説明

複数のプラズマ生成器を備えた有害廃棄物処理システム

一次的処理のための少なくとも1つの固定位置のプラズマアーク生成器(36)、および
二次的処理補助のため、および/または反応器から出る前のスラグの最終的な状態のために少なくとも1つの可動式プラズマアーク生成器(38)を使用する、廃棄物処理システムが提供される。この最適な処理環境は、処理を効率化するために、反応器構成の制御および処理特性の実時間制御によって提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物および/または有害物質を処理するための方法およびシステムに関する。
【0002】
従来技術
現代社会が直面している大きな問題は、環境への悪影響を最小限にする形態で、有毒な廃棄物および/または有害物質の処理することである。このような処理システムの1つは、有毒および/または有害な廃棄物を、環境に配慮した処理に適応する化合物に還元することができるものである。当然ながらこの適応性は、許容され得るレベルの汚染という観点から定義され、種々の規制機関によって定められる。
【0003】
従来の有害廃棄物の処理においては、埋立地への直接埋め立て、または簡単な熱処理、さらには固形残留物の埋め立ておよび揮発性の残留物の大気への放出などを採用してきた。環境に放出された物質が許容し得ない汚染の原因として残存することが多いという事実から、これらの手法は、いずれも許容され得るものとして証明されたものではない。
【0004】
廃棄物および/または有害物質を処理するために通常とられる別の手法は、処理システムの反応器内の温度が均一になるとみなして、その仕切られた空間内に単一の熱源を適用することである。この仮定は、処理システムの反応器内で形成され得る潜在的なコールドスポットの認識を欠く。かかるシステムでは、通常システムに入るすべての廃棄組成物が気化する。しかし、すべてのガス要素がさらされる全体の温度環境が、より有毒な廃棄物および/または有害物質の全体的かつ効果的な破壊を確実とするために必要な環境となる保証はない。処理システムの反応器の中央に設けられる単一の熱源により、この反応器の耐熱性の壁の近傍に通り道を形成し、それによって完全な分解のために必要とされる温度/滞留時間の組み合わせを与えられることなく、ガス要素が移動できる。また、気化反応で反応器内のガス要素が発生することにより、反応器内のガスの流れのパターンは劇的に変化し得る。この結果、気体状の有害な化合物が反応器から排出され、かつ/または完全に処理されていない廃棄物の構成要素がスラグに変わることがある。下流燃焼は、特定の処理システム、つまりプラズマ処理システム、の完全な温度性能を達成できない。したがって、処理システムの反応器から排出された気体状の有害な化合物が、ガスの取り扱いが異常な程に複雑になり、場合によっては過度の汚染物質が大気に排出されることになる。スラグの中に完全に処理されていない廃棄物があると、この有害物質のすべてまたは一部が、スラグが反応器から抽出された後においても残留し得ることになる。これは、スラグが浸出水毒性制限を超過し、そのために引き続き特別な処理または保管要件を必要とする有害廃棄物として残留することを意味すると言える。
【0005】
廃棄物および/または有害物質を処理するための他の処理システムは、プラズマアーク生成器を使用する全体の反応器温度を劇的に上げることによって、つまり、反応器処理チャンバ全体をとおして触れられる最低温度を、すべての成分が適当に熱分解するのに十分であることを確実にすることによって、欠点を克服しようと試みている。この手法は、汚染成分の一部が良好な熱分解を達成するために必要な高温に十分にさらされない問題を解決する。しかしその際には、プラズマ生成器の電極腐食の増大、反応器の耐熱寿命の短縮、熱損失の増大、電力消費の増大、ガス処理システムの冷却負荷の増大、揮発する汚染成分、特に重金属、の増大などを含む、他の問題が生じる。結果として生じる高温の排出生成ガスは、プラズマアーク生成器電力の無駄となるだけでなく、有害汚染物質の増大につながる。このような問題が組み合わされると、システム全体の処理効率およびコスト対効果を劇的に減少させる。
【0006】
このため産業廃棄物を処理するために多数の手法が開発されてきた。解決方法を主張する特許文献は数多く存在する。
【0007】
1973年10月23日にKrumに付与された米国特許3,766,866号は、廃棄物の熱分解および燃焼用の主チャンバおよび副チャンバを備えた熱的廃棄物変換器を教示する。この特許発明は、廃棄物の気化用の熱分解チャンバであって、廃棄物の入口およびそれから生成されるガスの出口を備えたものを有する、廃棄物リサイクル装置を提供する。独立した副チャンバは、熱分解チャンバからのガスの入口および燃焼のガスのための出口を有している。熱分解チャンバの出口を副チャンバの入口に連結する手段がある。固形残留物を熱分解チャンバから副チャンバに導く手段がある。副チャンバ内の燃焼器は、副チャンバ内の固形残留物を還元して融解した状態にするために、熱分解チャンバ内で生成された可燃性ガスを燃焼させる。
【0008】
1984年3月27日にBodayに付与された米国特許第4,438,706号は、直流電流(DC)アーク放出タイプのプラズマトーチを用いて廃棄物を破壊する試みを提供する。この特許発明は、特定のタイプの廃棄物の熱化学的分解用の酸化剤と組み合わせてDCアーク放出プラズマトーチを使用することを教示する。トーチガスは空気であり、気体状態での廃棄物が、トーチガスによって加熱されるプラズマアーク生成器の下流において酸素とともに導入される。この方法は、プラズマをプラズマ反応器の一端のプラズマトーチに移動させることを含む。この方法は、有機物廃棄蒸気および予め加熱された酸素を、プラズマと相互作用させるためにトーチに導入することを含む。この方法は、前記相互作用の最終生成物を、トーチの位置とは反対にあるプラズマ反応器の一端から、ガス洗浄設備に放出することを含む。
【0009】
Faldtらは、1984年10月30日に付与された米国特許第4,479,443号において、廃棄物を熱的に分解するためにアーク放出プラズマトーチを使用することを開示している。固体粒子の状態の廃棄物は、粒子が粘着することによりトーチが汚れるのを防ぐために、アークの下流に導入される。酸化剤、たとえば酸素および空気は、トーチガスによって廃棄物が加熱される前、もしくはその間、またはその後で、廃棄物と混合される。廃棄物の完全な参加のために十分な酸化剤が必要となる。この装置は、高温プラズマを生成するためのプラズマ生成器を備え、ここで、プラズマのすべての分子が少なくとも所望の最低温度に達する。この装置は、安定な生成物への完全な分解が可能となるように、十分な酸化剤を有害廃棄物に供給する手段を備える。この装置は、有害廃棄物が十分な時間十分に高い温度に達し得、安定な最終生成物へと完全に熱分解するように、プラズマの温度およびプラズマ生成器における有害廃棄物の流れを制御する手段を備える。
【0010】
Bartonらは、1984年10月30日に付与された米国特許第6,644,877号において、廃棄物の熱分解のためにDCアークプラズマバーナーを使用することを開示している。プラズマアークの形成または生成を阻害するのを防ぐために、廃棄物をアーク電極の下流に供給するように対策がなされている。バーナーに続いて反応チャンバが用いられ、ガスと粒子状物を混合させ、これらをアルカリスプレーで急冷し、中和する。機械スクラバを用いて、ガスを分離し、排気ファンを用いて回収する。この装置は、5,000℃超の温度を有するプラズマバーナーを備える。この装置は、プラズマバーナーに連結され、プラズマアークを受け入れる耐熱性の内張りが施された反応チャンバを有する、反応器を備える。この装置は、実質的に熱分解条件で、原子化およびイオン化される同一直線状の電極スペースのプラズマアークに廃棄物を直接挿入し、そして反応チャンバ内で再結合生成物に再結合させるための手段を備える。この装置は、再結合された生成物を除去するための出口を備える。
【0011】
Changらは、1989年12月12日に付与された米国特許第4,886,001号において、廃棄物を熱分解するための装置を提供する。この装置は、少なくとも動作温度5000℃のプラズマを作りだすためのプラズマトーチを備え、廃棄物中の溶液を破壊し、ガスと固体粒子の混合物を形成する。トーチは、原子化された状態で、廃棄物を導入する手段と組み合わされる。この装置は、ガスと固体粒子の混合物を受け入れ、隔離するための再結合チャンバを備える。この装置は、不完全真空を提供し、固体粒子から残りのガスを除去するための固体の隔離体を備える。
【0012】
Brombergらは、1994年2月22日に付与された米国特許第5,256,854号において、同時に高エネルギー電子の放射と無線周波数(rf)誘導領域とで有毒ガスを攻撃し、蒸発した毒性物質を破壊する方法および装置を教示する。よって、この特許発明は、有毒廃棄物を破壊するための2つのチャンバのシステムであって、有毒廃棄物を加熱し、蒸発させるように適合された第一のチャンバ、および第一のチャンバからガスを受け入れる第二のチャンバを備えたものを提供する。第二のチャンバは、同時かつ連続的な誘導加熱および電子ビーム放射の調整可能な組み合わせを介して、大気温度以上で、かつ誘導された熱のみによって有毒廃棄物を破壊するために必要とされるものより低い温度で、ガス中の有毒分子を分解するために用いられる。
【0013】
Wongらに1994年2月22日に付与された米国特許第5,288,969号は、有害廃棄物を転移させるために大気圧で動作する、誘導的に組み合わされた(inductively coupled)無線周波数プラズマトーチ技術を教示する。つまり、この特許発明は、処理される廃棄物のソース(source)を含む装置を提供する。この装置は、高温状態に励起されたときにプラズマ中で自由電子を形成することができるガスのソースを含む。この装置は、廃棄物をこのガスと混合する混合手段を備える。この装置は、反応チャンバを備える。この装置は、廃棄物とガスの混合物を反応チャンバを介して輸送する手段を備える。この装置は、自由電子を含むプラズマを形成するために、反応チャンバ内のガスを電磁エネルギーで励起させる励起手段を備える。ここで、励起手段は、RFプラズマトーチを含む。この装置は、廃棄物を分離するために十分な時間、反応器内の上昇温度レベルにおいて自由電子を維持するためのタイミング手段を備える。
【0014】
