説明

複数のラックユニット及び搬送室を含む収納ラックにおける収納物の収納方法並びにそのような収納ラック

本発明は、収納物(110から140)の複数の収納スペースを提供する複数のラックユニット(20,40)を含む収納ラック(10)において収納物(110から140)を収納する方法に関する。収納ラック(10)は搬送室(60)を有し、ここでは搬送装置(80)が摺動してサービス開口(30)と収納スペースとの間で収納物(110から140)を搬送する。第1ラックユニット(20)は前記サービス開口(30)を有し、第2ラックユニット(40)は搬送室(60)により第1ラックユニット(20)から離間されている。この方法において、第1収納物(110)はラックユニット(20,40)のバッファ領域(50)に搬送装置(80)により一時的な収納場所として搬入される。第2収納物(120)はサービス開口(30)を介して搬送装置(80)に供給される。第2収納物(120)は搬送装置(80)によりバッファ領域(50)に搬入される。さらに、第1収納物(110)は搬送装置(80)によりサービス開口(30)に供給され、第2収納物(120)は搬送装置(80)により所定の収納スペースに供給される。本発明はこのようなタイプの収納ラック(10)にも関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納物のための複数の収納スペースを持つ複数のラックユニットを備えた収納ラックにおける収納物の収納方法に関する。収納ラックは搬送室を有し、搬送室では搬送装置が摺動して、サービス開口と収納される場所との間へ収納物を搬送する。
【背景技術】
【0002】
ラックモジュールを並べた2つのラックユニットを有する収納ラックは知られており、2つのラックユニットの列の間で摺動する搬送装置を有する搬送室が設けられている。1または複数のラックユニットにおいて、サービス開口が設けられており、このサービス開口を通じて収納物または収納物がついた収納物キャリアが搬送室の領域に到達するまで押され、搬送装置によって受け止められる。続いて、収納物キャリアまたは収納物は搬送装置により垂直方向及び/または水平方向に摺動され、所望の収納スペースに到達し、その収納スペースに押し込まれる。搬送装置の無駄な摺動を抑制するために、プロセスシーケンスの改善が必要である。
【0003】
ドイツ実用新案公報第20317901号に開示されている収納ラックでは、搬送装置の収納物を載置する載置面が少なくとも2つの面領域に分割されており、搬送装置の向きを変える手段が設けられている。しかし、搬送装置の向きを搬送室の中で変えるため、搬送室は実際の搬送に必要な幅よりも大きい幅を必要とする問題がある。さらに、搬送装置の向きを変えるための構成がさらに必要である。
【0004】
さらなる公知の収納ラックとしては、引きぬかれるいくつかの収納物キャリアがサービス開口に供給され、そして操作者によりサービス開口から除去されるようにサービス開口とプロセスとが構成されている収納ラックがある。ここでの問題は、もしサービス開口の低い領域が高さのある収納物を搬送する第1収納物キャリアによって占められ、第2の収納物キャリアがサービス開口の上部領域に収納位置から提供されると、第1収納物キャリア上の高さのある収納物のためにサービス開口にほとんどスペースが残っていないため、衝突が起こりえることがここでの問題である。そのうえ、第2収納物キャリアは、人がそれを引き抜くには人間工学的に難しい高さを有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、収納ラックに収納物を収納する方法を提供することであり、収納物の載置や引き抜きの扱いを改善し、時間を短縮することである。さらに、そのような収納ラックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、請求項1にかかる方法は、収納ラックに収納物を収納する方法を提案し、ここで収納ラックは収納物のための複数の収納場所を提供する複数のラックユニットと搬送室とを含み、搬送室において搬送装置がサービス開口と収納場所との間で収納物を搬送するように摺動する。さらに、第1ラックユニットは、サービス開口を含み、第2ラックユニットは搬送室によって第1ラックユニットから離間している。本発明の方法は以下のステップを含む:
a)取り出される第1収納物を、仮収納のためのバッファ領域に搬送装置によって搬送し、
b)収納する第2収納物を、サービス開口を介して前記搬送装置に供給し、
c)前記搬送装置により前記第2収納物を前記バッファ領域に搬送し、
