説明

記録再生装置、記録制御方法

【課題】位置案内子が非形成の記録層に追記を行う場合に、skewや偏芯が変化しても既記録マーク列に対する追記マーク列の重なりや交差を防止する。
【解決手段】新たに装着された既記録の光記録媒体に対してマークの追記を行う場合、既記録のマークにトラッキングサーボをかけた状態でサーボ用駆動信号値を1周分にわたって取得(学習)し、マークの追記は取得した1周分の学習値を用いたFF制御(フィードフォーワード制御)によりスポット位置を制御しつつ行う。これにより、ディスク交換で偏芯等が変化しても、スポット位置を既記録のトラックに沿って動かすことができ、マーク列の重なりや交差を防止できる。FF制御のためトラックオフセット量は1トラック幅以上に設定でき、また従来の2ビームのセルフトラッキングと同様の機能を装置構成の複雑化やコストアップの防止を図りつつ実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク状の光記録媒体についての記録再生を行う記録再生装置とその記録制御方法とに関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2008−135144号公報
【特許文献2】特開2008−176902号公報
【特許文献3】特開2009−9635号公報
【特許文献4】特開2009−140568号公報
【特許文献5】特開2009−163811号公報
【背景技術】
【0003】
光の照射により信号の記録/再生が行われる光記録媒体として、例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)などのいわゆる光ディスクが普及している。
【0004】
これらCD、DVD、BDなど現状において普及している光記録媒体の次世代を担うべき光記録媒体に関して、先に本出願人は、上記特許文献1や上記特許文献2に記載されるようないわゆるバルク記録型の光記録媒体を提案している。
【0005】
ここで、バルク記録とは、例えば図56に示すようにして少なくともカバー層101とバルク層(記録層)102とを有する光記録媒体(バルク型記録媒体100)に対し、逐次焦点位置を変えてレーザ光照射を行ってバルク層102内に多層記録を行うことで、大記録容量化を図る技術である。
【0006】
このようなバルク記録に関して、上記特許文献1には、いわゆるマイクロホログラム方式と呼ばれる記録技術が開示されている。
このマイクロホログラム方式では、バルク層102の記録材料として、いわゆるホログラム記録材料が用いられる。ホログラム記録材料としては、例えば光重合型フォトポリマ等が広く知られている。
【0007】
マイクロホログラム方式は、大別して、ポジ型マイクロホログラム方式とネガ型マイクロホログラム方式との2つに分かれる。
ポジ型マイクロホログラム方式は、対向する2つの光束(光束A、光束B)を同位置に集光して微細な干渉縞(ホログラム)を形成し、これを記録マークとする手法である。
【0008】
また、ネガ型マイクロホログラム方式は、ポジ型マイクロホログラム方式とは逆の発想で、予め形成しておいた干渉縞をレーザ光照射により消去して、当該消去部分を記録マークとする手法である。このネガ型マイクロホログラム方式では、記録動作を行う前に、予めバルク層102に対して干渉縞を形成するための初期化処理を行うことになる。具体的にこの初期化処理としては、平行光による光束を対向して照射し、それらの干渉縞をバルク層102の全体に形成する。
そして、このように初期化処理により予め干渉縞を形成しておいた上で、消去マークの形成による情報記録を行う。すなわち、任意の層位置にフォーカスを合わせた状態で記録情報に応じたレーザ光照射を行うことで、消去マークによる情報記録を行うものである。
【0009】
また、本出願人は、マイクロホログラム方式とは異なるバルク記録の手法として、例えば特許文献2に開示されるようなボイド(空孔、空包)を記録マークとして形成する記録手法も提案している。
ボイド記録方式は、例えば光重合型フォトポリマなどの記録材料で構成されたバルク層102に対して、比較的高パワーでレーザ光照射を行い、上記バルク層102内に空孔(ボイド)を記録する手法である。特許文献2に記載されるように、このように形成された空孔部分は、バルク層102内における他の部分と屈折率が異なる部分となり、それらの境界部分で光の反射率が高められることになる。従って上記空孔部分は記録マークとして機能し、これによって空孔マークの形成による情報記録が実現される。
【0010】
このようなボイド記録方式は、ホログラムを形成するものではないので、記録にあたっては片側からの光照射を行えば済むものとできる。すなわち、ポジ型マイクロホログラム方式の場合のように2つの光束を同位置に集光して記録マークを形成する必要は無いものとできる。
また、ネガ型マイクロホログラム方式との比較では、初期化処理を不要にできるというメリットがある。
なお、特許文献2には、ボイド記録を行うにあたり記録前のプリキュア光の照射を行う例が示されているが、このようなプリキュア光の照射は省略してもボイドの記録は可能である。
【0011】
ところで、上記のような各種の記録手法が提案されているバルク記録型(単にバルク型とも称する)の光ディスク記録媒体であるが、このようなバルク型の光ディスク記録媒体の記録層(バルク層)は、例えば反射膜が複数形成されるという意味での明示的な多層構造を有するものではない。すなわち、バルク層102においては、通常の多層ディスクが備えているような記録層ごとの反射膜、及び案内溝は設けられていない。
従って、先の図56に示したバルク型記録媒体100の構造のままでは、マークが未形成である記録時において、フォーカスサーボやトラッキングサーボを行うことができないことになる。
【0012】
このため実際において、バルク型記録媒体100に対しては、次の図57に示すような案内溝を有する基準となる反射面(基準面)を設けるようにされている。
具体的には、カバー層101の下面側に例えばピットやグルーブの形成による案内溝(位置案内子)がスパイラル状又は同心円状に形成され、そこに選択反射膜103が成膜される。そして、このように選択反射膜103が成膜されたカバー層102の下層側に対し、図中の中間層104としての、例えばUV硬化樹脂などの接着材料を介してバルク層102が積層される。
ここで、上記のようなピットやグルーブ等による案内溝の形成により、例えば半径位置情報や回転角度情報などの絶対位置情報(アドレス情報)の記録が行われている。以下の説明では、このような案内溝が形成され絶対位置情報の記録が行われた面(この場合は上記選択反射膜103の形成面)のことを、「基準面Ref」と称する。
【0013】
また、上記のような媒体構造とした上で、バルク型記録媒体100に対しては、次の図58に示されるようにマークの記録(又は再生)のためのレーザ光(以下、録再用レーザ光、或いは単に録再光とも称する)とは別途に、位置制御用のレーザ光としてのサーボ用レーザ光(単にサーボ光とも称する)を照射するようにされる。
図示するようにこれら録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とは、共通の対物レンズを介してバルク型記録媒体100に照射される。
【0014】
このとき、仮に、上記サーボ用レーザ光がバルク層102に到達してしまうと、当該バルク層102内におけるマーク記録に悪影響を与える虞がある。このため、従来よりバルク記録方式では、上記サーボ用レーザ光として、録再用レーザ光とは波長帯の異なるレーザ光を用いるものとした上で、基準面Refに形成される反射膜としては、サーボ用レーザ光は反射し、録再用レーザ光は透過するという波長選択性を有する選択反射膜103を設けるものとしている。
【0015】
以上の前提を踏まえた上で、図58を参照し、バルク型記録媒体100に対するマーク記録時の動作について説明する。
先ず、案内溝や反射膜の形成されていないバルク層102に対して多層記録を行うとしたときには、バルク層102内の深さ方向においてマークを記録する層位置を何れの位置とするかを予め定めておくことになる。図中では、バルク層102内においてマークを形成する層位置(マーク形成層位置:情報記録層位置とも呼ぶ)として、第1情報記録層位置L1〜第5情報記録層位置L5の計5つの情報記録層位置Lが設定された場合を例示している。図示するように第1情報記録層位置L1は、案内溝が形成された選択反射膜103(基準面Ref)からフォーカス方向(深さ方向)に第1オフセットof-L1分だけ離間した位置として設定される。また、第2情報記録層位置L2、第3情報記録層位置L3、第4情報記録層位置L4、第5情報記録層位置L5は、それぞれ基準面Refから第2オフセットof-L2分、第3オフセットof-L3分、第4オフセットof-L4分、第5オフセットof-L5分だけ離間した位置として設定される。
【0016】
マークが未だ形成されていない記録時においては、録再用レーザ光の反射光に基づいてバルク層102内の各層位置を対象としたフォーカスサーボ、トラッキングサーボを行うことはできない。従って、記録時における対物レンズのフォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御は、サーボ用レーザ光の反射光に基づき、当該サーボ用レーザ光のスポット位置が基準面Refにおいて案内溝に追従するようにして行うことになる。
【0017】
但し、上記録再用レーザ光は、マーク記録のために基準面Refよりも下層側に形成されたバルク層102に到達させる必要がある。このため、この場合の光学系には、対物レンズのフォーカス機構とは別途に、録再用レーザ光の合焦位置を独立して調整するための録再光用フォーカス機構が設けられることになる。
【0018】
ここで、このような録再光用レーザ光の合焦位置を独立して調整するための機構を含めた、バルク型記録媒体100の記録再生を行うための光学系の概要を図59に示しておく。
図59において、図58にも示した対物レンズは、図示するように2軸アクチュエータによりバルク型記録媒体100の半径方向(トラッキング方向)、及びバルク型記録媒体100に接離する方向(フォーカス方向)に変位可能とされている。
【0019】
この図59において、録再用レーザ光の合焦位置を独立して調整するための機構は、図中のフォーカス機構(エキスパンダ)が該当する。具体的に、このエキスパンダとしてのフォーカス機構は、固定レンズと、レンズ駆動部により録再用レーザ光の光軸に平行な方向に変位可能に保持された可動レンズとを備えて構成されており、上記レンズ駆動部により上記可動レンズが駆動されることで、図中の対物レンズに入射する録再用レーザ光のコリメーションが変化し、それにより録再用レーザ光の合焦位置がサーボ用レーザ光とは独立して調整されるようになっている。
【0020】
また、上述のように録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とはそれぞれ波長帯が異なるものとされているので、これに対応しこの場合の光学系では、図中のダイクロイックプリズムにより、録再用レーザ光、サーボ用レーザ光のバルク型記録媒体100からの反射光がそれぞれの系に分離されるように(つまりそれぞれの反射光検出を独立して行えるように)している。
また、往路光で考えた場合、上記ダイクロイックプリズムは、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とを同一軸上に合成して対物レンズに入射させる機能を有する。具体的にこの場合、録再用レーザ光は、図示するように上記エキスパンダを介しミラーで反射された後、上記ダイクロイックプリズムの選択反射面で反射されて対物レンズに対して入射する。一方、サーボ用レーザ光は、上記ダイクロイックプリズムの選択反射面を透過して対物レンズに対して入射する。
【0021】
図60は、バルク型記録媒体100の再生時におけるサーボ制御について説明するための図である。
マーク記録が既に行われたバルク型記録媒体100について再生を行う際は、記録時のように対物レンズの位置をサーボ用レーザ光の反射光に基づいて制御する必要性はない。すなわち、再生時においては、再生対象とする情報記録層位置L(再生時については情報記録層Lとも称する)に形成されたマーク列を対象として、録再用レーザ光の反射光に基づいて対物レンズのフォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御を行えばよい。
【0022】
上記のようにしてバルク記録方式においては、バルク型記録媒体100に対し、マーク記録/再生を行うための録再光と位置制御用光としてのサーボ光とを共通の対物レンズを介して(同一光軸上に合成して)照射するようにした上で、記録時においては、サーボ光が基準面Refの位置案内子に追従するように対物レンズのフォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御を行い且つ、録再光用フォーカス機構により録再光の合焦位置を別途調整することによって、バルク層102内に位置案内子が形成されていなくとも、バルク層102内の所要の位置(深さ方向及びトラッキング方向)に対してマーク記録ができるように図られている。
また、再生時には、既に記録されたマーク列に録再光の焦点位置が追従するようにして当該録再用レーザ光の反射光に基づく対物レンズのフォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御を行うことで、バルク層102内に記録されたマークの再生を行うことができる。
【0023】
ここで、上記により説明してきたようなバルク記録方式を採用する場合には、いわゆるskew(チルト)の発生や、ディスク偏芯に伴う対物レンズのレンズシフトの発生に伴い、録再光とサーボ光とに、記録面内方向におけるスポット位置ずれが生じることが知られている。
【0024】
図61は、skewの発生に伴う録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とのスポット位置ずれを模式的に示している。
図61(a)に示すskew無しの状態では、サーボ用レーザ光と録再用レーザ光のスポット位置は記録面内方向において一致している。これに対し、図61(b)に示すようなskewの発生に応じては、サーボ用レーザ光と録再用レーザ光とに光軸のずれが生じ、図中に示すようなスポット位置ずれΔxが生じてしまう。
【0025】
また図62は、レンズシフトに伴う録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とのスポット位置ずれを模式的に示している。
図62(a)に示すレンズシフト無しの状態では、対物レンズが基準位置にあり、対物レンズの中心と該対物レンズに入射する各レーザ光の光軸cとが一致している。光学系は、このように対物レンズが基準位置にある状態において、各レーザ光の記録面内方向におけるスポット位置が一致するように設計されている。
【0026】
これに対し、トラッキングサーボ制御により図62(b)に示すようにディスク偏芯に追従するようにして対物レンズが基準位置からシフトしてしまった場合(この場合は紙面左方向へのシフトとしている)には、図中に示すようなスポット位置ずれΔxが生じる。
このようなレンズシフト起因のスポット位置ずれは、対物レンズに対するサーボ用レーザ光と録再用レーザ光の入射態様の差によって生じるものとなる。具体的には、サーボ用レーザ光は対物レンズに対して略平行光により入射するのに対し、録再用レーザ光は非平行光により入射することに起因するものである。
【0027】
このようなskewやレンズシフトに起因したサーボ用レーザ光と録再用レーザ光のスポット位置ずれが生じることによっては、バルク層102内における情報記録位置のずれが生じてしまう。つまり、先の説明からも理解されるように、記録時における録再用レーザ光のスポット位置は、サーボ用レーザ光の反射光に基づく対物レンズのトラッキングサーボ制御が行われることで所望位置に制御されるべきものとされているので、上記のようなスポット位置ずれの発生に応じては、バルク層102内の意図した位置に記録を行うことができなくなってしまうものである。
【0028】
このとき、skew・偏芯の発生量やトラックピッチ(位置案内子の形成間隔)の設定によっては、隣接するトラック間で情報記録位置が重なってしまう虞がある。具体的にディスクの偏芯やskewは、スピンドルモータへのディスクのクランプのされかたなどにより、ディスクが装填されるごとに異なる態様で発生することがあるので、例えば或るディスクについてディスク付け替えを伴う追記を行ったとき、前回の記録時に生じていたskew・偏芯の態様と追記時に生じるskew・偏芯の態様とが異なることに起因して、既記録部分のマーク列と追記部分のマーク列とに重なりが生じたり、場合によっては交差してしまうという問題が生じるものである。
このようであると、正しく記録信号を再生することはできなくなる。
【0029】
このようなマーク列の重なりや交差の発生を防止するための一つの手法として、基準面Refにおけるトラックピッチを広めに設定しておくということを挙げることができる。
しかしながら、このように基準面Refのトラックピッチを広げた場合には、当然のことながらバルク層102における記録容量の縮小化を招くものとなってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
ここで、上記のようなskewやレンズシフトに伴う記録マーク列の重なりや交差の発生を防止しつつ、バルク層102の記録容量の低下の防止を図るための手法の1つとしては、いわゆるセルフトラッキングの手法を挙げることができる。
セルフトラッキングとは、位置案内子の形成されていない記録層を対象としてマーク列を所要位置に記録するための技術であり、具体的には、記録を担う記録用ビームと共に、その内周側となる位置にサイドビームを生成・照射するものとした上で、既記録マーク列に対し上記サイドビームでトラッキングサーボをかけた状態で、上記記録用ビームによる記録を行うことで、記録済みマーク列に対するマークの形成間隔が記録ビームスポットと上記サイドスポットとの間隔で保たれるようにして、マーク列の重なりや交差が発生しないようにするものである。
【0031】
図63は、このようなセルフトラッキングの手法をバルク記録に適用した場合の具体的な記録動作について説明するための図である。
なお図中において、柄入りの丸によるスポットS-sv&S-rpMは、サーボ用レーザ光のスポットS-svと録再用レーザ光のメインビームスポット(記録ビームスポット)S-rpMとを表している。前述のように、サーボ用レーザ光と録再用レーザ光(記録光)とは光軸が一致するように照射されるので、スポットS-svとスポットS-rpMは記録面内方向に平行な方向においては重なっているものとして示すことができる(skewやレンズシフトが生じていない場合)。
また、白丸で表すスポットS-rpSは、録再用レーザ光について例えばグレーティング等を用いて生成したサイドビームスポットとなる。
また、図中の破線は、基準面Refに形成されたトラック(案内溝)を表している。
【0032】
図63(a)は、最初の1周目を記録する際の様子を模式的に表している。
最初の1周目の記録は、基準面Refに形成されたトラックを対象としたサーボ用レーザ光のトラッキングサーボを行いつつ、メインビームスポットS-rpMによるマーク列の記録を行う。
なお、図中において基準面Refにおけるトラック(破線)と実際に記録されるマーク列(実線)とが一致していないのは、skewやレンズシフトに伴うスポット位置ずれが生じていることを表すためである。
【0033】
ここで、このようにトラック1周分の記録を行うと、図63(b)に示されるように、1周の終了位置付近にて、既記録のマーク列(1周目開始位置のマーク列)の近傍にサイドビームスポットS-rpSが位置することになる。
ディスクの反りや偏芯は、ディスク上の半径位置や回転角度位置が同等であれば、その発生量もほぼ同等となるので、1周目の記録終了時には、上記のようにサイドビームスポットS-rpSが1周目の既記録マーク列近傍に位置することになる。
【0034】
そこで、1周目の記録終了付近にて、サイドビームスポットS-rpSで1周目記録済みマーク列に対するトラッキングサーボの引き込みを行い、これにより、対物レンズのトラッキングサーボを、それまでのサーボ用レーザ光のビームスポットS-svによるトラッキングサーボから、上記サイドビームスポットS-rpSを用いたトラッキングサーボに切り替える。
【0035】
これにより2周目以降のマーク列は、その内周側に形成された既記録マーク列に対してメインビームスポットS-rpMとサイドビームスポットS-rpSとの間隔だけ離れた位置に形成されていくものとなり、その結果、マーク列の重なりや交差の発生の防止を図ることができる。
【0036】
なお、このとき注意すべきは、セルフトラッキングでは、記録後にマーク列を再生するときのことを考慮して、これら記録用ビームとサイドビームとの間隔を1トラック幅以上離間させておくという点である。つまりこのように最低でも1トラック分の間隔を空けておかなければ、記録マーク列のピッチは1トラック幅よりも狭くなってしまい、結果、マーク再生光の光学限界を超えて、記録マークを適正に再生することができなくなってしまうからである。
【0037】
しかしながら、上記のようなセルフトラッキングの手法を採る場合には、記録用のビームと共に、それに対し半径方向にずれた位置にセルフトラッキング用のサイドビームを別途に照射する必要がある。
ここで、2ビームを生成する手法としては、モノリシック2ビームレーザを用いる手法と、グレーティング等で1ビームを2ビームに分割する手法とがある。
前者の場合、ビーム自体が高価でありコストアップに繋がる。また内外周差で曲率半径が異なるため、2ビームの間隔を回転制御する必要があり、そのための構成の付加により構成の複雑化を招き、この点でもコストアップに繋がる。
また後者の場合は、1ビームを2ビームに分割するため発光効率が低下してしまい、マーク記録を行うにあたってより高いレーザパワーを要することから、例えば消費電力の削減等の面で不利となる。また後者の場合も、前者のモノリシック2ビームレーザの場合と同様、2ビームの間隔を回転制御する必要があり、それによって構成の複雑化及びコストアップを助長することとなる。
【0038】
本発明は以上の問題点に鑑み為されたもので、ディスク付け替え後の偏芯等の態様の変化に伴う既記録マーク列への重なりや交差の発生を防止するという従来のセルフトラッキングと同様の機能を、記録用ビーム以外のサイドビームの照射を行うことなく実現することで、装置構成の複雑化やコストアップの防止を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0039】
このために本発明では、記録再生装置として以下のように構成することとした。
すなわち、ディスク状の光記録媒体に対しマークの記録再生を行うための録再光を対物レンズを介して照射する光照射部を備える。
また、上記光記録媒体を回転させる回転駆動部を備える。
また、上記録再光の発光制御を行うことで上記光記録媒体に対するマークの記録を実行させる記録部を備える。
また、上記光記録媒体に対する上記録再光の照射スポットの位置を、上記光記録媒体の半径方向に平行な方向であるトラッキング方向に変位させるスポット位置制御部を備える。
また、上記録再光の上記光記録媒体からの反射光を受光した結果に基づき、上記光記録媒体に上記マークの記録に伴い形成されたトラックに対する上記照射スポットのトラッキング誤差を表すトラッキング誤差信号を生成する共に、該トラッキング誤差信号に基づき上記照射スポットを上記トラックに追従させるように上記スポット位置制御部を制御する第1のトラッキングサーボ制御部を備える。
また、新たに装着された上記マークが既記録の上記光記録媒体に対してマークの追記を行う場合において、
上記第1のトラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御を実行させた状態で、該トラッキングサーボ制御に伴い上記スポット位置制御部に与えられるサーボ用駆動信号の値を上記トラックの1周分にわたって取得することで、上記サーボ用駆動信号の上記トラック1周内における値の変化を学習する追記時学習処理と、
上記第1のトラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御をオフとし、上記追記時学習処理により得た上記トラック1周分の学習値を用いたフィードフォーワード制御によって上記スポット位置制御部による上記照射スポットの変位が実行されるように切替を行うと共に、上記記録部に上記マークの記録を実行させる追記制御処理とを実行する記録制御部を備えるようにした。
【0040】
上記のように1周分の学習値を用いたフィードフォーワード制御とすれば、ディスク付け替えが行われて偏芯等の態様が変化した場合であっても、録再光の照射スポットを、既記録のマークに沿って動かすことができ、結果、マーク列の重なりや交差の発生を効果的に防止できる。
また、フィードフォーワード制御であるため、フィードバックループによる通常のトラッキングサーボ制御とは異なり、トラッキング方向におけるオフセット量は1/2トラック幅以上とするなど任意に設定することができる。換言すれば、既記録トラックからオフセットさせた位置に追記すべきマークを形成するといったとき、そのオフセット量は、1/2トラック幅を超えて任意に設定することができる。
そして本発明によれば、このようなフィードフォーワード制御による録再光のトラッキング制御が可能とされることにより、既記録トラックからオフセットさせた位置にマークを記録していくという手法を採る場合において、従来のセルフトラッキングのように既記録トラックにサーボをかけるためのサイドビームを別途に照射するという必要は無いものとできる。
また、フィードフォーワード制御により録再光のトラッキング制御を行うものとすれば、既記録トラックからオフセットさせた位置にマークを追記するという手法のみでなく、既記録トラックの終端部分に続けて追記すべきマークを記録していくといったこともできる。
何れにせよ、本発明によれば、従来の2ビームのセルフトラッキングのように既記録トラックへの重なりや交差を防止し且つ既記録トラックとの間隔を1トラック分以上空けてマークを再生可能に記録するということを、サイドビームを使用することなく実現できる。つまり本発明によれば、従来の2ビームのセルフトラッキングと同様の機能を、装置構成の複雑化やコストアップの防止を図りつつ実現することができる。
【発明の効果】
【0041】
上記のように本発明によれば、追記すべきマークを、既記録トラックへの重なりや交差を防止し且つ既記録トラックとの間隔を1トラック分以上空けて再生可能な状態に記録するということを、記録用のビーム以外のサイドビームを別途生成・照射することなく実現できる。
この結果、本発明によれば、従来の2ビームのセルフトラッキングと同様の機能を、装置構成の複雑化やコストアップの防止を図りつつ実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1〜第3の実施の形態で記録/再生対象とする光記録媒体の断面構造図である。
【図2】第1〜第3の実施の形態の記録再生装置が備える光学系の構成を主に示した図である。
【図3】基準面のトラックピッチと録再光の光学条件下で実現可能な最小トラックピッチとを対比して示した図である。
【図4】第1〜第3の実施の形態の記録再生装置全体の内部構成を示したブロック図である。
【図5】第1(及び第2)の実施の形態の初回記録時の記録手法について説明するための図である。
【図6】学習値格納テーブルの情報内容の例を示した図である。
【図7】FF制御時に視野振り限界を超える対物レンズの駆動が行われてしまうことの防止を図るための構成について説明するための図である。
【図8】第1の実施の形態の追記時(ディスク付け替え一切無しの追記時)の記録手法について説明するための図である。
【図9】第1の実施の形態の追記時(1度でもディスク付け替えがされた以降の追記時)の記録手法について説明するための図である。
【図10】第1(及び第2)の実施の形態の初回記録時の記録手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図11】第1の実施の形態の追記時(ディスク付け替え一切無しの追記時)の記録手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図12】第1の実施の形態の追記時(1度でもディスク付け替えがされた以降の追記時)の記録手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図13】同じく、第1の実施の形態の追記時(1度でもディスク付け替えがされた以降の追記時)の記録手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図14】第2の実施の形態の追記時(ディスク付け替え無しの初回追記時)の記録手法について説明するための図である。
【図15】追記長が2周以上の場合の記録手法について説明するための図である。
【図16】オフセット値の調整手法について説明するための図である。
【図17】第2の実施の形態の追記時(初回追記がディスク付け替え後のとき)の記録手法について説明するための図である。
【図18】第2の実施の形態の追記時(2回目追記時:ディスク付け替え有無を問わず)の記録手法について説明するための図である。
【図19】第2の実施の形態の追記時(3回目以降の追記)の記録手法について説明するための図である。
【図20】第2の実施の形態の追記時(ディスク付け替え無しの初回追記時)の記録手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図21】第2の実施の形態の追記時(初回追記がディスク付け替え後のとき)の記録手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図22】第2の実施の形態の追記時(2回目追記時)の記録手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図23】第2の実施の形態の追記時(3回目以降の追記)の記録手法について説明するための図である。
【図24】第3の実施の形態の初回記録時の記録手法について説明するための図である。
【図25】第3の実施の形態の追記時(初回追記時:ディスク付け替え有無を問わず)の記録手法について説明するための図である。
【図26】第3の実施の形態の追記時(2回目追記時:ディスク付け替え有無を問わず)の記録手法について説明するための図である。
【図27】第3の実施の形態の追記時(3回目以降追記時)の記録手法について説明するための図である。
【図28】第3の実施の形態の初回記録時の記録手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図29】第3の実施の形態の追記時(初回追記時:ディスク付け替え有無を問わず)の記録手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図30】第3の実施の形態の追記時(2回目追記時:ディスク付け替え有無を問わず)の記録手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図31】第3の実施の形態の追記時(3回目以降の追記)の記録手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図32】第4〜第6の実施の形態で記録/再生対象とする光記録媒体の断面構造図である。
【図33】第4〜第6の実施の形態の記録再生装置が備える光学系の構成を主に示した図である。
【図34】第4〜第6の実施の形態の記録再生装置全体の内部構成を示したブロック図である。
【図35】第4(及び第5)の実施の形態の初回記録時の記録手法について説明するための図である。
【図36】第4の実施の形態の追記時(ディスク付け替え一切無しの追記時)の記録手法について説明するための図である。
【図37】第4の実施の形態の追記時(1度でもディスク付け替えがされた以降の追記時)の記録手法について説明するための図である。
【図38】第4(及び第5)の実施の形態の初回記録時の記録手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図39】第4の実施の形態の追記時(ディスク付け替え一切無しの追記時)の記録手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図40】第4の実施の形態の追記時(1度でもディスク付け替えがされた以降の追記時)の記録手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図41】第5の実施の形態の追記時(ディスク付け替え無しの初回追記時)の記録手法について説明するための図である。
【図42】第5の実施の形態の追記時(初回追記がディスク付け替え後のとき)の記録手法について説明するための図である。
【図43】第5の実施の形態の追記時(2回目の追記:ディスク付け替え有無を問わず)の記録手法について説明するための図である。
【図44】第5の実施の形態の追記時(3回目以降の追記)の記録手法について説明するための図である。
【図45】第5の実施の形態の追記時(ディスク付け替え無しの初回追記時)の記録手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図46】第5の実施の形態の追記時(初回追記がディスク付け替え後のとき)の記録手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図47】第5の実施の形態の追記時(2回目の追記:ディスク付け替え有無を問わず)の記録手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図48】第5の実施の形態の追記時(3回目以降の追記)の記録手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図49】第6の実施の形態の初回記録時の記録手法について説明するための図である。
【図50】第6の実施の形態の追記時(ディスク付け替え一切無しの追記時)の記録手法について説明するための図である。
【図51】第6の実施の形態の追記時(1度でもディスク付け替えがされた後の追記時)の記録手法について説明するための図である。
【図52】第6の実施の形態の初回記録時の記録手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図53】第6の実施の形態の追記時(ディスク付け替え一切無しの追記時)の記録手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図54】第6の実施の形態の追記時(1度でもディスク付け替えがされた後の追記時)の記録手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図55】多層記録媒体の断面構造図である。
【図56】バルク記録方式について説明するための図である。
【図57】基準面を備える実際のバルク型記録媒体の断面構造を例示した図である。
【図58】バルク型記録媒体に対するマーク記録時の動作について説明するための図である。
【図59】バルク型記録媒体の記録再生を行うための光学系の概要を示した図である。
【図60】バルク型記録媒体の再生時におけるサーボ制御について説明するための図である。
【図61】skewに伴う録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とのスポット位置ずれを模式的に示した図である。
【図62】レンズシフトに伴う録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とのスポット位置ずれを模式的に示した図である。
【図63】セルフトラッキングの手法をバルク記録に適用した場合の具体的な記録動作について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明していく。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。

