説明

計重装置を備えた運搬車両の安全装置

【課題】
ロードセルユニットの何らかの不具合により、一対のシャシーに対して荷台が前後、左右及び上下に大きくずれたり、最悪の場合には荷台が落下するのを防止して安全を計ることである。
【解決手段】
縦方向の型材21又は横方向の型材22、及び一対のシャシーCの一方には、水平方向に突出した安全ロッドRを備えた安全ロッド部材Aが一体に取付けられていると共に、その他方には、当該安全ロッドRが全周に亘って隙間46が形成された状態で挿通されるロッド孔Hを備えたロッド孔部材Eが一体に取付けられて、前記安全ロッド部材Aとロッド孔部材Eとを組み合せた外れ止め装置Jを複数箇所に設けることにより、前記ロードセルユニットUと前記型材21,22との連結が解除された場合において、一対のシャシーCに対して荷台51が前後方向、幅方向及び高さ方向の三方向に対して設定量を超えてスライドしない構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷台に積載された被積載物の重量をそのままで計重できる計重装置を備えた運搬車両の安全装置に関するものであり、更に詳しくは、複数対のロードセルユニットの荷重支持部で荷台を支持できなくなった場合でも、当該荷台が運搬車両の前後方向又は幅方向に大きくスライドしたり、シャシーから荷台が落下するという最悪の事態を防止する安全装置に関するものである。
【0002】
本明細書において、「シャシー(chassis)」とは、荷台を備えた運搬車両において、車輪を除いて最も低い部分に、当該運搬車両のほぼ全長に亘って連続して左右一対配置されていて、運転席フレーム、荷台等を支持する梁状の部材を指す。なお、「シャシー」は、「車体」或いは「車台」と和訳されることが多い。また、本明細書において、「計重」とは、物体の重量を測定することをいう。
【背景技術】
【0003】
上記構成の計重装置を備えた運搬車両としては、特許文献1,2に開示の装置が知られているが、特許文献1,2に共通の構成として、運搬車両の最も下方の部分において前後方向に配置される左右一対のシャシーの上面に計4個のロードセルユニットが固定配置されて、各ロードセルユニットの自由端部の荷重支持部で荷台、及び当該荷台に積載された被積載物を支持することにより、当該被積載物の重量を積載したままで計重している。
【0004】
このように特許文献1,2に開示の計重装置は、いずれもロードセルユニットが運搬車両のシャシーの上面に配置されているために、荷台の高さは、当該ロードセルユニットを使用しない場合に比較して、当該ロードセルユニットの高さ分だけ不可避的に高くなる。この結果、荷台に積載された被積載物の重心位置は、ロードセルユニットの高さ分だけ高くなり、その分だけ、走行中における安定性が低下する問題があった。
【0005】
そこで、本願の発明者は、左右一対のシャシーの上面ではなくて、当該シャシーの外側面に取付台を介してロードセルユニットを取付けることにより、荷台に積載された被積載物の重心が高くなるのを防止する着想を得た。この着想の下では、車体メーカー側から、シャシーには他の物体を溶接により固定することを禁じられているために、シャシーの外側面に取付台を固定するには、複数本のボルトによらざるを得ない。シャシーに対して取付台を複数のボルトで固定すると、当該ボルトには、剪断力を主体にした応力が繰り返して作用する結果、ボルトの破断の危険があり、当該ボルトの破断により、複数対のロードセルユニットの各荷重支持部による荷台の支持が偏ったり、或いは特定のロードセルユニットの荷重支持部による支持が不能となったりすることがある。また、ロードセルユニットの荷重支持部には軸受が内装されていて、当該軸受を介して被積載物の荷重を支持する構造になっており、経年使用により、前記軸受が損傷又は破損されて、荷台の前後方向又は幅方向のスライドを許容させてしまう事態も発生する恐れがある。このような事態の発生により、シャシーに対して荷台が前後・左右にスライドして、当該シャシーに対して荷台が前後・左右に大きくずれたり、最悪の場合には、シャシーから荷台が落下してしまう危険がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−74540号公報
