説明

角膜バンデージでの使用に適したコポリマー

角膜細胞に対する親和性を有するポリマーであって、角膜細胞成長の基質として使用することができ、それ故、角膜バンデージで、特に、少なくとも角膜に接する表面が上記ポリマーで構成されるコンタクトレンズの形態で使用するのに適するポリマーが開示される。角膜細胞に対する親和性のある基質は、ユニット−(A)−およびユニット−(B)−を含むコポリマーであり、ユニットAは、アミノアルキル(アルキル)アクリレートから誘導され、ユニットBは、アリールオキシ、アルコキシまたはヒドロキシアルキル(アルキル)アクリレート、および(アルキル)アクリル酸から誘導される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角膜バンデージ、および角膜細胞に対する親和性を有し、それ故角膜バンデージでの使用に適したアクリレートコポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
Pellegrini他によるLancet第349巻、9057号、1997年4月5日、990〜993頁における論文「Long−term restoration of damaged corneal surfaces with autologous cultivated corneal epithelium」は、ソフトコンタクトレンズ上に乗せた培養上皮細胞のシートを使用する、損傷した角膜表面の治療について開示している。
【0003】
「Tissue Engineering」、第11巻、11/12号、2005年、1710〜1717頁中の、Xiaojie Hu他による「Tissue Engineering of Nearly Transparent Stroma」と題する論文は、ポリグリコール酸繊維を角膜細胞を支持する足場(scaffold)として使用することを開示している。細胞の足場となる構造物は、損傷した角膜に埋め込まれて、角膜表面の修復および再成長を促進することができた。
【0004】
国際公開第2006/016163号(Asahi)は、(ジアルキルアミノ)アクリレートモノマー、アルコキシアクリレートモノマー、および他の非イオン性モノマーから誘導された特定ポリアクリレートターポリマーが、血液から白血球を除去するための繊維フィルターパッドを調製するために有用であることを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一つの目的は、角膜細胞に結合する性質を有し、それ故、角膜バンデージに使用するための基質材料として適切なコポリマーを提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、角膜治療のため角膜細胞を供給する媒体(vehicle)として使用される角膜バンデージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、角膜細胞に対する親和性を有するポリマーであって、角膜細胞の成長のための基質(substrate)として使用することができ、それ故角膜バンデージにおいて、特に、少なくとも角膜に接する表面が当該ポリマーで構成されるコンタクトレンズの形態で使用するのに適するようなポリマーを提供する。
【0008】
角膜細胞に対する親和性を有する基質は、ユニット−(A)−およびユニット−(B)−を含むコポリマーであって、上記ユニットAが、アミノアルキル(アルキル)アクリレート類から誘導され、ユニットBが、アリールオキシ、アルコキシもしくはヒドロキシアルキル(アルキル)アクリレート類、および(アルキル)アクリル酸類から誘導される、コポリマーである。
【0009】
一態様において、本発明は、1種以上のバンデージ構成成分を含み、かつ少なくとも表面が、上で定義したユニットAおよびユニットBを有する活性コポリマーを含む角膜バンデージを提供する。
【0010】
一形態において、角膜バンデージは、活性コポリマーから形成された、または活性コポリマーでグラフトもしくはコートされた繊維またはフィルムを含み得る。別の形態において、角膜バンデージは、別のポリマーの構造、例えば、活性ポリマーでグラフトまたはコートされた繊維またはコンタクトレンズ形状を含んでもよい。
【0011】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも表面層がユニット−(A)−およびユニット−(B)−を含むコポリマーであるコンタクトレンズを提供して、角膜細胞に対する親和性を有する表面を提供すること、並びに、コンタクトレンズのコートされた上記表面上で角膜細胞を成長させて、角膜治療に適した角膜細胞集団を得ることを含む、角膜治療のための角膜バンデージを調製する方法を提供する。
【0012】
