説明

複室容器の二つ折り装置

【課題】装置を大型化させることなく装置全体の処理能力を高めることができる複室容器の二つ折り装置を提供する。
【解決手段】輸液バッグ50の長軸を搬送方向と直交する方向に戴置して所定方向に搬送する第1コンベア1と、搬送面が搬送方向に対して左右に分割して構成されたベルトコンベア対20a,20b、21a,21bからなる第2コンベア2と、先端部が互いに接近・離間自在の一対の丸棒を第2コンベア2の分割された搬送面間で形成される空間の上流側と下流側に対向配置するとともに、該一対の丸棒により輸液バッグ50の区画部の両側を下方から吊持する吊持手段3と、吊持手段3を鉛直及び水平方向に移動自在に支持する移戴手段4と、吊持手段3により懸架されて二つ折りにされた輸液バッグ50を移戴手段4から受け取り、二つ折りの状態の輸液バッグ50を所定方向に搬送する第3コンベア110とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複室容器の二つ折り装置に関し、さらに詳しくは、例えば、薬剤が充填された医療用の合成樹脂製二室型輸液バッグを搬送過程中で自動的に二つ折りする装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2種類以上の薬剤を配合する場合、薬剤的相互作用に起因する経時的変化によって薬剤が変質する危険性があるため、区画部で区画された複数の薬剤充填室を備える医療用の合成樹脂製複室輸液バッグを用いて、各未混合薬剤が個別に充填されている。一般的に、医療用の合成樹脂製二室型輸液バッグは、薬剤が充填された後、ピンホール検査工程にて該輸液バッグのピンホールの有無が検査され、包装工程に移送される。薬剤が充填された二室型輸液バッグは平面視で略矩形の扁平な形状であり、そのままの状態でダンボール箱等の包装容器に収納すると嵩張るだけでなく、輸送時に隔壁(区画部)が開通するおそれがある。そこで、二室型輸液バッグ本体の幅方向に形成されている区画部で二つ折りにしてから包装容器に収納している。
【0003】
これまで、二室型輸液バッグを二つ折りして包装容器に収納する作業は作業員により実施されていたため、作業効率が悪く、包装容器に二室型輸液バッグを詰めるライン全体の処理能力を高めることができなかった。このため、二室型輸液バッグの二つ折り作業を自動化することにより処理能力を向上させることが要望されていた。
【0004】
そこで、従来、輸液バッグを下流側に受け渡す受渡しコンベアと、受渡しコンベアから輸液バッグを受け取る受取りコンベアとを所定の間隔を設けて配置し、受渡しコンベアの終端部付近と受取りコンベアの上方との間を進退する受取り部材を主シリンダ機構に備え、受取り部材が内方を空間にしたアングル材と輸液バッグの進行方向に対して両側方から補助シリンダ機構により進退自在に構成されたピン状の支吊部材から構成され、受取りコンベアが受渡しコンベアより低位置に段差を設けて後続させることにより、受取り部材にて受取った輸液バッグを搬送中に二つ折りする輸液バッグ等に対するバッグ自動半折り装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
このバッグ自動半折り装置は、受渡しコンベアの排出端で前記ピン状の支吊部材により輸液バッグの中央部の両側を吊持した後、該輸液バッグを主シリンダ機構により後続の受取りコンベア上に引き出して移戴する。そして、輸液バッグが受渡しコンベアから受取りコンベアに移戴される際、輸液バッグの自重による垂下作用と垂下した輸液バッグの一部が受取りコンベアに接触する作用によって輸液バッグを半折りするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平5−67499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されているバッグ自動半折り装置においては、搬送過程中に輸液バッグを自重によって垂下する目的で受渡しコンベアと受取りコンベアとが所定の間隔を設けて配置されているため、そのための設置スペースが必要であり、装置全体が大型化するという問題がある。
【0008】
