観察装置
【課題】様々な大きさの試料の照明観察が可能な観察装置を提供する。
【解決手段】柔軟性を有する面発光素子1と、面発光素子1を点灯駆動させる点灯駆動手段9と、試料3を観察する光学系2とを有する観察装置であって、面発光素子1を、試料3を囲うように配置するようにする。このようにすることで、試料に対して面発光素子からの光を照射することができる。この場合、面発光素子は柔軟性を有するので、試料が大きい時は面発光素子の囲う範囲を大きくし、試料が小さい時は囲う範囲を狭くするように面発光素子の形状を変化させることによって、面発光素子からの照明光を試料に無駄なく照射することができる。
【解決手段】柔軟性を有する面発光素子1と、面発光素子1を点灯駆動させる点灯駆動手段9と、試料3を観察する光学系2とを有する観察装置であって、面発光素子1を、試料3を囲うように配置するようにする。このようにすることで、試料に対して面発光素子からの光を照射することができる。この場合、面発光素子は柔軟性を有するので、試料が大きい時は面発光素子の囲う範囲を大きくし、試料が小さい時は囲う範囲を狭くするように面発光素子の形状を変化させることによって、面発光素子からの照明光を試料に無駄なく照射することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡などのマクロ観察を行う観察装置に関し、特に、観察用照明光源を備えた観察装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、顕微鏡などのマクロ観察を行う観察装置において、LED等の観察用照明光源を用いることが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。特許文献1には、複数個のLEDや光ファイバをドーム状に配置することで、ドーム内の試料を照明する装置が示されている。また、特許文献2には、円筒状又は円錐状のフレネルレンズの外側にLEDを配置することで、円筒又は円錐内の試料を照明する装置が示されており、照明効率が向上されている。こうした観察装置は、マクロ観察など製品の表面検査に好適な装置とされている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−84207号公報
【特許文献2】特開平11−242162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の従来の特許文献1等の観察装置では、点光源のLEDを多数敷き詰めて面光源に見立てている。このため、観察に必要な光量を確保するために膨大なLEDが必要である。また、上記の従来の特許文献1等の装置では、ドーム、円筒又は円錐は予め大きさが所定の大きさに構築されており、これらの内側に配置される試料の大きさはドーム等によって制限されてしまう。このため、上記の従来の観察装置は、試料の大きさに対する柔軟性がなく、試料の大きさが変わるとドームを構成しなおす必要があり、種々のサイズの試料の観察に即座に対応することは困難であった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、様々な大きさの試料の照明観察が可能な観察装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係る観察装置は、柔軟性を有する面発光素子と、前記面発光素子を点灯駆動させる点灯駆動手段と、試料を観察する光学系とを有する観察装置であって、前記面発光素子を、前記試料を囲うように配置したことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る観察装置は、上述した発明において、前記面発光素子を巻き取る巻き取り駆動手段をさらに有し、前記巻き取り駆動手段によって前記試料を囲う前記面発光素子の径を変更可能としたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る観察装置は、上述した発明において、前記面発光素子を上下動させる上下動駆動手段をさらに有し、前記上下動駆動手段によって前記面発光素子の配置高さを変更可能としたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る観察装置は、上述した発明において、上下方向に配置された2以上の前記面発光素子を備え、前記2以上の面発光素子は、前記上下動駆動手段によってそれぞれ独立して上下動可能に構成されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る観察装置は、上述した発明において、前記面発光素子の水平方向の配置位置を変更する水平移動駆動手段をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る観察装置は、上述した発明において、前記面発光素子からの発光色、発光部分又は模様を調整制御する面発光素子制御手段をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る観察装置は、上述した発明において、前記面発光素子が、有機EL素子であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、柔軟性を有する面発光素子と、前記面発光素子を点灯駆動させる点灯駆動手段と、試料を観察する光学系とを有する観察装置であって、前記面発光素子を、前記試料を囲うように配置したので、試料に対して面発光素子からの光を照射することができる。