Muiらに1996年7月30日に付与された米国特許第5,541,386号は、水分、揮発性の要素およびガラス化できる要素を処理するための装置および方法を提供する。廃棄物は、脱水機内で加熱されて水分が取り除かれ、そして高温の乾燥機内で加熱され、炭化水素の液体を蒸発させる。そして、一次プラズマ反応器の焦点に供給される。そこでは、プラズマアークジェットが、ガラス化できる要素のプールの表面に焦点を合わされる。焦点において、ガラス化できる要素は溶解し、揮発性の要素は蒸発する。溶解した要素は、急冷チャンバ内に受け入れられ、そこで急冷ローラー上に凝固し、小さい固まりに分けられて受け入れ領域に送られる。急冷チャンバからの熱は、脱水機および高温乾燥機に輸送される。炭化水素の液体および蒸発した要素は、二次プラズマ反応器に供給され、そこで各基本要素に分離される。二次プラズマ反応器からの流れ出たものは、洗浄され、硫化水素、ハロゲンおよび残留要素が超過分の水蒸気とともに除去され、吸収器で抽出され、二次プラズマ生成器内でさらに処理するために戻される。
【0015】
1998年7月14日にJenkinsに付与された米国特許第5,779,991号は、シリンダ状のラビリンスを用いてガスストリーム中の有害化合物を破壊する装置であって、ガスラビリンス内部の異なるゾーンを介してプラズマまたはコロナ放電を生成し、維持するために複数の電界が用いられるものを教示する。つまり、この特許発明は、隔離された第一のゾーンおよび第二のゾーンを含む、可動式の廃棄物焼却器であって、第一のゾーンが第一のライブ電極(live electrode)およびグラウンド電極を有し、この電極が第一のコンパートメントおよび第二のコンパートメントを含むものを提供する。この可動式廃棄物焼却器は、第一のコンパートメントで第一の電界を生成するため、また廃棄物ガス内のプラズマを生成するために、第一の電気エネルギーレベルにおいて第一のライブ電極を励起する手段を備える。この可動式廃棄物焼却器は、内部にマウントされ、第二のコンパートメントから間隔をおかれた第二のライブ電極を有する第二のゾーンであって、第二のコンパートメントで第一のガス流路の下流と連通する第二のガス流路を画定するものを含む。可動式廃棄物焼却器は、第二のコンパートメントで第二の電界を生成するため、第二の電気エネルギーレベルにおいて第二のライブ電極を励起する手段を備える。ここで、この第二の電界は、廃棄物ガスが第二のガス流路を介して流れるときに、廃棄物ガス中のプラズマを維持することができる。この可動式廃棄物焼却器は、第一のゾーンと第二のゾーンの間にプラズマを維持し、第一の電界と第二の電界の間に電気エネルギーの補足的ソースを提供するために、第二のライブ電極と第一のライブ電極の間に第三の電界を生成する手段を備える。
【0016】
2003年4月22日にEckhoffらに付与された米国特許第5,798,496号は、可動式プラズマによる廃棄物処理システムであって、アークトーチプラズマ技術を利用して産業廃棄物を処理するものを教示する。この移動式反応器は、廃棄物を導入する上端部と、下端部を有する回動可能なキルンを備え、ここで、この回動可能なキルンは移動可能な車両にマウントされる。これは、キルンの下端部に隣接して配置された後方部(breech)を含み、少なくとも1つの後方部および下端部は、熱分解処置された廃棄物の放出の出口を形成する。これは、プラズマガンから間隔をおいて設けられ、少なくとも1つの後方部およびキルンに取り付けられた少なくとも2つのターゲット電極を備える。少なくとも1つのプラズマガンおよび少なくとも1つのターゲット電極は、移動可能である。
【0017】
2004年4月22日にMarkunasらに付与された米国特許第6,552,295号は、有害廃棄物のプラズマ処理をするための方法および装置であって、有害物質を収容チャンバ内の真空下で揮発させ、予め処理されたガスを、プラズマ形成次回がつくられるプラズマ形成領域を含むプラズマ炉に入力として提供するものを提供する。この予め処理されたガスは、予め処理されたガスに含まれる反応物がプラズマ形成領域を移動する際に完全に分離するように、プラズマ形成領域を介し、迂回することなく低圧で通過し、直接誘導的に組み合わされたプラズマ状態に活性化される。好ましくは、プラズマ形成領域は、予め処理されたガス中の有害廃棄物反応物がプラズマ形成領域を迂回することを可能にするバイパス部ができないように、真空環として成形され、寸法決めされる。プラズマ炉は、電力を基本周波数として出力する高周波数電力供給によって電力供給される。この電力供給は、非基本周波数、寄生周波数が基本周波数出力電力を不安定にすることを防ぐために、寄生電力散逸(parasitic power dissipation)機構を含む。
【0018】
発明の概要
上述した従来技術のプラズマを用いた廃棄物分解システムは、種々の欠点があった。1つの欠点は、一般に廃棄物はプラズマアークに直接導入できないという事実による。これは、直接導入によりアーク電極が汚染され、アークの操作が不安定となるためである。したがって、廃棄物はアークの下流に導入され、トーチガスで間接的に加熱される。この技術では、廃棄物の高温滞留時間が短くなり、分解が不完全となる。
【0019】
さらに、プラズマアークの性能は、廃棄物およびキャリアガスの流量に非常に影響を受けやすい。そのため流量は、狭い限られた範囲内に制限される必要があり、このことはシステム性能を制御し、維持する際に困難さを伴う。使用に伴うアーク電極腐食は、維持、操作、安定性および安全性をさらに困難にしていた。DCアークプラズマの小規模での操作は非常に非効率である。これは、部分的には、アークを開始し、維持するために必要な最低限のガス流量および電力要件を原因とする。異なる廃棄物処理量レベルで種々の廃棄物を扱うための従来技術のシステムの規模を変える(scaling)ことは、高コストとなる主要なシステム構成の変更を必要とし、困難であるとされてきた。
【0020】
さらに、従来技術のシステムにおける廃棄物に閉じこめられた有機物、酸化剤および/または還元剤が必要であるため、非常に望ましくない化合物が廃棄物残留物に残ることが多い。
【0021】
要するに、従来技術のシステムはいずれも、すべてのタイプ、すべての形態の有害廃棄物を環境に配慮した処理に適する化合物に還元する、一貫した方法を提供するものではない。
【0022】
したがって、本発明の目的の概略は、これらの欠点を解決すること、そして、低出力レベルおよび長い耐熱寿命を維持しつつ、すべての有害構成要素の全体的な破壊を確実にする、有害廃棄物処理システムおよびその方法を提供することにある。
【0023】
発明の説明
本発明の概略的一態様は、廃棄物および/または有害物質の処理をするための装置を提供する。該装置は、耐熱性の内張りを施した反応器を備える。該装置は、前記耐熱性の内張りを施した反応器内のプラズマ生成手段であって、前記耐熱性の内張りを施した反応器の全周囲にわたって実質的に均一の高温を有する、高温プラズマ処理ゾーンを提供する、前記プラズマ生成手段を備える。プラズマ生成手段は、少なくとも1つの固定位置のプラズマアーク生成器および少なくとも1つの可動式プラズマアーク生成器を備える。該装置は、廃棄物および/または有害物質を、前記高温プラズマ処理ゾーンに供給して、その全体に供給する、第一の供給手段を備える。該装置は、前記廃棄物および/または有害物質を実質的に完全に分解し、安定した無害物質に変換するために、前記高温プラズマ処理ゾーンに十分な処理添加剤を供給する、第二の供給手段を備える。該装置は、前記プラズマ生成手段および前記廃棄物および/または有害物質の流れを、前記高温プラズマ処理ゾーンを介して制御するための制御手段であって、前記廃棄物および/または有害物質のすべてが十分な時間十分な高温に至り、前記廃棄物および/または有害物質を非常に小さいイオンに完全に熱的に分解することを確実にする、前記制御手段を備える。適当な処理添加物が、分解生成物を安定した無害最終生成物に変換する最適な化学平衡を得るために利用可能である。該装置は、反応器から生成ガスを除去するガス除去手段を備える。該装置は、前記生成ガスストリーム中の粒子状物質の量を決定するためにガスストリームをモニタリングするためのモニタリング手段を備える。該装置は、溶岩状の状態の固体の安定した無害最終生成物を該装置から除去するための固体除去手段を備える。
【0024】
本発明の第二の概略的態様は、廃棄物および/または有害物質を処理するための方法を提供する。該方法は、プラズマ生成手段をその中に備えた耐熱性の内張りが施された反応器を与えること、少なくとも1つの固定位置のプラズマアーク生成器および少なくとも1つの可動式プラズマアーク生成器を含むプラズマ生成手段を用いることによって、前記耐熱性の内張りを施した反応器の全周囲にわたって実質的に均一の高温を有する、高温プラズマ処理ゾーンを生成することを含む。該方法は、固体状および/または液体状の廃棄物および/または有害物質を、前記高温プラズマ処理ゾーンに、好ましくは連続的に、供給して、その全体に供給することを含む。該方法は、前記廃棄物および/または有害物質を完全に分解し、安定した無害物質およびスラグ物質に変換するために、前記高温プラズマ処理ゾーンに十分な処理添加剤を選択的に、好ましくは連続的に、供給することを含む。該方法は、耐熱性の内張りが施された反応器から気体生成物を、好ましくは連続的に、除去することを含む。該方法は、ガス生成物中の粒子状物質の量を決定するために、ガス生成物を、好ましくは連続的に、モニタリングすることを含む。該方法は、固体の安定した無害最終生成物を耐熱性の内張りを施した容器から除去することを含む。
【0025】
本発明の他の特徴
本発明の装置の態様の第一の特徴によれば、少なくとも一つの固定位置のプラズマアーク生成器は、複数の、たとえば2つの、固定位置のプラズマアーク生成器であって、それらは、耐熱性の内張りを施した反応器内に、その側面から相対して配置され、互いに対して角度変位を伴って、廃棄物および/または有害物質の装置への入口の中央付近の焦点でプラズマアークプルームが交差する。
【0026】
本発明の装置の態様の第二の特徴によれば、少なくとも1つの可動式プラズマアーク生成器は、耐熱性の内張りを施した反応器の上部にマウントされた単一の可動式プラズマアーク生成器であって、固定位置のプラズマアーク生成器からのプラズマアークプルームの交差によって生成された焦点、または溶解したスラグプールに向かって狙いを定めることが可能となるように3つの自由度を有する、前記単一の可動式プラズマアーク生成器を含む。
【0027】
