計時機器およびタイム特定方法
【課題】背丈が大きく異なる競技者が混在する場合でも、各競技者のタイムを適切に計時することのできる計時機器等を提供する。
【解決手段】無線タグ50は、走路上のループアンテナ20により生成される少なくとも2つのメインローブを含む電磁場を検出すると、電磁場の検出期間に対する非検出期間の時間比率(非検出期間:検出期間)を算定する。この時間比率に基づいて、メインローブ間における非検出期間を判別する。そして、無線タグ50は、判別した非検出期間中(例えば、非検出期間の中間)に、計時された時刻を競技タイムとして特定する。なお、子供の競技者Rbの無線タグ50がメインローブとなる電磁場の他に、サイドローブとなる電磁場を検出した場合でも、非検出期間と検出期間との時間比率により、メインローブ間における非検出期間を判別可能であるため、適切な競技タイムが特定される。
【解決手段】無線タグ50は、走路上のループアンテナ20により生成される少なくとも2つのメインローブを含む電磁場を検出すると、電磁場の検出期間に対する非検出期間の時間比率(非検出期間:検出期間)を算定する。この時間比率に基づいて、メインローブ間における非検出期間を判別する。そして、無線タグ50は、判別した非検出期間中(例えば、非検出期間の中間)に、計時された時刻を競技タイムとして特定する。なお、子供の競技者Rbの無線タグ50がメインローブとなる電磁場の他に、サイドローブとなる電磁場を検出した場合でも、非検出期間と検出期間との時間比率により、メインローブ間における非検出期間を判別可能であるため、適切な競技タイムが特定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、背丈が大きく異なる競技者が混在する場合でも、各競技者のタイムを適切に計時することのできる計時機器およびタイム特定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マラソン競技において、競技者個々のゴールタイムを計測(計時)する試みがなされている。例えば、競技者のゼッケン等にバーコードを印刷しておき、ゴールした競技者のバーコードをリーダにて読み取った時刻に基づいて、競技者個々のゴールタイムを計測する計測システムも実用化されている。
最近では、各計時ポイントにおける通過タイムも含めた競技タイムを計測可能とするために、非接触にて競技者個々の競技タイムを計測する試みがなされている。例えば、競技者にタグ送信機を保持させ、このタグ送信機により競技タイムを計測する計測システムが開発され、実用化に向けた運用試験等が試みられている。
【0003】
具体的に、ランニングタイムを自ら計時する無線タグを競技者に保持させ、そして、計時地点に8の字形状のループコイルを配置して電磁場を発生させるようにした競技用計測システムでは、競技者がループコイル上を走行すると、無線タグが電磁場(より詳細には、電磁場の変極点)を検出し、その時点のランニングタイムを計測タイム(競技タイム)として特定する。そして、無線タグがこの計測タイム等を受信装置に送信することにより、各競技者のタイム集計を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−47263号公報(第11−25頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような特許文献1では、具体的に、図10(a)に示すようなループコイルを用いており、このループコイル上に電磁場を発生させることになる。その際、電磁場は、図10(b)に示すように、計測に用いられるメインローブMLだけでなく、副次的なサイドローブSLも発生することになる。
そして、大人を対象とした競技(大人だけが参加する競技)では、図11(a)に示すように、競技者Ra(大人)の胸の高さ程度で(競技者の胸ゼッケンに無線タグが取り付けられているため)、サイドローブSLを検出することなくメインローブMLだけを検出可能となるように、ループコイルに流す電流等を制御して発生させる電磁場を調整している。
同様に、子供を対象とした競技でも、図11(b)に示すように、競技者Rb(子供)の胸の高さ程度で、メインローブMLだけを検出可能となるように、発生させる電磁場を調整している。
【0005】
しかしながら、大人と子供が一緒に走るファミリータイプの競技では、以下のように、不都合の発生が予想される。
例えば、子供を対象として調整された電磁場では、図11(c)に示すように、競技者Raの無線タグがメインローブMLを検出できないことになる。つまり、大人にとっては、電磁場の高さが低すぎるため、競技者Raのタイム計測が行えないことになる。
一方、大人を対象として調整された電磁場では、図11(d)に示すように、競技者Rbの無線タグがメインローブMLだけでなく、サイドローブSLも検出してしまうことになる。つまり、子供にとっては、電磁場の高さが高すぎるため、メインローブMLより先に、サイドローブSLを検出してしまい、競技者Rbのタイム計測が正確に行えないことになる。
【0006】
すなわち、従来の技術では、大人と子供といった背丈が大きく異なる競技者が混在する競技に適用しようとする場合に、タイム計測を適切に行えない事態が発生してしまう懸念があった。
【0007】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、背丈が大きく異なる競技者が混在する場合でも、各競技者のタイムを適切に計時することのできる計時機器およびタイム特定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る計時機器は、
競技者に保持される計時機器であって、
競技における基準時刻を計時する計時手段と、
走路上に配置された所定形状のアンテナにより生成される少なくとも2つのメインローブを含む電磁場を検出する電磁場検出手段と、
前記電磁場検出手段の検出結果に基づいて前記電磁場の検出期間に対する非検出期間の時間比率を算定する時間比率算定手段と、
前記時間比率算定手段が算定した前記時間比率に基づいて、前記メインローブ間における前記非検出期間を判別する判別手段と、
前記判別手段が判別した前記非検出期間中に、前記計時手段により計時された時刻を競技タイムとして特定するタイム特定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、計時手段は、競技における基準時刻(例えば、ランニングタイム等)を計時する。また、電磁場検出手段は、走路上に配置された所定形状のアンテナ(例えば、略矩形に2つ形成されたアンテナや、略8の字形状に形成されたアンテナ等)により生成される少なくとも2つのメインローブを含む電磁場を検出する。時間比率算定手段は、電磁場検出手段の検出結果に基づいて、電磁場の検出期間に対する非検出期間の時間比率(非検出期間:検出期間)を算定する。判別手段は、時間比率算定手段が算定した時間比率に基づいて、メインローブ間における非検出期間を判別する。そして、タイム特定手段は、判別手段が判別した非検出期間中(例えば、非検出期間の中間)に、計時手段により計時された時刻を競技タイムとして特定する。
つまり、子供の競技者等に保持された計時機器が、メインローブとなる電磁場の他に、サイドローブとなる電磁場を検出した場合でも、非検出期間と検出期間との時間比率により、メインローブ間における非検出期間を判別可能であるため、適切な競技タイムが特定される。
この結果、背丈が大きく異なる競技者が混在する場合でも、各競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0010】
前記時間比率算定手段は、前記電磁場検出手段が前記各メインローブに加えて、少なくとも1つのサイドローブを含む電磁場を検出した際に、前記時間比率を複数算定し、
前記判別手段は、算定された前記各時間比率のうち、規定される比率以下となる時間比率の非検出期間を、前記メインローブ間における前記非検出期間と判別してもよい。
【0011】
前記タイム特定手段は、前記判別手段が判別した前記非検出期間の中間にて、前記計時手段により計時された時刻を競技タイムとして特定してもよい。
【0012】
上記の計時機器は、前記タイム特定手段が特定した前記競技タイム及び対応する前記時間比率を含む情報を、所定の処理装置に向けて送信する情報送信手段を更に備えてもよい。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係るタイム特定方法は、
競技者に保持される計時機器におけるタイム特定方法であって、
競技における基準時刻を計時する計時ステップと、
走路上に配置された所定形状のアンテナにより生成される少なくとも2つのメインローブを含む電磁場を検出する電磁場検出ステップと、
前記電磁場検出ステップの検出結果に基づいて、前記電磁場の検出期間に対する非検出期間の時間比率を算定する時間比率算定ステップと、
前記時間比率算定ステップにて算定された前記時間比率に基づいて、前記メインローブ間における前記非検出期間を判別する判別ステップと、
前記判別ステップにて判別された前記非検出期間中に、前記計時ステップにて計時された時刻を競技タイムとして特定するタイム特定ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、計時ステップは、競技における基準時刻(例えば、ランニングタイム等)を計時する。また、電磁場検出ステップは、走路上に配置された所定形状のアンテナ(例えば、略矩形に2つ形成されたアンテナや、略8の字形状に形成されたアンテナ等)により生成される少なくとも2つのメインローブを含む電磁場を検出する。時間比率算定ステップは、電磁場検出ステップの検出結果に基づいて、電磁場の検出期間に対する非検出期間の時間比率(非検出期間:検出期間)を算定する。判別ステップは、時間比率算定ステップにて算定された時間比率に基づいて、メインローブ間における非検出期間を判別する。そして、タイム特定ステップは、判別ステップにて判別された非検出期間中(例えば、非検出期間の中間)に、計時ステップにて計時された時刻を競技タイムとして特定する。
