説明

親水性ポリイソシアネート混合物

【課題】水分散性ポリイソシアネートの全ての応用分野に適した、特に水性ポリウレタン被覆材料用の架橋剤成分として適した、新規な親水的変性ポリイソシアネートを提供すること。
【解決手段】 A)式(I):
【化1】


〔式中、Rは水素またはメチル基;Rは炭化水素基;Rは炭化水素基;およびnは1〜100の整数〕で示される構造単位を含有するポリイソシアネートおよびB)必要に応じてA)ではないさらなるポリイソシアネートおよびC)イオン性および/または非イオン性乳化剤を含んでなる、親水性ポリイソシアネート混合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアクリレート変性ポリイソシアネートに基づく新規親水性ポリイソシアネート混合物、それらの製造方法、およびポリウレタンプラスチックの製造における出発成分としてのそれらの使用、特にイソシアネート基に対して反応性の基を含有する水溶性または水分散性フィルム形成結合剤または結合剤成分用の架橋剤としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
環境法規が益々厳しくなる背景に、近年、種々の応用分野に関して、水分散性ポリイソシアネートの重要性が増大している。今日、それらは、特に高品質水希釈性2成分ポリウレタン(2KPU)被覆材料用の架橋剤成分としての使用または水性分散体接着剤用の補助剤としての使用が見出され、繊維製品仕上げにおける水性分散体またはホルムアルデヒド非含有繊維製品印刷用インクの架橋に役立ち、さらに、例えば、紙の湿潤強度補助剤として適当である(例えば、欧州特許出願公開EP-A 0 959 087(特許文献1)およびその引用文献を参照のこと)。
【0003】
水分散性ポリイソシアネートを製造するための、多様な異なる既知の方法が存在する。その例としては、疎水性ポリイソシアネートと親水性ポリエーテルアルコールとの反応(例えば、欧州特許EP-B 0 206 059(特許文献2)、欧州特許EP-B 0 540 985(特許文献3)および欧州特許EP-B 0 959 087(特許文献4)参照)、特定の親水性ポリエーテルウレタンとの混合および/または反応(例えば、欧州特許EP-B 0 486 881(特許文献5)および国際公開WO 2005/047357(特許文献6))、イオン性基含有化合物との反応(例えば、国際公開WO 01/88006(特許文献7)参照)、または疎水性ポリイソシアネートとイソシアネート基に対して不活性である適当な乳化剤との単純な混合(例えば、国際公開WO 97/31960(特許文献8)参照)が挙げられる。
【0004】
非常に多種多様な用途に関して、それらは幅広く受け入れられているのにもかかわらず、現在利用可能な親水的変性ポリイソシアネートは欠点を有する。変性のタイプにかかわらず、水性2KPU被覆材料中に存在し、主として用いられるポリイソシアネートは、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)系水分散性ポリイソシアネートである。低温においてさえも、これらのポリイソシアネートは、通常、化学的および機械的暴露に対して良好な耐性を有する被覆物を導く。しかしながら、これらは、多くの場合、不十分な乾燥速度を示し、および比較的低い最終硬度を示す。したがって、親水性HDIポリイソシアネートは、度々、適切に変性したイソホロンジイソシアネート(IPDI)系ポリイソシアネートと組み合わされて用いられる(例えば、国際公開WO 2004/022623(特許文献9)およびWO 2004/022624(特許文献10)参照)。これにより、被覆フィルムの乾燥および特に硬度の進展を顕著に促進させることができる。それにもかかわらず、完全な化学的架橋のため、IPDIポリイソシアネートは、100℃以上の領域の温度を必要とする。室温にて、または徐々の強制的乾燥(約60℃)によって得られた被覆フィルムは、実際、迅速に手で触れる位まで乾燥および硬化するが、専らHDIポリイソシアネートによって架橋された被覆物よりも低い耐溶媒性および耐薬品性を有する。
【特許文献1】欧州特許出願公開EP-A 0 959 087
【特許文献2】欧州特許EP-B 0 206 059
【特許文献3】欧州特許EP-B 0 540 985
【特許文献4】欧州特許EP-B 0 959 087
【特許文献5】欧州特許EP-B 0 486 881
【特許文献6】国際公開WO 2005/047357
【特許文献7】国際公開WO 01/88006
【特許文献8】国際公開WO 97/31960
【特許文献9】国際公開WO 2004/022623
【特許文献10】国際公開WO 2004/022624
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、先行技術の欠点によって妨げられない、水分散性ポリイソシアネートの全ての応用分野に適した、特に水性ポリウレタン被覆材料用の架橋剤成分として適した、新規な親水的変性ポリイソシアネートを提供することが本発明の目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本目的は、以下に詳細に説明する親水性ポリイソシアネート混合物を提供することによって達成された。
本発明は、ポリアクリレート構造を含有する革新的なポリイソシアネートに基づく親水的変性ポリイソシアネートが、既知の親水性HDIポリイソシアネートよりも物理的乾燥における著しい改善において卓越し、同時に、既知の親水性IPDIポリイソシアネートと比べて、穏やかな硬化条件下でさえも完全に架橋して非常に高い耐溶媒性および耐薬品性を有する被覆フィルムを与えるという、驚くべき観察に基づく。
【0007】
本発明は、
A)式(I):
【0008】
【化1】

【0009】
〔式中、
Rは、水素またはメチル基であり、
は、必要に応じてヘテロ原子を含有する、22個までの炭素原子を有する炭化水素基であり、
は、少なくとも1つのイソシアネート基と、さらに、必要に応じて、ウレタン、アロファネート、ビウレット、ウレトジオン、イソシアヌレートおよび/またはイミノオキサジアジンジオン単位を含有する炭化水素基であり、および
nは、1〜100の整数である〕
で示される少なくとも1つの構造単位を含有する少なくとも1つのポリイソシアネートと、
B)必要に応じて、脂肪族的に、脂環族的に、芳香族的におよび/または芳香脂肪族的に結合したイソシアネート基を含有する、A)ではないさらなるポリイソシアネートと、
C)少なくとも1つのイオン性および/または非イオン性乳化剤と
を含んでなる、親水性ポリイソシアネート混合物を提供する。
【0010】
本発明は、さらに、ポリウレタンプラスチックの製造における出発成分としての親水性ポリイソシアネート混合物の使用、特に水溶性または水分散性フィルム形成結合剤またはフィルム形成結合剤成分用の架橋剤成分としての親水性ポリイソシアネート混合物の使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の親水性ポリイソシアネート混合物は、好適な一実施態様において、成分A)として、5重量%〜25重量%(好適には7重量%〜22重量%)のNCO含量、2以上(好適には2.2〜6.0)の平均NCO官能価、および150〜200000mPa・sの23℃での粘度を有する、少なくとも1つのポリアクリレート変性ポリイソシアネートを含有する。これらの特定のポリイソシアネートA)は、式(I):
【0012】
【化2】