本発明の装置の態様の第三の特徴によれば、第1の供給手段は、複数の廃棄物および/または有害物質供給ポートを備え、その各々は、固定位置のプラズマアーク生成器からのプラズマアークプルームの焦点に直接供給するように構成される。
【0028】
本発明の装置の態様の第四の特徴によれば、ガス除去手段および固体除去手段は、第1供給手段と正反対に設けられるポートである。
【0029】
本発明の装置の態様の第五の特徴によれば、該装置は、固定位置のプラズマアーク生成器からのプラズマアークプルームの交差焦点をちょうど過ぎた点に向かって蒸気を注入するための少なくとも1つのポートを、供給入口から反対側に備える。また、ガス排出域を覆う蒸気注入ポートも備える。
【0030】
本発明の装置の態様の第六の特徴によれば、供給手段は、耐熱性の内張りを施した反応器の回りに間隔をおいて配置される、複数の空気入口ポートを備える。
【0031】
本発明の装置の態様の第七の特徴によれば、ガス除去手段は、
空気で運ばれる固体を、排出ガスストリームによって反応器の外に運ぶのではなく、反応器に戻すガスの排出速度を生成するように構成されたガス出口管を備える。
【0032】
本発明の装置の態様の第八の特徴によれば、耐熱性の内張りを施した反応器の下方部分は、開口を容易にするため、着脱可能な底部要素が耐熱性の内張りを施した容器の残りの部分と連結可能となるようにフランジ付きである。
【0033】
本発明の装置の態様の第九の特徴によれば、耐熱性の内張りは、A.P.Green G26LI、G23LI、G20LIおよびINSULBLOK19と同様の物質を含む。
【0034】
本発明の装置の態様の第十の特徴によれば、耐熱性の内張りを施した反応器の下方部分は、加熱面耐熱材からなり、該加熱面耐熱材は、RADEX COMPAC−FLO V253またはDIDIER RK30と同様の物質を含む。
【0035】
本発明の装置の態様の第十一の特徴によれば、該装置は、耐熱性の内張りを施した反応器の下方部分用の任意の水冷却手段を備える。
【0036】
本発明の装置の態様の第十二の特徴によれば、モニタリング手段は、排出ガスストリームの不透明度を決定するように構成されたセンサを備える。
【0037】
本発明の装置の態様の第十三の特徴によれば、センサは、センサの表面にわたって窒素の流れを提供するように構成された窒素堆積物除去要素によって、本質的に堆積物がない状態に維持される。
【0038】
本発明の装置の態様の第十四の特徴によれば、センサは、センサの領域において負圧状態を維持するための要素によって、本質的に堆積物がない状態に維持される。
【0039】
本発明の装置の態様の第十五の特徴によれば、該装置は、耐熱性の内張りが施された反応器内に着脱可能な予熱燃焼器も備える。
【0040】
本発明の装置の態様の第十六の特徴によれば、耐熱性の内張りが施された反応器は、シリンダ状である。
【0041】
本発明の方法の態様の第一の特徴によれば、該方法は、廃棄物および/または有害物質を、高温プラズマ処理ゾーンに供給して、その全体に供給するためのポートに近接して、可動式プラズマアーク生成器を配置することを含む。
【0042】
本発明の方法の態様の第二の特徴によれば、該方法は、蒸気を高温プラズマ処理ゾーンおよびガス排出域に向かって注入することをさらに含む。
【0043】
本発明の方法の態様の第三の特徴によれば、該方法は、空気入口ポートを、耐熱性の内張りを施した反応器の回りに間隔をおいて配置すること、および処理添加剤を、前記入口ポートを介して高温プラズマ処理ゾーンに選択的に供給することを含む。
【0044】
本発明の方法の態様の第四の特徴によれば、該方法は、排出ガスで反応器の外に運ばれるのと反対に、空気で運ばれる固体が反応器に戻るようにするために、ガス排出速度を生成することをさらに含む。
【0045】
本発明の方法の態様の第五の特徴によれば、該方法は、耐熱性の内張りを施した反応器の下方部分を冷却するオプションを含む。
【0046】
本発明の方法の態様の第六の特徴によれば、該方法は、不透明度センサで気体生成物の不透明度を決定することを含むことによって、ガス生成物をモニタリングすることを含む。
【0047】
本発明の方法の態様の第七の特徴によれば、該方法は、センサの表面にわたって窒素ストリームを流すことによって、不透明度センサ要素を本質的に堆積物がない状態に維持することをさらに含む。
【0048】
本発明の方法の態様の第八の特徴によれば、該方法は、センサの領域において負圧を維持することによって、本質的に堆積物がない状態に維持することをさらに含む。
【0049】
本発明の方法の態様の第九の特徴によれば、着脱可能な燃焼器を用いて、耐熱性の内張りが施された反応器内を予め加熱する第一のステップをさらに含む。
【0050】
本発明の概略的な説明
本発明は、一次的処理に供する、好ましくは複数、たとえば2つの固定位置のプラズマアーク生成器の使用、ならびに装置、すなわち反応器から排出する前のスラグの二次的な、または処理補助の、および/または最終的な調整に供する、単一の可動式プラズマアーク生成器の使用を包含する。後述するように、本発明は、効率を最適にするために反応器の構造を制御することを提供する。プラズマアーク生成器の位置決めおよび操作は、流れるスラグを溶かし、押しやるために適切な熱集中が提供するとともに、生成ガス排出ポートで可能な限りの低温生成ガス温度を達成するために、最適に必要とされる高温処理ゾーンを提供する。
【0051】
廃棄物および/または有害物質の完全分解の多くは、すべての入力廃棄物および/または有害物質がそこを介して移動するように、反応器の全周にわたる固体壁として高温処理ゾーンが維持される場合に達成される。本発明の観点において、プラズマプルームが焦点で交差することができるように、また反応器への有害廃棄物供給口に最も完全な温度範囲を提供できるように、一次的処理用の固定位置のプラズマアークは、反応器内であって、その反対側に互いに角度変位を伴って提供される。これらのプラズマアーク生成器からのプラズマアークプルームの焦点は、好ましくは廃棄物入口の中央付近に固定される。これらは、反応器全体で有利なガスの流れパターンを形成するとともに、最適な高温処理ゾーンを維持するように調節可能である。可動式プラズマアーク生成器は、プラズマアークプルームを、固体位置のプラズマアーク生成器からのプラズマアークプルームの交差点に、またはその周りに狙いを定めることができるように、また必要があれば二次的な、または補助的な処理を提供するために、好ましくは反応器の上部にマウントされ、3つの自由度を有する。またスラグ調整のために、プルームを、スラグ排出ポートまたはその周りのスラグプール狙いを定めることができるようにしてもよい。可動式プラズマアーク生成器の二次的処理補助は、入力廃棄物および/または有害物質の化学分解特性の不測の変化を原因とする、処理温度低下期間を通じて有用である。スラグ調整は、完全にスラグを抽出する期間を通じてスラグ排出ポートが開いたままになることを確実にするために、またスラグを可能な限り均質のものとして維持し、スラグ抽出の際に、処理が完全でない物質が反応器から不意に出てしまう危険を防ぐために重要である。すべてのプラズマアーク生成器は、オペレータの判断で基本的に連続的に操作され得る。
【0052】
反応器の物理的設計特性は、下記の多くの要素によって決定される。
【0053】
第一に、処理される廃棄物および/または有害物質のストリームの化学分解である。反応器の内部構成および大きさは、処理される入力廃棄物のストリームを解析して、動作特性により必然的に定まる。
【0054】
第二に、プラズマアーク生成器である。プラズマアーク生成器の熱損失を最小限にすると同時に、最も効果的であるところに高温処理ゾーンを集中させるために、プラズマアーク生成器は、反応器内の所望の深さに位置決めされなければならない。
【0055】
第三に、プラズマアーク生成器の位置と方向である。生成されたすべての気体分子が適切な経路をとるように、プラズマアーク生成器は、位置決めされ、そのプラズマ熱は配向されなければならない。これは、高温処理ゾーン内で十分な滞留時間を維持し、完全な分解、および最小でかつ最も害の少ない分子への変換を保証するためである。
【0056】
第四に、処理添加物注入ポートの位置、配向および数である。処理添加物は、望ましい変換結果を達成するために、最も効率のよい反応を保証するところで注入されなければならない。
【0057】
廃棄物供給箇所、プラズマアーク生成器挿入深さ、およびその位置と配向、ならびに処理添加物ポートの位置、配向および数は、所望の流れおよび温度分布の特徴を定めるにあたりすべて重要であって、可能な最良の妥協である温度プロフィール、つまり非常に高温の温度処理ゾーン、高温スラグ溶解/放出(tap)ゾーン、および中間温度ガス排出とともに、耐熱腐食を最小限にするにあたり決定的に重要である。この本発明の概略的な説明は、全体の目的として下記の特徴を含む態様によって置換され得る:
1.汚染物質の最少化のための廃棄物の完全分解
2.スラグの完全溶解および均質化
3.排気熱損失の最小化
【0058】
この態様は、中心線の角度変位を伴って2つの相対する面にマウントされたプラズマアーク生成器、および廃棄物および/または有害物質のストリームの入力の中心付近の焦点に固定された結合プラズマアークプルームを備える。角度変位は、入力廃棄物および生成ガスの内部に乱れを作りだして、処理の効率化を実質的に補助する。固定された焦点は、入力廃棄物のすべての要素が通過する、高温処理ゾーンの全体の壁面を生成する。
【0059】
この態様は、側面取り付けの処理プラズマアーク生成器の補助を受けてプラズマアークプルームがこの生成器から導かれ、プラズマ熱を供給することができるように、または、スラグ排出ポートとその周りのスラグプールに集中されるように導かれるように、3つの自由度をもつ、上部マウントされたプラズマアーク生成器を含む。このプラズマアーク生成器は、入力される廃棄物前面と正反対でかつ副生成物排出ポートに近接して反応器の後部にマウントされ、処理副生成物の両方について完全に処理された温度の維持を保証する。
【0060】
この態様は、入力廃棄物および/または有害廃棄物の物理特性のいずれも満足するように複数の入力廃棄物供給ポートを含む。入力廃棄物供給ポートの各々は、側面取り付けのプラズマアーク生成器からのプラズマアークプルームによって作られる高温処理ゾーンの焦点域に直接供給される。
【0061】
この態様は、供給ポートと正反対にあるスラグ排出ポートおよび生成ガス出口管を含み、有害な構成要素の破壊の処理効率が最大となるように、固体および気体の処理副生成物のための最大の流路を確保する。このガス出口管は、垂直方向に配置され、排出ガスで反応器の外に運ばれるのと反対に、空気で運ばれる固体を反応器に戻すガス排出速度のために構成される。
