説明

複数のポリマー類を含むフィルム

第1ポリマーおよび第1ポリマーの溶解温度よりも低い溶解温度を有する第2ポリマーを含むフィルムを開示する;ここで、フィルムの破断強さは約750psi(5,171kPa)よりも大きい。口腔ケア、個人用ケア、または家庭用ケア組成物として有用である、そのフィルムを含む組成物も開示する。その組成物を用いる方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、ポリマー類を含むフィルム、そのフィルムを含む組成物、および有効薬剤の表面への送達を向上させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 組成物、例えば口腔ケア組成物、個人用ケア組成物、および家庭用ケア組成物は、個人の健康、衛生および外見の増進、哺乳類における様々な疾患および他の状態の予防または処置、ならびに掃除、消毒、気持ちのよい匂いを与えること、および他の利益のための家庭における表面への薬剤の送達を含む多種多様な目的のために用いられる。その組成物はフィルムを含んでいてよく、それは機能性または有効物質をその中に含有しており、およびそれは製品のキャリヤーまたはビヒクル中に蓄えられていてよい。使用の際には、フィルムは化学的または物理的な分裂により分解し、それにより有効または機能性物質を周囲の環境の中に放出してよい。このように、フィルムは標的表面付近での高濃度の有効物質の局所的放出の機会を提供する。
【0003】
[0003] しかし、有益な特性、例えば増大した安定性および標的表面への最適な付着を有する向上したフィルム、さらに有効薬剤を送り届けるためのフィルムを含む経口、個人用および家庭用ケア組成物の安定性を向上させるための方法の継続する需要が存在する。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本発明は、特定の態様において、次のものを含むフィルムを提供する:
(a)第1ポリマー;および
(b)第1ポリマーの溶解温度(solubility temperature)よりも低い溶解温度を有する第2ポリマー;
ここで、フィルムの破断強さは約750psi(5,171kPa)よりも大きい。本発明は、他の態様において、第1ポリマー、第1ポリマーの溶解温度よりも低い溶解温度を有する第2ポリマー、および約750psi(5,171kPa)よりも大きい破断強さを含むフィルムを表面に送り届ける方法であって、フィルムを含む組成物を表面に投与することを含む方法を提供する。様々な態様において、フィルムの破断強さは約1,000psi(6,894kPa)、1,100psi(7,584kPa)よりも大きく、約1,250psi(8,618kPa)よりも大きく、または約1,500psi(10,342kPa)よりも大きい。様々な態様において、フィルムの破断強さは約750psi(5,171kPa)〜約5,000psi(34,470kPa)、または約750psi(5,171kPa)〜約2,900psi(19,995kPa)である。
【0005】
[0005] 様々な態様において、本発明は次のものを含むフィルムを提供する:
(a)乾燥重量に基づいて約5〜約50%のヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロース(またはそれらの混合物);および
(b)乾燥重量に基づいて約5〜約50%のメチルセルロース;
ここで、フィルムの破断強さは約750psi(5,171kPa)よりも大きい。
【0006】
[0006] 様々な態様において、本発明は、有効物質を投与するための方法であって、第1ポリマーおよび第1ポリマーよりも低い溶解温度を有する第2ポリマーを含むフィルムをヒトまたは動物の対象に適用することを含み、ここでフィルムが有効物質を含み、第1ポリマーの第2ポリマーに対する比率が約1:3〜約3:1である方法に向けられている。
【0007】
[0007] 様々な態様において、その方法はさらに、望まれる表面にフィルムが適用された後にフィルムを分裂させることを含む。様々な態様において、組成物は1種類以上の機能性または有効物質を含むフィルムを含み、それは異なる時間においてまたは同時に、制御された放出の仕方で、例えば持続または遅延放出により放出される。
【0008】
[0008] 様々な態様において、本発明はさらに、口腔ケア組成物の安定性を向上させる方法であって、第1ポリマーおよび第2ポリマーを組み合わせることによりフィルムを形成する工程を含み、第2ポリマーが第1ポリマーの溶解温度よりも低い溶解温度を有する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0009] 本明細書で用いられる範囲は、範囲内のそれぞれおよび全ての値を記述するための略記であり、末端を含む。本開示において引用される全ての参考文献は、それらの全体が本明細書に援用される。本開示における定義および引用される参考文献の定義の間に不一致がある場合、本開示が統制する。
【0010】
[0010] 本発明は、望ましい物理的特性を有するフィルムを含む組成物を提供する。例えば、特定の口腔ケア組成物は、その中に含浸された有効成分を有するフィルムの添加により増進され得ることが分かっている。例えばBoydらに対する米国特許第6,669,929号を参照。しかし、その組成物における向上した安定性および有効性、さらに有効薬剤の持続放出の達成に対する継続する需要がいまだ存在する。配合物中の様々な構成要素の不適合性に関して他の問題が残っている。例えば、有機酸はポリマー類の可溶性または沈殿に影響を与え、そうして過度に溶ける(すなわち不安定な)フィルムにつながることにより一部の口腔ケア組成物を不安定にすることが分かっている。有機酸、例えばクエン酸、グルコン酸および他のポリマー性の酸およびポリアクリル酸(polyacryclic acids)は一般的に見られる口腔ケア、個人用ケアおよび家庭用ケアの用途であるため、この種の不利な点は全ての領域の消費者製品において望ましくない不安定の問題につながり得る。
【0011】