また、従来のバッグ自動半折り装置において処理能力をさらに高めるには、受渡しコンベア及び受取りコンベアの搬送速度を増速させることが考えられる。前記各コンベアの搬送速度を増速させると、それに応じて主シリンダ機構及び補助シリンダ機構の作動速度を高める必要がある。一方、受取りコンベア側に設けられている主シリンダ機構は、受渡しコンベアと受取りコンベアとが所定の間隔を設けて配置されていることから、必然的にストローク長の長いシリンダが用いられる。しかし、ストローク長の長いシリンダ機構は高速作動には不向きであり、装置の処理能力をさらに高めるには機構上、改善の余地が残されていた。その他、装置の処理能力を高める手法として、2台の装置を並列に配置することも考えられるが、装置全体がさらに大型化してしまい、現実的ではない。
【0009】
したがって、本発明は、前記問題点を解決することを課題としてなされたものであり、その目的とするところは、装置を大型化させることなく装置全体の処理能力を高めることができる複室容器の二つ折り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
容器本体に形成された区画部により区画された複数の薬剤充填室を有する複室容器を二つ折りする複室容器の二つ折り装置である。複室容器の長軸を搬送方向と直交する方向に戴置して所定方向に搬送する第1の搬送手段と、第1の搬送手段の下流側に配設されるとともに、搬送面が搬送方向に対して左右に分割して構成され、第1の搬送手段から送り込まれる複室容器を受け取って所定方向に搬送する第2の搬送手段と、先端部が互いに接近・離間自在の一対の棒状部材を第2の搬送手段の前記分割された搬送面間で形成される空間の上流側と下流側に対向配置するとともに、該一対の棒状部材により複室容器の区画部の両側を下方から吊持する吊持手段と、吊持手段を鉛直方向及び水平方向に移動自在に支持する移戴手段と、前記第2の搬送手段の近傍に配設され、吊持手段により懸架されて二つ折りにされた複室容器を移戴手段から受け取り、二つ折りにされた状態の複室容器を所定方向に搬送する第3の搬送手段とを含んでいる。
【0011】
第2の搬送手段の所定位置において、吊持手段を複数直列に配置し、これに対応して移送手段を複数配設することが好ましい。
【0012】
複室容器を移戴手段により第2の搬送手段から第3の搬送手段へ移戴する際に、第3の搬送手段の近傍に該複室容器の一部を接触させながら案内する案内手段を設けてもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る複室容器の二つ折り装置によれば、複室容器を二つ折りする際、複室容器の吊持動作が吊持手段により円滑に行われ、吊持手段により二つ折りにされて懸架された複室容器の昇降及び水平移動が移戴手段により円滑に行われる。その結果、複室容器を二つ折りにして下流側の工程へ移送する作業を自動的に、かつ、高効率に行うことができ、また、装置を大型化させることなく装置全体の処理能力高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る複室容器の二つ折り装置を示す平面図である。
【図2】図1におけるA方向から見た吊持手段及び移戴手段の詳細図である。
【図3】吊持手段が移戴手段により下降する動作説明図である。
【図4】吊持手段により懸架されて二つ折りにされた複室容器を移戴手段が上方に移送する動作説明図である。
【図5】吊持手段により懸架されて二つ折りにされた複室容器を移戴手段により第2のコンベアから第3のコンベアへ移戴する動作説明図である。
【図6】二つ折りにされた複室容器が第3のコンベアへ移戴され、移戴手段が待機位置に戻る状態を示す動作説明図である。
【図7】複室容器の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の対象となる複室容器の形態は、医療用の「二室型輸液バッグ」や、本出願人が特開2005−287658号公報にて提案している3つの薬剤充填室を有する医療用の「三室型輸液バッグ」等に等しく適用できることから、本明細書および特許請求の範囲に記載されている「複室容器」の用語は、それらを含む広い意味を有するものと理解されるべきである。
【0016】
1.複室容器の構成
図7は、複室容器の一例である二室型輸液バッグ50(以下、単に「輸液バッグ50」と称する。)を示す。この輸液バッグ50は、バッグ本体51と該バッグ本体51の開口部に取り付けられた薬剤排出用の筒状の口栓60とを有する。輸液バッグ50は、対向する2枚のフィルムシートの内壁の間に薬剤排出管62が挟持された状態で四方を熱融着処理して強シール部52が形成されている。輸液バッグ50は、一方の壁部の内表面とこれに対向する他方の壁部の内表面とを加熱溶着することにより、弱シール部53がバッグ本体51の中央部の短辺側の幅方向に形成されている。
