説明

複数図柄光輝性フィルム、及びそれを用いた光輝性複数図柄形成物

【課題】
ホログラムや回折格子などの特異な光輝性で、異なる複数図柄を有し、製造が容易で低コストな複数図柄光輝性フィルムを提供する。
【解決手段】
少なくとも第1レリーフ形成層及び第1反射層、並びに、少なくとも第2レリーフ形成層及び第2反射層とを有し、前記第1レリーフ形成層と前記第2レリーフ形成層に形成されているレリーフ形状が異なっており、好ましくは前記レリーフ形状がヘアライン柄、万線柄、マット柄、ホログラム及び/又は回折格子であり、少なくとも光輝性の第1図柄及び光輝性の第2図柄を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数図柄光輝性フィルムに関し、さらに詳しくは、複数の光輝性図柄を有し、特異な意匠性、及び/又はセキュリティ性を有する複数図柄光輝性フィルム、及びそれを用いた光輝性複数図柄形成物に関するものである。
【0002】
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。
また、「光輝性」とは、レリーフ形状がヘアライン柄、万線柄、マット柄、ホログラム及び/又は回折格子であるようなマイクロオーダのレリーフ形状で、反射層との作用で、特異な光学的な意匠性を有する効果をいう。
さらに、「第1基材11Aと第2基材11Bとを」合わせて、「基材11」と呼称し、他の層も同様とする。
さらにまた、シート又はフィルムのJIS−K6900−1994での定義では、シートとは薄く一般にその厚さが長さと幅の割りには小さい平らな製品をいい、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通例、ロールの形で供給されるものをいう。従って、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かではなく、明確に区別しにくいので、本明細書ではシートとフィルムの両方を含めて「フィルム」と定義する。
【背景技術】
【0003】
(主なる用途)本発明の複数図柄光輝性フィルム、及び該複数図柄光輝性フィルムを用いて、該複数図柄光輝性フィルムの少なくとも1部を、被転写体へ貼着や漉き込みなどで移行させた光輝性複数図柄形成物の主なる用途としては、例えば、紙幣、株券、証券、証書、商品券、小切手、手形、入場券、通帳類、ギフト券、乗車券、車馬券、印紙、切手、鑑賞券、入場証、通行証、チケット等の金券類、キャッシュカード、クレジットカード、IDカード、プリペイドカード、メンバーズカード、ICカード、光カードなどのカード類、グリーティングカード、ハガキ、名刺、運転免許証、パスポート等の各種証明書やその証明写真類、カートン、ケース、軟包装材などの包装材類、バッグ類、帳票類、封筒、タグ、OHPシート、スライドフィルム、しおり、書籍、雑誌、カレンダー、ポスター、パンフレット、プリントクラブ(登録商標)、メニュー、パスポート、POP用品、コースター、ディスプレイ、ネームプレート、キーボード、化粧品、腕時計、ライター等の装身具、文房具、下敷き、レポート用紙など文具類、建材、パネル、エンブレム、キー、布、衣類、履物、ラジオ、テレビ、電卓、OA機器等の装置類、各種見本帳、アルバム、また、コンピュータグラフィックスの出力、医療画像出力などがある。しかしながら、光輝性を有する特異な意匠性、及び/又はセキュリティ性を必要とする用途であれば、特に限定されるものではない。
【0004】
(背景技術)従来、金券類、カード類、及び各種証明書類などは、資格証明や一定の経済的価値や効果を持つため、不正に偽造、変造、不正使用することが絶えない。特に、カラーコピー機の精度向上が著しく、各種の媒体類の偽造を容易にしている。
これを防止するため各種の偽造防止手段が施されている。光輝性、特にホログラム、回折格子などのレリーフ形状を有する転写箔は、特異な装飾像や立体像を表現できる意匠性と、これらホログラムや回折格子は高度な製造技術を要し、容易に製造できないことから、偽造防止としてセキュリティー性の向上に利用されている。
しかしながら、これらの光輝性は片側のみであり、さらなる意匠性とセキュリティ性を向上するために、複数の図柄を有する複数図柄光輝性フィルムはなく、また、製造が容易で低コストであることが求められている。
【0005】
(先行技術)従来、偽造防止用紙に窓を設け、ホログラムを有するスレッドを表裏両方の面から見えるようにするものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、両側から観察できるが、ホログラム図柄は単一であるという問題点がある。
また、片面に金属蒸着膜を形成したホログラフィックフイルムを2枚、この金属蒸着膜を内側にして接着剤を用いて貼合わせた積層フイルムを細幅に裁断する両面光輝性ホログラム装飾糸が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、表裏の発色性及び立体感の差をなくし、また、金属薄膜の腐食を防止するために、本願の課題とは全く異なる課題を解消するために、単一図柄の2枚のフィルムを背中合わせに貼合して、金属薄膜がフィルムで挟んだ両面光輝性ホログラム装飾糸であり、実施例からも同一図柄の2枚を用いており、同じ図柄を用いていることは明らかである。
さらに、片側に2層のレリーフ形成層を有する転写箔が知られている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、該2層のレリーフ形成層は、透明ホロと金属ホロの組み合わせのため、2つのホログラム再生像を片側より観察するものである。
いずれの先行技術も、表裏面より所望の異なる図柄を観察することについては記載も示唆もされていない。
【0006】
【特許文献1】特開2001−172897号公報
【特許文献2】特開平06−257028号公報
【特許文献3】特開平07−199781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、2つの異なる光輝性の模様及び/又は図柄を設けることで、ホログラムや回折格子などの特異な光輝性意匠や光学的な効果が得られ、製造が容易で低コストである複数図柄光輝性フィルムを提供することである。並びに、これを用いた光輝性複数図柄形成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、
請求項1の発明に係わる複数図柄光輝性フィルムは、少なくとも光輝性の第1図柄及び光輝性の第2図柄を有し、前記第1図柄と前記第2図柄の図柄が異なっているように、したものである。
請求項2の発明に係わる複数図柄光輝性フィルムは、上記第1図柄及び第2図柄の図柄がヘアライン柄、万線柄、マット柄、ホログラム及び/又は回折格子であるように、したものである。
請求項3の発明に係わる複数図柄光輝性フィルムは、少なくとも第1レリーフ形成層及び第1反射層を有する第1光輝性フィルムと、少なくとも第2レリーフ形成層及び第2反射層を有する第2光輝性フィルムとを、前記第1反射層面と前記第2反射層面とを接着層を介して積層されてなり、前記第1レリーフ形成層と前記第2レリーフ形成層に形成されているレリーフ形状が異なっているように、したものである。
請求項4の発明に係わる複数図柄光輝性フィルムは、少なくとも第1基材、第1レリーフ形成層及び第1反射層を有する第1光輝性フィルムと、少なくとも第2基材、第2レリーフ形成層及び第2反射層を有する第2光輝性フィルムとを、前記第1反射層面と前記第2反射層面とを接着層を介して積層されてなり、前記第1レリーフ形成層と前記第2レリーフ形成層に形成されているレリーフ形状が異なっているように、したものである。
請求項5の発明に係わる複数図柄光輝性フィルムは、少なくとも第1基材、第1レリーフ形成層及び第1反射層を有する第1光輝性フィルムと、少なくとも第2基材、第2レリーフ形成層及び第2反射層を有する第2光輝性フィルムとを、前記第1基材面と前記第2基材面とを接着層を介して貼合してなり、前記第1レリーフ形成層と前記第2レリーフ形成層に形成されているレリーフ形状が異なっているように、したものである。
