観察装置及び観察方法
【課題】被観察物中の一部の層の分布を短時間で検出する。
【解決手段】本発明の観察装置を例示する一態様は、低コヒーレンス光源から射出した光束を2つに分岐する分岐手段と、分岐手段により分岐された2つの光束の一方を被観察物(20)へ上面側から入射させると共に、2つの光束の他方を被観察物へ下面側から入射させる照明手段(15t〜18t、15b〜18b)と、2つの光束の光路長差がゼロとなる面(BP)を被観察物中に配する光路設定手段と、2つの光束で照明された被観察物の像を検出する画像検出手段(18t、17t、21、22)とを備える。
【解決手段】本発明の観察装置を例示する一態様は、低コヒーレンス光源から射出した光束を2つに分岐する分岐手段と、分岐手段により分岐された2つの光束の一方を被観察物(20)へ上面側から入射させると共に、2つの光束の他方を被観察物へ下面側から入射させる照明手段(15t〜18t、15b〜18b)と、2つの光束の光路長差がゼロとなる面(BP)を被観察物中に配する光路設定手段と、2つの光束で照明された被観察物の像を検出する画像検出手段(18t、17t、21、22)とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被観察物の深さ方向に分解能を有した観察装置及び観察方法に関する。
【背景技術】
【0002】
試料の深さ方向に分解能を有した顕微鏡として蛍光共焦点顕微鏡が広く用いられている(特許文献1等を参照)。蛍光共焦点顕微鏡は、蛍光分子によって予め標識された細胞試料中の特定の層に向けて励起光を集光し、その集光点と共役位置に配置されたピンホールを介してその集光点で発生した蛍光を検出するものである。その集光点の深さをずらしながら検出を繰り返えせば、試料の深さ方向の蛍光強度分布が既知となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−52146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、蛍光共焦点顕微鏡では蛍光強度の検出を試料内のポイント毎に行う必要があるので、試料の特定の層の蛍光強度分布を観察したい場合には、励起光の集光点でその層を二次元走査する必要があった。
【0005】
そこで本発明は、被観察物中の一部の層の分布を短時間で検出可能な観察装置及び観察方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の観察装置を例示する一態様は、低コヒーレンス光源から射出した光束を2つに分岐する分岐手段と、前記分岐手段により分岐された2つの光束の一方を被観察物へ上面側から入射させると共に、前記2つの光束の他方を前記被観察物へ下面側から入射させる照明手段と、前記2つの光束の光路長差がゼロとなる面を前記被観察物中に配する光路設定手段と、前記2つの光束で照明された前記被観察物の像を検出する画像検出手段とを備える。
【0007】
本発明の観察方法を例示する一態様は、低コヒーレンス光源から射出した光束を2つに分岐する分岐手順と、前記分岐手順で分岐された2つの光束の一方を被観察物へ上面側から入射させると共に、前記2つの光束の他方を前記被観察物へ下面側から入射させる照明手順と、前記2つの光束の光路長差がゼロとなる面を前記被観察物中に配する光路設定手順と、前記2つの光束で照明された前記被観察物の像を検出する画像検出手順とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被観察物中の一部の層の分布を短時間で検出可能な観察装置及び観察方法が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態の顕微鏡装置の概略構成図(光ファイバの上流側)である。
【図2】第1実施形態の顕微鏡装置の概略構成図(光ファイバの下流側)である。
【図3】蛍光分子の特性を説明する図である。
【図4】励起フィルタ12及びバリアフィルタ21の特性を説明する図である。
【図5】第1実施形態の装置固有の励起スペクトルを示す図である。
【図6】第1実施形態における蛍光強度の光軸方向の走査波形を示す図である。
【図7】第1実施形態のコントローラの動作フローチャートである。
【図8】透過型ステージOSの走査位置dを説明する図である。
【図9】画素番号iに対応する画素の信号波形を示す図である。
【図10】ステップS16を説明する図である。
【図11】復元された信号波形を示す図である。
【図12】第2実施形態の顕微鏡装置の概略構成図(光ファイバの上流側)である。
【図13】第2実施形態の顕微鏡装置の概略構成図(光ファイバの下流側)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態は、生物試料の蛍光強度の三次元分布を観察する顕微鏡装置の実施形態である。なお、この生物試料は、蛍光分子で予め標識されているものとする。
【0011】
先ず、装置の構成を説明する。図1、図2は、本実施形態の顕微鏡装置の概略構成図である。図1、図2に示すとおり、本実施形態の顕微鏡装置には、白色光源10、コリメートレンズ11、励起フィルタ12、ビームスプリッタ13、ミラーM1〜M9、ミラーステージMS、コレクタレンズ14t、14b、光ファイバ15t、15b、コリメートレンズ16t、16b、対物レンズ18t、18b、ビームスプリッタ17t、17b、試料20を支持する透過型ステージOS、バリアフィルタ21、2次元画像検出器22が備えられる。
【0012】
白色光源10から射出した光束は、コリメートレンズ11及び励起フィルタ12を介してビームスプリッタ13へ入射する。ビームスプリッタ13へ入射した光束は、第1光路R1を進行する光束と、第2光路R2を進行する光束との2つの光束に分岐する。
【0013】
第1光路R1を進行する光束は、ミラーM1〜M4を順に反射した後にコレクタレンズ14tへ入射し、光ファイバ15tの入射端へ入射する。第2光路R2を進行する光束は、ミラーM5〜M9を順に反射した後にコレクタレンズ14bへ入射し、光ファイバ15bの入射端へ入射する。
【0014】
第1光路R1において互いに隣接した位置に配置されたミラーM2、M3は、共通のミラーステージMSによって支持されている。ミラーステージMSが矢印の方向へ駆動されると、第1光路R1の光路長が伸縮するので、第1光路R1と第2光路R2との光路長差が調節される。
【0015】
光ファイバ15tは、偏波面保存型のシングルモードファイバであり、光ファイバ15bも、光ファイバ15tと同じ仕様の光ファイバである。光ファイバ15tの入射端へ入射した光束は、光ファイバ15tの出射端から射出し、光ファイバ15bの入射端へ入射した光束は、光ファイバ15bの出射端から射出する。
【0016】
光ファイバ15tの出射端から射出した光束は、コリメートレンズ16t、ビームスプリッタ17t、対物レンズ18tを順に経て平面波となり、上面側から試料20へ入射する。光ファイバ15bの出射端から射出した光束は、コリメートレンズ16b、ビームスプリッタ17b、対物レンズ18bを順に経て平面波となり、下面側から試料20へ入射する。なお、対物レンズ18t、18bは、互いに同じ仕様の顕微鏡対物レンズ(ここでは、有限遠方補正系の顕微鏡対物レンズ)である。
【0017】
