説明

計時システムおよびその計時システムの時刻補正方法

【課題】スタート信号が直接に入力できない場合でも、基準時刻と適切に時刻同期を行うことのできる計時システム等を提供する。
【解決手段】ストロボ20は、基準時刻となるランニングタイムに合わせて発光し、撮影装置30は、発光点を含むスリット映像を撮影する。映像記録装置50の計時部53は、ランニングタイムと幾分ずれた時刻を計時する。制御部54は、撮影装置30により撮影されて時系列に並べられたスリット映像に、計時部53が計時した時刻のタイムデータを合成する。オフセット算定部56は、合成されたスリット映像を映像記憶部55から読み出し、スリット映像における発光点の位置と、発光のタイミングに対応する時刻のタイムデータの位置との関係から、計時部53の時刻とランニングタイムとの時差となるオフセットを算定する。そして、制御部54は、算定されたオフセットに基づいて、計時部53が計時する時刻を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基準時刻と適切に時刻同期を行うことのできる計時システムおよびその計時システムの時刻補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
陸上競技等では、基準時刻に基づき、ゴール時点等に競技者が到達した時刻を計測して競技タイムとしている。近年、陸上競技等にて、競技者の競技タイムを、映像(写真)を用いることにより特定する計時システムが導入され、厳密な競技タイムの特定が行えるようになっている。この種の計時システムは、例えばスリットカメラと映像記録装置とを含んで構成される。
まず、スリットカメラは、計時ライン上に向けて正確に設置され、競技者が計時ラインを通過する直前から通過直後までのスリット映像を連続して撮影する。
一方、映像記録装置は、撮影されたスリット映像に、内部のタイマが計時した時刻の情報(タイムデータ)を合成して記録する。
そして、競技タイムの特定を行う際に、タイムデータを合成したスリット映像をパソコンのモニタ等に適宜表示する。そのモニタ上の競技タイムの判定ラインを、パソコンのマウス操作等により競技者のトルソー(胴体)に合わせることにより、競技役員の目視確認のもと、競技タイムを計測する。
【0003】
このような計時システムは、競技のスタート時に、スタートピストル又は、スタート信号発生装置から供給されるスタート信号に応答して、映像記録装置(内部のタイマ)にて計時が開始される。そのため、トラック競技等では、スタート時に何らかの原因により、映像記録装置にて計時が始まらないと、競技を不成立とし、スタートからのやり直しが行われるようになっている。
なお、スリットビデオ(リニアセンサ)を使用して映像を取り込み、競技者のゴール地点を到達した時刻を計測するための計時装置を含んだ計時システムにおいて、競技者に知らせるスタート信号のタイミングと、計時開始のタイミングとを一致させる技術も開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許2978357号公報 (第2−3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した計時システムでは、スタート信号を入力することで計時が開始されるようになっている。そのため、スタート地点とゴール地点等の計時地点とがある程度離れているロードレース(マラソン、競歩、クロスカントリー等)では、種々の工夫がなされていた。
一例として、スタート信号を入力した後に搬送を行うことが行われていた。つまり、映像記録装置(又は、計時システム全体)を一旦スタート地点に置き、スタート時にスタート信号を入力して計時を開始させた後に、計時地点まで搬送する運用がなされていた。
この場合、大がかりな搬送となり、大いに手間が掛かるだけでなく、動作(計時等)させながらの搬送に映像記録装置が耐えられない場合もあった。つまり、映像記録装置がそもそも動作中での搬送に充分耐えられるように作られていないため、搬送中の衝撃等で計時が止まってしまったり、その後のスリット映像の記録等に障害が生じてしまうことがあった。
また、スタート地点に配置した際(後に計時地点まで搬送する場合だけでなく、スタート地点と計時地点が同じでそのまま配置する場合も含む)に、スタート時に何らかの原因により、映像記録装置にて計時が開始されないこともある。ロードレースでは、トラック競技の場合と異なり、スタートのやり直しは行われない。つまり、映像記録装置の計時が開始されなかった場合でも、競技が成立し、そのまま続行されてしまうことになる。
【0005】
このため、スタート信号の入力が得られない場合等に、映像記録装置の計時を適宜開始させる運用もなされていた。
例えば、計時システムが計時地点に設定された状態で、競技役員が、スタート地点のリアルタイム映像(テレビ放送等)を見ながら、または、スタート地点にいる別の競技役員と電話しながら、競技のスタートに合わせて手動により信号を入力し、映像記録装置の計時を開始させていた。
それでもこの場合、やはり手動であるため、スタート地点のタイミングと映像記録装置の計時の開始とともにある程度の誤差(時差)が当然に生じてしまうことになる。また、映像や通話が途絶した場合には、競技のスタートを把握できずに、映像記録装置の計時を開始できない状況も起こり得る。
【0006】
これらのことから、ロードレース等において、スタート信号の入力が得られない場合でも、基準時刻と同期した適切な計時を行うことのできる技術が求められていた。
【0007】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、スタート信号が入力できない場合でも、基準時刻と適切に時刻同期を行うことのできる計時システムおよびその計時システムの時刻補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る計時システムは、
