親水性重合体の製造方法
【課題】従来技術と比較して、セメント混和剤における各種の性能をより一層改善しうる手段を提供する。
【解決手段】本発明の親水性重合体の製造方法は、化学式1で表される不飽和酸系化合物と、化学式2で表される不飽和(ポリ)エーテル化合物とを反応器中で反応させることを含む。そして、反応器に不飽和酸系化合物を投入する工程Aと、反応器に不飽和(ポリ)エーテル化合物を投入する工程Bと、反応器内の内容物を昇温させる工程Xとを有し、工程Aおよび/または工程Bを行うとき、工程Xを同時に行う(ただし、内容物が不飽和酸系化合物のみであるときに、工程Xを開始する場合を除く)点に特徴を有する。
【解決手段】本発明の親水性重合体の製造方法は、化学式1で表される不飽和酸系化合物と、化学式2で表される不飽和(ポリ)エーテル化合物とを反応器中で反応させることを含む。そして、反応器に不飽和酸系化合物を投入する工程Aと、反応器に不飽和(ポリ)エーテル化合物を投入する工程Bと、反応器内の内容物を昇温させる工程Xとを有し、工程Aおよび/または工程Bを行うとき、工程Xを同時に行う(ただし、内容物が不飽和酸系化合物のみであるときに、工程Xを開始する場合を除く)点に特徴を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親水性重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
親水性重合体を含むセメント混和剤は、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物等に広く用いられており、セメント組成物から土木・建築構造物等を構築するために欠かすことのできないものとなっている。このようなセメント混和剤は減水剤等として用いられ、セメント組成物の流動性を高めてセメント組成物を減水させることにより、硬化物の強度や耐久性等を向上させる作用を有することになる。このような減水剤としては、従来のナフタレン系等の減水剤に比べて高い減水性能を発揮するポリカルボン酸系減水剤が提案され、最近では高性能AE減水剤として多くの使用実績がある。
【0003】
かようなセメント混和剤として用いられる親水性重合体を製造する手法としては、例えば、一部または全部が中和されていてもよい(メタ)アクリル酸等の不飽和酸系化合物と、イソプレノールや(メタ)アリルアルコール等の不飽和二重結合含有アルコールにアルキレンオキサイドが付加した、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル化合物(以下、「不飽和(ポリ)エーテル化合物」とも称する)とを共重合させる手法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
このような従来の手法ではいずれも、(1)反応器に不飽和酸系化合物および不飽和(ポリ)エーテル化合物(以下、「原料化合物」とも称する)の一部または全部を投入する;(2)反応器内の内容物を所定の反応温度まで昇温する;(3)さらに必要により残りの原料化合物を反応器に投入する;というように、原料化合物の仕込みと昇温とを同時に行わない手法が採られていた。
【0005】
なお、上述の手法により得られた重合体を用いたセメント混和剤に求められる性能としては、水/セメント比が小さくても高い減水性能を発揮すること、スランプ保持性能が高いこと、強度・耐久性に優れること、等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−6701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献に記載されているような従来の手法では、セメント混和剤に求められる上記の各種性能について、依然として改善の余地が存在する。
【0008】
そこで本発明は、従来技術と比較して、セメント混和剤における各種の性能をより一層改善しうる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した従来技術における課題に鑑み、本発明者らは鋭意研究を行った。その結果、親水性重合体を製造する際に、原料化合物を反応器に投入する工程と、反応器内の内容物を昇温する工程とを同時に行うと、得られた重合体がセメント混和剤として優れた性能が発揮されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明の親水性重合体の製造方法は、下記化学式1:
【0011】
【化1】
【0012】
式中、
R1、R2、およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、または−(CH2)pCOOH基であり(この際、pは、0〜2の整数である)、
Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基、または有機アミン基である、
で表される不飽和酸系化合物と、
下記化学式2:
【0013】
【化2】
【0014】
式中、
R4は、炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、
R5Oは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基であり、
nは、前記オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜500の数であり、
R6は、水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基である、
で表される不飽和(ポリ)エーテル化合物とを反応器中で反応させることを含む親水性重合体の製造方法であって、
前記反応器に前記不飽和酸系化合物を投入する工程Aと、
前記反応器に前記不飽和(ポリ)エーテル化合物を投入する工程Bと、
前記反応器内の内容物を昇温させる工程Xとを有し、
前記工程Aおよび/または工程Bを行うとき、前記工程Xを同時に行う(ただし、前記内容物が前記不飽和酸系化合物のみであるときに、前記工程Xを開始する場合を除く)点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来技術と比較して、セメント混和剤における各種の性能をより一層改善しうる手段が提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1〜5における、工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図である。
【図2】実施例6における、工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図である。
【図3】実施例7における、工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図である。
【図4】実施例8における、工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図である。
【図5】実施例9における、工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図である。
【図6】実施例10における、工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図である。
【図7】比較例1〜5における、工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図である。
【図8】比較例6における、工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図である。
【図9】比較例7における、工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図である。
【図10】比較例8における、工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図である。
【図11】比較例9における、工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、不飽和酸系化合物と不飽和(ポリ)エーテル化合物とを反応器中で反応させることを含む親水性重合体の製造方法において、反応器に不飽和酸系化合物を投入する工程Aと、反応器に不飽和(ポリ)エーテル化合物を投入する工程Bと、反応器内の内容物を昇温させる工程Xとを有し、工程Aおよび/または工程Bを行うとき、工程Xを同時に行う(ただし、内容物が不飽和酸系化合物のみであるときに、工程Xを開始する場合を除く)ことを特徴とする。
【0018】
従来の親水性重合体の製造方法では、上記背景技術で述べたように、一般的に原料化合物の仕込みと昇温とを同時に行わない手法が採られていた。このような手法を採用していた理由としては、原料化合物の仕込みと昇温とを同時に行った場合、仕込みの初期に投入された原料化合物は仕込みの終期に投入された原料化合物と比較して、長時間熱に曝され(すなわち、熱負荷時間が長くなり)、品質上問題となる重合体が生成してしまうと考えられていたことが挙げられる。これを避けるべく、熱負荷時間を均等にするため、原料化合物を仕込んだ後に昇温を行っていたのである。また、この他にも、各々の原料化合物の仕込み工程や昇温工程を1工程ずつ順番に確認しながら行うことにより、製造作業上の安全を図っていたという理由もある。
【0019】
しかしながら、本発明者らは上述の技術常識に反して、原料化合物の仕込みと昇温を同時に行うという手法を試みたところ、驚くべきことに、得られた親水性重合体のセメント混和剤としての性能が従来の製造方法で得たものと比較して向上することを見出し、本発明を完成させるに至ったのである。また、本発明のように原料化合物の仕込みと昇温を同時に行うことによって、これらの工程にかかる時間を短縮することができ、生産効率を向上させることもできる。
【0020】
以下、本発明の好ましい形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって定められるものであり、以下の形態のみに制限されない。以下ではまず、本発明の親水性重合体の製造方法で使用される原料化合物、および必要に応じて使用されうる溶媒や試薬等について説明する。その後、本発明の製造方法の各工程について順を追って説明する。
【0021】
<親水性重合体の製造方法>
[不飽和酸系化合物]
本発明における不飽和酸系化合物は、下記化学式1:
【0022】
【化3】
【0023】
で表される。
【0024】
化学式1において、R1、R2、およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、または−(CH2)pCOOH基である。また、R1〜R3の少なくとも1つが−(CH2)pCOOH基である場合、当該基におけるpは、0〜2の整数である。このpは、重合における反応性の観点からはより好ましくは0または1の整数である。なお、R1およびR2の双方が同時に−(CH2)pCOOH基となることはない。また、R3が−(CH2)pCOOH基である場合、R1およびR2は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、−(CH2)pCOOH基となることはない。さらに、化学式1において、Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基または有機アミン基を表す。Mが金属原子である場合、当該金属原子は、一価、二価、および三価のいずれであってもよく、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等の一価金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子等の二価金属原子;アルミニウム、鉄等の三価金属原子が好適である。なかでも、Mは、一価金属原子または二価金属原子であることが好ましい。また、アンモニウム基は、「−NH4+」で表される官能基である。そして、有機アミン基としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン;エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等のポリアミン等の、有機アミン由来の残基が挙げられる。
【0025】
R1およびR2が水素原子である場合には、化学式1で表される不飽和酸系化合物は、アクリル酸(R3が水素原子の場合)やメタクリル酸(R3がメチル基の場合)となる。また、R1またはR2がカルボキシ基であり、R3が水素原子である場合には、化学式1で表される不飽和酸系化合物は、マレイン酸やフマル酸となる。さらに、R2がカルボキシ基であり、R3がCH2COOH基である場合には、化学式1で表される不飽和酸系化合物は、イタコン酸となる。
【0026】
化学式1で表される不飽和酸系化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸アンモニウム、メタクリル酸アンモニウム;マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、およびこれらの金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩等が挙げられる。これらの2種以上が併用されてもよい。なかでも、不飽和酸系化合物としては、(メタ)アクリル酸が好ましく用いられる。これらの化合物は、市販されている化合物を用いてもよいし、自ら合成することにより準備してもよい。
【0027】
[不飽和(ポリ)エーテル化合物]
本発明における、不飽和(ポリ)エーテル化合物は、下記化学式2:
【0028】
【化4】
【0029】
で表される。
【0030】
化学式2において、R4は、炭素原子数2〜8のアルケニル基である。ここで、「アルケニル基」とは、アルケンの任意の炭素原子から一個の水素原子を除去した、一般式CnH2n−1で表される一価の基を意味する。かようなアルケニル基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリル基、イソプレニル基(CH2=C(CH3)−CH2CH2−基)、プロペニル基、イソプロペニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基等が挙げられる。
【0031】
化学式2において、R5Oは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基である。かようなオキシアルキレン基を構成する「R5」としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、エチルエチレン基、フェニルエチレン基、テトラメチレン基、または1,2−ジメチルエチレン基が挙げられる。すなわち、化学式2において「R5O」は、上記の官能基を含むオキシアルキレン基(例えば、オキシエチレン基)である。なかでも、重合における反応性の観点からは、R5はエチレン基またはメチルエチレン基であることが好ましく、エチレン基であることが最も好ましい。また、場合によっては、(R5O)nで表される繰り返し単位中に2以上の異なるR5O構造が存在していてもよい。ただし、ポリオキシアルキレン鎖の製造の容易性や構造の制御のし易さを考慮すると、(R5O)nで表される繰り返し構造は、同一のAO構造の繰り返しであることが好ましい。なお、2以上の異なるR5O構造が存在する場合、これらの異なるR5O構造は、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの形態で存在していてもよい。
【0032】
化学式2において、nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表す。このnは、1〜500の数であり、好ましくは2〜450であり、より好ましくは3〜400であり、さらに好ましくは4〜400であり、特に好ましくは6〜350であり、最も好ましくは6〜300である。オキシアルキレン基の平均付加モル数nが上述した下限値以上であれば、得られる重合体の親水性が確保され、分散性能が向上しうるため、好ましい。また、オキシアルキレン基の平均付加モル数nが上述した上限値以下であれば、反応工程における反応性が十分に確保されうるため、好ましい。なお、「平均付加モル数」とは、不飽和(ポリ)エーテル化合物1モル中において付加しているオキシアルキレン基のモル数の平均値を意味する。
【0033】
化学式2において、R6は、水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基である。ここで、炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜30のアルキル基(脂肪族アルキル基または脂環族アルキル基)、炭素原子数6〜30のフェニル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキル基、(アルキル)フェニル基で置換されたフェニル基、ナフチル基等のベンゼン環を有する芳香族基等が挙げられる。R6においては、炭化水素基の炭素原子数が増大するに従って疎水性が大きくなり、分散性が低下するため、R6が炭化水素基の場合の炭素原子数としては、1〜22が好ましく、1〜18がより好ましく、1〜12がさらに好ましく、1〜4が特に好ましい。
【0034】
[他の単量体]
なお、上記不飽和酸系化合物と不飽和(ポリ)エーテル化合物に加えて、これらと共重合可能な他の単量体をさらに共重合させてもよい。なお、他の単量体の使用量は、上記2つの原料化合物の全量100重量%に対して、好ましくは0〜70重量%であり、より好ましくは0〜50重量%であり、さらに好ましくは0〜30重量%であり、特に好ましくは0〜10重量%である。他の単量体としては、上述した不飽和(ポリ)エーテル化合物および不飽和酸系化合物と共重合可能な化合物であれば特に制限されず、下記の化合物の1種または2種以上が用いられうる。
【0035】
マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアルコールとのハーフエステル、ジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのハーフアミド、ジアミド類;上記アルコールやアミンに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを1〜500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコールと上記不飽和ジカルボン酸類とのハーフエステル、ジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数2〜18のグリコールまたはこれらのグリコールの付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフエステル、ジエステル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルクロトネート、エチルクロトネート、プロピルクロトネート等の不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアルコールとのエステル類;炭素原子数1〜30のアルコールに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを1〜500モル付加させたアルコキシ(ポリ)アルキレングリコールと(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸類とのエステル類;(ポリ)エチレングリコールモノメタクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノメタクリレート、(ポリ)ブチレングリコールモノメタクリレート等の、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸類への炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドの1〜500モル付加物類;マレアミド酸と炭素原子数2〜18のグリコールまたはこれらのグリコールの付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフアミド類。
【0036】
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリエチレングリコールジマレート、ポリエチレングリコールジマレート等の(ポリ)アルキレングリコールジマレート類;ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2−(メタ)アクリロキシエチルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホフェニルエーテル、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシスルホベンゾエート、4−(メタ)アクリロキシブチルスルホネート、(メタ)アクリルアミドメチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、2−メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類、並びに、それらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩;メチル(メタ)アクリルアミドのように不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのアミド類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン等のビニル芳香族類;1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレート類;ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン等のジエン類。
【0037】
(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等の不飽和シアン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和エステル類;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル、ビニルピリジン等の不飽和アミン類;ジビニルベンゼン等のジビニル芳香族類;トリアリルシアヌレート等のシアヌレート類;(メタ)アリルアルコール、グリシジル(メタ)アリルエーテル等のアリル類;メトキシポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、等のビニルエーテルあるいはアリルエーテル類;ポリジメチルシロキサンプロピルアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサンアミノプロピレンアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサン−ビス−(プロピルアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(ジプロピレンアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−メタクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−メタクリレート)等のシロキサン誘導体。