この場合、面発光素子は柔軟性を有するので、試料が大きい時は面発光素子の囲う範囲を大きくし、試料が小さい時は囲う範囲を狭くするように面発光素子の形状を変化させることによって、面発光素子からの照明光を試料に無駄なく照射することができる。このため、様々の大きさの試料の観察に容易に対応することができる。また、照明光の色及び模様を変えることで観察者が見たいものを強調して見ることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明に係る観察装置の好適な実施の形態(実施の形態1〜7及び変形例1〜7)を詳細に説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る観察装置の概略斜視図であり、図2は、部分上面図である。
【0016】
図1に示すように、実施の形態1の観察装置は、柔軟性を有する面発光素子としての面発光体1と、観察光学系2と、ステージ4と、巻き取り駆動手段としての駆動部5と、点灯駆動手段としての面発光体制御ユニット7と、ケーブル6とを備える。図2に示すように、面発光体1の発光面は内側である。面発光体1としては、例えば、基板に形成された電極で挟まれた有機材料が電気を通すことによって励起され発光する有機EL素子を用いることができる。この場合、プラスチックなどの基板からなるフレキシブルな有機ELシートを用いてもよい。
【0017】
駆動部5は、円筒状に配置されたシート状の面発光体1を巻き取り、面発光体1の重なり合う端部の長さを変えることで円筒の径を変え、円筒内のステージ4に配置される標本3(試料)を囲う範囲を自由に変えることができる。駆動部5の具体的な動作としては、モーター制御ユニット8からの信号に基づいて、公知のフィルムカメラにおけるフィルム巻き取り手段によって面発光体1を巻き取ることができる。この場合、例えば、図3に示すように、面発光体1の外周側又は上端に形成した凹凸部にギアをかみ合わせ、このギアを不図示のモーターの駆動力で回転させることにより面発光体1を巻き取るようにしてもよい。このようにすることで、面発光体1の円筒の径を変化させる動作が可能となる。面発光体1はケーブル6を通じて面発光体制御ユニット7によって点灯等が制御される。面発光体制御ユニット7とモーター制御ユニット8はコントローラ9で一括制御される。
【0018】
また、図2に示すように、面発光体1は、面発光体制御ユニット7からの信号により点灯箇所が制御されるようになっている。
【0019】
上記の実施の形態1によれば、標本3の大きさに合わせて囲う円筒の径を大きくしたり、小さくすることができる。また、面発光体制御ユニット7により必要箇所のみ点灯することができるので、無駄な照明光を減らすことができ省エネルギーにも資する。点灯箇所を制御することによって、任意の方向に影を付けたり、影を消したりすることもできる。また、任意の方向に影を付けることで観察画像にメリハリを付けたり、影を消して細部まで観察することも可能である。
【0020】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2の観察装置について図4を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、上記の実施の形態1と同一の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0021】
図4に示すように、柔軟性を有する面発光体1は円筒状に配置される。面発光体1の外周部の2箇所は、上下駆動部10によって2本の支柱11とそれぞれ接続されてある。
図5に示すように、支柱11と上下駆動部10は、支柱11に形成されたラックアンドピニオンと上下駆動部10に備わるギアとによって接続され、上下駆動部10のギアが回転すると上下駆動部10を介して面発光体1が支柱11に沿って上下移動できる。このように、面発光体1を上昇又は下降させることで、円筒内のステージ4上に配置される標本3を様々な角度から照明できる。
【0022】
上記の実施の形態2によれば、例えば、面発光体1の高さを低くすることで、標本3の状態が目視で観察できたり、標本3の交換がし易くなったり、マニュピレータを挿入することもできる。また、様々な角度から照明することで偏射照明にもなる。
【0023】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3の観察装置について図6〜図8を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、上記の実施の形態1及び2と同一の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0024】
