説明

親ねじシステムのためのマルチモーション・アセンブリ

【課題】親ねじシステムのマルチモーション・アセンブリを提供する。
【解決手段】親ねじ202と、親ねじ202と平行移動するマルチモーション・アセンブリ206とを有する。親ねじ202の回転方向によりマルチモーション・アセンブリ206を係合状態で親ねじ202に沿って移動させるか、または非係合状態でスクリュー・ナット307を回転させるかを切り換える。マルチモーション・アセンブリ206は親ねじ202に螺合するスクリュー・ナット307とクラッチ・サブアセンブリとを備える。クラッチ・サブアセンブリは、係合状態では、前記スクリュー・ナット307が親ねじ202と共に回転することを防止して親ねじ202の回転によりマルチモーション・アセンブリ206を直線的に移動させ、非係合状態ではスクリュー・ナット307が親ねじ202と共に回転することを可能にして親ねじ202の回転によりスクリュー・ナット307を回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親ねじシステム、詳細には、他を排除するものではないが、ナットアセンブリを備える親ねじシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
親ねじは、回転運動を直線運動に変換するため、対応するナットと連結して使用され得るねじまたはねじ棒である。Haydon Kerk Motion Solutions of Waterbury,CTが販売している親ねじシステムのような典型的な親ねじシステムは、親ねじが、親ねじを回転させるモーターに連結される。親ねじが回転するに従って該親ねじにねじ留めされ、かつガイドロッドにも接続される、対応するナットが親ねじ軸に沿って上下に動く。ナットの直線運動の方向は、親ねじの回転の方向とねじ山の特性によって異なる。
【0003】
図1は、親ねじ101、モーター102、対応するスクリュー・ナット103、ガイドロッド104、カラー105、接続支柱106、および支持基盤107を具備する親ねじシステム100の簡略化した側面図を示す。モーター102およびガイドロッド104は、支持基盤107に強固に取り付けられる。親ねじ101は、回転方向101aおよび101bで指し示されるように、(i)ガイドロッド104と平行であり、(ii)モーター102に接続されることによりモーター102によって基盤107に対して回転される。スクリュー・ナット103のねじ山は、親ねじ101のねじ山を補完する。親ねじ101およびスクリュー・ナット103の材料は、相互の摩擦が比較的低く、従って親ねじシステム100は、親ねじ101の回転運動を対応するスクリュー・ナット103の動きを直線運動へと比較的効率よく変換することが可能となる。レールガイド104およびカラー105の材料および形状特性は、カラー105が比較的低摩擦でガイドロッド104に沿って摺動できる材料および形状特性である。カラー105は、ベアリングまたはガイドを備えてもよい。接続支柱106は、スクリュー・ナット103をカラー105に堅く接続させ、それによりスクリュー・ナット103は、親ねじ101が回転するときに回転せず、代わりに親ねじ101に沿って直線に移動する。これにより、基盤107に対するスクリュー・ナット103の直線運動および配置を比較的正確に制御することが可能となる。
【0004】
親ねじ101が方向101aに回転すると、スクリュー・ナット103が支柱106およびカラー105に沿って(基盤107から離れて)上方に移動するが、一方で親ねじ101が反対方向101bに回転すると、スクリュー・ナット103が支柱106およびカラー105に沿って(基盤107に向かって)下方に移動する。なお、親ねじ101およびスクリュー・ナット103の材料およびねじ山特性は、スクリュー・ナット103が支柱106およびカラー105に取り付けられていない場合、スクリュー・ナット103は親ねじ101(101aの方向)の周囲を回転し、かつモーター102が親ねじ101を回転させていないときは基盤107に向かうスクリュー・ナット103に掛る単に重力の効果により、(基盤107に向かって)下方に移動するものであり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、マルチモーション・アセンブリを具備する装置であり得る。マルチモーション・アセンブリは、(i)親ねじの外部ねじ山に適合する内部ねじ山を有するスクリュー・ナットと、(ii)スクリュー・ナットに接続されたクラッチ・サブアセンブリとを備える。クラッチ・サブアセンブリは、係合状態および非係合状態のいずれかの状態で動作するように適合される。係合状態では、クラッチ・サブアセンブリは、スクリュー・ナットが親ねじと共に回転することを防止し、それによって親ねじの回転によりスクリュー・ナットが直線に移動する。非係合状態では、クラッチ・サブアセンブリは、スクリュー・ナットが親ねじと共に回転することを可能にし、それによって前記親ねじの回転により前記スクリュー・ナットが対応して回転する。
【0006】
本発明の別の実施形態は、マルチモーション・アセンブリを具備する装置を動作させる方法であり得る。マルチモーション・アセンブリは、(i)親ねじの外部ねじ山に適合する内部ねじ山を有するスクリュー・ナットと、(ii)係合状態および非係合状態のいずれかの状態で動作するためにスクリュー・ナットに接合されたクラッチ・サブアセンブリとを具備する。方法は、(i)係合状態では、スクリュー・ナットが親ねじと共に回転することを防止し、それによって親ねじの回転によりスクリュー・ナットが直線に移動するようにクラッチ・サブアセンブリを使用することと、(ii)非係合状態では、スクリュー・ナットが親ねじと共に回転することを可能にし、それによって前記親ねじの回転により前記スクリュー・ナットが対応して回転するようにクラッチ・サブアセンブリを使用することとを含む。
【0007】
本発明の他の態様、特徴、および利益は、以下の詳細な説明、添付の請求の範囲、同様の参照番号が類似または同一の要素を同一に扱っている添付の図面により、十分に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】従来技術の親ねじシステムの簡略化した側面図を示す。
【図2】本発明の一実施形態に係るマルチモーション親ねじシステムを組み込んだ攪拌システムの簡略化した側面図を示す。
【図3】図2のマルチモーション・アセンブリの中枢部品の拡大透視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る、係合状態時のマルチモーション親ねじシステムの簡略化した部分断面を示す。