【0013】
〔式中、
Rは、水素またはメチル基であり、
は、必要に応じてヘテロ原子を含有する、22個までの炭素原子を有する炭化水素基であり、
は、少なくとも1つのイソシアネート基と、さらに、必要に応じて、ウレタン、アロファネート、ビウレット、ウレトジオン、イソシアヌレートおよび/またはイミノオキサジアジンジオン単位を含有する炭化水素基であり、
nは、1〜100の整数である〕
で示される構造単位を含有する。
【0014】
この種類のポリアクリレート変性ポリイソシアネートの製造は既知である。それは、独国特許DE0456849(本出願の優先日には未公開)に記載されるように、出発ポリイソシアネートA1)の幾つかのイソシアネート基と、アクリレートおよび/またはメタクリレート基を含有する少なくとも1つのモノアルコールA2)とを、ウレタン化を伴って反応させ、その後、得られた反応生成物の不飽和基の重合(またはウレタン化反応の間でさえもフリーラジカル重合)を、単独重合の様式で、または必要に応じてさらなる不飽和モノマーとの共重合の様式で行うことによって行う。
【0015】
ポリアクリレート変性ポリイソシアネートA)を製造するのに適当な出発ポリイソシアネートA1)は、例えば、ホスゲン化またはホスゲン非含有方法(例えば、熱ウレタン開裂)などによって得られる、任意の所望のジイソシアネートモノマーおよびトリイソシアネートモノマーである。好適なジイソシアネートは、脂肪族的に、脂環族的に、芳香脂肪族的におよび/または芳香族的に結合したイソシアネート基を含有する、140〜400g/モルの分子量範囲のもの、例えば、1,4-ジイソシアナトブタン、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,3-および1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、2,4-および2,6-ジイソシアナト-1-メチルシクロヘキサン、1,3-および1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、4,4'-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、2,4'-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、1-イソシアナト-1-メチル-4(3)イソシアナトメチルシクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン、1,3-および1,4-ビス(2-イソシアナトプロパ-2-イル)ベンゼン(TMXDI)、2,4-および2,6-ジイソシアナト-トルエン(TDI)、2,4'-および4,4'-ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)、1,5-ジイソシアナトナフタレンまたはこのようなジイソシアネートの任意の所望の混合物である。出発ポリイソシアネートA1)として特に適当なトリイソシアネートモノマーは、例えば、4-イソシアナトメチル-1,8-ジイソシアナトオクタンである。
【0016】
しかしながら、また、ポリアクリレート変性ポリイソシアネートA)を製造するのに適当な出発ポリイソシアネートA1)は、例えば、J. Prakt. Chem. 336(1994)185-200およびEP-A 0 798 299に例示される種類の、上記脂肪族、脂環族、芳香脂肪族および/または芳香族ジイソシアネートを変性することにより得られ得る任意の所望のポリイソシアネートであり、これらのポリイソシアネートは、少なくとも2つのジイソシアネートから合成され、およびウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有する。
【0017】
出発成分A1)は、好適には、専ら脂肪族的におよび/または脂環族的に結合したイソシアネート基を含有し、2.0〜5.0(好適には2.3〜4.5)の平均NCO官能価、8.0重量%〜27.0重量%(好適には14.0重量%〜24.0重量%)のイソシアネート基含量、および1重量%未満(好適には0.5重量%未満)のジイソシアネートモノマー含量を有する、上記種類のポリイソシアネートである。
【0018】
特に好適な出発成分A1)は、HDI、IPDIおよび/または4,4'-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンに基づくイソシアヌレート構造を有する上記種類のポリイソシアネートである。
【0019】
ポリアクリレート変性ポリイソシアネートA)を製造するため、上記出発ポリイソシアネートA1)を、適当な不飽和モノアルコールA2)と反応させる。これらは、例えば、既知のアクリル酸および/またはメタクリル酸のヒドロキシ官能性エステルであり、例えばヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート(プロピレンオキシドとアクリル酸との付加反応で形成された異性体混合物)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(プロピレンオキシドとメタクリル酸との付加反応で形成された異性体混合物)およびブタンジオールモノアクリレートである。
【0020】
他の適当なモノアルコールA2)は、上記アクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシエステルと、異なる量の環式ラクトンまたはモノエポキシドとの反応生成物である。用いられる環式ラクトンは、好適にはε-カプロラクトンであり、および用いられる好適なモノエポキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはそれらの混合物である。
【0021】
さらに、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートと任意の所望のモノカルボン酸との反応生成物、またはアクリル酸またはメタクリル酸と任意の所望のモノエポキシドとの反応生成物は、ヒドロキシ官能性成分A2)として適当である。
【0022】
これらのアクリレート-およびメタクリレート-官能性モノアルコールに加えて、最後に、アリルアルコールまたはそのアルコキシル化生成物、例えば、モノ、ジ-またはポリエトキシル化アリルアルコールも、モノアルコールA2)として使用することができる。
しかしながら、ポリアクリレート変性ポリイソシアネートA)を製造するのに好適なモノアルコールA2)は、上記アクリレート-およびメタクリレート-官能性モノアルコールまたはこれらの化合物の任意の所望の混合物である。
一実施態様において、好適ではないが、上記モノアルコールと非OH官能性アクリレートとの混合物も使用することができる。
【0023】
出発ポリイソシアネートA1)と不飽和モノアルコールA2)との反応は、無溶媒的に、または必要に応じてイソシアネート基に対して不活性である適当な溶媒中で行うことができる。適当な溶媒の例は、それ自身既知の典型的な塗料用溶媒、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテルアセテート、1-メトキシプロパ-2-イルアセテート、3-メトキシ-n-ブチルアセテート、アセトン、2-ブタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ホワイト・スピリット、例えば、溶媒ナフサ、Solvesso(登録商標)、Isopar(登録商標)、Nappar(登録商標)(Deutsche EXXON CHEMICAL GmbH、ケルン、独国)およびShellsol(登録商標)(Deutsche Shell Chemie GmbH、エシュボーン、独国)の名称で市販される比較的高いレベルで置換された芳香族化合物、炭酸エステル(例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸1,2-エチレンおよび炭酸1,2-プロピレン)、ラクトン(例えば、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトンおよびε-メチルカプロラクトン)、ならびに、プロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルおよびブチルエーテルアセテート、N-メチルピロリドンおよびN-メチルカプロラクタム、またはこのような溶媒の任意の所望の混合物である。
【0024】
最初のウレタン化において、A1)およびA2)を、A1)の幾つかのNCO基のみが消費されるような割合で互いに反応させる。用いられる成分A2)の量は、好適には、出発ポリイソシアネートA1)のイソシアネート基に基づいて40モル%以下、好適には30モル%以下、より好適には25モル%以下、および非常に好適には20モル%以下がウレタン基に変換されるようになる量である。
【0025】