d)前記搬送装置により前記サービス開口に前記第1収納物を供給し、
e)前記搬送装置により所定の収納スペースに前記第2収納物を供給する。
【0007】

本発明によれば、収納物の載置と取り出しの回数が減少される。好ましくは、ただ一つの収納物または一つ一つの収納物キャリアがサービス開口の領域に存在する。これは、収納物の高さに制限がないことを意味し、全ての収納物キャリアが人間工学的な高さにおいて処理されうる。その結果、例えば、取り出されるいくつかの収納物キャリアまたは収納物の衝突が、サービス開口の領域で防止できる。これは、第2収納物キャリアまたは第2収納物がサービス開口に摺動しないからである。好ましくは、ラックユニットのひとつにバッファ領域が設けられ、サービス開口の潜在的な危険領域からの収納物の除去と、バッファ領域における一時的な載置とを容易にする。
【0008】
本発明においては、ラックは好ましくは柱状であり、互いに上下に位置する複数の収納場所を有し、それぞれの収納場所は各収納物キャリア用である。いくつかの柱状のラックは縦方向に沿って互いに並んで位置し、ラックの列を形成する。収納とは基本的に、収納ラックへの収納物の載置または収納ラックからの収納物の取り出しを意味する。
【0009】
本発明では、収納物は単一の収納物部材、いくつかの収納物部材の組み合わせ、または搬送される収納物を含む収納物キャリアによって置換または補足される。第1収納物はゆえに、収納物部材の第1の組み合わせであり得、後述する第4収納物は収納物部材の第2の組み合わせであり得、第2の組み合わせは第1の組み合わせと同様に収納物部材を含む。例えば、第1収納物は、要求された収納物部材の除去のあとでは、第4収納物として言及される。これに代わり、第4収納物は、収納物部材の全く新しい組み合わせ、例えば別の収納物キャリアを含むこともできる。
【0010】
本発明の方法の好ましい実施形態は請求項2から10に記載される。
【0011】
この方法の好ましい形態では、バッファ領域は好ましくは第2ラックユニットと関連付けられ、基本的にはサービス開口と同じ高さに設けられる。言い換えれば、バッファ領域は、第2ラックユニットまたは第1ラックユニットまたはラック支柱のサービス開口と反対側の第2ラックユニットまたはラック支柱に配置される。これにより、例えば、収納される収納物はサービス開口から搬送室の後ろのラックユニットに搬送室を横切って搬送されるだけで済む。例えば、基本的には水平方向への搬送だけで済む。これに代わり、バッファ領域は、第1ラックユニットまたは他のラックユニットと関連付けられることもできる。
【0012】
好ましい形態では、バッファ領域は少なくとも2つのバッファ空間を提供する。ここで、バッファ空間の空間的な分離は不要であり、例えば、水平方向の分離壁によって分離される。ゆえに、少なくとも2つのバッファ空間に対し、相応の大きな空間が設けられれば足りる。例えば、収納物キャリアまたは収納物は、ラックユニットの側壁か突出するキャリアサポート上に押し付けられることができる。
【0013】
好ましくは、バッファ領域は、収納スペースのために提供される最大高さの約2倍に相当する高さを有している。この収納スペースの最大高さは、収納ラックの型に依存し、例えば収納ラックが扱うであろう収納物の大きさや重量に依存する。基本的にはバッファ領域は最大高さの倍数に対応する高さを有することができる。このようにして、収納物キャリアや収納物の衝突や破損がバッファ領域で生じることを防止することができる。
【0014】
さらに、収納物の高さを測定することが好ましい。この目的のために必要な高さ測定装置は好ましくはサービス開口の領域に設けられ、高さが測定された収納物だけがバッファ領域に搬入される。好ましくは、所定の最大高さまでの収納物のみがバッファ領域に搬入される。
【0015】
さらに好ましい形態においては、ステップf)において、取り出される第3収納物が搬送装置によって収納場所からバッファ領域に供給される。ここで、第2収納物の収納場所の近傍に第3収納物があることが好ましい。これは結果的に、時間を節約し、搬送装置により搬送される距離を少なくする。
【0016】
ステップg)において、収納される第4収納物がサービス開口を介して搬送装置に供給されることが好ましい。好ましくは、ステップg)はステップf)の後で実行され、搬送装置が収納物を動かすためにサービス開口とバッファ領域のみで動作することを可能にする。
【0017】
短期間または長期間サービス開口を閉じることを可能にするために、好ましい形態では、扉部材、好ましくは高速ドアが前述の2つのステップの間、またはこれらのステップのいずれか1つの間において、サービス開口の開閉のために開閉する。
