説明

触媒、酸化触媒、還元触媒及び排気ガス浄化触媒

【課題】触媒成分として白金(Pt)を含有することなく、排気ガス成分である一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)を酸化し、さらに窒素酸化物(NOx)を効率良く還元することができる排気ガス浄化用触媒を提供する。
【解決手段】触媒を、炭素原子と、鉄原子と、セリウム原子と、を含有する組成物を加熱して得る。この触媒によれば、触媒成分として白金(Pt)を含有することなく、排気ガス成分である一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)を酸化し、さらに窒素酸化物(NOx)を効率良く還元することができ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒、酸化触媒、還元触媒及び排ガス浄化用触媒に関する。さらに詳しくは、排気ガス浄化活性及び高温耐久性にきわめて優れ、触媒成分として白金(Pt)を含有しない触媒、酸化触媒、還元触媒及び排気ガス浄化用触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関から排出される排気ガスを浄化するために、主に白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)等の触媒成分が担体上に担持された三元触媒が使用されている。また、アンモニア、硫化水素(HS)、ホルムアルデヒド等の悪臭有害物質やベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン等の揮発性有機化合物(VOCs)、環境負荷物質を酸化あるいは還元するために白金(Pt)を触媒成分とする白金触媒が使用されている(特許文献1〜4参照)。
【0003】
しかしながら、上記触媒成分の中でも、特に白金(Pt)は、非常に高価であり、その埋蔵量も少なくかつ地球上に偏在しているため、将来長期に亘って安定的な供給がなされない可能性がある。そのため、白金(Pt)に代わる安価で長期的に安定供給が可能な触媒成分を含有する排気ガス浄化用触媒が求められている。
【0004】
たとえば、特許文献1には、金属M元素(Fe)と金属X元素(Ce、Zr、Al、Ti、Mg)を含み、還元雰囲気でMとXの複合酸化物を形成することで酸素を放出し、酸化雰囲気で該複合酸化物が酸化されM酸化物とX酸化物を形成することで酸素を吸蔵するOSC能を備えたことを特徴とする金属複合体を触媒成分とする排気ガス浄化用触媒が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、セリア(Ce)−ジルコニア(ZrO)複合酸化物、及び上記セリア(Ce)−ジルコニア(ZrO)複合酸化物中に分散して少なくとも部分的に固溶している酸化鉄を含む複合酸化物を触媒成分とする、排気ガス浄化用触媒が開示されている。さらに、特許文献3には、アンモニア、硫化水素、ホルムアルデヒド、トルエン等の複合有害臭気物質を効果的に吸着消臭することができる吸着消臭材用触媒として、微粉状の金属酸化物、金属フタロシアニン、酸化チタン、白金、金、又は酸化銅を触媒成分とする触媒が開示されている。特許文献4には、ガス状または蒸気状の炭化水素(VOCs)を酸化し、かつ窒素酸化物(NOx)を選択還元する触媒として、担体上に多段結晶化工程により、希土類元素と重金属のコバルト又はマンガンとの触媒活性物質の結晶層を形成した触媒成分が開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1〜4に開示された排気ガス浄化用触媒は、触媒活性化温度が高温となっており、しかも排気ガスに含まれる各ガス成分の浄化活性(触媒作用効率)の点で満足できるものではなかった。
【0007】
なお、本件特許出願人は、先行技術として以下の特許文献を提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−160433号公報
【特許文献2】特開2008−18322号公報
【特許文献3】特開2003−70887号公報
【特許文献4】特開2008−86987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の課題は、触媒成分として白金(Pt)を含有することなく、排気ガス成分である一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)を酸化し、さらに窒素酸化物(NOx)を効率良く還元することができる排気ガス浄化用触媒を提供することある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する手段として、鉄とセリウム系触媒の活性向上について鋭意検討した結果、鉄化合物とセリウム化合物に炭素を加え加熱することで、酸化触媒機能、還元触媒機能を有し、排気ガス浄化触媒としても活性の高い触媒を得られることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、具体的に以下の技術的手段から構成される。