【特許文献2】特開2004−069323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、左右一対のシャシーの外側面にロードセルユニットを取付けているボルト、或いはロードセルユニットの内装された軸受の破損・損壊が発生しても、一対のシャシーに対して荷台が前後・左右に大きくずれたり、最悪の場合には荷台が落下するのを防止する安全装置の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、運搬車両の左右一対のシャシーに、左右一対で一組となって前後方向に所定間隔をおいて取付けられた複数組のロードセルユニットと、複数本の補強用縦材又は横材により底板部が補強された荷台とを備え、前記左右一対のシャシーの上面と前記補強用縦材又は横材との間に必要隙間が形成されるようにして、前記複数対のロードセルユニットの自由端部の各荷重支持部に前記補強用縦材又は横材が連結された構成の計重装置を備えた運搬車両において、前記補強用縦材又は横材、及び前記一対のシャシーの一方には、水平方向に突出した安全ロッドを備えた安全ロッド部材が一体に取付けられていると共に、その他方には、当該安全ロッドが全周に亘って隙間が形成された状態で挿通されるロッド孔を備えたロッド孔部材が一体に取付けられて、前記安全ロッド部材とロッド孔部材とを組み合わせた外れ止め装置を複数箇所に設けることにより、前記ロードセルユニットと前記補強用縦材又は横材との連結が解除された場合において、一対のシャシーに対して荷台が前後方向、幅方向及び高さ方向の三方向に対して設定量を超えてスライドしない構成にしたことを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明によれば、前後方向に所定間隔をおいて配置された一対一組となった複数組のロードセルユニットの自由端部の各荷重支持部に補強用縦材又は横材を介して荷台が一体に連結された状態で、複数の外れ止め装置によって、一対のシャシーに対して荷台が前後方向、幅方向及び高さ方向の三方向に対して設定量を超えてスライドしない構成となっているので、何らかの原因によって、ロードセルユニットの荷重支持部と、荷台の底板部の裏面側に設けられた補強用縦材又は横材との連結が解除されても、複数の外れ止め装置によって、前記三方向の設定量を超えたスライドが防止されると共に、一対のシャシーから荷台が落下するという最悪の事態を防止できる。
【0010】
一方、複数対のロードセルユニットの各荷重支持部により補強用縦材又は横材を介して荷台が正常に支持されている状態では、ロッド孔部材のロッド孔に挿通されている安全ロッドは、当該ロッド孔に対して全周に亘って所定の隙間が形成されていて、非接触を保持しているので、複数対のロードセルユニットにより、荷台の被積載物の正常な重量が計重される。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、一対のシャシーの外側面にロードセルユニット取付台を介して複数組のロードセルユニットが取付けられて、左右一対のロードセルユニット取付台を前記一対のシャシーに固定する各固定板部は、当該一対のシャシーの上面に幅方向に配置されるシャシー連結板で連結され、前記安全ロッド部材、及びロッド孔部材の一方は、前記シャシー連結板に取付けられることを特徴としている。
【0012】
請求項2の発明によれば、一対のシャシーを幅方向に沿って連結するシャシー連結板の幅方向に沿った任意の位置に安全ロッド部材、及びロッド孔部材の一方を取付けることができるので、外れ止め装置の配置設計が容易になる。また、一対のシャシーがシャシー連結板により連結されるために、当該一対のシャシーの捩れ剛性を含めた連結剛性が高められて、ロードセルユニットの耐久性が高められる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、前後方向に所定間隔をおいて配置された一対一組となった複数組のロードセルユニットの自由端部の各荷重支持部に補強用縦材又は横材を介して荷台が一体に連結された状態で、複数の外れ止め装置によって、一対のシャシーに対して荷台が前後方向、幅方向及び高さ方向の三方向に対して設定量を超えてスライドしない構成となっているので、何らかの原因によって、ロードセルユニットの荷重支持部と、荷台の底板部の裏面側に設けられた補強用縦材又は横材との連結が解除されても、複数の外れ止め装置によって、前記三方向の設定量を超えたスライドが防止されると共に、一対のシャシーから荷台が落下するという最悪の事態を防止できる。また、前後方向に配置された複数対のロードセルユニットの各荷重支持部に補強用縦材又は横材を介して荷台が正常に支持されている状態では、ロッド孔部材のロッド孔に挿通されている安全ロッドは、当該ロッド孔に対して全周に亘って所定の隙間が形成されて非接触を保持することにより、複数組のロードセルユニットにより、荷台の被積載物の正常な重量が計重される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】左右一対のシャシーCの外側面に取付けた前後二対のロードセルユニットUに荷台フレームFを介して荷台51が固定された運搬車両Tの側面図である。
