説明

複連式画像形成装置

【課題】単一の画像形成装置が連結された画像形成装置の複数台目の定着装置で記録媒体上トナー像から加熱ロールを経由して加圧ロールに蓄積するトナーを低減させ、定着ロールに付着したトナーによる余印字を防止する。
【解決手段】複数台の画像形成装置を配置する画像形成装置で、前記複数台の画像形成装置のうちの最初に画像を形成する第一の画像形成装置の定着装置の定着温度を後続の画像形成装置の定着装置の定着温度よりも低くするとともに、前記後続の画像形成装置における転写装置の記録媒体への電荷注入時間を前記第一の画像形成装置の電荷注入時間よりも短くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置を複数台連結して画像形成を行う複連式画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を用いた画像形成装置は、着色粒子を感光体等の画像担持体表面に可視化画像として付着させる現像装置と、画像として付着した着色粒子を用紙などの記録媒体に転写する転写装置、その着色粒子を記録媒体上に固着させる定着装置を備えている。
【0003】
一般に電子写真方式の定着装置においては、記録媒体上の未定着トナー像を定着する方式として、内部に熱源を有し、トナーを溶融するに十分な温度に加熱された金属材質からなる加熱ロールにトナー像を直接接触させ、同時に加圧ロールで圧力を加えて、この両ロール間に記録媒体を挿通させることにより定着を行う熱ロール定着方式と呼ばれる定着装置が用いられている。記録媒体を両ロール間に挿通させる際、記録媒体上に存在するトナーは微量ではあるが、記録媒体から振動、静電力等で記録媒体から剥離したトナーが加熱ロール表面に静電的に付着する。
【0004】
一般に、定着装置の加熱ロールには、画像支持体上のトナーと加熱ロールとの離型性を確保するために、シリコンオイル等を含浸させたクリーニングウェブが加熱ロールの表面を摺接するように配置されている。このクリーニングウェブは不織布であり、加熱ロール表面と摺接することにより内部から徐々にシリコンオイルが染み出てオイルを加熱ロールに塗布すると同時に、擦る作用により加熱ロール表面に付着した微量のトナーを不織布にて捕集し、加熱ロール表面をクリーニングする作用を持つ。
【0005】
このような画像形成装置の中には、複数台の画像形成装置の間に記録媒体を搬送するリレーユニットを設けて画像形成を行う画像形成方法が提案されている。この方式の画像形成装置では帯電、露光、現像装置が複数台分設置されている為、各々の画像形成装置毎に異なった色の着色粒子を使用して、複数色の画像形成を行ったり、最初の画像形成装置で画像支持体の片面の画像形成を行い、その後画像支持体を反転し、次の画像形成装置で画像支持体の反対面の画像形成を行い、出力頁数を従来の一台の出力と比較し倍化することも行われている。このような複連式の画像形成装置では、画像形成の際、必ず複数台設置された画像形成装置において同じ回数、記録媒体に転写、定着工程を実施することになる。
【0006】
この種の画像形成装置においては、例えば下記のような特許文献を挙げることができる。
【0007】
【特許文献1】特開平08−179644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、画像形成装置を複数台設置する場合、略同様の単一の画像形成装置を複数台配置する場合が多い。このような複連式画像形成装置の場合、単一の画像形成装置では問題にはならないが、二台目、三台目と複数台配置することにより問題が生じるケースがある。
【0009】
一つの例を述べると、記録媒体は、第一の画像形成装置で電子写真プロセスを経過して画像支持体の片面にトナー像を形成した後、記録媒体は反転動作後、リレーユニットを通り第二の画像形成装置へ導入される。この時点で、記録媒体に発生する障害は無い。その後、第二の画像形成装置で画像支持体上に形成されたトナー像は転写工程まで誘導され転写工程に於いて搬送された記録媒体に転写される。この際、転写工程において平均的なトナーの極性と真逆の極性の電荷を注入されることになるが、第一の画像形成装置で定着工程を経過した記録媒体は含水率が低下し、その結果、第一の画像形成装置での転写工程の場合と比べて抵抗が大きくなる。また、第二の画像形成装置における記録媒体の転写面は第一の画像形成装置の記録媒体の転写面と比較して表面電位が高くなり、記録媒体上に付着したトナーは第一の画像形成装置の記録媒体の転写面と比較し転写の電荷と同一の極性、つまり逆極性のトナーの存在割合が第一の画像形成装置の転写工程時と比較し多くなることが分かった。
【0010】
一般に、反転現像方式用いた画像形成装置の場合、多くの場合トナーがマイナスに帯電している。マイナス帯電のトナーを画像支持体に転写する場合、画像支持体の裏面にプラス電荷を注入しトナー像を転写する。この時、画像支持体の裏面には、転写特性を維持する為に、プラス電荷が注入される。その結果、記録媒体のトナーの転写面側は分極の結果帯電電位がプラス側になる。記録媒体のトナー転写面にはプラス電荷が注入され、その表面に付着したトナーにはプラス電荷が注入される。主にマイナス特性であるトナー像は、プラス電荷注入の結果、プラス電荷を有したトナーの存在割合が第一の画像形成装置の転写工程の記録媒体上のトナー像と比較して高くなる。
【0011】
画像の定着方法としては熱ローラ定着法が多く用いられている。熱ローラ定着法は、内部に熱源を有し、表面にPFA(テトラフルオロエチレン〜パーフルオロアルキルビニールエーテル共重合体)等の離型層を表面に設け、トナーを溶融するに十分な温度に加熱された金属からなる加熱ロールにトナー像を直接接触させ、同時に加圧ロールで圧力を加えてこの両ロール間に記録媒体を通過させることにより定着を行なう方法である。