基準タイマが計時する基準時刻に同期して発光する発光手段と、
スリット映像を周期的に撮影するものであり、前記発光手段の発光を撮影可能に配置された撮影手段と、
前記基準タイマとは別に設けられ、時刻を計時する計時手段と、
前記撮影手段により撮影された前記スリット映像を時系列に並べ、前記計時手段により計時された時刻を示す時刻情報を、時系列に並ぶ前記スリット映像に合成する合成手段と、
前記合成手段により前記時刻情報が合成されて時系列に並ぶ前記スリット映像における、前記発光手段の発光が示す発光点の位置と、前記発光手段の発光のタイミングに対応する前記時刻の前記時刻情報の位置との関係から、前記基準タイマが計時する前記基準時刻と前記計時手段が計時する前記時刻との時差を算定する時差算定手段と、
前記時差算定手段により算定された前記時差に基づいて、前記計時手段が計時する前記時刻を補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、まず、発光手段は、例えば、ストロボ等からなり、基準タイマが計時する基準時刻(例えば、ランニングタイム)に同期して発光する。撮影手段は、例えば、スリットカメラ等からなり、スリット映像を周期的に撮影するものであり、発光手段の発光を撮影可能に配置される。計時手段は、基準タイマとは別に設けられ、(補正対象となる)時刻(競技タイム)を計時する。合成手段は、撮影手段により撮影されたスリット映像を時系列に並べ、計時手段により計時された時刻を示す時刻情報を、時系列に並ぶスリット映像に合成する。時差算定手段は、合成手段により時刻情報が合成されて時系列に並ぶスリット映像における、発光手段の発光が示す発光点の位置と、発光手段の発光のタイミングに対応する時刻の時刻情報の位置との関係から、基準タイマが計時する基準時刻と計時手段が計時する時刻との時差を算定する。そして、補正手段は、時差算定手段により算定された時差に基づいて、計時手段が計時する時刻を補正する。
この結果、スタート信号が入力できない場合でも、基準タイマが計時する基準時刻と適切に時刻同期を行うことができる。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る計時システムは、
基準時刻を計時する基準タイマと、前記基準タイマが計時する前記基準時刻に同期して発光する発光装置と、スリット映像を周期的に撮影するものであり、前記発光装置の発光を撮影可能に配置された撮影装置と、前記撮影装置により撮影された前記スリット映像を取得する映像記録装置とを有する計時システムであって、
前記映像記録装置には、
前記基準タイマとは別に設けられ、時刻を計時する計時手段と、
前記撮影装置により撮影された前記スリット映像を時系列に並べ、前記計時手段により計時された前記時刻を示す時刻情報を、時系列に並ぶ前記スリット映像に合成する合成手段と、
前記合成手段により前記時刻情報が合成されて時系列に並ぶ前記スリット映像における、前記発光装置の発光が示す発光点の位置と、前記発光装置の発光のタイミングに対応する前記時刻の前記時刻情報の位置との関係から、前記基準タイマが計時する前記基準時刻と前記計時手段が計時する前記時刻との時差を算定する時差算定手段と、
前記時差算定手段により算定された前記時差に基づいて、前記計時手段が計時する前記時刻を補正する補正手段と、が設けられている、
ことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、映像記録装置において、まず、計時手段は、基準タイマとは別に設けられ、(補正対象となる)時刻(競技タイム)を計時する。合成手段は、撮影装置により撮影されたスリット映像を時系列に並べ、計時手段により計時された時刻を示す時刻情報を、時系列に並ぶスリット映像に合成する。時差算定手段は、合成手段により時刻情報が合成されて時系列に並ぶスリット映像における、発光装置の発光が示す発光点の位置と、発光装置の発光のタイミングに対応する時刻の時刻情報の位置との関係から、基準タイマが計時する基準時刻と計時手段が計時する時刻との時差を算定する。そして、補正手段は、時差算定手段により算定された時差に基づいて、計時手段が計時する時刻を補正する。
この結果、スタート信号が入力できない場合でも、基準タイマが計時する基準時刻と適切に時刻同期を行うことができる。
【0012】
前記合成手段は、前記計時手段により計時される前記時刻及び、目盛り線を含むタイムデータを時系列に並ぶ前記スリット映像に合成し、
前記時差算定手段は、前記タイムデータの正秒の位置と、前記基準タイマの計時する正秒に発光された前記発光点の位置とをそれぞれ前記スリット映像から特定し、特定した各位置の差から時差となるオフセットを算定し、
前記補正手段は、算定された前記オフセットにより、前記計時手段により計時された前記時刻を前記基準時刻に同期した時刻に補正してもよい。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る計時システムは、
基準時刻を計時する基準タイマと、前記基準タイマが計時する前記基準時刻に同期して発光する発光装置と、スリット映像を周期的に撮影するものであり、前記発光装置の発光を撮影可能に配置された撮影装置と、前記撮影装置により撮影された前記スリット映像に時刻情報を合成して記録する映像記録装置と、前記映像記録装置から被処理情報を得る処理装置と、を有する計時システムであって、
前記映像記録装置には、
前記基準タイマとは別に設けられ、時刻を計時する計時手段と、
前記撮影装置により撮影された前記スリット映像を時系列に並べ、前記計時手段により計時された前記時刻を示す時刻情報を、時系列に並ぶ前記スリット映像に合成する合成手段と、が設けられており、
前記処理装置には、