[0011] 本発明の組成物および方法は、フィルムに異なる溶解温度を有する少なくとも2種類のポリマー類を提供することで結果として望ましい継続的な有効薬剤の放出速度を提供することのできるフィルムがもたらされるという発見に基づき、有効薬剤を放出する優れた能力を提供する。本発明の組成物は、それらがフィルムを含む口腔ケア、個人用ケアおよび家庭用ケア組成物に関して利益、例えば増進した安定性および送達のプロファイルを示すという点において好都合である。
【0012】
[0012] 特定の態様において、本発明は次のものを含むフィルムに向けられている:
(a)第1ポリマー;および
(b)第1ポリマーの溶解温度よりも低い溶解温度を有するポリマー;
ここで、フィルムの破断強さは約750psi(5,171kPa)よりも大きい。本明細書で用いられる用語”溶解温度”は、その固体形態における所与の水溶性ポリマーが溶媒に溶解する温度を指す。多くのセルロース系ポリマー類、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースの場合では、用語”ゲル化温度”はその上ではそのポリマー類が一般に水に溶けない温度を示すのに用いられてよい。
【0013】
[0013] 特定の態様において、第1ポリマーまたは第2ポリマーの少なくとも一方は水溶性ポリマー、水分散性ポリマー、またはそれらの混合物であってよい。ポリマー類の少なくとも一方が水溶性である場合、溶解温度が測定できさえすればそれは完全に水溶性である必要は無い。特定の態様において、第1ポリマーまたは第2ポリマーの少なくとも一方はセルロース系ポリマーである。様々な態様において、第1ポリマーまたは第2ポリマーの少なくとも一方はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、またはメチルセルロース(MC)である。様々な態様において、第1ポリマーはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)であり第2ポリマーはメチルセルロース(MC)である。
【0014】
[0014] 様々な態様において、水溶性ポリマー類の少なくとも一方はポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメチルアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルキルエーテル−マレイン酸コポリマー(商用名Gantrezの下で入手可能)、ならびに様々な天然由来のポリマー類、例えばキサンタンゴム(xanthan gum)、ローカストビーンゴム(locust bean gum)、キトサンおよびヒアルロン酸から選ぶことができる。
【0015】
[0015] 本発明の態様において、ポリマー類の溶解温度は溶解温度試験に従って測定することができ、それは下記のように実施される:
溶解温度試験
[0016] 溶解温度は単独のポリマーに関して定義され、これを40またはそれを越える重量%において流延して(cast)フィルムとし、切って直径1インチ(2.54cm)の円にする(実例となる単独のポリマーのフィルムの形成に関しては実施例を参照)。ポリマーで厚さ2ミル(0.051mm)のフィルム組成物が製造される。溶解時間を測定する−すなわち、1インチ(2.54cm)の深さまで静水で満たした11インチ掛ける17インチ(28cm×43cm)の皿の中で、ポリマーフィルムの断片が約1/4インチ掛ける約1/4インチ(0.64cm×0.64cm)よりも大きくないようにフィルムが分散するのにかかる時間。より高い水温では、溶解時間は特定のポリマー類(例えばセルロースエーテル類)に関して増大するであろう。溶解温度はフィルムの溶解時間が15分以上であると最初に測定された水温である。
【0016】
[0017] 様々な態様において、第1ポリマーは約100度F(37.8℃)より高い、約100度F(37.8℃)〜約200度F(93.3℃)、および約105度F(40.6℃)〜約170度F(76.7℃)の溶解温度を有する。様々な態様において、第2ポリマーは約100度F(37.8℃)より低い、約80度F(26.7℃)〜約140度F(60.0℃)、または約100度F(37.8℃)〜約150度F(65.6℃)の溶解温度を有する。
【0017】
[0018] 特定の態様において、本発明はキャリヤー中にフィルムを含む組成物を提供し、ここでこのフィルムは第1ポリマーおよび第1ポリマーの溶解温度よりも低い溶解温度を有する第2ポリマーの混合物を含む。
【0018】
[0019] 特定の態様において、フィルムは口腔ケア組成物、個人用ケア組成物(例えば、毛髪ケア組成物または皮膚ケア組成物)、または家庭用ケア組成物における使用に適している。様々な態様において、フィルムは口腔ケアに有効、個人用ケアに有効、または家庭用ケアに有効から選ばれてよい機能性または有効物質を含む。
【0019】
フィルム
[0020] 本態様(The embodiments of the present)は、フィルムおよびフィルムを含む組成物に向けられている。本明細書で言及される”フィルム”は、実質的にラメラ構造を有していてよい、またはあるいは実質的に非ラメラ構造を有していてよい物質、例えば粒子である。
【0020】
[0021] ”ラメラ”構造は、1個または2個の次元(例えばxまたはy次元)において、第3の次元(例えばz方向)における構造の厚さよりも実質的に大きい大きさを有する、または有することができる。有用なラメラ構造は、実質的に平面の、層になった、または薄板形(lamelliform)の構造を含むことができる。様々な態様において、ラメラ構造は実質的に平面(xおよびy次元の両方において、z方向よりも実質的に大きい大きさを有する)または非平面であってよい。様々な態様において、フィルムは実質的に平らな表面のように見えることのできる実質的に連続的な表面を含んでいてよく、または歪んでいてよい。フィルムは多くの形状のいずれを有することもできる。
【0021】
[0022] それに対し、フィルムが非ラメラ状である態様においては、それは例えば、ラメラ状とは対照的に、球形、回転楕円形、横長な形(oblong)、またはそうでなければ不規則な形状を有する、および/または均一な厚さを有する粒子の形であってよい。
【0022】