【図2】同じく背面図である。
【図3】(a),(b)は、それぞれロードセルユニットUの部分背面図、及び右側面図である。
【図4】左右一対のシャシーCの外側面に、前後二対のロードセルユニットUが取付けられた状態の斜視図である。
【図5】左右一対のロードセルユニットUと荷台フレームFとを分離させた状態を斜め下方から見た斜視図である。
【図6】シャシー連結板17に固定されたロッド孔部材Eのロッド孔Hに対する荷台フレームFの安全ロッドRの挿通関係を主体に示す部分斜視図である。
【図7】一対のシャシーCに対して荷台フレームFが前後方向X及び幅方向Yの双方に対して設定量を超えてスライドしないように固定された状態の全体斜視図である。
【図8】同じく平面図である。
【図9】ロッド孔Hに対する安全ロッドRの挿通状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1ないし図8を参照して、本発明の実施例について更に詳細に説明する。図1は、左右一対のシャシーCの外側面に取付けた前後二対のロードセルユニットUに荷台フレームFを介して荷台51が固定された運搬車両Tの側面図であり、図2は、同じく背面図であり、図3(a),(b)は、それぞれロードセルユニットUの部分背面図、及び右側面図であり、図4は、左右一対のシャシーCの外側面に、前後二対のロードセルユニットUが取付けられた状態の斜視図であり、図5は、左右一対のロードセルユニットUと荷台フレームFとを分離させた状態を斜め下方から見た斜視図であり、図6は、シャシー連結板17に固定されたロッド孔部材Eのロッド孔Hに対する荷台フレームFの安全ロッドRの挿通関係を主体に示す部分斜視図であり、図7は、一対のシャシーCに対して荷台フレームFが前後方向X及び幅方向Yの双方に対して設定量を超えてスライドしないように固定された状態の全体斜視図であり、図8は、同じく平面図である。
【0016】
図1ないし図3に示されるように、荷台51に被積載物Lを積載して運搬する運搬車両Tの基本構造は、左右一対のシャシーCが当該運搬車両Tのほぼ全長に亘って配置されて、当該一対のシャシーCの外側面に前後二対のロードセルユニットUが取付けられ、荷台フレームFは、計4個のロードセルユニットUを介して左右一対のシャシーCに連結され、当該荷台フレームFの上面に荷台51が固定され、更に前記左右一対のシャシーCにおける運転席に達している部分に、運転席フレーム52が取付けられる。前後二対のロードセルユニットUは、左右一対のシャシーの外側面における荷台51の後端部と、前端部よりも僅かに後方に対応する各部分にロードセルユニット取付台Sを介してそれぞれ取付けられている。なお、図1及び図2において、W1 ,W2 は、それぞれ運搬車両Tの前輪、及び後輪を示す。
【0017】
また、シャシーCの幅方向の上下端部は、いずれも内側に折り曲げられて、曲げ剛性が高められている。当該シャシーCの外側面に固定されるロードセルユニット取付台Sは、当該シャシーCの外側面に複数本のボルトB1 を介して直接に固定される固定板部1と、当該固定板部1の外側面における高さ方向の中央部に、左右一対の支持板部2により下方から支持された状態で一体に取付けられた取付板部3とから成る。ロードセルユニットUは、前記ロードセルユニット取付台Sに固定される基端の固定部11と、ロードセルが内蔵された中間のロードセル部12と、内装された軸受(図示せず)を介して荷台フレームFを支持することにより、荷台51の被積載物Lの荷重を分配支持する荷重支持部13との3つの部分から成る。図3及び図5に示されるように、ロードセルユニット取付台Sの取付板部3の上面には、運搬車両Tの前後方向Xに沿って所定間隔をおいて一対のユニット固定板4が複数本のボルトB2 を介して垂直に固定され、当該一対のユニット固定板4によりロードセルユニットUの固定部11を片持ち状に固定している。荷台フレームFを連結するためのロードセル側連結板14の裏面には、運搬車両Tの幅方向Yに沿って所定間隔をおいた一対の支持板部15が固定されており、当該一対の支持板部15の間に、ロードセルユニットUの荷重支持部13が挿入されて、当該一対の支持板部15と荷重支持部13とは、連結ピン16を介して連結されている。