前記映像記録装置から前記時刻情報が合成された前記スリット映像を取得する映像取得手段と、
前記映像取得手段が取得した前記スリット映像における、前記発光装置の発光のタイミングを示す発光点の位置と、前記発光のタイミングに対応する前記時刻の前記時刻情報の位置との関係から、前記基準タイマが計時する前記基準時刻と前記映像記録装置の前記計時手段が計時する前記時刻との時差を算定する時差算定手段と、
前記時差算定手段により算定された前記時差に基づいて、前記映像記録装置の前記計時手段により計時された前記時刻を補正する補正手段と、が設けられている、
ことを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、映像記録装置において、まず、計時手段は、基準タイマとは別に設けられ、(補正対象となる)時刻(競技タイム)を計時する。そして、合成手段は、撮影装置により撮影されたスリット映像を時系列に並べ、計時手段により計時された時刻を示す時刻情報を、時系列に並ぶスリット映像に合成する。一方、処理装置において、まず、映像取得手段は、映像記録装置から時刻情報が合成されたスリット映像を取得する。また、時差算定手段は、映像取得手段が取得したスリット映像における、発光装置の発光のタイミングを示す発光点の位置と、発光のタイミングに対応する時刻の時刻情報の位置との関係から、基準タイマが計時する基準時刻と映像記録装置の計時手段が計時する時刻との時差を算定する。そして、補正手段は、時差算定手段により算定された時差に基づいて、映像記録装置の計時手段により計時された時刻を補正する。
この結果、スタート信号が入力できない場合でも、外部タイマが計時する基準時刻と適切に時刻同期を行うことができる。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の第4の観点に係る計時システムの時刻補正方法は、
基準時刻を計時する基準タイマと、前記基準タイマが計時する前記基準時刻に同期して発光する発光装置と、スリット映像を周期的に撮影するものであり、前記発光装置の発光を撮影可能に配置された撮影装置と、前記撮影装置により撮影された前記スリット映像を取得する映像記録装置とを有する計時システムの時刻補正方法であって、
前記映像記録装置において、前記基準タイマとは別に設けられた計時手段により、時刻を計時する計時ステップと、
前記撮影装置により撮影された前記スリット映像を時系列に並べ、前記計時ステップにて計時された前記時刻を示す時刻情報を、時系列に並べた前記スリット映像に合成する合成ステップと、
前記合成ステップにて前記時刻情報が合成されて時系列に並ぶ前記スリット映像における、前記発光装置の発光のタイミングを示す発光点の位置と、前記発光のタイミングに対応する前記時刻の前記時刻情報の位置との関係から、前記基準時刻と前記計時ステップにて計時される前記時刻との時差を算定する時差算定ステップと、
前記時差算定ステップにて算定された前記時差に基づいて、前記計時ステップにて計時された前記時刻を補正する補正ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、映像記録装置において、まず、計時ステップは、基準タイマとは別に設けられ、(補正対象となる)時刻(競技タイム)を計時する。合成ステップは、撮影装置により撮影されたスリット映像を時系列に並べ、計時ステップにて計時された時刻を示す時刻情報を、時系列に並べたスリット映像に合成する。時差算定ステップは、合成ステップにて時刻情報が合成されて時系列に並ぶスリット映像における、発光装置の発光のタイミングを示す発光点の位置と、発光のタイミングに対応する時刻の時刻情報の位置との関係から、基準時刻と計時ステップにて計時される時刻との時差を算定する。そして、補正ステップは、時差算定ステップにて算定された時差に基づいて、計時ステップにて計時される時刻を補正する。
この結果、スタート信号が入力できない場合でも、外部タイマが計時する基準時刻と適切に時刻同期を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、競技タイムを計測するための計時システムに直接にスタート信号が入力できない場合でも、計時システムの時刻と基準時刻とを適切に同期することができ、この正確な時刻により競技タイムを計測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態にかかる計時システムについて、以下図面を参照して説明する。なお、一例として、計時システムがロードレース(マラソン、競歩、クロスカントリー等)に適用された場合について説明する。なお、適用されるロードレースにおいて、スタート時点と計時地点(例えば、中継地点やフィニッシュ地点等)とが、ある程度離れているものとする。
【0019】
(実施形態1)
図1は、この発明の実施形態に適用される計時システムの構成の一例を示す模式図である。
図示するように、計時システムは、基準時刻を計測する基準タイマとなるポータブルタイマ機器10と、発光手段としてのストロボ20と、撮影手段としての撮影装置30と、グリップスイッチ40と、映像記録装置50とを含んで構成される。
【0020】
なお、この計時システムは、後述するように、撮影装置30により撮影されたスリット映像SIにタイムデータTDを合成して記録することにより、ポータブルタイマ機器10とは別に設けられた映像記録装置50の計時部53の計時する時刻に基づいて競技者RNの競技タイムを計測するシステムである。そして、実際に競技タイムの測定を行う映像記録装置50は、当初から計時地点に配置されており、この計時地点がスタート地点からある程度離れているため、競技のスタート時にスタート信号を入力できない状況となっている。
【0021】