<1.第1の実施の形態>
[1-1.記録/再生対象とする光記録媒体]
[1-2.光学系の構成]
[1-3.記録再生装置全体の内部構成]
[1-4.第1の実施の形態の記録手法]
[1-5.処理手順]
<2.第2の実施の形態>
[2-1.第2の実施の形態の記録手法]
[2-2.処理手順]
<3.第3の実施の形態>
[3-1.第3の実施の形態の記録手法]
[3-2.処理手順]
<4.第4の実施の形態>
[4-1.記録/再生対象とする光記録媒体]
[4-2.光学系の構成]
[4-3.記録再生装置全体の内部構成]
[4-4.第4の実施の形態の記録手法]
[4-5.処理手順]
<5.第5の実施の形態>
[5-1.第5の実施の形態の記録手法]
[5-2.処理手順]
<6.第6の実施の形態>
[6-1.第6の実施の形態の記録手法]
[6-2.処理手順]
<7.変形例>
【0044】
<1.第1の実施の形態>
[1-1.記録/再生対象とする光記録媒体]

図1は、第1の実施の形態で記録/再生対象とする光記録媒体の断面構造図を示している。
本実施の形態で記録/再生対象とする光記録媒体は、いわゆるバルク記録型の光記録媒体とされ、以下、バルク型記録媒体1と称する。
バルク型記録媒体1は、ディスク状の光記録媒体とされ、回転駆動されるバルク型記録媒体1に対するレーザ光照射が行われてマーク記録(情報記録)が行われる。また、記録情報の再生としても、回転駆動されるバルク型記録媒体1に対してレーザ光を照射して行われる。
なお光記録媒体とは、光の照射により情報の記録/再生が行われる記録媒体を総称したものである。
【0045】
ここで、後に説明する第2及び第3の実施の形態においても、記録/再生対象とする光記録媒体は、当該バルク型記録媒体1となる。
【0046】
図1に示されるように、バルク型記録媒体1には、上層側から順にカバー層2、選択反射膜3、中間層4、バルク層5が形成されている。
ここで本明細書において、「上層側」とは、後述する実施の形態としての記録再生装置(後述する記録再生装置10、又は記録再生装置50)側からのレーザ光が入射する面を上面としたときの上層側を指す。
【0047】
また、本明細書においては「深さ方向」という語を用いるが、この「深さ方向」とは、上記「上層側」の定義に従った上下方向と一致する方向(すなわち記録装置側からのレーザ光の入射方向に平行な方向:フォーカス方向)を指すものである。
【0048】
バルク型記録媒体1において、上記カバー層2は、例えばポリカーボネートやアクリルなどの樹脂で構成され、図示するようにその下面側には、記録/再生位置を案内するための位置案内子として案内溝が形成されていることで、凹凸の断面形状が与えられている。
上記案内溝としては、連続溝(グルーブ)、又はピット列で形成される。例えば案内溝がピット列で形成される場合、ピットとランドの長さの組み合わせにより位置情報(絶対位置情報:例えば回転角度情報や半径位置情報など)が記録される。或いは、案内溝がグルーブとされる場合、当該グルーブを周期的に蛇行(ウォブル)させて形成することで、該蛇行の周期情報により位置情報の記録が行われる。
カバー層2は、このような案内溝(凹凸形状)が形成されたスタンパを用いた射出成形などにより生成される。
【0049】
また、上記案内溝が形成された上記カバー層2の下面側には、選択反射膜3が成膜される。
ここで、前述もした通りバルク記録方式では、記録層としてのバルク層5に対してマーク記録/再生を行うための光(録再用レーザ光:単に録再光とも称する)とは別に、上記のような案内溝(位置案内子)に基づきトラッキングやフォーカスのエラー信号を得るための光(サーボ用レーザ光:単にサーボ光とも称する)を別途に照射するものとされている。
このとき、仮に、上記サーボ用レーザ光がバルク層5に到達してしまうと、当該バルク層5内におけるマーク記録に悪影響を与える虞がある。このため、サーボ用レーザ光は反射し、録再用レーザ光は透過するという選択性を有する反射膜が必要とされている。
従来よりバルク記録方式では、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とはそれぞれ波長帯の異なるレーザ光を用いるようにされており、これに対応すべく、上記選択反射膜3としては、サーボ用レーザ光と同一の波長帯の光は反射し、それ以外の波長による光は透過するという、波長選択性を有する選択反射膜が用いられる。
【0050】
上記選択反射膜3の下層側には、例えばUV硬化樹脂などの接着材料で構成された中間層4を介して、記録層としてのバルク層5が積層(接着)されている。
バルク層5の形成材料(記録材料)としては、例えば先に説明したポジ型マイクロホログラム方式やネガ型マイクロホログラム方式、ボイド記録方式など、採用するバルク記録の方式に応じて適宜最適なものが採用されればよい。
なお、本発明で対象とする光記録媒体に対するマーク記録方式は特に限定されるべきものではなく、バルク記録方式の範疇において任意の方式が採用されればよい。以下の説明においては一例として、ボイド記録方式が採用される場合を例示する。
【0051】
ここで、上記のような断面構造を有するバルク型記録媒体1において、位置案内子が形成された選択反射膜3は、後述もするようにサーボ用レーザ光に基づく録再用レーザ光の位置制御を行うにあたっての基準となる反射面となる。この意味で、選択反射膜3が形成された面を以下、基準面Refと称する。
【0052】
先の図58においても説明したように、バルク型の光記録媒体においては、バルク層内に多層記録を行うために、予め情報記録を行うべき各層位置(情報記録層位置L)が設定される。バルク型記録媒体1においても、情報記録層位置Lについては、先の図58の場合と同様に、基準面Refからそれぞれ深さ方向に第1オフセットof-L1、第2オフセットof-L2、第3オフセットof-L3、第4オフセットof-L4、第5オフセットof-L5分だけ離間した第1情報記録層位置L、第2情報記録層位置L2、第3情報記録層位置L3、第4情報記録層位置L4、第5情報記録層位置L5が設定されているとする。
基準面Refからの各層位置Lへのオフセットof-Lの情報は、後述する記録再生装置10(及び記録再生装置50)におけるコントローラ40(及びコントローラ50)に対して設定される。
【0053】
なお、バルク層5において、各情報記録層位置Lにおける情報の記録方向としては、同じでも良いし異なるものでもよい。つまり、いわゆるオポジットトラックパスとして知られるように、層を跨ぐごとに交互に記録方向を変えるものであってもよいし、パラレルトラックパスのように各層における記録方向を同方向に揃えるものとしてもよい。
ここで、以下では説明の便宜上、記録方向に関してはパラレルトラックパスが採用されているものとする。
具体的に各層位置Lにおいて、記録方向は内周→外周で揃えられているものとする。
なお確認のため述べておくと、ここで言う「記録方向」とは、ディスク半径方向において記録が進行する方向を指すものである。
【0054】
[1-2.光学系の構成]

図2は、図1に示したような断面構造を有するバルク型記録媒体1に対する記録/再生を行う第1の実施の形態の記録再生装置(記録再生装置10と称する)が備える主に光学系の構成について説明するための図である。具体的には、記録再生装置10が備える光学ピックアップOP1の内部構成を主に示している。
【0055】
図2において、記録再生装置10に装填されたバルク型記録媒体1は、当該記録再生装置10における所定位置においてそのセンターホールがクランプされるようにしてセットされ、この図では図示を省略したスピンドルモータ30(図4を参照)による回転駆動が可能な状態に保持される。
光学ピックアップOP1は、上記スピンドルモータ30により回転駆動されるバルク型記録媒体1に対して録再用レーザ光、サーボ用レーザ光を照射するために設けられる。
【0056】
光学ピックアップOP1内には、マークによる情報記録、及びマークにより記録された情報の再生を行うための録再用レーザ光の光源である録再用レーザ11と、基準面Refに形成された位置案内子を利用した位置制御を行うための光であるサーボ用レーザ光の光源であるサーボ用レーザ24とが設けられる。
ここで、前述のように録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とはそれぞれ波長が異なる。本例の場合、録再用レーザ光の波長はおよそ405nm程度(いわゆる青紫色レーザ光)、サーボ用レーザ光の波長はおよそ650nm程度(赤色レーザ光)とされる。
【0057】
また、光学ピックアップOP1内には、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光のバルク型記録媒体1への出力端となる対物レンズ20が設けられる。
対物レンズ20の録再用レーザ光についての実効的な開口数NAはおよそ0.85程度、サーボ用レーザ光についての実効的な開口数NAはおよそ0.65程度であるとする。
【0058】
ここで、上記のように記録再生装置10においては、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とでそれぞれ光学条件が異なるものとされている。
このような光学条件の差に起因して、先の図1に示したバルク型記録媒体1においては、次の図3に示すようにして、基準面Refとバルク層5内とでそれぞれ異なるトラックピッチが採用される。
具体的に、図3(a)に示されるようにこの場合の基準面Refにおけるトラックピッチが「n」であるとすると、バルク層5におけるトラックピッチ(録再用レーザ光の光学条件で実現可能な最小トラックピッチ)は、「n/2」とされている。つまりこの場合、バルク層5においてマーク記録に伴い形成されるトラックのピッチは、基準面Refにおけるトラックピッチの1/2とされている。
【0059】
説明を図2に戻す。
光学ピックアップOP1内には、録再用レーザ光のバルク型記録媒体1からの反射光を受光するための録再光用受光部23が設けられる。そして、上述した録再用レーザ11より出射された録再用レーザ光を対物レンズ20に導くと共に、対物レンズ20に入射したバルク型記録媒体1からの録再用レーザ光の反射光を、上記録再光用受光部23に導くための光学系が形成されている。
【0060】
このような録再用レーザ光についての光学系において、録再用レーザ11より出射された録再用レーザ光は、コリメーションレンズ12を介して平行光となるようにされた後、偏光ビームスプリッタ13に入射する。偏光ビームスプリッタ13は、このように録再用レーザ11側から入射した録再用レーザ光については透過するように構成されている。
【0061】
上記偏光ビームスプリッタ13を透過した録再用レーザ光は、固定レンズ14、可動レンズ15、及びレンズ駆動部16から成るエキスパンダに入射する。このエキスパンダは、光源である録再用レーザ11に近い側が固定レンズ14とされ、録再用レーザ11に遠い側に可動レンズ15が配置され、レンズ駆動部16によって上記可動レンズ15が録再用レーザ光の光軸に平行な方向に駆動されることで、録再用レーザ光について独立したフォーカス制御を行う。このエキスパンダは、前述した録再光用フォーカス機構に相当するものである(図59を参照)。
後述もするように、当該録再光用フォーカス機構におけるレンズ駆動部16は、後の図4に示すコントローラ40によって、対象とする情報記録層位置Lに対応して設定されたオフセットof-Lの値に応じて駆動される。
【0062】
上記録再光用フォーカス機構を形成する固定レンズ14及び可動レンズ15を介した録再用レーザ光は、図のようにミラー17にて反射された後、1/4波長板18を介してダイクロイックプリズム19に入射する。
ダイクロイックプリズム19は、その選択反射面が、録再用レーザ光と同波長帯の光は反射し、それ以外の波長による光は透過するように構成されている。従って上記のようにして入射した録再用レーザ光は、ダイクロイックプリズム19にて反射される。
【0063】
ダイクロイックプリズム19で反射された録再用レーザ光は、図示するようにして対物レンズ20を介してバルク型記録媒体1に対して照射される。
対物レンズ20に対しては、当該対物レンズ20をフォーカス方向(バルク型記録媒体1に対して接離する方向)、及びトラッキング方向(上記フォーカス方向に直交する方向:バルク型記録媒体1の半径方向に平行な方向)に変位可能に保持する2軸アクチュエータ21が設けられる。
2軸アクチュエータ21には、フォーカスコイル、トラッキングコイルが備えられ、それぞれに駆動信号(後述する駆動信号FD、TD)が与えられることで、対物レンズ20をフォーカス方向、トラッキング方向にそれぞれ変位させる。
【0064】
ここで、再生時においては、上記のようにしてバルク型記録媒体1に対して録再用レーザ光が照射されることに応じて、バルク型記録媒体1(バルク層5内の再生対象の情報記録層Lに記録されたマーク)より上記録再用レーザ光の反射光が得られる。このように得られた録再用レーザ光の反射光は、対物レンズ20を介してダイクロイックプリズム19に導かれ、当該ダイクロイックプリズム19にて反射される。
ダイクロイックプリズム19で反射された録再用レーザ光の反射光は、1/4波長板18→ミラー17→録再光用フォーカス機構(可動レンズ15→固定レンズ14)を介した後、偏光ビームスプリッタ13に入射する。
【0065】
ここで、このように偏光ビームスプリッタ13に入射する録再用レーザ光の反射光(復路光)は、1/4波長板18による作用とバルク型記録媒体1での反射時の作用とにより、録再用レーザ光11側から偏光ビームスプリッタ13に入射した録再用レーザ光(往路光)とはその偏光方向が90度異なるようにされる。この結果、上記のようにして入射した録再用レーザ光の反射光は、偏光ビームスプリッタ13にて反射される。
【0066】
このように偏光ビームスプリッタ13にて反射された録再用レーザ光の反射光は、集光レンズ22を介して録再光用受光部23の受光面上に集光する。このように集光した録再用レーザ光の反射光を録再光用受光部23が受光して得られる受光信号については、図のように受光信号DT-rpとおく。
【0067】
また、光学ピックアップOP1内には、上記により説明した録再用レーザ光についての光学系の構成に加えて、サーボ用レーザ24より出射されたサーボ用レーザ光を対物レンズ20に導き且つ、上記対物レンズ20に入射したバルク型記録媒体1からのサーボ用レーザ光の反射光をサーボ光用受光部29に導くための光学系が形成される。
図示するように上記サーボ用レーザ24より出射されたサーボ用レーザ光は、コリメーションレンズ25を介して平行光となるようにされた後、偏光ビームスプリッタ26に入射する。偏光ビームスプリッタ26は、このようにサーボ用レーザ24側から入射したサーボ用レーザ光(往路光)は透過するように構成される。
【0068】
上記偏光ビームスプリッタ26を透過したサーボ用レーザ光は、1/4波長板27を介してダイクロイックプリズム19に入射する。
先に述べたように、ダイクロイックプリズム19は、録再用レーザ光と同波長帯の光は反射し、それ以外の波長による光は透過するように構成されているため、上記サーボ用レーザ光はダイクロイックプリズム19を透過し、対物レンズ20を介してバルク型記録媒体1に照射される。
【0069】
また、このようにバルク型記録媒体1にサーボ用レーザ光が照射されたことに応じて得られる当該サーボ用レーザ光の反射光(基準面Refからの反射光)は、対物レンズ20を介した後ダイクロイックプリズム19を透過し、1/4波長板27を介して偏光ビームスプリッタ26に入射する。
先の録再用レーザ光の場合と同様にして、このようにバルク型記録媒体1側から入射したサーボ用レーザ光の反射光(復路光)は、1/4波長板27の作用とバルク型記録媒体1での反射時の作用とにより、往路光とはその偏光方向が90度異なるものとされ、従って復路光としてのサーボ用レーザ光の反射光は偏光ビームスプリッタ26にて反射される。
【0070】
偏光ビームスプリッタ26にて反射されたサーボ用レーザ光の反射光は、集光レンズ28を介してサーボ光用受光部29の受光面上に集光する。サーボ光用受光部29がサーボ用レーザ光の反射光を受光して得られる受光信号については、受光信号DT-svとおく。
【0071】
[1-3.記録再生装置全体の内部構成]