【0012】
この方法を用いた定着装置においては、記録媒体上の未定着のトナー像が付着している面を加熱ロールに接触させることになるが、接触した加熱ロールにごく微量のトナー像が付着する、いわゆるオフセット現象が発生する。上記定着装置において生じるオフセット現象は、殆どの場合、トナーの主成分である樹脂の溶融物性、即ち、樹脂の分子量と分子量分布に大きな影響を受ける。トナーの溶融現象で生じるオフセットの他にトナーの電荷による鏡像力や加熱ロールの表面に蓄積されたクーロン力によって、加熱ロールにトナーが付着してゴーストとなる静電オフセットが知られている。
【0013】
記録媒体上に付着した正極性の大きいトナーは、加熱ロール表面に配置された離型層が帯電系列から負極性を持っている為、加熱ロール表面に瞬時に転移する。この加熱ロールに付着したトナーは両ロール間を記録媒体が通過していない場合に加圧ロールと接触し、その際加熱ロールから加圧ロールに転移する。連続して多数回の画像形成が行われる場合には、転移するトナーの量が画像形成動作の回数に比例して増加し、加圧ロール上に汚れとして固着・蓄積し、そのトナーが画像形成装置の再起動時など加熱ロールと加圧ロールが空転して、加圧ロールの温度がトナーの軟化点をこえて溶融した場合には、搬送されてきた記録媒体の加圧ロールとの接触面、すなわち裏面にそのトナーが付着し、記録媒体の厚みが小さい場合にはそれが表面に浮き出たり、両面印字の場合には裏面に印字された画像を汚したり、あるいは記録媒体を積み重ねて置いた場合にはすぐ下側に位置する記録媒体の表面に付着したりして、重大な誤印字を生じる場合がある。
【0014】
ところで、第二の転写工程を通過後の記録媒体上に存在するトナー像は、第一の画像形成装置の転写工程通過後に記録媒体上に存在するトナー像よりもプラス電荷を有するトナー像の存在割合が大きく、転写工程後に到達した定着工程でマイナス電荷を有する加熱ロール表面に記録媒体上から転移するトナーが第一の画像形成装置と比較し第二の画像形成装置の方が大きいことが分かった。三台以上画像形成装置を接続した場合は、更に定着工程でマイナス電荷を有する加熱ロール表面に記録媒体上から転移するトナーが第一の画像形成装置と比較大きく、その上流よりも下流が常に大きくなることが分かった。
【0015】
第一の画像形成装置の定着工程では、加熱ロール表面に付着したトナーはクリーナ部あるいは目に見えないレベルで記録媒体に付着し汚れとして認識されることは無い。しかしながら、単一の画像形成装置を複数台接続した場合の複数台目の画像形成装置においては、定着工程で加熱ロールの表面に付着するトナーの絶対量が増えたため、静電的に加圧ロール表面にトナーが転移して、同様の加圧ロール上のトナー蓄積を生じることがある。
【0016】
そのトナー蓄積が画像形成装置の再起動時など加熱ロールと加圧ロールが接触空転し加圧ロールの温度がトナーの軟化点を超えて溶融した場合には、搬送されてきた画像支持体の加圧ロールとの接触面、すなわち裏面にそのトナーが付着し、画像支持体を汚し重大な誤印字を生ずることがある。またこの時、加圧ロールに付着したトナーが著しく多い場合には、溶融したトナーが粘着剤となって画像支持体を加圧ロール側に巻き付けるというジャムを引き起こすこともある。この現象は、帳票等の類似の繰り返しの印刷パターンで用紙走行方向に対して同一の場所にトナー像を形成されている場合に顕著に見られることも分かった。
【0017】
加圧ロール表面に付着したトナーをクリーニングするために、特許文献1において、加圧ロール表面を加熱し加圧ロール表面温度を常にトナーの軟化点以上に設定してトナー付着を防止する方法が提案されている。
【0018】
ところが、上記の方法では、加圧ロール表面の加熱の為にデバイスを追加することは消費電力を増大させるとともに定着装置が大きくなることになり、画像形成装置の設計上の問題となる。加圧ロール表面に付着したトナーを回収する為に、加圧ロール表面に清掃部材を配置して加圧ロールを清掃し、加圧ロールからの余分な画像支持体へのトナー付着を防止する方法も提案されている。しかしながら、加圧ロール表面に清掃部材を配置することは、装置の大型化を招くばかりではなく、加圧ロール表面の温度は加熱ロール温度よりも低い為、加圧ロール表面のトナーは固着し、清掃部材で回収を試みても全量を回収しきれないという問題が生じた。
【0019】
従って、複数台目の画像形成装置の定着工程の加熱ロール表面に記録媒体から極力トナーを転移させないことが必要となった。その為には、複数台目の画像形成装置の定着装置の入口、つまり複数台目の画像形成装置の転写装置通過までに記録媒体表面に形成されているトナー像のトナーの粒子は加熱ロール表面に吸引される量を出来る限り小さくすることが課題となる。
【0020】
本発明は、複数台連結して画像形成を行う複連式の画像形成装置でも、定着の加圧ロールに付着するトナーに起因する余印字を生じない画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記目的を達成するため本発明の第1の手段は、感光体、帯電装置、露光装置、着色粒子、現像装置、前記着色粒子を記録媒体に転写する転写装置、前記着色粒子を記録媒体に定着させるための加熱部と加圧部により定着ニップ部を形成した定着装置を有する画像形成装置を複数台、ジョイント部を用いて接続する複連式画像形成装置において、前記複数台の画像形成装置のうちの最初に画像を形成する第一の画像形成装置の定着装置の定着温度を後続の画像形成装置の定着装置の定着温度よりも低くしたことを特徴とするものである。