つまり、子供の競技者等に保持された計時機器が、メインローブとなる電磁場の他に、サイドローブとなる電磁場を検出した場合でも、非検出期間と検出期間との時間比率により、メインローブ間における非検出期間を判別可能であるため、適切な競技タイムが特定される。
この結果、背丈が大きく異なる競技者が混在する場合でも、各競技者のタイムを適切に計時することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、背丈が大きく異なる競技者が混在する場合でも、各競技者のタイムを適切に計時することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の形態にかかる競技用計時システムについて、以下、図面を参照して説明する。なお、一例として、競技用計時システムが大人と子供が一緒に走るファミリータイプのマラソン競技に適用された場合について説明する。
【0017】
(実施形態1)
図1は、この発明の実施の形態に適用される競技用計時システムの構成の一例を示す模式図である。
図示するように、この競技用計時システムは、競技が行われる走路及びその周辺に配置される磁場発生装置10、ループアンテナ20、受信機30、処理装置40、及び、競技者Ra(大人)及び競技者Rb(子供)にそれぞれ保持される無線タグ50とを含んで構成される。
【0018】
磁場発生装置10は、競技走路の沿道等に配置され、ループアンテナ20に信号を供給してループアンテナ20上に電磁場を発生させる。具体的に磁場発生装置10は、所定周波数のLF(Low Frequency)信号を生成し、適宜増幅してループアンテナ20に供給する。
【0019】
ループアンテナ20は、所定形状に形成されたアンテナ(コイル)であり、各競技者R(Ra,Rb)が走行する走路(具体的には、計時ラインLにより規定される計時ポイント)に適宜配置される。
ループアンテナ20は、一例として、図2(a)に示すように、幅wの略矩形に2つ形成され、走行方向(A方向)と直交する直線a,b及び、直線b,cに沿って、走路を横切るようにそれぞれ配置される。なお、この直線bが、計時を行うための計時ラインLと重なるように、配置される。
【0020】
このループアンテナ20は、給電点s1,s2を有するように形成され、各給電点から矢印方向に電流が流れるようになっている。そして、磁場発生装置10からLF信号が供給されると、ループアンテナ20上に電磁場を生成する。具体的には、図2(b)に示すように、ループアンテナ20上にメインローブとなる電磁場20b,20cと、サイドローブとなる電磁場20a,20dとをそれぞれ生成する。
【0021】
なお、ループアンテナ20は、図2(c)に示すような略「8の字」形状に形成されていてもよい。こちらのループアンテナ20は、8の字順方向巻きとなっており、8の字の中心(中点)、すなわち交差部に給電点s3を有するように形成され、この給電点s3を通って直線bを中心線として、直線a,cに沿って、8の字の上下部が形成されている。こちらの場合も、直線bが、計時を行うための計時ラインLと重なるように、配置される。
【0022】
このような略8の字形状に形成されたループアンテナ20であっても、磁場発生装置10からLF信号が供給されると、上述した図2(b)と同様に、ループアンテナ20上にメインローブとなる電磁場20b,20cと、サイドローブとなる電磁場20a,20dとをそれぞれ生成する。
すなわち、図2(a)に示すループアンテナ20と、図2(c)に示すループアンテナ20とは、同等であると言える。以降、図2(a)に示すループアンテナ20について説明するが、図2(c)に示すループアンテナ20についても同様に適用可能である。
【0023】
ところで、ループアンテナ20上に生成される図2(b)に示すような電磁場は、大人の競技者Raを対象として調整されている。すなわち、無線タグ50が胸ゼッケンに取り付けられる場合に、競技者Raの胸の高さ程度で、サイドローブとなる電磁場20a,20dを検出することなく、メインローブとなる電磁場20b,20cだけを検出可能となるように、磁場発生装置10から供給するLF信号の電流等が制御され、ループアンテナ20上の電磁場が調整される。
【0024】
そのため、図3(a)に示すように、競技者Raの胸の高さで、電磁場の検出方向(検出コイル面Dに対して直角な方向)が競技走路と垂直(つまり、検出コイル面Dが走路に対して平行方向)に配置された電磁場検出コイルC(後述する無線タグ50のLFアンテナ51)が、矢印Ba方向に移動すると、図3(b)に示すような電磁界強度分布が得られる。
つまり、無線タグ50の電磁場検出コイルC(LFアンテナ51)は、メインローブとなる電磁場20b,20c(競技走路に対して垂直方向の磁束)だけをコイル面Dにて捉えることになるため、図3(b)に示すような電磁界強度分布を検出する。
【0025】
一方、図3(c)に示すように、子供の競技者Rbの胸の高さで、無線タグ50(LFアンテナ51)が、矢印Bb方向に移動すると、図3(d)に示すような電磁界強度分布が得られる。
つまり、無線タグ50は、メインローブとなる電磁場20b,20cだけでなく、サイドローブとなる電磁場20a,20dも捉えることになるため、図3(d)に示すような電磁界強度分布を検出する。
【0026】
図1に戻って、受信機30は、上述したループアンテナ20の近傍に配置され、ループアンテナ20上を通過した無線タグ50から送られる競技タイム、時間比率、及び、タグIDを受信する。ここで時間比率とは、詳細は後述するが、無線タグ50が電磁場を検出している期間(検出期間)と、電磁場を検出していない期間(検出期間後の非検出期間)との比率を表している。また、タグIDとは、無線タグ50固有の識別情報である。
そして、受信機30は、受信した競技タイム等を処理装置40に供給する。
【0027】
処理装置40は、パーソナルコンピュータ等からなり、各無線タグ50にてそれぞれ計時された競技タイムを集計する。
つまり、処理装置40は、ループアンテナ20上を通過した各無線タグ50から送信される競技タイム、時間比率、及び、タグIDを受信機30を介して受信すると、時間比率等に基づいて競技タイムの妥当性を検証し、所定の記憶部に記憶する。
【0028】
一方、競技者R(Ra,Rb)にそれぞれ保持される無線タグ50は、例えば、胸ゼッケンに取り付けられ、競技者Rと共に走路上を移動する。無線タグ50は、ループアンテナ20上に生成される電磁場(メインローブ)の増減等に基づいて、計時ポイントにおける競技タイムを特定する。
【0029】
一例として、無線タグ50は、LFアンテナ51と、増幅回路52と、電磁場検出手段としての検出回路53と、時間比率算定手段、判別手段及び、タイム特定手段としての制御部54と、計時手段としての計時部55と、記憶部56と、情報送信手段としての通信回路57と、を含んで構成される。
【0030】
LFアンテナ51は、電磁場の検出方向が競技走路と垂直(つまり、検出面が走路に対して平行方向)となるように設定されており、上述したループアンテナ20にて発生される電磁場を検出する。つまり、磁場発生装置10によりループアンテナ20上に生成された電磁場を、競技者R(Ra,Rb)の胸の高さ程度で検出する。
そして、LFアンテナ51は、検出した電磁場の電磁界強度を示す検出信号を増幅回路52に供給する。
【0031】
増幅回路52は、LFアンテナ51から供給される検出信号を適宜増幅して、検出回路53に供給する。
また、検出回路53は、増幅回路52から供給される検出信号(電磁界強度)に基づいて、電磁場の検出の有無を示す信号を生成し、制御部54に供給する。
すなわち、検出回路53は、増幅回路52から供給される電磁場の電磁界強度から2値(Highレベル/Lowレベル)の信号を生成する。なお、検出回路53は、大人の競技者Raと子供の競技者Rbとで、異なる波形の信号を生成する。
【0032】
具体的には、競技者Raの場合に、図4(a)に示すような電磁場20a〜20dに対して、矢印Baに沿って無線タグ50が移動することになる。つまり、LFアンテナ51がメインローブとなる電磁場20b,20cだけを検出することになるため、検出回路53は、図4(b)に示すような波形の信号を生成する。
この信号は、まず、電磁場20bを検出している期間(検出期間H1)にHighとなり、次に、電磁場を検出していない期間(無線タグ50が被検出領域である電磁場20b,20cの狭間にある期間(以後、無線タグ50がこのような狭間にある期間を単に電磁場20b、20cの狭間の期間という)、換言すれば、メインローブ間における非検出期間L1)にLowとなり、そして、電磁場20cの検出期間H2にHighとなる。
なお、この場合の計時ポイントは、非検出期間L1の中間(L1/2)である。
【0033】
一方、競技者Rbの場合に、図4(c)に示すような電磁場20a〜20dに対して、矢印Bbに沿って無線タグ50が移動することになる。つまり、LFアンテナ51がメインローブとなる電磁場20b,20cだけでなく、サイドローブとなる電磁場20a,20dも検出することになるため、検出回路53は、図4(d)に示すような波形の信号を生成する。
この信号は、まず、電磁場20aの検出期間H1にHighとなり、電磁場の非検出期間L1(電磁場20a,20bの狭間の期間)にLowとなり、電磁場20bの検出期間H2にHighとなり、メインローブ間における非検出期間L2(電磁場20b,20cの狭間の期間)にLowとなり、電磁場20cの検出期間H3にHighとなり、電磁場の非検出期間L3(電磁場20c,20dの狭間の期間)にLowとなり、そして、電磁場20dの検出期間H4にHighとなる。
なお、この場合の計時ポイントは、メインローブ間における非検出期間L2の中間(L2/2)である。
【0034】
ところで、これら図4(b),(d)の波形は、標準的な背丈の競技者Ra,Rbの場合に得られる波形であり、実際の競技者Rにおける背丈のばらつき等により、異なる波形となる場合がある。
例えば、小柄な大人の競技者Raの場合では、サイドローブとなる電磁場20a,20dの両方を検出する、または何れか一方だけを検出することも起こり得る。また、大柄な子供の競技者Rbの場合では、電磁場20a,20dの両方を検出しないか、又は、何れか一方だけを検出することも起こり得る。