(1)炭素原子(炭素材料)と、鉄原子(鉄化合物)と、セリウム原子(セリウム化合物)と、を含有する組成物からなることを特徴とする触媒。
(2)前記組成物中の炭素原子、鉄原子、及び原子の質量分率がそれぞれ、1.0〜70.0%、5.0〜65.0%、及び5.0〜90.0%であることを特徴とする(1)記載の触媒。
(3)前記組成物が、窒素、アルゴン、ヘリウム、水素、水蒸気、炭酸ガス、アンモニア、空気から選ばれるガス雰囲気下において100℃〜800℃で加熱処理されたものであることを特徴とする(1)または(2)記載の触媒。
(4)前記触媒が、排気ガス浄化用触媒であることを特徴とする(1)ないし(3)いずれか記載の触媒。(5)炭素原子、鉄原子、及びセリウム原子の構成質量分率がそれぞれ、1.0〜70.0%、5.0〜65.0%、及び5.0〜90.0%であることを特徴とする酸化触媒。
(6)200℃以上、800℃以下の温度で、悪臭有害物質、揮発性有機化合物、環境負荷物質、及び化学薬品の酸化反応を促進できることを特徴とする(5)の酸化触媒。
(7)炭素原子、鉄原子、及びセリウム原子の構成質量分率がそれぞれ、1.0〜70.0%、5.0〜65。0%、及び5.0〜90.0%であることを特徴とする酸化触媒。
(8)200℃以上、800℃以下の温度で、悪臭有害物質、揮発性有機化合物、環境負荷物質、及び化学薬品の還元反応を促進できることを特徴とする(7)の還元触媒。
【0011】
本発明の触媒は、炭素材料、鉄化合物及びセリウム化合物を含有する組成物からなるものである。この触媒は、100℃〜800℃で加熱処理を行うことが、活性をより向上させるために好ましい。また、本発明の触媒は、炭素原子、鉄原子、及びセリウム原子を含有する酸化還元触媒である。本発明の触媒は、前記構成からなるため、CO、HCを酸化し、NOxを還元する排気ガスを浄化することが可能でその浄化開始温度が低くかつ浄化効率が高い。
【0012】
本発明の触媒は、前記構成からなるため、CO、HCを酸化し、NOxを還元する排気ガスを浄化することが可能でその浄化開始温度が低くかつ浄化効率が高く、しかも、アンモニア、硫化水素(HS)、ホルムアルデヒド等の有害物質、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン等の揮発性有機化合物(VOCs)、環境負荷物質の酸化または還元による無害化、あるいは酸、アルコール等の化学薬品の製造に使用でき、酸化触媒、還元触媒、排ガス浄化触媒等として機能する。
【0013】
本発明の触媒の触媒活性が高くなる理由は定かではないが、酸化還元反応に伴う電子の授受により、鉄原子は原子価を2価(FeO)と3価(Fe)に、セリウム原子は原子価を3価(Ce)と4価(CeO)に変化させることができるので、酸化雰囲気では高原子価となり、還元雰囲気下では低原子価となることにより酸素を吸脱着し酸化還元反応を促進していると考えられる。そこに鉄及びセリウムよりも触媒活性の低い炭素を添加すると、その3成分触媒は、鉄及びセリウムからなる触媒より活性が高くなることから、炭素原子が、上記、鉄原子、セリウム原子の電子の授受に何らかの相互作用を及ぼしているためと考えられる。
【0014】
本発明の触媒の使用温度は、200℃以上であり800℃以下であることが好ましい。200℃未満であると、酸化触媒の活性が向上し、COやHCの酸化能力が格段に向上する。同様に、還元触謀の活性が向上し、NOxを還元する能力が格段に優れるようになる。一方、使用温度が800℃を超えると、長時間曝される触媒成分の凝集による触媒劣化が見られる。
【0015】
本発明の触媒(酸化・還元触媒)を排気ガス浄化触媒として使用する場合、一方ではエンジン直下型に使用されるときは約800℃に至ることもあるがそれは瞬時であり常時ではないこと、他方では床下型に使用されるときは常時約550℃の温度下にあることから、十分その機能を発揮することができる。還元触媒機能を発揮できる組成範囲は、酸化触媒機能を発揮する組成範囲より狭い傾向があるので、排気ガス浄化触媒として使用する場合、還元触媒機能を発揮できる組成範囲の触媒を使用することが望ましい。
【0016】
還元触媒機能を発揮できる組成範囲は、酸化触媒機能を発揮する組成範囲より狭い傾向があるので、排気ガス浄化触媒として使用する場合、還元触媒機能を発揮できる組成範囲の触媒を使用することが望ましい。また、炭素はこのような高温では酸化されるため耐熱性が低いとして使用されることは無かった。