図6に示すように、上記の実施の形態2の面発光体1を上下方向に複数体(図6中では3体)配列する。
【0025】
図7及び図8に示すように、上下方向に配列された面発光体1a、1b、1cのそれぞれを個別に駆動制御することで、様々な角度、色、発光量にて標本3を照明することができる。この実施の形態3によれば、上記の実施の形態2の効果に加え、照明角度や色分けを多様とすることができる。
【0026】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4の観察装置について図9を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、上記の実施の形態1〜3と同一の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0027】
図9に示すように、実施の形態4の観察装置は、面発光体1をXY動作部からの支柱11で支える。XY動作部は、ステージ4上に水平に延びるスライドアーム12と、スライドアーム12を水平面内で駆動する駆動部13とからなる。
【0028】
面発光体1の巻取りを行うと、面発光体1からの発光の中心軸がずれる場合がある。この場合、スライドアーム12を動かすことで、面発光体1の水平方向の位置をずらして中心軸の補正を行う。スライドアーム12は、不図示のギアのかみ合わせによって駆動部13と接続されている。駆動部13の不図示のギアを回転させることによってスライドアーム12をステージ4上でXY方向(左右方向)に動かすことができる。また、駆動部13はステージ4の端に対しても不図示のギアのかみ合わせによって接続されているため、支柱11を前後方向にも動かすことができる。面発光体1だけが支柱11によって支えられているので標本3を移動する必要はない。また、XY動作部はステージ4に固定されているので、ステージ4の移動の影響を受けない。
【0029】
この実施の形態4によれば、面発光体1の巻取り時に発生した中心軸のズレを補正することができ、ムラのない照明を得ることができる。
【0030】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5について説明する。
実施の形態5の観察装置は、実施の形態1において、面発光体1を巻き取った際に発光の中心軸がずれた場合、面発光体1の発光量を制御するものである。
【0031】
この実施の形態5によれば、ズレに応じて面発光体1の発光量を制御することで、擬似的に観察している中心位置に発光の中心軸を持ってくることが可能となる。このため、面発光体1の巻き取り時に発生した中心軸のズレを補正することができ、ムラのない照明を得ることができる。
【0032】
(実施の形態6)
次に、実施の形態6について図10を参照しながら説明する。
実施の形態6の観察装置は、図10に示すように、シート状の面発光体1を略円錐状に配置したものである。
【0033】
この構成によれば、観察光学系2にダイレクトに光が入ることを防ぐことができる。また、こうすることで照明効率が良くなり、無駄な点灯箇所が減る。この形状でも、巻き取り駆動部5を持つことで照明範囲を狭めることができる。配置形状を円錐形にすることによって、そのままの形で遮光筒にも転用可能である。
【0034】
この実施の形態6によれば、照明効率が良くなることで省エネルギーにもなり、観察光学系2に光が入らないことで観察画像の質を向上することができる。また、遮光筒になることで外来の光を遮った観察ができる。
【0035】
(実施の形態7)
次に、実施の形態7について図11を参照しながら説明する。
実施の形態7の観察装置は、図11に示すように、上下方向に配列された面発光体1a、1b、1cが互いに干渉しないように円筒の径を変えて配置したものであり、上記の実施の形態4の変形例である。
【0036】
この構成によれば、それぞれの面発光体1a、1b、1cを上下に動かした際に、図7に示すように、面発光体1b、1cとの間に隙間を開けたい時は開口部分が広くなり、図8に示すように、観察光学系2を下げた時は、面発光体1a、1b、1cそれぞれを重ね合わせることで最適照明を得ることができる。
【0037】
この実施の形態7によれば、実施の形態4の効果に加えて、観察光学系2を標本3により接近させることができる。このため、焦点範囲が広がる。また、面発光体1a、1b、1c同士を収容するように重ねて配置することで、これら面発光体1a、1b、1cを省スペースに収納することができる。
【0038】
(変形例1)
次に、変形例1について図12〜図15を参照しながら説明する。この変形例1は、面発光体1を分割したものである。分割方法としては、図6と同じように水平な帯状の分割もできる。これ以外の構成としては、例えば下記のようなものが挙げられる。
【0039】
(1)図12に示すように、観察光学系2方向から面発光体1をぶらさげてもよい。この場合、円形でも複数枚の短冊状でもよい。そして、柔軟性を有する面発光体1の下をめくり上げることで中を確認したり、標本3を取り扱うことができる。
(2)図13に示すように、面発光体1をスパイラル状に配置してもよい。