【0062】
この態様は、複数の、たとえば3つまでの蒸気注入用の処理添加物入力ポートを含む。このポートは、蒸気を高温処理ゾーンに導き入れるように、また反応器から排出される直前に生成ガスの集まりに導き入れるように、意図的に配置される。
【0063】
この態様は、複数の、たとえば5つまでの空気注入用の処理添加物入力ポートを含む。このポートは、処理添加物のすべての対象が処理ゾーンに入るように、反応器内およびその周りに意図的に配置される。
【0064】
この態様は、反応器のフランジ主部に連結された反応器のフランジ付き下方部分を含み、耐熱性の検査および修理が必要となったときに、反応器の開口が容易になる。
【0065】
この態様は、反応器全体にわたる、17インチまで、またはそれ以上の層の特別に選定された耐熱性の内張りを含み、入力廃棄物ストリームの化学反応に影響を受けず、中間化学構成要素を処理するとともに、処理熱を最大限維持する。
【0066】
この態様は、複数の、たとえば4つまでのCCTVポートを含み、処理のすべての側面が完全にオペレータに可視となるように維持する。
【0067】
処理添加物のタイプおよび量は、規制機関の排出制限に従いつつ、動作コストを最小化するとともに、入力廃棄有害構成要素の破壊を最適化するように高い注意を払って選定される。ストリーム入力は、十分な自由酸素および水素を確保し、入力廃棄物の分解された要素の燃料ガスおよび/または無害化合物への変換を最大化する。空気入力は、比較的高いプラズマアーク入力熱のコストを最小にするとともに、燃料ガスへの炭素変換を最大にする(自由炭素を最小にする)ための化学的な調整(chemistry balancing)の処理を補助する。両方の添加物の量は、処理される廃棄物ストリームの出力によって特定される際に定められ、非常に厳格に制御される。全体の処理が焼却に関する望ましくない処理特性のいずれにも近づかないように、また、局所域の排気基準を満足し、そしてそれを超えるようにするとともに、比較的高コストのプラズマアーク入力熱を最大限交換するために、空気注入の量は非常に慎重に定められる。
【0068】
生成ガス中の粒子状物質の量が汚染要素の排気量と直接の関係をもつプラズマ気化処理が長年をかけて開発されてきた。汚染物質は、粒子状物質に付着する傾向があり、このため反応器から排気配管を介して排出される。ガスストリーム中の粒子状物質量を最小とすると、多くの汚染物質の排出量が最小化される。ガスストリーム中の粒子状物質の量の変更を決定する一形態は、ガスストリームの不透明度をモニタリングすること、処理の地域内の規制機関の規制にしたがって許容可能な濃度のために基礎を確立することである。その後、生成ガス配管内の不透明度の実時間のフィードバックが、処理添加物入力量、主ストリームの自動化のための機構を提供し、粒子状物質のレベルを最大許容濃度より低い状態に維持する。
【0069】
不透明度モニタの動作を最適化するために、堆積物のない状態にセンサ要素を維持し、計測の正確さを確保することが望ましい。センサ要素への堆積を防ぐことは、下記の2つの方法のいずれかで達成される。1つ目は、少量の窒素を各要素の面にわたって提供し、空気で運ばれる粒子が付着することを防ぐ方法であり、2つ目は、ガス取扱システムのこの部分がわずかに負圧となるように維持し、空気で運ばれる粒子がセンサ要素の後方まで運ばれることを確実にする方法である。処理される廃棄物ストリームおよび排出したガスの潜在的な利用に依存するガスストリームの化学組成物にとって有害でない限り、通常窒素が使用される。
【0070】
反応器のフランジ主上部分に接続されたフランジ付き下方部分は、必要に応じて耐熱性の内張りの検査および修理を容易にする。反応器の底部分の耐熱性の内張りは、動作中のプラズマアーク生成器からの高温に耐えなければならず、また加熱面の融解スラグと連続的に接触するために、摩損および汚染が生じる傾向が高い。下方部分の耐熱材は、反応器壁上および上部の耐熱材からなるより耐用性のある「発熱面」耐熱材として設計される。たとえば、壁面および上部の耐熱材は、DIDIER RK30ブロックから作ることができ、下方部分の異なる「発熱面」耐熱材は、RADEX COMPACFLO V253と作ることができる。
【0071】
他の態様において、下方部分は、好ましくは外壁を介して、水冷却されてもよく、耐熱性の内張り材の異常な劣化を防止する。耐熱材の修理期間の間に処理施設を動作状態に迅速に戻すため、またはより過酷な、および/またはより腐食性の高い入力廃棄物ストリームの処理に適応するように代替の構成を提供するために、下方部分の複製物が構築されてもよい。
【0072】
処理制御は、次の3つまでの動作特性により自動化されてもよい。つまり、最適でない供給量に起因する反応器圧変化、固体堆積物の蓄積による生成ガス取扱システムの入力廃棄物ストリームの化学特性の変更または圧縮(constriction);最適でない供給量または入力廃棄物ストリームの化学特性の変化に起因する反応器および生成ガス温度の変化;最適でない処理に起因する生成ガスの不透明度計測の増大および/または入力廃棄物ストりームの化学特性の変化である。
【0073】
本発明の他の態様は、対象となる廃棄物ストリームおよび所望の動作特性に応じて、可変の数のプラズマアーク生成器、蒸気注入ポート、およびCCTVポートを含むことができる。
【0074】
添付の図面を参照して、例示のみを目的として本発明の態様が説明される。
【0075】
好適な態様の説明
本発明の一側面の一態様は、図1、図2、図3に示し、また後述するように、傾斜上部を有する、シリンダ状の耐熱性の内張りを施した反応器にマウントされた3つのプラズマアーク生成器を含む。そこに見られるように、シリンダ状の容器10は、上方部分16と下方部分18の2つのセクションにシェル12を含み、上方部分16は耐熱性の物質14Uで、下方部分18は14Lで、それぞれ内張りがなされる。適当な耐熱材の例は、セラミックブランケット、絶縁性の耐火ブロックおよび高アルミナ加熱面ブロックを含み、任意で少量の酸化クロム、酸化ジルコニウムまたは酸化マグネシウムを含む。
【0076】
既述したように、容器10の下方部分18は、環境に対してより負荷をかけるので、耐熱材14Lは、より強固な耐熱材である。このようなより強固な耐熱材には、DIDIER DIDOFLO 89CRおよびRADEX COMPAC−FLO V253が含まれる。
【0077】
容器10には、固体の排気物および/または有害物質入口供給ポート20、および間隔をあけた2つの液体廃棄物および/または有害物質供給入口ポート22が設けられる。また容器10には、耐熱性の内張りが施されたガス出口管24が設けられる。さらに容器10には、スラグプール収集ゾーン26が設けられ、そこから導かれているスラグ抽出ポート28が設けられる。
【0078】
さらなる入口ポートは、複数の、この態様では5つの空間をあけた空気入口ポート30を含む。これらの空気入口ポート30は、効率の最大化のために空気処理添加物の入力が全体処理ゾーンを覆うように、意図的に配置される。また、複数の、この態様では3つの蒸気注入ポート32が提供される。この蒸気注入ポート32は、入口蒸気処理添加物が処理ゾーンを覆うように、また生成ガスを反応器の排出口で覆うように、意図的に配置され、吸熱反応が生成ガスを所望のレベルまで反応器から排出される前に冷却する追加の結果とともに、未反応の炭素のいずれもが全体的な変換を達成する。さらに、複数の、この態様では4つのCCTV検査ポート34が提供される。CCTV検査ポート34は、オペレータが処理のすべての側面を完全かつ連続的に可視化できるように、意図的に配置される。
【0079】
2つの組のプラズマアーク生成器が提供される。第一のセットは、この態様では2つの、正反対の位置に側面に配置される、固定の組の固定プラズマアーク生成器36であって、プラズマアークプルームが焦点を向くように中心線に角度変位をもたせたものである。第二のセットは、単一の上部マウントされたプラズマアーク生成器38であって、矢印で示すように動きに3つの自由度を有するものである。
【0080】
シリンダ容器10は、傾斜付きの上部40が設けられる。この傾斜付きの上部40は、上部マウントされたプラズマアーク生成器38がその熱を完全かつ効率的に、反応器内のプラズマアーク生成器によって必要とされる領域へと運ぶように設けられる。図示のように、ゾーン42は、極めて高い温度処理ゾーンを構成する。
【0081】
反応器10の2つの他の望ましい特徴は、反応器の下方部分18が反応器10の残りの部分から隔離されてもよいという事実である。これは、取り付けフランジ44によって達成される。予熱燃焼器ポート46は、反応器の中のゾーン42が適切な初期の動作温度に予め熱せられるように、設けられる。
【0082】
反応器10は、レール48によって支持される。
【0083】
図4に示すように、ガス出口管24から出る出口ガスは、不透明度モニタ52をマウントする生成ガス配管50を介して通過する。不透明モニタ52は、送信器54および受信器56を備える。不透明度モニタ52を収容する配管の一部は、58で水冷される。不透明度モニタ52の極端には、窒素堆積物除去要素60があり、これは窒素の流れを導き、空気で運ばれる粒子を不透明度モニタセンサ要素54、56の内面に堆積させないようにする。
【0084】
代替として、またはそれに加えて、わずかに負圧となるゾーン64が配管50に設定されてもよく、空気で運ばれる粒子を負透明度センサ要素54、56の内面に堆積させないようにする。
【0085】