【0038】
[溶媒]
上記不飽和酸系化合物と不飽和(ポリ)エーテル化合物との反応においては、必要に応じて溶媒が使用されうる。溶媒としては特に限定されず、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の芳香族または脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル化合物等が挙げられるが、原料化合物および得られる共重合体の溶解性から、水および炭素原子数1〜4の低級アルコールからなる群から選択される少なくとも1種を溶媒として用いることが好ましく、その中でも水を溶媒に用いるのが、脱溶媒工程を省略できる点でさらに好ましい。
【0039】
[重合開始剤]
また、上記不飽和酸系化合物と不飽和(ポリ)エーテル化合物との反応において、必要に応じて各種の重合開始剤を使用してもよい。反応が水溶液重合である場合は、ラジカル重合開始剤として、水溶性の重合開始剤、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン塩酸塩等のアゾアミジン化合物、2,2’−アゾビス−2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン塩酸塩等の環状アゾアミジン化合物、2−カルバモイルアゾイソブチロニトリル等のアゾニトリル化合物等の水溶性アゾ系開始剤等が使用され、この際、亜硫酸水素ナトリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩、メタ二亜硫酸塩、次亜燐酸ナトリウム、モール塩等のFe(II)塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物、ヒドロキシルアミン塩酸塩、チオ尿素、L−アスコルビン酸(塩)、エリソルビン酸(塩)等の促進剤を併用することもできる。なかでも、過酸化水素とL−アスコルビン酸(塩)等の促進剤との組み合わせが好ましい。これらのラジカル重合開始剤や促進剤はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0040】
一方、低級アルコール、芳香族もしくは脂肪族炭化水素、エステル化合物、または、ケトン化合物を溶媒とする溶液重合を行う場合には、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ナトリウムパーオキサイド等のパーオキサイド;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等がラジカル重合開始剤として用いられる。この際アミン化合物等の促進剤を併用することもできる。さらに、水−低級アルコール混合溶媒を用いる場合には、上記の種々のラジカル重合開始剤、または、ラジカル重合開始剤と促進剤の組み合わせの中から適宜選択して用いることができる。
【0041】
また、塊状重合を行う場合には、ラジカル重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ナトリウムパーオキサイド等のパーオキサイド;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を用いる。
【0042】
[連鎖移動剤]
また、上記不飽和酸系化合物と不飽和(ポリ)エーテル化合物との反応においては、得られる共重合体の分子量を調整する目的で、連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては特に限定されず、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系連鎖移動剤;イソプロパノール等の第2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸、およびその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)や、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸、およびその塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)の低級酸化物およびその塩;等が挙げられる。これらは1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。さらに、得られる共重合体の分子量を調整する目的には、「他の単量体」として(メタ)アリルスルホン酸(塩)類等の連鎖移動性の高い単量体を用いることも有効である。
【0043】
[工程A〜D、X]
本発明は、上述の不飽和酸系化合物と、不飽和(ポリ)エーテル化合物とを反応器中で反応させる親水性重合体の製造方法に関する。本発明で使用する反応器は、不飽和酸系化合物と不飽和(ポリ)エーテル化合物との重合反応を行う場であり、反応器内の内容物(原料化合物、溶媒、試薬等;以下、「原料化合物等」とも称する)を重合反応に適した所望の温度に昇温および/または降温することができる温度調節装置を備えたものであることが好ましい。また、原料化合物等の供給経路や、反応後の反応溶液を外部に抜き出すための反応液抜き出し経路等が備えられていてもよい。
【0044】
本発明の製造方法では、上述の反応器に不飽和酸系化合物を投入する工程Aと、反応基に不飽和(ポリ)エーテル化合物を投入する工程Bと、反応器内の内容物を昇温させる工程Xとを有することを必須とする。なお、本明細書において「内容物を昇温させる」とは、内容物(投入された原料化合物等)を重合反応に適した温度(反応温度)にするために加熱し、昇温前と昇温後の内容物の温度差が5℃以上なるように連続的または断続的に温度を上げることを意味する。よって、「保温」などの内容物全体の温度に変化がない場合は、本明細書の「昇温」には該当しない。また、ある温度昇温させ、その後一時保温または降温し、その後さらにある温度昇温させるような場合であっても、最初の昇温前と、最後の昇温後の温度差が5℃以上となれば、本明細書の「内容物を昇温させる」に含まれる。この際、最初の昇温開始から、最後の昇温終了までの期間が工程Xである。この昇温前と昇温後の内容物の温度差は、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましい。このように昇温前と昇温後の内容物の温度差が大きくなると、本発明の効果がより一層顕著なものとなる。なお、反応温度は、使用する原料化合物や重合反応の種類等によって当業者が適宜調節することができる。一般的には水溶液重合を行う際の反応温度は、例えば、25〜99℃であり、好ましくは50〜95℃であり、より好ましくは60〜92℃であり、さらに好ましくは65〜90℃である。また、溶液重合を行う際の反応温度は、例えば、25〜99℃であり、好ましくは40〜90℃であり、より好ましくは45〜85℃であり、さらに好ましくは50〜80℃である。また、塊状重合を行う際の反応温度は、例えば、50〜200℃である。
【0045】
そして、本発明の製造方法では、上記工程Aおよび/または工程Bを行うとき、上記工程Xを同時に行う(ただし、前記内容物が前記不飽和酸系化合物のみであるときに、前記工程Xを開始する場合を除く)ことを特徴とする。「工程Aおよび/または工程Bを行うとき、上記工程Xを同時に行う」とは、すなわち、反応に供する不飽和酸系化合物および/または不飽和(ポリ)エーテル化合物の少なくとも一部を連続的に投入している期間の少なくとも一部の期間において反応器内の内容物を昇温させることが必要であることを意味する。ここで、「連続的に投入する」形態としては、原料化合物等を一括して投入する形態や、一定期間滴下して投入する形態を含む。このうち、好ましい形態は、「工程Aおよび工程Bを行うとき、工程Xを同時に行う」形態である。該形態によると、得られる親水性重合体のセメント混和剤としての性能がより一層向上しうる。また、原料化合物等の投入時間および昇温時間をより一層短縮することもできる。なお、「ただし、前記内容物が前記不飽和酸系化合物のみであるときに、前記工程Xを開始する場合を除く」とするのは、内容物が不飽和酸系化合物のみのときに工程Xを開始する場合、昇温開始直後はほぼ不飽和酸系化合物のみが昇温されることになり、易重合性である不飽和酸系化合物が好ましくない重合反応を起こす虞があるからである。このような好ましくない重合反応は、ゲル状の重合体(ゲル重合体)が多く生成したり、セメント混和剤として使用した際の性能を低下させうる。
【0046】
本発明の製造方法では、反応に溶媒を使用する場合は、反応器に溶媒を投入する工程Cをさらに含むことができる。この場合、セメント混和剤の性能向上や、原料化合物等の投入時間および昇温時間を短縮させる観点から、工程Cと工程Xとを同時に行うことが好ましい。また、本発明の製造方法において、反応に重合開始剤を使用する場合は、反応器に溶媒を投入する工程Dをさらに含んでもよい。
【0047】
上記工程A〜Dのそれぞれの順番は「上記工程Aおよび/または工程Bを行うとき、上記工程Xを同時に行う」という条件を満たす限りにおいて、特に制限はない。例えば、工程A〜Dのうちの、全てを同時に行う形態、任意の3つの工程を同時に行う形態(具体的には後述の実施例1〜5、8)、任意の2つの工程を同時に行う形態(具体的には後述の実施例6、9、10)、全てを同時に行わない形態(具体的には後述の実施例7)等が挙げられる。また、工程A〜Dの全てを同時に行わない場合の各工程を行う順番にも特に制限はない。
【0048】
また、「工程Aおよび/または工程Bを行うとき、工程Xを同時に行う」という条件を満たす限りにおいて、工程Aおよび/または工程Bと、工程Xとを同時に行わないことがあってもよい。すなわち、反応に必要な原料化合物の一部を連続的に投入している期間の少なくとも一部の期間において反応器内の内容物を昇温させ、残りの原料化合物を連続的に投入している期間は昇温を行わない形態や;反応に必要な原料化合物の一部を連続的に投入している期間は反応器内の内容物の昇温を行わず、残りの原料化合物を連続的に投入している期間の少なくとも一部の期間において昇温を行う形態なども本発明の製造方法に含まれる。
【0049】
<親水性重合体の用途>
本発明の製造方法により製造される親水性重合体は、セメント混和剤として用いられうる。
【0050】
本発明のセメント混和剤は、本発明の製造方法により製造される親水性重合体を必須成分として含むものであるが、上述した製造方法により得られた水溶液の形態でそのままセメント混和剤の主成分として使用してもよいし、乾燥させて粉体化して使用してもよい。
【0051】
本発明のセメント混和剤は、各種水硬性材料、すなわちセメントや石膏等のセメント組成物やそれ以外の水硬性材料に用いることができる。このような水硬性材料と水と本発明のセメント混和剤とを含有し、さらに必要に応じて細骨材(砂等)や粗骨材(砕石等)を含む水硬性組成物の具体例としては、セメントペースト、モルタル、コンクリート、プラスター等が挙げられる。
【0052】
上記水硬性組成物の中では、水硬性材料としてセメントを使用するセメント組成物が最も一般的であり、該セメント組成物は、本発明のセメント混和剤、セメントおよび水を必須成分として含んでなる。このようなセメント組成物は、本発明の好ましい実施形態の1つである。
【0053】
上記セメント組成物において使用されるセメントとしては、特に限定はない。例えば、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩およびそれぞれの低アルカリ形)、各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント)、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント)、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント)、超高強度セメント、セメント系固化材、エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の一種以上を原料として製造されたセメント)等が挙げられ、さらに、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体や石膏を添加してもよい。又、骨材としては、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材等以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材が使用可能である。
【0054】
上記セメント組成物においては、その1m3あたりの単位水量、セメント使用量および水/セメント比には特に制限はなく、単位水量100〜185kg/m3、使用セメント量250〜800kg/m3、水/セメント比(重量比)=0.1〜0.7、好ましくは単位水量120〜175kg/m3、使用セメント量270〜800kg/m3、水/セメント比(重量比)=0.2〜0.65が推奨され、貧配合〜富配合まで幅広く使用可能であり、単位セメント量が多く水/セメント比が小さい高強度コンクリート、水/セメント比(重量比)が0.3以下の低−水/セメント比領域にある超高強度コンクリート、単位セメント量が300kg/m3以下の貧配合コンクリートのいずれにも有効である。上記セメント組成物における本発明のセメント混和剤の配合割合については、特に限定はないが、水硬セメントを用いるモルタルやコンクリート等に使用する場合には、固形分換算で、親水性重合体がセメント重量の0.01〜5.0%、好ましくは0.02〜2.0%、より好ましくは0.05〜1.0%となる比率の量を添加すればよい。この添加により、単位水量の低減、強度の増大、耐久性の向上等の各種の好ましい諸効果がもたらされる。上記配合割合が0.01%未満では、性能的に充分とはならない虞があり、逆に5.0%を超える多量を使用しても、その効果は実質上頭打ちとなり経済性の面からも不利となる。
【0055】
上記セメント組成物は、ポンプ圧送性にも優れ、施工時の作業性を著しく改善し、高い流動性を有していることから、レディーミクストコンクリート、コンクリート2次製品(プレキャストコンクリート)用のコンクリート、遠心成形用コンクリート、振動締め固め用コンクリート、蒸気養生コンクリート、吹付けコンクリート等に有効であり、さらに、中流動コンクリート(スランプ値が22〜25cmの範囲のコンクリート)、高流動コンクリート(スランプ値が25cm以上で、スランプフロー値が50〜70cmの範囲のコンクリート)、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材等の高い流動性を要求されるモルタルやコンクリートにも有効である。
【0056】
上記セメント組成物は、例えば、以下に記載するようなセメント分散剤を含有することができる。リグニンスルホン酸塩;ポリオール誘導体;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物;ポリスチレンスルホン酸塩;特開平1−113419号公報に記載のようなアミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等のアミノスルホン酸系;特開平7−267705号公報に記載のような(a)成分として、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系化合物と(メタ)アクリル酸系化合物との共重合体および/またはその塩と、(b)成分として、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル系化合物と無水マレイン酸との共重合体および/もしくはその加水分解物、ならびに/または、その塩と、(c)成分として、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル系化合物と、ポリアルキレングリコール系化合物のマレイン酸エステルとの共重合体および/又はその塩とを含むセメント分散剤;特許第2508113号明細書に記載のようなA成分として、(メタ)アクリル酸のポリアルキレングリコールエステルと(メタ)アクリル酸(塩)との共重合体、B成分として、特定のポリエチレングリコールポリプロピレングリコール系化合物、C成分として、特定の界面活性剤からなるコンクリート混和剤。
【0057】
特開平1−226757号公報に記載のような(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、および、(メタ)アクリル酸(塩)からなる共重合体;特公平5−36377号公報に記載のような(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)もしくはp−(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸(塩)、ならびに、(メタ)アクリル酸(塩)からなる共重合体;特開平4−149056号公報に記載のようなポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテルとマレイン酸(塩)との共重合体;特開平5−170501号公報に記載のような(メタ)アクリル酸のポリエチレングリコールエステル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、(メタ)アクリル酸(塩)、アルカンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、および、分子中にアミド基を有するα,β−不飽和単量体からなる共重合体;特開平5−43288号公報に記載のようなアルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体、もしくは、その加水分解物、または、その塩;特公昭58−38380号公報に記載のようなポリエチレングリコールモノアリルエーテル、マレイン酸、および、これらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体、もしくは、その塩、または、そのエステル。
【0058】
特公昭59−18338号公報に記載のようなポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体、および、これらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体;特開昭62−119147号公報に記載のようなスルホン酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび必要によりこれと共重合可能な単量体からなる共重合体、または、その塩;特開平6−271347号公報に記載のようなアルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体と、末端にアルケニル基を有するポリオキシアルキレン誘導体とのエステル化反応物;特開平6−298555号公報に記載のようなアルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体と、末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン誘導体とのエステル化反応物。これらセメント分散剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0059】
上記セメント分散剤を用いる場合には、本発明のセメント混和剤としての親水性重合体と上記セメント分散剤との比率、すなわち固形分換算での重量割合(重量%)としては、親水性重合体と上記セメント分散剤との性能バランスによって最適な比率は異なるが、1/99〜99/1が好ましく、5/95〜95/5がより好ましく、10/90〜90/10が最も好ましい。
【0060】
また、上記セメント組成物は、以下の(1)〜(20)に例示するような他の公知のセメント添加剤(材)を含有することができる。
(1)水溶性高分子物質:ポリアクリル酸(ナトリウム)、ポリメタクリル酸(ナトリウム)、ポリマレイン酸(ナトリウム)、アクリル酸・マレイン酸共重合物のナトリウム塩等の不飽和カルボン酸重合物;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の非イオン性セルロースエーテル類;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の多糖類のアルキル化またはヒドロキシアルキル化誘導体の一部または全部の水酸基の水素原子が、炭素数8〜40の炭化水素鎖を部分構造として有する疎水性置換基と、スルホン酸基又はそれらの塩を部分構造として有するイオン性親水性置換基で置換されてなる多糖誘導体;酵母グルカンやキサンタンガム、β−1,3グルカン類(直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、一例を挙げれば、カードラン、パラミロン、パキマン、スクレログルカン、ラミナラン等)等の微生物醗酵によって製造される多糖類;ポリアクリルアミド;ポリビニルアルコール;デンプン;デンプンリン酸エステル;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン;分子内にアミノ基を有するアクリル酸のコポリマーおよびその第4級化合物等。
(2)高分子エマルジョン:(メタ)アクリル酸アルキル等の各種ビニル単量体の共重合物等。
(3)オキシカルボン酸もしくはその塩、糖および糖アルコールからなる群から選ばれる1種以上の硬化遅延剤:珪弗化マグネシウム;リン酸ならびにその塩またはホウ酸エステル類;アミノカルボン酸とその塩;アルカリ可溶タンパク質;フミン酸;タンニン酸;フェノール;グリセリン等の多価アルコール;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)およびこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等のホスホン酸およびその誘導体等。
(4)早強剤・促進剤:塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等の可溶性カルシウム塩;塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸塩;水酸化カリウム;水酸化ナトリウム;炭酸塩;チオ硫酸塩;ギ酸およびギ酸カルシウム等のギ酸塩;アルカノールアミン;アルミナセメント;カルシウムアルミネートシリケート等。
(5)鉱油系消泡剤:燈油、流動パラフィン等。