【0017】
炭素材料は、これまでこのような高温下では酸化されてしまうため耐熱性が低いとされ排気バス浄化用触媒に使用されることは無かった。しかしながら、炭素材料、鉄化合物、セリウム化合物、並びに酸素の化合物を構成することにより、驚くべきことに酸化されにくくなり耐熱性が向上した。その結果として、本発明の排気ガス浄化用触媒は、床下型はもちろん直下型のエンジンに対しても十分使用できることが分かった。
【発明の効果】
【0018】
本発明の触媒によれば、触媒成分として白金(Pt)を含有しない触媒を提供することができる。さらに、一酸化炭素(CO)や担架水素(HC)を効率よく酸化することができる。加えて、窒素化合物(NOx)を効率よく還元することができる。さらに加えて、悪臭有害物質、揮発性有機化合物、環境負荷物質、及び化学薬品を効率よくの酸化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】浄化されるNOxやCO、HCの濃度を測定する装置の概略図である。
【図2】図1の装置における反応管の概略図である。
【図3】実施例1における、NOx、CO、HC(C)、Hの転化率を示す図である。
【図4】実施例11における、600℃における長時間の試験結果を示す図である。
【図5】実施例11における、800℃における長時間の試験結果を示す図である。
【図6】実施例1〜10、及び三角組成図内の他のプロットに相当する組成の触媒、並びに、下記比較例1〜7の組成の触媒における、NOxのT50を示す三角組成等活性温度線図である。
【図7】実施例1〜10、及び三角組成図内の他のプロットに相当する組成の触媒、並びに、下記比較例1〜7の組成の触媒における、HCのT50を示す三角組成等活性温度線図である。
【図8】実施例1〜10、及び三角組成図内の他のプロットに相当する組成の触媒、並びに、下記比較例1〜7の組成の触媒における、COのT50を示す三角組成等活性温度線図である。
【図9】比較例1における、NOx、CO、HC(C)、Hの転化率を示す図である。
【図10】比較例2における、NOx、CO、HC(C)、Hの転化率を示す図である。
【図11】比較例3における、NOx、CO、HC(C)、Hの転化率を示す図である。
【図12】比較例4における、NOx、CO、HC(C)、Hの転化率を示す図である。
【図13】比較例5における、NOx、CO、HC(C)、Hの転化率を示す図である。
【図14】比較例8における、NOx、CO、HC(C)、Hの転化率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態(以下、適宜「本実施形態」という)について説明する。
【0021】
<触媒>
本実施形態の触媒は、炭素材料、鉄化合物、及びセリウム化合物を含有する組成物からなるものである。以下、排気ガス浄化用触媒を構成する各成分について説明する。
【0022】
(炭素材料)
本実施形態の触媒に使用できる炭素材料としては、触媒成分である鉄化合物中の鉄原子及びセリウム化合物中のセリウム原子の触媒活性を低減させることなく、炭素材料中の炭素が触媒活性を発揮することができるものであれば、特に制限されるものではない。そのような炭素材料として、たとえば、グラファイト、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ナノダイヤ、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェンから選ばれた少なくとも1種類以上の炭素等が挙げられる。
【0023】
また、本実施形態に使用できる炭素材料として、炭素材料の前駆体を加熱し生成した炭素を炭素材料として使用することもできる。上記した炭素材料の前駆体としては、熱硬化等の処理によって炭素化可能なものであれば特に限定するものではないが、たとえば、フェノール樹脂、フェノールホルムアルデビド樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フラン樹脂、キレート樹脂、ポリアクリロニトリル、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ポジスルフォン、リグニン、ピッチ、タンパク質等の熱硬化性樹脂やポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフルフリルアルコ−ル、ポリメタクリル酸カルボキシメチル、アイオノマー樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0024】
