説明

計量装置

【課題】 計量位置に搬送されてきた被計量物の揺れを直ちに止めることで高精度計量が可能となるとともに高速搬送が可能となり、包装機の処理能力を向上させる。
【解決手段】 袋5内に内容物が充填された被計量物Wを吊り下げ状態で間欠的に搬送する搬送経路のいずれかの位置に設けられ、被計量物Wの重量を計量する計量装置10において、被計量物Wに向けて移動可能に設けられ、駆動手段25,28からの駆動力を受けて移動部材21,27を上下方向及び又は横方向に移動させて被計量物Wに接触する揺れ防止手段20を具備し、計量時における被計量物Wの揺れを止める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋内に内容物が充填された被計量物を吊り下げ状態で搬送する搬送経路に設けられ、被計量物の重量などの物理量を計量する計量装置に係り、計量位置に搬送されてきた被計量物の揺れを直ちに止める計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
袋内に小麦粉などの内容物を充填するには、袋を吊り下げた状態で間欠的に搬送しながら搬送経路の所定位置で内容物を充填する包装機が用いられる。そして、搬送経路における前記充填位置より後位のいずれかの位置に設けられた計量装置にて(袋内に内容物が充填された)被計量物の重量などを計量する。
【0003】
このような包装機には、例えば、下記特許文献1に開示される計量袋詰め包装装置がある。この包装装置は、ロータ周縁の2個を1組とする多数組みのクランプでそれぞれ両端縁を挟持した包装用の各袋をロータの回転により円軌道に沿って間欠移動させ、その途中の1つの停止位置で袋内に被包装物を充填したあと、後位の停止位置で同袋を一時可動顎に持ち替えるとともに、この可動顎と連結する計量機構で同袋内の被包装物の重量を計量する。計量機構では、ロードセルから送られる被包装物の計量値と、予め設定された目標値との不足誤差を制御器で算出し、この算出値を計量補充機構に送信し、袋が更に後位の停止位置に到達したとき、計量補充機構により同袋内に被包装物を補充して不足誤差を補う。
【特許文献1】特開平7−40940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来の包装機では、被計量物の重量を計量するとき、搬送されてきた被計量物を計量部に受け渡した際、この被計量物が揺れていることから高精度での計量ができなかった。特に、上記特許文献1に開示される包装装置などは、ロータの回転による円軌道に沿って袋が移動するロータリ式であるため、各袋は遠心力によってロータの回転方向と略直交する方向に大きく揺れることとなる。
【0005】
そこで、計量部(計量機構)では、計量位置に配置された被計量物をバキュームなどで吸着して揺れを止めていたが、内容物が充填された被計量物の吸着面の形状が安定していないため上手く吸着せず、直ちに揺れを止めることができなかった。また、袋が薄い場合など、袋に吸着しても内容物が揺動し、結果的に被計量物の揺れを直ちに止めるには到らなかった。そのため、従来は、高精度計量を行うために揺れが止まるまでの時間を確保しなければならず、したがって、被計量物を高速搬送することができなかった。
【0006】
さらに、包装機で高速搬送を行うためには、搬送中、被計量物が揺れないための搬送ガイドレールを設ける必要があった。このガイドレールは、搬送経路に沿って略円環状に設けられ、搬送中の被計量物が遠心力によって搬送方向(ロータの回転方向)と直交する方向に拡がることを防止するものである。ところが、計量部では、被計量物が計量中に搬送ガイドレールに接触していることで計量誤差が生じ、高精度計量の妨げとなる。つまり、従来技術では、包装機(特に計量部)に高速搬送を行うために必要な搬送ガイドレールを設けることができなかった。
【0007】