ポータブルタイマ機器10は、動作(計時)させながらの搬送にも充分耐えられるように設計された計時機器であり、競技における基準時刻となり、競技開始からの経過時間を示すランニングタイムを計時する。
このポータブルタイマ機器10は、当初スタート地点に置かれており、例えば、スタートピストル等から供給されるスタート信号を入力して、ランニングタイムの計時を開始する。
この他にも、種々の手法で、ポータブルタイマ機器10にてランニングタイムを計時するようにしてもよい。
【0022】
例えば、図2(a)に示すように、スタートピストルSPからスタート信号が供給されてランニングタイムの計時を開始した基準タイマ機器KT1と、ポータブルタイマ機器10とをケーブルCBで接続することにより、ポータブルタイマ機器10でも基準タイマ機器KT1と同期したランニングタイムの計時を開始することになり、実質的に基準タイマ機器KT1と同様に基準タイマとして機能する。
【0023】
また、競技のスタート予定時刻までダウンカウントし、スタート予定時刻からランニングタイムをアップカウントする方式を採用する場合では、図2(b)に示すように、基準タイマ機器KT2とポータブルタイマ機器10とをケーブルCBで接続して、同時にダウンカウントを開始させる。つまり、ダウンカウントする時間(残り時間)をセットすると共に、セットした時間を考慮した適切なタイミングで、グリップスイッチGSからダウンカウント開始信号を供給する。これにより、基準タイマ機器KT2及びポータブルタイマ機器10は、同期してダウンカウントを開始し、スタート予定時刻から同期したランニングタイムを計時することになる。
【0024】
更に、GPS(Global Positioning System)衛星等から得られる標準時刻を共通に計時する方式を採用する場合では、図2(c)に示すように、標準時刻受信機KJが接続された基準タイマ機器KT3とポータブルタイマ機器10とをケーブルCBで接続して、共通に標準時刻の計時を開始させる。
その後、競技が開始され、図2(d)に示すようにスタートピストルSPから基準タイマ機器KT3にスタート信号が供給されると、基準タイマ機器KT3は、スタート時刻と標準時刻との時差、つまり差分を求める。そして、この差分がポータブルタイマ機器10に入力されると、ポータブルタイマ機器10でも、時差が解消されて同期したランニングタイムを計時することになる。なお、差分の入力は、ポータブルタイマ機器10を搬送する前(スタート地点)でも搬送した後(計時地点)でもよい。
【0025】
このようにして、ポータブルタイマ機器10は、基準タイマ機器KT1と同期したランニングタイムを計時する。そして、計時地点に搬送された後、図1に示すように、ポータブルタイマ機器10は計時ラインLの近傍に配置される。
なお、ポータブルタイマ機器10は、後述するストロボ20と接続可能であり、自己が計時するランニングタイムに合わせて、ストロボ20の発光を制御可能となっている。また、ポータブルタイマ機器10は、図示しない表示部等を備えており、計時しているランニングタイムをこの表示部にデジタル表示して、競技役員等に現在のランニングタイムを報知することも可能となっている。
【0026】
ストロボ20は、ポータブルタイマ機器10に接続され、撮影装置30と対向する計時ラインLの延長線上の所定位置に正確に設置される。つまり、撮影装置30が撮影する後述する時系列に並ぶスリット映像SIの範囲内にストロボ20の発光が入るように、ストロボ20が適宜配置される。
このストロボ20は、映像記録装置50にて時刻同期を行わせるために、ポータブルタイマ機器10が計時するランニングタイムに合わせて、例えば、1秒または、10秒間隔で、正秒(n秒000)のタイミングで例えば0.003秒間発光する。また、正秒であれば、1分間隔で発光するなど適当な間隔でストロボ20を発光させればよい。
【0027】
撮影装置30は、映像記録装置50に接続されたスリットカメラ等からなり、ストロボ20と対向する計時ラインLの延長線上の所定位置に正確に設置され、計時ラインL上のスリット映像SI0を特定の周期で連続して撮影する。そして、撮影装置30により、撮影したスリット映像SI0を、映像記録装置50に順次出力する。
例えば、撮影装置30は、競技タイムの測定用に、競技者RNが計時ラインLを通過する直前から、通過直後までのスリット映像SIを連続して撮影する。
なお、撮影装置30は、このような競技タイムの測定用のスリット映像SI0を撮影する前に、映像記録装置50にて内部で計時される時刻とランニングタイムとの時刻同期を行わせるために、一定時間内でストロボ20の発光を捉えられる様にスリット映像SI0を連続して撮影する。つまり、図3(a)に示すようなスリット映像SI0を撮影する。
この図3(a)においては、スリット映像を分かり易く示しているが、実際には、例えば、1mm以下の幅で、1秒間に1000コマ以上ものスリット映像が撮影されるため、図3(b)に示すように、発光時にだけ、スリット映像SI中にストロボ20の存在が確認できるようになる。なお、スリット映像の撮影の間隔(0.001秒)はストロボ20の発光間隔(0.003秒)より短く、ストロボ20の発光を逃さず捉えられるようにしてある。
【0028】
図1に戻って、グリップスイッチ40は、映像記録装置50に接続された指示スイッチ等からなり、競技役員等に操作される。
グリップスイッチ40は、押下されると、映像記録装置50にマニュアルスタート信号を供給し、後述する計時部53にて計時を開始させる。
具体的に競技役員等は、ポータブルタイマ機器10の図示しない表示部にデジタル表示されるランニングタイムを見ながら、映像記録装置50にセットした計時を始める時刻になるまで待機する。そして、ランニングタイムがその時刻になると、グリップスイッチ40を押下して、計時部53にその時刻からの計時を開始させる。一例として、ランニングタイムが1時間丁度(01:00:00)の時に、計時部53にその「01:00:00」からの計時を開始させたい場合、競技役員等は、映像記録装置50に「01:00:00」をセットした状態で、グリップスイッチ40の押下を待機する。そして、ポータブルタイマ機器10に表示されるランニングタイムが「01:00:00」となるタイミングで、競技役員等は、グリップスイッチ40を押下して、計時部53に計時を開始させる。
