触覚機能付きの入出力装置及び電子機器
【課題】 操作者の指に触覚を提示している状態で、同一のアクチュエータを連続操作して新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等を入力できるようにする。
【解決手段】 操作者の指の押圧力を検出して力検出信号を出力する機能と、振動制御信号に基づいて操作者の指に触覚を提示する機能とを有したアクチュエータ1と、このアクチュエータ1の入出力を制御する制御手段15とを備え、制御手段15は、アクチュエータ1が押下されたとき、アクチュエータ1から第1の力検出信号を入力し、この力検出信号に基づいてアクチュエータ1に振動制御電圧を出力し、アクチュエータ1が振動制御電圧に基づいて操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ1が押下されたとき、アクチュエータ1から得られる第2の力検出信号を入力判別するものである。
【解決手段】 操作者の指の押圧力を検出して力検出信号を出力する機能と、振動制御信号に基づいて操作者の指に触覚を提示する機能とを有したアクチュエータ1と、このアクチュエータ1の入出力を制御する制御手段15とを備え、制御手段15は、アクチュエータ1が押下されたとき、アクチュエータ1から第1の力検出信号を入力し、この力検出信号に基づいてアクチュエータ1に振動制御電圧を出力し、アクチュエータ1が振動制御電圧に基づいて操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ1が押下されたとき、アクチュエータ1から得られる第2の力検出信号を入力判別するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め準備された入力項目選択用の表示画面の中からアイコンを選択して情報を入力する際に操作者の指に触覚を提示するようにした情報処理装置や、携帯電話機、情報携帯端末装置等に適用して好適な触覚機能付きの入出力装置及び電子機器に関する。
【0002】
詳しくは、触覚制御シーケンスにおいて、最初の入力を受けた後、更に出力を実行し、その状態で更に新たな異なる入力を受ける場合であって、第1の力検出信号に基づいて圧電複合手段を振動制御信号に基づいて触覚提示制御する制御手段を備え、更に、圧電複合手段が押下されたとき、その圧電複合手段から得られる第2の力検出信号に基づいて入力を判別するようにして、操作体に触覚を提示している状態で、第2の力検出信号をトリガにして、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力を操作できるようにしたものである。
【背景技術】
【0003】
近年、ユーザ(操作者)は、ゲーム装置や、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯端末装置に様々なコンテンツを取り込み、それを利用する場合が多くなってきた。これらの携帯端末装置には、キーボードや、JOGダイヤル等の入力装置、更に、表示部を組み合わせたタッチパネルなどの入力装置が使用され、各種情報を入力するようになされる。
【0004】
また、アクチュエータを組み合わせた入出力装置も開発されている。アクチュエータは、2層以上のひずみ量の異なる圧電素子、又は、圧電素子と非圧電素子とを貼り合わせ、この貼合体の圧電素子に振動制御電圧を印加したとき、双方のひずみ量の差によって生じる貼合体の曲げ変形を力学的に利用するものである(振動体機能)。反対に、圧電素子に力を加えると電圧を発生することが知られている(力検出センサ機能)。アクチュエータには、いわゆるバイモルフアクチュエータや、ユニモルフアクチュエータ、円盤アクチュエータ(これらを総括して、以下、単にアクチュエータという)等が使用される場合が多い。
【0005】
この種のアクチュエータを備えた電子機器に関して、特許文献1には、入力出力装置及び電子機器が開示されている。この電子機器によれば、多層圧電バイモルフ型アクチュエータ及びタッチパネルを有する入出力装置を備え、多層圧電バイモルフ型アクチュエータは、情報の種類に応じてタッチパネルを通じて異なる触覚を使用者にフィードバックするようになされる。このように電子機器を構成すると、使用者に対して、情報の種類に応じた入力操作に対する触覚フィードバックを確実に提供できるというものである。
【0006】
これらのアクチュエータを用いた触覚フィードバック制御では、タッチパネルが外部からの入力(位置および、加圧力)を検出し、制御系がタッチパネルからの入力情報をトリガにして、当該タッチパネルまたは筺体を振動させるようになされる。
【0007】
【特許文献1】特開2004−94389号公報(第4乃至5頁 第11図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来例に係る触覚入力機能付きのゲーム装置や、情報処理装置、携帯電話機、情報携帯端末装置等の電子機器において、アクチュエータ機能と力検出センサ機能とを備えた圧電複合手段を利用して入出力装置を構成しようとした場合に、次のような問題がある。
【0009】
i.特許文献1に見られるような多層圧電バイモルフ型アクチュエータを備えた電子機器等に、圧電複合手段を適用した場合であって、その圧電複合手段のアクチュエータ機能と力検出センサ機能とを個々に切り替えて使用する場合には、力検出センサ機能への振動制御電圧の回り込みが生じないので、何ら問題が生じない。しかしながら、アクチュエータ機能と力検出センサ機能とを同時に使用する場合には、力検出センサ機能へ振動制御電圧が回り込んで、力検出処理が複雑になる。
【0010】
ii.このアクチュエータ機能と力検出センサ機能とを同時に使用する場合として、操作者の指に触覚を提示している状態で、同一の圧電複合手段を連続操作して新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等を入力する場合が想定される。これは、電子機器のアプリケーションによって、“出力をしながら入力を受け付ける“ことが必要な場合があるからである。
【0011】
例えば、ゲーム装置において、標的に向けて、操作者が指で操作する機銃等を連射するシーンの場合である。このシーンで、操作者の指に触覚を提示するための振動制御電圧の出力波形が、最大で1.0sec程度になる場合が想定される。従って、そのシーンが終結するのを待たずして、次の入力検出を行なう必要が生じた場合に、1.0秒毎にしか入力を受け付けないのでは、触覚制御シーケンスの高速データ処理の妨げとなる。
【0012】
iii.このような場合に、制御系で、振動体としてのアクチュエータへ供給される振動制御電圧と、力検出機能としてのアクチュエータから検出される力検出電圧をモニタして入力を判別する方法が考えられるが、何らの工夫無しに、データ処理すると、外力が加わっていないのにも係わらず、「入力有り」と判別してしまい、力検出における信頼性が低下するおそれがある。このように、操作者の指(操作体)に触覚を提示している状態で、同一の圧電複合手段を連続操作して新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等を入力することが困難となる。
【0013】
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、操作体に触覚を提示している状態で、同一の圧電複合手段を連続操作して新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等を入力できるようにした触覚機能付きの入出力装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題は、操作体の押圧力を検出して力検出信号を出力する機能と、振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示する機能とを有した圧電複合手段と、この圧電複合手段の入出力を制御する制御手段とを備え、制御手段は、圧電複合手段が押下されたとき、圧電複合手段から得られる第1の力検出信号を入力し、第1の力検出信号に基づいて圧電複合手段に振動制御信号を出力し、圧電複合手段が振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示している状態で、更に、圧電複合手段が押下されたとき、圧電複合手段から得られる第2の力検出信号を判別することを特徴とする触覚機能付きの第1の入出力装置によって解決される。
【0015】
本発明に係る触覚機能付きの第1の入出力装置によれば、圧電複合手段は、操作体の押圧力を検出して力検出信号を出力する機能と、振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示する機能とを有している。これを前提にして、制御手段は、圧電複合手段の入出力を制御する。制御手段は、圧電複合手段が押下されたとき、圧電複合手段から得られる第1の力検出信号を入力し、この第1の力検出信号に基づいて圧電複合手段に振動制御信号を出力する。圧電複合手段は振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示する。この状態で、更に、圧電複合手段が押下されたとき、制御手段は、圧電複合手段から得られる第2の力検出信号を判別する。
【0016】
例えば、操作体に触覚を提示している状態で、更に、圧電複合手段が押下されたとき、制御手段は、圧電複合手段から出力される力検出信号と圧電複合手段に出力される振動制御信号とに基づいて差を演算する。この演算により第2の力検出信号を判別する。従って、第2の力検出信号をトリガにして、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。
【0017】
本発明に係る第2の入出力装置は、入力項目選択用の表示画面上で操作体によって入力操作される触覚機能付き入出力装置であって、表示画面上の操作体の接触位置を検出して位置検出信号を出力する入力手段と、この入力手段から出力される位置検出信号に基づいて振動制御信号を発生する制御手段と、この制御手段から出力される振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示すると共に、当該操作体の接触位置における力を検出して力検出信号を出力する圧電複合手段とを備え、制御手段は、圧電複合手段が振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示している状態で、更に、圧電複合手段が押下されたとき、圧電複合手段から得られる力検出信号を判別することを特徴とするものである。
【0018】
本発明に係る第2の入出力装置によれば、入力項目選択用の表示画面上で入力操作する場合に、入力手段は、表示画面上の操作体の接触位置を検出して位置検出信号を出力する。制御手段は、入力手段から出力される位置検出信号に基づいて振動制御信号を発生する。圧電複合手段は、制御手段から出力される振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示すると共に、当該操作体の接触位置における力を検出して力検出信号を出力する。これを前提にして、制御手段は、圧電複合手段が振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示している状態で、更に、圧電複合手段が押下されたとき、圧電複合手段から得られる力検出信号を判別するようになされる。従って、力検出情報をトリガにして、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。
【0019】
本発明に係る第1の電子機器は、操作体の押圧力を検出して力検出信号を出力する機能と、振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示する機能とを有した圧電複合手段と、この圧電複合手段の入出力を制御する制御手段とを有する触覚機能付きの入出力装置を備えた電子機器において、制御手段は、圧電複合手段が押下されたとき、圧電複合手段から得られる第1の力検出信号を入力し、第1の力検出信号に基づいて圧電複合手段に振動制御信号を出力し、圧電複合手段が振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示している状態で、更に、圧電複合手段が押下されたとき、圧電複合手段から得られる第2の力検出信号を判別することを特徴とするものである。
【0020】
本発明に係る第1の電子機器によれば、第1の入出力装置が応用される。これを前提にして、圧電複合手段は、操作体の押圧力を検出して力検出信号を出力する機能と、振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示する機能とを有している。制御手段は、圧電複合手段の入出力を制御する。制御手段は、圧電複合手段が押下されたとき、圧電複合手段から得られる第1の力検出信号を入力し、この第1の力検出信号に基づいて圧電複合手段に振動制御信号を出力する。圧電複合手段は振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示する。この状態で、更に、圧電複合手段が押下されたとき、制御手段は、圧電複合手段から得られる第2の力検出信号を判別する。従って、第2の力検出信号をトリガにして、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。
【0021】
本発明に係る第2の電子機器は、入力項目選択用の表示画面上で操作体によって入力操作される触覚機能付きの入出力装置を備えた電子機器であって、入出力装置は、表示画面上の操作体の接触位置を検出して位置検出信号を出力する入力手段と、この入力手段から出力される位置検出信号に基づいて振動制御信号を発生する制御手段と、この制御手段から出力される振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示すると共に、当該操作体の接触位置における力を検出して力検出信号を出力する圧電複合手段とを有し、制御手段は、圧電複合手段が振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示している状態で、更に、圧電複合手段が押下されたとき、圧電複合手段から得られる力検出信号を判別することを特徴とするものである。
【0022】
本発明に係る第2の電子機器によれば、第2の入出力装置が応用される。これを前提にして、入力項目選択用の表示画面上で入力操作する場合に、入力手段は、表示画面上の操作体の接触位置を検出して位置検出信号を出力する。制御手段は、入力手段から出力される位置検出信号に基づいて振動制御信号を発生する。圧電複合手段は、制御手段から出力される振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示すると共に、当該操作体の接触位置における力を検出して力検出信号を出力する。制御手段は、圧電複合手段が振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示している状態で、更に、圧電複合手段が押下されたとき、圧電複合手段から得られる力検出信号を判別するようになされる。従って、力検出情報をトリガにして、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る触覚機能付きの第1の入出力装置によれば、第1の力検出信号に基づいて圧電複合手段を振動制御信号に基づいて触覚提示制御する制御手段を備え、この制御手段は、更に、圧電複合手段が押下されたとき、その圧電複合手段から得られる第2の力検出信号に基づいて入力を判別するようになされる。
【0024】
この構成によって、操作体に触覚を提示している状態で、第2の力検出信号をトリガにして、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。従って、触覚機能付きの入出力装置の機能の向上を図ること、及び、触覚制御シーケンスを高速に、かつ、信頼性良くデータ処理することができる。
【0025】
本発明に係る触覚機能付きの第2の入出力装置によれば、入力項目選択用の表示画面上で入力操作する場合に、操作体の接触位置を検出して得た位置検出信号に基づいて触覚提示制御をする制御手段を備え、この制御手段は、操作体に触覚を提示している状態で、更に、圧電複合手段が押下されたとき、その圧電複合手段から得られる力検出情報を判別するようになされる。
【0026】
この構成によって、操作体に触覚を提示している状態で、力検出情報をトリガにして、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。従って、触覚機能付きの入出力装置の機能の向上を図ること、及び、触覚制御シーケンスを高速に、かつ、信頼性良くデータ処理することができる。
【0027】
本発明に係る第1の電子機器によれば、第1の入出力装置が応用されるので、操作体に触覚を提示している状態で、第2の力検出信号をトリガにして、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。従って、触覚機能付きの第1の入出力装置を応用した電子機器の機能の向上を図ることができる。
【0028】
本発明に係る第2の電子機器によれば、第2の入出力装置が応用されるので、操作体に触覚を提示している状態で、力検出情報をトリガにして、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。従って、触覚機能付きの第2の入出力装置を応用した電子機器の機能の向上を図ること、及び、触覚制御シーケンスを高速に、かつ、信頼性良くデータ処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
続いて、この発明に係る触覚機能付きの入出力装置及び電子機器の一実施例について、図面を参照しながら説明をする。
【実施例1】
【0030】
図1は本発明に係る第1の実施例としての触覚機能付きの入出力装置100の構成例を示すブロック図である。
図1に示す触覚機能付きの入出力装置100は、入力操作時、操作体としての操作者の指に触覚を提示する装置であり、各種入力情報を処理するゲーム装置や、情報処理装置、携帯電話機、情報携帯端末装置等に適用して好適である。この入出力装置100は、多機能圧電アクチュエータ(以下単にアクチュエータという)1、記憶手段35及び制御手段15を備えて構成される。
【0031】
アクチュエータ1は圧電複合手段の一例であり、圧電素子を積層したものであって、振動制御信号SVaに基づいて操作者の指に触覚を提示する機能と、例えば、操作者の指の押圧力Fを検出して力検出信号SVdを出力する機能とを有している。振動制御信号SVaは、アンプ等により増幅して振動制御電圧(アクチュエータ駆動電圧)Vaとしてアクチュエータ1に印加される。力検出信号SVdは、検出電圧Vdを含んでアクチュエータ1から取り出される。
【0032】
力検出信号SVdは、操作者の指等による押圧力Fによって発生する。アクチュエータ1は、触覚提示時において、押圧力Fを検出した場合に、力検出信号SVdを出力する。力検出信号SVdには、検出電圧Vdの信号成分と振動制御電圧Vaの信号成分とが含まれる。例えば、力検出信号SVdは、振動制御信号SVaが検出電圧Vdによって変調され、検出電圧Vdの信号成分と振動制御電圧Vaの信号成分とが合成された形態となる。
【0033】
制御手段15は、アクチュエータ1の入出力を制御するように機能する。制御手段15は、例えば、アクチュエータ駆動回路37、CPU55、オペアンプ87、コンパレータ88及びA/Dドライバ89を有しており、これらの回路やドライバ等が通常の電源Vccに接続されて構成される。当該入出力装置100を携帯端末装置に適用する場合に、電源Vccには、3V程度の直流電源が使用される。
【0034】
オペアンプ87は、アクチュエータ1の検出端子に接続され、当該アクチュエータ1から出力される力検出信号SVdを増幅して力検出電圧Vd’をコンパレータ88に出力する。アクチュエータ1の周辺回路は、電気回路が閉じているので、当該アクチュエータ1が操作体で押下されると、コンデンサの容量で、アクチュエータ1の検出端子に検出電圧Vdが発生する。このコンデンサに蓄積された電荷は、閉回路によって放電され、時刻経過と共に回路で消費されてしまう。これでは、ずっとアクチュエータ1が押下された場合、加圧力F−検出電圧Vdの線形性が保たれない。これを解決するため、抵抗10KΩレベル程度のオペアンプ87が挿入されている。つまり、オペアンプ87を挿入することで、電荷の消費が抑えられ、加圧力F−検出電圧Vdの線形性を保つようになされる。
【0035】
オペアンプ87には、入力手段を構成するコンパレータ88が接続され、振動制御電圧Vaと検出電圧Vdを含む力検出電圧Vd’とを入力して比較処理を実行する。この比較処理では、操作者の指等でアクチュエータ1が押下され、加圧力F−検出電圧Vdの特性が存在する場合であって、コンパレータ88は検出電圧Vdを出力するようになされる(図4参照)。
【0036】
コンパレータ88には、A/Dドライバ89が接続され、検出電圧Vdをアナログ・デジタル変換した力検出データDdを出力するようになされる。A/Dドライバ89では、コンパレータ88の出力である検出電圧Vdが正(Vd>0)の場合、又は、負(Vd<0)の場合を基準にして入力有無を判別するようになされる。A/Dドライバ89では、コンパレータ88から出力される検出電圧Vdに関して、例えば、8μsec程度の高いクロック信号によりサンプリング処理する。従って、Vd>0の場合は、入力有りとみなしてサンプリング処理を続行する。Vd<0の場合は、入力無しとみなして、サンプリング処理を続行する。CPU55は、接触位置や、加圧力等の入力情報を判別するようになされる。
【0037】
この例では、触覚発生状態で更なる新たな異なる入力を受け付ける場合に、Vd>0の場合のみ、力検出データDdをCPU55に出力するようになされる。アクチュエータ1が振動していない場合は、必ず、Vd>0となって、力検出データDdはCPU55に出力されるようになる。なお、連続的な押圧力Fの変化を読み込む間は、β=0となされることから、「Vd’−αVa」を直接、入力有無の判別基準となされる。
【0038】
A/Dドライバ89には、CPU55が接続される。CPU55には更に記憶手段35が接続され、振動パターンデータDpを格納するようになされる。例えば、CPU55は、アクチュエータ1が押下されたとき、当該アクチュエータ1から得られる第1の力検出データDdを入力する。CPU55は、力検出データDdに基づいて記憶手段35から振動パターンデータDpを読み出し、この振動パターンデータDpをアクチュエータ駆動回路37に出力する。CPU55にはアクチュエータ駆動回路37が接続される。
【0039】
アクチュエータ駆動回路37は、D/Aドライバ76及び出力アンプ77を有して構成される。D/Aドライバ76では、CPU55によって読み出された振動パターンデータDpをデジタル・アナログ変換して振動制御信号SVaを発生する。これにより、第1の力検出データDdに基づいて振動制御信号SVaを発生することができる。
【0040】
D/Aドライバ76には出力アンプ77が接続される。出力アンプ77は、通常電圧Vccよりも高い、20V程度の駆動電源Vaaに接続され、振動制御信号SVa及び駆動電源Vaaに基づいて振動制御電圧Vaを発生する。このように、アクチュエータ駆動回路37は、振動パターンデータDpに基づいて振動制御信号SVaを発生し、その後、振動制御信号SVaを増幅する。増幅後の振動制御信号SVaは振動制御電圧Vaとなってアクチュエータ1に印加される。アクチュエータ1は、振動制御電圧Vaに基づいて振動する。この振動によって操作者の指に触覚を提示することができる。
【0041】
この例で、上述したコンパレータ88は、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ1が押下されたとき、当該アクチュエータ1から出力される力検出信号SVdに基づく力検出電圧Vd’とアクチュエータ1に印加される振動制御信号SVaに基づく振動制御電圧Vaとに基づいてその差を演算することにより検出電圧Vdを出力する。
【0042】
また、CPU55は、アクチュエータ1が振動制御信号SVaに基づいて操作者の指に触覚を提示している状態で、アクチュエータ1が押下されたとき、当該アクチュエータ1から得られる第2の力検出データDdを入力する。力検出データDdはA/Dドライバ89からCPU55へ出力される。そして、CPU55は、第2の力検出信号SVdに基づく力検出データDdが正(Vd>0)である場合又は当該力検出信号SVdに基づく力検出データDdが負(Vd<0)である場合によって、アクチュエータ1への閾値を越える押下が有った又はその押下が無かった旨を判別するようになされる。これにより、CPU55は、入力を受けながら更に触覚発生出力を実行し、その状態で更なる新たな異なる入力を受付できるようになる。
【0043】
図2A及びBは、圧電複合手段の一例となる多機能圧電アクチュエータ1の構成例を示す斜視図及び断面図である。
図2Aに示す結線固定型の多機能圧電アクチュエータ(以下単にアクチュエータという)1は、圧電複合手段の一例であり、圧電アクチュエータ機能と力検出センサ機能とを有するものである。アクチュエータ1は、図2Bに示すように、少なくとも、1つの積層体が電気的に2つ単層圧電体4a及び4bに区分(分割)されて構成される。アクチュエータ1は、給電用の電極(以下給電電極という)2と、共通電極6と、信号検出用の電極(以下検出電極という)8とを有している。給電電極2と共通電極6との間には第1の圧電素子3が接合されて、一方の単層圧電体4aを構成する。単層圧電体4aで給電電極2と共通電極6との間には所定の電圧(振動制御電圧)Vaが供給され、圧電アクチュエータとして機能される。
【0044】
また、共通電極6と検出電極8との間には第2の圧電素子7が接合されて、他方の単層圧電体4bが構成される。この検出電極8からは、外力に基づく力検出信号SVd(以下で力検出電圧Vdともいう)が取り出され、力検出センサとして機能される。アクチュエータ1は、3つの端子9a,9b,9cを有している。第1の端子9aは給電電極2に接続される。この端子9aには引き出し線L1が接続される。第2の端子9bは共通電極6に接続される。この端子9bには引き出し線L2が接続される。第3の端子9cは検出電極8に接続される。この端子9cには引き出し線L3が接続される。
【0045】
上述のようにアクチュエータ1を構成して、引き出し線L1と引き出し線L2にアクチュエータ制御手段を接続し、第1の圧電素子3に端子9a,9b,9c及び端子9a,9b,9cを介して給電すると、第1の圧電素子3が振動する。また、外力が第2の圧電素子7に加わると、引き出し線L3に検出電圧Vdを出力するようになされる。これにより、給電電極2と共通電極6との間に供給した所定の電圧Vaにより変調を受けた外力に基づく力検出信号(検出電圧Vd)のみを取り出せるようになされる。アクチュエータ1は、両機能を同時に使用可能な低電圧駆動型の多機能アクチュエータ等を構成する。
【0046】
図3は、アクチュエータ1の機能例を示すグラフ図である。図3において、横軸は加圧力F[gf]である。加圧力F[gf]は、操作者の指等による押圧力より変化する。縦軸は、加圧力Fに対する検出電圧Vd[V]である。アクチュエータ1は、押圧力F1のとき、検出電圧Vd=X[V]を発生し、押圧力F2のとき、検出電圧Vd=Y[V]を発生する。従って、第1の閾値としてVd=Xを設定し、閾値Xを越える検出電圧(Vd>X)が得られる加圧力Fを検出したとき、CPU55は、閾値Xに基づいて入力が有った旨を判別するようになされる。
【0047】
また、第2の閾値としてVd=Y(Y>X)を設定し、閾値Yを越える検出電圧(Vd>Y)が得られる加圧力Fを検出したとき、CPU55は、閾値Yに基づいて更なる入力が有った旨を判別するようになされる。
【0048】
図4A〜Cは、コンパレータ88の機能例を示す波形図である。図4Aは、出力アンプ77の出力波形であって、振動制御電圧Vaを模擬する波形である。振動制御電圧Vaは、その説明を簡単化するため正弦波で示している。図4Bは、アクチュエータ押下時の出力波形であって、検出電圧Vdを含む力検出電圧Vd’を模擬する波形である。図4Cは、検出電圧Vdを示す波形である。検出電圧Vdは、その説明を簡単化するため矩形波で示している。