【図5】非係合状態時の図4のマルチモーション親ねじシステムの簡略化した部分断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1のスクリュー・ナット103をさらなる特性を有するアセンブリと置換することで、従来技術の親ねじシステム100が提供できない親ねじシステムに有益な特性を提供する。例えば、マルチモーション・アセンブリの使用により、以下で説明する親ねじシステムに有益な特性を提供することができる。
【0010】
図2は、本発明の一実施形態に係るマルチモーション親ねじシステム201を組み込んだ攪拌システム200の簡略化した側面図を示す。攪拌システム200は、例えば、溶出試験装置の一部として使用され得る。例示的な溶出試験装置は、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,589,649号に記載されている。以下でさらに詳細に説明するように、攪拌システム200は、攪拌棒を回転させる回転電力を提供するとともに、攪拌棒を垂直に上下移動させる線形電力を提供する。
【0011】
攪拌システム200はさらに、(i)親ねじ202と、(ii)ガイドロッド203および204と、(iii)親ねじ202とガイドロッド203および204とを保持および安定させる、基底台207およびトッププレート208とを具備する。攪拌システム200はまた、モーター209とギア210およびギア211も備える。モーター209はギア210を駆動し、同様にギア211を駆動する。ギア211は親ねじ202に装着されており、モーター209が動作するときは親ねじ202がモーター209によってギア210および211を介して回転する。攪拌システム200はさらに、マルチモーション・アセンブリ206に支持および接続されているスピンドルベアリング・アセンブリ212を具備する。スピンドルベアリング・アセンブリ212は、ベアリング・アセンブリ213、攪拌軸214、および攪拌棒215を備える。ベアリングおよびギア(不図示)を具備するベアリング・アセンブリ213は、攪拌軸214を介して攪拌棒215に接続される。ベアリング・アセンブリ213はタイミングベルト216を介してマルチモーション・アセンブリ206のタイミング滑車(個別に示さない)に接続され、タイミング滑車が回転するときは、攪拌棒215もベアリング・アセンブリ213のギア比と支持力により特定される割合で回転する。当然ながら、タイミングベルト216は、タイミング滑車の歯に対応する一体になった歯(不図示)を有し得る。
【0012】
親ねじシステム201は、ブレーキ板205およびマルチモーション・アセンブリ206を具備する。マルチモーション・アセンブリ206は、(i)親ねじ202に対応するスクリュー・ナット(個別に示さない)と、(ii)スクリュー・ナットをガイドロッド203および204を囲むマルチモーション・アセンブリ206のカラー(個別に示さない)に選択的に強固に接続するためのクラッチ・サブアセンブリ(個別に示さない)を備える。クラッチ・サブアセンブリは、少なくとも2つの状態、つまり係合状態および非係合状態のうちいずれかの状態で動作するように構成されている。
【0013】
係合状態では、スクリュー・ナットは、クラッチ・サブアセンブリを介してガイドロッド203および204の周囲のカラーに強固な取り付けにより親ねじ202の周囲を回転せず、または親ねじ202と共に回転しない。なお、本明細書で使用するように、「強固な取り付け」という用語は、通常の動作条件における強固さを説明する。強固な取り付けは、取り付けられた要素間の静摩擦の比較的高い係数に基づいてよく、強固に取り付けられたと説明した2つの要素は、互いの静摩擦を克服するに十分な力を充てられた場合に、それでも破損することなく互いに移動し得ることに留意されたい。係合状態では、親ねじの回転により、親ねじ202に沿ってマルチモーション・アセンブリ206が直線移動する。一方で、非係合状態では、スクリュー・ナットは、(i)ガイドロッド203および204の周囲のカラーに強固に接続されず、(ii)親ねじ202と連動して回転する。従って、クラッチ・サブアセンブリは、マルチモーション親ねじシステム201が、クラッチ・サブアセンブリの係合状態に応じてスクリュー・ナットを直線移動または回転移動させることを可能にする。
【0014】
ブレーキ板205は、親ねじ202に沿って特定の位置に固定されるように構成されている。マルチモーション・アセンブリ206がブレーキ板205よりも上方にあって接触しないとき、マルチモーション・アセンブリ206のクラッチ・サブアセンブリは係合状態であり、親ねじ202の回転により親ねじ202の回転の方向に応じてマルチモーション・アセンブリ206が(基底台207から離れて)上方に移動するか、または(基底台207に向かって)下方に移動する。しかし、親ねじ202が十分に回転してマルチモーション・アセンブリ206をブレーキ板205と接触させ、同じ方向に回転し続けてブレーキ板205に対してマルチモーション・アセンブリ206を圧迫すると、次いでクラッチ・サブアセンブリは非係合状態になり、親ねじ202が継続して回転することにより、上述した中間部品を介して攪拌棒215を回転させる。その後、親ねじ202が回転の方向を逆にすると、クラッチ・サブアセンブリが再び係合状態になり、攪拌棒215は回転を中止し、マルチモーション・アセンブリ206およびスピンドルベアリング・アセンブリ212は(基底台207から離れて)上方に移動し始める。
【0015】
換言すれば、マルチモーション・アセンブリ206のクラッチ・サブアセンブリが係合状態であって親ねじ202が回転すると、(i)スピンドルベアリング・アセンブリ212がマルチモーション・アセンブリ206と合わせて上下に移動し、(ii)攪拌棒215は回転しない。しかし、マルチモーション・アセンブリ206がブレーキ板205まで下がると、それによってマルチモーション・アセンブリ206のクラッチ・サブアセンブリが非係合状態になる。さらに親ねじ202が同じ方向に回転し続けると、次いで(i)スピンドルベアリング・アセンブリ212がマルチモーション・アセンブリ206と共に下方移動を停止し、(ii)攪拌棒215は親ねじ202が同じ方向に回転し続ける限り回転する。
【0016】