プラズマ気化反応器10の動作は、反応器10内の予熱燃焼器ポート46に挿入される化石燃料燃焼器から始まる。この燃焼器で反応器10内が最大温度(たとえば900℃)に達すると、燃焼器が取り除かれ、予熱燃焼器の挿通を可能にするポート46が密閉される。そしてプラズマアーク生成器36、38が挿入、起動され、反応器全体の温度が所望の動作温度(処理される廃棄物ストリームに応じて、たとえば1100℃または1200℃)に上げられる。このとき、ストリームポート32を介して既定の処理添加物ストリームの流れができ、空気ポート30を介して既定の処理添加空気の流れができる。ストリームポート32および空気ポート30の既定の位置は、温度および流れの動的モデル(後述)によって決定される。その後、ストリーム処理添加物および空気処理添加物の既定の流れが、処理される廃棄物および/または有害物質のタイプにあわせて化学的シミュレータ(後述)によって決定される。廃棄物および/または有害物質は、処理される廃棄物および/または有害物質のタイプに応じて、固体廃棄物ポート20および/または液体廃棄物ポート22を介して始まる。入力された廃棄物および/または有害物質は、極めて高い温度の処理ゾーン42内部で分解されて、溶解固体生成物および生成ガスを形成する。ここでスラグという溶解固体生成物は、スラグプール収集域26に流入し、スラグ抽出ポート28を介して反応器10から抽出されるまでそこに留まる。スラグ抽出ポート28を介するスラグ抽出は、入力廃棄物および/または有害物質が適当な量のスラグ生成成分を含む場合に、連続的であることができ、また、それは断続的であることもできる。生成ガスは、ガス出口管24を介して反応器10から排出される。耐熱性の内張りを施されたプラズマ気化反応器10の好ましい態様は、ストリーム処理添加物注入ポート32を3つまで、空気処理添加物注入ポート30を5つまで、CCTV検査ポート34を4つまで備える。他の態様においては、光学動作特性を維持するために、温度および流れの動的モデルシミュレータ(後述)に従って、異なる数の処理添加物入力ポートが決められ、これらを有する。
【0086】
固定プラズマアーク生成器36は、入力廃棄物ポート20と22の間、および生成ガス用の副生成物出口管24と溶解スラグ用のスラグ抽出ポート28の間に、耐熱性の内張りが施された反応器10の全周にわたって極めて高温の処理ゾーン42の強化前面を提供する。固定プラズマアーク生成器36は、高温処理ゾーン42のプロフィールが完全かつ最適な状態を保つように、結合プラズマアークプルーム焦点を有する。プラズマアーク生成器38は、高温処理補助を、必要とされる反応器10内のいずれの場所にも加えることができるように、3つの自由度を有する。この補助は、加熱補助から、プラズマアーク生成器36によって形成される処理ゾーンプロフィール42にわたり、スラグプール収集域26内のスラグが完全に処理され、スラグ排出ポート28がすべてのスラグ抽出期間において開いたままになることを保証する。
【0087】
出口管24を介して反応器10から排出された後の生成ガスは、生成ガス配管(piping)を進み、不透明度モニタ52を通って通過する。不透明度モニタ52は、不透明度モニタ送信器54と不透明度モニタ受信器56との間の通信により、生成ガス中の空気で運ばれる粒子の量を測定する。熱い生成ガス配管50とつながり、不透明度モニタ52を収容する配管の区間58は、不透明度モニタ送信器54および不透明度モニタ受信器56が過剰に熱せられないように、たとえば冷却水で冷却される。窒素パージ60は、空気で運ばれる粒子の堆積物が不透明度モニタ送信器センサに付着し、不透明度センサの感度ないし正確性を低下させるのを防ぐ。あるいは窒素パージ60の代わりに、わずかに負圧となる領域64が維持され、空気で運ばれる粒子が、不透明度モニタ送信器センサ52または不透明度モニタ送信器センサ56のいずれかに堆積する事を防ぐ。不透明度センサ52からの読み込みは、処理制御のために制御コンソールに送られる。処理制御は、蒸気処理添加物注入ポート32を通る蒸気流量の調整を行うことにより有効になる。これは、空気処理添加物注入ポート30を通る空気入力にも同時に影響を与えることになる。この処理に対する蒸気処理添加物注入または空気処理添加物注入におけるいかなる変化もまた生成ガス流量に影響を与える。
【0088】
システムのオペレータは、CCTV検査ポート34を介して容器10内の処理のすべての点が完全かつ連続的に観察可能な状態を維持する。
反応器の耐熱性の内張り14U、14Lの検査および修理は、フランジ不連続手段44により、反応器10の下方部分18を取り除くことで必要に応じて容易になる。
最終的な設計をより効果的に補助して最適な反応器形状を得るために、入力廃棄物の物理的特徴および化学組成、システムの必要な処理量が考慮される。
このように本発明の観点から、連続的な反応器圧力および温度モニタリング、さらに連続的な生成ガス流量および不透明度モニタを介して処理制御が実行される。
【0089】
処理される廃棄物および/または有害物質のストリームの最適な破壊のために必要な処理特性の詳細な構成は、周囲の化学シミュレータによって提供される下記のものを含む:
必要とされる処理温度を含む最適の動作特性;
それにより回復可能なエネルギーの量を含む、生成ガス量および質の特徴;
生成ガスをなす成分の化学分解;
炭素から一酸化炭素燃料ガスへの変換を最大限完全にするために必要とされる処理添加物、たとえば蒸気の量;
生成ガス内の湿気量;
対象となる特定の廃棄物ストリームで達成可能な処理量;
最も低コストであって最適の設計を含む全体のシステムデザイン特性;および
回復可能な副生成物。
【0090】
図5は、可変の廃棄物の特徴入力、最適化およびシステム出力の特徴付けのためのオペレータインタラクティブ入力を備えた、化学処理シミュレータのその作用を示す説明的なフロー図である。入力および/または処理特徴は、化学処理シミュレータ内で任意に変更可能であって、対象となる特定の廃棄物ストリームの処理プロセスが最も効率よくかつ最も効果的になるように、処理の影響を視覚化する。また化学処理シミュレータは、廃棄物および/または有害物質のストリームの化学分解の変化のために必要とされ得る動作特性変化を決定するための連続的モニタリングツールとして作用する。
【0091】
図6は、図5の化学処理シミュレータのその演算について示すハイレベルフローチャートである。一般に、このシミュレータは、3つの主要な演算ブロックからなる:
(i)理想反応モデル(Ideal Reaction Model)。断熱等圧平衡における生成科学種のギブスの自由エネルギーを最小化して、生成ガスの理想的な安定状態平衡組成を計算する。
ギブスの自由エネルギーの最小化により、単純な化学系において平衡反応生成物を得る原理は、多くの場合化学の入門コースで教えられる。1960年代後半、NASAの研究者は、平衡反応を記述する必要がなくとも任意の系の平衡組成を求めるために適用できるギブス最小化法を開発し、これは、Gordon,S.とB.J. McBrideによる刊行物:Computer Program for the Calculation of Complex Chemical Equilibrium Compositions with Applications; I. Analysisに記載されている。この刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。理想反応モデルは、この手法を用いて行われ、ここで、ソリューションマトリックスは、現在の反応温度における核生成物のギブスの自由エネルギーとともに、対象となる各反応生成物の成分組成により占められる。マトリックスは、ギブスの自由エネルギーの合計が最小となるように(同時に要素の入力と出力を釣り合わせて質量保存の法則に従いながら)、ガウスの消去法により解かれる。
【0092】
(ii)炭素析出モデル(Carbon Deposition Model)。入力組成物と平衡曲線を比較することにより、形成された煤煙(固体の炭素C)の量または煤煙の形成を除去するために必要な蒸気の量を計算する。
理想反応モデルは、実行されると気体相の平衡状態しか求めることができない。その結果、固体の炭素がプラズマ気化処理の際に形成されることが認められており、炭素の形成率を計算するための別のモデルが開発された。3相気体系から昇華する炭素の量を予測する曲線が、Kyle,B.Gによる本Chemical and Process Thermodynamics 2nd ed., Prentice Hall, New Jersey, 1992から得られる。これは、参照により本明細書に組み込まれる。これらの曲線は、その系において与えられた温度、水素のモル%、酸素のモル%において形成される固体の炭素の量を予測する数値関数に変換される。ソフトウェアが、この関数を用いて形成される炭素の量を計算し、この量は、直接プログラムの再結合セクションに送られ、反応物の成分組成から差し引かれる。この修正された成分組成は、次の非理想反応モデルに使用される。
【0093】
ユーザ選択可能なものとして、このモデルは、固体炭素の形成を除去するために系に加えられなければならない水の量を繰り返し計算で解くためにも使用される。この場合水が用いられる。なぜなら、水素と酸素の両方を含むからである。系における炭素量に対するいずれかの相対量が増加すると、炭素の形成は減少する。結果として、その系の酸素および水素に対する炭素の量が減少するので、形成される炭素の量を制限する際に湿度は極めて有効である。
この選択をした場合、形成される炭素の量は常にゼロであって、次の成分組成に何ら影響を及ぼさない。しかし、追加の水が反応系に加えられるため、このステップで計算された水の量に応じて水素と酸素が成分組成に加わる。こうして計算された水の量は、メモリに記憶され、計算が完了すると残りの結果とともに出力される。
【0094】
(iii)非理想反応モデル。系の炭素の量を実験的に得られた割合によって乗算することによって、理想状態を超えて形成されたメタン、アセチレンおよびエチレンの量を決定する。これは、長鎖の炭化水素またはポリマーの不完全分解の結果を近似する。実際には、このような分子は、他の科学主と反応する前に、小さい炭化水素(通常炭素1つまたは2つの炭化水素)に分解される。プラズマ気化反応器内部の気体環境は非常に乱れる性質があるため、これらの炭化水素の小部分は、消費される前に主反応域の外に出る。所定の廃棄物のために選ばれる種の割合は、直前の物質の物理組成によって変化する。
【0095】
非理想反応の生成物は、理想反応に適応可能な成分組成から差し引かれる。これらの生成物は、ソフトウェアの再結合ステージに送られる。一方成分組成の差分は、理想反応モデルに送られる。よって、ソフトウェアは成分に基づいて合計入力を演算し;入力を3つの演算モデルに分割し;結果を表にし;データベースに結果を記憶する。
【0096】
図6の各ブロックを参照されたい。
【0097】
パラメータ101: 廃棄物組成(成分モル%、水分量(moisture content)、発熱量(heating value))、流量、処理温度、空気をいくつかの手段(avenue)、酸素、水、蒸気から特定する能力をもつ添加物、処理入力の繰り返しの範囲を含む。
【0098】
分解組生物102: プラズマ気化反応器への各入力が成分のモル流量に変換される。各成分の合計モル流量は、上述した3つの主計算ルーチン用の主要な変数として用いられる。