図4は、記録再生装置10の全体的な内部構成を示している。
なお図4において、光学ピックアップOP1の内部構成については、先の図2に示した構成のうち録再用レーザ11、レンズ駆動部16、2軸アクチュエータ21のみを抽出して示している。
【0072】
図4において、記録再生装置10には、光学ピックアップOP1全体をトラッキング方向にスライド駆動するスライド駆動部31が設けられる。
スライド駆動部31によるスライド動作は、後述するサーボ光用サーボ回路34、又は録再光用サーボ回路39の何れか一方からの駆動信号に基づき制御される。具体的には、サーボ光用サーボ回路34により対物レンズ20のトラッキングサーボ制御が実行される場合には当該サーボ光用サーボ回路34により制御され、また録再光用サーボ回路39により対物レンズ20のトラッキングサーボ制御が実行される場合には当該録再光用サーボ回路39により制御される。
【0073】
また、記録再生装置10には、先の図2にも示したバルク型記録媒体1を回転させるスピンドルモータ30が設けられる。スピンドルモータ30は、図中のスピンドル駆動部42からの駆動信号に基づき駆動制御される。
また、この場合のスピンドルモータ30は、回転角度情報を出力するように構成される。具体的にこの場合のスピンドルモータ30は、モータの回転角度を表す値を出力するロータリーエンコーダを備え、当該ロータリーエンコーダによる出力値を回転角度情報として出力する。
図示するようにスピンドルモータ30による回転角度情報は、コントローラ40に対して供給されると共に、録再光用サーボ回路39に対しても供給される。
【0074】
また、記録再生装置10には、サーボ用レーザ光の反射光についての信号処理系として、サーボ光用マトリクス回路32、位置情報検出部33、サーボ光用サーボ回路34が設けられる。
【0075】
サーボ光用マトリクス回路32は、図2に示したサーボ光用受光部29としての複数の受光素子からの受光信号DT-sv(出力電流)に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
具体的には、トラッキングサーボ制御を行うための信号として、基準面Refに形成された案内溝(トラック)に対するサーボ用レーザ光の照射スポットの半径方向におけるずれ量(トラッキング誤差)を表すトラッキングエラー信号TE-svを生成する。また、フォーカスサーボ制御を行うための信号として、基準面Ref(選択反射膜3)に対するサーボ用レーザ光のフォーカス誤差を表すフォーカスエラー信号FE-svを生成する。
さらに、基準面Refに記録された位置情報(半径位置情報、回転角度情報)を検出するための位置情報検出用信号Dpsを生成する。この位置情報検出用信号Dpsとしては、例えば位置情報がピット列により記録される場合には和信号(sum信号)を生成する。或いは、ウォブリンググルーブにより位置情報が記録される場合にはプッシュプル信号を生成する。
【0076】
上記位置情報検出用信号Dpsは、位置情報検出部33に供給される。位置情報検出部33は、位置情報検出用信号Dpsに基づき基準面Refに記録された位置情報を検出する。検出された位置情報はコントローラ40に対して供給される。
【0077】
また、サーボ光用マトリクス回路32にて生成されたフォーカスエラー信号FE-sv、トラッキングエラー信号TE-svは、サーボ光用サーボ回路34に対して供給される。
サーボ光用サーボ回路34は、フォーカスエラー信号FE-sv、トラッキングエラー信号TE-svに基づきフォーカスサーボ信号FS-sv、トラッキングサーボ信号TS-svをそれぞれ生成する。
そして、コントローラ40からの指示に応じて、上記フォーカスサーボ信号FS-sv、トラッキングサーボ信号TS-svに基づき生成したフォーカス駆動信号FD-sv、トラッキング駆動信号TD-svに基づいて、2軸アクチュエータ21のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することで、対物レンズ20についてのフォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御を実現する。
【0078】
また、サーボ光用サーボ回路34は、コントローラ40から為される指示に応じて、トラッキングサーボループをオフとして2軸アクチュエータ21のトラッキングコイルにジャンプパルスを与えることでトラックジャンプ動作を実現したり、トラッキングサーボの引き込み制御等も行う。また、基準面Refに対するフォーカスサーボの引き込み制御等も行う。
【0079】
またサーボ光用サーボ回路34は、コントローラ40からの指示に応じ、スライド駆動部31のスライド動作を制御する。具体的に、トラッキングサーボ制御の実行中においては、トラッキング駆動信号TD-svの低域成分を抽出して生成したスライドサーボ信号に基づくスライド駆動信号によって、スライド駆動部31によるスライド動作を制御する。また、シーク時には目標アドレスに応じた位置に光学ピックアップOP1が移動されるようにスライド駆動部31を制御する。
【0080】
また、記録再生装置10においては、バルク層5を対象とした記録/再生や、バルク層5に記録されたマークからの反射光に基づく対物レンズ20のフォーカス/トラッキング制御を行うための構成として、図中の記録処理部35、発光駆動部36、録再光用マトリクス回路37、再生処理部38、及び録再光用サーボ回路39が設けられている。
【0081】
記録処理部35には、バルク型記録媒体1に対して記録すべきデータ(記録データ)が入力される。記録処理部35は、入力された記録データに対してエラー訂正符号の付加や所定の記録変調符号化を施すなどして、バルク型記録媒体1に実際に記録される例えば「0」「1」の2値データ列である記録変調データ列を得る。
記録処理部35は、このように生成した記録変調データ列に基づく記録信号を発光駆動部36に出力する。
【0082】
発光駆動部36は、記録処理部35より入力された記録信号に基づく駆動信号Dld、或いはコントローラ40からの指示に応じて生成した駆動信号Dldにより、光学ピックアップOP1内の録再用レーザ11の発光駆動を行う。
【0083】
録再光用マトリクス回路37は、図2に示した録再光用受光部23としての複数の受光素子からの受光信号DT-rp(出力電流)に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
具体的には、上述した記録変調データ列を再生した再生信号に相当する高周波信号(以降、再生信号RFと称する)を生成する。
また、トラッキングサーボ制御を行うための信号として、バルク層5内にマーク記録に伴い形成されたトラックに対する録再用レーザ光の照射スポットの半径方向におけるずれ量(トラッキング誤差)を表すトラッキングエラー信号TE-rpを生成する。また、フォーカスサーボ制御を行うための信号として、バルク層5に記録されたマーク(情報記録層L)に対する録再用レーザ光のフォーカス誤差を表すフォーカスエラー信号FE-rpを生成する。
【0084】
録再光用マトリクス回路37にて生成された再生信号RFは、再生処理部38に供給される。
また、フォーカスエラー信号FE-rp、トラッキングエラー信号TE-rpは、録再光用サーボ回路39に供給される。
【0085】
再生処理部38は、上記再生信号RFについて、2値化処理や記録変調符号の復号化・エラー訂正処理など、上述した記録データを復元するための再生処理を行い、上記記録データを再生した再生データを得る。
また再生処理部38は、アドレス検出回路38aを備え、当該アドレス検出回路38aによりバルク層5内にマーク列により記録されたアドレス情報を検出する。ここで当該アドレス情報は、ディスク上の記録面内方向における位置を表す情報である。
【0086】
録再光用サーボ回路39は、録再光用マトリクス回路37から供給されるフォーカスエラー信号FE-rp、トラッキングエラー信号TE-rpに基づきフォーカスサーボ信号FS-rp、トラッキングサーボ信号TS-rpをそれぞれ生成する。
そして、コントローラ40からの指示に応じて、上記フォーカスサーボ信号FS-rp、トラッキングサーボ信号TS-rpに基づき生成したフォーカス駆動信号FD-rp、トラッキング駆動信号TD-rpに基づいて、2軸アクチュエータ21のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することで、対物レンズ20についてのフォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御を実現する。
【0087】
また、録再光用サーボ回路39は、コントローラ40から為される指示に応じて、トラッキングサーボループをオフとして2軸アクチュエータ21のトラッキングコイルにジャンプパルスを与えることでトラックジャンプ動作を実現したり、トラッキングサーボの引き込み制御等も行う。また、所要の情報記録層Lに対するフォーカスサーボの引き込み制御等も行う。
【0088】
また、録再光用サーボ回路39は、コントローラ40からの指示に応じて、メモリ41に記憶された学習値格納テーブルの情報内容に基づくトラッキング駆動信号TD-rpにより2軸アクチュエータ21のトラッキングコイルを駆動することで、フィードフォーワード制御によるトラッキング制御を行うことが、この点については後に改めて説明する。
【0089】
また録再光用サーボ回路39は、コントローラ40からの指示に応じ、スライド駆動部31のスライド動作を制御する。
具体的に、トラッキングサーボ制御の実行中においては、トラッキング駆動信号TD-rpの低域成分を抽出して生成したスライドサーボ信号に基づくスライド駆動信号によって、スライド駆動部31によるスライド動作を制御する。
また、前述の学習値に基づくフィードフォーワード制御による対物レンズ20のトラッキング制御の実行中には、学習値としてのトラッキング駆動信号TD-rpの低域成分を抽出して生成したスライドサーボ信号に基づくスライド駆動信号によって、スライド駆動部31によるスライド動作を制御するが、これについても後に改めて説明する。
また、録再光用サーボ回路39は、シーク時には目標アドレスに応じた位置に光学ピックアップOP1が移動されるようにスライド駆動部31を制御する。
【0090】
録再光用サーボ回路39より出力されるトラッキング駆動信号TD-rpは、後述する学習のためにコントローラ40に対しても供給される。
【0091】
コントローラ40は、例えばCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などのメモリ(記憶装置)を備えたマイクロコンピュータで構成され、例えば上記ROM等に記憶されたプログラムに従った制御・処理を実行することで、記録再生装置10の全体制御を行う。
例えばコントローラ40は、前述したように予め各層位置に対応して設定されたオフセットof-Lの値に基づいて、録再用レーザ光の合焦位置の制御(設定)を行う。具体的には、記録対象とする情報記録層位置Lに対応して設定されたオフセットof-Lの値に基づき、光学ピックアップOP内のレンズ駆動部16を駆動することで、深さ方向における記録位置の選択を行う。
【0092】
また、コントローラ40は、対物レンズ20のサーボ制御切り替えを実現するための制御も行う。
つまりコントローラ40は、対物レンズ20についてのサーボ制御に関して、サーボ光用サーボ回路34によるサーボ制御を実行させるか録再光用サーボ回路39によるサーボ制御を実行させるかの切替制御を行う。
【0093】
またコントローラ40は、サーボ光用サーボ34、又は録再光用サーボ回路39に対して、目標アドレスへのアクセス実行制御を行う。すなわち、サーボ光用サーボ回路34に対するアクセス実行制御としては、前述した位置情報検出部33から供給される位置情報に基づき、サーボ用レーザ光の照射スポットを基準面Ref上における所定の目標アドレスに位置させるための制御を行う。
また録再光用サーボ回路39に対するアクセス実行制御としては、アドレス検出回路38aから供給されるアドレス情報に基づき、録再用レーザ光の照射スポットを既記録マーク列上の所定の目標アドレスに位置させるための制御を行う。
【0094】
またコントローラ40は、録再光用サーボ回路39に対し通常のトラッキングサーボ制御(フィードバック制御によるトラッキング制御)を実行させるか学習値に基づくフィードフォーワード制御によるトラッキング制御を実行させるかの切替指示も行うがこれについては後述する。
【0095】
またコントローラ40は、スピンドル駆動部42に対し、スピンドルモータ30の回転開始/停止指示や加速/減速指示を行う。
【0096】
またコントローラ40に対しては、メモリ41が設けられる。メモリ41は、不揮発性メモリとされ、コントローラ40により各種の情報の書き込み/読み出しが行われる。
【0097】
[1-4.第1の実施の形態の記録手法]
〜初回記録〜

ここで、先の図2の説明からも理解されるように、本実施の形態の記録再生装置10では、従来のセルフトラッキングの場合に必要とされていたサイドビームは生成しないものとしている。すなわち、バルク層5に対しては、マークの記録/再生を担うビームのみ(つまり図63で言えばメインビームスポットS-rpMのみ)を照射するものとしている。
以下で説明する第1の実施の形態の記録手法(第2〜第6の実施の形態の記録手法も同様)は、このように従来のセルフトラッキングの手法では必要とされていたサイドビームの照射を省略しながらも、ディスク付け替え後におけるマーク列の重なりや交差の発生を防止するためのものとなる。
以下、図5〜図9を参照して、第1の実施の形態としての記録手法について説明していく。
【0098】
図5は、初回記録時の記録手法について説明するための図である。
なお確認のために述べておくと、ここで言う「初回記録時」とは、未記録のバルク層5に対して記録すべきデータを初回に記録するときを指すものである。
【0099】
先ず、この図5をはじめとして第3の実施の形態までで説明する図8,図9,図14,図15,図17,図18,図19,図24,図25,図26,図27において、図中のグレーで示す破線は、基準面Refにおいて形成されるトラックを表している。
またこれらの図において、黒色の実線及び一点鎖線は、バルク層5内の記録対象とされた情報記録層位置Lに形成されたマークの軌跡を表している。
【0100】
ここで、図中において基準面Refに形成されたトラックとバルク層5内に記録されたマークの軌跡(マークのトラック)とにずれが生じているのは、基準面Refにトラッキングサーボをかけた状態(つまりサーボ光用サーボ回路34による対物レンズ20のトラッキングサーボ制御を行っている状態)で録再用レーザ光によるマーク記録が行われることに伴って、先の図61や図62にて説明したskewや偏芯に伴うレンズシフトによってサーボ用レーザ光と録再用レーザ光との間にスポット位置ずれが生じることを表すためである。
【0101】
図5において、先ず初回記録時には、図中の<1>と示すように、サーボ光でサーボをかけつつ、記録開始位置の手前1周分+記録データ長分のプリ記録を行う。
バルク層5に対する記録を開始するにあたっては、基準面Refにおける位置情報を基準として記録開始位置の設定が為される。この<1>では、このように設定される記録開始位置の手前1周分と、該記録開始位置からの記録すべきデータ長分のプリ記録を行う。
ここで本例において、プリ記録としては、DCマークを記録することになる。
図中では、初回に記録すべきデータの長さが、1周と1/4程度であった場合を例示している。つまりこの場合の<1>によるプリ記録としては、合計で2周と1/4程度分のDCマークの記録が行われることになる。
DCマークの記録は、図4に示したコントローラ40が、記録処理部35に対する指示を行って発光駆動部36に対するDCパターンによる記録信号の出力を開始させ且つ発光駆動部36に再生パワーから記録パワーへの切り替えを指示することで実行させる。
【0102】
確認のために述べておくと、先の図3にて説明したように本例において基準面Refにおけるトラックピッチはバルク層5で実現可能な最小のトラックピッチ(以下、単にバルク層5におけるトラックピッチとも称する)の2倍とされている。従って、上記の<1>のプリ記録(つまりサーボ光でサーボをかけながら行われるプリ記録)でバルク層5に形成されるプリ記録トラックのピッチは、バルク層5におけるトラックピッチの換算では、2トラック分のピッチにより形成されることになる。
【0103】
また確認のために述べておくと、上記のように記録開始位置の手前1周分のプリ記録を行うようにしているのは、仮に記録すべきデータが短かった(例えば1/2周など)とすると、後述するトラッキング駆動信号TD-rpの学習を1周分行うことができないことを考慮したためである。
なお、これは換言すれば、データ記録の最小単位(1記録ブロック)が1周以上とされる場合には、当該手前1周分のプリ記録は省略することができるということになる。
【0104】
<1>のプリ記録が完了した後は、<2>と示すように、サーボ光でプリ記録先頭位置にアクセスする。すなわち、基準面Refの位置情報に基づいてサーボ光の照射スポットがプリ記録先頭位置に位置するようにアクセス動作を行う。
次いで、<3>と示すように、録再光によるサーボに切替を行う。
確認のため述べておくと、<1>のプリ記録は、上述のようにサーボ光で基準面Refにサーボをかけつつ行うので、<2>の動作によりサーボ光でプリ記録先頭位置にアクセスした後、サーボ用レーザ光による対物レンズ20のトラッキングサーボ制御が行われている下では、録再光の照射スポットはプリ記録トラック上に位置していることになる(<1>〜<2>の間でディスク付け替えは無いので)。従って、上記<3>の録再光によるサーボへの切替は、スムーズに行うことができる。
【0105】
<3>の録再光によるサーボへの切替を行った後は、<4>と示すように、1周分の対物レンズ駆動信号の学習を行う(図中の破線矢印)。つまり、録再光用サーボ回路39による対物レンズ20のトラッキングサーボ制御が実行される状態において、当該録再光用サーボ回路39より出力されるトラッキング駆動信号TD-rpのディスク1周分の学習を行うものである。
【0106】
当該<4>の学習は、コントローラ40が、スピンドルモータ30から入力される回転角度情報により特定される回転角度ごとに録再光用サーボ回路39より入力されるトラッキング駆動信号TD-rpの値を取得し、その値を上記回転角度ごとに対応づけて記憶することで行う。
【0107】
図6は、上記<4>の学習によって図4に示したメモリ41に形成される学習値格納テーブルの情報内容を例示している。
この図6に示すように、本例における学習値格納テーブルは、回転角度1度ごとに、その回転角度のときに取得されたトラッキング駆動信号TD-rpの学習値を対応づけて格納したものとなる。
このようにして、ディスク1周分のトラッキング駆動信号TD-rpの値の変化が学習される。
【0108】
図5に戻り、<4>の学習が完了した後は、<5>と示すように、1本内周側のプリ記録トラックにトラックジャンプを行う。
<4>の学習処理は、録再光用サーボ回路39によるトラッキングサーボ制御が実行される下で行われるので、この<5>によるトラックジャンプは、コントローラ40が録再光用サーボ回路39にトラックジャンプ指示を出すことで実行させることになる。
なおこの際のトラックジャンプ量は、バルク層5におけるトラックピッチ換算では、トラック2本分となる。
【0109】
<5>のトラックジャンプの実行後は、<6>と示すように、記録開始位置に到達するタイミングで、録再光のトラッキング制御を、「学習値+1トラック分外周側オフセット」によるフィードフォーワード制御(以下、FF制御とも略称する)に切り替えると共に、データ記録を開始する。
【0110】
ここで、<5>のトラックジャンプを実行した後は、録再光の照射スポットは、ディスクを1周するまでの間に記録開始位置に到達することになる。
ここで、先の<1>で記録されたプリ記録トラックに録再光が追従している状態では、サーボ光は、当該<1>の記録を行ったときに追従していた基準面Ref上のトラックに追従していることになる(ディスク付け替えが無いため)。従って、<5>のトラックジャンプ後、録再光がプリ記録トラック上を追従している状態では、サーボ光によって、基準面Ref上における位置情報を取得することができる。換言すれば、<5>のジャンプ後の区間において、コントローラ40は、図4に示した位置情報検出部33からの位置情報により録再光の照射スポットのディスク上での位置を把握することができる。
【0111】
コントローラ40は、<5>のジャンプ後、位置情報検出部33からの位置情報をモニタして、録再光の照射スポットが、記録開始位置の直前位置(記録開始位置から所定長分手前側となる位置)に到達したか否かを判別する。そして当該直前位置に到達したと判別したときは、録再光用サーボ回路39によるトラッキング制御を、それまでのトラッキングサーボ制御(つまりフィードバック制御)から、「学習値+1トラック分外周側オフセット」によるFF制御に切り替える。
ここで、「学習値」とは、先の<4>で学習した回転角度ごとのトラッキング駆動信号TD-rpの学習値である。
また、「1トラック分外周側オフセット」は、バルク層5におけるトラックピッチ換算で、1トラック分外周側に録再光の照射スポットをシフトさせるためのオフセット値となる。
録再光用サーボ回路39は、上記「学習値+1トラック分外周側オフセット」によるFF制御として、スピンドルモータ30から供給される回転角度情報から特定される回転角度ごとに、メモリ41における学習値格納テーブルにおいてその回転角度に対応づけられている学習値を読み出すと共に、このように回転角度ごとに読み出した学習値に対し、上記1トラック分外周側オフセットとして設定されたオフセット値を加え、該オフセット値を加えた学習値に基づき、2軸アクチュエータ21のトラッキングコイルを駆動する動作を行う。
【0112】
ここで、先の<4>による1周分の学習は、図のようにスパイラル状の弧を描くようにして形成されたプリ記録トラックに録再用レーザ光でトラッキングサーボをかけて行われるものである。従って、当該学習により得られた学習値には、録再光の照射スポットをスパイラル状に移動させるための成分が含まれていることになる。
このことから仮に、FF制御として学習値に対し上記オフセット値を加えた値をそのまま用いたトラッキング制御を行ってしまうと、記録すべきデータの長さが例えば数十〜数百周分に及ぶなど比較的長いデータを記録すべきとされた場合には、トラッキング駆動信号TD-rpの値が対物レンズ20の視野振り範囲を超えてしまう虞がある。
【0113】
そこで、このような事態の発生の防止のために、本実施の形態では、録再光用サーボ回路39内に、次の図7に示すような構成を具備するものとしている。
なお、図7においては、録再光用サーボ回路39に設けられた視野振り限界を超える駆動が行われてしまうことの防止を図るための構成のみを抽出して示しており、他の構成についてはその図示を省略している。
【0114】
この図7に示されるように、録再光用サーボ回路39には、サーボ制御時のトラッキング駆動信号TD-rp(つまりトラッキングサーボ信号TS-rpに基づき生成した駆動信号TD-rp)と、学習値格納テーブルから読み出した学習値としてのトラッキング駆動信号TD-rpとを択一的出力するスイッチS1が設けられる。
このスイッチS1の出力は、減算器39Aとローパスフィルタ39Bとにそれぞれ供給される。
【0115】
ローパスフィルタ39Bは、上記スイッチS1の出力としてのトラッキング駆動信号TD-rpの低域成分を抽出して、スライド駆動部31のスライドエラー成分に相当するスライド駆動信号を生成する。
ローパスフィルタ39Bにより得られたスライド駆動信号は、スライド駆動部31に供給されると共に、スイッチS2に供給される。
スイッチS2は、ON/OFFスイッチとされ、減算器39Aに対してスライド駆動信号を択一的に供給/非供給とする。
【0116】
減算器39Aは、スイッチS1の出力からスイッチS2の出力を減算し、その結果を加算器39Cに出力する。
減算器39Cには、減算器39Aからの出力と、図のように1トラック分外周側オフセットの減算器39Cに対する供給をON/OFFするためのスイッチS3からの出力とが入力される。減算器39Cは、これら減算器39Aからの出力とスイッチS3からの出力との減算結果を2軸アクチュエータ21(トラッキングコイル)に出力する。
【0117】
録再光用サーボ回路39において、トラッキングサーボ制御時(フィードバックループによるトラッキング制御時)に対応しては、コントローラ40から制御信号により、スイッチS1にてサーボ制御時のトラッキング駆動信号TD-rpが選択されると共に、スイッチS2,スイッチS3がOFFとされる。つまりサーボ制御時には、トラッキングサーボ信号TS-rpから生成したトラッキング駆動信号TD-rpがそのまま2軸アクチュエータ21に供給されると共に、該トラッキング駆動信号TD-rpの低域成分を抽出して生成されたスライド駆動信号がスライド駆動部31に対して供給される。これによりサーボ制御時には、フィードバックループによる対物レンズ20のトラッキングサーボ制御が実行されると共に、対物レンズ20が常時その視野振り範囲内に収まるように光学ピックアップOP1全体のスライド制御(スライドサーボ制御)が行われることになる。
【0118】
一方、FF制御時に対応しては、コントローラ40から制御信号により、スイッチS1にて学習値が選択されると共に、スイッチS2,スイッチS3がONするようにされる。これによりFF制御時には、2軸アクチュエータ21は、「学習値−スライドエラー成分+1トラック分外周側オフセット」によるトラッキング駆動信号により駆動されることになる。
また、スライド駆動部31は、学習値としてのトラッキング駆動信号TD-rpに基づくスライドエラー成分としてのスライド駆動信号により駆動されることになる。
上記のように「学習値−スライドエラー成分+1トラック分外周側オフセット」によるトラッキング駆動信号によって2軸アクチュエータ21が駆動されることで、FF制御時において、上述のようにトラッキング駆動信号TD-rpの値が対物レンズ20の視野振り範囲を超えてしまうといった事態の発生を効果的に防止できる。
なおかつ、上記のように学習されたトラッキング駆動信号に含まれていたスライドエラー成分(つまりスパイラル移動成分)に基づきスライド駆動部31が駆動されることで、マーク記録をスパイラル状に行うことができる。
【0119】
説明を図5に戻す。
<6>において、上記により説明したようなFF制御への切替を行った後は、録再光の照射スポットの記録開始位置への到達に応じたタイミングで、データ記録を開始する。
データ記録を開始するタイミングは、上述した直前位置の到達から所定時間を経過した後としても良いし、或いは位置情報検出部33からの位置情報に基づき実際に記録開始位置に到達したか否かを判別し、該判別により記録開始位置に到達したとされたタイミングとしても良い。
データの記録は、コントローラ40が、記録処理部35に対する指示を行って記録データに応じた記録信号の発光駆動部36に対する出力を開始させ且つ発光駆動部36に再生パワーから記録パワーへの切り替えを指示することで実行させる。
【0120】
上記のようにして第1の実施の形態の初回記録としては、先ずは記録開始位置を境にその手前1周分のプリ記録と後ろ側に記録データ長分のプリ記録とを行った上で、トラッキング駆動信号TD-rpの1周分の学習を行った後、プリ記録トラックの追従状態から「学習値+1トラック分外周側オフセット」によるFF制御に切り替えることで、プリ記録トラックから外周側に1トラック分ずらした位置(つまりプリ記録トラックの中間となる位置)に記録すべきデータに応じたマーク列を形成する、という手順で行われることになる。
【0121】
〜ディスク付け替え一切無しの追記時〜

図8は、第1の実施の形態の追記時の記録手法のうち、ディスク付け替え一切無しの追記時における記録手法について説明するための図である。
ここで確認のために述べておくと、ディスク付け替え一切無しの追記時とは、初回記録から1度もディスク付け替えが行われいないときの各追記時を指すものである。
【0122】
先ず前提として、第1の実施の形態は、追記時においても、初回記録時と同様に、先ずはプリ記録トラックを形成し、その後に、該プリ記録トラックからオフセットした位置に記録すべきデータに応じたマーク列を形成していくという手法を採るものとなる。
【0123】
具体的に見ていくと、先ず、ディスク付け替え一切無しの追記時には、図中の<1>と示すように、サーボ光でプリ記録トラックの前回終端位置の手前となる位置にアクセスし、その後<2>と示すように、サーボ光によるサーボを維持しつつ、前回終端位置に至ったことに応じて、追記データ長分のプリ記録を行う。
ここで、先の図5による説明からも理解されるように、プリ記録トラックは、基準面Refに形成されたトラックにサーボ光でサーボをかけながら記録されたものであるので、当該プリ記録トラックの前回終端位置は、位置情報検出部33からの位置情報により特定できるものである。つまり<1>において、サーボ光でプリ記録トラックの前回終端位置の手前となる位置にアクセスするとは、基準面Ref上における、プリ記録トラックの前回終端位置の手前となる位置に対応した位置にサーボ光でアクセスすることを意味する。
確認のため述べておくと、前回終端位置とは、前回の記録時において記録された範囲内における終端位置を指すものである。
【0124】
追記データ長分のプリ記録が終了したことに応じては、<3>と示すように、サーボ光で前回終端位置の1本内周側へジャンプすると共に、サーボ制御を、サーボ光から録再光に切り替える。
この際のサーボ切替は、ディスク付け替えが1度も行われていないので、スムーズに行うことができる。
【0125】
<3>で録再光のサーボ制御への切替を行った後は、<4>と示すように、前回終端位置に到達するタイミングで、録再光のトラッキング制御を「学習値+1トラック分外周側オフセット」によるFF制御に切り替える共に、データの追記を開始する。
つまり、先の図5における<6>と同様に、前回終端位置の所定長分手前となる直前位置に到達したか否かを判別し、当該直前位置に到達したと判別したタイミングで、録再光のトラッキング制御を、「学習値+1トラック分外周側オフセット」によるFF制御に切り替える。そしてその後、前回終端位置への到達に応じたタイミングで、追記すべきデータの追記を開始する。
【0126】
このようにディスク付け替えが一切為されていない場合の追記時には、FF制御のためのトラッキング駆動信号TD-rpの再学習は不要であり、初回記録時の学習値をそのまま用いるものとしている。
【0127】
〜1度でもディスク付け替えがされた以降の追記時〜