なお、このように映像記録装置50の計時を手動で開始させるため、計時部53にて計時される時刻は、ポータブルタイマ機器10にて計時されるランニングタイムと、幾分ずれることになる。
【0029】
映像記録装置50は、撮影装置30にて撮影されて時系列に並ぶスリット映像SIに、内部で計時する時刻に基づくランニングタイム(以後内部ランニングタイム)のタイムデータTDを合成して記録する。そして、競技タイムの測定を行う際に、記録されたスリット映像SIをパソコンのモニタ等に適宜表示する。そのモニタ上の競技タイムの判定ラインJを、パソコンのマウス操作等により競技者のトルソー(胴体)に合わせることにより、競技役員等の目視確認のもと、競技タイムを計測可能とする。
具体的に、映像記録装置50は、スリット映像取得部51と、スタート信号取得部52と、計時手段としての計時部53と、合成手段及び補正手段としての制御部54と、映像記憶部55と、時差算定手段としてのオフセット算定部56と、を含んで構成される。
【0030】
スリット映像取得部51は、撮影装置30にて撮影されるスリット映像SI0を順次取得し、例えば、デジタルデータに変換した後に、制御部54に順次供給する。
【0031】
スタート信号取得部52は、グリップスイッチ40から供給されるマニュアルスタート信号を取得し、計時部53に供給する。
【0032】
計時部53は、スタート信号取得部52を介してマニュアルスタート信号が供給されると、計時を開始する。例えば、事前に「01:00:00」といった計時を開始する時刻がセットされており、計時部53は、供給されるマニュアルスタート信号に応じて、この時刻から計時を開始する。
【0033】
制御部54は、スリット映像取得部51から供給されるスリット映像SI0を時系列に並べると共に、計時部53が計時した時刻等の情報を合成する。
具体的に制御部54は、図4(a)に示すように、スリット映像SIに、内部ランニングタイム及び、目盛り線等を含むタイムデータTDを合成する。このようなタイムデータTDが合成されたスリット映像SIが厳密な競技タイムの測定に使用される。
ところで、制御部54は、このような競技タイムの測定用のスリット映像SIを合成する前に、時刻同期を行うために、図4(b)に示すようなストロボ20の発光点FPを含むスリット映像SIにタイムデータTDを合成する。
そして、オフセット算定部56にて算定される後述するオフセットT(内部ランニングタイムと標準時刻であるランニングタイムとの時差)を得て、計時部53に計時された時刻を補正して得た正確な内部ランニングタイムとした後、この内部ランニングタイムのタイムデータTDをスリット映像SIに合成する。つまり、内部ランニングタイムとポータブルタイマ機器10との時刻同期を行ってから、競技タイムの測定用のスリット映像SIを合成する。
【0034】
図1に戻って、映像記憶部55は、制御部54によってタイムデータTDが合成されたスリット映像SIを記憶する。つまり、上述した図4(a),(b)に示すようなスリット映像SIを記憶する。
なお、図4(a)に示すようなスリット映像SIは、競技タイムの測定用に読み出される。また、図4(b)に示すようなスリット映像SIは、時刻同期を行う際に読み出され、オフセット算定部56により使用される。
【0035】
オフセット算定部56は、ストロボ20の発光時(発光点)のスリット映像SI0を含むスリット映像SIを使用して、計時部53が計時する時刻と、ポータブルタイマ機器10にて計時されるランニングタイムとの時差となるオフセットTを算定する。
具体的に、ストロボ20が10秒間隔の正秒(ランニングタイムがn分0秒000,n分10秒000,n分20秒000,・・・となる毎)で0.003秒間発光している場合、オフセット算定部56は、図5に示すように、タイムデータTDの10秒単位の正秒(この場合、1時間3分0秒の正秒)の時間軸上の位置P1と、発光点(つまり、ランニングタイムの10秒毎の正秒であり、ストロボ20の光始め)の位置P2とをそれぞれ特定し、以下の数式1に示すように位置P1とP2との差から、オフセットTを算定する。時間軸上の発光点は隣接するスリット映像SI0同士の輝度が急変する点として特定する、若しくはスリット映像SI0の輝度が所定の閾値を越えた点として特定する等適当な画像処理により決定する。
[数1]
T=P1−P2
T:オフセット
P1:タイムデータTDの10秒毎の正秒の時間軸上の位置
P2:ストロボ20の発光点の時間軸上の位置
なお、T>0の場合は、位置P1に対して位置P2がTだけ遅れていることを示し、T<0の場合は、位置P1に対して位置P2がTだけ進んでいることを示す。
オフセット算定部56は、このようにオフセットTを算定すると、制御部54に供給する。これ以降、制御部54は、計時部53により計時された時刻を、このオフセットTにより補正して正確なランニングタイムを得て、このランニングタイムのタイムデータTDをスリット映像SIに合成する。
【0036】
以下、上述した構成の計時システムの動作について、図6を参照して説明する。図6は、競技タイムの測定を行う前に、映像記録装置50にてランニングタイムとの同期をとるために実行されるタイム同期処理を説明するためのフローチャートである。
なお、このタイム同期処理に先立って、映像記録装置50は、グリップスイッチ40から供給されるマニュアルスタート信号に応じて、ランニングタイムと幾分ずれた時刻を計時しているものとする。また、ポータブルタイマ機器10に接続されたストロボ20は、例えば、10秒間隔の正秒(ランニングタイムがn分0秒000,n分10秒000,n分20秒000,・・・となる毎)に発光するものとする。