【0049】
図4Aに示す振動制御電圧Vaと、図4Bに示す検出電圧Vdを含む力検出電圧Vd’とは、図1に示したコンパレータ88に入力される。コンパレータ88は、振動制御電圧Vaと力検出電圧Vd’とを入力して比較処理を実行する。この比較処理では、操作者の指等でアクチュエータ1が押下され、加圧力F−検出電圧Vdの特性が存在する場合であって、コンパレータ88は、(1)式、すなわち、
Vd=Vd’−αVa−β・・・・・・(1)
により図4Cに示す検出電圧Vdを演算するように動作する。
【0050】
αは演算係数であって、0<α<1の間の値であり、アクチュエータ1が加圧されながら、振動制御電圧Vaが印加された場合に、検出端子から取り出せる検出電圧Vdが振動制御電圧Vaに対して多少小さくなったことを考慮した値である。βは検出電圧Vdを判別する閾値であって、β=XやYの値が代入され、アプリケーションが想定する加圧力Fの閾値に各々対応する。なお、連続的な押圧力Fの変化を読み込む間は、β=0となされる。
【0051】
図5は、触覚機能付きの入出力装置100の動作例を示すフローチャートである。
この実施例では、携帯端末装置等の触覚制御シーケンスにおいて、最初の入力を受けた後、更に出力を実行し、その状態で更に新たな異なる入力を受ける場合であって、第1の力検出データDdに基づいてアクチュエータ1が振動制御電圧Vaにより操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ1が押下されたとき、CPU55は、そのアクチュエータ1から第2の力検出データDdを得て、その操作者の指に触覚を提示している状態で、第2の力検出データDdをトリガにして制御を実行する。
【0052】
これらを動作条件にして、図5に示すフローチャートにおいて、まず、ステップA1で電源オンを待機する。例えば、CPU55は電源オン情報を検出してシステムを起動する。電源オン情報は通常、携帯端末装置等において、時計機能等が稼働し、スリーピング状態にある携帯端末装置等の電源スイッチをオンされたときに発生する。CPU55は、電源オン情報を検出してステップA2に移行する。
【0053】
ステップA2でCPU55は、アクチュエータ1からの触覚起動要求を待機する。触覚起動要求は、アクチュエータ1の力検出機能→オペアンプ87→コンパレータ88→A/Dドライバ89を通じてCPU55に与えられる。例えば、アクチュエータ1の検出端子に接続されたオペアンプ87は、当該アクチュエータ1から出力される力検出信号SVdを増幅して力検出電圧Vd’をコンパレータ88に出力する。
【0054】
コンパレータ88は、振動制御電圧Vaと検出電圧Vdを含む力検出電圧Vd’とを入力して比較処理を実行する。この比較処理では、操作者の指等でアクチュエータ1が押下され、加圧力F−検出電圧Vdの特性が存在する場合であって、コンパレータ88が、先に示した(1)式により、図4Cに示す検出電圧Vdを演算するように動作する。コンパレータ88は検出電圧VdをA/Dドライバ89に出力する。
【0055】
A/Dドライバ89は、検出電圧Vdをアナログ・デジタル変換した力検出データDdを出力するようになされる。A/Dドライバ89では、コンパレータ88の出力である検出電圧Vdが正(Vd>0)の場合、又は、負(Vd<0)の場合を基準にして入力有無を判別するようになされる。アクチュエータ1が振動していない場合は、必ず、Vd>0となって、最初の力検出データDdは、触覚起動要求となってCPU55に出力される。
【0056】
CPU55は、触覚起動要求が有った場合は、ステップA3及びA4に移行して並列処理を実行する。ステップA3ではアクチュエータ駆動回路37は、触覚提示処理を実行する。例えば、CPU55は、力検出データDdに基づいて記憶手段35から振動パターンデータDpを読み出し、この振動パターンデータDpをアクチュエータ駆動回路37に出力する。
【0057】
アクチュエータ駆動回路37では、D/Aドライバ76が、CPU55によって読み出された振動パターンデータDpをデジタル・アナログ変換して振動制御信号SVaを発生する。振動制御信号SVaは、D/Aドライバ76から出力アンプ77へ出力される。出力アンプ77は、振動制御信号SVa及び駆動電源Vaaに基づいて振動制御電圧Vaを発生する。振動制御電圧Vaは、出力アンプ77からアクチュエータ1に印加される。アクチュエータ1は、振動制御電圧Vaに基づいて振動する。この振動によって操作者の指に触覚を提示することができる。
【0058】
これに並行してCPU55は、ステップA4で更なる入力を待機する。この際の入力も、アクチュエータ1の力検出機能→オペアンプ87→コンパレータ88→A/Dドライバ89を通じてCPU55に与えられる。つまり、触覚発生状態で更なる新たな異なる入力を受け付ける場合に、Vd>0の場合のみ、力検出データDdをCPU55に出力するようになされる。
【0059】
この例では、触覚発生状態で更なる新たな異なる入力を受け付けると、コンパレータ88の出力である検出電圧Vdが正(Vd>0)となるので、第2の力検出データDdをCPU55に出力するようになされる。なお、連続的な押圧力Fの変化を読み込む間は、β=0となされることから、「Vd’−αVa」を直接、入力有無の判別基準となされる。
【0060】
上述の例で、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、入力が有った場合は、ステップA5に移行してCPU55は、入力処理を実行する。この入力処理には、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作が含まれている。その後、ステップA6に移行してCPU55は、電源オフ情報を検出して入出力処理の終了判断をする。電源オフ情報が検出されない場合は、ステップA2に戻ってCPU55は触覚起動要求を待機する。電源オフ情報を検出した場合は、入出力処理を終了する。
【0061】
このように本発明に係る第1の実施例としての触覚機能付きの入出力装置100によれば、最初の入力として、CPU55は、アクチュエータ1が押下されたとき、アクチュエータ1から得られる第1の力検出信号SVdに基づく力検出データDdを入力し、この第1の力検出データDdに基づいてアクチュエータ1に振動制御電圧Vaを出力する。アクチュエータ1は振動制御電圧Vaに基づいて操作者の指に触覚を提示する。その触覚提示状態で、更に、新たな異なる入力として、アクチュエータ1が押下されたとき、CPU55は、アクチュエータ1から出力される第2の力検出信号SVdに基づく力検出データDdを入力する。
【0062】
この例では、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ1が押下されたとき、コンパレータ88は、オペアンプ87から出力される力検出電圧Vd’と、出力アンプ77からアクチュエータ1へ出力される振動制御電圧Vaとを入力して差を演算する。この演算により第2の力検出電圧VdをA/Dドライバ89に出力するようになる。
【0063】
従って、A/Dドライバ89は、力検出電圧Vdに基づいて信頼性良く入力判別することができる。この入力判別の結果から得られる第2の力検出データDdをトリガにして、CPU55は、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。これにより、触覚機能付きの入出力装置100の機能の向上を図ること、及び、触覚制御シーケンスを高速に、かつ、信頼性良くデータ処理することができる。
【実施例2】
【0064】
図6A及びBは、第2の実施例としての入出力装置に使用可能な多機能圧電アクチュエータ(結線固定型)10の構成例を示す斜視図及び断面図である。
図6Aに示す多機能圧電アクチュエータ10は、圧電複合手段の一例であり、圧電アクチュエータ機能と力検出センサ機能とを有するものである。多機能圧電アクチュエータ10は、図6Bに示すように、少なくとも、1つの積層体14が電気的に3つ積層圧電体群14a,14b,14cに区分(分割)されて構成される。
【0065】
この例で積層圧電体群14cの中央に位置する圧電素子から引き出された中央電極13を力検出用とし、その積層圧電体群14cの両側に位置する他の積層圧電体群14a、14bの圧電素子から引き出された電極を給電用となされる。この例では、電気的に分割された1つ又はそれ以上の積層圧電体群14a、14b、14cのうち曲げ変形する際の中立面に近い位置の積層圧電体群14cを力検出用とし、中立面から離れた位置の積層圧電体群14a、14bをアクチュエータ用となされる。
【0066】
この例で積層圧電体群14cの中央に位置する圧電素子から引き出された中央電極13は力検出センサに使用し、その積層圧電体群14cの両側に位置する他の積層圧電体群14a、14bの圧電素子から引き出された電極は、アクチュエータの給電に使用するようになされる。この例では、電気的に分割された1つ又はそれ以上の積層圧電体群14a、14b、14cのうち曲げ変形する際の中立面に近い位置の積層圧電体群14cを力検出センサに使用し、中立面から離れた位置の積層圧電体群14a、14bをアクチュエータとして使用するようになされる。
【0067】
第1の積層圧電体群14aは第1の積層体の一例であり、引出し電極(以下上部表面電極11という)と圧電素子とを一以上積層したものである。各々の圧電素子は電極と圧電体から構成される。第2の積層圧電体群14bは、第2の積層体の一例であり、引出し電極(以下下部表面電極12という)と圧電素子とを一以上積層したものである。各々の圧電素子は電極と圧電体から構成される。上部表面電極11と下部表面電極12とは積層体内部で結線される。他の電極も積層体内部で結線されている。
【0068】
第3の積層圧電体群14cは第3の積層体の一例であり、積層圧電体群14aと積層圧電体群14bとの間に積層されており、一以上の圧電素子を有している。積層圧電体群14cは、他の引出し電極の一例となる中央電極13を有している。中央電極13は、積層圧電体群14aと積層圧電体群14bに対して、及び、積層圧電体群14cの曲げ変形の中立面に位置している。
【0069】
結線固定型の多機能圧電アクチュエータ10は、4つの端子16a〜16dを有している。第1の端子16aは上部表面電極11に接続される。この端子16aには引き出し線L1が接続される。第2の端子16bは積層圧電体群14bの引出し電極に接続される。この端子16bには引き出し線L2が接続される。第3の端子16cは積層圧電体群14bの引出し電極に接続される。この端子16cには引き出し線L3が接続される。第4の端子16dは積層圧電体群14cの引出し電極に接続される。この端子16dには引き出し線L4が接続される。
【0070】
結線固定型の多機能圧電アクチュエータ10は上述のように構成する。そして、引き出し線L1と引き出し線L2にアクチュエータ駆動回路37を接続し、積層圧電体群14a及び積層圧電体群14bの圧電素子に端子16a及び端子16bを介して給電すると、積層圧電体群14aと積層圧電体群14bとが振動する。また、積層圧電体群14cの圧電素子は外力が加わると、引き出し線L3及び引き出し線L3に検出電圧Vdを出力する。
【0071】
この実施例でも、検出電圧Vdがオペアンプ87→コンパレータ88→A/Dドライバ89を通じて力検出データDdとしてCPU55に与えられる。つまり、触覚発生状態で更なる新たな異なる入力を受け付ける場合に、Vd>0の場合のみ、力検出データDdをCPU55に出力するようになされる。
【0072】
このように、第2の実施例に係る多機能圧電アクチュエータ10を応用した入出力装置によれば、最初の入力として、CPU55は、アクチュエータ10が押下されたとき、アクチュエータ10から得られる第1の力検出信号SVdに基づく力検出データDdを入力し、この第1の力検出データDdに基づいてアクチュエータ10に振動制御電圧Vaを出力する。アクチュエータ10は振動制御電圧Vaに基づいて操作者の指に触覚を提示する。その触覚提示状態で、更に、新たな異なる入力として、アクチュエータ10が押下されたとき、CPU55は、アクチュエータ10から出力される力検出信号SVdに基づく力検出データDdを入力する。
【0073】
この例でも、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ10が押下されたとき、コンパレータ88は、オペアンプ87から出力される力検出電圧Vd’と、出力アンプ77からアクチュエータ10へ出力される振動制御電圧Vaとを入力して差を演算する。この演算により第2の力検出電圧VdをA/Dドライバ89に出力するようになる。
【0074】
従って、多機能圧電アクチュエータ10を応用した入出力装置においても、A/Dドライバ89は、検出電圧Vdに基づいて入力判別することができる。この入力判別の結果から得られる第2の力検出データDdをトリガにして、CPU55は、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。これにより、多機能圧電アクチュエータ10を応用した触覚機能付きの入出力装置の機能の向上を図ること、及び、触覚制御シーケンスを高速に、かつ、信頼性良くデータ処理することができる。
【実施例3】
【0075】
図7は、第3の実施例としての入出力装置に使用可能な結線可変型の多機能圧電アクチュエータ300の断面の構成例を示す図である。
図7に示す多機能圧電アクチュエータ300は、電極と電極との間に圧電体を積層する形態で、合計18層の圧電体#1〜#18と、上部表面電極11と、下部表面電極12と、中央電極13と、16層の電極IE1〜IE16を有した積層体を少なくとも、電気的に3つ積層圧電体群14a,14b,14cに区分されて構成される。この例でも結線固定型と同様にして、積層圧電体群14cは、積層圧電体群14aと積層圧電体群14bとの間に挟まれる形態を採る。
【0076】
積層圧電体群14aは、上部表面電極11と、電極IE1〜IE5と、5層の圧電体#1〜#5から構成され、圧電アクチュエータとして機能するようになされる。圧電体#1は上部表面電極11と電極IE1との間に積層され、圧電体#2は電極IE1と電極IE2との間に積層され、圧電体#3は電極IE2と電極IE3との間に積層され、圧電体#4は電極IE3と電極IE4との間に積層され、圧電体#5は電極IE4と引出し電極IE5との間に各々積層される。
【0077】
積層圧電体群14cは、積層圧電体群14aと積層圧電体群14bとの間に積層されており、中央電極13と、電極IE6〜IE8と、4層の圧電体と、電極IE9〜IE11と、4層の圧電体から構成され、力検出センサとして機能するようになされる。圧電体#6は電極IE5と電極IE6との間に積層され、圧電体#7は電極IE6と電極IE7との間に積層され、圧電体#8は電極IE7と電極IE8との間に積層され、圧電体#9は電極IE8と中央電極13との間に積層される。
【0078】
また、圧電体#10は中央電極13と電極IE9との間に積層され、圧電体#11は電極IE9と電極IE10との間に積層され、圧電体#12は電極IE10と電極IE11との間に各々積層される。中央電極13は、積層圧電体群14aと積層圧電体群14bに対して、及び、積層圧電体群14cの曲げ変形の中立面に位置している。
【0079】
積層圧電体群14bは、下部表面電極12と、電極IE13〜IE17と、5層の圧電体から構成され、圧電アクチュエータ300として機能するようになされる。圧電体#13は電極IE11と電極IE12との間に積層され、圧電体#14は電極IE12と電極IE13との間に積層され、圧電体#15は電極IE13と電極IE14との間に積層され、圧電体#16は電極IE14と電極IE15との間に積層され、圧電体#17は電極IE15と電極IE16との間に積層され、圧電体#18は電極IE16と下部表面電極12との間に各々積層されている。
【0080】
図7において、積層圧電体群14aで上部表面電極11と電極IE2と電極IE4とは積層体内部で結線される。上部表面電極11は第1端子16aを介して引き出し線L1に接続される。電極IE1と電極IE3とは積層体内部で引出し電極IE5に結線される。引出し電極IE5は第2端子16bを介して引き出し線L2に接続される。
【0081】
積層圧電体群14cで電極IE8は積層体内部で引出し電極IE6に結線される。引出し電極IE6は端子16cを介して引き出し線L3に接続される。電極IE7と電極IE10とは中央電極13に結線される。中央電極13は端子16dを介して引き出し線L4に接続される。電極IE9は積層体内部で引出し電極IE11に結線される。引出し電極IE11は端子16eを介して引き出し線L5に接続される。
【0082】
積層圧電体群14bで、電極IE14と、電極IE16とは積層体内部で引出し電極IE12に結線される。引出し電極IE12は端子16fを介して引き出し線L6が接続される。電極IE13と電極IE15とは積層体内部で下部表面電極12に結線される。下部表面電極12は端子16gを介して引き出し線L7に接続される。
【0083】
なお、図7において、中央電極13付近にある梨地に示す圧電体#8〜#12が力検出センサとして機能し、その上下にある白抜きの圧電体#1〜#5及び圧電体#14〜#18がアクチュエータ300として機能する部分である。圧電体#6及び#13はアクチュエータと力検出センサとの境界に位置しており、緩衝材として機能する。
【0084】
図8A及びBは、多機能圧電アクチュエータ300の制御系の構成例を示すブロック図である。
この例で、積層圧電体群14a〜14cの各々の上部表面電極11、電極IE5、電極IE6、中央電極13、電極IE11、電極IE12、下部表面電極12に接続された制御装置50を備え、制御装置50は、予め設定された制御信号に応じて積層圧電体群14a、14bの各々の上部表面電極11、電極IE5、電極IE12、下部表面電極12に給電し、及び、積層圧電体群14cの電極IE6、中央電極13、電極IE11に給電し、又は、当該電極IE6、中央電極13、電極IE11から力検出信号(検出電圧Vd)を検出するようになされる。
【0085】
図8Aに示す制御装置50は、アクチュエータ駆動回路37’、検出手段17及び接続回路18を備えており、多機能圧電アクチュエータ300を圧電アクチュエータ+力検出センサとして同時に機能させる場合である。アクチュエータ駆動回路37’には、第1の実施例に示したアクチュエータ駆動回路37にスイッチ選択機能を付加したものが使用される。検出手段17には、第1の実施例に示したオペアンプ87、コンパレータ88及びA/Dドライバ89から構成される入力手段が使用される。
【0086】
接続回路18は例えば、MOSFETスイッチ回路を利用したゲートアレイから構成される。アクチュエータ駆動回路37’は上位の制御系(例えば、第1の実施例に示したCPU55等)に接続され、その上位の制御系から、例えば、振動パターンデータDpと制御信号の一例となる機能選択信号SE1とを入力し、これらの振動パターンデータDp及び機能選択信号SE1に基づいて多機能圧電アクチュエータ300を駆動制御するようになされる。
【0087】
アクチュエータ駆動回路37’は、例えば、機能選択信号SE1が「圧電アクチュエータ+力検出センサとして同時に機能させる」という内容のときは、スイッチ接続信号SS1を接続回路18に出力して、引き出し線L1と引き出し線L7とを接続する。また、引き出し線L1と引き出し線L7とを接続してアクチュエータ駆動回路37’に各々接続する。これにより、図6に示した端子16a、16b、16f、16gを介して積層圧電体群14a及び積層圧電体群14bの圧電体#1〜#5及び圧電体#14〜#18に至るアクチュエータ回路を構築することができる。
【0088】
更に、アクチュエータ駆動回路37’は、スイッチ接続信号SS1に基づいて引き出し線L3と引き出し線L5とを接続し、引き出し線L4を検出手段17に各々接続する。これにより、図6に示した端子16c、16d、16eを介して積層圧電体群14cの中央電極13及び圧電体#7〜#12に至る力検出センサ回路を構築することができる。
【0089】
このようなアクチュエータ回路及び力検出センサ回路が構築された状態で、アクチュエータ駆動回路37’は、振動パターンデータDpに基づく振動制御電圧Vaを発生する。振動制御電圧Vaは、引き出し線L1、L2、L6、L7を通じて、図6に示した端子16a、16b、16f、16gを介して積層圧電体群14a及び積層圧電体群14bの圧電体#1〜#5及び圧電体#14〜#18に給電すると、中央電極13を基準にして、積層圧電体群14aが伸長し、積層圧電体群14bが収縮するようにして振動する。従って、多機能圧電アクチュエータ300をアクチュエータ機能として動作させることができる。
【0090】
また、振動制御電圧Vaが供給された状態、又は、振動制御電圧Vaを供給しない状態で、積層圧電体群14cの圧電体#7〜#12に対して外力が加わると、引き出し線L3及び引き出し線L3に力検出電圧Vdが発生する。この力検出電圧Vdは、検出手段17に出力される。検出手段17では、例えば、第1の実施例と同様にして、検出電圧Vdがオペアンプ87→コンパレータ88→A/Dドライバ89を通じて力検出データDdとしてCPU55に与えられる。つまり、触覚発生状態で更なる新たな異なる入力を受け付ける場合に、Vd>0の場合のみ、力検出データDdをCPU55に出力するようになされる。
【0091】
このように、第3の実施例に係る多機能圧電アクチュエータ300を応用した入出力装置によれば、最初の入力として、CPU55は、アクチュエータ300が押下されたとき、アクチュエータ300から得られる第1の力検出信号に基づく力検出データDdを入力し、この第1の力検出データDdに基づいてアクチュエータ300に振動制御電圧Vaを出力する。アクチュエータ300は振動制御電圧Vaに基づいて操作者の指に触覚を提示する。その触覚提示状態で、更に、新たな異なる入力として、アクチュエータ300が押下されたとき、CPU55は、アクチュエータ300から出力される第2の力検出信号に基づく力検出データDdを入力する。
【0092】
この例でも、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ300が押下されたとき、検出手段17を構成するコンパレータ88は、オペアンプ87から出力される力検出電圧Vd’と、アクチュエータ駆動回路37’(出力アンプ77等)からアクチュエータ300へ出力される振動制御電圧Vaとを入力して差を演算する。この演算により検出電圧Vdを検出手段17内のA/Dドライバ89に出力するようになる。
【0093】
従って、多機能圧電アクチュエータ300を応用した入出力装置においても、検出手段17内のA/Dドライバ89は、力検出電圧Vdに基づいて入力判別することができる。この入力判別の結果から得られる第2の力検出データDdをトリガにして、CPU55は、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。これにより、多機能圧電アクチュエータ300を応用した触覚機能付きの入出力装置の機能の向上を図ること、及び、触覚制御シーケンスを高速に、かつ、信頼性良くデータ処理することができる。
【実施例4】
【0094】
図9は、第4の実施例としての触覚機能付きの入出力装置400の構成例を示す組立斜視図である。
この実施例では、入力項目選択用の表示画面上で入力操作する場合に、操作者の指の接触位置を検出して得た位置検出情報に基づいて操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、触覚機能付きの入力手段84が押下されたとき、制御手段15’は、多機能圧電アクチュエータ65a等から得られる力検出データを入力して、その力検出データをトリガにして、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようにしたものである(第2の入出力装置)。
【0095】
図9に示す触覚機能付き入出力装置400は、入力項目選択用の表示画面に表示された複数のアイコンの1つに接触して当該表示画面上で入力操作されるものである。
【0096】
入出力装置400は、長さがLcm程度で、幅がWcm程度の大きさの入力手段84と、同等の大きさの第1のフレーム41と、同等の大きさの液晶表示ディスプレイから成る表示手段62と、この表示手段62を収納する大きさの第2のフレーム47とが積層されて構成される。フレーム47は表示手段抜け止め加工がなされており、フレーム41及び47は構造体(筐体)を構成する。
【0097】
フレーム47は、厚さ0.3mm程度のステンレスの枠体から構成され、表示手段62を保護するようになされる。フレーム47内には、表示手段62が収納され、入力手段84から得られる位置情報に基づいてアイコンを表示するように動作する。フレーム47に収納された表示手段62上には、フレーム41が配置される。フレーム41も、厚さ0.3mm程度のステンレスの枠体から構成され、その両側二辺には、振動手段取付用の橋架付きの開口部48a,48bが設けられている。
【0098】
この開口部48aには、振動手段を構成するアクチュエータ65aが取付けられ、振動制御電圧Vaに基づいて表示画面(入力操作面)を振動するようになされる。アクチュエータ65aには、図示しない検出端子が設けられる。この例で、アクチュエータ65aの押下時に、検出端子から力検出信号SVdが出力される。アクチュエータ65aは、開口部48aの橋架部位上に固定部材44a,45aを介して取り付けられる。同様にして、開口部48bにはアクチュエータ65bが取付けられ、振動制御電圧Vbに基づいて表示画面(入力操作面)を振動するようになされる。アクチュエータ65bにも、図示しない検出端子が設けられる。この例で、アクチュエータ65bの押下時に、検出端子から力検出信号SVdが出力される。アクチュエータ65bは、開口部48bの橋架部位上に固定部材44b,45bを介して取り付けられる。アクチュエータ65a及び65bには、第1〜第3の実施例で説明した多機能圧電アクチュエータ1、10又は300が使用される。
【0099】
振動制御電圧Va及びVbは、表示手段62に表示されたアイコンの1つに操作者が接触(タッチ)すると、アクチュエータ65aに供給される。アクチュエータ65a,65bには、大きさ幅=3mm×長さ=30mm程度で厚みが0.8mm程度の圧電素子が使用される。固定部材44a,45aや44b,45b等には、弾性率の低い材料(例えば、NITTO製5713等)から構成される。
【0100】
この例で、フレーム41の開口部48a,48bが設けられていない他の二辺には、長方形状のサポータ42a、42bが設けられ、その四隅には、正方形状のサポータ43a〜43dが各々設けられている。サポータ42a、42b、43a、43b、43c及び43dには、発泡ゴムやKGゲル等が使用される。サポータ42a、42b、43a、43b、43c及び43d上には、入力手段84が配置されている。入力手段84は、アクチュエータ65aのほぼ中央部位上に設けられた連結部材46aを介して接続され、かつ、アクチュエータ65bのほぼ中央部位上に設けられた連結部材46bを介して接続される。
【0101】
この例で、アクチュエータ65a及び連結部材46aと、アクチュエータ65b及び連結部材46bとは、振動伝達機構80を構成し、アクチュエータ65a及び65bで発生した振動を入力手段84に伝播するようになされる。入力手段84は検出手段の一例を構成し、アイコンの選択接触位置を検出して位置検出信号S1を出力するようになされる。
【0102】
位置検出信号S1には位置情報及び入力量(力)が含まれる。位置情報はアイコン接触時の位置検出信号S1により得られ、入力量(力)は同アイコン接触時の多機能圧電アクチュエータ65a等から得られる。入力手段84には入力操作面の大きさがW=64mm×L=88mmで厚みが1.0mm程度のタッチパネルが使用される。タッチパネルは静電容量方式の入力デバイスであり、蓄積電極となる透明電極をマトリクス状に配置した静電容量シートを有している。
【0103】