ここで、図1に示したミラーステージMSの位置は、試料20の上面側及び下面側から個別に入射する2つの光束の光路長差が、透過型ステージOSの近傍に予め定められた面BPにて略ゼロになるように予め調整される。以下、ミラーステージMSの位置は調整後に固定され、面BPの位置も調整後に固定されたものとみなす。この面BPが、本装置の観察対象面となる。以下、この面BPを、「基準面BP」と称す。
【0018】
前述したとおり光源10として白色光源を使用した場合、試料20へ上側から入射する光束と下側から入射する光束が干渉するのは、基準面BP(及びその近傍の面)である。よって、試料20は、基準面BP上で強度がピークとなるような定在波干渉光束で照明されることになる(定在波干渉光束の詳細は後述。)。
【0019】
試料20に含まれる蛍光分子のうち、定在波干渉光束で照明された蛍光分子は励起され、蛍光を発する。その蛍光は、対物レンズ18tを通過し、ビームスプリッタ17tで反射し、バリアフィルタ21を通過し、2次元画像検出器22上に試料20の蛍光像を形成する。
【0020】
2次元画像検出器22の撮像面は、対物レンズ18tに関して基準面BPと共役な面に配置される。2次元画像検出器22は、その撮像面上に形成された蛍光像を撮像して画像データを取得し、不図示のコントローラへ出力する。
【0021】
不図示のコントローラは、光源10、透過型ステージOS、2次元画像検出器22などを駆動する制御部としての機能と、2次元画像検出器22が取得した画像データを解析する演算部としての機能とを有する。例えば、コントローラは、光源10をオンした状態で、透過型ステージOSを光軸方向へ駆動する。これによって、試料20が基準面BPにより深さ方向(光軸方向)に走査される。また、コントローラは、この走査中に2次元画像検出器22を繰り返し駆動し、複数フレーム分の画像データを取り込む。さらにコントローラは、取り込んだ複数の画像データをコントローラ内部のメモリ(RAMなど)へ逐次に格納し、それらの画像データの信号波形(走査位置−画素値の変化カーブ)を解析する。また、コントローラは、解析結果などの必要な情報を適切なタイミングで不図示のモニタへ表示する。
【0022】
次に、各部の特性を説明する。図3は、本実施形態の蛍光分子の特性を説明する図である。図3に示すとおり、本実施形態では、蛍光分子として、励起スペクトルの波長域が比較的広いものが使用される。この蛍光分子の励起スペクトルの中心波長は500nmであり、蛍光分子の蛍光スペクトルの中心波長は610nmであり、蛍光分子の励起スペクトルの長波長側と蛍光分子の蛍光スペクトルの短波長側とは、波長550nmの近傍でクロスしている。
【0023】
図4は、励起フィルタ12及びバリアフィルタ21の特性を説明する図である。図4に示すとおり、励起フィルタ12の透過波長帯域は、蛍光分子の励起スペクトルの主要部(中心波長500nm及びその近傍波長)をカバーし、バリアフィルタ21の透過波長帯域は、蛍光分子の蛍光スペクトルの主要部(中心波長610nm及びその近傍波長)をカバーしている。
【0024】
ここで、本装置では、試料20を照明する光束のスペクトルの波長帯域と、蛍光分子の励起スペクトルの波長帯域との重複範囲が広いほど、本装置の深さ方向の分解能が高くなり、2次元画像検出器22が検出可能な光の波長帯域と、蛍光分子の蛍光スペクトルの波長帯域との重複範囲が広いほど、画像データのSN比が高くなる。
【0025】
そこで、励起フィルタ12の透過波長帯域は、バリアフィルタ21の透過波長帯域に重複しない範囲でなるべく広く確保され、励起フィルタ12の透過波長帯域の上端値とバリアフィルタ21の透過波長帯域の下端値とは、SN比と分解能とのバランスを考慮して適切に設定されることが望ましい。例えば、図4に示す例では、励起フィルタ12の透過波長帯域の上端値を550nm、バリアフィルタ21の透過波長帯域の下端値を585nmとした。
【0026】
図5は、本実施形態の顕微鏡装置に固有の励起スペクトル(装置固有の励起スペクトル)を示す図である。ここで、装置固有の励起スペクトルは、試料20を照明する光束のスペクトルと、蛍光分子の励起スペクトルとの掛け算で定義されるものとする(なお、試料20を照明する光束のスペクトルは、光源10の発光スペクトルと励起フィルタの透過スペクトルとの掛け算で定義される。)。図5に示すとおり本実施形態では、装置固有の励起スペクトルを、中心波長500nm、半値全幅が50nmのガウス型スペクトルとする。
【0027】
試料20中の蛍光分子は、試料20中に生起した定在波干渉光束によって励起される。装置固有の励起スペクトルの形状が図5で説明した形状であった場合、試料20の走査によって変位する、或る1つの点状の蛍光分子の光軸方向の位置と、その蛍光分子から放射される蛍光強度との関係(=蛍光強度の光軸方向の走査波形)は、図6に示すとおりになる。なお、ここでは、試料20の屈折率を1.3と仮定した。図6に示すとおり、蛍光強度の光軸方向の走査波形は、比較的高い周波数で変調されており、この走査波形のエンベロープがピークをとるのは、点状の蛍光分子の光軸方向の位置が基準面BP上に合致したときである。なお、本実施形態では装置固有の励起スペクトルをガウス型としたので(図5参照)、基準面BPから外れた面にサブピーク(余計なピーク)が発生することは無い。
【0028】
したがって、本実施形態では、試料20を照明する照明光束を試料20中の特定の層に限局させたのと同等の効果が得られる。
【0029】
また、本装置の深さ方向の分解能(観察対象となる層の厚さ)は、図6に示す走査波形のエンベロープのピークの半値幅によって決まり、その半値幅が狭いほど、分解能は高くなる。図6に示した例によると、分解能は約1.6μmとなる。
【0030】
次に、コントローラの動作を説明する。図7は、コントローラの動作フローチャートである。以下、各ステップを順に説明する。
【0031】
ステップS11:コントローラは、透過型ステージOSの光軸方向の位置(走査位置d)を初期値に設定する。走査位置dの初期値は、図8(A)に示すとおり、基準面BPが試料20の最上面の近傍に位置するような値(ここでは−15μm)である。なお、ここでは、試料20の厚さを30μm未満と仮定し、走査位置dの値を−15μmから+15μmへと変化させると、図8(A)→図8(B)→図8(C)のとおり試料20の最上面近傍から試料20の最下面近傍までが基準面BPで走査されるものと仮定する。
【0032】
ステップS12:コントローラは、光源10をオンすると共に、透過型ステージOSのプラス側への移動を開始する。これによって、基準面BPによる試料20の深さ方向の走査が開始される。なお、ここでは、透過型ステージOSの移動速度は一定であると仮定する。また、コントローラは、この走査を開始するのと同時に、2次元画像検出器22の連続駆動を開始する。なお、ここでは、2次元画像検出器22のフレームレートは一定であると仮定する。2次元画像検出器22の連続駆動が開始されると、コントローラは、2次元画像検出器22が連続して取得する画像データを順次に取り込み、それらの画像データを、各々の取得時における透過型ステージOSの走査位置dの値に対応付けてから、メモリ(RAMなど)へ格納する。
【0033】