図9は、第1の実施の形態の追記時の記録手法のうち、1度でもディスク付け替えがされた以降の追記時の記録手法について説明するための図である。
1度でもディスク付け替えが為された以降の追記時としては、ケースとして、前回の記録時(直前の記録時)との間でディスク付け替えが為された場合と、前回の記録時との間でディスク付け替えが無かった場合との2ケースが考えられる。
前者の場合、FF制御にあたって用いる学習値については、当然のことながらその再学習が必要となる。これに対し後者の場合、再学習は不要であり、前回記録時に用いた値をそのまま用いることができる。つまり後者の場合、再学習のための処理は不要となる。
【0128】
図9により、1度でもディスク付け替えがされた以降の追記時に対応した記録手法について具体的に見ていく。
先ず、図中の<1>〜<3>は、前回記録時との間でディスク付け替えがあった場合の再学習のための処理となるもので、上記説明からも理解されるように、これらの処理は前回記録時との間でディスク付け替えが無かった場合には省略されるものである。
【0129】
先ず<1>では、サーボ光でプリ記録トラックの前回終端位置の1周以上手前となる位置にアクセスする。
そして当該アクセス後、<2>と示すように、サーボ光によるサーボをオフとし、録再光によるサーボ引き込みを行う。
【0130】
ここで、1度でもディスク付け替えがされた以降では、サーボ光で基準面Ref上のトラックにサーボをかけたとしても、録再光のスポットがプリ記録トラック上に位置する保証は無くなる。これは、本実施の形態の記録手法によると、プリ記録トラックは、初回記録時に形成されたプリ記録トラックを基準として、追記ごとにこれと並走するように(重なりや交差が生じないように)順次形成されていくからである。
【0131】
ディスク付け替え後のディスクの偏芯等の態様と、初回記録時におけるディスクの偏芯等の態様とがどのように異なっているかによって、このようなスポット位置ずれの方向(内周/外周)が異なってくる。換言すれば、図8の<2>の時点において、録再光のスポットが引き込み対象となるべきプリ記録トラックに対し内周側に位置しているか外周側に位置しているかは、ディスク付け替え後の偏芯等の態様の変化の仕方によって異なってくる。
このとき注意すべきは、図8の例のように前回のデータ記録長が1周程度と比較的短いケースにおいては、<2>の引き込みにおいて、仮に外周側のプリ記録トラックに引き込みが行われてしまった場合には、前回終端位置(つまり<2>の動作の実行時点でのプリ記録トラックの終端位置)までの長さがトラック1周分に満たず、従って次に説明する<3>による1周分の学習を行うことができなくなってしまう虞がある。
そこでこの点を考慮し、図8における<2>の引き込みを行う際には、サーボ光によるサーボをオフとした後に、先ずは対物レンズ20を強制的に所定量だけ内周側に振って(例えばバルク層5におけるトラックピッチ換算で2トラック分程度内周側に振る)、その間に録再光のトラッキングサーボの引き込みができたか否かを判別する。この判別により、トラッキングサーボの引き込みができた場合には、そのままサーボ制御状態を維持する。一方、上記判別によりトラッキングサーボの引き込みができなかったとした場合には、対物レンズ20を強制的に外周側に振っていき、その後、トラッキングエラー信号TE-rpの振幅が得られたところで録再光のトラッキングサーボの引き込みを実行する。
このような動作とすることで、仮に<2>の時点で録再光のスポットが引き込み対象となるべきプリ記録トラックの外周側にあったとしても、上記引き込み対象となるべきプリ記録トラックの外周側に隣接するプリ記録トラックにサーボ引き込みが行われてしまうことの防止を図ることができる。すなわち、録再光の引き込み位置が、必ず前回終端位置からトラック1周分以上手前となる位置となるようにすることができる。
【0132】
<2>の引き込みが完了した後は、<3>と示すように、1周分の対物レンズ駆動信号の学習を行う。つまり、スピンドルモータ30からの回転角度情報により特定される回転角度ごとに、トラッキング駆動信号TD-rpの値を取得し、これを回転角度ごとに対応づけてメモリ41に記憶するものである。
【0133】
1度でもディスク付け替えがされた以降の追記時として、前回記録時との間でディスク付け替えがあって上記の<1>〜<3>の学習のための処理を実行した後、或いは、前回記録時との間でディスク付け替えが無く上記<1>〜<3>の学習のための処理を省略した場合は、図中の<4>と示すように、サーボ光で、プリ記録トラックの前回終端位置の手前となる位置にアクセスする。
そして、当該アクセスの完了後、<5>と示すようにサーボ光によるサーボをオフとし、録再光によるサーボ引き込みを行い、その後、引き込みができたら、プリ記録トラック上かマーク列上かを判別し、マーク列上であったら1トラック分内周側へジャンプする(<6>)。
【0134】
ここで、先の<2>で説明したものと同様の理由で、<4>でアクセスした後のサーボ光によるサーボ状態下では、録再光の照射スポットがプリ記録トラック上に位置しているとは限らない。
この点を考慮して、上記の<5><6>の動作を行うものとしている。なお<6>において、引き込み後プリ記録トラックであると判別した場合は、録再光のサーボ制御状態をそのまま維持することになる。
このとき、マーク列上であるかプリ記録トラック上であるかの判別は、再生信号RFのパターンとしてDCパターンが検出されるかそれ以外のパターン(データパターン)が検出されるか否かを判別することで行うことができる。
【0135】
上記の<5><6>によりプリ記録トラックを対象とした録再光のサーボ制御状態(つまりプリ記録トラック上の前回終端位置の手前となる位置でのサーボ状態)とした後は、<7>と示すように、サーボが外れるまで追従し、外れた時点でのスピンドル回転角度情報(スピンドルモータ30からの回転角度情報)を前回終端位置の情報として記憶する。
【0136】
上記のようにスピンドル回転角度情報による前回終端位置の情報を記憶した後は、内側マーク列への再引き込みを行うと共に、内周側に1トラック分ジャンプして、プリ記録トラックの最終周回上に移動する。
すなわち、サーボが外れた後、対物レンズ20を強制的に内周側に寄せていきプリ記録トラックの最終周回の1トラック分内周側に形成されているマーク列に対する録再光のトラッキングサーボの引き込みを行うと共に、そこからさらに内周側に1トラック分ジャンプすることで、録再光のスポットをプリ記録トラックの最終周回上に移動させる。
【0137】
上記のように録再光のスポットをプリ記録トラックの最終周回上に移動させた後は、<9>と示すように、先の<5>で検出(記憶)した終端角度位置に到達するタイミングで、録再光のトラッキング制御を学習値によるFF制御に切り替えると共に、追記データ長分のプリ記録を開始する。
具体的には、スピンドルモータ30からの回転角度情報に基づき、先の<5>で記憶したプリ記録トラックの前回終端角度位置の所定長(所定角度)だけ手前となる直前位置に至ったか否かを判別し、当該直前位置に至ったと判別したことに応じて、録再光のトラッキング制御を学習値によるFF制御に切り替える。そしてその後、上記前回終端角度位置への到達に応じたタイミングで、追記データ長分のプリ記録を開始するものである。
【0138】
上記の<9>によりプリ記録を開始した後、プリ記録が完了したことに応じては、<10>と示すように録再光で前回プリ記録トラックの最終周にジャンプする。
そして当該ジャンプ動作を行った後は、<11>と示すように、<5>で検出(記憶)した終端角度位置に到達するタイミングで、録再光のトラッキング制御を「学習値+1トラック分外周側オフセット」によるFF制御に切り替えると共に、データの追記を開始する。
具体的には、先の<9>と同様に、スピンドルモータ30からの回転角度情報に基づき、先の<5>で記憶したプリ記録トラックの前回終端角度位置の所定長(所定角度)だけ手前となる直前位置に至ったか否かを判別する。そして当該判別により、上記直前位置に至ったとされたことに応じて、録再光のトラッキング制御を「学習値+1トラック分外周側オフセット」によるFF制御に切り替える。
その後、上記前回終端角度位置への到達に応じたタイミングで、データの追記を開始する。
【0139】
上記のようにして本実施の形態では、ディスク付け替え後の追記時には、先ずは前回記録された部分についてトラック1周分のトラッキング駆動信号TD-rpの学習を行い、該学習により得た学習値を用いたFF制御によって、追記部分を記録していくものとしている。これにより、追記によって形成されるトラックが既記録のトラックに対して重なったり交差したりといった事態の発生を効果的に防止することができる。
また、FF制御であるため、フィードバックループによる通常のトラッキングサーボ制御を行う場合とは異なり、トラッキング方向におけるオフセット量は1/2トラック幅以上とするなど任意に設定することができる。換言すれば、既記録トラックからオフセットさせた位置に追記すべきマークを形成するといったとき、そのオフセット量は、1/2トラック幅を超えて任意に設定することができる。
なおかつこのようなFF制御とすることで、従来のセルフトラッキングの手法では必要とされていたサイドビームの照射は省略することができる。
以上の点からも理解されるように、本実施の形態によれば、従来のセルフトラッキングのように既記録トラックへの重なりや交差を防止し且つ既記録トラックとの間隔を1トラック分以上空けてマークを再生可能に記録するという機能を、サイドビームを用いることなく実現することができる。つまりこの結果、本実施の形態によれば、従来のセルフトラッキングと同様の機能を、装置構成の複雑化やコストアップの防止を図りつつ実現することができる。
【0140】
[1-5.処理手順]

続いて、図10〜図13のフローチャートを参照して、上記により説明した第1の実施の形態としての記録手法を実現するために行われるべき具体的な処理の手順について説明する。
なおこれら図10〜図13では、第1の実施の形態としての記録手法を実現するための具体的な処理の手順を、図4に示したコントローラ40が実行する処理の手順として示している。
コントローラ40は、自らが備える例えばROM等のメモリに格納されたプログラムに従ってこれらの図に示す手順に従った処理動作を実行することになる。
【0141】
図10は、先の図5にて説明した初回記録時に対応して実行されるべき具体的な処理の手順を示している。
図10において、先ずステップS101では、サーボ光で記録開始位置の1周手前となる位置にアクセスするための処理を行う。すなわち、基準面Refの位置情報を基準として設定された記録開始位置にサーボ光のスポット位置をアクセスさせるために、サーボ光用サーボ回路34に対するアクセス実行制御を行うものである。
【0142】
続くステップS102では、記録開始位置の手前1周分+記録データ長分のプリ記録を行うための処理を実行する。
すなわち、記録処理部35に対する指示を行って発光駆動部36に対するDCパターンによる記録信号の出力を開始させ且つ発光駆動部36に再生パワーから記録パワーへの切り替えを指示することで、記録開始位置の1周手前となる位置から、1周分+記録データ長分のDCマークの記録を実行させる。
【0143】
ステップS102によるプリ記録が完了した後は、ステップS103において、サーボ光でプリ記録トラックの先頭にアクセスするための処理を実行する。すなわち、基準面Refの位置情報に基づいてサーボ光の照射スポットがプリ記録先頭位置に位置するように、サーボ光用サーボ回路34に対するアクセス実行制御を行う。
【0144】
次のステップS104においては、録再光によるサーボに切替を行う。すなわち、対物レンズ20(2軸アクチュエータ21)に対するトラッキングサーボ制御を、サーボ光用サーボ回路34によるトラッキングサーボ制御から、録再光用サーボ回路39によるトラッキングサーボ制御に切り替えるものである。
先にも述べたように、初回記録時におけるプリ記録は、サーボ光で基準面Refにサーボをかけつつ行うので、ステップS103によりサーボ光でプリ記録先頭位置にアクセスした後、サーボ用レーザ光による対物レンズ20のトラッキングサーボ制御が行われている下では、録再光の照射スポットはプリ記録トラック上に位置していることになる(ディスク付け替えは無いので)。従って、ステップS104の録再光によるサーボへの切替は、スムーズに行うことができる。
【0145】
ステップS104にて録再光によるサーボへの切替を行った後は、ステップS105において、1周分のトラッキング駆動信号TD-rpの学習を行う。つまり、録再光用サーボ回路39による対物レンズ20のトラッキングサーボ制御が実行される状態において、当該録再光用サーボ回路39より出力されるトラッキング駆動信号TD-rpのディスク1周分の学習を行うものである。
先にも述べたように、当該学習は、コントローラ40が、スピンドルモータ30から入力される回転角度情報により特定される回転角度ごとに録再光用サーボ回路39より入力されるトラッキング駆動信号TD-rpの値を取得し、その値を上記回転角度ごとに対応づけてメモリ41に記憶することで行う。
【0146】
続くステップS106では、上記学習の完了後、録再光で1本内周側のプリ記録トラックにジャンプするための処理を行う。つまり、先の図5の<5>として説明したように、録再光用サーボ回路39にバルク層5におけるトラックピッチ換算でトラック2本分となるトラックジャンプ指示を出すことで、録再光の照射スポットを1本内周側のプリ記録トラックにジャンプさせる。
【0147】
ステップS106によるトラックジャンプ処理を実行した後は、ステップS107において、開始直前位置に到達するまで待機する。すなわち、録再光の照射スポットが、記録開始位置の所定長分手前側となる直前位置に到達したか否かの判別を、肯定結果が得られるまで繰り返し実行するものである。
図5において説明したように、上記のトラックジャンプ後は、録再光の照射スポットは、ディスクを1周するまでの間に記録開始位置に到達することになる。そしてこの間、録再光の照射スポットがプリ記録トラックに追従している状態では、サーボ光は、先のプリ記録を行っていたときに追従していた基準面Ref上のトラックに追従していることになる(ディスク付け替えが無いため)。このことから当該ステップS106における判別処理としては、サーボ光の反射光に基づき位置情報検出部33にて得られる位置情報に基づいて録再光の照射スポットが記録開始位置に到達したか否かを判別することで行う。
【0148】
ステップS107において、録再光の照射スポットが、記録開始位置の直前位置に到達したとして肯定結果が得られた場合は、ステップS108において、録再光のトラッキング制御(T制御)を「学習値+1トラック分外周側オフセット」によるFF制御に切り替えるための処理を実行する。
つまり、録再光用サーボ回路39によるトラッキング制御を、それまでのトラッキングサーボ制御(つまりフィードバック制御)から、「学習値+1トラック分外周側オフセット」によるFF制御に切り替えるものである。
この切り替えの際、コントローラ40は、先の図7にて説明した録再光用サーボ回路39内のスイッチS1,S2,S3の切り替え制御を行う。これにより、FF制御時において、対物レンズ20が学習値に含まれるスライドエラー成分(スパイラル移動成分)に応じて視野振り範囲を超えて駆動されてしまうことの防止を図りつつ、上記学習値から抽出されたスライドエラー成分によるスライド駆動部31の駆動が行われることで、FF制御下でマークがスパイラル状に記録されるようにできる。
【0149】
続くステップS109においては、記録開始位置への到達に応じたタイミングで、データ記録を開始させるための処理を実行する。
つまり、録再光の照射スポットの記録開始位置への到達に応じたタイミングで、記録処理部35及び発光駆動部36に対する指示を行ってデータ記録を開始させる。
先にも述べたように、データ記録を開始するタイミングは、上述した直前位置の到達から所定時間を経過した後としても良いし、或いは位置情報検出部33からの位置情報に基づき実際に記録開始位置に到達したか否かを判別し、該判別により記録開始位置に到達したとされたタイミングとしても良い。
【0150】
このようにデータ記録を開始させた後は、ステップS110において、データ記録が完了するまで待機する。そして、データ記録が完了したとして肯定結果が得られた場合は、この図に示す初回記録時の一連の処理は終了となる。
【0151】
続いて、図11により、先の図8にて説明したディスク付け替え一切無しの追記時に対応して実行されるべき具体的な処理の手順について説明する。
図11において、ステップS201では、サーボ光でプリ記録トラックの前回終端位置の手前となる位置にアクセスするための処理を行う。つまり、基準面Refに記録された位置情報に基づき、サーボ光の照射スポットを、前回記録されたプリ記録トラックの終端位置の手前となる位置に位置させるようにサーボ光用サーボ回路34に対するアクセス実行制御を行うものである。
そしてその後、ステップS202において、前回終端位置に到達するまで待機する。
【0152】
ステップS202において、前回終端位置に到達したとして肯定結果が得られた場合は、ステップS203において、追記データ長分のプリ記録を開始するための処理を実行する。すなわち、サーボ光によるサーボ制御状態を維持しつつ、記録処理部35と発光駆動部36とに対する指示を行って追記すべき記録データ長分のプリ記録を開始させる。
【0153】
記録データ長分のプリ記録を開始した後は、ステップS204において、プリ記録が完了するまで待機する。そして追記データ長分のプリ記録が完了したとして肯定結果が得られた場合は、ステップS205において、サーボ光で前回終端位置の1本内周側へジャンプするための処理を行う。すなわち、サーボ光の照射スポットが、前回終端位置の1本内周側のプリ記録トラック上に移動されるようにサーボ光用サーボ回路34に対するトラックジャンプ指示を行う。
【0154】
ステップS205によりジャンプ動作を実行させた後は、ステップS206において、録再光によるトラッキングサーボに切り替えるための処理を実行する。つまり、サーボ光用サーボ回路34によるトラッキングサーボ制御が行われている状態から録再光用サーボ回路39によるトラッキングサーボ制御が行われる状態へと切り替えを行うものである。
図8にて説明したように、この際のサーボ切替としても、ディスク付け替えが1度も行われていないことからスムーズに行うことができる。
【0155】
続くステップS207においては、前回終端位置の直前位置に到達するまで待機する。そして、前回終端位置の直前位置に到達したとして肯定結果が得られた場合は、ステップS208において、録再光のトラッキング制御を「学習値+1トラック分外周側オフセット」によるFF制御に切り替えるための処理を実行する。
【0156】
そして、このようにFF制御への切り替えを行った後は、ステップS209において、前回終端位置への到達に応じたタイミングでデータの追記を開始させる。
ステップS209においてデータ追記を開始させた後は、ステップS210において追記が完了するまで待機し、追記が完了したとして肯定結果が得られた場合は、この図に示すディスク付け替え一切無しの追記時に対応した一連の処理は終了となる。
【0157】
図12及び図13は、図9にて説明した、1度でもディスク付け替えがされた以降の追記時に対応して実行されるべき具体的な処理の手順を示している。
先ず図12において、ステップS301では、ディスク付け替え後の追記か否かを判別する。すなわち、前回の記録時との間でディスク付け替えがあったか否かを判別するものである。
このステップS301の判別処理は、既記録のバルク型記録媒体1が新たに装填されて以降において、当該バルク型記録媒体1に対し一度も追記が行われていないか否かを判別することで行うことができる。
【0158】
ステップS301において、ディスク付け替え後の記録である(前回記録時との間でディスク付け替えがあった)として肯定結果が得られた場合は、ステップS302において、サーボ光でプリ記録トラックの前回終端位置の1周以上手前となる位置にアクセスするための処理を行う。
【0159】
そして、ステップS302によるアクセス処理を行った後は、ステップS303において、サーボ光によるトラッキングサーボをOFFとし、録再光によるトラッキングサーボ引き込みを行うための処理を実行する。
ここで、先の図9においても説明したように、1度でもディスク付け替えがされた以降では、サーボ光で基準面Ref上のトラックにサーボをかけたとしても、録再光のスポットがプリ記録トラック上に位置する保証は無くなる。そこでこの点を考慮し、後のステップS305にて行われる1周分の学習処理の前に実行される当該ステップS303の引き込み処理としては、先の図9にて説明したように、サーボ光によるサーボをオフとした後、対物レンズ20を強制的に所定量だけ内周側に振って行うようにする。
具体的には、このように対物レンズ20を強制的に内周側に振って(例えばバルク層5におけるトラックピッチ換算で2トラック分程度内周側に振る)、その間に録再光のトラッキングサーボの引き込みができたか否かを判別する。この判別により、トラッキングサーボの引き込みができた場合には、そのままサーボ制御状態を維持する。一方、上記判別によりトラッキングサーボの引き込みができなかったとした場合には、対物レンズ20を強制的に外周側に振っていき、その後、トラッキングエラー信号TE-rpの振幅が得られたところで録再光のトラッキングサーボの引き込みを実行する。
このような動作とすることで、仮にステップS303の処理の実行時点で録再光のスポットが引き込み対象となるべきプリ記録トラックの外周側にあったとしても、上記引き込み対象となるべきプリ記録トラックの外周側に隣接するプリ記録トラックにサーボ引き込みが行われてしまうことの防止を図ることができ、この結果、録再光の引き込み位置が、必ず前回終端位置からトラック1周分以上手前となる位置となるようにすることができる。
【0160】
ステップS303による引き込みが完了した後は、ステップS304において、1周分のトラッキング駆動信号TD-rpの学習を開始する。そして、続くステップS305において、学習が完了するまで待機し、学習が完了したとして肯定結果が得られた場合には、ステップS306に進む。
【0161】
ここで、先のステップS301にてディスク付け替え後の追記であると判別された以降に実行されるステップS302〜S305の処理は、ディスク付け替え後の再学習のための処理となる。
【0162】
ステップS301において、ディスク付け替え後の追記ではないとして否定結果が得られた場合は、上記により説明したステップS302〜S305の処理を省略して、図のようにステップS306にそのまま進むことになる。
【0163】
ステップS306以降、ステップS313までの処理は、前回終端角度の検出処理となる。
先ず、ステップS306においては、サーボ光で、プリ記録トラックの前回終端位置の手前となる位置にアクセスする。
そして、当該アクセスの完了後には、ステップS307において、サーボ光によるトラッキングサーボをOFFとし、録再光でトラッキングサーボ引き込みを行うための処理を実行する。
【0164】
続くステップS308では、ステップS307によるサーボ引き込みが完了するまで待機し、引き込みが完了したとして肯定結果が得られた場合は、ステップS309において、プリ記録トラック上かマーク列上かの確認処理を行う。引き込み後の位置がプリ記録トラック上であるかマーク列上であるか否かの確認は、再生信号RFのパターンを検出して行う。
【0165】
次のステップS310では、プリ記録トラック上であるか否かを判別する。再生信号RFのパターンがDCパターンではなく、プリ記録トラック上ではないとして否定結果が得られた場合は、ステップS311において、1トラック分内周側へジャンプするための処理を実行する。すなわちこの場合、ステップS307による引き込みは前回記録されたマーク列(データ列)を対象として行われたことになるので、当該データ列の内周側に隣接して形成されているプリ記録トラックにジャンプが行われるようにするものである。
ステップS311によるジャンプ処理を実行した後は、ステップS312に処理を進める。
【0166】
一方、ステップS310において、再生信号RFのパターンがDCパターンでありプリ記録トラック上であるとして肯定結果が得られた場合は、そのままステップS312に処理を進める。
【0167】
ステップS312では、サーボが外れるまで待機する。すなわち、先のステップS307にて行った引き込み又はステップS311によるジャンプ動作後に実行されていた録再光用サーボ回路39によるトラッキングサーボが外れるまで待機するものである。
そして、トラッキングサーボが外れたとして肯定結果が得られた場合は、ステップS313において、サーボが外れたタイミングでスピンドルモータ30にて検出されていた回転角度情報を前回終端角度位置の情報として記憶する。
当該ステップS313の処理を実行した後は、図13に示すステップS314に処理を進める。
【0168】
図13において、ステップS314〜S320の処理は、追記用のプリ記録処理となる。
ステップS314では、録再光の内側マーク列への再引き込みを行うための処理を実行する。つまり、対物レンズ20を強制的に内周側に寄せていきプリ記録トラックの最終周回の1トラック分内周側に形成されているマーク列に対する録再光のトラッキングサーボの引き込みが行われるように、録再光用サーボ回路39を制御するものである。
そして続くステップS315では、ステップS314による引き込みが完了するまで待機する。
【0169】
ステップS315において、引き込みが完了したとして肯定結果が得られた場合は、ステップS316において、1トラック分内周側にジャンプするための処理を実行する。先の図9<8>にて説明したように、このジャンプ処理は、録再光の照射スポットをプリ記録トラックの最終周回上に移動させるための処理となるものである。
【0170】
続くステップS317では、前回終端角度位置の直前位置に到達するまで待機する。つまり、スピンドルモータ30からの回転角度情報に基づき、予め記憶した前回終端角度位置の直前位置(前回終端角度位置から所定角度だけ手前となる位置)に至ったか否かの判別を、肯定結果が得られるまで繰り返し行う。
そして、ステップS317において、前回終端角度位置の直前位置に至ったとの肯定結果が得られた場合は、ステップS318において、録再光のトラッキング制御を学習値によるFF制御に切り替えるための処理を行う。
さらにステップS318によるFF制御への切り替え処理を実行した後は、ステップS319において、前回終端角度位置への到達に応じたタイミングで、追記データ長分のプリ記録を開始するための処理を実行する。
【0171】
ステップS319によりプリ記録を開始した後は、ステップS320において、プリ記録が完了するまで待機し、プリ記録が完了したとして肯定結果が得られた場合は、ステップS321に進む。
【0172】
ステップS321〜S325の処理は、追記処理である。
ステップS321においては、録再光で前回プリ記録トラックの最終周にジャンプするための処理を実行する。そして続くステップS322では、先のステップS317と同様に、前回終端角度位置の直前位置に到達するまで待機する。
【0173】
ステップS322において、前回終端角度位置の直前位置に至ったとの肯定結果が得られた場合は、ステップS323において、録再光のトラッキング制御を「学習値+1トラック分外周側オフセット」によるFF制御に切り替えるための処理を行った上で、ステップS324において、前回終端角度位置への到達に応じたタイミングで、追記データの記録を開始させる。
【0174】
追記データの記録を開始させた後は、ステップS325において追記が完了するまで待機し、当該ステップS325において、追記が完了したとの肯定結果が得られた場合は、図12及び図13に示す一連の処理は終了となる。
【0175】
<2.第2の実施の形態>
[2-1.第2の実施の形態の記録手法]

