説明

記録再生撮影通信装置

【課題】 テープメディアしか想定していないPC動画編集アプリでも、カメラモードやAV/DVスルーの映像を取り込める様にする。
【解決手段】 カメラモードやAV/DVスルーの時はステータスコマンドに対して実際のメカステータスを返さない。代わりにISO出力中ならPLAY、ISO停止中ならSTOPのステータスを返す。またPLAY/STOPのコントロールコマンドに対してISO出力を制御し、テープメディアが動いているかの様に振舞う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテープやディスクに映像を記録するビデオカメラ、特にテープやディスク以外にカメラ撮影中の映像や固体メモリ内の映像や外部機器からの映像をデジタルデータとして出力する事が出来、尚且つ外部機器からデジタルインターフェースを通して制御可能なビデオカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりパーソナルコンピュータ(以降PC)の映像編集アプリケーションからデジタルインターフェースを介して制御されるビデオカメラがあった。図3に構成の一例を示す。ビデオカメラ(301)にはカメラ部(302)、メモリカード等の固体メモリ記録再生部(303)、アナログライン入力部(304)、A/D変換圧縮処理部(306)、テープメディア記録再生部(305)があり、この中から切り換え手段(308)で選択された映像データがデータ処理部(309)で送信データとされ1394インターフェース部(311)を通して編集アプリケーション等が起動しているPC等の外部機器にアイソクロナス通信で出力される。切り換え手段(308)はユーザーが操作部(307)を操作する事によって切り替える。一方編集アプリケーション等が起動しているPC等の外部機器から1394インターフェース部(311)を通してアシンクロナス通信で入力されたテープメディア記録再生部(305)に対するステータス問い合わせデータは制御部(310)に送られる。制御部(310)はテープメディア記録再生部(305)の状態をステータス問い合わせに対する返信データとして1394インターフェース部(311)を通して外部機器に送り返す。例えばテープメディアが再生中であれば再生ステータスデータを送り返し、テープメディアが停止中であれば停止ステータスデータを送り返す。
【0003】
編集アプリケーション等が起動しているPC等の外部機器からはステータス問い合わせだけでなく制御コマンドも送られてくる。例えばテープメディアを再生させるコマンドや停止させるコマンドである。受信したコマンドデータは制御部(310)で判断される。例えばテープメディアを再生させるコマンドを受信した場合、制御部(310)はテープメディア記録再生部(305)を停止状態から再生状態に遷移させる。同時にテープメディアを再生させるコマンドを受理した事を表す返信データを外部機器に送り返す。テープメディアが再生されるとテープメディアに記録されている映像データがアイソクロナス通信で出力される。
【0004】
この様にして外部機器の編集アプリケーションはビデオカメラをリモート制御しながらテープメディアの任意の場所に記録されている映像データを取り込む。外部機器であるPCの編集アプリケーションの画面の一例を図4に示す。画面(401)は編集アプリケーションが起動しているPC画面の一例である。プレビュー部分(402)にはビデオカメラから送られてきた映像を表示したり既に取り込んだ映像クリップの再生映像を表示する。制御ボタン部(403)はユーザーがマウスポインタ(406)を使ってビデオカメラをリモート制御するためのボタンが表示されている。映像クリップ表示部(404)には取り込んだ映像クリップ(405)のサムネールが表示されている。編集操作部(407)は映像クリップを並び替えて編集作業を行う部分で、ユーザーは映像クリップ表示部(404)にある取り込んだクリップ(405)の中から気に入った映像クリップをマウスポインタ(406)で編集操作部(407)に移動させ、並び替え等を行い編集する。
【0005】
又、従来例としては、例えば特許文献1をあげることが出来る。
【特許文献1】特開平11−355705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら従来例のビデオカメラの例でユーザーが映像データの出力元をテープメディア記録再生部(305)以外のカメラ部(302)、メモリカード等の固体メモリ記録再生部(303)もしくはA/D変換圧縮処理部(306)を通したアナログライン入力部(304)に選択している場合は従来例で述べた様なテープメディアを対象としているPCの編集アプリケーションで映像が取り込めない場合があった。以下例を説明する。
【0007】
例えばユーザーが1394インターフェース部(311)から出力される映像データの出力元をカメラ部(302)に切り換えていたとする。このときカメラ部からの映像データはアイソクロナス通信で1394インターフェース部(311)から出力される。しかしながらテープメディア記録再生部(305)に対して送られてきたステータス問い合わせに対してはテープメディアが停止中は停止ステータスデータを送り返す。すると編集アプリケーションによってはテープメディアが停止中の時はプレビュー画面に映像を表示しなかったり、または取り込まないといった動作になり、ユーザーはカメラ部(302)の画像を編集用に取り込むことが出来なかった。
【0008】