ステップS13:コントローラは、透過型ステージOSの走査位置dが最終値(ここでは+15μm)に達したか否かを判別し、達していなかった場合には、走査及び画像データの取得を継続し、達していた場合には、光源10をオフし、走査及び画像データの取得を終了する。なお、ここでは、透過型ステージOSの走査位置dが初期値(−15μm)から最終値(+15μm)になるまでの期間に取得された画像データの数を「624」と仮定する。この場合、連続する2つの画像データ間の走査位置dのずれ(走査ピッチ)は、約48nmとなる。
【0034】
ステップS14:コントローラは、画素番号iを初期値(1)に設定する。
【0035】
ステップS15:コントローラは、メモリに格納された120個の画像データを読み出し、それらの画像データの中から、現在の画素番号iに対応する画素の信号波形を参照する。この信号波形は、図9に示すとおり、走査位置dに対する画素値(信号強度)の変化カーブである。この信号波形のうち、振幅の大きくなっている走査位置dが蛍光分子の存在していた位置を示しており、その振幅の大きさは、その蛍光分子の蛍光強度を示している。本ステップにおけるコントローラは、この信号波形をフーリエ変換し、各次数のフーリエスペクトル(図10(A))を求める。
【0036】
ステップS16:コントローラは、フーリエスペクトル(図10(A))から+1次フーリエスペクトルを抽出し、その+1次フーリエスペクトルを原点へシフトさせる(図10(B))。これによって、信号波形に含まれていたキャリア成分が除去されたことになる。
【0037】
ステップS17:コントローラは、シフト後のフーリエスペクトルを逆フーリエ変換することにより、キャリア成分の除去された信号波形を復元する。なお、図9に示した信号波形から復元される信号波形は、図11に示すとおりである。復元された信号波形は、試料20上で画素番号iの画素に対応する位置の深さ方向の蛍光強度分布を示す。コントローラは、復元された信号波形を、画素番号iの画素に関する蛍光強度のZ分布情報としてメモリに格納し、画素番号iの画素に関する解析を終了する。
【0038】
ステップS18:コントローラは、画素番号iが最終値に達したか否かを判別し、達していなかった場合にはステップS19へ移行し、達していた場合にはステップS20へ移行する。
【0039】
ステップS19:コントローラは、画素番号iをインクリメントし、ステップS15へ戻る。
【0040】
ステップS20:コントローラは、メモリに格納された全ての画素に関する蛍光強度のZ分布情報を読み出し、試料20における蛍光強度の三次元分布情報を作成すると共に、その三次元分布情報を可視化するための画像データを作成する。
【0041】
ステップS21:コントローラは、ステップS20で作成した画像データをモニタへ表示し、フローを終了する。なお、コントローラは、ステップS20で作成した三次元分布情報を必要に応じて長期保存用のメモリ(HDDなど)へ保存する。
【0042】
以上、本実施形態の顕微鏡装置では、波長帯域の広い2つの光束(低コヒーレンスな2つの光束)の光路長差がゼロとなる面(基準面BP)を試料20中に配するので、照明光束を試料20中の特定の層に限局させたのと同等の効果が得られる。したがって、集光された照明光でその層を二次元走査しなくとも、その層の蛍光強度分布情報を画像データとして一括に取得することができる。
【0043】
また、本実施形態のコントローラは、基準面BPで試料20を深さ方向にかけて走査するので、層状の照明領域で試料20を走査したのと同等の効果が得られる。
【0044】
また、本実施形態のコントローラは、基準面BPで試料20を走査するために透過型ステージOSを利用するので、その走査を確実かつ高精度に行うことができる。
【0045】
また、本実施形態のコントローラは、走査中に2次元画像検出器22に対して画像データを繰り返し取得させ、取得された複数の画像データに基づき試料20の蛍光強度の三次元分布を算出する。したがって、本実施形態では、蛍光強度の三次元分布を既知とするために必要な走査は、試料20の深さ方向への走査のみである。
【0046】
また、本実施形態の試料20は、蛍光分子で標識された生物試料であり、バリアフィルタ21の透過波長帯域は、その蛍光分子の蛍光スペクトルの少なくとも中心波長をカバーし、励起フィルタ12の透過波長帯域は、その蛍光分子の励起スペクトルの少なくとも中心波長をカバーし、バリアフィルタ21の透過波長帯域に重複しない範囲でなるべく広く設定されるので、画像データのSN比を保ちつつ、本装置の深さ方向の分解能を最高に高めることができる。
【0047】
また、本実施形態のコントローラは、複数の画像データの信号波形からキャリア成分を除去するので、定在波干渉光束の干渉パターンに依存しない正確な観察が可能である。
【0048】
なお、本実施形態において、試料20が厚い場合(トータルの走査距離が長い場合)には、透過型ステージOSの移動ピッチ及び2次元画像検出器22のフレームレートが共に一定であったとしても、走査ピッチが一定になるとは限らない。なぜなら、試料20を照明する2つの光束のうち、一方の光束の媒質長(光束が通過する試料20の厚さ)は走査が進むにつれて徐々に長くなるのに対し、他方の光束の媒質長は走査が進むにつれて徐々に短くなるので、走査距離が長いと基準面BPの絶対的な位置がずれてしまうからである。さらに媒質長の差が大きくなると、媒質の屈折率分散の影響によるピーク位置のずれも無視できなくなる。
【0049】
よって、その場合、コントローラは、試料20の屈折率分散を予め記憶し、走査ピッチが均等になるよう、透過型ステージOSの移動ピッチ又は2次元画像検出器22のフレームレートを走査位置に応じて補正するとよい。或いは、コントローラは、走査ピッチの不均一性を許容し、その代わりに、ステップS20で算出した三次元分布のZ座標を補正してもよい。
【0050】
また、本実施形態では、基準面BPで試料20を走査するために試料20を移動させたが、試料20を移動させる代わりに、基準面BP自体を変位させてもよい。この場合、透過型ステージOSを駆動する代わりにミラーステージMSを駆動すればよい。
【0051】
さらに、本実施形態では、基準面BPと2次元画像検出器22との共役関係が維持されるよう、試料20又は基準面BPの変位に応じて2次元画像検出器22を変位させる(ピント調節する)ことが望ましい。或いは、2次元画像検出器22を変位させる代わりに、2次元画像検出器22とビームスプリッタ17tとの間にリレー光学系を挿入し、かつそのリレー光学系の少なくとも一部のレンズを光軸方向に変位させてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、装置固有の励起スペクトル(図5)のタイプをガウス型としたが、非ガウス型としてもよい。但し、その場合には、基準面BPから外れた面にサブピーク(余計なピーク)が発生する可能性があるので、その場合には、そのサブピークが信号波形に与えた影響を演算によって除去することが望ましい。
【0053】
また、本実施形態では、励起フィルタ12の配置先を光源10とビームスプリッタ13との間(図1参照)としたが、コリメートレンズ16tとビームスプリッタ17tとの間、及びコリメートレンズ16bとビームスプリッタ17bとの間のそれぞれとしてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、試料20へ入射させるべき照明光と2次元画像検出器22へ入射させるべき検出光とを分離する機能を、励起フィルタとバリアフィルタとの組み合わせに対して付与したが、その機能の一部又は全部をビームスプリッタ17t、17bに振り分けてもよい。その場合は、ビームスプリッタの代わりにダイクロイックミラーを使用することになる。
