説明

複数のスリットを備えるロック機構を有するデバイス

挿入可能要素を収容できるアプリケータデバイスと、挿入末端部及び把持部末端部を有する挿入部材。デバイスは、直径、挿入末端部、及び把持部末端部を有するプランジャを含む。プランジャの挿入末端部は、プランジャの直径より大きい直径を有するロック機構から構成される。ロック機構はまた、複数のスリットも含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費者の挿入体験を改善するために、改良されたロック機構領域を有する挿入可能要素を収容できるデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野において既知であるように、デバイスは、タンポン又は薬剤など、体腔に挿入されることを意図する材料を収容するためと、意図するオリフィス内にその材料を放出するための両方に使用される。典型的には、デバイスは、挿入部材及びプランジャを備える。吸収性タンポンなど、デバイスから放出される材料は、挿入部材の中に配置される。挿入部材は、タンポンを挿入するための第1末端部と、プランジャを受容するための第2末端部とを有する。デバイスを使用するために、消費者は第1末端部を適切に配置して、挿入部材を把持し、また挿入部材の中でプランジャを第1末端部に向かって移動させて、タンポンを挿入する。デバイスにはまた、デバイスの内容物が十分に放出されるときをユーザが決定できるようにリム又はストップ(止め具)を含むものもある。
【0003】
デバイスの取り扱いを容易にし、また挿入体験を改善するために、様々なロック機構の形体が提案されている。1つの取り組みは、内スリーブの長手方向スリットを介して曲げることができ、また突き出るように、外スリーブに一体的に接続された舌形の保持要素を備えるロック機構を有する、米国特許第6,019,744号に開示されるようなタンポンデバイスである。別の取り組みは、プランジャから放射状に外側に突き出た肩と戻りのヘリとを備えるリムを有するプランジャを備える、米国特許第6,450,986号に開示されるようなタンポンである。リムは、デバイスの筒と干渉して、停止する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらのデザインはプラスチックのデバイスについてはうまく機能するものの、改良されたロック機構を有するあまり高価でないタンポンデバイスの必要が依然としてある。本発明の優れたデザイン及び方法は、消費者の挿入体験を改善する、紙、板紙、厚紙、又はこれらの組み合わせからなる改良されたロック機構を有するデバイスを提供すると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、挿入可能要素を収容できるアプリケータデバイスを含み、また挿入部材は、挿入末端部及び把持部末端部を有する。デバイスは、直径、挿入末端部、及び把持部末端部を有するプランンジャを備える。プランジャの挿入末端部は、前記プランジャの直径より大きい直径を有するロック機構を備える。ロック機構は複数のスリットを備える。幾つかの実施形態では、ロック機構は、プランジャが挿入部材の中に滑動可能に導入されるように配置される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本明細書で使用するとき、「デバイス」は、タンポン、薬剤、治療デバイス、視覚化補助器などを、膣、直腸、耳腔、鼻腔、又は喉など、哺乳動物の外部オリフィスに挿入するのを容易にするデバイス又は器具を指す。そのようなものの非限定的な特定の例には、いわゆる入れ子式の管及びプランジャと小型デバイス類を含む、タンポンの挿入のために使用されてよい、タンポンを受容することができる衛生的に設計されたあらゆる既知のデバイス、病気の予防又は治療のための部分に薬剤を供給するためのデバイス、繊維光学による、接続した先端にマイクロカメラを備える分光器、あらゆるデザインの検鏡、舌押し下げ器、耳腔を検査するための管、手術器具を導くための細い中空のパイプなどが挙げられる。
【0007】
本明細書で使用する「接合した」又は「取り付けた」という用語は、第1要素を第2要素に直接固着することによって第1要素を第2要素に直接固定する構成;第1要素を中間部材に固着し、次にその中間部材を第2要素に固着することによって第1要素を第2要素に間接的に固定する構成;及び第1要素が第2要素と一体化している構成、すなわち、第1要素が本質的に第2要素の一部分である構成を包含する。