ウレタン化は、室温(23℃)でさえも行われるが、所望の場合、より低い温度またはより高い温度でも行うことができる。また、該反応を促進するため、160℃までの温度で反応を行うこともできる。
【0026】
しかしながら、ポリアクリレート変性ポリイソシアネートA)を製造する場合、ウレタン化反応を促進するため、必要に応じて、さらに、ポリウレタン化学から既知の典型的な触媒を使用することができる。その例は、第3級アミン、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N-エンドエチレンピペラジン、N-メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N-ジメチルアミノシクロヘキサン、N,N'-ジメチルピペラジン、または金属塩、例えば、塩化鉄(III)、アルミニウムトリ(アセト酢酸エチル)、塩化亜鉛、n-オクタン酸亜鉛(II)、2-エチル-1-ヘキサン酸亜鉛(II)、2-エチルカプロン酸亜鉛(II)、ステアリン酸亜鉛(II)、ナフテン酸亜鉛(II)、アセチルアセトン酸亜鉛(II)、n-オクタン酸スズ(II)、2-エチル-1-ヘキサン酸スズ(II)、エチルカプロン酸スズ(II)、ラウリン酸スズ(II)、パルミチン酸スズ(II)、ジブチルスズ(IV)オキシド、ジブチルスズ(IV)ジクロリド、ジ酢酸ジブチルスズ(IV)、ジマレイン酸ジブチルスズ(IV)、ジラウリン酸ジブチルスズ(IV)、ジ酢酸ジオクチルスズ(IV)、2-エチル-1-ヘキサン酸ビスマス、オクチル酸ビスマス、グリコール酸モリブデン、あるいはこのような触媒の任意の所望の混合物である。
【0027】
ウレタン化反応の後、または、余り好適ではないが、その反応が継続している間、該反応生成物の不飽和基は、フリーラジカル(共)重合による反応に付せられる。
A1)およびA2)のウレタン化生成物の不飽和基の重合に適当な開始剤は、典型的なアゾ-またはペルオキシド-系フリーラジカル開始剤であるが、後記の温度範囲における重合のために十分な長さの半減期、すなわち、約5秒〜約60分の半減期を有するもののみである。適当な例としては、アゾジイソブチロニトリル、アゾビス-2-メチルバレロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルプロパンニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチルブタンニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、対称性ジアシルペルオキシド、例えば、アセチル、プロピオニルまたはブチリルペルオキシド、およびブロモ-、ニトロ-、メチル-またはメトキシ-置換ベンゾイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド;ペルオキシジカーボネート、例えば、ジエチル、ジイソプロピル、ジシクロヘキシルおよびジベンゾイルペルオキシジカーボネート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、tert-ブチルペルベンゾエート、tert-ブチルペルオキシジエチルアセテート、tert-ブチルペルオキシイソブチレート、ヒドロペルオキシド、例えば、tert-ブチルヒドロペルオキシド、キュメンヒドロペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、例えば、ジクミルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、ジ-tert-アミルペルオキシド、1,1-ジ-tert-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンまたは1,1-ジ-tert-ブチルペルオキシシクロヘキサンが挙げられる。
該開始剤は、用いられるモノアルコールA2)の総量に基づいて、0.05重量%〜15重量%、好適には0.1〜10重量%、特には0.2重量%〜8重量%の量で用いられる。
【0028】
一般に、該重合は、50〜240℃、好適には60〜220℃およびより好適には70〜200℃の温度範囲内で行われる。この重合は、15barまでの圧力下で行うことができる。
重合反応を行うため、A1)とA2)との反応により得られるウレタン変性ポリイソシアネート混合物を所望の重合温度に加熱する。次いで、フリーラジカル開始剤を該反応混合物中に計量供給し、そして、フリーラジカル開始剤の分解によって開始したフリーラジカル重合を設定重合温度にて行う。また、該重合反応の過程において、必要に応じて特定の分子量分布に設定するために温度を変化させることができる。重合の終了後、該反応混合物を室温に冷却し、淡色の粘性液体の形態で、または、さらに溶媒を使用する場合には対応する溶液の形態で、ポリアクリレート変性ポリイソシアネートA)を得る。
【0029】
本発明の親水性ポリイソシアネート混合物は、必要に応じて、さらに、脂肪族的に、脂環族的に、芳香族的におよび/または芳香脂肪族的に結合したイソシアネート基を含有する、A)ではないポリイソシアネートB)を含んでなる。これらのポリイソシアネートは、適当な成分A1)として上記される、低モノマー含量のポリイソシアネートである。これらは、対応するジイソシアネートを変性することにより得ることができ、ウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造、またはこのようなポリイソシアネートの任意の所望の混合物を有する。必要に応じてさらに使用されるポリイソシアネートB)は、好適には、専ら脂肪族的におよび/または脂環族的に結合したイソシアネート基を含有する上記ポリイソシアネートであり、非常に好適にはHDI、IPDIおよび/または4,4'-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンに基づくイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネートである。
【0030】
本発明の親水性ポリイソシアネート混合物は、少なくとも1つのイオン性および/または非イオン性乳化剤C)を含んでなる。
C)は、それらの分子構造に基づいて、長期に亘って水性エマルジョン中でポリイソシアネートまたはポリイソシアネート混合物を安定化することができる、任意の所望の界面活性化合物を含んでなる。
【0031】
適当な非イオン性乳化剤は、成分A)および/またはB)のポリイソシアネートに対応するポリイソシアネートと、親水性ポリエーテルアルコールとの反応生成物C1)である。
適当な親水性ポリエーテルアルコールは、従来、適当なスターター分子をアルコキシ化することによって得ることができる種類(例えば、Ullmanns Encyclopaedie der technischen Chemie、第4版、第19巻、Verlag Chemie、ワインハイム、第31〜38頁参照)の、1分子当たり平均して5〜50個のエチレンオキシド単位を含有する、単官能性または多官能性ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールである。この種類のスターター分子は、例えば、32〜300g/モルの分子量範囲を有する、任意の所望の一価または多価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、異性体ペンタノール、ヘキサノール、オクタノールおよびノナノール、n-デカノール、n-ドデカノール、n-テトラデカノール、n-ヘキサデカノール、n-オクタデカノール、シクロヘキサノール、異性体メチルシクロヘキサノール、ヒドロキシメチルシクロヘキサン、3-メチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、ベンジルアルコール、フェノール、異性体クレゾール、オクチルフェノール、ノニルフェノールおよびナフトール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、1,2-エタンジオール、1,2-および1,3-プロパンジオール、異性体ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオールおよびオクタンジオール、1,2-および1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、4,4'-(1-メチルエチリデン)ビスシクロヘキサノール、1,2,3-プロパントリオール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,1,1-トリメチロールプロパン、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールまたは1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートであり得る。
【0032】