【0055】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態は、第1実施形態の装置を無染色の生物試料の観察へ応用する場合の実施形態である。ここでは、第1実施形態との相違点のみ説明する。
【0056】
図12、図13は、本実施形態の顕微鏡装置の概略構成図である。図12、図13に示すとおり、本実施形態の顕微鏡装置は、第1実施形態の顕微鏡装置において、励起フィルタ12、バリアフィルタ21を省略したものに相当する。
【0057】
また、本実施形態の試料20は、第1実施形態の試料20と同様に生物試料であるが、染色の有無は問わない。通常、このような試料20が照明されると、試料20中の屈折率分布などに応じて散乱光が発生する。
【0058】
したがって、本実施形態の2次元画像検出器20が検出するのは、上面側から試料20へ入射した光束に応じて試料20で発生した散乱光(反射散乱光)と、下面側から試料20へ入射して散乱せずに透過した光束(透過ゼロ次光)とである。
【0059】
但し、試料20で発生した散乱光のうち、その透過ゼロ次光と干渉できるのは、基準面BP(及びその近傍)で発生した散乱光のみである。
【0060】
よって、本実施形態においても、照明光束を試料20中の特定の層に限局させたのと同等の効果が得られる。
【0061】
なお、本実施形態における信号波形の解析も、第1実施形態の信号波形の解析と同様である。
【0062】
また、第1実施形態の装置における励起フィルタ12及びバリアフィルタ21の各々を挿脱可能とすれば、第1実施形態の観察方法と第2実施形態の観察方法との間で観察方法の切り換えが可能な装置を構成することができる。この装置によれば、蛍光強度の三次元分布情報と反射光強度の三次元分布情報との双方を同一試料から容易に得ることができる。
【符号の説明】
【0063】
10…白色光源、11…コリメートレンズ、12…励起フィルタ、13…ビームスプリッタ、M1〜M9…ミラー、MS…ミラーステージ、14t、14b…コレクタレンズ、15t、15b…光ファイバ、16t、16b…コリメートレンズ、18t、18b…顕微鏡対物レンズ、17t、17b…ビームスプリッタ、20…試料、OS…透過型ステージ、21…バリアフィルタ、22…2次元画像検出器
【技術分野】
【0001】
本発明は、被観察物の深さ方向に分解能を有した観察装置及び観察方法に関する。
【背景技術】
【0002】
試料の深さ方向に分解能を有した顕微鏡として蛍光共焦点顕微鏡が広く用いられている(特許文献1等を参照)。蛍光共焦点顕微鏡は、蛍光分子によって予め標識された細胞試料中の特定の層に向けて励起光を集光し、その集光点と共役位置に配置されたピンホールを介してその集光点で発生した蛍光を検出するものである。その集光点の深さをずらしながら検出を繰り返えせば、試料の深さ方向の蛍光強度分布が既知となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−52146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、蛍光共焦点顕微鏡では蛍光強度の検出を試料内のポイント毎に行う必要があるので、試料の特定の層の蛍光強度分布を観察したい場合には、励起光の集光点でその層を二次元走査する必要があった。
【0005】
そこで本発明は、被観察物中の一部の層の分布を短時間で検出可能な観察装置及び観察方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の観察装置を例示する一態様は、低コヒーレンス光源から射出した光束を2つに分岐する分岐手段と、前記分岐手段により分岐された2つの光束の一方を被観察物へ上面側から入射させると共に、前記2つの光束の他方を前記被観察物へ下面側から入射させる照明手段と、前記2つの光束の光路長差がゼロとなる面を前記被観察物中に配する光路設定手段と、前記2つの光束で照明された前記被観察物の像を検出する画像検出手段とを備える。
【0007】
本発明の観察方法を例示する一態様は、低コヒーレンス光源から射出した光束を2つに分岐する分岐手順と、前記分岐手順で分岐された2つの光束の一方を被観察物へ上面側から入射させると共に、前記2つの光束の他方を前記被観察物へ下面側から入射させる照明手順と、前記2つの光束の光路長差がゼロとなる面を前記被観察物中に配する光路設定手順と、前記2つの光束で照明された前記被観察物の像を検出する画像検出手順とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被観察物中の一部の層の分布を短時間で検出可能な観察装置及び観察方法が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態の顕微鏡装置の概略構成図(光ファイバの上流側)である。
【図2】第1実施形態の顕微鏡装置の概略構成図(光ファイバの下流側)である。
【図3】蛍光分子の特性を説明する図である。
【図4】励起フィルタ12及びバリアフィルタ21の特性を説明する図である。
【図5】第1実施形態の装置固有の励起スペクトルを示す図である。
【図6】第1実施形態における蛍光強度の光軸方向の走査波形を示す図である。
【図7】第1実施形態のコントローラの動作フローチャートである。
【図8】透過型ステージOSの走査位置dを説明する図である。
【図9】画素番号iに対応する画素の信号波形を示す図である。
【図10】ステップS16を説明する図である。
【図11】復元された信号波形を示す図である。
【図12】第2実施形態の顕微鏡装置の概略構成図(光ファイバの上流側)である。
【図13】第2実施形態の顕微鏡装置の概略構成図(光ファイバの下流側)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態は、生物試料の蛍光強度の三次元分布を観察する顕微鏡装置の実施形態である。なお、この生物試料は、蛍光分子で予め標識されているものとする。
【0011】
先ず、装置の構成を説明する。図1、図2は、本実施形態の顕微鏡装置の概略構成図である。図1、図2に示すとおり、本実施形態の顕微鏡装置には、白色光源10、コリメートレンズ11、励起フィルタ12、ビームスプリッタ13、ミラーM1〜M9、ミラーステージMS、コレクタレンズ14t、14b、光ファイバ15t、15b、コリメートレンズ16t、16b、対物レンズ18t、18b、ビームスプリッタ17t、17b、試料20を支持する透過型ステージOS、バリアフィルタ21、2次元画像検出器22が備えられる。
【0012】
白色光源10から射出した光束は、コリメートレンズ11及び励起フィルタ12を介してビームスプリッタ13へ入射する。ビームスプリッタ13へ入射した光束は、第1光路R1を進行する光束と、第2光路R2を進行する光束との2つの光束に分岐する。
【0013】
第1光路R1を進行する光束は、ミラーM1〜M4を順に反射した後にコレクタレンズ14tへ入射し、光ファイバ15tの入射端へ入射する。第2光路R2を進行する光束は、ミラーM5〜M9を順に反射した後にコレクタレンズ14bへ入射し、光ファイバ15bの入射端へ入射する。
