説明

計量装置

【課題】被計量物を整列した状態のまま供給部に貯留することが目的とされる。
【解決手段】計量装置1は、計量ホッパ2と、供給部3とを備える。計量ホッパ2は、棒状の被計量物の重量を計測する。供給部3は、自身に投入された被計量物の貯留が可能で、貯留した被計量物を計量ホッパ2へと供給する。そして供給部3は、自身への被計量物の投入時において、貯留空間3aの拡縮が可能である。具体的には、供給部3は、部材31と、可動部34とを有する。部材31には、上から被計量物が投入される投入口31aと、下へと被計量物を排出する排出口31bとが設けられている。可動部34は、供給部3に貯留される被計量物の長手方向、及び上下方向90のいずれにも交差する方向93,94に沿って、部材31内を移動することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は計量装置に関し、特に被計量物の整列に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スパゲッティなどの棒状の被計量物を所定の量だけ量り取る装置として、計量装置が用いられている。かかる計量装置は、被計量物の重量を測定する計量ホッパと、計量ホッパへと被計量物を供給する供給部とを備えている。
【0003】
供給部は、被計量物の貯留が可能で、計量ホッパへと被計量物を供給する前に、予め被計量物を貯留する。そして、供給部は、貯留した被計量物だけを計量ホッパに供給する。これにより、計量ホッパに供給する被計量物の量が、過剰になることを防止している。かかる技術は、例えば下掲の特許文献1に開示されている。
【0004】
その他、本発明に関連する技術が特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開平9−72775号公報
【特許文献2】特公昭53−43421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし従来の技術では、投入前の整列した棒状の被計量物であっても、供給部への投入によって被計量物の整列は乱れていた。被計量物の整列が乱れると、供給部を被計量物で満たしても、貯留された被計量物の量が所定量に至らないという問題が生じる。これは、供給部に貯留した被計量物の密度が低くなるからである。
【0006】
被計量物が貯留する空間を広くしておくことで、貯留した被計量物の密度が低くても、所定量の被計量物を供給部に貯留することができる。しかし、供給部が大型化するので、あまり望ましくない。
【0007】
また、被計量物の整列が乱れて、被計量物同士が交差すると、その上に積み重なった被計量物の重みで被計量物が折れるおそれがある。
【0008】
本発明は上述した事情に鑑みて成されたものであり、被計量物を整列した状態のまま供給部に貯留することが目的とされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明にかかる計量装置は、計量ホッパと、供給部とを備える。計量ホッパは、棒状の被計量物の重量を計測する。供給部は、自身に投入された被計量物の貯留が可能で、貯留した被計量物を計量ホッパへと供給する。そして供給部は、自身への被計量物の投入時において、被計量物を貯留する空間(以下、「貯留空間」という。)の拡縮が可能である。
【0010】
第1の発明にかかる計量装置によれば、被計量物の投入開始時において貯留空間を縮小しておくことで、投入開始時の被計量物の整列の乱れを防止することができる。縮小された状態の貯留空間が被計量物で満たされた後は、可動部の移動によって貯留空間を拡張することで、拡張された状態の貯留空間全体に被計量物を、整列した状態のまま満たすことができる。よって、密度の高い状態で被計量物を供給部に貯留することができる。しかも、被計量物が折れるのを防止することができる。
【0011】
第2の発明にかかる計量装置は、第1の発明にかかる計量装置であって、供給部は、自身への被計量物の投入を、貯留空間を縮小した状態で開始し、貯留空間への被計量物の貯留に伴って貯留空間を拡張する。
【0012】
第2の発明にかかる計量装置によれば、拡張された貯留空間全体に被計量物を、整列した状態のまま満たすことができる。
【0013】
第3の発明にかかる計量装置は、第2の発明にかかる計量装置であって、供給部は、貯留空間の容量が所定値に至ったときに、貯留空間の拡張を停止する。
