説明

計器装置

【課題】
立体的で斬新な外観となる計器装置を提供する。
【解決手段】
文字盤2と、文字盤2の外縁に沿って配設されるリング部材3と、リング部材3の裏面側に配設されたLED4とを備えた計器装置である。
そして、リング部材3の前面側の端部には凸部5が設けられ、凸部5は最前端面5aに金属調層6が設けられると共に両側側面5b,5bがLED4から導入された光が出射可能に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に採用するのに適した計器装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両用の指針計器装置には、略円形の文字盤と、この文字盤の外縁に沿って表面が金属調に処理されたリング部材が配設されるものが知られている(特許文献1など参照)。
【0003】
また、特許文献1乃至3などに開示されているように、リング部材を導光部材によって形成し、裏面側に配設された発光ダイオード(LED)の光をリング部材から出射させるように構成された計器装置も知られている。
【特許文献1】特開2001−41779号公報(0002段落、図2〜図6)
【特許文献2】特開2004−226363号公報
【特許文献3】特開2002−71392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、導光部材を使用して光を出射させるだけでは画一的な見栄えとならざるを得ない。
【0005】
そこで、本発明は、立体的で斬新な外観となる計器装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、文字盤と、該文字盤の外縁に沿って配設される導光部材と、該導光部材の裏面側に配設された光源とを備えた計器装置であって、前記導光部材の前面側の端部には凸部が設けられ、該凸部は最前端面に被覆層が設けられると共に両側側面が前記光源から導入された光が出射可能に形成されている計器装置であることを特徴としている。
【0007】
ここで、前記被覆層は遮光性を有する金属調に処理することができる。
【0008】
さらに、前記導光部材には、前記凸部の両側側面に対向する傾斜面をそれぞれ形成し、該傾斜面には反射層を設けることができる。
【発明の効果】
【0009】
このように構成された本発明は、導光部材の前面側の端部に凸部が設けられ、その凸部の最前端面に被覆層が設けられて光の出射が遮られる又は低減されると共に、凸部の両側側面から光が出射される。
【0010】
このため、凸部の最前端面に設けられた被覆層が光の中に浮かんでいるような立体的で斬新な外観を提供することができる。
【0011】
特に、被覆層を金属調処理した場合、裏面からの光が遮光されると共に表面に当たった光が散乱して輝いて見栄えが良くなる。
【0012】
また、前記凸部の側面に対向する傾斜面を設け、その表面に反射層を設けることで、凸部側面から出射した光が反射層で反射し、より一層、被覆層を光の中に浮かび上がらせて立体感を強調することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の最良の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図2に示す本実施の形態による計器装置は車両に適用される計器装置であって、計器装置としてのタコメータ1とスピードメータ21は、コンビネーションメータ100に組み込まれている。
【0015】
ここで、タコメータ1とスピードメータ21は、文字盤2,22の外縁部はほぼ同じ構成となるため、以下、タコメータ1について説明する。
【0016】
このタコメータ1は、文字盤2と、可動部材である指針13と、文字盤2の外縁に沿って円環状に配設される導光部材としてのリング部材3とが乗員によって視認可能な主な構成となる。
【0017】
この指針13は、図2のA−A線断面図である図3に示すように、指針13を回転させる指針軸13bと、その上端に嵌め合わせる指針キャップ13aとを備えている。
【0018】
そして、この指針13が指示する文字盤2上には、その指針13の角度に対応した目盛りと数値が印刷されている。
【0019】
さらに、この文字盤2の外縁に配設されるリング部材3は、例えば透明なポリカーボネート樹脂等によって、図3に示すように文字盤2よりも前面側に突出する高さに成形されており、その前面側の端部には凸部5が設けられている。
【0020】
この凸部5は、図1に示すように最も前面側に突出する最前端面5aと、その両側に形成される側面5b,5bとによって形成され、最前端面5aには被覆層としての金属調層6がホットスタンプ(熱転写)などによって形成される。
【0021】
また、リング部材3の凸部5基端には、側面5b,5bに対向するように曲面状の傾斜面7,7が設けられ、その表面には反射層としてのシルバー塗装層8,8が形成される。
【0022】
このシルバー塗装層8,8は、リング部材3の文字盤2側の内側壁3bとその反対側の立上り壁3aとにも連続して形成される。
【0023】
さらに、このリング部材3の裏面側には光源としてのLED4が配設されており、リング部材3の底面から入射された光は前面側に進んで凸部5の側面5b,5bから出射される(図1の矢印参照)。
【0024】
このLED4は、図3に示すようにタコメータ1の基板10上に取り付けられたケース部材11の穴に配設され、LED4の対面側には拡散板9が設けられて、LED4が点灯して出射した光は拡散板9によって拡散される。
【0025】
また、拡散板9の前面側には着色層12が設けられ、LED4から出射された光を所望の色に変化させて文字盤2の裏面及びリング部材3の裏面に入射させる。
【0026】