請求項6の発明に係る複数図柄光輝性フィルムは、少なくとも第1基材、第1レリーフ形成層及び第1反射層を有する第1光輝性フィルムと、少なくとも第2基材、第2レリーフ形成層及び第2反射層を有する第2光輝性フィルムとを、前記第1反射面と前記第2基材面とを接着層を介して貼合してなり、前記第1レリーフ形成層と前記第2レリーフ形成層に形成されているレリーフ形状が異なっている、ようにしたものである。
請求項7の発明に係わる複数図柄光輝性フィルムは、第1基材と、該第1基材の一方の面へ、少なくとも第1レリーフ形成層及び第1反射層を有し、他方の面へ、少なくとも第2レリーフ形成層及び第2反射層を有してなり、前記第1レリーフ形成層と前記第2レリーフ形成層に形成されているレリーフ形状が異なっているように、したものである。
請求項8の発明に係わる複数図柄光輝性フィルムは、第1基材と、該第1基材の一方の面へ、少なくとも第1レリーフ形成層及び第1反射層を有し、さらに該第1反射層面へ、少なくとも第2レリーフ形成層及び第2反射層を設けてなり、前記第1レリーフ形成層と前記第2レリーフ形成層に形成されているレリーフ形状が異なっているように、したものである。
請求項9の発明に係わる複数図柄光輝性フィルムは、上記第1レリーフ形成層及び第2レリーフ形成層の形成されているレリーフ形状がヘアライン柄、万線柄、マット柄、ホログラム及び/又は回折格子であるでのようなマイクロオーダのレリーフ形状あるように、したものである。
請求項10の発明に係わる複数図柄光輝性フィルムは、上記第1反射層及び/又は第2反射層が金属層及び/又は透明反射層であるように、したものである。
請求項11の発明に係わる複数図柄光輝性フィルムは、請求項1〜10のいずれかに記載の複数図柄光輝性フィルムにおいて、少なくとも層間及び/又は表面に、基材、他の層及び/又は印刷を設けてなるように、したものである。
請求項12の発明に係わる光輝性複数図柄形成物は、請求項1〜11のいずれかに記載の複数図柄光輝性フィルムを用いて、少なくとも1部に光輝性の複数図柄を設けてなるように、したものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の本発明によれば、光輝性の複数図柄が観察でき、特異な意匠性と高セキュリティ性を有する複数図柄光輝性フィルムが提供される。
請求項2の本発明によれば、マイクロオーダのレリーフ形状と反射層との作用で、特異な光学的な意匠性と高セキュリティ性を有する複数図柄光輝性フィルムが提供される。
請求項3の本発明によれば、表裏面から異なる所望の光輝性図柄が観察でき、特異な意匠性と高セキュリティ性を有する複数図柄光輝性フィルムが提供される。
請求項4の本発明によれば、表裏面から異なる所望の光輝性図柄が観察でき、特異な意匠性と高セキュリティ性を有し、両面の基材で保護されているので、外力による傷付きや金属反射層の腐食などに対する耐久性も高く、さらに、製造が容易で低コストである複数図柄光輝性フィルムが提供される。
請求項5〜8の本発明によれば、光輝性の複数図柄が観察でき、特異な意匠性と高セキュリティ性を有し、さらに、製造が容易で低コストである複数図柄光輝性フィルムが提供される。
請求項9の本発明によれば、請求項5〜8の効果に加えて、マイクロオーダのレリーフ形状と反射層との作用で、特異な光学的な意匠性と高セキュリティ性を有する複数図柄光輝性フィルムが提供される。
請求項10の本発明によれば、請求項5〜9の効果に加えて、少なくとも片側の光輝性図柄が透明である複数図柄光輝性フィルムが提供される。
請求項11の本発明によれば、請求項1〜10の効果に加えて、さらに他の意匠性や保護性などが付与された複数図柄光輝性フィルムが提供される。
請求項12の本発明によれば、請求項1〜10の効果が付与された光輝性複数図柄形成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施例を示す複数図柄光輝性フィルムの断面図である。
図2は、本発明の1実施例を示す複数図柄光輝性フィルムの断面図である。
図3は、本発明の1実施例を示す複数図柄光輝性フィルムの断面図である。
図4は、本発明の1実施例を示す複数図柄光輝性フィルムの断面図である。
図5は、本発明の1実施例を示す複数図柄光輝性フィルムの断面図である。
図6は、本発明の1実施例を示す複数図柄光輝性フィルムの断面図である。
図7は、本発明の1実施例を示す複数図柄光輝性フィルムの断面図である。
図8は、本発明の1実施例を示す光輝性複数図柄形成物の断面図である。
【0011】
(複数図柄光輝性フィルム)本発明の複数図柄光輝性フィルム10の基本的な構成としては、少なくとも、第1レリーフ形成層15A(第1レリーフ形状16Aを有する)/第1反射層17A、及び第2反射層17B/第2レリーフ形成層15B(第2レリーフ形状16Bを有する)を有し、かつ、第1レリーフ形状16Aと第2レリーフ形状16Bとが異なっていればよい。第1レリーフ形状16Aは第1図柄、第2レリーフ形状16Bは第2図柄を示し、第1図柄及び/又は第2図柄の光輝性図柄は、光輝性であれば特に限定されず、1部、全面、又は複数図柄の組合わせでもよい。なお、レリーフ形状16は反射層17面に設けられている。
本明細書では、主に2つの光輝性図柄について記載するが、2つ以上の複数図柄でもよく、複数の光輝性図柄の場合については、光輝性図柄の繰返しであり省略させて頂く。
【0012】
(図柄合せ構成)第1及び/又は第2の光輝性図柄の構成は特に限定されないが、例えば、図1に示すような、第1レリーフ形成層15A(第1レリーフ形状16Aを有する)/第1反射層17A/接着層19/第2反射層17B/第2レリーフ形成層15B(第2レリーフ形状16Bを有する)の層構成である。
また、図2に示すような、第1光輝性フィルム10A(第1基材11A/第1プライマ層13A(必要に応じて)/第1レリーフ形成層15A(第1レリーフ形状16Aを有する)/第1反射層17A)と、第2光輝性フィルム10B(第2反射層17B/第2レリーフ形成層15B(第2レリーフ形状16Bを有する)/第2プライマ層13B(必要に応じて)/第2基材11B)との、第1反射層17A面と第2反射層17B面とを接着層19で積層した層構成でもよい。
【0013】
(基材合せ構成)図3に示すような、第1光輝性フィルム10Aと、第2光輝性フィルム10Bとの、第1基材11A面と第2基材11B面とを接着層19で積層した層構成でもよい。
また、図4に示すような、第1光輝性フィルム10A(第1基材11A/第1レリーフ形成層15A(第1レリーフ形状16Aを有する)/第1反射層17A)と、第2光輝性フィルム10B(第2基材11B/第2レリーフ形成層15B(第2レリーフ形状16Bを有する)/第2反射層17B/第2保護層25B(必要に応じて))との、第1反射層17A面と第2基材11B面とを接着層19で積層した層構成でもよい。
【0014】
(両面2図柄構成)図5に示すような、第1基材11Aの、一方の面に第1レリーフ形成層15A(第1レリーフ形状16Aを有する)/第1反射層17A/第1保護層25A(必要に応じて)を設け、他方の面に第2レリーフ形成層15B(第2レリーフ形状16Bを有する)/第2反射層17B/第2保護層25B(必要に応じて)を設けてもよい。
さらに、図3には印刷27、第1保護層25A、第2保護層25B、図4には第2保護層25B、図5には第1保護層25A、第2保護層25B、を例示しているが、該印刷、保護層、他の基材、及び/又は他の層を設けてもよく、該層を設ける位置は、層間及び/又は表面の1又は複数でよい。
【0015】
(片面2図柄構成)図6に示すような、第1基材11Aへ、第1レリーフ形成層15A(第1レリーフ形状16Aを有する)/第1反射層17Aを設け、該第1反射層17A面へさらに、第2レリーフ形成層15B(第2レリーフ形状16Bを有する)/第2反射層17B/第2保護層25B(必要に応じて)を設けてもよい。