(3)図14に示すように、面発光体1を細長い短冊状にして縦に置き、この面発光体1を複数枚略円筒状に配置し、横にスライドできるようにカーテンのように配置してもよい。
(4)図15に示すように、蛇腹の筒の内側に面発光体1を貼り付けてもよい。斜め上を向いている箇所に貼り付けても効率が悪いので、斜め下に向いている箇所だけに貼り付けてもよい。
【0040】
(変形例2)
次に、変形例2について説明する。
柔軟性のある面発光体1として、カラー表示が可能なものを用いる。こうすることで、照明光も白色だけではなく、様々な色及び模様が表示される。場所によって点灯色を変えるような構成としてもよい。この変形例2によれば、標本3によってはコントラストが強調され見やすくなる。
【0041】
(変形例3)
次に、変形例3について説明する。実施の形態1及び2において、面発光体1からの照明パターンをコントローラ9において記憶するように構成する。この変形例3によれば、コントローラ9の操作部によって観察照明が再現できる。
【0042】
(変形例4)
次に、変形例4について説明する。図16に示すように、実施の形態1及び2において、ステージ4部分の標本3下部にも面発光体1を設置する。この変形例4によれば、透過照明も落射照明も可能となる。
【0043】
(変形例5)
次に、変形例5について説明する。面発光体制御ユニット7とコントローラ9とに接続された面発光体1のシート1枚を、観察態様に合わせて筒状にしたりステージ4上に置くことができる。この変形例5によると、手動操作となるが簡単な構成で透過照明も落射照明も得ることができる。
【0044】
(変形例6)
次に、変形例6について説明する。実施の形態2の面発光体1の代わりに柔軟性がないLEDを敷き詰めることも可能である。
【0045】
(変形例7)
次に、変形例7について説明する。実施の形態1及び2で、面発光体1の径変更と上下方向の移動について別々に示したが、これら双方の特徴は組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態1の観察装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1の観察装置の部分上面図である。
【図3】巻き取り駆動部の一例を示す概念図である。
【図4】本発明の実施の形態2の観察装置の斜視図である。
【図5】上下動駆動部の一例を示す概念図である。
【図6】本発明の実施の形態3の観察装置の斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態3の観察装置の斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態3の観察装置の斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態4の観察装置の斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態6の観察装置の斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態7の観察装置の斜視図である。
【図12】本発明の変形例1の観察装置の斜視図である。
【図13】本発明の変形例1の観察装置の斜視図である。
【図14】本発明の変形例1の観察装置の斜視図である。
【図15】本発明の変形例1の観察装置の斜視図である。
【図16】本発明の変形例4の観察装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
1 面発光体
2 観察光学系
3 標本
4 ステージ
5 駆動部
6 ケーブル
7 面発光体制御ユニット
8 モーター制御ユニット
9 コントローラ
10 上下駆動部
11 支柱
12 スライドアーム
13 駆動部
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡などのマクロ観察を行う観察装置に関し、特に、観察用照明光源を備えた観察装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、顕微鏡などのマクロ観察を行う観察装置において、LED等の観察用照明光源を用いることが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。特許文献1には、複数個のLEDや光ファイバをドーム状に配置することで、ドーム内の試料を照明する装置が示されている。また、特許文献2には、円筒状又は円錐状のフレネルレンズの外側にLEDを配置することで、円筒又は円錐内の試料を照明する装置が示されており、照明効率が向上されている。こうした観察装置は、マクロ観察など製品の表面検査に好適な装置とされている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−84207号公報