【0022】
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、前記後続の画像形成装置における転写装置の記録媒体への電荷注入時間を前記第一の画像形成装置の電荷注入時間よりも短くすることを特徴とするものである。
【0023】
本発明の第3の手段は前記第1または第2の手段において、前記転写装置はコロトロン方式であることを特徴とするものである。
【0024】
本発明の第4の手段は前記第3の手段において、前記後続の画像形成装置における転写装置の記録媒体への電荷注入時間が17〜24msecであることを特徴とするものである。
【0025】
本発明の第5の手段は前記第1ないし第4の手段において、前記後続の画像形成装置における転写装置が、前記記録媒体への電荷注入方向へ、電荷を注入するためのワイヤと電荷注入時間を制限する絶縁部材を有し、前記ワイヤと絶縁部材の記録媒体に向かって鉛直方向の最短部の距離が0〜3.5mmであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、複数台の画像形成装置を配置する複連式画像形成装置で、複数台目の画像形成装置の定着装置において、記録媒体の用紙含水率低減によるプラス電位の量を小さくし、本来マイナスであるトナーの逆極性化の量を低減し、更に複数台目の画像形成装置の転写装置で記録媒体とトナーに注入されるプラス電荷量を小さくして、記録媒体表面の逆極性トナーの量を低減させることができる。
【0027】
そのため、記録媒体の表面の逆極性トナーを加熱ロール表面に静電力で吸着させることを防止するようにして、記録媒体表面のトナーが定着ロールに付着する量を小さくすることができるので、余印字の無い良好な画像を得られる複連式画像形成装置の提供が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図1〜図4を用いて説明する。
【実施例1】
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係る複数台目の画像形成装置内の転写器及び定着機の概念図である。621は複数台目に相当する後続の第二の画像形成装置の加熱ロール、622は第二の画像形成装置の加圧ロール、623は第二の画像形成装置の定着機の上部入口用紙ガイド板、624は第二の画像形成装置の定着機の下部入口用紙ガイド板、626は第二の画像形成装置のヒータランプ、627は第二の画像形成装置のクリーニングウェブ、628は第二の画像形成装置の圧接ロール、629は第二の画像形成装置の用紙剥離爪、9はトナー、922は第二の画像形成装置のトナー像、932は第二の画像形成装置のオフセットトナー、942は第二の画像形成装置の清掃不良トナー、20は用紙、52は第二の画像形成装置の転写器でここではコロトロン、521は転写ワイヤ、522は転写シールド、523は絶縁部材、524は剥離ワイヤ、525は剥離シールドである。
【0030】
図2は、本発明の実施形態に係る複数台の画像形成装置を連結した複連式画像形成装置の概略図である。1は第一の画像形成装置、2はリレーユニット、3は第二の画像形成装置、11は第一の画像形成装置の感光体ドラム、21は第一の画像形成装置の帯電器、71は第一の画像形成装置の露光装置、31は第一の画像形成装置の現像機、51は第一の画像形成装置の転写器、61は第一の画像形成装置の定着機、20は用紙、81は第一の画像形成装置の清掃機、12は第二の画像形成装置の感光体ドラム、22は第二の画像形成装置の帯電器、72は第二の画像形成装置の露光装置、32は第二の画像形成装置の現像機、52は第二の画像形成装置の転写器、62は第二の画像形成装置の定着機、82は第二の画像形成装置の清掃機である。本発明の実施形態に係る画像形成装置は、第一の画像形成装置1と第二の画像形成装置3をリレーユニット2で連結する構造になっており、第一の画像形成装置1と第二の画像形成装置3共に同様の構造の電子写真方式で用いられるデバイスを配置している。
【0031】
図3は、本発明の実施形態に係る1台目の画像形成装置内の転写器及び定着機の概念図である。611は第一の画像形成装置の加熱ロール、612は第一の画像形成装置の加圧ロール、613は第一の画像形成装置の定着機の上部入口用紙ガイド板、614は第一の画像形成装置の定着機の下部入口用紙ガイド板、616は第一の画像形成装置のヒータランプ、617は第一の画像形成装置のクリーニングウェブ、618は第一の画像形成装置の圧接ロール、619は第一の画像形成装置の用紙剥離爪、9はトナー、912は第一の画像形成装置のトナー像、931は第一の画像形成装置のオフセットトナー、941は第一の画像形成装置の清掃不良トナー、20は用紙である。
【0032】
図4は、第二の画像形成装置の転写器の電荷注入時間と加熱ロールへの転移トナー量の関係を示す特性図である。
【0033】
まず、図2を用いて画像形成のプロセスを説明する。図2に示す第一の画像形成装置1内の第一の画像形成装置の帯電器21により一様にマイナスの電位に帯電された第一の画像形成装置の感光体ドラム11の表面に、第一の画像形成装置の露光装置71により画像情報に従い電荷が消失される事による静電潜像が形成される。
【0034】
有機光導電体(OPC)を第一の画像形成装置の感光体ドラム11として用い、帯電電位を−650V、露光後電位を−70V、現像バイアス電位を−400V、印刷プロセス速度を500mm/秒に設定した。第一の画像形成装置の帯電器21はスコロトロンであり、この後第一の画像形成装置の現像機31から、マイナス電荷に帯電した図2には図示しないトナー9が供給され、静電潜像に従い可視化像である図2には図示されないトナー像91を形成する。