また、図7に示すように、図6の構成の第2保護層25Bの代わりに、第2接着層21Bと第2支持基材30Bを設けてもよく、粘着ラベルや転写箔とすることができる。
【0016】
(材料と層形成)次に、基材や層の材料、層の形成について、説明するが、第1基材11A及び第2基材11B(合わせて基材11)、第1レリーフ形成層15A及び第2レリーフ形成層15B(合わせてレリーフ形成層15)、第1反射層17A及び第2反射層17B(合わせて反射層17)、第1保護層25A及び第2保護層25B(合わせて保護層25)、接着層19、21B、23は、同じ材料、形成法及び厚さでもよく、異なるものでもよい。また、3図柄以上の場合は、説明を省略しているが、第3レリーフ形成層15Cや第4レリーフ形成層15D、第3反射層17Cや第4反射層17Dでも同様である。
【0017】
(基材)
基材11の材料としては、耐熱性、機械的強度、製造に耐える機械的強度、耐溶剤性などがあれば、用途に応じて種々の材料が適用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート‐イソフタレート共重合体、又はテレフタル酸‐シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体などのポリエステル系樹脂、ナイロン(商品名)6、ナイロン(商品名)66、ナイロン(商品名)610、又はナイロン(商品名)12などのポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、又はポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリノルボネンなどの環状ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、又はポリメチルメタアクリレートなどの(メタ)アクリル系樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、又はポリエーテルイミドなどのイミド系樹脂、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアラミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルエーテルケトン、又はポリエーテルサルファイトなどのエンジニアリング樹脂、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、AS樹脂、又はABS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、又はエチレン−ビニルアルコール共重合体等のポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、又はパーフルオロ−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル共重合体等のフッ素系樹脂、セロファン、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート、又はニトロセルロースなどのセルロース系フィルム、ポリカーボネート系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アセタール系樹脂、などがある。
該基材11は、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(アロイでを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良い。また、該基材11は、延伸フィルムでも、未延伸フィルムでも良いが、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムが好ましい。該基材11は、これら樹脂の少なくとも1層からなるフィルム、シート、ボード状として使用する。
【0018】
該基材11の厚さは、特に限定されるものではなく、用途などに合わせて適宜選択すればよい。ラベル、転写箔、スレッドなどの薄物を作製する際には、耐熱性、機械的強度がよいポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好適である。また、包装材料のような、特に安価な製品を作製する際には、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の材料が好適である。また、後述するレリーフの賦型方法によっては、紙基材も用いることができる。
【0019】
(プライマ層)また、該基材11は、層を形成する面側に、層間の密着力を向上させるために、必要に応じてプライマ層13、またはコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾンガス処理、フレーム処理、予熱処理、除塵埃処理、アルカリ処理などなどの易接着処理を施してもよい。特に、プライマ層13は、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、酸変性ポリオレフィン系樹脂、エチレンと酢酸ビニル或いはアクリル酸などとの共重合体、(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ゴム系化合物、石油系樹脂、アルキルチタネート系化合物、ポリエチレンイミン系化合物、イソシアネート系化合物、澱粉、カゼイン、アラビアゴム、セルロース誘導体、ワックス類などを使用することができる。
【0020】
上記の樹脂又はそのモノマー、オリゴマー、若しくはプレポリマー等の一種乃至複数を主成分とし、これに、必要ならば、例えば、各種の安定剤、充填剤、反応開始剤、硬化剤ないし架橋剤、などの添加剤を単独又は複数を任意に添加したり、主剤と硬化剤とを組み合わせて、1液硬化型、又は2液硬化型等のいずれのものでも使用することができる。これらの樹脂を、適宜溶剤に溶解又は分散し、必要に応じて充分に混練して、コーティング剤組成物(インキ、塗布液)を調整し、これを基材11に公知のコーティング法で塗布し乾燥するか、乾燥又は乾燥した後のエージング処理によって反応させて、プライマ層13とする。該プライマー層13の厚さは、0.05〜10μm程度、好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは、0.2〜1μmである。また、EC法によりレリーフ形状16を賦型する場合、通常プライマ層を設けなくてもよい。塗布方法としては、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、スプレイコート法、エアナイフコート法、キスコート法、その他等のコーティング法がある。プライマ層13A及びプライマ層13Bは、同じ材料及び厚さでもよく、異なるものでもよい。
【0021】
(レリ−フの賦型)レリーフ形成層15面へレリーフ形状16を賦形(複製とも呼称する)する。該賦形方法としては、当業者が呼称する「熱圧法」、及び「EC法」が適用できる。該賦形方法によって、使用する材料が異なるので、別々に説明する。
【0022】
(熱圧法)まず、熱圧法は、基材11へレリーフ形成層15を形成した後に、該レリーフ形成層15の表面に、レリーフが形成されているスタンパ(金属版、又は樹脂版)を熱圧着(所謂エンボス)をして、該レリーフをレリーフ形成層15へ賦型し複製した後に、スタンパを剥離する方法である。加熱温度、加圧力は適宜調整される。