また、炭素材料の前駆体として、ポリピロール等のピロール化合物、フタロシアニン錯体、ポリイミド、ポリカルボジイミド等のイミド化合物、ポリアミド等のアミド化合物、ポリイミダソール等のイミダソール化合物、フミン酸、ポリアニリン、ε−カプロラクタム、ポリビニルピリジン等の有機化合物、バイオマス、木材、石炭等炭素を含有する物質を用いることができる。すなわち、本発明の触媒においては、石油等を原料とする有機化学工業製品のみならず、廃材等の天然リサイクル資源をもその原材料とすることができる点において、大きな技術的意義を有するものである。
【0025】
さらに、本発明の触媒に使用される炭素材料としては、前掲した炭素化合物の前駆体を、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気下または、水素、水蒸気、炭酸ガス、アンモニア、空気等の反応性ガス雰囲気下で500℃〜1,500℃で加熱したものを使用することができる。上記した不活性ガス又は活性ガスにより加熱すれば、炭素材料の表面積を増大させ、賦活した炭素材料とするができるからである。
【0026】
これらの炭素材料は、加熱処理により、炭素材料の前駆体から、一部の炭素及び水素、酸素、窒素が水、二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化窒素、一酸化窒素等として揮発するので、多孔質な炭素となっている。さらに、炭素をあらかじめボールミルやジェットミル等の粉砕機で微粒子化し、さらに目開きの異なる篩を用いて粗大粒子を取り除き、均一な微粒子にすることによって、炭素の表面積を増大させ、触媒に使用した時の活性を向上させることができる。
【0027】
さらに、上記した炭素材料を、金属アセチリド化合物の偏析反応を利用して炭素材料のナノ構造体とすることもできる。たとえば、アルカリ性の水溶液中で硝酸銀とアセチレンから生成させたAgのナノ樹状体モノリスをポリテトラフルオロエチレン製の容器に詰め、更にステンレス容器内で脱水し、200℃に加熱すると瞬間的に銀と炭素への偏析反応が起きて、膨大な反応熱よって銀が蒸気となって炭素の風船を膨らまし、銀のナノ粒子となって炭素の中に沈殿する。この銀粒子を硝酸銀で溶解すると、グラフェンシートが形成されており、本発明の触媒に用いる炭素材料として使用することができる。
【0028】
(鉄化合物)
本発明の触媒に使用できる鉄化合物としては、鉄の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、硫化物、硫酸塩、亜硫酸塩、有機酸塩、炭化鉄、及びフェロシアン化鉄等の鉄錯体、鉄フタロシアンニンの群の中から選ばれた少なくとも1種類以上の鉄化合物等が挙げられる。
【0029】
また、上記した鉄化合物の少なくとも一部を、ニッケル化合物、銅化合物、コバルト化合物の少なくとも1種類の化合物で置換することができる。ニッケル化合物、銅化合物及びコバルト化合物としては、ニッケル、銅及びコバルトのそれぞれの酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、硫化物、硫酸塩、亜硫酸塩、有機酸塩、及びフェロシアン化物の群の中から選ばれた少なくとも1種類以上の化合物等を使用することができる。
【0030】
(セリウム化合物)
本発明の触媒に使用できるセリウム化合物としては、セリウムの酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、錯体、硝酸塩、亜硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、硫化物、硫酸塩、亜硫酸塩、有機酸塩の群の中から選ばれた少なくとも1種類以上のセリウム化合物等が挙げられる。
【0031】
また、本発明で使用できるセリウム化合物としては、ジルコニウム(Zr)系、ランタン系化合物の少なくとも1種類の化合物を含有で置換することができる。ランタン系化合物としては、ランタンの酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、錯体、硝酸塩、亜硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、硫化物、硫酸塩、亜硫酸塩、有機酸塩の群の中から選ばれた少なくとも1種類以上のランタン化合物等を使用することができる。
【0032】
本実施形態における触媒を排気ガス浄化用に使用した場合、COやHCに比べ浄化しにくいNOxを還元する。そして、上記排気ガス浄化用触媒は、酸素と還元剤が共存する酸化還元雰囲気下においては、NOx、CO及びHCを同時に浄化する三元触媒として機能する。
【0033】