【0014】
第1光路R1において互いに隣接した位置に配置されたミラーM2、M3は、共通のミラーステージMSによって支持されている。ミラーステージMSが矢印の方向へ駆動されると、第1光路R1の光路長が伸縮するので、第1光路R1と第2光路R2との光路長差が調節される。
【0015】
光ファイバ15tは、偏波面保存型のシングルモードファイバであり、光ファイバ15bも、光ファイバ15tと同じ仕様の光ファイバである。光ファイバ15tの入射端へ入射した光束は、光ファイバ15tの出射端から射出し、光ファイバ15bの入射端へ入射した光束は、光ファイバ15bの出射端から射出する。
【0016】
光ファイバ15tの出射端から射出した光束は、コリメートレンズ16t、ビームスプリッタ17t、対物レンズ18tを順に経て平面波となり、上面側から試料20へ入射する。光ファイバ15bの出射端から射出した光束は、コリメートレンズ16b、ビームスプリッタ17b、対物レンズ18bを順に経て平面波となり、下面側から試料20へ入射する。なお、対物レンズ18t、18bは、互いに同じ仕様の顕微鏡対物レンズ(ここでは、有限遠方補正系の顕微鏡対物レンズ)である。
【0017】
ここで、図1に示したミラーステージMSの位置は、試料20の上面側及び下面側から個別に入射する2つの光束の光路長差が、透過型ステージOSの近傍に予め定められた面BPにて略ゼロになるように予め調整される。以下、ミラーステージMSの位置は調整後に固定され、面BPの位置も調整後に固定されたものとみなす。この面BPが、本装置の観察対象面となる。以下、この面BPを、「基準面BP」と称す。
【0018】
前述したとおり光源10として白色光源を使用した場合、試料20へ上側から入射する光束と下側から入射する光束が干渉するのは、基準面BP(及びその近傍の面)である。よって、試料20は、基準面BP上で強度がピークとなるような定在波干渉光束で照明されることになる(定在波干渉光束の詳細は後述。)。
【0019】
試料20に含まれる蛍光分子のうち、定在波干渉光束で照明された蛍光分子は励起され、蛍光を発する。その蛍光は、対物レンズ18tを通過し、ビームスプリッタ17tで反射し、バリアフィルタ21を通過し、2次元画像検出器22上に試料20の蛍光像を形成する。
【0020】
2次元画像検出器22の撮像面は、対物レンズ18tに関して基準面BPと共役な面に配置される。2次元画像検出器22は、その撮像面上に形成された蛍光像を撮像して画像データを取得し、不図示のコントローラへ出力する。
【0021】
不図示のコントローラは、光源10、透過型ステージOS、2次元画像検出器22などを駆動する制御部としての機能と、2次元画像検出器22が取得した画像データを解析する演算部としての機能とを有する。例えば、コントローラは、光源10をオンした状態で、透過型ステージOSを光軸方向へ駆動する。これによって、試料20が基準面BPにより深さ方向(光軸方向)に走査される。また、コントローラは、この走査中に2次元画像検出器22を繰り返し駆動し、複数フレーム分の画像データを取り込む。さらにコントローラは、取り込んだ複数の画像データをコントローラ内部のメモリ(RAMなど)へ逐次に格納し、それらの画像データの信号波形(走査位置−画素値の変化カーブ)を解析する。また、コントローラは、解析結果などの必要な情報を適切なタイミングで不図示のモニタへ表示する。
【0022】
次に、各部の特性を説明する。図3は、本実施形態の蛍光分子の特性を説明する図である。図3に示すとおり、本実施形態では、蛍光分子として、励起スペクトルの波長域が比較的広いものが使用される。この蛍光分子の励起スペクトルの中心波長は500nmであり、蛍光分子の蛍光スペクトルの中心波長は610nmであり、蛍光分子の励起スペクトルの長波長側と蛍光分子の蛍光スペクトルの短波長側とは、波長550nmの近傍でクロスしている。
【0023】
図4は、励起フィルタ12及びバリアフィルタ21の特性を説明する図である。図4に示すとおり、励起フィルタ12の透過波長帯域は、蛍光分子の励起スペクトルの主要部(中心波長500nm及びその近傍波長)をカバーし、バリアフィルタ21の透過波長帯域は、蛍光分子の蛍光スペクトルの主要部(中心波長610nm及びその近傍波長)をカバーしている。
【0024】
ここで、本装置では、試料20を照明する光束のスペクトルの波長帯域と、蛍光分子の励起スペクトルの波長帯域との重複範囲が広いほど、本装置の深さ方向の分解能が高くなり、2次元画像検出器22が検出可能な光の波長帯域と、蛍光分子の蛍光スペクトルの波長帯域との重複範囲が広いほど、画像データのSN比が高くなる。
【0025】
そこで、励起フィルタ12の透過波長帯域は、バリアフィルタ21の透過波長帯域に重複しない範囲でなるべく広く確保され、励起フィルタ12の透過波長帯域の上端値とバリアフィルタ21の透過波長帯域の下端値とは、SN比と分解能とのバランスを考慮して適切に設定されることが望ましい。例えば、図4に示す例では、励起フィルタ12の透過波長帯域の上端値を550nm、バリアフィルタ21の透過波長帯域の下端値を585nmとした。
【0026】
図5は、本実施形態の顕微鏡装置に固有の励起スペクトル(装置固有の励起スペクトル)を示す図である。ここで、装置固有の励起スペクトルは、試料20を照明する光束のスペクトルと、蛍光分子の励起スペクトルとの掛け算で定義されるものとする(なお、試料20を照明する光束のスペクトルは、光源10の発光スペクトルと励起フィルタの透過スペクトルとの掛け算で定義される。)。図5に示すとおり本実施形態では、装置固有の励起スペクトルを、中心波長500nm、半値全幅が50nmのガウス型スペクトルとする。
【0027】
試料20中の蛍光分子は、試料20中に生起した定在波干渉光束によって励起される。装置固有の励起スペクトルの形状が図5で説明した形状であった場合、試料20の走査によって変位する、或る1つの点状の蛍光分子の光軸方向の位置と、その蛍光分子から放射される蛍光強度との関係(=蛍光強度の光軸方向の走査波形)は、図6に示すとおりになる。なお、ここでは、試料20の屈折率を1.3と仮定した。図6に示すとおり、蛍光強度の光軸方向の走査波形は、比較的高い周波数で変調されており、この走査波形のエンベロープがピークをとるのは、点状の蛍光分子の光軸方向の位置が基準面BP上に合致したときである。なお、本実施形態では装置固有の励起スペクトルをガウス型としたので(図5参照)、基準面BPから外れた面にサブピーク(余計なピーク)が発生することは無い。
【0028】
したがって、本実施形態では、試料20を照明する照明光束を試料20中の特定の層に限局させたのと同等の効果が得られる。
【0029】
また、本装置の深さ方向の分解能(観察対象となる層の厚さ)は、図6に示す走査波形のエンベロープのピークの半値幅によって決まり、その半値幅が狭いほど、分解能は高くなる。図6に示した例によると、分解能は約1.6μmとなる。
【0030】
次に、コントローラの動作を説明する。図7は、コントローラの動作フローチャートである。以下、各ステップを順に説明する。
【0031】