そこで本発明は、上記状況に鑑みてなされたもので、計量位置に搬送されてきた被計量物の揺れを直ちに止めることで高精度計量が可能となるとともに、被計量物の高速搬送が可能となり、この結果、包装機の処理能力を向上させる計量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の計量装置10は、袋5内に内容物が充填された被計量物Wを吊り下げ状態で間欠的に搬送する搬送経路のいずれかの位置に設けられ、前記被計量物Wの物理量を計量する計量装置10において、
前記被計量物Wに向けて移動可能に設けられ、該被計量物Wに接触して計量時の揺れを止める揺れ防止手段20を具備することを特徴とする。
なお、この場合の移動には、剛体の位置の変化だけでなく、弾性体などの変形による部分的な移動も含む。
【0009】
このような構成によれば、計量位置において、被計量物Wの揺れを止めて静止状態でその重量などの物理量を計量することが可能となる。これにより、被計量物Wの高精度計量が可能となる。それに加えて、1つ1つの被計量物Wの計量時間が短縮されて高速搬送が可能となる。
【0010】
請求項2記載の計量装置10は、前記被計量物Wの重量を計量し、支持部材11に支持されることで該支持部材11に荷重負荷されている計量部13を備え、
前記揺れ防止手段20は、前記計量部13の荷重負荷側に設けられ該計量部13と荷重的に統合されていることを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、被計量物Wの重量を計量する場合、被計量物Wと接触する揺れ防止手段20が計量部13と荷重的に統合されていることにより、揺れ防止手段20を被計量物Wに接触させたまま重量を計量することができるようになる。このとき、揺れ防止手段20と被計量物Wの荷重は計量部13以外には負荷されない。これにより、例えば、揺れ防止手段20の重量を予め計量部13に記憶させておき、計量値から揺れ防止手段20の重量分を減算するなどの処理を行うことで正確な計量が可能となる。
【0012】
請求項3記載の計量装置10は、前記揺れ防止手段20は、前記被計量物Wが計量位置に搬送されると移動して該被計量物Wに接触する移動部材21,27と、前記移動部材21,27を駆動する駆動手段25,28とを具備することを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、計量位置に搬送されてきた被計量物Wに駆動手段25,28からの駆動力を受けて移動する移動部材21,27が接触することにより被計量物Wの揺れを直ちに止めることが可能となる。
【0014】
請求項4記載の計量装置10は、前記移動部材21は、上下方向に移動し、前記被計量物Wに対して下方から接触することを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の計量装置10は、前記移動部材27,27は、横方向に移動し、前記被計量物Wに対して側方から接触することを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の計量装置10は、前記揺れ防止手段20は複数の前記移動部材21,27を備え、
1つの移動部材21が、上下方向に移動し、前記被計量物Wに対して下方から接触し、更に1つの移動部材27,27が、横方向に移動し、前記被計量物Wに対して側方から接触することを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、計量位置に搬送されてきた被計量物Wに対して移動部材21,27が下方又は側方から接触することにより、例えば、ロータ2の回転による円軌道に沿って被計量物Wを搬送するロータリ式包装機1の計量位置において、被計量物Wに生じる搬送方向(ロータの回転方向)と直交する方向への揺れを効果的に止めることが可能となる。
【0018】
また、被計量物Wに下方から接触することにより、被計量物Wに生じる各方向への揺れを止めることが可能となるとともに、被計量物Wを計量部13の鉛直下方に安定して静止させるため計量精度が向上する。
【0019】
さらに、被計量物Wに側方から接触することにより、被計量物Wは計量部13の鉛直方向における中央に静止させることが可能となり、これにより、上記同様に計量精度が向上する。
【0020】