【0018】
好ましい形態では、搬送装置は第1搬送手段及び第2搬送手段を有し、第1搬送手段は垂直方向に摺動し、第2搬送手段は水平方向に摺動する、さらに搬送時間を節約するために、第2搬送手段は第1搬送手段上で摺動することが好ましい。
【0019】
さらに、請求項11のプリアンブルの特徴を有する収納ラックが提案される。ここで、ラックユニットは、収納物の一時的な収納のためのバッファ領域を有している。このような収納ラックは、上述の方法で述べられた効果を有している。
【0020】
本発明にかかる収納ラックの好ましい形態は請求項12から18に記載される。
【0021】
好ましくは、バッファ領域は第2ラックユニットに設けられ、基本的にはサービス開口と同じ高さに設けられる。これにより、収納されるまたは取り出される収納物の搬送経路が短くなり、ゆえに物品を整理する時間が減少される。好ましくは、バッファ領域は少なくとも2つのバッファ空間を含む。もしバッファ領域が収納スペースの所定の最大高さの整数倍、特に2倍の高さに相当する高さを有していることが好ましい。これらの好ましい形態において、前述の方法と同様の効果が期待できる。
【0022】
好ましい形態において、サービス開口の領域では、収納物の高さを検出するための高さ検出装置が設けられる。このような高さ検出装置は、収納物を収納するために必要なラックユニットの数を決定する。好ましくは、高さ検出装置の測定信号は制御ユニットに送られ、制御ユニットは収納物の高さと収納ラックの占有状況とに応じた適切な収納場所に収納物や収納物キャリアを搬送装置により搬送し提供する。高さ検出装置は、サービス開口の外側端の領域に配置されることができ、例えば、第1ラックユニットの外側領域やサービス開口の内側端の領域、例えば搬送室のおおよそ隣り合う部分に配置することができる。
【0023】
サービス開口を一時的または恒久的に閉じることができるように、扉部材、好ましくは高速ドア、がサービス開口を開閉するために設けられることができる。好ましくは、扉部材はサービス開口の内側端または第1ラックユニットの内側に設けられる。
【0024】
さらに好ましい形態では、搬送装置は第1搬送手段と第2搬送手段を有し、第1搬送手段は垂直方向に摺動可能であり、第2搬送手段は水平方向に摺動する。これにより、垂直方向及び水平方向における同時の搬送が可能になる。好ましくは、第2搬送手段は第1搬送手段上に支持されている。この目的のために、レールやホイールなどのガイド手段を設けることができる。
【0025】
最後に、ラックユニットが互いに上下に配置され互いに離間したキャリアサポートを有していると好ましい。キャリアサポートは、対で配置され、ラックユニットの反対側の側壁に設けられ、収納物や収納部キャリアの収納スペースを形成する。バッファ領域におけるラックユニットのこのような構成は、例えば、バッファ空間の空間的な分離を設けることなしにまたはそれ以上のバッファ空間を形成することを容易にする。
【0026】
本発明は、本明細書に添付の図面を参照してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の収納ラックの斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す収納ラックの水平断面図である。
【図3】図3は、図1に示すラインIII−IIIに沿った断面図であり、収納ラックの2つの隣り合うラックモジュールの側壁を示す。
【図4】図4から図11は、図1から3の収納ラックに収納物を収納する本発明の方法におけるステップを示す。
【図5】図4から図11は、図1から3の収納ラックに収納物を収納する本発明の方法におけるステップを示す。
【図6】図4から図11は、図1から3の収納ラックに収納物を収納する本発明の方法におけるステップを示す。
【図7】図4から図11は、図1から3の収納ラックに収納物を収納する本発明の方法におけるステップを示す。
【図8】図4から図11は、図1から3の収納ラックに収納物を収納する本発明の方法におけるステップを示す。
【図9】図4から図11は、図1から3の収納ラックに収納物を収納する本発明の方法におけるステップを示す。
【図10】図4から図11は、図1から3の収納ラックに収納物を収納する本発明の方法におけるステップを示す。