(レリーフ形成層)熱圧法に用いるレリーフ形成層15の材料としては、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(例、ポリメチルメタアクリレート)、ポリスチレン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂、そして、不飽和ポリエステル、メラミン、エポキシ、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン系アクリレート等の熱硬化性樹脂を硬化させたもの、不飽和エチレン系モノマーと不飽和エチレン系オリゴマーを適宜混合したものに増感剤を添加した組成物等の紫外線硬化性樹脂を硬化させたもの、或いは、上記熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の混合物やラジカル重合性不飽和基を有する熱成形性物質が使用可能である。特に耐薬品性、耐光性及び耐候性等の耐久性に優れた熱硬化性樹脂、紫外線や電子線などの電離放射線硬化性樹脂が好ましい。さらには、耐熱性、耐圧性に優れた材料が好ましい。すなわち、請求項3〜6の発明では、第1光輝性フィルムと第2光輝性フィルムを貼り合せる際の熱や圧力に耐えるレリーフ形成材料が好ましい。また、請求項7〜8の発明では、第1レリーフ形成層を形成後、さらに、第2レリーフ形成層を第1基材の11Aの反対面、もしくは同一面に形成するため、第1レリーフ形成層の材料としては第2レリーフ形成層にレリーフを賦型する際の熱や圧力に耐える材料が好ましい。このような特性を有する電離放射線硬化樹脂としては、例えば、エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性アクリレート樹脂、アクリル変性ポリエステル等の電離放射線硬化性樹脂を硬化させたものが適用でき、好ましくはウレタン変性アクリレート樹脂である。
【0023】
レリーフ形成層15の好ましい1つとしては、一般式(a)で表されるウレタン変性アクリル系樹脂を主成分とする未硬化の電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物である。具体的には、本出願人が特開2000−273129号公報で開示している光硬化性樹脂組成物などが適用でき、前記明細書に記載の光硬化性樹脂組成物Aを本明細書の実施例でも使用し、「電離放射線硬化性樹脂組成物A」と表記している。
【0024】
【化1】

(ここで、6個のR1は夫々互いに独立して水素原子またはメチル基を表わし、R2は炭素数が1〜20個の炭化水素基を表わす。l、m、n、o及びpの合計を100とした場合に、lは20〜90、mは0〜80、nは0〜50、o+pは10〜80、pは0〜40の整数である。XおよびYは直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基を表わし、Zはウレタン変性アクリル樹脂を改質するための基を表し、好ましくは嵩高い環状構造の基を表わす。)
【0025】
レリーフ形成層15の好ましい他の1つとしては、融点が40℃以上のイソシアネート化合物と、イソシアネート基と反応し得る(メタ)アクリル化合物との反応生成物であって、軟化点が40℃以上のものを含有する樹脂である。
【0026】
即ち、(1)融点が40℃以上のイソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有していて且つイソシアネート基と反応し得る(メタ)アクリル化合物との反応生成物であって、軟化点が40℃以上のものを含有するか、(2)融点が40℃以上のイソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有していて且つイソシアネート基と反応し得る(メタ)アクリル化合物及び(メタ)アクリロイル基を有しておらず且つイソシアネート基と反応し得る化合物との反応生成物であって、軟化点が40℃以上のものを含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物である。また、イソシアネート化合物が、非芳香族性炭化水素環に結合したイソシアネート基を有するもの、イソホロンジイソシアネートの三量体、又はイソホロンジイソシアネートと活性水素含有化合物との反応生成物であり、さらに、(メタ)アクリル化合物が、(メタ)アクリル酸、水酸基を有する(メタ)アクリレートであることが好ましい。具体的には、特開2001−329031号公報で開示されている光硬化性樹脂が適用でき、本明細書の実施例では「電離放射線硬化性樹脂組成物B」と表記している。
【0027】
(レリーフ形成層の形成)レリーフ形成層15を設ける方法としては、前述した材料、例えば、ウレタン変性アクリル系樹脂の電離放射線硬化性樹脂には、必要に応じて、光重合開始剤、光増感剤、光重合促進剤、多官能のモノマーやオリゴマー、離型剤、重合防止剤、粘度調節剤、界面活性剤、消泡剤等の各種助剤、また、シリコーン、スチレン−ブタジエンラバー等の高分子体などを配合してもよく、これらを有機溶媒へ溶解又は分散させるか、又は溶媒を加えずノンソルベント状の、レリーフ形成層15組成物(インキ)とする。該レリーフ形成層15組成物(インキ)を、例えば、ロ−ルコ−ト法、グラビアコ−ト法、その他公知のコーティング法又は印刷法で、塗布し、必要に応じて乾燥すればよい。該レリーフ形成層15の厚さは、通常は0.1〜10μm程度、好ましくは0.2〜5μm、さらに好ましくは0.5〜2μmである。0.5μm未満では光輝性(輝度)が著しく低下し、2μmを超えても輝度は十分であるが、コスト的に不利である。
【0028】
(レリーフ形状)レリーフ形状16は凹凸形状であり特に限定されるものではないが、微細な凹凸形状を有する光拡散、光散乱、光反射、光回折などの機能を発現するものが好ましく、例えば、フーリエ変換やレンチキュラーレンズ、光回折パターン、モスアイ、が形成されたものである。また、光回折機能はないが、特異な光輝性を発現するヘアライン柄、マット柄、万線柄、干渉パターンなどでもよい。
光回折凹凸パターンとしては、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞が凹凸模様で記録されたホログラムや回折格子が適用できる。ホログラムとしては、フレネルホログラム等のレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラム等の白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。
本明細書記載の図柄とは、これらの各種凹凸パターンを1種もしくは2種以上組み合わせて形成される絵柄をいい、例えば、「abc」や「Security」といったテキストパターンや、スナメ柄、水玉柄と呼ばれる幾何学パターン、さらには、花や鳥などの図柄を模擬して作製された絵画パターンなどの組み合わせで形成された絵柄を、上記したホログラムや回折格子からなる光回折凹凸パターンの組み合わせで可視化した絵柄をいう。また、複数図柄とは、これらの図柄を1種かつ1回用いたのみでは形成されない図柄をいい、通常2種以上の図柄を複数回用いて作製される図柄をいう。ただし、例えば、基材面から「Security」と観測される図柄の作製された光輝性フィルムの蒸着面同士を貼り合せることで表裏からともに「Security」を観察可能な場合も本発明の複数図柄光輝性フィルムである。
【0029】
回折格子としては、ホログラム記録手段を利用したホログラフィック回折格子があげられ、その他、電子線描画装置等を用いて機械的に回折格子を作成することにより、計算に基づいて任意の回折光が得られる回折格子をあげることもできる。また、機械切削法でもよい。これらのホログラム及び/又は回折格子の単一若しくは多重に記録しても、組み合わせて記録しても良い。これらの原版は公知の材料、方法で作成することができ、通常、感光性材料を塗布したガラス板を用いたレーザ光干渉法、電子線レジスト材料を塗布したガラス板に電子線描画法、機械切削法などが適用できる。
【0030】
(レリ−フの賦型)該レリーフ形成層15面へ上記のレリーフ形状16を賦形(複製とも呼称する)する。熱圧法での賦形は、レリーフ形成層15の表面に、レリーフが形成されているスタンパ(金属版、又は樹脂版)を圧着(所謂エンボス)をして、該レリーフをレリーフ形成層15へ賦型し複製した後に、スタンパを剥離することで行う。レリーフ形成層の材料によってはエンボス中に電離放射線を照射してからスタンパを剥離することでレリーフを複製する。商業的な複製は、長尺状で行うことで連続な複製作業ができる。また、シリンダーにスタンパをとりつけたり、シリンダーに直接レリーフを刻むなどして作製されたシリンダー状のスタンパを用いて、より商業的にレリーフを複製することができる。