そして、揺れ防止手段20が、上下方向及び横方向に移動する各移動部材21,27を具備する構成であれば、被計量物Wの揺れを更に効果的に止めることが可能となる。
【0021】
請求項7記載の計量装置10は、前記揺れ防止手段20は、前記被計量物Wが計量位置に搬送されると弾性変形して該被計量物Wに接触する弾性部材30を具備することを特徴とする。
【0022】
このような構成によれば、計量位置に搬送されてきた被計量物Wに弾性部材30が外力を受けて弾性変形した部分が接触することにより被計量物Wの揺れを直ちに止めることが可能となる。このとき、例えば、計量位置に搬送されてきた被計量物Wが接触して弾性部材30を弾性変形させる構成とすることで、この弾性部材30を変形させるための駆動源が不要となり装置の簡素化が可能となる。
【0023】
請求項8記載の計量装置10は、前記被計量物Wの重量を計量し、支持部材11に支持されることで該支持部材11に荷重負荷されている計量部13を備え、
前記揺れ防止手段20は、前記計量部13と荷重的に切り離されて設けられ、前記被計量物Wに接触後該被計量物Wから離間することを特徴とする。
【0024】
このような構成によれば、被計量物Wの重量を計量する場合、計量部13と荷重的に切り離された揺れ防止手段20が、計量位置に搬送されてきた被計量物Wに接触し、この被計量物Wの揺れを止めてから離間することで、計量部13には被計量物Wの荷重のみが負荷されることとなる。
【発明の効果】
【0025】
本発明による計量装置によれば、計量位置に搬送されてきた被計量物の揺れを直ちに止めて静止状態でその物理量を計量することができ、被計量物の高精度計量が可能となる。加えて、1つ1つの被計量物の計量時間が短縮されて高速搬送が可能となる。この結果、包装機の処理能力を向上させることができる。
【0026】
また、被計量物の重量を計量する場合、被計量物と接触する揺れ防止手段が計量部と荷重的に統合されていることにより、揺れ防止手段を被計量物と接触させたまま重量を計量することができるようになる。このとき、揺れ防止手段と被計量物の荷重は計量部以外に負荷されないため、例えば、揺れ防止手段の重量を予め計量部に記憶させておき、計量値から揺れ防止手段の重量分を減算するなどの処理を行うことで正確な計量が可能となる。この結果、揺れ防止手段を被計量物と接触させたまま計量することで揺れによる計量誤差を軽減できるとともに、揺れ防止手段を被計量物に接触させていることによる計量誤差を無くすことができる。
【0027】
さらに、計量位置に配置される被計量物に対して移動部材が下方及び又は側方から接触することにより、例えば、ロータの回転による円軌道に沿って被計量物を搬送するロータリ式包装機の計量位置において、被計量物に生じる搬送方向(ロータの回転方向)と直交する方向への揺れを効果的に止めることができる。
【0028】
また、計量位置に搬送されてきた被計量物に弾性部材が外力を受けて弾性変形した部分が接触することにより被計量物の揺れを直ちに止めることができる。さらに、このとき、計量位置に搬送されてきた被計量物が接触して弾性部材を弾性変形させる構成とすることで、弾性部材を変形させるための駆動源が不要となり装置の簡素化が可能となる。
【0029】
また、被計量物の重量を計量する場合、被計量物と接触する揺れ防止手段が計量部と荷重的に切り離され、揺れ防止手段が被計量物に接触し、この被計量物の揺れを止めてから離間することで、計量部には被計量物の荷重のみが負荷される。この結果、被計量物の揺れによる計量誤差を軽減できるとともに、揺れ防止手段を被計量物に接触させたことによる計量誤差を無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1は本発明による計量装置を備えた包装機を示す概略的な平面図である。
【0031】
まず最初に、本発明による計量装置が設けられる包装機について説明する。
この包装機は、搬送経路上に充填装置と、計量装置と、補正充填装置とを備え、搬送される袋内に、例えば小麦粉などの内容物を充填し、充填位置より後位で(内容物が充填された)被計量物の重量を計量し、更に、計量位置より後位で計量時の不足相当分の内容物を補正充填して被計量物を後段の搬送装置などへと搬送するものである。
