説明

記録媒体カード及びその製造方法

【課題】ハウジングの大きさに関わらず一定の基板を用いることができコストダウンを図ることのできる記録媒体カード及びその製造方法を提供する。
【解決手段】メモリブロック3を収納可能なハウジング2を備え、ハウジング2は、外部接触部16と、開口部12と、開口部12と連通してメモリブロック3を収納可能な収納部13とを備え、メモリブロック2は、メモリチップ20と、メモリチップ20と電気的に接続された接触部22とを備え、メモリブロック3が開口部12から収納部13内に取り外し不能となるように収納されることで、接触部22と外部接触部16とが電気的に接続されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリチップを内部に有してなる記録媒体カード及びその製造方法に関し、特にハウジング内にメモリチップを備えたメモリブロックを収納し一体化してなる記録媒体カード及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータや携帯電話、デジタルカメラ等の電子機器において用いられる記録媒体カードが知られている。記録媒体カードは、電子機器に対して着脱自在とされると共に、これら電子機器との間でデータを読み書きすることができるように構成されており、半導体チップからなるメモリチップや信号制御を行う制御回路などを薄板状のハウジング内部に備えている。
【0003】
記録媒体カードは、メモリチップを基板に実装し、その基板をハウジングを構成する上下の筐体で挟み込むようにすることで形成されている。また、ハウジングには電子機器側と接続される外部接触部が露出するように設けられている。このような記録媒体カードとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【特許文献1】特開2002−74314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記録媒体カードは、電子機器間でデータを交換することができるように、規格化がされている。また、電子機器の小型化に伴ってより小さいハウジングからなる規格の記録媒体カードが用いられるようになっている。このため、異なる大きさのハウジングを有する記録媒体カードが複数存在することとなっている。
【0005】
記録媒体カードを製造するにあたっては、前述のように上下の筐体内に基板を納めているが、この場合にはハウジングの大きさによって外部接触部の大きさも異なり、それに伴って基板の大きさも異なっていた。したがって、規格毎にハウジング及び基板を用意する必要があり、特に大きいサイズのハウジングの場合には、メモリチップの大きさ及び数にかかわらず大きい基板を用意しなければならないため、基板の材料コストがかかってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、ハウジングの大きさに関わらず一定の基板を用いることができコストダウンを図ることのできる記録媒体カード及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る記録媒体カードは、メモリブロックを収納可能なハウジングを備える記録媒体カードにおいて、
前記ハウジングは、外部接触部と、開口部と、該開口部と連通して前記メモリブロックを収納可能な収納部とを備え、
前記メモリブロックは、メモリチップと、該メモリチップと電気的に接続された接触部とを備え、
前記メモリブロックが前記開口部から前記収納部内に取り外し不能となるように収納されることで、前記接触部と前記外部接触部とが電気的に接続されていることを特徴として構成されている。
【0008】
また、本発明に係る記録媒体カードは、前記メモリブロックは前記収納部に対して挿入方向位置を固定する位置決め部を備え、該位置決め部は前記メモリブロックが前記収納部に挿入された状態において、挿入方向後端面が前記ハウジングの開口部を有する面と面一状または前記収納部側に配置されるように前記メモリブロックを位置決めすることを特徴として構成されている。
【0009】
さらに、本発明に係る記録媒体カードは、前記メモリブロックは複数の辺にそれぞれ前記接触部を備え、各辺の接触部はそれぞれ異なる配置を有した電極列からなることを特徴として構成されている。
【0010】
さらにまた、本発明に係る記録媒体カードの製造方法は、ハウジング内にメモリチップを納めた記録媒体カードの製造方法において、
