説明

記録メディア駆動装置

【課題】モータを使用して記録メディアを自動搬送する場合でも確実なコネクタ接続を実現できる記録メディア駆動装置の提供。
【解決手段】筐体の手前位置に配設したホルダ6の最奥部に固定側コネクタを配設し、ホルダ6の内部に回動可能に支持したロック部材8を捩りコイルばね9によって内方へ付勢するすると共に、筐体の側面にロック部材8の作動部8bと対向する係止孔1bを設ける。可動側コネクタを有する記録メディア3をホルダ6に挿入するとき、記録メディア3の挿入力でロック部材8はホルダ6の外方へ回転し、作動部8bを係止孔1bに嵌入させてホルダ6を筐体に対して固定状態となす。この固定状態で記録メディア3の挿入力によって可動側コネクタを固定側コネクタに接続した後、ロック部材8を捩りコイルばね9の付勢力で回動復帰させてホルダ6の固定状態を解除し、モータを駆動源とする搬送機構によってホルダ6を筐体の奥側へ自動搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録メディア駆動装置に係り、特に、挿入方向の先端側に可動側コネクタが設けられた記録メディアをホルダに挿入・保持して自動搬送するようにした記録メディア駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種データが記録された記録メディアを手動操作でホルダに挿入・保持し、このホルダを搬送機構によって筐体の内部に自動搬送することにより、記録メディアの挿入方向先端側に設けられた可動側コネクタと筐体内に配設された固定側コネクタとを接続するようにした記録メディア駆動装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。ここで、可動側コネクタは複数のクリップ状メス型端子を所定ピッチで配列したものからなり、固定側コネクタは複数のピン状オス型端子をメス型端子と同ピッチで配列したものからなる。また、搬送機構は、モータを駆動源として回転する減速歯車列と、この減速歯車列の最終段ギヤに噛合するラックとからなり、このラックはホルダの側面に固定されている。
【0003】
このように概略構成された記録メディア駆動装置において、記録メディアをホルダに挿入・保持した後にモータが一方向へ回転すると、モータを駆動源とする搬送機構によりホルダが筐体の内部に向かって直線的に移動する。そして、ホルダが筐体内の装着位置まで移動すると、ホルダに保持された記録メディアの可動側コネクタに筐体内に配設された固定側コネクタが嵌挿し、記録メディアは装置内に装着された状態でコネクタ接続される。また、かかる記録メディアの装着状態でモータが上記と逆方向へ回転すると、ホルダが装着位置から筐体の前面に向かって直線的に移動するため、それに伴って可動側コネクタが固定側コネクタから抜け出て接続解除された後、記録メディアは排出可能な初期位置まで自動搬送される。
【特許文献1】特開2004−348812号公報(第5−7頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の記録メディア駆動装置では、ホルダに保持された記録メディアをモータを駆動源とする搬送機構によって自動搬送し、その搬送力を利用して記録メディアの可動側コネクタを固定側コネクタに対して挿抜させるようにしているが、この動作を満足させるコネクタ挿抜力の規格値がかなり高い(例えば2kg・f)ため、モータのトルクが不十分であると可動側コネクタと固定側コネクタを確実に接続/解除することができなくなる。このような理由からモータのトルクを高める必要があるが、高トルクのモータを使用する場合、記録メディアの搬送スピードを速めることが困難であったり、搬送機構を含む各機構構造体に高い機械的強度が要求される等、種々の問題が発生する。
【0005】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、モータを使用して記録メディアを自動搬送する場合でも確実なコネクタ接続を実現できる記録メディア駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ユーザが記録メディアを手動操作でホルダに挿入するときに、ホルダを一時的にロック状態にしたまま可動側コネクタと固定側コネクタとを接続し、かかるコネクタ接続後にホルダのロック状態を解除して搬送機構で自動搬送するようにした。