モーター209は、オン/オフスイッチと同じくらい簡単であり得るコントローラ(不図示)により制御される。モーター209用のコントローラはまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、適切にプログラミングされた多目的コンピュータ、または類似する装置など、より一層複雑な装置でもよい。なお、親ねじ202の回転方向は、モーター209が2つの方向に回転させることができるならば、モーター209の回転方向を選択することにより選択されてよい。一実施形態では、モーター209はブラシレス直流(BLDC)モーターである。BLDCモーターは、2つの異なる方向のいずれかに回転させることができる。幾つかの実施形態では、BLDCモーターの回転速度は、コントローラにより比較的精確に選択され得る。親ねじ202の回転方向はまた、自動車の前進ギアまたは後進ギアの選択と同じように、モーター209と親ねじ202との間にあるギアのギア配列を変更して選択されてもよい。
【0017】
図3は、図2のマルチモーション・アセンブリ206の中心にある部品の拡大透視図を示す。マルチモーション・アセンブリ206は、クラッチ300と、ボールベアリング・アセンブリ301および309と、クラッチアダプタ302および310と、バネ303と、ピン304および305と、タイミング滑車306と、スクリュー・ナット307と、ナットアダプタ308とを具備する。クラッチ300と、ボールベアリング・アセンブリ301および309と、クラッチアダプタ302および310と、バネ303と、タイミング滑車306と、スクリュー・ナット307と、ナットアダプタ308とは、2つのカラー(不図示)を備えるスピンドルプレートおよびトッププレート(不図示)により画定される容積に収まって親ねじ202の周囲に配置された実質的に円筒状の部品である。クラッチ300と、ボールベアリング・アセンブリ301および309と、クラッチアダプタ302および310と、バネ303と、タイミング滑車306と、ナットアダプタ308とは、実質的に環状であり、これらの内径は、親ねじ202の外径よりも大きく、結果としてこれらの部品は、親ねじ202と直に接触する状態にはならない。なお、親ねじ202を補完するようにねじ留めされ、且つ親ねじ202に対応するスクリュー・ナット307は、親ねじ202と直に接触する状態になる。また、以下でさらに詳細を論じるピン304および305は、親ねじ202を囲むカラーではなく、親ねじ202と直に接触する状態にもならない。
【0018】
クラッチ300は、上端にクラッチ300の下端部よりも狭い外径を持つ首部311を有する中空シリンダとして概ね形作られている。クラッチアダプタ302は、円筒状を有し、その上端側に、円筒状ピン304および305と対応する垂直凹所312および313を有し、これらのピンは、それぞれの凹所に位置付けられるように構成されている。ピン304および305は、凹所312および313の直径よりもわずかに小さな直径を有し、従ってピン304および305がそれぞれ、凹所312および313の内部で垂直に上下に移動することができる。ねじ山の付いた内部突起314をその上端に有する中空シリンダとして概ね形作られているタイミング滑車306は、下端側に、凹所の直径がピン304および305の直径よりもわずかに大きい、ピン304および305用の対応する凹所(不図示)を有しており、従って、ピン304および305がタイミング滑車306のそれぞれの凹所の内部で垂直に上下移動することができる。なお、タイミング滑車306の突起314は、バネ303用の座金形状の上部支持棚として機能する。バネ303は圧縮バネである。
【0019】
スクリュー・ナット307は、下側首部315、上側首部317、および中間部316を有する。下側首部315は、タイミング滑車306の内部突起314の内部ねじ山と適合する外部ねじ山を有する。上側首部317は、ナットアダプタ308の下側部分の内部ねじ山と適合する外部ねじ山を有する。ナットアダプタ308は、下側部分318および上側部分319を具備する。下側部分318の外径は、上側部分319の外径よりも長い。ナットアダプタ308の下側部分318は、スクリュー・ナット307の上側首部317の外部ねじ山と適合する内部ねじ山(不図示)を有する。なお、下側部分318の内部ねじ山は、下側部分318の上端まで全体にわたって伸長する必要はなく、実際には下側部分318は異なる内径を有してよい。
【0020】
図4は、本発明の一実施形態に係る図2のマルチモーション親ねじシステム201の、係合状態時における簡略化した部分断面図である。上述したように、親ねじシステム201は、親ねじ202と、ガイドロッド203および204と、マルチモーション・アセンブリ206と、ブレーキ板205とを具備する。ねじ山を示すために親ねじ202の側面図が示され、一方で親ねじシステム201の他の要素が断面で示される。マルチモーション・アセンブリ206は、スピンドルプレート401およびトッププレート402により枠組みされている。スピンドルプレート401は、各ガイドロッド203および204のための各カラー403および404と、親ねじ202およびクラッチ300のための開口部405とを備える。マルチモーション・アセンブリ206の中心にある部品を適所に保持するためのキャップとして使用されるトッププレート402は、スピンドルプレート401と強固に、例えば、ねじ(不図示)を用いて取り付けられ、かつ親ねじ202とガイドロッド203および204それぞれのために開口部406、407、および408を備える。
【0021】
マルチモーション・アセンブリ206は、クラッチ・サブアセンブリ410を具備し、同様に、クラッチ・サブアセンブリ410は、クラッチ300と、ボールベアリング・アセンブリ301と、クラッチアダプタ302と、バネ303と、ピン304および305と、タイミング滑車306を具備する。クラッチ300は、開口部405内に位置付けられ、スピンドルプレート401を越えてスピンドルプレート401の下端より下まで伸長する。クラッチ300の外径は、開口部405の内径よりも小さく、従ってクラッチ300はスピンドルプレート401または親ねじ202のいずれかの手段によって上下に摺動しない。しかし、クラッチ300は、ボールベアリング・アセンブリ301の内部リングに強固に接続される。一実装状態では、クラッチ300の首部311は、ボールベアリング・アセンブリ301内の円筒状開口部の中に圧入される。換言すれば、首部311の外径は、ボールベアリング・アセンブリ301の内径と実質的に等しい。ボールベアリング・アセンブリ301に対するクラッチ300の強固な取り付けにより、クラッチ300は親ねじ202から落下しない。ボールベアリング・アセンブリ301の外側リングは、クラッチアダプタ302に強固に接続される。ボールベアリング・アセンブリ301は、2つの同心円リングを回転可能に接続する複数のベアリングボールを具備する従来のリング形状のボールベアリング・アセンブリであり、互いに対し2つのリングによる低摩擦の回転を提供する。
【0022】
