説明

複数液吐出容器および複数液吐出製品

【課題】製造が簡単であり、劣化のおそれが小さく、内容物の吐出比が均等な複数液吐出容器および複数液吐出製品を提供する。
【解決手段】外部容器11と、その外部容器11内に収容される内部容器12と、その内部容器に連結される連結部材13と、それらの容器の開口部を閉じるエアゾールバルブ14とからなる二液吐出容器10。内部容器12が金属箔層および合成樹脂層からなる可撓性を有する3枚の積層シートから構成されており、2つの独立した第1充填室16および第2充填室17を並列に備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数液吐出容器および複数液吐出製品に関する。詳しくは、複数の充填室を有する内部容器を備えた複数液吐出容器および複数液吐出製品に関する。
【背景技術】
【0002】
一つの容器内に複数の内容物を独立して充填し、それらを同時に独立して吐出するための複数液吐出容器が知られている。
特許文献1には、外部容器と、その中に収容される2個のインナーバッグとを備えた二重エアゾール容器が開示されている。
特許文献2の図4には、第一内容物を充填する第一パウチと、第二内容物を充填し、第1パウチ内に収容される第二パウチと、第一パウチと外部を連通する第一流路と、第二パウチと外部を連通する第二流路と、第一流路および第二流路に連結される弁体とを備えた一部断面形状が開示されている。
特許文献3の図4には、容器本体を構成する2枚のシートの間に同様なシートからなる隔壁が介在され、周縁部を熱溶着した密封容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−28684号公報
【特許文献2】特表2009−537403号公報
【特許文献3】特開2002−308298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のように複数のインナーバッグを外部容器に収納し、外部容器とインナーバッグの間に加圧剤を充填する場合、2つのインナーバッグを外部容器の円状の開口から挿入しなければならず、その工程が煩雑になりやすい。また、2つのインナーバッグをエアゾールバルブと連結させる工程も煩雑になる。特に、内容物を充填した後に、インナーバッグをエアゾールバルブと連結する、あるいは、外部容器内に挿入する場合は、一層煩雑となる。また、それぞれのインナーバックが独立しているため、吐出すると異なる形状に変形し、特にアルミ層などの金属箔層を有すると吐出量の比率が変わりやすい。
また、特許文献2は、第二パウチが第一パウチ内に収容されているため、それぞれのパウチに内容物を充填した後は、第二パウチは第一パウチ内の内容物中に漬け込まれた状態になり、その第一パウチ内の内容物により第二パウチが劣化しやすい。この場合、第二パウチは内容物によって覆われており、加圧剤の押圧力は第一パウチ内の内容物を介して第2パウチに伝わるため、内容物の粘度および内容物の量によって第2パウチの圧縮力は変化し、各内容物の吐出量の比率が変化しやすい。
特許文献3は、シートの側面を手で圧縮して内容物を吐出するため、内容物に伝わる力は不均等であり、複数の内容物を所定の吐出量比で吐出できない。
本発明は、製造が簡単であり、劣化のおそれが小さく、内容物の吐出比が均等な複数液吐出容器および複数液吐出製品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の複数液吐出容器は、外部容器と、外部容器に収容される内部容器と、外部容器および内部容器を密閉する弁機構とからなり、内部容器が金属箔層および合成樹脂層を備えた可撓性を有する積層シートにより構成され、内容物を収容する充填室を複数個有しており、前記複数の充填室が並列に設けられていることを特徴としている。
本発明の複数液吐出容器の第2の態様は、外部容器と、外部容器に収容される内部容器と、外部容器および内部容器を密閉する弁機構とからなり、前記内部容器は可撓性を有するシートにより構成されており、前記内容物を収容する充填室を複数個有し、それらの充填室は並列しており、前記充填室の少なくとも1つが、金属箔層、合成樹脂層、蒸着層から選ばれる少なくとも二層を備えた可撓性を有する積層シートによって構成されていることを特徴としている。
【0006】
本発明の複数液吐出容器において、前記内部容器が前記積層シートを折り畳んだ折目部分を有し、その折目部分の内面の一部が貼り合わせられているものが好ましい。そのようなものであって、前記内部容器が1枚の積層シートから構成されているものが好ましい。
本発明の複数液吐出容器において、内部容器の充填室同士が積層シートからなる隔壁によって区画されているものが好ましい。また、前記内部容器が複数の積層シートの側縁部同士を貼り合わせて構成されているのが好ましい。その場合、異なる面積の積層シートを貼り合わせて構成されており、大きい積層シートを折り畳み、その側縁部を小さい積層シートの側縁部に貼り合わせるのが好ましい。
さらに、前記内部容器が3枚の積層シートを重ねて貼り合わせたものであり、2つの充填室を有しているものが好ましい。
前記内部容器が、内部容器を外部容器内に収容したとき、それ自身を支持し、外部容器の底部と当接する支持部を備えていてもよい。
【0007】
本発明の複数液吐出容器において、内部容器に弁機構と連結する連結部材が装着されており、弁機構および連結部材が、内部容器の充填室と外部とをそれぞれ独立して連通させる通路を備えているものが好ましい。
そのような連結部材が、複数の充填室の開口部にそれぞれ固着されて閉じる複数の並列した栓部を備えた一体成形品であり、少なくとも2つの充填室と2つの栓部の固着部位の高さが異なるように構成されているものが好ましい。
【0008】
本発明の複数液吐出容器の第3の態様は、外部容器と、外部容器に収容される内部容器と、外部容器および内部容器を密閉する弁機構とからなり、内部容器は可撓性を有するシートにより構成され、複数の充填室を有しており、それらの充填室は並列しており、それぞれの充填室と弁機構とは独立して連通しており、充填室同士は前記シートからなる隔壁によって区画されていることを特徴としている。
【0009】
本発明の複数液吐出製品は、本発明の第1から第3の態様の複数液吐出容器と、内部容器の各充填室に充填される複数の内容物と、外部容器内に充填される加圧剤とからなることを特徴としている。
【0010】
本発明の複数液吐出容器の第4の態様は、可撓性を有するシートにより構成され、内容物を収容する充填室を複数個有する容器本体と、前記複数個の充填室を閉じ、それぞれの充填室と大気とを独立して連通させる通路を有する吐出部材とを備えており、前記充填室同士はシートからなる隔壁によって区画されていることを特徴としている。
本発明の複数液吐出容器の第4の態様であって、容器本体が可撓性を有する2枚の外シートと、その間に挟まれる可撓性を有する1枚または2枚以上の中シートとを重ねて構成されているものが好ましい。その場合、少なくとも中シートの一枚が金属箔層、合成樹脂層、蒸着層から選ばれる少なくとも2層を備えた可撓性を有する積層シートによって構成されているものが好ましい。
また、前記充填室の少なくとも1つが、金属箔層、合成樹脂層、蒸着層から選ばれる少なくとも二層を備えた可撓性を有する積層シートによって構成されているものが好ましい。
さらに、前記容器本体が第1充填室と第2充填室とを有し、吐出部材が第1充填室を閉
じる第1栓部と、第2充填室を閉じる第2栓部とを備え、第1栓部および第2栓部がそれぞれの充填室と大気とを連通する第1通路および第2通路を有しており、吐出部材の第1栓部と第2栓部が並列され、かつ、第1栓部または第2栓部の一方が下方に突出した一体成形品であるものが好ましい。あるいは、吐出部材が第1充填室を閉じる第1栓部と、第2充填室を閉じる第2栓部とを備え、第1栓部および第2栓部がそれぞれの充填室と大気とを連通する第1通路および第2通路を有しており、吐出部材の第1栓部と第2栓部が並列され、かつ、第1栓部または第2栓部の一方が下方に突出した一体成形品であるものが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の複数液吐出容器は、内部容器が内容物を収容する充填室を複数個有し、充填室が並列に設けられているため、一体となっている内部容器を取り扱うだけでよく、製造が簡易である。また、各内容物は内部容器の充填室に独立して充填され、内容物同士の接触がなく安定して保存できる。
そして、内部容器が金属箔層および合成樹脂層を備えた積層シートによって構成されているため、内容物の透過を防止する。特に、反応性の高い内容物に起因して発生するガスの透過を防止でき、外部容器内の気相を介して他方の充填室に外部から浸透して内容物を劣化させるおそれが小さい。また、その積層シートは可撓性を有しているため、各充填室に充填された内容物は均一な圧力を受け、各内容物を同時に吐出でき、かつ、各内容物の吐出比を一定に保つことができる。そして、従来のエアゾール容器と同様の操作性能で複数の内容物を同時に吐出できる。本発明でいう積層シートは、金属箔層と合成樹脂層のように異なる材質のシートを積層させたものをいい、ポリエチレンとポリエチレンテレフタレートのような同じ合成樹脂を積層させたものは合成樹脂層として取り扱う。