【0099】
炭素分解モデル103: 理想反応は、気相反応しか解けない。そのため別の計算ブロックが実行され(上述)、固体炭素Cの形成が決定される。この計算を実行するために組まれた関数は、代わりに再起ループで用いられ、固体炭素の形成を防ぐために必要な水の量を決定する。
【0100】
非理想反応モデル104: 不完全反応により形成される化合物を計算する。単純な炭化水素は、ユーザ定義の割合に応じて系の炭素の量に比例して形成される。これらの割合は、直前の廃棄物の組成、現在の動作条件に基づいて選択される。この場合元の廃棄物ストリームが満足に解析されるのは稀なので、通常の運動学ではこの適用には不十分である。結果として、このモデルでは、同様の物質を用いて実験で得られた値が使われる。これらの反応で用いられた成分は、理想反応ステージで利用可能な成分組成から差し引かれる。このステージで形成された化合物は、再結合ステージに送られ、残りの結果とともに集められる。
【0101】
理想反応モデル105: 理想的で安定状態条件の下で形成される化合物を計算する。
【0102】
結果結合部106: 炭素分解モデル103、非理想反応モデル104および理想反応モデル105の結果を結合する。
【0103】
表作成(tabulator)およびフォーマット107: 多くの他のソフトウェアへエクスポートするのに便利なフォーマットにすべての計算データについて表を作成する。実際には、データは、MicrosoftのExcelのワークシートにエクスポートされ、そこでは、各生成物の質量、体積%、顕熱、ガス発熱量、電気熱入力要件およびプラズマ気化処理の最適動作点(optimal operating point)が、特定のエネルギーおよび環境を考慮して決定される。最適動作点は、環境上の排出要件を満足するために最小の処理エネルギーである。
【0104】
化学プロセスシミュレータの開発を通じて、最初のステップは、特定の温度および特定の入力パラメータの組における生成ガス構成成分の予測を可能にするための、ソフトウェアの実行によるプロセスモデルの開発であり、またギブスの自由エネルギーの最小化原則を用いる熱化学データベースであった。C−H−O系は、炭素堆積の領域を決定するために行われる。エネルギーバランスの計算方法は、都市の固体廃棄物の気化に必要なプラズマアーク生成器の電力を決定するためにプラズマ気化プロセス用に開発された。そして、これは他の炭化物質を含めて外挿された。
【0105】
純物質に対する成分組成および熱力学特性は、簡単に利用できる。しかし、多くの廃棄物は、非均質でかつその構成は複雑であり、多くの場合不明な化学式を有する。このような場合、廃棄物のモル組成は、研究室での解析により容易に得られる質量組成から決定される。同様に、廃棄物の標準生成熱も知られているはずである。通常、これは、ボンベ熱量計により研究室で決定される。一方、より均質な物質には、文献からこれらの値が得られることが多い。
【0106】
プラズマアーク生成器の電力要件は、プラズマ反応器入出力およびプラズマ気化条件に基づいて計算される。プラズマ反応器へのエネルギー入力は、プラズマアーク生成器によって供給されるエネルギーと、プラズマ反応器への入力廃棄物の総エンタルピーとの合計である。エネルギー出力は、プラズマ反応器からの出力要素の総エンタルピーと、プラズマ反応器の壁面を通ずる熱損失との和である。プラズマアーク生成器から必要とされる合計の電力は、この2つの差であり、プラズマアーク生成器そのものの効率を表す。
【0107】
化学プロセスシミュレータは、廃棄物のプラズマ気化に関する性能データを提供する。なぜならその開発は、既存の集約的な実際のデータベース結果を集めたものだからである。完全なシミュレータは、2つの別個のモジュールであり、系の質量/成分のバランスは、上述したソフトウェアを用いて得られ、一方、表にされた結果および系のエネルギーバランスは、Excel(登録商標)のワークシートを用いて得られる。結果のワークシートは、3つの理由から別のモジュールとして維持される。
(a)作成時間の短縮を容易にする
(b)ソフトウェアを変えることなく、熱力学モデルに対して変更をすぐに加えることが容易にできる
(c)データの文書/表計算/プレゼンテーションへの移植性を高め、Excelがサポートするこれらの能力をシミュレータに変換する必要がなくなる
【0108】
このExcelワークシートは、Shomateの式を利用して関連の化合物の熱力学特性を計算する。これらの式の定数は、上述した理想反応に関連するNASAの下記熱力学データベースから得られる:Bonnie J. McBrideとSanford Gordonらの刊行物、Computer Program for Calculation of Complex Chemical Equilibrium Compositions and Applications: II. Users Mannual and Program Dexcription, NASA Reference Publication 1311, June 1996。これは、参照により本明細書に組み込まれる。これらの熱力学特性は、標準的な熱力学計算により全体のエネルギーバランスを決定するため、また推論により、このプロセスを起こすために必要とされる正味の補助熱を決定するために使用される。
【0109】
反応器は均一温度ではないことを考慮して、シミュレータは、いくつかの異なる温度域にわたってガス組成および流量を計算する。ガス組成は、シミュレートされた異なる温度シナリオのそれぞれに、平均反応器温度に等しい平均値とともにポアソン確率による重み(weight)を与えることによって、所望の反応器温度に対して表計算に内挿される。重みを減らしたシナリオの合計は、正規化され、「平均」結果を与える。これが、系のエネルギーバランスを計算するために用いられる「平均」結果である。
【0110】
さらなる改良は、CHO境界系(CHO boundary system)が、そのときシミュレータ内で数学的にモデル化されることである。よって、シミュレータは、所定のシナリオに対して生成された炭素の量を自動的に計算することができる。炭素の形成は、生成ガスのきれいさ(cleanliness)にとって有害なので、ルーチンは、蒸気注入量を、炭素形成を完全に除去するために必要とされる最低レベルに自動的に調節するように開発される。この手法は、厳格な一温度モデルよりも実験データに近いガス組成を与えることが分かっている。下の表は、都市の固体廃棄物の結果の比較を示す。
【表1】

【0111】
より信頼できる詳細な動作コストの予測をするために、化学プロセスシミュレータは、蒸気タービン、コンバインドサイクルのガスタービンおよびガスエンジン施設によって生成される電力とともに、プラズマ気化システムに関連する寄生負荷(parasitic load)の電力消費も計算する。個々の機器の性能データは、デフォルトで基礎施設設計から計られる。しかし、計算は表計算で実行されるので、機器性能は、異なる構成を反映してすぐに調節可能である。
【0112】
入力条件および流れの範囲に対するデータを生成する化学プロミスシミュレータの能力を向上させた結果、ユーザが選択する範囲で蒸気および空気の流れを変更し、好ましいガス組成および電力特性のシナリオを選択することにより、最適化されたシナリオをすぐに生成することができる。このプログラムは、任意に他用途に設計される。これは、まさにRCL設計者に必要とされるもの(スピードが損なわれないようにそれ以外のものではない)である。さらに、「最適」な動作点のRCL定義を選択するための非常に速いイタレーションが可能になる。これが、このプログラムと、ASPEN、HYSYSなどの既存のプラットフォームとの相違点である。
【0113】
効率は電気の使用および生成に関連付けられるので、可燃廃棄物に対して、反応器に流入可能な空気の量を増加させるためにエネルギー効率が必然的により高くなる。十分な量の空気を追加することで、通常安定状態またはゼロ以下に維持するために必要な補助プラズマ熱が減少する。プラズマ熱をゼロ以下に減らすこと(これは、つまり反応器温度が上昇することを意味する)は、通常燃焼の化学量論の割合に近づくように空気の流れを増やすことで達成される。本来のきれいさ、および熱分解/気化反応に関連する質を高めたプロセス制御は、一般に空気の超過は許さないが、補助熱の追加を必要とする動作パラメータの選択を必然的に伴う。
【0114】
所与の廃棄物に対する基礎気化システムを設計する目的のため、所与の廃棄物入力に対する最低電力要件を選択する方法が開発された。プロセスの最適化は、空気排気、エネルギー効率、資本コスト、動作コストの観点で行われる。資本コストの最大の変数は、プラズマトーチおよび電力供給の大きさなので、動作コストもトーチ電力に直接関係し、エネルギー効率、空気排気は、最適化の基準となる。汚染物形成は、動作温度および入力組成の影響を受ける。廃棄物ストリームは可変ではないので、入力組成は、空気および蒸気の入力を変化させるだけで変化する。電力消費は同様にこれらのパラメータに影響を受ける。
【0115】
その結果、シナリオを最適化するため、動作温度は汚染物を最小とするように選択され、空気および蒸気の流れは、最低電力シナリオまで動作電力を減少させるように変更される。蒸気の追加は動作電力を減少させるが、その効果は同等量の空気の追加ほど意味のあるものではない。しかし、蒸気の追加は生成ガス発熱量を改善する。
【0116】
化学プロセスシミュレータは、不完全反応および反応運動学による非理想反応の効果をモデル化する。これは、観察される実験生成ガス化学のずれを計上する。これはまた、ダイオキシン形成の前段階である煤煙(カーボンブラック)の形成のモデルを含む。ダイオキシン形成を最小化することに加えて、通常の気化プロセスの非常に複雑なものである、炭素形成系を防ぐことも顕著にタールおよび他の多芳香族の形成を減らすことができる。
【0117】
化学プロセスシミュレータは、異なる動作シナリオの迅速な生成および検査を可能にする。結果として、技術上の課題がない多くの経済的な動作シナリオが迅速に決定される。化学プロセスシミュレータは、極めて非均一な廃棄物(たとえば複数の廃棄物ストリーム)用のプロセス制御論理を開発するために使用される。
多くの「条件付き」シナリオが、プロセスシミュレーションを用いてこれまで開発されているので、制御システムは、現在の廃棄物組成をテイルガス組成から外挿することができ、プロセス化学を「理想」動作点に調整することができる。繰り返すと、RCLプログラムの他用途性、比較的容易であること、ならびにデータの取得および操作のスピードによりこれが可能になる。