つまり、図4(b),(d)の波形以外にも、図4(e),(f)に示すように、サイドローブとなる電磁場20a,20dの一方を検出した波形が生成される場合がある。
このため、後述するように、メインローブ間における非検出期間(電磁場20b,20cの狭間の期間)を適切に判別して、計時ポイントを特定する必要がある。
【0035】
図1に戻って、制御部54は、無線タグ50全体を制御する。
制御部54は、検出回路53から供給される信号の波形に基づいて、メインローブ間における非検出期間(電磁場20b,20cの狭間の期間)を判別して、計時ポイントを特定する。なお、制御部54は、電磁場の検出期間に対する非検出期間の時間比率に基づいて、メインローブ間における非検出期間を判別する。なお、本実施例では、メインローブとなる電磁場20b、20cの地上からの最大高さは200cm、サイドローブとなる電磁場20a、20dの地上からの最大高さは70cmに調整されている。
【0036】
具体的に図5(a)に示すように、ループアンテナ20の幅が75cmであり、大人の競技者Ra(例えば身長175cm)の胸の高さ程度(例えば地上から125cm;矢印Ba)において、電磁場20b,20cの狭間(つまり、メインローブ間における非検出幅Nw)が5cmと調整されている場合を一例として説明する。この場合、電磁場20bの検出幅Kwは、「75cm−(5cm/2)×2」で求められ、70cmとなる。つまり、非検出幅Nwと検出幅Kwとの比率は、5:70=1:14(非検出幅Nw/検出幅Kw=約0.0714)となっている。
このような電磁場では、図5(b)に示すように競技者Rb(例えば身長110cm)の胸の高さ程度(例えば地上から60cm;矢印Bb)における非検出幅Nwは、5cmよりも狭まり3cmとなり、同時に、電磁場20bの検出幅Kwは、70cmよりも広がり72cmとなる。つまり、非検出幅Nwと検出幅Kwとの比率は、3:72=1:24(非検出幅Nw/検出幅Kw=約0.0417)となり、1:14よりも小さくなる(検出幅Kwに対する非検出幅Nwの比が小さくなる)。
更に、このような電磁場では、図5(c)に示すように大柄な競技者Ra(例えば身長195cm)の胸の高さ程度(例えば145cm;矢印Bc)における非検出幅Nwは、5cmよりも広がり10cmとなり、同時に、電磁場20bの検出幅Kwは、70cmよりも狭まり60cmとなる。つまり、非検出幅Nwと検出幅Kwとの比率は、10:65=2:13(非検出幅Nw/検出幅Kw=約0.1538)となり、1:14よりも大きくなる(検出幅Kwに対する非検出幅Nwの比が大きくなる)。
すなわち、メインローブ間における非検出幅Nwと、電磁場20bの検出幅Kwとの比率が最大で、2:13であることが予想される。
【0037】
なお、競技者Rbの胸の高さ程度(矢印Bb)では、図5(d)に示すように、サイドローブとなる電磁場20a等も検出してしまう。それでも、電磁場20aの検出幅Kwと電磁場20a,20bの狭間(つまり、サイドローブとメインローブとの間における非検出幅Nw)との関係は、ほぼ等しいか、或いは、非検出幅Nwの方が広くなる。つまり、図5(d)の場合では、非検出幅Nwと検出幅Kwとの比率は、1:1から2:1と計測され、上述したメインローブ間における非検出幅Nwと、電磁場20bの検出幅Kwとの最大比率の2:13よりも極端に大きくなっている。
【0038】
そして、競技者Rの速度がそれぞれ異なっていたとしても、ほぼ一定の速度でループアンテナ20上を通過したならば、この比率は、そのまま、検出回路53から供給される信号における電磁場の非検出期間と電磁場の検出期間との時間比率と等しくなる。
そのため、制御部54は、上述した図4(b),(d),(e),(f)に示すような信号における非検出期間と検出期間との時間比率(L1:H1、L2:H2、又はL3:H3)が、2:13以下である場合、すなわち(非検出期間)/(検出期間)が2/13以下である場合に、その非検出期間がメインローブ間における非検出期間と判別することができる。
【0039】
より具体的に説明すると、制御部54は、検出回路53から供給される信号の立ち上がり(LowからHigh)タイミング及び、立ち下がり(HighからLow)タイミングにて、計時部55により計時される時刻を、それぞれ取得する。
例えば、図6(a)に示すような信号が検出回路53から供給された場合(メインローブだけが検出された場合)、制御部54は、T1〜T4の各タイミングで、計時部55により計時される時刻を、それぞれ取得する。なお、T4の時刻を取得後、信号の立ち上がりがないまま所定時間αが経過すると、タイムアウトとなり、制御部54は、非検出期間L1と検出期間H1との時間比率を算定する。つまり、タイムアウト直前のT4を除いたT1〜T3の時刻から、非検出期間L1(T3−T2)及び検出期間H1(T2−T1)を求め、L1:H1の時間比率を算定する。
【0040】
また、図6(b)に示すような信号が検出回路53から供給された場合(両方のサイドローブも検出された場合)、制御部54は、T1〜T8の各タイミングで、計時部55により計時される時刻を、それぞれ取得する。なお、T8の時刻を取得後、信号の立ち上がりがないまま所定時間αが経過すると、タイムアウトとなり、制御部54は、非検出期間と検出期間との時間比率をそれぞれ算定する。つまり、タイムアウト直前のT8を除いたT1〜T7の時刻から、非検出期間L1(T3−T2)、検出期間H1(T2−T1)、非検出期間L2(T5−T4)、検出期間H2(T4−T3)、非検出期間L3(T7−T6)、及び、検出期間H3(T6−T5)を求め、L1:H1、L2:H2、及び、L3:H3の時間比率を算定する。
【0041】
同様に、図6(c),(d)に示すような信号が検出回路53から供給された場合(一方のサイドローブも検出された場合)、制御部54は、T1〜T6の各タイミングで、計時部55により計時される時刻を、それぞれ取得する。なお、T6の時刻を取得後、信号の立ち上がりがないまま所定時間αが経過すると、タイムアウトとなり、制御部54は、非検出期間と検出期間との時間比率をそれぞれ算定する。つまり、タイムアウト直前のT6を除いたT1〜T5の時刻から、非検出期間L1(T3−T2)、検出期間H1(T2−T1)、非検出期間L2(T5−T4)、及び、検出期間H2(T4−T3)を求め、L1:H1、及び、L2:H2の時間比率を算定する。
【0042】
このようにして算定した時間比率(非検出期間)/(検出期間)が、2/13以下であれば、制御部54は、その非検出期間がメインローブ間における非検出期間と判別する。つまり、図6(a),(d)の場合では、L1/H1が2/13以下となり、また、図6(b)、(c)の場合では、L2/H2が2/13以下となり、その非検出期間がメインローブ間における非検出期間と判別される。
【0043】
そして、制御部54は、判別したメインローブ間における非検出期間の中間が、計時ポイントとなり、その計時ポイントにおける競技タイムを算定する。つまり、図6(a),(d)の場合では、T2の時刻に非検出期間L1の半分の値であるL1/2を加算して競技タイムを算定し、また、図6(b),(c)の場合では、T4の時刻に非検出期間L2の半分の値であるL2/2を加算して競技タイムを算定する。
制御部54は、このようにして算定した競技タイムと時間比率とを組にして、記憶部56に記憶する。
【0044】
計時部55は、制御部54により適宜補正(設定)され、競技において基準となる基準時刻を計時する。
なお、計時部55は、高安定水晶発振器を備えており、基準時刻の計時を安定して維持することが可能となっている。
【0045】
記憶部56は、例えば、不揮発性メモリからなり、制御部54により特定された競技タイム及び時間比率等を記憶する。
この記憶部56には、例えば、競技の計時ポイント分の記憶エリアがそれぞれ設けられており、各計時ポイントにて特定した競技タイム等をそれぞれの別の記憶エリアに格納可能となっている。
なお、記憶部56は、例えば、別エリアに、無線タグ50毎(競技者R毎)に異なる固有の識別情報(タグID)等を予め記憶している。
【0046】
通信回路57は、制御部54が競技タイムを特定すると、競技タイム及び時間比率を自己のタグIDと共に、上述した受信機30に向けて送信する。
なお、通信回路57は、受信機30によるポーリング受信に対応可能としてもよい。例えば、受信機30からポーリングによる送信要求を受信すると、通信回路57は、競技タイム等を受信機30に返信する。
【0047】
以下、上述した構成の計時システムの動作について、図7を参照して説明する。図7は、無線タグ50の制御部54が実行する計時処理を説明するためのフローチャートである。この計時処理は、競技者R(Ra,Rb)が計時ポイントに到達する前に開始される。
【0048】
まず、制御部54は、検出回路53から供給される信号の立ち上がりを検出するまで待機する(ステップS11)。つまり、競技者Rと共に無線タグ50がループアンテナ20上に到達し、LFアンテナ51が電磁場を検出するまで、後続処理の実行を待機する。
【0049】
検出回路53から供給される信号の立ち上がりを検出すると、制御部54は、計時部55にて計時される時刻を取得する(ステップS12)。つまり、上述した図6(a)〜(d)に示すような検出回路53から供給される信号の立ち上がりのタイミングにて、計時部55により計時される時刻を取得する。
【0050】
制御部54は、検出回路53から供給される信号の立ち下がりを検出するまで待機する(ステップS13)。つまり、LFアンテナ51が電磁場を検出しなくなるまで、後続処理の実行を待機する。
【0051】
検出回路53から供給される信号の立ち下がりを検出すると、制御部54は、計時部55にて計時される時刻を取得する(ステップS14)。つまり、上述した図6(a)〜(d)に示すような検出回路53から供給される信号の立ち下がりのタイミングにて、計時部55により計時される時刻を取得する。
【0052】
制御部54は、タイムアウトを判別するために、所定時間αの計時を開始する(ステップS15)。