(6)油脂系消泡剤:動植物油、ごま油、ひまし油、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(7)脂肪酸系消泡剤:オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(8)脂肪酸エステル系消泡剤:グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、天然ワックス等。
(9)オキシアルキレン系消泡剤:(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルエーテル、炭素原子数12〜14の高級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール,3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェノールエーテル硫酸ナトリウム等の(ポリ)オキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;(ポリ)オキシエチレンステアリルリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミン等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド等。
(10)アルコール系消泡剤:オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、グリコール類等。
(11)アミド系消泡剤:アクリレートポリアミン等。
(12)リン酸エステル系消泡剤:リン酸トリブチル、ナトリウムオクチルホスフェート等。
(13)金属石鹸系消泡剤:アルミニウムステアレート、カルシウムオレエート等。
(14)シリコーン系消泡剤:ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン等のポリオルガノシロキサン)、フルオロシリコーン油等。
(15)AE剤:樹脂石鹸、飽和あるいは不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステルまたはその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステルまたはその塩、タンパク質材料、アルケニルスルホコハク酸、α−オレフィンスルホネート等。
(16)その他界面活性剤:オクタデシルアルコールやステアリルアルコール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂肪族1価アルコール、アビエチルアルコール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂環式1価アルコール、ドデシルメルカプタン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する1価メルカプタン、ノニルフェノール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアルキルフェノール、ドデシルアミン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアミン、ラウリン酸やステアリン酸等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するカルボン酸に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを10モル以上付加させたポリアルキレンオキシド誘導体類;アルキル基又はアルコキシ基を置換基として有してもよい、スルホン基を有する2個のフェニル基がエーテル結合した、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩類;各種アニオン性界面活性剤;アルキルアミンアセテート、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の各種カチオン性界面活性剤;各種ノニオン性界面活性剤;各種両性界面活性剤等。
(17)防水剤:脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコーン、パラフィン、アスファルト、ワックス等。
(18)防錆剤:亜硝酸塩、リン酸塩、酸化亜鉛等。
(19)ひび割れ低減剤:ポリオキシアルキルエーテル等。
(20)膨張材;エトリンガイト系、石炭系等。
【0061】
その他の公知のセメント添加剤(材)としては、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、防錆剤、着色剤、防カビ剤等を挙げることができる。これら公知のセメント添加剤(材)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0062】
上記セメント組成物において、セメントおよび水以外の成分についての特に好適な実施形態としては、次の(1)〜(4)が挙げられる。
【0063】
(1)(i)本発明のセメント混和剤、および、(ii)オキシアルキレン系消泡剤の2成分を必須とする組み合わせ。なお、(ii)のオキシアルキレン系消泡剤の配合重量比としては、(i)のセメント混和剤中の共重合体(A)に対して0.001〜10重量%の範囲が好ましい。
【0064】
(2)(i)本発明のセメント混和剤、および、(ii)材料分離低減剤の2成分を必須とする組み合わせ。材料分離低減剤としては、非イオン性セルロースエーテル類等の各種増粘剤、部分構造として炭素数4〜30の炭化水素鎖からなる疎水性置換基と炭素数2〜18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖とを有する化合物等が使用可能である。なお、(i)のセメント混和剤中の親水性重合体と(ii)の材料分離低減剤との配合重量比としては、10/90〜99.99/0.01が好ましく、50/50〜99.9/0.1がより好ましい。この組み合わせのセメント組成物は、高流動コンクリート、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材として好適である。
【0065】
(3)(i)本発明のセメント混和剤、および、(ii)分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤の2成分を必須とする組み合わせ。スルホン酸系分散剤としては、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩、アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等のアミノスルホン酸系の分散剤等が使用可能である。なお、(i)のセメント混和剤中の親水性重合体と(ii)の分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤との配合重量比としては、5/95〜95/5が好ましく、10/90〜90/10がより好ましい。
【0066】
(4)(i)本発明のセメント混和剤、および、(ii)リグニンスルホン酸塩の2成分を必須とする組み合わせ。なお、(i)のセメント混和剤中の親水性重合体と(ii)のリグニンスルホン酸塩との配合重量比としては、5/95〜95/5が好ましく、10/90〜90/10がより好ましい。
【実施例】
【0067】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は下記の形態のみには限定されない。また、特記しない限り、「%」は重量%を意味し、「部」は重量部を意味する。なお、図1〜11で表される各工程にかかる時間や内容物温度を表すグラフは、あくまでも模式的なものであり、実際の時間や温度とは異なる場合がある。
【0068】
<測定条件>
下記の例において、製造された重合体の重量平均分子量、ならびに各種生成物の生成量は、以下の条件・方法で測定した。
【0069】
[重量平均分子量測定条件]
機種;株式会社島津製作所製 LC Solution
検出器;Shodex製 RI−101
溶離液;種類 アセトニトリル/水=40/60体積% pH6.0
流量 0.8mL/min
カラム:種類 東ソー株式会社製
TSK−GEL GUARD COLUMN+G40000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL
6.0×40mm(GUARD COLUMN)、その他 7.8×300mm
検量線;ポリエチレングリコール基準
[不飽和(ポリ)エーテル化合物の定量条件]
機種;株式会社島津製作所製 LC Solution
検出器;株式会社島津製作所製 RID−10A
溶離液;種類 0.1体積%リン酸水溶液/アセトニトリル=50/50(体積%)
カラム:種類 東ソー株式会社製
ODS80Ts+ODS120T
各 4.6×250mm
検量線;外部標準法
[アクリル酸の定量条件]
機種;株式会社島津製作所製 LC Solution
検出器;株式会社島津製作所製 SPD−10AVvp
溶離液;種類 0.1体積%リン酸水溶液/アセトニトリル=50/50(体積%)
カラム:種類 東ソー株式会社製
ODS80Ts+ODS120T
各 4.6×250mm
検量線;外部標準法
<親水性重合体の製造>
[実施例1]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、蒸留水3600部、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部、アクリル酸12部を同時に投入した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、蒸留水は30分、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、アクリル酸は1分かかり、全体で50分かかった。原料の温度はそれぞれ、蒸留水は20℃、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、アクリル酸は20℃であった。投入開始と同時に、反応器内の内容物を35℃から60℃へと昇温を開始し、昇温終了まで120分かかった。反応器内の内容物を60℃に昇温した後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液600部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量34,000の重合体水溶液からなる本発明のセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量を液体クロマトグラフィー(LC)により測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.1%、アクリル酸の重合率は98.8%であった。ゲルの生成量は0.2%であった。なお、実施例1における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図1に示す。
【0070】
[実施例2]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、蒸留水3600部、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部、アクリル酸12部を同時に投入した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、蒸留水は30分、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、アクリル酸は1分かかり、全体で50分かかった。原料の温度はそれぞれ、蒸留水は20℃、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、アクリル酸は20℃であった。投入開始と同時に、反応器内の内容物を35℃から60℃へと昇温を開始し、昇温終了まで120分かかった。反応器内の内容物を60℃に昇温した後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸825部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液600部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量34,200の重合体水溶液からなる本発明のセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.3%、アクリル酸の重合率は99.0%であった。ゲルの生成量は0.2%であった。なお、実施例2における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図1に示す。
【0071】
[実施例3]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、蒸留水3600部、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部、アクリル酸12部を同時に投入した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、蒸留水は30分、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、アクリル酸は1分かかり、全体で50分かかった。原料の温度はそれぞれ、蒸留水は20℃、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、アクリル酸は20℃であった。投入開始と同時に、反応器内の内容物を35℃から60℃へと昇温を開始し、昇温終了まで120分かかった。反応器内の内容物を60℃に昇温した後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸750部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液600部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量34,800の重合体水溶液からなる本発明のセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.6%、アクリル酸の重合率は98.9%であった。ゲルの生成量は0.1%であった。なお、実施例3における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図1に示す。
【0072】
[実施例4]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、蒸留水3600部、2−メチル−2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部、アクリル酸12部を同時に投入した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、蒸留水は30分、2−メチル−2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、アクリル酸は1分かかり、全体で50分かかった。原料の温度はそれぞれ、蒸留水は20℃、2−メチル−2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、アクリル酸は20℃であった。投入開始と同時に、反応器内の内容物を35℃から60℃へと昇温を開始し、昇温終了まで120分かかった。反応器内の内容物を60℃に昇温した後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸825部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液600部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量32,700の重合体水溶液からなる本発明のセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.5%、アクリル酸の重合率は99.0%であった。ゲルの生成量は0.1%であった。なお、実施例4における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図1に示す。
【0073】
[実施例5]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、蒸留水3600部、2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部、アクリル酸12部を同時に投入した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、蒸留水は30分、2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、アクリル酸は1分かかり、全体で50分かかった。原料の温度はそれぞれ、蒸留水は20℃、2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、アクリル酸は20℃であった。投入開始と同時に、反応器内の内容物を35℃から60℃へと昇温を開始し、昇温終了まで120分かかった。反応器内の内容物を60℃に昇温した後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸825部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液600部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量31,800の重合体水溶液からなる本発明のセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.7%、アクリル酸の重合率は98.8%であった。ゲルの生成量は0.1%であった。なお、実施例5における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図1に示す。
【0074】
[実施例6]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、蒸留水3600部、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部を同時に投入した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、蒸留水は30分、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、全体で50分かかった。原料の温度はそれぞれ、蒸留水は20℃、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、アクリル酸は20℃であった。投入開始と同時に、反応器内の内容物を35℃から60℃へと昇温を開始し、昇温終了まで120分かかった。反応器内の内容物を60℃に昇温した後、内容物を該温度に維持しながら、アクリル酸12部と30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液600部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量34,000の重合体水溶液からなる本発明のセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.2%、アクリル酸の重合率は99.0%であった。ゲルの生成量は0.2%であった。なお、実施例6における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図2に示す。
【0075】
[実施例7]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、蒸留水3600部を投入し、その後、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部、アクリル酸12部、30%−過酸化水素水溶液30部を順次添加した。この際、この際、原料の投入時間はそれぞれ、蒸留水は30分、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、アクリル酸は1分、30%−過酸化水素水溶液は2分かかり、全体で83分かかった。原料の温度はそれぞれ、蒸留水は20℃、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、アクリル酸は20℃、30%−過酸化水素水溶液は20℃であった。投入開始と同時に、反応器内の内容物を20℃から60℃へと昇温を開始し、昇温終了まで120分かかった。反応器内の内容物を60℃に昇温した後、内容物を該温度に維持しながら、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液600部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量33,700の重合体水溶液からなる本発明のセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.2%、アクリル酸の重合率は98.8%であった。ゲルの生成量は0.2%であった。なお、実施例7における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図3に示す。
【0076】
[実施例8]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部を投入し、その後、蒸留水3600部、アクリル酸12部、30%−過酸化水素水溶液30部を同時に添加した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、蒸留水は30分、アクリル酸は1分、30%−過酸化水素水溶液は2分かかり、全体で80分かかった。原料の温度はそれぞれ、蒸留水は20℃、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、アクリル酸は20℃、30%−過酸化水素水溶液は20℃であった。投入開始と同時に、反応器内の内容物を45℃から60℃へと昇温を開始し、昇温終了まで120分かかった。反応器内の内容物を60℃に昇温した後、内容物を該温度に維持しながら、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液600部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量34,200の重合体水溶液からなる本発明のセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.2%、アクリル酸の重合率は98.7%であった。ゲルの生成量は0.2%であった。なお、実施例8における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図4に示す。
【0077】