【図11】図4から図11は、図1から3の収納ラックに収納物を収納する本発明の方法におけるステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明の収納ラック10の構成を示す。収納ラック10は、2つの列を含み、各列は3つのモジュールが並べられて構成されている。ラックモジュール22,24,26は、第1ラックユニット20を形成する。ラックモジュール42,44,46は第2ラックユニット40を形成する。ラックモジュール22から26及び42から46のそれぞれは、複数の収納スペースを提供し、複数の収納スペースは収納物を収納するために互いの上部に配置されている。別の形態として、第1ラックユニット20はラックモジュール24だけを含むように構成でき、第2ラックユニット40はラックモジュール44だけを含むように構成できる。
【0029】
2つのラックユニット20,40の間には、搬送室60が設けられている。搬送室60には搬送装置80が設けられており、搬送装置80は第1水平方向X、第2水平方向Y及び垂直方向Zに摺動可能である。好ましくは、収納されるまたは取り出される収納物は、収納物キャリアやコンテイナなどの手段により搬送され、収納される。
【0030】
収納物や収納物キャリアをそれぞれの収納スペースに蓄積するために、ラックモジュール22から26及び42から46は、キャリアサポート74を有する側壁70を有している。キャリアサポート74は、対をなすそれぞれが、互いに反対方向を向いている(例えば図3)。スティールシートでできた各側壁70は支柱72に溶接されている。
【0031】
図3に示すように、特に、キャリアサポート74は各側壁70と一体化され、そこに押し付けられて屈折している。このような方法により、側壁70を比較的堅固に構成することができる。収納物キャリアを収納スペースに容易に挿入することができるように、キャリアサポート74は搬送室60に向いた側面において、その断面がテイパー状になっている。
【0032】
さらに、図1,2及び4から11に示すラックモジュール24のサービス開口30は、収納ラック10に収納物を置いたり、収納ラック10から収納物を引き出したりすることを可能とする。サービス開口30の領域に収納物を置いたり引き出したりすることは、人力によりまたは完全に自動化した方法により実行可能である。一例として、サービス開口30の前の外部領域に引き渡しユニットを設けてもよく、サービス開口30は収納される収納物をコンベヤから受け取ったり、取り出される収納物をコンベヤに供給したりする。
【0033】
サービス開口30は、2つの側壁32,33で規定される第1ラックユニット20、載置面34及び天井面35で囲まれるフリースペースを形成する。載置面34は、サービス開口30内に収納物を載置したり、収納物キャリアを載置したりするためのものである。サービス開口30は、水平方向Yにおいて収納ラック10の外側に向かう外側端36と、搬送室60に向いている内側端37とを有している。サービス開口30は、収納される収納物を第1ラックユニット20を通して搬送装置80に供給することを可能とする。これにより、搬送装置80は、ラックモジュール22から26及び42から46のひとつのうちの所望の収納スペースに収納される収納物を提供することができる。このようにして、搬送装置80は、収納スペースに収納されている収納物を取り出すことができ、搬送室60を介してその収納物をサービス開口30に提供することができる。
【0034】
収納物を第1水平方向X、第2水平方向Y及び垂直方向Zに搬送するために、搬送装置80は第1搬送手段及び第2搬送手段(図示せず)を有している。ここで、第1搬送手段が垂直方向Zに摺動可能であり、第2搬送手段が第1搬送手段上に支持されかつ第1水平方向Xに沿って摺動可能であると好ましい。さらに、第2搬送手段が第2水平方向Yに沿って収納物を動かすために採用されることができる。例えば、特に、第2搬送手段は、収納スペースから収納物を動かしたり、サービス開口30に収納物を供給したりすることができるように用いられる。これは、搬送手段によってもさらに可能であり、例えば、第2搬送手段上に支持された搬送手段によっても可能である。搬送装置80を形成する複数の搬送手段の構成は、搬送室60内において収納物を複数の方向に同時に搬送することを助ける。
【0035】
図2の操作ユニットの高さにおける水平方向の断面図からわかるように、特に、バッファ領域50がラックモジュール44内の第2ラックユニット40に設けられる。バッファ領域50は、垂直方向Zに関してサービス開口30と同じ高さに基本的に配置される。バッファ領域50は、収納ラック10の収納スペースの最高高さの2倍の高さに相当する高さh2を有している。この例では、バッファ領域50は、2つのバッファ空間52,54を有していて、バッファ空間52はバッファ領域50の底部に位置し、バッファ空間54はバッファ領域50のトップに位置する。