そして、所定時間αが経過してタイムアウトになったか否かを判別する(ステップS16)。
【0053】
制御部54は、タイムアウトになっていないと判別すると、検出回路53から供給される信号の立ち上がりを検出したか否かを判別する(ステップS17)。
制御部54は、信号の立ち上がりを検出していないと判別すると、上述のステップS16に処理を戻す。
【0054】
一方、信号の立ち上がりを検出したと判別した場合に、制御部54は、上述のステップS12に処理を戻す。つまり、信号の立ち上がりのタイミング及び、その後の信号の立ち下がりのタイミングにて、計時部55により計時される時刻を取得する。
【0055】
そして、上述のステップS16にて、タイムアウトが判別されると、制御部54は、非検出期間及び、検出期間を求め、時間比率を算定する(ステップS18)。つまり、上述した図6(a)〜(d)に示すように、L1:H1や、L2:H2や、L3:H3の時間比率を算定する。
【0056】
制御部54は、検出期間に対する非検出期間の時間比率から、メインローブ間における非検出期間を判別する(ステップS19)。時間比率(非検出期間/検出期間)が2/13以下であれば、その非検出期間がメインローブ間における非検出期間と判別する。
【0057】
制御部54は、計時ポイントにおける競技タイムを算定する(ステップS20)。つまり、制御部54にて判別したメインローブ間における非検出期間の中間が計時ポイントとなるため、その計時ポイントにおける競技タイムを算定する。
例えば、上述した図6(a),(d)の場合では、T2の時刻に非検出期間L1の半分の値であるL1/2を加算して競技タイムを算定し、また、図6(b),(c)の場合では、T4の時刻に非検出期間L2の半分の値であるL2/2を加算して競技タイムを算定する。
【0058】
そして、制御部54は、競技タイム等を、受信機30に向けて送信する(ステップS21)。つまり、特定した競技タイム及び時間比率をタグIDと共に、受信機30に送信する。
そして、処理装置40は、受信機30を介して競技タイム等を受信すると、時間比率等に基づいて競技タイムの妥当性を検証し、所定の記憶部に記憶する。
【0059】
このような計時処理により、子供の競技者Rb等の無線タグ50(LFアンテナ51)が、サイドローブとなる電磁場20a,20dの両方又は一方を検出した場合でも、非検出期間と検出期間との時間比率により、メインローブ間における非検出期間を判別できるため、適切な競技タイムが特定される。
この結果、背丈が大きく異なる競技者が混在する場合でも、各競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0060】
(他の実施形態)
上記の実施の形態では、無線タグ50側で非検出期間と検出期間との時間比率に基づいて、適切な競技タイムを特定する場合について説明したが、処理装置40側で、時間比率に基づいて適切な競技タイムを特定するようにしてもよい。
例えば、無線タグ50は、求めた競技タイム及び時間比率の組を全て、受信機30に向けて送信するようにし、処理装置40は、時間比率が2/13以下のものを判別し、適切な競技タイムを特定する。
この結果、背丈が大きく異なる競技者が混在する場合でも、各競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0061】
上記の実施の形態では、図5(a),(c)に示すような前提から、基準となる時間比率を2/13としたが、ループアンテナ20の幅等が異なると、基準となる時間比率も変化することになる。
そこでまず、図5(a)を一般形に直すと、図8(a)のように表される。つまり、ループコイル20の幅がWcmであり、競技者Raの胸の高さ程度(矢印Ba)における非検出幅NwがScmと調整されている。そのため、電磁場20bの検出幅Kwは、W−(S/2)×2=W−Scmとなっている。
そして、図5(c)に対応して、大柄な競技者Raの場合は、図8(b)のように表される。つまり、矢印Bcにおける非検出幅Nwは、Scmの2倍まで広がり、2×Scmとなり、同時に、電磁場20bの検出幅Kwは、W−(2×S/2)×2=W−2×Scmとなっている。
すなわち、メインローブ間における非検出幅Nwと、電磁場20bの検出幅Kwとの比率が最大で「2×S:W−2×S」、換言すれば「2×S/(W−2×S)」となる。そして、この比率がそのまま、非検出期間と検出期間との時間比率となり、この「2×S:W−2×S」以下の時間比率となる非検出期間がメインローブ間における非検出期間と判別することができる。
【0062】
上記の実施の形態では、図2(a),(c)の形状のループアンテナ20上に生成される図2(b)に示すような2つのメインローブを含む電磁場を一例として説明したが、ループアンテナ20の形状は、よりシンプルな1つの略矩形状であっても適宜適用可能である。
例えば、図9(a)に示すような略矩形状のループアンテナ20上に、図9(b)に示すような1つのメインローブ(電磁場20b)を含む電磁場の場合では、子供の競技者Rbが走行すると、図9(c)に示すような信号が検出回路53から制御部54に供給されることになる。
この場合では、検出期間に対する非検出期間の時間比率が最も小さいものが、メインローブの検出期間を示していることになる。すなわち、時間比率である非検出期間L2:検出期間H2(非検出期間L2/検出期間H2)が最も小さいため、検出期間H2がメインローブとなる電磁場20bの検出期間を示している。なお、非検出期間L1:検出期間H2(非検出期間L1/検出期間H2)により、検出期間に対する非検出期間の時間比率を求めてもよい。
そして、この場合の計時ポイントは、メインローブの検出期間H2の中間(H2/2)である。
【0063】
上記の実施の形態では、マラソン競技を一例として説明したが、計時対象の競技は、これに限られず任意である。
例えば、駅伝、競歩、身障者車椅子ロードレース、自転車ロードレース、トライアスロン、及び、ランニングやオリエンテーション等の山岳競技等にも適宜適用可能である。
【0064】
以上説明したように、本発明によれば、背丈が大きく異なる競技者が混在する場合でも、各競技者のタイムを適切に計時することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態に係る競技用計時システムの構成の一例を示す模式図である。
【図2】(a)が走路上に配置されたループアンテナの一例を示す模式図であり、(b)が生成される電磁場の一例を示す模式図であり、(c)がループアンテナの他の例を示す模式図である。
【図3】(a)〜(d)共に、生成される電磁場と検出される電磁界強度とを説明するための模式図である。
【図4】(a)〜(f)共に、生成される電磁場と検出回路により生成される信号波形とを説明するための模式図である。
【図5】(a)〜(d)共に、ループコイルや電磁場等の具体的な大きさを説明するための模式図である。
【図6】(a)〜(d)共に、検出期間及び非検出期間等を求める様子を説明するための模式図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るタイム計時処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】(a),(b)共に、ループコイルや電磁場等の大きさの一般形を説明するための模式図である。
【図9】(a)〜(c)共に、他の形状のループアンテナについて説明するための模式図である。
【図10】(a)がループアンテナの一例を示す模式図であり、(b)が生成される電磁場を示す模式図である。
【図11】(a),(b)が、競技者に合わせた電磁場の調整を説明するための模式図であり、(c),(d)が、不都合の発生を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0066】
10 磁場発生装置
20 ループアンテナ
30 受信機
40 処理装置
50 無線タグ
【技術分野】
【0001】
この発明は、背丈が大きく異なる競技者が混在する場合でも、各競技者のタイムを適切に計時することのできる計時機器およびタイム特定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マラソン競技において、競技者個々のゴールタイムを計測(計時)する試みがなされている。例えば、競技者のゼッケン等にバーコードを印刷しておき、ゴールした競技者のバーコードをリーダにて読み取った時刻に基づいて、競技者個々のゴールタイムを計測する計測システムも実用化されている。
最近では、各計時ポイントにおける通過タイムも含めた競技タイムを計測可能とするために、非接触にて競技者個々の競技タイムを計測する試みがなされている。例えば、競技者にタグ送信機を保持させ、このタグ送信機により競技タイムを計測する計測システムが開発され、実用化に向けた運用試験等が試みられている。
【0003】
具体的に、ランニングタイムを自ら計時する無線タグを競技者に保持させ、そして、計時地点に8の字形状のループコイルを配置して電磁場を発生させるようにした競技用計測システムでは、競技者がループコイル上を走行すると、無線タグが電磁場(より詳細には、電磁場の変極点)を検出し、その時点のランニングタイムを計測タイム(競技タイム)として特定する。そして、無線タグがこの計測タイム等を受信装置に送信することにより、各競技者のタイム集計を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−47263号公報(第11−25頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような特許文献1では、具体的に、図10(a)に示すようなループコイルを用いており、このループコイル上に電磁場を発生させることになる。その際、電磁場は、図10(b)に示すように、計測に用いられるメインローブMLだけでなく、副次的なサイドローブSLも発生することになる。
