説明

記憶装置を備えたデバイス

【課題】記憶装置を備え、接続されたホスト装置に対して外部記憶装置として機能可能なデバイスにおいて、デバイスとホスト装置の記憶装置への同時アクセスを防ぐとともに、デバイスがホスト装置に正常に接続されていることをホスト装置側で認識できるようにする。
【解決手段】記憶装置に対するアクセスを行なうデバイス処理部と、ホスト装置と接続された際に、ホスト装置からの機器種別の問い合わせに対して、記録メディア取り外し可能な記憶装置として応答し、デバイス処理部が、記憶装置に対してアクセスする間は、記録メディアが取り外されている旨の情報をホスト装置に通知するインタフェース部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスト装置と接続するデバイスに係り、特に、記憶装置を備え、接続されたホスト装置に対して外部記憶装置として機能可能なデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
デバイスとホスト装置とを接続する方式として、USB(Universal Serial Bus)規格が広く用いられている。記憶装置を内蔵したデバイスの中には、USBインタフェース機能を備えていて、ホスト装置と接続した場合に、外部記憶装置として機能するデバイスがある。このようなデバイスでは、デバイス自身が記憶装置にアクセスする場合と、ホスト装置が記憶装置にアクセスする場合とがある。
【0003】
USB規格では、外部記憶装置は、純粋な記憶装置を想定しており、デバイス自身のアクセスとホスト装置からのアクセスとの排他制御は考慮されていない。このため、安全対策を施さないと、両者が同時に記憶装置にアクセスすること等によって、データの整合性が取れなくなったり、記憶装置のデータが破壊されてしまう等のおそれがある
そこで、従来は、例えば以下のような対策が取られている。すなわち、USB規格では、デバイス側は、ホスト装置と接続されたとき、信号線に電圧を印加することで、ホスト装置にデバイスが接続されたことを通知するようにしているが、デバイス自身が記憶装置にアクセスしている間は、信号線への電圧印加を行なわないことで、擬似的に、デバイスが取り外されている状態を作り出して、ホスト装置側からのアクセスを遮断するようにしている。そして、デバイス自身のアクセスが終了すると、信号線への電圧印加を再開し、ホスト装置側からのアクセスを許可する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−54896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
デバイスが、自身のアクセス中には信号線への電圧印加を行なわないことによって、デバイスとホスト装置とが同時に記憶装置にアクセスすることを防ぐことができ、記憶装置の安全性は保証できる。しかしながら、その間、ホスト装置からはデバイスを認識することができず、ホスト装置では、デバイスが切断された状態が表示される。
【0006】
このため、デバイスとホスト装置との接続が失敗したという誤解をユーザに抱かせるおそれがある。特に、デバイス自身の記憶装置アクセスが長時間にわたる場合に、この問題は顕著であり、デバイスの使用感を悪化させることになる。
【0007】
ユーザの誤解を防ぐために、正常に接続されていることを示す表示装置等をデバイス側に設けることも考えられるが、その分、デバイスのコストアップを招くことになるため、従来通りホスト装置側で正常に接続されていることを認識できることが望ましい。
【0008】
そこで、本発明は、記憶装置を備え、接続されたホスト装置に対して外部記憶装置として機能可能なデバイスにおいて、デバイスとホスト装置の記憶装置への同時アクセスを防ぐとともに、デバイスがホスト装置に正常に接続されていることをホスト装置側で認識できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明のデバイスは、記憶装置を備え、接続されたホスト装置に対して外部記憶装置として機能可能なデバイスであって、前記記憶装置に対するアクセスを行なうデバイス処理部と、ホスト装置と接続された際に、前記ホスト装置からの機器種別の問い合わせに対して、記録メディア取り外し可能な記憶装置として応答し、前記デバイス処理部が、前記記憶装置に対してアクセスする間は、記録メディアが取り外されている旨の情報を前記ホスト装置に通知するインタフェース部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
ここで、前記インタフェース部は、前記デバイス処理部が、前記記憶装置に対するアクセスを終了すると、記録メディアが取り付けられている旨の情報を前記ホスト装置に通知するようにしてもよい。
【0011】