【0012】
本発明の複数液吐出容器の第2の態様も、内部容器が並列された複数の充填室を備えているため、一体となっている内部容器を取り扱うだけでよく、製造が簡易である。また、充填室の少なくとも1つが、金属箔層、合成樹脂層、蒸着層から選ばれる少なくとも二層を備えた可撓性を有する積層シートによって構成されているため、その充填室に充填された内容物の透過を防止できる。さらに、その積層シートは可撓性を有しているため、各充填室に充填された内容物は均一な圧力を受け、各内容物を同時に吐出でき、かつ、各内容物の吐出比を一定に保つことができる。そして、従来のエアゾール容器と同様の操作性能で複数の内容物を同時に吐出できる。
【0013】
本発明の複数液吐出容器に用いられる内部容器は積層シートにより構成されているため、内部容器からガスが透過して外部容器内の空間に移動するのを防止できるが、シート同士を貼り合わせる部分(シートのエッジ部分、切断部分)から浸透して劣化するおそれは少なからず残る。しかし、本発明の複数液吐出容器であって、内部容器が積層シートを折り畳んだ折目部分を有し、その折目部分の内面の一部が貼り合わせられている場合、内部容器を構成する周縁(四角形の場合4辺)のうち、少なくとも1辺がシートを折り曲げて、その折り目を溶着した辺となるのでより劣化しにくくなる。特に、反応性の内容物を充填する場合、他方の内容物との反応を抑制できる。
特に、内部容器が1枚の積層シートから構成されている場合、内部容器の充填室を構成する辺の少なくとも2辺以上が折目の内面を貼り合わせた辺となるため、劣化のおそれが一層小さい。
【0014】
本発明の複数液吐出容器であって、内部容器の充填室同士が積層シートからなる隔壁によって区画されている場合、可撓性の積層シートによって両充填室は分けられているため、両充填室内の圧力の均一化が一層図れる。そして、内容物の吐出量のバランスを合わせやすい。
【0015】
本発明の複数液吐出容器であって、内部容器が複数の積層シートの側縁部同士を貼り合せて構成されている場合、充填室の容積を最大限に確保することができる。また、内部容器の底部を貼り合わせずに、内容物を充填する開口とすることで、内容物の充填が容易になる。この場合、内容物の充填後、底部を貼り合わせることになる。また、その内部容器に充填する内容物の粘度などの特性に応じて適宜収容室の形状を選択できる。例えば、大きさや形状が異なるシート同士を貼り合わせて、それぞれの充填室の容積を変えたり、吐出量の調整をしたりすることができる。
【0016】
さらに、内部容器が異なる面積の積層シートを貼り合わせて構成されており、大きい積層シートを折り畳み、その側縁部を小さい積層シートの側縁部に貼り合わせた場合、充填室の容積を一層確保することができる。
特に、前記内部容器が、3枚の積層シートを重ね貼り合わせたものであり、2つの充填室を有している場合、第1充填室と第2充填室とを検査しながら順次作成することができる。
【0017】
また、内部容器を外部容器内に収容したとき、その内部容器が、それ自身を支持し、外部容器の底部と当接する支持部を備えている場合、内部容器をバルブに吊り下げることなく、外部容器の底部に支持させて作業ができるため、その作業が簡素化される。特に、内部容器を外部容器の底部に支持させたとき、内部容器に連結されるエアゾールバルブを外部容器の開口部より高くなるように構成されている場合、エアゾールバルブと外部容器の開口部との間に加圧剤を充填する隙間ができ、加圧剤の充填も容易になる。この場合、加圧剤を充填した後でバルブを外部容器に固着するときに、バルブを降下して内部容器の支持部を撓ませて外部容器内に収容できるように構成する。
【0018】
本発明の複数液吐出容器であって、内部容器に、弁機構と連結する連結部材が装着されており、弁機構および連結部材が、内部容器の充填室と外部とをそれぞれ独立して連通させる通路を備えている場合、内部容器と弁機構の組み立てが容易であり、吐出通路で内容物同士が混ざらない。
このような連結部材が、複数の充填室の開口部にそれぞれ固着されて閉じる複数の並列した栓部を備えた一体成形品であり、少なくとも2つの充填室と2つの栓部の固着部位の高さが異なるように構成されている場合、それぞれの充填室を確実に閉じることができる。
【0019】
本発明の複数吐出容器の第3の態様は、内部容器が可撓性を有するシートにより構成され、複数の充填室が並列しているため、一体となっている内部容器を取り扱うだけでよく、製造が簡易である。また、各内容物は内部容器の充填室に独立して充填され、内容物同士の接触がなく安定して保存できる。また、それぞれの充填室と弁機構とは独立して連通しており、前記充填室同士は前記シートからなる隔壁によって区画されているため、また、その積層シートは可撓性を有しているため、各充填室に充填された内容物は均一な圧力を受け、各内容物を同時に吐出でき、かつ、各内容物の吐出比を一定に保つことができる。
【0020】
本発明の複数液吐出製品は、前述の内部容器を備え、内部容器の各充填室に充填される複数の内容物と、外部容器内に充填される加圧剤とからなるため、加圧剤の圧力が各内容物に均等に伝わりやすく、各内容物を所定の比率で吐出しやすい。
【0021】
本発明の複数液吐出容器の第4の態様は、可撓性を有するシートにより構成され、内容物を収容する充填室を複数個有する容器本体と、前記複数個の充填室を閉じ、それぞれの充填室と大気とを独立して連通させる通路を有する吐出部材とを備えており、前記充填室同士はシートからなる隔壁によって区画されているため、隔壁により内容物の移動が遮断
されるため安定に保存することができ、さらに、充填室に外力を加えても隔壁から力が伝わり、両充填室内に均一の圧力を加えることができ、複数の内容物を同時に、別々に吐出できる。特に、容器本体が可撓性を有する2枚の外シートと、その間に挟まれる可撓性を有する1枚または2枚以上の中シートとを重ねて構成する場合、両充填室に均一な外力を加えることができる。そして、少なくとも中シートの一枚が金属箔層、合成樹脂層、蒸着層から選ばれる少なくとも二層を備えた可撓性を有する積層シートによって構成されている場合、内容物はその隔壁を透過等によって区画された充填室同士を行き来することがない。特に、反応性の高い内容物である場合、長期間安定に保管することができる。
【0022】
このような複数液吐出容器の第4の態様であって、容器本体が第1充填室と第2充填室とを有し、吐出部材が第1充填室を閉じる第1栓部と、第2充填室を閉じる第2栓部とを備え、吐出部材が第1栓部および第2栓部がそれぞれの充填室と大気とを連通する第1通路および第2通路を有しており、吐出部材が第1栓部と第2栓部が並列され、かつ、第1栓部または第2栓部の一方が下方に突出した一体成形品である場合、第1充填室および第2充填室の空間を密閉することができ、かつ、それらに充填された内容物を混合させることなく吐出させることができる。
また、前記容器本体が第1充填室と第2充填室とを有し、吐出部材が第1充填室を閉じる第1栓部と、第2充填室を閉じる第2栓部とを備え、吐出部材が第1栓部および第2栓部がそれぞれの充填室と大気とを連通する第1通路および第2通路を有しており、吐出部材が第1栓部と第2栓部が並列された一体成形品であり、下端に隔壁を構成するシートの上端を固定するスリットが設けられている場合、第1充填室および第2充填室の空間を密閉することができ、かつ、それらに充填された内容物を混合させることなく吐出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の複数液吐出容器の一実施形態を示す側面断面図である。
【図2】図2a、bは図1の内部容器を示す正面図、側面断面図であり、図2c、dはその内部容器に内容物を充填した後の斜視図、平面断面図である。
【図3】図3a、b、cは、図1の連結部材を示す側面断面図、平面図、斜視図であり、図3dは内部容器と連結部材との製造工程を示す工程図である。
【図4】図4aは図1のエアゾールバルブを示す側面断面図であり、図4bは、その内ハウジングを示す下面図である。
【図5】内部容器の他の実施形態に内容物を充填した後の状態を示す上面断面図である。
【図6】図6a〜dは、本発明の複数液吐出容器の他の実施形態の製造工程を示す工程図である。
【図7】図7a、bは本発明の複数液吐出容器に用いることができる内部容器の他の実施形態を示す正面図、側面断面図であり、図7c〜fはその製造工程を示す工程図である。
【図8】図8aは本発明の複数液吐出容器に用いることができる内部容器のさらに他の実施形態を示す斜視図であり、図8b〜eはその製造工程を示す工程図であり、図8fはその内部容器に連結部材を取り付けた状態の斜視図である。