【0036】
サービス開口30を閉じるために、高速ドアの形態の扉部材100が第1ラックユニット20の内側に設けられる。具体的には、内側端37の領域に設けられ、サービス開口30の開閉を可能にする。さらに、サービス開口30の領域に、収納物の高さを検出するために用いられる高さ測定装置90が設けられる。この目的のために、高さ測定装置90は、内側端37の領域と外側端36の領域と両方において互いに上下に配置された複数の光バリアを有し、収納されるまたは取り出される収納物の高さの決定を可能にする。
【0037】
収納容量を最大限に活用するために、前述の制御ユニットは1または複数の適切な収納スペースを決定し、搬送装置80を駆動して制御ユニットにより決定された収納スペースに収納物が搬送されるようにする。
【0038】
以下では、収納物を収納するための方法を記述する。具体的には、収納ラックに収納物を置いたり、収納ラックから収納物を引き出したりする方法であり、図4から11に示される方法のステップと関連して説明される。
【0039】
第1のステップでは、取り出される第1収納物110がその収納スペースから第2ラックユニット40のバッファ領域50に搬送装置80によって搬送される。図4はこのステップが実行されたあとの状態を示しており、第1収納物110はバッファ領域50の上部のバッファ空間54に位置している。搬送経路を図示するために、図4から図1では矢印が示されている。
【0040】
次に、搬送装置80は、サービス開口30から蓄積される第2収納物120を取る。このプロセスは、前述の第一ステップに先立ち、またはその間、もしくはそのあとに行うことができる。第2収納物120が搬送装置80によって持ち上げられ、搬送室60内に位置したあと、第2収納物120は搬送装置80によってバッファ領域50に搬送され、底部のバッファ空間52に提供される(図4,5)。
【0041】
続いて、搬送装置80は、図5に示される底部のバッファ空間52の高さにおける位置から、図6に示される上部のバッファ空間54の高さにおける位置に摺動する。ここで、図6及び7からわかるように、搬送装置80は、第1収納物110を取り上げ、サービス開口30の領域に搬送する。
【0042】
搬送装置80はバッファ空間52から第2収納物120を取り上げることができ、第2収納物120を適切な収納スペースに提供する(図7及び8)。図9に示されるように、この例では、適切な収納スペースは、第1ラックユニット20のラックモジュール24の上部にあり、おおよそ第2ラックユニット40のラックモジュール44に収納されている第3収納物130のおよそ反対側にある。言い換えれば、第2収納物120の収納スペースは、一方では収納される第2収納物120の高さに適しており、他方では続いて取り出される第3収納物130にも適している。
【0043】
続くステップでは、搬送装置80の手段を用いて収納スペースから第3収納物130を引き出すことがゆえに可能であり(図10)、バッファ領域50のバッファ空間54に第3収納物130を提供することが可能である(図11)。
【0044】
ところで、要求された収納物の部材は収納物110の収納物部材の組み合わせから取り出される。ひとつの部材が少なくなった収納物110は第4収納物140とする。これにかえて、第4収納物140は、全く異なる収納物部材の組み合わせと異なる収納物キャリアとを含んでいても良い。
【0045】
今、第4収納物140を収納するために、前述の収納される第2収納物120と同様に、第4収納物140はサービス開口30に提供されるかまたはそこに存在する(例えば図9)。言い換えれば、図11に示す状態が図4に示す状態に対応しており、図11では取りだされる第3収納物130は上方のバッファ空間54の領域にあり、収納される第4収納物140はサービス開口30の領域にある。ここで、図4と図11を比較すれば、第2収納物120は第4収納物140に対応し、第1収納物110は第3収納物130に対応する。したがって、図11に示す状態では、新しいプロセスサイクルが始まり、図4から11と同様に実行される。
【0046】
図4では、複数の高さのディメンジョンが示され、これは図5から11でも同様であり、高さh1は収納物110から140の高さである。高さ測定装置90により測定されるこの高さh1に従って、制御ユニットは十分な高さを持つ適切な収納スペースを決定する。サービス開口の高さh3は、基本的に、収納ラックの現在の型において収納される収納物に対して決定される最高高さである。すでに上述したように、バッファ領域50は高さh2を有し、これは収納スペースの所定の最高高さのおよそ2倍に相当する。言い換えれば、バッファ領域50は、2つのバッファ空間52,54を提供するに十分な高さh2を有している。各バッファ空間52、54は、最高高さの収納物を収納することができる。必要であれば、高さh2は収納物の最高高さの倍数であってもよい。