【0017】
弱シール部53は、バッグ本体51内部を第1と第2の薬剤充填室54,55に区画し、第1と第2の薬剤充填室54,55の壁部を押圧すると剥離することが可能な強度で構成されている。一方、強シール部52は、第1と第2の薬剤充填室54,55の壁部を押圧しても剥離することができない強度で構成されている。口栓60は薬剤排出口61と薬剤排出管62からなり、薬剤排出口61上部に弱シール部53の剥離の注意を促す注意書等が記載された矩形状のフィルムシート63が貼り付けられている。
【0018】
前記構成からなる輸液バッグ50は、本実施の形態の複室容器の二つ折り装置Tによる二つ折り工程の前工程にて自動薬剤注入装置より所定量の薬剤が充填される。
【0019】
2.複室容器の二つ折り装置の構成
次に、本実施の形態に係る複室容器の二つ折り装置について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本実施の形態の複室容器の二つ折り装置T(以下、単に「二つ折り装置T」と称する。)を示す。この二つ折り装置Tは、大略、第1コンベア1と、第2コンベア2と、輸液バッグ50を下方から吊持する吊持手段3と、吊持手段3を昇降及び水平移動自在に支持する移戴手段4と、第3コンベア110からなる。第1コンベアの上流側には送込みコンベア100が、第3コンベア110の下流側にはカーブコンベア120と送出しコンベア130とがそれぞれ配設されている。これらの各構成機器の駆動を含む一連の動作は、図示しない制御部により制御される。
【0020】
第1コンベア1は、送込みコンベア100によって長軸を搬送方向と直交する方向に戴置されて供給される輸液バッグ50を受取り、第2コンベア2へ向けて搬送するコンベア本体としての無端帯状のベルトコンベアで構成されている。
【0021】
第2コンベア2は、搬送方向の前後に所定の隙間を設けて直列に配置された一対のベルトコンベア20a,20b及び21a,21bからなる無端帯状のベルトコンベアで構成され、各ベルトコンベア対20a,20b及び21a,21bが互いに共動して駆動する。また、各ベルトコンベア対20a,20b及び21a,21bは、第1コンベア1から送り込まれてきた輸液バッグ50の各薬剤充填室をそれぞれの搬送面で支持するため搬送方向に対して互いに所定の間隔もって平行に配置されている。
【0022】
ベルトコンベア対20a,20bの出口端とベルトコンベア対21a,21bの入口端との間に形成されている隙間には、後続する輸液バッグ50のベルトコンベア対21a,21bへの進入を阻止する阻止手段としての昇降ストッパ25a,25bが設けられている。この昇降ストッパ25a,25bの作動は図示しない制御部により制御される。また、ベルトコンベア対21a,21bの出口端には搬送されてくる輸液バッグ50を所定位置に停止させて待機させる固定ストッパ26a,26bが設けられている。
【0023】
ベルトコンベア対20a,20bの入口端近傍には、輸液バッグ50の到来を検知するセンサS1が設けられ、このセンサS1は搬送面を挟んで対向配置された一対の投受光器70と反射板71とから構成されている。ベルトコンベア対20a,20bの出口端近傍及びベルトコンベア対21a,21bのほぼ中央部にもセンサS1と同一構成のセンサS2とS3とが設けられている。
【0024】
吊持手段3は、ベルトコンベア対20a,20bの搬送面上の所定位置と、ベルトコンベア対21a,21bの搬送面上の所定位置とにそれぞれ位置し、それらの各吊持手段3を昇降移動及び水平移動自在に支持する各移戴手段4が第2コンベア2と第3コンベア110とを跨ぐようにそれぞれ配置されている。
【0025】
次に、吊持手段3及び移戴手段4の詳細構成について説明する。図2は、図1におけるA方向から見た吊持手段3及び移戴手段4の詳細構成を示す。吊持手段3は、輸液バッグ50を吊持する吊持機構部30と吊持機構部30を支持する支持機構部36からなる。
【0026】
吊持機構部30は、シリンダ機構32aのシリンダロッド側を搬送方向上流側に、シリンダ機構32bのシリンダロッド側を搬送方向下流側に位置させ、シリンダ機構32aのシリンダロッド先端から垂下して取り付けられている支持杆31aにより丸棒30aをほぼ水平に保持し、同様に、シリンダ機構32bのシリンダロッド先端から垂下して取り付けられている支持杆31bにより丸棒30bをほぼ水平に保持して丸棒30a,30bの先端部が互いに矢印方向に接近・離間自在に対向配置した構成としてある。
【0027】