【0008】
本明細書で使用する「タンポン」という用語は、流体を吸収して創傷治癒を助けるために、又は薬剤若しくは水分など、活性物質を送達するために、膣管又は体の他の空洞に挿入されるいかなるタイプの吸収性構造体をも指す。タンポンは、放射方向に、長手方向軸線に沿って軸線方向に、又は放射方向及び軸線方向の両方向にほぼ円筒形の形状に圧縮されてよい。タンポンは、ほぼ円筒形の形状に圧縮されてもよいものの、他の形が可能である。これらは、四角形、三角形、台形、半円形、砂時計形、S字状、又は他の好適な形として説明することができる横断面を有する形状を含んでもよい。タンポンは、挿入末端部、引き抜き末端部、長さ、幅、長手方向軸線、及び放射状軸線を有する。タンポンの長さは、長手方向軸線に沿って挿入末端部から引き抜き末端部まで測定することができる。人が使用するための典型的な圧縮タンポンは、長さ30〜60mmである。タンポンの形は直線であっても、長手方向軸線に沿って湾曲するような非直線であってもよい。典型的な圧縮タンポンは、幅8〜20mmである。タンポンの幅は、本明細書において他に説明がなければ、タンポンの長さに沿った円筒形の最大横断面を横切る長さに対応する。
【0009】
本明細書で使用する「膣腔」、「膣内」、及び「膣内部」という用語は、同義であることを意図し、また哺乳類の雌の体の外陰部における内部生殖器を指す。本明細書で使用する「膣腔」という用語は、膣口(膣の括約筋又は結婚指輪(hymeneal ring)と呼ばれることがある)と子宮頚部との間に位置する空間を指すことを意図する。「膣腔」、「膣内」、及び「膣内部」という用語は、陰唇間空間、前庭の基部、又は外から見える生殖器を含まない。
【0010】
本明細書で使用する「cm」はセンチメートルであり、「mm」はミリメートルである。
【0011】
図1及び図2は、本発明のデバイス10を示す。デバイス10は、タンポン36など、挿入可能要素を収容するのに適合した挿入部材20とプランジャ30を含む。挿入部材20は、挿入末端部22及び把持部末端部24を有する。デバイス10は、直径D、長手方向軸線L、挿入末端部26、及び把持部末端部28を有するプランジャ30を備える。プランジャ26の挿入末端部は、ロック機構32を備える。ロック機構32は、複数のスリット34を備える。ロック機構32は、プランジャ30の直径Dより大きい直径D2を有する。幾つかの実施形態では、スリット34は、前記長手方向軸線Lに平行である。
【0012】
挿入部材20は、螺線形に巻いた、包旋形に巻いた、又は長手方向に継ぎ合わされた中空の管の形体であり、これは、紙、板紙、厚紙、又はこれらの組み合わせから形成される。挿入部材20はまた、プラスチックシートから熱成形されるか、又はプラスチックフィルムから折り畳まれる若しくは巻かれるなど、可撓性塑性体から射出成型されても又は形成されてもよい。挿入部材20はまた、紙とプラスチックの組み合わせから形成されてもよい。しかし、プランジャ30は、紙、板紙、厚紙、又はこれらの組み合わせのみから形成される。プランジャ30は、螺旋形に巻いた、包旋形に巻いた、又は長手方向に継ぎ合わされた中空の管の形体である。
【0013】
挿入部材20は一般に外側管とも呼ばれ、約10mm〜約20mmの比較的小さい直径を有する。挿入部材20は、約0.1mm〜約0.7mmの予め定められた厚さの壁を有する。プランジャ30は、挿入部材20より小さい直径を有する。挿入部材20及びプランジャ30の壁は、単プライの材料から構成されてもよく、又は合わせて固着されて積層体を形成する2以上のプライから形成されてもよい。
【0014】
2以上のプライ又は層を使用すると、製造者が、タンポンデバイス10の性能を高めることができる様々な層において特定の材料を使用することができるので、好ましい。2以上のプライが使用されるとき、全てのプライは螺旋形に巻かれるか、包旋形に巻かれるか、又は長手方向に継ぎ合わされて、細長い円筒を形成することができる。例えば、幾つかの実施形態では、より粗い、またおそらくより厚いプライを取り囲む外側又は外部表面上の滑らかな薄い材料のプライを使用して、壁を構成することができる。少なくとも3プライを含む実施形態では、中間のプライはより厚いプライであってもよく、内部プライ及び外部プライは滑らか及び/又は滑りやすく、タンポン36の放出を容易にし、また女性の膣に挿入部材20を個々に挿入するのを容易にすることができる。薄くて滑らかな2つのプライの間に、厚くてより粗い材料のプライを挟むことによって、非常に機能的である安価な挿入部材20が提供できる。壁は1〜4プライを含んでもよいが、必要であれば、それより多いプライが使用されてもよい。同様に、挿入部材20の末端部にへりを作ってもよい。