【特許文献2】特開平11−242162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の従来の特許文献1等の観察装置では、点光源のLEDを多数敷き詰めて面光源に見立てている。このため、観察に必要な光量を確保するために膨大なLEDが必要である。また、上記の従来の特許文献1等の装置では、ドーム、円筒又は円錐は予め大きさが所定の大きさに構築されており、これらの内側に配置される試料の大きさはドーム等によって制限されてしまう。このため、上記の従来の観察装置は、試料の大きさに対する柔軟性がなく、試料の大きさが変わるとドームを構成しなおす必要があり、種々のサイズの試料の観察に即座に対応することは困難であった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、様々な大きさの試料の照明観察が可能な観察装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係る観察装置は、柔軟性を有する面発光素子と、前記面発光素子を点灯駆動させる点灯駆動手段と、試料を観察する光学系とを有する観察装置であって、前記面発光素子を、前記試料を囲うように配置したことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る観察装置は、上述した発明において、前記面発光素子を巻き取る巻き取り駆動手段をさらに有し、前記巻き取り駆動手段によって前記試料を囲う前記面発光素子の径を変更可能としたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る観察装置は、上述した発明において、前記面発光素子を上下動させる上下動駆動手段をさらに有し、前記上下動駆動手段によって前記面発光素子の配置高さを変更可能としたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る観察装置は、上述した発明において、上下方向に配置された2以上の前記面発光素子を備え、前記2以上の面発光素子は、前記上下動駆動手段によってそれぞれ独立して上下動可能に構成されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る観察装置は、上述した発明において、前記面発光素子の水平方向の配置位置を変更する水平移動駆動手段をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る観察装置は、上述した発明において、前記面発光素子からの発光色、発光部分又は模様を調整制御する面発光素子制御手段をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る観察装置は、上述した発明において、前記面発光素子が、有機EL素子であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、柔軟性を有する面発光素子と、前記面発光素子を点灯駆動させる点灯駆動手段と、試料を観察する光学系とを有する観察装置であって、前記面発光素子を、前記試料を囲うように配置したので、試料に対して面発光素子からの光を照射することができる。この場合、面発光素子は柔軟性を有するので、試料が大きい時は面発光素子の囲う範囲を大きくし、試料が小さい時は囲う範囲を狭くするように面発光素子の形状を変化させることによって、面発光素子からの照明光を試料に無駄なく照射することができる。このため、様々の大きさの試料の観察に容易に対応することができる。また、照明光の色及び模様を変えることで観察者が見たいものを強調して見ることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明に係る観察装置の好適な実施の形態(実施の形態1〜7及び変形例1〜7)を詳細に説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る観察装置の概略斜視図であり、図2は、部分上面図である。
【0016】
図1に示すように、実施の形態1の観察装置は、柔軟性を有する面発光素子としての面発光体1と、観察光学系2と、ステージ4と、巻き取り駆動手段としての駆動部5と、点灯駆動手段としての面発光体制御ユニット7と、ケーブル6とを備える。図2に示すように、面発光体1の発光面は内側である。面発光体1としては、例えば、基板に形成された電極で挟まれた有機材料が電気を通すことによって励起され発光する有機EL素子を用いることができる。この場合、プラスチックなどの基板からなるフレキシブルな有機ELシートを用いてもよい。
【0017】
駆動部5は、円筒状に配置されたシート状の面発光体1を巻き取り、面発光体1の重なり合う端部の長さを変えることで円筒の径を変え、円筒内のステージ4に配置される標本3(試料)を囲う範囲を自由に変えることができる。駆動部5の具体的な動作としては、モーター制御ユニット8からの信号に基づいて、公知のフィルムカメラにおけるフィルム巻き取り手段によって面発光体1を巻き取ることができる。この場合、例えば、図3に示すように、面発光体1の外周側又は上端に形成した凹凸部にギアをかみ合わせ、このギアを不図示のモーターの駆動力で回転させることにより面発光体1を巻き取るようにしてもよい。このようにすることで、面発光体1の円筒の径を変化させる動作が可能となる。面発光体1はケーブル6を通じて面発光体制御ユニット7によって点灯等が制御される。面発光体制御ユニット7とモーター制御ユニット8はコントローラ9で一括制御される。