【0037】
まず、映像記録装置50は、撮影装置30にて撮影されたスリット映像SIを取得する(ステップS11)。つまり、スリット映像取得部51が、ストロボ20を含めたスリット映像SI0を順次取得し、時系列に並ぶスリット映像SIとする。
【0038】
映像記録装置50は、計時部53が計時する時刻の情報をスリット映像SIに合成する(ステップS12)。つまり、制御部54が、計時部53にて計時されるランニングタイムと幾分ずれた時刻のタイムデータTDをスリット映像SIに順次合成する。
タイムデータTDが合成されたスリット映像SIは、映像記憶部55に格納される。
【0039】
映像記録装置50は、一定時間が経過したか否かを判別する(ステップS13)。例えば、ストロボ20が発光する間隔(この場合10秒)よりも長い一定時間が経過したかどうかを判別する。
【0040】
映像記録装置50は、一定時間が経過していないと判別すると、上述したステップS11に処理を戻し、スリット映像SIの取得及び、タイムデータTDの合成を繰り返す。
一方、一定時間が経過したと判別すると、映像記録装置50は、ストロボ20の発光時のスリット映像SI0、換言すれば発光点を含むスリット映像SIを映像記憶部55から読み出す(ステップS14)。つまり、オフセット算定部56が、上述した図4(b)に示すようなスリット映像SIを読み出す。
【0041】
映像記録装置50は、計時部53が計時する時刻と、ランニングタイムとの時差を算定する(ステップS15)。つまり、オフセット算定部56が、上述した図5に示すように、タイムデータTDの10秒単位の正秒の時間軸上の位置P1と、発光点(つまり、ランニングタイムの10秒毎の正秒)の時間軸上の位置P2とをそれぞれ特定し、各位置の差から、タイムデータTDを使用して時差となるオフセットTを算定する。
【0042】
映像記録装置50は、計時部53が計時する時刻を、算定したオフセットTにて補正し、正確なランニングタイムを得る(ステップS16)。つまり、オフセットTが算定されると、以降、制御部54は、計時部53により計時された時刻を、このオフセットTにより補正して正確な内部ランニングタイムを得て、この内部ランニングタイムのタイムデータTDをスリット映像SIに合成する。
すなわち、制御部54は、このように正確な内部ランニングタイムを得られるようになった後、写真判定用のスリット映像SIを合成する際に、上述した図4(a)に示すように、ポータブルタイマ機器10が計時するランニングタイムと同期した内部ランニングタイムのタイムデータTDをスリット映像SIに合成する。
【0043】
このように、上述した時刻同期処理により、ストロボ20の発光点を含むスリット映像SIから、計時部53が計時する時刻とランニングタイムとの時差となるオフセットTを算定する。そして、計時部53により計時された時刻をこのオフセットTにて補正して、正確な内部ランニングタイムを得ることができる。
この結果、映像記録装置50にスタート信号が入力できない場合でも、計時部53により計時された時刻に基づく内部ランニングタイムとポータブルタイマ機器10が計時するランニングタイムとを適切に時刻同期することができる。
【0044】
(他の実施形態)
上記の実施形態では、グリップスイッチ40が手動で操作されて供給されるマニュアルスタート信号に応じて、計時部53が計時を開始する場合について説明したが、他の入力によって、計時部53が自動的に計時を開始するようにしてもよい。
例えば、ストロボ20がランニングタイムの規定時刻(例えば、「01:00:00」の正秒)から10秒間隔の発光を開始するようにし、一方、撮影装置30が撮影したスリット映像SIからストロボ20の発光(最初の発光)を検出した際に、計時部53がその規定時刻からの計時を開始するようにしてもよい。
なお、スリット映像SI中から最初の発光を検出するための処理に、ある程度の時間(例えば、1秒程度)が必要となるため、その分だけ、遅れが生じることになる。そのため、計時部53が計時を開始した後、上記と同様に、2回目以降の発光点を含むスリット映像SIから、計時部53が計時する時刻と、ランニングタイムとの時差となるオフセットTを算定する。
この場合も、計時部53により計時された時刻を、オフセットTにより補正することにより、正確なランニングタイムを得ることができる。つまり、スタート信号が入力できない場合でも、ランニングタイムと適切に時刻同期を行うことができる。
【0045】
上記の実施形態では、オフセット算定部56が算定したオフセットTを使用して、計時部53に計時された時刻を補正して正確な内部ランニングタイムを得る場合について説明したが、直接、計時部53が計時する時刻自体を補正し、ポータブルタイマ機器10の計時する標準時刻であるランニングタイムと同期させてもよい。つまり、補正以降、計時部53は、標準時刻としてのランニングタイムと同期した時刻を計時することになる。
【0046】
上記の実施形態では、映像記録装置50が内部(計時部53)で計時する時刻とランニングタイムとの時差となるオフセットTを算定して、計時部53が計時する時刻を補正する場合について説明した。しかしながら、算定したオフセットTで計時部53が計時する時刻補正を行わないようにし、実際に競技タイムの測定を行うと、測定した競技タイムと共にオフセットTを、外部の処理装置等に供給するようにしてもよい。
例えば、図7に示すように、競技タイムの収集等を行う処理装置60を更に備えるようにした場合について説明する。
【0047】