【発明の効果】
【0007】
本発明の記録メディア駆動装置は、ユーザが記録メディアを手動操作でホルダに挿入するときに、ロック部材によりホルダを筐体に対して固定状態にすると共に、この固定状態で記録メディアの挿入力によって可動側コネクタを固定側コネクタに接続し、かかるコネクタ接続後にロック部材によるホルダの固定状態を解除して搬送機構でホルダを自動搬送するようにしたので、ユーザの手動操作力によって可動側コネクタと固定側コネクタとを確実に接続することができるのみならず、搬送機構の駆動源として低トルクのモータを使用することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、筐体内に挿入された記録メディアを保持可能なホルダと、このホルダの奥部に配設された固定側コネクタと、モータを駆動源とする搬送機構とを備え、この搬送機構によって前記ホルダが前記筐体の手前位置と奥側位置との間で自動搬送されると共に、前記記録メディアの挿入方向先端側に設けられた可動側コネクタが前記ホルダに設けられた前記固定側コネクタに接続される記録メディア駆動装置であって、前記可動側コネクタと前記固定側コネクタとの接続中に前記ホルダを前記筐体に対して固定状態とするロック部材を設け、前記可動側コネクタと前記固定側コネクタとの接続完了後に、前記ロック部材をアンロック位置に復帰させて前記ホルダの固定状態を解除するように構成した。
【0009】
このように構成された記録メディア駆動装置では、ユーザが記録メディアを手動操作でホルダに挿入するときに、ロック部材によりホルダを筐体に対して固定状態にすると共に、この固定状態で記録メディアの挿入力によって可動側コネクタを固定側コネクタに接続し、かかるコネクタ接続後にロック部材によるホルダの固定状態を解除して搬送機構でホルダを自動搬送するようにしたので、ユーザの手動操作力によって可動側コネクタと固定側コネクタとを確実に接続することができるのみならず、搬送機構の駆動源として低トルクのモータを使用することも可能となる。
【0010】
上記の構成において、前記ロック部材は前記ホルダに設けられており、前記ホルダへの前記記録メディアの挿入力により、前記ロック部材が、前記ホルダを前記筐体に対して固定状態とするロック位置に移動することが好ましく、このように構成すると、ロック部材をロック位置とロック解除位置とへ移動させるための特別な駆動源が不要となる。
【0011】
上記の各構成において、記録メディアがその側面に凹部を有すると共に、ロック部材にこの凹部と係脱可能な受部が突設されており、これら凹部と受部の係合によって記録メディアのホルダからの脱落が防止されることが好ましく、このような構成を採用すると、共通のロック部材にホルダのロック切替機能と記録メディアの脱落防止機能とを持たせて構造を簡略化することができる。
【0012】
この場合において、ロック部材に受部と反対方向へ突出する作動部が設けられており、記録メディアの挿入時にこの作動部が筐体に設けられた係止部に侵入することにより、ロック部材のロック位置への移動が許容されると共に、ホルダの自動搬送時に作動部が筐体の内側面に対向することにより、ロック部材のロック位置への移動が禁止されることが好ましく、このような構成を採用すると、ホルダの自動搬送中に記録メディアが不用意に脱落することを確実に防止できる。
【0013】
また、上記の構成において、ロック部材はホルダにどのように支持されていても良いが、ロック部材がホルダに回動可能に支持されると共に、該ロック部材がばね部材によってアンロック位置方向へ弾性付勢されていると、記録メディアの挿入動作に伴ってロック部材を安定的に駆動できて好ましい。
【0014】