ステップS11:コントローラは、透過型ステージOSの光軸方向の位置(走査位置d)を初期値に設定する。走査位置dの初期値は、図8(A)に示すとおり、基準面BPが試料20の最上面の近傍に位置するような値(ここでは−15μm)である。なお、ここでは、試料20の厚さを30μm未満と仮定し、走査位置dの値を−15μmから+15μmへと変化させると、図8(A)→図8(B)→図8(C)のとおり試料20の最上面近傍から試料20の最下面近傍までが基準面BPで走査されるものと仮定する。
【0032】
ステップS12:コントローラは、光源10をオンすると共に、透過型ステージOSのプラス側への移動を開始する。これによって、基準面BPによる試料20の深さ方向の走査が開始される。なお、ここでは、透過型ステージOSの移動速度は一定であると仮定する。また、コントローラは、この走査を開始するのと同時に、2次元画像検出器22の連続駆動を開始する。なお、ここでは、2次元画像検出器22のフレームレートは一定であると仮定する。2次元画像検出器22の連続駆動が開始されると、コントローラは、2次元画像検出器22が連続して取得する画像データを順次に取り込み、それらの画像データを、各々の取得時における透過型ステージOSの走査位置dの値に対応付けてから、メモリ(RAMなど)へ格納する。
【0033】
ステップS13:コントローラは、透過型ステージOSの走査位置dが最終値(ここでは+15μm)に達したか否かを判別し、達していなかった場合には、走査及び画像データの取得を継続し、達していた場合には、光源10をオフし、走査及び画像データの取得を終了する。なお、ここでは、透過型ステージOSの走査位置dが初期値(−15μm)から最終値(+15μm)になるまでの期間に取得された画像データの数を「624」と仮定する。この場合、連続する2つの画像データ間の走査位置dのずれ(走査ピッチ)は、約48nmとなる。
【0034】
ステップS14:コントローラは、画素番号iを初期値(1)に設定する。
【0035】
ステップS15:コントローラは、メモリに格納された120個の画像データを読み出し、それらの画像データの中から、現在の画素番号iに対応する画素の信号波形を参照する。この信号波形は、図9に示すとおり、走査位置dに対する画素値(信号強度)の変化カーブである。この信号波形のうち、振幅の大きくなっている走査位置dが蛍光分子の存在していた位置を示しており、その振幅の大きさは、その蛍光分子の蛍光強度を示している。本ステップにおけるコントローラは、この信号波形をフーリエ変換し、各次数のフーリエスペクトル(図10(A))を求める。
【0036】
ステップS16:コントローラは、フーリエスペクトル(図10(A))から+1次フーリエスペクトルを抽出し、その+1次フーリエスペクトルを原点へシフトさせる(図10(B))。これによって、信号波形に含まれていたキャリア成分が除去されたことになる。
【0037】
ステップS17:コントローラは、シフト後のフーリエスペクトルを逆フーリエ変換することにより、キャリア成分の除去された信号波形を復元する。なお、図9に示した信号波形から復元される信号波形は、図11に示すとおりである。復元された信号波形は、試料20上で画素番号iの画素に対応する位置の深さ方向の蛍光強度分布を示す。コントローラは、復元された信号波形を、画素番号iの画素に関する蛍光強度のZ分布情報としてメモリに格納し、画素番号iの画素に関する解析を終了する。
【0038】
ステップS18:コントローラは、画素番号iが最終値に達したか否かを判別し、達していなかった場合にはステップS19へ移行し、達していた場合にはステップS20へ移行する。
【0039】
ステップS19:コントローラは、画素番号iをインクリメントし、ステップS15へ戻る。
【0040】
ステップS20:コントローラは、メモリに格納された全ての画素に関する蛍光強度のZ分布情報を読み出し、試料20における蛍光強度の三次元分布情報を作成すると共に、その三次元分布情報を可視化するための画像データを作成する。
【0041】
ステップS21:コントローラは、ステップS20で作成した画像データをモニタへ表示し、フローを終了する。なお、コントローラは、ステップS20で作成した三次元分布情報を必要に応じて長期保存用のメモリ(HDDなど)へ保存する。
【0042】
以上、本実施形態の顕微鏡装置では、波長帯域の広い2つの光束(低コヒーレンスな2つの光束)の光路長差がゼロとなる面(基準面BP)を試料20中に配するので、照明光束を試料20中の特定の層に限局させたのと同等の効果が得られる。したがって、集光された照明光でその層を二次元走査しなくとも、その層の蛍光強度分布情報を画像データとして一括に取得することができる。
【0043】
また、本実施形態のコントローラは、基準面BPで試料20を深さ方向にかけて走査するので、層状の照明領域で試料20を走査したのと同等の効果が得られる。
【0044】
また、本実施形態のコントローラは、基準面BPで試料20を走査するために透過型ステージOSを利用するので、その走査を確実かつ高精度に行うことができる。
【0045】
また、本実施形態のコントローラは、走査中に2次元画像検出器22に対して画像データを繰り返し取得させ、取得された複数の画像データに基づき試料20の蛍光強度の三次元分布を算出する。したがって、本実施形態では、蛍光強度の三次元分布を既知とするために必要な走査は、試料20の深さ方向への走査のみである。
【0046】
また、本実施形態の試料20は、蛍光分子で標識された生物試料であり、バリアフィルタ21の透過波長帯域は、その蛍光分子の蛍光スペクトルの少なくとも中心波長をカバーし、励起フィルタ12の透過波長帯域は、その蛍光分子の励起スペクトルの少なくとも中心波長をカバーし、バリアフィルタ21の透過波長帯域に重複しない範囲でなるべく広く設定されるので、画像データのSN比を保ちつつ、本装置の深さ方向の分解能を最高に高めることができる。
【0047】
また、本実施形態のコントローラは、複数の画像データの信号波形からキャリア成分を除去するので、定在波干渉光束の干渉パターンに依存しない正確な観察が可能である。
【0048】
なお、本実施形態において、試料20が厚い場合(トータルの走査距離が長い場合)には、透過型ステージOSの移動ピッチ及び2次元画像検出器22のフレームレートが共に一定であったとしても、走査ピッチが一定になるとは限らない。なぜなら、試料20を照明する2つの光束のうち、一方の光束の媒質長(光束が通過する試料20の厚さ)は走査が進むにつれて徐々に長くなるのに対し、他方の光束の媒質長は走査が進むにつれて徐々に短くなるので、走査距離が長いと基準面BPの絶対的な位置がずれてしまうからである。さらに媒質長の差が大きくなると、媒質の屈折率分散の影響によるピーク位置のずれも無視できなくなる。
【0049】
よって、その場合、コントローラは、試料20の屈折率分散を予め記憶し、走査ピッチが均等になるよう、透過型ステージOSの移動ピッチ又は2次元画像検出器22のフレームレートを走査位置に応じて補正するとよい。或いは、コントローラは、走査ピッチの不均一性を許容し、その代わりに、ステップS20で算出した三次元分布のZ座標を補正してもよい。
【0050】
また、本実施形態では、基準面BPで試料20を走査するために試料20を移動させたが、試料20を移動させる代わりに、基準面BP自体を変位させてもよい。この場合、透過型ステージOSを駆動する代わりにミラーステージMSを駆動すればよい。
【0051】