【0014】
第3の発明にかかる計量装置によれば、所望の容量の被計量物を供給部に貯留することができる。よって、計量ホッパに供給する被計量物の量を調節することができる。
【0015】
第4の発明にかかる計量装置は、第1乃至第3の発明にかかる計量装置であって、供給部は、部材と、可動部とを有する。部材には、上から被計量物が投入される投入口と、下へと被計量物を排出する排出口とが設けられている。可動部は、部材内を上下に移動可能であって、部材内の位置では、自身と部材とで自身の上側に貯留空間を形成する。
【0016】
第4の発明にかかる計量装置によれば、可動部が上に移動することで貯留空間を縮小し、可動部が下に移動することで貯留空間を拡張することができる。よって、可動部が上から下へと移動することで、整列した状態のまま被計量物を貯留空間内へと導くことができる。
【0017】
第5の発明にかかる計量装置は、第4の発明にかかる計量装置であって、可動部は、部材の下へと移動することができる。
【0018】
第5の発明にかかる計量装置によれば、可動部が部材の下へと移動することで、排出口を開放することができる。よって、貯留した被計量物を計量ホッパへと導くことができる。しかも、排出口の開閉が可動部によって行えるので、排出口にシャッタなどの別部材を配設する必要なく、以って計量装置の構造が簡略化される。
【0019】
第6の発明にかかる計量装置は、第1乃至第3の発明にかかる計量装置であって、供給部は、部材と、可動部とを有する。部材には、上から被計量物が投入される投入口と、下へと被計量物を排出する排出口とが設けられている。可動部は、供給部に貯留される被計量物の長手方向、及び上下方向のいずれにも交差する方向に沿って、部材内を移動することができる。
【0020】
第6の発明にかかる計量装置によれば、可動部は、上下方向に交差する方向へと移動するので、その方向において貯留空間を拡縮することができる。しかも、可動部が移動する方向は、投入された被計量物の長手方向にも交差するので、被計量物の貯留に伴って貯留空間を拡張したときに、被計量物を整列した状態のまま貯留空間内へと導くことができる。
【0021】
第7の発明にかかる計量装置は、第6の発明にかかる計量装置であって、可動部は、被計量物に接触する面を有する。その面の少なくとも一部分は、上下方向に沿う面に対して斜めに傾き、部材の排出口近傍から投入口近傍まで拡がっている。
【0022】
第7の発明にかかる計量装置によれば、整列した状態のまま被計量物を貯留空間内へと導くことができる。
【0023】
第8の発明にかかる計量装置は、第6または第7の発明にかかる計量装置であって、供給部は、投入口の開閉が可能な第1のシャッタと、排出口の開閉が可能な第2のシャッタとを有する。そして第2のシャッタは、上下に移動可能である。
【0024】
第8の発明にかかる計量装置によれば、第2のシャッタを閉めた状態で、可動部を移動して貯留空間を拡張することで、貯留空間に被計量物を貯留することができる。しかも、被計量物を貯留した後、第1のシャッタを閉めることで、供給部に貯留した被計量物だけを計量ホッパへと供給することができる。さらには、第2のシャッタは上下に移動可能であるので、貯留空間の容量を変えることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る計量装置によれば、被計量物の投入開始時において貯留空間を縮小しておくことで、投入開始時の被計量物の整列の乱れを防止することができる。縮小された状態の貯留空間が被計量物で満たされた後は、可動部の移動によって貯留空間を拡張することで、拡張された状態の貯留空間全体に被計量物を、整列した状態のまま満たすことができる。よって、密度の高い状態で被計量物を供給部に貯留することができる。しかも、被計量物が折れるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
1.第1の実施の形態
1−1.計量装置の構造
<計量装置の概要>
図1は、本実施の形態にかかる計量装置1を概念的に示す図である。計量装置1は、スパゲッティなどの棒状の被計量物を計量する装置であって、計量ホッパ2と、供給部3とを備える。なお以下では、鉛直方向についての上側及び下側を、それぞれ単に「上側」及び「下側」と表現している。
【0027】
<計量ホッパ>
計量ホッパ2は、ホッパ21、開閉機構22、及び計量器23を有し、供給部3から供給された被計量物の重量を測定する。