[0023] 本発明の態様において、フィルムは少なくとも第1ポリマーおよび第2ポリマーを含む。有用なポリマー類には、水溶性ポリマー類、水分散性ポリマー類またはそれらの混合物が含まれる。
【0023】
[0024] 特定の態様において、第1ポリマーまたは第2ポリマーの少なくとも一方は水溶性の、壊すことのできるポリマーであり、それは例えば歯のブラッシング、組成物の皮膚もしくは毛髪への適用、または組成物の家庭における表面、例えば硬い表面もしくは衣料品への適用(例えばスクラビングまたはぬぐい)の間のような使用の間に溶解する。その溶解は、例えば、せん断および/または高濃度の水(唾液を含む)を含む溶媒へさらされることの結果として起こることができる。一部の態様において、ポリマーは不溶性であるが、分散可能であることにより水中で壊すことができ、すなわち、ポリマーは例えばせん断の結果として壊れて小さな断片となる。一部の態様において、フィルムの断片はフィルム形成物質の混合物を含むことができる。本態様に有用である可能性のある水溶性または水分散性ポリマー類には、セルロースエーテル類、メタクリレート類、ポリビニルピロリドン、およびそれらの混合物が含まれる。特定の態様において、第1ポリマーはセルロースエーテル、例えばヒドロキシアルキルセルロースポリマー類、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロースから選ばれる1種類およびそれらの混合物である。例えば、HPMCは10重量%濃度において約45〜約55度Cの初期(incipient)ゲル化温度を有し、MCは10重量%濃度において約25〜約35度Cの初期ゲル化温度を有する(Dow Technical Handbook, ”Methocel Cellulose Ethers,”2002年9月)。
【0024】
[0025] 他の有用なポリマー類には、ポリビニルピロリドン、架橋したポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリレートポリマー、ポリエチレン酸化物、ポリプロピレン酸化物、エチレン酸化物およびプロピレン酸化物のコポリマー類(すなわちポロキサマー類(poloxamers))、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルキルエーテル−マレイン酸コポリマー(すなわちGantrez(登録商標))およびカルボキシビニルポリマー;天然ゴム類、例えばアルギン酸ナトリウム、カラギーナン(carrageenan)、キサンタンゴム、アカシアゴム(gum acacia)、アラビアゴム、グアーゴム(guar gum)プルラン、寒天、キチン、キトサン、ペクチン、カラヤゴム(karaya gum)、ゼイン(zein)、ホルデイン(hordein)、グリアジン(gliadin)、ローカストビーンゴム、トラガカント(tragacantha)および他の多糖類;デンプン類、例えばマルトデキストリン、アミロース、高アミロースデンプン、コーンスターチ、ジャガイモ(potato)デンプン、コメ(rice)デンプン、タピオカ(tapioca)デンプン、エンドウ豆(pea)デンプン、サツマイモ(sweet potato)デンプン、オオムギ(barley)デンプン、コムギ(wheat)デンプン、モチトウモロコシ(waxy corn)デンプン、修飾デンプン(例えばヒドロキシプロピル化高アミロースデンプン)、デキストリン、レバン、エルシナンおよびグルテン;ならびにタンパク質、例えばコラーゲン、乳清タンパク質単離体、カゼイン、乳タンパク質、大豆(soy)タンパク質およびゼラチンが含まれる。
【0025】
[0026] 特定の態様において、第1ポリマーまたは第2ポリマーの少なくとも一方はヒドロキシアルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースである。特定の態様において、第1ポリマーは低粘度HPMCである。HPMCがフィルム形成剤として用いられる場合、それはHPMCの2重量%水溶液として20℃においてウベローデ管粘度計を用いて測定される約1〜約1000mPa・sの範囲の粘度を有していてよい。特定の態様において、HPMCは20℃において約3〜約500mPa・sの粘度を有する。HPMCは商業的に、例えばDow Chemical Companyから商品名Methocelの下で、Methocel E5LV、Methocel E50、およびMethocel K100としてを含めて入手可能である。Methocel E5 LVはUSPグレードの、29.1%のメトキシル基および9%のヒドロキシプロピル基置換を有する低粘度HPMCであり、白色または灰白色の自由流動性の乾燥粉末である。水中2重量%溶液としてウベローデ管粘度計で測定して、それは20℃において5.1mPa・sの粘度を有する。様々な態様において、第1の水溶性ポリマーまたは第2の水溶性ポリマーの少なくとも一方は、約10〜約80重量%、約20〜約75重量%、約30〜約60重量%の範囲の量でフィルム母材中に含まれる。
【0026】
[0027] 様々な態様において、フィルムは組成物の使用の間に崩壊する。一部の態様において、フィルムはキャリヤー中に機能性または有効物質を放出する。本明細書で言及される”崩壊する”は、フィルムまたは断片の物質の、元のフィルムと比べて減少した大きさのフィルムまたはフィルムの断片を生成するような物理的な分裂を指す。その分裂は機械的、化学的手段、またはそれらの組み合わせによるものであってよい。崩壊は、例えばせん断、粉砕、スクラビング(ブラシまたは他の道具を用いるような)、または使用の間に高い温度もしくは溶媒、例えば水もしくは唾液にさらされることの;またはpHの変化もしくは酵素による分解の結果として起こることができる。
【0027】
[0028] 本発明のフィルムは、場合によりフィルムの物理的または機能的特徴に影響を与える物質を含む。その追加の物質は、例えば乳化剤、可塑剤、増量剤、または質感の調節剤であることができる。増量剤は不活性のデンプン粒子およびセルロースを含んでいてよい。質感の調節剤は、冷水で膨張しうる、物理的に修飾されたおよびアルファ化された(pregelatenized)デンプン類を、ポリマー性フィルムの堅さを増大させるために含むことができる。