【0018】
また、図2、図4及び図6に示されているように、前後二対のロードセルユニット取付台Sは、いずれもシャシー連結板17で互いに連結されている。即ち、左右一対のロードセルユニット取付台Sを構成する各固定板部1の上端部は、運搬車両Tの前後方向Xに沿って所定間隔をおいた2本のシャシー連結板17により互いに連結されている。各固定板部1とシャシー連結板17の端部との連結は、溶接による。この結果、左右一対のシャシーCは、前後二対のロードセルユニットUが配置される部分において、ロードセルユニット取付台Sの固定板部1及びシャシー連結板17を介して互いに連結されて、捩れ剛性を主体とする連結剛性が高められている。なお、シャシーCに対してロードセルユニットUが高さ方向Zに微動するのを防止すべく、ロードセルユニット取付台Sの固定板部1の裏面におけるシャシーCの下折曲げ部C2 の下方には、微動規制部材18が固定されている。この結果、前後二対のロードセルユニットUの配置部分においては、左右一対のシャシーCの上下の各折曲げ部C1 ,C2 は、それぞれシャシー連結板17及び微動規制部材18により挟まれて、当該シャシーCに対してロードセルユニット取付台Sが高さ方向Zに微動しないようにしてある。
【0019】
また、荷台フレームFは、荷台51の底板部53の裏面に一体に取付けられて、当該底板部53を含めて荷台51の全体を補強する部材であって、図5ないし図8に示されるように、断面縦長方形状の型材21,22を縦横に組んで形成された部材であって、幅方向Yの両端部の2本の縦方向の型材21の間であって、しかも前後方向Xの両端部の計4箇所には、フレーム側連結板23が一体に設けられている。当該フレーム側連結板23は、荷台フレームFの下面と一致するように配置され、曲げ強度を高めるために、フレーム側連結板23の前後方向Xの中央部には、補強板24が幅方向Yに沿って起立して一体に設けられている。
【0020】
そして、図5に示されるように、各ロードセルユニットUの荷重支持部13に取付けられた計4個のロードセル側連結板14の上面に荷台フレームFを載せて、ロードセルユニットUに取付けられたロードセル側連結板14と、荷台フレームFに取付けられたフレーム側連結板23とを複数本のボルトB3 〔図3(b)参照〕で連結すると、計4個のロードセルユニットUの荷重支持部13に荷台フレームFが一体に連結される。これにより、荷台フレームFの下面と、シャシーCの上折曲げ部C1 との間には、被積載物Lの運搬中において、当該荷台フレームFの高さ方向Zの変形によって、当該荷台フレームFがシャシーCの上折曲げ部C1 に接触しない必要隙間31(図1〜図3参照)が形成される。また、一対のシャシーCにロードセルユニット取付台Sを介して前後二対のロードセルユニットUが取付けられた状態において、全てのロードセルユニットUは、荷重支持部13が車両の前方を向いて配置されている。
【0021】
また、図2ないし図8に詳細に示されているように、荷台フレームFを構成する計5本の縦方向の型材21のうち両側から起算して2番目の2本の型材21の内側面であって、しかも左右一対のシャシーCに対する前後一対のシャシー連結板17の取付位置に対応する部分である計4箇所には、安全ロッド部材Aが溶接により固定されている。即ち、安全ロッド部材Aは、方形状の固定板部41の長手方向の中央部であって、配置状態で高さ方向の中央部よりも僅かに下方の部分に安全ロッドRが水平となって溶接により固定されている。なお、固定板部41における安全ロッドRの両側には、一対の溶接部確保孔42が形成され、当該各溶接部確保孔42の内周面を利用して、当該固定板部41は、荷台フレームFの縦方向の型材21に溶接により固定される。
【0022】
また、図2ないし図8に詳細に示されているように、一対のシャシーCにおける荷台フレームFに取付けられた計4個の安全ロッド部材Aに対応する部分である前後一対のシャシー連結板17における運搬車両Tの幅方向Yの両端部には、前記安全ロッド部材Aに対応するロッド孔部材Eが複数本のボルトB4 により固定されている。即ち、ロッド孔部材Eは、シャシー連結板17の幅方向に沿って固定される固定板部43と、当該シャシー連結板17の幅方向に沿って垂直に配置されて、前記固定板部43の幅方向の外側の端部に、背面側を一対の支持板部44で支持されて固定されるロッド孔形成板部45とから成る。ロッド孔形成板部45には、前記安全ロッドRが挿通されるロッド孔Hが形成されている。安全ロッド部材Aとロッド孔部材Eとが組み合わされて、一対のシャシーCに対して荷台51が外れるのを防止する外れ止め装置Jを構成している。