また、上記の構成において、搬送機構はホルダを筐体の手前位置と奥側位置との間で自動搬送できるものであれば良いが、この搬送機構が、モータを駆動源として回転する第1の回動アームと、この第1の回動アームに連動回転してホルダを駆動する第2の回動アームとを備え、これら第1および第2の回動アームを同軸上で回転可能に連結すると共に、第1および第2の回動アームが一体的に回転するように両者を互いに係合する方向へ弾性付勢すると、例えば、コネクタ接続後にユーザが記録メディアをホルダ内にさらに挿入したとき、第1の回動アームに対して第2の回動アームが回動することによってホルダの動きが吸収されるため、モータ側に連結された第1の回動アームに無理な力が作用することを防止できて好ましい。
【実施例】
【0015】
実施例について図面を参照して説明すると、図1は本発明の第1実施例に係る記録メディア駆動装置の待機状態を示す平面図、図2は該記録メディア駆動装置のメディア挿入初期状態を示す平面図、図3は該記録メディア駆動装置のメディア保持状態を示す平面図、図4は該記録メディア駆動装置のメディア搬送途中状態を示す平面図、図5は該記録メディア駆動装置のメディア搬送完了状態を示す平面図、図6は該記録メディア駆動装置に備えられるロック部材の動作説明図、図7(a)は該記録メディア駆動装置に使用される記録メディアの平面図、図7(b)は該記録メディアの側面図である。
【0016】
図1〜図5に示すように、本実施例に係る記録メディア駆動装置は、車室内の所定位置(例えばコンソール内)に設置される箱形の筐体1と、この筐体1の前面開口端に取り付けられた前面パネル2とを備えており、前面パネル2に開設された挿入口2aから筐体1に対して記録メディア3を挿入/排出できるようになっている。図7に示すように、記録メディア3は記録媒体としてのハードディスク(図示省略)を合成樹脂製のカートリッジ4内に収納したものであり、カートリッジ4の挿入側端面には可動側コネクタ5が設けられている。また、カートリッジ4の左右両側面には、挿入/排出方向へ延びるガイド溝4aと、クランプ用の凹部4bとが形成されている。
【0017】
筐体1の内部には前面を開放したホルダ6が配置されており、挿入口2aから筐体1内に挿入された記録メディア3はこのホルダ6に保持されるようになっている。ホルダ6内の最奥部には固定側コネクタ7が配設されており、記録メディア3の先端部がホルダ6の最奥部まで挿入されると、記録メディア3の可動側コネクタ5が固定側コネクタ7に接続されるようになっている。詳細な構造は図示省略されているが、可動側コネクタ5は複数のクリップ状メス型端子を所定ピッチで配列したものからなり、固定側コネクタ7は複数のピン状オス型端子をメス型端子と同ピッチで配列したものからなる。ホルダ6の上面には3本のピン6aが植設されており、これらピン6aが筐体1の上面に形成された直線状の各ガイド孔1aに案内されることにより、ホルダ6は図3に示すメディア挿入位置と図5に示すメディア装着位置との間を筐体1の前後方向(X1−X2方向)へ移動可能となっている。ホルダ6の左右両側壁6cの内側部にはガイド突起6bが形成されており、これらガイド突起6bに前述したカートリッジ4の両ガイド溝4aが案内されることにより、記録メディア3はホルダ6に対してスムーズに挿抜できるようになっている。また、ホルダ6の左右両側壁6cの外側において、このホルダ6の天面または底面には、ロック部材8が回転可能に支持されており、これらロック部材8はその回動軸に巻回された捩りコイルばね9の弾発力によってホルダ6の内方へ向けて付勢されている。ロック部材8の後述する受部8aは、ホルダ6の左右両側壁6cに形成された透孔6dからホルダ6内に進入可能となっている。ロック部材8はホルダ6に挿入される記録メディア3によって回転動作されるようになっており、ここでは詳細な動作説明を省略するが、このロック部材8は、ホルダ6に挿入された記録メディア3を保持する脱落防止機能と、ホルダ6を筐体1に対して一時的に固定状態とするロック切替機能とを併せ持っている。
【0018】
図6に示すように、このロック部材8の先端側には受部8aと作動部8bが一体形成されており、これら受部8aと作動部8bは互いに反対方向へ突出している。受部8aはホルダ6の内方へ突出してガイド突起6bの手前(X1側)に位置しているが、その反対に作動部8bはホルダ6の外方へ向けて突出しており、筐体1の左右両側面には作動部8bに対向する係止孔1bが形成されている。受部8aのX1側には、手前側に向かうにしたがってホルダ6から離れる方向へ傾斜する傾斜辺8cが形成されている。そして、記録メディア3の挿入時にカートリッジ4の側面が受部8aを押圧することにより、ロック部材8が捩りコイルばね9の弾発力に抗してホルダ6の外方へ回転し、それに伴って作動部8bが係止孔1bに侵入することにより、ホルダ6が筐体1に対して前後方向への動きが規制された固定状態となる。