【0032】
図1に示すように、このロータリ式包装機1は、間欠的に回転する円形ロータ2の周縁に2本を1組とするアーム状の包装機側保持部3,3が複数設けられ、これら包装機側保持部3,3の先端部には、包装用の袋5を挟持するためのクリップ部4が設けられている。なお、クリップ部4は前記袋5の袋口両端縁を挟持している。
【0033】
ロータ2の外周には、径の異なる2つの略円環部材からなる搬送ガイドレール6が設けられている。この搬送ガイドレール6は、内側ガイドレール7と、外側ガイドレール8とが同心円状に水平配置され、これら内外側ガイドレール7,8の間に、被計量物W又は内容物が充填される前の袋5が搬送される。また、内外側ガイドレール7,8には、それぞれ後述する計量装置10の位置に相当する部分に切欠きを有し、切欠き部分にそれぞれ可動ガイド7a,8aが設けられている。各可動ガイド7a,8aは、図示しない駆動部からの駆動力を受けてそれぞれロータ2の直径方向に相対的に接離するように水平移動する。
【0034】
そして、搬送ガイドレール6の内外側ガイドレール7,8の間でクリップ部4に挟持された袋5は、ロータ2の間欠回転による円軌道に沿って搬送され、搬送経路における所定位置(充填位置)に設けられた図示しない充填装置によって内容物が充填される。次いで、被計量物W(袋5内に内容物が充填されたもの)は、前記充填装置より後位のいずれかの位置に設けられた計量装置10に搬送されて重量が計量される。さらに、被計量物Wは前記計量装置10より後位の所定位置(補正充填位置)に設けられた図示しない補正充填装置に搬送され、計量装置10から送られる計量値と図示しない記憶装置に予め記憶された設定値とを比較して算出される計量誤差による不足相当分の内容物が補正充填される。
【0035】
以下、本発明の計量装置を各実施の形態毎に図面を参照して具体的に説明する。
【0036】
ここで、図2は本発明の計量装置を構成する揺れ防止手段が設けられる位置を示す概略図である。揺れ防止手段20は、計量部13の荷重負荷側に設けられ、この計量部13と荷重的に統合されている。この場合、計量部13には被計量物Wの荷重に加えて揺れ防止手段20の荷重が負荷される。
【0037】
まず、第1の実施の形態について説明する。
図3は本発明による計量装置の第1の実施の形態を示す側面図である。
【0038】
図1に示すように、前述した計量装置10は、前記ロータリ式包装機1の搬送経路のいずれかの位置に設けられる。ただし、本実施の形態では、計量装置10は、前記充填装置より後位であり、且つ前記補正充填装置より前位に設けられる。図3に示すように、この計量装置10は、計量部13と、計量部側保持部14と、揺れ防止手段20とで略構成され、支柱部材11から直交方向に延出している腕部12に支持されている。
【0039】
図3に示すように、計量部13は、計量装置10に搬送されてきた被計量物Wの重量を計量する図示しない秤量手段を有し、支柱部材11から延びる腕部12の先端側に載設されている。なお、計量部13の荷重は腕部12を介して支柱部材11に支持されている。
【0040】
計量部側保持部14は、計量部13の下方に垂下するように設けられ、下部に被計量物Wを挟持する開閉可能なチャック部15を有している。チャック部15は、先端側の開閉口16が下方を向き、基端側がエアシリンダなどの駆動部17とギア18,18を介して連結され、エアシリンダ17の駆動によりギア18,18が連動回転して開閉口16が開閉動作する。この計量部側保持部14では、上述したように、包装機側保持部3のクリップ部4が袋5の袋口両端縁を挟持して搬送されてきた被計量物Wを、チャック部15の開閉口16が袋5の上縁を挟持して受け取り、計量位置に吊り下げ状態で保持する。
【0041】
揺れ防止手段20は、移動部材21と、駆動手段25とで略構成されている。なお、これら移動部材21及び駆動手段25は、上述したように、前記計量部13の荷重負荷側に設けられ、計量部13と荷重的に統合されている。