そして、大人を対象とした競技(大人だけが参加する競技)では、図11(a)に示すように、競技者Ra(大人)の胸の高さ程度で(競技者の胸ゼッケンに無線タグが取り付けられているため)、サイドローブSLを検出することなくメインローブMLだけを検出可能となるように、ループコイルに流す電流等を制御して発生させる電磁場を調整している。
同様に、子供を対象とした競技でも、図11(b)に示すように、競技者Rb(子供)の胸の高さ程度で、メインローブMLだけを検出可能となるように、発生させる電磁場を調整している。
【0005】
しかしながら、大人と子供が一緒に走るファミリータイプの競技では、以下のように、不都合の発生が予想される。
例えば、子供を対象として調整された電磁場では、図11(c)に示すように、競技者Raの無線タグがメインローブMLを検出できないことになる。つまり、大人にとっては、電磁場の高さが低すぎるため、競技者Raのタイム計測が行えないことになる。
一方、大人を対象として調整された電磁場では、図11(d)に示すように、競技者Rbの無線タグがメインローブMLだけでなく、サイドローブSLも検出してしまうことになる。つまり、子供にとっては、電磁場の高さが高すぎるため、メインローブMLより先に、サイドローブSLを検出してしまい、競技者Rbのタイム計測が正確に行えないことになる。
【0006】
すなわち、従来の技術では、大人と子供といった背丈が大きく異なる競技者が混在する競技に適用しようとする場合に、タイム計測を適切に行えない事態が発生してしまう懸念があった。
【0007】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、背丈が大きく異なる競技者が混在する場合でも、各競技者のタイムを適切に計時することのできる計時機器およびタイム特定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る計時機器は、
競技者に保持される計時機器であって、
競技における基準時刻を計時する計時手段と、
走路上に配置された所定形状のアンテナにより生成される少なくとも2つのメインローブを含む電磁場を検出する電磁場検出手段と、
前記電磁場検出手段の検出結果に基づいて前記電磁場の検出期間に対する非検出期間の時間比率を算定する時間比率算定手段と、
前記時間比率算定手段が算定した前記時間比率に基づいて、前記メインローブ間における前記非検出期間を判別する判別手段と、
前記判別手段が判別した前記非検出期間中に、前記計時手段により計時された時刻を競技タイムとして特定するタイム特定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、計時手段は、競技における基準時刻(例えば、ランニングタイム等)を計時する。また、電磁場検出手段は、走路上に配置された所定形状のアンテナ(例えば、略矩形に2つ形成されたアンテナや、略8の字形状に形成されたアンテナ等)により生成される少なくとも2つのメインローブを含む電磁場を検出する。時間比率算定手段は、電磁場検出手段の検出結果に基づいて、電磁場の検出期間に対する非検出期間の時間比率(非検出期間:検出期間)を算定する。判別手段は、時間比率算定手段が算定した時間比率に基づいて、メインローブ間における非検出期間を判別する。そして、タイム特定手段は、判別手段が判別した非検出期間中(例えば、非検出期間の中間)に、計時手段により計時された時刻を競技タイムとして特定する。
つまり、子供の競技者等に保持された計時機器が、メインローブとなる電磁場の他に、サイドローブとなる電磁場を検出した場合でも、非検出期間と検出期間との時間比率により、メインローブ間における非検出期間を判別可能であるため、適切な競技タイムが特定される。
この結果、背丈が大きく異なる競技者が混在する場合でも、各競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0010】
前記時間比率算定手段は、前記電磁場検出手段が前記各メインローブに加えて、少なくとも1つのサイドローブを含む電磁場を検出した際に、前記時間比率を複数算定し、
前記判別手段は、算定された前記各時間比率のうち、規定される比率以下となる時間比率の非検出期間を、前記メインローブ間における前記非検出期間と判別してもよい。
【0011】
前記タイム特定手段は、前記判別手段が判別した前記非検出期間の中間にて、前記計時手段により計時された時刻を競技タイムとして特定してもよい。
【0012】
上記の計時機器は、前記タイム特定手段が特定した前記競技タイム及び対応する前記時間比率を含む情報を、所定の処理装置に向けて送信する情報送信手段を更に備えてもよい。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係るタイム特定方法は、
競技者に保持される計時機器におけるタイム特定方法であって、
競技における基準時刻を計時する計時ステップと、
走路上に配置された所定形状のアンテナにより生成される少なくとも2つのメインローブを含む電磁場を検出する電磁場検出ステップと、
前記電磁場検出ステップの検出結果に基づいて、前記電磁場の検出期間に対する非検出期間の時間比率を算定する時間比率算定ステップと、
前記時間比率算定ステップにて算定された前記時間比率に基づいて、前記メインローブ間における前記非検出期間を判別する判別ステップと、
前記判別ステップにて判別された前記非検出期間中に、前記計時ステップにて計時された時刻を競技タイムとして特定するタイム特定ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、計時ステップは、競技における基準時刻(例えば、ランニングタイム等)を計時する。また、電磁場検出ステップは、走路上に配置された所定形状のアンテナ(例えば、略矩形に2つ形成されたアンテナや、略8の字形状に形成されたアンテナ等)により生成される少なくとも2つのメインローブを含む電磁場を検出する。時間比率算定ステップは、電磁場検出ステップの検出結果に基づいて、電磁場の検出期間に対する非検出期間の時間比率(非検出期間:検出期間)を算定する。判別ステップは、時間比率算定ステップにて算定された時間比率に基づいて、メインローブ間における非検出期間を判別する。そして、タイム特定ステップは、判別ステップにて判別された非検出期間中(例えば、非検出期間の中間)に、計時ステップにて計時された時刻を競技タイムとして特定する。
つまり、子供の競技者等に保持された計時機器が、メインローブとなる電磁場の他に、サイドローブとなる電磁場を検出した場合でも、非検出期間と検出期間との時間比率により、メインローブ間における非検出期間を判別可能であるため、適切な競技タイムが特定される。
この結果、背丈が大きく異なる競技者が混在する場合でも、各競技者のタイムを適切に計時することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、背丈が大きく異なる競技者が混在する場合でも、各競技者のタイムを適切に計時することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の形態にかかる競技用計時システムについて、以下、図面を参照して説明する。なお、一例として、競技用計時システムが大人と子供が一緒に走るファミリータイプのマラソン競技に適用された場合について説明する。
【0017】
(実施形態1)
図1は、この発明の実施の形態に適用される競技用計時システムの構成の一例を示す模式図である。
図示するように、この競技用計時システムは、競技が行われる走路及びその周辺に配置される磁場発生装置10、ループアンテナ20、受信機30、処理装置40、及び、競技者Ra(大人)及び競技者Rb(子供)にそれぞれ保持される無線タグ50とを含んで構成される。
【0018】
磁場発生装置10は、競技走路の沿道等に配置され、ループアンテナ20に信号を供給してループアンテナ20上に電磁場を発生させる。具体的に磁場発生装置10は、所定周波数のLF(Low Frequency)信号を生成し、適宜増幅してループアンテナ20に供給する。
【0019】
ループアンテナ20は、所定形状に形成されたアンテナ(コイル)であり、各競技者R(Ra,Rb)が走行する走路(具体的には、計時ラインLにより規定される計時ポイント)に適宜配置される。
ループアンテナ20は、一例として、図2(a)に示すように、幅wの略矩形に2つ形成され、走行方向(A方向)と直交する直線a,b及び、直線b,cに沿って、走路を横切るようにそれぞれ配置される。なお、この直線bが、計時を行うための計時ラインLと重なるように、配置される。
【0020】
このループアンテナ20は、給電点s1,s2を有するように形成され、各給電点から矢印方向に電流が流れるようになっている。そして、磁場発生装置10からLF信号が供給されると、ループアンテナ20上に電磁場を生成する。具体的には、図2(b)に示すように、ループアンテナ20上にメインローブとなる電磁場20b,20cと、サイドローブとなる電磁場20a,20dとをそれぞれ生成する。
【0021】
なお、ループアンテナ20は、図2(c)に示すような略「8の字」形状に形成されていてもよい。こちらのループアンテナ20は、8の字順方向巻きとなっており、8の字の中心(中点)、すなわち交差部に給電点s3を有するように形成され、この給電点s3を通って直線bを中心線として、直線a,cに沿って、8の字の上下部が形成されている。こちらの場合も、直線bが、計時を行うための計時ラインLと重なるように、配置される。
【0022】
このような略8の字形状に形成されたループアンテナ20であっても、磁場発生装置10からLF信号が供給されると、上述した図2(b)と同様に、ループアンテナ20上にメインローブとなる電磁場20b,20cと、サイドローブとなる電磁場20a,20dとをそれぞれ生成する。
すなわち、図2(a)に示すループアンテナ20と、図2(c)に示すループアンテナ20とは、同等であると言える。以降、図2(a)に示すループアンテナ20について説明するが、図2(c)に示すループアンテナ20についても同様に適用可能である。
【0023】