[実施例9]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、蒸留水3600部とアクリル酸12部とを同時に投入し、その後、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部、30%−過酸化水素水溶液30部を順次添加した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、蒸留水は30分、アクリル酸は1分、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、30%−過酸化水素水溶液は2分かかり、全体で82分かかった。原料の温度はそれぞれ、蒸留水は20℃、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、アクリル酸は20℃、30%−過酸化水素水溶液は20℃であった。投入開始と同時に、反応器内の内容物を20℃から60℃へと昇温を開始し、昇温終了まで120分かかった。反応器内の内容物を60℃に昇温した後、内容物を該温度に維持しながら、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液600部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量33,900の重合体水溶液からなる本発明のセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.4%、アクリル酸の重合率は98.9%であった。ゲルの生成量は0.2%であった。なお、実施例9における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図5に示す。
【0078】
[実施例10]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部とアクリル酸12部とを同時に投入し、その後、蒸留水3600部、30%−過酸化水素水溶液30部を順次添加した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、アクリル酸は1分、蒸留水は30分、30%−過酸化水素水溶液は2分かかり、全体で82分かかった。原料の温度はそれぞれ、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、アクリル酸は20℃、蒸留水は20℃、30%−過酸化水素水溶液は20℃であった。投入開始と同時に、反応器内の内容物を45℃から60℃へと昇温を開始し、昇温終了まで120分かかった。反応器内の内容物を60℃に昇温した後、内容物を該温度に維持しながら、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液600部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量33,900の重合体水溶液からなる本発明のセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.3%、アクリル酸の重合率は98.8%であった。ゲルの生成量は0.2%であった。なお、実施例10における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図6に示す。
【0079】
[比較例1]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、アクリル酸12部を投入し、その後、反応器内の内容物を20℃から60℃へと10分かけて昇温した。続いて蒸留水3600部、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部を仕込み、反応器内の内容物を60℃に昇温した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、アクリル酸は1分、蒸留水は30分、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、全体で61分かかった。また、昇温は開始から終了まで120分かかった。原料の温度はそれぞれ、アクリル酸は20℃、蒸留水は20℃、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃であった。その後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液750部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量36,500の重合体水溶液からなるセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、92.8%、アクリル酸の重合率は98.3%であった。ゲルの生成量は0.4%であった。なお、比較例1における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図7に示す。
【0080】
[比較例2]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、アクリル酸12部を投入し、その後、反応器内の内容物を20℃から60℃へと10分かけて昇温した。続いて蒸留水3600部、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部を仕込み、反応器内の内容物を60℃に昇温した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、アクリル酸は1分、蒸留水は30分、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、全体で61分かかった。また、昇温は開始から終了まで120分かかった。原料の温度はそれぞれ、アクリル酸は20℃、蒸留水は20℃、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃であった。その後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸825部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液750部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量35,200の重合体水溶液からなるセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.0%、アクリル酸の重合率は98.8%であった。ゲルの生成量は0.3%であった。なお、比較例2における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図7に示す。
【0081】
[比較例3]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、アクリル酸12部を投入し、その後、反応器内の内容物を20℃から60℃へと10分かけて昇温した。続いて蒸留水3600部、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部を仕込み、反応器内の内容物を60℃に昇温した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、アクリル酸は1分、蒸留水は30分、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、全体で61分かかった。また、昇温は開始から終了まで120分かかった。原料の温度はそれぞれ、アクリル酸は20℃、蒸留水は20℃、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃であった。その後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸750部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液750部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量35,600の重合体水溶液からなるセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、92.9%、アクリル酸の重合率は98.5%であった。ゲルの生成量は0.3%であった。なお、比較例3における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図7に示す。
【0082】
[比較例4]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、アクリル酸12部を投入し、その後、反応器内の内容物を20℃から60℃へと10分かけて昇温した。続いて蒸留水3600部、2−メチル−2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部を仕込み、反応器内の内容物を60℃に昇温した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、アクリル酸は1分、蒸留水は30分、2−メチル−2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、全体で61分かかった。また、昇温は開始から終了まで120分かかった。原料の温度はそれぞれ、アクリル酸は20℃、蒸留水は20℃、2−メチル−3−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃であった。その後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液750部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量33,000の重合体水溶液からなるセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.0%、アクリル酸の重合率は98.6%であった。ゲルの生成量は0.3%であった。なお、比較例5における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図7に示す。
【0083】
[比較例5]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、アクリル酸12部を投入し、その後、反応器内の内容物を20℃から60℃へと10分かけて昇温した。続いて蒸留水3600部、2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部を仕込み、反応器内の内容物を60℃に昇温した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、アクリル酸は1分、蒸留水は30分、2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、全体で61分かかった。また、昇温は開始から終了まで120分かかった。原料の温度はそれぞれ、アクリル酸は20℃、蒸留水は20℃、2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃であった。その後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液750部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量32,800の重合体水溶液からなるセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、92.9%、アクリル酸の重合率は98.5%であった。ゲルの生成量は0.3%であった。なお、比較例5における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図7に示す。
【0084】
[比較例6]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、蒸留水3600部、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部、アクリル酸12部を順次投入し、その後、反応器内の内容物を35℃から60℃へと昇温を開始した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、蒸留水は30分、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、アクリル酸は1分、全体で81分かかった。原料投入後、昇温を開始し内容物が60℃になるまで120分かかった。原料の温度はそれぞれ、蒸留水は20℃、2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、アクリル酸は20℃であった。昇温後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液750部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量35,000の重合体水溶液からなるセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、92.7%、アクリル酸の重合率は98.4%であった。ゲルの生成量は0.3%であった。なお、比較例6における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図8に示す。
【0085】
[比較例7]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部、蒸留水3600部、アクリル酸12部を順次投入し、その後、反応器内の内容物を35℃から60℃へと昇温を開始した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、蒸留水は30分、アクリル酸は1分、全体で81分かかった。また、昇温は開始から終了まで120分かかった。原料の温度はそれぞれ、2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、蒸留水は20℃、アクリル酸は20℃であった。昇温後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液750部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量35,200の重合体水溶液からなるセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、92.7%、アクリル酸の重合率は98.2%であった。ゲルの生成量は0.3%であった。なお、比較例7における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図9に示す。
【0086】
[比較例8]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、蒸留水3600部、アクリル酸12部、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部を順次投入し、その後、反応器内の内容物を35℃から60℃へと昇温を開始した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、蒸留水は30分、アクリル酸は1分、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、全体で81分かかった。また、昇温は開始から終了まで120分かかった。原料の温度はそれぞれ、蒸留水は20℃、アクリル酸は20℃、2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃であった。昇温後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液750部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量34,800の重合体水溶液からなるセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.0%、アクリル酸の重合率は98.5%であった。ゲルの生成量は0.3%であった。なお、比較例8における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図10に示す。
【0087】
[比較例9]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部、アクリル酸12部、蒸留水3600部を順次投入し、その後、反応器内の内容物を35℃から60℃へと昇温を開始した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、蒸留水は30分、アクリル酸は1分、全体で81分かかった。また、昇温は開始から終了まで120分かかった。原料の温度はそれぞれ、2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃蒸留水は20℃、アクリル酸は20℃であった。昇温後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液750部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量34,600の重合体水溶液からなるセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、92.9%、アクリル酸の重合率は98.6%であった。ゲルの生成量は0.3%であった。なお、比較例9における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図11に示す。
【0088】
<重合体の評価>
[副生ゲル量の測定]
実施例1〜10および比較例1〜9で得られた重合体について、以下の手法により、副生ゲル量を測定した。具体的には、まず、サンプル1000gを200メッシュのフィルターを通して、ゲルをろ別した。ろ別後、フィルターにろ別したゲル物を回収し、重量測定を行った。この結果を下記の表2に示す。
【0089】
[コンクリート試験]
また、実施例1〜10および比較例1〜9で得られた重合体を用いて、コンクリート試験を実施し、評価を行った。試験に用いたコンクリートの調合単位量を表1に示す。セメントは太平洋セメント株式会社製の普通ポルトランドセメントを用いた。骨材としては、石(粗骨材)は青梅産硬質砕石を、砂(細骨材)は君津産中目砂と掛川産山砂を1:1の割合で混合したものを用いた。
【0090】
細骨材の品質はFM値=2.64,吸水率=1.7,比重=2.55であった。
【0091】
表1に示す調合単位量で、JIS A1150に準じ、セメント混和剤は練り水にあらかじめ混合し、50Lパン型ミキサーに30Lのコンクリート材料を投入し、120秒間練り混ぜた。なお、コンクリート組成物中の気泡がコンクリート組成物の流動性に及ぼす影響を避けるために、市販のオキシアルキレン系消泡剤を用いて、空気量が2.0±0.5体積%となるように調整した。ここで、水/セメント比(重量比)=0.35、s/a=0.46であった。s/aとは細骨材率[細骨材/(細骨材+粗骨材)](容積比)を表す。
【0092】
【表1】
【0093】
[フロー値の測定]
セメント混和剤の添加量はセメントに対して0.16重量%に固定し、初期(混練直後)、30分後、60分後に、JIS A 1101に準じて、スランプフロー値(mm)を測定した。この結果を下記の表2に示す。なお、表2に示す「保持率」の値は、時間経過に伴うフロー値の、初期のフロー値を100(%)としたときの百分率の値である。例えば、30分後の保持率は、((30分後のフロー値)/(初期のフロー値))×100(%)で算出される。初期流動性は初期のフロー値が大きいものほど良好であり、保持性は保持率が高いものほど良好であることを意味する。
【0094】
[圧縮強度の測定]
コンクリート試験で得られた生コンクリートを用い、JIS A1132に準じて圧縮強度用供試体を作成し、所定の材齢期間(1日、7日、または28日)、水中養生を行った後、JIS B7733の6.(試験機の等級)に規定する圧縮強度測定装置で圧縮強度を測定した。なお、強度を表す単位は(N/mm2)である。
【0095】
[凝結時間の測定]
コンクリート試験で得られた生コンクリートを用い、JIS A1147に準じて市販の自動凝結時間測定装置を用いて凝結時間を測定した。表2に示す「始発」とは凝結が開始した時点を意味し、「終結」とは凝結が完了した時点を意味する。
【0096】
【表2】
【0097】
表2に示す結果から、本発明によれば、従来技術と比較して、セメント混和剤における各種の性能をより一層改善しうる手段が提供されうることがわかる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、親水性重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
親水性重合体を含むセメント混和剤は、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物等に広く用いられており、セメント組成物から土木・建築構造物等を構築するために欠かすことのできないものとなっている。このようなセメント混和剤は減水剤等として用いられ、セメント組成物の流動性を高めてセメント組成物を減水させることにより、硬化物の強度や耐久性等を向上させる作用を有することになる。このような減水剤としては、従来のナフタレン系等の減水剤に比べて高い減水性能を発揮するポリカルボン酸系減水剤が提案され、最近では高性能AE減水剤として多くの使用実績がある。
【0003】
かようなセメント混和剤として用いられる親水性重合体を製造する手法としては、例えば、一部または全部が中和されていてもよい(メタ)アクリル酸等の不飽和酸系化合物と、イソプレノールや(メタ)アリルアルコール等の不飽和二重結合含有アルコールにアルキレンオキサイドが付加した、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル化合物(以下、「不飽和(ポリ)エーテル化合物」とも称する)とを共重合させる手法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
このような従来の手法ではいずれも、(1)反応器に不飽和酸系化合物および不飽和(ポリ)エーテル化合物(以下、「原料化合物」とも称する)の一部または全部を投入する;(2)反応器内の内容物を所定の反応温度まで昇温する;(3)さらに必要により残りの原料化合物を反応器に投入する;というように、原料化合物の仕込みと昇温とを同時に行わない手法が採られていた。
【0005】