また、前記インタフェース部は、前記ホスト装置からの問い合わせに対応して、前記記録メディアに関する情報を通知することができる。
【0012】
より具体的には、前記ホスト装置とはUSB(Universal Serial Bus)規格により接続されることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、記憶装置を備え、接続されたホスト装置に対して外部記憶装置として機能可能なデバイスにおいて、デバイスとホスト装置の記憶装置への同時アクセスを防ぐとともに、デバイスがホスト装置に正常に接続されていることをホスト装置側で認識できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係るUSBデバイスとUSBホストの機能構成を示すブロック図である。
【図2】USBデバイスの処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るUSBデバイスとUSBホストの機能構成を示すブロック図である。本図に示すように、USBデバイス100は、USBホスト200とUSBケーブル300を介して接続しており、デバイス処理部110、記憶装置120、USBデバイスインタフェース部130を備えている。
【0016】
なお、USBデバイス100とUSBホスト200との接続形態は、USBケーブル300を介さずに、コネクタ同士が直接接続する形態であってもよい。USBデバイス100とUSBホスト200とはD+・D−の2本の信号線、電圧供給線VBUS、GND信号線の合計4本で接続される。
【0017】
デバイス処理部110は、デバイスの機種に対応した処理を行なう機能部である。デバイス処理部110が行なう処理には、記憶装置120に対するアクセス処理が含まれる。例えば、USBデバイス100が、デジタルカメラであれば、デバイス処理部110は、撮像処理、画像処理、記憶装置120への画像記録処理等を行なう。また、USBデバイス100が、センサ等のフィールド機器であれば、デバイス処理部110は、センシング処理、データ処理、記憶装置120へのデータ記録処理等を行なう。
【0018】
記憶装置120は、磁気ディスク、半導体記録装置等の記録メディアを備えており、デバイス処理部110およびUSBホスト200からのアクセスを受け付ける。なお、記憶装置120は、USBデバイス100内に固定的に取り付けられていてもよいし、メモリカードのように着脱可能としてもよい。
【0019】
USBデバイスインタフェース部130は、USBデバイス側装置としてUSB規格に従った通信を行なうための処理を行なう。すなわち、USBケーブル300等を介してUSBホスト200に接続されると、信号線に所定の電圧を印加して、USBホスト200に対して、USBデバイスが接続されたことを通知する。そして、USBホスト200からの要求に応じて、機種種別、転送モード等を返答する。
【0020】
本実施形態において、USBデバイスインタフェース部130は、USBホスト200と接続された際に、USBホスト200からの機器種別の問い合わせに対して、記憶装置120が、取り外し可能であるか否かにかかわらず、記録メディア取り外し可能な記憶装置として応答する。
【0021】
そして、デバイス処理部110が、記憶装置120に対してアクセスする間は、記録メディアが取り外されている旨の情報をUSBホスト200に通知する。このような処理を行なうことで、デバイス処理部110とUSBホスト200との間で、記憶装置120に対する排他的制御を行なうようにしている。また、USBホスト200側からは、デバイス100が記憶装置120にアクセスしている間でも、デバイス100が正常に接続されていることを認識することができる。
【0022】
USBホスト200は、アプリケーション処理部210と、USBホストインタフェース部220とを備えている。
【0023】
アプリケーション処理部210は、USBホスト200の機種に対応した処理を行なう機能部である。アプリケーション処理部210が行なう処理には、外部記憶装置としてのUSBデバイス100に対するアクセス処理が含まれる。例えば、USBホスト200が、汎用的なパーソナルコンピュータであれば、アプリケーション処理部210は、パーソナルコンピュータが実行するアプリケーションに相当し、データ入出力処理等を行なう。また、USBホスト200が、フィールド機器制御装置であれば、計測制御処理、データ収集処理等を行なう。
【0024】
USBホストインタフェース部220は、USBホスト側装置としてUSB規格に従った通信を行なうための処理を行なう。すなわち、USBケーブル300等を介してUSBデバイス100が接続されたことを検出すると、USBデバイス100との間でコンフィギュレーションを行なって、USBデバイス100の機種種別、使用条件等を取得し、通信のための各種設定を行なう。
