説明

複合電子部品の製造方法及び複合電子部品

【課題】複数のセラミックスの間に熱膨張率や焼成収縮率の差があってもクラック、デラミネーション等の損傷が発生しにくく複数のセラミックスの間の相互拡散を十分に抑制することができる複合電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】複合電子部品の製造方法は、(a)金属又は合金からなるワイヤの第1の部分を第1のセラミックス成形体にゲルキャスト法により埋設する工程;(b)工程(a)の後にワイヤの第1の部分から離された第2の部分を第1のセラミックス成形体とは別体の第2のセラミックス成形体にゲルキャスト法により埋設する工程;(c)工程(b)の前又は後に第1のセラミックス成形体を焼成し第1のセラミックス焼成体とする工程;及び(d)工程(c)の後又は工程(c)と同時に第2のセラミックス成形体を焼成し第2のセラミックス焼成体とする工程、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合電子部品の製造方法及び複合電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、キャパシタとインダクタとを一体化した複合電子部品に関する。
【0003】
特許文献1の「従来の技術」の欄は、複合電子部品の製造方法として、シート形状の誘電体セラミックス成形体(誘電体グリーンシート)とシート形状の磁性体セラミックス成形体(磁性体グリーンシート)とを積層し、積層体を焼成することに言及している。また、特許文献1の「従来の技術」の欄は、誘電体セラミックス成形体と磁性体セラミックス成形体との間に、熱膨張率の差により生じる応力を緩和する中間層を挟むことに言及している。さらに、特許文献1の「実施例」の欄は、誘電体セラミックスと磁性体セラミックスとの間の相互拡散を抑制する中間層の組成物に言及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3368671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の技術では、複数のセラミックスの間の熱膨張率や焼成収縮率の差により生じる応力を十分に緩和することができず、クラック、デラミネーション等の損傷が発生することがある。逆に、これらの損傷が発生しないようにすると、熱膨張率や焼成収縮率の差が小さくなるようにセラミックス材料を選択しなければならず、セラミックス材料の選択の自由度が減る。
【0006】
また、従来の技術では、複数のセラミックスの間の相互拡散を十分に抑制することができなかった。
【0007】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、複数のセラミックスの間に熱膨張率や焼成収縮率の差があってもクラック、デラミネーション等の損傷が発生しにくく複数のセラミックスの間の相互拡散を十分に抑制することができる複合電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための手段を以下に示す。
【0009】
第1の発明は、複合電子部品の製造方法であって、(a) 金属又は合金からなる第1のワイヤの第1の部分を第1のセラミックス成形体にゲルキャスト法により埋設する工程;(b) 前記工程(a)の後に前記第1のワイヤの前記第1の部分から離された第2の部分を前記第1のセラミックス成形体とは別体の第2のセラミックス成形体にゲルキャスト法により埋設する工程;(c) 前記工程(b)の前又は後に前記第1のセラミックス成形体を焼成し第1のセラミックス焼成体とする工程;及び(d) 前記工程(c)の後又は前記工程(c)と同時に前記第2のセラミックス成形体を焼成し第2のセラミックス焼成体とする工程、を備える。
【0010】
第2の発明は、第1の発明の複合電子部品の製造方法において、前記工程(a)は、前記第1の部分に加えて金属又は合金からなる粉末を含み前記第1の部分に接触する第1の印刷パターンを前記第1のセラミックス成形体に埋設する。
【0011】
第3の発明は、第1の発明の複合電子部品の製造方法において、(e) 金属又は合金からなる粉末を含む第2の印刷パターンを第3のセラミックス成形体にゲルキャスト法により埋設する工程;及び(f) 前記工程(a)及び前記工程(e)の後に前記第1のセラミックス成形体と前記第3のセラミックス成形体とを積層し前記第1の部分と前記第1の印刷パターンとを接触させた第1の積層体を作製する工程;をさらに備え、工程(c)は、前記第1の積層体を焼成する。
【0012】
第4の発明は、第1の発明から第3の発明までのいずれかの複合電子部品の製造方法において、前記工程(b)は、前記第2の部分に加えて金属又は合金からなる粉末を含み前記第2の部分に接触する第3の印刷パターンを第2のセラミックス成形体に埋設する。
【0013】
第5の発明は、第1の発明から第3の発明までのいずれかの複合電子部品の製造方法において、(g) 金属又は合金からなる粉末を含む第4の印刷パターンを第4のセラミックス成形体にゲルキャスト法により埋設する工程;及び(h) 前記工程(a)及び前記工程(g)の後に前記第2のセラミックス成形体と前記第4のセラミックス成形体とを積層し前記第2の部分と前記第4の印刷パターンとを接触させた第2の積層体を作製する工程;をさらに備え、工程(d)は、前記第2の積層体を焼成する。
【0014】
第6の発明は、第1の発明から第5の発明までのいずれかの複合電子部品の製造方法において、(i) 前記工程(a)の前に前記第1の部分にらせん形状部分を形成する工程、をさらに備える。
【0015】
第7の発明は、第1の発明から第5の発明までのいずれかの複合電子部品の製造方法において、前記工程(a)は、前記第1の部分に加えて、金属又は合金からなり前記第1の部分に沿って延在する第2のワイヤを第1のセラミックス成形体にゲルキャスト法により埋設する。
【0016】
第8の発明は、第1の発明から第5の発明までのいずれかの複合電子部品の製造方法において、(j) 前記工程(b)の前であって前記工程(a)の前又は後に前記第2の部分にらせん形状部分を形成する工程、をさらに備える。
【0017】
第9の発明は、第1の発明から第5の発明までのいずれかの複合電子部品の製造方法において、前記工程(b)は、前記第2の部分に加えて、金属又は合金からなり前記第2の部分に沿って延在する第2のワイヤを第2のセラミックス成形体に埋設する。
【0018】
第10の発明は、第1の発明から第9の発明までのいずれかの複合電子部品の製造方法において、(k) 前記第1のセラミックス焼成体と前記第2のセラミックス焼成体との間隙に充填体を充填する工程、をさらに備える。
【0019】
第11の発明は、第1の発明から第10の発明までのいずれかの複合電子部品の製造方法において、前記工程(b)の前に前記工程(c)を実行し、前記工程(c)の後に前記工程(d)を実行する。
【0020】
第12の発明は、複合電子部品であって、金属又は合金からなるつなぎ目がないワイヤと、前記ワイヤの第1の部分が埋設される第1のセラミックス焼成体と、前記ワイヤの前記前記第1の部分から離された第2の部分が埋設される前記第1のセラミックス焼成体とは別体の第2のセラミックス焼成体と、を備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、第1のセラミックス成形体と第2のセラミックス成形体とが別体であるので、第1のセラミックスと第2のセラミックスとの間に熱膨張率や焼成収縮率の差があっても焼成のときにクラック、デラミネーション等の損傷は発生しにくい。また、第1のセラミックスと第2のセラミックスとの間の相互拡散も抑制される。
【0022】
請求項2から請求項5までの発明によれば、ワイヤと内部電極との接続が実現される。
【0023】
請求項6及び請求項8の発明によれば、インダクタが容易に形成される。
【0024】
請求項7及び請求項9の発明によれば、キャパシタが容易に形成される。
【0025】
請求項10の発明によれば、第1のセラミックス焼成体と第2のセラミックス焼成体とが固着され、複合電子部品の強度が向上する。
【0026】
請求項11の発明によれば、第1のセラミックス成形体と第2のセラミックス成形体とが別々に焼成されるので、セラミックス材料の選択の自由度が増す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態の複合電子部品の断面図である。
【図2】第2実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図3】第2実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図4】第2実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図5】第2実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図6】構造体の作製方法を説明する断面図である。
【図7】構造体の作製方法を説明する断面図である。
【図8】構造体の作製方法を説明する断面図である。
【図9】構造体の作製方法を説明する断面図である。
【図10】構造体の作製方法を説明する断面図である。
【図11】構造体の作製方法を説明する断面図である。
【図12】第3実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図13】第3実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図14】第3実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図15】第3実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図16】第3実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図17】第3実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図18】第3実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図19】第4実施形態の複合電子部品の断面図である。