クラッチアダプタ302は、スピンドルプレート401と選択的に係合するための摩擦板として機能する。クラッチアダプタ302は、概ね中央部にバネ303用の座金形状の上部支持棚として機能するリング状の内部突起409を有する中空シリンダとして概ね形作られている。図4に示される係合状態では、クラッチアダプタ302の下端は、(圧縮されたバネ303により印加された下向きの力に起因して)スピンドルプレート401に対してしっかりと圧迫され、それによりクラッチアダプタ302とスピンドルプレート401との間に比較的高い摩擦係数による回転防止係合が生み出される。
【0023】
クラッチアダプタ302の上にタイミング滑車306がある。バネ303は、クラッチアダプタ302の突起409およびタイミング滑車306の突起314により創出された凹所の中にある。上述したように、タイミング滑車306は追加して、凹所内に位置付けられるように構成されたピン304および305それぞれのために、下端側に凹所411および412を有する。ピン304および305は、(i)タイミング滑車306およびクラッチアダプタ302が親ねじ202の軸に沿って互いに近づくかまたはさらに離れることを可能にするが、(ii)タイミング滑車306およびクラッチアダプタ302が互いに個別的に回転することを防止する。従って、クラッチアダプタ302およびタイミング滑車306のいずれかが回転を阻まれると、次いでピン305および305により他方も回転を阻まれる。
【0024】
クラッチ・サブアセンブリ410が係合状態のとき、バネ303は(i)タイミング滑車306からクラッチアダプタ302を離すように作用し、それによりクラッチアダプタ302とタイミング滑車306との間に間隙414を創出する。またバネ303は(ii)クラッチアダプタ302をスピンドルプレート401に対してしっかりと圧迫させたままとし、それによりクラッチアダプタ302を回転させない。係合状態では、クラッチアダプタ302はスピンドルプレート401への強固な取り付けにより回転が防止されるので、タイミング滑車306もまた係合状態では回転が防止される。同様に、タイミング滑車306に強固に取り付けられたスクリュー・ナット307もまた、係合状態では、回転が防止される。
【0025】
前述したように、スクリュー・ナット307は、(i)親ねじ202のねじ山と適合する内部ねじ山と、(ii)中央部316の上方および下方にねじ山の付いた首部315および317それぞれを有する実質的に中空シリンダであり、ここで首部315および317の外径は、中央部316の外径よりも短い。タイミング滑車306は、強固な取り付けのためにスクリュー・ナット307のねじ山の付いた下方の首部315にねじ込まれる。スクリュー・ナット307は、クラッチ・サブアセンブリ410を介したガイドロッド203および204への接続により回転が防止されると、スクリュー・ナット307と親ねじ202およびナットアダプタ308との相互作用により、親ねじ202の回転を親ねじ202に沿ったマルチモーション・アセンブリ206の動きを直線運動に変換する。
【0026】
スクリュー・ナット307の上方首部317は、強固な取り付けのためにナットアダプタ308の下側部分318の中にねじ込まれる。ナットアダプタ308の下側部分318は、上方首部317のねじ山に適合する内部ねじ山を有する。ナットアダプタ308の上端部分319は、ナットアダプタ308の下側部分318の内径よりも小さい外径を有する。ナットアダプタ308の中間部は、上端部分319と実質的に同じ内径であり、ナットアダプタ308の下側部分318と実質的に同じ外径を有し得る。
【0027】
ナットアダプタ308の上端部分319の外径は、ボールベアリング・アセンブリ309の内径と実質的に等しく、ナットアダプタ308の上端部分319は、ボールベアリング・アセンブリ309の内側リングに強固に接続されることになる。ボールベアリング・アセンブリ309はボールベアリング・アセンブリ301と実質的に類似しており、クラッチアダプタ310はクラッチアダプタ302と実質的に類似している。なお、クラッチアダプタ310はクラッチアダプタ302の凹所313および312と類似する凹所を有してよいが、凹所はピンを収納するためには使用されない。本明細書で記載する実質的に類似する要素は、互いに同一であってよく、または材料とみなされない変更があってもよいことにも留意されたい。ボールベアリング・アセンブリ309は、クラッチアダプタ310の下端部413の内径に実質的に等しく、それによりボールベアリング・アセンブリ309の外側リングがクラッチアダプタ310と強固に接続することが可能となる。クラッチアダプタ310の上端は、トッププレート402に対してしっかりと圧迫され、それによってクラッチアダプタ310とトッププレート402との間の比較的高い摩擦係数に起因して、回転防止接続が生み出される。
【0028】
親ねじ202が係合状態でクラッチ・サブアセンブリ410とともに回転すると、マルチモーション・アセンブリ206が親ねじ202の回転方向に応じて上下に移動する。親ねじ202が方向202aに回転する場合、このとき親ねじ202のねじ山の方向とスクリュー・ナット307の適合するねじ山により、マルチモーション・アセンブリ206が上方に移動する。反対に、親ねじ202が方向202bに回転する場合、このときマルチモーション・アセンブリ206が下方に移動する。マルチモーション・アセンブリ206は、保持部材(不図示)によりガイドロッド203および204に対して適所に保持されるブレーキ板205の所まで自由に降りることができる。なお、係合状態でクラッチ・サブアセンブリ410を用いると、マルチモーション・アセンブリ206が親ねじ202の回転運動に応じて上下に移動するが、マルチモーション・アセンブリ206のどの部品も親ねじ202の回転運動に応じて回転しない。
【0029】
図5は、非係合状態時のマルチモーション親ねじシステム201の簡略化した部分断面図を示す。図5の要素は、図4の要素と同一であり、同様にラベル付けされている。なお、一層簡易にするため、図4でラベル付けされた親ねじシステム201の幾つかの要素は、図5ではラベル付けされていない。図5は、ブレーキ板205によって係合していないマルチモーション・アセンブリ206のクラッチ・サブアセンブリ410を示す。クラッチ・サブアセンブリ410は、マルチモーション・アセンブリ206がクラッチ300がブレーキ板205と接触する位置をちょうど超える位置に下がるとが次第に解放される。クラッチ300がブレーキ板205と接触した後に親ねじ202が方向202bに回転を続けるにつれ、マルチモーション・アセンブリ206はさらに若干下がり、クラッチ300はマルチモーション・アセンブリ206の停止部に対して押し上げられる。同様に、これによりボールベアリング・アセンブリ301およびクラッチアダプタ302も押し上げられる。この移動はまた、バネ303を圧縮し、クラッチアダプタ302とタイミング滑車306との間の間隙414を部分的または完全に閉じる。さらに、この移動はまた、クラッチアダプタ302とスピンドルプレート401との間に間隙501を創出する。これは、クラッチアダプタ302がもはやスピンドルプレート401に対してしっかりと圧迫されておらず、今ではスピンドルプレート401に対して自由に回転することができることを意味する。なお、クラッチアダプタ302は、ボールベアリング・アセンブリ301に取り付けられたままであり、かつピン304および305を介してタイミング滑車306とに取り付けられたままである。