ステータス問い合わせや制御コマンドに対する従来のビデオカメラの返信データの例を図5に示す。(501)は受信したデータの種類で例えばステータス問い合わせ、テープメディア再生コマンドやテープメディア停止コマンドである。(502)はユーザーが選択している映像の出力元とテープメディアの実際のステータスを表す。例えばテープ再生中モード、テープ停止中モード、カメラモード、メモリモード、ライン入力モードである。例えばユーザーが映像の出力元をテープに選択してテープを再生している時には再生ステータスが返り、テープを停止している時には停止ステータスが返り、テープ以外のカメラやメモリやライン入力を選択している時には停止のステータスが返る。また制御コマンドに対してはテープを選択している時は再生や停止のコマンドは受理されるが、カメラやメモリやライン入力を選択している時にはコマンドが拒否される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記欠点を克服するため本発明のビデオカメラはテープやディスクメディアから再生された映像、カメラ撮影中の映像、固体メモリから再生された映像、アナログ入力された映像等を選択する切り換え手段と、選択された映像をデジタルデータとして出力するデジタルインターフェース手段と、デジタルインターフェース手段を通してテープやディスクメディアに対するステータス問い合わせを受信した時に、デジタルインターフェース手段から出力する映像データがテープやディスクメディアから再生された映像データとなる様に選択されている場合はステータス問い合わせに対してテープやディスクメディアのステータスを返信データとして応答する手段と、デジタルインターフェース手段を通してテープやディスクメディアのステータス問い合わせを受信した時にデジタルインターフェース手段から出力する映像データがテープやディスクメディア以外のカメラ撮影中の映像、固体メモリから再生された映像、アナログ入力された映像等のデータとなる様に選択されている場合はステータス問い合わせに対して、映像データ出力中であればテープやディスクメディアを再生している時と同じテープやディスクメディアのステータスを返信データとして応答し、映像データ出力停止中であればテープやディスクメディアを停止している時と同じテープやディスクメディアのステータスを返信データとして応答する手段を設ける。
【0010】
または、テープやディスクメディアから再生された映像、カメラ撮影中の映像、固体メモリから再生された映像、アナログ入力された映像等を選択する切り換え手段と、選択された映像をデジタルデータとして出力するデジタルインターフェース手段と、デジタルインターフェース手段を通してテープやディスクメディアに対する制御コマンドを受信した時に、デジタルインターフェース手段から出力する映像データがテープやディスクメディアから再生された映像データとなる様に選択されている場合は制御コマンドに対してテープやディスクメディアを制御する手段と、デジタルインターフェース手段を通してテープやディスクメディアに対する制御コマンドを受信した時にデジタルインターフェース手段から出力する映像データがテープやディスクメディア以外のカメラ撮影中の映像、固体メモリから再生された映像、アナログ入力された映像等のデータとなる様に選択されている場合は制御コマンドに対して映像データを出力もしくは停止の制御を行う手段を設る。
【発明の効果】
【0011】
以上説明した様に本発明によれば、テープやディスクメディアから再生された映像、カメラ撮影中の映像、固体メモリから再生された映像、アナログ入力された映像等を選択する切り換え手段と、選択された映像をデジタルデータとして出力するデジタルインターフェース手段と、デジタルインターフェース手段を通してテープやディスクメディアに対するステータス問い合わせを受信した時に、デジタルインターフェース手段から出力する映像データがテープやディスクメディアから再生された映像データとなる様に選択されている場合はステータス問い合わせに対してテープやディスクメディアのステータスを返信データとして応答する手段と、デジタルインターフェース手段を通してテープやディスクメディアのステータス問い合わせを受信した時にデジタルインターフェース手段から出力する映像データがテープやディスクメディア以外のカメラ撮影中の映像、固体メモリから再生された映像、アナログ入力された映像等のデータとなる様に選択されている場合はステータス問い合わせに対して、映像データ出力中であればテープやディスクメディアを再生している時と同じテープやディスクメディアのステータスを返信データとして応答し、映像データ出力停止中であればテープやディスクメディアを停止している時と同じテープやディスクメディアのステータスを返信データとして応答する手段を設ける。
【0012】
または、テープやディスクメディアから再生された映像、カメラ撮影中の映像、固体メモリから再生された映像、アナログ入力された映像等を選択する切り換え手段と、選択された映像をデジタルデータとして出力するデジタルインターフェース手段と、デジタルインターフェース手段を通してテープやディスクメディアに対する制御コマンドを受信した時に、デジタルインターフェース手段から出力する映像データがテープやディスクメディアから再生された映像データとなる様に選択されている場合は制御コマンドに対してテープやディスクメディアを制御する手段と、デジタルインターフェース手段を通してテープやディスクメディアに対する制御コマンドを受信した時にデジタルインターフェース手段から出力する映像データがテープやディスクメディア以外のカメラ撮影中の映像、固体メモリから再生された映像、アナログ入力された映像等のデータとなる様に選択されている場合は制御コマンドに対して映像データを出力もしくは停止の制御を行う手段を設けた事により、テープメディアを対象にしているPCの編集アプリケーションでもテープメディア以外のカメラやメモリやラインからの映像を編集用に取り込む事が出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施例1)