【0015】
にかわなどの接着剤は、又は熱、圧力、超音波などによって、合わさって壁を形成するプライを保持できる。接着剤は水溶性又は非水溶性のどちらであってもよい。水溶性接着剤は、水に浸したとき壁が迅速に分離するという環境的な理由のためである。そのような浸漬は、挿入部材20をトイレに流すことによって処理される場合に起こる。水への浸漬、化学物質との相互作用、及び攪拌の全てが起こる自治体の汚物処理設備に挿入部材20がさらされることによって、比較的短時間で壁が分離し、均等に分散する。
【0016】
挿入部材20の内径は、通常は約0.75インチ(約19mm)未満、好ましくは約0.625インチ(約16mm)未満である。タンポン36の外径は様々であるが、女性が使用する大抵のタンポン36は、約0.75インチ(約19mm)未満の外径を有する。しかし、農場の動物又は他の哺乳動物などの動物に薬剤を投与するために本発明を使用することを所望する場合、より大きい直径を有する挿入部材を必要とするより大きい寸法のタンポン36が使用できる。
【0017】
あるいは、材料は、管の形体に重なり合ってもよい。挿入部材20が積層体から形成されるとき、挿入部材20を螺旋形又は包旋形に巻いて円筒管にすることは、特に有利である。繊維若しくは塑性体の成型など、管の他の形成方法、又は一体式の管の形成(例:熱成形塑性体)の場合、継ぎ目は存在せず、管の成型又は形成プロセスの一部として、任意にコルゲート部が形成されてもよい。
【0018】
挿入部材20は、吸収性タンポン36など、挿入可能要素を収容する寸法及び形体である。上記のように、挿入部材20は、女性の膣に挿入部材20を挿入するのを容易にする、実質的に滑らかな外部表面を有する必要がある。外部表面が滑らか及び/又は滑りやすいとき、挿入部材20は、膣の内部組織の剥離を起こすことなく女性の膣に容易に滑り込む。挿入部材20は、コーティングされて、高い滑り特性をもたらすことができる。ワックス、ポリエチレン、ワックスとポリエチレンの組み合わせ、セロファン、粘土、雲母、及び他の潤滑剤が、挿入部材20に塗布されて挿入を快適で容易にすることができる代表的なコーティングである。
【0019】
本発明のデバイス10は、挿入される物体を含むのに有用である形状又は横断面を有してもよい。含まれるタンポン36の形状は、挿入部材20の形状を示すことが多いが、例えば円筒のタンポン36が、四角形のデバイスに収容されてもよいように、この一般的な基準から逸脱してもよい。故に、挿入部材20は、円形、楕円形、多角形(例えば、台形、四角形、三角形)などが限定なく挙げられる多数の断面形を取ってもよい。加えて、挿入部材20は、ほぼ細長い、湾曲した、若しくは可撓性であってもよいか、又は当業者に明白な他の形状を取ってもよい。
【0020】
プランジャ30は、挿入部材20の内径の中で滑動可能に形成される。プランジャ30のロック機構32は、デバイス10の内容物が十分に放出されるときにユーザが決定できるようなストップを提供するように設計される。ロック機構32はまた、挿入中又は輸送中にプランジャ30が挿入部材20から引っ張られないように、プランジャ30が挿入部材20の内側で滑動可能に形成されたままであることも確実にする。管の特定の形状は重要でないものの、ロック機構32が挿入部材20とプランジャ30の分離を防ぐために、挿入部材20の少なくとも一部分との干渉が作られる必要がある。これは、プランジャ30の直径Dより大きい直径D2を有するようにロック機構32を形成することによって達成できる。ロック機構32は、プランジャ30から少なくとも約0.1mm〜少なくとも約3mm、放射状に外側に突き出るように形成される。ロック機構32は、約2〜約24のスリット34を有してもよい。ロック機構32は、約2〜約12のスリット34か、又は約3〜約6のスリット34を有してもよい。プランジャ30のロック機構32が挿入部材20に滑動可能に導入されるように、プランジャ30は挿入部材20に挿入される。
【0021】