前記メモリチップを樹脂により封止してメモリブロックを形成し、該メモリブロックを挿入可能な開口部を有する空間状の収納部を備えた前記ハウジングを形成し、前記メモリブロックを前記ハウジングの開口部から前記収納部に対して取り外し不能に挿入することを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る記録媒体カードによれば、ハウジングは、外部接触部と、開口部と、開口部と連通してメモリブロックを収納可能な収納部とを備え、メモリブロックは、メモリチップと、メモリチップと電気的に接続された接触部とを備え、メモリブロックが開口部から収納部内に取り外し不能となるように収納されることで、接触部と外部接触部とが電気的に接続されていることにより、ハウジングを変えるだけで規格違いの記録媒体カードを容易に製造することができ、メモリブロックはいずれの規格の記録媒体カードについても共通とすることができる。このため、記録媒体カードの大きさに関わらずメモリチップを封止するメモリブロックの大きさを一定とすることができ、メモリチップを記録媒体カードの大きさに応じた基板上に実装する場合に比べて、特に記録媒体カードが大きい場合に材料の使用量を少なくしてコストダウンを図ることができる。
【0012】
また、本発明に係る記録媒体カードによれば、メモリブロックは収納部に対して挿入方向位置を固定する位置決め部を備え、位置決め部はメモリブロックが収納部に挿入された状態において、挿入方向後端面がハウジングの開口部を有する面と面一状または収納部側に配置されるようにメモリブロックを位置決めすることにより、メモリブロックが収納部に対して確実に取り外し不能となるようにすることができる。
【0013】
さらに、本発明に係る記録媒体カードによれば、メモリブロックは複数の辺にそれぞれ接触部を備え、各辺の接触部はそれぞれ異なる配置を有した電極列からなることにより、メモリブロックの挿入方向により複数の異なる規格に対応することができ、部品の共用化をより進めてコストダウンを図ることができる。
【0014】
さらにまた、本発明に係る記録媒体カードの製造方法によれば、メモリチップを樹脂により封止してメモリブロックを形成し、メモリブロックを挿入可能な開口部を有する空間状の収納部を備えたハウジングを形成し、メモリブロックをハウジングの開口部から収納部に対して取り外し不能に挿入することにより、記録媒体カードの大きさに関わらずメモリブロックの大きさを一定とすることができ、メモリチップを記録媒体カードの大きさに応じた基板上に実装する場合に比べて、特に記録媒体カードが大きい場合に材料の使用量を少なくしてコストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。図1には本実施形態における記録媒体カードの斜視図を、図2には図1の反対側から見た記録媒体カードの斜視図を、それぞれ示している。これら各図に示すように、本実施形態における記録媒体カード1は、ハウジング2内にメモリブロック3を納めて構成されている。
【0016】
ハウジング2は樹脂材からなり、上ケース10と下ケース11とを一体化して形成されている。また、下ケース11側の一端部には、金属製の外部端子15を収納して外部に露出させる端子収納部14が形成されている。外部端子15は、列状に複数が配列されてなり、各端子15に対応して端子収納部14が形成されている。このように複数の外部端子15がハウジング2の外部に露出することで、記録媒体カード1が取付けられる機器との間で接続をなす外部接続部16を構成している。
【0017】
記録媒体カード1は、図1の奥側が挿入先端側であり、手前側が挿入後端側である。ハウジング2の挿入後端側の面には、開口部12が形成されており、この開口部12からメモリブロック3が内部に挿入されている。図3には、上ケース10を除いたハウジング2の斜視図を示している。この図に示すように、ハウジング2の内部には、開口部12から連続して空間状の収納部13が形成されており、開口部12から挿入されたメモリブロック3を収納することができる。
【0018】
収納部13の最深部には、内部端子17が露出している。内部端子17は、外部端子15と電気的に接続されていると共に、収納部13に納められたメモリブロック3と接触して電気的な接続をなすものである。この内部端子17が外部端子15に対応して複数が列状をなすように配置され、内部接触部18を構成している。
【0019】
また、収納部13の側部には、突起状の係合部19が形成されている。係合部19は、収納部13に納められたメモリブロック3に対して係合し、位置決めをなすと共にメモリブロック3が収納部13から抜けないようにするものである。なお、係合部19は図3において収納部13の一側部に形成されたものが現れているが、実際には反対側の側部にも形成されており、収納部13の両側部にそれぞれ設けられている。なお、係合部19は収納部13の一側部にのみ設けられていてもよい。
【0020】
