説明

計量容器

【課題】計量室内に注出孔と連続する注出管を組み込み、容器体の圧搾により計量室内の液体を、注出管を介して注出可能とした計量容器を提供する。
【解決手段】弾性圧搾可能な胴部4から口頸部6を起立した容器体2と、上記口頸部6に取り付けられ、上記容器体2と連通する連通孔16を開口した底部14を有し、この底部から起立する筒部18,34の上端を頂部32で閉塞し、かつ口頸部6上方の筒部分又は頂部32に注出孔38を開口してなる計量室10と、上記注出孔38を閉塞するキャップ50とを具備し、上記連通孔16から計量用筒26を起立した計量容器であって、上記注出孔38から計量用筒26の上端部より下方へ注出管44を垂下させ、計量後に上記胴部4を圧搾することで容器体2及び計量室10の内部を高圧化させ、計量室10内の液体を、注出管44を介して注出孔38から注出できるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量容器に関する。
【背景技術】
【0002】
弾性圧搾可能な胴部から口頸部を起立した容器体と、口頸部に取り付けられ、容器体内と連通する連通孔を底部に、注出口を頂部にそれぞれ開口した計量室と、上記注出孔を閉塞する外キャップとを備え、上記連通孔から下方へ延びる吸上げ管と連通孔から起立する一定高さの計量用筒とを設け、計量用筒の上端部にこの上端部との間に空隙に存して有頂筒形の内キャップを被せ、胴部を圧搾することで容器体内の液体を計量室内に圧入し、計量用筒の高さに応じた液体量を計量するように構成したものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−2252
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、計量室内に計量した液体を注出するために容器を傾ける必要があるが、計量室の内面に付着した液体を残らず注出するには時間がかかる。特に液体の粘性が高いとその傾向が強い。このため利用者は全ての液体が注出されるまで待ちきれずに注出作業を打ち切ってしまうおそれがあった。
【0005】
本発明の目的は、計量室内に注出孔と連続する注出管を組み込み、容器体の圧搾により注出管を介して計量室内の液体を注出可能とした計量容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、
弾性圧搾可能な胴部4から口頸部6を起立した容器体2と、
上記口頸部6に取り付けられ、上記容器体2と連通する連通孔16を開口した底部14を有し、この底部から起立する筒部18,34の上端を頂部32で閉塞し、かつ口頸部6上方の筒部分又は頂部32に注出孔38を開口してなる計量室10と、
上記注出孔38を閉塞するキャップ50とを具備し、上記連通孔16から計量用筒26を起立した計量容器であって、
上記注出孔38から計量用筒26の上端部より下方へ注出管44を垂下させ、計量後に上記胴部4を圧搾することで容器体2及び計量室10の内部を高圧化させ、計量室10内の液体を、注出管44を介して注出孔38から注出できるように構成した。
【0007】
本手段は、図1に示すように計量室10内に、注出孔38から垂下する注出管44を設けることを提案している。これにより容器体2の胴部4を圧搾することで、注出管44の下端より上方にある液体を強制的に注出できる。この注出管44は少なくとも計量用筒26の上端より下方へ、好ましくは計量室10の底部14近くへ垂下する。図示例では、上記筒部を第1筒部18と第2筒部34とで形成しているが、この構成は適宜変更できる。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ
上記計量室10は、上記底部14の外周部から第1筒部18を起立した下半部材12と、注出孔38付きの頂部32の外周部から垂下した第2筒部34を上記第1筒部18内に液密に嵌合させた上半部材30とからなり、かつ注出管44の下端を計量室10の底部14近くに位置させた。
【0009】
本手段は、図2に示すように計量室10を下半部材12と上半部材30とで形成し、上半部材30に注出管嵌合用筒40を形成することを提案している。これにより上半部材30に下半部材12を合体させることで計量室10を容易に組み立てることができる。また図1に示す例では、上記頂部32のうち注出孔38の孔縁から注出管嵌合用筒40を垂下させ、この注出管嵌合用筒40に注出管44の上端部を嵌合させている。
【0010】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ上記注出孔38は上記計量室10の筒部又は頂部32に一体に連続させている。
【0011】