【図9】図9aは本発明の複数液吐出容器に用いることができる内部容器のさらに他の実施形態を示す斜視図であり、図9b〜eはその製造工程を示す工程図であり、図9f、gはそれぞれ内部容器に連結部材を取り付けた状態の斜視図である。
【図10】図10a、bは本発明の複数液吐出容器に用いることができる内部容器のさらに他の実施形態を示す正面図、斜視図であり、図10c〜fはその製造工程を示す工程図である。
【図11】図11a、bは本発明の複数液吐出容器に用いることができる内部容器のさらに他の実施形態を示す正面図、側面図であり、図11c、dは本発明の複数液吐出容器に用いることができる内部容器のさらに他の実施形態を示す正面図、平面図である。
【図12】図12a、bは本発明の複数液吐出容器に用いることができる内部容器のさらに他の実施形態を示す部分斜視図、側面断面図であり、図12cはそのさらに他の実施形態を示す側面断面図であり、図12d、e、fは図12a、bの内部容器を構成する積層シートであり、図12g、hは本発明の複数液吐出容器に用いることができる連結部材のさらに他の実施形態を示す斜視図、下面図である。
【図13】図13a、b、cは本発明の複数液吐出容器のさらに他の実施形態の製造工程を示す工程図である。
【図14】図14a、bは本発明の複数液吐出容器に用いることができる内部容器のさらに他の実施形態を示す部分斜視図、側面断面図であり、図14c、d、eは図14a、bの内部容器を構成する積層シートであり、図14f、gは本発明の複数液吐出容器に用いることができる連結部材のさらに他の実施形態を示す斜視図、下面図である。
【図15】図15aは本発明の複数液吐出容器のさらに他の実施形態を示す一部側面断面図、図15bはその内部容器の断面図であり、図15cは連結部の断面図である。
【図16】図16a、bは本発明の複数液吐出容器のさらに他の実施形態を示す上面図、斜視図であり、図16cはその吐出部材の斜視図であり、図16dはその一部側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1の二液吐出容器10は、外部容器11と、その外部容器11内に収容される内部容器12と、その内部容器に連結される連結部材13と、それらの容器の開口部を閉じるエアゾールバルブ14(以下、バルブ)とからなる。
外部容器11は、底部、胴部、肩部を有する有底筒状のものであり、肩部上端にビード部11aが形成されており、上端が開口している。肩部とビード部との間に筒状の首部を設けても良い。この外部容器11は、アルミニウムやブリキなどの金属板からインパクト加工、絞り加工等によって成形された一体成形品である。しかし、複数の部材を二重巻き締めによって連結したものでもよい。また合成樹脂や耐圧ガラス等の他の材料で成形してもよいが、耐圧性を有する硬質体が好ましい。
【0025】
内部容器12は、図2a、bに示すように、金属箔層および合成樹脂層からなる可撓性を有する3枚の積層シートから構成され、2つの独立した第1充填室16および第2充填室17を並列に設けている。また、それぞれの充填室16、17は、上端が開口している。
内部容器12は、金属箔層および合成樹脂層からなる可撓性を有し、実質的に同じ面積の積層シート(下シート20a、中シート20b、上シート20c)を3枚重ね、それぞれの周縁部同士を熱溶着や超音波溶着などにより上端が開口するように貼り合わせて構成されている。内部容器12は、合成樹脂層が内面にくるように貼り合わせることにより構成されており、下シート20aおよび上シート20c(容器の外周を構成する外シート)は少なくとも2層以上であればよく、中シート20bは金属箔層を中心に、両面に合成樹脂層が設けられた3層以上である。なお、3枚のシートは同じ素材でもよい。
【0026】
このように構成されている内部容器12は、第1充填室16が下シート20aと中シート20bによって構成され、第2充填室17が中シート20bと上シート20cによって構成される。そして、両充填室16、17は、内部容器12において上下方向に延び、中シート20bからなる隔壁によって区画され、並列している。
積層シートの金属箔としては、アルミニウム箔などの軽金属が挙げられる。一方、合成樹脂層の材料としては、耐薬品性に優れたポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ガスバリア性に優れたナイロンやエバールなどが挙げられ、内容物に応じて選択し、組み合わせて用いてもよい。なお、金属箔層の代わりに、炭素、シリカ、アルミナなどを合成樹脂層に蒸着させて被膜を形成する蒸着層としてもよい。
【0027】
このように構成されているため、内部容器12の第1充填室16および第2充填室17にそれぞれ内容物を充填すると、図2c、dに示すように、下シート20aおよび上シート20cが膨み、全体として高さが縮むように変形する。一方、全体の高さが縮むことにより、変形の自由度が高くなる真ん中の中シート20bは、第1内容物Aおよび第2内容物Bに両面から押圧されて、それらの力が均一にそれぞれの充填室内の内壁にかかるように変形する。つまり、中シート20bは、断面波状(略正弦波状)の隔壁となり、第1充填室16および第2充填室17の空間形状の断面は、円形に近くなる。
【0028】
このように中シート20bは可撓性の隔壁を構成するため、両充填室16、17内は常に同じ圧力に保たれる。さらに、第1充填室16および第2充填室17の空間形状の断面が略円形(全体が略ラグビーボール状)になるため、それぞれの充填室16、17は押圧力(加圧剤+隔壁)を環状に受けることになり、その収縮過程もその断面の円が小さくなるように安定した形状で縮径する。よって、両内容物を同時に吐出でき、かつ、各内容物の吐出比を最後まで一定に保つことができる。
また、内部容器12は、内容物と直接接触する内面に活性の低い合成樹脂層が配置されているため、内容物を長期間安定して収納することができる。一方、金属箔層を備えているため、内容物の透過を防止する。特に、反応性の高い内容物に起因して発生するガスの透過を防止でき、外部容器の空間を介して外部から他の充填室に充填される内容物への影響を抑えることができる。金属箔層の代わりに蒸着層を設けている場合も内容物の透過を防止することができる。
【0029】
連結部材13は、内部容器の充填室16、17の上端開口を閉じるとともに、それらを外部と独立して連通するように内部容器の上端に固定されたものである。
連結部材13は、図3a、b、cに示すように、内部容器12に固定される円柱状の下部23と、後述するバルブ14の下端を挿入してバルブ14と連結する円筒状の上部24とからなる一体成形品である。下部23は、下端から上方向に延びるスリット26と、そのスリットを挟んで形成されており、下部23を上下に貫通した第1通路27aおよび第2通路27bとを備えている。つまり、下部23は、スリット26を境界として第1充填室を閉じる第1栓部と、第2充填室を閉じる第2栓部とに分けることができ、それぞれ第1栓部および第2栓部に第1通路27aおよび第2通路27bが形成されている。上部24の中心孔24aは、第1通路27aおよび第2通路27bと連通している。下部23の外周と上部24の外周との間には、段部28が形成されている。
また、図3eに示すように連結部材13の下部23を長軸に沿って第1通路、第2通路およびスリット26が形成された略楕円柱状にしてもよい。このように下部23を楕円柱状にすることにより、内部容器12の嵩を小さくすることができ、連結部材の下部23と上下シート20a、cの溶着強度を高めることができる。
連結部材13は、ステンレスにポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィンなどの接着性樹脂を被覆したもの、あるいは、ポリアセタール、ナイロンなどの合成樹脂製のものが挙げられる。
【0030】
内部容器12と連結部材13との固定方法は、図3dに示すように、連結部材の下部23のスリット26に中シート20bの上端を挿入し、その挿入された中シート20bの上端の両面とスリット26の内面とを固定する。ついで、スリット26によって分けられた一方の断面扇状の外周面23a(図3c参照、図3dの裏面側)と下シート20aの内面とを固定し、他方の断面扇状の外周面23bと上シート20cの内面とを固定すると同時に、下シート20a、中シート20b、上シート20cの周縁部Xを貼り合わせる。
つまり、図2bに示すように、連結部材13の下端は、スリット26と一方の断面扇状の外周面によって構成される第1部位19a(第1充填室16の上端開口を閉じる断面半円状の第1栓部)が下シート20aおよび中シート20bによって覆われ、スリット26