【図20】第5実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図21】第5実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図22】第5実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図23】第5実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図24】第6実施形態の複合電子部品の断面図である。
【図25】第7実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図26】第7実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図27】第7実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図28】第7実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図29】第7実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図30】第7実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図31】第8実施形態の複合電子部品の断面図である。
【図32】第9実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図33】第9実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図34】第9実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図35】樹脂膜で被覆されたワイヤを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1実施形態>
第1実施形態は、複合電子部品の構造に関する。
【0029】
図1は、第1実施形態の複合電子部品の模式図である。図1は、第1実施形態の複合電子部品の断面を示す。
【0030】
図1に示すように、複合電子部品1002は、キャパシタとインダクタとが並列に接続された並列共振子であって、誘電体セラミックス焼成体(焼結体)1004と、磁性体セラミックス焼成体(焼結体)1006と、キャパシタの内部電極1008,1010と、インダクタの内部電極1012と、キャパシタの内部電極1008とインダクタの内部電極1012の一端とを接続するワイヤ1014と、キャパシタの内部電極1010とインダクタの内部電極1012の他端とを接続するワイヤ1016と、外部電極1018,1020と、誘電体セラミックス焼成体1004と磁性体セラミックス焼成体1006との間隙に充填される充填体1022と、を備える。
【0031】
誘電体セラミックス焼成体1004と磁性体セラミックス焼成体1006とは別体であり、誘電体セラミックス焼成体1004と磁性体セラミックス焼成体1006とが直接接触する界面は存在しない。誘電体セラミックス焼成体1004と磁性体セラミックス焼成体1006との間隙には、誘電体セラミックス焼成体1004及び磁性体セラミックス焼成体1006のいずれにも埋設されないワイヤ1014の非埋設部分1024及びワイヤ1016の非埋設部分1026がある。
【0032】
誘電体セラミックス材料及び磁性体セラミックス材料は、複合電子部品の仕様に応じて選択される。誘電体セラミックス材料としては、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)が選択され、磁性体セラミックス材料としては、例えば、Ni−Zn−Cr系フェライトが選択される。
【0033】
キャパシタの内部電極1008,1010は、平膜形状を有する部分(以下では「平膜形状部分」という。)を有する。キャパシタの内部電極1008の平膜形状部分とキャパシタの内部電極1010の平膜形状部分とは、誘電体セラミックス焼成体1004を挟んで対向する。キャパシタの内部電極1008の一部は、誘電体セラミックス焼成体1004の端面に露出する。
【0034】
インダクタの内部電極1012は、らせん形状を有する部分(以下では「らせん形状部分」という。)を有する。インダクタの内部電極1012は、磁性体セラミックス焼成体1006に埋設される。インダクタの内部電極1012の一部は、磁性体セラミックス焼成体1006の端面に露出する。
【0035】
キャパシタの内部電極1008,1010を構成する導電体材料は、誘電体セラミックス材料、焼成温度等に応じて選択される。インダクタの内部電極1012を構成する導電体材料は、磁性体セラミックス材料、焼成温度等に応じて選択される。キャパシタの内部電極1008,1010及びインダクタの内部電極1012を構成する導電体材料としては、例えば、銀(Ag),白金(Pt),パラジウム(Pd)等の金属又はこれらの金属の合金が選択される。
【0036】
外部電極1018は、誘電体セラミックス焼成体1004の端面に形成され、キャパシタの内部電極1008に接続される。外部電極1020は、磁性体セラミックス焼成体1006の端面に形成され、インダクタの内部電極1012に接続される。外部電極1018,1020を構成する導電体材料としては、例えば、銀(Ag),白金(Pt),パラジウム(Pd)等の金属又はこれらの金属の合金が選択される。
【0037】
ワイヤ1014の誘電体埋設部分1028は、誘電体セラミックス焼成体1004に埋設され、ワイヤ1014の磁性体埋設部分1030は、磁性体セラミックス焼成体1006に埋設される。誘電体埋設部分1028と磁性体埋設部分1030とは、非埋設部分1024を挟んで離される。ワイヤ1014には、つなぎ目がない。
【0038】
ワイヤ1016の誘電体埋設部分1032は、誘電体セラミックス焼成体1004に埋設され、磁性体埋設部分1034は、磁性体セラミックス焼成体1006に埋設される。誘電体埋設部分1032と磁性体埋設部分1034とは、非埋設部分1026を挟んで離される。ワイヤ1016には、つなぎ目がない。
【0039】
ワイヤ1014,1016に「つなぎ目がない」とは、ワイヤ外形に段差がないことをいう。この「つなぎ目がない」という語の語義は、以下で言及するワイヤ1014,1016以外のワイヤについても同様である。
【0040】
ワイヤ1014,1016の断面形状は、特に制限されず、円形状等の丸型であってもよいし、正方形状、矩形状等の角型であってもよい。ただし、誘電体埋設部分1028,1032及び磁性体埋設部分1030,1034の断面形状は、扁平な矩形状とすることが望ましい。誘電体埋設部分1028,1032及び磁性体埋設部分1030,1034の断面形状を矩形状とすることにより、ワイヤ1014,1016とキャパシタの内部電極1008,1010及びインダクタの内部電極1012とが確実に接続される。また、非埋設部分1024,1026の断面形状は、円形状であることが望ましい。非埋設部分1024,1026の断面形状を円形状とすることにより、非埋設部分1024,1026が変形しやすくなり、焼成のときのセラミックスの収縮が大きくてもセラミックスに余分な応力がかからなくなる。誘電体埋設部分1028,1032及び磁性体埋設部分1030,1034の断面形状を途中で変化させることも望ましい。これにより、ワイヤ1014,1016が誘電体セラミックス焼成体1004及び磁性体セラミックス焼成体1006から抜けることが抑制される。
【0041】
ワイヤ1014の断面積は、一方の接続先のキャパシタの内部電極1008の断面積及び他方の接続先のインダクタの内部電極1012の断面積のうちの小さい方に合わせることが望ましく、ワイヤ1016の断面積は、一方の接続先のキャパシタの内部電極1010の断面積及び他方の接続先のインダクタの内部電極1012の断面積のうちの小さい方に合わせることが望ましい。その理由は、ワイヤ1014,1016の断面積をこれよりも小さくすると抵抗が大きくなるからであり、ワイヤ1014,1016の断面積をこれよりも大きくすると必要な材料が増え、ワイヤ1014,1016のコストが上昇するからである。
【0042】
ワイヤ1014,1016は、金属又は合金からなる。ワイヤ1014,1016に使用される金属としては、例えば、銀(Ag),白金(Pt),パラジウム(Pd)等があり、ワイヤ1014,1016に使用される合金としては、例えば、これらの金属の合金がある。
【0043】
ワイヤ1014,1016は、これらの金属又は合金からなる結晶粒の間の粒界に空隙がほとんど存在せず、結晶粒が実質的に連続して結合した微構造を有することが望ましい。ワイヤ1014,1016の体積の全体に占める空隙の体積の比率は、望ましくは1%以下であり、さらに望ましくは0.1%以下である。当該体積の比率の算出においては、例えば、ワイヤ1014,1016の断面を露出させた断面試料が準備され、ワイヤ1014,1016の断面積の全体に占める空隙の面積の比率が算出される。当該体積の比率は、当該面積の比率から算出される。断面試料は、例えば、アルゴンイオンビームを用いたクロスセクションポリッシャ(CP)法により作製される。以下で言及するワイヤ1014,1016以外のワイヤも、このような微構造を有することが望ましい。
【0044】
これらの金属又は合金からなる粉末を分散媒に分散させた導電材料ペーストの乾燥物を焼結させた導電体においては、これらの金属又は合金からなる結晶粒の間の粒界に多くの空隙が存在することが通常である。これは、導電材料ペーストには、流動性を付与するための分散媒、結着性を付与するためのバインダ等の乾燥工程又は焼結工程において消失する成分が含まれるからである。
【0045】
<第2実施形態>
(複合電子部品の製造)