【0019】
筐体1の図示左側方には低トルクのモータ10が設置されており、このモータ10の回転軸に取り付けられたウォームギヤ10aは減速歯車列11の最初段ギヤに噛合している。減速歯車列11の最終段ギヤは駆動部材12の図示左側面に設けられたラック13に噛合しており、駆動部材12とホルダ6との間には回動アーム14が介設されている。そして、モータ10の回転がウォームギヤ10aと減速歯車列11を介してラック13の直線運動に変換されることにより、駆動部材12が筐体1の前後方向(X1−X2方向)へ往復移動し、後述するように、この駆動部材12の前後進に伴って回動アーム14が回転してホルダ6をX1−X2方向へ搬送するようになっている。すなわち、これらモータ10と減速歯車列11と駆動部材12および回動アーム14によって、ホルダ6を筐体1の手前側のメディア挿入位置と奥側のメディア装着位置との間で自動搬送する搬送機構が構成されている。
【0020】
回動アーム14は回動軸15を中心として筐体1の上面に回転可能に支持されており、この回動軸15は駆動部材12に穿設された逃げ孔12aに挿入されている。回動アーム14は回動軸15を介して同軸で連結された第1の回動アーム16と第2の回動アーム17とで構成されており、第1の回動アーム16には第2の回動アーム17の回動を規制する一対の規制壁16a,16bが折曲形成されている。これら第1および第2の回動アーム16,17の端部には引っ張りばね18が張架されており、この引っ張りばね18によって第2の回動アーム17は第1の回動アーム16の手前側の規制壁16aに圧接する方向へ付勢されている。また、第1の回動アーム16に植設された駆動ピン16aは駆動部材12に係合しており、第2の回動アーム17の先端部に形成された長孔17aにはホルダ6に植設された中央のピン6aが挿入されている。これにより、駆動部材12の前後方向の移動が駆動ピン16aを介して第1の回動アーム16に伝達されると、第1および第2の回動アーム16,17が回動軸15を中心に一体的に回転し、それに伴って第2の回動アーム17に連結されたホルダ6が筐体1の前後方向(X1−X2方向)へ搬送される。ただし、第1の回動アーム16が停止しているときに、ホルダ6から第2の回動アーム17に矢印X2方向の外力が作用すると、引っ張りばね18の張力に抗して第2の回動アーム17のみが第1の回動アーム16の手前側の規制壁16aから奥側の規制壁16bへ向かって回転するため、かかる外力によって第1および第2の回動アーム16,17が損傷しないようになっている。
【0021】
また、筐体1の内部には第1および第2の検出スイッチ19,20が設置されており、これら第1および第2の検出スイッチ19,20からの信号に基づいてモータ10が始動/停止するようになっている。第1の検出スイッチ19は第2の回動アーム17によってオン/オフ動作され、第2の検出スイッチ20は駆動部材12に設けられたラック13の前端部によってオン/オフ動作される。
【0022】
次に、上述のごとく構成された記録メディア駆動装置の動作を説明する。
【0023】
図1は記録メディア3が筐体1内に挿入されていないイジェクト時の待機状態を示しており、この場合、ホルダ6は筐体1の最も手前側の前進位置にある。また、駆動部材12は筐体1の後方寄りに位置しており、回動アーム14の第2の回動アーム17は第1の回動アーム16の手前側の規制壁16aに圧接されている。さらに、図6(a)に示すように、ロック部材8はその受部8aがホルダ6のメディア挿入経路内に突出したアンロック位置にあり、このアンロック位置で作動部8bが筐体1の内側面から離間して係止孔1bに対向しているため、ホルダ6は筐体1に対する固定状態が解除されている。
【0024】