さらに、本実施形態では、基準面BPと2次元画像検出器22との共役関係が維持されるよう、試料20又は基準面BPの変位に応じて2次元画像検出器22を変位させる(ピント調節する)ことが望ましい。或いは、2次元画像検出器22を変位させる代わりに、2次元画像検出器22とビームスプリッタ17tとの間にリレー光学系を挿入し、かつそのリレー光学系の少なくとも一部のレンズを光軸方向に変位させてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、装置固有の励起スペクトル(図5)のタイプをガウス型としたが、非ガウス型としてもよい。但し、その場合には、基準面BPから外れた面にサブピーク(余計なピーク)が発生する可能性があるので、その場合には、そのサブピークが信号波形に与えた影響を演算によって除去することが望ましい。
【0053】
また、本実施形態では、励起フィルタ12の配置先を光源10とビームスプリッタ13との間(図1参照)としたが、コリメートレンズ16tとビームスプリッタ17tとの間、及びコリメートレンズ16bとビームスプリッタ17bとの間のそれぞれとしてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、試料20へ入射させるべき照明光と2次元画像検出器22へ入射させるべき検出光とを分離する機能を、励起フィルタとバリアフィルタとの組み合わせに対して付与したが、その機能の一部又は全部をビームスプリッタ17t、17bに振り分けてもよい。その場合は、ビームスプリッタの代わりにダイクロイックミラーを使用することになる。
【0055】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態は、第1実施形態の装置を無染色の生物試料の観察へ応用する場合の実施形態である。ここでは、第1実施形態との相違点のみ説明する。
【0056】
図12、図13は、本実施形態の顕微鏡装置の概略構成図である。図12、図13に示すとおり、本実施形態の顕微鏡装置は、第1実施形態の顕微鏡装置において、励起フィルタ12、バリアフィルタ21を省略したものに相当する。
【0057】
また、本実施形態の試料20は、第1実施形態の試料20と同様に生物試料であるが、染色の有無は問わない。通常、このような試料20が照明されると、試料20中の屈折率分布などに応じて散乱光が発生する。
【0058】
したがって、本実施形態の2次元画像検出器20が検出するのは、上面側から試料20へ入射した光束に応じて試料20で発生した散乱光(反射散乱光)と、下面側から試料20へ入射して散乱せずに透過した光束(透過ゼロ次光)とである。
【0059】
但し、試料20で発生した散乱光のうち、その透過ゼロ次光と干渉できるのは、基準面BP(及びその近傍)で発生した散乱光のみである。
【0060】
よって、本実施形態においても、照明光束を試料20中の特定の層に限局させたのと同等の効果が得られる。
【0061】
なお、本実施形態における信号波形の解析も、第1実施形態の信号波形の解析と同様である。
【0062】
また、第1実施形態の装置における励起フィルタ12及びバリアフィルタ21の各々を挿脱可能とすれば、第1実施形態の観察方法と第2実施形態の観察方法との間で観察方法の切り換えが可能な装置を構成することができる。この装置によれば、蛍光強度の三次元分布情報と反射光強度の三次元分布情報との双方を同一試料から容易に得ることができる。
【符号の説明】
【0063】
10…白色光源、11…コリメートレンズ、12…励起フィルタ、13…ビームスプリッタ、M1〜M9…ミラー、MS…ミラーステージ、14t、14b…コレクタレンズ、15t、15b…光ファイバ、16t、16b…コリメートレンズ、18t、18b…顕微鏡対物レンズ、17t、17b…ビームスプリッタ、20…試料、OS…透過型ステージ、21…バリアフィルタ、22…2次元画像検出器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低コヒーレンス光源から射出した光束を2つに分岐する分岐手段と、
前記分岐手段により分岐された2つの光束の一方を被観察物へ上面側から入射させると共に、前記2つの光束の他方を前記被観察物へ下面側から入射させる照明手段と、
前記2つの光束の光路長差がゼロとなる面を前記被観察物中に配する光路設定手段と、
前記2つの光束で照明された前記被観察物の像を検出する画像検出手段と、
を備えたことを特徴とする観察装置。
【請求項2】
請求項1に記載の観察装置において、
前記2つの光束の光路長差がゼロとなる面で前記被観察物をその深さ方向にかけて走査しながら、前記画像検出手段を繰り返し駆動することにより、複数の画像データを取得する制御手段と、
前記制御手段が取得した複数の画像データに基づき前記被観察物の三次元分布を算出する演算手段と、
を更に備えたことを特徴とする観察装置。
【請求項3】
請求項2に記載の観察装置において、
前記制御手段は、
前記被観察物をその深さ方向にかけて移動させることにより前記走査を行う
ことを特徴とする観察装置。
【請求項4】
請求項2に記載の観察装置において、
前記制御手段は、
前記2つの光束のうち少なくとも一方の光路長を変化させることにより前記走査を行う
ことを特徴とする観察装置。
【請求項5】
請求項2〜請求項4の何れか一項に記載の観察装置において、
前記制御手段は、
前記走査の走査位置に応じて、前記光路長差がゼロとなる面と前記画像検出手段の検出面との間のピント調節を行う
ことを特徴とする観察装置。
【請求項6】
請求項2〜請求項5の何れか一項に記載の観察装置において、
前記画像検出手段は、
前記被観察物中の蛍光分子が発する蛍光の強度を検出し、
前記被観察物へ入射する前記2つの光束は、
前記被観察物中の蛍光分子を励起するものであり、
前記2つの光束の波長帯域は、
前記画像検出手段の検出波長帯域に重複しない範囲でなるべく広く設定される
ことを特徴とする観察装置。
【請求項7】
請求項6に記載の観察装置において、
前記演算手段は、
前記走査の走査位置に対する前記複数の画像データの変化波形からキャリア成分を除去することにより、前記被観察物中の蛍光強度の三次元分布を算出する
ことを特徴とする観察装置。
【請求項8】
請求項2〜請求項5の何れか一項に記載の観察装置において、
前記演算手段は、
前記走査の走査位置に対する前記複数の画像データの変化波形からキャリア成分を除去することにより、前記被観察物中の反射光強度の三次元分布を算出する
ことを特徴とする観察装置。
【請求項9】
低コヒーレンス光源から射出した光束を2つに分岐する分岐手順と、
前記分岐手順で分岐された2つの光束の一方を被観察物へ上面側から入射させると共に、前記2つの光束の他方を前記被観察物へ下面側から入射させる照明手順と、
前記2つの光束の光路長差がゼロとなる面を前記被観察物中に配する光路設定手順と、
前記2つの光束で照明された前記被観察物の像を検出する画像検出手順と、
を含むことを特徴とする観察方法。
【請求項10】
請求項9に記載の観察方法において、
前記2つの光束の光路長差がゼロとなる面で前記被観察物をその深さ方向にかけて走査しながら、前記画像検出手順を繰り返し実行することにより、複数の画像データを取得する制御手順と、
前記制御手順で取得した複数の画像データに基づき前記被観察物の三次元分布を算出する演算手順と、
を更に含むことを特徴とする観察方法。