【0023】
安全ロッド部材Aの安全ロッドRと、当該安全ロッドRが挿通されるロッド孔部材Eのロッド孔Hとの関係は、上記したようにして、前後二対の計4個のロードセルユニットUの荷重支持部13のロードセル側連結板14と、荷台フレームFに設けられた各フレーム側連結板23とを複数本のボルトB3 で連結した状態において、図9に示されるように、ロッド孔Hと、当該ロッド孔Hに挿通された安全ロッドRの各中心が一致する関係になっている。この結果、ロッド孔Hに挿通された安全ロッドRの全周には、同一間隔の隙間46が全周に亘って形成されて、ロッド孔Hの内周面に対して安全ロッドRが非接触となって、荷台51の被積載物Lの重量を計重可能な状態になっている。また、図3(a)に示されるように、後述のようにして、計4つのロードセルユニットUの荷重支持部13に対して荷台フレームFを連結して取付けた状態において、安全ロッド部材Aの固定板部41と、ロッド孔部材Eのロッド孔形成板部45との間には、所定の組付隙間Dが形成されていると共に、安全ロッドRは、ロッド孔形成板部45から長さKだけ突出していて、突出長Kは、組付隙間Dよりも大きい。なお、図9においては、溶接部確保孔42は、図示されていない。
【0024】
なお、シャシー連結板17に対するロッド孔部材Eの取付け(固定)に際しては、図4及び図6に示されるように、計4個のロッド孔部材Eを左右に二分した場合において、一方側の2個のロッド孔部材Eは、組み付けの関係からして後付けで行う。また、荷台フレームFに載せられた荷台51は、当該荷台フレームFの縦横の各型材21,22に対して多数本のボルト類(図示せず)を介して固定される。
【0025】
このため、荷台51に積載された被積載物Lの重量は、計4個の各ロードセルユニットUの荷重支持部13に分配して作用し、計4個の各ロードセルユニットUで計重された各重量の加算により、前記被積載物Lの重量が計重される。被積載物Lの計重の際には、図9に示されるように、ロッド孔部材Eのロッド孔Hに挿通された安全ロッド部材Aの安全ロッドRは、その全周に亘って隙間46が形成されていて、安全ロッドRは、ロッド孔Hに対して非接触となっているので、前記被積載物Lの正確な重量が計重される。なお、ロードセルユニットUの荷重計測原理は、ロードセル部に内装されたロードセルの機械的歪を出力電圧に変換して計測するものであって、産業界において多用されて、広く知られている。
【0026】
そして、運搬車両Tの使用中において、一対のシャシーCの外側面にロードセルユニットUを取付けているボルトB1 、或いはロードセルユニットUの内装された軸受等の破損・損壊が発生しても、左右一対のシャシーCの側に固定して取付けられたロッド孔部材Eのロッド孔H内に、荷台フレームFの側に一体に取付けられた安全ロッドRが運搬車両Tの幅方向Yに沿って挿通されているために、前記ロッド孔Hの内周面に安全ロッドRが当接することにより、一対のシャシーCに対して荷台フレームF、即ち、荷台51が前後方向Xに大きくスライドされるのを防止できる。また、シャシー連結板17に左右一対のロッド孔部材Eが取付けられていて、当該ロッド孔部材Eのロッド孔形成板部45と、荷台フレームFの側に固定された安全ロッド部材Aの固定板部41との間には、僅少の組付隙間Dが形成されているのみであるので、当該一対のロッド孔部材Eが、一対のシャシーCに対して荷台フレームFが幅方向Yにスライドするのを規制する幅方向規制部材として機能して、当該荷台フレームFが幅方向Yのスライドも併せて防止される。更に、一対のシャシーCに対して荷台51が大きく上方に弾むこと(Z方向へのスライド)も防止される。
【0027】
なお、上記実施例では、全てのロードセルユニットUの荷重支持部13は、運搬車両Tの前方を向いて配置されているが、後方に向いて配置することも可能である。また、上記実施例では、前後二対のロードセルユニットUが設けられているが、荷台51が長い場合には、三対又はこれを超える対のロードセルユニットUが設けられることもある。
【0028】
また、上記した実施例は、本発明の単なる一例であって、本発明の課題の達成のためには、以下に示されるような種々の改変が可能である。上記実施例では、左右一対で一組となって、幅方向規制部材を兼用した一対のロッド孔部材Eを前後の各シャシー連結板17に取付けることにより、計4個のロッド孔部材Eを使用しているが、上記実施例に対して逆配置して、当該ロッド孔部材Eを荷台フレームFの縦方向の型材21に取付けて、安全ロッド部材Aをシャシー連結板17に設けることも可能であり、更に、対角線方向に沿って配置される2個のロッド孔部材Eのみの使用によっても、本発明の課題を達成できる。また、左右一対のシャシーCの一方の側のみに、ロッド孔部材Eを相前後させて取付けて、他方の側には、荷台フレームFが幅方向Yにスライドするのを防止する幅方向規制部材を設けることにより、一対のシャシーCに対する荷台フレームFの前後方向X及び幅方向Yの双方のスライドを防止できる。