【0030】
なお、クラッチ・サブアセンブリ410が非係合状態であり、親ねじ202の方向202bへのさらなる回転は、スクリュー・ナット307およびサブアセンブリ410に取り付けられた要素(例えばナットアダプタ308、タイミング滑車306、バネ303、およびクラッチアダプタ302)を親ねじ202とともに方向202bへと回転させる。なお、ボールベアリング・アセンブリ309の内側リングおよびボールベアリング・アセンブリ301の外側リングもスクリュー・ナット307とともに方向202bへと回転する。ピン304および305も親ねじ202の周囲を方向202bに周回し得ることにも留意されたい。
【0031】
親ねじ202が方向202bに回転し続ける限り、(i)マルチモーション・アセンブリ206はブレーキ板205に保持されて適所に留まり、(ii)スクリュー・ナット307およびナット307に取り付けられた要素は親ねじ202と共に回転し続ける。親ねじ202が方向を変えて方向202aに回転する場合、このとき(i)図5に関して上述した移動は反対向きになり、(ii)マルチモーション・アセンブリ206の部品は図4に示される配置へと戻り、(iii)マルチモーション・アセンブリ206は上方に移動してブレーキ板205から離れる。このとき親ねじシステム201は、図4を説明する節で記載したように動作する。クラッチ300は、係合状態でも非係合状態でも親ねじ202とともに回転しないことに留意されたい。
【0032】
他のクラッチ関連の文脈におけるように、「係合された」という用語は、クラッチ・アセンブリの摩擦板が対応する表面に対してしっかりと圧迫されるときのクラッチ・サブアセンブリの状態を言及するために使用されることに留意されたい。典型的なクラッチ関連の状況において、クラッチ・サブアセンブリを係合することは、典型的にはエンジンに接続される対応する表面と共に回転するクラッチ・サブアセンブリを有することを意味する。しかし、典型的なクラッチ関連の状況と異なり、図4のクラッチ・サブアセンブリ410を係合することは、対応する表面が回転せずモーター軸に強固に接続されないため、実際にはクラッチ・サブアセンブリが回転することを防止する。
【0033】
図4のマルチモーション・アセンブリ206のクラッチ・サブアセンブリ410が係合状態のとき、マルチモーション・アセンブリ206の部品は親ねじ202が回転しても回転しないという本発明のある実施形態を記載した。代替的な実施形態は、マルチモーション・アセンブリ206に部品を追加してよい。この場合、クラッチ・サブアセンブリが係合状態のとき、マルチモーション・アセンブリ206の他の部品は回転しないが、追加の部品は親ねじ202と共に回転する。
【0034】
図4および図5のクラッチ300が、親ねじ202と共に回転しないとう本発明のある実施形態を記載した。代替的な一実施形態では、ボールベアリング・アセンブリ301が取り除かれ、クラッチ300がクラッチアダプタ302に強固に取り付けられる。代わりに、ブレーキ板205またはクラッチ300のいずれかがボールベアリング・アセンブリを具備し、それによって非係合状態では、ブレーキ板205がクラッチ300を圧迫するとボールベアリング・アセンブリによりクラッチ300がクラッチアダプタ302および親ねじ202と共に回転することを可能にする。代替的な一実施形態では、クラッチアダプタ302およびクラッチ300は単一の要素に接合される。
【0035】
代替的な一実施形態では、バネは図4のクラッチアダプタ310をトッププレート402に圧迫するために使用される。このバネの使用には、マルチモーション・アセンブリ206の部品を適切に変更することが必要となり得る。
【0036】
図4のクラッチアダプタ302がスピンドルプレート401に対して圧迫されるという本発明のある実施形態を記載した。代替的な一実施形態では、スピンドルプレート401へのクラッチアダプタ302の接触領域は、スピンドルプレート401の停止部の材料と異なる材料で作製される。例えば、スピンドルプレート401が金属製の場合、この際に接触領域は、接触時にクラッチアダプタ302に良好な把持性を与えるため幾分か高摩擦性材料であってよい。同様に、クラッチアダプタ310の接触領域はまた、トッププレート402の停止部と異なる材料で作製されてよい。なお、任意の実施形態におけるいずれかの接触領域の接触面は、(i)プレートの停止部の高さと同じか、(ii)プレートの停止部高さより下か、または(iii)プレートの停止部の高さより上に引き上げられてよい。一実装形態では、クラッチアダプタ302と接触するスピンドルプレート401の領域は比較的滑面に機械加工され、それによりクラッチアダプタ302はむらなくすり減る。一実装形態では、スピンドルプレート401は鋳造物であり、従って比較的荒削りであり、滑面の座ぐりがスピンドルプレート401の接触領域に機械加工により形成される。別の実装形態では、スピンドルプレート401は機械加工され、従って比較的滑らかな、スピンドルプレート401の接触領域が形成されるが、座ぐりは形成されない。
【0037】
スクリュー・ナット307が図4のナットアダプタ308およびタイミング滑車306に強固に取り付けられるという本発明のある実施形態を記載した。代替的な一実施形態では、ナットアダプタ308が排除され、スクリュー・ナット307および/またはボールベアリング・アセンブリ309を適切に変更することにより、スクリュー・ナット307がボールベアリング・アセンブリ309に直接結合する。別の代替的な実施形態では、スクリュー・ナット307はナットアダプタ308およびタイミング滑車306のいずれかまたは両方と一体化して単一の要素を形成する。
【0038】
2つのピン、すなわち図4のピン304および305がクラッチアダプタ302およびタイミング滑車306を相互に接続させるという本発明のある実施形態を記載した。代替的な一実施形態では、等間隔に隔離した3つのピンが代わりに使用される。他の代替的な実施形態では、異なる数のピンがクラッチアダプタ302およびタイミング滑車306を相互接続させるために使用される。