図4には、メモリブロック3の斜視図を示している。この図に示すように、メモリブロック3は、樹脂材からなる小片の薄板状に形成されてなり、内部には半導体メモリからなるメモリチップ20が埋設されている。また、メモリブロック3の側壁には、切欠状の位置決め部23が形成されている。位置決め部23は、メモリブロック3が収納部13に納められた状態で、係合部19と係合する位置に形成されており、位置決め部23が係合部19と係合することにより、メモリブロック3の位置決めがなされると共に、収納部13から抜けないように固定がなされる。
【0021】
また、図1及び図2に示すように、メモリブロック3の挿入後端面は、ハウジング2の挿入後端面となる開口部12を有する面と面一状となるようにされている。すなわち、メモリブロック3は収納部13に収納された状態において、ハウジング2から突出することがない。メモリブロック3は挿入後端面以外の面がハウジング2の外方に露出しないようにされている。したがって、メモリブロック3はハウジング2に開口部12を介して挿入され収納部13に収納された後は、メモリブロック3に容易に触れることができないので再び取り出すことができず、ハウジング2とメモリブロック3が一体化するようにされている。さらに、メモリブロック3の挿入後端面をハウジング2の挿入後端面よりも収納部13側に位置するように収納部13内に収納することもできる。すなわちこの場合、メモリブロック3はハウジング2の収納部13内に完全に入り込んだ状態となる。したがって、メモリブロック3がハウジング2の収納部13に収納された後は、メモリブロック3に容易に触れることができないので再び取り出すことができず、ハウジング2とメモリブロック3が一体化するようにされる。
【0022】
図5には、メモリブロック3の図4とは反対側の面から見た平面図を示している。この図に示すように、メモリブロック3の下面側には、列状に配列された複数のメモリ端子21が露出している。メモリ端子21は、それぞれメモリブロック3内部のメモリチップ20と電気的に接続されており、複数が列をなして接触部22を構成している。メモリブロック3がハウジング2の収納部13に収納されることにより、接触部22は内部接触部18と接触して導通する。このため、ハウジング2側の内部端子17とメモリブロック3側のメモリ端子21は、それぞれ対応するように配列されている。
【0023】
このように、ハウジング2に収納部13を設け、メモリブロック3を収納部13に対して取り出し不能に挿入固定して、メモリブロック3の接触部22とハウジング2の外部接触部16とを電気的に接続した状態とすることにより、ハウジング2を変えるだけで規格違いの記録媒体カードを容易に製造することができる。したがって、メモリブロック3はいずれの規格の記録媒体カードについても共通とすることができる。すなわち、記録媒体カードの大きさに関わらずメモリチップ20を封止するメモリブロック3の大きさを一定とすることができ、メモリチップ20を記録媒体カードの大きさに応じた基板上に実装する場合に比べて、特に記録媒体カードが大きい場合に材料の使用量を少なくしてコストダウンを図ることができる。
【0024】
また、記録媒体カード1を製造するには、まずハウジング2とメモリブロック3を予め形成しておく。ハウジング2は、これを構成する上ケース10と下ケース11を成形して下ケース11には内部端子17及び外部端子15を納めて形成される。また、メモリブロック3はメモリチップ20を樹脂材に封止することにより形成される。そして、メモリブロック3をハウジング2の収納部13に対して取り外し不能に挿入固定し記録媒体カード1を形成する。
【0025】
メモリブロック3は、さらに単純な形状であってもよい。図6には、他の形態のメモリブロック3の斜視図を示している。この図に示すように、この形態においてメモリブロック3は、突起や切欠きを有しない直方体からなる薄板形状に形成されており、一辺に沿って接触部22が設けられている。図6のメモリブロック3は、幅がハウジング2の収納部13に形成される左右の係合部19間の距離と同等となるようにされており、収納部13に収納された際には、左右の係合部19によって左右方向の位置決めがなされる。
【0026】
また、この場合においてもメモリブロック3を収納部13に挿入することで、メモリブロック3の接触部22がハウジング2の内部接触部18に接続されると共に、メモリブロック3の挿入後端面はハウジング2の開口部12を有する面と面一状となって、取り外し不能とされる。なお、図6のメモリブロック3は、位置決め部23を有していないため、ハウジング2に対して挿入方向に係合等により固定されていないが、内部接触部18の先端部は片持ち状とされているために弾性を有しており、図6のメモリブロック3を用いる場合にはこの弾性に伴う接点圧が大きくなるようにすることで、メモリブロック3が収納部13から抜けることを防止することができる。
【0027】