と他方の断面扇状の外周面によって構成される第2部位19b(第2充填室17の上端開口を閉じる断面半円状の第2栓部)が中シート20bおよび上シート20cによって覆われる。そのため、第1充填室16が第1通路27aと連通し、第2充填室17が第2通路27bと連通し、それぞれ充填室16、17に充填された内容物は独立して、内部容器12から吐出される。
【0031】
連結部材13の下部23と中シート20bの上端の固定(スリット26と中シート20bの上端との固定)は、中シート20bの表面の合成樹脂をスリット26に対して溶着させたり、接着剤で接着させたり、中シート20bをスリット26に嵌入させて固定することができる。特に、中シート20bの表面の合成樹脂をスリット26に対して溶着するのが好ましい。しかし、連結部材の下部23と中シート20bの上端とを固定方法は、図12のように連結部材の下部の段部に中シートの上端を溶着、接着して固定してもよく、特に限定されるものではない。
また、連結部材13の下部23の外周面と下シート20aおよび上シート20c(外シート)との固定は、シートの合成樹脂層を溶着して固定させたり、接着剤で接着させることができる。
シートの合成樹脂層を溶着してそれぞれの部位を固定する場合、例えば図3dのようにそれぞれシート20a、20b、20cを連結部材13と当接させた後、シート20a、b、cと連結部材13の溶着部、および、シート20a、b、c同士の溶着部をアイロン、超音波、高周波などの熱部材で同時にあるいは同工程で熱圧迫することができ好ましい。
【0032】
バルブ14は、図4に示すように、外部容器のビード部11aにクリンプされるマウンティングカップ31(図1参照)と、そのマウンティングカップの中央に保持され、2つの内容物を独立して通すハウジング32と、そのハウジング内に上下移動自在に収容され、下側の第1ステム孔33aおよび上側の第2ステム孔33bを備えたステム33と、それぞれのステム孔を開閉する2つの下側の第1ステムラバー34aおよび上側の第2ステムラバー34bと、それらステムラバーの間に設けられ、各ステムラバーの外周端付近を固定する円筒状の固定部材35と、そのステムを常時上向きに付勢するバネ36とからなる。
このように構成されているため、ハウジング32の中心孔41aとステム33と下側の第1ステムラバー34aによって区画された一方の内容物を格納する格納A部37aと、上下のステムラバー34a、34bと固定部材35とによって区画された他方の内容物を格納する格納B室37bとを有する。
【0033】
マウンティングカップ31は、ビード11aにクリンプされる湾曲フランジ31a(図1参照)と、ハウジング32を保持する有底筒状のハウジング保持部31bとを有する従来公知のものである。マウンティングカップは例えばアルミニウムやブリキなどの金属板から作成される。
【0034】
ハウジング32は、円筒状の内ハウジング41と、その内ハウジングが挿入される外ハウジング42とから構成される。
内ハウジング41は、ステムの上下動を許す中心孔41aと、下端とその中心孔41aとを連通し、連結部材の第1通路27aと連通する第1連通孔41bと、内面上部に形成された第1ステムラバー34aと係止するラバー係止部41cとからなる。また、内ハウジング41は、上部において半径方向外側に環状に突出したフランジ部41dを備えており、そのフランジ部41dには、そのフランジ部41dを上下に貫通する貫通孔41eが形成されている。さらに内ハウジング41の下端には、連結部材の第2通路27bが内ハウジング41の外周空間と連通するようにスリット41fが形成されている。
外ハウジング42は、内ハウジング41のフランジ部41dと当接する上部内面42a
と、内ハウジング41の外面を隙間を空けて覆う下部内面42bとを備えた円筒状のものである。また、外ハウジング42の下部外周には、連結部材13の内面と係止する係止突起42cが形成されている。
【0035】
ステム33は、側面下部に環状に形成された第1凹部43aと、側面中部に環状に形成された第2凹部43bと、上端中央から下方に第1凹部43aまで延びる第1中心孔43cと、その第1中心孔43cを覆うように形成された上端から第2凹部43bまで延びるリング状の第2中心孔43dと、第1凹部43aから第1中心孔43cまで延びる第1ステム孔33aと、第2凹部43bから第2中心孔43dまで延びる第2ステム孔33bとを備えている。また、第1中心孔43cを構成する円筒部43fの上端は、第2中心孔43dを構成する円筒部43gの上端より高い位置に配置されている。これにより、ステム33から内部容器の充填室内にそれぞれ内容物を充填する際に第2中心孔43dと第1中心孔43dを別々にシールしやすくなり、各充填室への充填通路を切り替えやすく、充填が容易になる。
【0036】
第1ステムラバー34aおよび第2ステムラバー34bは、それぞれの中心孔が第1凹部43aおよび第2凹部43bと係合するリング状のものである。
固定部材35は、円筒状のものであり、上に向かって半径方向外側に突出する段部35aが形成されている。さらに、段部35aには、内ハウジングの貫通孔41eと連通し、その段部35aを貫通する貫通孔35bが形成されている。
【0037】
このように構成されているため、連結部材の第1通路27aから流れてきた第1内容物は、内ハウジングの第1連通孔41bを介して、格納A室37aに至る。一方、連結部材の第2通路27bから流れてきた第2内容物は、内ハウジングのスリット41fを介して、内ハウジング41と外ハウジング42との間を通り、内ハウジングのフランジ部の貫通孔41eおよび固定部材の貫通孔35bを通り、格納B室37bに至る。
さらに、この状態でステム33を下方に押し下げると、格納A室37a内の第1内容物は、第1ステム孔33aを介して第1中心孔43cから外部あるいは噴射部材(図示せず)に押出され、格納B室37b内の第2内容物は、第2ステム孔33bを介して第2中心孔43dから外部あるいは噴射部材に押出される。
【0038】
このエアゾール容器10は、内部容器12の連結部材13とバルブ14とを連結して内部容器12を外部容器11内に収容し、外部容器11と内部容器12の間にアンダーカップ充填により加圧剤を充填し、バルブ14を外部容器11に対して固定し、バルブのステム33から内部容器12内に両内容物を充填することにより製造することができる。なお、両内容物を両充填室16、17内に充填してから連結部材13をバルブ14に連結し、その後、内部容器12を外部容器11内に挿入し、外部容器11と内部容器12の間にアンダーカップ充填により加圧剤を充填し、バルブ14を外部容器11に対して固定して製造することもできる。
【0039】
本発明の内部容器12は、金属箔層を備えた積層シート同士を溶着しているため、外部においてシートのエッジ部分が露出する。つまり、金属箔が露出する。そのエッジ部分からの金属箔の劣化を防止することがため、溶着後、エッジ部分を覆うようにスプレーコートやディッピング等により合成樹脂の保護膜を設けるのが好ましい。また、エッジ部分を巻いてから積層シート同士を溶着してもよい。さらに、積層シート同士の溶着部位は、内部容器12の大きさや、内容物によって適宜変更可能であるが、2〜20mm、特に5〜15mmとすることにより、溶着部位からの内容物の浸透等を減少させることができる。このような処置は、以下の実施形態に採用してもよい。この内部容器12は、バルブ14から吊るようにして耐圧容器内に収容されているが、図12cの内部容器80のように下端に内部容器12を支持する支持部80aを設けても良い。この場合、エアゾールバルブ
14を取り付けた内部容器12を外部容器の底部に当接させたとき、図13bの内部容器80のように、エアゾールバルブの湾曲フランジ31aが外部容器のビード部11aより上方となるように構成する。
【0040】
図1のエアゾール容器10の内部容器12において、下シート20aおよび中シート20bを金属箔層または蒸着層と合成樹脂層からなる可撓性を有する積層シートとし、上シート20cを可撓性を有し、金属箔層を備えない合成樹脂シート(単層または複層)としてもよい。これにより、少なくとも第1充填室16は、積層シートから構成される。この場合、第1充填室に反応性の高い内容物を充填し、他方に反応性の低い内容物を充填することにより、図1のエアゾール容器10と同様に内容物を長期間安定して保管することができる。この場合も、第1充填室16と第2充填室17とは、可撓性を有する中シート21bからなる隔壁によって区画されるため、両充填室を均等に収縮させることができ、両内容物を同時に最後まで吐出させることができる。さらに、合成樹脂シートが透光性を有し、外部容器としてポリエチレンテレフタレートなどの透光性を有する合成樹脂製を用いる場合は、外部から内容物の残量や外観を目視で確認することができる。