【0047】
さらに、図4から11において開閉する位置により示されているように、扉部材100が設けられても良い。好ましくは、扉部材100は2つのステップを実行する間でまたは1つのステップにおいて開くかまたは閉じられる。扉部材の開閉は制御ユニットにおいて制御される。
【0048】
上記説明した方法は、特に、時間のかからない方法で載置と取り出しプロセスとが行われる点に特徴があり、収納される収納物120または130の間と、取り出される収納物110また140との衝突が防止される。さらに、複数の収納物や複数の収納物キャリアがサービス開口30に位置する状態がおこらない。このようにして、サービス開口30の領域に一度に一つの収納物が存在するので、サービス開口30の高さ位置が人間工学的な観点から最適化される。さらに、サービス開口30に要求される高さが、収納ラックの各型に応じた収納される収納物の最高高さにまで減少されるので、高さ測定装置だけがあればよい。収納物の高さを測定したあとでのみ収納物をバッファ領域50に搬送することにより、バッファ領域50での衝突をさらに防止することができる。さらに、収納物を交換するプロセスサイクルの長さと、収納される新しい収納物の収納時間との両方を減少させることができる。
【符号の説明】
【0049】
10 収納ラック
12 第1ラックユニット
22 ラックモジュール
24 ラックモジュール
26 ラックモジュール
30 サービス開口
32 側壁
33 側壁
34 載置面
35 天井面
36 外側端
37 内側端
40 第2ラックユニット
42 ラックモジュール
44 ラックモジュール
46 ラックモジュール
50 バッファ領域
52 バッファ空間
54 バッファ空間
60 搬送室
70 側壁
72 支柱
74 キャリアサポート
80 搬送装置
90 高さ測定装置
100 扉部材
110 第1収納物
120 第2収納物
130 第3収納物
140 第4収納物
h1 収納物の高さ
h2 バッファ領域の高さ
h3 サービス開口の高さ
X 第1水平方向
Y 第2水平方向
Z 垂直方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納物(110,120,130,140)のための複数の収納スペースを提供する複数のラックユニット(20,40)と、サービス開口(30)及び収納スペースの間で摺動して収納物(110,120,130,140)を搬送する搬送装置(80)を有する搬送室(60)と、を有する収納ラック(10)であって、第1ラックユニット(20)は前記サービス開口(30)を含み、第2ラックユニット(40)は前記搬送室(60)により前記第1ラックユニット(20)から離間されている収納ラック(10)において収納物(110,120,130,140)を収納する方法であって、
a)取り出される第1収納物(110)を前記搬送装置(80)によりラックユニット(20,40)のバッファ領域(50)に一時的な収納のために搬送し、
b)収納される第2収納物(120)を前記サービス開口(30)を介して前記搬送装置(80)に供給し、
c)前記第2収納物(120)を搬送装置(80)により前記バッファ領域(50)に搬送し、
d)前記第1収納物(110)を前記搬送装置(80)により前記サービス開口(30)に供給し、
e)前記第2収納物(120)を前記搬送装置(80)により所定のスペースに供給する段階を含む方法。
【請求項2】
前記バッファ領域(50)は前記第2ラックユニット(40)と関連付けられており、基本的に前記サービス開口(30)と同じ高さに設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バッファ領域(50)は少なくとも2つのバッファ空間(52,54)を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記バッファ領域(50)は、収納スペースの所定の最大高さの約2倍の高さに相当する高さ(h2)を有していることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記収納物(110,120,130,140)の高さ(h1)が測定されることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