【0035】
現像機31は夫々トナー9とキャリアが所定の比率で混合された2成分方式の現像剤が用いられており、磁気ブラシ現像方式が用いられている。トナー9としてスチレンアクリル樹脂をバインダとし、体積平均粒径8.5μmの負帯電型トナーを用いた。各色のトナーは、着色剤、荷電制御剤、ワックスなどが配合され、さらにこれに、流動性の向上を図るべく外添剤が添加されてなるものである。キャリアとして、導電剤含有シリコーン系樹脂でコートした重量平均粒径が65μmのマグネタイトキャリア(電気抵抗1.9×10Ω・cm)を使用し、トナー濃度5.0wt%で現像剤を調整し、磁気ブラシ現像法で現像ギャップ(第一の画像形成装置の感光体ドラム11と現像スリーブ間の距離)を0.5mmとし、第一の画像形成装置の感光体ドラム11と現像ロールを同方向で移動し、両者の周速比(現像ロール/感光体11)を2とした。
【0036】
第一の画像形成装置の感光体ドラム11の回転によって、第一の画像形成装置の感光体ドラム11の表面が、第一の画像形成装置の帯電器21によって帯電され、第一の画像形成装置の現像装置31は、キャリアとトナー9が攪拌室で所定の条件で攪拌され、現像ロールにより、トナー9が第一の画像形成装置の感光体ドラム11に対向して接触する時に、第一の画像形成装置の感光体ドラム11の表面上の静電潜像に選択的に担持されることによって可視像化され、これによって反転現像が達成される。
【0037】
このように現像された第一の画像形成装置の感光体ドラム11表面上のマイナス電荷を有するトナー9は、図中の矢印方向にホッパから第一の画像形成装置の転写器51上部に供給された用紙20上に第一の画像形成装置の転写器51から供給されるプラス電荷により転写される。転写にはコロトロン方式を用い、コロトロンの転写ワイヤには、タングステンワイヤを用い−400μAの定電流制御を採用した。また、用紙20へのコロトロンの開口幅は17mmとし、その中央の8.5mmの位置にタングステンワイヤを配置する構成とした。
【0038】
用紙20上に転写されたトナー9は、第一の画像形成装置の定着機61内のロール表面を所定の温度に制御された第一の画像形成装置の加熱ロール611と第一の画像形成装置の加圧ロール612の接触部に挿通され、熱エネルギーでの加熱溶融と同時に圧力で用紙20表面に浸透させられ、その後用紙20上に固着され定着する。第一の画像形成装置の定着機61を通過した用紙20は、図中矢印方向にリレーユニット2内を通過する。
【0039】
リレーユニット2を通過した後、用紙20は第二の画像形成装置3に導入される。第二の画像形成装置3に導入された用紙20は、第二の画像形成装置3内の第二の画像形成装置の帯電器22により一様にマイナスの電位に帯電された第二の画像形成装置の感光体ドラム12の表面に、第二の画像形成装置の露光装置72により画像情報に従い電荷が消失される事による静電潜像が形成される。この後、第二の画像形成装置の現像機32から、マイナス電荷に帯電した図示しないトナー9が供給され静電潜像に従い可視化像であるトナー像922を形成する。
【0040】
このように現像された第二の画像形成装置の感光体ドラム12表面上のマイナス電荷を有するトナー9は、図中の矢印方向に第二の画像形成装置の転写器52上部に供給された用紙20上に第二の画像形成装置の転写器52から供給されるプラス電荷により転写される。転写されたトナー9は、第二の画像形成装置の定着機62内のロール表面を所定の温度に制御された第二の画像形成装置の加熱ロール621と第二の画像形成装置の加圧ロール622の接触部に挿通され、熱エネルギーでの加熱溶融と同時に圧力で用紙20表面に浸透させられ、その後用紙20上に固着され定着する。
【0041】
図2に示す第一の画像形成装置の定着機(図2中の61)において、第一の画像形成装置の転写器51上部に供給された用紙20上に第一の画像形成装置の転写器51から供給されるプラス電荷により転写されたトナー9は、第一の画像形成装置の定着機61内のロール表面を第一の画像形成装置のヒータランプ616によって所定の温度に制御された第一の画像形成装置の加熱ロール611と第一の画像形成装置の加圧ロール612の接触部に挿通され、熱エネルギーでの加熱溶融と同時に圧力で用紙20表面に浸透させられる。
【0042】
第一の画像形成装置の加熱ロール611は、アルミニウム製芯金をフッ素樹脂(テトラフルオロエチレン〜パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体:PFA)のチューブで薄く被覆し(厚さ35μm)、中心部に第一の画像形成装置のヒータランプ616を設けたものを第一の画像形成装置の加熱ロール611とし、アルミニウム製芯金にゴム硬度約30度のシリコーンゴム層(厚さ5mm)を設け、最外層を厚さ50μmのPFAチューブで被覆したものを第一の画像形成装置の加圧ロール612とした。
【0043】
定着条件は、プロセス速度を500mm/秒、第一の画像形成装置の加熱ロール611及び第一の画像形成装置の加圧ロール612の外径を60mm、両ロールの接触域(ニップ部)の幅(図中のH)を約8mm、第一の画像形成装置の加熱ロール611の制御温度を180℃、押し付け加重を70kgfとした。第一の画像形成装置の加熱ロール611の清掃部には、第一の画像形成装置の圧接ロール618にて第一の画像形成装置の加熱ロール611に押し付けられる第一の画像形成装置のクリーニングウェブ617を設け、シリコンオイル塗布によるオフセットトナーの簡潔拭き取り機構を採用した。
【0044】