かかる待機状態において、図2に示すように、ユーザが記録メディア3を手動操作により挿入口2aから筐体1内のホルダ6に挿入し始めると、まず、記録メディア3の挿入方向におけるカートリッジ4の先端側両隅部がロック部材8の傾斜辺8cに当接してこの傾斜辺8cを押圧するため、両ロック部材8が捩りコイルばね9の弾発力に抗してアンロック位置からホルダ6の外方へ向かって回転し始める。そして、カートリッジ4の側面が両ロック部材8の受部8aを越える位置まで記録メディア3が挿入されると、図6(b)に示すように、ロック部材8がロック位置まで大きく回転して作動部8bが係止孔1b内に嵌入するため、ホルダ6が両ロック部材8を介して筐体1に係止された固定状態となる。ただし、この時点で記録メディア3の可動側コネクタ5はホルダ6内の固定側コネクタ7よりも手前位置にあり、可動側コネクタ5と固定側コネクタ7とは未接続状態となっている。
【0025】
ユーザが記録メディア3をさらにホルダ6の内部へ挿入すると、記録メディア3の挿入力を受けて可動側コネクタ5に固定側コネクタ7が嵌挿されるため、可動側コネクタ5と固定側コネクタ7とが接続状態となる。前述したように、この時点でホルダ6は筐体1に対して固定状態となっているため、ユーザからの大きな挿入力によって可動側コネクタ5と固定側コネクタ7とを確実に接続することができる。そして、ユーザが記録メディア3をホルダ6の最奥位置まで挿入すると、図6(c)に示すように、ロック部材8の受部8aがカートリッジ4の凹部4bに入り込むことにより、ロック部材8が捩りコイルばね9の弾性力でロック位置からアンロック位置に向かって回転するため、ホルダ6の筐体1に対する固定状態が再び解除される。すなわち、可動側コネクタ5と固定側コネクタ7とが接続完了した時点でロック部材8によるホルダ6のロック状態が解除され、その代わりにロック部材8の受部8aが凹部4bに入り込むため、図3のメディア挿入位置に示すように、記録メディア3が両ロック部材8によってホルダ6に保持された状態となる。この状態からユーザが記録メディア3を筐体1内にさらに押し込むと、ホルダ6がX2方向へ若干量移動して第2の回動アーム17を図示反時計方向へ押圧するため、第2の回動アーム17が第1の回動アーム16に対して微少角度だけ回転し、それに伴って第1の検出スイッチ19がオン動作してモータ10を始動させる。
【0026】
このようにしてモータ10が一方向へ回転し始めると、モータ10の回転がウォームギヤ10aと減速歯車列11を介してラック13の直線運動に変換されるため、図4に示すように、筐体1の後方寄りに位置していた駆動部材12が手前側(X1方向)へ移動し、それに伴って回動アーム14が回動軸15を中心に図示反時計方向へ回転する。すなわち、図3のメディア挿入位置から駆動部材12がX1方向へ移動開始すると、第1の回動アーム16の駆動ピン16aがX1方向へ押圧されるため、第1および第2の回動アーム16,17が回動軸15を中心に反時計方向へ一体的に回転し、第2の回動アーム17に連結されたホルダ6がX2方向へ搬送される。そして、図5に示すように、ホルダ6が筐体1の最も奥側のメディア装着位置まで搬送されると、第2の検出スイッチ20がラック13の前端部によってオン動作されてモータ10が停止し、ホルダ6に保持された記録メディア3は筐体1内に完全に収納された状態となる。なお、このときホルダ6に必要とされる駆動力は単に記録メディア3を搬送できる程度の小さな力で良いため、搬送機構の駆動源として低トルクのモータ10を使用することができ、ホルダ6の搬送スピードも速めることができる。
【0027】
また、装置内に装着された記録メディア3を排出する場合は、図示せぬイジェクト釦を操作すると、モータ10が逆方向へ回転を開始して上記と逆の動作が行われ、ホルダ6が図5のメディア装着位置から図3のメディア挿入位置までX1方向へ移動するため、ユーザは記録メディア3を筐体1の外部に排出することができる。この場合は、ホルダ6が図3のメディア挿入位置まで搬送された後に、ユーザが記録メディア3を手動操作でホルダ6から引き抜くことにより、ロック部材8が記録メディア3の挿入時と逆の動作を行うことになる。すなわち、記録メディア3の引抜力によって可動側コネクタ5が固定側コネクタ7から抜け出るとき、ロック部材8は図6(c)から図6(b)に示すように回転してホルダ6を筐体1に対して固定状態となし、この固定状態をカートリッジ4の先端側両隅部がロック部材8の受部8aから離れるまで維持した後、ロック部材8は図6(a)に示すアンロック位置に復帰する。