なお、上述の手法により得られた重合体を用いたセメント混和剤に求められる性能としては、水/セメント比が小さくても高い減水性能を発揮すること、スランプ保持性能が高いこと、強度・耐久性に優れること、等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−6701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献に記載されているような従来の手法では、セメント混和剤に求められる上記の各種性能について、依然として改善の余地が存在する。
【0008】
そこで本発明は、従来技術と比較して、セメント混和剤における各種の性能をより一層改善しうる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した従来技術における課題に鑑み、本発明者らは鋭意研究を行った。その結果、親水性重合体を製造する際に、原料化合物を反応器に投入する工程と、反応器内の内容物を昇温する工程とを同時に行うと、得られた重合体がセメント混和剤として優れた性能が発揮されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明の親水性重合体の製造方法は、下記化学式1:
【0011】
【化1】
【0012】
式中、
R1、R2、およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、または−(CH2)pCOOH基であり(この際、pは、0〜2の整数である)、
Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基、または有機アミン基である、
で表される不飽和酸系化合物と、
下記化学式2:
【0013】
【化2】
【0014】
式中、
R4は、炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、
R5Oは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基であり、
nは、前記オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜500の数であり、
R6は、水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基である、
で表される不飽和(ポリ)エーテル化合物とを反応器中で反応させることを含む親水性重合体の製造方法であって、
前記反応器に前記不飽和酸系化合物を投入する工程Aと、
前記反応器に前記不飽和(ポリ)エーテル化合物を投入する工程Bと、
前記反応器内の内容物を昇温させる工程Xとを有し、
前記工程Aおよび/または工程Bを行うとき、前記工程Xを同時に行う(ただし、前記内容物が前記不飽和酸系化合物のみであるときに、前記工程Xを開始する場合を除く)点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来技術と比較して、セメント混和剤における各種の性能をより一層改善しうる手段が提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1〜5における、工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図である。
【図2】実施例6における、工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図である。
【図3】実施例7における、工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図である。
【図4】実施例8における、工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図である。
【図5】実施例9における、工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図である。
【図6】実施例10における、工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図である。
【図7】比較例1〜5における、工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図である。
【図8】比較例6における、工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図である。
【図9】比較例7における、工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図である。
【図10】比較例8における、工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図である。
【図11】比較例9における、工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、不飽和酸系化合物と不飽和(ポリ)エーテル化合物とを反応器中で反応させることを含む親水性重合体の製造方法において、反応器に不飽和酸系化合物を投入する工程Aと、反応器に不飽和(ポリ)エーテル化合物を投入する工程Bと、反応器内の内容物を昇温させる工程Xとを有し、工程Aおよび/または工程Bを行うとき、工程Xを同時に行う(ただし、内容物が不飽和酸系化合物のみであるときに、工程Xを開始する場合を除く)ことを特徴とする。
【0018】
従来の親水性重合体の製造方法では、上記背景技術で述べたように、一般的に原料化合物の仕込みと昇温とを同時に行わない手法が採られていた。このような手法を採用していた理由としては、原料化合物の仕込みと昇温とを同時に行った場合、仕込みの初期に投入された原料化合物は仕込みの終期に投入された原料化合物と比較して、長時間熱に曝され(すなわち、熱負荷時間が長くなり)、品質上問題となる重合体が生成してしまうと考えられていたことが挙げられる。これを避けるべく、熱負荷時間を均等にするため、原料化合物を仕込んだ後に昇温を行っていたのである。また、この他にも、各々の原料化合物の仕込み工程や昇温工程を1工程ずつ順番に確認しながら行うことにより、製造作業上の安全を図っていたという理由もある。
【0019】
しかしながら、本発明者らは上述の技術常識に反して、原料化合物の仕込みと昇温を同時に行うという手法を試みたところ、驚くべきことに、得られた親水性重合体のセメント混和剤としての性能が従来の製造方法で得たものと比較して向上することを見出し、本発明を完成させるに至ったのである。また、本発明のように原料化合物の仕込みと昇温を同時に行うことによって、これらの工程にかかる時間を短縮することができ、生産効率を向上させることもできる。
【0020】
以下、本発明の好ましい形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって定められるものであり、以下の形態のみに制限されない。以下ではまず、本発明の親水性重合体の製造方法で使用される原料化合物、および必要に応じて使用されうる溶媒や試薬等について説明する。その後、本発明の製造方法の各工程について順を追って説明する。
【0021】
<親水性重合体の製造方法>
[不飽和酸系化合物]
本発明における不飽和酸系化合物は、下記化学式1:
【0022】
【化3】
【0023】
で表される。
【0024】
化学式1において、R1、R2、およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、または−(CH2)pCOOH基である。また、R1〜R3の少なくとも1つが−(CH2)pCOOH基である場合、当該基におけるpは、0〜2の整数である。このpは、重合における反応性の観点からはより好ましくは0または1の整数である。なお、R1およびR2の双方が同時に−(CH2)pCOOH基となることはない。また、R3が−(CH2)pCOOH基である場合、R1およびR2は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、−(CH2)pCOOH基となることはない。さらに、化学式1において、Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基または有機アミン基を表す。Mが金属原子である場合、当該金属原子は、一価、二価、および三価のいずれであってもよく、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等の一価金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子等の二価金属原子;アルミニウム、鉄等の三価金属原子が好適である。なかでも、Mは、一価金属原子または二価金属原子であることが好ましい。また、アンモニウム基は、「−NH4+」で表される官能基である。そして、有機アミン基としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン;エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等のポリアミン等の、有機アミン由来の残基が挙げられる。
【0025】
R1およびR2が水素原子である場合には、化学式1で表される不飽和酸系化合物は、アクリル酸(R3が水素原子の場合)やメタクリル酸(R3がメチル基の場合)となる。また、R1またはR2がカルボキシ基であり、R3が水素原子である場合には、化学式1で表される不飽和酸系化合物は、マレイン酸やフマル酸となる。さらに、R2がカルボキシ基であり、R3がCH2COOH基である場合には、化学式1で表される不飽和酸系化合物は、イタコン酸となる。
【0026】
化学式1で表される不飽和酸系化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸アンモニウム、メタクリル酸アンモニウム;マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、およびこれらの金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩等が挙げられる。これらの2種以上が併用されてもよい。なかでも、不飽和酸系化合物としては、(メタ)アクリル酸が好ましく用いられる。これらの化合物は、市販されている化合物を用いてもよいし、自ら合成することにより準備してもよい。
【0027】
[不飽和(ポリ)エーテル化合物]
本発明における、不飽和(ポリ)エーテル化合物は、下記化学式2:
【0028】
【化4】
【0029】
で表される。
【0030】
化学式2において、R4は、炭素原子数2〜8のアルケニル基である。ここで、「アルケニル基」とは、アルケンの任意の炭素原子から一個の水素原子を除去した、一般式CnH2n−1で表される一価の基を意味する。かようなアルケニル基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリル基、イソプレニル基(CH2=C(CH3)−CH2CH2−基)、プロペニル基、イソプロペニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基等が挙げられる。
【0031】
化学式2において、R5Oは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基である。かようなオキシアルキレン基を構成する「R5」としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、エチルエチレン基、フェニルエチレン基、テトラメチレン基、または1,2−ジメチルエチレン基が挙げられる。すなわち、化学式2において「R5O」は、上記の官能基を含むオキシアルキレン基(例えば、オキシエチレン基)である。なかでも、重合における反応性の観点からは、R5はエチレン基またはメチルエチレン基であることが好ましく、エチレン基であることが最も好ましい。また、場合によっては、(R5O)nで表される繰り返し単位中に2以上の異なるR5O構造が存在していてもよい。ただし、ポリオキシアルキレン鎖の製造の容易性や構造の制御のし易さを考慮すると、(R5O)nで表される繰り返し構造は、同一のAO構造の繰り返しであることが好ましい。なお、2以上の異なるR5O構造が存在する場合、これらの異なるR5O構造は、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの形態で存在していてもよい。
【0032】
化学式2において、nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表す。このnは、1〜500の数であり、好ましくは2〜450であり、より好ましくは3〜400であり、さらに好ましくは4〜400であり、特に好ましくは6〜350であり、最も好ましくは6〜300である。オキシアルキレン基の平均付加モル数nが上述した下限値以上であれば、得られる重合体の親水性が確保され、分散性能が向上しうるため、好ましい。また、オキシアルキレン基の平均付加モル数nが上述した上限値以下であれば、反応工程における反応性が十分に確保されうるため、好ましい。なお、「平均付加モル数」とは、不飽和(ポリ)エーテル化合物1モル中において付加しているオキシアルキレン基のモル数の平均値を意味する。
【0033】
化学式2において、R6は、水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基である。ここで、炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜30のアルキル基(脂肪族アルキル基または脂環族アルキル基)、炭素原子数6〜30のフェニル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキル基、(アルキル)フェニル基で置換されたフェニル基、ナフチル基等のベンゼン環を有する芳香族基等が挙げられる。R6においては、炭化水素基の炭素原子数が増大するに従って疎水性が大きくなり、分散性が低下するため、R6が炭化水素基の場合の炭素原子数としては、1〜22が好ましく、1〜18がより好ましく、1〜12がさらに好ましく、1〜4が特に好ましい。
【0034】
[他の単量体]
なお、上記不飽和酸系化合物と不飽和(ポリ)エーテル化合物に加えて、これらと共重合可能な他の単量体をさらに共重合させてもよい。なお、他の単量体の使用量は、上記2つの原料化合物の全量100重量%に対して、好ましくは0〜70重量%であり、より好ましくは0〜50重量%であり、さらに好ましくは0〜30重量%であり、特に好ましくは0〜10重量%である。他の単量体としては、上述した不飽和(ポリ)エーテル化合物および不飽和酸系化合物と共重合可能な化合物であれば特に制限されず、下記の化合物の1種または2種以上が用いられうる。
【0035】
マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアルコールとのハーフエステル、ジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのハーフアミド、ジアミド類;上記アルコールやアミンに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを1〜500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコールと上記不飽和ジカルボン酸類とのハーフエステル、ジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数2〜18のグリコールまたはこれらのグリコールの付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフエステル、ジエステル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルクロトネート、エチルクロトネート、プロピルクロトネート等の不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアルコールとのエステル類;炭素原子数1〜30のアルコールに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを1〜500モル付加させたアルコキシ(ポリ)アルキレングリコールと(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸類とのエステル類;(ポリ)エチレングリコールモノメタクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノメタクリレート、(ポリ)ブチレングリコールモノメタクリレート等の、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸類への炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドの1〜500モル付加物類;マレアミド酸と炭素原子数2〜18のグリコールまたはこれらのグリコールの付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフアミド類。
【0036】
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリエチレングリコールジマレート、ポリエチレングリコールジマレート等の(ポリ)アルキレングリコールジマレート類;ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2−(メタ)アクリロキシエチルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホフェニルエーテル、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシスルホベンゾエート、4−(メタ)アクリロキシブチルスルホネート、(メタ)アクリルアミドメチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、2−メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類、並びに、それらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩;メチル(メタ)アクリルアミドのように不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのアミド類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン等のビニル芳香族類;1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレート類;ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン等のジエン類。
【0037】
(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等の不飽和シアン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和エステル類;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル、ビニルピリジン等の不飽和アミン類;ジビニルベンゼン等のジビニル芳香族類;トリアリルシアヌレート等のシアヌレート類;(メタ)アリルアルコール、グリシジル(メタ)アリルエーテル等のアリル類;メトキシポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、等のビニルエーテルあるいはアリルエーテル類;ポリジメチルシロキサンプロピルアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサンアミノプロピレンアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサン−ビス−(プロピルアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(ジプロピレンアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−メタクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−メタクリレート)等のシロキサン誘導体。
【0038】
[溶媒]
上記不飽和酸系化合物と不飽和(ポリ)エーテル化合物との反応においては、必要に応じて溶媒が使用されうる。溶媒としては特に限定されず、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の芳香族または脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル化合物等が挙げられるが、原料化合物および得られる共重合体の溶解性から、水および炭素原子数1〜4の低級アルコールからなる群から選択される少なくとも1種を溶媒として用いることが好ましく、その中でも水を溶媒に用いるのが、脱溶媒工程を省略できる点でさらに好ましい。
【0039】
[重合開始剤]
また、上記不飽和酸系化合物と不飽和(ポリ)エーテル化合物との反応において、必要に応じて各種の重合開始剤を使用してもよい。反応が水溶液重合である場合は、ラジカル重合開始剤として、水溶性の重合開始剤、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン塩酸塩等のアゾアミジン化合物、2,2’−アゾビス−2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン塩酸塩等の環状アゾアミジン化合物、2−カルバモイルアゾイソブチロニトリル等のアゾニトリル化合物等の水溶性アゾ系開始剤等が使用され、この際、亜硫酸水素ナトリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩、メタ二亜硫酸塩、次亜燐酸ナトリウム、モール塩等のFe(II)塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物、ヒドロキシルアミン塩酸塩、チオ尿素、L−アスコルビン酸(塩)、エリソルビン酸(塩)等の促進剤を併用することもできる。なかでも、過酸化水素とL−アスコルビン酸(塩)等の促進剤との組み合わせが好ましい。これらのラジカル重合開始剤や促進剤はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0040】
一方、低級アルコール、芳香族もしくは脂肪族炭化水素、エステル化合物、または、ケトン化合物を溶媒とする溶液重合を行う場合には、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ナトリウムパーオキサイド等のパーオキサイド;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等がラジカル重合開始剤として用いられる。この際アミン化合物等の促進剤を併用することもできる。さらに、水−低級アルコール混合溶媒を用いる場合には、上記の種々のラジカル重合開始剤、または、ラジカル重合開始剤と促進剤の組み合わせの中から適宜選択して用いることができる。