【0028】
機能性または有効物質
[0029] 本発明のフィルムは、機能性または有効物質を含んでいてよい。加えて、フィルムを含む組成物に向けられた本発明の態様において、組成物はさらに機能性または有効物質を含んでいてよい。本明細書で言及される用語”機能性物質”または”有効物質”は互いに交換できるように用いられ、口腔、個人用または家庭用ケアの分野において望まれる有用性を有する物質を指す。様々な態様において、その有用性は療法的、化粧用、美学的、装飾的、清潔にすること、消毒、漂白、水あかを落とすこと、感覚的またはそれらの組み合わせであってよい。
【0029】
[0030] 機能性物質は、例えば、フィルムの表面に吸着されていてよく、フィルム内に含まれていてよく、またはフィルムの表面上で1種類以上のコーティングを構成していてよい。特定の態様は、第1機能性物質を有する1個以上の第1フィルム断片、および第1機能性物質とは異なる第2機能性物質を有する1個以上の第2フィルム断片を含む口腔ケア、個人用ケアまたは家庭用ケア組成物に向けられていてよい。
【0030】
[0031] 様々な態様において、機能性物質は風味料(flavorant)であってよい。特定の口腔ケアの態様において、風味料は製品の使用の間に崩壊する断片として急速に放出されてよく、息をすがすがしくする(freshening)風味、望まれる口当たりまたは甘味を口腔の中に送り届ける。有用な風味料は、合成風味油または風味をつける芳香族化合物、樹脂油剤および植物、葉、花、果実由来の抽出物およびそれらの組み合わせ、さらに甘味料を含んでいてよい。特定の態様において、フィルムは香味料(flavouring)または食品添加物、例えばNational Academy of SciencesによるChemicals Used in Food Processing、出版1274、63−258ページに記載されているそれらを含む。様々な態様において、フィルムは風味料をフィルムの重量により約0.01〜約15%、約0.1〜約12%、または約1〜約10%のレベルで含む。
【0031】
[0032] 様々な態様において、フィルムは療法的有効物質を含むことができる。本明細書で言及される”療法的有効物質”は、生理的不調または状態の予防または処置に有用な物質である。その不調または状態には、口腔(歯および歯肉を含む)、皮膚、毛髪、および目の不調または状態が含まれる。具体的な療法的有効物質は、組成物の望まれる有用性に従って決定されるのが好ましい。その有効物質には次のものが含まれてよい:
−抗菌剤、例えばトリクロサン、塩化セチルピリジウム(cetyl pyridium chloride)、臭化ドミフェン、第四級アンモニウム塩類、亜鉛化合物類、サンギナリン(sanguinarine)、フッ化物類、アレキシジン(alexidine)、オクトニジン(octonidine)、EDTA、
−精油、例えばチモール、サリチル酸メチル、ユーカリプトール(eucalyptol)およびメントール、および同様のもの、
−非ステロイド系抗炎症薬、例えばアスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ジフルニサル(diflunisal)、フェノプロフェンカルシウム、ナプロキセン(naproxen)、トルメチンナトリウム、インドメタシン、および同様のもの、
−鎮咳薬、例えばベンゾナテート(benzonatate)、カラミフェンエジシレート(caramiphen edisylate)、メントール、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、クロフェダノール塩酸塩、および同様のもの、
−うっ血除去薬、例えば偽エフェドリン塩酸塩、フェニレフリン(phenylepherine)、フェニルプロパノールアミン、偽エフェドリン硫酸塩、および同様のもの、
−抗ヒスタミン剤、例えばブロムフェニラミンマレイン酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、クレマスチンフマル酸塩、デクスクロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、アザタジンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミンクエン酸塩、ドキシラミンコハク酸塩、プロメタジン塩酸塩、ピリラミンマレイン酸塩、トリペレナミン(tripelennamine)クエン酸塩、トリプロリジン塩酸塩、アクリバスチン(acrivastine)、ロラタジン(loratadine)、ブロムフェニラミン、デクスブロムフェニラミン、および同様のもの、
−去痰剤、例えばグアイフェネシン、吐根、ヨウ化カリウム、テルピン水和物、および同様のもの、
−下痢止め剤、例えばロペラミド、および同様のもの、
−H−拮抗剤、例えばファモチジン、ランチジン、および同様のもの、
−プロトンポンプ阻害剤、例えばオメプラゾール、ランソプラゾール、および同様のもの、
−一般的な非選択的CNS鎮静剤、例えば脂肪族アルコール類、バルビツール酸塩類、および同様のもの、
−一般的な非選択的CNS刺激剤、例えばカフェイン、ニコチン、ストリキニーネ、ピクロトキシン、ペンチレンテラゾール、および同様のもの、
−CNS機能を選択的に修飾する薬物、例えばフェニヒダントイン(phenyhydantoin)、フェノバルビタール、ピリミドン、カルバマゼピン(carbamazepine)、エトスクシミド、メトスクシミド、フェンスクシミド、トリメタジオン(trimethadione)、ジアゼパム、ベンゾジアゼピン類、フナセミド(phenacemide)、フェネツライド(pheneturide)、アセタゾラミド、サルチアム(sulthiam)、臭化物、および同様のもの、
抗パーキンソン病薬物、例えばレボドパ(levodopa)、アマンタジン、および同様のもの、ならびに