他の態様において、本発明は、少なくとも表面がユニット−(A)−およびユニット−(B)−を含むコポリマーであるコンタクトレンズを提供して、角膜細胞に対する親和性を有する表面を提供すること、コンタクトレンズのコートされた上記表面上で角膜細胞を成長させて、角膜治療に適した角膜細胞集団を得ること、および角膜に角膜バンデージとしてコンタクトレンズを適用することを含む、角膜治療の方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、角膜細胞成長のための基質としての、角膜細胞に対する親和性を有するポリマーを含む角膜バンデージに関する。
【0014】
角膜治療に適切な細胞は角膜上皮細胞、結膜扁平上皮細胞および結膜杯細胞から選択され得る。
【0015】
角膜バンデージは、少なくとも角膜接触表面に角膜細胞に対する親和性を有するポリマー層を有する、コンタクトレンズ、またはコンタクトレンズ形状を有するポリマー構造物であることが好ましい。
【0016】
角膜細胞に対する親和性を有する基質として使用されるコポリマーは、ユニット−(A)−およびユニット−(B)−を含み、
ユニットAは、アミノアルキル(アルキル)アクリレートから誘導され;
ユニットBは、アリールオキシ、アルコキシもしくはヒドロキシアルキル(アルキル)アクリレート、および(アルキル)アクリル酸から誘導される。
【0017】
従って、ユニットAは、一般式(D)を有していてよく、
【0018】
【化1】

【0019】
ここで、R4、R6、R7は独立に、水素、低級アルキル基、フェニル基または置換フェニル基であり;
5は、CH2−CH2、CHR−CH2、CH2−CHRa、CHRa−CH2、CHRa−CHRb、CHRa−CRbc、CRab−CHRc、CRab−CRcd、(CH2eであり、ただしe=2〜6、およびRa、Rb、Rc、Rdは低級アルキル基であり、およびRa、Rb、RcおよびRdは同一であっても異なっていてもよい;ならびに、
ユニットBは一般式(E)を有していてよく、
【0020】
【化2】

【0021】
ここで、R1は、H、低級アルキル基、フェニル基または置換フェニル基であり;
2は、CH2−CH2、CH2−CHRa、CHRa−CH2、CHRa−CHRb、CHRa−CRbc、CRab−CHRc、CRab−CRcd、(CH2eであり、ただしe=2〜6、およびRa、Rb、Rc、Rdは低級アルキル基であり、Ra、Rb、RcおよびRdは同一であっても異なっていてもよく;
sは、0または1であり;sが0であるとき、R3は水素であり、sが1であるとき、R3は、水素または低級アルキル基、フェニル基もしくは置換フェニル基である。
【0022】
コポリマーは、以下の一般構造:
−(A)p−(B)q
を有することが好ましく、ここで、p+q=100であり、0<pであり、q<100であり、典型的には10<pであり、q<90である。
【0023】
コポリマーの或る好適な群において、ユニットBにおけるsは1であり、R3は水素である。
【0024】
コポリマーの別の好適な群において、ユニットBにおけるsは1であり、R3は低級アルキル基である。
【0025】
コポリマーのさらに別の好適な群において、ユニットBにおけるsは0であり、R3は水素である。
【0026】
特に断らない限り、本明細書において「アルキル」基と称するものは低級アルキル基(即ち、炭素数が1〜6)を意味し、分岐状でも直鎖状でもよい。「置換フェニル」という基は、典型的には、1つ以上の低級アルキル基により置換されていても、置換されていなくてもよいフェニル基を指す。
【0027】
コポリマーは、典型的には、以下の一般構造:
−(A)p−(B)q
を有し、ここで、p+q=100であり、ユニットAおよびユニットBのランダム配列であることが好ましい。例えば、使用され得るp:q比は、90:10、10:90、70:30、30:70および50:50である。p:q比が10〜70:90〜30の範囲であると特に効果的であることが見出されている。
【0028】
ユニットAのための上記モノマー類のなかで、適切なアミノアルキル(アルキル)アクリレートとしては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類、特に2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、3−(ジエチルアミノ)プロピルメタクリレート、3−(ジエチルアミノ)プロピルアクリレート、3−(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレートおよび3−(ジメチルアミノ)プロピルアクリレートが挙げられる。
【0029】
ユニットAのための上記モノマー類のなかで、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、および2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレートが、入手可能性、重合における取り扱いの容易さ、および基質の性能の観点から好ましく利用される。
【0030】
ユニットBが誘導され得る適切なモノマー類としては、アリールオキシまたはアルコキシ(アルキル)アクリレート類、特にアルコキシ(メタ)アクリレートおよびアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0031】