NOx、CO、HCを含む排気ガスとしては、たとえば、自動車の排気ガスが想定される。自動車排気ガスにおいては、酸化雰囲気においてCOはCOへ、HCは水とCOに酸化され、還元雰囲気においてNOxは窒素に還元されるが、酸化と還元がバランス良く反応する領域は理論空燃比近傍に制限されている。よって、本発明の触媒を自動車排ガス浄化用の三元触媒として機能させるには、自動車排ガスの組成が理論空燃比近傍に制御されていることが望ましい。
【0034】
上記触媒は、主として自動車排気ガスの浄化用途に使用することができるものであるが、これに限られず、他のガスに含まれるNOxやCO、HCを浄化することもできる。たとえば、燃料電池の燃料として、天然ガス等を改質して得た水素に含まれる微量のCOを除去する酸化触媒の用途に適し、燃料電池の燃料極にガスを供給するためのCO除去装置に本発明の排気ガス浄化用酸化触媒を配置し、あるいは本酸化触媒を燃料電池の燃料極触媒と混合して燃料極部分に用いることで、水素中のCOをCOに酸化し、電極触媒の被毒を防止することもできる。
【0035】
なお、NOx、CO、又は炭化水素が本触媒により酸化又は還元されてCOや窒素等に転化される割合を測定するには、たとえば、自動車排気ガスを直接用いることもできるが、含まれるNOxやCO、HCの濃度を制御することが難しいことから、モデルガスを用いることもできる。モデルガスは、たとえば、ガソリン車の実排気ガスと類似する組成にすることが好ましい。
【0036】
<モデルガスの濃度を測定する装置>
図1に、NOxやCOやH、HCとしてCを含むモデルガスの濃度を測定する装置の概略図を示す。また、上記測定装置の一部である反応管の概略図を図2に示す。
【0037】
図1に示すように、上記モデルガスの濃度を測定する装置は、標準ガスボンベ1、マスフローコントローラー2、水タンク3、水ポンプ4、蒸発器5、反応管6、冷却器8、ガス分析装置9などで構成される。
【0038】
まず、標準ガスボンベ1から各モデルガスを発生させ、マスフローコントローラー2によりガスが混合されて、水ポンプ4から導入された水を蒸発器5で気化されて、蒸発器5で各ガスが合流されて、反応管6へ導入される。そして、モデルガスが入った反応管6が電気加熱炉7により加熱される。
【0039】
各モデルガスは反応管6内の触媒10により酸化または還元される。反応後のガスは、冷却器8において水蒸気がかれた後、ガス分析装置9で組成が分析される。ガス分析装置9は、たとえば、ガスクロマトグラフィーで、O、H2、CO、NO、CO、HC(C)、H等の定量分析を行うことができ、NOx、NO、NO、CO、SO等は、たとえば、NOx分析訃で定量的に分析することができる。
【0040】
上記ガスの分析について、具体的には、株式会社島津製作所のガスクロマトグラフィー(製品名:GC−14BでO2、、H、CO、NO、CO、炭化水素(HC)等の定量分析を行い、株式会社堀場製作所のNOx分析計(製品名:PG−250)でNO、NO、NO、CO、SO等の定量分析を行った。
【0041】
反応管6は石英でできている。図2に示すように、排気ガス浄化触媒10はその中心部に充填することが好ましい。そして、モデルガスを触媒のある部分に分布させるために触媒10の両側に石英砂11や石英ウール12を詰めることもできる。
【0042】
上記測定装置においては、触媒の浄化性能は以下の算出式により各ガスの転化率として評価することができる。
NOx転化率={(入口のNOモル流量十NOモル流量)−(出口のNOモル流量十NOモル流量)}/(入口のNOモル流量十NOモル流量)×100%
転化率=(入口のCモル流量一出口のCモル流量)/(入口のCモル流量)×100%
CO転化率=(入口のCOモル流量一出口のCOモル流量)/(入口のCOモル流量)×100%
転化率=(入口のHモル流量一出口のHモル流量)/(入口のHモル流量)×100%
【0043】
上記の転化率は、NOxやCOやH、HCがどの程度、触媒によって酸化又は還元されたかを示しており、転化率は高い方がより酸化又は還元されていることを示し、100%であれば完全にNOxやCO、HCが浄化されたことを示す。
【0044】
<排気ガス浄化用触媒の製造方法>
本発明の排気ガス浄化用触媒を製造する方法は、特に制限されないが、たとえば以下の工程を含む製法等が挙げられる。鉄化合物の少なくとも1種類の化合物とセリウム化合物の少なくとも1種類の化合物の溶液又は分散液を作成する。これらの化合物は、炭素表面に金属イオンとして均一に付着させるため、溶媒中から析出させることが望ましく、溶解度の高いものを使用する。溶媒も水が望ましいが、エタノール又は水とエタノールの混合液を使用することもできる。
【0045】