続いて、第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態は、初回記録時の記録手法としては第1の実施の形態の場合と同様の手法を採るが、追記時は、第1の実施の形態のように追記データ長分のプリ記録は行わず、既記録のマーク列に対してそのままその続きを記録していくようにしたものである。
なお第2の実施の形態において、バルク型記録媒体1の構造や記録再生装置10の内部構成は第1の実施の形態の場合と同様となるので改めての図示による説明は省略する。
また、上述のように第2の実施の形態においても初回記録時の記録手法は第1の実施の形態の場合と同様であるので、これについても改めての図示による説明は省略する。
【0176】
第2の実施の形態の追記時の記録手法としては、大きく分けて、初回の追記時と、2回目の追記時と、3回目以降の追記時とでそれぞれ異なる手順を踏むことになる。
また、初回の追記時に関しては、ディスク付け替え無しの初回追記時と、初回追記がディスク付け替え後のときとで、それぞれ異なる手順を踏むことになる。
以下、これに従い、第2の実施の形態の追記時の記録手法を、ディスク付け替え無しの初回追記時、初回追記がディスク付け替え後のとき、2回目追記時、3回目以降の追記時に分けてそれぞれ説明していく。
【0177】
〜ディスク付け替え無しの初回追記時〜

図14は、第2の実施の形態の追記時の記録手法のうち、ディスク付け替え一切無しの初回追記時における記録手法について説明するための図である。
なおここでは図示の都合上、追記すべきデータ長が1周であった場合を例示している。
【0178】
ディスク付け替え無しの初回追記時には、先ず<1>と示すように、録再光でマーク列上の前回終端位置の手前となる位置にアクセスする。
ここで、マーク列には、アドレス情報が記録されているので、この<1>のアクセス動作は、図4に示したアドレス検出回路38aからのアドレス情報に基づき行う。
【0179】
<1>でマーク列上の前回終端位置の手前となる位置にアクセスした後は、<2>と示すように、前回終端位置に到達するタイミングで、録再光のトラッキング制御を学習値によるフィードフォーワード制御(以下、FF制御とも略称する)に切り替えると共に、データ追記を開始する。具体的に、コントローラ40は、前回終端位置の直前位置(前回終端位置から所定長分手前側となる位置)に到達したか否かを判別し、当該直前位置に到達したと判別したことに応じて、録再光用サーボ回路39によるトラッキング制御を、それまでのトラッキングサーボ制御から学習値によるFF制御に切り替える。その上で、前回終端位置への到達に応じたタイミングで、記録処理部35及び発光駆動部36に対する指示を行ってデータ追記を開始させる。
この場合は、プリ記録トラックからオフセットさせた位置に追記を行うものではないので、FF制御は、学習値に基づくFF制御となる。なお第2の実施の形態においても、FF制御下で対物レンズ20が視野振り範囲を超えて駆動されてしまうことの防止を図るため、FF制御への切り替え時には、図7に示したスイッチS2がONとなるように制御し、学習値からスライドエラー成分(オフセット移動成分)が除去されるようにする。
またこの場合において、コントローラ40は、1トラック分外周側オフセットのスイッチS3に対する供給は停止させるように録再光用サーボ回路39を制御する。
確認のための述べておくと、ここで言う「学習値」は、初回記録時における学習処理で取得されたものを指す。
【0180】
追記を開始した後は、<3>と示すように、追記開始から所定時間経過後に、スポット位置を内周側に所定量寄せる。そして、<4>と示すように、寄せた後のピッチを維持して記録を継続する。
【0181】
ここで、本例において、スポット位置を内周側に寄せる量は、バルク層5におけるトラックピッチ換算で1トラック分とする。スポット位置を内周側に寄せる動作は、コントローラ40が、録再光用サーボ回路39に対し、トラッキング駆動信号TD-rp(つまりここでは学習値に基づくトラッキング駆動信号TD-rp)にオフセットを与えさせることで実現する。
具体的には、スポット位置を1トラック分内周側にシフトさせるためのオフセット値が「α」(絶対値)であるとすると、<2>の追記開始から所定時間経過後に、オフセット値を「0」から徐々に上記「α」まで近づけていき、オフセット値が上記「α」となった時点で当該「α」によるオフセット値を維持させる。換言すれば、オフセット値を所定の増加率・増加区間だけ増加させ、その後その値を維持させるようにする。
これにより、追記されるマーク列は、図のように前回終端位置から所定の距離だけ進んだ位置で徐々に既記録マーク列側に寄せられていき、その後は、既記録マーク列に対して1トラック分のピッチを維持した状態で記録されていくことになる。
【0182】
ここで、図14においては、追記データ長が1周である場合を例示したが、実際には、追記データ長は、次の図15に示されるように2周以上にわたる場合もある。
このように追記データ長が2周以上にわたる場合において、マーク列間のトラックピッチを寄せたピッチ(この場合は1トラック分)で維持するためには、各周回において、オフセット値の調整を行う必要がある。
図15では、追記2周目においてもオフセット値の調整を行った場合における追記マーク列の軌跡を示しているが、もし仮に、追記2周目におけるオフセット値の調整を行わない場合には、当該2周目の追記マーク列は、図中のピッチP1(つまり初回記録時の最終周のマーク列とのピッチ)を保ったまま記録されてしまい、前周目にあたる追記1周目のマーク列との間隔が1トラック分よりも開いてしまうことになる。
このこともからも理解されるように、追記データ長が2周以上にわたる場合には、2周目以降の各周回においてもオフセット値の調整を行う必要がある。
【0183】
図16は、追記データ長が2周以上にわたる場合において行われるべきオフセット値の調整手法について説明するための図である。
先ず、上述のように初回追記時において追記開始後にスポット位置を内周側に寄せ始めた回転角度を、内周寄せ開始角度ASとおく。
この図に示されるように追記データ長が2周以上にわたる場合において行われるべきオフセット値の調整は、このような内周寄せ開始角度ASを基準に、各周において同様に行う。つまり、1周目で内周寄せ開始角度ASからオフセット値を「α」まで徐々に増加させた後、増加させたオフセット値を維持させるという調整を行った後は、2周目以降においても同様に、内周寄せ開始角度ASからオフセット値を「α」まで徐々に増加させその増加させたオフセット値を維持させるという調整を繰り返し行うものである。
【0184】
このようなオフセット値の各周ごとの調整を行うことで、追記データ長が2周以上となる場合にも、図15に示したように2周目以降も1周目で寄せたトラックピッチが維持されるようにでき、結果、バルク層5における記録容量の拡大化を図ることができる。
【0185】
上記により説明した追記時の記録手法によれば、学習値に基づくFF制御でマーク記録が行われることで、第1の実施の形態の場合と同様に、既記録マークへの重なりや交差の発生を効果的に防止することができる。
【0186】
〜初回追記がディスク付け替え後のとき〜

図17は、第2の実施の形態の追記時の記録手法のうち、初回追記がディスク付け替え後のときの記録手法について説明するための図である。
初回追記がディスク付け替え後のときは、トラッキング駆動信号TD-rpの再学習を行う。具体的には、先ず図中の<1>と示すように、サーボ光で前回終端位置の1周以上手前となる位置にアクセスする。そして、<2>と示すように、サーボ光から録再光にサーボ切り替えを行う。
この図17のケースは、前回記録時との間でディスク付け替えがあった場合であるので、<2>のサーボ切替時において、録再光の照射スポットは必ずしもプリ記録トラック上に位置している保証はない。図中の例では、前回記録時としての初回記録時の記録データ長が「1周と1/4」と比較的短いので、<1>でアクセスした「前回終端位置の1周以上手前となる位置」では、サーボの引き込み対象がプリ記録トラックのみとなる場合もあるが、初回記録時のデータ長が長い場合には、<2>のサーボ切替時に録再光のサーボ引き込みがマーク列に対して行われる可能性がある。
しかしながら、次の<3>で学習を行う対象は、マーク列でもプリ記録トラックでも何れでもよい。従って、<2>における録再光のトラッキングサーボの引き込みがマーク列とプリ記録トラックの何れに対して行われても問題は無い。
【0187】
<2>のサーボ切替によって録再光のトラッキングサーボ制御が実行されるに至ったことに応じては、<3>と示すように、1周分の対物レンズ駆動信号(トラッキング駆動信号TD-rp)の学習を行う。
【0188】
<3>による学習の完了後は、先の図14における<1>〜<4>と同様の手順で、データの追記を行う。
これにより、初回追記がディスク付け替え後であっても、先の図14(及び図15)の場合と同様に、既記録マーク列への重なりや交差の発生を防止することができると共に、この場合も追記開始後に録再光のスポット位置を内周側に所定量寄せてそのピッチを維持して追記が行われることで、追記マーク列のピッチをその分詰めることができ、記録容量の拡大化を図ることができる。
【0189】
〜2回目追記時〜

図18は、第2の実施の形態の追記時の記録手法のうち、2回目追記時の記録手法について説明するための図である。
2回目追記時には、前回の記録時との間のディスク付け替えの有無を問わず、この図に示す同一の手順を踏むことになる。
先ず、2回目追記時には、図中の<1>と示すように、録再光でマーク列上の前回終端位置よりも1周以上手前となる位置にアクセスする。
そして当該アクセスを行った後は、<2>と示すように、前回終端位置の1周分手前となる位置に到達するタイミングで、1周分の対物レンズ駆動信号(トラッキング駆動信号TD-rp)の学習を開始する。
【0190】
<2>の学習完了後は、<3>と示すように、録再光でマーク列上の前回終端位置よりも手前となる位置にアクセスする。そして、当該アクセスの完了後は、<4>と示すように、前回終端位置に到達するタイミングで、録再光のトラッキング制御を学習値によるFF制御に切り替えると共に、データ追記を開始する。
【0191】
ここで、上記<2>の学習を行うことで、先の図14や図17の初回追記時に行ったスポット位置の内周寄せの区間におけるトラッキング駆動信号TD-rpの挙動も含めた学習を行うことができる。すなわち、上記<4>のように、この学習値を用いたFF制御によって追記を行うものとすることで、当該<4>の追記時には、先の図16で説明したような各周回ごとのオフセット値の調整はもちろん、学習値に基づくトラッキング駆動信号TD-rpに対するオフセット値の付与自体も省略することができるものである。
【0192】
〜3回目以降の追記時〜

図19は、第2の実施の形態の追記時の記録手法のうち、3回目以降の追記時の記録手法について説明するための図である。
3回目以降の追記時には、前回の記録時との間にディスク付け替えがあったか否かに応じて異なる手順を踏むことになる。具体的に、前回記録時との間にディスク付け替え無かった場合には、トラッキング駆動信号TD-rpの再学習は不要であり、ディスク付け替えがあった場合には再学習が必要となるものである。
【0193】
3回目以降の追記時として、前回記録時との間にディスク付け替えがあった場合には、図中の<1><2>として示す学習のための動作を行う。先の図18の<1><2>を参照して分かるように、この場合の学習のための動作は、これら図18に示す<1><2>の動作と同様となる。すなわち、録再光でマーク列上の前回終端位置の1周以上手前となる位置にアクセスする(<1>)と共に、前回終端位置の1周分手前となる位置に到達するタイミングで1周分の対物レンズ駆動信号(トラッキング駆動信号TD-rp)の学習を開始する(<2>)。
【0194】
前回記録時との間でディスク付け替えがあり上記により説明した<1><2>による再学習を行った後、或いは前回記録時との間でディスク付け替えが無かった場合の3回目以降の追記時には、図中の<3><4>によりデータの追記を行う。すなわち、先の図18にて説明した<3><4>と同様に、録再光でマーク列上の前回終端位置よりも手前となる位置にアクセス(<3>)した後、前回終端位置に到達するタイミングで、録再光のトラッキング制御を学習値によるFF制御に切り替えると共にデータ追記を開始する(<4>)ものである。
【0195】
上記のようにして第2の実施の形態によっても、ディスク付け替え後の追記時には、前回記録部分を対象としたトラッキング駆動信号TD-rpの学習を行い、該学習により得た学習値に基づくFF制御によって対物レンズ20のトラッキング制御を行いつつマーク列を追記するものとしている。これにより第2の実施の形態によっても、マーク列の重なりや交差の発生の防止を図ることができる。
また第2の実施の形態によれば、追記時におけるプリ記録トラックの記録を省略したことで、マーク列の形成ピッチを狭めることができる。つまりその分、バルク層5の記録容量の拡大化が図られる。
【0196】
[2-2.処理手順]

図20〜図23は、上記により説明した第2の実施の形態としての記録手法を実現するために行われるべき具体的な処理の手順について説明するためのフローチャートである。
なおこれら図20〜図23では、第2の実施の形態としての記録手法を実現するための具体的な処理の手順を、図4に示したコントローラ40が実行する処理の手順として示している。
コントローラ40は、自らが備える例えばROM等のメモリに格納されたプログラムに従ってこれらの図に示す手順に従った処理動作を実行することになる。
【0197】
図20は、先の図14にて説明したディスク付け替え無しの初回追記時に対応して実行されるべき具体的な処理の手順を示している。
図20において、先ずステップS401では、録再光でマーク列上の前回終端位置の手前となる位置にアクセスするための処理を実行する。
先にも述べたように、マーク列にはアドレス情報が記録されており、従ってこのステップS401のアクセス処理は、アドレス検出回路38aからのアドレス情報に基づき録再光用サーボ回路39に対するアクセス実行制御を行うことで実行する。
【0198】
ステップS401によるアクセス処理を実行した後は、ステップS402において前回終端位置の直前位置に到達するまで待機する。すなわち、アドレス検出回路38aからのアドレス情報に基づき前回終端位置の直前位置に到達したか否かの判別を肯定結果が得られるまで繰り返し行うものである。
【0199】
ステップS402において、上記直前位置に到達したとの肯定結果が得られた場合は、ステップS403において、録再光のトラッキング制御を学習値によるFF制御に切り替える。
先の図14<2>にて説明したように、この場合の学習値は、初回記録時に取得された学習値となる。また第2の実施の形態においても、FF制御時においては、対物レンズ20の視野振り範囲を超えた駆動を防止するために、録再光用サーボ回路39内の図7に示したスイッチS1の切替(サーボ制御時のTD-rpから学習値への切替)と共に、スイッチS2,S3を共にONとする制御を行う。
またこの場合は1トラック分外周側オフセットの加算は不要であるので、当該1トラック分外周側オフセットのスイッチS3に対する供給は停止させるように録再光用サーボ回路39を制御する。
なおこれらの点は、以下で説明する全ての「学習値によるFF制御」に共通であるとする。
【0200】
続くステップS404においては、前回終端位置への到達に応じたタイミングで、データ追記を開始するための処理を実行する。
【0201】
そして、ステップS404によりデータ追記を開始させた後は、ステップS405において、追記開始から所定時間が経過するまで待機する。
ここで、上記所定時間は、本例のように2周目の追記時に前回終端位置の1周分手前となる位置を始端として内周寄せ区間を含めた1周分の学習を行うことを前提とした場合には、少なくとも追記開始からトラックを1周する時間未満の任意の時間を設定すればよい。
例えば上記所定時間は、追記データ長が1周に満たない場合もある点を考慮して、内周寄せ区間が記録開始から記録最小単位分の記録区間内に収まるように設定するか、或いは追記データ長に応じて可変とすることもできる。
【0202】
ステップS405において、追記開始から所定時間が経過したとして肯定結果が得られた場合は、ステップS406において、内周寄せオフセット値の加算処理を行う。
すなわち、録再光用サーボ回路39において、所定の増加率・増加区間だけ増加し且つその後その値を維持するオフセット値が学習値に基づくトラッキング駆動信号TD-rpに対して加算されるように制御を行う。
【0203】
続くステップS407では、内周寄せ開始角度を記憶する。つまり、上記のステップS406による内周寄せオフセット値の加算を開始したときに取得されていたスピンドルモータ30からの回転角度情報を、内周寄せ開始角度(図16におけるAS)として記憶する。
【0204】
ステップS407による記憶処理を実行した後は、ステップS408において、内周寄せ開始角度に到達したか否かを判別し、内周寄せ開始角度に到達していないとして否定結果が得られた場合はステップS410に進み、追記が完了したか否かを判別する。そして当該ステップS410において追記が完了してはいないとして否定結果が得られた場合は、上記ステップS408に戻るようにされる。
つまり、これらステップS408及びステップS410によって、到達内周寄せ開始角度への到達又は追記完了の何れかの条件が成立するまで待機するようにされているものである。
【0205】
ステップS408において、内周寄せ開始角度に到達としたとして肯定結果が得られた場合は、ステップS409に進み、オフセット値の調整処理を実行する。すなわち、先のステップS407の処理に伴い学習値に基づくトラッキング駆動信号TD-rpに対して加算されているオフセット値が、所定の増加率・増加区間だけ増加し且つその後その値を維持するように、録再光用サーボ回路39を制御するものである。
このステップS409の調整処理の実行後は、ステップS408に戻る。
【0206】
一方、上記ステップS410において、追記が完了したとして肯定結果が得られた場合は、この図に示す一連の処理は終了となる。
【0207】
上記のようなステップS408、S409、S410の処理が実行されることで、追記が完了するまで、内周寄せ開始角度に到達するごとに内周寄せのためのオフセット値の調整が実行される。つまりこのことで、先の図16に説明したように、追記データ長が2周以上となるときは各周で内周寄せのためのオフセット値の調整が為されるようになる。
【0208】
図21は、先の図17にて説明した初回追記がディスク付け替え後のときに対応して実行されるべき具体的な処理の手順を示している。
図21において、ステップS501においては、サーボ光で前回終端位置の1周以上手前となる位置にアクセスするための処理を実行する。
そしてその後、ステップS502において、サーボ光から録再光にサーボ切り替えを行う。図17においても説明したように、この場合において録再光のトラッキングサーボの引き込み対象はマーク列、プリ記録トラックの何れとされてもよい。
【0209】
ステップS502によるサーボ切替処理を実行した後は、ステップS503において、1周分のトラッキング駆動信号TD-rpの学習を行う。
【0210】
ステップS503による学習の完了後に実行されるステップS504〜S513の処理は、先の図20において説明したステップS401〜S410の処理と同様となる。従って、改めての説明は省略する。
【0211】
図22は、先の図18にて説明した2回目追記時に対応して実行されるべき具体的な処理の手順を示している。
図22において、ステップS601においては、録再光でマーク列上の前回終端位置よりも1周以上手前となる位置にアクセスするための処理を行う。
そして当該アクセス処理の実行後は、ステップS602において、前回終端位置の1周分手前となる位置に到達するまで待機する。
【0212】
ステップS602において、前回終端位置の1周分手前となる位置に到達したとして肯定結果が得られた場合は、ステップS603において1周分のトラッキング駆動信号TD-rpの学習を行う。
【0213】
ステップS603による学習完了後は、ステップS604において、録再光でマーク列上の前回終端位置よりも手前となる位置にアクセスするための処理を行う。
そして、当該アクセスの完了後は、ステップS605において、前回終端位置の直前位置に到達するまで待機し、前回終端位置の直前位置に到達したとして肯定結果が得られた場合は、ステップS606において、録再光のトラッキング制御を学習値によるFF制御に切り替える処理を実行する。
さらに、続くステップS607では、前回終端位置への到達に応じたタイミングでデータの追記を開始するための処理を実行する。
【0214】
ステップS607の追記開始処理を実行した後は、ステップS608において、追記が完了するまで待機する。そして、追記が完了した場合には、この図に示す一連の処理は終了となる。
【0215】
図23は、先の図19にて説明した3回目以降の追記時に対応して実行されるべき具体的な処理の手順を示している。
図23において、ステップS701では、ディスク付け替え後の追記か否かを判別する。換言すれば、前回の記録時との間でディスク付け替えがあったか否かを判別するものである。
【0216】
ステップS701において、ディスク付け替え後の追記であるとして肯定結果が得られた場合は、ステップS702に進み、録再光でマーク列上の前回終端位置よりも1周以上手前となる位置にアクセスするための処理を行う。
そして当該アクセス処理の実行後は、ステップS703において、前回終端位置の1周分手前となる位置に到達するまで待機し、前回終端位置の1周分手前となる位置に到達したとして肯定結果が得られた場合は、ステップS704において、1周分のトラッキング駆動信号TD-rpの学習を開始する。
【0217】
ステップS704により学習を開始した後は、ステップS705において学習が完了するまで待機し、学習が完了したとして肯定結果が得られた場合はステップS706に処理を進める。
【0218】
一方、上記ステップS701において、ディスク付け替え後の追記ではないとして否定結果が得られた場合は、上記による再学習のための処理(S702〜S705)は省略して、ステップS706にそのまま処理を進める。
【0219】
ステップS706においては、録再光でマーク列上の前回終端位置よりも手前となる位置にアクセスするための処理を行う。
当該ステップS706のアクセス処理の実行後に行われるステップS707〜S710の処理は、マーク列上の前回終端位置以降にデータを追記するための処理となり、その内容は、先の図22にて説明したステップS605〜ステップS608と同様となる。従って、改めての説明は省略する。
【0220】
<3.第3の実施の形態>
[3-1.第3の実施の形態の記録手法]

第3の実施の形態は、追記時のみでなく、初回記録時においてもプリ記録を行わないようにしたものである。換言すれば、初回記録時から直接マーク列を記録していくようにしたものである。
なお、第3の実施の形態においてもバルク型記録媒体1の構造や記録再生装置10の内部構成は第1の実施の形態の場合と同様となるので改めての図示による説明は省略する。
【0221】
〜初回記録〜

図24は、第3の実施の形態の初回記録時の記録手法について説明するための図である。
この図24に示されるように、第3の実施の形態では、初回記録時には、サーボ光でサーボをかけつつ、録再光で記録開始位置手前1周分のダミーデータ記録とデータ記録とを行う。
具体的には、先ず、サーボ光で、基準面Refの位置情報に基づき設定した記録開始位置の1周分手前となる位置にアクセスする。そして当該1周分手前となる位置から上記記録開始位置までの間は、録再光でダミーデータに応じたマーク列の記録を行い、上記記録開始位置以降に対し記録すべきデータに応じたマーク列を記録する。
【0222】
このような第3の実施の形態としての初回記録によれば、これまでの第1,第2の実施の形態では行う必要のあった記録データ長分のプリ記録を省略することができ、結果、記録動作の迅速化が図られる。
【0223】
なお確認のために述べておくと、記録開始位置の手前1周分のダミーデータを記録するのは、仮に記録すべきデータが短かった(例えば1/2周など)とすると、初回追記時にトラッキング駆動信号TD-rpの1周分の学習ができないことを考慮したためである。
【0224】
〜初回追記時〜