また図1のエアゾール容器10の内部容器12において、中シート20bを金属箔層または蒸着層と合成樹脂層からなる可撓性を有する積層シートとし、下シート20aと上シート20cを可撓性を有し、金属箔層を備えない合成樹脂シート(単層または複層)としてもよい。この場合も、少なくとも第1充填室16と第2充填室17とは、可撓性を有する中シート20bからなる隔壁によって区画されるため、内容物が直接隔壁を透過して劣化することがなく、両充填室を均等に収縮させることができ、両内容物を同時に最後まで吐出させることができる。
さらに、図1のエアゾール容器10の内部容器12を構成する下シート20a、中シート20b、上シート20cを金属箔層または蒸着層を備えない可撓性の合成樹脂シート(単層または複層)としてもよい。この場合も、少なくとも両充填室を均等に収縮させることができる。
【0041】
図1のエアゾール容器10において、内部容器12は、実質的に同じ面積の積層シート(20a、b、c)を貼り合わせて構成されていた。次に示す実施形態は、充填室の空間を構成する2枚のシートの一方の面積が他方の面積より大きい、異なる面積の矩形の積層シートから構成される内部容器を挙げる。これらの内部容器には、図3の連結部材13を固定することができ、バルブ14に連結することができる。
【0042】
図5の内部容器47は、下シート47aおよび上シート47c(外シート)を同じ面積の積層シートとし、中シート47bの面積を上下シート47a、cより小さいものとしており、上下シート47a、cの一部を折り曲げて、その側縁部を中シート47bの側縁部に貼りつけたものであり、図2aと同様に第1充填室16および第2充填室17を構成する。この場合、上下シート47a、cの方が変形の自由度が高くなる。そのため、内部容器47内に第1内容物Aおよび第2内容物Bを充填したとき、それらの力が均一に充填室内の内壁にかかるように上下シート47a、cが変形する。つまり、上下シート47a、cは、円弧状の隔壁となり、第1充填室16および第2充填室17の空間形状の断面は、円形に近くなる。その結果、それぞれの充填室16、17は押圧力(加圧剤+隔壁)を環状に受け、両内容物の吐出比を一層一定に保つことができる。また、この場合、外側の積層シートが外部に向かって変形するため、それぞれの充填室16、17の体積を大きくとることもできる。
一方、中シートの面積を上下シートに対して大きくしてもよい。その場合は、中シートを折り曲げて、その側縁部を上下シートの側縁部に貼りつける。
また、上シート47a、中シート47cのみを金属箔層および蒸着層と合成樹脂層からなる可撓性の積層シートとし、下シート47cを金属箔層等を備えない可撓性の合成樹脂シート(単層または積層)としてもよく、中シート20bを金属箔層または蒸着層と合成
樹脂層からなる可撓性を有する積層シートとし、下シート20aと上シート20cを金属箔層等を備えない可撓性の合成樹脂シート(単層または複層)としてもよく、さらに、いずれのシートも金属箔層等を備えない合成樹脂シートとしてもよい。
【0043】
図6に、図5の内部容器47を備えたエアゾール容器の製造工程を示す。初めに、下シート47a、中シート47b、上シート47cを用意する。このとき、下シート47a、上シート47cの側縁部を折り曲げ、中シート47bの大きさに合わせる(図6a参照)。次に、これらのシート47と連結部材13とを連結させ、かつ、下シート47a、中シート47b、上シート47cの下端を残してシート47の側縁部同士を溶着等により固定する。つまり、充填室16、17の下端が開口した状態となる仮の内部容器47dを成形する。そして、この状態でバルブ14と連結部材13とを連結する(図6b参照)。ついで、仮の内部容器47dの下端からそれぞれ第1内容物Aおよび第2内容物Bを充填し(図6c参照)、その後、下端開口を溶着等により閉じ内部容器47を成形する。最後に、外部容器11に挿入し、外部容器11と内部容器47の間に加圧剤を充填し、バルブ14を外部容器11に対して閉じる(図6d参照)。
このようにエアゾール容器を製造することにより、第1内容物Aおよび第2内容物Bを充填するための開口部を大きくとることができ、充填速度を速めることができる。このような製造方法は、図5aの内部容器41を備えたエアゾール容器および図1のエアゾール容器10にも採用することができる。
【0044】
これまでの実施形態は、連結部材13内に独立した通路を設けたものを挙げたが、図7の内部容器51は、それぞれの充填室16、17の上端開口にそれぞれ2本のチューブ状の連結部材54a、54bが設けられたものである。他の構成は、図2の内部容器12と実質的に同じである。
このような内部容器51は、図7c〜fに示すように、初めに、下シート51aの上に、連結部材54aを置き、その上に中シート51bを固定して下シート51aと中シート51bとで第1充填室16を形成する。
次に中シート51bの上に連結部材54bを置き、その上に上シート51cを固定して中シート51bと上シート51cとで第2充填室17を形成する。
この場合、第1内容物Aおよび第2内容物Bをそれぞれの別々に連結部材54a、54bより充填することができるため、早く、正確に行うことができる。なお、連結部材54a、bの先端にシール部材を装着し、バルブに連結するときにシール部材を破断するようにしてもよい。その場合、一方の内容物を充填後、その内容物が空気と接触するのを防止でき、各内容物の充填を別々のラインで行うことができ、また内容物の充填とバルブ装着以降の製造を別々のラインで行うこともでき、効率よく生産することができる。
この場合も充填室16、17のどちらかのみを金属箔層または蒸着層と合成樹脂層とからなる積層シートで構成し、他方を金属箔層等を備えない可撓性の合成樹脂シートで構成してもよい。つまり、上中シート51a、bを積層シートとし、下シート51cを可撓性を有する合成樹脂シートとしてもよい。さらに、中シート20bを金属箔層または蒸着層と合成樹脂層からなる可撓性を有する積層シートとし、下シート20aと上シート20cを可撓性を有し、金属箔層等を備えない合成樹脂シート(単層または複層)としてもよい。
【0045】
図8aに示す内部容器55は、1枚の積層シートを折り畳み、貼り合わせることにより構成されており、第1充填室16および第2充填室17を備えたものである。
このような内部容器は、金属箔層または蒸着層および合成樹脂層を有する矩形の積層シート56を用意し(図8b参照)、両側縁部56aが当接するように、かつ、合成樹脂層が内面となるように折れ目線Aに沿って半分に折り(折目部分56b)、その側縁部同士を貼り合わせて筒状体57を成形する(図8c参照)。この図面において、貼り合わせ部を点線で示す。ついで、その筒状体57の上下開口端57a同士が当接するように折れ目
線Bに沿って折り(図8d参照)、その折目部分57bの内面の一部を溶着によって閉じることによって成形される(図8e参照)。一方、積層シートを折りこんでから最後に側縁部56a同士および折目部分57の内面を溶着してもよい。
図8fに示すように、この内部容器55の開口部に、例えば図7の連結部材54a、bを溶着により固定することによりバルブとの連結が可能となる。
この内部容器55は、折目部分57bの内面の一部を溶着させているため、シートのエッジ部分、切断部分が露出しておらず、その部位からの劣化のおそれが少ない。また、折目部分56b自体が充填室の壁を構成しているからその部位からの劣化のおそれもない。
この場合、シート56の半分を金属箔層または蒸着層および合成樹脂層からなる積層シート部とし、他の半分を金属箔層等を有さない合成樹脂シート部とし、第1充填室のみを積層シートで構成するようにしてもよい。さらに、合成樹脂シートで構成してもよい。
【0046】
図9aに示す内部容器60は、1枚の積層シートを折り畳み、貼り合わせることにより構成されたものであり、3つの充填室63a、63b、63cを備えている。つまり、図9aの内部容器60は、三液吐出容器に用いられるものである。
このような内部容器は、金属箔層または蒸着層および合成樹脂層を有する矩形の積層シート61を用意(図9b参照)し、上下縁部61aが当接して折目部分61bが形成するように、かつ、合成樹脂層が内面となるように折れ目線Aに沿って半分に折る(図9c参照)。ついで、開口している両側縁部62a同士が当接し、折目部分62bが形成するように折り目線Bに沿って半分に折り(図9d参照)、その側縁部62a同士、側縁部62b同士、および、折目部分61b同士を溶着して筒状体62を成形する。さらに、その折目部分62bの内面の一部を溶着することによって成形される(図9e参照)。筒状体62において、折目部分61b同士を閉じず、最後に閉じてもよい。
【0047】
この場合も、折目部分61bおよび折目部分62bの内面の一部を溶着させているため、シートのエッジ部分、切断部分が露出しておらず、その部位からの劣化のおそれが小さい。