そして、輸液バッグ50の区画部(弱シール部53)の両側を下方から吊持する際は、シリンダ機構32a,32bのシリンダロッド320a,320bを後退させることにより丸棒30a,30bの先端部間の距離を所定距離まで接近させる。輸液バッグ50の吊持を解除する際は、シリンダ機構32a,32bのシリンダロッド320a,320bを前進させることにより丸棒30a,30bの先端部間の距離を所定距離まで離間させる。
【0028】
吊持手段3の支持機構部36は、鉛直板部36a、水平板部36b及びリブ36cにより構成されている。
【0029】
また、吊持機構部30のシリンダ機構32aは、スペーサ34を介してシリンダ機構33の図示しないシリンダロッドに接続されている略L字状の可動部材330に固設されているとともに、該シリンダ機構33が吊持手段3の水平板部36bの下面に固設されている。一方、シリンダ機構32bは、固定部材35を介して水平板部36bの下面に固設されている。
【0030】
このように、吊持機構部30に支持されるシリンダ機構32aとシリンダ機構32bとの支持方法が異なる理由は、薬剤容量が小容量の輸液バッグは図7で示した輸液バッグ50よりも短辺側の幅方向の寸法が短く、これを二つ折りする際、丸棒30aと30bの先端部間の距離をさらに接近させる必要があるからである。
【0031】
具体的には、シリンダ機構33を作動させることにより、略L字状の可動部材330が矢印方向に突出し、これに連動してシリンダ機構32a本体及びスペーサ34が矢印方向に突出する。その結果、丸棒30aと30bの先端部間の距離をさらに接近させることができる。
【0032】
移戴手段4は、互いに直交する移動軸40(X軸)と移動軸42(Y軸)とを有している。移動軸40は図示しない二つ折り装置Tのフレームに固定され、移動軸42は移動軸40上をX’−X方向に摺動するX軸スライダ41に固定されている。また、移動軸42上を摺動するY軸スライダ43には、前記支持機構部36の鉛直板部36aが固設されている。なお、各スライダ41,43の駆動は、例えば、ボールネジまたはベルトをモータで駆動する等の公知の適切な方法で行われる。これにより、移戴手段4に支持される吊持手段3は、水平方向(X’−X方向)及び鉛直方向(Y−Y’方向)へ自在に移動することが可能になっている。
【0033】
ここでは、ベルトコンベア対20a,20bの搬送面上の所定位置に位置する吊持手段3及び移戴手段4の詳細構成を説明したが、ベルトコンベア対21a,21bの搬送面上の所定位置に位置する吊持手段3及び移戴手段4の構成についても、吊持手段3の支持機構部36及び移戴手段4が左右対称となるだけで、その他の構成は前述のものと同一であるので説明を省略する。
【0034】
第3コンベア110は、第2コンベア2の側方近傍位置に所定の間隔を設けて該第2コンベア2と平行に配設され、移戴手段4により移戴されて二つ折りされた状態の輸液バッグ50を所定方向に搬送するコンベア本体としての無端帯状のベルトコンベアで構成されている。
【0035】
第3コンベア110にて所定方向に搬送される二つ折りにされた状態の輸液バッグ50は、下流側の作業員の目視による製品検査工程に搬送される。このため、第3コンベア110の搬送面高さが第1コンベア1及び第2コンベア2の搬送面高さよりも高く形成されている。
【0036】
搬送面高さの異なるコンベア間の輸液バッグ50の移戴を円滑に、かつ、安定的に行うため、第3コンベア110の第2コンベア2側の側部には、吊持手段3により懸架されて垂下した輸液バッグ50の一部を接触させながら第3コンベア110上に案内するためのガイド部材115がベルトコンベア対20a,20b、21a,21bに対応して2つ配置されている。ガイド部材115は、所定ピッチで複数配置された円柱状の棒状部材とこれらの棒状部材の両端部を支持する支持部材からなり、側面形状がスロープ状に形成されている(図5参照)。棒状部材は輸液バッグ50との滑り性を高めるため、例えば、プラスチック樹脂等で形成されている。
【0037】
また、第3コンベア110には、ベルトコンベア対20a,20bと21a,21bとから第3コンベア110上の所定の位置に輸液バッグ50が移戴されたこと検知するセンサS4とS5が設けられている。これらのセンサS4及びS5は、搬送面を挟んで斜めに対向配置された一対の投受光器80及び反射板81、投受光器82及び反射板83から構成されている。
【0038】
3.複室容器の二つ折り装置の動作