【0028】
ホッパ21には、被計量物が投入される投入口2aと、被計量物を排出する排出口2bとが設けられている。投入口2aは上側に、排出口2bは下側にそれぞれ位置している。
【0029】
開閉機構22は、排出口2bの開閉が自在である。具体的には、計量ホッパ2で被計量物の重量を測定する際には、排出口2bを閉じる。被計量物の測定した後は、排出口2bを開いて被計量物を排出する。なお、開閉機構22には、シリンダや、ボールネジ、電磁アクチュエータなどが採用できる。
【0030】
計量器23は、被計量物の重量を測定する測定器で、例えば金属の撓みを利用して重量を測定するロードセルが採用できる。
【0031】
<供給部>
供給部3は、被計量物の貯留が可能で、貯留した被計量物を計量ホッパ2へと供給する。しかも供給部3は、自身への被計量物の投入時において、被計量物を貯留する空間(貯留空間)3aの拡縮が可能である。
【0032】
具体的には供給部3は、部材31、シャッタ32,33、及び可動部34を有する(図1)。部材31は上下に延びており、被計量物を投入する投入口31aが上側に、被計量物を排出する排出口31bが下側に、それぞれ設けられている。なお、投入口31aからの被計量物の投入は、供給部3の投入口31a側に配設された投入部4によって行われる。
【0033】
シャッタ32は、投入口31aに開閉自在に取り付けられている。シャッタ33は、排出口31bに開閉自在に取り付けられている。シャッタ32,33の開閉は、それぞれ開閉機構321,331によって行われる。開閉機構321,331には、例えば図1に示されるようにシリンダが採用できる。もちろん、開閉機構321,331には、ボールネジや、電磁アクチュエータなども採用できる。
【0034】
可動部34は、部材31及びシャッタ32,33とともに貯留空間3aを形成している。可動部34は、上下方向90に交差する方向93,94に移動可能であって、自身の移動により貯留空間3aを拡縮することができる。
【0035】
具体的に可動部34は、上下方向90に対して垂直に延びた軸341を、部材31の外側に有する。可動部34は、軸341を中心として回動自在である。なお、可動部34の回動は、例えばボールネジや電磁アクチュエータなどの駆動部によって行われる。
【0036】
可動部34が軸341の周りを方向93へと移動することで、可動部34の部材31内の空間の占める割合が増加して、貯留空間3aが縮小する。なお、方向93へと移動した状態の可動部34が、図1では実線で示されている。
【0037】
他方、可動部34が方向94へと移動することで、可動部34の部材31内の空間を占める割合が減少して、貯留空間3aが拡張する。なお、方向94へと移動した状態の可動部34が、図1では破線で示されている。
【0038】
可動部34の下端34cは、シャッタ33の下側に位置している。このため、可動部34とシャッタ33とは互いに交差できる形状を呈する必要がある。具体的に図2を用いて説明する。
【0039】
図2は、互いに交差可能なシャッタ33及び可動部34を示す図である。シャッタ33は、平行に並んだ複数の棒状部材331と、固定部材332とを有する。棒状部材331の延在方向331aはいずれも、上下方向90に直交している。そして、これらの棒状部材331は、上下方向90及び延在方向331aのいずれにも直交する方向331bに並んで、固定部材332に固定されている。
【0040】
可動部34は、平行に並んだ複数の棒状部材341を有する。これらの棒状部材341は、シャッタ33の上から、方向331bにおいて互いに隣接する棒状部材331の間に一つずつ、移動可能な状態で嵌まる。このため、棒状部材341は、棒状部材331の延在方向331aに沿って移動することができる。
【0041】
よって、可動部34は、シャッタ33と交差しつつも、方向93,94へと移動することができる。
【0042】
1−2.計量装置の構造に関する変形例
<変形例1>
図1に示される可動部34とシャッタ33は互いに交差可能な形状を呈する必要があるため、図2に示されるように形状が複雑である。これは、可動部34の下端34cが、シャッタ33の下側に位置するからである。
【0043】
そこで、図3に示されるように、可動部34の下端34cをシャッタ33よりも上側に配置することで、シャッタ33及び可動部34の形状を簡略化することができる。例えば、シャッタ33について、棒状部材331に代えて、板状のものを採用することができる。また、可動部34についても、棒状部材341に代えて、板状のものを採用することができる。