【0029】
また、上記実施例では、安全ロッドが運搬車両の幅方向を向いていて、安全ロッド部材のロッド孔部材との組み合わせに係る外れ止め装置によって、一対のシャシーに対する荷台の前後方向のスライドを防止し、荷台の幅方向のスライド防止は、左右に配置された一対の外れ止め装置と補強用縦材との配置により行っているが、これとは逆に、運搬車両の前後方向に安全ロッドを配置して、外れ止め装置によって、一対のシャシーに対する荷台の幅方向のスライドを防止するように構成することも可能である。
【0030】
更に、上記実施例は、一対のシャシーCの外側方に複数対のロードセルユニットUを取付けた例であって、これにより、荷台51に積載された被積載物Lの重心位置が低くなって、運搬時における車両の走行が安定すると共に、人手により被積載物Lを積み降ろしする際の負荷が軽減される利点がある。しかし、本発明は、一対のシャシーの上面に複数対のロードセルユニットが取付けられた構成の運搬車両に対しても実施可能である。この場合には、一対のシャシーの側に設けられる安全ロッド部材又はロッド孔部材は、荷台の底板部の裏面に設けられた補強用縦材又は横材の部分まで延設されたブラケット状の取付部材を介して取付けられる。
【符号の説明】
【0031】
A:安全ロッド部材
C:シャシー
D:組付隙間
E:ロッド孔部材
F:荷台フレーム
H:ロッド孔
J:外れ止め装置
L:被積載物
R:安全ロッド
S:ロードセルユニット取付台
T:運搬車両
U:ロードセルユニット
X:運搬車両の前後方向
Y:運搬車両の幅方向
Z:高さ方向
1:ロードセルユニット取付台の固定板部
13:ロードセルユニットの荷重支持部
17:シャシー連結板
21:縦方向の型材(補強用縦材)
22:横方向の型材(補強用横材)
31:一対のシャシーと荷台フレームの間の必要隙間
51:荷台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬車両の左右一対のシャシーに、左右一対で一組となって前後方向に所定間隔をおいて取付けられた複数組のロードセルユニットと、複数本の補強用縦材又は横材により底板部が補強された荷台とを備え、前記左右一対のシャシーの上面と前記補強用縦材又は横材との間に必要隙間が形成されるようにして、前記複数対のロードセルユニットの自由端部の各荷重支持部に前記補強用縦材又は横材が連結された構成の計重装置を備えた運搬車両において、
前記補強用縦材又は横材、及び前記一対のシャシーの一方には、水平方向に突出した安全ロッドを備えた安全ロッド部材が一体に取付けられていると共に、その他方には、当該安全ロッドが全周に亘って隙間が形成された状態で挿通されるロッド孔を備えたロッド孔部材が一体に取付けられて、
前記安全ロッド部材とロッド孔部材とを組み合わせた外れ止め装置を複数箇所に設けることにより、前記ロードセルユニットと前記補強用縦材又は横材との連結が解除された場合において、一対のシャシーに対して荷台が前後方向、幅方向及び高さ方向の三方向に対して設定量を超えてスライドしない構成にしたことを特徴とする計重装置を備えた運搬車両の安全装置。
【請求項2】
一対のシャシーの外側面にロードセルユニット取付台を介して複数組のロードセルユニットが取付けられて、左右一対のロードセルユニット取付台を前記一対のシャシーに固定する各固定板部は、当該一対のシャシーの上面に幅方向に配置されるシャシー連結板で連結され、前記安全ロッド部材、及びロッド孔部材の一方は、前記シャシー連結板に取付けられることを特徴とする請求項1に記載の計重装置を備えた運搬車両の安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−56339(P2012−56339A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198603(P2010−198603)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(591138108)株式会社守隨本店 (4)
【Fターム(参考)】