図10は、振動伝達機構80の構成例を示す拡大斜視図である。図10に示す振動伝達機構80はアクチュエータ65aの周辺を示しており、フレーム41、固定部材45a、連結部材46a及びアクチュエータ65aを有して構成される。フレーム41は例えば、幅4mm程度で、断面C型(チャンネル)のステンレス部材を枠型に折り曲げ加工して形成される。このフレーム41の所定部位には、例えば、幅3mm程度で長さ30mm程度の開口部48aが設けられる。開口部48aの所定の位置には橋架部49a、49b(図示せず)が設けられる。アクチュエータ65bも同様にして構成される。
【0104】
アクチュエータ65aは、開口部48aの橋架部49a、49b上に固定部材44a,45aを介して取り付けられる。アクチュエータ65a等には、大きさ幅=3mm×長さ=30mm程度で厚みが0.8mm程度の圧電素子が使用される。アクチュエータ65aのほぼ中央部位上には、連結部材46aが取り付けられる。これはアクチュエータ65aと入力手段84とを連結部材46aを介して接続するためである。この振動伝達機構80では、アクチュエータ65aで発生した振動が連結部材46aを介して入力手段84に伝播するようになされる。
【0105】
図11は、振動伝達機構80における制御系の構成例を示すブロック図である。図11に示す振動伝達機構80のアクチュエータ65aには制御手段15’が接続される。アクチュエータ65aには制御手段15’から振動制御電圧Vaが供給される。制御手段15’には記憶手段35が接続され、振動パターンデータDpを格納するようになされる。例えば、制御手段15’は、入力手段84が接触されてタッチパネル等から接触位置が検出されたとき、当該入力手段84から得られる位置検出情報Dinを入力する。このとき、アクチュエータ65a及び図示しないアクチュエータ65bでも同様にして入力手段84の押下時に、アクチュエータ65aは、アクチュエータ65bと協働して、検出端子から力検出信号SVdを制御手段15’に出力する。
【0106】
制御手段15’は、力検出信号SVdを処理した力検出データDdと、入力手段84から得られる位置検出情報Dinに基づいて記憶手段35から振動パターンデータDpを読み出し、この振動パターンデータDpに基づいて振動制御電圧Va,Vbを発生する。制御手段15’は、アクチュエータ65aに振動制御電圧Vaを供給し、アクチュエータ65bに振動制御電圧Vbを供給してアクチュエータ65a及び65bを触覚制御するように動作する。
【0107】
図12は、触覚機能付きの入出力装置400の制御系の構成例を示すブロック図である。
図12に示す入出力装置400は、入力操作時、操作者の指30に触覚を提示する装置であり、例えば、予め準備された入力項目選択用の表示画面の中からアイコンを選択して情報を入力するゲーム装置や、情報処理装置、携帯電話機、情報携帯端末装置等に適用して好適である。この入出力装置400は、記憶手段35、表示手段62、アクチュエータ65a,65b、入力手段84及び制御手段15’を備えて構成される。
【0108】
表示手段62は、表示データD2に基づいて入力項目選択用の表示画面を表示する。表示手段62は、表示画面の中でアイコンを表示する。表示手段62には、液晶表示装置等が使用される。
【0109】
入力手段84は、表示画面上の操作者の指の接触位置を検出して位置検出信号S1を出力する。入力手段84には、タッチパネルが使用される。入力手段84には入力処理部86が接続され、入力手段84から位置検出信号S1を入力してアナログ・デジタル処理した後の位置検出情報Dinを出力する。
【0110】
制御手段15’は、位置検出情報Dinに基づいてアクチュエータ65a等の入出力を制御するように機能する。例えば、制御手段15’は、入力処理部86から出力される位置検出情報Din又は及びA/Dドライバ89から出力される力検出データDdに基づいて振動制御電圧Vaを発生する。制御手段15’は、アクチュエータ駆動回路37、CPU55、入力処理部86、オペアンプ87、コンパレータ88及びA/Dドライバ89を有しており、これらの回路やドライバ等が通常の電源Vccに接続されて構成される。
【0111】
アクチュエータ65a,65bは、第1〜第3の実施例と同様にして制御手段15’から出力される振動制御電圧Vaに基づいて操作者の指に触覚を提示すると共に、当該操作者の指30の接触位置における力を検出して力検出信号SVdを出力する。
【0112】
この例でも、CPU55は、アクチュエータ65a等が振動制御電圧Vaに基づいて操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ65a等が押下されたとき、アクチュエータ65a等から出力される力検出信号SVdを入力し、振動制御電圧Vaと力検出電圧Vd’とを入力して差を演算することにより力検出データDdを得る。例えば、CPU55は、操作者の指30に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ65a等が押下されたとき、力検出データDdが正である場合又は当該力検出データDdが負である場合によって、アクチュエータ65a等への閾値を越える押下が有った又はその押下が無かった旨を判別する。
【0113】
この触覚制御において、CPU55では、アクチュエータ65a等により得られた力検出信号SVdがオペアンプ87→コンパレータ88→A/Dドライバ89を通じて力検出データDdとしてCPU55に与えられる。コンパレータ88は、振動制御電圧Vaと検出電圧Vdを含む力検出電圧Vd’とを入力して比較処理を実行する(図4参照)。つまり、触覚発生状態で更なる新たな異なる入力を受け付ける場合に、Vd>0の場合のみ、力検出データDdをCPU55に出力するようになされる。これにより、CPU55は、入力を受けながら更に触覚発生出力を実行し、その状態で更なる新たな異なる入力を受付できるようになる。なお、第1の実施例と同じ名称及び同じ符号のものは、同じ機能を有するためその説明を省略する。
【0114】
図13は、触覚機能付きの入出力装置400の動作例を示すフローチャートである。
この実施例では、携帯端末装置等の触覚制御シーケンスにおいて、最初の入力を受けた後、更に出力を実行し、その状態で更に新たな異なる入力を受ける場合であって、位置検出情報Dinに基づいてアクチュエータ65a等が振動制御電圧Vaにより操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ65a等が押下されたとき、CPU55は、そのアクチュエータ65a等から力検出データDdを得て、その操作者の指に触覚を提示している状態で、力検出データDdをトリガにして制御を実行する。
【0115】
これらを動作条件にして、図13に示すフローチャートにおいて、まず、ステップB1で電源オンを待機する。例えば、CPU55は電源オン情報を検出してシステムを起動する。電源オン情報は通常、携帯端末装置等において、時計機能等が稼働し、スリーピング状態にある携帯端末装置等の電源スイッチをオンされたときに発生する。CPU55は、電源オン情報を検出してステップB2に移行する。
【0116】
ステップB2でCPU55は、表示手段62に表示データD2を出力して表示制御を実行する。表示手段62は、表示データD2に基づいて入力項目選択用の表示画面を表示する。表示手段62は、表示画面の中でアイコンを表示する。
【0117】
次に、CPU55は、ステップA3に移行してアイコンが選択されたか否かを検出すると共に、入力手段84からの触覚起動要求を待機する。この例の触覚起動要求は、入力手段84→入力処理部86を通じてCPU55に与えられる。このとき、第1の実施例と同様にして、アクチュエータ1の力検出機能→オペアンプ87→コンパレータ88→A/Dドライバ89を通じて得られる触覚起動要求をCPU55に与えてもよい。つまり、並列に要求を受付けて、どちらか一方の触覚起動要求に基づいて以後の処理に移行するようにしてもよい。このようにすると、CPU55で最初の位置検出情報Din又は力検出データDdを触覚起動要求と判断することができる。
【0118】
CPU55は、触覚起動要求が有った場合は、ステップB4及びB5に移行して並列処理を実行する。ステップB3では第1の実施例と同様にして、アクチュエータ駆動回路37は、触覚提示処理を実行する。例えば、CPU55は、力検出データDdに基づいて記憶手段35から振動パターンデータDpを読み出し、この振動パターンデータDpをアクチュエータ駆動回路37に出力する。
【0119】
アクチュエータ駆動回路37では、D/Aドライバ76が、CPU55によって読み出された振動パターンデータDpをデジタル・アナログ変換して振動制御信号SVaを発生する。振動制御信号SVaは、D/Aドライバ76から出力アンプ77へ出力される。出力アンプ77は、振動制御信号SVa及び駆動電源Vaaに基づいて振動制御電圧Vaを発生する。振動制御電圧Vaは、出力アンプ77からアクチュエータ65a等に印加される。アクチュエータ65a等は、振動制御電圧Vaに基づいて振動する。この振動によって操作者の指に触覚を提示することができる。
【0120】
これに並行してCPU55は、ステップB5で更なる入力を待機する。この際の入力は、アクチュエータ65a等の力検出機能→オペアンプ87→コンパレータ88→A/Dドライバ89を通じてCPU55に与えられる。つまり、触覚発生状態で更なる新たな異なる入力を受け付ける場合に、Vd>0の場合のみ、力検出データDdをCPU55に出力するようになされる。
【0121】
この例では、触覚発生状態で更なる新たな異なる入力を受け付けると、コンパレータ88の出力である検出電圧Vdが正(Vd>0)となるので、力検出データDdをCPU55に出力するようになされる。なお、連続的な押圧力Fの変化を読み込む間は、β=0となされることから、「Vd’−αVa」を直接、入力有無の判別基準となされる。
【0122】
上述の例で、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、入力が有った場合は、ステップB6に移行してCPU55は、入力処理を実行する。この入力処理には、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作が含まれている。その後、ステップB7に移行してCPU55は、電源オフ情報を検出して入出力処理の終了判断をする。電源オフ情報が検出されない場合は、ステップB2に戻ってCPU55は入力項目選択画面の表示処理を継続し、ステップB3に移行して、アイコンの選択及び触覚起動要求を待機する。ステップB7で電源オフ情報を検出した場合は、入出力処理を終了する。
【0123】
このように本発明に係る第4の実施例としての触覚機能付きの入出力装置400によれば、入力項目選択用の表示画面上で入力操作する場合に、最初の入力として、CPU55は、入力手段84が接触されたとき、又は、入力手段84が強く押下されたとき、入力手段84から得られる位置検出信号S1に基づく位置検出情報Dinを入力し、又は及び、アクチュエータ65a等から得られる第1の力検出信号SVdに基づく力検出データDdを入力する。
【0124】
CPU55は、位置検出情報Din又は及び第1の力検出データDdに基づいてアクチュエータ65a等に振動制御電圧Vaを出力する。アクチュエータ65a等は振動制御電圧Vaに基づいて操作者の指に触覚を提示する。その触覚提示状態で、更に、新たな異なる入力として、アクチュエータ65a等が押下されたとき、CPU55は、アクチュエータ65a等から出力される力検出信号SVdに基づく力検出データDdを判別する。
【0125】
この例では、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ65a等が押下されたとき、コンパレータ88は、オペアンプ87から出力される力検出電圧Vd’と、出力アンプ77からアクチュエータ65a等へ出力される振動制御電圧Vaとを入力して差を演算する。この演算により力検出電圧VdをA/Dドライバ89に出力するようになる。
【0126】
従って、A/Dドライバ89は、力検出電圧Vdに基づいて入力判別することができる。この入力判別の結果から得られる力検出データDdをトリガにして、CPU55は、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。これにより、触覚機能付きの入出力装置400の機能の向上を図ること、及び、触覚制御シーケンスを高速に、かつ、信頼性良くデータ処理することができる。
【実施例5】
【0127】
図14A及びBは、第1の入出力装置を応用した第5の実施例としての携帯端末装置500の構成例を示す概念図である。
図14Aに示す携帯端末装置(PDA)500は電子機器の一例であり、本発明に係る第1の入出力装置100を有している。携帯端末装置500は、各種電子機器のリモートコントローラ(以下単にリモコンという)や、電子辞書、携帯電話機、デジタルカメラ等に適用して好適である。携帯端末装置500は、本体20を有している。本体20には複数の機能キー21〜28を有しているが、これらの機能キー21〜28の他に第1の実施例で説明した触覚機能付きの入出力装置100を有している。
【0128】
この例で、入出力装置100は、タッチカバー付きの多機能圧電アクチュエータ1を有して構成され、タッチカバー38に振動的な変位を与える構造になっている。タッチカバー38は検出電極上を覆うように設けられ、本体20との境目はくびれ部29となされている。この部分にダイヤフラム(スプリング)効果を持たせ、筐体を容易に変形させるためである。タッチカバー38は、絶縁性の樹脂部材で形成される。本体20の樹脂部材を使用して、筐体の一部を成すように、射出一体成形してもよい。アクチュエータ1は、例えば、本体20の側面凹部に接着等により取り付けられる。この例では、アクチュエータ1のアクチュエータ機能を使用者に対する触覚提示に使用し、そのセンサ機能を使用者のスイッチON/OFF情報の入力手段として使用する。
【0129】
アクチュエータ1は触覚提示情報確定手段を構成し、タッチカバー38を押下操作する使用者の指30に振動制御信号SVaに基づいて触覚を提示すると共に、操作者の指30の接触位置における、タッチカバー38に加わる外力を検出して力検出信号(検出電圧Vd)を出力する機能を有している。力検出信号は、タッチカバー38が押下されたとき、スイッチON/OFF入力情報を確定する(第1の入出力装置)。
【0130】
また、本体20には表示手段62が備えられる。表示手段62は入力情報を表示する。上位の制御系では、例えば、表示手段62に表示された入力項目を選択する操作者の指30の押下力F’を検出し、ここで検出された操作者の指30の押下力F’に基づいて入力項目が選択されたと判断する。
【0131】
アクチュエータ1は、図14Bに示すように、給電電極2、共通電極6及び検出電極8と、給電電極2と共通電極6との間に接合された圧電素子3と、共通電極6と検出電極8との間に接合された圧電素子7とを備える。アクチュエータ1では、給電電極2と共通電極6との間に所定の振動制御電圧が供給され、検出電極8からは、タッチカバー38に加わる外力に基づく力検出信号が取り出される。つまり、アクチュエータ1は入力手段を構成し、操作者の指30の接触有無を検出してスイッチON情報又はOFF情報を出力するように動作する。例えば、操作者の指30がタッチカバー38に触れられ、そこを押下されると、押下力F’が検出され、スイッチON情報(又はスイッチOFF情報)を出力するようになされる。
【0132】
図15は、入出力装置100の制御系の構成例を示す回路図である。図15に示す入出力装置100は、アクチュエータ1、タッチカバー38及び制御手段15から構成される。図中、波形状で示す部分はダイヤフラムを有している。タッチカバー38は検出電極8上の全面を覆うと共に、その周辺はダイヤフラムを介して本体20に上下動自在に係合される。
【0133】
この例で、制御手段15は、アクチュエータ1の入出力を制御する。例えば、制御手段15は、アクチュエータ1が押下されたとき、アクチュエータ1から第1の力検出信号SVdを入力し、この力検出信号SVdに基づいてアクチュエータ1に振動制御信号SVaを出力し、アクチュエータ1が振動制御信号SVaに基づいて操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ1が押下されたとき、アクチュエータ1から第2の力検出信号SVdを入力する。
【0134】
制御手段15は、出力アンプ77、オペアンプ87及びコンパレータ88を有して構成される。出力アンプ77は給電電極2に接続され、予め上位の制御系から設定された振動制御信号SVaに応じて給電電極2と共通電極6との間に振動制御電圧Vaを給電する。オペアンプ87は、検出電極8に接続され、この検出電極8から力検出信号SVdを増幅して、コンパレータ88に力検出電圧Vd’を出力する。
【0135】
コンパレータ88は、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ1が押下されたとき、アクチュエータ1から出力され、オペアンプ87を介して入力される力検出電圧Vd’とアクチュエータ1に出力される振動制御電圧Vaとを入力して差を演算することにより力検出電圧Vdを上位の制御系に出力する。上位の制御系では、コンパレータ88から得られる検出電圧Vdに基づいてアクチュエータ1への給電制御を実行する。この給電制御において、上位の制御系は、出力アンプ77へ振動制御信号SVaを出力する。出力アンプ77は、振動制御信号SVaに基づいて給電電極2への給電制御を実行する。この給電制御により、操作者の指30に触覚刺激を付与するようになされる。
【0136】
この例でも、上位の制御系は、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ1が押下されたとき、力検出信号SVdに基づく力検出情報が正である場合又は当該力検出信号SVdに基づく力検出情報が負である場合によって、アクチュエータ1への閾値を越える押下が有った又はその押下が無かったことを判別する。
【0137】
このように、入出力装置100を応用した第5の実施例としての携帯端末装置500によれば、本発明に係るアクチュエータ1が触覚提示情報確定手段として応用される。入出力装置100は、タッチカバー38上から操作者の指30の接触位置における押下力F’を検出してスイッチON又はOFF情報を入力する。アクチュエータ1は、タッチカバー38を押下操作する操作者の指30に触覚を提示すると共に、当該操作者の指30の接触位置における押下力F’を検出してスイッチON/OFF情報を確定するようになされる。
【0138】
従って、確定された入力情報に基づいて新たな入力選択項目の表示や、入力項目の更なる入力操作を継続できるようになる。これにより、触覚機能付きの入出力装置100を応用した携帯端末装置500の機能の向上を図ること、及び、触覚制御シーケンスを高速に、かつ、信頼性良くデータ処理することができる。触覚入出力機能付きの携帯端末装置500を提供できる。
【実施例6】
【0139】
図16は、第2の入出力装置を応用した第6の実施例としての携帯端末装置600の構成例を示す斜視図である。
図16に示す携帯端末装置(PDA)600は電子機器の一例であり、入力項目選択用の表示画面上で操作者の指30によって入力操作される触覚機能付きの入出力装置400を備えている。入出力装置400には本発明に係る入出力装置が使用される。携帯端末装置600は、各種電子機器のリモコンや、電子辞書、携帯電話機、デジタルカメラ等に適用して好適である。携帯端末装置600は、本体20を有している。本体20には複数の機能キー21〜28を有しているが、これらの機能キー21〜28の他にブラインドタッチ可能な入出力装置400を有している。
【0140】
入出力装置400は、タッチパネル61や、表示手段62、4つの多機能圧電アクチュエータ(以下単にアクチュエータという)100a〜100d等を有して構成され、タッチパネル61に振動的な変位を与える構造になっている。タッチパネル61は入力手段の一例を構成し、操作体の一例となる操作者の指30の接触位置を検出して入力情報を出力するように動作する。例えば、操作者の指30が表示手段62に表示されたアイコン等を選択してそこに触れると入力情報を出力するようになされる。
【0141】
表示手段62には、メニュー画面やアイコンボタン等の入力項目が表示される。表示手段62には液晶表示装置やEL(エレクトロルミネッセンス)素子が使用される。アクチュエータ100a〜100dは触覚提示情報確定手段を構成し、タッチパネル61を操作する使用者の指に触覚を提示すると共に、操作者の指30の接触位置における、タッチパネル61に加わる外力を検出して力検出信号を出力するように動作する。
【0142】
力検出信号は、タッチパネル61で選択された入力情報を確定するようになされる。入出力装置400において、アクチュエータ100a〜100dには、第1〜第3の実施例で説明した多機能圧電アクチュエータ1、10及び300が応用される。この例では、多機能圧電アクチュエータ1、10及び300のアクチュエータ機能を使用者に対する触覚提示に使用し、そのセンサ機能を使用者の入力情報収集手段として使用する(第2の入出力装置)。
【0143】
図17は、携帯端末装置600における入出力装置400のタッチパネル61、表示手段62、アクチュエータ100a,100bを含む構成例を示す断面図である。タッチパネル61の下方には表示手段62が設けられ、この表示手段62に表示される入力項目は、タッチパネル61を透過して使用者に提示される構造である。
【0144】
支持フレーム71の内側には、表示面が露出するように表示手段62が配置され、その支持フレーム71上の4隅(図中では2つのみを示す)には、アクチュエータ100a,100b等が配置されている。左側のアクチュエータ100aは、支持フレーム71上の2つの支持部73a及び73bを枕にして配置され、当該アクチュエータ100aの中央部には支持部73cが設けられている。支持部73aは当該アクチュエータ100aの上端部72bの背面側に配置され、支持部73bは端子16に隣接して配置される。端子16は、図15Bに示した端子16a〜16gを構成する。
【0145】
右側のアクチュエータ100bは、支持フレーム71上の2つの支持部74a及び74bを枕にして配置され、当該アクチュエータ100bの中央部には支持部74cが設けられている。支持部74aは当該アクチュエータ100bの上端部72bの背面側に配置され、支持部74bは端子16に隣接して配置される。端子16は、例えば、図7に示した端子16a〜16gを構成する。
【0146】
支持部73c及び74c上にはタッチパネル61が配置される。タッチパネル61は、上部逆L型の側面支持部材70によって支持フレーム71に固定されている。タッチパネル61と側面支持部材70の上端部70a、70bとの間には、シール部材70a及び70bが挟み込まれている。支持部73a〜73c、支持部74a〜74cは、振動伝達機構64を構成する。
【0147】
各々のアクチュエータ100a、100bには、制御装置50’が接続されている。例えば、当該アクチュエータ100aの端子16には、図7に示した7本の引き出し線L1〜L7が接続される。この引き出し線L1〜L7は制御装置50’に接続される。また、アクチュエータ100bの端子16には、図7に示した7本の引き出し線L1〜L7が接続される。この引き出し線L1〜L7も制御装置50’に接続される。
【0148】
制御装置50’は、アクチュエータ100aに対して引き出し線L1〜L7を通じてアクチュエータとして機能する積層圧電体群14a、14bに振動制御電圧(アクチュエータ駆動電圧)Vaを加える。このときの曲げ変形(R)をタッチパネル61のZ方向の変位Uに変換するようになされる。例えば、制御装置50’は、振動制御電圧Vaを発生して、アクチュエータ100aに接続された引き出し線L1、L2、L6、L7を通じて、図7に示した端子16a、16b、16f、16gを介して積層圧電体群14a及び積層圧電体群14bの圧電体#1〜#5及び圧電体#14〜#18に給電すると、中央電極13を基準にして、積層圧電体群14aが伸長し、積層圧電体群14bが収縮するようにして振動する。従って、アクチュエータ100aをアクチュエータ機能として動作させることができる。
【0149】
また、制御装置50’は、アクチュエータ100bに対して引き出し線L1〜L7を通じてアクチュエータとして機能する積層圧電体群14a、14bに振動制御電圧Vaを加える。このときの曲げ変形(R)をタッチパネル61のZ方向の変位Uに変換するようになされる。例えば、制御装置50’は、振動制御電圧Vaを発生して、アクチュエータ100bに接続された引き出し線L1、L2、L6、L7を通じて、図7に示した端子16a、16b、16f、16gを介して積層圧電体群14a及び積層圧電体群14bの圧電体#1〜#5及び圧電体#14〜#18に給電すると、中央電極13を基準にして、積層圧電体群14aが伸長し、積層圧電体群14bが収縮するようにして振動する。従って、アクチュエータ100bをアクチュエータ機能として動作させることができる。
【0150】
図18A及びBは、入出力装置400におけるタッチパネル押下時の動作例を示す断面図である。図18Aに示す支持部73cは、使用者の指30がタッチパネル61を押し、図18Bに示す波線円内図で、その押し下げ力Fによってアクチュエータ100が曲げ変形(R)をするときの支点になっている。アクチュエータ100a等では、図7に示したセンサ機能する積層圧電体群14cで力検出信号SVd(検出電圧Vd)が発生する。
【0151】
例えば、積層圧電体群14cの圧電体#7〜#12に対して外力が加わると、引き出し線L3及び引き出し線L3に力検出信号SVdが発生する。この力検出信号SVdは、制御装置50’に出力される。制御装置50’では、例えば、力検出信号SVdが信号処理され、力検出データDdとして上位の制御系に出力するようになされる。従って、アクチュエータ100a等のアクチュエータ機能を維持しつつ力検出センサとしても動作させることができる(図7参照)。
【0152】
図19は、携帯端末装置600の主要部の構成例を示すブロック図である。図19に示す携帯端末装置600は、制御装置50’及び入出力装置400を有している。制御装置50’は、例えば、アナログ・デジタル(以下A/Dという)コンバータ51、デジタル/アナログ(以下D/Aという)コンバータ52、メモリ53、プロセッサ54、CPU55、電流アンプ56、オペアンプ87a〜87d及びコンパレータ88から構成される。制御装置50’は、タッチパネル61から出力される操作データD3に基づいて振動制御電圧Vaを発生する。
【0153】
入出力装置400は、タッチパネル61、表示手段62及び振動発生手段63から構成される。タッチパネル61は、図12に示したような入力手段84及び入力処理部86等から構成される。入力手段84の機能としては、表示画面上の操作者の指の接触位置を検出して位置検出信号を出力する。この例では、メニュー画面やアイコンボタン等の入力項目が押下されたとき、例えば、入力処理部86が位置検出信号を処理して座標入力位置情報を構成する操作データD3をCPU55に出力する。表示手段62は、CPU55から出力される表示データD2に基づいてメニュー画面やアイコンボタン等の入力項目を表示する。
【0154】
この例で、入出力装置400には振動発生手段63が備えられる。振動発生手段63は、4つのアクチュエータ100a〜100d、図17に示した振動伝達機構64等を有している。アクチュエータ100a〜100d等は制御装置50’に接続される。アクチュエータ100a〜100dは、制御装置50’から出力される振動制御電圧Vaに基づいて操作者の指30に触覚を提示すると共に、当該操作者の指30の接触位置における力を検出して力検出信号SVdを出力する。
【0155】
制御装置50’は、アクチュエータ100a〜100dの、図7に示した積層圧電体群14cの中央電極13から得られる力検出信号SVdに基づいて積層圧電体群14a、14bの主電極IEへの給電制御を実行する。制御装置50’は、アクチュエータ100a〜100dが振動制御電圧Vaに基づいて操作者の指30に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ100a〜100dが押下されたとき、アクチュエータ100a〜100dから力検出信号SVdを入力し、振動制御電圧Vaと力検出電圧Vd’とを入力して差を演算することにより力検出情報を判別するようになされる。
【0156】