アルコキシル化反応に適当なアルキレンオキシドは、特に、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドである。これらは、アルコキシル化反応に、任意の順序で、あるいは混合物の状態で使用することができる。適当なポリエーテルアルコールは、純ポリエチレンオキシドポリエーテルアルコールまたは混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルのいずれかであり、そのアルキレンオキシド単位の少なくとも70モル%(好適には少なくとも80モル%)が、エチレンオキシド単位から構成される。
【0033】
好適なポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールは、スターター分子として32〜150g/モルの分子量範囲の上記モノアルコールを使用して製造されるものである。特に好適なポリエーテルアルコールは、平均して5〜50個(非常に好適には5〜25個)のエチレンオキシド単位を含有する純ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアルコールである。
【0034】
この種類の非イオン性乳化剤の製造は、原理上既知であり、および例えば、欧州特許EP-B 0 206 059およびEP-B 0 540 985に記載されている。
該製造は、ポリイソシアネート成分A)および/またはB)のポリイソシアネートに対応するポリイソシアネートと上記ポリエーテルアルコールとを反応させ、別個の反応工程において親水性形態に変換するためにポリイソシアネート成分A)および必要に応じてB)と続いて混合させることにより、あるいは、ポリイソシアネート成分A)および必要に応じてB)と対応する量のポリエーテルアルコールとを混合することにより、未反応アクリレート変性ポリイソシアネートA)および必要に応じてさらなるポリイソシアネートB)に加えて、ポリエーテルアルコールと成分A)および必要に応じてB)の一部からインサイチュで形成される乳化剤C1)を含有する本発明の親水性ポリイソシアネート混合物の自発的な形成を伴いつつ、行うことができる。
この種類の非イオン性乳化剤C1)の製造は、一般に、40〜180℃、好適には50〜150℃の温度にて、2:1〜400:1、好適には4:1〜140:1のNCO/OH当量比であることを監視しながら行う。
最初に挙げた非イオン性乳化剤C1)の別個の製造の変形の場合、それらを、好適には2:1〜6:1のNCO/OH当量比であることを監視しながら製造する。インサイチュでの乳化剤C1)の製造の場合、もちろん、上記の広範囲内でかなり過剰のイソシアネート基を使用することができる。
【0035】
また、非イオン性乳化剤C1)を得るためのポリイソシアネートと上記親水性ポリエーテルアルコールとの反応は、欧州特許EP-B 0 959 087に記載された方法にしたがって、主としてNCO/OH反応によって形成された少なくとも一部(好適には少なくとも60モル%)のウレタン基を、さらに反応させてアロファネート基を形成するように行うことができる。この場合において、反応体を、上記NCO/OH当量比で、40〜180℃(好適には50〜150℃)の温度にて、通常、上記特許に提示されているアロファン化反応を促進させるのに適当な触媒の存在下、反応させる。
【0036】
また、適当な非イオン性乳化剤C)のさらなるタイプは、例えば、ジイソシアネートモノマーまたはジイソシアネート混合物と、上記単官能性または多官能性親水性ポリエーテルアルコール(特には平均して5〜50個(好適には5〜25個)のエチレンオキシド単位を含有する純ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアルコール)とのNCO/OH比1:1での反応生成物によって代表される。この種類の乳化剤C2)の製造は、同様に既知であり、例えば、欧州特許EP-B 0 486 881に記載されている。
【0037】
しかしながら、必要に応じて、上記割合で成分を混合した後、適当な触媒の存在下、ポリエーテルウレタン乳化剤C2)と、アクリレート変性ポリイソシアネートA)および必要に応じてさらなるポリイソシアネートB)を、アロファン化を伴い反応させることができる。これは、同様に、未反応アクリレート変性ポリイソシアネートA)および必要に応じてさらなるポリイソシアネートB)に加えて、乳化剤C2)と成分A)および必要に応じてB)の一部からインサイチュで形成されたアロファネート構造を有するさらなる非イオン性乳化剤タイプC3)を含有する本発明の親水性ポリイソシアネート混合物を製造する。また、このような乳化剤C3)のインサイチュでの製造も既知であり、例えば、国際公開WO 2005/047357に記載されている。
【0038】
また、例示される非イオン性乳化剤の代わりに、本発明の親水性ポリイソシアネート混合物は、イオン性基、特に陰イオン性基を含有する乳化剤を含んでなり得る。
このようなイオン性乳化剤C)は、スルホネート基を含有する乳化剤C4)を示し、例えば、国際公開WO 01/88006の方法によって、ポリイソシアネート成分A)および/またはB)のポリイソシアネートに対応するポリイソシアネートと、2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸および/または3-(シクロヘキシルアミノ)プロパンスルホン酸を反応させることによって得ることができる。この反応は、一般に、40〜150℃(好適には50〜130℃)の温度にて、2:1〜400:1(好適には4:1〜250:1)のNCO基とアミノ基との当量比になるように監視しながら、さらに、第3級アミンを使用してスルホン酸基を中和するようにして行う。適当な中和性アミンの例は、第3級モノアミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-メチルピペリジン、またはN-エチルピペリジン、第3級ジアミン、例えば、1,3-ビス(ジメチルアミノ)プロパン、1,4-ビス(ジメチルアミノ)ブタンまたはN,N'-ジメチルピペラジン、または、余り好適ではないが、アルカノールアミン、例えば、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンである。
【0039】
また、非イオン性乳化剤C1)に関して既に記載したように、これらのイオン性乳化剤C4)の製造は、別個の反応工程において親水性形態に変換するためにポリイソシアネート成分A)および必要に応じてB)と続いて混合することにより、あるいはこれらのポリイソシアネート成分内においてインサイチュで、行うことができる。インサイチュの場合、本発明の親水性ポリイソシアネート混合物は、未反応アクリレート変性ポリイソシアネートA)および必要に応じてさらなるポリイソシアネートB)ばかりでなく、アミノスルホン酸と、中和性アミンと、成分A)および必要に応じてB)の一部からインサイチュで形成される乳化剤C4)も含有するように直接形成される。
【0040】
別のタイプの適当な乳化剤C)は、一分子中に同時にイオン性および非イオン性構造を含有するものである。これらの乳化剤C5)は、例えば、第3級アミン(例えば、上記中和性アミン)で中和された、アルキルフェノールポリグリコールエーテルホスフェイトおよびホスホネートまたは脂肪アルコールポリグリコールエーテルホスフェイトおよびホスホネート、ならびに、例えば、親水性化ポリイソシアネートについての国際公開WO 97/31960に記載された種類のもの、あるいは、上記種類の第3級アミンで中和された、アルキルフェノールポリグリコールエーテルスルフェートまたは脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルフェートである。
【0041】
乳化剤C)の性質およびその製造にかかわらず、乳化剤の量、または該乳化剤のインサイチュ製造の場合のアクリレート変性ポリイソシアネートA)および必要に応じてさらなるポリイソシアネートB)に添加されたイオン性および/または非イオン性成分の量は、最終的に得られる本発明の親水性ポリイソシアネート混合物がポリイソシアネート混合物の分散性が確保される量を含有するような量であり、好適には成分A)〜C)の総量に基づいて1重量%〜50重量%、より好適には2重量%〜30重量%である。
【0042】
本発明の親水性ポリイソシアネート混合物は、上記組成物の透明な実質的に無色の生成物であり、これは、必要に応じて溶媒(例えば、上記の典型的塗料用溶媒)中にそれらが溶解した溶液の形態で存在し得る。原則として、それらは、高い剪断力を使用しなくても、それらを単に水中に攪拌混合することによって、沈降安定性分散体に容易に変換することができる。
【0043】
さらに、本発明は、5重量%〜25重量%のNCO含量、2以上のNCO官能価、およびDIN 53019による回転式粘度計を用いて測定した150〜200000mPa・sの23℃での溶媒非含有状態の粘度を有する、芳香族、芳香脂肪族、脂環族および/または脂肪族ポリイソシアネート系親水性化ポリイソシアネートを提供する。
ここで、それらは、式(I):
【0044】
【化3】

