、異常放電の回数が抑制され、その結果、パーティクルの発生が抑制される。かくして、所望の透明導電膜等の薄膜を形成するフラットパネルディスプレイの分野において、スパッタリングターゲットとして好都合に適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化亜鉛と酸化アルミニウムとからなる混合粉体を、1400℃以上の焼結温度で、酸素濃度20%以上の焼結雰囲気下に、10時間以上保持して焼結せしめ、酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物焼結体を得ることを特徴とする複合酸化物焼結体の製造方法。
【請求項2】
前記焼結温度が1450℃以上であり、酸素濃度が90%以上であり、保持時間が14時間以上であることを特徴とする請求項1記載の複合酸化物焼結体の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の製造方法で得られた複合酸化物焼結体からなることを特徴とするスパッタリングターゲット。
【請求項4】
請求項1又は2記載の製造方法で得られた複合酸化物焼結体からなり、抵抗率が3mΩ・cm以下であり、密度が5.4〜5.6g/cmであることを特徴とするスパッタリングターゲット。
【請求項5】
請求項1又は2記載の方法で得られた複合酸化物焼結体からなり、酸化アルミニウムの量が酸化亜鉛に対してアルミニウム換算で2〜7重量%であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
【請求項6】
酸化アルミニウムの量が酸化亜鉛に対してアルミニウム換算で2〜7重量%である酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複合酸化物焼結体であって、焼結密度が5.4〜5.6g/cmであり、抵抗率が3mΩ・cm以下である複合酸化物焼結体からなることを特徴とするスパッタリングターゲット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−270004(P2010−270004A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187277(P2010−187277)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【分割の表示】特願2004−150497(P2004−150497)の分割
【原出願日】平成16年5月20日(2004.5.20)
【出願人】(000192372)アルバックマテリアル株式会社 (21)
【Fターム(参考)】