さらに、ハウジング2について、収納部13の左右内側面をメモリブロック3のガイド面となるように形成してもよい。図7には、ハウジング2の形状を変更した場合の分解平面図を示している。この図では、ハウジング2の上ケース10は省略している。図7に示すように、ハウジング2の収納部13について、側壁がより内周側に位置するように形成したガイド面13aを設けることで、メモリブロック3を収納部13に挿入した際において、メモリブロック3の左右側面が収納部13の左右側壁にガイドされるので、メモリブロック3を左右方向により確実に位置決めすることができる。
【0028】
ここまで説明したメモリブロック3は、1つの接触部22を有するものであったが、異なる種類の接触部を複数有するように構成してもよい。図8には、複数の接触部を有するメモリブロック3の斜視図を示している。図8のメモリブロック3は、図6のメモリブロック3と同様に、突起や切欠きを有しない直方体からなる薄板形状に形成されており、一辺に沿って接触部22が設けられている。また、接触部22が設けられる辺と対向する辺に沿って第2の接触部24が設けられている。
【0029】
第2の接触部24は、複数のメモリ端子21が列状に配列されてなる点は接触部22と同様であるが、メモリ端子21の大きさや数が接触部22とは異なっている。接触部22と第2の接触部24は、それぞれ異なる規格の記録媒体カードに対応したメモリ端子21の配列からなっており、所定の規格の記録媒体カードを形成する場合には、接触部22を挿入前端側として相応の構成を有したハウジング2の収納部13に挿入し、別の規格の記録媒体カードを形成する場合には、第2の接触部24を挿入前端側として相応の構成を有したハウジング2の収納部13に挿入する。これによって、異なる2種類の規格の記録媒体カードについて、メモリブロック3を共用化することができ、部品の共用化によるコストダウンをより図ることができる。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態における記録媒体カードの斜視図である。
【図2】図1の反対側から見た記録媒体カードの斜視図である。
【図3】上ケースを除いたハウジングの斜視図である。
【図4】メモリブロックの斜視図である。
【図5】メモリブロックの図4とは反対側の面から見た平面図である。
【図6】他の形態のメモリブロックの斜視図である。
【図7】ハウジングの形状を変更した場合の分解平面図である。
【図8】複数の接触部を有するメモリブロックの斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 記録媒体カード
2 ハウジング
3 メモリブロック
10 上ケース
11 下ケース
12 開口部
13 収納部
14 端子収納部
15 外部端子
16 外部接触部
17 内部端子
18 内部接触部
19 係合部
20 メモリチップ
21 メモリ端子
22 接触部
23 位置決め部
24 第2接触部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリブロックを収納可能なハウジングを備える記録媒体カードにおいて、
前記ハウジングは、外部接触部と、開口部と、該開口部と連通して前記メモリブロックを収納可能な収納部とを備え、
前記メモリブロックは、メモリチップと、該メモリチップと電気的に接続された接触部とを備え、
前記メモリブロックが前記開口部から前記収納部内に取り外し不能となるように収納されることで、前記接触部と前記外部接触部とが電気的に接続されていることを特徴とする記録媒体カード。
【請求項2】
前記メモリブロックは前記収納部に対して挿入方向位置を固定する位置決め部を備え、該位置決め部は前記メモリブロックが前記収納部に挿入された状態において、挿入方向後端面が前記ハウジングの開口部を有する面と面一状または前記収納部側に配置されるように前記メモリブロックを位置決めすることを特徴とする請求項1記載の記録媒体カード。
【請求項3】
前記メモリブロックは複数の辺にそれぞれ前記接触部を備え、各辺の接触部はそれぞれ異なる配置を有した電極列からなることを特徴とする請求項1または2記載の記録媒体カード。
【請求項4】
ハウジング内にメモリチップを納めた記録媒体カードの製造方法において、
前記メモリチップを樹脂により封止してメモリブロックを形成し、該メモリブロックを挿入可能な開口部を有する空間状の収納部を備えた前記ハウジングを形成し、前記メモリブロックを前記ハウジングの開口部から前記収納部に対して取り外し不能に挿入することを特徴とする記録媒体カードの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−61602(P2010−61602A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229340(P2008−229340)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】