図25は、第3の実施の形態の追記時の記録手法のうち、初回追記時における記録手法について説明するための図である。
先ず、第3の実施の形態の場合の初回追記は、先の図24にて説明した初回記録時からのディスク付け替えの有無に関わらず、同一の手順で行うことになる。
これは、第3の実施の形態の初回記録としても、第1の実施の形態の初回記録と同様にサーボ光で基準面Refにサーボをかけながら行われるものであることによる。
【0225】
図25において、初回追記時には、先ず<1>と示すように、録再光で前回終端位置の1周以上手前となる位置にアクセスすると共に、1周分の対物レンズ駆動信号(トラッキング駆動信号TD-rp)の学習を行う。
【0226】
そして、上記<1>による学習の完了後は、<2>と示すように、前回終端位置に到達するタイミングで録再光のトラッキング制御を学習値によるFF制御に切り替えると共に、データ追記を開始する。
【0227】
データ追記の開始後は、<3><4>と示すように、この場合も第2の実施の形態と同様に、追記開始後から所定時間経過後にスポット位置を内周側に所定量寄せると共に、寄せたピッチを維持して記録を継続する。
なお確認のために述べておくと、この場合も追記データ長が2周以上の場合に対応しては、第2の実施の形態の場合と同様に各周ごとのオフセット値の調整を行うことになる。
【0228】
第3の実施の形態としても、このように初回追記時に対応して既記録マーク列との間のピッチを詰めるようにしていることで、バルク層5の記録量の拡大化を図ることができる。
【0229】
〜2回目追記時〜

図26は、第3の実施の形態の追記時の記録手法のうち、2回目追記時における記録手法について説明するための図である。
第3の実施の形態としても、2回目追記は、第2の実施の形態の2回目追記時と同様にディスク付け替え有無を問わず同一の手順で行うことになる。
【0230】
図26において、第3の実施の形態の2回目追記時には、先ず<1>と示すように、録再光で前回終端位置の1周以上手前となる位置にアクセスし、当該アクセスの完了後、<2>と示すように、前回終端位置の手前となる位置に到達するタイミングで1周分の対物レンズ駆動信号(トラッキング駆動信号TD-rp)の学習を開始する。
このように前回終端位置の1周手前となる位置から前回終端位置までの学習を行うことで、初回追記時に形成された内周寄せ区間(図中の破線で囲う区間)の挙動も含めて、1周分のトラッキング駆動信号TD-rpの挙動を学習することができる。
【0231】
<2>の学習の完了後は、録再光で前回終端位置の手前となる位置にアクセスする(<3>)。そして、当該アクセスの完了後は、<4>と示すように、前回終端位置に到達するタイミングで録再光のトラッキング制御を学習値によるFF制御に切り替えると共に、データ追記を開始する。
【0232】
〜3回目以降追記時〜

図27は、第3の実施の形態の追記時の記録手法のうち、3回目以降の追記時における記録手法について説明するための図である。
第3の実施の形態としても、3回目以降の追記は、第2の実施の形態の場合と同様に、前回追記時からのディスク付け替えが有りのときは再学習を行い、ディスク付け替え無しのときは再学習を省略して、データの追記を行うことになる。
【0233】
図27における<1>〜<4>は、前回追記時からのディスク付け替えがあった場合に対応して行われるべき動作を示している。先の図26と対比して理解されるように、これら<1>〜<4>の動作は、図26にて説明した2回目記録時の動作と同様となる。
【0234】
またこの場合、前回追記時との間でディスク付け替えが無かった場合には、<1><2>による再学習のための動作は省略し、<3><4>によりデータの追記を行う。
【0235】
[3-2.処理手順]

図28〜図31は、上記により説明した第3の実施の形態としての記録手法を実現するために行われるべき具体的な処理の手順について説明するためのフローチャートである。
なおこれら図28〜図31では、第3の実施の形態としての記録手法を実現するための具体的な処理の手順を、図4に示したコントローラ40が実行する処理の手順として示している。コントローラ40は、自らが備える例えばROM等のメモリに格納されたプログラムに従ってこれらの図に示す手順に従った処理動作を実行する。
【0236】
図28は、図24にて説明した初回記録時に対応して実行されるべき具体的な処理の手順を示している。
図28において、ステップS801では、サーボ光で記録開始位置の1周手前となる位置にアクセスするための処理を実行する。
そして、続くステップ802において、1周分のダミーデータ及び記録データの記録を開始するための処理を行う。
ステップS802により記録を開始させた後は、ステップS803において記録が完了するまで待機し、記録が完了したとの肯定結果が得られた場合は、この図に示す一連の処理は終了となる。
【0237】
図29は、図25にて説明した初回追記時に対応して実行されるべき具体的な処理の手順を示している。
図29において、ステップS901では、録再光で前回終端位置の1周以上手前となる位置にアクセスするための処理を実行する。
そして続くステップS902において、1周分のトラッキング駆動信号TD-rpの学習を行う。
【0238】
ここで、上記ステップS902による学習を行った以降におけるステップS903〜S911の処理は、先の図21(第2の実施の形態:初回追記がディスク付け替え後のとき)にて説明したステップS505〜S513の処理と同様となる。これらの処理については既に説明済みであるので改めての説明は省略する。
【0239】
続いて、図30は、図26にて説明した2回目追記時に対応して実行されるべき具体的な処理の手順を示している。
この図30と先の第2の実施の形態で説明した図22とを対比して分かるように、第3の実施の形態の2回目追記時に対応して実行されるべき図中のステップS1001〜S1008の各処理は、図22に示したステップS601〜S608の各処理と同様となる。従って、改めての説明は省略する。
【0240】
また図31は、図27にて説明した3回目以降の追記時に対応して実行されるべき具体的な処理の手順を示している。
この図31と図23とを対比して分かるように、第3の実施の形態の3回目以降の追記時に対応して実行されるべきステップS1101〜S1110の各処理は、図23に示したステップS701〜S710の各処理と同様となる。従って、改めての説明は省略する。
【0241】
<4.第4の実施の形態>

以下で説明する第4〜第6の実施の形態は、これまでの第1〜第3の実施の形態で用いていたバルク型記録媒体1とは異なる光記録媒体を対象として記録/再生を行うことを前提としたものである。
具体的には、図32により示すように、サーボ光による位置制御を行うための基準面Refを省略し、且つバルク層5としての記録層に代えて、半透明記録膜が複数形成された多層構造を有する記録層を有する光記録媒体を対象とするものである。
つまりこれは、記録再生装置側から見れば、サーボ光の照射は不要であり、録再光のみを照射して記録/再生を行うこととなる。
【0242】
[4-1.記録/再生対象とする光記録媒体]

図32により、第4〜第6の実施の形態で対象とする光記録媒体(多層記録媒体45とする)の構造を具体的に見ていく。
図32において、多層記録媒体45は、上層側から順にカバー層46、中間層4と半透明記録膜47とが繰り返し積層された記録層、及び基盤48が形成されている。
この場合のカバー層46は、図1に示したカバー層2とは異なり、位置案内子の形成に伴う凹凸の断面形状は与えられないものとなる。
また、図示するように上記記録層の最下層位置に形成された半透明記録膜47は、基板48上に積層されている。なお、当該最下層位置に形成される記録膜については全反射記録膜を用いることができる。
【0243】
ここで、注意すべきは、上記半透明記録膜47には、ピット列やグルーブなどによる位置案内子が形成されていないという点である。つまりこのことで、例えば現状の多層光ディスクのように各記録膜に位置案内子を形成する場合と比較して、記録媒体の製造プロセスの簡略化を図ることができ、記録媒体の製造コスト削減が図られているものである。
【0244】
また一方で、このような多層記録媒体45によれば、反射膜として機能する半透明記録膜47が形成されているため、マークが未記録であっても録再光の反射光を得ることができる。つまりこのような多層光記録媒体45によれば、録再光単体の照射でマーク未記録時にもフォーカス制御を行うことができるものである。
【0245】
上記のような多層記録媒体45を対象とする場合も、記録層内には位置案内子が形成されていないため、録再光によるトラッキングサーボをかけることができず、その結果、第1〜第3の実施の形態の場合と同様に、ディスク付け替えにより偏芯等の態様が変化した場合に追記マーク列が既記録マーク列に対して重なったり交差してしまうといった問題が生じ得る。
【0246】
[4-2.光学系の構成]

図33は、第4〜第6の実施の形態の記録再生装置(記録再生装置50とする)が備える主に光学系の構成について説明するための図である。具体的には、記録再生装置50が備える光学ピックアップOP2の内部構成を主に示すものである。
【0247】
先の図2と比較して分かるように、記録再生装置50が備える光学ピックアップOP2は、図2に示した光学ピックアップOP1からサーボ光の光源であるサーボ用レーザ24とサーボ光用受光部29とが省略されると共に、サーボ光を対物レンズ20に導き且つ対物レンズ20を介して得られるサーボ光の反射光をサーボ光用受光部29に導くための光学系(コリメーションレンズ25〜集光レンズ28)が省略されたものとなる。
さらには、録再光についての光学系において、固定レンズ14、可動レンズ15、レンズ駆動部16による録再光用フォーカス機構が省略されると共に、ミラー17及びダイクロイックプリズム19が省略されている。
【0248】
[4-3.記録再生装置全体の内部構成]

図34は、記録再生装置50の全体的な内部構成を示している。
なお図34においては、光学ピックアップOP2内の構成について、録再用レーザ11、2軸アクチュエータ21のみを抽出して示している。
【0249】
先の図4と比較して分かるように、記録再生装置50は、図4に示した記録再生装置10からサーボ光についての信号処理系(サーボ光用マトリスクス回路32、位置情報検出部33、サーボ光用サーボ回路34)が省略されると共に、コントローラ40に代えてコントローラ52が設けられる。また記録再生装置50には、半径センサ51が設けられる。
コントローラ52は、コントローラ40と比較して、主にサーボ光用サーボ回路34に対する制御機能とレンズ駆動部16に対する制御機能とが省略された点が異なる。また、録再光用マトリクス回路37からの再生信号RFの入力が省略される点もコントローラ40とは異なる。
またコントローラ52には、半径センサ51にて検出される半径位置の情報が入力される。
【0250】
半径センサ51は、スライド駆動部31により駆動される光学ピックアップOP2の半径方向(多層光記録媒体45の半径方向)における位置を検出することで、ディスク上における録再光の照射スポットの半径位置を表す情報を得る。本例の場合、当該半径センサ51としては、いわゆるレーザスケールを用いるものとしている。
【0251】
ここで、記録再生装置50において、半径センサ51を用いて半径位置の検出を行うようにしているのは、位置案内子の一切形成されていない多層光記録媒体45については、マークが未記録の初回記録時において、ディスクからの反射光に基づく位置検出を行うことができない点を考慮してのことである。
記録再生装置50においては、上記半径センサ51により検出される半径位置情報と、スピンドルモータ30により得られる回転角度情報とから、ディスク上の照射スポット位置を検出することが可能とされている。
【0252】
[4-4.第4の実施の形態の記録手法]

第4の実施の形態は、先の図32に示したようなサーボ光の照射が特に不要とされた多層光記録媒体45を対象とする場合において、先の第1の実施の形態と同様に、プリ記録によりプリ記録トラックを形成した上で該プリ記録トラックからオフセットさせた位置にマーク列を記録していくということを、初回記録時と追記時の双方で行うようにしたものである。
以下、図35〜図37を参照して、第1の実施の形態としての記録手法について説明していく。
【0253】
〜初回記録〜

図35は、初回記録時の記録手法について説明するための図である。
第3の実施の形態において、初回記録時には、先ず<1>と示すように記録開始位置の設定を行う。この記録開始位置の設定は、半径センサ51による半径位置情報とスピンドルモータ30による回転角度情報とにより行う。
【0254】
<1>により記録開始位置を設定した後は、<2>と示すように、手前1周分+記録データ長分のプリ記録を行う。すなわち、設定した記録開始位置を基準としてその手前1周分のプリ記録と後ろ側に記録データ長分のプリ記録とが行われるようにするものである。
具体的にこの<2>によるプリ記録は、先ず、半径センサ51の検出値(半径位置情報)が先の<1>で記録開始位置として設定した半径位置の1周手前(つまりこの場合はプリ記録トラックのピッチ分内周側)となるようにスライド駆動部31を制御して光学ピックアップOP2の位置を調整する。そしてその状態で、スピンドルモータ30より入力される回転角度値(回転角度情報)をモニタし、当該回転角度値が<1>で記録開始位置として設定した値となったか否かを判別する。該判別により回転角度値が上記記録開始位置として設定した値となったとされたことに応じて、1周分+記録データ長分のプリ記録を開始する。
【0255】
ここで、例えば第1の実施の形態などでは、初回記録時のプリ記録は、基準面Refにサーボをかけながら行っていたので、プリ記録トラックは自動的にスパイラル状に形成されるものとなったが、上記<2>によるプリ記録は無サーボの状態で行われるので、意図的にスポット位置を半径方向に移動させなければトラックをスパイラル状に形成することはできない。
このため<2>のプリ記録時には、プリ記録トラックをスパイラル状に形成するためのスパイラル制御を行う。具体的にコントローラ52は、当該スパイラル制御として、プリ記録の開始と同時にスライド駆動部31に対してスパイラル記録を行うためのスライド駆動信号の出力が開始されるように録再光用サーボ回路39を制御する。すなわち、光学ピックアップOP2を徐々に外周側へと移動させるためのスライド駆動信号の出力を開始させるものである。
このスパイラル記録のためのスライド駆動信号で実現するスパイラルピッチは、録再光の光学条件下で実現可能な最小トラックピッチの2倍となるようにする。つまり、上記スパイラル記録のためのスライド駆動信号の傾きは、このような最小トラックピッチの2倍のピッチを実現できるように予め設定しておく。
【0256】
<2>のプリ記録の完了に応じては、<3>と示すように、プリ記録終端位置を記憶する。すなわち、プリ記録の完了時点で検出されていた半径センサ51による半径位置情報及びスピンドルモータ30による回転角度情報をプリ記録終端位置の情報として記憶する。
【0257】
プリ記録終端位置情報を記憶した後は、<4>と示すように1周目トラックに戻る。すなわち、内周側へのトラックジャンプを行って1周目のプリ記録トラックに戻る。
【0258】
そして、1周目プリ記録トラックに戻った後は、<5>と示すように、記録開始位置に到達するタイミングで「1トラック分外周側オフセット&スパイラル制御」によるFF制御に切り替えを行うと共に、データの記録を開始する。
すなわち、コントローラ52は、<4>のジャンプ後、スピンドルモータ30からの回転角度情報をモニタして、当該回転角度情報が示す回転角度が、<1>で設定した記録開始位置としての回転角度位置の直前位置(記録開始位置から所定長分手前側となる位置)に到達したか否かを判別する。そして当該直前位置に到達したと判別したことに応じて、録再光のトラッキング制御を、それまでのサーボ制御から「1トラック分外周側オフセット&スパイラル制御」によるFF制御に切り替える。この「1トラック分外周側オフセット&スパイラル制御」によるFF制御とは、1トラック分外周側オフセットとしての固定値によるトラッキング駆動信号TD-rpを2軸アクチュエータ21に対して与えると共に、スライド駆動部31を前述のスパイラル記録のためのスライド駆動信号で駆動するトラッキング制御を指すものである。
さらに、上記「1トラック分外周側オフセット&スパイラル制御」によるFF制御への切替後、記録開始位置への到達に応じたタイミングで、データの記録を開始する。
このような<5>の記録動作によって、図のようにプリ記録トラックから外周側に1トラック分オフセットした位置に対して記録すべきデータに応じたマーク列を形成することができる。
【0259】
〜ディスク付け替え一切無しの追記時〜

図36は、第4の実施の形態の追記時の記録手法のうち、ディスク付け替え一切無しの追記時における記録手法について説明するための図である。
第4の実施の形態も、第1の実施の形態の場合と同様に、追記時の記録としては、ディスク付け替え一切無しの追記の場合と1度でもディスク付け替えがされた以降の追記の場合とで異なる手順を踏むことになる。
【0260】
図36において、ディスク付け替え一切無しの追記時には、先ず<1>と示すように、プリ記録トラック上の前回終端位置の手前となる位置にアクセスする。
ディスク付け替え一切無しの場合(つまり初回記録時からディスク付け替えが1度も為されていない場合)は、記録再生装置50においてプリ記録トラックの前回終端位置の情報(半径センサ51の位置情報と回転角度情報とによる)が記憶されている。具体的には、先の図35の初回記録時における<3>や以下で説明する<2>により前回終端位置の情報が記憶されるものである。
<1>のアクセスは、このように記憶されている前回終端位置の情報に基づき行うものである。具体的には、先ず、半径センサ51にて検出される半径位置が上記前回終端位置の情報として記憶されている半径位置よりも1周分だけ内周側となる位置となるようにスライド駆動部31を駆動させ、その状態において、録再光用サーボ回路39によるトラッキングサーボの引き込みを実行させる。これにより、プリ記録トラック上の前回終端位置の手前となる位置にアクセスできる。
【0261】
<1>のアクセス実行後は、<2>と示すように、前回終端位置への到達に応じて追記データ長分のプリ記録を行うと共に、終端位置を記憶する。つまり、上記<1>のアクセス後、スピンドルモータ30からの回転角度情報をモニタし、スピンドルモータ30からの回転角度情報が表す回転角度が前回終端位置として記憶された回転角度と一致するか否かを判別する。そして、該判別により肯定結果が得られたことに応じて、追記データ長分のプリ記録を開始させる。そしてプリ記録の完了に応じて、その際に得られていた半径センサ51の半径位置情報及びスピンドルモータ30からの回転角度情報を、プリ記録トラックの終端位置情報として記憶するものである。
ここで、第4の実施の形態の場合、このように前回終端位置からプリ記録を行うときも、スポット位置を意図的に半径方向に移動させなければスパイラル記録を行うことができない。従って当該<2>におけるプリ記録としても、初回記録時のプリ記録の場合と同様のスパイラル制御を実行しつつ行うことになる。
【0262】
上記の<2>により追記と終端位置の記憶とを行った後は、<3>と示すように、プリ記録トラック上の前回終端位置よりも手前となる位置にジャンプする。
そしてその後、<4>と示すように、前回終端位置に到達するタイミングで、録再光のトラッキング制御を「1トラック分外周側オフセット&スパイラル制御」によるFF制御に切り替える共に、データの追記を開始する。
つまり、先の図35の初回記録時における<5>と同様に、前回終端位置の所定長分手前となる直前位置に到達したか否かを判別し、当該直前位置に到達したと判別したタイミングで、録再光のトラッキング制御を、「1トラック分外周側オフセット&スパイラル制御」によるFF制御に切り替える。そしてその後、前回終端位置への到達(記憶された回転角度との一致)に応じたタイミングで、追記すべきデータの追記を開始する。
【0263】
このように第4の実施の形態においても、ディスク付け替えが一切為されていない場合の追記時には、トラッキング駆動信号TD-rpの学習は不要となる。
【0264】
〜1度でもディスク付け替えがされた以降の追記時〜

図37は、第4の実施の形態の追記時の記録手法のうち、1度でもディスク付け替えがされた以降の追記時における記録手法について説明するための図である。
第4の実施の形態の場合も、ディスク付け替えが為された以降は、トラッキング駆動信号TD-rpの1周分の学習値を用いたFF制御を行ってデータを追記する必要がある。
但し、先の第1の実施の形態でも説明したように、1度でもディスク付け替えが為された以降の追記時としては、ケースとして、前回の記録時(直前の記録時)との間でディスク付け替えが為された場合と、前回の記録時との間でディスク付け替えが無かった場合との2ケースが考えられる。前者の場合、トラッキング駆動信号TD-rpの再学習が必要となるが、後者の場合は再学習は不要であり、前回記録時に用いた学習値をそのまま用いることができる。
また第4の実施の形態の場合、前回記録時との間でディスク付け替えがあったときには、プリ記録トラックの前回終端位置の情報(特にスピンドル回転角度情報)は、新たに取得し直す必要がある。このために第4の実施の形態では、図中の<1><2>によりプリ記録トラックの前回終端位置(半径位置・回転角度による)を検出するということを行うが、このような前回終端位置の検出は、前回記録時との間でディスク付け替えが無い場合には、当然のことながら省略することができる。
このようにして第4の実施の形態の場合も、1度でもディスク付け替えがされた以降の追記時には、前回記録時からのディスク付け替えの有無に応じてそれぞれ異なる手順を踏むことになる。具体的に、前回記録時からのディスク付け替えがない場合には、上記の前回終端位置の検出とトラッキング駆動信号TD-rpの学習とが省略されるものである。
【0265】
以上の前提を踏まえた上で、図37について見ていく。
先ず、上記説明からも理解されるように、図中の<1><2>は、プリ記録トラックの前回終端位置を検出するための処理となるもので、前回記録時との間でディスク付け替えが無かった場合には省略されるものである。
また、図中の<3><4>はトラッキング駆動信号TD-rpの学習のための処理であり、これらも前回記録時との間でディスク付け替えがあった場合には省略されるものである。
【0266】
先ず、図中の<1>では、マーク列上の前回終端位置の手前となる位置にアクセスする。
そして当該アクセスの実行後は、<2>として、サーボが外れた時点でのスピンドル回転角度情報及び「半径位置−1トラック分」の位置情報を前回終端位置の情報として記憶する。
つまり、上記<1>のアクセス完了に応じて録再光のトラッキングサーボ制御が行われている下で、当該トラッキングサーボが外れたか否かを判別し、サーボが外れたとの判別結果が得られたことに応じて、その時点でスピンドルモータ30に得られていた回転角度情報と半径センサ51にて検出されていた半径位置−1トラック分とした半径位置情報を、プリ記録トラックの前回終端位置の情報として記憶する。
【0267】
<1><2>による前回終端位置の検出が完了した後は、<3>と示すように、プリ記録トラック上の前回終端位置より1周以上手前となる位置にアクセスする。
そして、当該アクセスが完了した後は、<4>と示すように、1周分の対物レンズ駆動信号(トラッキング駆動信号TD-rp)の学習を行う。
【0268】
上記<4>による学習の完了後は、<5>と示すように、前回終端位置に到達するタイミングで、学習値によるFF制御に切り替えると共に、追記データ長分のプリ記録及び終端位置の記憶を行う。
この終端位置の記憶としても、半径センサ51による半径位置情報とスピンドル回転角度情報とにより行う。
【0269】
<5>のプリ記録及び終端位置の記憶を行った後は、<6>と示すように、プリ記録トラック上の前回終端位置よりも手前となる位置にジャンプする。
そしてその後、<7>と示すように、前回終端位置に到達するタイミングで、「学習値+1トラック分外周側オフセット」によるFF制御に切り替えると共に、データの追記を開始する。
【0270】
このように1度でもディスク付け替えがされた以降の追記時には、学習値に基づくFF制御によってデータを追記することになる。
【0271】
ここで、この場合としても学習値にはスパイラル移動成分が含まることになる。従ってこの場合としても、第1の実施の形態の場合と同様に、学習値に基づくFF制御としては、対物レンズ20の視野振り範囲を超える駆動信号TD-rpの出力が為されてしまうことの防止のため、スパイラル移動成分(学習値によるトラッキング駆動信号の低域成分:スライドエラー成分)を除去した学習値を用いて行う。
なおこの点については、第5及び第6の実施の形態においても同様である。
【0272】
上記により説明した第4の実施の形態の記録手法によれば、図32に示したような基準面Refを有さない多層光記録媒体45に対応して録再光のみの照射で記録を行うようにされた場合において、マーク列の重なりや交差を防止するという従来のセルフトラッキングと同様の機能を、サイドビームを用いることなく実現することができる。
【0273】
[4-5.処理手順]