次に、前記構成からなる本実施の形態の二つ折り装置Tの動作について、図1及び図3〜図6を参照して説明する。先ず、輸液バッグ50は、送込みコンベア100により長軸を搬送方向と直交する方向に戴置されて第1コンベア1を介して第2コンベア2へ移送される。
【0039】
図1に示すように、輸液バッグ50が第2コンベア2のベルトコンベア対20a,20bに移送されると、センサS1の投受光器70から出射される光が遮光され、輸液バッグ50のベルトコンベア対20a,20bへの到来が検知される。続いて、センサS2が、輸液バッグ50がベルトコンベア対20a,20bの出口端近傍に到来したことを検知する。
【0040】
輸液バッグ50がコンベア対20a,20bからベルトコンベア対21a,21bに移送されると、輸液バッグ50の通過に伴い遮光されていたセンサS2の投受光器72からの光は、再び投受光器72の受光部で受光される。この時、図示しない制御部が昇降ストッパ25a,25bを制御してそれらを搬送面上から突出するよう上昇させ、後続する輸液バッグ50のベルトコンベア対21a,21bへの進入を阻止する。
【0041】
そして、輸液バッグ50の前端部がベルトコンベア対21a,21bの中央部に到来すると、センサS3の投受光器74から出射される光が遮光されるとともに、制御部がこれを検出してベルトコンベア対21a,21bの駆動を停止する信号を出力し、これを停止させる。その結果、輸液バッグ50は、ベルトコンベア対21a,21b上の所定位置で停止する。
【0042】
一方、後続の輸液バッグ50が送込みコンベア100により第1コンベア1を介して第2コンベア2のベルトコンベア対20a,20bに移送され、該輸液バッグ50の前端部がセンサS1の投受光器70から出射される光を遮光すると、制御部がこれを検出して第1コンベア1及びベルトコンベア対20a,20bの駆動を検出から約1秒後に停止するよう制御する。その結果、後続の輸液バッグ50がベルトコンベア対20a,20b上の所定位置で停止するとともに、さらに後続の輸液バッグ50が第1コンベア1上で停止する。そして、ベルトコンベア対20a,20bの出口端において搬送面上に突出していた昇降ストッパ25a,25bが待機位置に下降する。
【0043】
次に、吊持手段3による輸液バッグ50を懸架して二つ折りにする動作及び移戴手段による該輸液バッグ50の第2コンベア2から第3コンベア110への移戴動作を説明する。なお、この動作説明では、ベルトコンベア対20a,20b上の輸液バッグ50を二つ折りして第3コンベア110に移戴する動作に着目して説明する。
【0044】
図3(a)に示すように、輸液バッグ50がベルトコンベア対20a,20b上の所定位置で停止すると、図示しない制御部は、移戴手段4(図示せず)を制御してベルトコンベア20aと20bとの搬送面間で形成されている空間上に待機していた吊持手段3を所定の位置まで下降させる。具体的には、図3(b)に示すように、シリンダ機構32a及びシリンダ機構32bの先端から各支持杆31a,31bを介して水平保持されている丸棒30a,30bをベルトコンベア対20a,20bの搬送面よりも下側に位置するよう移戴手段4を下降させる。
【0045】
次に、図4に示すように、シリンダ機構32a及びシリンダ機構32bの各シリンダロッドを後退させることにより丸棒30a,30bの先端部間の距離を所定距離まで接近させた後、移戴手段4(図示せず)を上昇させ、輸液バッグ50の区画部(弱シール部53)の両側を下方から吊持する。この時、吊持手段3により区画部(弱シール部53)の両側を下方から懸架された輸液バッグ50は、該輸液バッグ50の自重により二つ折りにされる。
【0046】
図5(a)に示すように、制御部は、吊持手段3により懸架されて二つ折りにされた輸液バッグ50を第3コンベア110へ移戴するよう移戴手段4(図示せず)を第3コンベア110側に水平移動させるよう制御する。この時、輸液バッグ50は、該輸液バッグ50の第3コンベア110側に位置する薬剤充填室の下部を側面形状がスロープ状に形成されているガイド部材115に当接しながら第3コンベア110上に移戴される。
【0047】
その際、輸液バッグ50はガイド部材115に沿って斜めに倒されて二つ折りの状態で第3コンベア110上に移戴されることとなり、その結果、二つ折りにされた輸液バッグ50の姿勢が崩れることなく、ベルトコンベア対20a,20b上から第3コンベア110上へ輸液バッグ50を円滑に移戴することができる。
【0048】