次に、上記した本実施の形態の計器装置としてのタコメータ1の作用について説明する。
【0027】
このように構成された本発明のタコメータ1は、図1に示すようにLED4から出射された光が拡散板9に入射して拡散された後に、着色層12に入射して所定の色に変化してリング部材3に入射される。
【0028】
そして、リング部材3の裏面から入射された光は、内部を凸部5に向かって進行して凸部5の両側側面5b,5bから出射される。
【0029】
このようにして側面5b,5bから出射した光は、傾斜面7,7に設けられたシルバー塗装層8,8で反射して金属調層6周辺を照らすことになる。
【0030】
このため、リング状の金属調層6が光の帯の中に浮かんでいるような立体的で斬新な外観を乗員は視認することができる。
【0031】
また、このような金属調層6は、ホットスタンプによって容易に形成することができ、メッキや蒸着によって処理する場合に比べて側面5b,5bを透光性に優れたきれいな状態に保つことが簡単にできる。
【0032】
さらにシルバー塗装層8,8を設けることによって、凸部5の側面5b,5bから出射された光が反射して金属調層6周辺の明るさが増して立体的な外観を際立たせることができる。
【実施例】
【0033】
以下、前記した実施の形態の実施例について説明する。なお、実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0034】
図4は、本実施例の計器装置としてのタコメータ31に対して図2のA−A線と同じ位置で切断した断面図である。
【0035】
この実施例の導光部材としてのリング部材33以外の構成は、前記した実施の形態と同様であるため説明を省略する。
【0036】
このリング部材33は、文字盤2の外縁に沿って配設され、その前面側の端部には凸部35が形成されている。
【0037】
この凸部35は、文字盤2側に傾斜する最前端面35aとその両側側面35b,35bとによって形成され、その最前端面35aには被覆層としての金属調層36がホットスタンプによって形成される。
【0038】
また、リング部材33の文字盤2と反対側の側壁には黒色などの塗装層38が設けられ、リング部材33の内部を進行する光が側壁から漏れ出さないようにしておく。
【0039】
このように構成された本実施例のタコメータ31は、LED4から出射した光が拡散板9、着色層12を通ってリング部材3の裏面から入射し、その内部を通って凸部35の両側の側面35b,35bから出射される。
【0040】
このため、金属調層36の両側が照らされて光の帯の中に浮かんでいるように立体的な外観が際立って見える。
【0041】
特に、暗い色の塗装層38によってリング部材33の側壁から漏れ出す光を遮ることで、より一層、凸部35の両側側面35b,35bから出射された光とのコントラストを強調することができる。
【0042】
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態と略同様であるので説明を省略する。
【0043】
以上、図面を参照して、本発明の最良の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0044】
例えば、前記実施の形態では文字盤2の外縁全周に円環状に導光部材を配設したが、これに限定されるものではなく、文字盤2の外縁の一部に導光部材を配設するだけでもよい。
【0045】
また、文字盤2の形状は略円形に限定されるものではなく、略半円形などの別の形状であってもよく、その外縁全周に導光部材を配設したり、円弧部分の外縁にだけ導光部材を配設したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の最良の実施の形態の計器装置の要部を拡大した断面図である。
【図2】計器装置としてのタコメータとスピードメータを組み込んだコンビネーションメータの正面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】実施例の計器装置の断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1,31 タコメータ(計器装置)
2,22 文字盤
3,33 リング部材(導光部材)
4 LED(光源)
5,35 凸部
5a,35a 最前端面
5b,35b 側面
6,36 金属調層(被覆層)
7 傾斜面
8 シルバー塗装層(反射層)
21 スピードメータ(計器装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字盤と、該文字盤の外縁に沿って配設される導光部材と、該導光部材の裏面側に配設された光源とを備えた計器装置であって、
前記導光部材の前面側の端部には凸部が設けられ、該凸部は最前端面に被覆層が設けられると共に両側側面が前記光源から導入された光が出射可能に形成されていることを特徴とする計器装置。
【請求項2】
前記被覆層が遮光性を有する金属調に処理されていることを特徴とする請求項1に記載の計器装置。
【請求項3】
前記導光部材には、前記凸部の両側側面に対向する傾斜面がそれぞれ形成され、該傾斜面には反射層が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の計器装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−329691(P2006−329691A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−150424(P2005−150424)
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】