【0045】
〔式中、
Rは、水素またはメチル基であり、
は、必要に応じてヘテロ原子を含有する、22個までの炭素原子を有する炭化水素基であり、
は、少なくとも1つのイソシアネート基、さらに、必要に応じて、ウレタン、アロファネート、ビウレット、ウレトジオン、イソシアヌレートおよび/またはイミノオキサジアジンジオン単位を含有する炭化水素基であり、および
nは、1〜100の数である〕
で示される少なくとも1つの構造単位、さらに
式(II):
【0046】
【化4】

【0047】
〔式中、
は、水素またはC〜C10アルキル基であり、および
pは、1〜1000の間の数であり、および
qは、1〜3である〕
で示されるポリエーテル単位、
および/またはスルホネート基(SOとして)、
および/またはホスフェイト基(POとして)
を含有する。
【0048】
好適にはRは、水素またはメチル基であり、およびpは、1〜300である。
式(II)で示されるポリエーテルは、好適には、ウレタン基によってポリイソシアネート骨格に結合される。
【0049】
もちろん、本発明の親水性ポリイソシアネート混合物のNCO基は、それらがポリウレタン化学から自体既知のブロック剤でブロックされた形態で、上記水性フィルム形成結合剤またはフィルム形成結合剤成分と組み合わせて、水性1成分PU焼付け系として、使用することができる。適当なブロック剤の例としては、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセトンオキシム、ブタノンオキシム、ε-カプロラクタム、3,5-ジメチルピラゾール、1,2,4-トリアゾール、ジメチル-1,2,4-トリアゾール、イミダゾール、ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N-tert-ブチルベンジルアミンシクロペンタノン-2-カルボキシメチルエステル、シクロペンタノン-2-カルボキシエチルエステルまたはこれらのブロック剤の任意の所望の混合物が挙げられる。
【0050】
本発明は、ポリイソシアネート成分A)および必要に応じてB)を、イオン性および/または非イオン性乳化剤C)と混合する工程、および/または上記種類の乳化剤を、ポリイソシアネート成分A)および必要に応じてB)と親水性のイソシアネート反応性のイオン性および/または非イオン性化合物を反応させることによりインサイチュで生成する工程を含み、該出発成分の量を、製造工程にかかわりなく、該乳化剤が成分A)〜C)の総量に基づいて2重量%〜60重量%の量で存在するように選択する、上記種類の親水性ポリイソシアネート混合物の製造方法をさらに提供する。
【0051】
出発ポリイソシアネートA)のポリアクリレート変性を有する化合物における顕著な分散性は、特に水性2KPU被覆材料における本発明の親水性ポリイソシアネートの使用に関して利点を構成する。なぜなら、それは、注目すべき非常に短い硬化時間で高度に架橋された被覆物を得ることを可能にするためである。既存の親水性非ポリアクリレート変性ポリイソシアネートと比べて、より迅速な初期物理的乾燥と同時に迅速な化学的架橋のために、本発明のポリイソシアネート混合物を使用して被覆したサービス物品は、非常に早く、溶媒および化学薬品に対する十分な耐性を示し、そしてより早くサービスに使用することができる。さらに、本発明の親水性ポリイソシアネート混合物を使用して得ることができる被覆フィルムは、高レベルの硬度および弾性、優れた耐候性および耐薬品性、ならびに高光沢度に関して注目されるべきである。
【0052】
必要に応じて、さらに、非親水性化ポリイソシアネート、特に上記B)のもと特定されたタイプの塗料用ポリイソシアネートを、乳化前に本発明の親水性ポリイソシアネート混合物に添加することができる。該割合は、好適には得られたポリイソシアネート混合物が同様に本発明の親水性ポリイソシアネート混合物を表すように選択される。なぜなら、これらは、通常、
(i)本発明にしたがって親水的に変性されたポリイソシアネート混合物と、
(ii)例示されたタイプの非変性ポリイソシアネートと
の混合物から構成されるからである。
この種類の混合物において、本発明の親水性ポリイソシアネート混合物は、その後に混合された非親水性ポリイソシアネート画分のための乳化剤の機能を担う。
【0053】
本発明の親水性ポリイソシアネート混合物は、イソシアネート重付加方法によるポリウレタンプラスチックの製造のための価値ある出発材料である。
したがって、本発明は、本発明の親水性化ポリアクリレート変性ポリイソシアネート混合物を含んでなる被覆剤組成物も提供する。
これらの被覆剤組成物において、該親水性ポリイソシアネート混合物は、好適には、水中分散体中のブロックされていないポリヒドロキシル化合物と組み合わせて、水性2成分系として反応することができる水性エマルジョンの形態で、または上記種類のブロック剤でブロックされた、水性1成分系として反応することができる形態で使用される。
【0054】
特に好適には本発明の親水性ポリイソシアネート混合物は、水性溶液または水性分散体の形態であり、イソシアネート基(特にアルコール性ヒドロキシル基)に対して反応性である基を含有するフィルム形成結合剤またはフィルム形成結合剤成分に基づく水性被覆剤組成物を使用する被覆物の製造において、この種類の結合剤または結合剤成分のための架橋剤として使用される。この場合、架橋剤(必要に応じて乳化形態)と結合剤または結合剤成分との結合は、任意の所望の方法にしたがって、該被覆剤組成物の加工前に、当業者に既知の機械的補助手段を使用することにより、あるいは2成分スプレーガンを使用して単に一緒に攪拌混合することにより、もたらされ得る。
【0055】
本発明のポリイソシアネート混合物のための反応体として原理上適当なものは、水性溶液または水性分散体状態の、イソシアネート反応性基を含有する全ての結合剤である。
【0056】
これに関して、フィルム形成結合剤またはフィルム形成結合剤成分としては、以下のものを例示することができる:
価値ある2成分結合剤を構成する有機ポリイソシアネート架橋剤を有する、ヒドロキシル含有ポリアクリレート(特に1000〜10,000g/モルの分子量範囲を有するもの)の水性溶液または水性分散体、または、
必要に応じてウレタン変性された、ポリエステルおよびアルキド樹脂化学から既知の種類のヒドロキシル含有ポリエステル樹脂の水性分散体。
また、該結合剤は、例えば、それぞれウレタンまたは尿素基中に存在する活性水素原子によってポリイソシアネートと架橋可能であるポリウレタンまたはポリ尿素の水性分散体も含む。
【0057】
水性フィルム形成結合剤用の架橋剤成分としての本発明の使用において、本発明の親水性ポリイソシアネート混合物は、通常、0.5:1〜2:1のNCO基とNCO反応性基(特にアルコール性ヒドロキシル基)との当量比に相当する量で用いられる。
【0058】
必要に応じて、本発明の親水性ポリイソシアネート混合物は、非常に特異的な特性(例えば、接着促進添加剤として)を得るために、非官能性水性フィルム形成結合剤中に少量で混合することができる。
【0059】
本発明の親水性ポリイソシアネート混合物を使用して処方された水性被覆剤に適当な基材としては、任意の所望の基材、例えば、金属、木材、ガラス、石材、セラミック材料、コンクリート、硬質および軟質プラスチック、繊維製品、革製品および紙が挙げられる。これらは、被覆前に、必要に応じて典型的なプライマーを付与することもできる。
【0060】
一般的に言えば、本発明の被覆剤組成物で処方された水性被覆剤組成物は、必要に応じて被覆剤分野において典型的である助剤および補助剤、例えば、流れ制御助剤、色素顔料、充填剤、艶消剤または乳化剤を添加することができ、例えば、室温乾燥に際してさえも良好な技術的フィルム特性を有する。
【0061】
しかしながら、それらは、もちろん高温での強制的条件下、または260℃までの温度にて焼付けすることによって、乾燥することができる。
【0062】
また、水性2KPU被覆材料用架橋剤成分としてのそれらの好適な使用に加えて、本発明の親水性ポリイソシアネート混合物は、例えば、水性分散体接着剤、革製品被覆剤および繊維製品被覆剤または繊維製品印刷ペースト用の架橋剤として、AOX非含有製紙補助剤として、あるいは鉱物建築材料(例えば、コンクリートまたはモルタル化合物)用の補助剤として、顕著に適当である。
【実施例】
【0063】
以下の全ての百分率は、他に示さない限り、重量%である。
示した特性データは、以下の方法によって決定した。
粘度:Haake GmbH(カールスルーエ、独国)からの回転式粘度計VT 550、<10,000mPa・s/23℃の粘度についてはMV-DINカップ、>10,000mPa・s/23℃の粘度についてはSV-DINカップを使用。
NCO含量:アセトン中の過剰のジブチルアミンとの反応後、DIN EN ISO 11909に基づいて1モル/lのHClで逆滴定。
ハーゼン色数:DIN 53995によるハーゼン色数、Lico(登録商標) 400色数測定装置(Dr. Lange GmbH、ベルリン、独国)を使用。
【0064】
〔ポリアクリレート変性ポリイソシアネートA)の製造〕
・出発ポリイソシアネートA1)
Desmodur N 3300:イソシアヌレート基、溶媒非含有、NCO含量21.8%、粘度:3000mPa・s/23℃を含有する、HDI系ポリイソシアネート(Bayer MaterialScience AG、レバークーゼン、独国)。
Desmodur(登録商標) N 3600:イソシアヌレート基、溶媒非含有、NCO含量23.0%、粘度:1200mPa・s/23℃を含有する、HDI系ポリイソシアネート(Bayer MaterialScience AG、レバークーゼン、独国)。
Desmodur(登録商標) XP 2410:イミノオキサジアジンジオン基、溶媒非含有、NCO含量23.7%、粘度:700mPa・s/23℃を含有する、HDI系ポリイソシアネート(Bayer MaterialScience AG、レバークーゼン、独国)。
・不飽和モノアルコールA2)
HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート
・重合開始剤
Peroxan(登録商標) PO 49B:tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、酢酸ブチル中49%濃度(Pergan GmbH、ボホルト、独国)
【0065】
〔一般的操作方法〕
攪拌機、還流冷却器および滴下漏斗を備えた1Lの三首フラスコに、各々の出発ポリイソシアネートA1)を、必要に応じて溶媒として酢酸ブチルと共に充填し、そして、この最初の充填物を窒素雰囲気下、130℃に加熱した。次いで、不飽和モノアルコールA2)を10分間に亘って計量供給し、続いて、所望の重合温度(T)になるまで130℃で1時間さらに攪拌した。この温度に到達したとき、該重合開始剤に、通常、Peroxan(登録商標) PO 49Bを一括して添加し、該混合物を設定重合温度で1時間攪拌した。次いで、室温まで冷却し、淡色粘性ポリイソシアネートA)を得た。
【0066】
・ポリアクリレート変性ポリイソシアネートA(I)
一般操作方法にしたがって、95.5重量部のDesmodur(登録商標) N 3300を、4.3重量部のHEMAと無溶媒的に反応させた。次いで、該生成物を、0.2重量部のPeroxan(登録商標) PO 49Bを用いて130℃にて重合した。これにより、固形分100重量%、粘度(23℃)12500mPa・s、イソシアネート含量20.4重量%および色数11APHAを有する無色ポリイソシアネートを得た。
・ポリアクリレート変性ポリイソシアネートA(II)
一般操作方法にしたがって、97.0重量部のDesmodur(登録商標) N 3600を、2.85重量部のHEAと無溶媒的に反応させた。次いで、該生成物を、0.15重量部のPeroxan(登録商標) PO 49Bを用いて130℃にて重合した。これにより、固形分100重量%、粘度(23℃)3700mPa・s、イソシアネート含量21.1重量%および色数11APHAを有する無色ポリイソシアネートを得た。
・ポリアクリレート変性ポリイソシアネートA(III)
一般操作方法にしたがって、96.0重量部のDesmodur(登録商標) N 3600を、3.8重量部のHEAと無溶媒的に反応させた。次いで、該生成物を、0.2重量部のPeroxan(登録商標) PO 49Bを用いて100℃にて重合した。これにより、固形分100重量%、粘度(23℃)12300mPa・s、イソシアネート含量20.5重量%および色数10APHAを有する無色ポリイソシアネートを得た。
・ポリアクリレート変性ポリイソシアネートA(IV)
一般操作方法にしたがって、95.5重量部のDesmodur(登録商標) N 3600を、4.3重量部のHEMAと無溶媒的に反応させた。次いで、該生成物を、0.2重量部のPeroxan(登録商標) PO 49Bを用いて130℃にて重合した。これにより、固形分100重量%、粘度(23℃)6700mPa・s、イソシアネート含量20.5重量%および色数11APHAを有する無色ポリイソシアネートを得た。
・ポリアクリレート変性ポリイソシアネートA(V)
一般操作方法にしたがって、86.4重量部のDesmodur(登録商標) XP 2410を、5.0重量部の酢酸ブチル中、3.4重量部のHEAと反応させた。次いで、該生成物を、酢酸ブチル(5.0重量部)中のtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(0.2重量部)の溶液を用いて100℃にて重合した。これにより、固形分90重量%、粘度(23℃)1180mPa・s、イソシアネート含量19.8重量%および色数16APHAを有するポリイソシアネートの無色溶液を得た。
【0067】
実施例1〔本発明;乳化剤C1)〕
最初の充填物として、900g(4.37当量)のポリアクリレート変性ポリイソシアネートA(I)を、乾燥窒素下100℃にて導入し、そしてメタノールから出発して製造した350の平均分子量を有する単官能性ポリエチレンオキシドポリエーテル(100g;0.29当量)と30分間に亘って攪拌しながら混合した。そして、約2時間後、該混合物のNCO含量が完全なウレタン化に対応する数値17.1%になるまで、この温度でさらに攪拌した。室温まで冷却後、得られた本発明の親水性ポリイソシアネート混合物についての特性データは、以下のようであった。
【0068】
【表1】

