説明

複層ガラス窓

【課題】防犯やプライバシーの保護の機能とともに、外観意匠にも優れたガラス窓を提供する。
【解決手段】 窓枠8と、その窓枠8内に所定の空間を保つようにスペーサー1を介して対向して組み込まれたペアガラス2とにより複層ガラス窓3を構成し、これらペアガラス2の内部空間に複数の透孔5を格子状に穿設したステンレス製の目開板4を設ける。すなわち、ペアガラス2の内部空間には内部空間の層厚に対してその中央部に目開板4を配し、両ガラス板2, 2と離間せしめる。目開板4の材質は特に限定しないが、ステンレスあるいは類似の金属であって、剛性に優れ、耐久性に富むものを採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般住宅を含む建築物用のガラス窓に関し、とくにペアガラスを用いた複層ガラス窓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅の窓等の開口部、例えば台所の窓や外部の道路に面した廊下に、防犯のために一定の間隔で打ち付けられた格子を取り付けている。また、防犯目的だけでなく美観やデザインの向上のために、鋳造品や鍛造品からなる木目調の面格子等を使用する例もある。このような面格子として、例えば縦格子やクロス格子等があり、その主たる使用目的として、防犯や美観上の理由とともにプライバシーの保護という観点からの使用もある。
【0003】
上述した面格子は、基本的には建物の外部に設置するものであるため、木製であれば部材の劣化や火災時の延焼等の問題があり、金属製であっても清掃の面倒さや煩わしさが伴う。また、地震等の緊急時の室内からの脱出の妨げとなる欠点がある。一方、窓枠と窓枠内に所定の空間を保つように対向して組み込まれたペアガラス板とにより構成された複層ガラス窓がある。
【0004】
従来の複層ガラス窓はガラス板の間は空気層だけであるため、ガラスを破壊することにより容易に建物内部への侵入が可能である。そこで、ガラス板破壊による侵入を防ぐために、上記した面格子の利用、強化ガラス、防犯フイルム等を用いる方法が採られている。そして、この効果をさらに高めるために、ペアガラスの内部空間に硬質の格子状介在物を配することは公知であり、これにより外部からの侵入防止効果をさらに高めるとともに美観を高めるものである。
【0005】
例えば、窓枠全体に強固な骨組みを取付これをガラス板で挟んで2重にし、内部にブラインドを入れたり真空にして伝熱や採光を調節するもの(特許文献1)や、窓枠レールにする目的で、格子目間隔を狭くした格子に細目柄格子を具備し、網布を付着させ、格子戸が家内の自然換気の役割も果たす構成にされたもの(特許文献2)、上部横枠、下部横枠、左縦枠、および右縦枠を四角状に枠組みしてなる窓枠と、その窓枠内に所定の空間を保つように対向して組み込まれたペアガラスとによりサッシ窓を構成し、ペアガラスで形成された空間内に、上部横枠と下部横枠との間を縦方向に平行して走る複数の縦格子を設けたもの(特許文献3)、対面する一対のガラス板の対向面周縁部全周にスペーサーを配置し、接着して形成された内部空間に、ガラス板と非接触に筒型格子辺よりなる組格子を配材した複層ガラス(特許文献4)等が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2002-332787号公報
【特許文献2】特開2001-73651号広報
【特許文献3】実用新案登録第3113167号広報
【特許文献4】特開平11−106242号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明もまた、上記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、防犯やプライバシー保護の機能とともに、緊急避難性および外観意匠にも優れた複層ガラス窓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明は、窓枠と、その窓枠内に所定の空間を保つようにスペーサーを介して対向して組み込まれたペアガラスとにより構成された複層ガラス窓において、ペアガラスの内部空間に複数の透孔を穿設した目開板を設けたことを第1の特徴とする。また、クレセント(施錠部)近傍は透孔の開口面積が小さくされるか透孔が隠蔽されていることを第2の特徴とする。さらに、透孔の開口面積が人手の通過不能な大きさに形成されていることを第3の特徴とする。さらにまた、目開板がステンレス製であることを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、優れた防犯性、防火性、耐候性を有し、緊急時の避難性に優れ、プライバシーの保護ができ、建築物の美観も高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。図1は、本発明にかかる複層ガラス窓の正面図、図2は複層ガラス窓のクレセント近傍を示す要部拡大図、図3は本発明にかかる複層ガラス窓の構造を示す一部分解斜視図、図4は本発明に係る複層ガラス窓の構造を示す部分側断面図、図5は目開板ホルダーを示す(a)は展開平面図、(b)は側面図、(c)は正面図、図6は目開板の一実施例を示す正面図、図7及至図9は目開板の他の実施例を示す正面図である。
【実施例】
【0011】