【0018】
また、図2に示すように、面発光体1は、面発光体制御ユニット7からの信号により点灯箇所が制御されるようになっている。
【0019】
上記の実施の形態1によれば、標本3の大きさに合わせて囲う円筒の径を大きくしたり、小さくすることができる。また、面発光体制御ユニット7により必要箇所のみ点灯することができるので、無駄な照明光を減らすことができ省エネルギーにも資する。点灯箇所を制御することによって、任意の方向に影を付けたり、影を消したりすることもできる。また、任意の方向に影を付けることで観察画像にメリハリを付けたり、影を消して細部まで観察することも可能である。
【0020】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2の観察装置について図4を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、上記の実施の形態1と同一の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0021】
図4に示すように、柔軟性を有する面発光体1は円筒状に配置される。面発光体1の外周部の2箇所は、上下駆動部10によって2本の支柱11とそれぞれ接続されてある。
図5に示すように、支柱11と上下駆動部10は、支柱11に形成されたラックアンドピニオンと上下駆動部10に備わるギアとによって接続され、上下駆動部10のギアが回転すると上下駆動部10を介して面発光体1が支柱11に沿って上下移動できる。このように、面発光体1を上昇又は下降させることで、円筒内のステージ4上に配置される標本3を様々な角度から照明できる。
【0022】
上記の実施の形態2によれば、例えば、面発光体1の高さを低くすることで、標本3の状態が目視で観察できたり、標本3の交換がし易くなったり、マニュピレータを挿入することもできる。また、様々な角度から照明することで偏射照明にもなる。
【0023】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3の観察装置について図6〜図8を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、上記の実施の形態1及び2と同一の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0024】
図6に示すように、上記の実施の形態2の面発光体1を上下方向に複数体(図6中では3体)配列する。
【0025】
図7及び図8に示すように、上下方向に配列された面発光体1a、1b、1cのそれぞれを個別に駆動制御することで、様々な角度、色、発光量にて標本3を照明することができる。この実施の形態3によれば、上記の実施の形態2の効果に加え、照明角度や色分けを多様とすることができる。
【0026】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4の観察装置について図9を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、上記の実施の形態1〜3と同一の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0027】
図9に示すように、実施の形態4の観察装置は、面発光体1をXY動作部からの支柱11で支える。XY動作部は、ステージ4上に水平に延びるスライドアーム12と、スライドアーム12を水平面内で駆動する駆動部13とからなる。
【0028】
面発光体1の巻取りを行うと、面発光体1からの発光の中心軸がずれる場合がある。この場合、スライドアーム12を動かすことで、面発光体1の水平方向の位置をずらして中心軸の補正を行う。スライドアーム12は、不図示のギアのかみ合わせによって駆動部13と接続されている。駆動部13の不図示のギアを回転させることによってスライドアーム12をステージ4上でXY方向(左右方向)に動かすことができる。また、駆動部13はステージ4の端に対しても不図示のギアのかみ合わせによって接続されているため、支柱11を前後方向にも動かすことができる。面発光体1だけが支柱11によって支えられているので標本3を移動する必要はない。また、XY動作部はステージ4に固定されているので、ステージ4の移動の影響を受けない。
【0029】
この実施の形態4によれば、面発光体1の巻取り時に発生した中心軸のズレを補正することができ、ムラのない照明を得ることができる。
【0030】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5について説明する。
実施の形態5の観察装置は、実施の形態1において、面発光体1を巻き取った際に発光の中心軸がずれた場合、面発光体1の発光量を制御するものである。
【0031】