ところで、第一の画像形成装置の定着装置61に転写後の用紙20が挿通される場合、定着ニップ部に到着した用紙20上の殆どのトナー9は、第一の画像形成装置の加熱ロール611の表面から供給される熱エネルギーによって用紙20上に固着される。
【0045】
この方法を用いた第一の画像形成装置の定着機61においては、記録媒体上の未定着のトナー像912が付着している面を加熱ロールに接触させることになるが、接触した加熱ロールにごく微量のトナー像が付着する、いわゆるオフセット現象が発生する。上記定着機において生じるオフセット現象は、殆どの場合、トナー9の主成分である樹脂の溶融物性、即ち、樹脂の分子量と分子量分布に大きな影響を受ける。トナーの溶融現象で生じるオフセットの他にトナーの電荷による鏡像力や加熱ロールの表面に蓄積されたクーロン力によって、加熱ロールにトナーが付着してゴーストとなる、静電オフセットが知られている。記録媒体上に付着した正極性の大きいトナー9は、第一の画像形成装置の加熱ロール611表面に配置された離型層が帯電系列から負極性を持っている為、第一の画像形成装置の加熱ロール611表面に瞬時に転移する。第一の画像形成装置の転写器51から正電荷を注入された用紙20上のトナー像の内、わずかな量のトナー9が本来の負極性から正極性に転移している。
【0046】
この状態で、第一の画像形成装置の上部入口用紙ガイド板613及び第一の画像形成装置の下部入口用紙ガイド板614のいずれかに接触後、定着ニップ部に用紙20は誘導されるのであるが、第一の画像形成装置の上部入口用紙ガイド板613及び第一の画像形成装置の下部入口用紙ガイド板614から定着ニップ部までの図中Lの間を用紙20が通過する際に、用紙20上に形成されたトナー像912の内、正極性の大きいトナー9は負極性を有する第一の画像形成装置の加熱ロール611表面に主に転移することが分かった。
【0047】
トナー9の溶融特性の影響で第一の画像形成装置の加熱ロール611に転移したトナー9も含め、第一の画像形成装置の加熱ロール611表面に転移したトナー9は定着ニップ通過後、第一の画像形成装置のオフセットトナー931として図3中矢印A方向に移動する。第一の画像形成装置のオフセットトナー931は、第一の画像形成装置のクリーニングウェブ617に到達すると第一の画像形成装置のクリーニングウェブ617によって完全に清掃される。第一の画像形成装置の定着機61を用紙20が通過後、用紙20は図2の矢印Aの方向へ進みリレーユニット2を進む。リレーユニット2を通過した用紙20は第二の画像形成装置の入口部へ到達する。
【0048】
図2に示す第二の画像形成装置3内の第二の画像形成装置の帯電器22により、一様にマイナスの電位に帯電された第二の画像形成装置の感光体ドラム12の表面に、第二の画像形成装置の露光装置72により画像情報に従い電荷が消失されることによる静電潜像が形成される。有機光導電体(OPC)を第二の画像形成装置の感光体ドラム12として用い、帯電電位を−650V、残留電位を−70V、現像バイアス電位を−400V、印刷プロセス速度を500mm/秒に設定した。第二の画像形成装置の帯電器22はスコロトロンであり、この後、第二の画像形成装置の現像機32から、マイナス電荷に帯電した図2には図示しないトナー9が供給され、静電潜像に従い可視化像であるトナー像922を形成する。第二の画像形成装置の現像機32は夫々トナー9とキャリアが所定の比率で混合された2成分方式の現像剤が用いられており、磁気ブラシ現像方式が用いられている。
【0049】
トナー9としてスチレンアクリル樹脂をバインダとし、体積平均粒径8.5μmの負帯電型トナーを用いた。各色のトナーは、着色剤、荷電制御剤、ワックスなどが配合され、さらにこれに、流動性の向上を図るべく外添剤が添加されてなるものである。キャリアとして、導電剤含有シリコーン系樹脂でコートした重量平均粒径が70μmのマグネタイトキャリア(電気抵抗1.9×10Ω・cm)を使用し、トナー濃度4.5wt%で現像剤を調整し、磁気ブラシ現像法で現像ギャップ(感光体と現像スリーブ間の距離)を0.5mmとし、第二の画像形成装置の感光体12と現像ロールを同方向で移動し、両者の周速比(現像ロール/感光体11)を2とした。
【0050】
第二の画像形成装置の感光体ドラム12の回転によって、第二の画像形成装置の感光体ドラム12の表面が、第二の画像形成装置の帯電器22によって帯電され、第二の画像形成装置の現像器32は、キャリアとトナー9が攪拌室で所定の条件で攪拌され、現像ロールにより、トナー9が第二の画像形成装置の感光体ドラム12に対向して接触する時に、第二の画像形成装置の感光体ドラム12の表面上の静電潜像に選択的に担持されることによって可視像化され、これによって反転現像が達成される。
【0051】
このように現像された第二の画像形成装置の感光体ドラム12表面上のマイナス電荷を有するトナー9は、図中の矢印方向に第二の画像形成装置の転写器52上部に供給された用紙20上に第二の画像形成装置の転写器52から供給されるプラス電荷により転写される。転写にはコロトロン方式を用い、コロトロンの転写ワイヤには、タングステンワイヤを用い−400μAの定電流制御を採用し、開口幅を17mmとした。
【0052】
コロトロンは転写ワイヤ521と転写シールド522、更に絶縁部材523で構成され、またこれらの下流には用紙20の剥離の為の剥離ワイヤ524と剥離シールド525が配置されている。コロトロン転写の方式の基本構成は、第一の画像形成装置1の転写器51と同様の構成であるが、転写時の挙動は第一の画像形成装置1とは異なる。それは、用紙20は第一の画像形成装置1の定着機61から熱エネルギーを供給されており、用紙20の含水率が低下し、用紙20の抵抗が上昇していることが分かった。第二の画像形成装置の転写器52で第一画像形成装置の転写器51と同様の電荷注入を行うと、用紙20の表面電位は、第一の画像形成装置1の転写器51の通過後の表面電位は用紙20の抵抗変化分だけ高くなっていることが分かった。