この場合、映像記録装置50は、競技タイムの測定に用いられる前に、撮影装置30が撮影した発光点を含むスリット映像SIにタイムデータTDを合成する。そして、この発光点及びタイムデータTDを含んだスリット映像SIから、計時部53が計時する時刻とランニングタイムとの時差となるオフセットTを、上記と同様に、タイムデータTDの正秒の時間軸上の位置と発光点の時間軸上の位置との差から算定する。そして、映像記録装置50は、計時部53が計時する時刻を補正することなく、算定したオフセットTを記憶する。
その後、映像記録装置50において、競技者RNの競技タイムを、タイムデータTDを合成したスリット映像SIから測定されると、映像記録装置50は測定された競技タイムと共にオフセットTを処理装置60に送信する。ここで、競技タイムは、競技役員がスリット映像SIを目視して計測し、映像記録装置50に図示しないその入力部に操作して入力したものである。
これに限らず、スリット映像SIの競技者RNとの位置を画像処理により特定し、これに基づき競技タイムの測定結果を得るような画像処理部を映像記録装置50に設けても良い。
【0048】
そして、処理装置60は、競技タイムをオフセットTにて補正し、補正した競技タイムを収集する。
なお、映像記録装置50から処理装置60にオフセットTを毎回送らずに、最初にオフセットTを算定した際に、映像記録装置50から処理装置60に1回だけオフセットTを送るようにしてもよい。
これらの場合も、競技タイムがオフセットTにて補正されるため、最終的に競技タイムが正確なランニングタイムにて計時されたことになる。つまり、映像記録装置50にスタート信号が入力できない場合でも、ランニングタイムと適切に時刻同期した時刻に基づいて競技タイムの計測が可能となる。
【0049】
上記の実施形態では、映像記録装置50がオフセットTを算定する場合について説明した。しかしながら、映像記録装置50を、単にスリット映像SIに計時部53により計時された時刻をタイムデータTDとして合成するものにとどめ、外部の処理装置等がオフセットTの算定等を行うようにしてもよい。
例えば、図8に示すように、映像記録装置50は、上述のオフセット算定部56の代わりに、通信部57を含んで構成される。一方、処理装置60は、通信部61と、オフセット算定部62と、処理制御部63と、記憶部64とを含んで構成される。
【0050】
通信部61は、映像記録装置50が競技タイムを特定する前に、上述した図4(b)に示すような計時部53により計時された時刻からなるタイムデータTD及び発光点を含んだスリット映像SIを、映像記録装置50から取得する。また、通信部61は、映像記録装置50にて競技タイムが計測され、通信部57により通信された競技タイムを取得する。
オフセット算定部62は、通信部61が取得した発光点及びタイムデータTDを含んだスリット画像SIから、映像記録装置50の計時部53が計時する時刻と、ポータブルタイマ機器10にて計時されるランニングタイムとの時差となるオフセットTを算定する。つまり、上記と同様に(上述した図5を参照して説明したようにして)、オフセットTを算定する。
オフセット算定部62は、算定したオフセットTを記憶部64に記憶する。
【0051】
処理制御部63は、通信部61が競技タイムを映像記録装置50から取得すると、記憶部64に記憶されたオフセットTにより、競技タイムを補正する。そして、補正した競技タイムを記憶部64に記憶する。
記憶部64は、オフセット算定部62が算定したオフセットTや、処理制御部63が補正した競技タイム等を記憶する。
【0052】
この場合、映像記録装置50として、既存の映像記録装置をほぼそのまま利用できるようになり、処理装置60の開発等を行うだけで充分となる。そして、競技タイムが処理装置60にて算定されたオフセットTにより補正されるため、本質的に競技タイムが正確なランニングタイムにて計時されたことになる。
【0053】
上記の実施形態では、ストロボ20がランニングタイムに合わせて発光する場合について説明したが、発光素子は、ストロボ20に限られず、スリット映像SI中にて発光が判別可能であれば、任意である。つまり、発光の光量及び発光色等は、適宜変更可能である。
【0054】
上記の実施形態では、ロードレースに計時システムが適用された場合について説明したが、計時システムが適用可能な競技は、これに限られず任意である。
【0055】
以上説明したように、本発明によれば、競技タイムを計測するための計時システムに直接にスタート信号が入力できない場合でも、基準時刻と適切に同期された時刻による競技タイムの計測が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態に適用される計時システムの構成の一例を示す模式図である。
【図2】(a)〜(d)共に、ポータブルタイマ機器にて、同期したランニングタイムが計時されるまでを説明するための模式図である。
【図3】(a)がスリット映像SIを分かり易く説明するための模式図であり、(b)が実際のスリット映像SIを示す模式図である。
【図4】(a)が競技タイムの特定に使用されるスリット映像SIの一例を示す模式図であり、(b)が時刻同期に使用されるスリット映像SIの一例を示す模式図である。
【図5】オフセットTの算定の様子を説明するための模式図である。
【図6】本発明の実施形態に適用される時刻同期処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の他の実施形態に適用される計時システムの構成の一例を示す模式図である。
【図8】本発明の他の実施形態に適用される計時システムの構成の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0057】
10 ポータブルタイマ機器
20 ストロボ
30 撮影装置
40 グリップスイッチ
50 映像記録装置
51 スリット映像取得部
52 スタート信号取得部
53 計時部
54 制御部
55 映像記憶部
56 オフセット算定部
57 通信部
60 処理装置
61 通信部
62 オフセット算定部