移動部材としての底上げ機構部21は、上部に平坦面を有する接触部22が、略Z字状のクランク軸23の一端部と回動可能に連結されている。また、このクランク軸23は、他端部が後述する駆動手段25と、中間部が側面部材24とそれぞれ回動可能に連結されている。
【0042】
前述した駆動手段としてのエアシリンダ25は、ピストンロッド26が下向きになるように縦型配置され、側面部材24にボルトなどで固定されている。さらに、ピストンロッド26の先端部は、前記クランク軸23の他端部と回動可能に連結され、このピストンロッド26の上下動によりクランク軸23を介して前記接触部22が上下に移動し、下方から被計量物Wの底部に接触する。
【0043】
次に、この第1の実施の形態の計量装置10に被計量物Wが搬送されてきたときの各部の動作について説明する。
まず、袋5内に内容物が充填された被計量物Wが包装機側保持部3のクリップ部4に袋5の袋口両端部を挟持されて計量位置に搬送されてくる。
【0044】
次いで、計量部側保持部14のチャック部15が開閉口16で袋5の上縁を挟持し、それと同時か又は少し遅れて包装機側保持部3のクリップ部4が袋5を開放する。これで、被計量物Wの計量部側保持部14への受け渡しが完了する。
【0045】
次いで、計量部側保持部14に吊り下げ状態で保持されている被計量物Wに向けて揺れ防止手段20の移動部材21が移動して接触する。具体的には、図3に示すように、移動部材である底上げ機構部21の接触部22が上昇して被計量物Wの底部に接触するとともに、それまで被計量物Wの搬送をガイドしていた内外側ガイドレール7,8の各可動ガイド7a,8aが互いに離間するように水平移動する。これにより、搬送されてきた被計量物Wの揺れが止まる。
【0046】
次いで、計量部13の秤量手段によって、静止状態にある被計量物Wの重量を計量する。なお、底上げ機構部21は、図2に示すように、計量部13の荷重負荷側に設けられ、この計量部13と荷重的に統合されている。そして、予め計量部13に記憶された底上げ機構部21の重量を計量値から減算する処理が行われるため、計量時に被計量物Wと接触していても計量値に影響が出ることはない。
【0047】
計量部13による計量が終わると、被計量物Wに接触している底上げ機構部21の接触部22は被計量物Wから直ちに離間する。
【0048】
そして、包装機側保持部3のクリップ部4が袋5の袋口両端縁を挟持し、それと同時か又は少し遅れて計量器側保持部14のチャック部15が袋5の上縁を開放する。これで、再び包装機側保持部3への被計量物Wの受け渡しが完了する。計量装置10による重量の計量を終えた被計量物Wは、後位の装置(補正充填装置など)へと搬送される。
【0049】
この第1の実施の形態によれば、計量位置において、被計量物Wの揺れを直ちに止めて静止状態でその重量を計量することが可能となる。これにより、被計量物Wの高精度計量が可能となる。それに加えて、1つ1つの被計量物Wの計量時間が短縮されて高速搬送が可能となる。この結果、包装機の処理能力を向上させることができる。
【0050】
また、底上げ機構部21が計量部13と荷重的に統合されていることにより、底上げ機構部21を被計量物Wに接触させたまま重量を計量することができるようになる。これにより、計量時に被計量物Wが揺れず正確な計量が可能となる。
【0051】
さらに、計量位置に搬送されてきた被計量物Wに対して底上げ機構部21が下方から接触することにより、ロータリ式包装機1の計量位置において被計量物Wに生じる搬送方向(ロータの回転方向)と直交する方向への揺れを効果的に止めることが可能となる。特に、被計量物Wを計量部13の鉛直下方に安定して静止させるため計量精度が向上する。
【0052】
また、底上げ機構部21を駆動するエアシリンダ25を、ピストンロッド26が上下動するように縦型配置したことで駆動時の振動を抑えることが可能となり、被計量物Wの高精度計量を妨げることなく駆動できる。
【0053】
次に、第2の実施の形態について説明する。
図4は本発明による計量装置の第2の実施の形態を示す側面図である。