【0044】
ただし、可動部34がシャッタ33よりも上側にあるため、可動部34を方向93へと移動させた状態において、可動部34とシャッタ33との間に被計量物が溜まらない空間3bができてしまう(図3)。
【0045】
空間3bがあると、可動部34が方向94へと移動したときに、貯留空間3a内の被計量物が空間3bへと流れ込み、整列が乱れるおそれがある。よって、可動部34の下端は、図1に示されるようにシャッタ33よりも下側にあることが好ましい。
【0046】
<変形例2>
図4は、可動部34の変形例として、可動部34Aを概念的に示す図である。本変形例では、可動部34Aは、上下方向90に垂直な方向971,972に沿って並進自在である。
【0047】
具体的には、可動部34Aが上下方向90に垂直な方向971へと移動することで、可動部34Aの部材31内の空間を占める割合が増加して、貯留空間3aが縮小する。なお、方向971へと移動した状態の可動部34Aが、図4では実線で示されている。
【0048】
他方、可動部34Aが方向971とは反対方向972へと移動することで、可動部34Aの部材31内の空間を占める割合が減少して、貯留空間3aが拡張する。なお、方向972へと移動した状態の可動部34Aが、図4では破線で示されている。
【0049】
整列部34Aによれば、回動する可動部34に比べて、整列部34Bの構造が簡略化される。なお、可動部34Aの移動は、例えばボールネジや電磁アクチュエータなどの駆動部によって行われる。
【0050】
図4では、上述した変形例1と同様に(図3)、可動部34Aの下端34Acがシャッタ33よりも上側にある場合が示されているが、可動部34Aの下端34Acはシャッタ33よりも下側にあっても良い。この場合、可動部34Aとシャッタ33とは、図2に示されるのと同様の構造を呈する必要がある。
【0051】
<変形例3>
図5は、シャッタ33に関する変形例を示す図である。本変形例では、シャッタ33は上下に移動可能である。具体的には、シャッタ33は投入口31aと排出口31bとの間を上下に移動可能である。
【0052】
かかるシャッタ33によれば、投入口31aと排出口31bとの間の所望の位置に、シャッタ33を配置することができる。よって、貯留空間3aの容量を変えることができ、以って計量ホッパ2に供給する被計量物の量を調節することができる。
【0053】
なお、シャッタ33の移動による貯留空間3aの容積の変更は、供給部3への被計量物の貯留を開始する前に行われる。
【0054】
1−3.計量装置の動作
計量装置1の動作、特に供給部3の動作について、図6〜図11を用いて説明する。なお、図6〜図11は、図1に示される計量装置1の動作を順に示す図であり、被計量物の状態をハッチングによって示している。
【0055】
<第1段階>
供給部3に被計量物を投入する前は、シャッタ32,33はいずれも閉じられており、貯留空間3aは空である(図6)。このとき投入部4には、被計量物が整列した状態で溜まっている。
【0056】
そして、シャッタ32を閉じた状態のまま、シャッタ31を開き始める。これにより、投入口31aから部材31内への被計量物の投入が開始され、貯留空間3aへの被計量物の貯留が始まる(図7)。
【0057】
このとき、貯留空間3aは、可動部34によって縮小されている。すなわち、供給部3は、自身への被計量物の投入を、貯留空間3aを縮小させた状態で開始する。よって、投入部4において整列した被計量物は、そのまま整列した状態で貯留空間3aに貯留されやすい。
【0058】
整列した状態で被計量物を貯留空間3aに貯留するという観点からは、可動部34は以下の形状を呈することが好ましい。
【0059】
すなわち、可動部34は、平行に並んだ複数の棒状部材341によって、これらの表面341cに接する仮想的な面34bを形成する(図2)。図2に示される棒状部材341はいずれも、断面形状が円形であるので、棒状部材341の表面341cはそれぞれ、仮想的な表面34bと直線341bで接する。なお、仮想的な面34bは、可動部34が有する面34aと把握することができる。
【0060】
そして、貯留空間3aを縮小させた状態での仮想的な面34bは、上下方向90に沿う面に対して斜めに傾き(図2)、部材31の排出口31b近傍から投入口31a近傍まで拡がる(図1)。