本案を実施した場合の外部機器からのステータス問い合わせに対する応答の例を図1に示す。(101)は従来例と同様にユーザーが選択している映像の出力元とテープメディアの実際のステータスを表す。本案ではユーザーがテープメディアを選択している場合は従来例と同様にテープメディアの実際のステータスを返す。ユーザーがテープメディア以外のカメラやメモリやラインを選択している時は再生ステータスを返す。この様に構成する事で従来例で述べた様なPCの編集アプリケーションはビデオカメラから出力されてくる映像がテープメディアから出力されて来ていると判断し、実際はカメラやメモリやラインが出力元であるデータを取り込む事が出来る。
【0014】
(実施例2)
本案を実施した場合の外部機器からの制御コマンド対する応答の例を図2に示す。コマンドとしては例えば再生(201)や停止(202)である。ユーザーがテープメディアを選択している時には従来例と同様にテープメディアを制御する。よってテープを再生させれば映像データが出力されるし、テープを停止させれば映像データの出力も停止する。ユーザーがテープメディア以外のカメラやメモリやラインを選択している時は再生コマンドに対しては実際にテープメディアを制御するのではなく、選択されている映像出力元からの映像データの出力を開始するだけである。また停止コマンドが送られてきた場合にも実際にテープメディアを制御するのではなく、選択されている映像出力元からの映像データの出力を停止するだけである。この様に構成する事で従来例で述べた様なPCの編集アプリケーションはテープメディア以外のカメラやメモリやラインが選択されている時にも制御内容と映像データの有無の関係がテープメディアが選択されている時と同様になり、データの取り込みが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本案を実施した場合の返信ステータスデータ
【図2】本案を実施した場合のコマンドに対する動作
【図3】ビデオカメラの構成例
【図4】PCのアプリケーションの画面例
【図5】従来の返信ステータスデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープやディスクメディアから再生された映像、カメラ撮影中の映像、固体メモリから再生された映像、アナログ入力された映像等を選択する切り換え手段と、選択された映像をデジタルデータとして出力するデジタルインターフェース手段と、デジタルインターフェース手段を通してテープやディスクメディアに対するステータス問い合わせを受信した時に、デジタルインターフェース手段から出力する映像データがテープやディスクメディアから再生された映像データとなる様に選択されている場合はステータス問い合わせに対してテープやディスクメディアのステータスを返信データとして応答する手段と、デジタルインターフェース手段を通してテープやディスクメディアのステータス問い合わせを受信した時にデジタルインターフェース手段から出力する映像データがテープやディスクメディア以外のカメラ撮影中の映像、固体メモリから再生された映像、アナログ入力された映像等のデータとなる様に選択されている場合はステータス問い合わせに対して、映像データ出力中であればテープやディスクメディアを再生している時と同じテープやディスクメディアのステータスを返信データとして応答し、映像データ出力停止中であればテープやディスクメディアを停止している時と同じテープやディスクメディアのステータスを返信データとして応答する手段を設けた事を特徴とする記録再生撮影通信装置。
【請求項2】
テープやディスクメディアから再生された映像、カメラ撮影中の映像、固体メモリから再生された映像、アナログ入力された映像等を選択する切り換え手段と、選択された映像をデジタルデータとして出力するデジタルインターフェース手段と、デジタルインターフェース手段を通してテープやディスクメディアに対する制御コマンドを受信した時に、デジタルインターフェース手段から出力する映像データがテープやディスクメディアから再生された映像データとなる様に選択されている場合は制御コマンドに対してテープやディスクメディアを制御する手段と、デジタルインターフェース手段を通してテープやディスクメディアに対する制御コマンドを受信した時にデジタルインターフェース手段から出力する映像データがテープやディスクメディア以外のカメラ撮影中の映像、固体メモリから再生された映像、アナログ入力された映像等のデータとなる様に選択されている場合は制御コマンドに対して映像データを出力もしくは停止の制御を行う手段を設けた事を特徴とする記録再生撮影通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−81961(P2007−81961A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−268657(P2005−268657)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】