なお、以下で説明する第2の実施の形態において、上述した第1の実施の形態と同等あるいは同一箇所には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0054】
図4に示すように、揺れ防止手段20は、移動部材27と、駆動手段28とで略構成されている。
移動部材としての挟込みガイド27,27は、上述した搬送ガイドレール6を構成する内外側ガイドレール7,8の切欠き部分に設けられた可動ガイド7a,8aの下方に設けられている。挟込みガイド27,27は、被計量物Wが計量位置に配置されると、駆動手段としてのエアシリンダ28から駆動力を受けて、ロータ2の直径方向に相対的に接離するように水平移動し、近接状態では被計量物Wの側面に接触する。
【0055】
次に、この第2の実施の形態の計量装置10に被計量物Wが搬送されてきたときの各部の動作について説明する。
まず、袋5内に内容物が充填された被計量物Wが包装機側保持部3のクリップ部4に袋5の袋口両端部を挟持されて計量位置に搬送されてくる。
【0056】
次いで、計量部側保持部14のチャック部15が開閉口16で袋5の上縁を挟持し、それと同時か又は少し遅れて包装機側保持部3のクリップ部4が袋5を開放する。これで、被計量物Wの計量部側保持部14への受け渡しが完了する。
【0057】
次いで、計量部側保持部14に吊り下げ状態で保持されている被計量物Wに向けて揺れ防止手段20の移動部材27が移動して接触する。具体的には、図4に示すように、移動部材である挟込みガイド27,27が互いに近接するように水平移動して被計量物Wの側面に接触するとともに、それまで被計量物Wの搬送をガイドしていた内外側ガイドレール7,8の各可動ガイド7a,8aが互いに離間するように水平移動する。これにより、搬送されてきた被計量物Wの揺れが止まる。
【0058】
次いで、計量部13の秤量手段によって、静止状態にある被計量物Wの重量を計量する。なお、挟込みガイド27,27は、計量部13の荷重負荷側に設けられ、この計量部13と荷重的に統合されている。そして、予め計量部13に記憶された挟込みガイド27,27の重量を計量値から減算する処理が行われるため、計量時に被計量物Wと接触していても計量値に影響が出ることはない。
【0059】
計量部13による計量が終わると、被計量物Wに接触している挟込みガイド27,27は被計量物Wから直ちに離間する。
【0060】
そして、包装機側保持部3のクリップ部4が袋5の袋口両端縁を挟持し、それと同時か又は少し遅れて計量器側保持部14のチャック部15が袋5の上縁を開放する。これで、再び包装機側保持部3への被計量物Wの受け渡しが完了する。計量装置10による重量の計量を終えた被計量物Wは、後位の装置(補正充填装置など)へと搬送される。
【0061】
この第2の実施の形態によれば、上記した第1の実施の形態と同様の効果に加え、計量位置に搬送されてきた被計量物Wに対して挟込みガイド27,27が側方から接触することにより、ロータリ式包装機1の計量位置において被計量物Wに生じる各方向への揺れを止めることが可能となる。特に、被計量物Wを計量部13の鉛直方向における中央に静止させることが可能となり、これにより、上記同様に計量精度が向上する。
【0062】
次に、第3の実施の形態について説明する。
図5は本発明による計量装置の第3の実施の形態を示す側面図である。
なお、以下で説明する第3の実施の形態において、上述した第1及び第2の実施の形態と同等あるいは同一箇所には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0063】
図5に示すように、揺れ防止手段20は、複数の移動部材21,27と、各移動部材を駆動する駆動手段25,28とで略構成されている。
【0064】
移動部材は、底上げ機構部21と、挟込みガイド27,27とで略構成されている。
【0065】
次に、この第3の実施の形態の計量装置10に被計量物Wが搬送されてきたときの各部の動作について説明する。
まず、袋5内に内容物が充填された被計量物Wが包装機側保持部3のクリップ部4に袋5の袋口両端部を挟持されて計量位置に搬送されてくる。
【0066】