【0069】
実施例2〔本発明;乳化剤C1)〕
最初の充填物として、900g(4.52当量)のポリアクリレート変性ポリイソシアネートA(II)を、乾燥窒素下100℃にて導入し、そしてメタノールから出発して製造した500の平均分子量を有する単官能性ポリエチレンオキシドポリエーテル(100g;0.20当量)と30分間に亘って攪拌しながら混合した。そして、約2時間後、該混合物のNCO含量が完全なウレタン化に対応する数値18.2%になるまで、この温度でさらに攪拌した。室温まで冷却後、得られた本発明の親水性ポリイソシアネート混合物についての特性データは、以下のようであった。
【0070】
【表2】

【0071】
実施例3〔本発明;乳化剤C1)〕
最初の充填物として、900g(4.52当量)のポリアクリレート変性ポリイソシアネートA(II)を、乾燥窒素下100℃にて導入し、そして実施例2に記載のポリエーテルアルコール(100g;0.20当量)と30分間に亘って攪拌しながら混合した。そして、約2時間後、該混合物のNCO含量が完全なウレタン化に対応する数値18.2%になるまで、この温度でさらに攪拌した。アロファン化触媒として0.01gの2-エチル-1-ヘキサン酸亜鉛(II)を添加した後、発生した反応熱は、該反応混合物の温度を105℃まで上昇させた。該触媒の添加から約30分、発熱が治まった後、該反応を0.01gの塩化ベンゾイルを添加することによって停止し、そして該反応混合物を室温まで冷却した。これにより、以下の特性データを有する本発明の親水性ポリイソシアネート混合物を得た。
【0072】
【表3】

【0073】
実施例4〔本発明;乳化剤C2)〕
150g(0.3当量)の実施例2に記載のポリエーテルアルコールを、2,4-TDI(80部)と2,6-TDI(20部)との混合物(80g;0.3当量)と混合し、および該混合物を、IRスペクトロスコピーによってイソシアネート基がもはや検出されなくなるまで60℃で攪拌した。該混合物を30℃に冷却した後、1300gのポリアクリレート変性ポリイソシアネートA(I)を混合して、以下の特性データを有する本発明の親水性ポリイソシアネート混合物を得た。
【0074】
【表4】