【0039】
図4のクラッチアダプタ302およびタイミング滑車306を相互に接続させるピンと、クラッチアダプタ302およびタイミング滑車306にある対応する凹所とが円筒状であるという本発明のある実施形態を記載した。幾つかの代替的な実施形態では、相互接続ピンおよび対応する凹所は、任意の好適な断面を有する直角柱など、好適な角柱形状である。一般的に、ピンおよび対応する凹所はクラッチアダプタ302およびタイミング滑車306が互いに接近するかまたは離れることを可能にしつつ、互いが個別に回転しないようにする任意の好適な形状でできていればよい。幾つかの代替的な実施形態では、ピンを備えていない代替的な機構が、クラッチアダプタ302およびタイミング滑車306が互いに接近するかまたは離れることを可能にしつつ、互いが個別に回転しないようにするために使用される。
【0040】
図4のクラッチアダプタ302およびタイミング滑車306を相互接続するピンは、クラッチアダプタ302およびタイミング滑車306両方の対応する凹所内で自由に移動できるという本発明の実施形態を記載した。代替的な一実施形態では、1つ以上の相互接続ピンは、クラッチアダプタ302に強固に取り付けられるかまたはクラッチアダプタ302の一部を形成する。別の代替的な実施形態では、1つ以上の相互接続ピンは、タイミング滑車306に強固に取り付けられるかまたはクラッチアダプタ302の一部を形成する。
【0041】
図2、図4、および図5のブレーキ板205は、保持機構(不図示)により適所に保持されることを記載した。一実施形態では、ブレーキ板205は1つの位置に留まるように据付けられる。別の実施形態では、ブレーキ板205は、2つ以上の予め選択された位置(例えば図2の基底台207に対して異なる高度)のいずれかに、保持機構により据付けられてよい。この場合、ユーザは予め選択した一方の位置から他方の位置に手動でブレーキ板205を移動させることができる。別の実施形態では、ブレーキ板205は、ユーザにより選択されるように基本的に無限数の位置のうちいずれかの位置で保持機構により据付けられてよい。
【0042】
クラッチ・サブアセンブリが、マルチモーション・アセンブリの一部ではないブレーキ板との接触により非係合するという本発明のある実施形態を記載した。代替的な一実施形態では、ブレーキ板はマルチモーション・アセンブリと一体化され、選択的に(i)クラッチ・サブアセンブリを解放することができるようにブレーキ板制御機構(不図示)を介して適所に固定され得、(ii)自由にクラッチ・サブアセンブリと係合し、マルチモーション・アセンブリと共にブレーキ板が移動することが可能となる。別の代替的な実施形態では、マルチモーション・アセンブリが選択的にクラッチ・サブアセンブリを係合または非係合する内部機構を具備するためブレーキ板は必要とされない。そのような内部機構は、例えば、1つ以上の制御可能な電磁石を備えてよい。
【0043】
2つのガイドロッドを囲むカラーがスクリュー・ナットの回転を防止するために使用され、それにより対応する親ねじの回転に応じてスクリュー・ナットの直線運動を制御するという本発明のある実施形態を記載した。本発明は、そのような実施形態に限定されない。回転運動を直線運動に変換することに関し、同じ結果を達成するために他の数のガイドロッドおよび他の機構が使用可能である。さらに、同じ結果を達成するために、将来は他の機構が開発され得る。本発明の実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなくそのような代替的な機構を使用してよい。
【0044】
マルチモーション・アセンブリ部品の特定の収集物および配置を使用して本発明のある実施形態を記載した。代替的な実施形態は、同じ結果を達成するために1つ以上の異なる部品を使用してよい。
【0045】
図2のタイミングベルト216を介して駆動される特定のスピンドルベアリング・アセンブリを用いて本発明のある実施形態を記載した。代替的な実施形態も同様に検討されることに留意されたい。代替的な一実施形態では、動力は、ベルトではなく1つ以上の媒介物である歯車および/またはシャフトを使用することにより伝達される。代替的な一実施形態では、スピンドルベアリング・アセンブリ212はベアリング・アセンブリ213を備えず、代わりにタイミングベルト216またはその等価物が攪拌軸214の一部分を周回する。代替的な一実施形態では、ベアリング・アセンブリ213は、タイミングベルト216により駆動され、(ii)攪拌軸214に強固に接続される1つのギアホイールのみを具備する。代替的な一実施形態では、ベアリング・アセンブリ213は、例えば、攪拌軸214を様々な速度で回転可能としつつもタイミングベルト216を一定速度で移動させる様々な伝達機構を具備する。特定の伝達設定が現在当業者に知られている任意の手段または後に開発される任意の手段によって選択されてよい。代替的な実施形態では、攪拌棒215は、例えば、水中の試料を保持する試料バスケットなど他の装着具と取り換えられる。
【0046】
図2の攪拌システム200の一実装形態では、タイミング滑車306は外周に歯を有し、タイミングベルト216は内側に適合する歯を有する。ベアリング・アセンブリ213の対応する部品もまた、その外部にタイミングベルト216の歯に適合する歯を有する。対応する様々な歯は対応する部品の互いの把持性の向上に役立ち、攪拌棒215の回転を一層精確に制御することが可能となる。
【0047】
特定の要素が特定の機能を行うことを例示的な実施形態で記載した。しかし、特定の機能は任意の好適な要素または要素の収集物により達成され、例示的な実施形態で命名した特定の要素により達成されることに制限されるものではない。
【0048】
当業者であれば、以下の請求の範囲で示す本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の本質を説明するために記載および例示した部品の細部、材料、および配置において種々の変更を成し得ることがさらに理解されよう。
【0049】
本明細書で言及する「一実施形態」または「ある実施形態」とは、本発明の少なくとも1つの実施形態に包含され得る実施形態と関連して記載した特定の特性、構造、または特徴を意味する。本明細書の様々な場所で使用された「一実施形態では」という語句の状況は、必ずしも同一の実施形態を言及しているわけでも、他の実施形態を必然的に相互に除く個別的または代替的な実施形態でもない。同じことが「実装」に対しても当てはめられる。
【0050】