【0053】
用紙20上に転写されたトナー9は、第二の画像形成装置の定着機62内のロール表面を所定の温度に制御された第二の画像形成装置の加熱ロール621と第二の画像形成装置の加圧ロール622の接触部に挿通され、熱エネルギーでの加熱溶融と同時に圧力で用紙20表面に浸透させられ、その後用紙20上に固着され定着する。第二の画像形成装置の定着機62内のロール表面を所定の温度に制御された第二の画像形成装置の加熱ロール621と第二の画像形成装置の加圧ロール622の接触部に挿通され、熱エネルギーでの加熱溶融と同時に圧力で用紙20表面に浸透させられ、その後用紙20上に固着され定着する。
【0054】
図1に示す第二の画像形成装置の定着機62において、第二の画像形成装置3の転写器52上部に供給された用紙20上に第二の画像形成装置の転写器52から供給されるプラス電荷により転写されたトナー9は、第二の画像形成装置の定着機62内のロール表面を第二の画像形成装置のヒータランプ626によって所定の温度に制御された第二の画像形成装置の加熱ロール621と第二の画像形成装置の加圧ロール622の接触部に挿通され、熱エネルギーでの加熱溶融と同時に圧力で用紙20表面に浸透させられる。
【0055】
第二の画像形成装置の加熱ロール621は、アルミニウム製芯金をフッ素樹脂(テトラフルオロエチレン〜パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体:PFA)のチューブで薄く被覆し(厚さ35μm)、中心部に第二の画像形成装置のヒータランプ626を設けたものを第二の画像形成装置の加熱ロール621とし、アルミニウム製芯金にゴム硬度約30度のシリコーンゴム層(厚さ5mm)を設け、最外層を厚さ50μmのPFAチューブで被覆したものを第二の画像形成装置の加圧ロール622としている。
【0056】
定着条件は、プロセス速度を500mm/秒、第二の画像形成装置の加熱ロール621及び第二の画像形成装置の加圧ロール622の外径を60mm、両ロールの接触域(ニップ部)の幅(図中のH)を約8mm、第二の画像形成装置の加熱ロール621の制御温度を180℃、押し付け加重を70kgfとした。
【0057】
第二の画像形成装置の加熱ロール621の清掃部には第二の画像形成装置の圧接ロール628にて第二の画像形成装置の加熱ロール621に押し付けられる第二の画像形成装置のクリーニングウェブ627を設け、シリコンオイル塗布によるオフセットトナーの簡潔拭き取り機構を採用した。
【0058】
定着ニップ部に到着した用紙20上の殆どのトナー9は、第二の画像形成装置の加熱ロール621の表面から供給される熱エネルギーによって用紙20上に固着される。この方法を用いた第二の画像形成装置の定着機62においては、記録媒体上の未定着のトナー像922が付着している面を加熱ロールに接触させることになるが、接触した加熱ロールにごく微量のトナー像が付着する、いわゆるオフセット現象が発生する。
【0059】
上記定着機において生じるオフセット現象は、殆どの場合、トナー9の主成分である樹脂の溶融物性、即ち、樹脂の分子量と分子量分布に大きな影響を受ける。トナーの溶融現象で生じるオフセットの他にトナーの電荷による鏡像力や加熱ロールの表面に蓄積されたクーロン力によって、加熱ロールにトナーが付着してゴーストとなる、静電オフセットが知られている。記録媒体上に付着した正極性の大きいトナー9は、第二の画像形成装置の加熱ロール621表面に配置された離型層が帯電系列から負極性を持っている為、第二の画像形成装置の加熱ロール621表面に瞬時に転移する。第二の画像形成装置の転写器52から正電荷を注入された用紙20上のトナー像の内、わずかな量のトナー9が本来の負極性から正極性に転移している。
【0060】
この状態で、第二の画像形成装置の上部入口用紙ガイド板623及び第二の画像形成装置の下部入口用紙ガイド板624のいずれかに接触後、定着ニップ部に用紙20は誘導されるのであるが、第二の画像形成装置の上部入口用紙ガイド板623及び第二の画像形成装置の下部入口用紙ガイド板624から定着ニップ部までの図中のLの間を用紙20が通過する際に、用紙20上に形成されたトナー像922の内、正極性の大きいトナー9は負極性を有する第二の画像形成装置の加熱ロール621表面に主に転移することが分かった。
【0061】
トナー9の溶融特性の影響で第一の画像形成装置の加熱ロール611に転移したトナー9も含め、第二の画像形成装置の加熱ロール621表面に転移したトナー9は定着ニップ通過後、第二の画像形成装置のオフセットトナー932として図1中の矢印A方向に移動する。第二の画像形成装置のオフセットトナー932は、第二の画像形成装置のクリーニングウェブ627に到達すると第二の画像形成装置のクリーニングウェブ627によって完全に清掃される。
【0062】
図2中及び図1中の第二の画像形成装置3で第二の感光体ドラム12上に形成されたトナー9は、第二の画像形成装置の転写器52まで誘導され搬送された記録媒体に転写される。この際、転写において平均的なトナー9の極性と真逆の極性の電荷を注入されることになるが、第一の画像形成装置の定着機61を通過した記録媒体は第一の画像形成装置61の加熱部から熱エネルギーを供給された為、含水率が低下しており、通常常温常湿に調整された環境においては、連量が64g/mのA4サイズの用紙で約6%程度から約4%程度までに変化する。その結果、第一の画像形成装置での転写工程の場合と比べて抵抗が大きくなる。このため、第二の画像形成装置における用紙20の転写面は第一の画像形成装置の用紙20の転写面と比較し、表面電位が高くなり、第二の画像形成装置の転写器52通過後に用紙20上に付着したトナー9は第一の画像形成装置の転写器51を通過後の用紙20上のトナー9と比較し転写の電荷と同一の極性、つまり逆極性のトナー9の存在割合が第一の画像形成装置の転写器52通過後の用紙20上のトナーと比較し多くなることが分かった。