【0031】
(レリーフの硬化)レリーフ形成層15として電離放射線硬化性樹脂を用いた場合には、スタンパでエンボス中、又はエンボス後に、電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂を硬化させる。上記の電離放射線硬化性樹脂は、レリーフを形成後に、電離放射線を照射して硬化(反応)させると電離放射線硬化樹脂(レリーフ形成層15)となる。電離放射線としては、電磁波が有する量子エネルギーで区分する場合もあるが、本明細書では、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線を包含するものと定義する。従って、電離放射線としては、紫外線(UV)、可視光線、ガンマー線、X線、または電子線などが適用できるが、紫外線(UV)が好適であり、波長300〜400nmの紫外線が最適である。電離放射線で硬化する電離放射線硬化性樹脂は、紫外線硬化の場合は光重合開始剤、及び/又は光重合促進剤を添加し、エネルギーの高い電子線硬化の場合は添加しないで良く、また、適正な触媒が存在すれば、熱エネルギーでも硬化できる。レリーフ形成層15として、熱硬化性樹脂を用いた場合には、使用する熱硬化性樹脂の硬化条件に応じた温湿度環境下で、エージングを行い硬化させればよい。
【0032】
(EC法)EC法は、所謂、当業者がエクストルージョンコーティング(EC)と呼ぶ方法である。まず、押出機で、押出樹脂を加熱し溶融させて、Tダイスで必要な幅方向に拡大伸張させてカーテン状に押し出す。該溶融樹脂層を基材11上へ流下させて、ゴムロールと冷却した金属ロールとで挟持することで、押出樹脂層の形成と、基材11への接着と積層が同時に行われる。この際に、金属ロールの表面にレリーフが形成されているスタンパ(金属版、又は樹脂版)を貼着しておくことで、溶融樹脂層の表面へレリーフ形状16が転写され、これが冷却されてレリーフ形状16が固定された押出樹脂層となり、該表面にレリーフが賦型できる。この際の押出樹脂層がレリーフ形成層15となる。レリーフの形状とスタンパについては熱圧法と同様である。
【0033】
(EC法のレリーフ形成層)EC法のレリーフ形成層15(押出樹脂層)としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−プロピレン共重合体(E−P)、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリノルボネンなどの環状ポリオレフィン、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂などが適用できる。これらの樹脂を単独又は複数を組み合せて使用でき、必要に応じて、適宜添加剤を加えても良い。
【0034】
EC法のレリーフ形成層15(押出樹脂層)の厚さは、通常は5〜300μm程度、好ましくは10〜100μmである。10μm以下の厚さでは賦型性が低下し、100μm以上の厚さでは、材料が無駄である。
【0035】
また、前述したように、EC法によるレリーフの賦型法の際には、合成樹脂フィルムに加えて、紙基材も用いることができる。紙基材としては、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロ−ル紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材、その他等を使用することができる。また、該紙基材に、各種の樹脂のフィルム乃至シ−トなどを貼合したものを用いてもよい。
【0036】
(反射層)反射層17A及び反射層17B(反射層17)は、所定のレリーフ構造を設けたレリーフ形成層15面のレリーフ面へ、反射層17を設けることにより、レリーフの反射及び/又は回折効果を高めるので、レリーフ形成層15の反射率より高ければ、特に限定されず、例えば金属、または屈折率に差のある透明金属化合物が適用できる。この反射層17はレリーフ構造を設ける前に、レリーフ形成層15へ形成することも可能である。すなわち、各層の材料、スタンパを適宜選定することで、反射層17形成後にレリーフ形成することも可能である。
【0037】
該反射層17に用いる金属としては、金属光沢を有し光を反射する金属元素の薄膜で、Cr、Ni、Ag、Au、Al等の金属、及びその酸化物、硫化物、窒化物等の薄膜を単独又は複数を組み合わせてもよい。上記の光反射性の金属薄膜の形成は、いずれも10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの真空薄膜法で得られるが、その他、メッキなどによっても形成できる。反射層17の厚さがこの範囲未満では、光がある程度透過して効果が減じ、また、それ以上では、反射効果は変わらないので、コスト的に無駄である。
【0038】
また、反射層17として、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率がレリーフ形成層のそれとは異なる金属化合物を用いることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラムなどの光輝性を視認できるから、透明なホログラムなどの光輝性フィルムを作製することができる。
透明な金属又は金属化合物としては、例えば、レリーフ形成層15よりも光屈折率の高い薄膜、および光屈折率の低い薄膜とがあり、前者の例としては、ZnS、TiO2、Al23、Sb23、SiO、SnO2、ITO等があり、後者の例としては、LiF、MgF2、AlF3がある。好ましくは、金属酸化物又は窒化物であり、具体的には、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Au等の酸化物又は窒化物、他はそれらを2種以上を混合したもの等が挙げられる。またアルミニウム等の一般的な光反射性の金属薄膜も、厚みが200Å以下になると、透明性が出て使用できる。透明金属化合物の形成は、金属の薄膜と同様、レリーフ形成層15のレリーフ面に、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVDなどの真空薄膜法などにより設ければよい。さらには、レリーフ形成層15と光の屈折率の異なる透明な合成樹脂を使用してもよく、接着層19、21Bや保護層25材料とレリーフ形成層15材料の屈折率が十分に異なる場合には、接着層19、21Bや保護層25が反射層17を兼ねることもできる。
【0039】
(複数図柄化)以上のようにして、光輝性フィルム10A及び10Bが得られる。請求項7〜8の発明では、層の構成に従って、レリーフ形成層15、レリーフ形状16及び反射層17を作製する工程を繰り返すことで、複数図柄を有する本発明の複数図柄光輝性フィルム10を得ることできる。
このように、1つの基材に対してレリーフ形成層15、レリーフ形状16及び反射層17を作製する工程を繰り返すことで複数図柄を有する複数図柄光輝性フィルムを作製する際には、後からレリーフ形成層にレリーフ形状16を作製する工程で、先に作製したレリーフ形状16を破壊しないことが必要となる。
このため先に形成された第1レリーフ形成材料のガラス転移温度をTg1(u)、この材料の硬化後のガラス転移温度をTg1(h)、後から形成された第2レリーフ形成層を作製する材料のガラス転移温度をTg2(u)、この材料の硬化後のガラス転移温度をTg2(h)とするとき、第1レリーフ形成層は第2レリーフ形成層のレリーフが賦型される前に硬化されるとともに、Tg1(h)>Tg2(u)の関係があることが好ましい。