適切なアリール/アルコキシ(メタ)アクリレート類としては、2−メトキシエチルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、および2−フェノキシエチルアクリレートが挙げられる。
【0032】
上記モノマー類のなかで、2−メトキシエチルメタクリレートが、入手可能性、重合における取り扱いの容易さ、および基質の性能の観点から好ましく利用される。
【0033】
ユニットBが誘導され得る他の適切なモノマーとしては、ヒドロキシアルキル(アルキル)アクリレート類、特にヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられる。
【0034】
入手可能性、重合における取り扱いの容易さ、および基質の性能の観点から好ましいヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類としては、ヒドロキシルエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ヒドロキシルブチルメタクリレート(HBMA)、ヒドロキシルエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシルプロピルアクリレート(HPA)、およびヒドロキシルブチルアクリレート(HBA)が挙げられる。
【0035】
ユニットBが誘導され得るさらなる適切なモノマー類としては、(アルキル)アクリル酸、特にメタクリル酸およびアクリル酸が挙げられる。入手可能性、重合における取り扱いの容易さ、および基質の性能の観点から、メタクリル酸を利用することが好ましい。
【0036】
適切なコポリマーの好ましい群において、ユニットAは2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)から誘導され、およびユニットBはメタクリル酸(MAA)から誘導される。
【0037】
適切なコポリマーの別の好ましい群において、ユニットAは2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレートまたは2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DEAEMAまたはDMAEMA)から誘導され、ユニットBはヒドロキシル(エチルまたはプロピル)メタクリレート(HEMAまたはHPMA)から誘導される。
【0038】
適切なコポリマーのさらなる好ましい群において、ユニットAは2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート(DEAEA)から誘導され、ユニットBは2−メトキシエチルメタクリレート(MEMA)から誘導される。
【0039】
本発明で好ましく使用されるユニットAおよびBを含むコポリマーは、ポリアクリレートの調製に従来から使用されている、通常ランダムコポリマーを生じるフリーラジカル共重合技法を使用して調製することができる。
【0040】
角膜細胞への結合におけるコポリマーの効率は、結合アッセイにより検出または確認することができる。
【0041】
角膜バンデージで使用するために、上記のコンタクトレンズ構造に加えて、コポリマーを、バンデージとして使用するためのフィルムに成形してもよい。あるいは、コポリマーを、繊維に成形して、または繊維状支持体上にコートして、バンデージとして使用するためのパッドを形成してもよい。
【実施例】
【0042】
1.ポリマーの調製
AIBN、モノマーおよび溶媒の混合物を、窒素で2時間パージして酸素を除去した。重合は、窒素下に1夜放置して行った。反応後、生成物を非極性溶媒の滴下による添加により沈殿させ、固体を生じさせた。ポリマーを、再溶解および再沈殿させ、捕集して、真空下に40℃で4時間乾燥させた。ポリマーを、GPC、DCSおよび他の技法により特徴づけた。
【0043】
この手順を使用して、表1に記載したコポリマーが調製された。
【0044】
【表1】

【0045】
2.角膜細胞に結合するための親和性
ポリマーを、テトラヒドロフラン(THF)中に2%w/vで溶解させた。これらの溶液を、P6708 Spincoater(Speedline Technologies、US)を使用して、直径22mmのガラスのスライドカバー上にスピンコートした。コーティングに続いて、スライドカバーを45℃で1夜真空下で乾燥させ、UV照射に15分間曝すことにより滅菌した。スライドカバーは、下記プロトコルによる細胞培養の前に滅菌した。
【0046】
1.直径22mmのスライドカバーの片面を、実施例1、4、5および6のコポリマーのコーティング剤でコートした。各タイプのポリマーの対して12枚のスライドカバーを準備した。
【0047】