第2実施形態は、複合電子部品の製造方法に関する。第2実施形態の複合電子部品の製造方法は、第1実施形態の複合電子部品1002の製造に適用される。
【0046】
図2から図5までは、第2実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する模式図である。図2から図5までは、製造の途上の仕掛品の断面を示す。図2から図5までは、1個の複合電子部品の製造の途上の仕掛品を示しているが、2個以上の複合電子部品を同時に製造してもよい。
【0047】
第2実施形態の複合電子部品の製造においては、ワイヤ1014,1016が準備された後に、図2に示すように、
(1)ワイヤ1014の誘電体埋設部分1028及び印刷パターン2108が誘電体セラミックス成形体2104に埋設され、ワイヤ1014の磁性体埋設部分1030及び印刷パターン2112が磁性体セラミックス成形体2106に埋設された構造体2502;
(2)印刷パターン2208,2210が埋設された誘電体セラミックス成形体2204;
(3)印刷パターン2212が埋設された磁性体セラミックス成形体2206の群;及び
(4)ワイヤ1016の誘電体埋設部分1032が誘電体セラミックス成形体2304に埋設され、ワイヤ1016の磁性体埋設部分1034が磁性体セラミックス成形体2306に埋設された構造体2504;
がゲルキャスト法により作製される。
【0048】
誘電体埋設部分1028,1032と磁性体埋設部分1030,1034とは離されているので、誘電体セラミックス成形体2104,2204,2304と磁性体セラミックス成形体2106,2206,2306とは別体であり、誘電体セラミックス成形体2104,2204,2304と磁性体セラミックス成形体2106,2206,2306とが直接接触する界面は存在しない。このため、誘電体セラミックスと磁性体セラミックスとの間に熱膨張率や焼成収縮率の差があっても、焼成のときにクラック、デラミネーション等の損傷は発生しにくい。また、誘電体セラミックスと磁性体セラミックスとの間の相互拡散も抑制される。このことは、誘電体セラミックス材料及び磁性体セラミックス材料の選択の自由度を増す。
【0049】
構造体2502,2504、誘電体セラミックス成形体2204及び磁性体セラミックス成形体2206が作製された後に、図3に示すように、誘電体セラミックス成形体2104,2204,2304が積層され、積層体2004が作製される。また、磁性体セラミックス成形体2106,2206,2306が積層され、積層体2006が作製される。誘電体セラミックス成形体2204の積層体及び磁性体セラミックス成形体2206の積層体を作製してから積層体2004,2006を作製してもよい。積層体2004,2006は、別々に作製してもよいし、同時に作製してもよい。
【0050】
積層体2004を作製するときには、ワイヤ1016の誘電体埋設部分1032が印刷パターン2210に接触させられ、積層体2006を作製するときには、ワイヤ1016の磁性体埋設部分1034が印刷パターン2212に接触されられる。これらの接触は、焼成の後におけるワイヤ1016とキャパシタの内部電極1010及びインダクタの内部電極1012との接続を実現する。
【0051】
積層体2004,2006が作製された後に、図4に示すように、積層体2004,2006が同時に焼成され、積層体2004が誘電体セラミックス焼成体1004となり、積層体2006が磁性体セラミックス焼成体1006となり、印刷パターン2108,2208がキャパシタの内部電極1008となり、印刷パターン2210がキャパシタの内部電極1010となり、印刷パターン2112,2212がインダクタの内部電極1012となる。
【0052】
積層体2004,2006が焼成された後に、図5に示すように、誘電体セラミックス焼成体1004の端面に外部電極1018が形成され、磁性体セラミックス焼成体1006の端面に外部電極1020が形成される。外部電極1018,1020の形成は、金属又は合金からなる粉末を含むペースト(以下では「導電体ペースト」という。)を塗布し、塗布膜を焼き付けることにより行われる。積層体2004,2006を焼成する前に導電体ペーストを塗布し、積層体2004,2006を焼成するのと同時に塗布膜を焼成することによっても外部電極1018,1020が形成される。外部電極1018,1020にメッキ処理を行ってもよい。
【0053】
外部電極1018,1020が形成された後に、誘電体セラミックス焼成体1004と磁性体セラミックス焼成体1006との間隙に充填体1022が充填され、図1に示す複合電子部品1002が完成する。外部電極1018,1020にメッキ処理を行う場合は、メッキ処理の後に充填体1022を充填してもよい。充填体1022は、例えば、接着剤の硬化物である。これにより、誘電体セラミックス焼成体1004と磁性体セラミックス焼成体1006とが固着され、複合電子部品1002の強度が向上し、ワイヤ1014,1016が保護される。
【0054】
第2実施形態の複合電子部品の製造方法によれば、セラミックス成形体が積層される方向とは異なる横方向にキャパシタ及びインダクタが配列されるので、低背の複合電子部品が提供される。ただし、キャパシタ及びインダクタを横方向以外の方向に配列することを制限しない。
【0055】
(ゲルキャスト法)
ゲルキャスト法は、セラミックス粉末を含むスラリーを型に流し込み、スラリーを熱により硬化又はゲル化させることにより、流動性を失った成形体を作製するセラミックス粉末の成形の手法をいう。熱によらずにスラリーを硬化又はゲル化させてもよい。ゲルキャスト法は、スラリーが流動性を失った後に分散媒が蒸発するので、成形収縮が小さいという特徴を有する。このため、高い剛性を有するワイヤをセラミックス成形体に埋設するときにゲルキャスト法を用いると、成形収縮によるクラック等の損傷が抑制される。
【0056】
ゲルキャスト法によるセラミックス成形体の作製に使用するスラリーは、セラミックス粉末を分散させた分散媒に硬化剤、ゲル化剤等を添加することにより調製される。硬化剤(ゲル化剤)は、樹脂硬化物(樹脂ゲル化物)の前駆体と、樹脂硬化物の前駆体の硬化(ゲル化)を開始又は促進させる硬化開始/促進剤(ゲル化開始/促進剤)とを含む。硬化剤、ゲル化剤等の添加物は、望ましくは、均一に混合される。
【0057】
分散媒は、水、無極性有機溶媒、極性有機溶媒等から選択される。分散媒として選択される有機溶媒には、メタノール・エタノール・イソプロピルアルコール等の低級アルコール類、高級アルコール、アセトン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、エチレングリコール等のジオール類、グリセリン等のトリオール類、グルタル酸ジメチル等の多塩基酸エステル、トリアセチン等の2個以上のエステル基を有するエステル類、ポリカルボン酸エステル等のポリエステル系化合物、リン酸エステル、アミン縮合物、ノニオン系特殊アミド化合物等がある。分散媒は、純物質及び混合物のいずれであってもよい。
【0058】
樹脂硬化物を構成する樹脂は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等から選択される。樹脂は、分散媒との相溶性が高く分散媒との反応性が低い物質から選択される。エポキシ樹脂としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプリピレングリコール、グリセリンジグリシジルエーテル等を構成モノマーとして含む重合体が選択される。アクリル樹脂としては、アクリルアミド、メタクリル酸、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、アクリル酸アンモニウム塩等を構成モノマーとして含む重合体が選択される。ウレタン樹脂としては、MDI(4,4−ジフェニルメタンジイソシアナート)系イソシアネート、HDI(ヘキサメチレンジイソシアナート)系イソシアネート、TDI(トリレンジイソシアナート)系イシソアナート、IPDI(イソホロンジイソシアナート)系イソシアナート、イソチオシナート等を構成モノマーとして含む重合体が選択される。
【0059】
硬化開始/促進剤は、樹脂硬化物の前駆体との反応性を考慮して選択される。硬化開始/促進剤は、テトラメチルエチレンジアミン・トリエチレンジアミン・ヘキサンジアミン・エチレンジアミン等の重合体のポリアルキレンポリアミン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン等のペラジン類、ポリオキシプロピレンジアミン等のポリエーテルアミン、N,N´−メチレンビスアクリルアミド、6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノール、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等から選択される。
【0060】
例えば、分散媒としてトリアセチンとグルタル酸ジメチルとの混合物、ゲル化剤としてポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート及びエチレングリコールが選択される。分散性を向上するためにカルボン酸共重合体、アクリル酸共重合体等の分散剤がさらに添加されてもよいし、硬化(ゲル化)させる反応を促進するために6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノール等の触媒がさらに添加されてもよい。セラミックス粉末が焼結助剤等の添加物を含んでもよい。
【0061】
(構造体2502の作製)
図6から図11までは、構造体2502の作製方法を説明する模式図である。図6から図11までは、作製の途上の仕掛品の断面を示す。
【0062】
構造体2502の作製においては、図6に示すように、組み立てられる前に型2902の内面となる面に導電体ペーストが印刷され、印刷パターン2108が形成され、型2902が組み立てられる。型2902が組み立てられた後に印刷パターン2108が形成されてもよい。
【0063】