また、第1レリーフ形成層の材料、第2レリーフ形成層の材料として一般的な熱可塑性樹脂を使用する場合には、Tg1(u)=Tg1(h)=Tg1、さらに、Tg2(u)=Tg2(h)=Tg2とすると、Tg1>Tg2の関係があることが好ましい。第3、第4とさらに複数個のレリーフ形成層を有する場合は、Tg1>Tg2>Tg3>Tg4、すなわち、Tg1(u)>Tg2(u)>Tg3(u)>Tg4(u)の関係があることが好ましい。
しかしながら、硬化性樹脂を使用する場合にはこの式(Tg1>Tg2)の関係が成立することが特に好ましいわけではない。先にレリーフ形成される樹脂として硬化性樹脂を使用すると、硬化前のTg1(u)が低くても、レリーフ形成後にこの樹脂を硬化することで、後から第2レリーフ形成層にレリーフを賦型する時点においてTg1(h)を十分に高くすることが容易なため好ましい。逆に、後からレリーフ形成する樹脂として硬化性樹脂を使用すれば、第2レリーフ形成層にレリーフを賦型する温度を十分に低くするとともに、第2レリーフ形成後にこの樹脂をTg2(h)まで硬化することで製品の耐久性を十分に高くすることができるので好ましい。すなわちレリーフ賦型時には硬化しておらず、レリーフ賦型後硬化可能な硬化性樹脂を使用することで、未硬化時の樹脂のガラス転移温度がTg1(u)=Tg2(u)、もしくは、Tg1(u)<Tg2(u)の関係にあっても、Tg1(h)>Tg2(u)の関係を成立することができ、先に形成されたレリーフの形状を破壊することなく後に形成するレリーフを作製することができる。このようなレリーフ樹脂の硬化を、全工程中、最適な工程で行うためには、レリーフ形成材料としては、電離放射線硬化性樹脂が特に好ましい。3層以上の複数図柄を有する際にも同様である。
上記に示したガラス転移温度の関係を満足しないと、レリーフ形状の形状維持が困難となり、ひび割れ、白化等が生じ、光輝性複数図柄としての十分な輝度が得られなくなってしまう。
但し、上記のガラス転移温度は、動的粘弾性測定における損失正接(tanδ)が最大値をとる温度を当該樹脂のガラス転移温度としたものである。粘弾性の測定方法は、測定機器としてレオメトリックス製ARESを用い、測定条件は、パラレルプレート10mmΦ、歪み1%、振幅1Hz、昇温速度2℃/min.で、試料の樹脂の温度を30℃から200℃に昇温させることにより行う。また、一般に貯蔵弾性率G′は弾性成分で、高分子中でのコイルの振動や凝集体構造などの構造が生じることによって発生し、損失弾性率G″は粘性成分であり、静的の剪断応力と等価なものである。tanδはG″/G′により求められ、材料が変形する際にどれくらいのエネルギーを吸収するかの指標となる。
また、請求項3〜6の発明では、2枚の光輝性フィルム10Aと10Bの、反射層17Aと反射層17B面、基材11Aと基材11B面、又は反射層17Aと基材11B面とを積層すればよい。該積層方法としては、貼合できればよく、特に限定されないが、例えば、ドライラミネーション法、押出ラミネーション法、粘着剤ラミネーション法、熱ラミネーション法などの公知の方法が適用でき、接着層19の材料は、貼合方法に応じて適宜選択すればよい。
また、熱圧賦型法とEC賦型法とを組み合わせてもよく、図5、図6、及び図7に示す層構成の場合には、例えば、まず、第1基材11A上の第1レリーフ形成層15Aへ熱圧賦型法で賦型し、第1反射層17Aを形成又は形成せずに、第1基材11A面又は第1反射層17A面へ、EC賦型法で第2レリーフ形成層15Bを賦型すればよい。
さらにまた、図2、図3、及び図4に示す層構成の場合には、異なる図柄を有する、2又は2以上の複数の光輝性フィルムを熱圧賦型法並びにEC賦型法にてそれぞれ作製しておき、該光輝性フィルムの表裏面を如何様に組合わせて積層してよい。
さらに、図1に示す層構成の場合には、例えば、まず、第1光輝性フィルムと、第2光輝性フィルムを貼り合せた後、基材11A、基材11Bをそれぞれ剥離することで作製可能である。基材とレリーフ形成材料の接着性を調整することで、図1に示す層構成のフィルムを作製できる。基材とレリーフ形成層の接着力が強すぎる場合には、通常接着力アップのために使用するプライマ層に変えて、接着力を低下するプライマ層材料を使用することで、第1光輝性フィルムと第2光輝性フィルムを貼り合せた後に、それぞれの基材を剥離することで、図1に示す層構成のフィルムを作製することができる。
【0040】
(他の層)また、本発明の複数図柄光輝性フィルム10には、何らかの手段を用いて光輝性図柄が観察できる範囲で、必要に応じて、層構成の層間及び/又は表面に、保護層、着色層、磁気印刷層、及び/又は樹脂層などの他の層、並びに/又は印刷、プライマ層などを設けてもよい。
上記の保護層としては、前記のレリーフ形成層で説明した構成樹脂と同様に、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂、そして、不飽和ポリエステル、メラミン、エポキシウレタン(メタ)アクリレート等の熱硬化性樹脂を硬化させたもの、不飽和エチレン系モノマーと不飽和エチレン系オリゴマーを適宜混合したものに増感剤を添加した組成物等の紫外線硬化性樹脂を硬化させたもの、或いは、上記熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の混合物やラジカル重合性不飽和基を有する熱成形性物質が使用可能である。特に耐薬品性、耐光性及び耐候性等の耐久性に優れた熱硬化性樹脂、紫外線や電子線などの電離放射線硬化性樹脂が好ましい。
【0041】
(他の支持基材)以上のようにして得られた本発明の複数図柄光輝性フィルムへは、さらに、別の基材や層を設けてもよい。例えば図7に示すように、反射層17Bの表面に接着層21Bを介して支持基材30Bを設けることで、金属表面を保護することができる。支持基材としては、基材11に関して記載した材料が使用される。これらの合成樹脂フィルムや紙基材などを、ドライラミネーション法、押出ラミネーション法、粘着剤ラミネーション法、熱ラミネーション法などの公知の方法で積層すればよい。また、この支持基材として離型処理した支持基材を用いることで、意匠性、セキュリティー性に優れた粘着ラベルとすることができる。
(接着剤)接着層19、21B、23に使用する接着剤としては、上記した従来公知の積層方法に順じて適宜材料を選定すればよい。例えば、ドライラミネーション法にて、積層する場合、熱、または紫外線・電子線などの電離放射線で硬化する接着剤が適用できる。熱硬化接着剤としては、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエ−テルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エボキシ系接着剤、ゴム系接着剤などが適用できる。なかでも2液硬化型ウレタン系接着剤が好適である。溶媒へ分散または溶解した接着剤を塗布し乾燥させて、2枚の光輝性フィルムを重ねて積層した後に、30〜120℃で数時間〜数日間エージングすることで、接着剤を硬化させるとよい。既に形成されたレリーフ形状を破壊することがないよう、できるだけ低温で硬化できる接着剤、好ましくは賦型されたレリーフ形成層材料のガラス転移温度Tg(h)より低い温度で硬化できる接着剤、さらに好ましくはTg(u)より低い温度で硬化できる接着剤、が特に好ましく使用される。該接着層の膜厚としては、0.1〜20μm(乾燥状態)程度、好ましくは1.0〜5.0μmである。
【0042】