上記溶液の化合物の濃度は、0.5〜50.0g/Lが好ましい。上記鉄化合物及びセリウム化合物の量は、加熱後の触媒中に含有させる鉄原子とセリウム原子の原子分率(構成質量分率)に基づいて使用する必要がある。しかし、これらの化合物の少なくとも1種類が不溶性の化合物であっても、水中に平均粒子径0.1〜1μm程度の微粒子として分散させ、炭素表面に均一に付着させて使用することもできる。
【0046】
得られた溶液又は分散液をプロペラ式攪拌機等で攪拌しながら炭素材料を添加し、均一な混合液を作成する。添加する炭素材料の量は、加熱後の排気ガス浄化用触媒に含有させる炭素原子の原子分率に基づいて使用する必要がある。炭素材料中の炭素原子は、加熱中に減少する傾向があるので予め減少量を考慮して使用する必要がある。添加した炭素と鉄化合物及びセリウム化合物とを均一に混合させ、凝集状態の炭素を分散させるため、ボールミル、サンドミル、ホモミキサー等の分散機を使用して混合することもできる。
【0047】
上記混合液は、100℃〜150℃の乾燥機で溶媒を除去して乾燥させ、乾燥後加熱炉に入れ、200℃〜1,500℃で加熱し、触媒を作成することができる。加熱時、加熱炉には窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス、あるいは、触媒活性を測定する際に使用する排気ガスと同様のモデルガス、並びに、炭酸ガス、水蒸気、水素等の反応性ガスを流入させながら加熱することが望ましい。
【0048】
上述したように、加熱時に不活性ガスを流入させることにより、炭素材料中の炭素原子、鉄化合物及びセリウム化合物に含有される揮発性成分、熱分解物をそのまま加熱炉外へ排出することができる。また、排気ガスと同じガスを流入させることもできる。さらに、炭酸ガス、水蒸気、水素等の反応性ガスを流入させることにより触媒を賦活することができる。
【0049】
本発明に使用する炭素材料として炭素前駆体を使用する場合は、炭素化する前に、炭素前駆体と鉄化合物及びセリウム化合物と混合し、均一化したものを乾燥した後、100℃〜800℃に加熱することにより、1回の加熱で排気ガス浄化用触媒を製造することも可能である。
【実施例】
【0050】
以下、本発明の技術的範囲を明確にするため、炭素材料、鉄化合物、セリウム化合物の含有量を変化させた試料を作成し、該試料の排気ガス浄化性能について試験した。以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。試料は、以下のようにして調製した。
【0051】
<実施例1>
(排気ガス浄化用触媒の製造)
室温で、50mLの蒸留水の入ったビーカーに、硝酸鉄(II)(9水和物)(キシダ化学株式会社)12.43gと硝酸セリウム(III)(6水和物)24.22gを入れ、攪拌機で攪拌し、完全に溶解させた。その溶液に、攪拌しながら、グラファイト(和光純薬工業株式会社)0.5gを投入し、10分間攪拌した後、28質量%のアンモニア水をpH値が10になるまで添加し、炭素―鉄―セリウムからなる沈殿物を得た。さらに、回転速度600rpmで3時間攪拌した後、その溶液をろ過して沈殿を分別し、水洗後、120℃で乾燥させ、三元触媒を得た。触媒の組成は、ICP発光分析装置(ICPE−9000、島津製作所製)で測定した。触媒組成の中には酸素も含有されるが、組成の決定には除外した。試料を乳鉢で粉砕し、40メッシュの篩を通過させた。
【0052】
得られた試料を、内径6mmの石英反応管の中心部に0.1g充填し、ガス分布を均一化するために触媒層の両側にそれぞれ0.5gの石英砂を詰めた。石英反応管を電気加熱機中に入れ、表1に示した、NOx、HC、及びCOを含むモデルガスを理論空燃比14.63となるように調整し、150mL/分で流入させながら、石英反応管を20℃/分の昇温速度で800℃まで昇温させた。200℃から800℃まで、100℃毎に昇温を停止し、1時間保持し、流入ガス(NOx、HC、CO)と流出ガスの濃度から転化率を求めた。温度と転化率のグラフを図3に示した。図3から転化率が50%となる温度(T50)を求め、表2に示した。
【0053】
【表1】

【0054】
<実施例2〜10>
実施例1において、硝酸鉄(II)(9水和物)、硝酸セリウム(III)(6水和物)及びグラファイトの量を、表2のNo.2〜10に示す量に変更する以外は、実験例1と同様な操作を行い、NOx、HC、CO各ガスのT50を求めた。結果を表2に併せて示した。
【0055】
実施例1〜10、及び図6の三角組成図内の他のプロットに相当する組成の触媒、並びに下記比較例1〜7の組成の触媒のT50測定値を、株式会社ライトストーンのOriginPro7.5グラフ作成ソフトを利用し、炭素、鉄、セリウム組成の三角組成等活性線図に各ガスのT50が同じ温度となる組成を線(等活性温度線)で結んだ。NOxの場合の三角組成図を図6に、HCの場合を図7に、COの場合を図8に示した。NOx、HC、CO各ガスのT50はNOxが一番高く、HC、COの順で、COが一番低かった。