この実施の形態5によれば、ズレに応じて面発光体1の発光量を制御することで、擬似的に観察している中心位置に発光の中心軸を持ってくることが可能となる。このため、面発光体1の巻き取り時に発生した中心軸のズレを補正することができ、ムラのない照明を得ることができる。
【0032】
(実施の形態6)
次に、実施の形態6について図10を参照しながら説明する。
実施の形態6の観察装置は、図10に示すように、シート状の面発光体1を略円錐状に配置したものである。
【0033】
この構成によれば、観察光学系2にダイレクトに光が入ることを防ぐことができる。また、こうすることで照明効率が良くなり、無駄な点灯箇所が減る。この形状でも、巻き取り駆動部5を持つことで照明範囲を狭めることができる。配置形状を円錐形にすることによって、そのままの形で遮光筒にも転用可能である。
【0034】
この実施の形態6によれば、照明効率が良くなることで省エネルギーにもなり、観察光学系2に光が入らないことで観察画像の質を向上することができる。また、遮光筒になることで外来の光を遮った観察ができる。
【0035】
(実施の形態7)
次に、実施の形態7について図11を参照しながら説明する。
実施の形態7の観察装置は、図11に示すように、上下方向に配列された面発光体1a、1b、1cが互いに干渉しないように円筒の径を変えて配置したものであり、上記の実施の形態4の変形例である。
【0036】
この構成によれば、それぞれの面発光体1a、1b、1cを上下に動かした際に、図7に示すように、面発光体1b、1cとの間に隙間を開けたい時は開口部分が広くなり、図8に示すように、観察光学系2を下げた時は、面発光体1a、1b、1cそれぞれを重ね合わせることで最適照明を得ることができる。
【0037】
この実施の形態7によれば、実施の形態4の効果に加えて、観察光学系2を標本3により接近させることができる。このため、焦点範囲が広がる。また、面発光体1a、1b、1c同士を収容するように重ねて配置することで、これら面発光体1a、1b、1cを省スペースに収納することができる。
【0038】
(変形例1)
次に、変形例1について図12〜図15を参照しながら説明する。この変形例1は、面発光体1を分割したものである。分割方法としては、図6と同じように水平な帯状の分割もできる。これ以外の構成としては、例えば下記のようなものが挙げられる。
【0039】
(1)図12に示すように、観察光学系2方向から面発光体1をぶらさげてもよい。この場合、円形でも複数枚の短冊状でもよい。そして、柔軟性を有する面発光体1の下をめくり上げることで中を確認したり、標本3を取り扱うことができる。
(2)図13に示すように、面発光体1をスパイラル状に配置してもよい。
(3)図14に示すように、面発光体1を細長い短冊状にして縦に置き、この面発光体1を複数枚略円筒状に配置し、横にスライドできるようにカーテンのように配置してもよい。
(4)図15に示すように、蛇腹の筒の内側に面発光体1を貼り付けてもよい。斜め上を向いている箇所に貼り付けても効率が悪いので、斜め下に向いている箇所だけに貼り付けてもよい。
【0040】
(変形例2)
次に、変形例2について説明する。
柔軟性のある面発光体1として、カラー表示が可能なものを用いる。こうすることで、照明光も白色だけではなく、様々な色及び模様が表示される。場所によって点灯色を変えるような構成としてもよい。この変形例2によれば、標本3によってはコントラストが強調され見やすくなる。
【0041】
(変形例3)
次に、変形例3について説明する。実施の形態1及び2において、面発光体1からの照明パターンをコントローラ9において記憶するように構成する。この変形例3によれば、コントローラ9の操作部によって観察照明が再現できる。
【0042】
(変形例4)
次に、変形例4について説明する。図16に示すように、実施の形態1及び2において、ステージ4部分の標本3下部にも面発光体1を設置する。この変形例4によれば、透過照明も落射照明も可能となる。
【0043】
(変形例5)
次に、変形例5について説明する。面発光体制御ユニット7とコントローラ9とに接続された面発光体1のシート1枚を、観察態様に合わせて筒状にしたりステージ4上に置くことができる。この変形例5によると、手動操作となるが簡単な構成で透過照明も落射照明も得ることができる。
【0044】
(変形例6)
次に、変形例6について説明する。実施の形態2の面発光体1の代わりに柔軟性がないLEDを敷き詰めることも可能である。
【0045】
(変形例7)
次に、変形例7について説明する。実施の形態1及び2で、面発光体1の径変更と上下方向の移動について別々に示したが、これら双方の特徴は組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態1の観察装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1の観察装置の部分上面図である。
【図3】巻き取り駆動部の一例を示す概念図である。
【図4】本発明の実施の形態2の観察装置の斜視図である。
【図5】上下動駆動部の一例を示す概念図である。