本手段では、図5に示すように計量室10の筒部又は頂部32と一体に形成した注出管44を提案している。これにより部品数が少なくなり、かつ注出管44を嵌合する手間も省ける。
【0012】
第4の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれかを有し、かつ
上記キャップ50の外面から、倒立状態で容器体2を支える脚部60を上方突出した。
【0013】
本手段では図6の如くキャップ50に倒立時用の脚部60を設けることを提案している。倒立状態で計量容器を保管し、この計量容器を把持する際に正立状態に戻すことで計量作業が完了するから、容器を逆さまにする動作を省くことができ、使い勝手がよい。
【発明の効果】
【0014】
第1の手段に係る発明によれば、計量室10の注出孔38から注出管44を垂下したから、容器体2の胴部4を圧搾することで、液体の粘性如何によらず、一定量の液体を確実にかつ迅速に取り出すことができる。
第2の手段に係る発明によれば、計量室10を下半部材12及び上半部材30で形成したから、組立作業が容易であり、また注出管44の下端を底部14近くに位置させたから、計量室10内の液体ほぼ全部を注出できる。
第3の手段に係る発明によれば、注出管44を計量室10の筒部又は頂部32と一体として形成したから、部品数を少なくすることができる。
第4の手段に係る発明によれば、倒立状態で容器体を支える脚部60を上方突出したから、保管時に倒立状態とすることで使い勝手がよい容器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る計量容器の縦断面図である。
【図2】図1の容器の要部拡大図である。
【図3】図1の容器の使用の第1段階を示す図である。
【図4】図1の容器の使用の第2段階を示す図である。
【図5】図1の容器の変形例を示す縦断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る計量容器の縦断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1から図5は、本発明の第1の実施形態に係る計量容器を示している。この計量容器は、容器体2と、計量室10と、注出管44と、キャップ50とで構成されている。これら各部材は特に断らない限り合成樹脂で形成することができる。
【0017】
容器体2は、弾性圧搾可能な胴部4から肩部を介して口頸部6を起立している。図示例では、口頸部6の上端部を小外径部6aに形成しており、この小外径部6aの下半部は上半部に比べてさらに小外径にしている。これについては後述する。
【0018】
計量室10は、下半部材12と上半部材30とで形成されている。
【0019】
上記下半部材12は、連通孔16付きの底部14の外周から第1筒部18を起立しており、この第1筒部18を上記口頸部6の内面に嵌合させている。好適な図示例では、この第1筒部18の上端から外方へ突出した鍔部20を、上記口頸部6の上に載置している。
【0020】
図示例では、底部14の前部を低面部14aとし、残りの底部分を上後方への傾斜面部14bとしている。なお、本実施形態では、後述の注出孔を開口する方向(図1の右側)を“前方”と定義しており、底部14の注出孔側の部分が底部14の前部、底部14のうち注出孔と反対側の部分が底部14の後部である。そしてこの傾斜面部14bに大径の連通孔16を開口し、この連通孔16の孔縁から高さ一定の計量用筒26を起立している。もっともこれら連通孔16及び計量用筒26の配置は適宜変更することができる。
【0021】
この計量用筒26は下端開放であり、連通孔16を介して容器体2の上半部内に連通している。特許文献1のように連通孔から下端に吸上げ管を垂下させた構造とすると、胴部4を圧搾させて計量室内の液体を外部に注出させる行程において、容器体2内の液体が計量室10へ入ってしまうおそれがあるからである。
【0022】
図示例では、上記計量用筒26は、上端小径のテーパ形であり、かつ計量室10の上半部内まで起立し、先端を開放している。
【0023】
上記上半部材30は、頂部32の外周部から第2筒部34を垂下し、この第2筒部34の上下方向中間部から外向きフランジ36を介して係合筒37を垂下している。そして外向きフランジ36下方の第2筒部34部分を上記第1筒部18の上部内に嵌合させ、かつ上記係合筒37を口頸部6の小外径部6aに嵌着させている。これにより、上記胴部4を圧搾させたときに計量室10が口頸部6から飛び出すことを防止している。
【0024】
上記頂部32の前部には、前方へ開口する注出孔38を形成しており、この注出孔38の孔縁から垂直下方へ注出管嵌合用筒40を垂下している。図示例では注出管嵌合用筒40の前壁が第2筒部34前部と連続している。