【請求項11】
請求項10に記載の観察方法において、
前記制御手順では、
前記被観察物をその深さ方向にかけて移動させることにより前記走査を行う
ことを特徴とする観察方法。
【請求項12】
請求項10に記載の観察方法において、
前記制御手順では、
前記2つの光束のうち少なくとも一方の光路長を変化させることにより前記走査を行う
ことを特徴とする観察方法。
【請求項13】
請求項10〜請求項12の何れか一項に記載の観察方法において、
前記制御手順では、
前記走査の走査位置に応じて、前記光路長差がゼロとなる面と前記前記画像検出手順の検出面との間のピント調節を行う
ことを特徴とする観察方法。
【請求項14】
請求項10〜請求項13の何れかに記載の観察方法において、
前記画像検出手順では、
前記被観察物中の蛍光分子が発する蛍光の強度を検出し、
前記被観察物へ入射する前記2つの光束は、
前記被観察物中の蛍光分子を励起するものであり、
前記2つの光束の波長帯域は、
前記画像検出手順の検出波長帯域に重複しない範囲でなるべく広く設定される
ことを特徴とする観察方法。
【請求項15】
請求項14に記載の観察方法において、
前記演算手順では、
前記走査の走査位置に対する前記複数の画像データの変化波形からキャリア成分を除去することにより、前記被観察物中の蛍光強度の三次元分布を算出する
ことを特徴とする観察方法。
【請求項16】
請求項10〜請求項13の何れか一項に記載の観察方法において、
前記演算手順では、
前記走査の走査位置に対する前記複数の画像データの変化波形からキャリア成分を除去することにより、前記被観察物中の反射光強度の三次元分布を算出する
ことを特徴とする観察方法。
【請求項1】
低コヒーレンス光源から射出した光束を2つに分岐する分岐手段と、
前記分岐手段により分岐された2つの光束の一方を被観察物へ上面側から入射させると共に、前記2つの光束の他方を前記被観察物へ下面側から入射させる照明手段と、
前記2つの光束の光路長差がゼロとなる面を前記被観察物中に配する光路設定手段と、
前記2つの光束で照明された前記被観察物の像を検出する画像検出手段と、
を備えたことを特徴とする観察装置。
【請求項2】
請求項1に記載の観察装置において、
前記2つの光束の光路長差がゼロとなる面で前記被観察物をその深さ方向にかけて走査しながら、前記画像検出手段を繰り返し駆動することにより、複数の画像データを取得する制御手段と、
前記制御手段が取得した複数の画像データに基づき前記被観察物の三次元分布を算出する演算手段と、
を更に備えたことを特徴とする観察装置。
【請求項3】
請求項2に記載の観察装置において、
前記制御手段は、
前記被観察物をその深さ方向にかけて移動させることにより前記走査を行う
ことを特徴とする観察装置。
【請求項4】
請求項2に記載の観察装置において、
前記制御手段は、
前記2つの光束のうち少なくとも一方の光路長を変化させることにより前記走査を行う
ことを特徴とする観察装置。
【請求項5】
請求項2〜請求項4の何れか一項に記載の観察装置において、
前記制御手段は、
前記走査の走査位置に応じて、前記光路長差がゼロとなる面と前記画像検出手段の検出面との間のピント調節を行う
ことを特徴とする観察装置。
【請求項6】
請求項2〜請求項5の何れか一項に記載の観察装置において、
前記画像検出手段は、
前記被観察物中の蛍光分子が発する蛍光の強度を検出し、
前記被観察物へ入射する前記2つの光束は、
前記被観察物中の蛍光分子を励起するものであり、
前記2つの光束の波長帯域は、
前記画像検出手段の検出波長帯域に重複しない範囲でなるべく広く設定される
ことを特徴とする観察装置。
【請求項7】
請求項6に記載の観察装置において、
前記演算手段は、
前記走査の走査位置に対する前記複数の画像データの変化波形からキャリア成分を除去することにより、前記被観察物中の蛍光強度の三次元分布を算出する
ことを特徴とする観察装置。
【請求項8】
請求項2〜請求項5の何れか一項に記載の観察装置において、
前記演算手段は、
前記走査の走査位置に対する前記複数の画像データの変化波形からキャリア成分を除去することにより、前記被観察物中の反射光強度の三次元分布を算出する
ことを特徴とする観察装置。
【請求項9】
低コヒーレンス光源から射出した光束を2つに分岐する分岐手順と、
前記分岐手順で分岐された2つの光束の一方を被観察物へ上面側から入射させると共に、前記2つの光束の他方を前記被観察物へ下面側から入射させる照明手順と、
前記2つの光束の光路長差がゼロとなる面を前記被観察物中に配する光路設定手順と、
前記2つの光束で照明された前記被観察物の像を検出する画像検出手順と、
を含むことを特徴とする観察方法。
【請求項10】
請求項9に記載の観察方法において、
前記2つの光束の光路長差がゼロとなる面で前記被観察物をその深さ方向にかけて走査しながら、前記画像検出手順を繰り返し実行することにより、複数の画像データを取得する制御手順と、
前記制御手順で取得した複数の画像データに基づき前記被観察物の三次元分布を算出する演算手順と、
を更に含むことを特徴とする観察方法。
【請求項11】
請求項10に記載の観察方法において、
前記制御手順では、
前記被観察物をその深さ方向にかけて移動させることにより前記走査を行う
ことを特徴とする観察方法。
【請求項12】
請求項10に記載の観察方法において、
前記制御手順では、
前記2つの光束のうち少なくとも一方の光路長を変化させることにより前記走査を行う
ことを特徴とする観察方法。
【請求項13】
請求項10〜請求項12の何れか一項に記載の観察方法において、
前記制御手順では、
前記走査の走査位置に応じて、前記光路長差がゼロとなる面と前記前記画像検出手順の検出面との間のピント調節を行う
ことを特徴とする観察方法。
【請求項14】
請求項10〜請求項13の何れかに記載の観察方法において、
前記画像検出手順では、
前記被観察物中の蛍光分子が発する蛍光の強度を検出し、
前記被観察物へ入射する前記2つの光束は、
前記被観察物中の蛍光分子を励起するものであり、
前記2つの光束の波長帯域は、
前記画像検出手順の検出波長帯域に重複しない範囲でなるべく広く設定される
ことを特徴とする観察方法。
【請求項15】
請求項14に記載の観察方法において、
前記演算手順では、
前記走査の走査位置に対する前記複数の画像データの変化波形からキャリア成分を除去することにより、前記被観察物中の蛍光強度の三次元分布を算出する
ことを特徴とする観察方法。
【請求項16】
請求項10〜請求項13の何れか一項に記載の観察方法において、
前記演算手順では、
前記走査の走査位置に対する前記複数の画像データの変化波形からキャリア成分を除去することにより、前記被観察物中の反射光強度の三次元分布を算出する
ことを特徴とする観察方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−22063(P2011−22063A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168665(P2009−168665)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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