図5(b)に示すように、移戴手段4(図示せず)が輸液バッグ50を第3コンベア110上の所定位置に戴置する際、第3コンベア110の搬送面高さに合わせて約数センチ程下降して該輸液バッグ50を第3コンベア110上の所定位置に戴置する。
【0049】
図1に戻り、輸液バッグ50が第3コンベア110上の所定位置まで戴置されると、センサS4の投受光器80から出射される光が遮光されるとともに、制御部がこれを検出する。そして、図6(a)に示すように、制御部は、シリンダ機構32a及びシリンダ機構32bの各シリンダロッド320a,320bを前進させることにより丸棒30a,30bの先端部間の距離を所定距離まで離間させ、輸液バッグ50の吊持を解除するよう制御する。
【0050】
図6(b)に示すように、輸液バッグ50から離脱した吊持手段3は、移戴手段4(図示せず)により上昇しながらベルトコンベア対20a,20b側に水平移動し、待機位置に戻る。以降、上述した動作を繰り返し、二つ折りされた輸液バッグ50は、カーブコンベア120によりそのままの向きで送出しコンベア130に搬送され、下流側の工程に送り込まれる。
【0051】
このように、本実施の形態の二つ折り装置Tによれば、輸液バッグ50を二つ折りする際、輸液バッグ50の吊持動作が吊持手段3により円滑に行われ、吊持手段3により二つ折りにされて懸架された輸液バッグ50の昇降及び水平移動が移戴手段4により円滑に行われることとなる。その結果、輸液バッグ50を二つ折りにして下流側の工程へ移送する作業を自動的に、かつ、高効率に行うことができる。
【0052】
また、第2コンベア2を直列に配設したベルトコンベア対20a,20b、ベルトコンベア対21a,21bで構成し、これに対応して吊持手段3及び移戴手段4をそれぞれに配置したので、装置を大型化させることなく装置全体の処理能力高めることができる。
【0053】
今回、開示した実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は、上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
1 第1コンベア
2 第2コンベア
3 吊持手段
4 移戴手段
30 吊持機構部
36 支持機構部
40 移動軸(X軸)
42 移動軸(Y軸)
50 輸液バッグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体に形成された区画部により区画された複数の薬剤充填室を有する複室容器を二つ折りする複室容器の二つ折り装置であって、
前記複室容器の長軸を搬送方向と直交する方向に戴置して所定方向に搬送する第1の搬送手段と、
前記第1の搬送手段の下流側に配設されるとともに、搬送面が搬送方向に対して左右に分割して構成され、前記第1の搬送手段から送り込まれる前記複室容器を受け取って所定方向に搬送する第2の搬送手段と、
先端部が互いに接近・離間自在の一対の棒状部材を前記第2の搬送手段の前記分割された搬送面間で形成される空間の上流側と下流側に対向配置するとともに、該一対の棒状部材により前記複室容器の前記区画部の両側を下方から吊持する吊持手段と、
前記吊持手段を鉛直方向及び水平方向に移動自在に支持する移戴手段と、
前記第2の搬送手段の近傍に配設され、前記吊持手段により懸架されて二つ折りにされた前記複室容器を前記移戴手段から受け取り、前記二つ折りにされた状態の前記複室容器を所定方向に搬送する第3の搬送手段とを含むことを特徴とする複室容器の二つ折り装置。
【請求項2】
前記第2の搬送手段の所定位置において、前記吊持手段を複数直列に配置し、これに対応して前記移戴手段を複数配設したことを特徴とする請求項1に記載の複室容器の二つ折り装置。
【請求項3】
前記複室容器を前記移戴手段により前記第2の搬送手段から前記第3の搬送手段へ移戴する際に、前記第3の搬送手段の近傍に該複室容器の一部を接触させながら案内する案内手段を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の複室容器の二つ折り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−50668(P2011−50668A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204412(P2009−204412)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000238201)扶桑薬品工業株式会社 (42)
【Fターム(参考)】