所定の最大高さを有する収納物(110,120,130,140)が前記バッファ領域(50)に搬送されることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
取り出される第3収納物(130)が搬送装置(80)によりその収納スペースから前記バッファ領域(50)に供給されるステップfを含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
蓄積される第4収納物(140)が前記サービス開口(30)を介して、前記搬送装置(80)に供給される段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記サービス開口(30)を開閉するための扉部材(100)、好ましくは高速ドア、が2つのステップの間または前記ステップのうちの少なくとも1つにおいて開かれまたは閉じられることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記搬送装置(80)が第1搬送手段及び第2搬送手段を含み、前記第1搬送手段が垂直方向(Z)に摺動し、前記第2搬送手段が水平方向(X)に摺動することを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
収納物(110,120,130,140)を収納するための複数の収納スペースを提供するいくつかのラックユニット(20,40)と搬送室(60)とを含み、サービス開口(30)と収納スペースとの間で前記収納物を搬送するために摺動する搬送装置(80)を含み、第1ラックユニット(20)が前記サービス開口(30)を有し、第2ラックユニット(40)が前記搬送室(60)により前記第1ラックユニット(20)から離間されている収納ラック(10)であって、
ラックユニット(20,40)は収納物(110,120,130,140)の一時的な収納のためのバッファ領域(50)を有していることを特徴とする収納ラック。
【請求項12】
前記バッファ領域(50)は前記第2ラックユニット(40)に設けられ、前記サービス開口(30)と基本的に同じ高さに設けられていることを特徴とする、請求項11に記載の収納ラック(10)。
【請求項13】
前記バッファ領域(50)は少なくとも2つのバッファ空間(52,54)を有していることを特徴とする、請求項11または12に記載の収納ラック(10)。
【請求項14】
前記バッファ領域(50)は、収納スペースの所定の最高高さの約2倍の高さに相当する高さ(h2)を有していることを特徴とする、請求項11から13のいずれかに記載の収納ラック(10)。
【請求項15】
前記収納物(110,120,130,140)の高さ(h1)を検出するための高さ検出装置(90)が前記サービス開口(30)の領域に設けられていることを特徴とする、請求項11から14のいずれかに記載の収納ラック(10)。
【請求項16】
好ましくは高速ドアである扉部材(100)が、前記サービス開口(30)の開閉のために設けられていることを特徴とする、請求項11から15のいずれかに記載の収納ラック(10)。
【請求項17】
前記搬送装置(80)は第1搬送手段及び第2搬送手段を含み、前記第1搬送手段は垂直方向(Z)に摺動し、前記第2搬送手段は水平方向(X)に摺動することを特徴とする、請求項11から16のいずれかに記載の収納ラック(10)。
【請求項18】
前記ラックユニット(20,40)はキャリアサポート(74)を含み、前記キャリアサポートは互いに上下にかつ互いに離間して配置され、前記ラックユニット(20,40)の反対側の側壁(70)に配置されて前記収納物の収納スペースを形成することを特徴とする、請求項11から17のいずれかに記載の収納ラック(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−523439(P2010−523439A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502512(P2010−502512)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際出願番号】PCT/EP2008/054371
【国際公開番号】WO2008/125597
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(508109966)ヘーネル アンド カンパニー (5)
【Fターム(参考)】