【0028】
なお、ホルダ6が図3のメディア挿入位置と図5のメディア装着位置間を搬送中に、ロック部材8の作動部8bは係止孔1bから離れて筐体1の内側面に摺接しあるいは僅かな隙間を介して対向するため、ロック部材8の自由な回転が作動部8bと筐体1内側面との対向によって阻止されることになる。したがって、例えばホルダ6の搬送中にユーザが記録メディア3を無理に引き抜こうとし、それに伴ってロック部材8にホルダ6の外方へ回転しようとする力が作用した場合でも、ロック部材8の受部8aがカートリッジ4の凹部4bから外れることはなく、記録メディア3のホルダ6からの脱落を確実に防止することができる。
【0029】
図8は本発明の第2実施例に係る記録メディア駆動装置のメディア保持状態を示す要部平面図、図9は該記録メディア駆動装置のメディア搬送完了状態を示す要部平面図であり、図1〜図7に対応する部分には同一符号を付してある。
【0030】
本実施例に係る記録メディア駆動装置が前述した第1実施例と相違する点は、モータ10の駆動力をカム板21を介して回動アーム14(第1および第2の回動アーム16,17)に伝達するようにしたことにあり、それ以外の構成は基本的に同じである。このカム板21は筐体1に回動可能に支持されており、その外周面に刻設されたギヤ部21aが減速歯車列11の最終段ギヤに噛合することにより、モータ(図示省略)を駆動源として正逆両方向へ回転できるようになっている。カム板21にはその回転軸21bからの距離を異にするカム溝22が設けられており、このカム溝22に第1の回動アーム16に植設された駆動ピン16aが係合している。カム溝22はカム板21の回転方向に沿って所定角度範囲で連続しているが、カム溝22の一端22aは回転軸21bの近傍にあり、カム溝22の他端22bは回転軸21bから最も遠い距離にある。
【0031】
このように構成された記録メディア駆動装置では、図8に示すように、記録メディアがホルダ6に挿入・保持されたメディア挿入位置において、前述した第1実施例と同様に記録メディア3の可動側コネクタ5とホルダ6内の固定側コネクタ7とは接続状態にあり、また、第1の回動アーム16の駆動ピン16aはカム板21に設けられたカム溝22の一端22aに係合している。この状態からモータを駆動源としてカム板21が図示反時計方向へ回転すると、第1の回動アーム16側の駆動ピン16aがカム溝22内を一端22aから他端22bに向かってトレースするため、図9に示すように、回動アーム14(第1および第2の回動アーム16,17)が回動軸15を中心に図示反時計方向へ回転してホルダ6をメディア装着位置まで搬送する。
【0032】
なお、上記実施例では、記録メディア3として磁気ディスクであるハードディスクを内蔵したカートリッジ4を例示したが、半導体メモリや光ディスクを内蔵するカード型あるいはカートリッジ型記録メディア等であっても良い。
【0033】
また、ロック部材8は記録メディア3の挿入力によってロック位置とアンロック位置との間を移動するものに限らず、記録メディア3が図3に示す位置まで挿入されて可動側コネクタ5と固定側コネクタ7とが接続されたことを電気的に検知し、その検知結果に基づいてロック部材8をロック位置からアンロック位置へ移動させるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施例に係る記録メディア駆動装置の待機状態を示す平面図である。
【図2】該記録メディア駆動装置のメディア挿入初期状態を示す平面図である。
【図3】該記録メディア駆動装置のメディア保持状態を示す平面図である。
【図4】該記録メディア駆動装置のメディア搬送途中状態を示す平面図である。
【図5】該記録メディア駆動装置のメディア搬送完了状態を示す平面図である。
【図6】該記録メディア駆動装置に備えられるロック部材の動作説明図
【図7】該記録メディア駆動装置に使用される記録メディアの説明図である。