図38〜図40のフローチャートにより、上記により説明した第4の実施の形態の記録手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順について説明する。
なおこれら図38〜図40では、第4の実施の形態としての記録手法を実現するための具体的な処理の手順を、図34に示したコントローラ52が実行する処理の手順として示している。
コントローラ52は、自らが備える例えばROM等のメモリに格納されたプログラムに従ってこれらの図に示す手順に従った処理動作を実行することになる。
【0274】
図38は、図35にて説明した初回記録時に対応して実行されるべき具体的な処理の手順を示している。
図38において、先ずステップS1201では、半径センサ値、スピンドル回転角度情報による記録開始位置の設定を行う。すなわち、半径センサ51による半径位置情報とスピンドルモータ30による回転角度情報とにより記録開始位置の設定を行うものである。
【0275】
ステップS1201により記録開始位置を設定した後は、ステップS1202において、半径センサの値が記録開始位置の1周手前となる位置に合うようにスライド駆動部を調整するための処理を行う。
つまり、半径センサ51の検出値(半径位置情報)がステップS1201で記録開始位置として設定した半径位置の1周手前(つまりプリ記録トラックのピッチ分内周側)となるようにスライド駆動部31による光学ピックアップOP2の移動が行われるように録再光用サーボ回路39を制御する。
【0276】
そして、続くステップS1203では、スピンドル回転角度値が記録開始位置に応じた値となるまで待機する。すなわち、スピンドルモータ30より入力される回転角度値(回転角度情報)が、ステップS1201で記録開始位置として設定した値となったか否かの判別を、肯定結果が得られるまで繰り返し行うものである。
【0277】
ステップS1203において、スピンドルモータ30の回転角度値が上記記録開始位置として設定した値となったとして肯定結果が得られた場合は、ステップS1204において、スパイラル制御を開始すると共に手前1周分+記録データ長分のプリ記録を行うための処理を実行する。
上記スパイラル制御としては、スライド駆動部31に対してスパイラル記録を行うためのスライド駆動信号の出力が開始されるように録再光用サーボ回路39に対する制御を行う。
【0278】
ステップS1204によるプリ記録を行った後は、ステップS1205において、プリ記録終端位置を記憶する。つまり、プリ記録の完了時点で検出されていた半径センサ51による半径位置情報及びスピンドルモータ30による回転角度情報をプリ記録終端位置の情報として記憶するものである。
【0279】
プリ記録終端位置情報を記憶した後は、ステップS1206において、1周目トラックに戻るための処理を行う。すなわち、内周側へのトラックジャンプを行って1周目のプリ記録トラックに戻る。
【0280】
そして、続くステップS1207において、記録開始位置の直前位置に到達するまで待機し、当該直前位置に到達したとして肯定結果が得られた場合は、ステップS1208において、トラッキング制御を「1トラック分外周側オフセット&スパイラル制御」によるFF制御に切り替える。
【0281】
上記「1トラック分外周側オフセット&スパイラル制御」によるFF制御への切替を行った後は、ステップS1209において、記録開始位置への到達に応じたタイミングで、データの記録を開始するための処理を実行する。
ステップS1209による記録開始処理を実行した後は、ステップS1210においてデータ記録が完了するまで待機し、データ記録が完了した場合はこの図に示す一連の処理は終了となる。
【0282】
図39は、第4の実施の形態の追記時の記録手法のうち、先の図36にて説明したディスク付け替え一切無しの追記時に対応して実行されるべき具体的な処理の手順を示している。
図39において、ステップS1301〜S1305は、図36の<1><2>として説明した追記時のプリ記録のための処理となる。
先ずステップS1301では、プリ記録トラック上の前回終端位置の手前となる位置にアクセスするための処理を行う。
先に説明したように、ディスク付け替え一切無しの場合(つまり初回記録時からディスク付け替えが1度も為されていない場合)は、記録再生装置50においてプリ記録トラックの前回終端位置の情報(半径センサ51の位置情報と回転角度情報とによる)が記憶されている(図38のステップS1205や後に説明するステップS1305の処理により)。従って当該ステップS1301のアクセス処理はこのように既に記憶されている前回終端位置の情報に基づき行う。具体的にステップS1301のアクセス処理は、半径センサ51にて検出される半径位置が上記前回終端位置の情報として記憶されている半径位置よりも1周分だけ内周側となる位置となるようにスライド駆動部31を駆動させ、その状態において、録再光用サーボ回路39によるトラッキングサーボの引き込みを実行させることで行う。
【0283】
ステップS1301によるアクセス処理の実行後は、ステップS1302において、前回終端位置に到達するまで待機し、前回終端位置に到達した(つまりスピンドルモータ30の回転角度が前回終端位置情報として記憶された回転角度に至った)として肯定結果が得られた場合は、ステップS1303において、追記データ長分のプリ記録を開始させるための処理を行う。
先の図36の説明からも理解されるように、当該ステップS1303により開始するプリ記録についても、スパイラル制御を実行しつつ行うことになる。
【0284】
ステップS1303による追記開始処理を実行した後は、ステップS1304においてプリ記録が完了するまで待機し、プリ記録が完了したとして肯定結果が得られた場合は、ステップS1305においてプリ記録終端位置を記憶する。すなわち、プリ記録が完了した際に得られていた半径センサ51の半径位置情報及びスピンドルモータ30からの回転角度情報を、プリ記録トラックの終端位置情報として記憶する。
【0285】
ステップS1305の記憶処理の後に実行されるステップS1306〜S1310の処理は、データの追記のための処理となる。
すなわち、ステップS1306では、プリ記録トラック上の前回終端位置よりも手前となる位置にジャンプする。
そして続くステップS1307では、前回終端位置の直前位置に到達するまで待機し、当該直前位置に到達したとの肯定結果が得られたことに応じて、ステップS1308においてトラッキング制御を「1トラック分外周側オフセット&スパイラル制御」によるFF制御に切り替える。
【0286】
さらに、上記ステップS1308による切替処理の実行後、ステップS1309において、前回終端位置への到達(記憶された回転角度との一致)に応じたタイミングで追記すべきデータの追記を開始するための処理を実行する。
ステップS1309による追記開始処理を実行した後は、ステップS1310においてデータ記録が完了するまで待機し、データ記録が完了した場合はこの図に示す一連の処理は終了となる。
【0287】
図40は、第4の実施の形態の追記時の記録手法のうち、先の図37にて説明した1度でもディスク付け替えがされた以降の追記時に対応して実行されるべき具体的な処理の手順を示している。
先ず、ステップS1401では、ディスク付け替え後の追記であるか否かを判別する。
先の図37の説明からも理解されるように、当該ステップS1401の判別処理は、前回記録時からのディスク付け替え有無によってプリ記録トラックの前回終端位置の検出及び学習を実行するか或いはこれらを省略するかの場合分けをするために行うものとなる。
【0288】
ステップS1401において、ディスク付け替え後の追記であるとして肯定結果が得られた場合は、ステップS1402において、前回終端位置の検出処理を実行する。つまり、先ずはマーク列上の前回終端位置の手前となる位置にアクセスし、その後サーボが外れた時点でのスピンドル回転角度情報及び「半径位置−1トラック分」の位置情報を前回終端位置の情報として記憶するものである。
【0289】
ステップS1402による前回終端位置の検出処理を実行した後は、ステップS1403において、プリ記録トラック上の前回終端位置より1周以上手前となる位置にアクセスするための処理を行う。
そして、当該アクセス処理を実行した後は、ステップS1404において1周分のトラッキング駆動信号TD-rpの学習を行う。
ステップS1404による学習処理を実行した後は、ステップS1406に進み、前回終端位置の直前位置に到達するまで待機するようにされる。
【0290】
一方、先のステップS1401において、ディスク付け替え後の追記ではないとして否定結果が得られた場合は、ステップS1405に進んでプリ記録トラック上の前回終端位置の手前となる位置にアクセスするための処理を行う。
確認のために述べておくと、ディスク付け替え後の追記時でない場合には、先のステップS1402の検出処理や後のステップS1410によって有効な前回終端位置情報(半径位置情報・スピンドル回転角度情報による)が記憶された状態にあるので、当該ステップS1405のアクセス処理では、このように記憶されている有効な終端位置情報を用いてアクセス動作を実行させる。
ステップS1405によるアクセス処理を実行した後は、ステップS1406に進んで前回終端位置の直前位置に到達するまで待機する。
【0291】
ステップS1406において、前回終端位置の直線位置に到達したとして肯定結果が得られた場合は、ステップS1407において、トラッキング制御を学習値によるFF制御に切り替える。
そして、続くステップS1408において、前回終端位置への到達に応じたタイミングで追記データ長分のプリ記録を開始させるための処理を実行する。
【0292】
ステップS1408による追記開始処理を実行した後は、ステップS1409においてプリ記録が完了するまで待機し、プリ記録が完了したとして肯定結果が得られた場合は、ステップS1410においてプリ記録終端位置(半径位置情報・スピンドル回転角度情報による)を記憶する。
【0293】
ステップS1410の記憶処理後に実行すべきステップS1411〜S1415の処理は、データの追記を実行するための処理であり、それらの処理は先の図39にて説明したステップS1306〜S1310の処理と同様となる。
但しこの場合、ステップS1308と異なり、ステップS1413では「1トラック分外周側オフセット&スパイラル制御」によるFF制御ではなく、「学習値+1トラック分外周側オフセット」によるFF制御に切替を行うことになる。
【0294】
<5.第5の実施の形態>
[5-1.第5の実施の形態の記録手法]

続いて、第5の実施の形態について説明する。
第5の実施の形態は、基準面Refを有さない多層光記録媒体45に対応して録再光のみの照射で記録を行うようにされた場合において、先の第2の実施の形態と同様に、初回記録時はプリ記録を行うが追記時にはプリ記録を省略してマーク列の前回終端位置から続けてマーク列を追記するようにしたものである。
なお第5の実施の形態において、記録再生装置の構成は先の図33や図34にて説明したものと同様となるのでその説明は省略する。
また第5の実施の形態において、初回記録時の記録手法については第4の実施の形態の場合と同様となることからその説明についても省略する。
【0295】
第5の実施の形態としても、先の第2の実施の形態の場合と同様に初回追記時にスポット位置の内周寄せを行う関係から、追記時の場合分けとして、ディスク付け替え無しの初回追記時、初回追記がディスク付け替え後のとき、2回目追記時(ディスク付け替え有無を問わず)、3回目以降の追記時の場合分けを行うものとしている。
以下、このように場合分けされる第5の実施の形態の追記時の各記録手法について図41〜図44を参照して説明する。
【0296】
〜ディスク付け替え無しの初回追記時〜

図41は、第5の実施の形態の追記時の記録手法のうち、ディスク付け替え無しの初回追記時の記録手法について説明するための図である。
先ず、ディスク付け替え無しの初回追記時には、図中の<1>と示すように、マーク列上の前回終端位置の手前となる位置にアクセスする。
そして当該アクセスの完了後、<2>と示すように、前回終端位置に到達するタイミングでスパイラル制御によるFF制御に切り替えを行うと共に、データの追記を開始する。
つまり、この図41の場合は、初回記録からディスク付け替えが無いので、追記時のトラッキング制御としては前述したスパイラル制御(つまりスライド駆動部31によるトラッキング制御のみ)で行うものである。
【0297】
追記を開始した後は、<3>と示すように、追記開始から所定時間経過後に、スポット位置を内周側に所定量寄せる。そして、<4>と示すように、寄せた後のピッチを維持して記録を継続する。
つまりこの場合も第2の実施の形態と同様に、マーク列のピッチを詰めるための内周寄せ処理を行うものである。
第5の実施の形態の場合も、内周寄せのためのオフセット値の加算は、2軸アクチュエータ21に供給されるトラッキング駆動信号TD-rpに対して行う(図41の追記時はスパイラル制御のみであるのでトラッキング駆動信号TD-rpは「0」である)。
【0298】
〜初回追記がディスク付け替え後のとき〜

図42は、第5の実施の形態の追記時の記録手法のうち、初回追記がディスク付け替え後のときの記録手法について説明するための図である。
初回追記がディスク付け替え後に行われるときは、第2の実施の形態の場合と同様に、トラッキング駆動信号TD-rpの学習を行う。
具体的に、第5の実施の形態の場合における初回追記がディスク付け替え後のときは、先ず<1>と示すように、マーク列上の前回記録開始位置にアクセスした後、<2>と示すように1周目プリ記録トラックにジャンプして、1周分の対物レンズ駆動信号(トラッキング駆動信号TD-rp)の学習を行う。
【0299】
ここで、このように1周分の学習をプリ記録の1周目部分を対象として行うようにしたのは、仮に初回記録時の記録データ長が1周に満たない場合にはマーク列を対象として1周分の学習を行うことができないためである。
最小記録単位がトラック1周分以上である場合には、マーク列を対象として1周分の学習を行うようにすることもできる。
【0300】
上記の<2>による学習を行った後は、<3>と示すように、マーク列上の前回終端位置よりも手前となる位置にアクセスし、その後、<4>と示すように、前回終端位置に到達するタイミングで学習値によるFF制御に切り替えると共にデータの追記を開始する。
【0301】
このように学習値によるFF制御に切り替えて追記を開始した後は、図中の<5><6>により、先の図41にて説明した<3><4>と同様の内周寄せのための処理を行う。
【0302】
〜2回目追記時〜

図43は、第5の実施の形態の追記時の記録手法のうち2回目追記時の記録手法について説明するための図である。
この場合も2回目追記時には、前回の記録時との間のディスク付け替えの有無を問わず同一の手順を踏むことになる。
2回目追記時には、図中の<1>と示すように、先ずはマーク列上の前回終端位置よりも1周以上手前となる位置にアクセスする。
そして当該アクセスを行った後は、<2>と示すように、前回終端位置の1周分手前となる位置に到達するタイミングで、1周分の対物レンズ駆動信号(トラッキング駆動信号TD-rp)の学習を開始する。
この場合も当該<2>の学習によって、内周寄せ区間も含めた1周分のトラッキング駆動信号TD-rpの挙動が学習されることになる。
【0303】
<2>の学習完了後は、<3>と示すように、マーク列上の前回終端位置よりも手前となる位置にアクセスする。そして、当該アクセスの完了後は、<4>と示すように、前回終端位置に到達するタイミングで、録再光のトラッキング制御を学習値によるFF制御に切り替えると共に、データ追記を開始する。
【0304】
先の図18と比較して分かるように、この場合の2回目追記時の記録手法は、第2の実施の形態の場合の2回目追記時の記録手法と同様となる。
【0305】
〜3回目以降の追記時〜

図44は、第5の実施の形態の追記時の記録手法のうち3回目以降の追記時の記録手法について説明するための図である。
この場合も3回目以降の追記時には、前回の記録時との間にディスク付け替えがあったか否かに応じて異なる手順を踏むことになり、具体的には、前回記録時との間にディスク付け替え無かった場合はトラッキング駆動信号TD-rpの再学習は不要であり、ディスク付け替えがあった場合には再学習が必要となるものである。
【0306】
3回目以降の追記時として、前回記録時との間にディスク付け替えがあった場合には、図中の<1><2>として示す学習のための動作を行う。先の図43を参照して分かるように、これら図44に示す<1><2>のための動作は図43の<1><2>と同様となる。
【0307】
また、図中の<3><4>の追記のための動作は、前回記録時との間でディスク付け替えがなかった場合、又は上記の<1><2>による学習を行った後に行うものとなる。
これら<3><4>の追記の動作としても、図43にて説明した<3><4>と同様となる。
【0308】
上記のような第5の実施の形態としての記録手法によっても、第2の実施の形態の場合と同様に、マーク列の重なりや交差の発生の防止を1ビームのみの照射で実現しつつ、追記時におけるプリ記録トラックの記録を省略したことで、マーク列の形成ピッチを狭めることができる。
【0309】
[5-2.処理手順]

図45〜図48のフローチャートにより、上記により説明した第5の実施の形態としての記録手法を実現するために行われるべき具体的な処理の手順について説明する。
なおこれら図45〜図48では、第5の実施の形態としての記録手法を実現するための具体的な処理の手順を、図34に示したコントローラ52が実行する処理の手順として示している。
コントローラ52は、自らが備える例えばROM等のメモリに格納されたプログラムに従ってこれらの図に示す手順に従った処理動作を実行することになる。
【0310】
図45は、図41にて説明したディスク付け替え無しの初回追記時に対応して実行されるべき具体的な処理の手順を示している。
図45において、先ずステップS1501では、マーク列上の前回終端位置の手前となる位置にアクセスするための処理を実行する。
そしてステップS1501によるアクセス処理を実行した後は、ステップS1502において、前回終端位置の直前位置に到達するまで待機する。
さらに、上記ステップS1502において上記直前位置に到達したとの肯定結果が得られた場合は、ステップS1503において、録再光のトラッキング制御を学習値によるFF制御に切り替えた後、ステップS1504において前回終端位置への到達に応じたタイミングでデータ追記を開始するための処理を実行する。
【0311】
ステップS1504による追記開始処理を実行した後に行われるステップS1505〜S1510の各処理は、先の第2の実施の形態において図20により説明したステップS405〜S410の各処理と同様となる。従ってそれらの処理についての説明は省略する。
【0312】
図46は、図42にて説明した初回追記がディスク付け替え後のときに対応して実行されるべき具体的な処理の手順を示している。
図46において、ステップS1601においては、マーク列上の前回記録開始位置にアクセスするための処理を実行する。
そして、当該ステップS1601によるアクセス処理を実行した後は、ステップS1602において1周目プリ記録トラックにジャンプするための処理を実行し、続くステップS1603において、1周分のトラッキング駆動信号TD-rpの学習を行う。
【0313】
ステップS1603による学習処理の完了後に実行されるべき図中のステップS1604〜S1613の各処理は、先の図21にて説明したステップS504〜S513の各処理と同様となる。従ってそれらの処理の説明は省略する。
なお、第2の実施の形態の場合との差異は、第5の実施の形態の場合はサーボ光によるサーボと録再光によるサーボとの選択の余地が無い点である。
【0314】
図47は、図43にて説明した2回目追記時に対応して実行されるべき具体的な処理の手順を示している。
この図47と先の第2の実施の形態で説明した図22とを比較して分かるように、図47に示すステップS1701〜S1708の各処理は、図22のステップS601〜S608の各処理と同様となる。
従って、これら図47に示される各処理についての説明は省略する。
この場合も第2の実施の形態との差異は、第5の実施の形態ではサーボ光によるサーボと録再光によるサーボとの選択の余地が無い点である。
【0315】
図48は、図44にて説明した3回目以降の追記時に対応して実行されるべき具体的な処理の手順を示している。
この図48に示されるステップS1801〜S1810の各処理は、図23にて説明したステップS701〜S710の各処理と同様となるため、これらの処理についての説明は省略する。この場合も第2の実施の形態との差異はサーボ光によるサーボと録再光によるサーボとの選択の余地が無い点である。
【0316】
<6.第6の実施の形態>
[6-1.第6の実施の形態の記録手法]

第6の実施の形態は、基準面Refを有さない多層光記録媒体45に対応して録再光のみの照射で記録を行うようにされた場合において、先の第3の実施の形態と同様に、初回記録時と追記時の双方でプリ記録を行わないようにしたものである。
なお第6の実施の形態においても記録再生装置の構成は先の図33や図34にて説明したものと同様となるので説明は省略する。
【0317】
〜初回記録〜

図49は、第6の実施の形態の初回記録時の記録手法について説明するための図である。
第6の実施の形態の初回記録時おいては、先ず<1>と示すように、記録開始位置の設定を行う。この記録開始位置の設定としては、先の第4の実施の形態で説明した図35の<1>と同様に、半径センサ51による半径位置情報とスピンドルモータ30による回転角度情報とにより行う。
【0318】
そして、記録開始位置を設定した後は、<2>と示すように記録開始位置の1周手前からのダミーデータの記録と記録開始位置からのデータ記録とを行う。
つまり、先の図35の<2>のプリ記録と同様の要領で、先ずは半径センサ51の検出値(半径位置情報)が<1>で設定した記録開始半径位置の1周手前となるようにスライド駆動部31を制御して光学ピックアップOP2の位置を調整し、その状態で、スピンドルモータ30より入力される回転角度値(回転角度情報)をモニタし、当該回転角度値が<1>で設定した記録開始位置としての値となるまで待機し、回転角度値が上記記録開始位置としての値となったことに応じて1周分のダミーデータ+記録データの記録を開始する。
【0319】
ここで、第6の実施の形態としても初回記録は基準面Refにサーボをかけつつ行うものではないので、第4の実施の形態と同様にスパイラル制御が必要となる。
但し、第6の実施の形態の場合は、プリ記録を行わない(つまりプリ記録トラックを挿入するためのスペースを空けておく必要がない)ので、スパイラル制御時にスライド駆動部31に与えるスライド駆動信号の傾きは、録再光の最小トラックピッチ換算で1トラック分のスパイラルピッチに対応する値に設定することができる。
図中においてマーク列のピッチを「n/2」として示しているのは、第6の実施の形態では、スパイラル制御で用いるスライド駆動信号の傾きが上記1トラック分のスパイラルピッチを実現するための値に設定されていることを表しているものである。
【0320】
またこのことに関連して、<2>で記録開始位置の1周手前からのダミーデータの記録を開始するにあたって行うスライド駆動部31の調整(光学ピックアップOP2の位置調整)は、半径センサ51の検出値が、<1>で設定した記録開始半径位置の1トラック分(録再光の最小トラックピッチ換算で)手前となるようにして行うことになる。
【0321】
このように第6の実施の形態によれば、初回記録時からプリ記録を行わないことで、その分マーク列のピッチを詰めることができ、記録容量の拡大化を図ることができる。
【0322】
〜第6の実施の形態の場合の追記時の場合分け〜

上記のようにして第6の実施の形態では初回記録時からプリ記録を省略してマーク列の形成ピッチを詰めるものとしている。つまり、第6の実施の形態では、先の第3の実施の形態の場合とは異なり初回記録を基準面Refにサーボをかけつつ行うものとはされていないので、初回記録時からマーク列の形成ピッチを詰めることができるものである。
【0323】
ここで、このように初回記録時からマーク列の形成ピッチを詰めることができるので、第6の実施の形態では、第3の実施の形態で行っていた初回追記時の内周寄せのためのオフセット値の加算は不要となる。このため第6の実施の形態における追記時の場合分けは、第3の実施の形態の追記時の場合分けとは異なるものとなる。
第6の実施の形態において、追記時においては、第4の実施の形態(及び第1の実施の形態)の場合と同様に「ディスク付け替え一切無しの追記時」と「1度でもディスク付け替えがされた以降の追記時」の場合分けを行うことになる。
【0324】
〜ディスク付け替え一切無しの追記時〜

図50は、第6の実施の形態の追記時の記録手法のうちディスク付け替え一切無しの追記時における記録手法について説明するための図である。
図50において、ディスク付け替え一切無しの追記時には、先ず<1>と示すように、前回終端位置の手前となる位置にアクセスする。
そして、当該アクセス動作の実行後において、<2>と示すように、前回終端位置に到達するタイミングでスパイラル制御によるFF制御に切り替えを行うと共に、データ追記を開始する。
確認のため述べておくと、追記時のスパイラル制御としても、初回記録時と同様のスライド駆動信号を(スパイラルピッチを1トラック分とするスライド駆動信号)を用いて行うことになる。
【0325】
このようにディスク付け替え一切無しの追記時には、学習値を用いたFF制御が不要であり、従って学習処理を行う必要もない。
【0326】
〜1度でもディスク付け替えがされた以降の追記時〜

図51は、第6の実施の形態の追記時の記録手法のうち1度でもディスク付け替えがされた以降の追記時における記録手法について説明するための図である。
これまでの説明からも理解されるように、ディスク付け替えが為された以降は、FF制御として、トラッキング駆動信号TD-rpの1周分の学習値を用いた制御を行う必要があるが、前回の記録時(直前の記録時)との間でディスク付け替えが無かった場合には、前回記録時に用いていた学習値をそのまま用いることができ、従って学習処理は不要とできる。
従ってこの場合としても、1度でもディスク付け替えがされた以降の追記時としては、前回記録時からのディスク付け替え有無に応じて学習を行うか、或いは省略する。
図中では前回記録時との間でディスク付け替えがあった場合に対応した手法を示しているが、前回記録時との間でディスク付け替えが無かった場合は、図中の<1>による学習のための手順は省略することになる。
なお、前回記録時との間でディスク付け替えが無く<1>の学習を省略したときは、前回終端位置の手前となる位置にアクセスした後に、<2>の手順を実行することになる。
【0327】
図51において、図中の<1>では、前回終端位置の手前となる位置にアクセスする共に、1周分の対物レンズ駆動信号(トラッキング駆動信号TD-rp)の学習を行う。
【0328】
そして上記の<1>による学習を行った後(或いは前回記録時からのディスク付け替えが無く上記の学習を省略し、前回終端位置の手間となる位置にアクセスした後)は、<2>と示すように、前回終端位置に到達するタイミングで、学習値によるFF制御に切り替えると共に、データの追記を行う。
【0329】
なお確認のために述べておくと、<2>による追記時には、学習値に基づくFF制御が行われることで、前回終端位置の前のピッチがそのまま維持されることになる。つまりこのことで、ディスク付け替えがあった後も、初回記録時に狭めたマーク列のピッチが追記時にもそのまま維持されるものである。
【0330】
[6-2.処理手順]