【0118】
温度および流れ力学モデルシミュレータは、温度分布およびガス流れ特性の等大の出力結果を反応器の任意の面にわたって提供する。これらの特徴は、反応器設計の最適化に重要なツールを提供し、耐熱腐食、ホットスポットおよびコールドスポットを防ぐとともに、必要な処理温度および滞留時間に完全に従うことなく、気体要素が反応器から排出されるガスの通り途が反応器にないことを保証する。このシミュレータからの出力結果は、入力添加物ポートの最適な物理的位置を決め、化学シミュレータによって特定される際に、入力処理添加物流れの全体の影響をモニタリングする。処理添加物流量に関連する、これらポートの物理的位置の変化は、非常に簡単に評価され、最適な位置が決定され得る。
【0119】
図7は、温度および流れ力学のモデルシミュレータを説明するフロー図であって、可変の廃棄物特徴入力、最適化のためのオペレータインタラクティブ入力およびシステム出力設計特徴の作用を示す。
【0120】
図8は、温度および流れ力学のモデルシミュレータのハイレベルフローチャートであって、その演算について示す。図8を参照して、フローチャート内の各ブロックの作用は下記のとおりである:
【0121】
反応器構造111: 数学モデルの数値結果が計算される演算ドメインを作成するため、プラズマ気化反応器の幾何学寸法を入力する。
【0122】
Gambitの作動112: Fluentを作動させる前に、ソリューションドメイン(solution domain)をセットアップするため、および演算メッシュを生成するため、Gambitを作動させる必要がある。メッシュは、反応器の周囲にわたって実質的にいずれの平面上にも選択され得、メッシュの細かさは、幾何学寸法および動作状の結果出力の必要に依存する。
【0123】
初期条件113: 仮の初期条件は、速度、温度など計算されるすべての量を含む。これらの量の初期値は、イタレーションプロセスを開始するために必要となる。
【0124】
境界条件114: 流量、組成およびプラズマアーク生成器からの温度、空気ジェット、蒸気ジェットを含む、動作の条件を定める入力データは、プラズマ気化反応器の動作条件にできるだけ近い状態でシミュレートするCFDコード(Fluent)で適切な境界条件を定めるために必要となる。
【0125】
入力115(シミュレーションに含まれる種および反応の数): これは、化学反応のモデル化の緻密さのレベルを制御するためのものである。主要な種を含めることは、温度および密度を正しく得るために重要である。主要でない種を含めることは、汚染排気を予測するために不可欠である。
【0126】
モデル選択116(乱流および乱流燃焼をシミュレートするモデルのユーザ選択): Fluentは、乱流および乱流燃焼をシミュレートする種々の数学モデルを提供する。
【0127】
Fluentコードの実行117: 一度演算メッシュが生成され、境界条件および初期条件が定められると、Fluentコードが所定の収束基準が満足されるまで実行される。このコードは、本質的に質量、モーメント、エネルギーおよび種を記述する方程式システムの非線形解答器である。
【0128】
結果後処理118: 解析および視覚化のための数値結果を表示するためのグラフィックプロットを生成する。生成されたデータは、ノーマルデータファイルとして記憶される。
【0129】
Fluentの基礎である演算流体力学(CFD)の手法は、新しいプラズマ気化反応器設計の評価および改善のために非常に有用なツールである。CFDは、流れ、熱移動、燃焼流の分野において革新的なコンピュータモデル化および数値解析技術を可能とする。これらの技術は、種々の産業システムの設計および動作を改善するための強力なツールである。プラズマ気化反応器内の乱流混合および熱移動は、反応器の動作性能を評価するために数値的にシミュレートされる。プラズマアーク生成器、空気ジェットおよび蒸気ジェットの速度およびエンタルピーを含む入口条件は、入力として定められる。断熱熱移動条件は、反応器壁面においてであると推測される。固体廃棄物の連続供給は、低温度低速度のガスストリームが反応器に流入することによってシミュレートされる。固体廃棄物の除去領域は、所望のレベルに固定された温度ゾーンでシミュレートされる。反応器排出口においてすべての変数がゼロ勾配であることが推測される。
【0130】
エネルギー保存の式は、モーメントの式および乱れの式と同時に解かれる。速度と温度のプロフィールをできるだけ近づけることにすべての努力が向けられる。得られた結果は、流れと温度域の両方についての定性的、半定量的情報を提供する。この速度および温度の分布は、プラズマ気化反応器の設計および動作を改善するための方向付けを与える。
【0131】
反応器の流れモデル化は、適切なプロセスの混合を入力すること、および力学的影響が決定的ではないことを保証する。通常の設計プロセスにおいて、流れのモデル化による結果は、再帰的に使用され、シミュレータ内の反応温度プロフィールを調節するとともに、化学シミュレーションにおいて力学的影響を調節する。流れのモデル化の結果は、耐熱表面のすべての動作特性が容易に特定され得るため耐熱設計を補助するためにも使用される。
【0132】
速度および温度メッシュプロフィールの出力結果は、特定の廃棄物ストリームに対する動作の許容性について検査される。最適ではないものは、いずれも多数の動作設計および/または寸法設計の変更を通して解決することができる。たとえば:
(a)反応器の物理的形状および/またはサイズ;
(b)プラズマアーク生成器の物理的配置、配向および/または電力レベル;
(c)種々の処理添加物ポートの物理的位置および/または配向;
(d)処理添加物流入速度に変化を与える、処理添加物ポートの寸法;
(e)種々の処理点火剤の入力レベル
【0133】
このシミュレータは、再び作動することができ、新しい結果が動作改善のために評価される。このようなイタレーションは、対象となる廃棄物ストリームに対して動作の最適なシナリオが見つかるまで何回も繰り返され得る。最適な動作シナリオが非常に速く特定され、オペレーティングシステムが、最大限の成功の可能性をもって開始されることができるので、このような方法の利点は明らかである。
【0134】
入力特性および/またはプロセス特性は、プロセスの影響を視覚化し、対象となる特定の廃棄物ストりームに対して最も効率的かつ効果的な処理プロセスに達するように、化学シミュレータ内で任意に変更可能である。化学シミュレータは、入力廃棄物および/または有害物質ストリームの化学組成を変更するために必要とされる、動作特性の変更を決定するための連続モニタリングツールとしても作用する。
【0135】
温度および流れ力学モデルシミュレータは、温度分布およびガスの流れ特性について同等の出力結果を、反応器のいずれの断面についても提供する。これらの特徴は、反応器設計の最適化にとって本質的なツールを提供し、耐熱腐食、ホットスポットおよびコールドスポットを防ぐとともに、必要な処理温度および滞留時間に完全に従うことなく、気体要素が反応器から排出されるガスの通り途が反応器にないことを保証する。このシミュレータからの出力結果は、入力添加物ポートの最適な物理的位置を決め、化学シミュレータによって特定される際に、入力処理添加物流れの全体の影響をモニタリングする。処理添加物流量に関連する、これらポートの物理的位置の変化は、非常に簡単に評価され、最適な位置が決定され得る。
【0136】
本発明について上記のように示し、記述し、説明したが、当業者であれば、これらから形態および細部について等価の変更がなされることを理解されたい。このような形態に係る変更の1つとして、製造の簡易化のために、上述のシリンダ状反応器は、低いプロフィール面と、ガス排出ポートに収束する対応する複数の傾斜をもつ上部分と、上部傾斜部分を介して反応器に挿入されるプラズマアーク生成器とを備えた、複数の面を有することができる。この複数の面を有する反応器のさらなる態様では、対応する複数の傾斜上部は、反応器の中央プロフィールのガス排出口に収束してもよい。
【0137】
上記の記載から、当業者は、本発明の精神と範囲から逸脱することなくその本質的特性を容易に認識するであろうし、種々の用途および条件に適合させるために本発明の種々の変更および改変をなし得るであろう。結果として、そのような変更および改変は、適切かつ公正に、上記特許請求の範囲の等価物のすべての範囲内にあることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の一観点の一態様による耐熱性の内張りを施した反応器の中央長手の断面図である。
【図2】特に入口および出口ポートを示す、図1に示す耐熱性の内張りを施した反応器の側面および背面の等角図である。
【図3】図1に示す耐熱性の内張りを施した反応器の上面図である。
【図4】本発明の観点の態様による耐熱内張り容器の一部を形成する不透明度モニタの一態様を示す正面概略図である。
【0139】
【図5】本発明の化学プロセスシミュレーションの全体の構成を示すブロック図である。
【図6】図5の化学プロセスシミュレータブロックをより詳細に示すハイレベルフローチャートである。
【図7】本発明の温度および力学モデルシミュレーションの全体の構成を示すブロックフロー図である。
【図8】図7の力学モデルシミュレータブロックをより詳細に示すハイレベルフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物および/または有害物質を処理するための装置であって、
耐熱性の内張りを施した反応器;
前記耐熱性の内張りを施した反応器内のプラズマ生成手段であって、前記耐熱性の内張りを施した反応器の全周囲にわたって実質的に均一の高温を有する、高温プラズマ処理ゾーンを提供し、少なくとも1つの固定位置のプラズマアーク生成器および少なくとも1つの可動式プラズマアーク生成器を備えた、前記プラズマ生成手段;
廃棄物および/または有害物質を、前記高温プラズマ処理ゾーンに供給して、その全体に供給する、第一の供給手段;
前記廃棄物および/または有害物質を実質的に完全に分解し、安定した無害物質に変換するために、前記高温プラズマ処理ゾーンに十分な処理添加剤を供給する、第二の供給手段;
前記プラズマ生成手段および前記廃棄物および/または有害物質の流れを、前記高温プラズマ処理ゾーンを介して制御するための制御手段であって、前記廃棄物および/または有害物質のすべてが十分な時間十分な高温に至り、前記廃棄物および/または有害物質を熱分解し、前記安定した無害の最終生成物に変換することを確実にする、前記制御手段;