次いで、計量部側保持部14のチャック部15が開閉口16で袋5の上縁を挟持し、それと同時か又は少し遅れて包装機側保持部3のクリップ部4が袋5を開放する。これで、被計量物Wの計量部側保持部14への受け渡しが完了する。
【0067】
次いで、計量部側保持部14に吊り下げ状態で保持されている被計量物Wに向けて揺れ防止手段20の移動部材21,27が移動して接触する。具体的には、移動部材のうち、底上げ機構部21の接触部22が上昇して被計量物Wの底部に接触する。また、同時に、挟込みガイド27,27が互いに近接するように水平移動して被計量物Wの側面に接触するとともに、それまで被計量物Wの搬送をガイドしていた内外側ガイドレール7,8の各可動ガイド7a,8aが互いに離間するように水平移動する。これにより、搬送されてきた被計量物Wの揺れが止まる。
【0068】
次いで、計量部13の秤量手段によって、静止状態にある被計量物Wの重量を計量する。なお、底上げ機構部21及び挟込みガイド27,27は、共に計量部13の荷重負荷側に設けられ、それぞれ計量部13と荷重的に統合されている。そして、予め計量部13に記憶された底上げ機構部21及び挟込みガイド27,27の重量を計量値から減算する処理が行われるため、計量時に被計量物Wと接触していても計量値に影響が出ることはない。
【0069】
計量部13による計量が終わると、被計量物Wに接触している底上げ機構部21の接触部22及び挟込みガイド27,27は被計量物Wから直ちに離間する。
【0070】
そして、包装機側保持部3のクリップ部4が袋5の袋口両端縁を挟持し、それと同時か又は少し遅れて計量器側保持部14のチャック部15が袋5の上縁を開放する。これで、再び包装機側保持部3への被計量物Wの受け渡しが完了する。計量装置10による重量の計量を終えた被計量物Wは、後位の装置(補正充填装置など)へと搬送される。
【0071】
この第3の実施の形態によれば、上記した第1及び第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。さらに、それに加えて、底上げ機構部21及び挟込みガイド27,27が下方及び側方から接触することにより、計量位置における被計量物Wの揺れを更に効果的に止めることが可能となる。
【0072】
なお、上述した第1〜3の各実施の形態によれば、図2に示すように、揺れ防止手段20は計量部13の荷重負荷側に設けられ、計量部13と荷重的に統合されていたが、図6に示すように、揺れ防止手段20が計量部13と荷重的に切り離された位置(図6では支持部材11)に設けられてもよい。このとき、揺れ防止手段20は、搬送されてきた被計量物Wに接触した後、この被計量物Wから離間する。つまり、被計量物Wに接触して揺れを止めてから離間することとなる。これにより、計量時、計量部13には被計量物Wの荷重のみが負荷されるため、被計量物Wに揺れ防止手段20を接触させたことによる計量誤差を無くすことができるという上記同様の効果が得られる。
【0073】
また、上述した第2及び第3の実施の形態では、揺れ防止手段20の移動部材としての挟込みガイド27,27は剛体で形成され、エアシリンダ28からの駆動力により位置を変化させて被計量物Wに接触させる構成としたが、図7に示すように、計量位置において、例えば、板バネやスポンジなどの弾性部材30,30を内外側ガイドレール7,8から連続するようにそれぞれ配置し、且つ弾性部材30,30間の間隔を被計量物Wの幅より僅かに狭くした構成としてもよい。このとき、図7(a)に示すように、計量位置に搬送されてきた被計量物Wが、(b)に示すように、弾性部材30,30間に配置されることによって、被計量物Wと接触した状態で弾性部材30,30が互いに外向きに拡がるように弾性変形する。これにより、上記第2及び第3の実施の形態と同様の効果に加え、この弾性部材30,30を変形させるための駆動源が不要となり装置10の簡素化が可能となる。さらに、弾性部材30,30が搬送ガイドレール6(内外側ガイドレール7,8)の役割も果たすこととなり、したがって、計量位置における可動ガイド7a,8a(図1参照)が不要となり装置10を構成する部品点数を減らすことができ、更に簡素に構成できるようになる。