この例でも、アクチュエータ100aには、オペアンプ87aが接続される。オペアンプ87aは、中央電極13に接続され、この中央電極13から出力される力検出信号SVd(検出電圧Vd)を増幅して、コンパレータ88に出力する。他のアクチュエータ100b〜100dにも、1つずつオペアンプ87b〜87dが接続される。4つのオペアンプ87a〜87dの出力は、例えば、コンパレータ88の+端子(q点)にまとめて接続される。もちろん、これに限られることはなく、q点に論理和回路等を挿入してもよい。
【0157】
コンパレータ88は、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ100a等が押下されたとき、アクチュエータ100aから出力され、オペアンプ87a等を介して入力される力検出電圧Vd’とアクチュエータ100a〜100dに出力される振動制御電圧Vaとを入力して差を演算することにより力検出電圧VdをA/Dコンバータ51に出力する。
【0158】
A/Dコンバータ51では、コンパレータ88から得られた検出電圧VdをA/D変換してデジタルの力検出データDdを出力する。A/Dコンバータ51にはプロセッサ54が接続され、CPU55の演算制御を補助するように動作する。例えば、プロセッサ54は、力検出データDdに基づいてアクチュエータ100a〜100dへの給電制御を実行する。この給電制御によれば、A/Dコンバータ51から力検出データDdを入力し、この力検出データDdに基づいて振動波形パターンを決定し、パターン決定データDd’をCPU55に通知する。プロセッサ54にはデジタル信号処理装置(以下DSPという)が使用される。
【0159】
プロセッサ54にはメモリ53が接続され、各種振動パターンデータDpが格納されている。例えば、操作受付けを示すアクナレッジ波形パターンP10、各種触覚波形を与える振動制御波形パターンP11、P12、P13、P14が格納される。振動制御波形パターンP11は、クリック感、例えば、剛性感を発生するいわゆる矩形波パターンである。振動制御波形パターンP12は、ハートビートのようなリズム感覚を感じるようなデジタル波形パターンである。振動制御波形パターンP13は、連続的な動きを発生する動作感を感じるような波形パターンである。振動制御波形パターンP14は、普通のタッチパネル面の反応、すなわち、ほぼ一定の振動変位を与えるパターンである。
【0160】
プロセッサ54には、メモリ53の他にCPU55が接続され、操作データD3及びパターン決定データDd’に基づいて振動波形パターン読出しを決定する。CPU55はプロセッサ54にパターン読出許可命令Dcを出力する。プロセッサ54は、パターン読出許可命令Dcに基づいてメモリ53から振動パターンデータDpを読み出してD/Aコンバータ52にセットする。
【0161】
プロセッサ54には、D/Aコンバータ52が接続され、プロセッサ54によって読み出され振動パターンデータDpをD/A変換した後に、アナログの振動制御信号SVaを電流アンプ56に出力する。電流アンプ56は、出力アンプの一例であり、振動制御信号SVaに基づいて振動制御電圧Vaを発生する。振動制御電圧Vaは、アクチュエータ100a〜100dでアクチュエータとして機能する積層圧電体群14a、14bに供給される。この給電制御により、操作者の指30に触覚刺激を付与するようになされる。なお、プロセッサ54、D/Aコンバータ52及び電流アンプ56は、図12に示したアクチュエータ駆動回路37を構成する。
【0162】
このように、プロセッサ54は、表示手段62に表示された入力項目を選択する使用者の指30の力Fを検出し、CPU55は、プロセッサ54が検出した使用者の指30の力に基づいて入力項目が選択されたと判断する。例えば、CPU55は、プロセッサ54を介して、プロセッサ積層圧電体群14cの中央電極13から得られる力検出信号SVdに基づいて入力項目が選択されたと判断し、その後、プロセッサ54を介して、積層圧電体群14a及び14bの主電極IEへの給電制御を実行することで、使用者の指30に触覚刺激を付与する(触覚によるアクナレッジ方法)。
【0163】
続いて、携帯端末装置600の制御例について説明をする。図20は、携帯端末装置600における動作例を示す構成図である。この例では、入出力装置400内のアクチュエータ100a〜100d等がアクチュエータとして機能する場合、これらが力検出センサとして機能する場合、及び、これらを一連に動作させる場合の3つに分けてその説明をする。
【0164】
[アクチュエータ機能]
図20に示す表示手段62には、メニュー画面が表示され、この例では、そのメニュー画面に4つのアイコン31〜34が表示される場合である。使用者は、その4つのアイコン31〜34のいずれかを選択する場合を前提とする。
【0165】
図20において、使用者の指30がメニュー画面に表示されたアイコン31、32、33又は34上をタッチパネル61を介して触れると、その触れた位置の座標位置情報が操作データD3となってCPU55に出力される。CPU55は、使用者の指30が触れられたアイコン、例えば、アイコン31に対応する振動制御波形パターンP11を特定する。CPU55は、アイコン31に対応する振動制御波形パターンP11をメモリ53から読み出すようにプロセッサ54を制御する。
【0166】
プロセッサ54は、メモリ53から振動制御波形パターンP11を与える振動パターンデータDpを読み出してD/Aコンバータ52にセットする。D/Aコンバータ52は、プロセッサ54によって読み出され振動パターンデータDpをD/A変換した後に、アナログの振動制御信号SVaを電流アンプ56に出力する。電流アンプ56は、振動制御信号SVaに基づいて振動制御電圧Vaを発生する。当該振動制御電圧Vaは、アクチュエータ100a〜100dでアクチュエータとして機能する積層圧電体群14a、14bに供給される。これにより、タッチパネル面ではアイコン31に対応したクリック感のある振動が発生し、使用者の指30に触覚刺激として提示される。
【0167】
アイコン32に触れた場合は、タッチパネル面において、振動制御波形パターンP12に基づくハートビートのようなリズム感覚を感じるような振動が発生し、使用者の指30に触覚刺激として提示される。また、アイコン33に触れた場合は、タッチパネル面において、振動制御波形パターンP13に基づく連続的な動きを発生する動作感を感じるような振動が発生し、使用者の指30に触覚刺激として提示される。アイコン34に触れた場合は、振動制御波形パターンP14に基づく普通のタッチパネル面の反応、すなわち、ほぼ一定の振動変位を与えるのみである。
【0168】
また、使用者が指先をタッチパネル面から離したり、又は、タッチパネル面上をスライドさせ、アイコン31等が表示されているエリアから外れた場合は、随時、タッチパネル61からCPU55へ出力されるの座標位置情報により、CPU55がアイコンタッチ有無を判断して、アクチュエータ100a〜100dに対する振動制御電圧Vaをリセットするようになされる。このリセット動作によって、タッチパネル面の振動は停止する。このように、使用者は、アイコン31や、32、33、34等を眼で確認しなくても、タッチパネル面に触れることにより、自分がどのアイコン31、32、33又は34を選択しようとしているかを知ることができる。このように、アクチュエータ100a〜100d等をアクチュエータ機能として動作させることができる。
【0169】
[力検出センサ機能]
図20において、使用者がタッチパネル上に指先を接触させると、タッチパネル61が受ける押圧力Fによりアクチュエータ100a〜100dは変形し、力検出センサとして機能する積層圧電体群14cに力検出信号SVdが生じる(図18A,B参照)。上述の方法で使用者が自分が選択したいアイコン上に、自分の指30があると知ったとき、使用者が例えば、そのアイコン31等を選択するために、更に強くタッチパネル61を押し込むようになされる。この押し込み操作により、力検出センサとして機能する積層圧電体群14cには、より大きな力検出信号SVdが生じる。
【0170】
この力検出信号SVdは、オペアンプ87a等に出力される。オペアンプ87aは、力検出信号SVd(検出電圧Vd)を増幅して、コンパレータ88に出力する。コンパレータ88は、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ100a等が押下されたとき、アクチュエータ100aから出力され、オペアンプ87a等を介して入力される力検出電圧Vd’とアクチュエータ100a〜100dに出力される振動制御電圧Vaとを入力して差を演算することにより力検出電圧VdをA/Dコンバータ51に出力する。
【0171】
A/Dコンバータ51では、コンパレータ88から得られた検出電圧VdをA/D変換してデジタルの力検出データDdを出力する。力検出データDdは、A/Dコンバータ51からプロセッサ54に出力される。プロセッサ54は、A/Dコンバータ51から力検出データDdを入力し、この力検出データDdに基づく被比較レベルと、予め設定された閾値レベルとを随時比較するようになされる。
【0172】
力検出データDdに基づく被比較レベルが閾値レベルを越える場合、CPU55は、使用者がアイコン31等を選択(押下)した状態(場合)であると判別する。この被比較レベルが閾値レベルを越えない場合は、使用者がアイコン31等を探している状態であると判別する。これにより、アクチュエータ100a〜100d等が力検出センサとして動作する。
【0173】
[アクチュエータ及び力検出センサの一連の動作例]
図21A〜Cは、入出力装置400における一連の動作例及び波形例を示す図である。図21B及びCにおいて、横軸は時刻t及び指30の接触位置Xである。縦軸は振動制御波形パターンP10〜P13に基づく振動制御電圧Va及び力検出信号SVdの合成値[V]である。
【0174】
第6の実施例では、使用者がアイコン31上を左側から右側にスライドしてアイコン33を探し、それを選択する場合を例に挙げる。この場合のアクチュエータ100a〜100dの一連の働きを、具体的な振動制御波形パターンP10〜P13に基づくアクチュエータ機能と、力検出センサ機能で検出される力検出信号SVdとを用いて説明をする。
【0175】
図21Aにおいて、使用者は、図中(イ)の位置、すなわち、開始点(イ)を起点に、アイコン31の左端部から所望のアイコン33を探し出すために、右矢印の方向に、使用者の指30をタッチパネル61上にスライドする。所望のアイコン33上に指30が到達した時点(位置)で選択動作を行なう。
【0176】
これらを操作条件にして、まず、開始点(イ)において、すなわち、時刻t0では、使用者がアイコン31、33のいずれにも触れていない状態なので、図21Bに示す振動制御電圧Vaのレベルは0である。これは、タッチパネル面が振動制御波形パターンP11等に基づく振動制御電圧Vaに比例して変位するが、このときは当該振動制御電圧Vaが0で振動がないためである。この場合、使用者は何も感じないのである。一方で力検出信号SVdとしては、使用者がタッチパネル面に軽く指30を触れているだけなので、それに応じた力検出信号SVdが現れる。このときの力検出信号SVdは、図21Cに示すように閾値を下回る電圧である。
【0177】
次に、使用者が指30をスライドさせ、時刻t1で位置x1のアイコン31上に到達すると、プロセッサ54は、メモリ53から予め定義された振動制御波形パターンP11をD/Aコンバータ52にセットする。D/Aコンバータ52では、プロセッサ54によって読み出され振動パターンデータDpをD/A変換した後に、アナログの振動制御信号SVaを電流アンプ56に出力する。電流アンプ56は、振動制御信号SVaに基づいて振動制御電圧Vaを発生する。当該振動制御電圧Vaは、アクチュエータ100a〜100dでアクチュエータとして機能する積層圧電体群14a、14bに供給される。
【0178】
これにより、タッチパネル面ではアイコン31に対応したクリック感のある振動が発生し、使用者の指30に触覚刺激として提示される。この際の力検出信号SVdについては、使用者がタッチパネル61に触れていることによる検出電圧Vdと、振動制御波形パターンP11によるアクチュエータ100a〜100d等の変形による振動制御電圧Vaとを重畳させた力検出電圧Vd’になる。
【0179】
さらに、使用者が指30を右側に移動させると、時刻t2で位置x2のアイコン31から外れるので、再び、開始点(イ)と同じ状態になる。この状態は、時刻t3で位置x3のアイコン33上まで行くと、そのアイコン33に応じた振動制御波形パターンP13がメモリ53からD/Aコンバータ52にセット(出力)される。D/Aコンバータ52では、プロセッサ54によって読み出され振動パターンデータDpをD/A変換した後に、アナログの振動制御信号SVaを電流アンプ56に出力する。
【0180】
電流アンプ56は、振動制御信号SVaに基づいて振動制御電圧Vaを発生する。当該振動制御電圧Vaは、アクチュエータ100a〜100dでアクチュエータとして機能する積層圧電体群14a、14bに供給される。これにより、タッチパネル面では振動制御波形パターンP13に基づく連続的な動きを発生する動作感を感じるような振動が発生し、使用者の指30に触覚刺激として提示される。
【0181】
ここで使用者がこのアイコン33を選択するために、時刻t4で位置x4のタッチパネル面を押し込む。すると、力検出信号SVdの値は押圧力Fに比例して大きくなる。この力検出信号SVdの値が予め設定してある、図21Cに示す閾値Vthを超えたとき、CPU55は、使用者による選択がなされたと判断する。この判断をしたCPU55は、使用者による操作を受け付けたことを示すアクナレッジ波形パターンP10をメモリ53から読み出してD/Aコンバータ52に出力する。これによって、アクナレッジ波形パターンP10に基づいて急峻に立ち上るような振動が発生し、使用者は自分の選択行為がCPU55に受け付けられたことを知る(確認)することができる。
【0182】
このように本発明に係る第6の実施例としての触覚入出力機能付きの携帯端末装置600によれば、本発明に係る入出力装置400が応用される。この携帯端末装置600において、入力項目選択用の表示画面上で入力操作する場合に、最初の入力として、CPU55は、タッチパネル61が接触されたとき、又は、タッチパネル61が強く押下されたとき、タッチパネル61から得られる位置検出信号に基づく操作データD3を入力し、又は及び、アクチュエータ100a等から得られる第1の力検出信号SVdに基づく力検出データDdを入力する。
【0183】
CPU55は、操作データD3又は及び第1の力検出データDdに基づいてアクチュエータ100a等に振動制御電圧Vaを出力する。アクチュエータ100a等は振動制御電圧Vaに基づいて操作者の指に触覚を提示する。その触覚提示状態で、更に、新たな異なる入力として、アクチュエータ100a等が押下されたとき、CPU55は、アクチュエータ100a等から出力される力検出信号SVdに基づく力検出データDdを入力する。
【0184】
この例では、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ100a等が押下されたとき、コンパレータ88は、オペアンプ87a等から出力される力検出電圧Vd’と、電流アンプ56からアクチュエータ100a等へ出力される振動制御電圧Vaとを入力して差を演算する。この演算により力検出電圧VdをA/Dコンバータ51に出力するようになる。
【0185】
従って、A/Dコンバータ51は、検出電圧Vdに基づいて入力判別することができる。この入力判別の結果から得られる力検出データDdをトリガにして、CPU55は、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。これにより、触覚入出力機能付きの携帯端末装置600の機能の向上を図ること、及び、触覚制御シーケンスを高速に、かつ、信頼性良くデータ処理することができる。
【0186】
なお、使用者の操作は、タッチパネル61を触っただけでアイコンボタンの種類等を判断し、適当なものを選択するというもので、表示画面を注視することが必要ない、いわゆる「ブラインド操作」である。これは特に、車載に携帯端末装置600を応用した場合、運転操作を視覚的に妨げることがないので使用者の安全に寄与する。
【0187】
また車載機器に限らず、近年にみられる放送や映像配信の多チャンネル化により操作が複雑になった大型テレビ等の操作リモコンに「ブラインド操作」を応用すれば、メイン設定画面から眼をそらすことなく、手元で複雑な操作を実行することが可能となるので、入出力装置400や携帯端末装置600の操作性が向上する。
【0188】
A/Dドライバ89、A/Dコンバータ51又はCPU55における入力判別アルゴリズムは、安定した入力検出を実行するために、複数個の検出値を平均し、その合計等の演算を行った結果を判別の変数としてもよい。つまり、サンプリング周波数が許す範囲内で、検出電圧Vdとしてどのような演算結果を用いてもよいということである。
【0189】
また、当然のことであるが、上述した状況において、入力が検出された場合、検出された入力情報は即座に出力として、他の情報処理系等に出力される。その場合、検出時に出力されていた一つ前の出力を即座に停止させる機能(アルゴリズム)をA/Dドライバ89、A/Dコンバータ51、D/Aコンバータ52、D/Aドライバ76又はCPU55が所有するように構成してもよい。
【0190】
このように、第1〜第6の実施例によれば、アクチュエータ出力処理を実行しながら、簡易な入力検出が可能となる。また、入力判別アルゴリズムが簡素となることから、機器の小型化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0191】
この発明は、予め準備された入力項目選択用の表示画面の中からアイコンを選択して情報を入力する際に触覚を提示するようになされたゲーム装置や、情報処理装置、携帯電話機、情報携帯端末装置等に適用して極めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】本発明に係る第1の実施例としての触覚機能付きの入出力装置100の構成例を示すブロック図である。
【図2】A及びBは、圧電複合手段の一例としての多機能圧電アクチュエータ1の構成例を示す斜視図及び断面図である。
【図3】アクチュエータ1の機能例を示すグラフ図である。
【図4】A〜Cは、コンパレータ88の機能例を示す波形図である。
【図5】触覚機能付きの入出力装置100の動作例を示すフローチャートである。
【図6】A及びBは、第2の実施例としての入出力装置に使用可能な多機能圧電アクチュエータ(結線固定型)10の構成例を示す斜視図及び断面図である。
【図7】第3の実施例としての入出力装置に使用可能な結線可変型の多機能圧電アクチュエータ300の断面の構成例を示す図である。
【図8】多機能圧電アクチュエータ300の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図9】第4の実施例としての触覚機能付きの入出力装置400の構成例を示す組立斜視図である。
【図10】振動伝達機構80の構成例を示す拡大斜視図である。
【図11】振動伝達機構80における制御系の構成例を示すブロック図である。
【図12】触覚機能付きの入出力装置400の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図13】触覚機能付きの入出力装置400の動作例を示すフローチャートである。
【図14】A及びBは、第1の入出力装置を応用した第5の実施例としての携帯端末装置500の構成例を示す概念図である。
【図15】入出力装置100の制御系の構成例を示す回路図である。
【図16】第2の入出力装置を応用した第6の実施例としての携帯端末装置600の構成例を示す斜視図である。
【図17】入出力装置400のタッチパネル61、表示手段62、アクチュエータ100a,100bを含む構成例を示す断面図である。
【図18】A及びBは、入出力装置400におけるタッチパネル押下時の動作例を示す断面図である。
【図19】携帯端末装置600の主要部の構成例を示すブロック図である。
【図20】携帯端末装置600における動作例を示す構成図である。
【図21】A〜Cは、入出力装置400における一連の動作例及び波形例を示す図である。
【符号の説明】
【0193】
1,10,300・・・多機能圧電アクチュエータ(圧電複合装置)、15,15’・・・制御手段、35・・・記憶手段、37,37’・・・アクチュエータ駆動回路、50・・・制御装置、53・・・メモリ、55・・・CPU(制御手段)、61・・・タッチパネル(入力手段)、62・・・表示手段、63・・・振動発生手段、64,80・・・振動伝達機構、84・・・入力手段、100,400・・・入出力装置、500,600・・・携帯端末装置(電子機器)
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め準備された入力項目選択用の表示画面の中からアイコンを選択して情報を入力する際に操作者の指に触覚を提示するようにした情報処理装置や、携帯電話機、情報携帯端末装置等に適用して好適な触覚機能付きの入出力装置及び電子機器に関する。
【0002】
詳しくは、触覚制御シーケンスにおいて、最初の入力を受けた後、更に出力を実行し、その状態で更に新たな異なる入力を受ける場合であって、第1の力検出信号に基づいて圧電複合手段を振動制御信号に基づいて触覚提示制御する制御手段を備え、更に、圧電複合手段が押下されたとき、その圧電複合手段から得られる第2の力検出信号に基づいて入力を判別するようにして、操作体に触覚を提示している状態で、第2の力検出信号をトリガにして、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力を操作できるようにしたものである。
【背景技術】
【0003】
近年、ユーザ(操作者)は、ゲーム装置や、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯端末装置に様々なコンテンツを取り込み、それを利用する場合が多くなってきた。これらの携帯端末装置には、キーボードや、JOGダイヤル等の入力装置、更に、表示部を組み合わせたタッチパネルなどの入力装置が使用され、各種情報を入力するようになされる。
【0004】
また、アクチュエータを組み合わせた入出力装置も開発されている。アクチュエータは、2層以上のひずみ量の異なる圧電素子、又は、圧電素子と非圧電素子とを貼り合わせ、この貼合体の圧電素子に振動制御電圧を印加したとき、双方のひずみ量の差によって生じる貼合体の曲げ変形を力学的に利用するものである(振動体機能)。反対に、圧電素子に力を加えると電圧を発生することが知られている(力検出センサ機能)。アクチュエータには、いわゆるバイモルフアクチュエータや、ユニモルフアクチュエータ、円盤アクチュエータ(これらを総括して、以下、単にアクチュエータという)等が使用される場合が多い。
【0005】
この種のアクチュエータを備えた電子機器に関して、特許文献1には、入力出力装置及び電子機器が開示されている。この電子機器によれば、多層圧電バイモルフ型アクチュエータ及びタッチパネルを有する入出力装置を備え、多層圧電バイモルフ型アクチュエータは、情報の種類に応じてタッチパネルを通じて異なる触覚を使用者にフィードバックするようになされる。このように電子機器を構成すると、使用者に対して、情報の種類に応じた入力操作に対する触覚フィードバックを確実に提供できるというものである。
【0006】
これらのアクチュエータを用いた触覚フィードバック制御では、タッチパネルが外部からの入力(位置および、加圧力)を検出し、制御系がタッチパネルからの入力情報をトリガにして、当該タッチパネルまたは筺体を振動させるようになされる。
【0007】
【特許文献1】特開2004−94389号公報(第4乃至5頁 第11図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来例に係る触覚入力機能付きのゲーム装置や、情報処理装置、携帯電話機、情報携帯端末装置等の電子機器において、アクチュエータ機能と力検出センサ機能とを備えた圧電複合手段を利用して入出力装置を構成しようとした場合に、次のような問題がある。
【0009】
i.特許文献1に見られるような多層圧電バイモルフ型アクチュエータを備えた電子機器等に、圧電複合手段を適用した場合であって、その圧電複合手段のアクチュエータ機能と力検出センサ機能とを個々に切り替えて使用する場合には、力検出センサ機能への振動制御電圧の回り込みが生じないので、何ら問題が生じない。しかしながら、アクチュエータ機能と力検出センサ機能とを同時に使用する場合には、力検出センサ機能へ振動制御電圧が回り込んで、力検出処理が複雑になる。
【0010】
ii.このアクチュエータ機能と力検出センサ機能とを同時に使用する場合として、操作者の指に触覚を提示している状態で、同一の圧電複合手段を連続操作して新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等を入力する場合が想定される。これは、電子機器のアプリケーションによって、“出力をしながら入力を受け付ける“ことが必要な場合があるからである。
【0011】
例えば、ゲーム装置において、標的に向けて、操作者が指で操作する機銃等を連射するシーンの場合である。このシーンで、操作者の指に触覚を提示するための振動制御電圧の出力波形が、最大で1.0sec程度になる場合が想定される。従って、そのシーンが終結するのを待たずして、次の入力検出を行なう必要が生じた場合に、1.0秒毎にしか入力を受け付けないのでは、触覚制御シーケンスの高速データ処理の妨げとなる。
【0012】
iii.このような場合に、制御系で、振動体としてのアクチュエータへ供給される振動制御電圧と、力検出機能としてのアクチュエータから検出される力検出電圧をモニタして入力を判別する方法が考えられるが、何らの工夫無しに、データ処理すると、外力が加わっていないのにも係わらず、「入力有り」と判別してしまい、力検出における信頼性が低下するおそれがある。このように、操作者の指(操作体)に触覚を提示している状態で、同一の圧電複合手段を連続操作して新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等を入力することが困難となる。
【0013】
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、操作体に触覚を提示している状態で、同一の圧電複合手段を連続操作して新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等を入力できるようにした触覚機能付きの入出力装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題は、操作体の押圧力を検出して力検出信号を出力する機能と、振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示する機能とを有した圧電複合手段と、この圧電複合手段の入出力を制御する制御手段とを備え、制御手段は、圧電複合手段が押下されたとき、圧電複合手段から得られる第1の力検出信号を入力し、第1の力検出信号に基づいて圧電複合手段に振動制御信号を出力し、圧電複合手段が振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示している状態で、更に、圧電複合手段が押下されたとき、圧電複合手段から得られる第2の力検出信号を判別することを特徴とする触覚機能付きの第1の入出力装置によって解決される。
【0015】
本発明に係る触覚機能付きの第1の入出力装置によれば、圧電複合手段は、操作体の押圧力を検出して力検出信号を出力する機能と、振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示する機能とを有している。これを前提にして、制御手段は、圧電複合手段の入出力を制御する。制御手段は、圧電複合手段が押下されたとき、圧電複合手段から得られる第1の力検出信号を入力し、この第1の力検出信号に基づいて圧電複合手段に振動制御信号を出力する。圧電複合手段は振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示する。この状態で、更に、圧電複合手段が押下されたとき、制御手段は、圧電複合手段から得られる第2の力検出信号を判別する。