2.スライドカバー(各6サンプル)を12ウェルのプレートに入れて、ウェルを、抗生物質(10%ペニシリン/ストレプトマイシンおよびファンギゾン)と一緒に、ヒト角膜上皮細胞ライン(HCEC)培地「EpiLife」で満たし、滅菌するために室温で24時間放置した。次に、培地を除去して、スライドカバーをPBSで1回洗浄し、ウェルを抗生物質(1%ペニシリン/ストレプトマイシンおよびファンギゾン)を添加した1mlのEpiLifeで満たした。
【0048】
各ウェル中の最終容積が2mlになるように、角膜上皮細胞をウェル中に播いた(120000細胞/ウェル)。プレートをインキュベータ中に37℃で24時間置いた。
【0049】
対照は、12ウェルプレートの、フィブロネクチン(HCECを成長させるためにフラスコをコートするのに一般的に使用される)でコートした3ウェル中と、および組織培養プラスチックがコートされていない他の3ウェル中とに、細胞を播くことにより準備した。
【0050】
12時間後に、培地を除去してスライドカバーをPBSで3回洗浄した。
【0051】
細胞を1mlの4%ホルムアルデヒドを加えて10分間室温で放置することにより固定した。次に、ホルムアルデヒドを除去して、スライドカバーをPBSで3回洗浄した。細胞を約550μlのDAPI(1:250)/ウェルで染色して10分間放置した。DAPIを除去してポリマーをPBSで3回洗浄した。
【0052】
3.分析:
蛍光顕微鏡を使用して細胞を計数し、データを分析した。画像が得られた場合は、IMSTARソフトウェアを使用して角膜細胞を計数した。
【0053】
1枚のスライドカバーの9区域を、IMSTAR(IMSTAR.S.A.)のパスファインダ(自動画像キャプチャ)を使用してスキャンし、High Content Screening(HCS)プラットホームを使用して分析を実施し、細胞数および表面被覆率を算定して、次に被覆率のパーセンテージを評価した。
【0054】
【表2】

【0055】
スライドカバーの1区画(single square)当たりの核数:9区画の平均(細胞数)である。
平均核面積は細胞面積に等しくない。細胞面積は不明である。
[I.S.U]:積分系単位。この特別の場合には、1I.S.U=5.85μm2である。
標準偏差(核被覆率(%))
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に有用と示されたコポリマーは、角膜バンデージ構造中に組み込まれて、角膜細胞に対する親和性を有する基質を提供することができる。それにより、バンデージは、Pellegrini他によるLancet中の、およびXiaojie Hu他による「Tissue Engineering」中の上記の論文に記載されたような、角膜治療で使用するために、バンデージに適用された細胞の貯蔵所(reservoir)を維持することができる。治療に十分な細胞集団を確保するために、バンデージの使用前に、基質上で角膜細胞を増殖させることが好ましい。
【0057】
Xiaojie Hu他により記載されたように、活性コポリマーを、繊維に成形して、角膜細胞を支持する足場に二次加工してもよい。あるいは、別のポリマーの繊維上に上述の活性ポリマーをコートすることにより、適切な足場を作成してもよい。
【0058】
別の代替アプローチでは、活性コポリマーを、角膜バンデージとして使用するために、フィルムまたはレンズ形状に成形してもよい。
【0059】
活性コポリマーは、例えば、コンタクトレンズに適したポリマー(例えば、適切な透明性および酸素透過性を有する)から作製された予め形成されたコンタクトレンズ構造の上に、グラフト重合によりまたはコートすることにより、層として提供されることがより好ましい。層は連続的であっても不連続的であってもよい。例えば、バンデージは、活性ポリマーの溶液中にレンズ構造をディップコートすることにより、または、活性ポリマーのインクジェット散布を利用して、調製してもよい。上記コーティングを、適切な細胞集団をレンズ上に保持する基質として使用したソフトレンズ上でまたはその存在下で、細胞は成長する。次にこれを患者の目に入れると、細胞がソフトレンズから損傷した角膜上へ移動する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
角膜細胞に対する親和性を有する基質としての、ユニット−(A)−およびユニット−(B)−を含むコポリマーの使用であって、
前記ユニットAが、アミノアルキル(アルキル)アクリレートから誘導され;
前記ユニットBが、アリールオキシ、アルコキシもしくはヒドロキシアルキル(アルキル)アクリレート、および(アルキル)アクリル酸ポリマーから誘導される、
ユニット−(A)−およびユニット−(B)−を含むコポリマーの使用。
【請求項2】
角膜バンデージの調製における、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記コポリマーが、一般式(D)を有するユニットAを含む、請求項1または2に記載の使用:
【化1】

ここで、R4、R6、R7は独立に、水素、低級アルキル基、フェニル基または置換されたフェニル基であり;