【0061】
可動部34の上記形状によれば、投入口31aから投入された被計量物は、斜めに傾いた仮想的な面34bに接触する。このため、整列した状態のまま被計量物を、貯留空間3a内に導くことができる。よって、投入開始直後においても、整列した状態のまま被計量物を貯留空間3aに貯留することができる。
【0062】
投入部4から供給部3へと被計量物の投入は、次のように行う。すなわち、棒状の被計量物の長手方向91が、面34bにおいて勾配の最も急な方向、及び上下方向90のいずれにも垂直になるように、被計量物を供給部3に投入する。
【0063】
図2を用いて具体的に説明する。図2では、面34bにおいて勾配が最も急な方向は、棒状部材341の延在方向341aにほぼ一致している。よって、被計量物の長手方向91が、棒状部材341の延在方向341aに対してほぼ垂直になるように、被計量物を投入すれば良い。なお、図2では、被計量物を符号Aで示されている。
【0064】
これにより、被計量物投入時における整列の乱れを防止することができ、以って整列した状態のまま被計量物を貯留空間3aに貯留しやすい。
【0065】
なお、上述したように被計量物を投入することで、可動部34が移動する方向93,94は、貯留空間3aに貯留される被計量物の長手方向91に交差する。なお、図2では、方向93,94は、長手方向91にほぼ直交している。
【0066】
<第2段階>
縮小した状態の貯留空間3aを被計量物で満たした後、可動部34を方向94へと移動させて、貯留空間3aを拡張しつつ、貯留空間3aに被計量物を貯留する(図8及び図9)。すなわち、貯留空間3aへの被計量物の貯留に伴って、貯留空間3aを拡張する。
【0067】
このとき、可動部34が移動する方向94は、上述したように貯留空間3aに貯留された被計量物の長手方向91に交差している。図2では、方向94は長手方向91に直交している。よって、貯留空間3aを拡張したときに、被計量物を整列した状態のまま貯留空間3aへと導くことができる。
【0068】
貯留空間3aに被計量物を貯留してから(図9)、シャッタ32を閉じて、被計量物の投入を遮断する(図10)。その後、シャッタ32を閉じた状態のまま、シャッタ33を開いて、被計量物を排出口31bから排出する(図11)。排出された被計量物は、計量ホッパ2に供給される。
【0069】
上述した第1段階及び第2段階の動作により、被計量物の投入開始時において、貯留空間3aを縮小しておくことで、投入開始時の被計量物の整列の乱れを防止することができる。縮小された状態の貯留空間3aが被計量物で満たされた後は、可動部34の移動によって貯留空間3aを拡張することで、拡張された状態の貯留空間3a全体に、被計量物を整列した状態まま満たすことができる。よって、密度の高い状態で被計量物を供給部3に貯留することができる。しかも、被計量物が折れるのを防止することができる。
【0070】
また、上述したシャッタ32,33の開閉動作により、貯留空間3aに貯留された被計量物だけが計量ホッパ2に供給される。よって、計量ホッパ2に供給される被計量物の量が過剰になるのを、防止することができる。
【0071】
1−4.計量装置の動作に関する変形例
「1−2.計量装置の構造に関する変形例」の「変形例3」では、シャッタ33を移動することで、貯留空間3aの容積を調節しているが、可動部34,34Aの動作(移動)を調節することで、貯留空間3aの容積を調節しても良い。
【0072】
具体的には、可動部34,34Aの移動によって貯留空間3aを拡張する場合において、貯留空間3aの容量が所定値に至ったときに、可動部34,34Aの移動を停止して貯留空間3aの拡張を止める。
【0073】
かかる態様によれば、所望の容量の被計量物を供給部13に貯留することができる。よって、計量ホッパ2に供給する被計量物の量を調節することができる。なお、本変形例は、供給部3に被計量物を貯留しつつ、貯留空間3aの容量を調節する点で、上述したシャッタ33を移動する態様(変形例3)とは異なる。すなわち、上述したシャッタ33を移動する態様では、予め貯留空間3aの容量を調節している。
【0074】
2.第2の実施の形態
2−1.計量装置の構造
<計量装置の概要>
図12は、本実施の形態にかかる計量装置11を概念的に示す図である。計量装置11は、スパゲッティなどの棒状の被計量物を計量する装置であって、計量ホッパ12と、供給部13とを備える。なお、計量ホッパ12は、第1の実施の形態で説明した計量ホッパ2と同じ構成を有するので、説明を省略する。