【図6】本発明の実施の形態3の観察装置の斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態3の観察装置の斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態3の観察装置の斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態4の観察装置の斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態6の観察装置の斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態7の観察装置の斜視図である。
【図12】本発明の変形例1の観察装置の斜視図である。
【図13】本発明の変形例1の観察装置の斜視図である。
【図14】本発明の変形例1の観察装置の斜視図である。
【図15】本発明の変形例1の観察装置の斜視図である。
【図16】本発明の変形例4の観察装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
1 面発光体
2 観察光学系
3 標本
4 ステージ
5 駆動部
6 ケーブル
7 面発光体制御ユニット
8 モーター制御ユニット
9 コントローラ
10 上下駆動部
11 支柱
12 スライドアーム
13 駆動部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性を有する面発光素子と、
前記面発光素子を点灯駆動させる点灯駆動手段と、
試料を観察する光学系とを有する観察装置であって、
前記面発光素子を、前記試料を囲うように配置したことを特徴とする観察装置。
【請求項2】
前記面発光素子を巻き取る巻き取り駆動手段をさらに有し、前記巻き取り駆動手段によって前記試料を囲う前記面発光素子の径を変更可能としたことを特徴とする請求項1に記載の観察装置。
【請求項3】
前記面発光素子を上下動させる上下動駆動手段をさらに有し、前記上下動駆動手段によって前記面発光素子の配置高さを変更可能としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の観察装置。
【請求項4】
上下方向に配置された2以上の前記面発光素子を備え、前記2以上の面発光素子は、前記上下動駆動手段によってそれぞれ独立して上下動可能に構成されることを特徴とする請求項3に記載の観察装置。
【請求項5】
前記面発光素子の水平方向の配置位置を変更する水平移動駆動手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の観察装置。
【請求項6】
前記面発光素子からの発光色、発光部分又は模様を調整制御する面発光素子制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の観察装置。
【請求項7】
前記面発光素子が、有機EL素子であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の観察装置。
【請求項1】
柔軟性を有する面発光素子と、
前記面発光素子を点灯駆動させる点灯駆動手段と、
試料を観察する光学系とを有する観察装置であって、
前記面発光素子を、前記試料を囲うように配置したことを特徴とする観察装置。
【請求項2】
前記面発光素子を巻き取る巻き取り駆動手段をさらに有し、前記巻き取り駆動手段によって前記試料を囲う前記面発光素子の径を変更可能としたことを特徴とする請求項1に記載の観察装置。
【請求項3】
前記面発光素子を上下動させる上下動駆動手段をさらに有し、前記上下動駆動手段によって前記面発光素子の配置高さを変更可能としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の観察装置。
【請求項4】
上下方向に配置された2以上の前記面発光素子を備え、前記2以上の面発光素子は、前記上下動駆動手段によってそれぞれ独立して上下動可能に構成されることを特徴とする請求項3に記載の観察装置。
【請求項5】
前記面発光素子の水平方向の配置位置を変更する水平移動駆動手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の観察装置。
【請求項6】
前記面発光素子からの発光色、発光部分又は模様を調整制御する面発光素子制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の観察装置。
【請求項7】
前記面発光素子が、有機EL素子であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の観察装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−39223(P2010−39223A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202374(P2008−202374)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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