5はCH2−CH2、CHR−CH2、CH2−CHRa、CHRa−CH2、CHRa−CHRb、CHRa−CRbc、CRab−CHRc、CRab−CRcd、(CH2eであり、ただしe=2〜6であり、Ra、Rb、Rc、Rdは低級アルキル基であり、Ra、Rb、RcおよびRdは同一であっても異なっていてもよい。
【請求項4】
前記コポリマーが、一般式(E)を有するユニットBを含む、請求項1、2または3に記載の使用:
【化2】

ここで、R1はH、低級アルキル基、フェニル基または置換されたフェニル基であり;
2はCH2−CH2、CH2−CHRa、CHRa−CH2、CHRa−CHRb、CHRa−CRbc、CRab−CHRc、CRab−CRcd、(CH2eであり、ただし、e=2〜6であり、Ra、Rb、Rc、Rdは低級アルキル基であり、Ra、Rb、RcおよびRdは同一であっても異なっていてもよく;
sは0または1であり;
sが0であるとき、R3は水素であり;
sが1であるとき、R3は水素または低級アルキル基、フェニル基もしくは置換されたフェニル基である。
【請求項5】
前記コポリマーが、下記構造を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用:
−(A)p−(B)q
ここで、p+q=100であり、0<pであり、q<100である。
【請求項6】
p:qの比が10〜70:90〜30の範囲内にある、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記ユニットBにおいて、sが1であり、R3が水素である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
前記ユニットBにおいて、sが1であり、R3が低級アルキル基である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
前記ユニットBにおいて、sが0であり、R3が水素である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
前記コポリマーのユニットAが、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート(DEAEMA)、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート(DEAEA)、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)、もしくは2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート(DMAEA)、またはこれらの混合物から誘導される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
前記コポリマーのユニットBが、ヒドロキシルエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ヒドロキシルブチルメタクリレート(HBMA)、ヒドロキシルエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシルプロピルアクリレート(HPA)、ヒドロキシルブチルアクリレート(HBA)、もしくはメタクリル酸(MAA)、またはこれらの混合物から誘導される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
前記コポリマーのユニットAが、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)から誘導され、ユニットBが、メタクリル酸(MAA)から誘導される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
前記コポリマーのユニットAが、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレートまたは2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DEAEMAまたはDMAEMA)から誘導され、Bがヒドロキシル(エチルまたはプロピル)メタクリレート(HEMAまたはHPMA)から誘導される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
前記コポリマーのAが、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート(DEAEA)から誘導され、およびBが2−メトキシエチルメタクリレート(MEMA)から誘導される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
少なくとも表面が、ユニット−(A)−およびユニット−(B)−を含むコポリマーを含むポリマー材料を含む角膜バンデージであって、
前記ユニットAが、アミノアルキル(アルキル)アクリレートから誘導され、
前記ユニットBが、アリールオキシ、アルコキシもしくはヒドロキシアルキル(アルキル)アクリレート、および(アルキル)アクリル酸から誘導される、