他に明確に提示しない限り、各数値および各範囲は、「約」または「概ね」という用語が値または範囲の値に先立つかのように概算として解釈されるべきである。本出願で使用されるように、他に明確に示さない限り、「接続された」という用語は、要素間における直接接続も関節接続も含めることを意図する。
【0051】
説明のため、「連結」、「連結する」、「連結された」、「接続」、「接続する」、または「接続」されたという用語は、当技術分野または後に開発される任意の方法にまで言及し、エネルギーは2つ以上の要素間で伝達可能であり、必要ではないが1つ以上の追加要素の介在が想定される。「直接連結された」、「直接接続された」という用語は、例えば接続された要素が接触していることを意味する。
【0052】
請求の範囲における図番および/または図の参照符号の使用は、請求の範囲の解釈を促すために、請求する主題の1つ以上の可能性のある実施形態を特定することを目的とする。この使用は、対応する図面に示される実施形態にまでこれらの請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0053】
本出願の請求の範囲に保護される実施形態は、(1)本明細書により可能となり、(2)法定の主題に対応する実施形態に限定される。不可能な実施形態および非法定の主題は、これらが請求の範囲に収まる場合でも明確に否定される。
【0054】
以下の方法の請求項におけるステップは、対応する標識を用いて特定の順序で列挙されているが、請求項の列挙は、他にこれらのステップの複数または全てを実施するための特定の順序を示唆しない限り、これらのステップは必ずしも該特定の順序で実施されることに限定されることを意図するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチモーション・アセンブリ(206)を具備する装置であって、前記マルチモーション・アセンブリが、
親ねじ(202)の外部ねじ山に適合する内部ねじ山を有するスクリュー・ナット(307)と、
前記スクリュー・ナットに接続され、係合状態および非係合状態のいずれか1つの状態で動作するように適合されたクラッチ・サブアセンブリ(410)とを具備し、
前記係合状態では、前記クラッチ・サブアセンブリは前記スクリュー・ナットが前記親ねじと共に回転することを防止し、それによって前記親ねじの回転により前記スクリュー・ナットが直線に移動し、
前記非係合状態では、前記クラッチ・サブアセンブリは前記スクリュー・ナットを回転可能にし、それによって前記親ねじの回転により前記スクリュー・ナットが対応して回転する、装置。
【請求項2】
前記マルチモーション・アセンブリはさらに、前記親ねじ用の第1開口部(405)と第1ガイドロッド(204)用の第2開口部(404)とを有するスピンドルプレート(401)を具備し、
前記第1ガイドロッドは前記親ねじに実質的に平行であり、
前記スピンドルプレートは前記親ねじと前記第1ガイドロッドに沿って進むように適合されており、
前記係合状態では、前記クラッチ・サブアセンブリは前記スクリュー・ナットを前記スピンドルプレートに強固に接続し、
前記非係合状態では、前記クラッチ・サブアセンブリは前記スクリュー・ナットを前記スピンドルプレートに回転可能に接続する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第1端部および対向する第2端部を有する前記親ねじと、
第1端部および対向する第2端部を有する前記第1ガイドロッドと、
前記親ねじに回転力を提供するために接続されたモーター(209)と、
前記親ねじおよび前記第1ガイドロッドの前記第1端部を安定させるように適合された基底台(207)と、
前記親ねじおよび前記第1ガイドロッドの前記第2端部を安定させるように適合された装置のトッププレート(208)とをさらに具備する請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記クラッチ・サブアセンブリは、
前記親ねじの周囲に配置され、前記スクリュー・ナットに強固に接続されたタイミング滑車(306)と、
前記親ねじの周囲に配置され、前記タイミング滑車に移動可能に接続された第1クラッチアダプタ(302)とを具備し、
前記係合状態では、前記第1クラッチアダプタは前記スピンドルプレートに対して圧迫され、それによって前記第1クラッチアダプタおよび前記タイミング滑車が前記親ねじと共に回転せず、
前記非係合状態では、前記第1クラッチアダプタが前記スピンドルプレートに接触せず、それによって前記第1クラッチアダプタおよびタイミング滑車が前記親ねじと共に回転する、請求項2または請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記タイミング滑車は、1つ以上の対応する接続ピン(304、305)用の1つ以上の凹所(411、412)を有し、
前記第1クラッチアダプタは、1または複数の前記接続ピン用の1つ以上の対応する凹 (313、312)を有し、
前記クラッチ・サブアセンブリはさらに、前記タイミング滑車および前記第1クラッチアダプタの対応する凹所内で位置を変えるように配置され形作られた前記1つ以上の接続ピンを具備する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記装置はさらに、前記親ねじ用の開口部を有するブレーキ板(205)を具備し、
前記クラッチ・サブアセンブリはさらに、前記第1クラッチアダプタに回転可能に接続されたクラッチ(300)を具備し、
前記係合状態では、前記ブレーキ板は前記クラッチと接触せず、
前記非係合状態では、前記第1クラッチアダプタおよび前記タイミング滑車が前記親ねじと共に回転するように、前記クラッチは前記ブレーキ板に対して圧迫される、請求項4または請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ブレーキ板は、前記親ねじに沿って複数の異なる位置のいずれかに位置付けできる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記クラッチ・サブアセンブリはさらに、前記タイミング滑車を前記第1クラッチアダプタから隔離するような力を与える、前記タイミング滑車と前記第1クラッチアダプタとの間に配置された圧縮バネ(303)を具備する、請求項4乃至請求項7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記クラッチ・サブアセンブリがさらに、
前記親ねじの周囲に配置され、前記スクリュー・ナットに強固に接続され、かつ
1つ以上の対応する接続ピン用の1つ以上の凹所を有するタイミング滑車と、
前記親ねじの周囲に配置され、前記タイミング滑車に移動可能に接続され、かつ前記1つ以上の対応する接続ピン用の1つ以上の凹所を有する第1クラッチアダプタとであって、