【0041】
また、塊状重合を行う場合には、ラジカル重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ナトリウムパーオキサイド等のパーオキサイド;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を用いる。
【0042】
[連鎖移動剤]
また、上記不飽和酸系化合物と不飽和(ポリ)エーテル化合物との反応においては、得られる共重合体の分子量を調整する目的で、連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては特に限定されず、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系連鎖移動剤;イソプロパノール等の第2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸、およびその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)や、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸、およびその塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)の低級酸化物およびその塩;等が挙げられる。これらは1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。さらに、得られる共重合体の分子量を調整する目的には、「他の単量体」として(メタ)アリルスルホン酸(塩)類等の連鎖移動性の高い単量体を用いることも有効である。
【0043】
[工程A〜D、X]
本発明は、上述の不飽和酸系化合物と、不飽和(ポリ)エーテル化合物とを反応器中で反応させる親水性重合体の製造方法に関する。本発明で使用する反応器は、不飽和酸系化合物と不飽和(ポリ)エーテル化合物との重合反応を行う場であり、反応器内の内容物(原料化合物、溶媒、試薬等;以下、「原料化合物等」とも称する)を重合反応に適した所望の温度に昇温および/または降温することができる温度調節装置を備えたものであることが好ましい。また、原料化合物等の供給経路や、反応後の反応溶液を外部に抜き出すための反応液抜き出し経路等が備えられていてもよい。
【0044】
本発明の製造方法では、上述の反応器に不飽和酸系化合物を投入する工程Aと、反応基に不飽和(ポリ)エーテル化合物を投入する工程Bと、反応器内の内容物を昇温させる工程Xとを有することを必須とする。なお、本明細書において「内容物を昇温させる」とは、内容物(投入された原料化合物等)を重合反応に適した温度(反応温度)にするために加熱し、昇温前と昇温後の内容物の温度差が5℃以上なるように連続的または断続的に温度を上げることを意味する。よって、「保温」などの内容物全体の温度に変化がない場合は、本明細書の「昇温」には該当しない。また、ある温度昇温させ、その後一時保温または降温し、その後さらにある温度昇温させるような場合であっても、最初の昇温前と、最後の昇温後の温度差が5℃以上となれば、本明細書の「内容物を昇温させる」に含まれる。この際、最初の昇温開始から、最後の昇温終了までの期間が工程Xである。この昇温前と昇温後の内容物の温度差は、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましい。このように昇温前と昇温後の内容物の温度差が大きくなると、本発明の効果がより一層顕著なものとなる。なお、反応温度は、使用する原料化合物や重合反応の種類等によって当業者が適宜調節することができる。一般的には水溶液重合を行う際の反応温度は、例えば、25〜99℃であり、好ましくは50〜95℃であり、より好ましくは60〜92℃であり、さらに好ましくは65〜90℃である。また、溶液重合を行う際の反応温度は、例えば、25〜99℃であり、好ましくは40〜90℃であり、より好ましくは45〜85℃であり、さらに好ましくは50〜80℃である。また、塊状重合を行う際の反応温度は、例えば、50〜200℃である。
【0045】
そして、本発明の製造方法では、上記工程Aおよび/または工程Bを行うとき、上記工程Xを同時に行う(ただし、前記内容物が前記不飽和酸系化合物のみであるときに、前記工程Xを開始する場合を除く)ことを特徴とする。「工程Aおよび/または工程Bを行うとき、上記工程Xを同時に行う」とは、すなわち、反応に供する不飽和酸系化合物および/または不飽和(ポリ)エーテル化合物の少なくとも一部を連続的に投入している期間の少なくとも一部の期間において反応器内の内容物を昇温させることが必要であることを意味する。ここで、「連続的に投入する」形態としては、原料化合物等を一括して投入する形態や、一定期間滴下して投入する形態を含む。このうち、好ましい形態は、「工程Aおよび工程Bを行うとき、工程Xを同時に行う」形態である。該形態によると、得られる親水性重合体のセメント混和剤としての性能がより一層向上しうる。また、原料化合物等の投入時間および昇温時間をより一層短縮することもできる。なお、「ただし、前記内容物が前記不飽和酸系化合物のみであるときに、前記工程Xを開始する場合を除く」とするのは、内容物が不飽和酸系化合物のみのときに工程Xを開始する場合、昇温開始直後はほぼ不飽和酸系化合物のみが昇温されることになり、易重合性である不飽和酸系化合物が好ましくない重合反応を起こす虞があるからである。このような好ましくない重合反応は、ゲル状の重合体(ゲル重合体)が多く生成したり、セメント混和剤として使用した際の性能を低下させうる。
【0046】
本発明の製造方法では、反応に溶媒を使用する場合は、反応器に溶媒を投入する工程Cをさらに含むことができる。この場合、セメント混和剤の性能向上や、原料化合物等の投入時間および昇温時間を短縮させる観点から、工程Cと工程Xとを同時に行うことが好ましい。また、本発明の製造方法において、反応に重合開始剤を使用する場合は、反応器に溶媒を投入する工程Dをさらに含んでもよい。
【0047】
上記工程A〜Dのそれぞれの順番は「上記工程Aおよび/または工程Bを行うとき、上記工程Xを同時に行う」という条件を満たす限りにおいて、特に制限はない。例えば、工程A〜Dのうちの、全てを同時に行う形態、任意の3つの工程を同時に行う形態(具体的には後述の実施例1〜5、8)、任意の2つの工程を同時に行う形態(具体的には後述の実施例6、9、10)、全てを同時に行わない形態(具体的には後述の実施例7)等が挙げられる。また、工程A〜Dの全てを同時に行わない場合の各工程を行う順番にも特に制限はない。
【0048】
また、「工程Aおよび/または工程Bを行うとき、工程Xを同時に行う」という条件を満たす限りにおいて、工程Aおよび/または工程Bと、工程Xとを同時に行わないことがあってもよい。すなわち、反応に必要な原料化合物の一部を連続的に投入している期間の少なくとも一部の期間において反応器内の内容物を昇温させ、残りの原料化合物を連続的に投入している期間は昇温を行わない形態や;反応に必要な原料化合物の一部を連続的に投入している期間は反応器内の内容物の昇温を行わず、残りの原料化合物を連続的に投入している期間の少なくとも一部の期間において昇温を行う形態なども本発明の製造方法に含まれる。
【0049】
<親水性重合体の用途>
本発明の製造方法により製造される親水性重合体は、セメント混和剤として用いられうる。
【0050】
本発明のセメント混和剤は、本発明の製造方法により製造される親水性重合体を必須成分として含むものであるが、上述した製造方法により得られた水溶液の形態でそのままセメント混和剤の主成分として使用してもよいし、乾燥させて粉体化して使用してもよい。
【0051】
本発明のセメント混和剤は、各種水硬性材料、すなわちセメントや石膏等のセメント組成物やそれ以外の水硬性材料に用いることができる。このような水硬性材料と水と本発明のセメント混和剤とを含有し、さらに必要に応じて細骨材(砂等)や粗骨材(砕石等)を含む水硬性組成物の具体例としては、セメントペースト、モルタル、コンクリート、プラスター等が挙げられる。
【0052】
上記水硬性組成物の中では、水硬性材料としてセメントを使用するセメント組成物が最も一般的であり、該セメント組成物は、本発明のセメント混和剤、セメントおよび水を必須成分として含んでなる。このようなセメント組成物は、本発明の好ましい実施形態の1つである。
【0053】
上記セメント組成物において使用されるセメントとしては、特に限定はない。例えば、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩およびそれぞれの低アルカリ形)、各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント)、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント)、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント)、超高強度セメント、セメント系固化材、エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の一種以上を原料として製造されたセメント)等が挙げられ、さらに、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体や石膏を添加してもよい。又、骨材としては、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材等以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材が使用可能である。
【0054】
上記セメント組成物においては、その1m3あたりの単位水量、セメント使用量および水/セメント比には特に制限はなく、単位水量100〜185kg/m3、使用セメント量250〜800kg/m3、水/セメント比(重量比)=0.1〜0.7、好ましくは単位水量120〜175kg/m3、使用セメント量270〜800kg/m3、水/セメント比(重量比)=0.2〜0.65が推奨され、貧配合〜富配合まで幅広く使用可能であり、単位セメント量が多く水/セメント比が小さい高強度コンクリート、水/セメント比(重量比)が0.3以下の低−水/セメント比領域にある超高強度コンクリート、単位セメント量が300kg/m3以下の貧配合コンクリートのいずれにも有効である。上記セメント組成物における本発明のセメント混和剤の配合割合については、特に限定はないが、水硬セメントを用いるモルタルやコンクリート等に使用する場合には、固形分換算で、親水性重合体がセメント重量の0.01〜5.0%、好ましくは0.02〜2.0%、より好ましくは0.05〜1.0%となる比率の量を添加すればよい。この添加により、単位水量の低減、強度の増大、耐久性の向上等の各種の好ましい諸効果がもたらされる。上記配合割合が0.01%未満では、性能的に充分とはならない虞があり、逆に5.0%を超える多量を使用しても、その効果は実質上頭打ちとなり経済性の面からも不利となる。
【0055】
上記セメント組成物は、ポンプ圧送性にも優れ、施工時の作業性を著しく改善し、高い流動性を有していることから、レディーミクストコンクリート、コンクリート2次製品(プレキャストコンクリート)用のコンクリート、遠心成形用コンクリート、振動締め固め用コンクリート、蒸気養生コンクリート、吹付けコンクリート等に有効であり、さらに、中流動コンクリート(スランプ値が22〜25cmの範囲のコンクリート)、高流動コンクリート(スランプ値が25cm以上で、スランプフロー値が50〜70cmの範囲のコンクリート)、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材等の高い流動性を要求されるモルタルやコンクリートにも有効である。
【0056】
上記セメント組成物は、例えば、以下に記載するようなセメント分散剤を含有することができる。リグニンスルホン酸塩;ポリオール誘導体;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物;ポリスチレンスルホン酸塩;特開平1−113419号公報に記載のようなアミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等のアミノスルホン酸系;特開平7−267705号公報に記載のような(a)成分として、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系化合物と(メタ)アクリル酸系化合物との共重合体および/またはその塩と、(b)成分として、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル系化合物と無水マレイン酸との共重合体および/もしくはその加水分解物、ならびに/または、その塩と、(c)成分として、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル系化合物と、ポリアルキレングリコール系化合物のマレイン酸エステルとの共重合体および/又はその塩とを含むセメント分散剤;特許第2508113号明細書に記載のようなA成分として、(メタ)アクリル酸のポリアルキレングリコールエステルと(メタ)アクリル酸(塩)との共重合体、B成分として、特定のポリエチレングリコールポリプロピレングリコール系化合物、C成分として、特定の界面活性剤からなるコンクリート混和剤。
【0057】
特開平1−226757号公報に記載のような(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、および、(メタ)アクリル酸(塩)からなる共重合体;特公平5−36377号公報に記載のような(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)もしくはp−(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸(塩)、ならびに、(メタ)アクリル酸(塩)からなる共重合体;特開平4−149056号公報に記載のようなポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテルとマレイン酸(塩)との共重合体;特開平5−170501号公報に記載のような(メタ)アクリル酸のポリエチレングリコールエステル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、(メタ)アクリル酸(塩)、アルカンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、および、分子中にアミド基を有するα,β−不飽和単量体からなる共重合体;特開平5−43288号公報に記載のようなアルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体、もしくは、その加水分解物、または、その塩;特公昭58−38380号公報に記載のようなポリエチレングリコールモノアリルエーテル、マレイン酸、および、これらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体、もしくは、その塩、または、そのエステル。
【0058】
特公昭59−18338号公報に記載のようなポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体、および、これらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体;特開昭62−119147号公報に記載のようなスルホン酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび必要によりこれと共重合可能な単量体からなる共重合体、または、その塩;特開平6−271347号公報に記載のようなアルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体と、末端にアルケニル基を有するポリオキシアルキレン誘導体とのエステル化反応物;特開平6−298555号公報に記載のようなアルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体と、末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン誘導体とのエステル化反応物。これらセメント分散剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0059】
上記セメント分散剤を用いる場合には、本発明のセメント混和剤としての親水性重合体と上記セメント分散剤との比率、すなわち固形分換算での重量割合(重量%)としては、親水性重合体と上記セメント分散剤との性能バランスによって最適な比率は異なるが、1/99〜99/1が好ましく、5/95〜95/5がより好ましく、10/90〜90/10が最も好ましい。
【0060】
また、上記セメント組成物は、以下の(1)〜(20)に例示するような他の公知のセメント添加剤(材)を含有することができる。
(1)水溶性高分子物質:ポリアクリル酸(ナトリウム)、ポリメタクリル酸(ナトリウム)、ポリマレイン酸(ナトリウム)、アクリル酸・マレイン酸共重合物のナトリウム塩等の不飽和カルボン酸重合物;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の非イオン性セルロースエーテル類;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の多糖類のアルキル化またはヒドロキシアルキル化誘導体の一部または全部の水酸基の水素原子が、炭素数8〜40の炭化水素鎖を部分構造として有する疎水性置換基と、スルホン酸基又はそれらの塩を部分構造として有するイオン性親水性置換基で置換されてなる多糖誘導体;酵母グルカンやキサンタンガム、β−1,3グルカン類(直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、一例を挙げれば、カードラン、パラミロン、パキマン、スクレログルカン、ラミナラン等)等の微生物醗酵によって製造される多糖類;ポリアクリルアミド;ポリビニルアルコール;デンプン;デンプンリン酸エステル;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン;分子内にアミノ基を有するアクリル酸のコポリマーおよびその第4級化合物等。
(2)高分子エマルジョン:(メタ)アクリル酸アルキル等の各種ビニル単量体の共重合物等。
(3)オキシカルボン酸もしくはその塩、糖および糖アルコールからなる群から選ばれる1種以上の硬化遅延剤:珪弗化マグネシウム;リン酸ならびにその塩またはホウ酸エステル類;アミノカルボン酸とその塩;アルカリ可溶タンパク質;フミン酸;タンニン酸;フェノール;グリセリン等の多価アルコール;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)およびこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等のホスホン酸およびその誘導体等。
(4)早強剤・促進剤:塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等の可溶性カルシウム塩;塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸塩;水酸化カリウム;水酸化ナトリウム;炭酸塩;チオ硫酸塩;ギ酸およびギ酸カルシウム等のギ酸塩;アルカノールアミン;アルミナセメント;カルシウムアルミネートシリケート等。
(5)鉱油系消泡剤:燈油、流動パラフィン等。
(6)油脂系消泡剤:動植物油、ごま油、ひまし油、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(7)脂肪酸系消泡剤:オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(8)脂肪酸エステル系消泡剤:グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、天然ワックス等。
(9)オキシアルキレン系消泡剤:(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルエーテル、炭素原子数12〜14の高級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール,3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェノールエーテル硫酸ナトリウム等の(ポリ)オキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;(ポリ)オキシエチレンステアリルリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミン等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド等。
(10)アルコール系消泡剤:オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、グリコール類等。
(11)アミド系消泡剤:アクリレートポリアミン等。
(12)リン酸エステル系消泡剤:リン酸トリブチル、ナトリウムオクチルホスフェート等。
(13)金属石鹸系消泡剤:アルミニウムステアレート、カルシウムオレエート等。
(14)シリコーン系消泡剤:ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン等のポリオルガノシロキサン)、フルオロシリコーン油等。
(15)AE剤:樹脂石鹸、飽和あるいは不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステルまたはその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステルまたはその塩、タンパク質材料、アルケニルスルホコハク酸、α−オレフィンスルホネート等。
(16)その他界面活性剤:オクタデシルアルコールやステアリルアルコール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂肪族1価アルコール、アビエチルアルコール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂環式1価アルコール、ドデシルメルカプタン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する1価メルカプタン、ノニルフェノール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアルキルフェノール、ドデシルアミン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアミン、ラウリン酸やステアリン酸等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するカルボン酸に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを10モル以上付加させたポリアルキレンオキシド誘導体類;アルキル基又はアルコキシ基を置換基として有してもよい、スルホン基を有する2個のフェニル基がエーテル結合した、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩類;各種アニオン性界面活性剤;アルキルアミンアセテート、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の各種カチオン性界面活性剤;各種ノニオン性界面活性剤;各種両性界面活性剤等。