【0016】
例えば、操作体に触覚を提示している状態で、更に、圧電複合手段が押下されたとき、制御手段は、圧電複合手段から出力される力検出信号と圧電複合手段に出力される振動制御信号とに基づいて差を演算する。この演算により第2の力検出信号を判別する。従って、第2の力検出信号をトリガにして、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。
【0017】
本発明に係る第2の入出力装置は、入力項目選択用の表示画面上で操作体によって入力操作される触覚機能付き入出力装置であって、表示画面上の操作体の接触位置を検出して位置検出信号を出力する入力手段と、この入力手段から出力される位置検出信号に基づいて振動制御信号を発生する制御手段と、この制御手段から出力される振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示すると共に、当該操作体の接触位置における力を検出して力検出信号を出力する圧電複合手段とを備え、制御手段は、圧電複合手段が振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示している状態で、更に、圧電複合手段が押下されたとき、圧電複合手段から得られる力検出信号を判別することを特徴とするものである。
【0018】
本発明に係る第2の入出力装置によれば、入力項目選択用の表示画面上で入力操作する場合に、入力手段は、表示画面上の操作体の接触位置を検出して位置検出信号を出力する。制御手段は、入力手段から出力される位置検出信号に基づいて振動制御信号を発生する。圧電複合手段は、制御手段から出力される振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示すると共に、当該操作体の接触位置における力を検出して力検出信号を出力する。これを前提にして、制御手段は、圧電複合手段が振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示している状態で、更に、圧電複合手段が押下されたとき、圧電複合手段から得られる力検出信号を判別するようになされる。従って、力検出情報をトリガにして、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。
【0019】
本発明に係る第1の電子機器は、操作体の押圧力を検出して力検出信号を出力する機能と、振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示する機能とを有した圧電複合手段と、この圧電複合手段の入出力を制御する制御手段とを有する触覚機能付きの入出力装置を備えた電子機器において、制御手段は、圧電複合手段が押下されたとき、圧電複合手段から得られる第1の力検出信号を入力し、第1の力検出信号に基づいて圧電複合手段に振動制御信号を出力し、圧電複合手段が振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示している状態で、更に、圧電複合手段が押下されたとき、圧電複合手段から得られる第2の力検出信号を判別することを特徴とするものである。
【0020】
本発明に係る第1の電子機器によれば、第1の入出力装置が応用される。これを前提にして、圧電複合手段は、操作体の押圧力を検出して力検出信号を出力する機能と、振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示する機能とを有している。制御手段は、圧電複合手段の入出力を制御する。制御手段は、圧電複合手段が押下されたとき、圧電複合手段から得られる第1の力検出信号を入力し、この第1の力検出信号に基づいて圧電複合手段に振動制御信号を出力する。圧電複合手段は振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示する。この状態で、更に、圧電複合手段が押下されたとき、制御手段は、圧電複合手段から得られる第2の力検出信号を判別する。従って、第2の力検出信号をトリガにして、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。
【0021】
本発明に係る第2の電子機器は、入力項目選択用の表示画面上で操作体によって入力操作される触覚機能付きの入出力装置を備えた電子機器であって、入出力装置は、表示画面上の操作体の接触位置を検出して位置検出信号を出力する入力手段と、この入力手段から出力される位置検出信号に基づいて振動制御信号を発生する制御手段と、この制御手段から出力される振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示すると共に、当該操作体の接触位置における力を検出して力検出信号を出力する圧電複合手段とを有し、制御手段は、圧電複合手段が振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示している状態で、更に、圧電複合手段が押下されたとき、圧電複合手段から得られる力検出信号を判別することを特徴とするものである。
【0022】
本発明に係る第2の電子機器によれば、第2の入出力装置が応用される。これを前提にして、入力項目選択用の表示画面上で入力操作する場合に、入力手段は、表示画面上の操作体の接触位置を検出して位置検出信号を出力する。制御手段は、入力手段から出力される位置検出信号に基づいて振動制御信号を発生する。圧電複合手段は、制御手段から出力される振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示すると共に、当該操作体の接触位置における力を検出して力検出信号を出力する。制御手段は、圧電複合手段が振動制御信号に基づいて操作体に触覚を提示している状態で、更に、圧電複合手段が押下されたとき、圧電複合手段から得られる力検出信号を判別するようになされる。従って、力検出情報をトリガにして、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る触覚機能付きの第1の入出力装置によれば、第1の力検出信号に基づいて圧電複合手段を振動制御信号に基づいて触覚提示制御する制御手段を備え、この制御手段は、更に、圧電複合手段が押下されたとき、その圧電複合手段から得られる第2の力検出信号に基づいて入力を判別するようになされる。
【0024】
この構成によって、操作体に触覚を提示している状態で、第2の力検出信号をトリガにして、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。従って、触覚機能付きの入出力装置の機能の向上を図ること、及び、触覚制御シーケンスを高速に、かつ、信頼性良くデータ処理することができる。
【0025】
本発明に係る触覚機能付きの第2の入出力装置によれば、入力項目選択用の表示画面上で入力操作する場合に、操作体の接触位置を検出して得た位置検出信号に基づいて触覚提示制御をする制御手段を備え、この制御手段は、操作体に触覚を提示している状態で、更に、圧電複合手段が押下されたとき、その圧電複合手段から得られる力検出情報を判別するようになされる。
【0026】
この構成によって、操作体に触覚を提示している状態で、力検出情報をトリガにして、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。従って、触覚機能付きの入出力装置の機能の向上を図ること、及び、触覚制御シーケンスを高速に、かつ、信頼性良くデータ処理することができる。
【0027】
本発明に係る第1の電子機器によれば、第1の入出力装置が応用されるので、操作体に触覚を提示している状態で、第2の力検出信号をトリガにして、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。従って、触覚機能付きの第1の入出力装置を応用した電子機器の機能の向上を図ることができる。
【0028】
本発明に係る第2の電子機器によれば、第2の入出力装置が応用されるので、操作体に触覚を提示している状態で、力検出情報をトリガにして、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。従って、触覚機能付きの第2の入出力装置を応用した電子機器の機能の向上を図ること、及び、触覚制御シーケンスを高速に、かつ、信頼性良くデータ処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
続いて、この発明に係る触覚機能付きの入出力装置及び電子機器の一実施例について、図面を参照しながら説明をする。
【実施例1】
【0030】
図1は本発明に係る第1の実施例としての触覚機能付きの入出力装置100の構成例を示すブロック図である。
図1に示す触覚機能付きの入出力装置100は、入力操作時、操作体としての操作者の指に触覚を提示する装置であり、各種入力情報を処理するゲーム装置や、情報処理装置、携帯電話機、情報携帯端末装置等に適用して好適である。この入出力装置100は、多機能圧電アクチュエータ(以下単にアクチュエータという)1、記憶手段35及び制御手段15を備えて構成される。
【0031】
アクチュエータ1は圧電複合手段の一例であり、圧電素子を積層したものであって、振動制御信号SVaに基づいて操作者の指に触覚を提示する機能と、例えば、操作者の指の押圧力Fを検出して力検出信号SVdを出力する機能とを有している。振動制御信号SVaは、アンプ等により増幅して振動制御電圧(アクチュエータ駆動電圧)Vaとしてアクチュエータ1に印加される。力検出信号SVdは、検出電圧Vdを含んでアクチュエータ1から取り出される。
【0032】
力検出信号SVdは、操作者の指等による押圧力Fによって発生する。アクチュエータ1は、触覚提示時において、押圧力Fを検出した場合に、力検出信号SVdを出力する。力検出信号SVdには、検出電圧Vdの信号成分と振動制御電圧Vaの信号成分とが含まれる。例えば、力検出信号SVdは、振動制御信号SVaが検出電圧Vdによって変調され、検出電圧Vdの信号成分と振動制御電圧Vaの信号成分とが合成された形態となる。
【0033】
制御手段15は、アクチュエータ1の入出力を制御するように機能する。制御手段15は、例えば、アクチュエータ駆動回路37、CPU55、オペアンプ87、コンパレータ88及びA/Dドライバ89を有しており、これらの回路やドライバ等が通常の電源Vccに接続されて構成される。当該入出力装置100を携帯端末装置に適用する場合に、電源Vccには、3V程度の直流電源が使用される。
【0034】
オペアンプ87は、アクチュエータ1の検出端子に接続され、当該アクチュエータ1から出力される力検出信号SVdを増幅して力検出電圧Vd’をコンパレータ88に出力する。アクチュエータ1の周辺回路は、電気回路が閉じているので、当該アクチュエータ1が操作体で押下されると、コンデンサの容量で、アクチュエータ1の検出端子に検出電圧Vdが発生する。このコンデンサに蓄積された電荷は、閉回路によって放電され、時刻経過と共に回路で消費されてしまう。これでは、ずっとアクチュエータ1が押下された場合、加圧力F−検出電圧Vdの線形性が保たれない。これを解決するため、抵抗10KΩレベル程度のオペアンプ87が挿入されている。つまり、オペアンプ87を挿入することで、電荷の消費が抑えられ、加圧力F−検出電圧Vdの線形性を保つようになされる。
【0035】
オペアンプ87には、入力手段を構成するコンパレータ88が接続され、振動制御電圧Vaと検出電圧Vdを含む力検出電圧Vd’とを入力して比較処理を実行する。この比較処理では、操作者の指等でアクチュエータ1が押下され、加圧力F−検出電圧Vdの特性が存在する場合であって、コンパレータ88は検出電圧Vdを出力するようになされる(図4参照)。
【0036】
コンパレータ88には、A/Dドライバ89が接続され、検出電圧Vdをアナログ・デジタル変換した力検出データDdを出力するようになされる。A/Dドライバ89では、コンパレータ88の出力である検出電圧Vdが正(Vd>0)の場合、又は、負(Vd<0)の場合を基準にして入力有無を判別するようになされる。A/Dドライバ89では、コンパレータ88から出力される検出電圧Vdに関して、例えば、8μsec程度の高いクロック信号によりサンプリング処理する。従って、Vd>0の場合は、入力有りとみなしてサンプリング処理を続行する。Vd<0の場合は、入力無しとみなして、サンプリング処理を続行する。CPU55は、接触位置や、加圧力等の入力情報を判別するようになされる。
【0037】
この例では、触覚発生状態で更なる新たな異なる入力を受け付ける場合に、Vd>0の場合のみ、力検出データDdをCPU55に出力するようになされる。アクチュエータ1が振動していない場合は、必ず、Vd>0となって、力検出データDdはCPU55に出力されるようになる。なお、連続的な押圧力Fの変化を読み込む間は、β=0となされることから、「Vd’−αVa」を直接、入力有無の判別基準となされる。
【0038】
A/Dドライバ89には、CPU55が接続される。CPU55には更に記憶手段35が接続され、振動パターンデータDpを格納するようになされる。例えば、CPU55は、アクチュエータ1が押下されたとき、当該アクチュエータ1から得られる第1の力検出データDdを入力する。CPU55は、力検出データDdに基づいて記憶手段35から振動パターンデータDpを読み出し、この振動パターンデータDpをアクチュエータ駆動回路37に出力する。CPU55にはアクチュエータ駆動回路37が接続される。
【0039】
アクチュエータ駆動回路37は、D/Aドライバ76及び出力アンプ77を有して構成される。D/Aドライバ76では、CPU55によって読み出された振動パターンデータDpをデジタル・アナログ変換して振動制御信号SVaを発生する。これにより、第1の力検出データDdに基づいて振動制御信号SVaを発生することができる。
【0040】
D/Aドライバ76には出力アンプ77が接続される。出力アンプ77は、通常電圧Vccよりも高い、20V程度の駆動電源Vaaに接続され、振動制御信号SVa及び駆動電源Vaaに基づいて振動制御電圧Vaを発生する。このように、アクチュエータ駆動回路37は、振動パターンデータDpに基づいて振動制御信号SVaを発生し、その後、振動制御信号SVaを増幅する。増幅後の振動制御信号SVaは振動制御電圧Vaとなってアクチュエータ1に印加される。アクチュエータ1は、振動制御電圧Vaに基づいて振動する。この振動によって操作者の指に触覚を提示することができる。
【0041】
この例で、上述したコンパレータ88は、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ1が押下されたとき、当該アクチュエータ1から出力される力検出信号SVdに基づく力検出電圧Vd’とアクチュエータ1に印加される振動制御信号SVaに基づく振動制御電圧Vaとに基づいてその差を演算することにより検出電圧Vdを出力する。
【0042】
また、CPU55は、アクチュエータ1が振動制御信号SVaに基づいて操作者の指に触覚を提示している状態で、アクチュエータ1が押下されたとき、当該アクチュエータ1から得られる第2の力検出データDdを入力する。力検出データDdはA/Dドライバ89からCPU55へ出力される。そして、CPU55は、第2の力検出信号SVdに基づく力検出データDdが正(Vd>0)である場合又は当該力検出信号SVdに基づく力検出データDdが負(Vd<0)である場合によって、アクチュエータ1への閾値を越える押下が有った又はその押下が無かった旨を判別するようになされる。これにより、CPU55は、入力を受けながら更に触覚発生出力を実行し、その状態で更なる新たな異なる入力を受付できるようになる。
【0043】
図2A及びBは、圧電複合手段の一例となる多機能圧電アクチュエータ1の構成例を示す斜視図及び断面図である。
図2Aに示す結線固定型の多機能圧電アクチュエータ(以下単にアクチュエータという)1は、圧電複合手段の一例であり、圧電アクチュエータ機能と力検出センサ機能とを有するものである。アクチュエータ1は、図2Bに示すように、少なくとも、1つの積層体が電気的に2つ単層圧電体4a及び4bに区分(分割)されて構成される。アクチュエータ1は、給電用の電極(以下給電電極という)2と、共通電極6と、信号検出用の電極(以下検出電極という)8とを有している。給電電極2と共通電極6との間には第1の圧電素子3が接合されて、一方の単層圧電体4aを構成する。単層圧電体4aで給電電極2と共通電極6との間には所定の電圧(振動制御電圧)Vaが供給され、圧電アクチュエータとして機能される。
【0044】
また、共通電極6と検出電極8との間には第2の圧電素子7が接合されて、他方の単層圧電体4bが構成される。この検出電極8からは、外力に基づく力検出信号SVd(以下で力検出電圧Vdともいう)が取り出され、力検出センサとして機能される。アクチュエータ1は、3つの端子9a,9b,9cを有している。第1の端子9aは給電電極2に接続される。この端子9aには引き出し線L1が接続される。第2の端子9bは共通電極6に接続される。この端子9bには引き出し線L2が接続される。第3の端子9cは検出電極8に接続される。この端子9cには引き出し線L3が接続される。
【0045】
上述のようにアクチュエータ1を構成して、引き出し線L1と引き出し線L2にアクチュエータ制御手段を接続し、第1の圧電素子3に端子9a,9b,9c及び端子9a,9b,9cを介して給電すると、第1の圧電素子3が振動する。また、外力が第2の圧電素子7に加わると、引き出し線L3に検出電圧Vdを出力するようになされる。これにより、給電電極2と共通電極6との間に供給した所定の電圧Vaにより変調を受けた外力に基づく力検出信号(検出電圧Vd)のみを取り出せるようになされる。アクチュエータ1は、両機能を同時に使用可能な低電圧駆動型の多機能アクチュエータ等を構成する。
【0046】
図3は、アクチュエータ1の機能例を示すグラフ図である。図3において、横軸は加圧力F[gf]である。加圧力F[gf]は、操作者の指等による押圧力より変化する。縦軸は、加圧力Fに対する検出電圧Vd[V]である。アクチュエータ1は、押圧力F1のとき、検出電圧Vd=X[V]を発生し、押圧力F2のとき、検出電圧Vd=Y[V]を発生する。従って、第1の閾値としてVd=Xを設定し、閾値Xを越える検出電圧(Vd>X)が得られる加圧力Fを検出したとき、CPU55は、閾値Xに基づいて入力が有った旨を判別するようになされる。
【0047】
また、第2の閾値としてVd=Y(Y>X)を設定し、閾値Yを越える検出電圧(Vd>Y)が得られる加圧力Fを検出したとき、CPU55は、閾値Yに基づいて更なる入力が有った旨を判別するようになされる。
【0048】
図4A〜Cは、コンパレータ88の機能例を示す波形図である。図4Aは、出力アンプ77の出力波形であって、振動制御電圧Vaを模擬する波形である。振動制御電圧Vaは、その説明を簡単化するため正弦波で示している。図4Bは、アクチュエータ押下時の出力波形であって、検出電圧Vdを含む力検出電圧Vd’を模擬する波形である。図4Cは、検出電圧Vdを示す波形である。検出電圧Vdは、その説明を簡単化するため矩形波で示している。
【0049】
図4Aに示す振動制御電圧Vaと、図4Bに示す検出電圧Vdを含む力検出電圧Vd’とは、図1に示したコンパレータ88に入力される。コンパレータ88は、振動制御電圧Vaと力検出電圧Vd’とを入力して比較処理を実行する。この比較処理では、操作者の指等でアクチュエータ1が押下され、加圧力F−検出電圧Vdの特性が存在する場合であって、コンパレータ88は、(1)式、すなわち、
Vd=Vd’−αVa−β・・・・・・(1)
により図4Cに示す検出電圧Vdを演算するように動作する。
【0050】
αは演算係数であって、0<α<1の間の値であり、アクチュエータ1が加圧されながら、振動制御電圧Vaが印加された場合に、検出端子から取り出せる検出電圧Vdが振動制御電圧Vaに対して多少小さくなったことを考慮した値である。βは検出電圧Vdを判別する閾値であって、β=XやYの値が代入され、アプリケーションが想定する加圧力Fの閾値に各々対応する。なお、連続的な押圧力Fの変化を読み込む間は、β=0となされる。
【0051】
図5は、触覚機能付きの入出力装置100の動作例を示すフローチャートである。
この実施例では、携帯端末装置等の触覚制御シーケンスにおいて、最初の入力を受けた後、更に出力を実行し、その状態で更に新たな異なる入力を受ける場合であって、第1の力検出データDdに基づいてアクチュエータ1が振動制御電圧Vaにより操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ1が押下されたとき、CPU55は、そのアクチュエータ1から第2の力検出データDdを得て、その操作者の指に触覚を提示している状態で、第2の力検出データDdをトリガにして制御を実行する。
【0052】
これらを動作条件にして、図5に示すフローチャートにおいて、まず、ステップA1で電源オンを待機する。例えば、CPU55は電源オン情報を検出してシステムを起動する。電源オン情報は通常、携帯端末装置等において、時計機能等が稼働し、スリーピング状態にある携帯端末装置等の電源スイッチをオンされたときに発生する。CPU55は、電源オン情報を検出してステップA2に移行する。
【0053】
ステップA2でCPU55は、アクチュエータ1からの触覚起動要求を待機する。触覚起動要求は、アクチュエータ1の力検出機能→オペアンプ87→コンパレータ88→A/Dドライバ89を通じてCPU55に与えられる。例えば、アクチュエータ1の検出端子に接続されたオペアンプ87は、当該アクチュエータ1から出力される力検出信号SVdを増幅して力検出電圧Vd’をコンパレータ88に出力する。
【0054】
コンパレータ88は、振動制御電圧Vaと検出電圧Vdを含む力検出電圧Vd’とを入力して比較処理を実行する。この比較処理では、操作者の指等でアクチュエータ1が押下され、加圧力F−検出電圧Vdの特性が存在する場合であって、コンパレータ88が、先に示した(1)式により、図4Cに示す検出電圧Vdを演算するように動作する。コンパレータ88は検出電圧VdをA/Dドライバ89に出力する。
【0055】
A/Dドライバ89は、検出電圧Vdをアナログ・デジタル変換した力検出データDdを出力するようになされる。A/Dドライバ89では、コンパレータ88の出力である検出電圧Vdが正(Vd>0)の場合、又は、負(Vd<0)の場合を基準にして入力有無を判別するようになされる。アクチュエータ1が振動していない場合は、必ず、Vd>0となって、最初の力検出データDdは、触覚起動要求となってCPU55に出力される。
【0056】
CPU55は、触覚起動要求が有った場合は、ステップA3及びA4に移行して並列処理を実行する。ステップA3ではアクチュエータ駆動回路37は、触覚提示処理を実行する。例えば、CPU55は、力検出データDdに基づいて記憶手段35から振動パターンデータDpを読み出し、この振動パターンデータDpをアクチュエータ駆動回路37に出力する。
【0057】
アクチュエータ駆動回路37では、D/Aドライバ76が、CPU55によって読み出された振動パターンデータDpをデジタル・アナログ変換して振動制御信号SVaを発生する。振動制御信号SVaは、D/Aドライバ76から出力アンプ77へ出力される。出力アンプ77は、振動制御信号SVa及び駆動電源Vaaに基づいて振動制御電圧Vaを発生する。振動制御電圧Vaは、出力アンプ77からアクチュエータ1に印加される。アクチュエータ1は、振動制御電圧Vaに基づいて振動する。この振動によって操作者の指に触覚を提示することができる。
【0058】
これに並行してCPU55は、ステップA4で更なる入力を待機する。この際の入力も、アクチュエータ1の力検出機能→オペアンプ87→コンパレータ88→A/Dドライバ89を通じてCPU55に与えられる。つまり、触覚発生状態で更なる新たな異なる入力を受け付ける場合に、Vd>0の場合のみ、力検出データDdをCPU55に出力するようになされる。
【0059】
この例では、触覚発生状態で更なる新たな異なる入力を受け付けると、コンパレータ88の出力である検出電圧Vdが正(Vd>0)となるので、第2の力検出データDdをCPU55に出力するようになされる。なお、連続的な押圧力Fの変化を読み込む間は、β=0となされることから、「Vd’−αVa」を直接、入力有無の判別基準となされる。
【0060】
上述の例で、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、入力が有った場合は、ステップA5に移行してCPU55は、入力処理を実行する。この入力処理には、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作が含まれている。その後、ステップA6に移行してCPU55は、電源オフ情報を検出して入出力処理の終了判断をする。電源オフ情報が検出されない場合は、ステップA2に戻ってCPU55は触覚起動要求を待機する。電源オフ情報を検出した場合は、入出力処理を終了する。
【0061】
このように本発明に係る第1の実施例としての触覚機能付きの入出力装置100によれば、最初の入力として、CPU55は、アクチュエータ1が押下されたとき、アクチュエータ1から得られる第1の力検出信号SVdに基づく力検出データDdを入力し、この第1の力検出データDdに基づいてアクチュエータ1に振動制御電圧Vaを出力する。アクチュエータ1は振動制御電圧Vaに基づいて操作者の指に触覚を提示する。その触覚提示状態で、更に、新たな異なる入力として、アクチュエータ1が押下されたとき、CPU55は、アクチュエータ1から出力される第2の力検出信号SVdに基づく力検出データDdを入力する。
【0062】
この例では、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ1が押下されたとき、コンパレータ88は、オペアンプ87から出力される力検出電圧Vd’と、出力アンプ77からアクチュエータ1へ出力される振動制御電圧Vaとを入力して差を演算する。この演算により第2の力検出電圧VdをA/Dドライバ89に出力するようになる。
【0063】
従って、A/Dドライバ89は、力検出電圧Vdに基づいて信頼性良く入力判別することができる。この入力判別の結果から得られる第2の力検出データDdをトリガにして、CPU55は、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。これにより、触覚機能付きの入出力装置100の機能の向上を図ること、及び、触覚制御シーケンスを高速に、かつ、信頼性良くデータ処理することができる。
【実施例2】
【0064】
図6A及びBは、第2の実施例としての入出力装置に使用可能な多機能圧電アクチュエータ(結線固定型)10の構成例を示す斜視図及び断面図である。
図6Aに示す多機能圧電アクチュエータ10は、圧電複合手段の一例であり、圧電アクチュエータ機能と力検出センサ機能とを有するものである。多機能圧電アクチュエータ10は、図6Bに示すように、少なくとも、1つの積層体14が電気的に3つ積層圧電体群14a,14b,14cに区分(分割)されて構成される。
【0065】
この例で積層圧電体群14cの中央に位置する圧電素子から引き出された中央電極13を力検出用とし、その積層圧電体群14cの両側に位置する他の積層圧電体群14a、14bの圧電素子から引き出された電極を給電用となされる。この例では、電気的に分割された1つ又はそれ以上の積層圧電体群14a、14b、14cのうち曲げ変形する際の中立面に近い位置の積層圧電体群14cを力検出用とし、中立面から離れた位置の積層圧電体群14a、14bをアクチュエータ用となされる。
【0066】
この例で積層圧電体群14cの中央に位置する圧電素子から引き出された中央電極13は力検出センサに使用し、その積層圧電体群14cの両側に位置する他の積層圧電体群14a、14bの圧電素子から引き出された電極は、アクチュエータの給電に使用するようになされる。この例では、電気的に分割された1つ又はそれ以上の積層圧電体群14a、14b、14cのうち曲げ変形する際の中立面に近い位置の積層圧電体群14cを力検出センサに使用し、中立面から離れた位置の積層圧電体群14a、14bをアクチュエータとして使用するようになされる。