図1に示すように、本発明では、窓枠8と、その窓枠8内に所定の空間を保つようにスペーサー1を介して対向して組み込まれたペアガラス2とにより複層ガラス窓3を構成し、これらペアガラス2の内部空間に複数の透孔を格子状に穿設したステンレス製の目開板4が設けられている。ガラス板は通常透明で無着色又は着色したソーダ石灰系ガラスが用いられるが、これに限定されるものではない。またガラス板の厚み3mm程度ないし6mm程度、目開板4の厚みは1.5mm程度のものを使用し、重量が大きくなり過ぎないよう配慮する。
【0012】
ペアガラス2の内部空間には内部空間の層厚に対してその中央部に目開板4を配し、両ガラス板2, 2と離間せしめる。目開板4の材質は特に限定しないが、ステンレスあるいは類似の金属であって、剛性に優れ、耐久性に富むものを採用する。目開き透孔5の一辺の長さは40mm〜100mm程度、間隔は15mm程度と適宣採用される。とくに、クレセント(施錠部)6近傍は透孔5の一辺の長さが5mm〜10mm又はドライバー等の器具が挿入可能な程度に透孔5の開口面積が小さくされるか透孔5が隠蔽される。すなわち、透孔5の開口面積が人手の通過不能な大きさに形成されている。これにより、万一、ガラス板2が破壊されても開錠が困難になるようにされている。また、100mm四方程度の人手が挿通可能な大きさの透孔5は、たとえ腕が入ったとしてもクレセント(施錠部)6には手先が届かない範疇に設ける。
【0013】
図3及至図5に示すように、ペアガラス2の内部空間への目開板4の固定は、図5に示す目開板ホルダー7を用いて行う。すなわち、ホルダー7の一対の嵌合片7aを立ち上げて目開板4の端縁を嵌め込み、ホルダー7の両端爪部7bを下方に折り込んで、この爪部7bをスペーサー1に差し込んで目開板4を保持固定する。尚、本実施例のホルダー7は金属製であるが、ゴムや合成樹脂等を用いたパッキング材を用いるものでも良い。
【0014】
図6及至図8は目開板4の透孔配置パターンを例示した平面図で、格子形状は図6のような全面が同じ大きさの透孔5を配するものに限らず各種のパターンのものが採用でき、これらも本発明の範疇である。また、この透孔5に色ガラス等を嵌め込むことでステンドグラス様の意匠効果を楽しむことも出来る。
【0015】
尚、上記の実施例では、目開板4の透孔5を矩形状としているが、これに限定されるものではなく、防犯機能、意匠性向上等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、円、楕円、放射線状、幾何学模様等他の形状にすることもできる。また、例えば、目開板4の材質は窓枠の構成部分に応じてアルミニューム等を用いることも可能である。
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、複層ガラス窓に要求される耐候性、防火性、防犯性をさらに向上することが出来、緊急時の避難性に優れ、窓の美観を向上する効果のみならずブラインドと同様の目隠し機能を発揮し、プライバシーの保護にも効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る複層ガラス窓の正面図である。
【図2】複層ガラス窓のクレセント近傍を示す要部拡大図である。
【図3】本発明に係る複層ガラス窓の構造を示す一部分解斜視図である。
【図4】本発明に係る複層ガラス窓の構造を示す部分側断面図である。
【図5】目開板ホルダーを示す(a)は展開平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図6】目開板の一実施例を示す正面図である。
【図7】目開板の他の実施例を示す正面図である。
【図8】目開板の他の実施例を示す正面図である。
【図9】目開板の他の実施礼を示す正面図である。
【符号の説明】
【0018】
1
スペーサー
2
ガラス板
3
複層ガラス窓
4
目開板
5
透孔
6
クレセント(施錠部)
7
目開板ホルダー
7a 嵌合片
7b 爪部
8
窓枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓枠と、その窓枠内に所定の空間を保つようにスペーサーを介して対向して組み込まれたペアガラスとにより構成された複層ガラス窓において、ペアガラスの内部空間に複数の透孔を穿設した目開板を設けたことを特徴とする複層ガラス窓。
【請求項2】
クレセント(施錠部)近傍は透孔の開口面積が小さくされるか透孔が隠蔽されていることを特徴とする請求項1記載の複層ガラス窓。
【請求項3】
透孔の開口面積が人手の通過不能な大きさに形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の複層ガラス窓。
【請求項4】
目開板がステンレス製であることを特徴とする請求項1及至請求項3のいずれかに記載の複層ガラス窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−150748(P2010−150748A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326989(P2008−326989)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(508376524)
【Fターム(参考)】