(17)防水剤:脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコーン、パラフィン、アスファルト、ワックス等。
(18)防錆剤:亜硝酸塩、リン酸塩、酸化亜鉛等。
(19)ひび割れ低減剤:ポリオキシアルキルエーテル等。
(20)膨張材;エトリンガイト系、石炭系等。
【0061】
その他の公知のセメント添加剤(材)としては、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、防錆剤、着色剤、防カビ剤等を挙げることができる。これら公知のセメント添加剤(材)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0062】
上記セメント組成物において、セメントおよび水以外の成分についての特に好適な実施形態としては、次の(1)〜(4)が挙げられる。
【0063】
(1)(i)本発明のセメント混和剤、および、(ii)オキシアルキレン系消泡剤の2成分を必須とする組み合わせ。なお、(ii)のオキシアルキレン系消泡剤の配合重量比としては、(i)のセメント混和剤中の共重合体(A)に対して0.001〜10重量%の範囲が好ましい。
【0064】
(2)(i)本発明のセメント混和剤、および、(ii)材料分離低減剤の2成分を必須とする組み合わせ。材料分離低減剤としては、非イオン性セルロースエーテル類等の各種増粘剤、部分構造として炭素数4〜30の炭化水素鎖からなる疎水性置換基と炭素数2〜18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖とを有する化合物等が使用可能である。なお、(i)のセメント混和剤中の親水性重合体と(ii)の材料分離低減剤との配合重量比としては、10/90〜99.99/0.01が好ましく、50/50〜99.9/0.1がより好ましい。この組み合わせのセメント組成物は、高流動コンクリート、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材として好適である。
【0065】
(3)(i)本発明のセメント混和剤、および、(ii)分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤の2成分を必須とする組み合わせ。スルホン酸系分散剤としては、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩、アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等のアミノスルホン酸系の分散剤等が使用可能である。なお、(i)のセメント混和剤中の親水性重合体と(ii)の分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤との配合重量比としては、5/95〜95/5が好ましく、10/90〜90/10がより好ましい。
【0066】
(4)(i)本発明のセメント混和剤、および、(ii)リグニンスルホン酸塩の2成分を必須とする組み合わせ。なお、(i)のセメント混和剤中の親水性重合体と(ii)のリグニンスルホン酸塩との配合重量比としては、5/95〜95/5が好ましく、10/90〜90/10がより好ましい。
【実施例】
【0067】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は下記の形態のみには限定されない。また、特記しない限り、「%」は重量%を意味し、「部」は重量部を意味する。なお、図1〜11で表される各工程にかかる時間や内容物温度を表すグラフは、あくまでも模式的なものであり、実際の時間や温度とは異なる場合がある。
【0068】
<測定条件>
下記の例において、製造された重合体の重量平均分子量、ならびに各種生成物の生成量は、以下の条件・方法で測定した。
【0069】
[重量平均分子量測定条件]
機種;株式会社島津製作所製 LC Solution
検出器;Shodex製 RI−101
溶離液;種類 アセトニトリル/水=40/60体積% pH6.0
流量 0.8mL/min
カラム:種類 東ソー株式会社製
TSK−GEL GUARD COLUMN+G40000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL
6.0×40mm(GUARD COLUMN)、その他 7.8×300mm
検量線;ポリエチレングリコール基準
[不飽和(ポリ)エーテル化合物の定量条件]
機種;株式会社島津製作所製 LC Solution
検出器;株式会社島津製作所製 RID−10A
溶離液;種類 0.1体積%リン酸水溶液/アセトニトリル=50/50(体積%)
カラム:種類 東ソー株式会社製
ODS80Ts+ODS120T
各 4.6×250mm
検量線;外部標準法
[アクリル酸の定量条件]
機種;株式会社島津製作所製 LC Solution
検出器;株式会社島津製作所製 SPD−10AVvp
溶離液;種類 0.1体積%リン酸水溶液/アセトニトリル=50/50(体積%)
カラム:種類 東ソー株式会社製
ODS80Ts+ODS120T
各 4.6×250mm
検量線;外部標準法
<親水性重合体の製造>
[実施例1]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、蒸留水3600部、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部、アクリル酸12部を同時に投入した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、蒸留水は30分、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、アクリル酸は1分かかり、全体で50分かかった。原料の温度はそれぞれ、蒸留水は20℃、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、アクリル酸は20℃であった。投入開始と同時に、反応器内の内容物を35℃から60℃へと昇温を開始し、昇温終了まで120分かかった。反応器内の内容物を60℃に昇温した後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液600部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量34,000の重合体水溶液からなる本発明のセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量を液体クロマトグラフィー(LC)により測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.1%、アクリル酸の重合率は98.8%であった。ゲルの生成量は0.2%であった。なお、実施例1における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図1に示す。
【0070】
[実施例2]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、蒸留水3600部、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部、アクリル酸12部を同時に投入した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、蒸留水は30分、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、アクリル酸は1分かかり、全体で50分かかった。原料の温度はそれぞれ、蒸留水は20℃、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、アクリル酸は20℃であった。投入開始と同時に、反応器内の内容物を35℃から60℃へと昇温を開始し、昇温終了まで120分かかった。反応器内の内容物を60℃に昇温した後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸825部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液600部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量34,200の重合体水溶液からなる本発明のセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.3%、アクリル酸の重合率は99.0%であった。ゲルの生成量は0.2%であった。なお、実施例2における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図1に示す。
【0071】
[実施例3]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、蒸留水3600部、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部、アクリル酸12部を同時に投入した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、蒸留水は30分、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、アクリル酸は1分かかり、全体で50分かかった。原料の温度はそれぞれ、蒸留水は20℃、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、アクリル酸は20℃であった。投入開始と同時に、反応器内の内容物を35℃から60℃へと昇温を開始し、昇温終了まで120分かかった。反応器内の内容物を60℃に昇温した後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸750部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液600部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量34,800の重合体水溶液からなる本発明のセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.6%、アクリル酸の重合率は98.9%であった。ゲルの生成量は0.1%であった。なお、実施例3における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図1に示す。
【0072】
[実施例4]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、蒸留水3600部、2−メチル−2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部、アクリル酸12部を同時に投入した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、蒸留水は30分、2−メチル−2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、アクリル酸は1分かかり、全体で50分かかった。原料の温度はそれぞれ、蒸留水は20℃、2−メチル−2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、アクリル酸は20℃であった。投入開始と同時に、反応器内の内容物を35℃から60℃へと昇温を開始し、昇温終了まで120分かかった。反応器内の内容物を60℃に昇温した後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸825部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液600部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量32,700の重合体水溶液からなる本発明のセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.5%、アクリル酸の重合率は99.0%であった。ゲルの生成量は0.1%であった。なお、実施例4における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図1に示す。
【0073】
[実施例5]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、蒸留水3600部、2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部、アクリル酸12部を同時に投入した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、蒸留水は30分、2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、アクリル酸は1分かかり、全体で50分かかった。原料の温度はそれぞれ、蒸留水は20℃、2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、アクリル酸は20℃であった。投入開始と同時に、反応器内の内容物を35℃から60℃へと昇温を開始し、昇温終了まで120分かかった。反応器内の内容物を60℃に昇温した後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸825部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液600部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量31,800の重合体水溶液からなる本発明のセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.7%、アクリル酸の重合率は98.8%であった。ゲルの生成量は0.1%であった。なお、実施例5における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図1に示す。
【0074】
[実施例6]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、蒸留水3600部、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部を同時に投入した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、蒸留水は30分、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、全体で50分かかった。原料の温度はそれぞれ、蒸留水は20℃、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、アクリル酸は20℃であった。投入開始と同時に、反応器内の内容物を35℃から60℃へと昇温を開始し、昇温終了まで120分かかった。反応器内の内容物を60℃に昇温した後、内容物を該温度に維持しながら、アクリル酸12部と30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液600部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量34,000の重合体水溶液からなる本発明のセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.2%、アクリル酸の重合率は99.0%であった。ゲルの生成量は0.2%であった。なお、実施例6における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図2に示す。
【0075】
[実施例7]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、蒸留水3600部を投入し、その後、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部、アクリル酸12部、30%−過酸化水素水溶液30部を順次添加した。この際、この際、原料の投入時間はそれぞれ、蒸留水は30分、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、アクリル酸は1分、30%−過酸化水素水溶液は2分かかり、全体で83分かかった。原料の温度はそれぞれ、蒸留水は20℃、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、アクリル酸は20℃、30%−過酸化水素水溶液は20℃であった。投入開始と同時に、反応器内の内容物を20℃から60℃へと昇温を開始し、昇温終了まで120分かかった。反応器内の内容物を60℃に昇温した後、内容物を該温度に維持しながら、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液600部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量33,700の重合体水溶液からなる本発明のセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.2%、アクリル酸の重合率は98.8%であった。ゲルの生成量は0.2%であった。なお、実施例7における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図3に示す。
【0076】
[実施例8]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部を投入し、その後、蒸留水3600部、アクリル酸12部、30%−過酸化水素水溶液30部を同時に添加した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、蒸留水は30分、アクリル酸は1分、30%−過酸化水素水溶液は2分かかり、全体で80分かかった。原料の温度はそれぞれ、蒸留水は20℃、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、アクリル酸は20℃、30%−過酸化水素水溶液は20℃であった。投入開始と同時に、反応器内の内容物を45℃から60℃へと昇温を開始し、昇温終了まで120分かかった。反応器内の内容物を60℃に昇温した後、内容物を該温度に維持しながら、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液600部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量34,200の重合体水溶液からなる本発明のセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.2%、アクリル酸の重合率は98.7%であった。ゲルの生成量は0.2%であった。なお、実施例8における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図4に示す。
【0077】
[実施例9]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、蒸留水3600部とアクリル酸12部とを同時に投入し、その後、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部、30%−過酸化水素水溶液30部を順次添加した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、蒸留水は30分、アクリル酸は1分、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、30%−過酸化水素水溶液は2分かかり、全体で82分かかった。原料の温度はそれぞれ、蒸留水は20℃、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、アクリル酸は20℃、30%−過酸化水素水溶液は20℃であった。投入開始と同時に、反応器内の内容物を20℃から60℃へと昇温を開始し、昇温終了まで120分かかった。反応器内の内容物を60℃に昇温した後、内容物を該温度に維持しながら、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液600部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量33,900の重合体水溶液からなる本発明のセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.4%、アクリル酸の重合率は98.9%であった。ゲルの生成量は0.2%であった。なお、実施例9における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図5に示す。
【0078】
[実施例10]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部とアクリル酸12部とを同時に投入し、その後、蒸留水3600部、30%−過酸化水素水溶液30部を順次添加した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、アクリル酸は1分、蒸留水は30分、30%−過酸化水素水溶液は2分かかり、全体で82分かかった。原料の温度はそれぞれ、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、アクリル酸は20℃、蒸留水は20℃、30%−過酸化水素水溶液は20℃であった。投入開始と同時に、反応器内の内容物を45℃から60℃へと昇温を開始し、昇温終了まで120分かかった。反応器内の内容物を60℃に昇温した後、内容物を該温度に維持しながら、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液600部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量33,900の重合体水溶液からなる本発明のセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.3%、アクリル酸の重合率は98.8%であった。ゲルの生成量は0.2%であった。なお、実施例10における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図6に示す。