印刷パターン2108が形成された後に、図7に示すように、ワイヤ1014の誘電体埋設部分1028が型2902に収容される。このとき、ワイヤ1014の誘電体埋設部分1028は、印刷パターン2108に接触させられる。この接触は、焼成の後におけるワイヤ1014とキャパシタの内部電極1008との接続を実現する。
【0064】
ワイヤ1014の誘電体埋設部分1028が型2902に収容された後に、図8に示すように、誘電体セラミックス粉末を含むスラリーが、型2902に流し込まれ、硬化させられる。これにより、ワイヤ1014の誘電体埋設部分1028及び印刷パターン2108が誘電体セラミックス成形体2106に埋設される。
【0065】
続いて、図9に示すように、組み立てられる前に型2904の内面となる面に導電体ペーストが印刷され、印刷パターン2112が形成され、型2904が組み立てられる。型2904が組み立てられた後に印刷パターン2112が形成されてもよい。
【0066】
印刷パターン2112が形成された後に、図10に示すように、ワイヤ1014の磁性体埋設部分1030が型2904に収容される。このとき、ワイヤ1014の磁性体埋設部分1030が印刷パターン2112に接触させられる。この接触は、焼成の後におけるワイヤ1014とインダクタの内部電極1012との接続を実現する。
【0067】
ワイヤ1014の磁性体埋設部分1030が型2904に収容された後に、図11に示すように、磁性体セラミックス粉末を含むスラリーが、型2904に流し込まれ、硬化させられる。これにより、ワイヤ1014の磁性体埋設部分1030及び印刷パターン2112が磁性体セラミックス成形体2106に埋設される。
【0068】
ワイヤ1014の磁性体埋設部分1030及び印刷パターン2112を磁性体セラミックス成形体2106に埋設した後にワイヤ1014の誘電体埋設部分1028及び印刷パターン2108を誘電体セラミックス成形体2104に埋設してもよい。
【0069】
(誘電体セラミックス成形体2204、磁性体セラミックス成形体2206及び構造体2504の作製)
誘電体セラミックス成形体2204は、ワイヤの誘電体埋設部分を型に収容する手順を省略することを除いては、図6から図8までに示す構造体2502の誘電体セラミックス成形体2104の作製の手順と同様の手順で作製される。
【0070】
磁性体セラミックス成形体2206も、ワイヤの磁性体埋設部分を型に収容する手順を省略することを除いては、図9から図11までに示す構造体2502の磁性体セラミックス成形体2106の作製の手順と同様の手順で作製される。
【0071】
構造体2504も、印刷パターンを形成する手順を省略することを除いては、図6から図11までに示す構造体2502の作製の手順と同様の手順で作製される。
【0072】
(ワイヤと内部電極との接続)
ワイヤ1014,1016と内部電極1008,1010,1012との接続を実現する方法には、
(a)ワイヤと焼成後に内部電極となる印刷パターンとを接触させた状態でセラミックス成形体に埋設する方法;及び
(b)ワイヤが埋設されたセラミックス成形体と焼成後に内部電極となる印刷パターンが埋設されたセラミックス成形体とを積層するときにワイヤと印刷パターンとを接触させる方法、
がある。上述の複合電子部品1002の製造方法においては、これらの両方の方法を使用したが、片方の方法のみを使用してもよい。
【0073】
<第3実施形態>
第3実施形態は、第2実施形態の複合電子部品の製造方法に代えて採用される複合電子部品の製造方法に関する。第2実施形態においては、誘電体セラミックス成形体の積層体と磁性体セラミックス成形体の積層体とが同時に焼成されるのに対して、第3実施形態においては、磁性体セラミックス成形体の積層体と誘電体セラミックス成形体の積層体とが別々に焼成される。すなわち、第3実施形態においては、誘電体セラミックス成形体の積層体が作製され焼成された後に、磁性体セラミック成形体の積層体が作製され焼成される。第3実施形態においても、ゲルキャスト法によるワイヤ及び印刷パターンのセラミックス成形体への埋設は、第2実施形態と同様に行われる。
【0074】
図12から図18までは、第3実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する図である。図12から図18までは、製造の途上の仕掛品の断面を示す。
【0075】
複合電子部品1002の製造においては、ワイヤ1014,1016が準備された後に、図12に示すように、
(1)ワイヤ1014の誘電体埋設部分1028及び印刷パターン3018が埋設された誘電体セラミックス成形体3104;
(2)印刷パターン3208,3210が埋設された誘電体セラミックス成形体3204;及び
(3)、ワイヤ1016の誘電体埋設部分1032が埋設された誘電体セラミックス成形体3304、
がゲルキャスト法により作製される。
【0076】
誘電体セラミックス成形体3104,3204,3304が作製された後に、図13に示すように、誘電体セラミックス成形体3104,3204,3304が積層され、積層体3004が作製される。
【0077】
積層体3004が作製された後に、図14に示すように、積層体3004が焼成され、積層体3004が誘電体セラミックス焼成体1004となり、印刷パターン3108,3208がキャパシタの内部電極1008となり、印刷パターン3210がキャパシタの内部電極1010となる。
【0078】
積層体3004が焼成された後に、図15に示すように、ワイヤ1014の磁性体埋設部分1030及び印刷パターン3112がゲルキャスト法により磁性体セラミックス成形体3106に埋設され、ワイヤ1016の磁性体埋設部分1034がゲルキャスト法により磁性体セラミックス成形体3306に埋設される。
【0079】
ワイヤ1014の磁性体埋設部分1030等が磁性体セラミックス成形体3106等に埋設されるとは別に、図16に示すように、印刷パターン3212が埋設された磁性体セラミックス成形体3206がゲルキャスト法により作製され、磁性体セラミックス成形体3206が積層され、積層体3406が作製される。
【0080】
ワイヤ1014の磁性体埋設部分1030等が磁性体セラミックス成形体3106等に埋設され、積層体3406が作製された後に、図17に示すように、誘電体セラミックス成形体3106,3306の間に積層体3406が挟まれ、誘電体セラミックス成形体3106、積層体3406及び誘電体セラミックス成形体3306が積層され、積層体3006が作製される。
【0081】
積層体3006が作製された後に、図18に示すように、積層体3006が焼成され、積層体3006が磁性体セラミックス焼成体1006となり、印刷パターン3212がインダクタの内部電極1012となる。
【0082】
積層体3006が焼成された後は、第2実施形態と同様に、外部電極1018,1020が形成され、誘電体セラミックス焼成体1004と磁性体セラミックス焼成体1006との間隙に充填体1022が充填され、図1に示す複合電子部品1002が完成する。
【0083】
第3実施形態の複合電子部品の製造方法によれば、積層体3004と積層体3006とが別々に焼成されるので、積層体3004の焼成条件と積層体3006の焼成条件とを独立して決めることができるようになり、磁性体セラミックス材料及び誘電体のセラミックス材料の選択の自由度が増す。
【0084】
第3実施形態は、積層体3004が作製され焼成された後に積層体3006が作製され焼成される場合を説明したが、積層体3006が作製され焼成された後に積層体3004が作製され焼成されるようにしてもよい。ただし、焼成温度に差がある場合は、焼成温度が高い積層体から焼成温度が低い積層体へと順に焼成を行うことが望ましい。これにより、先に作製された焼成体が後の焼成のときに受ける影響が抑制される。
【0085】
<第4実施形態>
第4実施形態は、複合電子部品の構造に関する。
【0086】
図19は、第4実施形態の複合電子部品の模式図である。図19は、第4実施形態の複合電子部品の断面を示す。
【0087】
図19に示すように、複合電子部品4002は、キャパシタとインダクタとが並列に接続された並列共振子であって、誘電体セラミックス焼成体4004と、磁性体セラミックス焼成体4006と、キャパシタの内部電極4008,4010と、キャパシタの内部電極4008とワイヤ4016の磁性体側端とをらせん形状部分4052を介して接続するワイヤ4014と、キャパシタの内部電極4010とワイヤ4014の磁性体側端とを接続するワイヤ4016と、外部電極4018,4020と、誘電体セラミックス焼成体4004と磁性体セラミックス焼成体4006との間隙に充填される充填体4022と、を備える。
【0088】
第1実施形態においては、ワイヤ1014,1016とは別のらせん形状部分を有するインダクタの内部電極1012が磁性体セラミックス焼成体1006に埋設されるが、第4実施形態においては、ワイヤ4014の磁性体埋設部分4030にらせん形状部分4052が設けられる。
【0089】
第4実施形態においても、誘電体セラミックス焼成体4004と磁性体セラミックス焼成体4006とは別体であり、誘電体セラミックス焼成体4004と磁性体セラミックス焼成体4006との間隙には、誘電体セラミックス焼成体4004及び磁性体セラミックス焼成体4006のいずれにも埋設されないワイヤ4014の非埋設部分4024及びワイヤ4016の非埋設部分4026がある。
【0090】
ワイヤ4014の誘電体埋設部分4028は、誘電体セラミックス焼成体4004に埋設され、ワイヤ4014の磁性体埋設部分4030は、磁性体セラミックス焼成体4006に埋設される。誘電体埋設部分4028と磁性体埋設部分4030とは、非埋設部分4024を挟んで離される。ワイヤ4014には、つなぎ目がない。ワイヤ4014の磁性体側端は、磁性体セラミックス焼成体4006の端面に露出し、外部電極4020に接続される。
【0091】
ワイヤ4016の誘電体埋設部分4032は、誘電体セラミックス焼成体4004に埋設され、磁性体埋設部分4034は、磁性体セラミックス焼成体4006に埋設される。誘電体埋設部分4032と磁性体埋設部分4034とは、非埋設部分4026を挟んで離される。ワイヤ4016には、つなぎ目がない。ワイヤ4016の磁性体側端は、磁性体セラミックス焼成体4006の端面に露出し、外部電極4020に接続される。