ところで、ループアンテナ20上に生成される図2(b)に示すような電磁場は、大人の競技者Raを対象として調整されている。すなわち、無線タグ50が胸ゼッケンに取り付けられる場合に、競技者Raの胸の高さ程度で、サイドローブとなる電磁場20a,20dを検出することなく、メインローブとなる電磁場20b,20cだけを検出可能となるように、磁場発生装置10から供給するLF信号の電流等が制御され、ループアンテナ20上の電磁場が調整される。
【0024】
そのため、図3(a)に示すように、競技者Raの胸の高さで、電磁場の検出方向(検出コイル面Dに対して直角な方向)が競技走路と垂直(つまり、検出コイル面Dが走路に対して平行方向)に配置された電磁場検出コイルC(後述する無線タグ50のLFアンテナ51)が、矢印Ba方向に移動すると、図3(b)に示すような電磁界強度分布が得られる。
つまり、無線タグ50の電磁場検出コイルC(LFアンテナ51)は、メインローブとなる電磁場20b,20c(競技走路に対して垂直方向の磁束)だけをコイル面Dにて捉えることになるため、図3(b)に示すような電磁界強度分布を検出する。
【0025】
一方、図3(c)に示すように、子供の競技者Rbの胸の高さで、無線タグ50(LFアンテナ51)が、矢印Bb方向に移動すると、図3(d)に示すような電磁界強度分布が得られる。
つまり、無線タグ50は、メインローブとなる電磁場20b,20cだけでなく、サイドローブとなる電磁場20a,20dも捉えることになるため、図3(d)に示すような電磁界強度分布を検出する。
【0026】
図1に戻って、受信機30は、上述したループアンテナ20の近傍に配置され、ループアンテナ20上を通過した無線タグ50から送られる競技タイム、時間比率、及び、タグIDを受信する。ここで時間比率とは、詳細は後述するが、無線タグ50が電磁場を検出している期間(検出期間)と、電磁場を検出していない期間(検出期間後の非検出期間)との比率を表している。また、タグIDとは、無線タグ50固有の識別情報である。
そして、受信機30は、受信した競技タイム等を処理装置40に供給する。
【0027】
処理装置40は、パーソナルコンピュータ等からなり、各無線タグ50にてそれぞれ計時された競技タイムを集計する。
つまり、処理装置40は、ループアンテナ20上を通過した各無線タグ50から送信される競技タイム、時間比率、及び、タグIDを受信機30を介して受信すると、時間比率等に基づいて競技タイムの妥当性を検証し、所定の記憶部に記憶する。
【0028】
一方、競技者R(Ra,Rb)にそれぞれ保持される無線タグ50は、例えば、胸ゼッケンに取り付けられ、競技者Rと共に走路上を移動する。無線タグ50は、ループアンテナ20上に生成される電磁場(メインローブ)の増減等に基づいて、計時ポイントにおける競技タイムを特定する。
【0029】
一例として、無線タグ50は、LFアンテナ51と、増幅回路52と、電磁場検出手段としての検出回路53と、時間比率算定手段、判別手段及び、タイム特定手段としての制御部54と、計時手段としての計時部55と、記憶部56と、情報送信手段としての通信回路57と、を含んで構成される。
【0030】
LFアンテナ51は、電磁場の検出方向が競技走路と垂直(つまり、検出面が走路に対して平行方向)となるように設定されており、上述したループアンテナ20にて発生される電磁場を検出する。つまり、磁場発生装置10によりループアンテナ20上に生成された電磁場を、競技者R(Ra,Rb)の胸の高さ程度で検出する。
そして、LFアンテナ51は、検出した電磁場の電磁界強度を示す検出信号を増幅回路52に供給する。
【0031】
増幅回路52は、LFアンテナ51から供給される検出信号を適宜増幅して、検出回路53に供給する。
また、検出回路53は、増幅回路52から供給される検出信号(電磁界強度)に基づいて、電磁場の検出の有無を示す信号を生成し、制御部54に供給する。
すなわち、検出回路53は、増幅回路52から供給される電磁場の電磁界強度から2値(Highレベル/Lowレベル)の信号を生成する。なお、検出回路53は、大人の競技者Raと子供の競技者Rbとで、異なる波形の信号を生成する。
【0032】
具体的には、競技者Raの場合に、図4(a)に示すような電磁場20a〜20dに対して、矢印Baに沿って無線タグ50が移動することになる。つまり、LFアンテナ51がメインローブとなる電磁場20b,20cだけを検出することになるため、検出回路53は、図4(b)に示すような波形の信号を生成する。
この信号は、まず、電磁場20bを検出している期間(検出期間H1)にHighとなり、次に、電磁場を検出していない期間(無線タグ50が被検出領域である電磁場20b,20cの狭間にある期間(以後、無線タグ50がこのような狭間にある期間を単に電磁場20b、20cの狭間の期間という)、換言すれば、メインローブ間における非検出期間L1)にLowとなり、そして、電磁場20cの検出期間H2にHighとなる。
なお、この場合の計時ポイントは、非検出期間L1の中間(L1/2)である。
【0033】
一方、競技者Rbの場合に、図4(c)に示すような電磁場20a〜20dに対して、矢印Bbに沿って無線タグ50が移動することになる。つまり、LFアンテナ51がメインローブとなる電磁場20b,20cだけでなく、サイドローブとなる電磁場20a,20dも検出することになるため、検出回路53は、図4(d)に示すような波形の信号を生成する。
この信号は、まず、電磁場20aの検出期間H1にHighとなり、電磁場の非検出期間L1(電磁場20a,20bの狭間の期間)にLowとなり、電磁場20bの検出期間H2にHighとなり、メインローブ間における非検出期間L2(電磁場20b,20cの狭間の期間)にLowとなり、電磁場20cの検出期間H3にHighとなり、電磁場の非検出期間L3(電磁場20c,20dの狭間の期間)にLowとなり、そして、電磁場20dの検出期間H4にHighとなる。
なお、この場合の計時ポイントは、メインローブ間における非検出期間L2の中間(L2/2)である。
【0034】
ところで、これら図4(b),(d)の波形は、標準的な背丈の競技者Ra,Rbの場合に得られる波形であり、実際の競技者Rにおける背丈のばらつき等により、異なる波形となる場合がある。
例えば、小柄な大人の競技者Raの場合では、サイドローブとなる電磁場20a,20dの両方を検出する、または何れか一方だけを検出することも起こり得る。また、大柄な子供の競技者Rbの場合では、電磁場20a,20dの両方を検出しないか、又は、何れか一方だけを検出することも起こり得る。
つまり、図4(b),(d)の波形以外にも、図4(e),(f)に示すように、サイドローブとなる電磁場20a,20dの一方を検出した波形が生成される場合がある。
このため、後述するように、メインローブ間における非検出期間(電磁場20b,20cの狭間の期間)を適切に判別して、計時ポイントを特定する必要がある。
【0035】
図1に戻って、制御部54は、無線タグ50全体を制御する。
制御部54は、検出回路53から供給される信号の波形に基づいて、メインローブ間における非検出期間(電磁場20b,20cの狭間の期間)を判別して、計時ポイントを特定する。なお、制御部54は、電磁場の検出期間に対する非検出期間の時間比率に基づいて、メインローブ間における非検出期間を判別する。なお、本実施例では、メインローブとなる電磁場20b、20cの地上からの最大高さは200cm、サイドローブとなる電磁場20a、20dの地上からの最大高さは70cmに調整されている。
【0036】
具体的に図5(a)に示すように、ループアンテナ20の幅が75cmであり、大人の競技者Ra(例えば身長175cm)の胸の高さ程度(例えば地上から125cm;矢印Ba)において、電磁場20b,20cの狭間(つまり、メインローブ間における非検出幅Nw)が5cmと調整されている場合を一例として説明する。この場合、電磁場20bの検出幅Kwは、「75cm−(5cm/2)×2」で求められ、70cmとなる。つまり、非検出幅Nwと検出幅Kwとの比率は、5:70=1:14(非検出幅Nw/検出幅Kw=約0.0714)となっている。
このような電磁場では、図5(b)に示すように競技者Rb(例えば身長110cm)の胸の高さ程度(例えば地上から60cm;矢印Bb)における非検出幅Nwは、5cmよりも狭まり3cmとなり、同時に、電磁場20bの検出幅Kwは、70cmよりも広がり72cmとなる。つまり、非検出幅Nwと検出幅Kwとの比率は、3:72=1:24(非検出幅Nw/検出幅Kw=約0.0417)となり、1:14よりも小さくなる(検出幅Kwに対する非検出幅Nwの比が小さくなる)。
更に、このような電磁場では、図5(c)に示すように大柄な競技者Ra(例えば身長195cm)の胸の高さ程度(例えば145cm;矢印Bc)における非検出幅Nwは、5cmよりも広がり10cmとなり、同時に、電磁場20bの検出幅Kwは、70cmよりも狭まり60cmとなる。つまり、非検出幅Nwと検出幅Kwとの比率は、10:65=2:13(非検出幅Nw/検出幅Kw=約0.1538)となり、1:14よりも大きくなる(検出幅Kwに対する非検出幅Nwの比が大きくなる)。
すなわち、メインローブ間における非検出幅Nwと、電磁場20bの検出幅Kwとの比率が最大で、2:13であることが予想される。
【0037】
なお、競技者Rbの胸の高さ程度(矢印Bb)では、図5(d)に示すように、サイドローブとなる電磁場20a等も検出してしまう。それでも、電磁場20aの検出幅Kwと電磁場20a,20bの狭間(つまり、サイドローブとメインローブとの間における非検出幅Nw)との関係は、ほぼ等しいか、或いは、非検出幅Nwの方が広くなる。つまり、図5(d)の場合では、非検出幅Nwと検出幅Kwとの比率は、1:1から2:1と計測され、上述したメインローブ間における非検出幅Nwと、電磁場20bの検出幅Kwとの最大比率の2:13よりも極端に大きくなっている。
【0038】
そして、競技者Rの速度がそれぞれ異なっていたとしても、ほぼ一定の速度でループアンテナ20上を通過したならば、この比率は、そのまま、検出回路53から供給される信号における電磁場の非検出期間と電磁場の検出期間との時間比率と等しくなる。