【0063】
一般に反転現像方式用いた画像形成装置の場合、多くの場合、トナー9が負に帯電している。負帯電のトナー9を用紙20に転写する場合、用紙20の裏面に正電荷を注入しトナー像を転写する。この時、用紙20の裏面には、転写特性を維持する為に、正電荷が注入される。その結果、用紙20のトナー9の転写面側は、分極の結果帯電電位が正側になる。極端な場合には、帯電電位が2kVを超過する場合もある。記録媒体のトナー転写面にはプラス電荷が注入され、その表面に付着したトナーには正電荷が注入される。主に負特性であるトナー9は、正電荷注入の結果、正電荷を有したトナー9の存在割合が第一の画像形成装置の転写器51通過後の用紙20上のトナー9と比較して高くなることが分かった。
【0064】
第二の画像形成装置の転写器52から正電荷を注入された用紙20上のトナー像の内、わずかな量のトナー9が本来の負極性から正極性に転移している。この状態で第二の画像形成装置の上部入口用紙ガイド板623及び第二の画像形成装置の下部入口用紙ガイド板624のいずれかに接触後、定着ニップ部に用紙20は誘導されるのであるが、第二の画像形成装置の上部入口用紙ガイド板623及び第二の画像形成装置の下部入口用紙ガイド板624から定着ニップ部までの図中のLの間を用紙20が通過する際に、用紙20上に形成されたトナー像922の内、正極性の大きいトナー9は負極性を有する第二の画像形成装置の加熱ロール621表面に主に転移することが分かった。
【0065】
そこで本発明では、第二の画像形成装置の転写器52に絶縁部材523を設置することにより、用紙20への電荷注入時間Yを変更することとし、用紙20上の正電荷を有したトナー9の存在割合が第一の画像形成装置の転写器51通過後の用紙20上のトナー9と比較し同等になる様にし、定着機62の加熱ロール621への転移量を小さくすることとした。その結果を図4のΔT=0に示す様に、余印字を生じないことが分かった。
【0066】
以上述べた本実施例によれば、用紙20表面に付着したトナー9の内、正電荷を有するトナー9を第二の画像形成装置の加熱ロール621表面に吸着させることを防止することができ、余印字の無い画像形成装置を提供することが出来る。
【0067】
本実施例では、単一の画像形成装置の組合せの内、第二の画像形成装置3での現象を説明したが、第三の画像形成装置、第四の画像形成装置など更に画像形成装置を接続した場合も各々の画像形成装置の定着機において当該実施例と同様の構成で同様の効果が得られる。
【実施例2】
【0068】
基本的な構造は実施例1と略同様であるが、本実施例では、第一の画像形成装置1の定着機61の加熱ロール611の表面温度を第二の画像形成装置2の定着機62の加熱ロール621の表面温度より小さくする構成とした。具体的には、第一の画像形成装置1の定着機61の加熱ロール611の表面温度を160℃、第二の画像形成装置2の定着機62の加熱ロール621の表面温度を190℃とした。図4に第一の画像形成装置1の定着機61の加熱ロール611の表面温度を第二の画像形成装置2の定着機62の加熱ロール621の表面温度の差ΔT(℃)を設けて構成した場合の記録媒体への余印字の量を示す。ここでは、実験的に第一の画像形成装置1の定着機61の加熱ロール611の表面温度を160〜190℃まで10℃刻みで変更して確認した。
【0069】
図4の結果から、第一の画像形成装置1の加熱ロール611の表面温度が、第二の画像形成装置2の加熱ロール621の表面温度より小さくなる程、記録媒体への余印字の量が低減する傾向であり、更に転写器電荷注入時間を17〜24msecとすることで余印字の発生が無く、転写不良も無い領域が存在することが分かった。記録媒体のトナー転写面にはプラス電荷が注入され、その表面に付着したトナーには正電荷が注入される。主に負特性であるトナー9は、正電荷注入の結果、正電荷を有したトナー9の存在割合が第一の画像形成装置の転写器51通過後の用紙20上のトナー9と比較して高くなることが分かった。
【0070】
第二の画像形成装置の転写器52から正電荷を注入された用紙20上のトナー像の内、わずかな量のトナー9が本来の負極性から正極性に転移している。この状態で第二の画像形成装置の上部入口用紙ガイド板623及び第二の画像形成装置の下部入口用紙ガイド板624のいずれかに接触後、定着ニップ部に用紙20は誘導されるのであるが、第二の画像形成装置の上部入口用紙ガイド板623及び第二の画像形成装置の下部入口用紙ガイド板624から定着ニップ部までの図中のLの間を用紙20が通過する際に、用紙20上に形成されたトナー像922の内、正極性の大きいトナー9は負極性を有する第二の画像形成装置の加熱ロール621表面に主に転移することが分かった。
【0071】
そこで本発明では、用紙20の第一の画像形成装置1の定着機61からの熱エネルギー供給を小さくして、用紙20の含水率の変化を低下させ、用紙20の抵抗が上昇することを抑えることに成功した。第二の画像形成装置の転写器52で第一画像形成装置の転写器51と同様の電荷注入を行うと、用紙20の表面電位は、第一の画像形成装置1の転写器51の通過後の表面電位と比較し、用紙20の抵抗変化分だけ高くなるが、ΔTを大きくすると第一の画像形成装置1の定着機61通過後の用紙の含水率変化は小さくなり、用紙20の表面電位の上昇が抑えられるので、負特性であるトナー9は、第二の画像形成装置3の転写器52通過時の正電荷注入の結果、正電荷を有したトナー9の存在割合が第一の画像形成装置1の転写器51通過後の用紙20上のトナー9と比較して高くなるものの、第一の画像形成装置1の加熱ロール61の表面温度よりも小さくしたことで、トナー9の極性の反転を抑えることが可能となった。