【0092】
ワイヤ4014,4016の断面形状は、特に制限されず、円形状等の丸型であってもよいし、正方形状、矩形状等の角型であってもよい。ただし、ワイヤ4014の断面形状は扁平な矩形状であることが望ましく、ワイヤ4014は、扁平な矩形状の短手方向がらせん形状部分4052の軸方向となるように巻回される。これにより、らせん形状部分4052のピッチが密になり、インダクタが小型化される。第1実施形態の場合と同様に、ワイヤ4016の誘電体埋設部分4032及び磁性体埋設部分4034の断面形状は、扁平な矩形状とすることが望ましく、非埋設部分4026の断面形状は、円形状であることが望ましい。
【0093】
キャパシタの内部電極4008,4010、外部電極4018及び充填体4022は、第1実施形態のキャパシタの内部電極1008,1010、外部電極1018及び充填体1022と同様の構造を有する。
【0094】
第4実施形態の各要素の材料は、第1実施形態と同様に選択される。
【0095】
<第5実施形態>
第5実施形態は、複合電子部品の製造方法に関する。第5実施形態の複合電子部品の製造方法は、第4実施形態の複合電子部品4002の製造に適用される。第5実施形態においても、ゲルキャスト法によるワイヤ及び印刷パターンのセラミックス成形体への埋設は、第2実施形態と同様に行われる。
【0096】
図20から図23までは、第5実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する模式図である。図20から図23までは、製造の途上の仕掛品の断面を示す。
【0097】
複合電子部品4002の製造においては、ワイヤ4014,4016が準備される。ワイヤ4014の表面は、望ましくは、らせん形状部分4052が形成される前に、キャパシタの内部電極4008及びワイヤ4016の磁性体側端に接続される端部を除いて、図示しない樹脂膜で被覆される。当該樹脂膜は、らせん形状部分4052が形成された後に、加熱により融解され、冷却により再び凝固される。これにより、らせん形状部分4052の表面を被覆する樹脂膜が融着する。融着した樹脂膜は、らせん形状部分4052の形状を維持することに寄与する。樹脂膜の膜厚は、10〜30μmであることが望ましい。樹脂膜に含まれる樹脂の種類は、例えば、ポリエステルである。樹脂膜には、埋設されるセラミックス成形体を構成するセラミックス粉末と同じセラミックス粉末が含まれる。セラミックス粉末の粒径は、例えば、0.5μmである。樹脂膜に含まれる樹脂は、焼成のときの脱バインダ工程において除去され、完成した複合電子部品4002には残存しない。
【0098】
ワイヤ4014の断面形状は扁平形状であることが望ましく、ワイヤ4014は、扁平形状の短手方向がらせん形状部分4052の軸方向となるように巻回される。これにより、らせん形状部分4052のピッチが密になり、インダクタが小型化される。
【0099】
ワイヤ4014,4016が準備された後に、図20に示すように、
(1)ワイヤ4014の誘電体埋設部分4028及び印刷パターン5108が埋設された誘電体セラミックス成形体5104;
(2)印刷パターン5208,5210が埋設された誘電体セラミックス成形体5204;及び
(3)ワイヤ4016の誘電体埋設部分4026が埋設された誘電体セラミックス成形体5304、
がゲルキャスト法により作製される。
【0100】
誘電体セラミックス成形体5104,5204,5304が作製された後に、図21に示すように、誘電体セラミックス成形体5204が積層されて積層体5404が作製され、さらに、誘電体セラミックス成形体5104,5304に積層体5404が挟まれて誘電体セラミックス成形体5104、積層体5404及び誘電体セラミックス成形体5304が積層され、積層体5004が作製される。
【0101】
積層体5004が作製された後に、図22に示すように、ワイヤ4014の磁性体埋設部分4030及びワイヤ4016の磁性体埋設部分4034がゲルキャスト法により磁性体セラミックス成形体5006に埋設される。磁性体埋設部分4030には、らせん形状部分4052が含まれ、らせん形状部分4052は、磁性体セラミックス成形体5006に埋設される。
【0102】
ワイヤ4014の磁性体埋設部分4030等が磁性体セラミックス成形体5006に埋設された後に、図23に示すように、積層体5004及び磁性体セラミックス成形体5006が同時に焼成され、積層体5004が誘電体セラミックス焼成体4004となり、磁性体セラミックス成形体5006が磁性体セラミックス焼成体4006となり、印刷パターン5108,5208がインダクタの内部電極4008となり、印刷パターン5210が印刷パターン4010となる。
【0103】
積層体5004及び磁性体セラミックス成形体5006が焼成された後は、第2実施形態と同様に、外部電極4018,4020が形成され、誘電体セラミックス焼成体4004と磁性体セラミックス焼成体4006との間隙が充填体4022で充填され、図19に示す複合電子部品4002が完成する。
【0104】
<第6実施形態>
第6実施形態は、複合電子部品の構造に関する。
【0105】
図24は、第6実施形態の複合電子部品の模式図である。図24は、第6実施形態の複合電子部品の断面を示す。
【0106】
図24に示すように、複合電子部品6002は、キャパシタとインダクタとが並列に接続された並列共振子であって、誘電体セラミックス焼成体6004と、磁性体セラミックス焼成体6006と、キャパシタの内部電極6008,6010と、キャパシタの内部電極6008とワイヤ6054の一端とを接続するワイヤ6014と、キャパシタの内部電極6010とワイヤ6054の他端とを接続するワイヤ6016と、らせん形状部分6052を有するワイヤ6054と、外部電極6018,6020と、磁性体セラミックス焼成体6006と誘電体セラミックス焼成体6004との間隙に充填される充填体6022と、を備える。
【0107】
第1実施形態においては、ワイヤ1014,1016とは別のらせん形状部分を有するインダクタの内部電極1012が磁性体セラミックス焼成体1006に埋設されるが、第6実施形態においては、らせん形状部分6052を有するワイヤ6054が磁性体セラミックス焼成体6006に埋設される。
【0108】
第6実施形態においても、誘電体セラミックス焼成体6004と磁性体セラミックス焼成体6006とは別体であり、誘電体セラミックス焼成体6004と磁性体セラミックス焼成体6006との間隙には、誘電体セラミックス焼成体6004及び磁性体セラミックス焼成体6006のいずれにも埋設されないワイヤ6014の非埋設部分6024及びワイヤ6016の非埋設部分6026がある。
【0109】
ワイヤ6014の誘電体埋設部分6028は、誘電体セラミックス焼成体6004に埋設され、ワイヤ6014の磁性体埋設部分6030は、磁性体セラミックス焼成体6006に埋設される。誘電体埋設部分6028と磁性体埋設部分6030とは、非埋設部分6024を挟んで離される。ワイヤ6014には、つなぎ目がない。
【0110】
ワイヤ6016の誘電体埋設部分6032は、誘電体セラミックス焼成体6004に埋設され、磁性体埋設部分6034は、磁性体セラミックス焼成体6006に埋設される。誘電体埋設部分6032と磁性体埋設部分6034とは、非埋設部分6026を挟んで離される。ワイヤ6016には、つなぎ目がない。ワイヤ6016の磁性体側端は、磁性体セラミックス焼成体6006の端面に露出し、外部電極6020に接続される。
【0111】
ワイヤ6054は、らせん形状部分6052を有し、磁性体セラミックス焼成体6006に埋設される。ワイヤ6054の他端は、磁性体セラミックス焼成体6006の端面に露出し、外部電極6020に接続される。
【0112】
ワイヤ6014,6016,6054の断面形状は、特に制限されず、円形状等の丸型であってもよいし、正方形状、矩形状等の角型であってもよい。ただし、ワイヤ6054の断面形状は扁平な矩形状であることが望ましく、ワイヤ6054は、扁平な矩形状の短手方向がらせん形状部分6052の軸方向となるように巻回される。これにより、らせん形状部分6052のピッチが密になり、インダクタが小型化される。第1実施形態の場合と同様に、ワイヤ6014,6016の誘電体埋設部分6028,6032及び磁性体埋設部分6030,6034の断面形状は、扁平な矩形状とすることが望ましく、非埋設部分6024,6026の断面形状は、円形状であることが望ましい。
【0113】
キャパシタの内部電極6008,6010、外部電極6018,6020及び充填体6022は、第1実施形態のキャパシタの内部電極1008,1010、外部電極1018,1020及び充填体1022と同様の構造を有する。第6実施形態においても、各要素の材料は、第1実施形態と同様に選択される。
【0114】
<第7実施形態>
第7実施形態は、複合電子部品の製造方法に関する。第7実施形態の複合電子部品の製造方法は、第6実施形態の複合電子部品6002の製造に適用される。第7実施形態においても、ゲルキャスト法によるワイヤ及び印刷パターンのセラミックス成形体への埋設は、第2実施形態と同様に行われる。
【0115】
図25から図30までは、第7実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する模式図である。図25から図30までは、製造の途上の仕掛品の断面を示す。
【0116】
複合電子部品6002の製造においては、ワイヤ6014,6016,6054が準備される。ワイヤ6054の表面は、望ましくは、第5実施形態と同様に樹脂膜で被覆され、当該樹脂膜は、らせん形状部分5052が形成された後に、加熱により融解され、冷却により再び凝固される。
【0117】
ワイヤ6014,6016,6054が準備された後に、図25に示すように、
(1)ワイヤ6014の誘電体埋設部分6028及び印刷パターン7108が埋設された誘電体セラミックス成形体7104;
(2)印刷パターン7208,7210が埋設された誘電体セラミックス成形体7204;及び
(3)ワイヤ6016の誘電体埋設部分6026が埋設された誘電体セラミックス成形体7304、