そのため、制御部54は、上述した図4(b),(d),(e),(f)に示すような信号における非検出期間と検出期間との時間比率(L1:H1、L2:H2、又はL3:H3)が、2:13以下である場合、すなわち(非検出期間)/(検出期間)が2/13以下である場合に、その非検出期間がメインローブ間における非検出期間と判別することができる。
【0039】
より具体的に説明すると、制御部54は、検出回路53から供給される信号の立ち上がり(LowからHigh)タイミング及び、立ち下がり(HighからLow)タイミングにて、計時部55により計時される時刻を、それぞれ取得する。
例えば、図6(a)に示すような信号が検出回路53から供給された場合(メインローブだけが検出された場合)、制御部54は、T1〜T4の各タイミングで、計時部55により計時される時刻を、それぞれ取得する。なお、T4の時刻を取得後、信号の立ち上がりがないまま所定時間αが経過すると、タイムアウトとなり、制御部54は、非検出期間L1と検出期間H1との時間比率を算定する。つまり、タイムアウト直前のT4を除いたT1〜T3の時刻から、非検出期間L1(T3−T2)及び検出期間H1(T2−T1)を求め、L1:H1の時間比率を算定する。
【0040】
また、図6(b)に示すような信号が検出回路53から供給された場合(両方のサイドローブも検出された場合)、制御部54は、T1〜T8の各タイミングで、計時部55により計時される時刻を、それぞれ取得する。なお、T8の時刻を取得後、信号の立ち上がりがないまま所定時間αが経過すると、タイムアウトとなり、制御部54は、非検出期間と検出期間との時間比率をそれぞれ算定する。つまり、タイムアウト直前のT8を除いたT1〜T7の時刻から、非検出期間L1(T3−T2)、検出期間H1(T2−T1)、非検出期間L2(T5−T4)、検出期間H2(T4−T3)、非検出期間L3(T7−T6)、及び、検出期間H3(T6−T5)を求め、L1:H1、L2:H2、及び、L3:H3の時間比率を算定する。
【0041】
同様に、図6(c),(d)に示すような信号が検出回路53から供給された場合(一方のサイドローブも検出された場合)、制御部54は、T1〜T6の各タイミングで、計時部55により計時される時刻を、それぞれ取得する。なお、T6の時刻を取得後、信号の立ち上がりがないまま所定時間αが経過すると、タイムアウトとなり、制御部54は、非検出期間と検出期間との時間比率をそれぞれ算定する。つまり、タイムアウト直前のT6を除いたT1〜T5の時刻から、非検出期間L1(T3−T2)、検出期間H1(T2−T1)、非検出期間L2(T5−T4)、及び、検出期間H2(T4−T3)を求め、L1:H1、及び、L2:H2の時間比率を算定する。
【0042】
このようにして算定した時間比率(非検出期間)/(検出期間)が、2/13以下であれば、制御部54は、その非検出期間がメインローブ間における非検出期間と判別する。つまり、図6(a),(d)の場合では、L1/H1が2/13以下となり、また、図6(b)、(c)の場合では、L2/H2が2/13以下となり、その非検出期間がメインローブ間における非検出期間と判別される。
【0043】
そして、制御部54は、判別したメインローブ間における非検出期間の中間が、計時ポイントとなり、その計時ポイントにおける競技タイムを算定する。つまり、図6(a),(d)の場合では、T2の時刻に非検出期間L1の半分の値であるL1/2を加算して競技タイムを算定し、また、図6(b),(c)の場合では、T4の時刻に非検出期間L2の半分の値であるL2/2を加算して競技タイムを算定する。
制御部54は、このようにして算定した競技タイムと時間比率とを組にして、記憶部56に記憶する。
【0044】
計時部55は、制御部54により適宜補正(設定)され、競技において基準となる基準時刻を計時する。
なお、計時部55は、高安定水晶発振器を備えており、基準時刻の計時を安定して維持することが可能となっている。
【0045】
記憶部56は、例えば、不揮発性メモリからなり、制御部54により特定された競技タイム及び時間比率等を記憶する。
この記憶部56には、例えば、競技の計時ポイント分の記憶エリアがそれぞれ設けられており、各計時ポイントにて特定した競技タイム等をそれぞれの別の記憶エリアに格納可能となっている。
なお、記憶部56は、例えば、別エリアに、無線タグ50毎(競技者R毎)に異なる固有の識別情報(タグID)等を予め記憶している。
【0046】
通信回路57は、制御部54が競技タイムを特定すると、競技タイム及び時間比率を自己のタグIDと共に、上述した受信機30に向けて送信する。
なお、通信回路57は、受信機30によるポーリング受信に対応可能としてもよい。例えば、受信機30からポーリングによる送信要求を受信すると、通信回路57は、競技タイム等を受信機30に返信する。
【0047】
以下、上述した構成の計時システムの動作について、図7を参照して説明する。図7は、無線タグ50の制御部54が実行する計時処理を説明するためのフローチャートである。この計時処理は、競技者R(Ra,Rb)が計時ポイントに到達する前に開始される。
【0048】
まず、制御部54は、検出回路53から供給される信号の立ち上がりを検出するまで待機する(ステップS11)。つまり、競技者Rと共に無線タグ50がループアンテナ20上に到達し、LFアンテナ51が電磁場を検出するまで、後続処理の実行を待機する。
【0049】
検出回路53から供給される信号の立ち上がりを検出すると、制御部54は、計時部55にて計時される時刻を取得する(ステップS12)。つまり、上述した図6(a)〜(d)に示すような検出回路53から供給される信号の立ち上がりのタイミングにて、計時部55により計時される時刻を取得する。
【0050】
制御部54は、検出回路53から供給される信号の立ち下がりを検出するまで待機する(ステップS13)。つまり、LFアンテナ51が電磁場を検出しなくなるまで、後続処理の実行を待機する。
【0051】
検出回路53から供給される信号の立ち下がりを検出すると、制御部54は、計時部55にて計時される時刻を取得する(ステップS14)。つまり、上述した図6(a)〜(d)に示すような検出回路53から供給される信号の立ち下がりのタイミングにて、計時部55により計時される時刻を取得する。
【0052】
制御部54は、タイムアウトを判別するために、所定時間αの計時を開始する(ステップS15)。
そして、所定時間αが経過してタイムアウトになったか否かを判別する(ステップS16)。
【0053】
制御部54は、タイムアウトになっていないと判別すると、検出回路53から供給される信号の立ち上がりを検出したか否かを判別する(ステップS17)。
制御部54は、信号の立ち上がりを検出していないと判別すると、上述のステップS16に処理を戻す。
【0054】
一方、信号の立ち上がりを検出したと判別した場合に、制御部54は、上述のステップS12に処理を戻す。つまり、信号の立ち上がりのタイミング及び、その後の信号の立ち下がりのタイミングにて、計時部55により計時される時刻を取得する。
【0055】
そして、上述のステップS16にて、タイムアウトが判別されると、制御部54は、非検出期間及び、検出期間を求め、時間比率を算定する(ステップS18)。つまり、上述した図6(a)〜(d)に示すように、L1:H1や、L2:H2や、L3:H3の時間比率を算定する。
【0056】
制御部54は、検出期間に対する非検出期間の時間比率から、メインローブ間における非検出期間を判別する(ステップS19)。時間比率(非検出期間/検出期間)が2/13以下であれば、その非検出期間がメインローブ間における非検出期間と判別する。
【0057】
制御部54は、計時ポイントにおける競技タイムを算定する(ステップS20)。つまり、制御部54にて判別したメインローブ間における非検出期間の中間が計時ポイントとなるため、その計時ポイントにおける競技タイムを算定する。
例えば、上述した図6(a),(d)の場合では、T2の時刻に非検出期間L1の半分の値であるL1/2を加算して競技タイムを算定し、また、図6(b),(c)の場合では、T4の時刻に非検出期間L2の半分の値であるL2/2を加算して競技タイムを算定する。
【0058】
そして、制御部54は、競技タイム等を、受信機30に向けて送信する(ステップS21)。つまり、特定した競技タイム及び時間比率をタグIDと共に、受信機30に送信する。
そして、処理装置40は、受信機30を介して競技タイム等を受信すると、時間比率等に基づいて競技タイムの妥当性を検証し、所定の記憶部に記憶する。
【0059】
このような計時処理により、子供の競技者Rb等の無線タグ50(LFアンテナ51)が、サイドローブとなる電磁場20a,20dの両方又は一方を検出した場合でも、非検出期間と検出期間との時間比率により、メインローブ間における非検出期間を判別できるため、適切な競技タイムが特定される。
この結果、背丈が大きく異なる競技者が混在する場合でも、各競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0060】
(他の実施形態)
上記の実施の形態では、無線タグ50側で非検出期間と検出期間との時間比率に基づいて、適切な競技タイムを特定する場合について説明したが、処理装置40側で、時間比率に基づいて適切な競技タイムを特定するようにしてもよい。
例えば、無線タグ50は、求めた競技タイム及び時間比率の組を全て、受信機30に向けて送信するようにし、処理装置40は、時間比率が2/13以下のものを判別し、適切な競技タイムを特定する。
この結果、背丈が大きく異なる競技者が混在する場合でも、各競技者のタイムを適切に計時することができる。
【0061】
上記の実施の形態では、図5(a),(c)に示すような前提から、基準となる時間比率を2/13としたが、ループアンテナ20の幅等が異なると、基準となる時間比率も変化することになる。
そこでまず、図5(a)を一般形に直すと、図8(a)のように表される。つまり、ループコイル20の幅がWcmであり、競技者Raの胸の高さ程度(矢印Ba)における非検出幅NwがScmと調整されている。そのため、電磁場20bの検出幅Kwは、W−(S/2)×2=W−Scmとなっている。