【0075】
<供給部>
供給部13は、被計量物の貯留が可能で、貯留した被計量物を計量ホッパ12へと供給する。しかも供給部13は、自身への被計量物の投入時において、貯留空間13aの拡縮が可能である。
【0076】
具体的には供給部13は、部材131、シャッタ132、及び可動部134を有する(図12)。部材131は上下に延びており、被計量物を投入する投入口131aが上側に、被計量物を排出する排出口131bが下側に、それぞれ設けられている。なお、投入口131aからの被計量物の投入は、供給部13の投入口131a側に配設された投入部14によって行われる。
【0077】
シャッタ132は、投入口131aに開閉自在に取り付けられている。シャッタ132の開閉は、開閉機構1321によって行われる。開閉機構1321には、例えば図1に示されるようにシリンダが採用できる。もちろん、開閉機構1321には、ボールネジや、電磁アクチュエータなども採用できる。
【0078】
可動部134は、部材131内を上下に移動可能である。部材131内の位置においては、可動部134は、部材131及びシャッタ132とともに、自身の上側に貯留空間13aを形成する。そして、可動部134が部材131内を移動することで、貯留空間13aを拡縮することができる。
【0079】
具体的に可動部134は、上下方向90に対して垂直に延びた軸1341を、部材131の外側に有する。可動部134は、軸1341を中心として回動自在である。なお、可動部134の回動は、例えばボールネジや電磁アクチュエータなどの駆動部によって行われる。
【0080】
可動部134が軸1341の周りを方向951へと移動することで、可動部134は部材131内を上へと移動して、貯留空間3aが縮小する。なお、このときの可動部134の状態が、図12では実線で示されている。
【0081】
他方、可動部134が方向952へと移動することで、可動部134は部材31内を下へと移動して、貯留空間3aが拡張する。なお、このときの可動部134の状態が、図12では一点鎖線で示されている。
【0082】
可動部134は、部材131の下にも移動することができる。具体的には、可動部134が部材131内にある場合には、可動部134は、貯留空間13aの排出口131b側を閉じている。そして、可動部134が部材131の下へと移動することで、貯留空間13aの排出口131b側を開放する。なお、可動部134が部材131の下へと移動した状態が、図12では破線で示されている。
【0083】
すなわち、可動部134は、部材131の排出口131bを開閉することができる。よって、排出口131bにシャッタなどの別部材を配設する必要がなく、以って計量装置11の構造が簡略化される。
【0084】
2−2.計量装置の動作
計量装置11の動作、特に供給部13の動作について、図13〜図17を用いて説明する。なお、図13〜図17は、図12に示される計量装置11の動作を順に示す図であり、被計量物の状態をハッチングによって示している。
【0085】
<第1段階>
供給部13に被計量物を投入する前は、シャッタ132は閉じられており、貯留空間13aは空である(図13)。このとき投入部14には、被計量物が整列した状態で溜まっている。
【0086】
そして、可動部134が上に移動した状態、すなわち貯留空間13aを縮小した状態で、シャッタ31を開く。これにより、投入口131aから貯留空間13aに被計量物が投入されて、貯留空間13aが被計量物で満たされる(図14)。このとき、貯留空間13aは縮小されているので、投入部14において整列した被計量物は、そのまま整列した状態で貯留空間13aに貯留される。
【0087】
<第2段階>
縮小した状態の貯留空間3aを被計量物で満たした後、可動部134を下へと移動させて、貯留空間13aを拡張しつつ、貯留空間13aに被計量物を貯留する(図15)。すなわち、貯留空間13aへの被計量物の貯留に伴って、貯留空間13aを拡張する。
【0088】
そして、部材131内の排出口131bに近い位置で、可動部134を停止させる(図15)。可動部134を停止した後、シャッタ132を閉じて被計量物の投入を遮断する(図16)。
【0089】
<第3段階>