−麻薬性鎮痛剤、例えばモルヒネ、ヘロイン、ヒドロモルホン、メトポン(metopon)、オキシモレホン(oxymorphone)、レボルファノール(levorphanol)、コデイン、ハイドロコドン(hydrocodone)、キシコドン(xycodone)、ナロルフィン(nalorphine)、ナロキソン(naloxone)、ナルトレキソン(naltrexone)、および同様のもの、
鎮痛解熱剤、例えばサルチル酸塩類(salycilates)、フェニルブタゾン(phenylbutazone)、インドメタシン、フェナセチン(phenacetin)および同様のもの、
精神薬理学的薬物、例えばクロルプロマジン(chlorpromazine)、メトトリプラジン(methotrimeprazine)、ハロペリドール(haloperidol)、クロザピン(clozapine)、レセルピン(reserpine)、イミプラミン(imipramine)、トラニルシプロミン(tranylcypromine)、フェネルジン、リチウム、および同様のもの。
【0032】
[0033] 本発明の特定の口腔ケア、個人用ケアおよび家庭用ケアの態様において、有用な機能性物質には、例えば次のものが含まれてよい:風味料、芳香剤、精油、乳化剤、増粘剤、着色剤、冷却剤、甘味料、結合剤、硫黄沈殿剤、可塑剤、医薬的有効物質、唾液刺激剤、変色防止(stain prevention)に有効な物質、抗菌剤、抗齲歯剤(anticaries agents)、抗歯石剤(anticalculus agents)、抗歯垢剤(antiplaque agents)、歯周に有効な物質、息をすがすがしくする薬剤、悪臭抑制剤、白化剤(whitening agents)、ビタミン類、草および草の抽出物、アミノ酸、酵素または他のタンパク質、ステロイド類、抗炎症剤、研磨剤、制汗性有効物質、脱臭性有効物質、品質改良剤、保湿剤、軟化剤、日焼け止め(sunscreens,sunblocks)、アルコール類、変性剤、ふけ防止剤(anti−dandruff agents)、抗コリン作用剤、麻酔剤、発泡剤、界面活性剤、洗浄剤(cleansing agents)、漂白剤、洗剤(detergents)、ファブリックを柔らかくする薬剤、保存剤およびそれらの組み合わせ。有用な有効物質は、Leungらに対する米国特許第6,596,298号にも記載されている。様々な態様において、フィルムにはその有効物質がフィルムの重量により約0.001〜約50%、フィルムの重量により約0.01〜約40%、フィルムの重量により約0.1〜約30%またはフィルムの重量により約1〜約25%の濃度で含まれる。
【0033】
[0034] 様々な態様において、本発明は、それらの中に懸濁されたまたは埋め込まれた、水溶性のセルロース系ポリマーおよび第1ポリマーの溶解温度よりも低い溶解温度を有する第2ポリマーの混合物からなる水で水和が可能な(water hydratable)フィルムの薄片を有する歯磨剤を提供する。様々な態様において、第1ポリマーおよび第2ポリマーの少なくとも一方はHPMCである。様々な態様において、第1ポリマーはHPMCであり第2ポリマーはMCである。
【0034】
[0035] 本発明のフィルムは、当技術におけるフィルムの製作に関する既知のやり方の中の方法を含む様々なやり方で作られてよい。様々な態様において、フィルム形成スラリーの構成要素、例えば下記の実施例で開示されるそれらは、混合されてフィルム形成スラリー組成物となる。スラリーは外すことのできる支持体の上に流延されて乾燥され、フィルム物質のシートとなる。特定の態様において、支持体物質はフィルムスラリーが支持体の表面に渡って実質的に均一に広がることを可能にする表面張力を有し、それによりフィルムおよび支持体の間の破壊的な結合の形成を避ける。適切な支持体の限定的でない例には、ガラス、ステンレス鋼、Teflon(商標)およびポリエチレンまたはシリコンを含浸させた紙が含まれる。流延した後、次いでフィルムを乾燥させる。スラリーの乾燥は、高温において乾燥オーブン、乾燥端末(drying terminal)、真空乾燥機、または当技術で既知のいずれかの他の適切な乾燥設備の助力を用いて実施することができる。他の態様において、フィルムはフィルム組成物のダイを通した押し出し、続いて望まれる厚さへの切断、および乾燥により作られる。他の態様において、フィルムは溶媒流延(solvent casting)により作られる。
【0035】
[0036] 本発明のフィルムはスラリーからの配合により作られてよく、ここで乾燥フィルムは次のものを含む:
(a)乾燥重量に基づいて約5〜約50%の第1ポリマー;および
(b)乾燥重量に基づいて約5〜約50%の第2ポリマー。
【0036】
[0037] 様々な態様において、フィルムは第1ポリマーおよび第2ポリマーのそれぞれを乾燥重量に基づいて約10〜約40%、約12〜約35%、および約15〜約30%含む。
【0037】
[0038] フィルムの断片は本発明の基剤組成物中に広い範囲の濃度で含まれていてよい。様々な態様において、キャリヤーは断片を組成物の重量により約0.005〜約15%、約0.01〜約12%、約0.05〜約10%、約0.01〜約8%または約0.05〜約5%のレベルで含んでいてよい。
【0038】
[0039] 特定の態様において、本発明の組成物は本発明に従うフィルムをキャリヤー中に含む。本明細書で言及される”キャリヤー”は、フィルムがその中に埋め込まれる、および懸濁されることができ、ヒトまたは動物の対象への口腔ケアもしくは個人用ケア配合物としての投与もしくは適用に適している、または家庭における表面への家庭用ケア配合物としての投与に適しているいずれかの物質または組成物である。複数のフィルム断片を含む様々な態様において、その断片はキャリヤー中に埋め込まれて、懸濁されて分散して、またはそうでなければ分布していてよい。キャリヤーの選択は、フィルムの望まれる使用、すなわち、口腔ケア、個人用ケアまたは家庭用ケア組成物における使用に依存する。
【0039】