【0056】
各ガスとも、触媒組成が単一成分(三角組成等活性線図の頂点:炭素、鉄、セリウム)及び2成分(三角組成等活性線図の辺:炭素―鉄、炭素―セリウム、鉄―セリウム)に比べ、3成分の場合の方がT50が低い傾向にあった。3枚の三角組成等活性線図から、本発明の触媒の組成範囲を、炭素:1〜70質量%、鉄:5〜65質量%、セリウムが5〜90質量%(酸素原子を計算に入れていない率)とした。その中で、特に、炭素、鉄、及びセリウムの構成質量分率がそれぞれ、5.0%、17.0%、及び78.0%である組成の触媒は、最もT50が低く、高い浄化性能が得られた。
【0057】
図3に示されるように、実施例1の触媒は、300℃において、COが酸化され、94%の転化率が得られた。そして、400℃において、COは完全に浄化し、HCも約92%の転化率となった。NOxの還元温度は、COとHCより高いが、400℃において約34%のNOxが還元され、500℃において、有害三成分共に酸化、還元浄化された。NOx、CO、及びHCのT50は表2に示す通りであり、それぞれ、425℃、251℃、及び290℃であった。
【0058】
【表2】

【0059】
<実施例11>
また図4に、実施例1の触媒の触媒量を0.3gにし、600℃における長時間の試験結果(耐久性)を示す。その結果、NOx、CO、C共に約100%の転化率が20時間維持され、600℃において本触媒が高い耐久性を有することが確認された。
【0060】
図5は、実施例1の触媒の触媒量を0.3gにし、800℃における長時間の試験結果(耐久性)を示す。同図に示すように、800℃において、本触媒上でNOx、CO、Cを完全に浄化した初期活性を得たが、試験時間につれて、NOxの転化率は7%程度低下した。しかし、10時間以後、約93%のNOxの転化率が維持でき、50時間まで劣化がなかった。そして、CO、C、Hの活性は初期活性のまま、50時間まで維持できた。800℃の高温においても本触媒が高い耐久性を有することが確認された。
【0061】
(比較例1)(触媒なし)
反応管内に触媒を入れないで、反応ガスを流し、NO、CO、HCの転化率を測定した。その結果を図9及び表2に示す。
【0062】
図9に示す通り、触媒を入れない場合、200〜800℃におけるNOx、COの転化率はほぼゼロであった。HCは500℃以上になると転化率が徐々に向上したが、800℃であっても64%でしかなく、触媒を入れないとガスが浄化できないことが確認された。
【0063】
(比較例2)(グラファイト)
反応管に、炭素原料である市販のグラファイトをいれて、反応ガスを流し、上記と同様に測定した。その結果を図10及び表2に示す
【0064】
図10に示す通り、市販のグラファイトにおいては、800℃まで、温度を上昇させても、NOx、COの転化率は向上せず、触媒効果が得られなかった。
【0065】
(比較例3)(炭素―鉄)
実施例1において、セリウムを用いず、炭素と鉄の原子比率が50%、50%となる触媒を作成した。該触媒0.1gを反応管に入れて、反応ガスを流し、上記と同様に測定した。その結果を図11及び表2に示す。
【0066】
図11に示す通り、炭素、鉄からなる触媒の場合、400以下ではNOxの転化率はほぼゼロであった。500℃においても52%しかなかった。800℃においてNOxを完全に浄化した。400℃においてCOの転化率が69%であった。500℃まで昇温して、完全にCO浄化した。
【0067】
(比較例4)(炭素―セリウム)
比較例として、Feを用いず炭素とセリウムからなる触媒を、反応管にいれて、反応ガスを流し、上記と同様に測定した。炭素原子、セリウム原子の構成質量分率がそれぞれ、50%、50%である。その結果を図12及び表2に示す。
【0068】
図12に示す通り、炭素、セリウムからなる触媒の場合、400以下ではNOxの転化率はほぼゼロであった。500℃になっても15%しかなかった。そして、温度の上昇につれて、NOx転化率が徐々に高くなって、700℃以上になると、NOxを完全に浄化した。COの転化率は400℃において67であった。500℃で昇温して、完全にCO浄化した。HCは400℃における転化率が36であり、そして、500℃において87%になった。
【0069】
(比較例5)(鉄―セリウム)
比較例として、炭素を用いず鉄とセリウムからなる触媒を、反応管にいれて、反応ガスを流し、上記と同様に測定した。鉄原子、セリウム原子の構成質量分率がそれぞれ、25%、75%である。その結果を図13及び表2に示す。
【0070】