シャッタ132を閉じた後、シャッタ132を閉じた状態のまま、可動部134を部材131の下へと移動させる(図17)。これにより、排出口131bが開放される。よって、貯留空間13aに貯留された被計量物は、排出口131bから排出され、計量ホッパ12に供給される。
【0090】
上述した第1段階〜第3段階の動作により、被計量物の投入開始時において、貯留空間13aを縮小しておくことで、投入開始時の被計量物の整列の乱れを防止することができる。縮小された状態の貯留空間13aが被計量物で満たされた後は、可動部134の移動によって貯留空間13aを拡張することで、拡張された状態の貯留空間13a全体に、被計量物を整列した状態まま満たすことができる。よって、密度の高い状態で被計量物を供給部13に貯留することができる。しかも、被計量物が折れるのを防止することができる。
【0091】
2−3.計量装置の動作に関する変形例
「2−2.計量装置の動作」では、部材131内の排出口131bに近い位置で、可動部134を停止させているが(図15)、次のように可動部134の動作(移動)を調節しても良い。
【0092】
すなわち、可動部134の移動によって貯留空間13aを拡張する場合において、貯留空間13aの容量が所定値に至ったときに、可動部134の移動を停止して貯留空間13aの拡張を止める。
【0093】
かかる態様によれば、可動部134を停止させる位置を調節することで、所望の容量の被計量物を供給部13に貯留することができる。よって、計量ホッパ12に供給する被計量物の量を調節することができる。
【実施例】
【0094】
図18は、計量装置1を備えた計量システム100を概念的に示す図である。計量システム100は、棒状の被計量物を所定量ずつ量り取るシステムであって、計量装置1を二つ備え、更に中量計量装置101を二つと、微量投入装置104と、コンベヤ102と、タイミングホッパ103とを備えている。
【0095】
コンベヤ102は、複数の仕切板1021を有する。仕切板1021はそれぞれ、コンベヤ102上に立設されており、コンベヤ102が回転する方向に並んでいる。これにより、コンベヤ102上の空間が、複数の空間1022に仕切られる。
【0096】
計量装置1で計量した被計量物は、計量ホッパ2からコンベヤ102の空間1022へと投入される。このとき、二つある計量装置1で計量された被計量物はそれぞれ、異なる空間1022に投入される。なお、計量装置1で計量された被計量物の重量はいずれも、所定量よりも小さい。
【0097】
二つある中量計量装置101は、計量装置1に一つずつ対応しており、各々、自身に対応する計量装置1で計量された重量と、所定量との差とほぼ同じか、またはそれよりも小さい重量の被計量物を量り取る。
【0098】
具体的には、中量計量装置101は、ロータ1011及び計量ホッパ1012を有する。ロータ1011には溝が設けられており、かかる溝に被計量物が納まる。そして、ロータ1011が回転することで、被計量物を計量ホッパ1012へと導く。計量ホッパ1012への被計量物の投入量は、ロータ1011の回転角を制御することで調節する。あるいは、ロータ1011に設けられた溝の容量を拡縮することで、投入量を調節してもよい。計量ホッパ1012は、投入された被計量物の重量を測定する。
【0099】
中量計量装置101で計量した被計量物は、計量ホッパ1012から、その中量計量装置101に対応する計量装置1で計量された被計量物が投入されたのと同じ空間1022へと投入される。
【0100】
互いに対応付けられた計量装置1及び中量計量装置101で計量された被計量物の重量の合計が、所定量より小さい場合には、微量投入装置104は、所定量に不足している分を空間1022に投入する。なお、不足している分は、次のように求められる。すなわち、計量装置1及び中量計量装置101で計量された被計量物の重量の合計と、所定量との差から、被計量物の一本あたりの平均重量を考慮して、本数単位で求められる。
【0101】
具体的には、微量投入装置104は、ホッパ1041を有する。微量投入装置104は、不足している分の被計量物をホッパ1041に貯留した後、ホッパ1041から空間1022へと被計量物を投入する。
【0102】
これにより、一つの空間1022には、所定量の被計量物が納まる。そして、所定量の被計量物が、コンベヤ102によってタイミングホッパ103へと導かれる。そして、包装機の動作とのタイミングを計りつつ、タイミングホッパ103内の被計量物を包装機へと供給する。
【0103】