[0040] 様々な態様において、キャリヤーは液体、半固体または固体である。”液体”は、低いまたは高い粘度の液体であることができ、周囲条件下で感知できない流速を有する液体を含む。例えば、石鹸、例えばハンドソープのバーは、本明細書で定義される液体であると考えることができる。液体は揺変性の液体であることができる。本明細書で用いられる”半固体”は、ゲル、コロイド、またはゴムであることができる。本明細書で用いられる半固体および液体は、粘度に基づいて区別される流体である:半固体は高粘度の流体であり、一方液体はより低い粘度を有する。これらの2つのタイプの流体の間を決定的に分かつ線は存在しない。半固体は、特定の態様において、数千mPa・sの高さの粘度を有する。本明細書において有用であるキャリヤーには、液体、ペースト、軟膏、ゲル、および泡が含まれ、透明、半透明または不透明であることができる。
【0040】
[0041] 特定の態様において、本発明の組成物は口腔への投与に適した口腔ケア組成物である。その組成物には、歯磨剤(口内洗浄剤およびうがい剤を含む)、歯用ゲル、ロゼンジ、ビーズ、ガム、経口ストリップ(oral strips)、ハッカ入り菓子、液体練り歯磨き、スプレー、塗布用ゲル、リップバーム、白化用ストリップ(whitening strips)、息用ストリップ(breath strips)、経口用の噛む物(oral chews)、デンタルフロス、およびそれらの組み合わせが含まれる。本明細書で開示される口腔ケア組成物は、例えば虫歯の予防、白化、歯垢の予防もしくは低減、歯肉炎の予防もしくは低減、歯石の抑制、過敏の予防もしくは低減、または息の悪臭の予防もしくは低減、および変色の予防のために用いることができる。
【0041】
[0042] 特定の態様において、本発明の組成物は皮膚ケア組成物、例えば、石鹸、ローション、ボディーウォッシュ、入浴用ゲル、シャンプー、コンディショナー、体臭防止剤、制汗剤、芳香剤、香水、化粧品またはそれらの組み合わせ、例えば制汗剤/体臭防止剤であることができる。特定の態様において、本発明の組成物は、例えばシャンプーまたはコンディショナー、またはそれらの組み合わせのような毛髪ケア組成物であることができる。
【0042】
[0043] 特定の態様において、本発明の組成物は家庭用ケア組成物、例えば、皿洗い用洗剤、洗濯用洗剤、ファブリック用軟化剤、硬い表面のクリーナーまたは漂白用の組成物であることができる。家庭用ケア組成物に有用なキャリヤーには、例えば界面活性剤、洗剤および発泡剤が含まれる。
【0043】
[0044] キャリヤーの具体的な組成は、好ましくは組成物の意図される用途に依存する。様々な態様において、キャリヤーは水性であり、約5〜約95%の水、約10〜約80%の水または約15〜約75%の水を含んでいる。他の態様において、キャリヤーは実質的に非水性である。様々な態様において、キャリヤーは約5〜約70%、約10〜約50%、または約20〜約40%の含水量を有する歯磨剤キャリヤーであってよい。他の態様において、非水性歯磨剤キャリヤーは約5%より少ない水を含む。
【0044】
[0045] キャリヤーは乳化剤、増粘剤、増量剤および保存剤を含む様々な物質のいずれを含んでいてもよい。一部の態様において、キャリヤーは機能性物質、例えば上記の機能性物質を含む。一部の態様において、キャリヤーはフィルムと同じ機能性物質を含む。
【0045】
[0046] 特定の態様において、キャリヤーは歯磨剤としての使用に適している。一部の態様において、キャリヤーは湿潤剤、例えばグリセリン、ソルビトールまたはアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコールもしくはプロピレングリコールを含む。一部の構成において、キャリヤーは湿潤剤を組成物の重量により約10〜約80%、または重量により約20〜約60%のレベルで含む。本明細書において有用であるキャリヤー組成物の中のキャリヤー組成物が、例えばGarlick,Jr.らに対する米国特許第5,695,746号、およびMei−King Ngらに対する第4,839,157号において開示されている。
【0046】
[0047] 様々な歯磨剤の態様において、キャリヤーは増粘剤、ゲル化剤またはそれらの組み合わせを含む。本明細書において有用な増粘剤またはゲル化剤には、無機、天然または合成の増粘剤またはゲル化剤が含まれる。一部の構成において、キャリヤーは増粘剤およびゲル化剤を組成物の重量により約0.10〜約15%、または重量により約0.4〜約10%の総レベルで含む。本明細書において有用な増粘剤およびゲル化剤の例には、無機増粘シリカ類、例えば:非晶質シリカ、例えばZeodent(登録商標)165(Huber Corporation);アイリッシュモス(Irish moss);イオタ−カラギーナン(iota−carrageenan);トラガカントゴム;またはポリビニルピロリドンが含まれる。特定の態様において、キャリヤーは研磨剤、例えばシリカ、か焼アルミナ、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウムまたはピロリン酸カルシウムを含む。様々な態様において、キャリヤーは見た目が澄んだ組成物であることができる。
【0047】
[0048] 見た目が澄んだキャリヤーを含む特定の歯磨剤の態様において、組成物は少なくとも1種類の研磨剤を含む。本明細書において有用な研磨剤の中の研磨剤には、例えばZeodent(登録商標)115(Huber Corporation)のようなコロイド性シリカ(collodial silica)、およびアルカリ金属アルミノケイ酸錯体(すなわち、アルミナを含むシリカ)が含まれる。一部の構成において、研磨剤は水および/または湿潤剤と組み合わせたゲル化剤の屈折率に近い屈折率を有することができる。様々な態様において、キャリヤーは研磨剤を組成物の重量により約5〜約70%のレベルで含む。
【0048】
[0049] 特定の歯磨剤の態様において、キャリヤーは界面活性剤または界面活性剤の混合物を含む。有用な界面活性剤には、少なくとも1種類の高級脂肪酸モノグリセリド一硫酸塩の水溶性の塩類、例えば水素化ココナッツ油脂肪酸類の一硫酸モノグリセリドのナトリウム塩;コカミドプロピルベタイン;高級アルキル硫酸塩、例えばラウリル硫酸ナトリウム;アルキルアリールスルホン酸塩、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;高級アルキルスルホ酢酸塩;ラウリルスルホ酢酸ナトリウム;1,2−ジヒドロキシプロパンスルホネートの高級脂肪酸エステル;および低級脂肪族アミノカルボン酸の実質的に飽和した高級脂肪族アシルアミド類、例えば脂肪酸、アルキルまたはアシル基中に12〜16個の炭素を有するそれら;およびそれらの混合物が含まれる。アミド類は、例えばN−ラウロイルサルコシン、ならびにN−ラウロイル、N−ミリストイル、またはN−パルミトイルサルコシンのナトリウム、カリウム、およびエタノールアミン塩類であることができる。様々な態様において、キャリヤーは界面活性剤を組成物の重量により約0.3〜約15%、約0.5〜約10%、または約1〜約3%のレベルで含む。