そして、図5(c)に対応して、大柄な競技者Raの場合は、図8(b)のように表される。つまり、矢印Bcにおける非検出幅Nwは、Scmの2倍まで広がり、2×Scmとなり、同時に、電磁場20bの検出幅Kwは、W−(2×S/2)×2=W−2×Scmとなっている。
すなわち、メインローブ間における非検出幅Nwと、電磁場20bの検出幅Kwとの比率が最大で「2×S:W−2×S」、換言すれば「2×S/(W−2×S)」となる。そして、この比率がそのまま、非検出期間と検出期間との時間比率となり、この「2×S:W−2×S」以下の時間比率となる非検出期間がメインローブ間における非検出期間と判別することができる。
【0062】
上記の実施の形態では、図2(a),(c)の形状のループアンテナ20上に生成される図2(b)に示すような2つのメインローブを含む電磁場を一例として説明したが、ループアンテナ20の形状は、よりシンプルな1つの略矩形状であっても適宜適用可能である。
例えば、図9(a)に示すような略矩形状のループアンテナ20上に、図9(b)に示すような1つのメインローブ(電磁場20b)を含む電磁場の場合では、子供の競技者Rbが走行すると、図9(c)に示すような信号が検出回路53から制御部54に供給されることになる。
この場合では、検出期間に対する非検出期間の時間比率が最も小さいものが、メインローブの検出期間を示していることになる。すなわち、時間比率である非検出期間L2:検出期間H2(非検出期間L2/検出期間H2)が最も小さいため、検出期間H2がメインローブとなる電磁場20bの検出期間を示している。なお、非検出期間L1:検出期間H2(非検出期間L1/検出期間H2)により、検出期間に対する非検出期間の時間比率を求めてもよい。
そして、この場合の計時ポイントは、メインローブの検出期間H2の中間(H2/2)である。
【0063】
上記の実施の形態では、マラソン競技を一例として説明したが、計時対象の競技は、これに限られず任意である。
例えば、駅伝、競歩、身障者車椅子ロードレース、自転車ロードレース、トライアスロン、及び、ランニングやオリエンテーション等の山岳競技等にも適宜適用可能である。
【0064】
以上説明したように、本発明によれば、背丈が大きく異なる競技者が混在する場合でも、各競技者のタイムを適切に計時することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態に係る競技用計時システムの構成の一例を示す模式図である。
【図2】(a)が走路上に配置されたループアンテナの一例を示す模式図であり、(b)が生成される電磁場の一例を示す模式図であり、(c)がループアンテナの他の例を示す模式図である。
【図3】(a)〜(d)共に、生成される電磁場と検出される電磁界強度とを説明するための模式図である。
【図4】(a)〜(f)共に、生成される電磁場と検出回路により生成される信号波形とを説明するための模式図である。
【図5】(a)〜(d)共に、ループコイルや電磁場等の具体的な大きさを説明するための模式図である。
【図6】(a)〜(d)共に、検出期間及び非検出期間等を求める様子を説明するための模式図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るタイム計時処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】(a),(b)共に、ループコイルや電磁場等の大きさの一般形を説明するための模式図である。
【図9】(a)〜(c)共に、他の形状のループアンテナについて説明するための模式図である。
【図10】(a)がループアンテナの一例を示す模式図であり、(b)が生成される電磁場を示す模式図である。
【図11】(a),(b)が、競技者に合わせた電磁場の調整を説明するための模式図であり、(c),(d)が、不都合の発生を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0066】
10 磁場発生装置
20 ループアンテナ
30 受信機
40 処理装置
50 無線タグ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
競技者に保持される計時機器であって、
競技における基準時刻を計時する計時手段と、
走路上に配置された所定形状のアンテナにより生成される少なくとも2つのメインローブを含む電磁場を検出する電磁場検出手段と、
前記電磁場検出手段の検出結果に基づいて、前記電磁場の検出期間に対する非検出期間の時間比率を算定する時間比率算定手段と、
前記時間比率算定手段が算定した前記時間比率に基づいて、前記メインローブ間における前記非検出期間を判別する判別手段と、
前記判別手段が判別した前記非検出期間中に、前記計時手段により計時された時刻を競技タイムとして特定するタイム特定手段と、
を備えることを特徴とする計時機器。
【請求項2】
前記時間比率算定手段は、前記電磁場検出手段が前記各メインローブに加えて、少なくとも1つのサイドローブを含む電磁場を検出した際に、前記時間比率を複数算定し、
前記判別手段は、算定された前記各時間比率のうち、規定される比率以下となる時間比率の非検出期間を、前記メインローブ間における前記非検出期間と判別する、
ことを特徴とする請求項1に記載の計時機器。
【請求項3】
前記タイム特定手段は、前記判別手段が判別した前記非検出期間の中間にて、前記計時手段により計時された時刻を競技タイムとして特定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の計時機器。
【請求項4】
前記タイム特定手段が特定した前記競技タイム及び対応する前記時間比率を含む情報を、所定の処理装置に向けて送信する情報送信手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の計時機器。
【請求項5】
競技者に保持される計時機器におけるタイム特定方法であって、
競技における基準時刻を計時する計時ステップと、
走路上に配置された所定形状のアンテナにより生成される少なくとも2つのメインローブを含む電磁場を検出する電磁場検出ステップと、
前記電磁場検出ステップの検出結果に基づいて、前記電磁場の検出期間に対する非検出期間の時間比率を算定する時間比率算定ステップと、
前記時間比率算定ステップにて算定された前記時間比率に基づいて、前記メインローブ間における前記非検出期間を判別する判別ステップと、
前記判別ステップにて判別された前記非検出期間中に、前記計時ステップにて計時された時刻を競技タイムとして特定するタイム特定ステップと、
を備えることを特徴とするタイム特定方法。
【請求項1】
競技者に保持される計時機器であって、
競技における基準時刻を計時する計時手段と、
走路上に配置された所定形状のアンテナにより生成される少なくとも2つのメインローブを含む電磁場を検出する電磁場検出手段と、
前記電磁場検出手段の検出結果に基づいて、前記電磁場の検出期間に対する非検出期間の時間比率を算定する時間比率算定手段と、
前記時間比率算定手段が算定した前記時間比率に基づいて、前記メインローブ間における前記非検出期間を判別する判別手段と、
前記判別手段が判別した前記非検出期間中に、前記計時手段により計時された時刻を競技タイムとして特定するタイム特定手段と、
を備えることを特徴とする計時機器。
【請求項2】
前記時間比率算定手段は、前記電磁場検出手段が前記各メインローブに加えて、少なくとも1つのサイドローブを含む電磁場を検出した際に、前記時間比率を複数算定し、
前記判別手段は、算定された前記各時間比率のうち、規定される比率以下となる時間比率の非検出期間を、前記メインローブ間における前記非検出期間と判別する、
ことを特徴とする請求項1に記載の計時機器。
【請求項3】
前記タイム特定手段は、前記判別手段が判別した前記非検出期間の中間にて、前記計時手段により計時された時刻を競技タイムとして特定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の計時機器。
【請求項4】
前記タイム特定手段が特定した前記競技タイム及び対応する前記時間比率を含む情報を、所定の処理装置に向けて送信する情報送信手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の計時機器。
【請求項5】
競技者に保持される計時機器におけるタイム特定方法であって、
競技における基準時刻を計時する計時ステップと、
走路上に配置された所定形状のアンテナにより生成される少なくとも2つのメインローブを含む電磁場を検出する電磁場検出ステップと、
前記電磁場検出ステップの検出結果に基づいて、前記電磁場の検出期間に対する非検出期間の時間比率を算定する時間比率算定ステップと、
前記時間比率算定ステップにて算定された前記時間比率に基づいて、前記メインローブ間における前記非検出期間を判別する判別ステップと、
前記判別ステップにて判別された前記非検出期間中に、前記計時ステップにて計時された時刻を競技タイムとして特定するタイム特定ステップと、
を備えることを特徴とするタイム特定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−315900(P2007−315900A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−145437(P2006−145437)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(396004981)セイコープレシジョン株式会社 (481)
【出願人】(500198210)セイコータイムシステム株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(396004981)セイコープレシジョン株式会社 (481)
【出願人】(500198210)セイコータイムシステム株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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