(光輝性複数図柄形成物)本発明の光輝性複数図柄形成物100は、本発明の複数図柄光輝性フィルム10を、他の支持基材へ様々の貼着方法で付与したものである。貼着方法は特に限定されるものではなく、例えば、接着剤や粘着剤による法、熱圧着法、抄込みによる抄紙法、ラベルや転写箔などとしてもよい。該光輝性複数図柄形成物は、図柄の異なる少なくとも光輝性の第1図柄及び光輝性の第2図柄を有し、特異な意匠性、セキュリティ性を持っている。図8に、本発明の光輝性複数図柄形成物の一つの例を示したが、第1光輝性フィルム10A(第1基材11A/第1プライマ層13A(必要に応じて)/第1レリーフ形成層15A(第1レリーフ形状16Aを有する)/第1反射層17A)と、第2光輝性フィルム10B(第2反射層17B/第2レリーフ形成層15B(第2レリーフ形状16Bを有する)/第2プライマ層13B(必要に応じて)/第2基材11B)との、第1反射層17A面と第2反射層17B面とを接着層19で積層した層構成である複数図柄光輝性フィルム10と、基紙101とを、複数図柄光輝性フィルム10の第2基材11Bと基紙101とが接着層23を介して接するように貼着することができる。図示したものは、支持基材として、基紙を用いたものであるが、これに限らず、合成樹脂フィルム、カード、ガラス等、適宜変更できる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
【0044】
(実施例1)
(第1の光輝性フィルムの作成)基材11Aとして厚さ6μmのルミラー6CF53(東レ社製、PETフィルム商品名)を用いた。該基材11Aの一方の面へ、前述の電離放射線硬化性樹脂組成物Aをグラビアリバースコーターで塗工し100℃で乾燥させて、厚さ1μmのレリーフ形成層15Aを形成した。次に、該レリーフ形成層面へ、2光束法によるレインボウホログラムから2P法で複製したスタンパを複製装置のエンボスローラーに貼着して、相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させた。レリーフ形成層15Aのレリーフ面へ真空蒸着法で厚さが500nmのアルミニウム薄膜を形成して反射層17Aとした。
(第2の光輝性フィルムの作成)基材11Bとして厚さ6μmのルミラー6CF53(東レ社製、PETフィルム商品名)を用いた。該基材11Bの一方の面へ、前述の電離放射線硬化性樹脂組成物Aをグラビアリバースコーターで塗工し100℃で乾燥させて、厚さ1μmのレリーフ形成層15Bを形成した。次に、該レリーフ形成層面へ、回折格子から2P法で複製したスタンパを複製装置のエンボスローラーに貼着して、相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させた。レリーフ形成層15Bのレリーフ面へ真空蒸着法で厚さが500nmのアルミニウム薄膜を形成して反射層17Bとした。
(複数図柄光輝性フィルムの作成)
第1の光輝性フィルムの反射層17Aと第2の光輝性フィルムの反射層17Bとを公知のドライラミ法で貼合する。第1の光輝性フィルムの反射層17A面へ、グラビアコート法で2液硬化型ポリウレタン系接着剤を乾燥後の厚さが1.5μmになるように塗布し乾燥した後に、第2の光輝性フィルムの反射層17B面とを重ね合せて加圧し、その後40℃で3日間放置して、実施例1の複数図柄光輝性フィルム10を得た。該複数図柄光輝性フィルム10は、全体厚さが略15μmで、一方の面がホログラム、他方の面は回折格子による別個の光輝性図柄が、明るく観察することができ、該光輝性図柄は誰でも、しかも暗がりでも一見しただけで観察でき識別することができた。さらに、カラーコピー機でコピーしたところ、ホログラム特有の輝きはなく、複数図柄光輝性フィルムのホログラムとコピーとは全く異なり、一目で真贋が判断できた。
【0045】
(実施例2)反射層17Aとして、スパッタリング法で厚さが100nmの酸化チタン薄膜を形成を用いる以外は、実施例1と同様にして、複数図柄光輝性フィルム10を得た。該複数図柄光輝性フィルム10は、全体厚さが略15μmで、一方の面が回折格子による光輝性図柄とホログラム図柄が、他方の面は回折格子による別個の透明な光輝性図柄が、明るく観察することができた。
【0046】
(実施例3)基材11Aとして厚さ6μm、基材11Bとして厚さ12μmの各々PETフィルムを用い、レリーフ形成層15A、15Bの各塗工液として、前述の電離放射線硬化性樹脂組成物Bを用いる以外は、実施例1と同様にして、複数図柄光輝性フィルム10を得た。該複数図柄光輝性フィルム10は、全体厚さが略21μmで、一方の面がホログラム、他方の面は回折格子による別個の光輝性図柄が、明るく観察することができた。
【0047】
(実施例4)基材11A及び基材11Bのレリーフ形成層15を形成する面へ、ポリエステル樹脂をグラビアリバースコーターで塗工し100℃で乾燥させて、厚さ0.5μmのプライマー層13A及び13Bを形成する以外は実施例1と同様にして、複数図柄光輝性フィルム10を得た。該複数図柄光輝性フィルム10は、全体厚さが略16μmで、一方の面がホログラム、他方の面は回折格子による別個の透明な光輝性図柄が、明るく観察することができ、かつ、層間が強固に接着しているので、剥離などが発生しにくく、耐久性が良好であった。
【0048】
(実施例5)基材11A、11Bとして、厚さ16μmのPETフィルムを用いる以外は実施例1と同様にして、複数図柄光輝性フィルム10を得た。該複数図柄光輝性フィルム10は、全体厚さが略35μmで、一方の面がホログラム、他方の面は回折格子による別個の透明な光輝性図柄が、明るく観察することができた。
【0049】
(実施例6)基材11A及び11Bとして、厚さ50μmのPETフィルムを用い、プライマー層13A及び13Bの厚さを1μmとし、レリーフ形成層15A及び15Bの厚さを2μmとする実施例4と同様にして、複数図柄光輝性フィルム10を得た。該複数図柄光輝性フィルム10は、全体厚さが略108μmで、一方の面がホログラム、他方の面は回折格子による別個の透明な光輝性図柄が、明るく観察することができた。
【0050】
(実施例7)実施例1で作製しておいた、第1の光輝性フィルムの第1基材11Aと第2の光輝性フィルムの第2基材11Bとを公知のドライラミ法で貼合する。第1の光輝性フィルムの第1基材11A面へ、グラビアコート法で2液硬化型ポリウレタン系接着剤を乾燥後の厚さが1.5μmになるように塗布し乾燥した後に、第2の光輝性フィルムの第2基材11B面とを重ね合せて加圧し、その後40℃で3日間放置して、複数図柄光輝性フィルム10を得た。該複数図柄光輝性フィルム10は、全体厚さが略15μmで、一方の面がホログラム、他方の面は回折格子による別個の光輝性図柄が、明るく観察することができ、該光輝性図柄は誰でも、しかも暗がりでも一見しただけで観察でき識別することができた。さらに、カラーコピー機でコピーしたところ、ホログラム特有の輝きはなく、複数図柄光輝性フィルムのホログラムとコピーとは全く異なり、一目で真贋が判断できた。
【0051】
(実施例8)
実施例1で作製しておいた、第1の光輝性フィルムの第1基材11Aと第2の光輝性フィルムの第2基材11Bとを公知のドライラミ法で貼合する。第1の光輝性フィルムの第1基材11A面へ、グラビアコート法で2液硬化型ポリウレタン系接着剤を乾燥後の厚さが1.5μmになるように塗布し乾燥した後に、第2の光輝性フィルムの反射層17B面とを重ね合せて加圧し、その後40℃で3日間放置して、複数図柄光輝性フィルム10を得た。該複数図柄光輝性フィルム10は、全体厚さが略15μmで、一方の面がホログラム、他方の面は回折格子による別個の光輝性図柄が、明るく観察することができた。
【0052】
(実施例9)実施例1で作製しておいた第1の光輝性フィルムを用いて、該光輝性フィルムの反射層17A面へ、前述の電離放射線硬化性樹脂組成物Aをグラビアリバースコーターで塗工し100℃で乾燥させて、厚さ1μmのレリーフ形成層15Bを形成した。次に、該レリーフ形成層面へ、回折格子から2P法で複製したスタンパを複製装置のエンボスローラーに貼着して、相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させた。レリーフ形成層15Bのレリーフ面へ真空蒸着法で厚さが500nmのアルミニウム薄膜を形成して反射層17Bとして、複数図柄光輝性フィルム10を得た。該複数図柄光輝性フィルム10は、全体厚さが略8μmで、一方の面がホログラム、他方の面は回折格子による別個の光輝性図柄が、明るく観察することができた。
【0053】