【0049】
[0050] 特定の態様において、水に不溶性のポリマー性物質は、ポリマー類を含むポリマー性物質の水性乳濁液または分散液であることができる。一部の構成において、ポリマー類は前駆体のモノマー類、モノマー類の混合物、天然ポリマー類およびそれらの混合物を含むことができる。一部の構成において、ポリマー性物質は水に不溶性のポリマー性物質も含むことができる。特定の構成において、水に不溶性のポリマーは組成物の重量により約3〜約60%;約4〜約40%、または約5〜約30%を構成することができる。限定的でない例において、水に不溶性のポリマー性物質は芳香族ビニル類、ジエン類、シアン化ビニル類、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビニリデン類、ビニルエステル類、オレフィン類およびそれらの異性体、ビニルピロリドン、不飽和カルボン酸類、不飽和カルボン酸類のアルキルエステル類、不飽和カルボン酸類のアルキルエステル類のヒドロキシ誘導体、不飽和カルボン酸類のアミド類、不飽和カルボン酸類のアミン誘導体、不飽和カルボン酸類のアルキルエステル類のグリシジル誘導体、オレフィン系ジアミン類および異性体、芳香族ジアミン類、ハロゲン化テレフタロイル類、オレフィン系ポリオール類およびそれらの混合物から選ばれるモノマー類を含むことができる。
【0050】
[0051] 様々な態様において、本発明に従うキャリヤーおよびフィルム断片を含む組成物は、制汗剤、体臭防止剤、または制汗剤/体臭防止剤、シャンプー、ローションとしての使用に適していることができる。
【0051】
使用の方法
[0052] 特定の態様において、本発明はフィルム組成物をヒトまたは動物のような対象に投与するための方法を提供する。本明細書で言及される”投与する”は、それにより組成物が対象に適用される、または投与されるあらゆる方法を指す。様々な態様において、投与は局所的であり、ここで組成物は対象の外面に対して、例えば口の表面(例えば、歯、歯茎および舌)に対して、皮膚に対して、目に対して、および毛髪に対して適用される。投与の具体的な経路および方法は、組成物の意図される用途に依存するであろう。
【0052】
[0053] 様々な態様において、本発明は、機能性物質をそれを必要とするヒトまたは動物の対象に投与するための方法であって、局所的にその対象にキャリヤー中にフィルムを含む組成物を適用することを含み、そのフィルムが機能性物質を含む方法を提供する。1態様において、方法はさらに、フィルムを局所的に適用した後にフィルムを分裂させることを含む。その分裂は、化学的および/または機械的手段を含む様々な方法のいずれにより成し遂げられてもよい。化学的手段には、水または投与部位に存在する物質(例えば、口腔ケアの用途における唾液)との接触によるフィルムの分解が含まれる。物理的手段には、使用の間の組成物への物理的エネルギーの適用により生じる攪拌、粉砕、およびせん断力(例えば、歯磨剤の用途におけるブラッシングまたは家庭用ケアの用途におけるスクラビングもしくはぬぐい)が含まれる。
【0053】
[0054] 様々な態様において、本発明は口腔ケアの状態の処置のための方法を提供する。本明細書で言及される”口腔ケアの状態”は、組成物の口腔への投与により予防または処置され得るあらゆる不調または状態であり、歯、口腔粘膜、歯肉および舌の不調または状態を含む。その状態には、齲歯、歯肉炎、歯周炎、過敏、口内乾燥、歯石および美容に関する状態、例えば変色の増大、歯のエナメル質の喪失または悪臭が含まれる。
【0054】
[0055] 特定の態様において、本発明は、哺乳類の全身の健康を維持するための方法であって、哺乳類に本発明に従うフィルムを含む組成物を投与する工程を含む方法を提供する。
【0055】
[0056] 本発明は、下記の限定的でない実施例への参照によりさらに理解することができる。
【実施例】
【0056】
[0057] 表1に従って、多様な比率のメチルセルロース(MC)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を用いて、下記のように様々なスラリーを調製した。
表1:試験した配合物
【0057】
【表1】

【0058】
[0058] 次いでスラリーを流延してフィルムにし、次いでこれを試験して様々な物理的特徴を測定した。歯磨剤キャリヤー中でのフィルムの安定性を、制御された室温において1週間後に(1)形または大きさに変化が起きなかったことの視覚による測定;および(2)穏やかな摩擦で形状がばらばらにならなかったことの触覚による測定により評価した。この評価において用いた特定の歯磨剤は、当技術で既知の成分および方法を用いて製造したが、特に2%の有機酸ポリマー、例えばポリビニルアルキルエーテル−マレイン酸コポリマー(例えばGantrez(登録商標)のような)を含んでいた。試験の結果を下記に示す:
表2:試験したフィルムの特性(実施例1〜4)
【0059】
【表2】

【0060】
[0059] 結果は、実施例3および4のフィルムは実施例2のフィルムよりも高い破断強さを有しており、一方でより短い溶解時間を維持していることを示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のものを含むフィルム:
(a)第1ポリマー;および
(b)第1ポリマーの溶解温度よりも低い溶解温度を有する第2ポリマー;
ここで、フィルムの破断強さは約750psi(5,171kPa)よりも大きい。
【請求項2】
請求項1によるフィルムであって、フィルムの破断強さが約750psi(5,171kPa)〜約5,000psi(34,470kPa)であるフィルム。