図13に示す通り、鉄、セリウムからなる触媒は400以下の温度では、NOxの転化率がほぼゼロであった。そして、温度の上昇につれてNOx転化率が徐々に向上したが、800℃においても77%の転化率しかなかった。HCは300度から酸化され、400℃において74%の転化率が得られた。COは、300℃から酸化され、67%の転化率となり、400℃になるとCOが完全浄化した。
入れる
【0071】
(比較例6)
比較例として、炭素とセリウムを用いず鉄のみからなる触媒を反応管にいれて、反応ガスを流し、上記と同様に測定した。その結果を表2に示す。
【0072】
表2に示す通り、鉄のみからなる触媒は、前記2元触媒と比較しても、いずれのガスに対してもT50が高かった。
【0073】
(比較例7)
比較例として、炭素と鉄を用いずセリウムのみからなる触媒を反応管にいれて、反応ガスを流し、上記と同様に測定した。その結果を表2に示す。
【0074】
表2に示す通り、セリウムのみからなる触媒は、前記鉄のみからなる触媒より、いずれのガスに対してもT50が高かった。
【0075】
(比較例8)(Pt−酸化セリウム)
比較例として、炭素材料を用いずPtからなる触媒として、反応管内に排ガス浄化用市販Pt−酸化セリウム触媒を入れて、反応ガスを流し、上記と同様に測定した。Ptの担持量は1.0wt%である。その結果を図14及び表2に示す。
【0076】
図14に示す通り、Pt系触媒の場合、250℃以下ではNOx、HC、COの転化率はほぼゼロであった。300℃においても転化率はかなり低いが、500℃以上においてはNOx、HC、COの3成分が転化率約100%とほぼ完全に浄化した。
【0077】
表2に上記の実施例と比較例で述べた活性のT50の温度をまとめた表を示す。この表からも実施例のC−Fe−Ce系の触媒が、他の比較例の触媒よりも有害3成分のT50の値が低い温度を示していることが分かり、触媒活性が最も優れていると言える。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明によれば、Ptを使用しないで、炭素原子(炭素材料)、鉄原子(鉄化合物)、セリウム原子(セリウム化合物)を含有する組成物で構成された触媒で、CO及びHCを酸化して浄化でき、NOxを還元して浄化できる酸化触媒、還元触媒及び排気ガス浄化触媒を提供することができる。
【符号の説明】
【0079】
1・・・標準ガスボンベ、2・・・マスフローコントローラー、3・・・水タンク、4・・・水ポンプ、5・・・蒸発器、6・・・反応管、7・・・電気加熱路、8・・・冷却器、9・・・ガス分析装置、10・・・触媒、11・・・石英砂、12・・・石英ウール、13・・・熱電対

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素原子と、鉄原子と、セリウム原子と、を含有する組成物からなる
ことを特徴とする触媒。
【請求項2】
前記組成物中の炭素原子、鉄原子、及びセリウム原子の質量分率がそれぞれ、1.0〜70.0%、5.0〜65.0%、及び5.0〜90.0%である
ことを特徴とする請求項1記載の触媒。
【請求項3】
前記組成物が、窒素、アルゴン、ヘリウム、水素、水蒸気、炭酸ガス、アンモニア、空気から選ばれるガス雰囲気下において100℃〜800℃で加熱処理されたものである
ことを特徴とする請求項1または2記載の触媒。
【請求項4】
前記触媒が、排気ガス浄化用触媒である
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の触媒
【請求項5】
炭素原子、鉄原子、及びセリウム原子の構成質量分率がそれぞれ、1.0〜70.0%、5.0〜65。0%、及び5.0〜90.0%である
ことを特徴とする酸化触媒。
【請求項6】
200℃以上、800℃以下の温度で、悪臭有害物質、揮発性有機化合物、環境負荷物質、及び化学薬品の酸化反応を促進できる
ことを特徴とする請求項5記載の酸化触媒。
【請求項7】
炭素原子、鉄原子、及びセリウム原子の構成質量分率がそれぞれ、1.0〜70.0%、5.0〜65.0%、及び5.0〜90.0%である
ことを特徴とする酸化触媒。
【請求項8】
200℃以上、800℃以下の温度で、悪臭有害物質、揮発性有機化合物、環境負荷物質、及び化学薬品の還元反応を促進できる
ことを特徴とする請求項7記載の還元触媒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−50980(P2012−50980A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171933(P2011−171933)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000158895)
【出願人】(510214425)
【出願人】(591004733)
【Fターム(参考)】