計量システム100によれば、計量装置1で計量された被計量物の重量の不足分を、中量計量装置101及び微量投入装置104で補うことができるので、所定量の被計量物を精度良く、かつ高速に量り取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】第1の実施の形態にかかる計量装置を概念的に示す図である。
【図2】互いに交差可能なシャッタ及び可動部を概念的に示す図である。
【図3】計量装置の変形例1を概念的に示す図である。
【図4】計量装置の変形例2を概念的に示す図である。
【図5】計量装置の変形例3を概念的に示す図である。
【図6】計量装置の動作を順に示す図である。
【図7】計量装置の動作を順に示す図である。
【図8】計量装置の動作を順に示す図である。
【図9】計量装置の動作を順に示す図である。
【図10】計量装置の動作を順に示す図である。
【図11】計量装置の動作を順に示す図である。
【図12】第2の実施の形態にかかる計量装置を概念的に示す図である。
【図13】計量装置の動作を順に示す図である。
【図14】計量装置の動作を順に示す図である。
【図15】計量装置の動作を順に示す図である。
【図16】計量装置の動作を順に示す図である。
【図17】計量装置の動作を順に示す図である。
【図18】実施例にかかる計量システムを概念的に示す図である。
【符号の説明】
【0105】
1,11 計量装置
2,12 計量ホッパ
3,13 供給部
3a,13a 貯留空間
31,131 部材
32,33 シャッタ
34,134 可動部
34a,34b 面
31a,131a 投入口
31b,131b 排出口
90 上下方向
91 長手方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の被計量物の重量を計測する計量ホッパと、
自身に投入された前記被計量物の貯留が可能で、貯留した前記被計量物を前記計量ホッパへと供給する供給部と
を備え、
前記供給部は、自身への前記被計量物の投入時において、前記被計量物を貯留する空間の拡縮が可能である、計量装置。
【請求項2】
前記供給部は、
自身への前記被計量物の投入を、前記空間を縮小した状態で開始し、
前記空間への前記被計量物の貯留に伴って前記空間を拡張する、
請求項1記載の計量装置。
【請求項3】
前記供給部は、前記空間の容量が所定値に至ったときに、前記空間の拡張を停止する、請求項2記載の計量装置。
【請求項4】
前記供給部は、
上から前記被計量物が投入される投入口と、下へと前記被計量物を排出する排出口とが設けられた部材と、
前記部材内を上下に移動可能であって、前記部材内の位置では、自身と前記部材とで自身の上側に前記空間を形成する可動部と
を有する、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の計量装置。
【請求項5】
前記可動部は、前記部材の下へと移動することができる、請求項4記載の計量装置。
【請求項6】
前記供給部は、
上から前記被計量物が投入される投入口と、下へと前記被計量物を排出する排出口とが設けられた部材と、
前記供給部に貯留される被計量物の長手方向、及び上下方向のいずれにも交差する方向に沿って、前記部材内を移動することができる可動部と
を有する、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の計量装置。
【請求項7】
前記可動部は、前記被計量物に接触する面を有し、
前記面の少なくとも一部分は、前記上下方向に沿う面に対して斜めに傾き、前記部材の前記排出口近傍から前記投入口近傍まで拡がっている、請求項6記載の計量装置。
【請求項8】
前記供給部は、
前記投入口の開閉が可能な第1のシャッタと、
前記排出口の開閉が可能な第2のシャッタと
を有し、
前記第2のシャッタは上下に移動可能である、請求項6または請求項7記載の計量装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2009−53106(P2009−53106A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221460(P2007−221460)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【出願人】(599124909)株式会社イシダエンジニアリング (10)
【Fターム(参考)】