さらに、図9fに示すように、充填室63a、63b、63cにそれぞれ円筒状の連結部材64a、64b、64cを溶着により固定することによりバルブとの連結が可能となる。なお、各充填室に3種類の内容物を充填することができるが、真ん中の充填室に内容物を充填せずに空間とすることで、両端の充填室同士の接触を防止して安定性を向上させることができる。さらに、真ん中の充填室に加圧剤を充填して、両端の充填室を内外から加圧して均等に吐出しやすくすることもできる。この場合、連結部材64bの開口を塞ぎ、この充填室を密封する。また、充填室63aと63cに連結部材64aと64bを溶着により固定してもよい(図9g参照)。
また、3つの充填室の1つまたは2つだけを金属箔層または蒸着層および合成樹脂層からなる積層シートによって構成され、他の2つまたは1つを金属箔層等を備えない合成樹脂シートによって構成されるように、積層シート部と、合成樹脂シート部とからなるシート61としてもよい。さらに、シート61としては、金属箔層等を備えない合成樹脂シートから構成してもよい。
【0048】
図10aの内部容器65は、図7の内部容器51であって下端が積層シートの折れ目の内面を溶着したものであり、連結部材54a、54bが固定されている。つまり、2枚の積層シートで2つの充填室を構成したものである。
このものは、下シート65aを用意し、その半分の大きさの中シート65bを連結部材54aを介して下シート65aの上半分に溶着する。その上に連結部材54bを配置させる。折れ線Dに沿って下シート65aを折り、下シート65aと中シート65bの反対の面とを溶着により固定する。
この内部容器65は、下端においてシートのエッジ部分が露出しないため、その部位からの劣化のおそれが小さい。
また、図10fの内部容器67のように、中シート65aの下半分を折り返すとき、中シート65aの上端からずらしてもよい。この場合、連結部材54a、54bの自由度が上がり、内容物の充填が一層容易になる。
この場合も、一方の充填室のみが金属箔層または蒸着層および合成樹脂層からなる積層シートによって構成されるようにしてもよい。さらに、全体が金属箔層等を備えない合成樹脂シートによって構成されるようにしてもよい。
【0049】
図11a、cの内部容器71、72は、2枚の積層シートから構成されており、2つの充填室を備えたものである。このものは、第1充填室16および第2充填室17が溶着部からなる隔壁によって区画されたものである。つまり、2枚の積層シートの周縁部同士を溶着し、かつ、積層シートを半分にする直線部位を溶着したものである。
内部容器71は、積層シートを上下に半分にする直線部位を溶着し、上下に充填室16、17を形成したものである。この場合、内部容器71の上端に2つの充填室と外部とを連通する連結部材71a、71bがそれぞれ設けられており、第2充填室17と外部を連結する連結部材71bは、第1充填室16を貫通して第2充填室17まで延びている。
一方、内部容器72は、積層シートを左右に半分にする直線部位を溶着し、左右に充填室16、17を形成したものである。それぞれの充填室の上端から連結部材72a、bが設けられる。
この場合も、一方の充填室のみが金属箔層または蒸着層および合成樹脂層からなる積層シートによって構成されるようにしてもよい。さらに、全体が金属箔層等を備えない合成樹脂シートによって構成されるようにしてもよい。
【0050】
図12a、bの内部容器75および連結部材76は、図1の二液吐出容器10の外部容器11、バルブ14に連結される他の形態である。
内部容器75は、図2の内部容器12と同様に、3枚の積層シートから構成され、2つの独立した第1充填室77および第2充填室78を並列に備えたものである。内部容器75の上シート75a、下シート75cは実質的に同じ面積であるが、中シート75bが上下シートより若干面積が小さいという点で内部容器12と異なる(図12c〜図12e参照)。ここで斜線部が連結部材との溶着部位であり、点線部がシート同士の貼着部位である。そのため、3枚のシートを重ね、それぞれの周縁部同士を熱溶着や超音波溶着により貼り合わせたとき、中シート75bの上端は、上下シートの上端より低くなるように構成されている(図12b参照)。中シート75bの下端は、上下シートの下端とあわせてもよく、若干上方となってもよい。
このように構成されているため、第1充填室77は上シート75aと中シート75bによって構成され、第2充填室78は中シート75bと下シート75cによって構成され、両充填室77、78は、中シート75bを隔壁として区画される。
【0051】
連結部材76は、図12g、hに示すように、第1充填室を閉じる第1栓部81aと、第2充填室を閉じる第2栓部81bとからなる。第1栓部81aおよび第2栓部81bはそれぞれ上下に同径で延びる断面半円状を呈しており、第1栓部81aは、第2栓部81bより上下方向に長く、下方に突出している。そして、第1栓部81aと第2栓部81bとは上端位置を同じにしており、それぞれの平面部が相対するように並列された一体成形品となっている。視点を変えて説明すると、連結部材76は、上端から第2栓部81bの下端の位置まで延びる円柱体82aと、それより下方に延びる断面半円状の柱体82bとから構成される。第1栓部81aおよび第2栓部81bには、それぞれ上下方向に貫通する貫通孔83a、83bが形成されている。この連結部材76と、バルブ14とは、例えば、図12aの想像線で示すようにチューブ76aで連結してもよく、バルブ14の下端を連結部材76に挿入できるように、または、連結部材76をバルブ14の下端に挿入できるように構成してもよい。第1充填室77に連通する貫通孔83aが格納A部37aと連通し、第2充填室78と連通する貫通孔83bが格納B部37bと連通するように構成
されていれば、連結部材76とバルブ14の連結構造は特に限定されない。
【0052】
このように内部容器75と連結部材76とは構成されているため、第1栓部81aが第1充填室76の開口部に固定され、第2栓部81bが第2充填室77の開口部に固定される。特に、第1栓部81aの湾曲面に上シート75aが固定され、第2栓部81bの湾曲面に下シート75cが固定され、第1栓部81aの平面部(第1栓部と第2栓部との間の段部)に中シート81bが固定される。このように構成することにより、中シート81bと連結部材76との固定が容易に、かつ、強固に行える。
この場合も、一方の充填室のみが積層シートによって構成されるようにしてもよい。さらに、中シート75bを金属箔層または蒸着層と合成樹脂層からなる可撓性を有する積層シートとし、下シート75aと上シート75cを可撓性を有し、金属箔層等を備えない合成樹脂シート(単層または複層)としてもよい。さらに、全体が金属箔層等を備えない合成樹脂シートによって構成されるようにしてもよい。
【0053】
図12cの内部容器80は、内部容器75の下端に支持部80aが設けられたものである。この支持部80aを外部容器11の底部に当接させることにより、内部容器80を外部容器11内で立たせることができる(図13a参照)。また、支持部80aを外部容器11の底部に当接させたとき、内部容器80に連結されるエアゾールバルブ14の湾曲フランジ31aが外部容器11のビード部11aより若干上になるように内部容器80の大きさは構成されている(図13a参照)。そして、内部容器80を外部容器11内に収納するときは、湾曲フランジがビード部と当接するまでバルブが降下して支持部が撓む。なお、支持部と共に内部容器自体を撓ませてもよい。このような支持部80aは、上シート75aおよび下シート75cを溶着部より下方に独立した非溶着部分を設け、それらを拡げることにより形成される。
【0054】
図13a〜cには、この内部容器80を用いた二液吐出容器の製造工程を示す。つまり、連結部材76を介してエアゾールバルブ14が取り付けられた内部容器80を外部容器11内に挿入する(図13a参照)。このときエアゾールバルブの湾曲フランジ31aは、耐圧容器のビード部11aより若干上に配置される。この状態で、エアゾールバルブ14のステム33から内容物をそれぞれの充填室に充填する(図13b参照)。その後に、湾曲フランジ31aの内面から加圧剤を外部容器11と内部容器80との間の隙間に充填(矢印方向)し、それと同時にエアゾールバルブの湾曲フランジ31aと外部容器のビード部11aとを当接させるようにエアゾールバルブ14を下降させ、エアゾールバルブ14を外部容器11に押圧しながら、エアゾールバルブのマウンティングカップをクリンプして、エアゾールバルブ14を外部容器11に固着する。このとき、加圧剤と内容物を充填する順番は逆としてもよい。このように内部容器80に支持部80aを設けることにより、加圧剤を充填する際、エアゾールバルブのマウンティングカップと外部容器のビード部11aとの間に加圧剤の通る隙間を確保できるため、その充填工程が容易になる。
【0055】
図14a、bの内部容器91および連結部材92は、三液吐出容器に用いられるものである。