【0067】
第1の積層圧電体群14aは第1の積層体の一例であり、引出し電極(以下上部表面電極11という)と圧電素子とを一以上積層したものである。各々の圧電素子は電極と圧電体から構成される。第2の積層圧電体群14bは、第2の積層体の一例であり、引出し電極(以下下部表面電極12という)と圧電素子とを一以上積層したものである。各々の圧電素子は電極と圧電体から構成される。上部表面電極11と下部表面電極12とは積層体内部で結線される。他の電極も積層体内部で結線されている。
【0068】
第3の積層圧電体群14cは第3の積層体の一例であり、積層圧電体群14aと積層圧電体群14bとの間に積層されており、一以上の圧電素子を有している。積層圧電体群14cは、他の引出し電極の一例となる中央電極13を有している。中央電極13は、積層圧電体群14aと積層圧電体群14bに対して、及び、積層圧電体群14cの曲げ変形の中立面に位置している。
【0069】
結線固定型の多機能圧電アクチュエータ10は、4つの端子16a〜16dを有している。第1の端子16aは上部表面電極11に接続される。この端子16aには引き出し線L1が接続される。第2の端子16bは積層圧電体群14bの引出し電極に接続される。この端子16bには引き出し線L2が接続される。第3の端子16cは積層圧電体群14bの引出し電極に接続される。この端子16cには引き出し線L3が接続される。第4の端子16dは積層圧電体群14cの引出し電極に接続される。この端子16dには引き出し線L4が接続される。
【0070】
結線固定型の多機能圧電アクチュエータ10は上述のように構成する。そして、引き出し線L1と引き出し線L2にアクチュエータ駆動回路37を接続し、積層圧電体群14a及び積層圧電体群14bの圧電素子に端子16a及び端子16bを介して給電すると、積層圧電体群14aと積層圧電体群14bとが振動する。また、積層圧電体群14cの圧電素子は外力が加わると、引き出し線L3及び引き出し線L3に検出電圧Vdを出力する。
【0071】
この実施例でも、検出電圧Vdがオペアンプ87→コンパレータ88→A/Dドライバ89を通じて力検出データDdとしてCPU55に与えられる。つまり、触覚発生状態で更なる新たな異なる入力を受け付ける場合に、Vd>0の場合のみ、力検出データDdをCPU55に出力するようになされる。
【0072】
このように、第2の実施例に係る多機能圧電アクチュエータ10を応用した入出力装置によれば、最初の入力として、CPU55は、アクチュエータ10が押下されたとき、アクチュエータ10から得られる第1の力検出信号SVdに基づく力検出データDdを入力し、この第1の力検出データDdに基づいてアクチュエータ10に振動制御電圧Vaを出力する。アクチュエータ10は振動制御電圧Vaに基づいて操作者の指に触覚を提示する。その触覚提示状態で、更に、新たな異なる入力として、アクチュエータ10が押下されたとき、CPU55は、アクチュエータ10から出力される力検出信号SVdに基づく力検出データDdを入力する。
【0073】
この例でも、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ10が押下されたとき、コンパレータ88は、オペアンプ87から出力される力検出電圧Vd’と、出力アンプ77からアクチュエータ10へ出力される振動制御電圧Vaとを入力して差を演算する。この演算により第2の力検出電圧VdをA/Dドライバ89に出力するようになる。
【0074】
従って、多機能圧電アクチュエータ10を応用した入出力装置においても、A/Dドライバ89は、検出電圧Vdに基づいて入力判別することができる。この入力判別の結果から得られる第2の力検出データDdをトリガにして、CPU55は、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。これにより、多機能圧電アクチュエータ10を応用した触覚機能付きの入出力装置の機能の向上を図ること、及び、触覚制御シーケンスを高速に、かつ、信頼性良くデータ処理することができる。
【実施例3】
【0075】
図7は、第3の実施例としての入出力装置に使用可能な結線可変型の多機能圧電アクチュエータ300の断面の構成例を示す図である。
図7に示す多機能圧電アクチュエータ300は、電極と電極との間に圧電体を積層する形態で、合計18層の圧電体#1〜#18と、上部表面電極11と、下部表面電極12と、中央電極13と、16層の電極IE1〜IE16を有した積層体を少なくとも、電気的に3つ積層圧電体群14a,14b,14cに区分されて構成される。この例でも結線固定型と同様にして、積層圧電体群14cは、積層圧電体群14aと積層圧電体群14bとの間に挟まれる形態を採る。
【0076】
積層圧電体群14aは、上部表面電極11と、電極IE1〜IE5と、5層の圧電体#1〜#5から構成され、圧電アクチュエータとして機能するようになされる。圧電体#1は上部表面電極11と電極IE1との間に積層され、圧電体#2は電極IE1と電極IE2との間に積層され、圧電体#3は電極IE2と電極IE3との間に積層され、圧電体#4は電極IE3と電極IE4との間に積層され、圧電体#5は電極IE4と引出し電極IE5との間に各々積層される。
【0077】
積層圧電体群14cは、積層圧電体群14aと積層圧電体群14bとの間に積層されており、中央電極13と、電極IE6〜IE8と、4層の圧電体と、電極IE9〜IE11と、4層の圧電体から構成され、力検出センサとして機能するようになされる。圧電体#6は電極IE5と電極IE6との間に積層され、圧電体#7は電極IE6と電極IE7との間に積層され、圧電体#8は電極IE7と電極IE8との間に積層され、圧電体#9は電極IE8と中央電極13との間に積層される。
【0078】
また、圧電体#10は中央電極13と電極IE9との間に積層され、圧電体#11は電極IE9と電極IE10との間に積層され、圧電体#12は電極IE10と電極IE11との間に各々積層される。中央電極13は、積層圧電体群14aと積層圧電体群14bに対して、及び、積層圧電体群14cの曲げ変形の中立面に位置している。
【0079】
積層圧電体群14bは、下部表面電極12と、電極IE13〜IE17と、5層の圧電体から構成され、圧電アクチュエータ300として機能するようになされる。圧電体#13は電極IE11と電極IE12との間に積層され、圧電体#14は電極IE12と電極IE13との間に積層され、圧電体#15は電極IE13と電極IE14との間に積層され、圧電体#16は電極IE14と電極IE15との間に積層され、圧電体#17は電極IE15と電極IE16との間に積層され、圧電体#18は電極IE16と下部表面電極12との間に各々積層されている。
【0080】
図7において、積層圧電体群14aで上部表面電極11と電極IE2と電極IE4とは積層体内部で結線される。上部表面電極11は第1端子16aを介して引き出し線L1に接続される。電極IE1と電極IE3とは積層体内部で引出し電極IE5に結線される。引出し電極IE5は第2端子16bを介して引き出し線L2に接続される。
【0081】
積層圧電体群14cで電極IE8は積層体内部で引出し電極IE6に結線される。引出し電極IE6は端子16cを介して引き出し線L3に接続される。電極IE7と電極IE10とは中央電極13に結線される。中央電極13は端子16dを介して引き出し線L4に接続される。電極IE9は積層体内部で引出し電極IE11に結線される。引出し電極IE11は端子16eを介して引き出し線L5に接続される。
【0082】
積層圧電体群14bで、電極IE14と、電極IE16とは積層体内部で引出し電極IE12に結線される。引出し電極IE12は端子16fを介して引き出し線L6が接続される。電極IE13と電極IE15とは積層体内部で下部表面電極12に結線される。下部表面電極12は端子16gを介して引き出し線L7に接続される。
【0083】
なお、図7において、中央電極13付近にある梨地に示す圧電体#8〜#12が力検出センサとして機能し、その上下にある白抜きの圧電体#1〜#5及び圧電体#14〜#18がアクチュエータ300として機能する部分である。圧電体#6及び#13はアクチュエータと力検出センサとの境界に位置しており、緩衝材として機能する。
【0084】
図8A及びBは、多機能圧電アクチュエータ300の制御系の構成例を示すブロック図である。
この例で、積層圧電体群14a〜14cの各々の上部表面電極11、電極IE5、電極IE6、中央電極13、電極IE11、電極IE12、下部表面電極12に接続された制御装置50を備え、制御装置50は、予め設定された制御信号に応じて積層圧電体群14a、14bの各々の上部表面電極11、電極IE5、電極IE12、下部表面電極12に給電し、及び、積層圧電体群14cの電極IE6、中央電極13、電極IE11に給電し、又は、当該電極IE6、中央電極13、電極IE11から力検出信号(検出電圧Vd)を検出するようになされる。
【0085】
図8Aに示す制御装置50は、アクチュエータ駆動回路37’、検出手段17及び接続回路18を備えており、多機能圧電アクチュエータ300を圧電アクチュエータ+力検出センサとして同時に機能させる場合である。アクチュエータ駆動回路37’には、第1の実施例に示したアクチュエータ駆動回路37にスイッチ選択機能を付加したものが使用される。検出手段17には、第1の実施例に示したオペアンプ87、コンパレータ88及びA/Dドライバ89から構成される入力手段が使用される。
【0086】
接続回路18は例えば、MOSFETスイッチ回路を利用したゲートアレイから構成される。アクチュエータ駆動回路37’は上位の制御系(例えば、第1の実施例に示したCPU55等)に接続され、その上位の制御系から、例えば、振動パターンデータDpと制御信号の一例となる機能選択信号SE1とを入力し、これらの振動パターンデータDp及び機能選択信号SE1に基づいて多機能圧電アクチュエータ300を駆動制御するようになされる。
【0087】
アクチュエータ駆動回路37’は、例えば、機能選択信号SE1が「圧電アクチュエータ+力検出センサとして同時に機能させる」という内容のときは、スイッチ接続信号SS1を接続回路18に出力して、引き出し線L1と引き出し線L7とを接続する。また、引き出し線L1と引き出し線L7とを接続してアクチュエータ駆動回路37’に各々接続する。これにより、図6に示した端子16a、16b、16f、16gを介して積層圧電体群14a及び積層圧電体群14bの圧電体#1〜#5及び圧電体#14〜#18に至るアクチュエータ回路を構築することができる。
【0088】
更に、アクチュエータ駆動回路37’は、スイッチ接続信号SS1に基づいて引き出し線L3と引き出し線L5とを接続し、引き出し線L4を検出手段17に各々接続する。これにより、図6に示した端子16c、16d、16eを介して積層圧電体群14cの中央電極13及び圧電体#7〜#12に至る力検出センサ回路を構築することができる。
【0089】
このようなアクチュエータ回路及び力検出センサ回路が構築された状態で、アクチュエータ駆動回路37’は、振動パターンデータDpに基づく振動制御電圧Vaを発生する。振動制御電圧Vaは、引き出し線L1、L2、L6、L7を通じて、図6に示した端子16a、16b、16f、16gを介して積層圧電体群14a及び積層圧電体群14bの圧電体#1〜#5及び圧電体#14〜#18に給電すると、中央電極13を基準にして、積層圧電体群14aが伸長し、積層圧電体群14bが収縮するようにして振動する。従って、多機能圧電アクチュエータ300をアクチュエータ機能として動作させることができる。
【0090】
また、振動制御電圧Vaが供給された状態、又は、振動制御電圧Vaを供給しない状態で、積層圧電体群14cの圧電体#7〜#12に対して外力が加わると、引き出し線L3及び引き出し線L3に力検出電圧Vdが発生する。この力検出電圧Vdは、検出手段17に出力される。検出手段17では、例えば、第1の実施例と同様にして、検出電圧Vdがオペアンプ87→コンパレータ88→A/Dドライバ89を通じて力検出データDdとしてCPU55に与えられる。つまり、触覚発生状態で更なる新たな異なる入力を受け付ける場合に、Vd>0の場合のみ、力検出データDdをCPU55に出力するようになされる。
【0091】
このように、第3の実施例に係る多機能圧電アクチュエータ300を応用した入出力装置によれば、最初の入力として、CPU55は、アクチュエータ300が押下されたとき、アクチュエータ300から得られる第1の力検出信号に基づく力検出データDdを入力し、この第1の力検出データDdに基づいてアクチュエータ300に振動制御電圧Vaを出力する。アクチュエータ300は振動制御電圧Vaに基づいて操作者の指に触覚を提示する。その触覚提示状態で、更に、新たな異なる入力として、アクチュエータ300が押下されたとき、CPU55は、アクチュエータ300から出力される第2の力検出信号に基づく力検出データDdを入力する。
【0092】
この例でも、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ300が押下されたとき、検出手段17を構成するコンパレータ88は、オペアンプ87から出力される力検出電圧Vd’と、アクチュエータ駆動回路37’(出力アンプ77等)からアクチュエータ300へ出力される振動制御電圧Vaとを入力して差を演算する。この演算により検出電圧Vdを検出手段17内のA/Dドライバ89に出力するようになる。
【0093】
従って、多機能圧電アクチュエータ300を応用した入出力装置においても、検出手段17内のA/Dドライバ89は、力検出電圧Vdに基づいて入力判別することができる。この入力判別の結果から得られる第2の力検出データDdをトリガにして、CPU55は、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。これにより、多機能圧電アクチュエータ300を応用した触覚機能付きの入出力装置の機能の向上を図ること、及び、触覚制御シーケンスを高速に、かつ、信頼性良くデータ処理することができる。
【実施例4】
【0094】
図9は、第4の実施例としての触覚機能付きの入出力装置400の構成例を示す組立斜視図である。
この実施例では、入力項目選択用の表示画面上で入力操作する場合に、操作者の指の接触位置を検出して得た位置検出情報に基づいて操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、触覚機能付きの入力手段84が押下されたとき、制御手段15’は、多機能圧電アクチュエータ65a等から得られる力検出データを入力して、その力検出データをトリガにして、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようにしたものである(第2の入出力装置)。
【0095】
図9に示す触覚機能付き入出力装置400は、入力項目選択用の表示画面に表示された複数のアイコンの1つに接触して当該表示画面上で入力操作されるものである。
【0096】
入出力装置400は、長さがLcm程度で、幅がWcm程度の大きさの入力手段84と、同等の大きさの第1のフレーム41と、同等の大きさの液晶表示ディスプレイから成る表示手段62と、この表示手段62を収納する大きさの第2のフレーム47とが積層されて構成される。フレーム47は表示手段抜け止め加工がなされており、フレーム41及び47は構造体(筐体)を構成する。
【0097】
フレーム47は、厚さ0.3mm程度のステンレスの枠体から構成され、表示手段62を保護するようになされる。フレーム47内には、表示手段62が収納され、入力手段84から得られる位置情報に基づいてアイコンを表示するように動作する。フレーム47に収納された表示手段62上には、フレーム41が配置される。フレーム41も、厚さ0.3mm程度のステンレスの枠体から構成され、その両側二辺には、振動手段取付用の橋架付きの開口部48a,48bが設けられている。
【0098】
この開口部48aには、振動手段を構成するアクチュエータ65aが取付けられ、振動制御電圧Vaに基づいて表示画面(入力操作面)を振動するようになされる。アクチュエータ65aには、図示しない検出端子が設けられる。この例で、アクチュエータ65aの押下時に、検出端子から力検出信号SVdが出力される。アクチュエータ65aは、開口部48aの橋架部位上に固定部材44a,45aを介して取り付けられる。同様にして、開口部48bにはアクチュエータ65bが取付けられ、振動制御電圧Vbに基づいて表示画面(入力操作面)を振動するようになされる。アクチュエータ65bにも、図示しない検出端子が設けられる。この例で、アクチュエータ65bの押下時に、検出端子から力検出信号SVdが出力される。アクチュエータ65bは、開口部48bの橋架部位上に固定部材44b,45bを介して取り付けられる。アクチュエータ65a及び65bには、第1〜第3の実施例で説明した多機能圧電アクチュエータ1、10又は300が使用される。
【0099】
振動制御電圧Va及びVbは、表示手段62に表示されたアイコンの1つに操作者が接触(タッチ)すると、アクチュエータ65aに供給される。アクチュエータ65a,65bには、大きさ幅=3mm×長さ=30mm程度で厚みが0.8mm程度の圧電素子が使用される。固定部材44a,45aや44b,45b等には、弾性率の低い材料(例えば、NITTO製5713等)から構成される。
【0100】
この例で、フレーム41の開口部48a,48bが設けられていない他の二辺には、長方形状のサポータ42a、42bが設けられ、その四隅には、正方形状のサポータ43a〜43dが各々設けられている。サポータ42a、42b、43a、43b、43c及び43dには、発泡ゴムやKGゲル等が使用される。サポータ42a、42b、43a、43b、43c及び43d上には、入力手段84が配置されている。入力手段84は、アクチュエータ65aのほぼ中央部位上に設けられた連結部材46aを介して接続され、かつ、アクチュエータ65bのほぼ中央部位上に設けられた連結部材46bを介して接続される。
【0101】
この例で、アクチュエータ65a及び連結部材46aと、アクチュエータ65b及び連結部材46bとは、振動伝達機構80を構成し、アクチュエータ65a及び65bで発生した振動を入力手段84に伝播するようになされる。入力手段84は検出手段の一例を構成し、アイコンの選択接触位置を検出して位置検出信号S1を出力するようになされる。
【0102】
位置検出信号S1には位置情報及び入力量(力)が含まれる。位置情報はアイコン接触時の位置検出信号S1により得られ、入力量(力)は同アイコン接触時の多機能圧電アクチュエータ65a等から得られる。入力手段84には入力操作面の大きさがW=64mm×L=88mmで厚みが1.0mm程度のタッチパネルが使用される。タッチパネルは静電容量方式の入力デバイスであり、蓄積電極となる透明電極をマトリクス状に配置した静電容量シートを有している。
【0103】
図10は、振動伝達機構80の構成例を示す拡大斜視図である。図10に示す振動伝達機構80はアクチュエータ65aの周辺を示しており、フレーム41、固定部材45a、連結部材46a及びアクチュエータ65aを有して構成される。フレーム41は例えば、幅4mm程度で、断面C型(チャンネル)のステンレス部材を枠型に折り曲げ加工して形成される。このフレーム41の所定部位には、例えば、幅3mm程度で長さ30mm程度の開口部48aが設けられる。開口部48aの所定の位置には橋架部49a、49b(図示せず)が設けられる。アクチュエータ65bも同様にして構成される。
【0104】
アクチュエータ65aは、開口部48aの橋架部49a、49b上に固定部材44a,45aを介して取り付けられる。アクチュエータ65a等には、大きさ幅=3mm×長さ=30mm程度で厚みが0.8mm程度の圧電素子が使用される。アクチュエータ65aのほぼ中央部位上には、連結部材46aが取り付けられる。これはアクチュエータ65aと入力手段84とを連結部材46aを介して接続するためである。この振動伝達機構80では、アクチュエータ65aで発生した振動が連結部材46aを介して入力手段84に伝播するようになされる。
【0105】
図11は、振動伝達機構80における制御系の構成例を示すブロック図である。図11に示す振動伝達機構80のアクチュエータ65aには制御手段15’が接続される。アクチュエータ65aには制御手段15’から振動制御電圧Vaが供給される。制御手段15’には記憶手段35が接続され、振動パターンデータDpを格納するようになされる。例えば、制御手段15’は、入力手段84が接触されてタッチパネル等から接触位置が検出されたとき、当該入力手段84から得られる位置検出情報Dinを入力する。このとき、アクチュエータ65a及び図示しないアクチュエータ65bでも同様にして入力手段84の押下時に、アクチュエータ65aは、アクチュエータ65bと協働して、検出端子から力検出信号SVdを制御手段15’に出力する。
【0106】
制御手段15’は、力検出信号SVdを処理した力検出データDdと、入力手段84から得られる位置検出情報Dinに基づいて記憶手段35から振動パターンデータDpを読み出し、この振動パターンデータDpに基づいて振動制御電圧Va,Vbを発生する。制御手段15’は、アクチュエータ65aに振動制御電圧Vaを供給し、アクチュエータ65bに振動制御電圧Vbを供給してアクチュエータ65a及び65bを触覚制御するように動作する。
【0107】
図12は、触覚機能付きの入出力装置400の制御系の構成例を示すブロック図である。
図12に示す入出力装置400は、入力操作時、操作者の指30に触覚を提示する装置であり、例えば、予め準備された入力項目選択用の表示画面の中からアイコンを選択して情報を入力するゲーム装置や、情報処理装置、携帯電話機、情報携帯端末装置等に適用して好適である。この入出力装置400は、記憶手段35、表示手段62、アクチュエータ65a,65b、入力手段84及び制御手段15’を備えて構成される。
【0108】
表示手段62は、表示データD2に基づいて入力項目選択用の表示画面を表示する。表示手段62は、表示画面の中でアイコンを表示する。表示手段62には、液晶表示装置等が使用される。
【0109】
入力手段84は、表示画面上の操作者の指の接触位置を検出して位置検出信号S1を出力する。入力手段84には、タッチパネルが使用される。入力手段84には入力処理部86が接続され、入力手段84から位置検出信号S1を入力してアナログ・デジタル処理した後の位置検出情報Dinを出力する。
【0110】
制御手段15’は、位置検出情報Dinに基づいてアクチュエータ65a等の入出力を制御するように機能する。例えば、制御手段15’は、入力処理部86から出力される位置検出情報Din又は及びA/Dドライバ89から出力される力検出データDdに基づいて振動制御電圧Vaを発生する。制御手段15’は、アクチュエータ駆動回路37、CPU55、入力処理部86、オペアンプ87、コンパレータ88及びA/Dドライバ89を有しており、これらの回路やドライバ等が通常の電源Vccに接続されて構成される。
【0111】
アクチュエータ65a,65bは、第1〜第3の実施例と同様にして制御手段15’から出力される振動制御電圧Vaに基づいて操作者の指に触覚を提示すると共に、当該操作者の指30の接触位置における力を検出して力検出信号SVdを出力する。
【0112】
この例でも、CPU55は、アクチュエータ65a等が振動制御電圧Vaに基づいて操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ65a等が押下されたとき、アクチュエータ65a等から出力される力検出信号SVdを入力し、振動制御電圧Vaと力検出電圧Vd’とを入力して差を演算することにより力検出データDdを得る。例えば、CPU55は、操作者の指30に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ65a等が押下されたとき、力検出データDdが正である場合又は当該力検出データDdが負である場合によって、アクチュエータ65a等への閾値を越える押下が有った又はその押下が無かった旨を判別する。
【0113】
この触覚制御において、CPU55では、アクチュエータ65a等により得られた力検出信号SVdがオペアンプ87→コンパレータ88→A/Dドライバ89を通じて力検出データDdとしてCPU55に与えられる。コンパレータ88は、振動制御電圧Vaと検出電圧Vdを含む力検出電圧Vd’とを入力して比較処理を実行する(図4参照)。つまり、触覚発生状態で更なる新たな異なる入力を受け付ける場合に、Vd>0の場合のみ、力検出データDdをCPU55に出力するようになされる。これにより、CPU55は、入力を受けながら更に触覚発生出力を実行し、その状態で更なる新たな異なる入力を受付できるようになる。なお、第1の実施例と同じ名称及び同じ符号のものは、同じ機能を有するためその説明を省略する。
【0114】
図13は、触覚機能付きの入出力装置400の動作例を示すフローチャートである。
この実施例では、携帯端末装置等の触覚制御シーケンスにおいて、最初の入力を受けた後、更に出力を実行し、その状態で更に新たな異なる入力を受ける場合であって、位置検出情報Dinに基づいてアクチュエータ65a等が振動制御電圧Vaにより操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ65a等が押下されたとき、CPU55は、そのアクチュエータ65a等から力検出データDdを得て、その操作者の指に触覚を提示している状態で、力検出データDdをトリガにして制御を実行する。
【0115】
これらを動作条件にして、図13に示すフローチャートにおいて、まず、ステップB1で電源オンを待機する。例えば、CPU55は電源オン情報を検出してシステムを起動する。電源オン情報は通常、携帯端末装置等において、時計機能等が稼働し、スリーピング状態にある携帯端末装置等の電源スイッチをオンされたときに発生する。CPU55は、電源オン情報を検出してステップB2に移行する。
【0116】
ステップB2でCPU55は、表示手段62に表示データD2を出力して表示制御を実行する。表示手段62は、表示データD2に基づいて入力項目選択用の表示画面を表示する。表示手段62は、表示画面の中でアイコンを表示する。
【0117】
次に、CPU55は、ステップA3に移行してアイコンが選択されたか否かを検出すると共に、入力手段84からの触覚起動要求を待機する。この例の触覚起動要求は、入力手段84→入力処理部86を通じてCPU55に与えられる。このとき、第1の実施例と同様にして、アクチュエータ1の力検出機能→オペアンプ87→コンパレータ88→A/Dドライバ89を通じて得られる触覚起動要求をCPU55に与えてもよい。つまり、並列に要求を受付けて、どちらか一方の触覚起動要求に基づいて以後の処理に移行するようにしてもよい。このようにすると、CPU55で最初の位置検出情報Din又は力検出データDdを触覚起動要求と判断することができる。
【0118】
CPU55は、触覚起動要求が有った場合は、ステップB4及びB5に移行して並列処理を実行する。ステップB3では第1の実施例と同様にして、アクチュエータ駆動回路37は、触覚提示処理を実行する。例えば、CPU55は、力検出データDdに基づいて記憶手段35から振動パターンデータDpを読み出し、この振動パターンデータDpをアクチュエータ駆動回路37に出力する。
【0119】
アクチュエータ駆動回路37では、D/Aドライバ76が、CPU55によって読み出された振動パターンデータDpをデジタル・アナログ変換して振動制御信号SVaを発生する。振動制御信号SVaは、D/Aドライバ76から出力アンプ77へ出力される。出力アンプ77は、振動制御信号SVa及び駆動電源Vaaに基づいて振動制御電圧Vaを発生する。振動制御電圧Vaは、出力アンプ77からアクチュエータ65a等に印加される。アクチュエータ65a等は、振動制御電圧Vaに基づいて振動する。この振動によって操作者の指に触覚を提示することができる。
【0120】
これに並行してCPU55は、ステップB5で更なる入力を待機する。この際の入力は、アクチュエータ65a等の力検出機能→オペアンプ87→コンパレータ88→A/Dドライバ89を通じてCPU55に与えられる。つまり、触覚発生状態で更なる新たな異なる入力を受け付ける場合に、Vd>0の場合のみ、力検出データDdをCPU55に出力するようになされる。