図52〜図54のフローチャートにより、第6の実施の形態の記録手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順について説明する。
なおこれら図52〜図54では、第6の実施の形態としての記録手法を実現するための具体的な処理の手順を、図34に示したコントローラ52が実行する処理の手順として示している。
コントローラ52は、自らが備える例えばROM等のメモリに格納されたプログラムに従ってこれらの図に示す手順に従った処理動作を実行する。
【0331】
図52は、図49にて説明した初回記録時に対応して実行されるべき具体的な処理の手順を示している。
図52において、ステップS1901〜S1903の各処理は、先の第4の実施の形態にて図38により説明したステップS1201〜S1203の各処理と同様となる。
但し、先の説明からも理解されるように、ステップS1902にける「1周手前となる位置」は、この場合には録再光の最小トラックピッチ換算で1トラック分内周側となる半径位置を指すものとなる。
なお、他の部分については図38のステップS1201〜S1203の各処理と同様となるので、これらステップS1901〜S1903の各処理の内容については説明を省略する。
【0332】
ステップS1903において、スピンドル回転角度値が記録開始位置に応じた値となったとして肯定結果が得られた場合は、ステップS1904において、スパイラル制御を開始すると共に、1周分のダミーデータ及び記録データの記録を開始するための処理を行う。
そして、ステップS1904による記録開始処理を実行した後は、ステップS1905において記録が完了するまで待機し、記録が完了した場合はこの図に示す一連の処理は終了となる。
【0333】
図53は、第6の実施の形態の追記時の記録手法のうち図50にて説明したディスク付け替え一切無しの追記時に対応して実行されるべき具体的な処理の手順を示している。
図53において、ステップS2001では、前回終端位置の手前となる位置にアクセスするための処理を実行する。
そして、当該アクセス処理の実行後は、ステップS2002において、前回終端位置の直前位置に到達するまで待機する。
【0334】
ステップS2002において、前回終端位置に到達したとして肯定結果が得られた場合には、ステップS2003において、スパイラル制御によるFF制御に切り替えを行う。
そして、続くステップS2004においては、前回終端位置への到達に応じたタイミングでデータの追記を開始するための処理を行う。
【0335】
ステップS2004による追記開始処理を実行した後は、ステップS2005において追記が完了するまで待機し、追記が完了した場合はこの図に示す一連の処理は終了となる。
【0336】
図54は、第6の実施の形態の追記時の記録手法のうち図51にて説明した1度でもディスク付け替えがされた以降の追記時に対応して実行されるべき具体的な処理の手順を示している。
先ずステップS2101では、ディスク付け替え後の追記であるか否かを判別する。
ステップS2101において、ディスク付け替え後の追記であるとして肯定結果が得られた場合は、ステップS2102に進み、前回終端位置の1周以上手前となる位置にアクセスするための処理を実行する。
その上で、ステップS2103において1周分のトラッキング駆動信号TD-rpの学習を行う。
ステップS2103による学習処理を実行した後は、ステップS2105に進み、前回終端位置の直前位置に到達するまで待機するようにされる。
【0337】
一方、ステップS2101において、ディスク付け替え後の追記ではないとして否定結果が得られた場合は、ステップS2104に進んで前回終端位置の手前となる位置にアクセスするための処理を行う。
ステップS2104によるアクセス処理を実行した後は、ステップS2105に進んで前回終端位置の直前位置に到達するまで待機する。
【0338】
ステップS2105において、前回終端位置の直線位置に到達したとして肯定結果が得られた場合は、ステップS2106において、トラッキング制御を学習値によるFF制御に切り替える。
そして、続くステップS2107において、前回終端位置への到達に応じたタイミングでデータの追記を開始するための処理を実行する。
【0339】
ステップS2107による追記開始処理を実行した後は、ステップS2108において追記が完了するまで待機し、追記が完了した場合はこの図に示す一連の処理は終了となる。
【0340】
<7.変形例>

以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでで説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えばこれまでの説明では、プリ記録トラックは、DCパターンによりマークを記録することで形成するものとしたが、プリ記録トラックはダミーデータに応じたマーク記録を行って形成することもできる。
何れにせよプリ記録トラックとしては、記録すべきデータのパターン以外のパターンによりマークを記録することで形成すればよい。
【0341】
またこれまでの説明において、FF制御への切替は、記録を開始すべき位置(つまり記録開始のタイミング)の直前において行う場合を例示したが、FF制御への切替は、少なくとも記録開始のタイミングよりも後とならなければ任意に設定することができる。従って例えば記録開始のタイミングと同時としてもよい。或いは、記録開始タイミングを録再光の反射光情報に基づき特定する以外の場合にあっては、記録を開始すべき位置の直前よりもさらに前となるタイミングとすることもできる。
このようにFF制御への切替タイミングは、少なくとも記録開始のタイミング以前となるタイミングとすればよい。換言すれば、記録を開始すべき位置を基準として、少なくともそれ以前となる位置で切替を行うものとすればよい。
【0342】
また、第2,第3,及び第5の実施の形態では、追記時に行う内周寄せのためのオフセット値の加算は、トラッキング駆動信号TD-rpに対して行うものとしたが、スライド駆動信号に内周寄せのためのオフセット値を加算するようにもできる。
【0343】
また、第1〜第3の実施の形態において、記録再生対象とする光記録媒体は、バルク層5を有するバルク型記録媒体1とする場合を例示したが、第1〜第3の実施の形態で説明した記録手法は、例えば図55に示されるように多層記録媒体45に基準面Refを追加した多層記録媒体60を対象とする場合にも好適に適用できる。
【0344】
また、これまでの説明において例示した録再光、サーボ光の波長はあくまで一例を示したものに過ぎず、勿論それらに限定されるべきものではない。
【0345】
また、これまでの説明では、マークをスパイラル状に記録することを前提とした場合に本発明を適用する場合を例示したが、本発明はマークを同心円状に記録する場合にも好適に適用できる。
【符号の説明】
【0346】
1 バルク型記録媒体、2,46 カバー層、3 選択反射膜、Ref 基準面、4 中間層、5 バルク層、L マーク形成層位置(情報記録層位置)、10,50 記録再生装置、11 録再用レーザ、12,25 コリメーションレンズ、13,26 偏光ビームスプリッタ、14 固定レンズ、15 可動レンズ、16 レンズ駆動部、17 ミラー、18,27 1/4波長板、19 ダイクロイックプリズム、20 対物レンズ、21 2軸アクチュエータ、22,28 集光レンズ、23 録再光用受光部、24 サーボ用レーザ、29 サーボ光用受光部、30 スピンドルモータ、31 スライド駆動部、32 サーボ光用マトリクス回路、33 位置情報検出部、34 サーボ光用サーボ回路、35 記録処理部、36 発光駆動部、37 録再光用マトリクス回路、38 再生処理部、38a アドレス検出回路、39 録再光用サーボ回路、39A 減算器、39B ローパスフィルタ、39C 加算器、S1〜S3 スイッチ、40,52 コントローラ、45,60 多層記録媒体、41 メモリ、42 スピンドル駆動部、47 半透明記録膜、48 基板、51 半径センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク状の光記録媒体に対しマークの記録再生を行うための録再光を対物レンズを介して照射する光照射部と、
上記光記録媒体を回転させる回転駆動部と、
上記録再光の発光制御を行うことで上記光記録媒体に対するマークの記録を実行させる記録部と、
上記光記録媒体に対する上記録再光の照射スポットの位置を、上記光記録媒体の半径方向に平行な方向であるトラッキング方向に変位させるスポット位置制御部と、
上記録再光の上記光記録媒体からの反射光を受光した結果に基づき、上記光記録媒体に上記マークの記録に伴い形成されたトラックに対する上記照射スポットのトラッキング誤差を表すトラッキング誤差信号を生成する共に、該トラッキング誤差信号に基づき上記照射スポットを上記トラックに追従させるように上記スポット位置制御部を制御する第1のトラッキングサーボ制御部と、
新たに装着された上記マークが既記録の上記光記録媒体に対してマークの追記を行う場合において、
上記第1のトラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御を実行させた状態で、該トラッキングサーボ制御に伴い上記スポット位置制御部に与えられるサーボ用駆動信号の値を上記トラックの1周分にわたって取得することで、上記サーボ用駆動信号の上記トラック1周内における値の変化を学習する追記時学習処理と、
上記第1のトラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御をオフとし、上記追記時学習処理により得た上記トラック1周分の学習値を用いたフィードフォーワード制御によって上記スポット位置制御部による上記照射スポットの変位が実行されるように切替を行うと共に、上記記録部に上記マークの記録を実行させる追記制御処理とを実行する記録制御部と
を備える記録再生装置。
【請求項2】
上記光記録媒体には、
記録すべきデータのパターン以外のパターンに基づきマークが記録されて形成されたプリ記録トラックと、記録すべきデータパターンに基づきマークが記録されて形成されたデータトラックとが並走して形成されており、
上記記録制御部による上記追記制御処理では、
上記追記時学習処理の完了後、上記第1のトラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御により上記照射スポットが上記プリ記録トラック上に追従している状態において、上記照射スポットが、上記プリ記録トラック上の、上記光記録媒体に対する前回のマーク記録時に形成された範囲の終端位置としての前回終端位置の以前における所定位置に到達したタイミングで、上記第1のトラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御をオフとして、上記追記時学習処理により得た上記トラック1周分の学習値と、上記照射スポットの位置を上記プリ記録トラックの形成位置から半径方向に所定量ずれた位置にシフトさせるためのオフセット値とを用いたフィードフォーワード制御により上記スポット位置制御部による上記照射スポットの変位が実行されるように切替を行うと共に、上記前回終端位置への到達に応じたタイミングで、上記記録部に記録すべきデータに基づく上記マークの記録を実行させる
請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項3】
上記光記録媒体は、
位置案内子が形成された反射膜を有する基準面と、上記基準面とは異なる深さ位置に設けられ光照射に応じたマーク形成により情報記録が行われる記録層とを有して構成され、
上記光照射部は、
上記記録層に対するマークの記録再生を行うための上記録再光と、上記基準面に形成された上記位置案内子に基づく位置制御を行うためのサーボ光とを上記対物レンズを介して上記光記録媒体に照射するように構成され、
上記対物レンズに入射する上記録再光のコリメーションを変化させることで上記録再光の合焦位置を上記サーボ光とは異なる位置に調整する録再光用フォーカス機構と、
上記サーボ光の上記基準面からの反射光に基づき、上記位置案内子に対する上記サーボ光の照射スポットのトラッキング誤差を表すトラッキング誤差信号を生成する共に、該トラッキング誤差信号に基づき上記サーボ光の照射スポットを上記位置案内子に追従させるように上記スポット位置制御部を制御する第2のトラッキングサーボ制御部とをさらに備えると共に、
上記記録制御部は、
上記マークが未記録の上記光記録媒体に対して初回にマークの記録を行う場合において、
上記サーボ光の反射光を受光した結果に基づき特定される上記基準面上の位置情報に基づく記録開始位置を境に、その手前側に所定長分のマーク記録と後ろ側に記録すべきデータ長分のマーク記録とが行われるように上記スポット位置制御部と上記記録部とを制御することで、上記記録層に対するプリ記録を実行させる初回プリ記録処理と、
上記第1のトラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御により上記録再光の照射スポットを上記初回プリ記録処理により形成されたプリ記録トラックに追従させた状態で、該トラッキングサーボ制御に伴い上記スポット位置制御部に与えられるサーボ用駆動信号の値をトラック1周分にわたって取得することで、上記サーボ用駆動信号のトラック1周内における値の変化を学習する初回記録時学習処理と、
上記初回記録時学習処理の完了後、上記スポット位置制御部により上記サーボ光のスポット位置を上記記録開始位置の手前となる位置に移動させ上記第2のトラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御が実行されている状態において、該第2のトラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御をオフとし、上記第1のトラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御が実行されるように切替を行うと共に、該切替後において、上記サーボ光の反射光に基づき特定される上記録再光の照射スポットの位置が上記記録開始位置の以前における所定位置に到達したタイミングで、上記第1のトラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御をオフとし、上記初回記録時学習処理により得た上記トラック1周分の学習値と上記オフセット値とを用いたフィードフォーワード制御により上記スポット位置制御部による上記録再光の照射スポットの変位が実行されるように切替を行うと共に、上記記録開始位置への到達に応じたタイミングで上記記録部に記録すべきデータに基づく上記マークの記録を実行させる初回記録制御処理と、を実行する
請求項2に記載の記録再生装置。
【請求項4】
上記光記録媒体は、
光照射に応じて上記マークの記録が行われる半透明記録膜を複数有する記録層を備えて構成され、
上記スポット位置制御部により変位される上記録再光の照射スポットの上記トラッキング方向における位置を検出する半径位置検出部と、
上記回転駆動部の回転角度を検出する回転角度検出部とをさらに備えると共に、
上記記録制御部は、
上記マークが未記録の上記光記録媒体に対して初回にマークの記録を行う場合において、
上記半径位置検出部による検出値と上記回転角度検出部による検出値とによる記録開始位置の設定を行う記録開始位置設定処理と、
上記半径位置検出部による検出値と上記回転角度検出部による検出値とに基づき、上記設定した記録開始位置を境にその手前側に所定長によるマーク記録と後ろ側に記録すべきデータ長分のマーク記録とが行われるように上記スポット位置制御部と上記記録部とを制御することで、上記記録層に対するプリ記録を実行させる初回プリ記録処理と、
上記初回プリ記録処理の完了後、上記照射スポットが上記初回プリ記録処理により形成されたプリ記録トラックの1周目に追従するように上記第1のトラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御を実行させると共に、その後、上記照射スポットが上記設定した記録開始位置の以前における所定位置に到達したタイミングで、上記オフセット値と、上記光記録媒体に対するトラックの形成がスパイラル状に行われるように上記スポット位置制御部を駆動するためのスパイラル制御信号とを用いたフィードフォーワード制御により上記スポット位置制御部による上記照射スポットの変位が実行されるように切替を行うと共に、上記回転角度検出部による検出値から特定される上記記録開始位置への到達に応じたタイミングで、上記記録部に記録すべきデータに基づく上記マークの記録を実行させる初回記録制御処理と、を実行する
請求項2に記載の記録再生装置。
【請求項5】
上記記録制御部は、
上記プリ記録として、DCパターンに基づくマーク記録が行われるように制御する
請求項3又は請求項4に記載の記録再生装置。
【請求項6】
上記光記録媒体には、
記録すべきデータパターンに基づきマークが記録されて形成されたトラックとしての、データトラックが形成されており、
上記記録制御部による上記追記制御処理では、
上記追記時学習処理の完了後、上記第1のトラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御により上記照射スポットが上記データトラック上に追従している状態において、上記照射スポットが、上記データトラック上の、上記光記録媒体に対する前回のマーク記録時に形成された範囲の終端位置としての前回終端位置の以前における所定位置に到達したタイミングで、上記第1のトラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御をオフとして、上記追記時学習処理により得た上記トラック1周分の学習値を用いたフィードフォーワード制御により上記スポット位置制御部による上記照射スポットの変位が実行されるように切替を行うと共に、上記前回終端位置への到達のタイミングに応じて上記記録部に記録すべきデータに基づく上記マークの記録を実行させる
請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項7】
上記追記制御処理では、
上記フィードフォーワード制御により記録されるマーク列が、既記録のデータトラック側に寄せられるように上記スポット位置制御部を制御する
請求項6に記載の記録再生装置。
【請求項8】
上記光記録媒体は、
位置案内子が形成された反射膜を有する基準面と、上記基準面とは異なる深さ位置に設けられ光照射に応じたマーク形成により情報記録が行われる記録層とを有して構成され、
上記光照射部は、
上記記録層に対するマークの記録再生を行うための上記録再光と、上記基準面に形成された上記位置案内子に基づく位置制御を行うためのサーボ光とを上記対物レンズを介して上記光記録媒体に照射するように構成され、
上記対物レンズに入射する上記録再光のコリメーションを変化させることで上記録再光の合焦位置を上記サーボ光とは異なる位置に調整する録再光用フォーカス機構と、
上記サーボ光の上記基準面からの反射光に基づき、上記位置案内子に対する上記サーボ光の照射スポットのトラッキング誤差を表すトラッキング誤差信号を生成する共に、該トラッキング誤差信号に基づき上記サーボ光の照射スポットを上記位置案内子に追従させるように上記スポット位置制御部を制御する第2のトラッキングサーボ制御部とをさらに備えると共に、
上記記録制御部は、
上記マークが未記録の上記光記録媒体に対して初回にマークの記録を行う場合において、
上記サーボ光の反射光を受光した結果に基づき特定される上記基準面上の位置情報に基づく記録開始位置を境に、その手前側に所定長分のマーク記録と後ろ側に記録すべきデータ長分のマーク記録とが行われるように上記スポット位置制御部と上記記録部とを制御することで、上記記録層に対するプリ記録を実行させる初回プリ記録処理と、
上記第1のトラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御により上記録再光の照射スポットを上記初回プリ記録処理により形成されたプリ記録トラックに追従させた状態で、該トラッキングサーボ制御に伴い上記スポット位置制御部に与えられるサーボ用駆動信号の値をトラック1周分にわたって取得することで、上記サーボ用駆動信号のトラック1周内における値の変化を学習する初回記録時学習処理と、
上記初回記録時学習処理の完了後、上記スポット位置制御部により上記サーボ光のスポット位置を上記記録開始位置の手前となる位置に移動させ上記第2のトラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御が実行されている状態において、該第2のトラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御をオフとし、上記第1のトラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御が実行されるように切替を行うと共に、該切替後において、上記サーボ光の反射光に基づき特定される上記録再光の照射スポットの位置が上記記録開始位置の以前における所定位置に到達したタイミングで、上記第1のトラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御をオフとし、上記初回記録時学習処理により得た上記トラック1周分の学習値と、上記照射スポットの位置を上記プリ記録トラックの形成位置から半径方向に所定量ずれた位置にシフトさせるためのオフセット値とを用いたフィードフォーワード制御により上記スポット位置制御部による上記録再光の照射スポットの変位が実行されるように切替を行うと共に、上記記録開始位置への到達に応じたタイミングで上記記録部に記録すべきデータに基づく上記マークの記録を実行させる初回記録制御処理と、を実行する
請求項6に記載の記録再生装置。
【請求項9】
上記光記録媒体は、
光照射に応じて上記マークの記録が行われる半透明記録膜を複数有する記録層を備えて構成され、
上記スポット位置制御部により変位される上記録再光の照射スポットの上記トラッキング方向における位置を検出する半径位置検出部と、
上記回転駆動部の回転角度を検出する回転角度検出部とをさらに備えると共に、
上記記録制御部は、
上記マークが未記録の上記光記録媒体に対して初回にマークの記録を行う場合において、
上記半径位置検出部による検出値と上記回転角度検出部による検出値とによる記録開始位置の設定を行う記録開始位置設定処理と、
上記半径位置検出部による検出値と上記回転角度検出部による検出値とに基づき、上記設定した記録開始位置を境にその手前側に所定長によるマーク記録と後ろ側に記録すべきデータ長分のマーク記録とが行われるように上記スポット位置制御部と上記記録部とを制御することで、上記記録層に対するプリ記録を実行させる初回プリ記録処理と、
上記初回プリ記録処理の完了後、上記照射スポットが上記初回プリ記録処理により形成されたプリ記録トラック上の1周目に追従するように上記第1のトラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御を実行させると共に、その後、上記照射スポットが上記設定した記録開始位置の以前における所定位置に到達したタイミングで、上記照射スポットの位置を上記プリ記録トラックの形成位置から半径方向に所定量ずれた位置にシフトさせるためのオフセット値と、上記光記録媒体に対するトラックの形成がスパイラル状に行われるように上記スポット位置制御部を駆動するためのスパイラル制御信号とを用いたフィードフォーワード制御により上記スポット位置制御部による上記照射スポットの変位が実行されるように切替を行うと共に、上記回転角度検出部による検出値により特定される上記記録開始位置への到達に応じたタイミングで上記記録部に記録すべきデータに基づく上記マークの記録を実行させる初回記録制御処理と、を実行する
請求項6に記載の記録再生装置。
【請求項10】
上記記録制御部は、
上記プリ記録として、DCパターンに基づくマーク記録が行われるように制御する
請求項8又は請求項9に記載の記録再生装置。
【請求項11】
上記光記録媒体は、
位置案内子が形成された反射膜を有する基準面と、上記基準面とは異なる深さ位置に設けられ光照射に応じたマーク形成により情報記録が行われる記録層とを有して構成され、
上記光照射部は、
上記記録層に対するマークの記録再生を行うための上記録再光と、上記基準面に形成された上記位置案内子に基づく位置制御を行うためのサーボ光とを上記対物レンズを介して上記光記録媒体に照射するように構成され、
上記対物レンズに入射する上記録再光のコリメーションを変化させることで上記録再光の合焦位置を上記サーボ光とは異なる位置に調整する録再光用フォーカス機構と、
上記サーボ光の上記基準面からの反射光に基づき、上記位置案内子に対する上記サーボ光の照射スポットのトラッキング誤差を表すトラッキング誤差信号を生成する共に、該トラッキング誤差信号に基づき上記サーボ光の照射スポットを上記位置案内子に追従させるように上記スポット位置制御部を制御する第2のトラッキングサーボ制御部とをさらに備えると共に、
上記記録制御部は、
上記マークが未記録の上記光記録媒体に対して初回にマークの記録を行う場合において、
上記サーボ光の反射光を受光した結果に基づき特定される上記基準面上の位置情報に基づく記録開始位置を境に、その手前側に所定長分のマーク記録と後ろ側に記録すべきデータに基づくマーク記録とが行われるように、上記スポット位置制御部と上記記録部とを制御することで、上記記録層に対する初回記録を実行させる初回記録制御処理を実行する
請求項6に記載の記録再生装置。
【請求項12】
上記光記録媒体は、
光照射に応じて上記マークの記録が行われる半透明記録膜を複数有する記録層を備えて構成され、
上記スポット位置制御部により変位される上記録再光の照射スポットの上記トラッキング方向における位置を検出する半径位置検出部と、
上記回転駆動部の回転角度を検出する回転角度検出部とをさらに備えると共に、
上記記録制御部は、
上記マークが未記録の上記光記録媒体に対して初回にマークの記録を行う場合において、
上記半径位置検出部による検出値と上記回転角度検出部による検出値とによる記録開始位置の設定を行う記録開始位置設定処理と、
上記半径位置検出部による検出値と上記回転角度検出部による検出値とに基づき、上記設定した記録開始位置を境にその手前側に所定長によるマーク記録と後ろ側に記録すべきデータに基づくマーク記録とが行われるように上記スポット位置制御部と上記記録部とを制御することで、上記記録層に対する初回記録を実行させる初回記録制御処理と、を実行する
請求項6に記載の記録再生装置。
【請求項13】
ディスク状の光記録媒体に対しマークの記録再生を行うための録再光を対物レンズを介して照射する光照射部と、上記光記録媒体を回転させる回転駆動部と、上記録再光の発光制御を行うことで上記光記録媒体に対するマークの記録を実行させる記録部と、上記光記録媒体に対する上記録再光の照射スポット位置を、上記光記録媒体の半径方向に平行な方向であるトラッキング方向に変位させるスポット位置制御部と、上記録再光の上記光記録媒体からの反射光を受光した結果に基づき、上記光記録媒体に上記マークの記録に伴い形成されたトラックに対する上記照射スポットのトラッキング誤差を表すトラッキング誤差信号を生成する共に、該トラッキング誤差信号に基づき上記照射スポットを上記トラックに追従させるように上記スポット位置制御部を制御する第1のトラッキングサーボ制御部とを備えた記録再生装置における記録制御方法であって、
新たに装着された上記マークが既記録の上記光記録媒体に対してマークの追記を行う場合において、
上記第1のトラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御を実行させた状態で、該トラッキングサーボ制御に伴い上記スポット位置制御部に与えられるサーボ用駆動信号の値を上記トラックの1周分にわたって取得することで、上記サーボ用駆動信号の上記トラック1周内における値の変化を学習する追記時学習ステップと、
上記第1のトラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御をオフとし、上記追記時学習ステップにより得た上記トラック1周分の学習値を用いたフィードフォーワード制御によって上記スポット位置制御部による上記照射スポットの変位が実行されるように切替を行うと共に、上記記録部に上記マークの記録を実行させる追記制御ステップと
を有する記録制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図14】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−3816(P2012−3816A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139229(P2010−139229)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】