内部容器91は、4枚の積層シートから構成され、3つの独立した第1充填室93、第2充填室94およびそれらの間に形成される第3充填室95を備えたものである。積層シートは、図2の内部容器12と実質的に同じものが用いられ、それぞれの充填室は合成樹脂層によって覆われるように構成されている。内部容器91の上シート91a、下シート91dは実質的に同じ面積であるが、2つの中シート91bおよび91cは上下シートより若干面積が小さい。(図14c〜図14e参照)。つまり、4枚のシートを重ね、それぞれの周縁部同士を熱溶着や超音波溶着により貼り合わせたとき、中シート91b、91cの上端(第3充填室の開口部)は、上下シートの上端より低くなるように構成されている。中シート91bの下端は、上下シートの下端とあわせてもよく、若干上方となっても
よい。
このように構成されているため、第1充填室93は上シート91aと中シート91bによって構成され、第2充填室94は中シート91cと下シート91dによって構成され、第3充填室95は中シート91b、91cによって構成される。そして、第1充填室93と第3充填室95は、中シート91bを隔壁として区画され、第2充填室94と第3充填室95は、中シート91cを隔壁として区画される。
この場合も、少なくとも1つの充填室のみが金属箔層または蒸着層と合成樹脂層からなる積層シートによって構成されるようにしてもよい。さらに、中シート91bと91cを金属箔層または蒸着層と合成樹脂層からなる可撓性を有する積層シートとし、下シート91dと上シート91aを可撓性を有し、金属箔層等を備えない合成樹脂シート(単層または複層)としてもよい。さらに、全体が金属箔層等を備えない合成樹脂シートによって構成されるようにしてもよい。
【0056】
連結部材92は、第1充填室93を閉じる第1栓部96aと、第2充填室94を閉じる第2栓部96bと、第3充填室95を閉じる第3栓部96cとからなる。第1栓部96aおよび第2栓部96bは、それぞれ上下に同径で延びる断面略三日月状を呈しており、第3栓部96cは上下に延びる略楕円状を呈している。第1、2、3栓部の断面形状を合わせることにより円形となるように並列されている。第1、2、3栓部の上端位置は同じにしており、第3栓部96cが第1、2栓部より上下方向に長く構成されている。視点を変えて説明すると、連結部材96は、上端から第1、2栓部の下端の位置まで延びる円柱状体92aと、その下端から下方に延びる略楕円形状の柱体92bとから構成される。第1栓部96a、第2栓部96bおよび第3栓部96cには、それぞれ上下方向に貫通する貫通孔97a、97b、97cが形成されている。
この連結部材92は、3種類の内容物を独立して導入し、独立して吐出できるエアゾールバルブに取り付けられる。例えば、バルブの下端が図14bの想像線で示すような3つの独立通路98a、98b、98cを備えた連結部98に連結される。しかし、その構造は、特に限定されるものではない。
【0057】
図15の二液吐出容器100は、合成樹脂製の外部容器101と、その内部に収容される内部容器102と、その外部容器101および内部容器102を閉じるバルブアッセンブリ103とを備えたものである。また、この二液吐出容器100は、吐出部材104を備えている(想像線)。内部容器102は、図7の内部容器51と実質的に同じものであり、図15b、cに示すように、3枚の積層シート(合成樹脂シートまたはそれらの混合)51a、b、cから構成され、第1充填室16の開口に連結部材54aが連結され、第2充填室17の開口に連結部材54bが連結されている。
【0058】
外部容器101は、筒状の胴部101a、テーパー状の肩部101b、円筒状の首部101cおよび上端に肉厚のフランジ部101dを備えた合成樹脂製の耐圧容器である。首部101cの内面とフランジ部101dの内面とは、連続しており円筒状となっている。この外容器101は、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリプロピレンなどの合成樹脂製で筒状のパリソンを軸方向に伸ばしながら内部に空気を吹き込んで膨らます2軸延伸ブロー成形によって成形されている。しかし、射出成形で成形されてもよい。また、外部容器が透光性を有する場合は、内部容器内の内容物の残量を目視で確認することができる。
バルブアッセンブリ103は、2つの独立したエアゾールバルブ105と、それらのエアゾールバルブ105を受け入れるバルブホルダー106と、エアゾールバルブ105とバルブホルダー106を覆うようにしてエアゾールバルブ105をバルブホルダー106に固定するマウンテンカバー107とからなる。エアゾールバルブ105は、エアゾールバルブ105は従来公知のものである。
【0059】
バルブホルダー106は、基部111と、その基部を上下に貫通するように形成された2つの筒状のホルダー部112とを有する。基部111は、マウンテンカバー107によって外容器101の上端に固定される部位であり、円柱状を呈している。ホルダー部112は、エアゾールバルブ105を挿入して保持するものである。
【0060】
図16の二液吐出容器115は、エアゾール容器ではなく、それ自身を外力で収縮させるスクィーズ容器である。二液吐出容器115は、3枚の可撓性のシートからなり、上端が開口する第1充填室116、第2充填室117を備えた本体118と、その充填室の開口に取り付けられる吐出部材119と、その吐出部材の吐出口に連結される蓋材120とからなる。
【0061】
本体118は、図16dに示すように、3つのシート(上シート118a、中シート118b、下シート118c)を重ね、その縁部を貼り付けまたは溶着して構成されている。つまり、第1充填室116は、上シート118aおよび中シート118bによって構成され、第2充填室117は、中シート118bおよび下シート118cによって構成される。中シート118bは、上シート118aおよび下シート118cと同じ大きさである。
3つのシートを全て金属箔層または蒸着層および合成樹脂層を備えた積層シートとしてもよく、金属箔層等を備えない合成樹脂シートとしてもよい。また、第1充填室116(上シート118aおよび中シート118b)または第2充填室117(中シート118bおよび下シート118c)のみを積層シートから構成されるようにしてもよい。
さらに本体118では、中シート118bのみを積層シートとし、上シート118aと下シート118c(外シート)を合成樹脂シートとしてもよい。これにより第1充填室116と第2充填室117との透過を防止し、それぞれの内容物の劣化を防止することができる。つまり、本体118は外気と接しており、第1充填室116に充填された内容物は上シート118aを透過した後は大気中に拡散するため、下シート118cを透過して第2充填室117で混在するおそれが小さい。
【0062】
吐出部材119は、第1充填室を閉じる第1栓部121aおよび第2充填室を閉じる第2栓部121bからなる連結部121と、その連結部121の上端から上方に延びる吐出部122とからなる。
連結部121の第1栓部121aおよび第2栓部121bはそれぞれ上下に同形で延びる断面二等辺三角形状を呈しており(図16a参照)、第1栓部121aは、第2栓部121bより上下方向に長く、下方に突出している(図16d参照)。連結部121は、第1栓部121aと第2栓部121bとが上端位置を同じにしており、それぞれの平面部が相対するように並列された一体成形品である。視点を変えて説明すると、連結部材119は全体として、上端から第2栓部121bの下端の位置まで延びる断面ひし形の上柱体120aと、それより下方に延びる断面二等辺三角形状の下柱体120bとから構成される(図16c参照)。第1栓部121aおよび第2栓部121bには、それぞれ上下方向に貫通する貫通孔123a、123bが形成されている。
【0063】
吐出部122は、連結部121の上端に設けられた円筒状のものである。その中心孔にそれぞれ第1栓部121aの貫通孔123aおよび第2栓部121bの貫通孔123bと独立して連通するように隔壁122aが形成されている。しかし、隔壁122aを設けず、吐出部122で2つの内容物が合流するようにしてもよい。
【0064】
本体118と吐出部材119とは、上シート118aを上柱体120aの第1栓部121aに該当する部位の外周に固定(貼着または溶着)し、下シート118bを下柱体120aの第2栓部121bに該当する部位の外周に固定(貼着または溶着)し、中シート118bを下柱体120bの内側を向いている面に固定(貼着または溶着)して連結する。
このように中シート118bを下柱体120bの平面(第1栓部と第2栓部の間の段部)に貼り付けることができるため、中シート118bを容易に、かつ、強固に固定することができる。また、この吐出部材119の連結部121は、断面ひし形をしているため、連結部121の横嵩を小さくでき、また、シートは平面部に固定でき、漏洩のおそれが小さい。
また、この二液吐出容器115の本体118を4枚以上の可撓性のシートを重ね、3つ以上の充填室を備えたものとしてもよい。この場合、吐出部材もその充填室の数に応じた栓部を備えていることになる。