【請求項3】
請求項1に記載のフィルムであって、第1ポリマーまたは第2ポリマーの少なくとも一方がセルロースエーテル類、メタクリレート類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン酸化物、ポリプロピレン酸化物ならびにそれらの混合物およびコポリマーから選ばれるフィルム。
【請求項4】
請求項1に記載のフィルムであって、第1ポリマーまたは第2ポリマーの少なくとも一方が水溶性ポリマーであるフィルム。
【請求項5】
請求項1に記載のフィルムであって、第1ポリマーがセルロースエーテルであるフィルム。
【請求項6】
請求項5に記載のフィルムであって、第1ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)またはヒドロキシプロピルセルロース(HPC)であるフィルム。
【請求項7】
請求項1に記載のフィルムであって、第1ポリマーが10重量%濃度において約45〜約55度Cの初期ゲル化温度を有し、第2ポリマーが10重量%濃度において約25〜約35度Cの初期ゲル化温度を有するフィルム。
【請求項8】
請求項1に記載のフィルムであって、実質的にラメラ構造を有するフィルム。
【請求項9】
請求項1に記載のフィルムであって、第1ポリマーが約100度F(37.8℃)より高い溶解温度を有し、第2ポリマーが約100度F(37.8℃)より低い溶解温度を有するフィルム。
【請求項10】
請求項1に記載のフィルムであって、第1ポリマーが約105度F(40.6℃)〜約170度F(76.7℃)の溶解温度を有し、第2ポリマーが約80度F(26.7℃)〜約140度F(60.0℃)の溶解温度を有するフィルム。
【請求項11】
キャリヤー中にフィルムを含む組成物であって、フィルムが第1ポリマーおよび第1ポリマーよりも低い溶解温度を有する第2ポリマーを含み、フィルムの破断強さが約750psi(5,171kPa)よりも大きい組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の組成物であって、第1水溶性ポリマーまたは第2水溶性ポリマーの少なくとも一方がセルロースエーテル類、メタクリレート類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン酸化物、ポリプロピレン酸化物ならびにそれらの混合物およびコポリマーから選ばれる組成物。
【請求項13】
請求項12に記載の組成物であって、第1ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)であり第2ポリマーがメチルセルロース(MC)である組成物。
【請求項14】
請求項11に記載の組成物であって、さらに次のものから選ばれる療法的有効物質を含む組成物:研磨剤、抗齲歯剤、抗歯石剤、抗歯垢剤、抗過敏剤(antisensitivity agents)、咬合剤(occluding agents)、歯周に有効な物質、息をすがすがしくする薬剤、悪臭抑制剤、白化剤、変色予防に有効な物質、唾液刺激剤、およびそれらの組み合わせ。
【請求項15】
請求項11に記載の組成物であって、歯磨剤の形である組成物。
【請求項16】
請求項11に記載の組成物であって、第1ポリマーの第2ポリマーに対する比率が約1:3〜約3:1である組成物。
【請求項17】
次のものを含むフィルム:
(a)乾燥重量に基づいて約5〜約50%の、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースから選ばれるセルロース系組成物;および
(b)乾燥重量に基づいて約5〜約50%のメチルセルロース;
ここで、フィルムの破断強さは約750psi(5,171kPa)よりも大きい。
【請求項18】
請求項17のフィルムであって、次のものを含むフィルム:
(a)乾燥重量に基づいて約10〜約40%のヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロース;および
(b)乾燥重量に基づいて約10〜約40%のメチルセルロース。
【請求項19】
有効物質を投与するための方法であって、第1ポリマーおよび第1ポリマーよりも低い溶解温度を有する第2ポリマーを含むフィルムをヒトまたは動物の対象に適用することを含み、ここでフィルムが有効物質を含み、第1ポリマーの第2ポリマーに対する比率が約1:3〜約3:1である方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、組成物を対象の歯または口の表面に適用することを含む方法。
【請求項21】
フィルムの安定性を向上させるための方法であって、第1ポリマーおよび第2ポリマーを組み合わせることによりフィルムを形成する工程を含み、第2ポリマーが第1ポリマーの溶解温度よりも低い溶解温度を有する、第1水溶性ポリマーのみを含むフィルムよりも高い破断強さを有するフィルムを提供するための方法。
【請求項22】
哺乳類の全身の健康を維持するための方法であって、哺乳類に請求項14によるフィルムを含む組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項23】
請求項1に記載のフィルムを含む組成物であって、石鹸、ローション、ボディーウォッシュ、入浴用ゲル、シャンプー、コンディショナー、体臭防止剤、制汗剤、芳香剤、香水または化粧品の形である組成物。
【請求項24】
請求項1に記載のフィルムを含む組成物であって、発泡剤、界面活性剤、洗浄剤、漂白剤、洗剤、ファブリックを柔らかくする薬剤の形である組成物。

【公表番号】特表2010−525109(P2010−525109A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504136(P2010−504136)
【出願日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/057571
【国際公開番号】WO2008/130764
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】