角膜バンデージ。
【請求項16】
前記コポリマーから形成された、または前記コポリマーでコートされた繊維を含む、請求項15に記載の角膜バンデージ。
【請求項17】
前記コポリマーの表面層を有するポリマーコンタクトレンズを含む、請求項15に記載の角膜バンデージ。
【請求項18】
少なくとも表面層がユニット−(A)−およびユニット−(B)−を含むコポリマーであるバンデージ支持体を含む角膜バンデージであって、
前記ユニットAは、アミノアルキル(アルキル)アクリレートから誘導され、
前記ユニットBは、アリールオキシ、アルコキシもしくはヒドロキシアルキル(アルキル)アクリレートまたは(アルキル)アクリル酸から誘導され、
角膜細胞に対する親和性を有する表面を提供する角膜バンデージ。
【請求項19】
前記バンデージ支持体が繊維状支持体である、請求項18に記載の角膜バンデージ。
【請求項20】
前記バンデージ支持体がコンタクトレンズである、請求項18に記載の角膜バンデージ。
【請求項21】
前記支持体が、前記コポリマーでコートされた、または前記コポリマーを刷り込まれた、請求項18に記載の角膜バンデージ。
【請求項22】
角膜治療のための角膜バンデージを調製する方法であって、
少なくとも表面層が、ユニット−(A)−およびユニット−(B)−を含むコポリマーであるコンタクトレンズを提供して、角膜細胞に対する親和性を有する表面を提供することと、
ここで、前記ユニットAは、アミノアルキル(アルキル)アクリレートから誘導され、前記ユニットBは、アリールオキシ、アルコキシもしくはヒドロキシアルキル(アルキル)アクリレートまたは(アルキル)アクリル酸から誘導される;
前記コンタクトレンズのコートされた前記表面上で前記角膜細胞を成長させて、角膜治療に適した角膜細胞集団を得ることと、
を含む方法。
【請求項23】
予め形成されたコンタクトレンズを提供することと、該コンタクトレンズ上にコポリマー層を形成させること、とを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記コンタクトレンズが、前記コポリマーでコートされた、または前記コポリマーを刷り込まれた、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記角膜細胞が、角膜上皮細胞、結膜扁平上皮細胞および結膜杯細胞から選択される、請求項22、23または24に記載の方法。
【請求項26】
角膜治療の方法であって、
少なくとも表面が、ユニット−(A)−およびユニット−(B)−を含むコポリマーであるコンタクトレンズを提供して、角膜細胞に対する親和性を有する表面を提供することと、
ここで、前記ユニットAは、アミノアルキル(アルキル)アクリレートから誘導され、前記ユニットBは、アリールオキシ、アルコキシもしくはヒドロキシアルキル(アルキル)アクリレートまたは(アルキル)アクリル酸から誘導される;
前記コンタクトレンズのコートされた前記表面上で前記角膜細胞を成長させて、角膜治療に適した角膜細胞集団を得ることと、
前記コンタクトレンズを角膜に角膜バンデージとして適用することと、
を含む方法。
【請求項27】
予め形成されたコンタクトレンズを提供することと、該コンタクトレンズ上にコポリマー層を形成させること、とを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記コンタクトレンズが、前記コポリマーでコートされた、または前記コポリマーを刷り込まれた、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記角膜細胞が、角膜上皮細胞、結膜扁平上皮細胞および結膜杯細胞から選択される、請求項26、27または28のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−506644(P2010−506644A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532900(P2009−532900)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【国際出願番号】PCT/GB2007/050633
【国際公開番号】WO2008/047160
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(500125788)ユニバーシティ、オブ、サウサンプトン (12)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF SOUTHAMPTON
【出願人】(500219618)ザ・ユニバーシティ・コート・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・エディンバラ (21)
【氏名又は名称原語表記】The University Court of the University of Edinburgh
【Fターム(参考)】