排出ガスで反応器の外に運ばれるのと反対に、ガスで運ばれる固体が反応器に戻るようにするために、ガス排出速度で前記耐熱性の内張りを施した反応器から生成ガスを除去するためのガス除去手段;
前記生成ガス中の粒子状物質の量を決定し、前記ガス排出速度を調節するために前記生成ガスをモニタリングする、モニタリング手段;および
安定した無害のスラグを該装置から除去するためのスラグ除去手段を備えた、前記装置。
【請求項2】
少なくとも1つの固定位置のプラズマアーク生成器が、耐熱性の内張りを施した反応器内に、その側面から相対して配置された一対の固定位置のプラズマアーク生成器であって、互いに対して角度変位を伴って、廃棄物および/または有害物質入口の中央付近の焦点でプラズマアークプルームが交差する、前記一対の固定位置のプラズマアーク生成器を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも1つの可動式プラズマアーク生成器が、耐熱性の内張りを施した反応器の上部にマウントされた単一の可動式プラズマアーク生成器を含み、また、固定位置のプラズマアーク生成器からのプラズマアークプルームの交差によって生成された焦点に向かって、また、スラグ排出ポートまたはその付近のスラグプールに向かって狙いを定めることが可能となるように3つの自由度を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つの固定位置プラズマアーク生成器が、耐熱性の内張りを施した反応器内に、その側面から相対して配置された一対の固定位置のプラズマアーク生成器であって、互いに対して角度変位を伴って、廃棄物および/または有害物質入口の中央付近の焦点でプラズマアークプルームが交差する、前記一対の固定位置のプラズマアーク生成器を含み、
少なくとも1つの可動式プラズマアーク生成器が、耐熱性の内張りを施した反応器の上部にマウントされた単一の可動式プラズマアーク生成器を含み、また、固定位置のプラズマアーク生成器からのプラズマアークプルームの交差によって生成された焦点に向かって、また、スラグ排出ポートまたはその付近のスラグプールに向かって狙いを定めることが可能となるように3つの自由度を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
第1の供給手段が、複数の廃棄物および/または有害物質供給ポートを備え、そのそれぞれが直接焦点に供給するように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
ガス除去手段および固形残留物除去手段が、第1供給手段と正反対の出口ポートである、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも1つの可動式プラズマアーク生成器が、耐熱性の内張りを施した反応器の上部にマウントされた単一の可動式プラズマアーク生成器を含み、また、固定位置のプラズマアーク生成器からのプラズマアークプルームの交差によって生成された焦点に向かって、また、スラグ排出ポートまたはその付近のスラグプールに向かって狙いを定めることが可能となるように3つの自由度を有し、
ガス除去手段および固形残留物除去手段が、第1供給手段と正反対の出口ポートであり、
可動式プラズマアーク生成器が、前記ポートに近接に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
焦点に向かう蒸気の注入のための少なくとも1つのポートを備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
供給手段が、耐熱性の内張りを施した反応器の回りに間隔をおいて配置される、複数の空気処理添加剤入口ポートを備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
ガス除去手段が、ガスの排出速度が、ガスで運ばれる固体を、排出ガスストリームによって反応器の外に運ぶのではなく、反応器に戻すように構成された、ガス出口ポートを備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
耐熱性の内張りを施した反応器の下方部分が、該下方部分の取り外しが容易になるように、フランジ付きである、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
耐熱性の内張りが、セラミックブランケット、絶縁性の耐火ブロックおよび高アルミナ加熱面ブロックを含み、任意で少量の酸化クロム、酸化ジルコニウムまたは酸化マグネシウムを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
耐熱性の内張りを施した反応器の下方部分が、加熱面耐熱材からなり、該加熱面耐熱材は、DIDIER DIDOFLO 89CR(登録商標)およびRADEX COMPACFLO V253(登録商標)と同様の物質を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
耐熱性の内張りを施した反応器の下方部分用の水冷却手段を備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
モニタリング手段が、排出ガスストリームの不透明度を決定するように構成されたセンサを備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
センサが、センサの表面にわたって窒素の流れを提供するように構成された窒素パージ要素によって、本質的に堆積物がない状態に維持される、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
センサが、センサの領域において負圧状態を維持するための要素によって、本質的に堆積物がない状態に維持される、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
耐熱性の内張りが施された反応器内に着脱可能な予熱燃焼器を備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
耐熱性の内張りが施された反応器が、シリンダ状である、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
廃棄物および/または有害物質を処理するための方法であって:
プラズマ生成手段をその中に備えた耐熱性の内張りが施された反応器を与えること、
少なくとも1つの固定位置のプラズマアーク生成器および少なくとも1つの可動式プラズマアーク生成器を用いることによって、前記耐熱性の内張りを施した反応器の全周囲にわたって実質的に均一の高温を有する、高温プラズマ処理ゾーンを生成すること;
固体状および/または液体状の廃棄物および/または有害物質を、前記高温プラズマ処理ゾーンに供給して、その全体に供給すること;
前記廃棄物および/または有害物質を実質的に完全に分解し、安定した無害物質およびスラグ物質に変換するために、前記高温プラズマ処理ゾーンに十分な処理添加剤を選択的に供給すること;
前記高温プラズマ処理ゾーンから気体生成物を除去すること;
前記ガス生成物中の粒子状物質の量を決定するために、前記ガス生成物をモニタリングすること;
安定した無害の最終スラグ生成物を前記耐熱性の内張りを施した容器から除去すること;および
生成ガス排出口において処理添加剤として蒸気を注入することを含む、前記方法。
【請求項21】
廃棄物および/または有害物質を、連続して高温プラズマ処理ゾーンに供給して、その全体に供給するためのポートに近接して、可動式プラズマアーク生成器を配置することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
蒸気処理添加剤を高温プラズマ処理ゾーンに注入することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
処理添加剤ポートを、耐熱性の内張りを施した反応器の回りに間隔をおいて配置すること、および
処理添加剤を、前記処理添加剤ポートを介して高温プラズマ処理ゾーンに選択的に供給することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
排出ガスで反応器の外に運ばれるのと反対に、空気で運ばれる固体が反応器に戻るようにするために、ガス排出速度を調整することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
耐熱性の内張りを施した反応器の下方部分を冷却することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
モニタリング手段が、不透明度センサによって、気体生成物の不透明度を決定することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
不透明度センサが、センサの表面にわたって窒素ストリームを流すことによって、本質的に堆積物がない状態に維持することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
センサの領域において負圧を維持することによって、本質的に堆積物がない状態に維持することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
着脱可能な燃焼器を用いて、耐熱性の内張りが施された反応器内を予め加熱する第一のステップを含む、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−517644(P2006−517644A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501415(P2006−501415)
【出願日】平成16年2月10日(2004.2.10)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000183
【国際公開番号】WO2004/072547
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(505305824)プラスコ エネルギー グループ インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】