本発明のデバイスは、挿入末端部22及び把持部末端部24を有する挿入部材20を最初に提供することによって作製される。次に、直径、挿入末端部26、及び把持部末端部28を有するプランジャ30が提供される。プランジャ30の挿入末端部26に複数のスリット34が作られる。複数の別個のナイフ、はさみ、レーザー、及びスリットを付ける回転する輪が、プランジャ30の挿入末端部26にスリットを付けるために使用されてもよい。幾つかの実施形態では、スリット34は、パターンに配置した複数のナイフにプランジャ30の挿入末端部26を押し込むことによって作られてもよい。プランジャ30の挿入末端部26にスリットが付いた後、プランジャ30の挿入末端部26は変形されて、ロック機構を形成する。プランジャ30の挿入末端部26の変形は、プランジャ30の挿入末端部26を圧縮することによって行われる。幾つかの実施形態では、プランジャ30の挿入末端部26の変形は、雄と雌の対の型の間で、プランジャ30の挿入末端部26を圧縮することによって行われてもよい。プランジャ30の挿入末端部26の変形はまた、収束するプレート又はベルトの間で、長手方向軸線に沿ってプランジャ30を圧縮することによって行われてもよい。プランジャを固定した部材の表面に衝突させることもまた、プランジャ30の挿入末端部26を変形させることがある。プランジャを保持しつつ、それに移動する部材の表面を衝突させることもまた、プランジャ30の挿入末端部26を変形させることがある。次に、プランジャが挿入部材20に挿入される。幾つかの実施形態では、ロック機構32は、プランジャ30が挿入部材20に滑動可能に導入されるように配置される。
【0022】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれているが、どの文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であるとの容認と解釈されるべきではない。
本発明の特定の実施形態を例示し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のデバイスの側面図。
【図2】本発明のプランジャの側面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入末端部及び把持部末端部を有する挿入部材と、
直径、挿入末端部、及び把持部末端部を有するプランジャとを備える、挿入可能要素を収容できるアプリケータデバイスであって;前記プランジャの前記挿入末端部が、前記プランジャの前記直径より大きい直径を有し;複数のスリットを含むロック機構を備えることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記プランジャが紙から構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記挿入部材が紙から構成される、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記プランジャが長手方向軸線を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記スリットが前記長手方向軸線に平行である、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記ロック機構が2〜24のスリット;好ましくは2〜12のスリット;より好ましくは3〜6のスリット;を備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記プランジャの前記ロック機構が滑動可能に前記挿入部材に導入される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のデバイス。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−502167(P2007−502167A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523346(P2006−523346)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/026086
【国際公開番号】WO2005/018519
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】