がゲルキャスト法により作製される。
【0118】
誘電体セラミックス成形体7104,7204,7304が作製された後に、図26に示すように、誘電体セラミックス成形体7204が積層されて積層体7404が作製され、さらに、誘電体セラミックス成形体7104,7304に積層体7404が挟まれて誘電体セラミックス成形体7104、積層体7404及び誘電体セラミックス成形体7304が積層され、積層体7004が作製される。
【0119】
積層体7004が作製された後に、図27に示すように、積層体7004が焼成され、積層体7004が誘電体セラミックス焼成体6004となり、印刷パターン7108,7208がインダクタの内部電極6008となり、印刷パターン7210が印刷パターン6010となる。
【0120】
積層体7004が焼成された後に、図28に示すように、ワイヤ6014の磁性体側端とワイヤ6054の一端とが導電体ペーストにより接合され、ワイヤ6016の磁性体側端とワイヤ6054の他端とが導電体ペーストにより接合され、ワイヤ6054がワイヤ6014,6016に保持される。
【0121】
ワイヤ6054がワイヤ6014,6016に保持された後に、図29に示すように、ワイヤ6014の磁性体埋設部分6030、ワイヤ6016の磁性体埋設部分6034及びワイヤ6054の全体がゲルキャスト法により磁性体セラミックス成形体7006に埋設される。
【0122】
ワイヤ6014の磁性体埋設部分6030等が磁性体セラミックス成形体7006に埋設された後に、図30に示すように、磁性体セラミックス成形体7006が焼成され、磁性体セラミックス成形体7006が磁性体セラミックス焼成体6006となる。
【0123】
磁性体セラミックス成形体7006が焼成された後は、第2実施形態と同様に、外部電極6018,6020が形成され、誘電体セラミックス焼成体6004と磁性体セラミックス焼成体6006との間隙が充填体6022で充填され、図24に示す複合電子部品6002が完成する。
【0124】
<第8実施形態>
第8実施形態は、複合電子部品の構造に関する。
【0125】
図31は、第8実施形態の複合電子部品8002の模式図である。図31は、複合電子部品8002の断面を示す。
【0126】
図31に示すように、複合電子部品8002は、キャパシタとインダクタとが並列に接続された並列共振子であって、誘電体セラミックス焼成体8004と、磁性体セラミックス焼成体8006と、外部電極8018と外部電極8028とをらせん形状部分8052を介して接続するワイヤ8014と、誘電体セラミックス焼成体8004の内部においてキャパシタの対向電極の一方となるワイヤ8016と、誘電体セラミックス焼成体8004の内部においてキャパシタの対向電極の他方となるワイヤ8056と、外部電極8018,8020と、誘電体セラミックス焼成体8004と磁性体セラミックス焼成体8006との間隙に充填される充填体8022と、を備える。
【0127】
第1実施形態においては、ワイヤ1014,1016とは別の平膜形状部分を有するキャパシタの内部電極1008,1010が誘電体セラミックス焼成体1004に埋設されるが、第8実施形態においては、平行に延在するワイヤ8016,8056が誘電体セラミックス焼成体8006に埋設される。また、第1実施形態においては、ワイヤ1014,1016とは別のらせん形状部分を有するインダクタの内部電極1012が磁性体セラミックス焼成体1006に埋設されるが、第8実施形態においては、ワイヤ8014の磁性体埋設部分8030にらせん形状部分8052が設けられる。
【0128】
第8実施形態においても、誘電体セラミックス焼成体8004と磁性体セラミックス焼成体8006とは別体であり、誘電体セラミックス焼成体8004と磁性体セラミックス焼成体8006との間隙には、誘電体セラミックス焼成体8004及び磁性体セラミックス焼成体8006のいずれにも埋設されないワイヤ8014の非埋設部分8024及びワイヤ8016の非埋設部分8026がある。
【0129】
ワイヤ8014の誘電体埋設部分8028は、誘電体セラミックス焼成体8004に埋設され、ワイヤ8014の磁性体埋設部分8030は、磁性体セラミックス焼成体8006に埋設される。誘電体埋設部分8028と磁性体埋設部分8030とは、非埋設部分8024を挟んで離される。ワイヤ8014には、つなぎ目がない。ワイヤ8014の誘電体側端は、誘電体セラミックス焼成体8004の端面に露出し、外部電極8018に接続される。ワイヤ8014の磁性体側端は、磁性体セラミックス焼成体8006の端面に露出し、外部電極8020に接続される。
【0130】
ワイヤ8016の誘電体埋設部分8032は、誘電体セラミックス焼成体8004に埋設され、ワイヤ8016の磁性体埋設部分8034は、磁性体セラミックス焼成体8006に埋設される。誘電体埋設部分8032と磁性体埋設部分8034とは、非埋設部分8026を挟んで離される。ワイヤ8016には、つなぎ目がない。ワイヤ8016の誘電体側端には、らせん形状部分がある。ワイヤ8016の磁性体側端は、磁性体セラミックス焼成体8006の端面に露出し、外部電極8020に接続される。
【0131】
ワイヤ8014,8016,8056の断面形状は、特に制限されず、円形状等の丸型であってもよいし、正方形状、矩形状等の角型であってもよい。ただし、ワイヤ8014,8016,8056の断面形状は扁平な矩形状であることが望ましく、ワイヤ8014,8016,8056は、扁平な矩形状の短手方向がらせん形状部分8052,8082,8084の軸方向となるように巻回される。これにより、らせん形状部分8052,8082,8084のピッチが密になり、キャパシタ及びインダクタが小型化される。
【0132】
ワイヤ8056の全体は、誘電体セラミックス焼成体8004に埋設される。ワイヤ8056は、ワイヤ8016のらせん形状部分と平行に延在し複合らせん構造を構成するらせん形状部分を一端の側に有する。ワイヤ8056の他端は、誘電体セラミックス焼成体8004の端面に露出し、外部電極8018に接続される。
【0133】
外部電極8018,8020及び充填体8022は、第1実施形態の外部電極1018、1020及び充填体1022と同様の構造を有する。第8実施形態の各要素の材料は、第1実施形態と同様に選択される。
【0134】
<第9実施形態>
第9実施形態は、複合電子部品の製造方法に関する。第9実施形態の複合電子部品の製造方法は、第8実施形態の複合電子部品8002の製造に適用される。第9実施形態においても、ゲルキャスト法によるワイヤのセラミックス成形体への埋設は、第2実施形態と同様に行われる。
【0135】
図32から図35までは、第9実施形態の複合電子部品の製造方法を説明する模式図である。図32から図35までは、製造の途上の仕掛品の断面を示す。
【0136】
複合電子部品8002の製造においては、ワイヤ8014,8016,8056が準備される。ワイヤ8014の表面は、望ましくは、第5実施形態と同様に樹脂膜で被覆され、当該樹脂膜は、らせん形状部分8052が形成された後に、加熱により融解され、冷却により再び凝固される。ワイヤ8016,8056の表面も、第5実施形態と同様に樹脂膜で被覆され、当該樹脂膜は、らせん形状部分が形成され複合らせん構造が形成された後に、加熱により融解され、冷却により再び凝固される。
【0137】
ワイヤ8014,8016,8056が準備された後に、図32に示すように、ワイヤ8014の誘電体埋設部分8028、ワイヤ8016の誘電体埋設部分8032及びワイヤ8056の全体がゲルキャスト法により誘電体セラミックス成形体9004がに埋設される。
【0138】
ワイヤ8014の誘電体埋設部分8028等が誘電体セラミックス成形体9004に埋設された後に、図33に示すように、ワイヤ8014の磁性体埋設部分8030及びワイヤ8016の磁性体埋設部分8034がゲルキャスト法により磁性体セラミックス成形体9006に埋設される。
【0139】
ワイヤ8014の磁性体埋設部分8030等が磁性体セラミックス成形体9006に埋設された後に、図34に示すように、誘電体セラミックス成形体9004及び磁性体セラミックス成形体9006が焼成され、誘電体セラミックス成形体9004が誘電体セラミックス焼結体8004となり、磁性体セラミックス成形体9006が磁性体セラミックス焼成体8006となる。
【0140】
誘電体セラミックス成形体9004及び磁性体セラミックス成形体9006が焼成された後は、第2実施形態と同様に、外部電極8018,8020が形成され、誘電体セラミックス焼成体8004と磁性体セラミックス焼成体8006との間隙が充填体8022で充填され、図31に示す複合電子部品8002が完成する。
【0141】
図35は、樹脂膜8702で被覆されたワイヤ8014,8016,8056を示す図である。らせん形状部分に被覆された樹脂膜8002は互いに融着し、らせん形状部分の形状を維持することに寄与する。
【0142】
<その他>
本発明の複合電子部品及びその製造方法は、第1の機能部のキャパシタと第2の機能部のインダクタとを並列接続した並列共振子以外の複合電子部品にも向けられる。一般的に言えば、複合電子部品は、複数の機能部を備え、ワイヤの複数の埋設部分及び必要な内部電極がセラミックス焼成体に埋設された構造を有する。複数のセラミックス焼成体は別体であり、複数の埋設部分は互いに離される。複合電子部品は、ワイヤの複数の埋設部分の各々を必要な印刷パターンとともにセラミックス焼成体に埋設し、複数のセラミックス焼成体を同時に又は別々に焼成することにより製造される。もちろん、複数のセラミックス成形体は別体である。
【0143】
複数の機能部の接続の形態も「並列接続」に限定されず、「直列接続」であってもよいし、さらに複雑な接続の形態であってもよい。「機能部」は、キャパシタ、インダクタの他、抵抗、サーミスタ、バリスタ、ピエゾ素子等であってもよく、「機能部」は、LTCC(低温共焼成セラミックス)等により構成された複合電子部品であってもよい。
【0144】
<実施例1>
実施例1では、第2実施形態の複合電子部品の製造方法にしたがって、複合電子部品1002を製造した。
【0145】