【0121】
この例では、触覚発生状態で更なる新たな異なる入力を受け付けると、コンパレータ88の出力である検出電圧Vdが正(Vd>0)となるので、力検出データDdをCPU55に出力するようになされる。なお、連続的な押圧力Fの変化を読み込む間は、β=0となされることから、「Vd’−αVa」を直接、入力有無の判別基準となされる。
【0122】
上述の例で、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、入力が有った場合は、ステップB6に移行してCPU55は、入力処理を実行する。この入力処理には、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作が含まれている。その後、ステップB7に移行してCPU55は、電源オフ情報を検出して入出力処理の終了判断をする。電源オフ情報が検出されない場合は、ステップB2に戻ってCPU55は入力項目選択画面の表示処理を継続し、ステップB3に移行して、アイコンの選択及び触覚起動要求を待機する。ステップB7で電源オフ情報を検出した場合は、入出力処理を終了する。
【0123】
このように本発明に係る第4の実施例としての触覚機能付きの入出力装置400によれば、入力項目選択用の表示画面上で入力操作する場合に、最初の入力として、CPU55は、入力手段84が接触されたとき、又は、入力手段84が強く押下されたとき、入力手段84から得られる位置検出信号S1に基づく位置検出情報Dinを入力し、又は及び、アクチュエータ65a等から得られる第1の力検出信号SVdに基づく力検出データDdを入力する。
【0124】
CPU55は、位置検出情報Din又は及び第1の力検出データDdに基づいてアクチュエータ65a等に振動制御電圧Vaを出力する。アクチュエータ65a等は振動制御電圧Vaに基づいて操作者の指に触覚を提示する。その触覚提示状態で、更に、新たな異なる入力として、アクチュエータ65a等が押下されたとき、CPU55は、アクチュエータ65a等から出力される力検出信号SVdに基づく力検出データDdを判別する。
【0125】
この例では、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ65a等が押下されたとき、コンパレータ88は、オペアンプ87から出力される力検出電圧Vd’と、出力アンプ77からアクチュエータ65a等へ出力される振動制御電圧Vaとを入力して差を演算する。この演算により力検出電圧VdをA/Dドライバ89に出力するようになる。
【0126】
従って、A/Dドライバ89は、力検出電圧Vdに基づいて入力判別することができる。この入力判別の結果から得られる力検出データDdをトリガにして、CPU55は、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。これにより、触覚機能付きの入出力装置400の機能の向上を図ること、及び、触覚制御シーケンスを高速に、かつ、信頼性良くデータ処理することができる。
【実施例5】
【0127】
図14A及びBは、第1の入出力装置を応用した第5の実施例としての携帯端末装置500の構成例を示す概念図である。
図14Aに示す携帯端末装置(PDA)500は電子機器の一例であり、本発明に係る第1の入出力装置100を有している。携帯端末装置500は、各種電子機器のリモートコントローラ(以下単にリモコンという)や、電子辞書、携帯電話機、デジタルカメラ等に適用して好適である。携帯端末装置500は、本体20を有している。本体20には複数の機能キー21〜28を有しているが、これらの機能キー21〜28の他に第1の実施例で説明した触覚機能付きの入出力装置100を有している。
【0128】
この例で、入出力装置100は、タッチカバー付きの多機能圧電アクチュエータ1を有して構成され、タッチカバー38に振動的な変位を与える構造になっている。タッチカバー38は検出電極上を覆うように設けられ、本体20との境目はくびれ部29となされている。この部分にダイヤフラム(スプリング)効果を持たせ、筐体を容易に変形させるためである。タッチカバー38は、絶縁性の樹脂部材で形成される。本体20の樹脂部材を使用して、筐体の一部を成すように、射出一体成形してもよい。アクチュエータ1は、例えば、本体20の側面凹部に接着等により取り付けられる。この例では、アクチュエータ1のアクチュエータ機能を使用者に対する触覚提示に使用し、そのセンサ機能を使用者のスイッチON/OFF情報の入力手段として使用する。
【0129】
アクチュエータ1は触覚提示情報確定手段を構成し、タッチカバー38を押下操作する使用者の指30に振動制御信号SVaに基づいて触覚を提示すると共に、操作者の指30の接触位置における、タッチカバー38に加わる外力を検出して力検出信号(検出電圧Vd)を出力する機能を有している。力検出信号は、タッチカバー38が押下されたとき、スイッチON/OFF入力情報を確定する(第1の入出力装置)。
【0130】
また、本体20には表示手段62が備えられる。表示手段62は入力情報を表示する。上位の制御系では、例えば、表示手段62に表示された入力項目を選択する操作者の指30の押下力F’を検出し、ここで検出された操作者の指30の押下力F’に基づいて入力項目が選択されたと判断する。
【0131】
アクチュエータ1は、図14Bに示すように、給電電極2、共通電極6及び検出電極8と、給電電極2と共通電極6との間に接合された圧電素子3と、共通電極6と検出電極8との間に接合された圧電素子7とを備える。アクチュエータ1では、給電電極2と共通電極6との間に所定の振動制御電圧が供給され、検出電極8からは、タッチカバー38に加わる外力に基づく力検出信号が取り出される。つまり、アクチュエータ1は入力手段を構成し、操作者の指30の接触有無を検出してスイッチON情報又はOFF情報を出力するように動作する。例えば、操作者の指30がタッチカバー38に触れられ、そこを押下されると、押下力F’が検出され、スイッチON情報(又はスイッチOFF情報)を出力するようになされる。
【0132】
図15は、入出力装置100の制御系の構成例を示す回路図である。図15に示す入出力装置100は、アクチュエータ1、タッチカバー38及び制御手段15から構成される。図中、波形状で示す部分はダイヤフラムを有している。タッチカバー38は検出電極8上の全面を覆うと共に、その周辺はダイヤフラムを介して本体20に上下動自在に係合される。
【0133】
この例で、制御手段15は、アクチュエータ1の入出力を制御する。例えば、制御手段15は、アクチュエータ1が押下されたとき、アクチュエータ1から第1の力検出信号SVdを入力し、この力検出信号SVdに基づいてアクチュエータ1に振動制御信号SVaを出力し、アクチュエータ1が振動制御信号SVaに基づいて操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ1が押下されたとき、アクチュエータ1から第2の力検出信号SVdを入力する。
【0134】
制御手段15は、出力アンプ77、オペアンプ87及びコンパレータ88を有して構成される。出力アンプ77は給電電極2に接続され、予め上位の制御系から設定された振動制御信号SVaに応じて給電電極2と共通電極6との間に振動制御電圧Vaを給電する。オペアンプ87は、検出電極8に接続され、この検出電極8から力検出信号SVdを増幅して、コンパレータ88に力検出電圧Vd’を出力する。
【0135】
コンパレータ88は、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ1が押下されたとき、アクチュエータ1から出力され、オペアンプ87を介して入力される力検出電圧Vd’とアクチュエータ1に出力される振動制御電圧Vaとを入力して差を演算することにより力検出電圧Vdを上位の制御系に出力する。上位の制御系では、コンパレータ88から得られる検出電圧Vdに基づいてアクチュエータ1への給電制御を実行する。この給電制御において、上位の制御系は、出力アンプ77へ振動制御信号SVaを出力する。出力アンプ77は、振動制御信号SVaに基づいて給電電極2への給電制御を実行する。この給電制御により、操作者の指30に触覚刺激を付与するようになされる。
【0136】
この例でも、上位の制御系は、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ1が押下されたとき、力検出信号SVdに基づく力検出情報が正である場合又は当該力検出信号SVdに基づく力検出情報が負である場合によって、アクチュエータ1への閾値を越える押下が有った又はその押下が無かったことを判別する。
【0137】
このように、入出力装置100を応用した第5の実施例としての携帯端末装置500によれば、本発明に係るアクチュエータ1が触覚提示情報確定手段として応用される。入出力装置100は、タッチカバー38上から操作者の指30の接触位置における押下力F’を検出してスイッチON又はOFF情報を入力する。アクチュエータ1は、タッチカバー38を押下操作する操作者の指30に触覚を提示すると共に、当該操作者の指30の接触位置における押下力F’を検出してスイッチON/OFF情報を確定するようになされる。
【0138】
従って、確定された入力情報に基づいて新たな入力選択項目の表示や、入力項目の更なる入力操作を継続できるようになる。これにより、触覚機能付きの入出力装置100を応用した携帯端末装置500の機能の向上を図ること、及び、触覚制御シーケンスを高速に、かつ、信頼性良くデータ処理することができる。触覚入出力機能付きの携帯端末装置500を提供できる。
【実施例6】
【0139】
図16は、第2の入出力装置を応用した第6の実施例としての携帯端末装置600の構成例を示す斜視図である。
図16に示す携帯端末装置(PDA)600は電子機器の一例であり、入力項目選択用の表示画面上で操作者の指30によって入力操作される触覚機能付きの入出力装置400を備えている。入出力装置400には本発明に係る入出力装置が使用される。携帯端末装置600は、各種電子機器のリモコンや、電子辞書、携帯電話機、デジタルカメラ等に適用して好適である。携帯端末装置600は、本体20を有している。本体20には複数の機能キー21〜28を有しているが、これらの機能キー21〜28の他にブラインドタッチ可能な入出力装置400を有している。
【0140】
入出力装置400は、タッチパネル61や、表示手段62、4つの多機能圧電アクチュエータ(以下単にアクチュエータという)100a〜100d等を有して構成され、タッチパネル61に振動的な変位を与える構造になっている。タッチパネル61は入力手段の一例を構成し、操作体の一例となる操作者の指30の接触位置を検出して入力情報を出力するように動作する。例えば、操作者の指30が表示手段62に表示されたアイコン等を選択してそこに触れると入力情報を出力するようになされる。
【0141】
表示手段62には、メニュー画面やアイコンボタン等の入力項目が表示される。表示手段62には液晶表示装置やEL(エレクトロルミネッセンス)素子が使用される。アクチュエータ100a〜100dは触覚提示情報確定手段を構成し、タッチパネル61を操作する使用者の指に触覚を提示すると共に、操作者の指30の接触位置における、タッチパネル61に加わる外力を検出して力検出信号を出力するように動作する。
【0142】
力検出信号は、タッチパネル61で選択された入力情報を確定するようになされる。入出力装置400において、アクチュエータ100a〜100dには、第1〜第3の実施例で説明した多機能圧電アクチュエータ1、10及び300が応用される。この例では、多機能圧電アクチュエータ1、10及び300のアクチュエータ機能を使用者に対する触覚提示に使用し、そのセンサ機能を使用者の入力情報収集手段として使用する(第2の入出力装置)。
【0143】
図17は、携帯端末装置600における入出力装置400のタッチパネル61、表示手段62、アクチュエータ100a,100bを含む構成例を示す断面図である。タッチパネル61の下方には表示手段62が設けられ、この表示手段62に表示される入力項目は、タッチパネル61を透過して使用者に提示される構造である。
【0144】
支持フレーム71の内側には、表示面が露出するように表示手段62が配置され、その支持フレーム71上の4隅(図中では2つのみを示す)には、アクチュエータ100a,100b等が配置されている。左側のアクチュエータ100aは、支持フレーム71上の2つの支持部73a及び73bを枕にして配置され、当該アクチュエータ100aの中央部には支持部73cが設けられている。支持部73aは当該アクチュエータ100aの上端部72bの背面側に配置され、支持部73bは端子16に隣接して配置される。端子16は、図15Bに示した端子16a〜16gを構成する。
【0145】
右側のアクチュエータ100bは、支持フレーム71上の2つの支持部74a及び74bを枕にして配置され、当該アクチュエータ100bの中央部には支持部74cが設けられている。支持部74aは当該アクチュエータ100bの上端部72bの背面側に配置され、支持部74bは端子16に隣接して配置される。端子16は、例えば、図7に示した端子16a〜16gを構成する。
【0146】
支持部73c及び74c上にはタッチパネル61が配置される。タッチパネル61は、上部逆L型の側面支持部材70によって支持フレーム71に固定されている。タッチパネル61と側面支持部材70の上端部70a、70bとの間には、シール部材70a及び70bが挟み込まれている。支持部73a〜73c、支持部74a〜74cは、振動伝達機構64を構成する。
【0147】
各々のアクチュエータ100a、100bには、制御装置50’が接続されている。例えば、当該アクチュエータ100aの端子16には、図7に示した7本の引き出し線L1〜L7が接続される。この引き出し線L1〜L7は制御装置50’に接続される。また、アクチュエータ100bの端子16には、図7に示した7本の引き出し線L1〜L7が接続される。この引き出し線L1〜L7も制御装置50’に接続される。
【0148】
制御装置50’は、アクチュエータ100aに対して引き出し線L1〜L7を通じてアクチュエータとして機能する積層圧電体群14a、14bに振動制御電圧(アクチュエータ駆動電圧)Vaを加える。このときの曲げ変形(R)をタッチパネル61のZ方向の変位Uに変換するようになされる。例えば、制御装置50’は、振動制御電圧Vaを発生して、アクチュエータ100aに接続された引き出し線L1、L2、L6、L7を通じて、図7に示した端子16a、16b、16f、16gを介して積層圧電体群14a及び積層圧電体群14bの圧電体#1〜#5及び圧電体#14〜#18に給電すると、中央電極13を基準にして、積層圧電体群14aが伸長し、積層圧電体群14bが収縮するようにして振動する。従って、アクチュエータ100aをアクチュエータ機能として動作させることができる。
【0149】
また、制御装置50’は、アクチュエータ100bに対して引き出し線L1〜L7を通じてアクチュエータとして機能する積層圧電体群14a、14bに振動制御電圧Vaを加える。このときの曲げ変形(R)をタッチパネル61のZ方向の変位Uに変換するようになされる。例えば、制御装置50’は、振動制御電圧Vaを発生して、アクチュエータ100bに接続された引き出し線L1、L2、L6、L7を通じて、図7に示した端子16a、16b、16f、16gを介して積層圧電体群14a及び積層圧電体群14bの圧電体#1〜#5及び圧電体#14〜#18に給電すると、中央電極13を基準にして、積層圧電体群14aが伸長し、積層圧電体群14bが収縮するようにして振動する。従って、アクチュエータ100bをアクチュエータ機能として動作させることができる。
【0150】
図18A及びBは、入出力装置400におけるタッチパネル押下時の動作例を示す断面図である。図18Aに示す支持部73cは、使用者の指30がタッチパネル61を押し、図18Bに示す波線円内図で、その押し下げ力Fによってアクチュエータ100が曲げ変形(R)をするときの支点になっている。アクチュエータ100a等では、図7に示したセンサ機能する積層圧電体群14cで力検出信号SVd(検出電圧Vd)が発生する。
【0151】
例えば、積層圧電体群14cの圧電体#7〜#12に対して外力が加わると、引き出し線L3及び引き出し線L3に力検出信号SVdが発生する。この力検出信号SVdは、制御装置50’に出力される。制御装置50’では、例えば、力検出信号SVdが信号処理され、力検出データDdとして上位の制御系に出力するようになされる。従って、アクチュエータ100a等のアクチュエータ機能を維持しつつ力検出センサとしても動作させることができる(図7参照)。
【0152】
図19は、携帯端末装置600の主要部の構成例を示すブロック図である。図19に示す携帯端末装置600は、制御装置50’及び入出力装置400を有している。制御装置50’は、例えば、アナログ・デジタル(以下A/Dという)コンバータ51、デジタル/アナログ(以下D/Aという)コンバータ52、メモリ53、プロセッサ54、CPU55、電流アンプ56、オペアンプ87a〜87d及びコンパレータ88から構成される。制御装置50’は、タッチパネル61から出力される操作データD3に基づいて振動制御電圧Vaを発生する。
【0153】
入出力装置400は、タッチパネル61、表示手段62及び振動発生手段63から構成される。タッチパネル61は、図12に示したような入力手段84及び入力処理部86等から構成される。入力手段84の機能としては、表示画面上の操作者の指の接触位置を検出して位置検出信号を出力する。この例では、メニュー画面やアイコンボタン等の入力項目が押下されたとき、例えば、入力処理部86が位置検出信号を処理して座標入力位置情報を構成する操作データD3をCPU55に出力する。表示手段62は、CPU55から出力される表示データD2に基づいてメニュー画面やアイコンボタン等の入力項目を表示する。
【0154】
この例で、入出力装置400には振動発生手段63が備えられる。振動発生手段63は、4つのアクチュエータ100a〜100d、図17に示した振動伝達機構64等を有している。アクチュエータ100a〜100d等は制御装置50’に接続される。アクチュエータ100a〜100dは、制御装置50’から出力される振動制御電圧Vaに基づいて操作者の指30に触覚を提示すると共に、当該操作者の指30の接触位置における力を検出して力検出信号SVdを出力する。
【0155】
制御装置50’は、アクチュエータ100a〜100dの、図7に示した積層圧電体群14cの中央電極13から得られる力検出信号SVdに基づいて積層圧電体群14a、14bの主電極IEへの給電制御を実行する。制御装置50’は、アクチュエータ100a〜100dが振動制御電圧Vaに基づいて操作者の指30に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ100a〜100dが押下されたとき、アクチュエータ100a〜100dから力検出信号SVdを入力し、振動制御電圧Vaと力検出電圧Vd’とを入力して差を演算することにより力検出情報を判別するようになされる。
【0156】
この例でも、アクチュエータ100aには、オペアンプ87aが接続される。オペアンプ87aは、中央電極13に接続され、この中央電極13から出力される力検出信号SVd(検出電圧Vd)を増幅して、コンパレータ88に出力する。他のアクチュエータ100b〜100dにも、1つずつオペアンプ87b〜87dが接続される。4つのオペアンプ87a〜87dの出力は、例えば、コンパレータ88の+端子(q点)にまとめて接続される。もちろん、これに限られることはなく、q点に論理和回路等を挿入してもよい。
【0157】
コンパレータ88は、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ100a等が押下されたとき、アクチュエータ100aから出力され、オペアンプ87a等を介して入力される力検出電圧Vd’とアクチュエータ100a〜100dに出力される振動制御電圧Vaとを入力して差を演算することにより力検出電圧VdをA/Dコンバータ51に出力する。
【0158】
A/Dコンバータ51では、コンパレータ88から得られた検出電圧VdをA/D変換してデジタルの力検出データDdを出力する。A/Dコンバータ51にはプロセッサ54が接続され、CPU55の演算制御を補助するように動作する。例えば、プロセッサ54は、力検出データDdに基づいてアクチュエータ100a〜100dへの給電制御を実行する。この給電制御によれば、A/Dコンバータ51から力検出データDdを入力し、この力検出データDdに基づいて振動波形パターンを決定し、パターン決定データDd’をCPU55に通知する。プロセッサ54にはデジタル信号処理装置(以下DSPという)が使用される。
【0159】
プロセッサ54にはメモリ53が接続され、各種振動パターンデータDpが格納されている。例えば、操作受付けを示すアクナレッジ波形パターンP10、各種触覚波形を与える振動制御波形パターンP11、P12、P13、P14が格納される。振動制御波形パターンP11は、クリック感、例えば、剛性感を発生するいわゆる矩形波パターンである。振動制御波形パターンP12は、ハートビートのようなリズム感覚を感じるようなデジタル波形パターンである。振動制御波形パターンP13は、連続的な動きを発生する動作感を感じるような波形パターンである。振動制御波形パターンP14は、普通のタッチパネル面の反応、すなわち、ほぼ一定の振動変位を与えるパターンである。
【0160】
プロセッサ54には、メモリ53の他にCPU55が接続され、操作データD3及びパターン決定データDd’に基づいて振動波形パターン読出しを決定する。CPU55はプロセッサ54にパターン読出許可命令Dcを出力する。プロセッサ54は、パターン読出許可命令Dcに基づいてメモリ53から振動パターンデータDpを読み出してD/Aコンバータ52にセットする。
【0161】
プロセッサ54には、D/Aコンバータ52が接続され、プロセッサ54によって読み出され振動パターンデータDpをD/A変換した後に、アナログの振動制御信号SVaを電流アンプ56に出力する。電流アンプ56は、出力アンプの一例であり、振動制御信号SVaに基づいて振動制御電圧Vaを発生する。振動制御電圧Vaは、アクチュエータ100a〜100dでアクチュエータとして機能する積層圧電体群14a、14bに供給される。この給電制御により、操作者の指30に触覚刺激を付与するようになされる。なお、プロセッサ54、D/Aコンバータ52及び電流アンプ56は、図12に示したアクチュエータ駆動回路37を構成する。
【0162】
このように、プロセッサ54は、表示手段62に表示された入力項目を選択する使用者の指30の力Fを検出し、CPU55は、プロセッサ54が検出した使用者の指30の力に基づいて入力項目が選択されたと判断する。例えば、CPU55は、プロセッサ54を介して、プロセッサ積層圧電体群14cの中央電極13から得られる力検出信号SVdに基づいて入力項目が選択されたと判断し、その後、プロセッサ54を介して、積層圧電体群14a及び14bの主電極IEへの給電制御を実行することで、使用者の指30に触覚刺激を付与する(触覚によるアクナレッジ方法)。
【0163】
続いて、携帯端末装置600の制御例について説明をする。図20は、携帯端末装置600における動作例を示す構成図である。この例では、入出力装置400内のアクチュエータ100a〜100d等がアクチュエータとして機能する場合、これらが力検出センサとして機能する場合、及び、これらを一連に動作させる場合の3つに分けてその説明をする。
【0164】
[アクチュエータ機能]
図20に示す表示手段62には、メニュー画面が表示され、この例では、そのメニュー画面に4つのアイコン31〜34が表示される場合である。使用者は、その4つのアイコン31〜34のいずれかを選択する場合を前提とする。
【0165】
図20において、使用者の指30がメニュー画面に表示されたアイコン31、32、33又は34上をタッチパネル61を介して触れると、その触れた位置の座標位置情報が操作データD3となってCPU55に出力される。CPU55は、使用者の指30が触れられたアイコン、例えば、アイコン31に対応する振動制御波形パターンP11を特定する。CPU55は、アイコン31に対応する振動制御波形パターンP11をメモリ53から読み出すようにプロセッサ54を制御する。
【0166】
プロセッサ54は、メモリ53から振動制御波形パターンP11を与える振動パターンデータDpを読み出してD/Aコンバータ52にセットする。D/Aコンバータ52は、プロセッサ54によって読み出され振動パターンデータDpをD/A変換した後に、アナログの振動制御信号SVaを電流アンプ56に出力する。電流アンプ56は、振動制御信号SVaに基づいて振動制御電圧Vaを発生する。当該振動制御電圧Vaは、アクチュエータ100a〜100dでアクチュエータとして機能する積層圧電体群14a、14bに供給される。これにより、タッチパネル面ではアイコン31に対応したクリック感のある振動が発生し、使用者の指30に触覚刺激として提示される。
【0167】
アイコン32に触れた場合は、タッチパネル面において、振動制御波形パターンP12に基づくハートビートのようなリズム感覚を感じるような振動が発生し、使用者の指30に触覚刺激として提示される。また、アイコン33に触れた場合は、タッチパネル面において、振動制御波形パターンP13に基づく連続的な動きを発生する動作感を感じるような振動が発生し、使用者の指30に触覚刺激として提示される。アイコン34に触れた場合は、振動制御波形パターンP14に基づく普通のタッチパネル面の反応、すなわち、ほぼ一定の振動変位を与えるのみである。
【0168】
また、使用者が指先をタッチパネル面から離したり、又は、タッチパネル面上をスライドさせ、アイコン31等が表示されているエリアから外れた場合は、随時、タッチパネル61からCPU55へ出力されるの座標位置情報により、CPU55がアイコンタッチ有無を判断して、アクチュエータ100a〜100dに対する振動制御電圧Vaをリセットするようになされる。このリセット動作によって、タッチパネル面の振動は停止する。このように、使用者は、アイコン31や、32、33、34等を眼で確認しなくても、タッチパネル面に触れることにより、自分がどのアイコン31、32、33又は34を選択しようとしているかを知ることができる。このように、アクチュエータ100a〜100d等をアクチュエータ機能として動作させることができる。
【0169】
[力検出センサ機能]
図20において、使用者がタッチパネル上に指先を接触させると、タッチパネル61が受ける押圧力Fによりアクチュエータ100a〜100dは変形し、力検出センサとして機能する積層圧電体群14cに力検出信号SVdが生じる(図18A,B参照)。上述の方法で使用者が自分が選択したいアイコン上に、自分の指30があると知ったとき、使用者が例えば、そのアイコン31等を選択するために、更に強くタッチパネル61を押し込むようになされる。この押し込み操作により、力検出センサとして機能する積層圧電体群14cには、より大きな力検出信号SVdが生じる。
【0170】
この力検出信号SVdは、オペアンプ87a等に出力される。オペアンプ87aは、力検出信号SVd(検出電圧Vd)を増幅して、コンパレータ88に出力する。コンパレータ88は、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ100a等が押下されたとき、アクチュエータ100aから出力され、オペアンプ87a等を介して入力される力検出電圧Vd’とアクチュエータ100a〜100dに出力される振動制御電圧Vaとを入力して差を演算することにより力検出電圧VdをA/Dコンバータ51に出力する。
【0171】
A/Dコンバータ51では、コンパレータ88から得られた検出電圧VdをA/D変換してデジタルの力検出データDdを出力する。力検出データDdは、A/Dコンバータ51からプロセッサ54に出力される。プロセッサ54は、A/Dコンバータ51から力検出データDdを入力し、この力検出データDdに基づく被比較レベルと、予め設定された閾値レベルとを随時比較するようになされる。
【0172】