【0075】
実施例5〔本発明;乳化剤C4)〕
980g(4.78当量)のポリアクリレート変性ポリイソシアネートA(III)を、20g(0.09当量)の3-(シクロヘキシルアミノ)プロパンスルホン酸(CAPS)、11.5g(0.09モル)のジメチルシクロヘキシルアミンおよび253gの1-メトキシプロパ-2-イルアセテートと一緒に乾燥窒素下80℃にて5時間攪拌した。室温に冷却することにより、以下の特性データを有する本発明の親水性ポリイソシアネート混合物の実質的に無色の透明溶液を得た。
【0076】
【表5】

【0077】
実施例6〔本発明;乳化剤C4)〕
950g(4.64当量)のポリアクリレート変性ポリイソシアネートA(IV)を、50g(0.23当量)の3-(シクロヘキシルアミノ)プロパンスルホン酸(CAPS)、29g(0.23モル)のジメチルシクロヘキシルアミンおよび257gの1-メトキシプロパ-2-イルアセテートと一緒に乾燥窒素下80℃にて5時間攪拌した。室温に冷却することにより、以下の特性データを有する本発明の親水性ポリイソシアネート混合物の実質的に無色の透明溶液を得た。
【0078】
【表6】

【0079】
実施例7〔本発明;乳化剤C4)〕
1000g(4.71当量)のポリアクリレート変性ポリイソシアネートA(V)を、30g(0.14当量)の3-(シクロヘキシルアミノ)プロパンスルホン酸(CAPS)、18g(0.14モル)のジメチルシクロヘキシルアミンおよび5gの酢酸ブチルと一緒に乾燥窒素下80℃にて5時間攪拌した。室温に冷却することにより、以下の特性データを有する本発明の親水性ポリイソシアネート混合物の実質的に無色の透明溶液を得た。
【0080】
【表7】

【0081】
実施例8〔欧州特許EP-B 0 540 985による比較;乳化剤C1)〕
最初の充填物として、870g(4.52当量)のDesmodur(登録商標) N 3300を、乾燥窒素下100℃にて導入し、そして実施例1に記載のポリエーテルアルコール(130g;0.37当量)と30分間に亘って攪拌しながら混合した。そして、約2時間後、該混合物のNCO含量が完全なウレタン化に対応する数値17.4%になるまで、この温度でさらに攪拌した。これにより、室温まで冷却後、以下の特性データを有する無色透明ポリイソシアネート混合物を得た。
【0082】
【表8】

【0083】
実施例9〔欧州特許EP-B 0 540 985による比較;乳化剤C1)〕
最初の充填物として、600mPa・s(23℃)の粘度を有する70%濃度の酢酸ブチル溶液の形態の、イソシアヌレート基を含有し、11.9%のNCO含量を有するIPCI系ポリイソシアネート(Desmodur(登録商標) Z 4470 BA、Bayer MaterialScience AG、レバークーゼン、独国)(870g;2.47当量)を、さらなる391gの酢酸ブチルと共に乾燥窒素下100℃にて導入し、そして、この最初の充填物を、実施例1に記載のポリエーテルアルコール(91g;0.26当量)と30分間に亘って攪拌しながら混合した。次いで、約2.5時間後、該混合物のNCO含量が完全なウレタン化に対応する数値9.3%になるまで、この温度でさらに攪拌した。
室温まで冷却後、存在する30重量部の透明ポリイソシアネート溶液を、70重量部の比較例8からのポリイソシアネート混合物と混合した。かくして得られた親水性ポリイソシアネート混合物は、以下の特性データを有した。
【0084】
【表9】

【0085】
実施例10〔水性2KPU被覆材料用の架橋剤としての使用;本発明[a]および比較[b]および[c]〕
固形分43%およびOH含量2.5%を有し、および48.0%のメタクリル酸メチル、27.4%のアクリル酸n-ブチル、21.6%のメタクリル酸ヒドロキシ-C-アルキル(プロピレンオキシドとメタクリル酸との付加生成物)および3.0%のアクリル酸から本質的になる固体樹脂に基づく水性共溶媒非含有ヒドロキシ官能性ポリアクリレート分散体(100重量部)を、市販の通例の消泡剤(Foamaster TCX、Henkel)(0.5重量部)と混合した。該製造物は、限定されない貯蔵安定性を有した。
実施例1からの本発明のポリイソシアネート(24.5重量部)を、上記バッチ(イソシアネート基とアルコール性ヒドロキシル基との当量比1.5:1に対応)に添加し、および該バッチを激しい攪拌(2000rpm)によって均質化する。その後、該固形分を水を添加することによって40%に調整する。
比較のため、被覆材料を、それぞれ、上記ヒドロキシ官能性ポリアクリレート分散体(100重量部)と、実施例8からのポリイソシアネート(24.0重量部)から、または実施例8および9からの比較例のポリイソシアネートの70:30%の比の混合物(27.9重量部)から、上記方法によって製造した。イソシアネート基とアルコール性ヒドロキシル基との当量比は、再び1.5:1であった。
付与準備ができた状態の被覆材料の処理時間は、約3時間であった。該被覆材料を、湿フィルム厚み150μm(乾燥約60μm)でガラス板に付与し、および20分間フラッシュオフし、次いで、強制的条件(30分/60℃)下乾燥した。これにより、以下の特性を有する被覆フィルムを得た。
【0086】
【表10】

【0087】
3つのポリイソシアネート全てが、非常に低いヘーズレベルを有する高光沢度被覆フィルムを与えた。しかしながら、本発明により製造された実施例1からの親水性ポリイソシアネート混合物に基づく被覆材料は、非ポリアクリレート変性HDI三量体に基づいて製造された、比較例8からのポリイソシアネートで架橋された被覆材料よりも、顕著により迅速に乾燥し、および同時により高い硬度およびより良好な耐溶媒性を有する。比較例9からのIPDI含有ポリイソシアネートを使用することにより、同様に迅速な乾燥が導かれるけれども、それでもなお、顕著により低い耐溶媒性を有する脆弱な被覆フィルムが製造される。
【0088】
実施例11〜14〔水性2KPU被覆材料用の架橋剤としての使用;本発明〕
実施例10に記載の方法にしたがって、クリアコート材料を、実施例10に記載のヒドロキシル含有ポリアクリレート分散体と、実施例2、3、4および5からの本発明の親水性ポリイソシアネート混合物とから出発して製造した。NCOとOH基との当量比は、全ての場合、1.5:1であった。該完全に処方した被覆材料を、湿フィルム厚み150μm(乾燥約60μm)でガラス板に付与し、および20分間フラッシュオフし、次いで、強制的条件(30分/60℃)下乾燥した。以下の表は、被覆材料の組成物(重量部)ならびにそれらから得られた被覆物のフィルム技術データを示す。
【0089】
【表11】