前記係合状態では、前記第1クラッチアダプタは前記スピンドルプレートに対して圧迫され、それにより前記第1クラッチアダプタおよび前記タイミング滑車は親ねじと共に回転せず、
前記非係合状態では、前記第1クラッチアダプタは前記スピンドルプレートと接触せず、それにより前記第1クラッチアダプタおよび前記タイミング滑車は前記親ねじと共に回転する前記タイミング滑車および前記第1クラッチアダプタと、
前記親ねじの周囲に配置されたボールベアリング・アセンブリ(301)と、
前記親ねじの周囲に配置され、前記ボールベアリング・アセンブリを介して前記第1クラッチアダプタに回転可能に接続されたクラッチと、
前記第1クラッチアダプタおよび前記タイミング滑車の対応する前記凹所内で位置を変えるように配置され形作られた前記1つ以上の接続ピンと、
前記第1クラッチアダプタから前記タイミング滑車を隔離するような力を与えるために前記タイミング滑車と前記第1クラッチアダプタとの間に配置された圧縮バネとを具備し、
前記マルチモーション・アセンブリがさらに、
前記親ねじの周囲に配置され、前記スクリュー・ナットに強固に接続されたナットアダプ(308)と、
前記スピンドルプレートに強固に接続され、前記親ねじおよび第1ガイドロッド用の開口部(406、408)を有するアセンブリ用トッププレート(402)と、
前記親ねじの周囲に配置された第2ボールベアリング・アセンブリ(309)と、
(i)前記親ねじの周囲に配置され、(ii)前記第2ボールベアリング・アセンブリを介して前記ナットアダプタに回転可能に接続され、(iii)前記トッププレートに対して圧迫される第2クラッチアダプタ(310)とを具備する、請求項2または請求項3に記載の装置。
【請求項10】
前記スクリュー・ナットは、ねじ山の付いた上側首部(317)およびねじ山の付いた下側首部(315)を有し、
前記タイミング滑車は、ねじ山の付いた内部突起(314)をその上端に有する中空シリンダであり、
前記タイミング滑車のねじ山の付いた内部突起は、前記スクリュー・ナットの下側首部の前記ねじ山に適合し、
前記第1および前記第2クラッチアダプタの各々は、中央部に溝付きの内部突起(409)を有する中空シリンダであり、
前記圧縮バネは前記タイミング滑車および前記クラッチアダプタの前記内部突起により形成された凹所に配置され、
前記ナットアダプタは下側部分(318)および上側部分(319)を有し、
前記ナットアダプタの上側部分は、前記ナットアダプタの下側部分の外径よりも小さな外径を有し、
前記ナットアダプタの下側部分は前記スクリュー・ナットの上側首部のねじ山に適合する内側ねじ山を有し、
前記第1および前記第2ボールベアリング・アセンブリの各々は、2つの同心円状の輪を回転可能に接続する複数のベアリングボールを有し、
前記クラッチは下端部よりも小さな外形を有する上端首部(311)および前記下端部を有する中空シリンダであり、
前記クラッチの外径は、前記親ねじ用の前記スピンドルプレートの開口部の直径未満である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記マルチモーション・アセンブリが前記ブレーキ板と接触しない場合、このとき前記マルチモーション・アセンブリは前記係合状態となり、前記親ねじの回転に応じて、前記親ねじに沿って自由に進むことができ、
前記マルチモーション・アセンブリが前記ブレーキ板に対して圧迫される場合、このとき前記マルチモーション・アセンブリは前記親ねじの回転と連動して回転する、請求項1乃至請求項5および請求項9乃至請求項10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記マルチモーション・アセンブリに強固に接続されたスピンドルベアリング・アセンブリ(212)をさらに具備し、前記スピンドルベアリング・アセンブリは前記マルチモーション・アセンブリに接続された攪拌棒(214)を具備し、それによって、
前記係合状態では、前記マルチモーション・アセンブリの直線運動に対応して前記親ねじの回転により前記スピンドルベアリングが直線に移動し、
前記非係合状態では、前記親ねじの回転により前記攪拌棒が対応して回転する、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記マルチモーション・アセンブリは、前記親ねじの周囲に配置され、前記スクリュー・ナットに強固に接続されたタイミング滑車を具備し、
前記スピンドルベアリング・アセンブリはタイミングベルト(216)を介して前記タイミング滑車に接続される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
第1方向に前記親ねじを回転することで前記クラッチ・サブアセンブリを前記係合状態から前記非係合状態に切り替える場合、
このとき、前記親ねじを前記第1方向に回転し続けることで、前記クラッチ・サブアセンブリを前記非係合状態に保ち、
前記親ねじの回転を第2方向に回転するように逆にすることで、前記クラッチ・サブアセンブリを前記非係合状態から前記係合状態に切り替える、請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
(i)親ねじの外部ねじ山と適合する内部ねじ山を有するスクリュー・ナットと、(ii)係合状態および非係合状態のいずれかの状態で動作するために前記スクリュー・ナットに接続されたクラッチ・サブアセンブリとを具備するマルチモーション・アセンブリを具備する装置を動作させる方法であって、
前記係合状態では、前記スクリュー・ナットが前記親ねじと共に回転することを防止し、それによって前記親ねじの回転により前記スクリュー・ナットが直線に移動するように前記クラッチ・サブアセンブリを使用することと、
前記非係合状態では、前記スクリュー・ナットが前記親ねじと共に回転することを可能にし、それによって前記親ねじの回転により前記スクリュー・ナットが対応して回転するように前記クラッチ・サブアセンブリを使用することと、を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−189214(P2012−189214A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−53536(P2012−53536)
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【出願人】(512062017)ディステック,インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】