さらに、この二液吐出容器115において、吐出部材の連結部121を、図3の連結部材の下部23と同様の構造にしてもよい。つまり、第1栓部と第2栓部とをスリットを境界としてする柱状のものとしてもよい。このようにすることにより、本体118内の内容物を独立して吐出させることができる。
【符号の説明】
【0065】
10 二液吐出容器
11 外部容器
11a ビード部
12 内部容器
13 連結部材
14 エアゾールバルブ
16 第1充填室
17 第2充填室
19a 第1部位
19b 第2部位
20a 下シート
20b 中シート
20c 上シート
23 下部
23a、23b 外周面
24 上部
24a 中心孔
26 スリット
27a 第1通路
27b 第2通路
28 段部
31 マウンティングカップ
31a 湾曲フランジ
31b ハウジング保持部
32 ハウジング
33 ステム
33a 第1ステム孔
33b 第2ステム孔
34a 第1ステムラバー
34b 第2ステムラバー
35 固定部材
35a 段部
35b 貫通孔
36 バネ
37a 格納A部
37b 格納B室
41 内ハウジング
41a 中心孔
41b 第1連通孔
41c ラバー係止部
41d フランジ部
41e 貫通孔
41f スリット
42 外ハウジング
42a 上部内面
42b 下部内面
42c 係止突起
43a 第1凹部
43b 第2凹部
43c 第1中心孔
43d 第2中心孔
43f 円筒部
43g 円筒部
46 内部容器
46a 下シート
46b 上シート
46c 中シート
47 内部容器
47a 下シート
47b 中シート
47c 上シート
47d 仮の内部容器
51 内部容器
51a 下シート
51b 中シート
51c 上シート
54a、54b 連結部材
55 内部容器
56a 両側縁部
56b 折目部分
57 筒状体
57a 上下開口端
57b 折目部分
60 内部容器
61a 側縁部
61b 折目部分
62 筒状体
62a 側縁
62b 折目部分
63a、63b、63c 充填室
65 内部容器
65a 下シート
65b 中シート
71、72 内部容器
71a、71b 連結部材
72 内部容器
72a、72b 連結部材
75 内部容器
75a 上シート
75b 中シート
75c 下シート
76 連結部材
76a チューブ
77 第1充填室
78 第2充填室
80 内部容器
80a 支持部
81a 第1栓部
81b 第2栓部
82a 円柱体
82b 柱体
83a、83b 貫通孔
91 内部容器状
91a 外シート
91b、91c 中シート
91d、91e 下シート
92 連結部材
93 第1充填室
94 第2充填室
95 第3充填室
96a 第1栓部
96b 第2栓部
96c 第3栓部
92a 柱状体
92b 柱体
97a、97b、97c 貫通孔
98a、98b、98c 独立通路
100 二液吐出容器
101 外部容器
101a 胴部
101b 肩部
101c 首部
101d フランジ部
102 内部容器
103 バルブアッセンブリ
104 吐出部材
105 エアゾールバルブ
106 バルブホルダー
107 マウンテンカバー
111 基部
112 ホルダー部
115 二液吐出容器
116 第1充填室
117 第2充填室
118 本体
118a 上シート
118b 中シート
118c 下シート
119 吐出部材
120 蓋材
120a 上柱体
120b 下柱体
121 連結部
121a 第1栓部
121b 第2栓部
122 吐出部
123a、123b 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部容器と、外部容器に収容される内部容器と、外部容器および内部容器を密閉する弁機構とからなり、
内部容器が、金属箔層および合成樹脂層を備えた可撓性を有する積層シートにより構成され、内容物を収容する充填室を複数個有しており、
前記複数の充填室が並列に設けられている、
複数液吐出容器。
【請求項2】
外部容器と、外部容器に収容される内部容器と、外部容器および内部容器を密閉する弁機構とからなり、
前記内部容器は、可撓性を有するシートにより構成されており、
内容物を収容する充填室を複数個有し、前記充填室は並列しており、
前記充填室の少なくとも1つが、金属箔層、合成樹脂層、蒸着層から選ばれる少なくとも二層を備えた可撓性を有する積層シートによって構成されている、
複数液吐出容器。
【請求項3】
前記内部容器が、前記積層シートを折り畳んだ折目部分を有し、その折目部分の内面の一部が貼り合わせられている、請求項1または2記載の複数液吐出容器。
【請求項4】
前記内部容器が、1枚の積層シートから構成されている、
請求項3記載の複数液吐出容器。
【請求項5】
前記内部容器の充填室同士が、前記積層シートからなる隔壁によって区画されている、請求項1または2記載の複数液吐出容器。
【請求項6】
前記内部容器が、複数の積層シートの側縁部同士を貼り合せて構成されている、請求項1または2記載の複数液吐出容器。
【請求項7】
前記内部容器が、異なる面積の積層シートを貼り合わせて構成されており、
大きい積層シートを折り畳み、その側縁部を小さい積層シートの側縁部に貼り合わせた請求項6記載の複数液吐出容器。
【請求項8】
前記内部容器が、3枚の積層シートを重ねて貼り合わせたものであり、
2つの充填室を有している、
請求項5記載の複数液吐出容器。
【請求項9】
前記内部容器を外部容器内に収容したとき、
その内部容器が、それ自身を支持し、外部容器の底部と当接する支持部を備えた、
請求項1記載の複数液吐出容器。
【請求項10】
内部容器に、弁機構と連結する連結部材が装着されており、
弁機構および連結部材が、内部容器の充填室と外部とをそれぞれ独立して連通させる通路を備えている、請求項1〜9のいずれか記載の複数液吐出容器。
【請求項11】
前記連結部材が、複数の充填室の開口部にそれぞれ固着されて閉じる複数の並列した栓部を備えた一体成形品であり、
少なくとも2つの充填室と2つの栓部の固着部位の高さが異なるように構成された、
請求項10記載の複数液吐出容器。
【請求項12】
外部容器と、外部容器に収容される内部容器と、外部容器および内部容器を密閉する弁機構とからなり、
前記内部容器は、可撓性を有するシートにより構成され、複数の充填室を有しており、
前記充填室は並列しており、それぞれの充填室と弁機構とは独立して連通しており、
前記充填室同士は前記シートからなる隔壁によって区画されている、
複数液吐出容器。
【請求項13】
請求項1〜12いずれかに記載の吐出容器と、
内部容器の各充填室に充填される複数の内容物と、
外部容器内に充填される加圧剤とからなる、
複数液吐出製品。
【請求項14】
可撓性を有するシートにより構成され、内容物を収容する充填室を複数個有する容器本体と、前記複数個の充填室を閉じ、それぞれの充填室と大気とを独立して連通させる通路を有する吐出部材とを備えており、
前記充填室同士はシートからなる隔壁によって区画されている、
複数液吐出容器。
【請求項15】
前記容器本体は、可撓性を有する2枚の外シートと、その間に挟まれる可撓性を有する1枚または2枚以上の中シートとを重ねて構成されている、
請求項14記載の複数液吐出容器。
【請求項16】
少なくとも中シートの一枚が金属箔層、合成樹脂層、蒸着層から選ばれる少なくとも二層を備えた可撓性を有する積層シートによって構成されている、
請求項15記載の複数吐出容器。
【請求項17】
前記充填室の少なくとも1つが、金属箔層、合成樹脂層、蒸着層から選ばれる少なくとも二層を備えた可撓性を有する積層シートによって構成されている、
請求項14記載の複数液吐出容器。
【請求項18】
前記容器本体は、第1充填室と第2充填室とを有し、
前記吐出部材は、第1充填室を閉じる第1栓部と、第2充填室を閉じる第2栓部とを備え、前記第1栓部および第2栓部がそれぞれの充填室と大気とを連通する第1通路および第2通路を有しており、
前記吐出部材は、第1栓部と第2栓部が並列され、かつ、第1栓部または第2栓部の一方が下方に突出した一体成形品である、
請求項14記載の複数液吐出容器。
【請求項19】
前記容器本体は、第1充填室と第2充填室とを有し、
前記吐出部材は、第1充填室を閉じる第1栓部と、第2充填室を閉じる第2栓部とを備え、前記第1栓部および第2栓部がそれぞれの充填室と大気とを連通する第1通路および第2通路を有しており、
前記吐出部材は、第1栓部と第2栓部が並列された一体成形品であり、下端に隔壁を構成するシートの上端を固定するスリットが設けられている、
請求項14記載の複数液吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−106789(P2012−106789A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15641(P2011−15641)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】