63 処理制御部
64 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準タイマが計時する基準時刻に同期して発光する発光手段と、
スリット映像を周期的に撮影するものであり、前記発光手段の発光を撮影可能に配置された撮影手段と、
前記基準タイマとは別に設けられ、時刻を計時する計時手段と、
前記撮影手段により撮影された前記スリット映像を時系列に並べ、前記計時手段により計時された時刻を示す時刻情報を、時系列に並ぶ前記スリット映像に合成する合成手段と、
前記合成手段により前記時刻情報が合成されて時系列に並ぶ前記スリット映像における、前記発光手段の発光が示す発光点の位置と、前記発光手段の発光のタイミングに対応する前記時刻の前記時刻情報の位置との関係から、前記基準タイマが計時する前記基準時刻と前記計時手段が計時する時刻との時差を算定する時差算定手段と、
前記時差算定手段により算定された前記時差に基づいて、前記計時手段が計時する前記時刻を補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする計時システム。
【請求項2】
基準時刻を計時する基準タイマと、前記基準タイマが計時する前記基準時刻に同期して発光する発光装置と、スリット映像を周期的に撮影するものであり、前記発光装置の発光を撮影可能に配置された撮影装置と、前記撮影装置により撮影された前記スリット映像を取得する映像記録装置とを有する計時システムであって、
前記映像記録装置には、
前記基準タイマとは別に設けられ、時刻を計時する計時手段と、
前記撮影装置により撮影された前記スリット映像を時系列に並べ、前記計時手段により計時された前記時刻を示す時刻情報を、時系列に並ぶ前記スリット映像に合成する合成手段と、
前記合成手段により前記時刻情報が合成されて時系列に並ぶ前記スリット映像における、前記発光装置の発光が示す発光点の位置と、前記発光装置の発光のタイミングに対応する前記時刻の前記時刻情報の位置との関係から、前記基準タイマが計時する前記基準時刻と前記計時手段が計時する前記時刻との時差を算定する時差算定手段と、
前記時差算定手段により算定された前記時差に基づいて、前記計時手段が計時する前記時刻を補正する補正手段と、が設けられている、
ことを特徴とする計時システム。
【請求項3】
前記合成手段は、前記計時手段により計時される前記時刻及び、目盛り線を含むタイムデータを時系列に並ぶ前記スリット映像に合成し、
前記時差算定手段は、前記タイムデータの正秒の位置と、前記基準タイマの計時する正秒に発光された前記発光点の位置とをそれぞれ前記スリット映像から特定し、特定した各位置の差から時差となるオフセットを算定し、
前記補正手段は、算定された前記オフセットにより、前記計時手段により計時された前記時刻を前記基準時刻に同期した時刻に補正する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の計時システム。
【請求項4】
基準時刻を計時する基準タイマと、前記基準タイマが計時する前記基準時刻に同期して発光する発光装置と、スリット映像を周期的に撮影するものであり、前記発光装置の発光を撮影可能に配置された撮影装置と、前記撮影装置により撮影された前記スリット映像に時刻情報を合成して記録する映像記録装置と、前記映像記録装置から被処理情報を得る処理装置と、を有する計時システムであって、
前記映像記録装置には、
前記基準タイマとは別に設けられ、時刻を計時する計時手段と、
前記撮影装置により撮影された前記スリット映像を時系列に並べ、前記計時手段により計時された前記時刻を示す時刻情報を、時系列に並ぶ前記スリット映像に合成する合成手段と、が設けられており、
前記処理装置には、
前記映像記録装置から前記時刻情報が合成された前記スリット映像を取得する映像取得手段と、
前記映像取得手段が取得した前記スリット映像における、前記発光装置の発光のタイミングを示す発光点の位置と、前記発光のタイミングに対応する前記時刻の前記時刻情報の位置との関係から、前記基準タイマが計時する前記基準時刻と前記映像記録装置の前記計時手段が計時する前記時刻との時差を算定する時差算定手段と、
前記時差算定手段により算定された前記時差に基づいて、前記映像記録装置の前記計時手段により計時された前記時刻を補正する補正手段と、が設けられている、
ことを特徴とする計時システム。
【請求項5】
基準時刻を計時する基準タイマと、前記基準タイマが計時する前記基準時刻に同期して発光する発光装置と、スリット映像を周期的に撮影するものであり、前記発光装置の発光を撮影可能に配置された撮影装置と、前記撮影装置により撮影された前記スリット映像を取得する映像記録装置とを有する計時システムの時刻補正方法であって、
前記映像記録装置において、前記基準タイマとは別に設けられた計時手段により、時刻を計時する計時ステップと、
前記撮影装置により撮影された前記スリット映像を時系列に並べ、前記計時ステップにて計時された前記時刻を示す時刻情報を、時系列に並べた前記スリット映像に合成する合成ステップと、
前記合成ステップにて前記時刻情報が合成されて時系列に並ぶ前記スリット映像における、前記発光装置の発光のタイミングを示す発光点の位置と、前記発光のタイミングに対応する前記時刻の前記時刻情報の位置との関係から、前記基準時刻と前記計時ステップにて計時される前記時刻との時差を算定する時差算定ステップと、
前記時差算定ステップにて算定された前記時差に基づいて、前記計時ステップにて計時された前記時刻を補正する補正ステップと、
を備えることを特徴とする計時システムの時刻補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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