力検出データDdに基づく被比較レベルが閾値レベルを越える場合、CPU55は、使用者がアイコン31等を選択(押下)した状態(場合)であると判別する。この被比較レベルが閾値レベルを越えない場合は、使用者がアイコン31等を探している状態であると判別する。これにより、アクチュエータ100a〜100d等が力検出センサとして動作する。
【0173】
[アクチュエータ及び力検出センサの一連の動作例]
図21A〜Cは、入出力装置400における一連の動作例及び波形例を示す図である。図21B及びCにおいて、横軸は時刻t及び指30の接触位置Xである。縦軸は振動制御波形パターンP10〜P13に基づく振動制御電圧Va及び力検出信号SVdの合成値[V]である。
【0174】
第6の実施例では、使用者がアイコン31上を左側から右側にスライドしてアイコン33を探し、それを選択する場合を例に挙げる。この場合のアクチュエータ100a〜100dの一連の働きを、具体的な振動制御波形パターンP10〜P13に基づくアクチュエータ機能と、力検出センサ機能で検出される力検出信号SVdとを用いて説明をする。
【0175】
図21Aにおいて、使用者は、図中(イ)の位置、すなわち、開始点(イ)を起点に、アイコン31の左端部から所望のアイコン33を探し出すために、右矢印の方向に、使用者の指30をタッチパネル61上にスライドする。所望のアイコン33上に指30が到達した時点(位置)で選択動作を行なう。
【0176】
これらを操作条件にして、まず、開始点(イ)において、すなわち、時刻t0では、使用者がアイコン31、33のいずれにも触れていない状態なので、図21Bに示す振動制御電圧Vaのレベルは0である。これは、タッチパネル面が振動制御波形パターンP11等に基づく振動制御電圧Vaに比例して変位するが、このときは当該振動制御電圧Vaが0で振動がないためである。この場合、使用者は何も感じないのである。一方で力検出信号SVdとしては、使用者がタッチパネル面に軽く指30を触れているだけなので、それに応じた力検出信号SVdが現れる。このときの力検出信号SVdは、図21Cに示すように閾値を下回る電圧である。
【0177】
次に、使用者が指30をスライドさせ、時刻t1で位置x1のアイコン31上に到達すると、プロセッサ54は、メモリ53から予め定義された振動制御波形パターンP11をD/Aコンバータ52にセットする。D/Aコンバータ52では、プロセッサ54によって読み出され振動パターンデータDpをD/A変換した後に、アナログの振動制御信号SVaを電流アンプ56に出力する。電流アンプ56は、振動制御信号SVaに基づいて振動制御電圧Vaを発生する。当該振動制御電圧Vaは、アクチュエータ100a〜100dでアクチュエータとして機能する積層圧電体群14a、14bに供給される。
【0178】
これにより、タッチパネル面ではアイコン31に対応したクリック感のある振動が発生し、使用者の指30に触覚刺激として提示される。この際の力検出信号SVdについては、使用者がタッチパネル61に触れていることによる検出電圧Vdと、振動制御波形パターンP11によるアクチュエータ100a〜100d等の変形による振動制御電圧Vaとを重畳させた力検出電圧Vd’になる。
【0179】
さらに、使用者が指30を右側に移動させると、時刻t2で位置x2のアイコン31から外れるので、再び、開始点(イ)と同じ状態になる。この状態は、時刻t3で位置x3のアイコン33上まで行くと、そのアイコン33に応じた振動制御波形パターンP13がメモリ53からD/Aコンバータ52にセット(出力)される。D/Aコンバータ52では、プロセッサ54によって読み出され振動パターンデータDpをD/A変換した後に、アナログの振動制御信号SVaを電流アンプ56に出力する。
【0180】
電流アンプ56は、振動制御信号SVaに基づいて振動制御電圧Vaを発生する。当該振動制御電圧Vaは、アクチュエータ100a〜100dでアクチュエータとして機能する積層圧電体群14a、14bに供給される。これにより、タッチパネル面では振動制御波形パターンP13に基づく連続的な動きを発生する動作感を感じるような振動が発生し、使用者の指30に触覚刺激として提示される。
【0181】
ここで使用者がこのアイコン33を選択するために、時刻t4で位置x4のタッチパネル面を押し込む。すると、力検出信号SVdの値は押圧力Fに比例して大きくなる。この力検出信号SVdの値が予め設定してある、図21Cに示す閾値Vthを超えたとき、CPU55は、使用者による選択がなされたと判断する。この判断をしたCPU55は、使用者による操作を受け付けたことを示すアクナレッジ波形パターンP10をメモリ53から読み出してD/Aコンバータ52に出力する。これによって、アクナレッジ波形パターンP10に基づいて急峻に立ち上るような振動が発生し、使用者は自分の選択行為がCPU55に受け付けられたことを知る(確認)することができる。
【0182】
このように本発明に係る第6の実施例としての触覚入出力機能付きの携帯端末装置600によれば、本発明に係る入出力装置400が応用される。この携帯端末装置600において、入力項目選択用の表示画面上で入力操作する場合に、最初の入力として、CPU55は、タッチパネル61が接触されたとき、又は、タッチパネル61が強く押下されたとき、タッチパネル61から得られる位置検出信号に基づく操作データD3を入力し、又は及び、アクチュエータ100a等から得られる第1の力検出信号SVdに基づく力検出データDdを入力する。
【0183】
CPU55は、操作データD3又は及び第1の力検出データDdに基づいてアクチュエータ100a等に振動制御電圧Vaを出力する。アクチュエータ100a等は振動制御電圧Vaに基づいて操作者の指に触覚を提示する。その触覚提示状態で、更に、新たな異なる入力として、アクチュエータ100a等が押下されたとき、CPU55は、アクチュエータ100a等から出力される力検出信号SVdに基づく力検出データDdを入力する。
【0184】
この例では、操作者の指に触覚を提示している状態で、更に、アクチュエータ100a等が押下されたとき、コンパレータ88は、オペアンプ87a等から出力される力検出電圧Vd’と、電流アンプ56からアクチュエータ100a等へ出力される振動制御電圧Vaとを入力して差を演算する。この演算により力検出電圧VdをA/Dコンバータ51に出力するようになる。
【0185】
従って、A/Dコンバータ51は、検出電圧Vdに基づいて入力判別することができる。この入力判別の結果から得られる力検出データDdをトリガにして、CPU55は、新たな入力項目の選択や、入力選択項目の確定等の入力操作をできるようになる。これにより、触覚入出力機能付きの携帯端末装置600の機能の向上を図ること、及び、触覚制御シーケンスを高速に、かつ、信頼性良くデータ処理することができる。
【0186】
なお、使用者の操作は、タッチパネル61を触っただけでアイコンボタンの種類等を判断し、適当なものを選択するというもので、表示画面を注視することが必要ない、いわゆる「ブラインド操作」である。これは特に、車載に携帯端末装置600を応用した場合、運転操作を視覚的に妨げることがないので使用者の安全に寄与する。
【0187】
また車載機器に限らず、近年にみられる放送や映像配信の多チャンネル化により操作が複雑になった大型テレビ等の操作リモコンに「ブラインド操作」を応用すれば、メイン設定画面から眼をそらすことなく、手元で複雑な操作を実行することが可能となるので、入出力装置400や携帯端末装置600の操作性が向上する。
【0188】
A/Dドライバ89、A/Dコンバータ51又はCPU55における入力判別アルゴリズムは、安定した入力検出を実行するために、複数個の検出値を平均し、その合計等の演算を行った結果を判別の変数としてもよい。つまり、サンプリング周波数が許す範囲内で、検出電圧Vdとしてどのような演算結果を用いてもよいということである。
【0189】
また、当然のことであるが、上述した状況において、入力が検出された場合、検出された入力情報は即座に出力として、他の情報処理系等に出力される。その場合、検出時に出力されていた一つ前の出力を即座に停止させる機能(アルゴリズム)をA/Dドライバ89、A/Dコンバータ51、D/Aコンバータ52、D/Aドライバ76又はCPU55が所有するように構成してもよい。
【0190】
このように、第1〜第6の実施例によれば、アクチュエータ出力処理を実行しながら、簡易な入力検出が可能となる。また、入力判別アルゴリズムが簡素となることから、機器の小型化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0191】
この発明は、予め準備された入力項目選択用の表示画面の中からアイコンを選択して情報を入力する際に触覚を提示するようになされたゲーム装置や、情報処理装置、携帯電話機、情報携帯端末装置等に適用して極めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】本発明に係る第1の実施例としての触覚機能付きの入出力装置100の構成例を示すブロック図である。
【図2】A及びBは、圧電複合手段の一例としての多機能圧電アクチュエータ1の構成例を示す斜視図及び断面図である。
【図3】アクチュエータ1の機能例を示すグラフ図である。
【図4】A〜Cは、コンパレータ88の機能例を示す波形図である。
【図5】触覚機能付きの入出力装置100の動作例を示すフローチャートである。
【図6】A及びBは、第2の実施例としての入出力装置に使用可能な多機能圧電アクチュエータ(結線固定型)10の構成例を示す斜視図及び断面図である。
【図7】第3の実施例としての入出力装置に使用可能な結線可変型の多機能圧電アクチュエータ300の断面の構成例を示す図である。
【図8】多機能圧電アクチュエータ300の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図9】第4の実施例としての触覚機能付きの入出力装置400の構成例を示す組立斜視図である。
【図10】振動伝達機構80の構成例を示す拡大斜視図である。
【図11】振動伝達機構80における制御系の構成例を示すブロック図である。
【図12】触覚機能付きの入出力装置400の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図13】触覚機能付きの入出力装置400の動作例を示すフローチャートである。
【図14】A及びBは、第1の入出力装置を応用した第5の実施例としての携帯端末装置500の構成例を示す概念図である。
【図15】入出力装置100の制御系の構成例を示す回路図である。
【図16】第2の入出力装置を応用した第6の実施例としての携帯端末装置600の構成例を示す斜視図である。
【図17】入出力装置400のタッチパネル61、表示手段62、アクチュエータ100a,100bを含む構成例を示す断面図である。
【図18】A及びBは、入出力装置400におけるタッチパネル押下時の動作例を示す断面図である。
【図19】携帯端末装置600の主要部の構成例を示すブロック図である。
【図20】携帯端末装置600における動作例を示す構成図である。
【図21】A〜Cは、入出力装置400における一連の動作例及び波形例を示す図である。
【符号の説明】
【0193】
1,10,300・・・多機能圧電アクチュエータ(圧電複合装置)、15,15’・・・制御手段、35・・・記憶手段、37,37’・・・アクチュエータ駆動回路、50・・・制御装置、53・・・メモリ、55・・・CPU(制御手段)、61・・・タッチパネル(入力手段)、62・・・表示手段、63・・・振動発生手段、64,80・・・振動伝達機構、84・・・入力手段、100,400・・・入出力装置、500,600・・・携帯端末装置(電子機器)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作体の押圧力を検出して力検出信号を出力する機能と、振動制御信号に基づいて前記操作体に触覚を提示する機能とを有した圧電複合手段と、
前記圧電複合手段の入出力を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記圧電複合手段が押下されたとき、前記圧電複合手段から得られる第1の力検出信号を入力し、
前記第1の力検出信号に基づいて前記圧電複合手段に振動制御信号を出力し、
前記圧電複合手段が振動制御信号に基づいて前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記圧電複合手段から得られる第2の力検出信号を判別することを特徴とする触覚機能付きの入出力装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記圧電複合手段から出力される力検出信号と前記圧電複合手段に出力される振動制御信号とに基づいて差を演算することにより前記第2の力検出信号を判別することを特徴とする請求項1に記載の触覚機能付きの入出力装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記第2の力検出信号に基づく力検出情報が正である場合又は当該力検出信号に基づく力検出情報が負である場合によって、前記圧電複合手段への閾値を越える押下が有った又はその押下が無かった旨を判別することを特徴とする請求項2に記載の触覚機能付きの入出力装置。
【請求項4】
前記圧電複合手段は、
給電用の電極、共通電極及び信号検出用の電極と、
前記給電用の電極及び共通電極の間に接合された第1の圧電素子と、
前記共通電極及び信号検出用の電極の間に接合された第2の圧電素子とを備え、
前記給電用の電極と共通電極との間には所定の電圧が供給され、
前記検出用の電極からは、外力に基づく力検出信号を含む力検出信号が取り出されることを特徴とする請求項1に記載の触覚機能付きの入出力装置。
【請求項5】
入力項目選択用の表示画面上で操作体によって入力操作される触覚機能付き入出力装置であって、
前記表示画面上の操作体の接触位置を検出して位置検出信号を出力する入力手段と、
前記入力手段から出力される位置検出信号に基づいて振動制御信号を発生する制御手段と、
前記制御手段から出力される前記振動制御信号に基づいて前記操作体に触覚を提示すると共に、当該操作体の接触位置における力を検出して力検出信号を出力する圧電複合手段とを備え、
前記制御手段は、
前記圧電複合手段が振動制御信号に基づいて前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記圧電複合手段から得られる力検出信号を判別することを特徴とする触覚機能付きの入出力装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記圧電複合手段から出力される力検出信号と前記圧電複合手段に出力される振動制御信号とに基づいて差を演算することにより前記第2の力検出信号を判別することを特徴とする請求項5に記載の触覚機能付きの入出力装置。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記力検出情報が正である場合又は当該力検出情報が負である場合によって、前記圧電複合手段への閾値を越える押下が有った又はその押下が無かった旨を判別することを特徴とする請求項5に記載の触覚機能付きの入出力装置。
【請求項8】
前記圧電複合手段は、
給電用の電極、共通電極及び信号検出用の電極と、
前記給電用の電極及び共通電極の間に接合された第1の圧電素子と、
前記共通電極及び信号検出用の電極の間に接合された第2の圧電素子とを備え、
前記給電用の電極と共通電極との間には所定の電圧が供給され、
前記検出用の電極からは、外力に基づく力検出信号を含む力検出信号が取り出されることを特徴とする請求項5に記載の触覚機能付きの入出力装置。
【請求項9】
操作体の押圧力を検出して力検出信号を出力する機能と、振動制御信号に基づいて前記操作体に触覚を提示する機能とを有した圧電複合手段と、
前記圧電複合手段の入出力を制御する制御手段とを有する触覚機能付きの入出力装置を備えた電子機器において、
前記制御手段は、
前記圧電複合手段が押下されたとき、前記圧電複合手段から得られる第1の力検出信号を入力し、
前記第1の力検出信号に基づいて前記圧電複合手段に振動制御信号を出力し、
前記圧電複合手段が振動制御信号に基づいて前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記圧電複合手段から得られる第2の力検出信号を判別することを特徴とする電子機器。
【請求項10】
前記制御手段は、
前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記圧電複合手段から出力される力検出信号と前記圧電複合手段に出力される振動制御信号とに基づいて差を演算することにより前記第2の力検出信号を判別することを特徴とする請求項9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記制御手段は、
前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記第2の力検出信号に基づく力検出情報が正である場合又は当該力検出信号に基づく力検出情報が負である場合によって、前記圧電複合手段への閾値を越える押下が有った又はその押下が無かった旨を判別することを特徴とする請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
前記圧電複合手段は、
給電用の電極、共通電極及び信号検出用の電極と、
前記給電用の電極及び共通電極の間に接合された第1の圧電素子と、
前記共通電極及び信号検出用の電極の間に接合された第2の圧電素子とを備え、
前記給電用の電極と共通電極との間には所定の電圧が供給され、
前記検出用の電極からは、外力に基づく力検出信号を含む力検出信号が取り出されることを特徴とする請求項9に記載の電子機器。
【請求項13】
入力項目選択用の表示画面上で操作体によって入力操作される触覚機能付きの入出力装置を備えた電子機器であって、
前記入出力装置は、
前記表示画面上の操作体の接触位置を検出して位置検出信号を出力する入力手段と、
前記入力手段から出力される位置検出信号に基づいて振動制御信号を発生する制御手段と、
前記制御手段から出力される前記振動制御信号に基づいて前記操作体に触覚を提示すると共に、当該操作体の接触位置における力を検出して力検出信号を出力する圧電複合手段とを有し、
前記制御手段は、
前記圧電複合手段が振動制御信号に基づいて前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記圧電複合手段から得られる力検出信号を判別することを特徴とする電子機器。
【請求項14】
前記制御手段は、
前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記圧電複合手段から出力される力検出信号と前記圧電複合手段に出力される振動制御信号とに基づいて差を演算することにより前記第2の力検出信号を判別することを特徴とする請求項13に記載の電子機器。
【請求項15】
前記制御手段は、
前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記力検出情報が正である場合又は当該力検出情報が負である場合によって、前記圧電複合手段への閾値を越える押下が有った又はその押下が無かった旨を判別することを特徴とする請求項13に記載の電子機器。
【請求項16】
前記圧電複合手段は、
給電用の電極、共通電極及び信号検出用の電極と、
前記給電用の電極及び共通電極の間に接合された第1の圧電素子と、
前記共通電極及び信号検出用の電極の間に接合された第2の圧電素子とを備え、
前記給電用の電極と共通電極との間には所定の電圧が供給され、
前記検出用の電極からは、外力に基づく力検出信号を含む力検出信号が取り出されることを特徴とする請求項13に記載の電子機器。
【請求項1】
操作体の押圧力を検出して力検出信号を出力する機能と、振動制御信号に基づいて前記操作体に触覚を提示する機能とを有した圧電複合手段と、
前記圧電複合手段の入出力を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記圧電複合手段が押下されたとき、前記圧電複合手段から得られる第1の力検出信号を入力し、
前記第1の力検出信号に基づいて前記圧電複合手段に振動制御信号を出力し、
前記圧電複合手段が振動制御信号に基づいて前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記圧電複合手段から得られる第2の力検出信号を判別することを特徴とする触覚機能付きの入出力装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記圧電複合手段から出力される力検出信号と前記圧電複合手段に出力される振動制御信号とに基づいて差を演算することにより前記第2の力検出信号を判別することを特徴とする請求項1に記載の触覚機能付きの入出力装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記第2の力検出信号に基づく力検出情報が正である場合又は当該力検出信号に基づく力検出情報が負である場合によって、前記圧電複合手段への閾値を越える押下が有った又はその押下が無かった旨を判別することを特徴とする請求項2に記載の触覚機能付きの入出力装置。
【請求項4】
前記圧電複合手段は、
給電用の電極、共通電極及び信号検出用の電極と、
前記給電用の電極及び共通電極の間に接合された第1の圧電素子と、
前記共通電極及び信号検出用の電極の間に接合された第2の圧電素子とを備え、
前記給電用の電極と共通電極との間には所定の電圧が供給され、
前記検出用の電極からは、外力に基づく力検出信号を含む力検出信号が取り出されることを特徴とする請求項1に記載の触覚機能付きの入出力装置。
【請求項5】
入力項目選択用の表示画面上で操作体によって入力操作される触覚機能付き入出力装置であって、
前記表示画面上の操作体の接触位置を検出して位置検出信号を出力する入力手段と、
前記入力手段から出力される位置検出信号に基づいて振動制御信号を発生する制御手段と、
前記制御手段から出力される前記振動制御信号に基づいて前記操作体に触覚を提示すると共に、当該操作体の接触位置における力を検出して力検出信号を出力する圧電複合手段とを備え、
前記制御手段は、
前記圧電複合手段が振動制御信号に基づいて前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記圧電複合手段から得られる力検出信号を判別することを特徴とする触覚機能付きの入出力装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記圧電複合手段から出力される力検出信号と前記圧電複合手段に出力される振動制御信号とに基づいて差を演算することにより前記第2の力検出信号を判別することを特徴とする請求項5に記載の触覚機能付きの入出力装置。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記力検出情報が正である場合又は当該力検出情報が負である場合によって、前記圧電複合手段への閾値を越える押下が有った又はその押下が無かった旨を判別することを特徴とする請求項5に記載の触覚機能付きの入出力装置。
【請求項8】
前記圧電複合手段は、
給電用の電極、共通電極及び信号検出用の電極と、
前記給電用の電極及び共通電極の間に接合された第1の圧電素子と、
前記共通電極及び信号検出用の電極の間に接合された第2の圧電素子とを備え、
前記給電用の電極と共通電極との間には所定の電圧が供給され、
前記検出用の電極からは、外力に基づく力検出信号を含む力検出信号が取り出されることを特徴とする請求項5に記載の触覚機能付きの入出力装置。
【請求項9】
操作体の押圧力を検出して力検出信号を出力する機能と、振動制御信号に基づいて前記操作体に触覚を提示する機能とを有した圧電複合手段と、
前記圧電複合手段の入出力を制御する制御手段とを有する触覚機能付きの入出力装置を備えた電子機器において、
前記制御手段は、
前記圧電複合手段が押下されたとき、前記圧電複合手段から得られる第1の力検出信号を入力し、
前記第1の力検出信号に基づいて前記圧電複合手段に振動制御信号を出力し、
前記圧電複合手段が振動制御信号に基づいて前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記圧電複合手段から得られる第2の力検出信号を判別することを特徴とする電子機器。
【請求項10】
前記制御手段は、
前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記圧電複合手段から出力される力検出信号と前記圧電複合手段に出力される振動制御信号とに基づいて差を演算することにより前記第2の力検出信号を判別することを特徴とする請求項9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記制御手段は、
前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記第2の力検出信号に基づく力検出情報が正である場合又は当該力検出信号に基づく力検出情報が負である場合によって、前記圧電複合手段への閾値を越える押下が有った又はその押下が無かった旨を判別することを特徴とする請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
前記圧電複合手段は、
給電用の電極、共通電極及び信号検出用の電極と、
前記給電用の電極及び共通電極の間に接合された第1の圧電素子と、
前記共通電極及び信号検出用の電極の間に接合された第2の圧電素子とを備え、
前記給電用の電極と共通電極との間には所定の電圧が供給され、
前記検出用の電極からは、外力に基づく力検出信号を含む力検出信号が取り出されることを特徴とする請求項9に記載の電子機器。
【請求項13】
入力項目選択用の表示画面上で操作体によって入力操作される触覚機能付きの入出力装置を備えた電子機器であって、
前記入出力装置は、
前記表示画面上の操作体の接触位置を検出して位置検出信号を出力する入力手段と、
前記入力手段から出力される位置検出信号に基づいて振動制御信号を発生する制御手段と、
前記制御手段から出力される前記振動制御信号に基づいて前記操作体に触覚を提示すると共に、当該操作体の接触位置における力を検出して力検出信号を出力する圧電複合手段とを有し、
前記制御手段は、
前記圧電複合手段が振動制御信号に基づいて前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記圧電複合手段から得られる力検出信号を判別することを特徴とする電子機器。
【請求項14】
前記制御手段は、
前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記圧電複合手段から出力される力検出信号と前記圧電複合手段に出力される振動制御信号とに基づいて差を演算することにより前記第2の力検出信号を判別することを特徴とする請求項13に記載の電子機器。
【請求項15】
前記制御手段は、
前記操作体に触覚を提示している状態で、更に、前記圧電複合手段が押下されたとき、前記力検出情報が正である場合又は当該力検出情報が負である場合によって、前記圧電複合手段への閾値を越える押下が有った又はその押下が無かった旨を判別することを特徴とする請求項13に記載の電子機器。
【請求項16】
前記圧電複合手段は、
給電用の電極、共通電極及び信号検出用の電極と、
前記給電用の電極及び共通電極の間に接合された第1の圧電素子と、
前記共通電極及び信号検出用の電極の間に接合された第2の圧電素子とを備え、
前記給電用の電極と共通電極との間には所定の電圧が供給され、
前記検出用の電極からは、外力に基づく力検出信号を含む力検出信号が取り出されることを特徴とする請求項13に記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2006−107140(P2006−107140A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−293056(P2004−293056)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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