【0090】
また、水性2KPU被覆材料用の架橋剤成分としての実施例2〜5からの本発明の親水性ポリイソシアネート混合物は、比較例8および9からの非ポリアクリレート変性ポリイソシアネート架橋剤(実施例10[b]および[c]参照)と比べて、実施例1からの本発明の親水性ポリイソシアネート混合物(実施例10[a]参照)について実施例10に既に記載されているように、硬度、耐溶媒性および迅速乾燥に関して利点を示す。
【0091】
本発明を上記で例示の目的をもって詳細に説明したが、このような詳説が単にその目的のためであって、本発明は、特許請求の範囲によって限定され得る場合を除いて、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、当業者によって変形がなされ得ると理解されるべきである。
【0092】
本発明の好適な実施態様には以下のものが含まれる。
〔1〕 A)式(I):
【0093】
【化5】

【0094】
〔式中、
Rは、水素またはメチル基であり、
は、必要に応じてヘテロ原子を含有する、22個までの炭素原子を有する炭化水素基であり、
は、少なくとも1つのイソシアネート基と、さらに、必要に応じて、ウレタン、アロファネート、ビウレット、ウレトジオン、イソシアヌレートおよび/またはイミノオキサジアジンジオン単位を含有する炭化水素基であり、および
nは、1〜100の整数である〕
で示される少なくとも1つの構造単位を含有する少なくとも1つのポリイソシアネートと、
B)必要に応じて、脂肪族的に、脂環族的に、芳香族的におよび/または芳香脂肪族的に結合したイソシアネート基を含有する、A)ではないさらなるポリイソシアネートと、
C)少なくとも1つのイオン性および/または非イオン性乳化剤と
を含んでなる、親水性ポリイソシアネート混合物。
〔2〕 成分A)において使用されるポリアクリレート変性ポリイソシアネートは、5重量%〜25重量%のNCO含量、2以上の平均NCO官能価、および150〜200000mPa・sの23℃での粘度を有する、上記〔1〕に記載の親水性ポリイソシアネート混合物。
〔3〕 ポリイソシアネート成分A)およびB)のポリイソシアネートは、専ら脂肪族的におよび/または脂環族的に結合したイソシアネート基を含有する、上記〔1〕に記載の親水性ポリイソシアネート混合物。
〔4〕 乳化剤成分C)は、ポリイソシアネートと平均して5〜35個のエチレンオキシド単位を含有する単官能性ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールとの反応生成物を含んでなる、上記〔1〕に記載の親水性ポリイソシアネート混合物。
〔5〕 乳化剤成分C)は、ポリイソシアネート成分A)および/またはB)と2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸および/または3-(シクロヘキシルアミノ)プロパンスルホン酸との反応生成物を含んでなる、上記〔1〕に記載の親水性ポリイソシアネート混合物。
〔6〕 5重量%〜25重量%のNCO含量、2以上のNCO官能価、150〜200000mPa・sの23℃での溶媒非含有状態における粘度を有し、
式(I):
【0095】
【化6】

【0096】
〔式中、
Rは、水素またはメチル基であり、
は、必要に応じてヘテロ原子を含有する、22個までの炭素原子を有する炭化水素基であり、
は、少なくとも1つのイソシアネート基、さらに、必要に応じて、ウレタン、アロファネート、ビウレット、ウレトジオン、イソシアヌレートおよび/またはイミノオキサジアジンジオン単位を含有する炭化水素基であり、および
nは、1〜100の数である〕
で示される少なくとも1つの構造単位、さらに、
式(II):
【0097】
【化7】

【0098】
〔式中、
は、水素またはC〜C10アルキル基であり、および
pは、1〜1000の間の数であり、および
qは、1〜3である〕
で示されるポリエーテル単位、
および/またはスルホネート基(SOとして)、
および/またはホスフェイト基(POとして)
を含有する、芳香族、芳香脂肪族、脂環族および/または脂肪族ポリイソシアネート系親水性化ポリイソシアネート。
〔7〕 ポリイソシアネート成分A)および必要に応じてB)を、イオン性および/または非イオン性乳化剤C)と混合する工程、および/または
上記種類の乳化剤を、ポリイソシアネート成分A)および必要に応じてB)と親水性のイソシアネート反応性のイオン性および/または非イオン性化合物を反応させることによりインサイチュで生成する工程
を含み、該出発成分の量を、製造工程にかかわりなく、該乳化剤が成分A)〜C)の総量に基づいて2重量%〜60重量%の量で存在するように選択する、上記〔1〕に記載の親水性ポリイソシアネート混合物の製造方法。
〔8〕 上記〔1〕に記載の親水性ポリイソシアネート混合物を含んでなる、ポリウレタンプラスチック用出発成分。
〔9〕 上記〔6〕に記載の親水性ポリイソシアネート混合物を含んでなる、ポリウレタンプラスチック用出発成分。
〔10〕 上記〔1〕に記載の親水性ポリイソシアネート混合物を含んでなる、水溶性または水分散性フィルム形成結合剤またはフィルム形成結合剤成分用の架橋剤成分。
〔11〕 上記〔6〕に記載の親水性ポリイソシアネート混合物を含んでなる、水溶性または水分散性フィルム形成結合剤またはフィルム形成結合剤成分用架橋剤成分。
〔12〕 上記〔1〕に記載の親水性ポリイソシアネートを含んでなる、被覆剤組成物。
〔13〕 上記〔6〕に記載の親水性ポリイソシアネートを含んでなる、被覆剤組成物。
〔14〕 上記〔12〕に記載の被覆剤組成物で被覆された基材。
〔15〕 上記〔13〕に記載の被覆剤組成物で被覆された基材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)式(I):
【化1】

〔式中、
Rは、水素またはメチル基であり、
は、必要に応じてヘテロ原子を含有する、22個までの炭素原子を有する炭化水素基であり、
は、少なくとも1つのイソシアネート基と、さらに、必要に応じて、ウレタン、アロファネート、ビウレット、ウレトジオン、イソシアヌレートおよび/またはイミノオキサジアジンジオン単位を含有する炭化水素基であり、および
nは、1〜100の整数である〕
で示される少なくとも1つの構造単位を含有する少なくとも1つのポリイソシアネートと、
B)必要に応じて、脂肪族的に、脂環族的に、芳香族的におよび/または芳香脂肪族的に結合したイソシアネート基を含有する、A)ではないさらなるポリイソシアネートと、
C)少なくとも1つのイオン性および/または非イオン性乳化剤と
を含んでなる、親水性ポリイソシアネート混合物。
【請求項2】
乳化剤成分C)は、ポリイソシアネートと平均して5〜35個のエチレンオキシド単位を含有する単官能性ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールとの反応生成物を含んでなる、請求項1に記載の親水性ポリイソシアネート混合物。
【請求項3】
乳化剤成分C)は、ポリイソシアネート成分A)および/またはB)と2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸および/または3-(シクロヘキシルアミノ)プロパンスルホン酸との反応生成物を含んでなる、請求項1に記載の親水性ポリイソシアネート混合物。
【請求項4】
ポリイソシアネート成分A)および必要に応じてB)を、イオン性および/または非イオン性乳化剤C)と混合する工程、および/または
上記種類の乳化剤を、ポリイソシアネート成分A)および必要に応じてB)と親水性のイソシアネート反応性のイオン性および/または非イオン性化合物をインサイチュで反応させることにより生成する工程
を含み、該出発成分の量は、製造工程にかかわりなく、該乳化剤が成分A)〜C)の総量に基づいて2重量%〜60重量%の量で存在するように選択する、請求項1に記載の親水性ポリイソシアネート混合物の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の親水性ポリイソシアネートを含んでなる、被覆剤組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の被覆剤組成物で被覆された基材。

【公開番号】特開2007−131847(P2007−131847A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−302638(P2006−302638)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】