【0074】
また、駆動手段からの駆動力を受けて弾性部材を弾性変形させ、その変形部分が被計量物Wに接触する構成としてもよい。つまり、被計量物Wが計量位置に配置されると駆動手段が駆動し、弾性部材を弾性変形させて被計量物Wに接触させる。これにより、上記第1及び第3の実施の形態と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明による計量装置を備えた包装機を示す概略的な平面図である。
【図2】同計量装置を構成する揺れ防止手段が設けられる位置を例示する概略的な側面図である。
【図3】同計量装置の第1の実施の形態を示す側面図である。
【図4】同計量装置の第2の実施の形態を示す側面図である。
【図5】同計量装置の第3の実施の形態を示す側面図である。
【図6】同計量装置を構成する揺れ防止手段が設けられる位置を例示する概略的な側面図である。
【図7】(a)同計量装置の第2及び第3の実施の形態における挟込みガイドの変形例の動作を示す概略的な平面図である。 (b)同計量装置の第2及び第3の実施の形態における挟込みガイドの変形例の動作を示す概略的な平面図である。
【符号の説明】
【0076】
5…袋
10…計量装置
11…支柱部材
13…計量部
20…揺れ防止手段
21…移動部材としての底上げ機構部
25,28…駆動手段としてのエアシリンダ
27…移動部材としての挟込みガイド
30…弾性部材
W…被計量物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋(5)内に内容物が充填された被計量物(W)を吊り下げ状態で間欠的に搬送する搬送経路のいずれかの位置に設けられ、前記被計量物の物理量を計量する計量装置(10)において、
前記被計量物に向けて移動可能に設けられ、該被計量物に接触して計量時の揺れを止める揺れ防止手段(20)を具備することを特徴とする計量装置。
【請求項2】
前記被計量物(W)の重量を計量し、支持部材(11)に支持されることで該支持部材に荷重負荷されている計量部(13)を備え、
前記揺れ防止手段(20)は、前記計量部の荷重負荷側に設けられ該計量部と荷重的に統合されていることを特徴とする請求項1記載の計量装置。
【請求項3】
前記揺れ防止手段(20)は、前記被計量物(W)が計量位置に搬送されると移動して該被計量物に接触する移動部材(21,27)と、前記移動部材を駆動する駆動手段(25,28)とを具備することを特徴とする請求項2記載の計量装置。
【請求項4】
前記移動部材(21)は、上下方向に移動し、前記被計量物(W)に対して下方から接触することを特徴とする請求項3記載の計量装置。
【請求項5】
前記移動部材(27)は、横方向に移動し、前記被計量物(W)に対して側方から接触することを特徴とする請求項3記載の計量装置。
【請求項6】
前記揺れ防止手段(20)は複数の前記移動部材を備え、
1つの移動部材(21)が、上下方向に移動し、前記被計量物(W)に対して下方から接触し、更に1つの移動部材(27)が、横方向に移動し、前記被計量物に対して側方から接触することを特徴とする請求項3記載の計量装置。
【請求項7】
前記揺れ防止手段(20)は、前記被計量物(W)が計量位置に搬送されると弾性変形して該被計量物に接触する弾性部材(30)を具備することを特徴とする請求項2記載の計量装置。
【請求項8】
前記被計量物(W)の重量を計量し、支持部材(11)に支持されることで該支持部材に荷重負荷されている計量部(13)を備え、
前記揺れ防止手段(20)は、前記計量部と荷重的に切り離されて設けられ、前記被計量物に接触後該被計量物から離間することを特徴とする請求項1記載の計量装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−57264(P2007−57264A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−240119(P2005−240119)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】