【0072】
さらに、第二の画像形成装置の転写器52に絶縁部材523を設置することにより、用紙20への電荷注入時間Yを変更することとし、用紙20上の正電荷を有したトナー9の存在割合が第一の画像形成装置の転写器51通過後の用紙20上のトナー9と比較し同等になる様にし、定着機62の加熱ロール621への転移量を小さくすることとした。その結果、図4に示す様に余印字を生じないことが分かった。
【0073】
以上述べた本実施例によれば、用紙20表面に付着したトナー9の内、正電荷を有するトナー9を第二の画像形成装置の加熱ロール621表面に吸着させることを防止することができ、余印字の無い画像形成装置を提供することが出来る。
【0074】
単一の画像形成装置を基本として、二台目以降同一の複数の画像形成装置を接続することで多色の画像形成が容易に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施例を示す画像形成装置の定着装置の概略図である。
【図2】本発明の一実施例を示す画像形成装置の概略図である。
【図3】第一の画像形成装置の定着装置の概略図である。
【図4】第二の画像形成装置の転写器での電荷注入時間と第二の画像形成装置の定着機でのトナー汚れの量を示した特性図である。
【符号の説明】
【0076】
621は第二の画像形成装置の加熱ロール、622は第二の画像形成装置の加圧ロール、623は第二の画像形成装置の上部入口用紙ガイド板、624は第二の画像形成装置の下部入口用紙ガイド板、626は第二の画像形成装置のヒータランプ、627は第二の画像形成装置のクリーニングウェブ、628は第二の画像形成装置の圧接ロール、629は第二の画像形成装置の用紙剥離爪、9はトナー、922は第二の画像形成装置のトナー像、932は第二の画像形成装置のオフセットトナー、942は第二の画像形成装置の清掃不良トナー、20は用紙、1は第一の画像形成装置、2はリレーユニット、3は第二の画像形成装置、11は第一の画像形成装置の感光体ドラム、21は第一の画像形成装置の帯電器、71は第一の画像形成装置の露光装置、31は第一の画像形成装置の現像機、51は第一の画像形成装置の転写器、61は第一の画像形成装置の定着機、81は第一の画像形成装置の清掃機、12は第二の画像形成装置の感光体ドラム、22は第二の画像形成装置の帯電器、72は第二の画像形成装置の露光装置、32は第二の画像形成装置の現像機、52は第二の画像形成装置の転写器、521は転写ワイヤ、522は転写シールド、523は絶縁部材、524は剥離ワイヤ、525は剥離シールド、62は第二の画像形成装置の定着機、82は第二の画像形成装置の清掃機、611は第一の画像形成装置の加熱ロール、612は第一の画像形成装置の加圧ロール、613は上部入口用紙ガイド板、614は下部入口用紙ガイド板、616はヒータランプ、617は第一の画像形成装置のクリーニングウェブ、618は第一の画像形成装置の圧接ロール、619は第一の画像形成装置の用紙剥離爪、912は第一の画像形成装置のトナー像、931は第一の画像形成装置のオフセットトナー、941は第二の画像形成装置の清掃不良トナーである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体、帯電装置、露光装置、着色粒子、現像装置、前記着色粒子を記録媒体に転写する転写装置、前記着色粒子を記録媒体に定着させるための加熱部と加圧部により定着ニップ部を形成した定着装置を有する画像形成装置を複数台、ジョイント部を用いて接続する複連式画像形成装置において、
前記複数台の画像形成装置のうちの最初に画像を形成する第一の画像形成装置の定着装置の定着温度を後続の画像形成装置の定着装置の定着温度よりも低くしたことを特徴とする複連式画像形成装置。
【請求項2】
前記後続の画像形成装置における転写装置の記録媒体への電荷注入時間を前記第一の画像形成装置の電荷注入時間よりも短くすることを特徴とする請求項1に記載の複連式画像形成装置。
【請求項3】
転写装置はコロトロン方式であることを特徴とする請求項1または2に記載の複連式画像形成装置。
【請求項4】
前記後続の画像形成装置における転写装置の記録媒体への電荷注入時間が17〜24msecである請求項3に記載の複連式画像形成装置。
【請求項5】
前記後続の画像形成装置における転写装置が、前記記録媒体への電荷注入方向へ電荷を注入するためのワイヤと電荷注入時間を制限する絶縁部材を有し、前記ワイヤと絶縁部材の記録媒体に向かって鉛直方向の最短部の距離が0〜3.5mmである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の複連式画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−107690(P2008−107690A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−292366(P2006−292366)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(302057199)リコープリンティングシステムズ株式会社 (1,130)
【Fターム(参考)】