【0025】
USBホストインタフェース部220は、USBデバイス100の機種を記録メディア取り外し可能な記憶装置として認識した場合には、USBデバイス100に対して記録メディアが取り付けられているか、取り外されているかの状態を定期的に問い合わせる。そして、USBデバイス100が、記録メディアが取り外されている旨の応答をしている間は、外部記憶装置であるUSBデバイス100に対するアクセスは行なわない。
【0026】
次に、本実施形態に係るUSBデバイス100の処理について図2のフローチャートを参照して説明する。
【0027】
USBデバイス100は、USBホスト200に接続されると(S101)、信号線に所定の電圧を印加することで、USBホスト200に対して、USBデバイス100が接続されたことを通知する(S102)。
【0028】
USBデバイス100が接続されたことを検出したUSBホスト200は、コンフィギュレーションにおいて、USBデバイス100に対して、機器種別の問い合わせを行なう。これに対して、USBデバイス100は、記録メディア取り外し可能な記憶装置である旨を応答する(S104)。なお、記録メディア取り外し可能な記憶装置は、メモリカードリーダ等が該当するが、USBデバイス100は、記憶装置120が、取り外し不可であっても記録メディア取り外し可能な記憶装置である旨を応答する。
【0029】
その後、USBデバイス100は、USBホスト200から定期的に記録メディアの取り付け状態についての問い合わせを受け付ける(S105)。これに対して、自身のデバイス処理部110が記憶装置120にアクセス中であれば(S106:Yes)、記録メディアが取り外されている旨を応答する(S107)。
【0030】
一方、自身のデバイス処理部110が記憶装置120にアクセス中でなければ(S106:No)、記録メディアが取り付けられている旨を応答する(S108)。
【0031】
これにより、USBデバイス100とUSBホスト200とが記憶装置120に同時アクセスすることを防ぐことができる。また、USBホスト200は、USBデバイス100が記憶装置120にアクセスしている間であっても、USBデバイス100が正常に接続されていることを認識できるため、USBホスト200では、正常に接続されている旨が表示され、ユーザが正常な接続を確認することができる。
【0032】
USBデバイス100は、以上の(S105)〜(S107)、(S108)に示した処理を、USBホスト200から切り離されるまで繰り返す(S109)。
【0033】
以上説明したように、本実施形態のUSBデバイス100によれば、記憶装置を備え、接続されたホスト装置に対して外部記憶装置として機能可能なデバイスにおいて、デバイスとホスト装置の記憶装置への同時アクセスを防ぐとともに、デバイスがホスト装置に正常に接続されていることをホスト装置側で認識できるようになる。
【符号の説明】
【0034】
100…USBデバイス、110…デバイス処理部、120…記憶装置、130…USBデバイスインタフェース部、200…USBホスト、210…アプリケーション処理部、220…USBホストインタフェース部、300…USBケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置を備え、接続されたホスト装置に対して外部記憶装置として機能可能なデバイスであって、
前記記憶装置に対するアクセスを行なうデバイス処理部と、
ホスト装置と接続された際に、前記ホスト装置からの機器種別の問い合わせに対して、記録メディア取り外し可能な記憶装置として応答し、
前記デバイス処理部が、前記記憶装置に対してアクセスする間は、記録メディアが取り外されている旨の情報を前記ホスト装置に通知するインタフェース部と、
を備えたことを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記インタフェース部は、前記デバイス処理部が、前記記憶装置に対するアクセスを終了すると、記録メディアが取り付けられている旨の情報を前記ホスト装置に通知することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記インタフェース部は、前記ホスト装置からの問い合わせに対応して、前記記録メディアに関する情報を通知することを特徴とする請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ホスト装置とはUSB(Universal Serial Bus)規格により接続されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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