ワイヤ1014,1016としては、誘電体埋設部分1028,1032及び磁性体埋設部分1030,1034の断面形状が厚さ(短手方向)50μm、幅(長手方向)300μmの扁平形状であり、非埋設部分1024,1026の断面形状が直径70μmの円形状である、銀からなるワイヤを使用した。
【0146】
印刷パターン2108,2208,2210を形成するために印刷する導電体ペーストとしては、銀からなる粉末及びガラスフリットを有機ビヒクルに分散させたペーストを使用した。
【0147】
外部電極1018,1020を形成するために塗布する導電体ペーストとしては、銀からなる粉末及びガラスフリットを有機ビヒクルに分散させたペーストを使用した。
【0148】
誘電体セラミックス粉末を含むスラリーとしては、チタン(Ti)系誘電体である酸化チタン(IV)(TiO2)の粉末と軟化点が800℃以下の非晶質ガラスであるMe2O−MaO−SiO2−CuO系ガラス(Me:アルカリ金属,Ma:アルカリ土類金属)の粉末とを混合した混合粉末100重量部、トリアセチン2.5重量部、グルタル酸ジメチル22.5重量部、エチレングリコール0.2重量部、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート2.0重量部、カルボン酸共重合体3重量部及び6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノール0.1重量部を含むスラリーを使用した。酸化チタン(IV)(TiO2)の粉末とMe2O−MaO−SiO2−CuO系ガラスの粉末との重量比は、100:20とした。
【0149】
磁性体セラミックス粉末を含むスラリーとしては、酸化鉄(III)(Fe23),酸化ニッケル(II)(NiO),酸化亜鉛(II)(ZnO)及び酸化銅(II)(CuO)の粉末を混合した混合粉末を仮焼して得られた仮焼粉末100重量部、トリアセチン2.5重量部、グルタル酸ジメチル22.5重量部、エチレングリコール0.2重量部、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート2.0重量部、カルボン酸共重合体3重量部及び6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノール0.1重量部を含むスラリーを使用した。
【0150】
積層体2004,2006の焼成には、
[1]室温から500℃まで10〜30時間かけて昇温する工程(脱バインダ工程);
[2]950℃まで20分かけて昇温する工程;及び
[3]950℃を2時間保持する工程、
を順次実行する焼成プロファイルを使用した。
【0151】
外部電極1018,1020を形成するために塗布する導電体ペーストは、900℃で30分かけて焼け付けた。
【0152】
型2902,2904の材質は、ステンレスを選択した。
【0153】
このような条件の下で製造した複合電子部品1002は、単体電子部品のキャパシタとインダクタとを並列接続した場合と同様の特性を示した。また、クラック、デラミネーション等の損傷も確認されなかった。
【0154】
<実施例2>
実施例2では、第3実施形態の複合電子部品の製造方法にしたがって、複合電子部品1002を製造した。
【0155】
ワイヤ1014,1016としては、実施例1と同じ断面形状を有し、白金からなるワイヤを用いた。
【0156】
印刷パターン3108,3208,3210を形成するために印刷する導電体ペーストとしては、白金からなる粉末及びガラスフリットを有機ビヒクルに分散させたペーストを使用した。印刷パターン3112,3212を形成するために印刷する導電体ペーストとしては、銀からなる粉末及びガラスフリットを有機ビヒクルに分散させたペーストを使用した。
【0157】
外部電極1018,1020を形成するために塗布する導電体ペーストとしては、実施例1と同じペーストを使用した。
【0158】
誘電体セラミックス粉末を含むスラリーとしては、バリウム−チタン(Ba−Ti)系誘電体であるチタン酸バリウム(BaTiO3)の粉末100重量部、トリアセチン2.5重量部、グルタル酸ジメチル22.5重量部、エチレングリコール0.2重量部、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート2.0重量部、カルボン酸共重合体3重量部及び6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノール0.1重量部を含むスラリーを使用した。
【0159】
磁性体セラミックス粉末を含むスラリーとしては、実施例1と同じスラリーを使用した。
【0160】
積層体3004の焼成には、
[1]室温から500℃まで10〜30時間かけて昇温する工程(脱バインダ工程);
[2]1250℃まで40分かけて昇温する工程;及び
[3]1250℃を2時間保持する工程、
を順次実行する焼成プロファイルを使用した。
【0161】
積層体3006の焼成には、
[1]室温から500℃まで10〜30時間かけて昇温する工程(脱バインダ工程);
[2]950℃まで20分かけて昇温する工程;及び
[3]950℃を2時間保持する工程、
を順次実行する焼成プロファイルを使用した。
【0162】
外部電極1018,1020を形成するために塗布する導電体ペーストは、実施例1と同じように焼け付けた。
【0163】
このような条件の下で製造した複合電子部品1002は、単体電子部品のキャパシタとインダクタとを並列接続した場合と同様の特性を示した。また、クラック、デラミネーション等の損傷も確認されなかった。
【0164】
<実施例3>
実施例3では、第5実施形態の複合電子部品の製造方法にしたがって、複合電子部品4002を製造した。
【0165】
ワイヤ4014としては、断面形状が厚さ(短手方向)50μm、幅(長手方向)300μmの扁平形状である、銀からなるワイヤを使用した。ワイヤ4016としては、誘電体埋設部分4032及び磁性体埋設部分4034の断面形状が厚さ(短手方向)50μm、幅(長手方向)300μmの扁平形状であり、非埋設部分4026の断面形状が直径70μmの円形状である、銀からなるワイヤを使用した。
【0166】
印刷パターン5108,5208,5210を形成するために印刷する導電体ペーストとしては、実施例1と同じペーストを使用した。
【0167】
外部電極4018,4020を形成するために塗布する導電体ペーストとしては、実施例1と同じペーストを使用した。
【0168】
誘電体セラミックス粉末を含むスラリーとしては、実施例1と同じスラリーを使用した。
【0169】
磁性体セラミックス粉末を含むスラリーとしては、実施例1と同じスラリーを使用した。
【0170】
積層体5004,5006の焼成には、実施例1と同じ焼成プロファイルを使用した。
【0171】
外部電極4018,4020を形成するために塗布する導電体ペーストは、実施例1と同様に焼き付けた。
【0172】
このような条件の下で製造した複合電子部品4002は、単体電子部品のキャパシタとインダクタとを並列接続した場合と同様の特性を示した。また、クラック、デラミネーション等の損傷も確認されなかった。
【0173】
<実施例4>
実施例4では、第7実施形態の複合電子部品の製造方法にしたがって、複合電子部品6002を製造した。
【0174】
ワイヤ6014,6016としては、誘電体埋設部分6028,6032及び磁性体埋設部分6030,6034の断面形状が厚さ(短手方向)50μm、幅(長手方向)300μmの扁平形状であり、非埋設部分6024,6026の断面形状が直径70μmの円形状である、白金からなるワイヤを使用した。ワイヤ6054としては、断面形状が厚さ(短手方向)50μm、幅(長手方向)300μmの扁平形状である、銀からなるワイヤを使用した。
【0175】
印刷パターン7108,7208,7210を形成するために印刷する導電体ペーストとしては、実施例2と同じペーストを使用した。
【0176】
誘電体セラミックス粉末を含むスラリーとしては、実施例2と同じスラリーを使用した。
【0177】
磁性体セラミックス粉末を含むスラリーとしては、実施例1と同じスラリーを使用した。
【0178】
積層体7004,7006の焼成には、実施例2と同じ焼成プロファイルを使用した。
【0179】
外部電極6018,6020を形成するために塗布する導電体ペーストは、実施例1と同じように焼け付けた。
【0180】
このような条件の下で製造した複合電子部品6002は、単体電子部品のキャパシタとインダクタとを並列接続した場合と同様の特性を示した。また、クラック、デラミネーション等の損傷も確認されなかった。
【0181】
<実施例5>
実施例5は、第9実施形態の複合電子部品の製造方法にしたがって、複合電子部品8002を製造した。
【0182】
ワイヤ8014,8016,8056としては、断面形状が厚さ(短手方向)50μm、幅(長手方向)300μmの扁平形状である、銀からなるワイヤを使用した。
【0183】
外部電極8018,8020を形成するために塗布する導電体ペーストとしては、実施例1と同じペーストを使用した。
【0184】
誘電体セラミックス粉末を含むスラリーとしては、実施例1と同じスラリーを使用した。
【0185】
磁性体セラミックス粉末を含むスラリーとしては、実施例1と同じペーストを使用した。
【0186】
積層体8004,8006の焼成には、実施例1と同じ焼成プロファイルを使用した。
【0187】
外部電極8018,8020を形成するために塗布する導電体ペーストは、実施例1と同じ焼け付けた。
【0188】
このような条件の下で製造した複合電子部品8002は、単体電子部品のキャパシタとインダクタとを並列接続した場合と同様の特性を示した。また、クラック、デラミネーション等の損傷も確認されなかった。
【0189】
<実施例6>
誘電体セラミックス粉末を含むスラリーの組成及び磁性体セラミックス粉末を含むスラリーの組成を変更したことを除いては、実施例1と同様に複合電子部品1002を製造した。
【0190】