【図8】本発明の第2実施例に係る記録メディア駆動装置のメディア保持状態を示す要部平面図である。
【図9】該記録メディア駆動装置のメディア搬送完了状態を示す要部平面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 筐体
1b 係止孔
2 前面パネル
2a 挿入口
3 記録メディア
4 カートリッジ
4a ガイド溝
4b 凹部
5 可動側コネクタ
6 ホルダ
6a ピン
6b ガイド突起
7 固定側コネクタ
8 ロック部材
8a 受部
8b 作動部
9 捩りコイルばね
10 モータ
11 減速歯車列
12 駆動部材
13 ラック
14 回動アーム
15 回動軸
16 第1の回動アーム
16a 駆動ピン
17 第2の回動アーム
17a 長孔
18 引っ張りばね
21 カム板
21a ギヤ部
22 カム溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に挿入された記録メディアを保持可能なホルダと、このホルダの奥部に配設された固定側コネクタと、モータを駆動源とする搬送機構とを備え、この搬送機構によって前記ホルダが前記筐体の手前位置と奥側位置との間で自動搬送されると共に、前記記録メディアの挿入方向先端側に設けられた可動側コネクタが前記ホルダに設けられた前記固定側コネクタに接続される記録メディア駆動装置であって、
前記可動側コネクタと前記固定側コネクタとの接続中に前記ホルダを前記筐体に対して固定状態とするロック部材を設け、前記可動側コネクタと前記固定側コネクタとの接続完了後に、前記ロック部材をアンロック位置に復帰させて前記ホルダの固定状態を解除するように構成したことを特徴とする記録メディア駆動装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記ロック部材は前記ホルダに設けられており、前記ホルダへの前記記録メディアの挿入力により、前記ロック部材が、前記ホルダを前記筐体に対して固定状態となるロック位置に移動することを特徴とする記録メディア駆動装置。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、前記記録メディアがその側面に凹部を有すると共に、前記ロック部材に前記凹部と係脱可能な受部が突設されており、これら凹部と受部の係合によって前記記録メディアの前記ホルダからの脱落が防止されることを特徴とする記録メディア駆動装置。
【請求項4】
請求項3の記載において、前記ロック部材に前記受部と反対方向へ突出する作動部が設けられており、前記記録メディアの挿入時に前記作動部が前記筐体に設けられた係止部に侵入することにより、前記ロック部材のロック位置への移動が許容されると共に、前記ホルダの自動搬送時に前記作動部が前記筐体の内側面に対向することにより、前記ロック部材のロック位置への移動が禁止されることを特徴とする記録メディア駆動装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項の記載において、前記ロック部材が前記ホルダに回動可能に支持されると共に、該ロック部材がばね部材によってアンロック位置方向へ弾性付勢されていることを特徴とする記録メディア駆動装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項の記載において、前記搬送機構が、モータを駆動源として回転する第1の回動アームと、この第1の回動アームに連動回転して前記ホルダを駆動する第2の回動アームとを備え、これら第1および第2の回動アームを同軸上で回転可能に連結すると共に、前記第1および第2の回動アームが一体的に回転するように両者を互いに係合する方向へ弾性付勢したことを特徴とする記録メディア駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−35216(P2007−35216A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−220749(P2005−220749)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】