(実施例10)実施例1で作製しておいた第1の光輝性フィルムを用いて、該光輝性フィルムの第1基材11A面へ、前述の電離放射線硬化性樹脂組成物Aをグラビアリバースコーターで塗工し100℃で乾燥させて、厚さ1μmのレリーフ形成層15Bを形成した。次に、該レリーフ形成層面へ、回折格子から2P法で複製したスタンパを複製装置のエンボスローラーに貼着して、相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させた。レリーフ形成層15Bのレリーフ面へ真空蒸着法で厚さが500nmのアルミニウム薄膜を形成して反射層17Bとして、複数図柄光輝性フィルム10を得た。該複数図柄光輝性フィルム10は、全体厚さが略8μmで、一方の面がホログラム、他方の面は回折格子による別個の光輝性図柄が、明るく観察することができた。
【0054】
(実施例11)実施例1で作製しておいた第1の光輝性フィルムと、実施例1で作製した第2の光輝性フィルムの反射層17Bの上に、前述の電離放射線硬化性樹脂組成物Aをグラビアリバースコーターで塗工し100℃で乾燥させて、厚さ0.5μmの保護層25Bを形成した保護層付の第2光輝性フィルムとを用いて、第1の光輝性フィルムの反射層17Aと、第2の光輝性フィルムの第2基材11Bとが対向するように、公知のドライラミ法で貼合する。第1の光輝性フィルムの反射層17A面へ、グラビアコート法で2液硬化型ポリウレタン系接着剤を乾燥後の厚さが1.5μmになるように塗布し乾燥した後に、第2の光輝性フィルムの第2基材11B面とを重ね合せて加圧し、その後40℃で3日間放置して、複数図柄光輝性フィルム10を得た。該複数図柄光輝性フィルム10は、全体厚さが略15μmで、一方の面がホログラム、他方の面は回折格子による別個の光輝性図柄が、明るく観察することができた。尚、実施例11で作製した光輝性フィルムは、反射層17Bが表面に露出せず、保護層25Bで被覆され、耐久性がより向上していた。
【0055】
(実施例12)実施例5で作製した全体厚さが略35μmの複数図柄光輝性フィルム10の第2基材11Bと、基紙101として使用する100μmのPETフィルムの一面とが対向するように、公知のドライラミ法で貼合する。複数図柄光輝性フィルム10の第2基材11B面へ、グラビアコート法で2液硬化型ポリウレタン系接着剤を乾燥後の厚さが5μmになるように塗布し乾燥した後に、100μmのPETフィルムとを重ね合せて加圧し、その後40℃で3日間放置して、光輝性複数図形性物100を得た。該光輝性複数図柄形成物100は、全体厚さが略140μmで、一方の面がホログラム、他方の面は回折格子による別個の光輝性図柄が、明るく観察することができた。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の1実施例を示す複数図柄光輝性フィルムの断面図である。
【図2】本発明の1実施例を示す複数図柄光輝性フィルムの断面図である。
【図3】本発明の1実施例を示す複数図柄光輝性フィルムの断面図である。
【図4】本発明の1実施例を示す複数図柄光輝性フィルムの断面図である。
【図5】本発明の1実施例を示す複数図柄光輝性フィルムの断面図である。
【図6】本発明の1実施例を示す複数図柄光輝性フィルムの断面図である。
【図7】本発明の1実施例を示す複数図柄光輝性フィルムの断面図である。
【図8】本発明の1実施例を示す光輝性複数図柄形成物の断面図である。
【符号の説明】
【0057】
10:複数図柄光輝性フィルム
11A、11B:基材
13A、13B:プライマ層
15A、15B:レリーフ形成層
16A、16B:レリーフ形状
17A、17B:反射層
19、21B、23:接着層
25A、25B:保護層
27:印刷
30A、30B:支持基材
100:光輝性複数図柄形成物
101:基紙


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも光輝性の第1図柄及び光輝性の第2図柄を有し、前記第1図柄と前記第2図柄の図柄が異なっていることを特徴とする複数図柄光輝性フィルム。
【請求項2】
上記第1図柄及び第2図柄の図柄がヘアライン柄、万線柄、マット柄、ホログラム及び/又は回折格子であることを特徴とする請求項1に記載の複数図柄光輝性フィルム。
【請求項3】
少なくとも第1レリーフ形成層及び第1反射層を有する第1光輝性フィルムと、少なくとも第2レリーフ形成層及び第2反射層を有する第2光輝性フィルムとを、前記第1反射層面と前記第2反射層面とを接着層を介して積層されてなり、前記第1レリーフ形成層と前記第2レリーフ形成層に形成されているレリーフ形状が異なっていることを特徴とする複数図柄光輝性フィルム。
【請求項4】
少なくとも第1基材、第1レリーフ形成層及び第1反射層を有する第1光輝性フィルムと、少なくとも第2基材、第2レリーフ形成層及び第2反射層を有する第2光輝性フィルムとを、前記第1反射層面と前記第2反射層面とを接着層を介して積層されてなり、前記第1レリーフ形成層と前記第2レリーフ形成層に形成されているレリーフ形状が異なっていることを特徴とする複数図柄光輝性フィルム。
【請求項5】
少なくとも第1基材、第1レリーフ形成層及び第1反射層を有する第1光輝性フィルムと、少なくとも第2基材、第2レリーフ形成層及び第2反射層を有する第2光輝性フィルムとを、前記第1基材面と前記第2基材面とを接着層を介して貼合してなり、前記第1レリーフ形成層と前記第2レリーフ形成層に形成されているレリーフ形状が異なっていることを特徴とする複数図柄光輝性フィルム。
【請求項6】
少なくとも第1基材、第1レリーフ形成層及び第1反射層を有する第1光輝性フィルムと、少なくとも第2基材、第2レリーフ形成層及び第2反射層を有する第2光輝性フィルムとを、前記第1反射面と前記第2基材面とを接着層を介して貼合してなり、前記第1レリーフ形成層と前記第2レリーフ形成層に形成されているレリーフ形状が異なっていることを特徴とする複数図柄光輝性フィルム。
【請求項7】
第1基材と、該第1基材の一方の面へ、少なくとも第1レリーフ形成層及び第1反射層を有し、他方の面へ、少なくとも第2レリーフ形成層及び第2反射層を有してなり、前記第1レリーフ形成層と前記第2レリーフ形成層に形成されているレリーフ形状が異なっていることを特徴とする複数図柄光輝性フィルム。
【請求項8】
第1基材と、該第1基材の一方の面へ、少なくとも第1レリーフ形成層及び第1反射層を有し、さらに該第1反射層面へ、少なくとも第2レリーフ形成層及び第2反射層を設けてなり、前記第1レリーフ形成層と前記第2レリーフ形成層に形成されているレリーフ形状が異なっていることを特徴とする複数図柄光輝性フィルム。
【請求項9】
上記第1レリーフ形成層及び第2レリーフ形成層の形成されているレリーフ形状がヘアライン柄、万線柄、マット柄、ホログラム及び/又は回折格子であるでのようなマイクロオーダのレリーフ形状あることを特徴とする請求項3〜8のいずれかに記載の複数図柄光輝性フィルム。
【請求項10】
上記第1反射層及び/又は第2反射層が金属層及び/又は透明反射層であることを特徴とする請求項3〜9のいずれかに記載の複数図柄光輝性フィルム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の複数図柄光輝性フィルムにおいて、少なくとも層間及び/又は表面に、基材、他の層及び/又は印刷を設けてなることを特徴とする複数図柄光輝性フィルム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の複数図柄光輝性フィルムを用いて、少なくとも1部に光輝性の複数図柄を設けてなることを特徴とする光輝性複数図柄形成物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−248221(P2006−248221A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−31644(P2006−31644)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】