誘電体セラミックス粉末を含むスラリーとしては、チタン(Ti)系誘電体である酸化チタン(IV)(TiO2)の粉末と軟化点が800℃以下の非晶質ガラスであるMe2O−MaO−SiO2−CuO系ガラス(Me:アルカリ金属,Ma:アルカリ土類金属)の粉末とを混合した混合粉末100重量部、エタノール2.0重量部、イオン交換水25.0重量部、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル5.0重量部、カルボン酸共重合体2重量部及び1−(2−アミノエチル)ピペラジン1.0重量部を含むスラリーを使用した。酸化チタン(IV)(TiO2)の粉末とMe2O−MaO−SiO2−CuO系ガラスの粉末との重量比は、100:20とした。
【0191】
磁性体セラミックス粉末を含むスラリーとしては、酸化鉄(III)(Fe23),酸化ニッケル(II)(NiO),酸化亜鉛(II)(ZnO)及び酸化銅(II)(CuO)の粉末を混合した混合粉末を仮焼して得られた仮焼粉末100重量部、エタノール2.0重量部、イオン交換水25.0重量部、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル5.0重量部、カルボン酸共重合体2重量部及び1−(2−アミノエチル)ピペラジン1.0重量部を含むスラリーを使用した。
【0192】
このような条件の下で製造した複合電子部品1002は、単体電子部品のキャパシタとインダクタとを並列接続した場合と同様の特性を示した。また、クラック、デラミネーション等の損傷も確認されなかった。
【0193】
<実施例7>
誘電体セラミックス粉末を含むスラリーの組成及び磁性体セラミックス粉末を含むスラリーの組成を変更したことを除いては、実施例2と同様に複合電子部品1002を製造した。
【0194】
誘電体セラミックス粉末を含むスラリーとしては、バリウム−チタン(Ba−Ti)系誘電体であるチタン酸バリウム(BaTiO3)の粉末100重量部、イオン交換水35.0重量部、メタクリルアミド6.0重量部、カルボン酸共重合体2.5重量部、N,N´−メチレンビスアクリルアミド0.3重量部、N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミン0.02重量部及び過硫酸アンモニウム0.02重量部を含むスラリーを使用した。
【0195】
磁性体セラミックス粉末を含むスラリーとしては、酸化鉄(III)(Fe23),酸化ニッケル(II)(NiO),酸化亜鉛(II)(ZnO)及び酸化銅(II)(CuO)の粉末を混合した混合粉末を仮焼して得られた仮焼粉末100重量部、イオン交換水35.0重量部、メタクリルアミド6.0重量部、カルボン酸共重合体2.5重量部、N,N´−メチレンビスアクリルアミド0.3重量部、N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミン0.02重量部及び過硫酸アンモニウム0.02重量部を含むスラリーを使用した。
【0196】
このような条件の下で製造した複合電子部品1002は、単体電子部品のキャパシタとインダクタとを並列接続した場合と同様の特性を示した。また、クラック、デラミネーション等の損傷も確認されなかった。
【0197】
<比較例1>
誘電体セラミックス成形体2104,2204,2304と磁性体セラミックス成形体2106,2206,2306とを界面において直接接触させ、充填体1022を充填しなかったたことを除いては、実施例1と同様に複合電子部品を製造した。
【0198】
このような条件の下で製造した複合電子部品は、単体電子部品のキャパシタとインダクタとを並列接続した場合よりも周波数−インピーダンス特性が約10%高周波側へシフトした。また、誘電体セラミックス焼成体1004と磁性体セラミックス焼成体1006との界面においてデラミネーションが確認された。
【0199】
<比較例2>
誘電体セラミックス焼成体1004と磁性体セラミックス成形体3106,3206,3306とを界面において直接接触させ、充填体1022を充填しなかったことを除いては、実施例2と同様に複合電子部品を製造した。
【0200】
このような条件の下で製造した複合電子部品は、単体電子部品のキャパシタとインダクタとを並列接続した場合よりも周波数−インピーダンス特性が約15%高周波側へシフトした。また、誘電体セラミックス焼成体1004と磁性体セラミックス焼成体1006との界面においてクラックが確認された。
【0201】
この発明は詳細に説明されたが、上述の説明は全ての局面において例示であって、この発明は上述の説明に限定されない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定されうる。特に、説明した事項を適宜組み合わせることは当然に予定されている。
【符号の説明】
【0202】
1002,4002,6002,8002:複合電子部品
1014,1016,4014,4016,6014,6016,6054,8014,8016:ワイヤ
1004,4004,6004,8004:誘電体セラミックス焼成体
1006,4006,6006,8006:磁性体セラミックス焼成体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合電子部品の製造方法であって、
(a) 金属又は合金からなる第1のワイヤの第1の部分を第1のセラミックス成形体にゲルキャスト法により埋設する工程;
(b) 前記工程(a)の後に前記第1のワイヤの前記第1の部分から離された第2の部分を前記第1のセラミックス成形体とは別体の第2のセラミックス成形体にゲルキャスト法により埋設する工程;
(c) 前記工程(b)の前又は後に前記第1のセラミックス成形体を焼成し第1のセラミックス焼成体とする工程;及び
(d) 前記工程(c)の後又は前記工程(c)と同時に前記第2のセラミックス成形体を焼成し第2のセラミックス焼成体とする工程、
を備える複合電子部品の製造方法。
【請求項2】
請求項1の複合電子部品の製造方法において、
前記工程(a)は、
前記第1の部分に加えて金属又は合金からなる粉末を含み前記第1の部分に接触する第1の印刷パターンを前記第1のセラミックス成形体に埋設する、
複合電子部品の製造方法。
【請求項3】
請求項1の複合電子部品の製造方法において、
(e) 金属又は合金からなる粉末を含む第2の印刷パターンを第3のセラミックス成形体にゲルキャスト法により埋設する工程;及び
(f) 前記工程(a)及び前記工程(e)の後に前記第1のセラミックス成形体と前記第3のセラミックス成形体とを積層し前記第1の部分と前記第2の印刷パターンとを接触させた第1の積層体を作製する工程;
をさらに備え、
工程(c)は、
前記第1の積層体を焼成する、
複合電子部品の製造方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかの複合電子部品の製造方法において、
前記工程(b)は、
前記第2の部分に加えて金属又は合金からなる粉末を含み前記第2の部分に接触する第3の印刷パターンを前記第2のセラミックス成形体に埋設する、
複合電子部品の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれかの複合電子部品の製造方法において、
(g) 金属又は合金からなる粉末を含む第4の印刷パターンを第4のセラミックス成形体にゲルキャスト法により埋設する工程;及び
(h) 前記工程(a)及び前記工程(g)の後に前記第2のセラミックス成形体と前記第4のセラミックス成形体とを積層し前記第2の部分と前記第4の印刷パターンとを接触させた第2の積層体を作製する工程;
をさらに備え、
工程(d)は、
前記第2の積層体を焼成する、
複合電子部品の製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかの複合電子部品の製造方法において、
(i) 前記工程(a)の前に前記第1の部分にらせん形状部分を形成する工程、
をさらに備える複合電子部品の製造方法。
【請求項7】
請求項1から請求項5までのいずれかの複合電子部品の製造方法において、
前記工程(a)は、
前記第1の部分に加えて、金属又は合金からなり前記第1の部分に沿って延在する第2のワイヤを第1のセラミックス成形体にゲルキャスト法により埋設する、
複合電子部品の製造方法。
【請求項8】
請求項1から請求項5までのいずれかの複合電子部品の製造方法において、
(j) 前記工程(b)の前であって前記工程(a)の前又は後に前記第2の部分にらせん形状部分を形成する工程、
をさらに備える複合電子部品の製造方法。
【請求項9】
請求項1から請求項5までのいずれかの複合電子部品の製造方法において、
前記工程(b)は、
前記第2の部分に加えて、金属又は合金からなり前記第2の部分に沿って延在する第2のワイヤを第2のセラミックス成形体に埋設する、
複合電子部品の製造方法。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれかの複合電子部品の製造方法において、
(k) 前記第1のセラミックス焼成体と前記第2のセラミックス焼成体との間隙に充填体を充填する工程、
をさらに備える複合電子部品の製造方法。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれかの複合電子部品の製造方法において、
前記工程(b)の前に前記工程(c)を実行し、前記工程(c)の後に前記工程(d)を実行する、
複合電子部品の製造方法。
【請求項12】
複合電子部品であって、
金属又は合金からなるつなぎ目がないワイヤと、
前記ワイヤの第1の部分が埋設される第1のセラミックス焼成体と、
前記ワイヤの前記第1の部分から離された第2の部分が埋設される前記第1のセラミックス焼成体とは別体の第2のセラミックス焼成体と、
を備える複合電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2011−61190(P2011−61190A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177371(P2010−177371)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】