【0079】
[比較例1]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、アクリル酸12部を投入し、その後、反応器内の内容物を20℃から60℃へと10分かけて昇温した。続いて蒸留水3600部、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部を仕込み、反応器内の内容物を60℃に昇温した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、アクリル酸は1分、蒸留水は30分、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、全体で61分かかった。また、昇温は開始から終了まで120分かかった。原料の温度はそれぞれ、アクリル酸は20℃、蒸留水は20℃、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃であった。その後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液750部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量36,500の重合体水溶液からなるセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、92.8%、アクリル酸の重合率は98.3%であった。ゲルの生成量は0.4%であった。なお、比較例1における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図7に示す。
【0080】
[比較例2]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、アクリル酸12部を投入し、その後、反応器内の内容物を20℃から60℃へと10分かけて昇温した。続いて蒸留水3600部、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部を仕込み、反応器内の内容物を60℃に昇温した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、アクリル酸は1分、蒸留水は30分、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、全体で61分かかった。また、昇温は開始から終了まで120分かかった。原料の温度はそれぞれ、アクリル酸は20℃、蒸留水は20℃、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃であった。その後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸825部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液750部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量35,200の重合体水溶液からなるセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.0%、アクリル酸の重合率は98.8%であった。ゲルの生成量は0.3%であった。なお、比較例2における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図7に示す。
【0081】
[比較例3]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、アクリル酸12部を投入し、その後、反応器内の内容物を20℃から60℃へと10分かけて昇温した。続いて蒸留水3600部、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部を仕込み、反応器内の内容物を60℃に昇温した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、アクリル酸は1分、蒸留水は30分、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、全体で61分かかった。また、昇温は開始から終了まで120分かかった。原料の温度はそれぞれ、アクリル酸は20℃、蒸留水は20℃、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃であった。その後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸750部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液750部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量35,600の重合体水溶液からなるセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、92.9%、アクリル酸の重合率は98.5%であった。ゲルの生成量は0.3%であった。なお、比較例3における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図7に示す。
【0082】
[比較例4]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、アクリル酸12部を投入し、その後、反応器内の内容物を20℃から60℃へと10分かけて昇温した。続いて蒸留水3600部、2−メチル−2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部を仕込み、反応器内の内容物を60℃に昇温した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、アクリル酸は1分、蒸留水は30分、2−メチル−2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、全体で61分かかった。また、昇温は開始から終了まで120分かかった。原料の温度はそれぞれ、アクリル酸は20℃、蒸留水は20℃、2−メチル−3−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃であった。その後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液750部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量33,000の重合体水溶液からなるセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.0%、アクリル酸の重合率は98.6%であった。ゲルの生成量は0.3%であった。なお、比較例5における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図7に示す。
【0083】
[比較例5]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、アクリル酸12部を投入し、その後、反応器内の内容物を20℃から60℃へと10分かけて昇温した。続いて蒸留水3600部、2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部を仕込み、反応器内の内容物を60℃に昇温した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、アクリル酸は1分、蒸留水は30分、2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、全体で61分かかった。また、昇温は開始から終了まで120分かかった。原料の温度はそれぞれ、アクリル酸は20℃、蒸留水は20℃、2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃であった。その後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液750部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量32,800の重合体水溶液からなるセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、92.9%、アクリル酸の重合率は98.5%であった。ゲルの生成量は0.3%であった。なお、比較例5における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図7に示す。
【0084】
[比較例6]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、蒸留水3600部、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部、アクリル酸12部を順次投入し、その後、反応器内の内容物を35℃から60℃へと昇温を開始した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、蒸留水は30分、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、アクリル酸は1分、全体で81分かかった。原料投入後、昇温を開始し内容物が60℃になるまで120分かかった。原料の温度はそれぞれ、蒸留水は20℃、2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、アクリル酸は20℃であった。昇温後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液750部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量35,000の重合体水溶液からなるセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、92.7%、アクリル酸の重合率は98.4%であった。ゲルの生成量は0.3%であった。なお、比較例6における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図8に示す。
【0085】
[比較例7]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部、蒸留水3600部、アクリル酸12部を順次投入し、その後、反応器内の内容物を35℃から60℃へと昇温を開始した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、蒸留水は30分、アクリル酸は1分、全体で81分かかった。また、昇温は開始から終了まで120分かかった。原料の温度はそれぞれ、2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃、蒸留水は20℃、アクリル酸は20℃であった。昇温後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液750部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量35,200の重合体水溶液からなるセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、92.7%、アクリル酸の重合率は98.2%であった。ゲルの生成量は0.3%であった。なお、比較例7における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図9に示す。
【0086】
[比較例8]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、蒸留水3600部、アクリル酸12部、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部を順次投入し、その後、反応器内の内容物を35℃から60℃へと昇温を開始した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、蒸留水は30分、アクリル酸は1分、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、全体で81分かかった。また、昇温は開始から終了まで120分かかった。原料の温度はそれぞれ、蒸留水は20℃、アクリル酸は20℃、2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃であった。昇温後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液750部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量34,800の重合体水溶液からなるセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、93.0%、アクリル酸の重合率は98.5%であった。ゲルの生成量は0.3%であった。なお、比較例8における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図10に示す。
【0087】
[比較例9]
温度計、攪拌機、液フィード設備を備えたステンレス製反応容器に、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物6000部、アクリル酸12部、蒸留水3600部を順次投入し、その後、反応器内の内容物を35℃から60℃へと昇温を開始した。この際、原料の投入時間はそれぞれ、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は50分、蒸留水は30分、アクリル酸は1分、全体で81分かかった。また、昇温は開始から終了まで120分かかった。原料の温度はそれぞれ、2−プロペン−1−オールにエチレンオキサイドを45モル付加した不飽和(ポリ)エーテル化合物は45℃蒸留水は20℃、アクリル酸は20℃であった。昇温後、内容物を該温度に維持しながら、30%−過酸化水素水溶液30部を添加し、アクリル酸900部を3時間、4%−3−メルカプトプロピオン酸水溶液690部を3.5時間、2%−L−アスコルビン酸水溶液300部を3.5時間かけてフィードした。その後、60分間引き続いて60℃に温度を維持して重合反応を完結させ、温度を50℃に降温し49%水酸化ナトリウム水溶液750部でpH4〜7になるように中和し、重量平均分子量34,600の重合体水溶液からなるセメント混和剤用親水性重合体を得た。また、不飽和(ポリ)エーテル化合物とアクリル酸の残存量をLCにより測定し、重合率を求めたところ、該不飽和(ポリ)エーテル化合物の重合率は、92.9%、アクリル酸の重合率は98.6%であった。ゲルの生成量は0.3%であった。なお、比較例9における工程A〜D、Xの順序と、反応器内の内容物の温度との関係を模式的に表した図を図11に示す。
【0088】
<重合体の評価>
[副生ゲル量の測定]
実施例1〜10および比較例1〜9で得られた重合体について、以下の手法により、副生ゲル量を測定した。具体的には、まず、サンプル1000gを200メッシュのフィルターを通して、ゲルをろ別した。ろ別後、フィルターにろ別したゲル物を回収し、重量測定を行った。この結果を下記の表2に示す。
【0089】
[コンクリート試験]
また、実施例1〜10および比較例1〜9で得られた重合体を用いて、コンクリート試験を実施し、評価を行った。試験に用いたコンクリートの調合単位量を表1に示す。セメントは太平洋セメント株式会社製の普通ポルトランドセメントを用いた。骨材としては、石(粗骨材)は青梅産硬質砕石を、砂(細骨材)は君津産中目砂と掛川産山砂を1:1の割合で混合したものを用いた。
【0090】
細骨材の品質はFM値=2.64,吸水率=1.7,比重=2.55であった。
【0091】
表1に示す調合単位量で、JIS A1150に準じ、セメント混和剤は練り水にあらかじめ混合し、50Lパン型ミキサーに30Lのコンクリート材料を投入し、120秒間練り混ぜた。なお、コンクリート組成物中の気泡がコンクリート組成物の流動性に及ぼす影響を避けるために、市販のオキシアルキレン系消泡剤を用いて、空気量が2.0±0.5体積%となるように調整した。ここで、水/セメント比(重量比)=0.35、s/a=0.46であった。s/aとは細骨材率[細骨材/(細骨材+粗骨材)](容積比)を表す。
【0092】
【表1】
【0093】
[フロー値の測定]
セメント混和剤の添加量はセメントに対して0.16重量%に固定し、初期(混練直後)、30分後、60分後に、JIS A 1101に準じて、スランプフロー値(mm)を測定した。この結果を下記の表2に示す。なお、表2に示す「保持率」の値は、時間経過に伴うフロー値の、初期のフロー値を100(%)としたときの百分率の値である。例えば、30分後の保持率は、((30分後のフロー値)/(初期のフロー値))×100(%)で算出される。初期流動性は初期のフロー値が大きいものほど良好であり、保持性は保持率が高いものほど良好であることを意味する。
【0094】
[圧縮強度の測定]
コンクリート試験で得られた生コンクリートを用い、JIS A1132に準じて圧縮強度用供試体を作成し、所定の材齢期間(1日、7日、または28日)、水中養生を行った後、JIS B7733の6.(試験機の等級)に規定する圧縮強度測定装置で圧縮強度を測定した。なお、強度を表す単位は(N/mm2)である。
【0095】
[凝結時間の測定]
コンクリート試験で得られた生コンクリートを用い、JIS A1147に準じて市販の自動凝結時間測定装置を用いて凝結時間を測定した。表2に示す「始発」とは凝結が開始した時点を意味し、「終結」とは凝結が完了した時点を意味する。
【0096】
【表2】
【0097】
表2に示す結果から、本発明によれば、従来技術と比較して、セメント混和剤における各種の性能をより一層改善しうる手段が提供されうることがわかる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1:
【化1】
式中、
R1、R2、およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、または−(CH2)pCOOH基であり(この際、pは、0〜2の整数である)、
Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基、または有機アミン基である、
で表される不飽和酸系化合物と、
下記化学式2:
【化2】
式中、
R4は、炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、
R5Oは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基であり、
nは、前記オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜500の数であり、
R6は、水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基である、
で表される不飽和(ポリ)エーテル化合物とを反応器中で反応させることを含むセメント混和剤用親水性重合体の製造方法であって、
前記反応器に前記不飽和酸系化合物を投入する工程Aと、
前記反応器に前記不飽和(ポリ)エーテル化合物を投入する工程Bと、
前記反応器内の内容物を昇温させる工程Xとを有し、
前記工程Aおよび/または工程Bを行うとき、前記工程Xを同時に行う(ただし、前記内容物が前記不飽和酸系化合物のみであるときに、前記工程Xを開始する場合を除く)ことを特徴とする、製造方法。
【請求項2】
前記反応器に溶媒を投入する工程Cをさらに有する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記工程Cを行うとき、前記工程Xを同時に行う、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記反応器に重合開始剤を投入する工程Dをさらに有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法によって得られるセメント混和剤用親水性重合体を含む、セメント混和剤。
【請求項1】
下記化学式1:
【化1】
式中、
R1、R2、およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、または−(CH2)pCOOH基であり(この際、pは、0〜2の整数である)、
Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基、または有機アミン基である、
で表される不飽和酸系化合物と、
下記化学式2:
【化2】
式中、
R4は、炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、
R5Oは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基であり、
nは、前記オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜500の数であり、
R6は、水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基である、
で表される不飽和(ポリ)エーテル化合物とを反応器中で反応させることを含むセメント混和剤用親水性重合体の製造方法であって、
前記反応器に前記不飽和酸系化合物を投入する工程Aと、
前記反応器に前記不飽和(ポリ)エーテル化合物を投入する工程Bと、
前記反応器内の内容物を昇温させる工程Xとを有し、
前記工程Aおよび/または工程Bを行うとき、前記工程Xを同時に行う(ただし、前記内容物が前記不飽和酸系化合物のみであるときに、前記工程Xを開始する場合を除く)ことを特徴とする、製造方法。
【請求項2】
前記反応器に溶媒を投入する工程Cをさらに有する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記工程Cを行うとき、前記工程Xを同時に行う、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記反応器に重合開始剤を投入する工程Dをさらに有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法によって得られるセメント混和剤用親水性重合体を含む、セメント混和剤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−225411(P2011−225411A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99266(P2010−99266)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】
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