【0025】
注出管44は、上記注出管嵌合用筒40から底部14の低面部14a近くまで垂下している。
【0026】
キャップ50は、上記口頸部6の外面に螺合させた装着筒52の外面から内向きフランジ54を介して有頂筒形のカバー筒部56を上方突出している。上記内向きフランジ54は、口頸部6の上端面との間に下半部材12の鍔部20及び上半部材30の外向きフランジ36を挟持している。上記カバー筒部56の一部(図示例では前壁上部)は、上記注出孔38を液密に閉塞する閉塞部58としている。
【0027】
上記構成によれば、上記キャップ50を装着したままで計量容器を上下反転させ、容器体2内の液体を計量室10内に流入させ、次に計量容器を正立状態に戻すと、計量用筒26の高さを超える液体は容器体2内へ戻るので、一定量の液体が計量される。
【0028】
次にキャップ50を外し(図3参照)、容器体2を正立状態でまたは前方へ傾けて胴部4を圧搾すると(図4参照)、容器体2内及び計量室10内の空気が高圧化され、計量室10内の液体が注出管44を介して注出孔38から外部へ注出される。
【0029】
図5は本実施形態の変形例を示している。同図に示すように、注出管44は計量室10の上半部材30と一体に設けてもよく、注出孔38に連通する位置に形成すればよい。
【0030】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る計量容器である。本実施形態では、容器の倒立状態を支える脚部60を上記キャップ50の上面から突出している。この脚部60は、計量室10の上面の高さ以上に起立し、かつ脚部60の上端面を水平な接地面62としている。
【0031】
図示例では、上記脚部60を装着筒52の上端から上方へ突出している。しかしながら、その突出箇所は装着筒52の上端以外の場所でもよく、またその形状は筒状でなくても構わない。
【符号の説明】
【0032】
2…容器体 4…胴部 6…口頸部 6a…小外径部
10…計量室 12…下半部材 14…底部 14a…低面部 14b…傾斜面部
16…連通孔 18…第1筒部 20…鍔部 26…計量用筒
30…上半部材 32…頂部 34…第2筒部 36…外向きフランジ
37…係合筒 38…注出孔 40…注出管嵌合用筒 44…注出管
50…キャップ 52…装着筒 54…内向きフランジ 56…カバー筒部 58…閉塞部
60…脚部 62…接地面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性圧搾可能な胴部(4)から口頸部(6)を起立した容器体(2)と、
上記口頸部(6)に取り付けられ、上記容器体(2)と連通する連通孔(16)を開口した底部(14)を有し、この底部から起立する筒部(18,34)の上端を頂部(32)で閉塞し、かつ口頸部(6)上方の筒部分又は頂部(32)に注出孔(38)を開口してなる計量室(10)と、
上記注出孔(38)を閉塞するキャップ(50)とを具備し、上記連通孔(16)から計量用筒(26)を起立した計量容器であって、
上記注出孔(38)から計量用筒(26)の上端部より下方へ注出管(44)を垂下させ、計量後に上記胴部(4)を圧搾することで容器体(2)及び計量室(10)の内部を高圧化させ、計量室(10)内の液体を、注出管(44)を介して注出孔(38)から注出できるように構成したことを特徴とする、計量容器。
【請求項2】
上記計量室(10)は、上記底部(14)の外周部から第1筒部(18)を起立した下半部材(12)と、注出孔(38)付きの頂部(32)の外周部から垂下した第2筒部(34)を上記第1筒部(18)内に液密に嵌合させた上半部材(30)とからなり、かつ注出管(44)の下端を計量室(10)の底部(14)近くに位置させたことを特徴とする、請求項1に記載の計量容器。
【請求項3】
上記注出孔(38)は上記計量室(10)の筒部又は頂部(32)に一体に連続させたことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の計量容器。
【請求項4】
上記キャップ(50)の外面から、倒立状態で容器体(2)を支える脚部(60)を上方突出したことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の計量容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−232777(P2012−232777A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102293(P2011−102293)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】